(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連結部材は、前記出射光学系を保持し、前記連結ロッドに取り付けられる出射光学系保持枠と、前記連結ロッドに対する前記出射光学系保持枠の向き及び固定位置を調節する取付調節具と、前記受光光学系を保持し、前記連結ロッドに取り付けられる受光光学系保持枠と、前記連結ロッドに対する前記受光光学系保持枠の向き及び固定位置を調節する取付調節具と、
を備えている請求項3から5のいずれか一項に記載の流体組成分析装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の分析装置では、対象とする流体の温度や外部環境の変化等により測定チャンバーが熱変形すると、光照射光学系の光軸の向きに対して受光光学系の光軸の向きが相対的に変化して、光ファイバーによるラマン散乱光の受光量が少なくなることがある。このため、上記特許文献1に記載の分析装置では、対象とする流体の温度や外部環境の変化等により組成分析の精度が低下することがあるという問題点がある。
【0006】
そこで、本発明は、対象とする流体の温度や外部環境の変化等による組成分析の精度低下を抑えることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するための発明に係る一態様としての流体組成分析装置は、
試料流体が内部を流れる計測セルと、前記計測セルに設けられ、前記計測セル内に励起光を通過させる入光窓と、前記計測セルに設けられ、前記励起光が照射させた前記試料流体からのラマン散乱光を前記計測セル外へ通過させる出光窓と、前記励起光を出射する光出射部を有し、前記入光窓を介して前記励起光を前記計測セル内の前記試料流体に照射する出射光学系と、前記出光窓を通過した前記ラマン散乱光を集光する集光光学系と、前記集光光学系で集光された前記ラマン散乱光を受光する受光部とを有する受光光学系と、前記受光部からの出力に基づいて前記試料流体の組成を分析する分析部と、前記出射光学系と前記受光光学系とを互いの位置関係が変位不能に直接連結する連結部材と、を備え、
前記出射光学系と前記受光光学系と前記連結部材で構成される光学ユニットは、前記計測セルの熱変形を許容しつつ、前記計測セルの所定箇所に対して相対移動不能に前記計測セルに取り付けられている。
【0008】
当該流体組成分析装置では、連結部材により、出射光学系と受光光学系との互いの位置関係が変位不能に直接連結されている。しかも、当該流体組成分析装置では、出射光学系と受光光学系と連結部材で構成される光学ユニットが、計測セルの熱変形を許容しつつ、計測セルの所定箇所に対して相対移動不能に計測セルに取り付けられている。このため、当該流体組成分析装置では、試料流体の温度や外部環境の変化等により計測セルが熱変形しても、光学ユニットが計測セルに取り付けられている状態を維持しつつ、出射光学系の光軸に対する受光光学系の光軸の向きの変化を抑えることができる。
【0009】
よって、当該流体組成分析装置では、試料流体の温度や外部環境の変化等により計測セルが熱変形しても、受光光学系の受光部が受けるラマン散乱光の光量減少を抑えることができ、組成分析の精度低下を抑えることができる。
【0010】
上記問題点を解決するための発明に係る他の態様としての流体組成分析装置は、
試料流体が内部を流れる計測セルと、前記計測セルに設けられ、前記計測セル内に励起光を通過させる入光窓と、前記計測セルに設けられ、前記励起光が照射させた前記試料流体からのラマン散乱光を前記計測セル外へ通過させる出光窓と、前記励起光を出射する光出射部を有し、前記入光窓を介して前記励起光を前記計測セル内の前記試料流体に照射する出射光学系と、前記出光窓を通過した前記ラマン散乱光を集光する集光光学系と、前記集光光学系で集光された前記ラマン散乱光を受光する受光部とを有する受光光学系と、前記受光部からの出力に基づいて前記試料流体の組成を分析する分析部と、前記出射光学系と前記受光光学系とを互いの位置関係が変位不能に直接連結する連結部材と、を備え、
前記出射光学系と前記受光光学系と前記連結部材で構成される光学ユニットは、前記計測セルの熱変形を許容しつつ、前記出射光学系の光軸の向きに対して前記受光光学系の光軸の向きが相対変位不能に前記計測セルに取り付けられ
、前記入光窓と前記出光窓とは、前記試料流体が流れる前記計測セル内の空間を挟んで互いに対向する位置に設けられ、前記連結部材は、前記出射光学系と前記受光光学系とを間隔をあけて互いに対向させ、且つ前記出射光学系の光軸と前記受光光学系の光軸とを同一直線上に位置させて、前記出射光学系と前記受光光学系とを互いを連結する連結ロッドを有し、前記計測セルには、前記入光窓と前記出光窓とが対向する方向に貫通する係合部が形成され、前記連結ロッドは、前記係合部に挿通されることで係合されている。
【0011】
当該流体組成分析装置では、連結部材により、出射光学系と受光光学系との互いの位置関係が変位不能に直接連結されている。しかも、当該流体組成分析装置では、出射光学系と受光光学系と連結部材で構成される光学ユニットが、計測セルの熱変形を許容しつつ、出射光学系の光軸の向きに対して受光光学系の光軸の向きが相対変位不能に計測セルに取り付けられている。このため、当該流体組成分析装置では、試料流体の温度や外部環境の変化等により計測セルが熱変形しても、光学ユニットが計測セルに取り付けられている状態を維持しつつ、出射光学系の光軸に対する受光光学系の光軸の向きの変化を抑えることができる。
【0012】
よって、当該流体組成分析装置でも、試料流体の温度や外部環境の変化等により計測セルが熱変形しても、受光光学系の受光部が受けるラマン散乱光の光量減少を抑えることができ、組成分析の精度低下を抑えることができる。
【0013】
ここで、以上のいずれかの前記流体組成分析装置において、前記入光窓と前記出光窓とは、前記試料流体が流れる前記計測セル内の空間を挟んで互いに対向する位置に設けられ、前記連結部材は、前記出射光学系と前記受光光学系とを間隔をあけて互いに対向させ、且つ前記出射光学系の光軸と前記受光光学系の光軸とを同一直線上に位置させて、前記出射光学系と前記受光光学系とを互いを連結する連結ロッドを有し、前記計測セルには、前記入光窓と前記出光窓とが対向する方向に貫通する係合部が形成され、前記連結ロッドは、前記係合部に挿通されることで係合されていてもよい。
【0014】
この場合、前記流体組成分析装置において、前記連結ロッドは、前記係合部に対して隙間を有して挿通され、前記連結部材は、前記連結ロッドに接して、前記連結ロッドとの接触位置が前記計測セルに対して相対移動不能に前記連結ロッドを前記計測セルに取り付ける取付具を有していてもよい。
【0015】
上記問題点を解決するための発明に係るさらに他の態様としての流体組成分析装置は、
