【実施例1】
【0031】
実施例1に係る容器搬送システムは、放射性物質格納容器を搬送するためのものである。ここで、放射性物質格納容器は、例えば、内部に使用済核燃料を収容可能な円筒形状のキャスクである。以下、
図1を参照して、容器搬送システムについて説明する。
【0032】
図1は、実施例1に係る容器搬送システムの概略構成図である。容器搬送システム1は、キャスク5を搭載可能な架台10と、架台10を搬送可能な搬送台車11と、空気により架台10を浮上させるエアパレット(浮上装置)12とを備えている。また、容器搬送システム1は、搬送台車11及びエアパレット12を制御する制御盤21と、搬送台車11及びエアパレット12へ向けて空気を供給するエアーコンプレッサ22と、制御盤21へ電力を供給する電源装置23とを備えている。
【0033】
図2及び
図3を参照して、架台10について説明する。
図2は、実施例1に係る架台を模式的に表した平面図であり、
図3は、実施例1に係る架台を模式的に表した側面図である。架台10は、キャスク5の軸方向を鉛直方向とした状態(縦置き)でキャスク5を搭載すると共に、床面25に設置される。架台10は、キャスク5の非搬送時において、床面25に設置された状態で固定(固縛)される。一方、架台10は、キャスク5の搬送時において、床面25から離れた状態で移動する。
【0034】
架台10は、架台本体31と、架台本体31の下面に設けられた複数の脚32と、架台本体31の上面に設けられた複数の固定具33とを有している。架台本体31は、長さの長い奥行き方向(
図2の上下方向)と、奥行き方向に直交する長さの短い幅方向(
図2の左右方向)とで、平面視方形状に形成されている。架台本体31には、幅方向の両側面に架台側係合部31aが一対形成されている。一対の架台側係合部31aは、架台本体31の両外側面における鉛直方向の上部(
図3参照)において、水平方向の外側に突出する突起である。また、各架台側係合部31aは、架台本体31の外側面において奥行き方向に亘って形成されている。一対の架台側係合部31aには、搬送台車11が係合する。詳細は後述するが、架台10は、搬送台車11に設けられたジャッキ44によって搬送台車11自体が持ち上げられ、架台側係合部31aに搬送台車11が係合して持ち上げられる。
【0035】
複数の脚32は、架台本体31を、架台本体31と床面25との間で支持する。複数の脚32は、幅方向において、両外側及び中央にそれぞれ設けられ、奥行き方向において、複数並べられている。このとき、架台10には、架台10を床面25に固定するための複数の固定孔31bが形成されており、各固定孔31bは、架台本体31から各脚32に亘って鉛直方向に貫通形成されている。なお、複数の脚32は、架台本体31と床面25との間に隙間を形成するが、形成される隙間の高さは、エアパレット12が挿入可能な高さよりも低いものとなっている。
【0036】
架台本体31から脚32に亘って貫通形成された固定孔31bには、固定ボルト(アンカボルト)34が挿入される。固定ボルト34は、床面25に形成された締結孔35に締結されることで、架台10を固定している。
【0037】
複数の固定具33は、架台本体31上に搭載されるキャスク5を固定する。複数の固定具33は、架台本体31に縦置きされるキャスク5の周囲に設けられる。実施例1において、固定具33は、4つ設けられており、平面視円形のキャスク5の周囲に90°ずつ位相を異ならせて配置されている。
【0038】
次に、
図4及び
図5を参照して、搬送台車11について説明する。
図4は、実施例1に係る搬送台車を模式的に表した平面図であり、
図5は、実施例1に係る搬送台車を模式的に表した断面図である。搬送台車11は、架台10に係合して持ち上げると共に、架台10を移動させる。
【0039】
搬送台車11は、台車フレーム41と、台車フレーム41に設けられた複数の車輪ユニット43と、台車フレーム41に設けられた複数のジャッキ44とを有している。
【0040】
台車フレーム41は、平面視凹状に形成されている。つまり、台車フレーム41は、長さの長い奥行き方向(
図4の上下方向)に延びる対向する一対の長辺部41aと、奥行き方向に直交する長さの短い幅方向(
