【実施例】
【0246】
本発明の多用性は、以下の実施例によって例示されており、これらは、本発明の一般的な実施形態を例示し、特許請求の範囲または明細書を決して限定しない。
【0247】
(実施例1)
FGF−21の最適な係留部位の同定
FGF21を、リンカーを介して触媒抗体結合部位にコンジュゲートするための最適部位を同定するための試験を行った。2つのコンジュゲーションストラテジー、すなわち、表面リシン側鎖を通じたコンジュゲーション、および表面システイン側鎖を通じたコンジュゲーションを考察した。一般に、球状タンパク質は、その表面上に対になっていないシステイン残基を有さず、したがって、特定のコンジュゲーションのために単一部位において操作するために、タンパク質表面内の1つのシステインの組込みを使用することができる。しかし、システインを用いた表面残基の突然変異は、多くの場合、分子間二量体化、天然のジスルフィド結合の誤対合、および受容体結合に対する障害などの問題を引き起こし得る。これらの理由のために、タンパク質コンジュゲーションは、リシン残基を通じて最も一般に影響される。
【0248】
FGF21受容体の相同性モデリングおよびその活性化機構
FGF21は、FGFR1cおよびFGFR4の両方に結合するが、受容体複合体は、FGFR1cを通じてのみ活性化され得る。FGFR1bとFGFR1cは、87%の同一性を共有するが(FGFR1bは、IIIb/c代替スプライシング領域を除いてFGFR1cと同一である)、FGF21は、FGFR1cのみを特異的に認識する。ここでは、FGF21−FGFR1cの複合体構造の相同性モデリングを、鋳型としてFGFR2−FGFR1c結晶構造を使用することによって実施した。相同性モデリングおよび構造分析のためにMOEソフトウェアを使用した。受容体の活性化は、別の細胞−表面受容体、βKlothoを必要とする。βKlothoは、ヒト細胞質ゾルβ−グルコシダーゼに非常に類似した(約35%同一)2つのドメインを有する。ヒトβKlotho構造を、ヒト細胞質ゾルβ−グルコシダーゼを使用することによってモデル化し、FGF21−FGFR1cのモデル化された構造における構造を位置合わせした。このモデル化された複合体構造は、最適なリシンコンジュゲーション部位およびFGF21中の最適なシステイン残基組込みについての合理的な指針をもたらし、これらは、FGF21とFGFR1cの間、およびFGF21とβKlothoの間の結合界面を遮るべきでない。
【0249】
コンジュゲーション部位選択のために、以下の基準を使用した。(1)残基は、可能な限り多く構造中で溶媒に曝露されるべきであり、(2)残基は、ジスルフィド結合から離れているべきであり、(3)残基は、受容体結合表面およびβ−Klotho結合表面から離れているべきである。
【0250】
溶媒への曝露は、アクセス可能な表面積(ASA)に基づいて評価することができる。FGF21のモデル化された構造からのASAの計算は、CCP4ソフトウェア(The CCP4 Suite:Programs for Protein Crystallography」、(1994)Acta Cryst.D50、760〜763)および社内プログラムを用いて行った。簡単に言えば、CCP4中のプログラムは、そのログファイルにおいて1残基当たりの平方オングストロームでの値を計算する。ASAの割合(fASA)を計算するために、社内プログラムを使用することによって、1残基当たりのASAを正規化した。表1は、ASAの残基およびfASAを示す。側鎖が表面によって覆い隠されると予測される残基は含まれない。列1は、アミノ酸名称であり、列2は、残基数であり、列3は、ASA(平方オングストロームとして)であり、列4は、曝露される割合である。fASA値は、所与のポリペプチド中のアミノ酸残基への溶媒のアクセスのしやすさを定義する。0に近いfASA値は、残基が溶媒にアクセス不能であることが予測されることを示し、これが、コンジュゲーションのためにリンカーにアクセス可能である可能性がより低いことを示唆する。特に可能性のある候補コンジュゲーション部位を示唆する1.00超の表面積値とともに、0.3の絶対最小fASA値を使用した。
【0251】
ASA分析に基づいて、K122(164.4の表面積)およびK59(117.2の表面積)を、コンジュゲーションにとって最も有望な候補部位とみなした。K69(表面積91)およびK56(表面積73)も、比較による目的のためにコンジュゲートした。
【0252】
【表2】
【0253】
(実施例2)
FGF21タンパク質および突然変異体の生成
FGF21 cDNAは、ATCCから購入した。哺乳動物発現ベクターおよび細菌発現ベクターを、それぞれ、pcDNA3.1(Invitrogen(登録商標)およびpET21b(EMD)を使用することによって構築した。FGF21の突然変異体のために、QuikChange(登録商標)部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene(登録商標))を使用して、発現ベクター中に突然変異を導入した。所望の突然変異の存在は、DNA配列決定によって検証した。
【0254】
哺乳動物の発現のために、HEK293F細胞(Invitrogen(登録商標))に、293fectin試薬(Invitrogen(登録商標)))を使用してFGF21の哺乳動物発現ベクターをトランスフェクトし、無血清培地で増殖させた。滅菌濾過した馴化培地を、緩衝液A(20mMのトリス−HC1、pH7.5)に対して透析し、緩衝液Aでプレ平衡化されたHiTrap Qカラム(GE healthcare(登録商標))に装填した。FGF21タンパク質を、緩衝液Aから緩衝液B(20mMのトリス−HC1、pH7.5、および100mMのNaCl)への線形勾配を用いて溶出した。プールした画分を濃縮し、リン酸緩衝溶液(PBS、pH7.4)を含むセファデックス300に装填した。得られたタンパク質溶液を濃縮し、−80℃未満で貯蔵した。純度は、SDS−PAGEおよびRP−HPLCによって確認した。
【0255】
大腸菌(E.coli)由来のFGF21ΔHを生成するために、細菌発現ベクターを、宿主系統BL21−(DE3)−RIL(Stratagene(登録商標))中にトランスフォームした。トランスフォーム細胞を、LB培地1リットル中で、37℃で増殖させ、1mMのイソプロピルβ−D−チオガラクトピラノシドを添加することによって、発現を開始した。4時間後に細胞を回収し、−20℃で凍結させた。凍結細胞ペーストを、溶解緩衝液(50mMのトリス、10mMのEDTA、pH7.5)中に懸濁させ、微小流動化装置(microfluidizer)に4回通過させた。17,000×g、4℃で30分遠心分離した後、封入体(IB)含有ペレットを、50mMのトリス、pH7.5中に再懸濁させた。洗浄したIBスラリーを遠心分離した(30分、17,000×g、4℃)。このIBペレットを−80℃で貯蔵した。1〜10mg/mlのFGF21で、7Mの尿素、5mMのDTT、および50mMのビス−トリスプロパン、pH10.5を用いて凍結IBペレットを可溶化し、1時間撹拌することによって、タンパク質を溶解および還元した。次いで、可溶化したIBを、50mMのビス−トリスプロパン、pH8.0中に10倍希釈した。最終的なタンパク質濃度は、0.1〜1mg/mLであった。溶液を約2日間撹拌し、20mMのトリス−HCl、pH7.5 4リットルに対して透析した。タンパク質溶液を、14,000×gで30分間遠心分離した。上清をHiTrap Q HP(GE Healthcare(登録商標))に装填し、緩衝液Aで平衡化した(上記を参照)。非結合の細菌タンパク質を、緩衝液Aで洗浄し、FGF21タンパク質を、緩衝液Bの線形勾配を用いて溶出した。次いで、FGF21画分を、PBS緩衝液でプレ平衡化されたHiTrapキレート化HPカラム(GE Healthcare(登録商標))に装填した。FGF21タンパク質を、PBSからPBS緩衝液と100mMのイミダゾール(pHを7.4に調整した)への線形勾配を用いて溶出した。画分を収集および濃縮し(最大50mg/mLまで)、タンパク質溶液を、PBS(Gibco(登録商標)、pH7.4)で平衡化されたサイズ排除カラム(Hiload26/60、スーパーデックス300)に施した。精製タンパク質を0.22μmフィルターによって滅菌し、−80℃で貯蔵した。培地8LからのFGF21ΔHの一般的な収量は、600〜700mgであった。一般的な純度は、95%超であった。一般的なエンドトキシンレベルは、約1EU/mgであった。FGF21のシステインおよびリシンからアルギニンへの突然変異体を生成し、FGF21ΔHと類似の様式で精製した。精製タンパク質の一般的な収量は、350〜400mgであった。遊離システインは、エルマン試薬を使用して確認した。
【0256】
(実施例3)
リンカー1の合成
【0257】
【化48】
リンカー1の合成:約35℃で、窒素雰囲気下で、13A(例えば、約5g、約20.1mmol)のメタノール(例えば、約200mL)懸濁液に、炭素上のパラジウム(例えば、約1.0g、約0.47mmol)を1回で、その後塩酸(例えば、約2.5mL、約30.2mmol)を滴下添加した。約35℃で、溶液に水素をゆっくりとバブリングして入れ、この溶液を、その温度で約2時間撹拌した。固体をセライトのベッドに通して濾過し、収集した。濾液を減圧下で濃縮し、固体を真空下で乾燥させることによって、塩酸塩として13Bを得た。化合物13Bをジクロロメタン(例えば、約200mL)および炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(例えば、約250mL)と混合し、ジクロロメタン層を分離した。ジクロロメタン層を飽和した塩化ナトリウム(例えば、約250mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。有機層を濾過し、減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、ヘキサン中約60%の酢酸エチル)を使用して精製することによって、約68%の収率(例えば、約2.94g)の13Cを得た。13C(例えば、約4.65g、約21.3mmol)、13D(例えば、約7.00g、約21.3mmol)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミドヒドロクロリド(例えば、約3.3g、約21.3mmol)、およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(例えば、約2.75g、約21.3mmol)のジクロロメタン(例えば、約200mL)溶液を、約0℃で、窒素下で5分間撹拌し、室温で約4時間撹拌した。有機層を希炭酸水素ナトリウム溶液、および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、真空下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、アセトニトリル)を使用して精製することによって、リンカー1を得た(例えば、約8.25g、約73%の収率)。
