【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構風力等自然エネルギ―技術研究開発/海洋エネルギー技術研究開発/海洋エネルギー発電システム実証研究(越波式波力発電)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1乃至
図9を参照して本発明の一実施の形態を説明する。
まず、
図1を参照して、越波式波力発電装置1の全体の構成を説明する。本実施の形態による越波式波力発電装置1は、例えば、海岸からさほど遠くない比較的浅い場所に設置されている。以下、具体的に説明すると、まず、図示しない構造体が設置されていて、この構造体には、水槽群5が設置されている。この水槽群5は、複数個(この実施の形態の場合には4個)の水槽7が階段状に連設された構成になっている。
【0010】
上記水槽群5の
図1中右上には傾斜板9が設置されている。又、各水槽7相互間の上にも小さな傾斜板11が設置されている。これら傾斜板9、11を介して、波12が各水槽5内に入り込み、それによって、各水槽5内に海水14が供給されることになる。
【0011】
上記各水槽7の下部の放出口19には、タービン13が設置されていて、このタービン13の上には回転軸15を介して発電機17が同軸上に配置されている。又、上記放水口19には放水管21が接続されている。これら放水管21は放水管23に集合されていて、この放水管23は海中に開口されている。そして、上記放水口19を介して海水14が放水され、それによって、タービン13が回転される。このタービン13の回転により、発電機17が回転されて発電されることになる。
【0012】
次に、
図2を参照して、上記水槽7の近傍の構成をより詳しく説明する。
図2は、1個の水槽7及びその近傍の構成を示す図で、水槽7には、水槽7内の海水14の水位を測定するための水位測定器31が設置されている。この種の水位測定器としては、例えば、フロート式水位計、ディスプレーサ式水位計、圧力式水位計、巻圧式水位計、気泡式水位計、超音波式水位計、静電容量式水位計、放射線式水位計、等、公知の様々な方式の水位計があり、何れの使用も可能である。
又、回転軸15には回転数/トルク測定器33が設置されている。この種の回転数/トルク測定器としては、例えば、電磁式、等、公知の様々な測定器の使用が想定される。
又、上記放水口19には流量/水圧測定器35が設置されている。この種の流量/水圧測定器としては、電磁式流量計、超音波式流量計、等、公知の様々な測定器の使用が想定される。又、圧力測定器としては、例えば、歪ゲージを使用したタイプ、等、公知の様々な測定器の使用が想定される。
又、発電制御装置41が設置されていて、上記水位測定器31、回転数/トルク測定器33、流量/水圧測定器35からの各測定信号は、この発電制御装置41に入力されるようになっている。又、発電制御装置41から、上記タービン13、発電機17、後述する擬似負荷部44に制御信号が出力されるようになっている。
尚、
図2は、1個の水槽7のみを示しているが、
図1に示した4個の水槽7の全てについて同様の構成になっている。
【0013】
次に、
図3を参照して、上記発電制御装置41の構成を説明する。上記発電制御装置41には、まず、電力制御部43が設置されている。この電力制御部43によって、発電機17で発電された電力を制御するものである。又、この電力制御部43には、既に述べた擬似負荷部44が接続されている。又、センサ情報収集部45が設置されていて、既に説明した水位測定器31、回転数/トルク測定器33、流量/水圧測定器35からの各測定信号は、このセンサ情報収集部45に収集されることになる。又、制御量演算部47、データ格納部49が設置されていて、制御量演算部47は、上記センサ情報収集部45に収集された水位測定器31、回転数/トルク測定器33、流量/水圧測定器35からの各測定信号と、データ格納部49に格納されている各種データに基づいて、タービン13のピッチ角の制御量、発電機17又は擬似負荷部44の負荷値制御量を演算するものである。又、第1制御部51a、第2制御部51bが設置されていて、第1制御部51aからタービン13に制御信号が出力されることになり、第2制御部51bから擬似負荷部44に制御信号が出力されることになる。
上記センサ情報収集部45、制御量演算部47、データ格納部49、第1制御部51a、第2制御部51bによって、発電制御部を構成している。
尚、本実施の形態の場合には、上記水位測定器31、回転数/トルク測定器33、流量/水圧測定器35からの測定信号に基づいて、タービン13のピッチ角を制御するとともに、発電機17又は擬似負荷部44の負荷量を制御することにより、水槽7内の水位が水槽の最大値を超えない範囲内で水槽7内の海水14のエネルギを最大限有効に利用できるようにしたものである。