図4の左右方向)に延びる短辺部41bと、を有しており、短辺部41bは、一対の長辺部41aの一方の端部(
図4の上側の端部)にそれぞれ接続されている。そして、一対の長辺部41a及び短辺部41bにより構成された台車フレーム41の内側には、架台10が収容される。また、台車フレーム41は、内部空間を有する角筒状に形成されており、台車フレーム41の内部空間には、複数の車輪ユニット43及び複数のジャッキ44が収容されている。
【0041】
また、台車フレーム41の一対の長辺部41aには、台車側係合部41cが一対設けられている。一対の台車側係合部41cは、一対の長辺部41aの両内側面における鉛直方向の下部(
図5参照)において、水平方向の内側に突出する突起である。また、各台車側係合部41cは、長辺部41aの内側面において奥行き方向に亘って形成されている。一対の台車側係合部41cには、架台10の一対の架台側係合部31aが係合する。つまり、架台10と搬送台車11の係合時において、架台10の両外側面には、一対の長辺部41aの両内側面が対向する。このとき、架台側係合部31aは、鉛直方向の上側に位置し、台車側係合部41cは、鉛直方向の下側に位置することから、架台側係合部31a及び台車側係合部41cは、鉛直方向において重なり合っている(
図7参照)。そして、鉛直方向に重なり合う架台側係合部31aと台車側係合部41cとは、締結部材としての締結ねじ50により締結固定される。
【0042】
次に、
図6及び
図7を参照し、締結ねじ50周りの構造について説明する。
図6は、実施例1に係る容器搬送システムの係合する搬送台車と架台とを示す部分平面図であり、
図7は、実施例1に係る容器搬送システムの係合する搬送台車と架台とを示す部分断面図である。
図7に示すように、架台10の架台側係合部31aには、締結ねじ50が挿通される挿通孔71が貫通形成されている。
図6に示すように、挿通孔71は、例えば、奥行き方向において、架台10の固定孔31b同士の間に設けられている。また、挿通孔71は、架台側係合部31aが延在する奥行き方向に沿って、複数形成されている。一方で、搬送台車11の台車側係合部41cには、締結ねじ50が締結される締結孔72が形成されている。締結孔72は、複数の挿通孔71の位置と重なる位置にそれぞれ形成されている。そして、締結ねじ50は、架台10の挿通孔71から挿入され、締結孔72に締結されることで、架台10と搬送台車11とが締結固定され、これにより、架台10と搬送台車11とが位置決めされる。
【0043】
再び、
図4を参照し、台車フレーム41の一対の長辺部41aには、ピン収容部(係合部)48が一対設けられている。一対のピン収容部48は、搬送台車11の奥行き方向を進行方向とすると、進行方向において、一対の長辺部41aの前方側の端部(他方の端部:
図4の下側の端部)にそれぞれ設けられている。
【0044】
図6に示すように、各ピン収容部48は、後方側に向かって没入して形成される位置決め溝75を有しており、位置決め溝75は、床面25から鉛直方向に突出する位置決めピン(位置決め部)49を、水平方向から受け入れ可能な溝となるように形成されている。具体的に、位置決め溝75は、前方側のテーパ溝部75aと、テーパ溝部75aに連通する後方側のピン収容溝部75bとを含んで構成されている。テーパ溝部75aは、前方側から後方側に向かって先細りの溝幅となる平面視テーパ形状となっている。このため、テーパ溝部75aは、前方側の溝幅が後方側の溝幅に比して広くなっており、テーパ溝部75aの前方側の溝幅は、円柱形状の位置決めピン49の直径よりも大きくなっている。ピン収容溝部75bは、前方側から後方側に向かって同じ溝幅となる平面視方形状となっている。ピン収容溝部75bは、テーパ溝部75aの後方側の溝幅と同じ溝幅となっており、円柱形状の位置決めピン49の直径とほぼ同じ溝幅となっている。
【0045】
ここで、