【0258】
(実施例4)
リンカー2の合成
【0259】
【化49】
シトラコン酸無水物、14(例えば、約2.0mg、約16.7mmol)、β−アラニン、17(例えば、約1.5g、約16.7mmol)のDMF(例えば、約10mL)溶液を、室温で約5時間撹拌した。次いで、反応溶液を約0℃に冷却し、ジイソプロピルカルボジイミド(例えば、約2.6mL、約16.7mmol)およびHOBT(例えば、約1.9g、約16.7mmol)を含有するDMF(例えば、約10mL)溶液を添加した。ジイソプロピルエチルアミン(例えば、約5当量、約83.5mmol)を添加し、反応混合物を室温に加温し、さらに約16時間撹拌した。反応物を水中に注ぎ、1NのHClで酸性化し、酢酸エチル(例えば、約3×約30mL)で抽出した。有機層を水(例えば、約2×約30mL)およびブライン(例えば、約30mL)で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を真空下で除去し、粗混合物をカラムクロマトグラフィーによって精製した。所望の画分をプールし、減圧下で濃縮することによって、17Aを得た。
【0260】
化合物17A(例えば、約0.5g、約2.09mmol)を、ジクロロメタン中約15%のトリフルオロ酢酸中で、室温で約2時間撹拌し、減圧下で濃縮して乾燥させた。遊離酸18を、テトラヒドロフラン(例えば、約20mL)中のN−ヒドロキシスクシンイミド(例えば、約0.25g、約2.09mmol)に添加し、その後、ジイソプロピルカルボジイミド(例えば、約0.33ml、約2.09mmol)を添加し、室温で約4時間撹拌した。ジイソプロピル尿素を濾別した(filtered off)。濾液を蒸発させて乾燥させた。石油エーテル(例えば、約30mL)を残渣に添加し、粉砕し、振盪し、石油エーテル層をデカンテーションした。この手順を、石油エーテルを用いてさらに1回繰り返し、生成物18を真空下で乾燥させた。
【0261】
アミン−peg2−tブチルエステル、19(例えば、約0.5g、2.09mmol)を、活性化された18のTHF溶液に添加し、その後、過剰のDIPEA(例えば、約3当量)を添加した。この溶液を室温で最低1時間撹拌し、343および399の質量を収集してHPLC−MSによって精製した。所望の生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥することによって20を収集した。残渣を、ジクロロメタン中の約15%のトリフルオロ酢酸および数滴の水中に溶解させ、室温で約2時間撹拌した。反応物を濃縮して約1mlにし、水で処理することによって生成物を沈殿させた。粗物質をHPLC−MSを使用して精製することによって21を得た(M+343)。
【0262】
酸21(例えば、約60mg、約0.18mmol)、HBTU(例えば、約137mg、約0.36mmol)、およびアニリン塩酸塩13B(例えば、約45mg、約0.18mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(例えば、約0.14ml、約0.90mmol)のDMF(例えば、約2mL)溶液を、室温で約30分間撹拌し、HPLC−MSで精製した。所望の画分をプールし、濃縮することによってL2(例えば、約16mg、約0.03mmol)を収集した。
【0263】
(実施例5)
リンカー3の合成
【0264】
【化50】
シトラコン酸無水物、14(例えば、約0.5g、約16.4mmol)、アミン−peg2−tブチルエステル23(例えば、約1.0g、約4.2mmol)のDMF(例えば、約10mL)溶液を室温で約2時間撹拌した。ジイソプロピルカルボジイミド(例えば、約0.8mL、約5.2mmol)およびHOBT(例えば、約0.7g、約6.1mmol)を添加し、この反応物を約80℃で約2時間加熱した。この反応物を室温まで一晩冷却させ、尿素を濾過した。濾液を水中に注ぎ、DCMで抽出した。有機層をブラインで洗浄し濃縮して油状物にした。粗生成物をアセトニトリル中約50%の6NのHCl中に溶解させることによって、酸を脱保護した。生成物をDMF中に溶解させ、濾過し、HPLC−MSを使用して精製することによって、24(例えば、約208mg、約0.7mmol)を収集した。
【0265】
マレイミド、24(例えば、約0.16g、約0.6mmol)、およびアニリン塩酸塩13B(例えば、約150mg、約0.6mmol)のDMF溶液に、過剰のHBTUおよびDIEA(例えば、それぞれ約3当量超)を添加した。粗物質を、HPLC−MS上で約2回の注入を介して精製した。最も純粋な物質を含有する所望の画分をプールし、凍結乾燥することによって、L3(例えば、約17.3mg、約36.7mmol)を収集した。
【0266】
(実施例6)
リンカー4の合成
【0267】
【化51】
窒素(N
2)下の、シトラコン酸無水物(14、例えば、約510mg、約4.55mmol)、およびtrans−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸(13、例えば、約716mg、約4.55mmol)のジメチルホルムアミド(例えば、DMF、約5mL)溶液を、室温で約6時間撹拌した。反応溶液を約0℃に冷却し、DIPEA(例えば、約1.98mL、約11.4mmol)を添加し、その後DMF(例えば、約3mL)中のペンタフルオロフェニルトリフルオロ酢酸塩(例えば、約1.96mL、約11.4mmol)を添加した。反応混合物を室温に加温し、N
2下でさらに約16時間撹拌した。固体を濾過し、濾液を水約30mL中に注ぎ、ジクロロメタン(例えば、約2×約30mL)で抽出し、ジクロロメタン層をNa
2SO
4上で乾燥させた。溶媒を真空下で除去し、粗混合物をカラムクロマトグラフィーにより精製することによって、ペンタフルオロフェニルエステル中間体約550mgを得た(15、例えば、約29%の収率)。
【0268】
N−メチルモルホリン(例えば、約290μL、約2.64mmol)を、ペンタフルオロフェニルエステル中間体(15、例えば、約550mg、約1.32mmol)、および3−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−プロピオン酸tert−ブチルエステル(例えば、約295mg、約1.32mmol)のテトラヒドロフラン(THF、例えば、約5mL)溶液に添加し、室温で約2時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣をDMF中に溶解させ、分取HPLCによって精製した。得られたtert−ブチルエステル中間体を、ジクロロメタン(例えば、約4mL)中の約50%のトリフルオロ酢酸で約30分間処理した。溶媒を真空下で除去し、残渣を分取HPLCにより精製することによって、白色固体として酸中間体16約300mgを得た(例えば、約55%の収率;MS:411.2(M+H
+))。
【0269】
上記酸中間体(16、例えば、約33mg、約0.08mmol)、1−[3−(4−アミノ−フェニル)−プロピオニル]−アゼチジン−2−オン(13B、例えば、約18mg、約0.08mmol)、HOBT(例えば、約25mg、約0.16mmol)、およびHBTU(例えば、約61mg、約0.16mmol)、およびN−メチルモルホリン(例えば、約44μL、約0.4mmol)のDMF(例えば、約1mL)溶液を、室温で約2時間撹拌した。粗混合物を分取HPLCにより精製することによって、無色油状物としてL4を得た(例えば、約22mg、45%の収率;MS:611.4(MH
+))。
【0270】
(実施例7)
リンカー5の合成
【0271】
【化52】
ジイソプロピルカルボジイミド(例えば、約3.11mL、約19.86mmol、約2.95当量)を、リンカー6(例えば、約6.63g、約20.69mmol、約3.07当量)、およびN−ヒドロキシスクシンイミド(例えば、約2.29g、約19.86mmol、約2.95当量)の乾燥テトラヒドロフラン(例えば、約500mL)溶液に約0℃で添加した。混合物を約0℃で約1時間撹拌し、次いで室温で一晩撹拌した。溶媒を真空で除去し、残渣を石油エーテル(例えば、約2×約200mL)で洗浄し、粉末を真空下で約2時間乾燥させ、後続のステップで使用した。
【0272】
(実施例8)
リンカー6の合成
【0273】
【化53】
【0274】
(実施例9)
リンカー7の合成
【0275】
【化54】