【0014】
上記データ格納部49には、水位、流量、水圧の関係を示したテーブル、水位の設定範囲(上限値/下限値)、タービン13の目標回転数、水槽7の目標水位、擬似負荷部44の擬似負荷量の上限値/下限値、等のデータが予め記憶されている。
【0015】
上記タービン13のタービンピッチ角の制御に関して、
図4、
図5を参照して、説明を補充する。
まず、
図4は、タービン13のタービンピッチ角、タービン13のタービン回転数、排出流量の関係を示した図である。まず、タービン13の概略の構成であるが、主軸13aと、この主軸13aの先端部の外周に設けられた複数枚(この実施の形態の場合には3枚)の羽根13b、とから構成されている。そして、タービンピッチ角とは、
図4に示すように、各羽根13bと水平線とのなす角度(α°)を意味する。
尚、タービン回転数とはタービン13の回転数を意味している。
【0016】
又、タービンピッチ角(α°)、タービン13のタービン回転数、排出流量の関係をみてみると、
図4に示すように、タービンピッチ角(α°)が大きくなるとタービン回転数が低くなる関係にある。又、タービンピッチ角(α°)が大きくなると排出流量が少なくなる関係にある。
尚、上記関係はあくまで一例であり、例えば、タービン13の羽根13bの形状等が変わることにより、別の関係性が生ずることがある。
【0017】
又、上記タービンピッチ角(α°)の変更は、
図5に示すような機構により実現される。まず、既に説明した主軸13aの外周側にはアクチュエータ61が設置されていて、上記羽根13bはこのアクチュエータ61の先端に、回転部材63を介して、回動可能に取り付けられている。そして、上記アクチュエータ61内に内装された図示しないサーボモータによって、上記アクチュエータ61を駆動することにより、上記羽根13bを適宜の方向に適当量だけ回動させ、それによって、タービンピッチ角(α°)の変更を行うものである。
尚、これは3枚の羽根13bの全てについて同じである。
【0018】
以上の構成を基にその作用を説明する。
まず、タービン13のタービン回転数を任意の値に保持することを前提とした制御について、
図6のフローチャートを参照して説明する。
ステップS1において、流量/水圧測定器35からの測定信号が読み込まれる。次いで、ステップS2に移行して、上記読み込まれたデータがデータ格納部49に格納される。次に、ステップS3に移行して、読み込まれたデータから水槽7の水位が推定される。
この推定は、次のような方法により行われる。まず、データ格納部49には、水槽7の水位、流量、水圧の関係を示したテーブルが格納されている。そして、上記読み込まれた流量/水圧のデータを上記テーブルに照らし合わせることにより、水位が推定されるものである。
尚、読み込まれた流量/水圧のデータに対しては、平均化処理、ノイズ除去処理が施され、そのうえで上記テーブルに照らし合わされることになる。
【0019】
次に、ステップS4に移行する。ステップS4においては、推定水位と予め設定されている設定範囲(上限値/下限値)との比較が行われる。すなわち、上記データ格納部49には、水位に関する設定範囲(上限値/下限値)が予め格納されている。具体的には、水槽7のオーバーフロを規制するための上限値、水槽7内が空になることを規制するための下限値、が設定されていて、上記推定水位がこれら設定範囲(上限値/下限値)の範囲内に入っているか否かが確認されることになる。
【0020】
そして、ステップS5に移行して、上記推定水位が予め設定された設定範囲(上限値/下限値)内に入っているか否かが判別される。そして、設定範囲(上限値/下限値)内に入っていないと判別された場合には、ステップS6に移行する。このステップS6において、推定水位より、タービン13に対するタービンピッチ角と擬似負荷部44の擬似負荷値の最適制御量(Step量)が決定される。すなわち、推定水位と上限値又は下限値との差に基づいて、タービンピッチ角と擬似負荷値の最適制御量(Step量)が決定されるものである。
【0021】
上記タービンピッチ角と擬似負荷値の最適制御量(Step量)に関して
図8、
図9を参照して説明する。
図8、
図9は、横軸に負荷を取り、縦軸に発電効率、回転数をとり、両者の関係を示した図である。具体的には、5種類のピッチ角a、b、c、d、eに関して、負荷と発電効率の関係を示した線図(図中山なりの実線で示す線図)、5種類のピッチ角a、b、c、d、eに関して、負荷と回転数の関係を示した線図(図中破線で示す線図)、がそれぞれ示されている。