図13を参照して、一対の位置決めピン49について説明する。上記したように、床面25には、架台10を固定するための締結孔35が複数形成されると共に、一対の位置決めピン49が突出して配置されている。このとき、複数の締結孔35及び一対の位置決めピン49の位置は、搬送台車11に搬送される架台10の固定孔31b及び搬送台車11の一対のピン収容部48(のピン収容溝部75b)の位置と、同じ位置関係となっている。このため、一対の位置決めピン49により搬送台車11が位置決めされると、搬送台車11に架台10が位置決めされていることから、一対の位置決めピン49と、架台10とが位置決めされることとなる。これにより、架台10の固定孔31bと床面25の締結孔35とが、鉛直方向において重ね合わされる。
【0046】
複数の車輪ユニット43は、例えば、台車フレーム41の四隅に4つ設けられている。つまり、4つの車輪ユニット43は、一対の長辺部41aの両端部にそれぞれ設けられている。このため、複数の車輪ユニット43は、台車フレーム41に収容された架台10の周囲に配置されることから、床面上において架台10を自在に移動させることができる。具体的に、搬送台車11は、架台10を幅方向に移動させた後、奥行き方向に移動させることができ、搬送台車11を直角に移動させることができる。また、架台10の略中心を軸にその場旋回させることができ、架台10の幅または奥行き方向に対して斜め移動させることができる。つまり、この容器搬送システム1は、搬送台車11をその場で旋回させることが可能な容器搬送システム1となっている。
【0047】
図8を参照して、車輪ユニット43について説明する。
図8は、実施例1に係る車輪ユニットを模式的に表した断面図である。各車輪ユニット43は、車輪51と、車輪51を駆動可能な駆動モータ52と、車輪51を旋回可能な旋回モータ53(
図1参照)と、車輪51を鉛直方向に移動可能なエアーシリンダ54とを有している。
【0048】
車輪51は、床面25に接地して回転可能に構成されている。この車輪51の内部には、駆動モータ52が設けられており、駆動モータ52は、車輪51を所定の回転方向へ回転させることで、車輪51を駆動輪として機能させている。
図1に示すように、旋回モータ53は、車輪51が幅方向または奥行き方向へ向けて回転するように、車輪51を水平面内において切替可能に旋回させている。エアーシリンダ54は、鉛直方向の下方側へ向けて車輪51を移動させることで、車輪51を上方位置L1と下方位置L2との間で移動させている。つまり、エアーシリンダ54は、収縮動作することで、車輪51を上方位置L1に移動させる一方で、伸張動作することで、車輪51を下方位置L2に移動させる。
【0049】
複数のジャッキ44は、例えば、台車フレーム41に6つ固定されており、作動油の油圧によって、持上げ位置L3と解除位置L4との間で鉛直方向に持ち上げ可能に作動する(
図11及び
図12参照)。6つのジャッキ44は、一対の長辺部41aに3つずつ設けられている。各長辺部41aに設けられた3つのジャッキ44は、各長辺部41aの両端部に設けられた2つの車輪ユニット43の間に並べて配置されている。各ジャッキ44は、台車フレーム41を鉛直方向に持ち上げ可能となっている。各ジャッキ44は、鉛直方向の下方側へ向けて伸張動作することで、持上げ位置L3に移動する一方で、鉛直方向の上方側へ向けて収縮動作することで、解除位置L4に移動する。このため、各ジャッキ44は、台車フレーム41を持ち上げることで、台車フレーム41に係合する架台10を持ち上げることが可能となっている。つまり、ジャッキ44が台車フレーム41を持ち上げると、台車フレーム41の台車側係合部41cが、架台10の架台側係合部31aに当接(係合)する。ジャッキ44が台車フレーム41をさらに持ち上げると、台車側係合部41cと架台側係合部31aとが当接した状態で持ち上げられることで、架台10が持ち上げられる。架台10が持ち上げられると、架台本体31の下面と床面との間が離れ、これにより、架台本体31の下面と床面との間には、エアパレット12が挿入可能な隙間が形成される。
【0050】
再び、
図1を参照し、搬送台車11について説明する。搬送台車11は、作業者が搬送台車11を操作するための操作盤45と、ジャッキ44へ向けて作動油を供給する油圧ユニット46と、エアーシリンダ54へ向けて供給する空気を配分する空配盤47とを有している。
【0051】