試料流体が内部を流れる計測セルと、前記計測セルに設けられ、前記計測セル内に励起光を通過させる入光窓と、前記計測セルで、前記試料流体が流れる前記計測セル内の空間を挟んで前記入光窓と対向する位置に設けられ、前記励起光が照射させた前記試料流体からのラマン散乱光を前記計測セル外へ通過させる出光窓と、前記励起光を出射する光出射部を有し、前記入光窓を介して前記励起光を前記計測セル内の前記試料流体に照射する出射光学系と、前記出光窓を通過した前記ラマン散乱光を集光する集光光学系と、前記集光光学系で集光された前記ラマン散乱光を受光する受光部とを有する受光光学系と、前記受光部からの出力に基づいて前記試料流体の組成を分析する分析部と、前記出射光学系と前記受光光学系とを互いの位置関係が変位不能に直接連結する連結部材と、を備え、
前記連結部材は、前記出射光学系と前記受光光学系とを間隔をあけて互いに対向させ、且つ前記出射光学系の光軸と前記受光光学系の光軸とを同一直線上に位置させて、前記出射光学系と前記受光光学系とを互いを連結する連結ロッドと、前記連結ロッドを前記計測セルに取り付ける取付具と、を有し、前記計測セルには、前記入光窓と前記出光窓とが対向する方向に貫通する係合部が形成され、前記取付具は、前記係合部に挿通された前記連結ロッドに接して、前記連結ロッドとの接触位置が前記計測セルに対して相対移動不能に前記連結ロッドを前記計測セルに取り付ける。
【0016】
当該流体組成分析装置では、連結部材により、出射光学系と受光光学系との互いの位置関係が変位不能に直接連結されている。しかも、当該流体組成分析装置では、取付具が、計測セルの係合部に挿通された連結ロッドに接して、連結ロッドとの接触位置が計測セルに対して相対移動不能に連結ロッドを計測セルに取り付けており、計測セルが熱変形しても、この変形による連結ロッドへの影響が小さい。このため、当該流体組成分析装置では、試料流体の温度や外部環境の変化等により計測セルが熱変形しても、出射光学系と受光光学系と連結部材で構成される光学ユニットが計測セルに取り付けられている状態を維持しつつ、出射光学系の光軸に対する受光光学系の光軸の向きの変化を抑えることができる。
【0017】
よって、当該流体組成分析装置では、試料流体の温度や外部環境の変化等により計測セルが熱変形しても、受光光学系の受光部が受けるラマン散乱光の光量減少を抑えることができ、組成分析の精度低下を抑えることができる。
【0018】
また、前記連結ロッドを有する、以上のいずれかの前記流体組成分析装置において、前記連結部材は、前記出射光学系を保持し、前記連結ロッドに取り付けられる出射光学系保持枠と、前記連結ロッドに対する前記出射光学系保持枠の向き及び固定位置を調節する取付調節具と、前記受光光学系を保持し、前記連結ロッドに取り付けられる受光光学系保持枠と、前記連結ロッドに対する前記受光光学系保持枠の向き及び固定位置を調節する取付調節具と、を備えていてもよい。
【0019】
また、前記連結ロッドを有する、以上のいずれかの前記流体組成分析装置において、前記連結部材は、互いに平行な4本の前記連結ロッドを有してもよい。
【0020】
また、以上のいずれかの前記流体組成分析装置において、前記連結部材で、少なくとも前記計測セルに取り付けられる部分は、前記計測セルよりも熱膨張率の絶対値が小さい材料で形成されていてもよい。
【0021】
また、以上のいずれかの前記流体組成分析装置において、前記出光窓は、前記励起光を反射し、前記ラマン散乱光を前記計測セル外へ通過させるフィルターであってもよい。
【0022】
上記問題点を解決するための発明に係る一態様としての熱量計は、
以上のいずれかの前記流体組成分析装置と、前記流体組成分析装置の前記分析部で分析された前記試料流体の組成に基づいて、前記試料流体の発熱量を求め、前記発熱量を出力する発熱量演算器と、を備えている。
【0023】
当該熱量計は、前記流体組成分析装置を備えているので、試料流体の温度や外部環境の変化等による組成分析の精度低下に伴う計測発熱量の精度低下を抑えることができる。
【0024】
上記問題点を解決するための発明に係る一態様としてのガスタービンプラントは、
燃料ガスを燃焼させて駆動するガスタービンと、前記燃料ガスを前記試料流体として、前記燃料ガスの発熱量を求める前記熱量計と、前記熱量計から出力された前記燃料ガスの発熱量を用いて前記ガスタービンの動作を制御する制御装置と、を備えている。
【0025】
上記問題点を解決するための発明に係る一態様としてのガスタービンプラントの運転方法は、
燃料ガスを燃焼させて駆動するガスタービンを備えているガスタービンプラントの運転方法において、前記熱量計を用いて、前記燃料ガスを前記試料流体として、前記燃料ガスの発熱量を求め、前記熱量計で求められた前記燃料ガスの発熱量を用いて前記ガスタービンの動作を制御する。
【0026】
当該ガスタービンプラント及びその運転方法では、燃料ガスの単位発熱量が変化しても、短時間のうちにガスタービンプラントを目標の状態に近づけることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明では、試料流体の温度や外部環境の変化等により計測セルが熱変形しても、受光光学系の受光部が受けるラマン散乱光の光量減少を抑えることができ、組成分析の精度低下を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る流体組成分析装置の各実施形態及について、図面を参照して説明する。
【0030】
「流体組成分析装置の第一実施形態」
図1〜
図11を用いて、本発明に係る流体組成分析装置の第一実施形態について説明する。
【0031】
本実施形態の流体組成分析装置の分析する試料流体は、例えば、燃料ガスである。この流体組成分析装置Mは、
図1及び
図2に示すように、試料流体Gが内部を流れる計測セル10と、計測セル10に設けられ計測セル10内に励起光を通過させる入光窓21と、計測セル10に設けられ試料流体Gからのラマン散乱光を計測セル10外へ通過させる出光窓22と、入光窓21を介して励起光を計測セル10内の試料流体Gに照射する出射光学系30と、出光窓22を通過したラマン散乱光を受光する受光光学系40と、出射光学系30と受光光学系40とを連結する連結部材50と、受光光学系40が受光したラマン散乱光に基づいて試料流体Gの組成を分析する分析器90と、を備えている。
【0032】
計測セル10は、直方体形状の第一本体11と、第一本体11に接続されている流入管19iと、第一本体11の流入管19iと反対側に接続されている直方体形状の第二本体18と、第二本体18の流入管19iとは反対側に接続されている流出管19oと、を有している。第一本体11及び第二本体18は、いずれも、複数の壁板により形成され、内部に試料流体Gが流れる空間が形成されている。計測セル10は、試料流体Gに対する耐腐食性、耐熱性、耐圧性等を有する材料、例えば、ステンレス材で形成されている。この計測セル10には、内部を通過する試料流体Gが結露等するのを防ぐために、電熱線等のヒータ81が巻き付けられている。
【0033】
図2及び