そして、現在の推定水位からタービンピッチ角と擬似負荷値の最適制御量(Step量)を決定する場合には、まず、現在の推定水位と目標水位との差、現在の排出流量から次回の排出流量(A)を決定する。現在の推定水位と目標水位との差が大きい程、次回の制御量を多くする。
次に、上記次回の排出流量(A)を実現可能なタービンピッチ角と擬似負荷値の組み合わせを検索する。タービンピッチ角と擬似負荷値の組み合わせの検索は、予め記憶されている
図8に示すような負荷と発電効率、回転数との関係を示したテーブルを参照することにより行う。
図8の例によると、上記次回の排出流量(A)を実現可能なタービンピッチ角と擬似負荷値の組み合わせは、5つ(
図8の1、2、3、4、5)であり、その中で、発電効率が最も高い位置は「1」の組合せである。タービンピッチ角と擬似負荷値の最適制御量(Step量)は、発電効率が最も高くなるように決定する。したがって、
図8の例では、「1」のタービンピッチ角と擬似負荷値になるように最適制御量(Step量)が決定される。
又、現在のタービン回転数からタービンピッチ角と擬似負荷値の最適制御量(Step量)を決定する場合であるが、まず、現在のタービン回転数と目標回転数の差から次回のタービン回転数(A′)を決定する。現在のタービン回転数と目標回転数の差が大きい程、次回の制御量を多くする。
次に、上記次回のタービン回転数(A′)を実現可能なタービンピッチ角と擬似負荷値の組み合わせを検索する。タービンピッチ角と擬似負荷値の組み合わせの検索は、予め記憶されている
図9に示すような負荷と発電効率、回転数との関係を示したテーブルを参照することにより行う。
図9の例によると、上記次回のタービン回転数(A′)を実現可能なタービンピッチ角と擬似負荷値の組み合わせは、5つ(
図9の1、2、3、4、5)であり、その中で、発電効率が最も高い位置は「5」の組合せである。タービンピッチ角と擬似負荷値の最適制御量(Step量)は、発電効率が最も高くなるように決定する。したがって、
図9の例では、「5」のタービンピッチ角と擬似負荷値になるように最適制御量(Step量)が決定される。
尚、
図8、
図9に示す特性はあくまで一例であり、タービン13の羽根13bの形状等が変わることにより、別の特性になることがある。
【0022】
一方、ステップS5において、設定範囲(上限値/下限値)内に入っていると判別された場合には、ステップS7に移行する。ステップS7においては、回転数/トルク測定器33からの測定信号が取り込まれる。次いで、ステップS8に移行して、その取り込まれたデータがデータ格納部49に格納される。次いで、ステップS9に移行する。このステップS9においては、現在のタービン回転数とデータ格納部49に格納されている目標回転数との比較が行われる。次いで、ステップS10に移行する。ステップS10においては、現在のタービン回転数が目標回転数に収束しているか否かが判別される。
上記目標回転数であるが、例えば、タービン13のエネルギ変換効率が最も良くなるタービン回転数を目標回転数として設定することもできるし、エネルギ変換量が最も良くなるタービン回転数を目標回転数として設定することも可能である。
尚、読み込まれた回転数/トルクのデータに対しても、平均化処理、ノイズ除去処理が施される。
【0023】
上記判別は、予め設定されている「コアリング値」との比較により行われる。ここでいう「コアリング値」とは、現在の値(回転数や水位)と目標値とのずれの許容値を示したものである。例えば、仮に、目標回転数を150rpmとし、コアリング値を10rpmとした場合、現在の回転数が140rpm〜160rpmの間に入っていれば、目標値に収束していると判断される。
本実施の形態の場合には、次の式(I)、(II)に示すような判別がなされる。
|現在のタービン回転数−目標回転数|≦コアリング値⇒収束している
―――(I)
|現在のタービン回転数−目標回転数|>コアリング値⇒収束していない
―――(II)
【0024】
上記判別の結果、「収束している」と判別された場合には、ステップS1に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。これに対して、「収束していない」と判別された場合には、ステップS11に移行する。このステップS11においても、既に説明したステップS6の場合と同様に、タービン13に対するタービンピッチ角と擬似負荷値の最適制御量(Step量)が決定される。この場合にはタービン13の現在のタービン回転数から、
図9に示すような特性に基づいて、タービンピッチ角と擬似負荷値の最適制御量(Step量)が決定されることになる。詳細については前述した通りである。
【0025】