操作盤45は、短辺部41b周りに設けられており、その一方側には、制御盤21を介して電源装置23が接続され、その他方側には、複数の駆動モータ52、複数の旋回モータ53及び油圧ユニット46が接続されている。搬送台車11が所定の動作を行うように、作業者によって所定の操作がなされると、操作盤45は、作業者によって入力された操作を、制御盤21へ出力すると共に、制御盤21は、入力された操作に応じた制御を行うように、操作盤45を介して複数の駆動モータ52、複数の旋回モータ53及び油圧ユニット46を制御する。
【0052】
油圧ユニット46は、短辺部41b周りに設けられており、操作盤45に隣接して設けられている。油圧ユニット46には、操作盤45及び制御盤21を介して電源装置23が接続されている。油圧ユニット46は、電源装置23から供給される電力により作動油の油圧を調整可能となっている。油圧ユニット46には、複数のジャッキ44が接続されている。油圧ユニット46は、ジャッキ44内の油圧を上昇させることで、ジャッキ44による持ち上げ動作(伸張動作)を行わせる。一方で、油圧ユニット46は、ジャッキ44内の油圧を下降させることで、ジャッキ44による持ち上げ動作の解除(収縮動作)を行う。このため、搬送台車11が所定の動作を行うように、作業者によって操作盤45に所定の操作がなされると、操作盤45は、作業者によって入力された操作を、制御盤21へ出力すると共に、制御盤21は、入力された操作に応じた制御を行うように、操作盤45を介して油圧ユニット46を制御する。
【0053】
空配盤47は、短辺部41b周りに設けられており、その一方側にはエアーコンプレッサ22が接続され、その他方側には複数のエアーシリンダ54及びエアパレット12の空配盤65(詳細は後述)が接続されている。また、空配盤47には、操作盤45及び制御盤21を介して電源装置23が接続されている。空配盤47は、エアーコンプレッサ22から供給された空気を複数のエアーシリンダ54及びエアパレット12の空配盤65に配分している。また、空配盤47は、エアーシリンダ54内の空気圧を上昇させることで、エアーシリンダ54を伸張動作させ、車輪51を下方位置L2に移動させる。一方、空配盤47は、エアーシリンダ54内の空気圧を下降させることで、エアーシリンダ54を収縮動作させ、車輪51を上方位置L1に移動させる。このため、搬送台車11が所定の動作を行うように、作業者によって操作盤45に所定の操作がなされると、操作盤45は、作業者によって入力された操作を、制御盤21へ出力すると共に、制御盤21は、入力された操作に応じた制御を行うように、操作盤45を介して空配盤47を制御する。
【0054】
次に、
図9及び
図10を参照して、エアパレット12について説明する。
図9は、実施例1に係るエアパレットを模式的に表した平面図であり、
図10は、実施例1に係るエアパレットを模式的に表した側面図である。エアパレット12は、搬送台車11により持ち上げられた架台10と床面25との間に挿入され、架台10を空気により浮上させることで、架台10と床面25との摩擦を低減する。
【0055】
エアパレット12は、パレットベース61と、パレットベース61の下面に設けられた複数のエアベアリング62と、パレットベース61の上面に設けられた一対のスペーサ63とを有している。また、エアパレット12は、パレットベース61に取り付けられた複数の車輪64と、エアベアリング62へ向けて供給する空気を配分する空配盤65(
図1参照)とを有している。
【0056】
パレットベース61は、長さの長い奥行き方向(
図9の上下方向)と、奥行き方向に直交する長さの短い幅方向(
図9の左右方向)とで、平面視方形となる板状に形成されている。複数のエアベアリング62は、空気が供給されることで床面25との間に空気層を形成し、床面25との摩擦を低減するものである。実施例1においてエアベアリング62は、例えば、幅方向に2列で奥行き方向に3行となるように、パレットベース61の下面に6つ取り付けられている。各エアベアリング62は、空気が供給されることで膨らみ、床面25との間に空気層を形成することで、エアパレット12を浮上させる。これにより、エアパレット12は、各エアベアリング62を作動させると、鉛直方向における高さが増長する。一方、各エアベアリング62は、空気が供給されずに開放されるとしぼんで縮む。