図3に示すように、直方体形状の第一本体11を形成する複数の壁板12〜17のうち、互いに対向する2枚の壁板の一方の壁板は、流入側壁板12を成し、他方の壁板が流出側壁板13を成す。第一本体11の流入側壁板12には流入管19iが接続されている。第一本体11の流出側壁板13には、第二本体18が接続されている。第一本体11を形成する複数の壁板12〜17のうち、流入側壁板12及び流出側壁板13につながり且つ互いに対向する2枚の壁板の一方の壁板は、入光側壁板14を成し、他方の壁板が出光側壁板15を成す。入光側壁板14には、開口14oが形成され、この開口14oが入光窓21により塞がれている。この入光窓21は、入光窓枠23により第一本体11に固定されている。この入光窓21は、レーザ光を透過する。また、出光側壁板15で、入光側壁板14の開口14oと対向する位置にも、開口が形成され、この開口が出光窓22により塞がれている。この出光窓22は、出光窓枠24により第一本体11に固定されている。出光窓22は、ラマン散乱光を透過する一方で、計測セル10内側からのレーザ光を反射するフィルターとして機能する。第一本体11を形成する複数の壁板12〜17のうちの残りの2枚の壁板の一方の壁板は、第一側壁板16を成し、他方の壁板が第二側壁板17を成す。
【0034】
ここで、以下の説明の都合上、入光側壁板14と出光側壁板15とが対向する方向をZ方向とし、入光側壁板14に対して出光側壁板15側を(+)Z側とする。また、Z方向に垂直な方向で、流入側壁板12と流出側壁板13とが対向する方向をY方向とし、流入側壁板12に対して流出側壁板13側を(+)Y側とする。また、Y方向及びZ方向に垂直な方向で、第一側壁板16と第二側壁板17とが対向する方向をX方向とし、第一側壁板16に対して第二側壁板17側を(+)X側とする。
【0035】
図5に示すように、計測セル10を構成する入光窓枠23、第一側壁板16、第二側壁板17、及び出光窓枠24には、これらをZ方向に貫通する貫通孔(係合部)25が形成されている。貫通孔25は、
図4に示すように、XY平面内で、入光窓21又は出光窓22を中心として、4箇所に形成されている。具体的には、XY平面内で入光窓21又は出光窓22よりも(−)Y側に、2つの貫通孔25がX方向に並んで形成され、XY平面内で入光窓21又は出光窓22よりも(+)Y側に、2つの貫通孔25がX方向に並んで形成されている。また、XY平面内で入光窓21又は出光窓22よりも(−)Y側に形成されている2つの貫通孔25のうち、一方の貫通孔25が入光窓21又は出光窓22よりも(−)X側に形成され、他方の貫通孔25が入光窓21又は出光窓22よりも(+)X側に形成されている。また、XY平面内で入光窓21又は出光窓22よりも(+)Y側に形成されている2つの貫通孔25のうち、一方の貫通孔25が入光窓21又は出光窓22よりも(−)X側に形成され、他方の貫通孔25が入光窓21又は出光窓22よりも(+)X側に形成されている。
【0036】
出射光学系30は、
図1及び
図2に示すように、励起光であるレーザ光を出射するレーザ発振器31と、このレーザ発振器31の光出射部32からのレーザ光を絞る絞り33と、を有している。受光光学系40は、出光窓22を通過したラマン散乱光を集光する集光光学系41と、集光光学系41で集光されたラマン散乱光を受光する受光用光ファイバー48と、を有している。受光用光ファイバー48には、受光したラマン散乱光を分析器90へ導く送光用光ファイバー91が接続されている。
【0037】
連結部材50は、Z方向に延び互いに平行な4本の連結ロッド51と、連結ロッド51を計測セル10に取り付ける取付具52と、連結ロッド51に取り付けられ出射光学系30を保持する出射光学系保持枠53と、連結ロッド51に取り付けられ受光光学系40を保持する受光光学系保持枠63と、連結ロッド51に対する出射光学系保持枠53の向き及び固定位置を調節する取付調節具57と、連結ロッド51に対する受光光学系保持枠63の向き及び固定位置を調節する取付調節具57と、を有する。
【0038】
連結ロッド51の材料は特に限定されないが、熱膨張率の絶対値が小さい材料であることが好ましい。例えば、常温付近で熱膨張係数の絶対値が小さいインバー材や炭素繊維を含む複合材料等で連結ロッド51を形成してもよい。この連結ロッド51の外径は、
図4に示すように、計測セル10に形成されている貫通孔25の内径よりも僅かに小さい。つまり、計測セル10の貫通孔25に連結ロッド51を挿通しても、貫通孔25の内周面と連結ロッド51の外周面との間には隙間がある。このため、計測セル10が変形し、貫通孔25が多少変形しても、連結ロッド51の直線性を維持することができる。
【0039】
入光窓枠23及び出光窓枠24には、
図4及び
図5に示すように、Z方向に垂直な方向に延び、外側から貫通孔25に連通するネジ孔が形成されている。連結ロッド51を計測セル10に取り付ける取付具52は、このネジ孔に螺合するいもネジである。なお、いもネジとは、ネジ部の外径よりも大きな外径のネジ頭部が無く、端部に六角穴等の工具穴が形成されているネジである。計測セル10の貫通孔25に挿通された1本の連結ロッド51は、入光窓枠23のネジ孔に捻じ込まれた取付具52の先端部、及び、出光窓枠24に捻じ込まれた取付具52の先端部に接し、これら取付具52との摩擦力等で、計測セル10との間の相対位置が保持される。
【0040】
出射光学系保持枠53は、
図1及び
図2に示すように、レーザ発振器31を保持する発振器保持枠55と、絞り33を保持する絞り保持枠54とを有する。受光光学系保持枠63は、集光光学系41を保持する集光光学系保持枠64と、受光用光ファイバー48を保持する受光部保持枠65と、を有する。各保持枠54,55,64,65には、いずれも、Z方向に貫通する貫通孔58が形成されている。各保持枠54,55,64,65の貫通孔58には、連結ロッド51が挿通される。各保持枠54,55,64,65は、連結ロッド51が挿通されている状態で、取付調節具57により、連結ロッド51に固定される。取付調節具57は、各保持枠54,55,64,65に捻じ込まれ且つ連結ロッド51に先端部が接するいもネジである。
【0041】
発振器保持枠55には、発振器保持枠55に捻じ込まれ且つ発振器保持枠55に対するレーザ発振器31の位置や向きを調節する調節ネジ56が設けられている。この調節ネジ56は、
図6に示すように、発振器保持枠55に捻じ込まれ且つレーザ発振器31に先端部が接するネジである。また、受光部保持枠65には、受光部保持枠65に捻じ込まれ且つ受光部保持枠65に対する受光用光ファイバー48の位置や向きを調節する調節ネジ66が設けられている。この調節ネジ66は、受光部保持枠65に捻じ込まれ且つ受光用光ファイバー48に先端部が接するネジである。
【0042】
連結ロッド51には、以上で説明したように、取付調節具57により、レーザ発振器31を保持している発振器保持枠55、絞り33を保持している絞り保持枠54、集光光学系41を保持している集光光学系保持枠64、受光用光ファイバー48を保持している受光部保持枠65が取り付けられている。連結ロッド51に取り付けられている以上の部材は、連結ロッド51によりユニット化している。言い換えると、連結ロッド51を含む連結部材50と出射光学系30と受光光学系40とで光学ユニットUを構成している。
【0043】