I(例えば、約438mg、約4.47mmol)およびII(例えば、約1.04g、約4.47mmol)のジメチルホルムアミド(例えば、約25mL)溶液を、窒素雰囲気下で約2.5時間撹拌した。反応物を、氷浴を使用して約0℃に冷却した。1−ヒドロキシピロリジン−2,5−ジオン(例えば、約647mg、約5.62mmol)、およびN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミドヒドロクロリド(例えば、約1.71g、約8.92mmol)を添加し、およそ室温で一晩撹拌した。有機層をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄し、減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、ヘキサン中約75%の酢酸エチル〜ジクロロメタン中約5%のメタノールを使用して精製することによってIII(例えば、約767mg)を得た。III(例えば、約573mg、約1.83mmol)のジクロロメタン(例えば、約15mL)およびトリフルオロ酢酸(例えば、約1.16mL)中の溶液を、およそ室温で約9.5時間撹拌した。この物質を減圧下で濃縮し、真空ポンプで一晩乾燥させることによってIVを得た。粗製のIVをジクロロメタン(例えば、約15mL)、およびジメチルホルムアミド(約2滴)中に溶解させ、塩化オキサリル(例えば、約465mg、約3.66mmol)とともに約2時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、油状物を真空下で1時間乾燥させた。この油状物をジクロロメタン(例えば、約15mL)中に溶解させ、13B(例えば、約464mg、約1.83mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(例えば、約2.9mL、約16.5mmol)とともに、窒素下で約30分間撹拌した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(SiO
2、ヘキサン中約85%の酢酸エチル〜約100%の酢酸エチル)を使用して精製することによって、リンカー7を得た(例えば、約323mg、約39%)。
【0276】
(実施例10)
リンカー8の合成
【0277】
【化55】
V(例えば、約980mg、約1.91mmol)、13C(例えば、約484mg、約1.91mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(例えば、約2mL、約11.5mmol)のジクロロメタン溶液を、およそ室温で約6時間撹拌した。別の約1当量の13C(例えば、約484mg、約1.91mmol)および約3当量のジイソプロピルエチルアミン(例えば、約1mL、約5.73mmol)を添加し、およそ室温で一晩撹拌した。この反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、濾過し、減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(約100%酢酸エチル〜酢酸エチル中約5%のメタノール〜酢酸エチル中約10%のメタノール)を使用して精製することによって、リンカー8を得た(例えば、約285mg、約24%)。
【0278】
(実施例11)
タンパク質およびリンカーのコンジュゲーション
FGF21変異タンパク質を、関連したリンカーと1:10のモル比で、室温で2時間反応させた。次いで、すべてのリンカー結合FGF21タンパク質を、PD−10カラムを使用して精製し、緩衝液を20mMのトリス−HCl、20mMのNaCl、pH7.0中に交換した。
【0279】
(実施例12)
タンパク質−リンカー複合体の抗体とのコンジュゲーション
すべてのリンカー結合FGF21タンパク質を、h38C2 IgG1(配列番号25および26)(20mMのトリス−HCl、20mMのNaCl、pH7.0)と6:1のモル比で、室温で一晩融合させた。タンパク質−リンカー−抗体複合体をSECによって精製した。コンジュゲーション効率は、LCMS分析によって確認した。
【0280】
(実施例13)
タンパク質産生アッセイ
すべてのFGF21タンパク質は、大腸菌(E.coli)内で発現させた。細菌によって発現されたFGF21タンパク質は、封入体中に見出された。細胞を溶解させ、上清を除去した後、ペレットを、4℃で7Mの尿素、50mMのビス−トリスプロパン、pH10.5中に溶解させた。可溶化した封入体を50mMのビス−トリスプロパン、10mMの酸化型グルタチオン、ph9.0中に希釈し、2時間撹拌し、その後、20mMのトリス−HCl、ph7.5に対して4℃で一晩透析した。可溶性画分をHiTrap Qカラムによって精製した。タンパク質をSDS−PAGE分析によって特徴づけた。リシン突然変異体の発現レベルは、10〜50mg/Lであった。
【0281】
(実施例14)
Glut1 Taqmanアッセイ
qPCR法によってGlut1 mRNA発現を測定するために、分化3T3−L1脂肪細胞を使用した。一晩血清飢餓した10〜14日目の分化3T3−L1脂肪細胞を、化合物で6時間処理した。トータルRNAをこれらの細胞から抽出し、Glut1およびGAPDH mRNA発現を、Quantitect Probe RT−PCRキットを使用し、Taqman装置(Applied Biosystems(登録商標))で定量的リアルタイムPCR反応を実行して測定した。化合物の生物活性は、各試料からのGAPDH mRNAレベルによって正規化されたGlut1 mRNAレベルの倍率変化によって判定した。化合物の効力の測定としてのEC
50値を、アッセイにおける用量応答曲線から得た。
【0282】
(実施例15)
グルコース取込みアッセイ
分化3T3−L1脂肪細胞を、血清の非存在下で、化合物で24時間処理した。次いで細胞を
14C−2−デオキシグルコースとともに1時間インキュベートし、細胞内へのグルコース取込みを、Wallac 1450 MicroBeta(Trilux)機器で定量化した。グルコース取込みは、1分当たりのカウント(CPM)で表した。化合物の効力の測定としてのEC
50値を、アッセイにおける用量応答曲線から得た。
【0283】
(実施例16)
マウスの薬物動態
FGF21抗体コンジュゲートのPKを、IVまたはSC投与後のマウスにおいて検査した。抗体コンジュゲートを若い成体雄のSwiss−Websterマウス(20〜25g)に注射し、血液試料を、投薬後5分〜120時間の時点で得た。血清中の抗体コンジュゲート濃度は、ELISAを使用して求め、ELISAは、96ウェルプレートに結合したモノクローナル抗−hFGF21抗体を通じて、抗体コンジュゲートのFGF21部を捕捉した。プレートに結合したFGF21抗体コンジュゲートは、抗hFcモノクローナル抗体を通じて検出し、濃度は、血清含有アッセイ緩衝液中に希釈されたPK投薬溶液(PK dosing solution)の検量線を使用して求めた。SCバイオアベイラビリティーは、SC血清濃度プロファイルの曲線下面積(AUC)をIV血清濃度プロファイルのAUCで除した比として計算した。
【0284】
(実施例17)
マウスでの効力
FGF21抗体コンジュゲートの効力を、2つのマウス肥満インスリン耐性モデル、すなわち、ob/obマウスおよび高脂肪食誘発肥満マウスにおいて評価した。両モデルについて、雄マウス(ob/obについて生後6〜8週間、年齢生後6週間で高脂肪食を開始したDIOについて生後12〜14週間)を、2〜4/ケージで収容し、FGF21抗体コンジュゲートをSC注射によって投与した。毎日午前中に体重を測定した。糖耐性を、経口ブドウ糖負荷試験によって評価した。簡単に言えば、マウスに、試験日の午前中4〜5時間絶食させた。基礎血液試料を得、血中グルコースレベルを、携帯型グルコメーターを使用して求めた。基礎試料の後、グルコースを経口強制飼養によって投与し、血液試料を、その15〜120分後に抜き取った。糖耐性を、基礎時点から120分の時点までのAUCとして計算した。
【0285】
(実施例18)
K56 Ab−L5−FGF21ΔH−K56の活性
FGF21ΔH−K56−K59R−K69R−K122R(配列番号18)を上述したように生成および精製した。FGF21ΔH−K56−K59R−K69R−K122Rは、Glut1 Taqmanアッセイにおいて効力があることが判明した(EC
50=0.9nM;n=2)。グルコース取込みは、5.5nMであることが示された。FGF21ΔH−K56−K59R−K69R−K122Rを、記載したようにK56においてL5と結合させ、h38C2とコンジュゲートさせることによって、Ab−L5−FGF21ΔH−K56を形成した。Ab−L5−FGF21ΔH−K56は、Glut1 Taqmanアッセイにおいて効力を保持し(EC
50=1.9nM;n=1)、17時間のIV半減期および13時間のSC半減期を示した。バイオアベイラビリティーは66%であった。
【0286】
(実施例19)
K59 Ab−L5−FGF21ΔH−K59の活性
FGF21ΔH−K56R−K59−K69R−K122R(配列番号19)を記載したように生成および精製した。FGF21ΔH−K56R−K59−K69R−K122Rは、Glut1 Taqmanアッセイにおいて効力があった(EC
50=0.6 nM;n=1)。グルコース取込みは、0.9nMであった。FGF21ΔH−K56R−K59−K69R−K122Rを、K59においてL5と結合させ、h38C2とコンジュゲートさせることによって、Ab−L5−FGF21ΔH−K59を形成した。Ab−L5−FGF21ΔH−K59は、Glut1 Taqmanアッセイにおいてインビトロでの効力を保持し(EC
50=6.5nM;n=2)、13時間のIV半減期を示した。
【0287】
(実施例20)
K69 Ab−L5−FGF21ΔH−K69の活性
FGF21ΔH−K56R−K59R−K69−K122R(配列番号20)を記載したように生成および精製した。FGF21ΔH−K56R−K59R−K69−K122Rは、Glut1 Taqmanアッセイ(EC
50=1.3nM;n=1)およびグルコース取込みアッセイ(EC
50=5.2nM)の両方において効力があることが判明した。FGF21ΔH−K56R−K59R−K69−K122Rを、K69においてL5と結合させ、h38C2とコンジュゲートさせることによって、Ab−L5−FGF21ΔH−K69を形成した。
【0288】
(実施例21)
K122 Ab−L5−FGF21ΔH−K122の活性
FGF21ΔH−K56−K59R−K69R−K122(配列番号21)を記載したように生成および精製した。FGF21ΔH−K56−K59R−K69R−K122は、Glut1 Taqmanアッセイ(EC
50=2.6nM;n=2)およびグルコース取込みアッセイ(EC
50=1.7nM)の両方において効力があった。FGF21ΔH−K56−K59R−K69R−K122を、K122においてL5と結合させ、h38C2とコンジュゲートさせることによって、Ab−L5−FGF21ΔH−K122を形成した。Ab−L5−FGF21ΔH−K122は、インビトロでの効力を保持し(Glut1 TaqmanアッセイにおいてEC
50=1.6nM;n=2)、16時間のIV半減期および14時間のSC半減期を示した。バイオアベイラビリティーは、40%であった。