【0057】
一対のスペーサ63は、幅方向に隣接して奥行き方向に延在するように、パレットベース61の上面に取り付けられている。複数の車輪64は、例えば、2つ設けられ、パレットベース61の奥行き方向の一方の端部に取り付けられている。2つの車輪64は、幅方向に並べてパレットベース61に取り付けられている。2つの車輪64は、エアベアリング62に空気が供給されずにしぼんでいる場合、床面25に回転可能に接地する。一方で、2つの車輪64は、エアベアリング62に空気が供給されて膨らんでいる場合、床面25から離れる。
【0058】
図1に示すように、空配盤65は、パレットベース61の奥行き方向の一方側に設けられており、その一方側には搬送台車11の空配盤47が接続され、その他方側には複数のエアベアリング62が接続されている。空配盤65は、空配盤47から供給された空気を複数のエアベアリング62に配分している。空配盤65は、各エアベアリング62に空気を供給することで、各エアベアリング62を作動させる。一方、空配盤65は、各エアベアリング62への空気の供給を停止することで、各エアベアリング62の作動を停止させる。
【0059】
制御盤21は、搬送台車11の操作盤45に接続され、操作盤45を介して、搬送台車11の油圧ユニット46、空配盤47、複数の駆動モータ52及び旋回モータ53を制御している。また、制御盤21は、操作盤45及び空配盤47を介して、エアパレット12の空配盤65を制御している。
【0060】
エアーコンプレッサ22は、制御盤21を介して電源装置23に接続されている。エアーコンプレッサ22は、電源装置23から供給される電力により、空気を圧縮している。また、エアーコンプレッサ22は、制御盤21により動作が制御される。
【0061】
電源装置23は、制御盤21に制御され、制御盤21を介して、搬送台車11に電力を供給している。つまり、電源装置23は、搬送台車11の操作盤45、油圧ユニット46、駆動モータ52及び旋回モータ53等に電力を供給している。
【0062】
続いて、
図11から
図13を参照して、上記した容器搬送システム1を用いて、キャスク5を搬送する容器搬送方法について説明する。
図11は、実施例1に係る容器搬送システムの架台の浮上動作の一例に関する説明図である。
図12は、実施例1に係る容器搬送システムの架台の浮上動作の一例に関する説明図である。
図13は、実施例1に係る容器搬送システムの架台の位置決め動作の一例に関する説明図である。なお、この容器搬送方法には、搬送台車11に対して架台10を位置決めする架台10の位置決め方法(後述する架台位置決め工程)と、一対の位置決めピン49に対して搬送台車11を位置決めする搬送台車11の位置決め方法(後述する台車位置決め工程)とを含んでいる。また、
図11及び
図12において、キャスク5は、図示を省略している。
【0063】
図11に示すように、キャスク5が搭載された架台10は、床面25の所定の位置に設置されている(ステップS101)。このとき、搬送台車11は、複数の車輪51が上方位置L1に位置した状態となっており、また、複数のジャッキ44が解除位置L4に位置した状態となっている。この搬送台車11は、台車側係合部41cが架台側係合部31aに鉛直方向において重なり合うように、架台10を台車フレーム41の内側に収容する(ステップS102)。
【0064】
この後、作業者は、操作盤45に対し、搬送台車11の複数のジャッキ44を伸張動作させるための所定の入力操作を行う。すると、操作盤45は、制御盤21へ向けて所定の入力操作を出力する。制御盤21は、操作盤45から入力された所定の入力操作に基づいて、搬送台車11の油圧ユニット46を制御し、油圧ユニット46によりジャッキ44内の油圧を上昇させることで、各ジャッキ44に持ち上げ動作を行わせる。
【0065】