この光学ユニットUでは、出射光学系30の光軸Aiと受光光学系40の光軸Aoとが同一直線上に位置している。この光学ユニットUの構成要素である連結ロッド51が計測セル10の貫通孔25に挿通され、この連結ロッド51が取付具52により計測セル10に取り付けられることで、光学ユニットUは計測セル10に取り付けられる。なお、連結ロッド51には、この連結ロッド51が計測セル10の貫通孔25に挿通された後、計測セル10の(−)Z側に発振器保持枠55及び絞り保持枠54が取り付けられ、計測セル10の(+)Z側に集光光学系保持枠64及び受光部保持枠65が取り付けられる。
【0044】
この光学ユニットUが計測セル10に取り付けられている状態では、出射光学系30の光軸Aiと受光光学系40の光軸Aoとが共にZ方向に延び、且つ出射光学系30の光軸Ai及び受光光学系40の光軸AoのいずれもがXY平面内において入光窓21及び出光窓22のほぼ中央を位置している。また、この状態で、計測セル10の熱変形を許容しつつ、光学ユニットUの構成要素である複数の連結ロッド51と対応する取付具52との接触位置のうち、いずれかの接触位置が計測セル10と相対移動不能になっている。言い換えると、この状態で、光学ユニットUは、計測セル10の熱変形を許容しつつ、計測セル10でいずれかの取付具52が設けられている位置に対して相対移動不能に計測セル10に取り付けられている。
【0045】
集光光学系41は、
図7に示すように、2枚の平凸レンズ43で構成される集光レンズ42と、集光レンズ42よりも計測セル10側に位置している第一遮光部材44と、2枚の平凸レンズ43で挟まれている第二遮光部材45及びフィルター46と、を有している。
【0046】
2枚の平凸レンズ43は、互いの平面が背合わせになる関係で互いに対向して、集光レンズ42を構成している。この集光レンズ42は、入光窓21と出光窓22との間であって、レーザ光が照射される計測領域R中の試料流体Gからのラマン散乱光を受光用光ファイバー48の受光面(受光部)49に集光させる。計測領域Rは、集光光学系41と受光面49によって幾何光学的に決定される領域であって、その領域内から発生した光のうち集光光学系41を通過した光の全てが幾何光学的に受光面49に到達する領域である。受光光学系40の光軸Aoの方向に沿って見た計測領域Rの大きさは、主に受光面49のサイズおよび受光光学系40の明るさ(開口数)により決定される。また、受光光学系40の光軸Aoの方向に垂直な方向についての計測領域Rの大きさは、主に受光面49のサイズおよび受光光学系40の焦点距離により決定される。一般に、計測領域Rは受光光学系40の光軸Aoの方向に長く伸びた形状となる。
【0047】
第一遮光部材44及び第二遮光部材45は、円板形状であり、その中心が集光レンズ42の光軸、つまり受光光学系40の光軸Ao上に位置している。また、第一遮光部材44及び第二遮光部材45は、計測領域Rから見て、それぞれの輪郭が重なり合うよう、それぞれの大きさ及び位置が定められている。このため、第二遮光部材45よりも計測領域Rに近い位置に配置されている第一遮光部材44は、その外径が第二遮光部材45の外径よりも小さい。
【0048】
フィルター46は、2枚の平凸レンズ43の間であって、第二遮光部材45の外周側に配置されている。このフィルター46は、ラマン散乱光を選択的に透過させる。
【0049】
次に、以上で説明した流体組成分析装置Mによる分析動作について説明する。
【0050】
ここで、計測セル10の流入管19iから試料流体Gが計測セル10内に流れ込み、計測セル10の流出管19oから試料流体Gが流出しているとする。出射光学系30のレーザ発振器31から発振されたレーザ光は、絞り33で絞られた後、入光窓21を介して、計測セル10内の試料流体Gに照射される。
【0051】
試料流体Gに励起光であるレーザ光が照射されると、試料流体G中の成分毎に固有の波長のラマン散乱光が生じる。言い換えると、所定の波長のレーザ光を試料流体Gに照射した場合、
図8に示すように、試料流体G中の成分毎に、レーザ光の波長から固有のシフト量分だけ波長がシフトしたラマン散乱光が生じる。ラマン散乱光の強度は、励起光の入射軸方向における前方側及び後方側で大きいことが知られている。なお、以下では、前方側のラマン散乱光を前方側ラマン散乱光といい、後方側のラマン散乱光を後方側ラマン散乱光という。
【0052】
入光窓21側((−)Z側)からのレーザ光が試料流体Gに照射されると、ラマン散乱光が生じる。このラマン散乱光のうち、強度の大きい前方側ラマン散乱光は、出光窓22を透過する。また、入光窓21を透過したレーザ光のうち出光窓22に至ったレーザ光は、この出光窓22で反射される。この出光窓22側((+)Z側)からのレーザ光が試料流体Gに照射されても、ラマン散乱光が生じる。このラマン散乱光のうち、強度の大きい後方側ラマン散乱光は、出光窓22を透過する。
【0053】
出光窓22を透過したラマン散乱光は、集光レンズ42により、受光用光ファイバー48の受光面(受光部)49に集光され、受光用光ファイバー48に入光する。このラマン散乱光は、受光用光ファイバー48及び送光用光ファイバー91を経て、分析器90に至り、この分析器90により分析される。
【0054】
入光窓21や出光窓22が試料流体Gにより汚れており、この汚れている部分にレーザ光が照射されると、ノイズ光が発生する。ラマン散乱光は、極めて微弱な光であり、ノイズ光が存在すると、組成分析精度が低下する。そこで、本実施形態では、第一遮光部材44及び第二遮光部材45により、受光用光ファイバー48に入光するノイズ光の低減を図っている。
【0055】
図7に示すように、入光窓21は、集光レンズ42から計測領域Rよりも遠方に配置されている。また、出光窓22は、集光レンズ42から計測領域Rよりも近傍に配置されている。このため、集光レンズ42から見た場合、出光窓22のノイズ発生部の視野角は、入光窓21のノイズ発生部の視野角に比べて大きい。本実施形態では、視野角の大きい出光窓22からのノイズ光に関して、この出光窓22に近く且つ外径の小さい第一遮光部材44により効率的に遮光する。また、本実施形態では、視野角の小さい入光窓21からのノイズ光に関して、入光窓21及び出光窓22から遠く且つ外径の大きい第二遮光部材45により効率的に遮光する。
【0056】
このため、本実施形態では、ラマン散乱光の多くを遮蔽することなく、ノイズ光を効率的に遮光することができる。よって、本実施形態では、受光用光ファイバー48に入光するラマン散乱光のSN比を高めることができる。なお、このノイズ光の低減のメカニズムについては、国際公開第2013/031896号に詳細に記載されている。
【0057】
分析器90は、受光用光ファイバー48が受光したラマン散乱光を送光用光ファイバー91を介して受け付け、これを分光して、例えば、
図9に示すように、波長毎の強度を出力する。前述したように、所定の波長のレーザ光を試料流体Gに照射した場合、試料流体G中の成分毎に、レーザ光の波長から固有のシフト量分だけ波長がシフトしたラマン散乱光が生じる。よって、試料流体Gに照射するレーザ光の波長と、このレーザ光を照射したときの各成分からのラマン散乱光の波長のシフト量と、を予め認識しておくことで、試料流体G中の成分を分析することができる。また、各ラマン散乱光の強度は、そのラマン散乱光を発する成分の試料流体G中の濃度を示す。このため、各ラマン散乱光の強度から、そのラマン散乱光を発する成分の試料流体G中の濃度を把握することもできる。なお、この分析器90は、波長毎の強度を出力するが、波長毎に、対応する成分とその濃度を出力するようにしてもよい。