【0289】
(実施例22)
K−ヌル−P2 Ab−L5−FGF21ΔH−Kヌル−P2の活性
FGF21ΔH−Kヌル−P2(配列番号22)を記載したように生成および精製した。FGF21ΔH−Kヌル−P2は、Glut1 Taqmanアッセイにおいて効力があった(EC
50=1.2nM;n=2)。FGF21ΔH−Kヌル−P2を、P
2のN’末端においてL5と結合させ、h38C2とコンジュゲートさせることによって、Ab−L5−FGF21ΔH−Kヌル−P2を形成した。Ab−L5−FGF21ΔH−Kヌル−P2は、インビトロでの効力の低減(Glut1 TaqmanアッセイにおいてEC
50=16.6nM;n=1)、および17時間のIV半減期を示した。
【0290】
(実施例23)
Kヌル−H1K Ab−L5−FGF21ΔH−Kヌル−H1Kの活性
FGF21ΔH−Kヌル−H1K(配列番号23)を記載したように生成および精製した。FGF21ΔH−Kヌル−H1Kは、Glut1 Taqmanアッセイにおいて効力があった(EC
50=6.4nM;n=2)。FGF21ΔH−Kヌル−H1Kを、H1KにおいてL5と結合させ、h38C2とコンジュゲートさせることによって、Ab−L5−FGF21ΔK−Kヌル−H1Kを形成した。FGF21ΔH−Kヌル−H1Kは、インビトロでの効力を保持し(Glut1 TaqmanアッセイにおいてEC
50=4.3nM;n=2)、16時間のIV半減期、11時間のSC半減期、および51%のSCバイオアベイラビリティーを示した。
【0291】
(実施例24)
K−ヌル−S181K Ab−L5−FGF21ΔH−Kヌル−S181Kの活性
FGF21ΔH−Kヌル−S181K(配列番号24)を記載したように生成および精製した。FGF21ΔH−Kヌル−S181Kは、Glut1 Taqmanアッセイにおいて効力があった(EC
50=7.5nM;n=2)。FGF21ΔH−Kヌル−S181Kを、S181KにおいてL5と結合させ、h38C2とコンジュゲートさせることによって、Ab−L5−FGF21ΔH−Kヌル−S181Kを形成した。Ab−L5−FGF21ΔH−Kヌル−S181Kは、インビトロでの効力の喪失を示した(Glut1 TaqmanアッセイにおいてEC
50≧500nM;n=2)。
【0292】
(実施例25)
リシン突然変異体の活性の結果の要約
すべてのリシン突然変異タンパク質は、Glut1 Taqmanアッセイにおいて活性であった。コンジュゲートさせたとき、コンジュゲートの大部分(K56、K59、K122、Kヌル−H1K)は、Taqmanアッセイにおいて活性を保持し、EC
50値は、天然FGF21タンパク質のEC
50値と同様であった。Kヌル−P2コンジュゲートは、初期効力のいくらかの低減を示し、Kヌル−S181Kコンジュゲートは、Taqmanアッセイにおいて活性の喪失を示した。
【0293】
(実施例26)
システイン−マレイミドコンジュゲーションを使用する、FGF21上の最適な係留部位の同定
連結残基としてシステイン置換突然変異を導入する際の課題の1つは、システイン残基は、それ自体他の残基と接触し、かつ/または塩橋もしくは水素結合を形成する場合があることである。モデル化された構造を使用して原子レベルの距離を予測することは困難であり得るが、いくつかの残基を、FGFR1c結合部位およびβKlotho結合部位から遠位に位置される潜在性に基づいて選択した:His1、Thr40、Asp79、Leu86、His125、およびAla129。
【0294】
6つすべての残基は、構造要素(ターンおよびループ)、アクセス可能な表面積(ASA)、ならびに環境の形状(凸面および凹面)に関して互いに異なっており、すべてをFGFR1c相互作用に対してタンパク質の反対側でモデル化した(表2)。特に、His1、Asp79、Leu86、およびHis125は、これらの部位に伴った高ASA値のために、潜在的に魅力的なコンジュゲーション部位であると同定された。
【0295】
【表3】
【0296】
(実施例27)
H1C FGF21ΔH−H1C
FGF21ΔH−H1C(配列番号16)を生成し、発現させた。しかし、FGF21ΔH−H1C突然変異体は、N’システイン基を欠いており、したがって、この突然変異体の調査を中止した。
【0297】
(実施例28)
T40C FGF21ΔH−T40C
FGF21ΔH−T40C(配列番号15)の生成により、重要な課題が示された。40位におけるトレオニンのシステイン突然変異は、再折りたたみ後に、RP−HPLCにおいてFGF21ΔH−T40Cの複数の化学種を生じさせた。グルタチオンを付加して、および付加しないで、タンパク質の濃度およびpHを変更することによって、再折りたたみプロセスを改善するためのさらなる試みを行った。再折りたたみプロセスは、RP−HPLCによってモニターした。グルタチオンを付加すると、T40Cの再折りたたみが効率的になるが、グルタチオンは、最も確実には、40位における導入されたシステインを通じて、FGF21上で結合されることが判明した。グルタチオン付加体は、野生型FGF21ΔHと同じ生物活性を示し、40位は、FGF21による受容体活性化に関与していないことを示した。
【0298】
(実施例29)
D79C Ab−L1−FGF21ΔH−D79Cの活性
FGF21ΔH−D79C(配列番号12)を記載したように生成および精製した。FGF21ΔH−D79Cは、Glut1 Taqmanアッセイにおいて効力があった(EC
50=2.1nM;n=4)。FGF21ΔH−D79Cを、D79CにおいてL1と結合させ、h38C2とコンジュゲートさせることによって、Ab−L1−FGF21ΔH−D79Cを形成した。Ab−L1−FGF21ΔH−D79Cは、インビトロでの効力を保持し(Glut1 TaqmanアッセイにおいてEC
50=3.7nM;n=3)、17時間および19時間のIV半減期(n=2)、20時間および20時間のSC半減期(n=2)、および55%および70%のSCバイオアベイラビリティーを示した(n=2)。
【0299】
(実施例30)
FGF21ΔH−D79Cの安定性アッセイ
FGF21ΔH−D79C突然変異タンパク質を、上述したように大腸菌(E.coli)内で生成し、精製した。FGF21ΔH−D79Cを培養液1Lから発現させた。150mgの封入体を得、85mgの精製タンパク質を得、60%の収率に相当した。FGF21ΔH−D79CおよびFGF21ΔH(配列番号2)の安定性を試験するために、新たに解凍した試料を7日にわたって4℃に保持し、0日目、3日目、および7日目に、RP−HPLC、SEC_HPLC、Ellmanアッセイ、およびSDS−PAGEによってこれらの完全性について検査した。FGF21ΔH−D79Cは、中性のpH7.4で安定であることが判明し、4℃で7日間インキュベートした後でさえ、わずかな量のFGF21ΔH−D79Cしか酸化および二量体化されないと考えられ、一方、FGF21ΔH−D79Cの半分超が、4℃で3日間インキュベートした後、pH6.0で酸化された。PBS(pH7.4)、および20mMのトリス−HCl、50mMのNaCl(pH7.5)は、FGF21ΔH−D79Cの安定性の有意な差を生じなかった。
【0300】
FGF21ΔH−D79Cの遊離システインがpH6.0よりpH7.4においてより安定であった理由は明らかでない。WT FGF21の計算された等電点(pI)は、5.43であり(e.e.、FGF21−H1−P146)、FGF21ΔHのpIは5.27であり、FGF21ΔH−D79CのpIは5.47であった。FGF21ΔH−D79Cの溶解度がpH6.0で低減され得る可能性がある。FGF21ΔH−D79Cの安定性を、複数の凍結/解凍サイクルで検査した。タンパク質を9回繰り返して凍結(−80℃)および解凍(4℃)させた。いずれの試料も、RP−HPLC、SEC、およびEllmanアッセイにおいてサイクル1とサイクル9の間でまったく差を示さなかった。結論として、FGF21ΔH−D79Cは、−80℃より4℃において著しく不安定であると考えられた。
【0301】
(実施例31)
L86C FGF21ΔH−L86C
FGF21ΔH−L86C(配列番号14)を記載したように生成および精製した。ほとんどの疎水性残基は、タンパク質コア内に埋もれているが、一部の残基は、溶媒に曝露され、これがタンパク質の不溶性の原因となり得る。Leu86は疎水性残基であり、FGF21のモデル化された構造において、溶媒に曝露されているようである。突然変異L86Cは、溶解度の利点をもたらし得るとみなした。
【0302】
L86C突然変異は、非効率な再折りたたみ、および低いタンパク質収率をもたらした。グルタチオンを付加すると、L86Cの再折りたたみが効率的になったが、1つを超えるグルタチオンが、最も確実には、導入されたC86および天然システイン残基を通じて1つのFGF21分子上に結合されていることが判明した。グルタチオン付加体は、生物活性の約10分の1の低減を示し、したがって、FGF21ΔH−L86Cの調査を中止した。
【0303】
(実施例32)
H125C Ab−L1−FGF21ΔH−H125Cの活性
FGF21ΔH−H125C(配列番号7)を記載したように生成および精製した。FGF21ΔH−H125Cは、Glut1 Taqmanアッセイにおいて効力があった(EC
50=1.2nM;n=3)。FGF21ΔH−H125Cを、H125CにおいてL1と結合させ、h38C2とコンジュゲートさせることによって、Ab−L1−FGF21ΔH−H125Cを形成した。コンジュゲートされたとき、Ab−L1−FGF21ΔH−H125Cは、インビトロでの効力を保持し(Glut1 TaqmanアッセイにおいてEC
50=3.2nM;n=4)、37時間のIV半減期、32時間のSC半減期、および67%のSCバイオアベイラビリティーを示した。
【0304】
(実施例33)
A129C Ab−L1−FGF21ΔH−A129Cの活性
FGF21ΔH−A129C(配列番号10)を記載したように生成および精製した。FGF21ΔH−A129Cは、Glut1 Taqmanアッセイにおいて効力があった(EC
50=1.4nM;n=6)。FGF21ΔH−A129Cを、A129CにおいてL1と結合させ、h38C2とコンジュゲートさせることによって、Ab−L1−FGF21ΔH−A129Cを形成した。Ab−L1−FGF21ΔH−A129Cは、インビトロでの効力を保持し(Glut1 TaqmanアッセイにおいてEC