そして、既に説明したステップS6の場合、上記ステップS11の場合、何れの場合も、ステップS12、ステップS15に同時に移行する。ステップS12側においては、タービンピッチ角の演算が行われ、ステップS15側においては、擬似負荷値の制御が行われることになる。
【0026】
ステップS12側の記タービンピッチ角の演算であるが、次の式(III)に示すようなものとなる。
タービンピッチ角=現在のタービンピッチ角±最適制御量―――(III)
又、制御方向については、データ格納部49に記憶されている、タービンピッチ角、回転数、流量の関係を示したテーブルに基づいて決定される。具体的に示すと次の式(IV)、(V)に示すようなものとなる。
現在のタービン回転数−目標回転数>0⇒タービン回転数を減らす方向
―――(IV)
現在のタービン回転数−目標回転数<0⇒タービン回転数を増やす方向
―――(V)
【0027】
次いで、ステップS13に移行して、タービンピッチ角クリップ処理が行われる。これは、ステップS12において演算されたタービンピッチ角が予め設定された上限値より大きい場合、又は、下限値より小さい場合に、タービンピッチ角を上限値又は下限値に設定する処理を意味する。
【0028】
次いで、ステップS14に移行して、タービンピッチ角の制御が実行される。すなわち、第1制御部51aからタービン13に対して制御信号が出力されるものである。このように処理によって、タービン13のタービンピッチ角が制御されることになる。
【0029】
一方、ステップS15側においては、擬似負荷部44の擬似負荷値演算が行われる。上記擬似負荷部44の擬似負荷値演算は、次の式(VI)に示すようなものとなる。
擬似負荷=現在の擬似負荷±最適制御量―――(VI)
又、制御方向は次の式(VII)、(VIII)に示すようなものとなる。
現在のタービン回転数−目標回転数>0⇒擬似負荷値を増やす方向に制御
(タービン回転数を減らす方向)
―――(VII)
現在のタービン回転数−目標回転数<0⇒擬似負荷値を減らす方向に制御
(タービン回転数を増やす方向)
―――(VIII)
【0030】
次いで、ステップS16に移行して、擬似負荷値クリップ処理が行われる。これは、ステップS15において演算された擬似負荷値が予め設定された上限値より大きい場合、又は、下限値より小さい場合に、擬似負荷値を上限値又は下限値に設定する処理を意味する。
【0031】
次いで、ステップS17に移行して、擬似負荷部44の制御が実行される。すなわち、第2制御部51bから擬似負荷部44に対して制御信号が出力されるものである。このような処理によって、擬似負荷部44の擬似負荷値が制御されることになる。
尚、
図4に示した制御の場合には、擬似負荷部44の擬似負荷値を制御するようにしているが、発電機17の負荷値を制御するようにすることも考えられる。
【0032】
次に、水槽7内の水位を任意の値に保持することを前提とした制御について、
図7のフローチャートを参照して説明する。
まず、ステップS21において、流量/水圧測定器35からの測定信号が読み込まれる。次いで、ステップS22に移行して、読み込まれたデータがデータ格納部49に格納される。次に、ステップS23に移行して、読み込まれたデータから水槽7の水位が推定される。
この推定は、前述した内容と同様であり、まず、データ格納部49には、水槽7の水位、流量、水圧の関係を示したテーブルが格納されている。そして、上記読み込まれた流量/水圧のデータを上記テーブルに照らし合わせることにより、水位が推定されるものである。
尚、読み込まれた流量/水圧のデータに対しては、平均化処理、ノイズ除去処理が施され、そのうえで上記テーブルに照らし合わされることになる。
【0033】
次に、ステップS24に移行する。ステップS24においては、推定水位と予め設定されている目標水位との比較が行われる。すなわち、上記データ格納部49には、水位に関する目標水位が予め格納されており、この目標水位との比較が行われるものである。
【0034】
そして、ステップS25に移行して、上記推定水位が予め設定された目標水位に収束しているか否かが判別される。この判別は、次に示す式(IX)、(X)に示すようなものである。
|現在の推定水位−目標水位|≦コアリング値⇒収束している
―――(IX)
|現在の推定水位−目標水位|>コアリング値⇒収束していない
―――(X)
尚、上記目標水位であるが、例えば、タービン13のエネルギ変換効率が最も良くなる水位を目標水位として設定することもできるし、エネルギ変換量が最も良くなる水位を目標水位として設定することも可能である。
【0035】