【0058】
ところで、試料流体Gの温度や圧力、外部環境の変化等により計測セル10は変形する。この計測セル10の変形は主に試料流体Gの温度に起因するものと考えられるため、以下の説明では計測セルが特に熱変形したものとして説明する。仮に、計測セル10が熱変形して、出射光学系30の光軸Aiに対する受光光学系40の光軸Aoの向きが変わると、受光光学系40の光軸Aoを中心として細長く分布する計測領域Rにレーザ光が入射しなくなる。計測領域R以外で発生したラマン散乱光は受光用光ファイバー48に入射しないことから、入光窓21側からの試料流体Gに対するレーザ光の照射により生じた前方側ラマン散乱光が受光用光ファイバー48に入光する際の光量が減る。また、同様に出光窓22側からの試料流体Gに対するレーザ光の照射により生じた後方側ラマン散乱光も受光用光ファイバー48に入光する際の光量が減る。そのため、ラマン散乱光のSN比が低下する。
【0059】
本実施形態では、前述したように、出射光学系30と受光光学系40とを互いの位置関係が変位不能に連結部材50により直接連結されている上に、出射光学系30及び受光光学系40を有する光学ユニットUが、計測セル10の熱変形を許容しつつ、計測セル10の所定箇所に対して相対移動不能に計測セル10に取り付けられている。よって、本実施形態では、計測セル10が熱変形しても、出射光学系30の光軸Aiに対する受光光学系40の光軸Aoの向きの変化を抑えることができる。
【0060】
具体的に、例えば、
図10に示すように、試料流体Gの温度や外部環境の変化等により、計測セル10を形成する複数の壁板のうち、X方向で互いに対向する第一側壁板16と第二側壁板17とがZ方向に伸びたとする。この場合、第一側壁板16のZ方向の伸び量に対して、第二側壁板17のZ方向の伸び量が大きいとする。
【0061】
第一側壁板16の貫通孔25aに挿通されている連結ロッド51aは、入光窓枠23に捻じ込まれている取付具52a
1と出光窓枠24に捻じ込まれている取付具52a
2とにより、計測セル10との相対位置が保持されている。また、第二側壁板17の貫通孔25bに挿通されている連結ロッド51bも、入光窓枠23に捻じ込まれている取付具52b
1と出光窓枠24に捻じ込まれている取付具52b
2とにより、計測セル10との相対位置が保持されている。
【0062】
仮に、第一側壁板16のZ方向の伸び量と、この第一側壁板16の貫通孔25aに挿通されている連結ロッド51aのZ方向の伸び量とに差があるとする。さらに、連結ロッド51aを計測セル10に取り付けている取付具52a
1,52a
2のうち、取付具52a
1の方が連結ロッド51aとの接触位置での摩擦力が小さいとする。この場合、接触位置での摩擦力が小さい取付具52a
1に対して、連結ロッド51aはZ方向に相対移動する。また、この場合、接触位置での摩擦力が大きい取付具52a
2に対して、連結ロッド51aはZ方向に相対移動しない。よって、摩擦力の大きい取付具52a
2と連結ロッド51aとの接触位置、及び計測セル10中で取付具52a
2が設けられている位置を基準にして、第一側壁板16がZ方向に伸縮する。
【0063】
また、仮に、第二側壁板17のZ方向の伸び量と、この第二側壁板17の貫通孔25bに挿通されている連結ロッド51bのZ方向の伸び量とに差があるとする。さらに、連結ロッド51bを計測セル10に取り付けている取付具52b
1,52b
2のうち、取付具52b
1の方が連結ロッド51bとの接触位置での摩擦力が小さいとする。この場合、接触位置での摩擦力が小さい取付具52b
1に対して、連結ロッド51bはZ方向に相対移動する。また、この場合、接触位置での摩擦力が大きい取付具52b
2に対して、連結ロッド51bはZ方向に相対移動しない。よって、摩擦力の大きい取付具52b
2と連結ロッド51bとの接触位置、及び計測セル10中で取付具52b
2が設けられている位置を基準にして、第二側壁板17がZ方向に伸縮する。
【0064】
また、第一側壁板16のZ方向の伸び量に対して、第二側壁板17のZ方向の伸び量が大きいと、第一側壁板16及び第二側壁板17におけるZ方向のほぼ中央部は、(+)X側に多少膨らむ。このため、第一側壁板16及び第二側壁板17に形成されている貫通孔25は、多少湾曲する。しかしながら、本実施形態では、貫通孔25の内周面と連結ロッド51の外周面との間には隙間があるため、計測セル10が変形し、貫通孔25が多少変形しても、連結ロッド51の直線性を維持することができる。
【0065】
本実施形態では、計測セル10が以上のように熱変形した場合でも、光学ユニットUの構成要素である連結ロッド51は計測セル10の所定位置に対して相対移動しない状態で、連結ロッド51の直線性が維持される。よって、本実施形態では、計測セル10が以上のように熱変形した場合でも、計測セル10に光学ユニットUが取り付けられている状態を維持しつつ、出射光学系30の光軸Aiに対する受光光学系40の光軸Aoの向きの変化を抑えることができる。
【0066】
また、例えば、
図11に示すように、試料流体Gの温度や外部環境の変化等により、計測セル10を形成する複数の壁板のうち、Y方向で互いに対向する流入側壁板12と流出側壁板13とがZ方向に伸びたとする。この場合、流出側壁板13のZ方向の伸び量に対して、流入側壁板12のZ方向の伸び量が大きいとする。
【0067】
計測セル10中で入光窓21及び出光窓22より(−)Y側に形成されている貫通孔25cに挿通されている連結ロッド51cは、入光窓枠23に捻じ込まれている取付具52c
1と出光窓枠24に捻じ込まれている取付具52c
2とにより、計測セル10との相対位置が保持されている。また、計測セル10中で入光窓21及び出光窓22より(+)Y側に形成されている貫通孔25dに挿通されている連結ロッド51dも、入光窓枠23に捻じ込まれている取付具52d
1と出光窓枠24に捻じ込まれている取付具52d
2とにより、計測セル10との相対位置が保持されている。
【0068】
仮に、計測セル10中で入光窓21及び出光窓22より(−)Y側に形成されている貫通孔25cに挿通されている連結ロッド51cのZ方向の伸び量と、この貫通孔25c周りにおける計測セル10のZ方向の伸び量とに差があるとする。さらに、連結ロッド51cを計測セル10に取り付けている取付具52c
1,52c
2のうち、取付具52c
1の方が連結ロッド51cとの接触位置での摩擦力が小さいとする。この場合、連結ロッド51cとの接触位置での摩擦力が小さい取付具52c
1に対して、連結ロッド51cはZ方向に相対移動する。また、この場合、連結ロッド51cとの接触位置での摩擦力が大きい取付具52c
2に対して、連結ロッド51cはZ方向に相対移動しない。よって、摩擦力の大きい取付具52c
2と連結ロッド51cとの接触位置、及び計測セル10中で取付具52c