50=2.7nM;n=7)、33時間のIV半減期、37時間のSC半減期、および69%のSCバイオアベイラビリティーを示した(マウスにおいて)。Ab−L1−FGF21ΔH−A129Cは、60時間のラットにおけるIV半減期、39時間のラットにおけるSC半減期、および52%のラットにおけるSCバイオアベイラビリティーを示した。サルにおいて、IV半減期は65時間であり、SC半減期は48時間であり、SCバイオアベイラビリティーは68%であった。
【0305】
(実施例34)
エンドトキシン純度の改善
FGF21ΔH−H125CおよびFGF21ΔH−A129Cタンパク質を大腸菌(E.coli)発酵培養よって生成した。エンドトキシンレベルを低減するために、エンドトキシンレベルを10EU/mlから0.1EU/mLに低減した最初のQの後に、追加のQステップを利用した。精製プロトコールを以下のように改変した。IB約10gを培地1Lから得、7Mの尿素、5mMのDTT、50mMのBTP(ビス−トリスプロパン)pH10.5 40mLで可溶化した(1〜2時間)。FGF21タンパク質の還元をRP−HPLCによってモニターした。可溶化タンパク質を、50mMのBTP、pH8.0 400mL中に希釈することによって再折りたたみさせた(24〜36時間)。FGF21の天然ジスルフィド結合の酸化をRP−HPLCによってモニターした。再折りたたみがほとんど完了した後、溶液を、20mMのトリス−HCl、pH7.5 4Lに対して2回透析した。未可溶化タンパク質を、20,000×gで60分間、4℃で遠心分離することによって沈殿させた。上清をHitrap Q FF上に装填し、0〜200mMのNaClの勾配(20CV、20mMのトリス−HCl、0.01mMのTCEP、pH7.5)を用いてFGF21タンパク質を溶出した。収集画分を、0〜100mMのイミダゾールの勾配(10CV、0.01mMのTCEP、PBS、pH7.4)を伴ったHitrap Ni−NTA FF上に装填することによって、残留DNAを効率的に除去した。所望の画分を、20mMのトリス−HCl、0.01mMのTCEP、pH7.5 4Lに対して2回透析し、0〜100mMのNaClの勾配(20CV、20mMのトリス−HCl、pH7.5)を伴ったHitrap Q HP カラム上に装填して溶出した。精製タンパク質画分を収集し、0.22μmフィルターを用いて滅菌し、−80℃で貯蔵した。
【0306】
培地1Lからの一般的な収量は、約350〜約400mgであった。精製タンパク質の一般的な収量は、約220〜約280mgであった。この精製技法により、95%超の純度、および約1EU/mgの一般的なエンドトキシンレベルを有するタンパク質を得た。振盪フラスコの代わりに発酵槽を使用すると、収量が約4〜約5倍改善した。
【0307】
(実施例35)
リンカーの選択
以下のL1のマレイミド環は、経時的に開環およびその後の生成物分解に感受性である場合があることが公知である(Woodnutt,G;IBC Conference、「Beyond Antibodies/Protein Engineering Design」、San Diego、2009年9月21〜23日)。
【0308】
L1などのマレイミドリンカーは、スキーム1に示したように、チオールと反応してマレイミド部分とのチオール付加体を形成し得る。チオールのマレイミドへのこの付加反応は、マイケル反応と呼ばれる。その後、アミンを含有する基(抗体h38C2など)が、スキーム1に示したようにAZD(β−ラクタム)と反応することによって6を生じ得る。得られるチオール−スクシンイミド付加体は安定である。しかし、スクシンイミド環は、ゆっくりとした加水分解性開裂を経時的に起こし、7および/または8をもたらす場合がある。したがって、マイケル反応を起こすその能力を保存しつつ、加水分解性開裂に対する安定性が改善したマレイミド環を有することが望ましい。
【0309】
【化56】
【0310】
(実施例36)
マレイミドの修飾
したがって、より安定なリンカーを、マレイミド環を修飾することによって生成することができるという予想とともに、L1中のマレイミド環の安定性を検査した。水によるマレイミド環の潜在的な加水分解性開裂を遅延させるために、3つの異なる手法(L2〜L4)を採用することによって環を修飾し、安定性を改善した。
【0311】
【化57】
【0312】
最初に、環に結合した小さいアルキル基は、スクシンイミド環の加水分解性開裂を遅延させ得ると想定した。スクシンイミド環上にメチル基を有するリンカー2を調製した。環が加水分解性開裂を起こすために、水分子がカルボニル基に付加し、遷移状態として四面体中間体を形成する。メチル基が存在すると、四面体中間体の形成が立体的かつ電子的に制限され、加水分解速度が相当に遅延するはずである。
【0313】
第2の修飾は、マレイミド環のカルボニル基のすぐ近くにおけるプロピオンアミドカルボニル基に目を向けた。カルボニル基は一般に、水を引きつける。マレイミド環にごく接近してカルボニル基があると、水を引きつけることが助長され、マレイミド環のカルボニル基上の攻撃が促進される。プロピオンアミドカルボニル基を除去することによって、加水分解性開環反応が遅延される。この修飾は、L3において見られる。
【0314】
第3の修飾は、L4において見られるように、プロピオンアミド基の代わりにシクロヘキシルメチレン基を導入することであった。シクロヘキシル環のかさ高い疎水性は、環が開いた加水分解性開裂に必要とされる、環のカルボニル基への水の付加による四面体中間体の形成に対して、電子的および立体的の両方で妨害する。これにより、加水分解性開裂が遅延されることが予想された。
【0315】
安定性試験
安定性試験のために、リンカーL1〜L4から1−(3−(4−アミノフェニル)プロパノイル)アゼチジン−2−オン部を除去した。マレイミドが3アミノ酸ペプチドのグルタチオンとコンジュゲートした4つの試験化合物(30〜33)を作製した。
【0316】
(実施例37)
化合物30の合成
3−(2−(2−(3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)−エトキシ)エトキシ)プロパン酸(164mg、0.5mmol)および還元グルタチオン(154mg、0.5mmol)のジメチルスルホキシド(5mL)溶液を、室温で17時間撹拌した。酢酸エチル(25mL)をこの反応混合物に添加し、固体を濾過した。この固体を追加の酢酸エチル25mLで洗浄し、乾燥させることによって化合物30 252mgを得た。
【0317】
【化58】
【0318】
(実施例38)
化合物31の合成
3−(2−(2−(3−(3−メチル−2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)エトキシ)エトキシ)プロパン酸(42mg、0.12mmol)および還元グルタチオン(37mg、0.12mmol)のジメチルスルホキシド(1.2mL)溶液を、室温で22時間撹拌した。エーテル(10mL)中50%の酢酸エチルをこの反応混合物に添加し、固体を濾過した。この固体を追加の酢酸エチル25mLで洗浄し、乾燥させることによって化合物31 67mgを得た。
【0319】
【化59】
【0320】
(実施例39)
化合物32の合成
3−(2−(2−(3−メチル−2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)エトキシ)エトキシ)プロパン酸(50mg、0.2mmol)および還元グルタチオン(61mg、0.2mmol)のジメチルスルホキシド(2mL)溶液を、室温で25時間撹拌した。エーテル(30mL)中65%の酢酸エチルをこの反応混合物に添加し、固体を濾過した。この固体を追加の酢酸エチル25mLで洗浄し、乾燥させることによって化合物32 92mgを得た。
【0321】
【化60】
【0322】
(実施例40)
化合物33の合成
3−(2−(2−(4−((3−メチル−2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)エトキシ)エトキシ)プロパン酸(50mg、0.12mmol)および還元グルタチオン(37mg、0.12mmol)のジメチルスルホキシド(1.2mL)溶液を、室温で22時間撹拌した。エーテル(10mL)中50%の酢酸エチルをこの反応混合物に添加し、固体を濾過した。この固体を追加の酢酸エチル25mLで洗浄し、乾燥させることによって化合物33 75mgを得た。
【0323】
【化61】
【0324】
(実施例41)
化合物30〜33の安定性試験
【0325】
【化62】
【0326】
化合物30、31、32、および33を、開環生成物の形成およびグルタチオン開裂についてLC−MSでモニターした。これらの新規相同体を、40℃でpH=6.5の緩衝液、40℃でpH=7.5の緩衝液、および4℃でpH=7.5の緩衝液で、すべて2週間の期間にわたって、これらの安定性について検査した(表3A〜C)。
【0327】
化合物30、31、32、および33を室温で緩衝液中に溶解させた。試料を40℃でインキュベートし、緩衝液を設定間隔で分析した。規定間隔で、緩衝液10μLをAgilent高速液体クロマトグラフィーおよび質量分析計に注入して分析した。カラムからの溶離液を、210nmおよび254nmでUV分光計を使用し、質量分析計も使用してモニターした。加水分解副生成物を、質量分析計を使用してモニターし、加水分解率を特定の質量の全イオン電流に基づいて計算した。
【0328】
表3A〜3C中の%加水分解を示すLC−MSデータから、L2、L3、およびL4(31〜33)の修飾されたマレイミド環は、L1(30)中のマレイミド環と比較して、40℃でpH=6.5において5〜10倍より安定であり、40℃でpH=7.5の緩衝液で4〜15倍より安定であり、4℃でpH=7.5の緩衝液で最大20倍より安定であることが明白であった。グルタチオンコンジュゲーションの結果(表3A、3B、および3C中のデータを含む)は、IBC Conference、「Beyond Antibodies/Protein Engineering Design」、San Diego、2009年9月21〜23日において論じられた。
【0329】
【表4】