複数のジャッキ44が持ち上げ動作を行うと、ジャッキ44は、解除位置L4から持上げ位置L3に移動する。このため、台車側係合部41cは、架台側係合部31aに当接(係合)した後、架台側係合部31aを持ち上げるため、架台10は、複数のジャッキ44により持ち上げられる(ステップS103)。持ち上げられた架台10は、架台本体31の下面と床面25との間が離れることで、架台本体31の下面と床面25との間に、エアパレット12が挿入可能な隙間が形成される。
【0066】
架台10の持ち上げ後、作業者により締結ねじ50を架台側係合部31aの挿通孔71に挿入して、締結ねじ50を台車側係合部41cの締結孔72に締結することで、係合する架台側係合部31aと台車側係合部41cとを固定する(ステップS104:架台位置決め工程)。これにより、搬送台車11に対して架台10が締結固定されることで、架台10と搬送台車11とが位置決めされる。
【0067】
図12に示すように、架台10を持ち上げることにより形成された隙間には、非作動状態のエアパレット12が車輪64により移動させられて挿入される(ステップS105)。このとき、エアパレット12は、その一対のスペーサ63の間及び両側に、架台10の脚32が位置するように挿入される。挿入された非作動状態のエアパレット12は、架台10に当接しておらず、エアパレット12と架台10との間に僅かに隙間が形成されている。
【0068】
この後、作業者は、操作盤45に対し、搬送台車11の複数の車輪51を下方位置L2へ移動させるための所定の入力操作を行う。すると、操作盤45は、制御盤21へ向けて所定の入力操作を出力する。制御盤21は、操作盤45から入力された所定の入力操作に基づいて、搬送台車11の空配盤47を制御し、エアーシリンダ54内の空気圧を上昇させることで、各エアーシリンダ54を伸張動作させ、各車輪51を下方位置L2に移動させる。これにより、搬送台車11の複数の車輪51は、床面25に接地する(ステップS106)。
【0069】
続いて、作業者は、操作盤45に対し、エアパレット12の複数のエアベアリング62を作動させると共に、搬送台車11の複数のジャッキ44による持ち上げを解除するための所定の入力操作を行う。制御盤21は、操作盤45から入力された所定の入力操作に基づいて、エアパレット12の空配盤65を制御し、各エアベアリング62に空気を供給することで、各エアベアリング62を作動させる。各エアベアリング62が作動すると、エアパレット12が浮上することで、各スペーサ63の上面が架台本体31の下面に当接する。これにより、架台10は、エアパレット12により浮上した状態(ステップS107)となる。このとき、架台10と搬送台車11とは締結ねじ50により固定されていることから、架台10が浮上すると、搬送台車11に加わる荷重も低減する。
【0070】
また、制御盤21は、操作盤45から入力された所定の入力操作に基づいて、搬送台車11の油圧ユニット46を制御し、油圧ユニット46によりジャッキ44内の油圧を下降させることで、各ジャッキ44による持ち上げ動作を解除する(ステップS107)。複数のジャッキ44の持ち上げ動作を解除すると、ジャッキ44は、解除位置L4に移動する。これにより、架台10は、搬送台車11により移動可能な状態となる。
【0071】
図13に示すように、架台10が移動可能な状態となると、作業者は、操作盤45を介して、搬送台車11の複数の車輪51を駆動モータ52により駆動させることで、キャスク5が搭載された架台10を搬送する。このとき、搬送台車11は、その一対のピン収容部48が、床面25から突出する一対の位置決めピン49と対向するように移動させられる(ステップS108)。
【0072】
そして、ステップS108に示す状態から、搬送台車11を前進させることで、一対のピン収容部48の位置決め溝75に、一対の位置決めピン49を収容する。このとき、各位置決めピン49は、先ず、位置決め溝75のテーパ溝部75aに収容された後、ピン収容溝部75bに収容される。このため、位置決めピン49は、位置決めピン49の直径よりも広い溝幅となるテーパ溝部75aに受け入れられることから、位置決めピン49を位置決め溝75に容易に収容することができる。そして、搬送台車11が前進することで、位置決めピン49は、テーパ溝部75aの後方に相対的に移動することで、テーパ溝部75aの溝幅によって、幅方向における位置が相対的に規制されて案内されながら、ピン収容溝部75bに収容される。ピン収容溝部75bに収容された位置決めピン49は、位置決めピン49の直径とほぼ同じ溝幅となるピン収容溝部75bに受け入れられることから、搬送台車11の幅方向への位置が規制され、また、位置決めピン49をピン収容溝部75bに突き当てることで、搬送台車11の奥行き方向への位置が規制される。これにより、搬送台車11は、一対の位置決めピン49へ向かって前進することで、一対の位置決めピン49により位置決めされる(ステップS109:台車位置決め工程)。