2が設けられている位置を基準にして、この連結ロッド51cが挿通されている貫通孔25c周りにおける計測セル10の部分がZ方向に伸縮する。
【0069】
また、仮に、計測セル10中で入光窓21及び出光窓22より(+)Y側に形成されている貫通孔25dに挿通されている連結ロッド51dのZ方向の伸び量と、貫通孔25d周りにおける計測セル10の部分のZ方向の伸び量とに差があるとする。さらに、連結ロッド51dを計測セル10に取り付けている取付具52d
1,52d
2のうち、取付具52d
1の方が連結ロッド51dとの接触位置での摩擦力が小さいとする。この場合、連結ロッド51dとの接触位置での摩擦力が小さい取付具52d
1に対して、連結ロッド51dはZ方向に相対移動する。また、この場合、連結ロッド51dとの接触位置での摩擦力が大きい取付具52d
2に対して、連結ロッド51dはZ方向に相対移動しない。よって、摩擦力の大きい取付具52d
2と連結ロッド51dとの接触位置、及び計測セル10中で取付具52d
2が設けられている位置を基準にして、この連結ロッド51dが挿通されている貫通孔25d周りにおける計測セル10の部分がZ方向に伸縮する。
【0070】
また、流出側壁板13のZ方向の伸び量に対して、流入側壁板12のZ方向の伸び量が大きいと、流出側壁板13及び流入側壁板12におけるZ方向のほぼ中央部は、(−)Y側に多少膨らむ。このため、計測セル10中で入光窓21及び出光窓22より(−)Y側に形成されている貫通孔25cと、計測セル10中で入光窓21及び出光窓22より(+)Y側に形成されている貫通孔25dとは、多少湾曲する。しかしながら、本実施形態では、貫通孔25の内周面と連結ロッド51の外周面との間には隙間があるため、計測セル10が変形し、貫通孔25が多少変形しても、連結ロッド51の直線性を維持することができる。
【0071】
本実施形態では、計測セル10が以上のように熱変形した場合でも、先に説明した場合と同様、光学ユニットUの構成要素である連結ロッド51は計測セル10の所定位置に対して相対移動しない状態で、連結ロッド51の直線性が維持される。よって、本実施形態では、計測セル10が以上のように熱変形した場合でも、計測セル10に光学ユニットUが取り付けられている状態を維持しつつ、出射光学系30の光軸Aiに対する受光光学系40の光軸Aoの向きの変化を抑えることができる。
【0072】
従って、本実施形態では、試料流体Gの温度や外部環境の変化等により計測セル10が熱変形しても、受光用光ファイバー48に入光するラマン散乱光の光量減少を抑えることができると共に、受光用光ファイバー48に入光するノイズ光の増加を抑えることができる。このため、本実施形態では、試料流体Gの温度や外部環境の変化等による組成分析の精度低下を抑えることができる。
【0073】
また、本実施形態の流体組成分析装置Mは、連結ロッド51に対する出射光学系保持枠53の向き及び固定位置を調節する取付調節具57、連結ロッド51に対する受光光学系保持枠63の向き及び固定位置を調節する取付調節具57、発振器保持枠55に対するレーザ発振器31の位置や向きを調節する調節ネジ56、受光部保持枠65に対する受光用光ファイバー48の位置や向きを調節する調節ネジ66を有している。このため、出射光学系30、及び出射光学系30を構成するレーザ発振器31及び絞り33、受光光学系40、及び受光光学系40を構成する集光レンズ42や受光用光ファイバー48のぞれぞれの位置や、それぞれの光軸Ai,Aoの向きを調節することができる。
【0074】
なお、本実施形態では、入光窓枠23、第一側壁板16、第二側壁板17、及び出光窓枠24に、これらをZ方向に貫通する貫通孔25(係合部)を形成し、この貫通孔25に連結ロッド51が挿通されている。しかしながら、
図12に示すように、入光窓枠23、第一側壁板16、第二側壁板17、及び出光窓枠24のそれぞれに又はこれらの一部に計測セル10の外側に向かって張り出すフランジ部28を形成すると共に、Z方向に貫通する貫通孔29をフランジ部28に形成し、この貫通孔29に連結ロッド51を挿通させてもよい。また、
図13に示すように、フランジ部には、Z方向に貫通する貫通孔29aを形成すると共に、貫通孔29aに内周の沿った箇所の一部を切り欠いて、このフランジ部をフック部28bとしてもよい。
【0075】
また、本実施形態では、計測セル10に4本の連結ロッド51を取り付けている。しかしながら、連結ロッド51の数量は、これに限定されるものではなく、例えば、連結ロッド51の本数は2本でも、1本であってもよい。これらの場合、4本の場合よりも連結ロッド51の剛性を大きくするため、連結ロッド51の外径を大きくすることが好ましい。
【0076】
また、本実施形態では、Z方向に伸びる1本の連結ロッド51に対して、Z方向における異なる2つの位置に取付具52を配置している。しかしながら、1本の連結ロッド51に対して、Z方向における異なる3以上の位置に取付具52を配置してもよいし、1つの位置のみに取付具52を配置してもよい。
【0077】
また、本実施形態の流体組成分析装置Mは、第一遮光部材44及び第二遮光部材45を有しているが、いずれか一方の遮光部材のみを有してもよいし、両方の遮光部材を有していなくてもよい。但し、ノイズ光の低減の観点から、本実施形態のように、両方の遮光部材を有している方が好ましい。
【0078】
「流体組成分析装置の第二実施形態」
図14を用いて、本発明に係る流体組成分析装置の第二実施形態について説明する。
【0079】
本実施形態の流体組成分析装置Maも、第一実施形態の流体組成分析装置Mと同様、試料流体Gが内部を流れる計測セル10aと、計測セル10aに設けられ計測セル10a内に励起光を通過させる入光窓21と、計測セル10aに設けられ試料流体Gからのラマン散乱光を計測セル10a外へ通過させる出光窓22と、入光窓21を介して励起光を計測セル10a内の試料流体Gに照射する出射光学系30と、出光窓22を通過したラマン散乱光を受光する受光光学系40と、受光光学系40が受光したラマン散乱光に基づいて試料流体Gの組成を分析する分析器90と、出射光学系30と受光光学系40とを連結する連結部材50aと、を備えている。
【0080】
計測セル10aは、直方体形状の本体11aと、本体11aに接続されている流入管19iと、本体11aの流入管19iと反対側に接続されている流出管19oと、を有している。本体11aは、複数の壁板により形成され、内部に試料流体Gが流れる空間が形成されている。本体11aを形成する複数の壁板のうち、互いに対向する2枚の壁板の一方の壁板は、流入側壁板12aを成し、他方の壁板は流出側壁板13aを成す。流入側壁板12aには流入管19iが接続され、流出側壁板13aには流出管19oが接続されている。本体11aを形成する複数の壁板のうち、流入側壁板12及び流出側壁板13につながり且つ互いに対向する2枚の壁板の一方の壁板は、入光側壁板14aを成し、他方の壁板は入光対向壁板15aを成す。入光側壁板14aには開口14oが形成され、この開口14oが入光窓21により塞がれている。また、本体11aを形成する複数の壁板のうちの残りの2枚の壁板の一方の壁板は、出光側壁板17aを成し、他方の壁板は出光対向壁板16aを成す。出光側壁板17aには開口17oが形成され、この開口17oが出光窓22により塞がれている。