【0330】
(実施例42)
FGF21にコンジュゲートされたリンカーL1〜L4の安定性
FGF21にコンジュゲートした後の4つのリンカーの2週間にわたる化学的安定性を調査するために、以下の実験を実施した。各リンカーをFGF21にコンジュゲートさせ、+4℃の貯蔵条件に置き、特定の時点でアリコートを取り出し、凍結させることによって急冷し、リンカーの安定性をLCMS分析によってモニターした。
【0331】
4つのリンカーを、凍結乾燥ストック材料からDMSO中に溶解させた。FGF21ΔH−A129Cタンパク質を0.1mMのTCEPを用いて部分的に30分間還元した後、1:1のリンカー:タンパク質比でリンカーストックを付加した。コンジュゲーション反応におけるFGF21ΔH−A129Cタンパク質濃度は、5mg/mlであった。L1は、30分間タンパク質と反応させ、L2、L3、およびL4は、2時間反応させた。コンジュゲーション反応は、サイズ排除樹脂を通じて過剰のリンカーを除去することによって停止させた。コンジュゲートされたFGF21ΔH−A129Cタンパク質を、安定性試験のために+4℃に置いた。t=0(安定性試験の前)、ならびにt=1日、3日、8日、および14日にアリコートを取り出した。リンカー安定性の分析を、LC−MS分析によって実施することによって、未コンジュゲートタンパク質、タンパク質+リンカーコンジュゲーション、ならびにコンジュゲートされたタンパク質+リンカーの1回および2回の加水分解事象の相対量を判定した。
【0332】
リンカーの加水分解は、本実験において極めて重要な分析的変量である。加水分解は、FGF21−リンカー複合体へのH
2Oの後続の付加を観察することによってモニターした。H
2Oの1つの付加、+(1)H
2Oは、4つすべてのリンカー上に存在する活性なAZD基の加水分解を示す可能性が高い。第2のH
2O分子の付加、+(2)H
2Oは、リンカー中の加水分解(例えば、化学的不安定性)の強い指標である。L1は、マレイミド官能基が存在するので特に感受性である。
【0333】
以下の表4中の実験結果は、L1が+(2)H
2Oの最大の増加を起こすことを実証する。t=0において、L1〜L4のそれぞれは、測定される全タンパク質の6〜8%の間の+(2)H
2Oの測定値を有していた。2週間の間、これらの試料をモニターし、L1において観察された+(2)H
2Oは、18%まで増加した一方で、残りのリンカーL2〜L4のそれぞれの値は、6〜8%で一定であった。このデータは、L1がL2〜L4と比較して相対的に不安定であることを示唆する。
【0334】
【表5】
【0335】
(実施例43)
L1〜L4とコンジュゲートされたAb−FGF21ΔH−A129C
L2〜L4は、様々な条件(表3A〜Cを参照)下でのグルタチオンコンジュゲーション、およびFGF21(表4)を用いて、L1より安定であることが先に示された。修飾されたマレイミドリンカーL2〜L4は、FGF21ΔH−A129Cと融合させ(表5に示したコンジュゲーション効率)、Glut1 Taqmanアッセイにおいて活性を示した(表5):EC
50値は、FGF21ΔHについての相対値に対して正規化されている)。
【0336】
【表6】
【0337】
しかし、前述の意に反して、Ab−L2−FGF21ΔH−A129C、Ab−L3−FGF21ΔH−A129C、Ab−L4−FGF21ΔH−A129Cは、それぞれ、Ab−L1−FGF21ΔH−A129Cよりインビボで不安定であった。これは、IV投薬後の血液循環中のより低い維持レベル、ならびにSC投薬後の血液循環中のより低いピークおよび維持レベルとして明白であった(
図2A〜C、表6)。意外にも、これらの結果は、緩衝系において小ペプチドに融合されたリンカーを用いて行った安定性試験の結果と逆になった。
【0338】
【表7】
【0339】
これらの結果は、マウス血清中での追加の試験において裏付けられた。FGF21ΔH−A129Cを、L1、L2、L3、およびL4のそれぞれを使用してh38C2にコンジュゲートさせた。各試料をマウス血清中で希釈して0.3mg/mlにし、37℃でインキュベートした後凍結させ、その後2DLC/MSによって分析した。参照標準と比較して、Ab−L1−FGF21ΔH−A129Cは、5分後に149%、34時間後に66%、72時間後に81%で検出され、120時間までに検出不可能であった。対照的に、Ab−L2−FGF21ΔH−A129C、Ab−L3−FGF21ΔH−A129C、Ab−L4−FGF21ΔH−A129Cは、すべての試料中で検出不可能であった。
【0340】
(実施例44)
L1&L2とコンジュゲートされたAb−FGF21ΔH−A129Cのラット試験
FGF21タンパク質を抗体骨格にコンジュゲートさせるのに使用したリンカーが異なる2つのバージョンのAb−FGF21ΔH−A129Cの単回用量薬物動態(PK)を、雄のスプラーグドーリーラットにおいて求めた。ラットにAb−L1−FGF21ΔH−A129C(マレイミドリンカー)またはAb−L2−FGF21ΔH−A129C(メチルマレイミドリンカー)をIVまたはSC投与し(3mg/kg)、投与して5分後〜14日後の期間で血液試料を抜き取った。血清Ab−FGF21ΔH−A129CレベルをELISAによって判定し、ELISAにおいて、FGF21コンジュゲートは、FGF21に特異的なモノクローナル抗体を介して捕捉し、抗ヒトFcによって検出した。得られたPKデータは、Ab−L1−FGF21ΔH−A129Cコンジュゲートは、Ab−L2−FGF21ΔH−A129Cコンジュゲート(T
1/2:IV=52時間、SC=33時間;SCバイオアベイラビリティー=36%)と比較すると、優れたPK特性(T
1/2:IV=60時間、SC=38時間;SCバイオアベイラビリティー=52%)を有することを実証した(
図3Aおよび表7)。これらの結果は、小ペプチドに融合されたこれらのリンカーを用いて緩衝系において行った安定性試験の結果を考慮すると予想されなかった。
【0341】
【表8】
【0342】
(実施例45)
Glut1 RNAに対するL1およびL2を用いたAb−FGF21ΔH−A129Cの効果
8日目に、24ウェル組織培養プレート(Falcon(登録商標)、カタログ番号353047)中に3T3−L1脂肪細胞を播種し、DMEM完全培地(10%のFBS、2mMのL−グルタミン、1%のP/S)中で、37℃、5%のCO
2でインキュベートした。0.2%のBSAを含む無血清DMEM培地で一晩細胞を飢餓にし(12日目)、Ab−L1−FGF21ΔH−A129CおよびAb−L2−FGF21ΔH−A129Cを用いて、0.2%のBSAを含有する無血清DMEM中で、37℃で6時間処理した。培地を吸引し、次いで、製造者の指示書に従ってRNeasyミニキットを使用して、RNAを細胞から抽出した。Spectramax(登録商標)Plus分光光度計を使用してA260nmでRNAを測定した。
【0343】
【表9】
【0344】
FGF21ΔH、FGF21ΔH−A129C、Ab−L1−FGF21ΔH−A129C、およびAb−L2−FGF21ΔH−A129Cによって3T3−L1脂肪細胞を刺激すると、用量依存的にGlut1が誘導された。Ab−L1−FGF21ΔH−A129Cは、Ab−L2−FGF21ΔH−A129Cより効力があると考えられた(表8)。
【0345】
(実施例46)
リンカー長試験
リンカー長のトレランスを評価するために、Ab−L1−FGF21ΔH−D79C、Ab−L7−FGF21ΔH−D79C、およびAb−L8−FGF21ΔH−D79Cを互いに試験した。すべてが、細胞ベースアッセイにおいて同様のPK(
図3Bおよび表9)ならびに同等の効力(データを示さず)を示した。
【0346】
【表10】
【0347】
(実施例47)
残基位置およびリンカー選択の要約
H1C、T40C、D79C、L86C、H125C、およびA129Cを、チオール−マレイミドコンジュゲーションストラテジーを使用して、潜在的なコンジュゲーション部位として試験した。これらのうちで、H1C、T40C、およびL86Cは、発現および再折りたたみに問題を示した。D79C、H125C、およびA129Cは、すべてが許容できるレベルのタンパク質生成を示し、未コンジュゲート突然変異タンパク質は、効力があるままであることを実証したので、さらに探求した。Ab−FGF21ΔH−D79C、Ab−FGF21ΔH−H125C、およびAb−FGF21ΔH−A129Cは、FGF21ΔHと同様の生物活性を示し、これらの位置での抗体のコンジュゲーションは、受容体結合を妨害しないことを示唆した。D79C、H125C、およびA129Cは、FGF21ΔHと同様の安定性および生物活性を有する。
【0348】
試験したすべてのリシン突然変異体抗体コンジュゲートは、H125CおよびA129C抗体コンジュゲートより劣ったマウスのPKを示し、IV半減期は13〜17時間であった(表10)。
【0349】
【表11】
【0350】
Ala129は、溶媒にそれほど曝露されておらず、D79またはH125より溶媒に曝露されていないが、FGF21ΔH−A129Cは、意外にも、最も安定な突然変異体および抗体コンジュゲーションついて試験した最良の位置の1つであった。これは、突然変異が非保存的であるので予期されなかった。理論によって束縛されることを望まないが、A129Cにおいてコンジュゲートすることの独特の適性についていくつかの可能な理由が存在する。第1に、Ala129およびHis125はともに、FGF21のモデル化された構造において柔軟であるループ領域内に位置する。これらの領域は通常、他のヘパリン結合FGFメンバーのためのヘパリン結合部位である。FGF19、FGF21、およびFGF23は、ヘパリンと相互作用しないので、この領域の配列忠実度を維持することは、これらの生物学的機能にとって極めて重要ではない場合がある。この位置の柔軟性は、受容体結合の妨害を回避するための抗体−コンジュゲーションにとって有利となり得る。第2に、Ala129は、正に帯電した残基、すなわち、His125、Arg126、Arg131、およびArg135によって囲繞されている。この正に帯電したパッチは、強い帯電反発のためにFGF21ΔH−A129CのSS−二量体化を回避することができる。第3に、これらの帯電残基は、マレイミドリンカーL1の安定化を促進することができ、これは、これらが存在しない場合、マレイミドを開環した後にカルボキシレートを生成し得る。したがって、マレイミド連結ストラテジーを使用してFGF21をコンジュゲートする場合、A129の特定の残基位置で連結することは、特に有利であると考えられる。