【0073】
なお、搬送台車11の位置決め後、ジャッキ44を解除位置L4から持上げ位置L3に移動させることで、搬送台車11により架台10を持ち上げる。そして、搬送台車11の複数の車輪51を下方位置L2から上方位置L1に移動させて、搬送台車11の複数の車輪51を収容すると共に、エアパレット12を非作動状態とした後、エアパレット12を取り外す。この後、締結ねじ50を取り外すことで、架台側係合部31aと台車側係合部41cとの締結固定を解除する。続いて、ジャッキ44を持上げ位置L3から解除位置L4に移動させることで、架台10を床面25に接地させる。架台10の床面25への接地後、搬送台車11を取り外し、架台10の固定孔31bに固定ボルト34を挿通し、固定孔31bに重なり合う床面25の締結孔35に固定ボルト34を締結する。これにより、架台10を床面25に固縛する。
【0074】
以上のように、実施例1の構成によれば、床面25から突出する一対の位置決めピン49に対し、搬送台車11の一対のピン収容部48を突き当てることで、搬送台車11の位置決めを行うことができ、これにより、搬送台車11に固定される架台10の位置決めも行うことができる。このため、搬送台車11の位置決め時に、一対の位置決めピン49に接触することによる衝撃が発生しても、搬送台車11を介して架台10へ衝撃が伝わることから、架台10への衝撃が伝わり難く、架台10に搭載されたキャスク5の安定性の向上を図ることができる。
【0075】
また、実施例1の構成によれば、搬送台車11を前進させて、搬送台車11の位置決めを行うことができるため、搬送台車11の位置決めを容易に行うことができる。
【0076】
また、実施例1の構成によれば、ピン収容部48の位置決め溝75の前方側を、テーパ溝部75aにすることで、位置決めピン49の受け入れを容易にすることができる。また、搬送台車11を前進させて、位置決めピン49をテーパ溝部75aの後方側に相対的に移動させた後、ピン収容溝部75bに突き当てることで、ピン収容部48に対して位置決めピン49を精度良く位置規制することができる。
【0077】
また、実施例1の構成によれば、架台10と搬送台車11とを締結ねじ50により締結固定することができるため、架台10と搬送台車11とを容易に位置決めすることができる。このとき、架台10と搬送台車11とを締結ねじ50により固定することから、エアパレット12によって架台10を浮上させることで、搬送台車11に加わる荷重を低減することができ、搬送台車11の車輪51(車輪ユニット43)への荷重を抑制することができる。
【0078】
また、実施例1の構成によれば、ジャッキ44により搬送台車11を持ち上げ、搬送台車11と架台10とを係合させた状態で、締結ねじ50により搬送台車11と架台10とを締結することができる。このため、搬送台車11と架台10とを緩みなく締結し固定することができる。
【0079】
なお、実施例1では、床面25から突出する位置決めピン49を、搬送台車11のピン収容部48に受け入れることで、搬送台車11の位置決めを行ったが、この構成に限定されない。例えば、床面25にピン収容部48を設ける一方で、搬送台車11に位置決めピン49を設け、搬送台車11の位置決めピン49を、床面25のピン収容部48に受け入れることで、搬送台車11の位置決めを行ってもよい。
【0080】
また、実施例1では、位置決め部として位置決めピン49を一対設け、係合部としてピン収容部48を一対設けたが、位置決め部と係合部との形状及び設置数は、特に限定されず、搬送台車11を幅方向及び奥行き方向に位置規制することが可能であれば、いずれの形状及び設置数であってもよい。