【0081】
ここで、以下の説明の都合上、入光側壁板14aと入光対向壁板15aとが対向する方向をZ方向とし、入光側壁板14aに対して入光対向壁板15a側を(+)Z側とする。また、Z方向に垂直な方向で、流入側壁板12と流出側壁板13とが対向する方向をY方向とし、流入側壁板12に対して流出側壁板13側を(+)Y側とする。また、Y方向及びZ方向に垂直な方向で、出光側壁板17aと出光対向壁板16aとが対向する方向をX方向とし、出光対向壁板16aに対して出光側壁板17a側を(+)X側とする。
【0082】
本実施形態では、入光側壁板14aがZ方向を向き、出光側壁板17aがX方向を向いている。このため、入光側壁板14aに設けられている入光窓21と出光側壁板17aに設けられている出光窓22とは、第一実施形態と異なり、互いに対向していない。
【0083】
出射光学系30の光軸Aiは、Z方向に延び、且つXY平面内において入光窓21のほぼ中央に位置している。この出射光学系30は、第一実施形態と同様、レーザ発振器31と絞り33とを有している。受光光学系40の光軸Aoは、X方向に延び、且つYZ平面内において出光窓22のほぼ中央に位置している。よって、本実施形態では、出射光学系30の光軸Aiに対して受光光学系40の光軸Aoは、直交している。受光光学系40は、集光光学系41と受光用光ファイバー48とを有している。受光用光ファイバー48には、受光したラマン散乱光を分析器90へ導く送光用光ファイバー91が接続されている。
【0084】
連結部材50aは、レーザ発振器31を保持する発振器保持枠55と、絞り33を保持する絞り保持枠54と、発振器保持枠55と絞り保持枠54とを相互に連結する出光側連結ロッド53aと、集光光学系41を保持する集光光学系保持枠64と、受光用光ファイバー48を保持する受光部保持枠65と、集光光学系保持枠64と受光部保持枠65とを相互に連結する受光側連結ロッド63aと、出光側連結ロッド53aと受光側連結ロッド63aとを相互に連結する出光側‐受光側連結ロッド59aと、出光側‐受光側連結ロッド59aを計測セル10aに取り付ける取付部材52aと、有している。
【0085】
本実施形態でも、第一実施形態と同様に、連結部材50aと出射光学系30と受光光学系40とで光学ユニットUaを構成している。
【0086】
光学ユニットUaの構成要素である出光側‐受光側連結ロッド59aは、計測セル10aを形成する複数の壁板のうちの入光側壁板14aと出光側壁板17aとの角部に、取付部材52aにより固定されている。つまり、光学ユニットUaは、計測セル10aの1箇所に固定されている。このため、試料流体Gの温度や外部環境の変化等で計測セル10aが熱変形しても、この熱変形に対する光学ユニットUaの変形を最小限に抑えることができる。
【0087】
以上、本実施形態でも、出射光学系30と受光光学系40とを互いの位置関係が変位不能に連結部材50aにより直接連結されている上に、出射光学系30及び受光光学系40を有する光学ユニットUが、計測セル10aの熱変形を許容しつつ、計測セル10aの所定箇所に対して相対移動不能に計測セル10aに取り付けられている。よって、本実施形態でも、計測セル10aが熱変形しても、出射光学系30の光軸Aiに対する受光光学系40の光軸Aoの向きの変化を抑えることができる。このため、本実施形態でも、試料流体Gの温度や外部環境の変化等による組成分析の精度低下を抑えることができる。
【0088】
なお、以上で説明した各実施形態の光学ユニットU,Uaはレーザ発振器31を含んでいる。しかしながら、光学ユニットU,Uaは、励起光を出射する光出射部32を含んでいれば、レーザ発振器31を含まなくてもよい。この場合、光学ユニットU,Uaの構成要素である連結部材50aにレーザ発振器31を取り付けず、このレーザ発振器31に光ファイバーを接続し、この光ファイバーの端部を光出射部として連結部材50,50aに取り付ける。また、以上の各実施形態の光学ユニットU,Uaは、分析器90を含んでいない。しかしながら、小型の分析器90を採用できる場合には、この分析器90を連結部材50,50aに取り付け、この分析器90を光学ユニットU,Uaの一部としてもよい。
【0089】
「ガスタービンプラントの実施形態」
図15を用いて、本発明に係るガスタービンプラントの一実施形態について説明する。
【0090】
本実施形態のガスタービンプラントは、ガスタービン110と、ガスタービン110の駆動で発電する発電機120と、ガスタービン110の駆動で燃料ガスを圧縮するガス圧縮機121と、ガスタービン110に供給される燃料ガスの発熱量を出力する熱量計140と、ガスタービン110の状態等を制御する制御装置145と、を備えている。
【0091】
ガスタービン110は、空気Aを圧縮して圧縮空気を生成する空気圧縮機111と、圧縮空気中で燃料ガスを燃焼させ高温の燃焼ガスを生成する燃焼器115と、燃焼ガスにより駆動するタービン116と、を備えている。
【0092】
空気圧縮機111は、圧縮機ロータと、これを回転可能に覆う圧縮機ケーシングと、空気Aの吸気量を調節する吸気量調節器112と、を有している。吸気量調節器112は、圧縮機ケーシングの吸込口側に設けられている入口案内翼113と、この入口案内翼113の開度を変える案内翼駆動機114と、を有している。
【0093】
タービン116は、燃焼ガスにより回転するタービンロータと、このタービンロータを回転可能に覆うタービンケーシングとを有している。圧縮機ロータとタービンロータとは互いに連結され、一体となってガスタービンロータ117を成している。
【0094】
発電機120は、発電機ロータと、この発電機ロータを回転可能に覆う発電機ケーシングと、を有している。発電機ロータは、ガスタービンロータ117に連結されている。このため、ガスタービンロータ117が回転すると、発電機ロータも、一体的に回転する。
【0095】
ガス圧縮機121は、圧縮機ロータと、これを回転可能に覆う圧縮機ケーシングと、を有している。ガス圧縮機121の圧縮機ロータは、減速機122を介して、発電機ロータ又はガスタービンロータ117と機械的に接続されている。このガス圧縮機121の吐出口と燃焼器115とは、高圧燃料ガスライン134で接続されている。この高圧燃料ガスライン134には、ここを通る燃料ガスの流量を調節する燃料流量調節弁137が設けられている。
【0096】