【0351】
Ab−L1−FGF21ΔH−A129CならびにAb−L1−FGF21ΔH−H125Cはともに、マウスモデルにおいて少なくとも30時間の高いIV半減期およびSC半減期、ならびに良好なバイオアベイラビリティーを示す。両コンジュゲートは、Glut1 Taqmanアッセイにおいて4nM未満の効力を実証する。一般に、Ab−L1−FGF21ΔH−A129Cは、Ab−L1−FGF21ΔH−H125Cと比較してわずかに改善された半減期および効力を示す。Ab−L1−FGF21ΔH−A129CにおいてL1を使用することはまた、インビトロ試験が示唆したものに対して意外なインビボでの利点を示し、試験したリンカーと比較して、全体的に最も有利なリンカーであると考えられた。
【0352】
Ab−L1−FGF21ΔH−A129Cの構成要素(抗体、リンカー、連結残基位置、連結残基、タンパク質)の特定の組合せは、半減期、バイオアベイラビリティー、効力、活性、生成の容易さ、および複数の選択肢と比較した加水分解に対する耐性において最適条件をもたらすと考えられる。
【0353】
(実施例48)
化合物の効力
化合物Ab−FGF21ΔH−K56およびAb−FGF21ΔH−Kヌル−H1Kで処置したob/obマウスにおいて糖耐性について試験した。両化合物は、Ab−FGF21ΔH−H125C(
図4Aおよび4B)およびAb−FGF21ΔH−A129C(
図5Aおよび5B)より劣っていた。対照的に、Ab−FGF21ΔH−D79CおよびAb−FGF21ΔH−H125Cは、糖耐性を改善し、体重増加を低減することが示された(
図4A、4B、6A、6B、6C、6D、および表11)。
【0354】
【表12】
【0355】
Ab−FGF21ΔH−A129Cは、ob/obマウスにおいて、糖耐性を改善することが判明し、白色脂肪組織(WAT)内でのUcp1発現の増大によって証明されるエネルギー消費量の増大により体重増加を低減し、肝脂肪変性を逆行させる(
図6E、6F、6G、6H、および表12)。Ucp1発現について、インビボでの効力試験から収集した凍結内臓WAT試料をホモジナイズした。トータルRNAを組織ホモジネートから抽出し、Glut1およびGAPDH mRNA発現を、Quantitect Probe RT−PCRキットを使用し、Taqman machine(Applied Biosystems)で定量的リアルタイムPCR反応を実行して測定した。各試料からのGAPDH mRNAレベルによって正規化されたGlut1 mRNAレベルの倍率変化によって、処置の効果を判定した。Ab−FGF21ΔH−A129Cは、WAT内でのUcp1発現の増大、DIOマウスにおける血清トリグリセリドレベルおよび脂肪酸レベルの低減、ならびに肝重量の減少によって示唆されるエネルギー消費量の増大により、体重減少を引き起こした(
図7A、7B、7C、7D、7E、および表13)。肝重量の低減も、ob/obマウスにおいて観察された(
図7Fおよび表14)。ob/obマウスにおいてさらに試験すると、ステアロイル−補酵素Aデサチュラーゼ−1(SCD1)、モノアシルグリセロールO−アシルトランスフェラーゼ(MOGAT2)、およびフォークヘッドボックスA2(FoxA2)のRNAレベルの低減が実証された(
図7G、7Hおよび7i、ならびに表15)。
【0356】
【表13】
【0357】
【表14】
【0358】
【表15】
【0359】
【表16】
【0360】
(実施例49)
エキセンジン4化合物に対するGSISアッセイ
ある特定のエキセンジン4相同体の、インビトロで膵β細胞からのインスリン分泌を刺激する能力を、グルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)アッセイを使用して試験した。簡単に言えば、関連したエキセンジン4相同体を、h38C2の両結合部位にコンジュゲートさせ、このコンジュゲート分子を、グルコースと一緒に、膵β細胞培養液に様々な濃度で加えた。インスリン分泌を、経時的にインスリンレベルを測定することによって検出した。EC50を各化合物について計算した。このアッセイの結果を以下の表16に示す。
【0361】
(実施例50)
エキセンジン4化合物に対する糖耐性試験(GTT)、体重変化、および食物摂取量
例示的なエキセンジン4相同体のインビボ効力を、単回投与または反復投与糖耐性試験パラダイムを使用して評価した。若い成体雄のob/obマウス(Jackson Laboratories、Bar Harbor、ME)に、0.2〜0.3mlの注射体積で、短時間マニュアル拘束を使用して、肩甲骨中央部の皮下に(SC)、本発明の試験化合物0.3mg/kgを投与した。無脂肪同腹子対照マウス(n=8/群、Jackson Laboratories、Bar Harbor、ME)に、ビヒクルを同様に投与した。食物摂取量および累積体重変化を、午前中に毎日モニターした(08:00−09:00H;06:00Hに点灯および18:00Hに消灯)。結果を0〜9日目の平均値として、および9日目の値として示す。各化合物を8〜10匹の動物で試験した。
【0362】
マウスを、標準プロトコールに従って経口糖耐性試験(OGTT)にかけた。簡単に言えば、コロニー内の点灯期の開始時に4〜5時間、マウスを絶食させた。この期間の最後(昼過ぎ)に、経口グルコースチャレンジ(1.5g/kg)の直前、およびその後の15〜120分の一定間隔でマウスを尾採血した。120分の時点の収集後に、食物をケージに戻した。グルコースレベルを、自己テスト血中グルコースメーターを使用して求め、経口グルコースチャレンジ後の時間の関数としてのグルコースの曲線下面積(AUC)を、線形台形方程式(linear trapezoidal equation)を使用して計算した。結果をビヒクル対照の%として計算した。これらを、48時間および72時間の試験について示す(表16)。
【0363】
【表17】
【0364】
23位で連結しても(配列番号47)、48時間において体重または摂食は減少せず、糖耐性は改善されなかった。17位、24位、38位、およびC末端で連結すると(配列番号51、46、39、および38)、72時間において体重および摂食が減少したが、糖耐性は改善しなかった。26位で連結すると(配列番号45)、48時間において、体重または摂食は減少しなかったが、糖耐性が改善された。12位、14位、19位、20位、および21位での連結について、明らかな利点が見られた。14位での連結は、最大の全体的な利点をもたらすと見られた。すべての例で、連結残基としてKまたはK(SH)残基を使用した。
【0365】
(実施例51)
非対称二機能性抗体コンジュゲートを生成するためのパラメータの評価
室温で製剤緩衝液(10mMのヒスチジン、10mMのグリシン、2%のスクロース、pH=7)中の[第2リンカー−Ex4]とAbとの間の異なる融合比を検査した。[第2リンカー−Ex4]の量が増えるにつれて、[Ab]−[第2リンカー−Ex4]
1の形成も増大し、約45%に留まった(表17)。[第2リンカー−Ex4]をさらに増やすと、[Ab]−[第2リンカー−Ex4]
2の量が増加した。
【0366】
【表18】
【0367】
Ab−[第2リンカー−Ex4]
1を形成するための[第2リンカー−Ex4]と[Ab](20mg/mL、0.6:1の比)のコンジュゲーションを、様々な共溶媒系を使用して検査した。これらの様々な共溶媒(表18に示した)を添加することによって、Ab−[第2リンカー−Ex4]
1の形成が改善され得るか否かを確かめた。共溶媒、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの濃度を5%から10%〜15%に増大させると、Ab−[第2リンカー−Ex4]
1の形成は影響されなかったが、Ab−[第2リンカー−Ex4]
2の形成および非コンジュゲート抗体の回収は確かに影響を受けた。有機共溶媒の量が増えるにつれて、より多い量の抗体が非コンジュゲートのままであったように思われる。同様に、共溶媒濃度が増大するにつれて、Ab−[第2リンカー−Ex4]
2の形成が減少した。エタノール、DMF、およびDMSOなどの共溶媒は、Ab−[第2リンカー−Ex4]
2の形成を阻害する一方で、プロピレングリコールは、Ab−[第2リンカー−Ex4]
1またはAb−[第2リンカー−Ex4]
2の形成にいずれの効果もなかった。分析は、HPLCを使用して行った。
【0368】
【表19】
【0369】
Ab−[第2リンカー−Ex4]
1の形成に対する尿素(0.5、1.0、および2M)ならびにEDTA(5、10、および15mM)の効果を検査した。尿素もEDTAもAb−[第2リンカー−Ex4]
1またはAb−[第2リンカー−Ex4]
2の形成に対して、いずれの顕著な効果も有さなかった。
【0370】
[第2リンカー−Ex4]および[Ab](20mg/mL)からのAb−[第2リンカー−Ex4]
1の形成に対する塩酸グアニジンの効果も、塩酸グアニジンの異なる濃度(0、0.2、0.4、および0.5M)、ならびに異なる比の[第2リンカー−Ex4]
1:Ab(0.85:1および1:1)で検査した。両方の比で、塩酸グアニジンの濃度を増大させると、Ab−[第2リンカー−Ex4]
2の形成が減少したが、Ab−[第2リンカー−Ex4]
1の収率を有意に改善することはできなかった。
【0371】
製剤緩衝液(10mMのヒスチジン、10mMのグリシン、および2%のスクロース、pH=7)を使用して、0.5:1、0.75:1および1:1の比の[第2リンカー−Ex4]と抗体(20mg/mL)とのコンジュゲーション反応に対するNaCl濃度(0、100、250、500mM)の効果を調査した。試験したNaCl濃度にわたるAb−[第2リンカー−Ex4]
1の生成において、有意な差異はまったく観察されなかった。
【0372】
製剤緩衝液(10mMのヒスチジン、10mMのグリシン、および2%のスクロース)を使用して、[第2リンカー−Ex4]
1と抗体(20mg/mL)とのコンジュゲーション反応に対するpHの効果を試験した。結果を表19に示す。[第2リンカー−Ex4]
1の形成は、pH=6.5および7で最高であった。