ステップS25において、「収束している」と判別された場合には、ステップS21に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。これに対して、「収束していない」と判別された場合には、ステップS26に移行する。このステップS26においては、推定水位よりタービン13に対するタービンピッチ角と擬似負荷値の最適制御量(Step量)が決定される。この処理は、前述したステップS6の処理の場合と同じである。次いで、ステップS27
、S30に同時に移行する。
【0036】
ステップS27側においては、タービンピッチ角の演算が行われ、ステップS30側においては、擬似負荷量の制御が行われることになる。
【0037】
ステップS27側のタービンピッチ角の演算であるが、次の式(XI)に示すようなものとなる。
タービンピッチ角=現在のタービンピッチ角±最適制御量―――(XI)
又、制御方向については、データ格納部49に記憶されている、タービンピッチ角、回転数、流量の関係を示したテーブルに基づいて決定される。具体的に示すと次の式(XII)、(XIII)に示すようなものとなる。
現在のタービン回転数−目標回転数>0⇒タービン回転数を減らす方向
―――(XII)
現在のタービン回転数−目標回転数<0⇒タービン回転数を増やす方向
―――(XIII)
【0038】
次いで、ステップS28に移行して、タービンピッチ角クリップ処理が行われる。これは、ステップS27において演算されたタービンピッチ角が予め設定された上限値より大きい場合、又は、下限値より小さい場合に、タービンピッチ角を上限値又は下限値に設定する処理を意味する。
【0039】
次いで、ステップS29に移行して、タービンピッチ角の制御が実行される。すなわち、第1制御部51aからタービン13に対して制御信号が出力されるものである。このように処理によって、タービン13のタービンピッチ角が制御されることになる。
【0040】
一方、ステップS30側においては、擬似負荷部44の擬似負荷値演算が行われる。上記擬似負荷部44の負荷値演算は、次の式(XIV)に示すようなものとなる。
擬似負荷=現在の擬似負荷±最適制御量―――(XIV)
又、制御の方向は次の式(XV)、(XVI)に示すようなものとなる。
現在のタービン回転数−目標回転数>0⇒擬似負荷値を増やす方向に制御
(タービン回転数を減らす方向)
―――(XV)
現在のタービン回転数−目標回転数<0⇒擬似負荷値を減らす方向に制御
(タービン回転数を増やす方向)
―――(XVI)
【0041】
次いで、ステップS31に移行して、擬似負荷値クリップ処理が行われる。これは、ステップS30において演算された擬似負荷値が予め設定された上限値より大きい場合、又は、下限値より小さい場合に、擬似負荷値を上限値又は下限値に設定する処理を意味する。
【0042】
次いで、ステップS32に移行して、擬似負荷部44の制御が実行される。すなわち、第2制御部51bから擬似負荷部44に対して制御信号が出力されるものである。このような処理によって、擬似負荷部44の擬似負荷値が制御されることになる。
尚、
図7に示した制御の場合には、擬似負荷部44の擬似負荷値を制御するようにしているが、発電機17の負荷値を制御するようにすることも考えられる。
【0043】
以上、本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、水槽7内に流入する海水14の量が変化する環境下において、水槽7内の海水14のエネルギを効率良く利用して、発電効率の向上を図ることができる。これは、タービン13のタービン回転数を一定に維持する、又は、水槽7内の水位を一定に維持することを前提として、測定された流量/水圧のデータ、トルク/回転数のデータに基づいて、タービン17のタービンピッチ角と、擬似負荷部44の擬似負荷量を、最適制御量で制御するようにしたからである。
又、上記のような制御を行うための構成は簡単であり、装置としての構成を複雑化させることもない。
【0044】
尚、本発明は前記一実施の形態に限定されるものではない。
例えば、前記一実施の形態の場合には、流量/水圧測定器35からの測定信号に基づいて、水槽7内の水位を推定するようにしたが、水位測定器31からの信号に基づいて、水槽7内の水位を推定するようにしてもよい。
又、水位測定器31、回転数/トルク測定器33、流量/水圧測定器35の構成としては、公知の様々な構成のものが想定される。
又、前記一実施の形態の場合には、
図1に示すような構成の越波式波力発電装置を例に挙げて説明したが、それに限定されるものではない。
又、前記一実施の形態の場合には、
図8、
図9に示すような特性を使用して、それぞれの最適制御量を決めたが、それはあくまで一例である。
その他、図示した構成はあくまで一例である。