このガスタービンプラントは、製鉄所151及びコークスプラント152から燃料ガスが供給される。製鉄所151は、製鉄所151の高炉から低カロリー燃料ガスとしてのBFG(Blast Furnace Gas)を発生する。この高炉には、BFGが流れるBFGライン131が接続されている。BFGライン131には、このBFGの流量を調節するBFG流量調節弁135が設けられている。コークスプラント152は、コークスプラント152のコークス炉から高カロリー燃料ガスとしてのCOG(Coke Oven Gas)を発生する。このコークス炉には、COGが流れるCOGライン132が接続されている。COGライン132には、COGの流量を調節するCOG流量調節弁136が設けられている。BFGライン131とCOGライン132とは、合流して低圧燃料ガスライン133となる。この低圧燃料ガスライン133は、ガス圧縮機121の吸込口に接続されている。低圧燃料ガスライン133には、この低圧燃料ガスライン133を通るガス中のダスト等を集塵する電気集塵器(EP(electrostatic Precipitator))123が設けられている。前述の高圧燃料ガスライン134は、途中で再循環ライン138として分岐している。この再循環ライン138には、この再循環ライン138を通るガスの流量を調節する循環流量制御弁138aが設けられている。低圧燃料ガスライン133中で、電気集塵器123よりも下流側の位置に接続されている。また、この低圧燃料ガスライン133で、再循環ライン138が低圧燃料ガスライン133に合流する位置よりも下流側には、低圧燃料ガスライン133から分岐して再び低圧燃料ガスライン133に合流するサンプリングライン139が設けられている。
【0097】
サンプリングライン139には、前述の熱量計140が設けられている。この熱量計140は、先に説明したいずれかの実施形態の流体組成分析装置M(Ma)と、この流体組成分析装置M(Ma)による燃料ガスの分析結果に基づいて燃料ガスの単位体積当たりの発熱量である単位発熱量を求める発熱量演算器141と、を有している。流体組成分析装置M(Ma)の流入管19i及び流出管19oは、サンプリングライン139に接続されている。
【0098】
発熱量演算器141は、流体組成分析装置M(Ma)から出力された燃料ガス中の成分毎のラマン散乱光の強度、つまり各成分に対応する波長の光の強度を用いて、燃焼ガスの単位発熱量を求める。
【0099】
以下の式(1)は、燃料ガスが、
図9に示すように、二酸化炭素(CO
2)、一酸化炭素(CO)、窒素(N
2)、メタン(CH
4)、水蒸気(H
2O)、水素(H
2)を含む場合における燃料ガスの単位体積当たりの高位発熱量(HHV)を求める式である。また、以下の式(2)は、同じ場合における燃料ガスの単位体積当たり低位発熱量(LHV)を求める式である。
【0102】
なお、HHVは、燃料ガスの燃焼によって生成された水分の凝縮熱を発熱量として含む発熱量(kcal/m
3N)である。LHVは、燃料ガスの燃焼によって生成された水分の凝縮熱を発熱量として含まない発熱量(kcal/m
3N)である。また、式(1)〜式(8)において、CN
2はN
2のモル分率で、CCOはCOのモル分率で、CCO
2はCO
2のモル分率で、CH
2OはH
2Oのモル分率で、CH
2はH
2のモル分率で、CCH
4はCH
4のモル分率である。各成分のモル分率は、以下の式(3)〜式(8)で求めることができる。
【0109】
発熱量演算器141は、流体組成分析装置M(Ma)から出力された燃料ガス中の成分毎のラマン散乱光の強度から、窒素成分の光強度IN
2に対する一酸化炭素成分の相対強度ICO/IN
2、窒素成分の光強度に対する二酸化炭素成分の相対強度ICO
2/IN
2、窒素成分の光強度に対する水蒸気成分の相対強度IH
2O/IN
2、窒素成分の光強度に対する水素成分の相対強度IH
2/IN
2、窒素成分の光強度に対するメタン成分の相対強度ICH
4/IN
2を求める。次に、発熱量演算器141は、各成分の相対強度と、式(1)又は式(2)、及び式(3)〜式(8)を用いて、燃料ガスの高位発熱量(HHV)又は低位発熱量(LHV)を求める。
【0110】
制御装置145は、熱量計140から出力された燃料ガスの単位発熱量(HHV又はLHV)に基づいて、BFG流量調節弁135、COG流量調節弁136、燃料流量調節弁137、吸気量調節器112のうちの少なくとも一つを制御する。低圧燃料ガスライン133を流れる燃料ガスの単位発熱量が変化した場合、制御装置145は、例えば、以下の(1)〜(3)のいずれかの制御を実行する。
【0111】
(1)制御装置145は、熱量計140で計測された単位発熱量が元の値又は設定値になるよう、BFGとCOGとの流量比を調節するため、BFG流量調節弁135とCOG流量調節弁136とのうち、少なくとも一方の弁開度を制御する。
(2)制御装置145は、燃焼器115に供給される燃料ガスの単位時間当たりの燃料熱量が一定になるよう、又は、ガスタービン出力が目標出力になるよう、燃料流量調節弁137の弁開度を制御する。又は、制御装置145は、タービン116の燃焼ガス入口の温度が目標温度になるよう、燃料流量調節弁137の弁開度を制御する。
(3)制御装置145は、燃焼器115に供給される燃料ガスと圧縮空気と流量比である燃空比が一定になるよう、又は、ガスタービン出力が目標出力になるよう、吸気量調節器112の入口案内翼113の開度を制御する。
【0112】
本実施形態の熱量計140は、前述したように、いずれかの実施形態の流体組成分析装置M(Ma)と、この流体組成分析装置M(Ma)による燃料ガスの分析結果に基づいて燃料ガスの単位発熱量を求める発熱量演算器141と、を有している。このため、本実施形態の熱量計140は、燃料ガスの温度や外部環境の変化等による組成分析の精度低下に伴う計測発熱量の精度低下を抑えることができる。また、本実施形態の熱量計140は、ラマン散乱光の分析に基づいて燃料ガスの単位発熱量を求めているため、例えば、クロマトグラフィー法を用いて燃料ガスの単位発熱量を求めるよりも、極めて短時間に燃料ガスの単位発熱量を求めることができる。
【0113】
よって、本実施形態では、燃料ガスの単位発熱量が変化しても、極めて短時間のうちにガスタービンプラントを目標とする状態に近づけることができる。
【0114】
また、発熱量演算器141は、事前に登録した各成分の比熱比と、燃料ガスの各成分の濃度に基づき、燃料ガスの比熱比を求めることもできる。その場合、制御装置145は、熱量計140から出力された燃料ガスの比熱比に基づいて、ガス圧縮機121のサージンの防止制御を行うことができる。すなわち、ガス圧縮機121は、その圧力比(ガス圧縮機121の吸込口と吐出口における燃料ガスの圧力の比)が一定の値を超えるとサージングを起こしてしまう可能性がある。ここで、サージング限界となる圧力比は、燃料ガスの比熱比とガス圧縮機121の修正回転数により決定される。そのため、制御装置145は、熱量計140から出力された燃料ガスの比熱比に基づき正確なサージング限界圧力比を算出し、実際のガス圧縮機の圧力比がこれに近づいた場合はサージングを回避する動作を行う。具体的には、制御装置145は、例えば、ガス圧縮機121の再循環ライン138に設けられた循環流量制御弁138aを開いてガス圧縮機121の圧力比を下げるといった動作を行う。これにより燃料ガスの組成が変動してもサージングの発生を防止することができる。
【0115】
なお、本実施形態におけるガスタービンの燃料は、BFG単味、COG単味、BFGとCOGの混合物とのいずれかである。しかしながら、ガスタービンの燃料は、BFGのみでも、COGのみでもよい。さらに、ガスタービン110の燃料は、他の燃料ガス、例えば、天然ガスや、バイオガス等であってもよい。