【0373】
【表20】
【0374】
[第1リンカー−FGF21]:[Ab]−[第2リンカー−Ex4]
1の比の系統的な調査を研究することによって、[FGF21−第1リンカー]
1−[Ab]−[第2リンカー−Ex4]
1の形成を評価した。表20は、[Ab]−[第2リンカー−Ex4]
1および[第1リンカー−FGF21]の濃度、ならびに[FGF21−第1リンカー]
1−[Ab]−[第2リンカー−Ex4]
1の形成を示す。比は、HICカラムを備えたHPLCを使用して確認した。[Ab]−[第2リンカー−Ex4]
1の濃度は、[第1リンカー−FGF21]の添加量が変化するにつれて変化した。これらの結果に基づくと、[FGF21−第1リンカー]
1−[Ab]−[第2リンカー−Ex4]
1形成の最大効率は、[Ab]−[第2リンカー−Ex4]
1の濃度が約2mg/ml〜約5mg/mlの間であり、[第1リンカー−FGF21]の量が、[Ab]−[第2リンカー−Ex4]
1と比較して約3〜約6倍の間で過剰であるとき実現されたように思われる。
【0375】
【表21】
【0376】
FGF21ΔH−A129C内部の内部ジスルフィド結合に影響を及ぼすことなく、FGF21ΔH−A129C二量体間の相互ジスルフィド結合を破壊するのに要求されるTCEPの濃度を研究した。結果を表21に示す。20mMのトリス、50mMのNaCl、pH=7(約2mg/mL)中にFGF21ΔH−A129Cを含有する試料を、様々な濃度のTCEPで30分間処理した。試料をLC−MSによって分析した。データに基づくと、0.3mMのTCEPが、内部ジスルフィド結合に影響を及ぼすことなく、FGF21ΔH−A129Cタンパク質間の相互ジスルフィド結合を破壊するのに最適な濃度である。
【0377】
【表22】
【0378】
ジスルフィド内結合の還元を、3つの異なるTCEP濃度を使用して、140分にわたってHPLCを使用して追跡した。すべての内部ジスルフィド結合が、TCEPを使用して30〜40分以内に切断された。これらの実験は、相互ジスルフィド結合が、0.3mMのTCEPを使用して30分以内に切断され得ることを示唆する(表22)。
【0379】
【表23】
【0380】
(実施例52)
非対称二機能性コンジュゲートの生成(ストラテジー1)
H38C2+エキセンジン4の反応:h38C2(配列番号25および配列番号26)2.76グラム(10mMのヒスチジン、10mMのグリシン、2%のスクロース、pH6.5、136mL中)を、脱イオン水1.29ml中で、リンカーL1にコンジュゲートしたEx4ペプチド(ペプチド連結残基としてK(SH)を有する配列番号64)62.3mg(濃度10mM)で処理し、室温で一晩放置した。少量の材料を、HIC−ブチルカラムを備えた高速液体クロマトグラフィー、および質量分析を使用して分析することによって、Ab−[L1−配列番号64]
1の形成をモニターした。
【0381】
Ab−エキセンジン4 1FA種の抽出:抗体、Ab−[L1−配列番号64]
1、およびAb−[L1−配列番号64]
2の混合物を含有する粗反応混合物(10mMのヒスチジン、10mMのグリシン、2%のスクロース、pH=6.5でできた緩衝液136mL中2.7グラム)を、緩衝液(50mMのリン酸ナトリウム、1Mの塩化ナトリウム、pH=7.0)409mLで希釈し、CMセファロース樹脂681mLを充填したカラムに装填した。溶媒A(0.75Mの硫酸アンモニウムおよび50mMのリン酸ナトリウム、pH=7.0)中の、溶媒B(50mMのリン酸ナトリウム、pH=7.0+20%のイソプロパノール)の勾配を使用して、生成物を画分で(fractionwise)溶出した。Ab−[L1−配列番号64]
1を含有する画分を合わせた(1100mL)。50KDの膜を備えた限外濾過−透析濾過デバイスを1Nの水酸化ナトリウムで衛生化し、pH=7.0の、20mMの2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオール、50mMの塩化ナトリウムを含有する緩衝液で平衡化した。Ab−[L1−配列番号64]
1を含有する上記でプールした画分を、20mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、50mMの塩化ナトリウム、pH=7.0を使用して緩衝液交換し、62mLに濃縮し、0.2umのフィルターに通して濾過することによって、pH=7.0の20mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン+50mMの塩化ナトリウム中でAb−[L1−配列番号64]
1 1.02gを得た。
【0382】
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)分離は、固定相と分子の疎水性特性との相互作用に基づく。抗体h38C2は、Ab−[L1−配列番号64]
1より疎水性が低く、Ab−[L1−配列番号64]
1は、Ab−[L1−配列番号64]
2より疎水性が低い。溶出の間、未反応抗体がより早く溶出し、その後にAb−[L1−配列番号64]
1が続く。Ab−[L1−配列番号64]
2が最後に溶出する。抗体とペプチドの比を調整することによって、上述した3つの異なる化合物の%を変更することができる。
【0383】
未反応抗体を単離し、UF/DFにかけ、10mMのヒスチジン、10mMのグリシン、2%のスクロース、pH=6.5の緩衝液中に取り入れた。この単離抗体をEx4ペプチド(ペプチド連結残基としてK(SH)を有する配列番号64)と再び融合させ、精製した。本発明のいくつかの態様では、これを3回繰り返すことによって、約70%のAb−[L1−配列番号64]
1を得ることができる。
【0384】
FGF21+リンカー:FGF21ΔH−A129C(pH=7.0の、20mMのトリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン+50mMの塩化ナトリウム105mL中715mg)を、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)(0.3mMの溶液)で40分間処理した。FGF21ΔH−A129Cは、129位の未反応チオールに起因する二量体形成の問題を有する場合があり、それは、生成と後続のリンカーへの結合との間で未反応タンパク質が蓄えられる場合、特に不利となり得る。この問題は、約0.1mMの最終濃度までTCEPを添加することによって克服することができる。
【0385】
L1(3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)−N−(2−(2−(3−オキソ−3−(4−(3−オキソ−3−(2−オキソアゼチジン−1−イル)プロピル)フェニルアミノ)プロポキシ)エトキシ)エチル)プロパンアミド(ジメチルスルホキシド2.57mL中27.2mg)を、FGF21ΔH−A129C溶液に添加し(およそ2:1のリンカー:タンパク質のモル比で)、断続的に回旋しながら室温で30分間放置した。L1は一般に、100%のDMSO中で、10mM(48.28mg/ml)で維持したが、他の溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、水、プロピレングリコール、およびこれらの混合物なども適している。L1は、メタノール中およびエタノール中の両方で加水分解を起こす潜在性を有する。L1の溶解度は、ジメチルスルホキシド中およびジメチルホルムアミド中の両方でより高い。ジメチルスルホキシドは、リンカー−タンパク質コンジュゲーションで使用される緩衝系と容易に混合するので、ジメチルスルホキシドがL1原液を調製するのに好適である。
【0386】
UFDF膜を1Nの水酸化ナトリウムで30分間衛生化し、pH=7.0の、20mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン+50mMの塩化ナトリウムで平衡化した。上記FGF21ΔH−A129Cインキュベーション混合物を、UFDFを使用して濃縮することによって、緩衝液81mL中の[L1−FGF21ΔH−A129C]613mgを得た。
【0387】
[L1−FGF21ΔH−A129C]溶液を、pH=7.0の、20mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン+50mMの塩化ナトリウム42mLで希釈し、Ab−[L1−配列番号64]
1(pH=7.0の、20mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン+50mMの塩化ナトリウム61mL中、1.02g)に添加し、反応混合物を一晩放置した。次いでこのインキュベーション混合物(184mL)を、緩衝液A(0.75Mの硫酸アンモニウム+50mMのリン酸ナトリウム、pH7.0)366mLで希釈し、緩衝液A中の緩衝液B(50mMのリン酸ナトリウム+20%のイソプロパノール、pH=7.0)を使用して、HIC−ブチルカラムで精製した。HIC−ブチルカラムは、商業的生産に適した量にスケールアップするのに適しているという利点を有することが判明した。[FGF21ΔH−A129C−L1]
1−Ab−[L1−配列番号64]
1分子を含有する画分を収集して970mLを得た。
【0388】
UF/DF 50kD 50cm
2カセットを1Nの水酸化ナトリウムで衛生化し、UF/DF膜を、pH=7.0の、20mMの2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオール、50mMの塩化ナトリウムを含有する緩衝液で平衡化した。上記合わせた画分を、UF/DF膜、および20mMのトリス、50mMの塩化ナトリウム、pH=7を使用して濃縮することによって、0.2umのフィルターに通して濾過した緩衝液67mL中の[FGF21ΔH−A129C−L1]
1−Ab−[L1−配列番号64]
1 594mgを得た。
【0389】
濃縮した後、試料を0.2umの膜に通して濾過し、4℃で貯蔵した。最終的な試料をエンドトキシンについて分析し、純度および構造上の同一性をブチルHIC HPLCおよび質量分析計で確認した。HIC−ブチルカラムを備えたHPLCを使用して試料を分析すると、およそ78%の[FGF21ΔH−A129C−L1]
1−Ab−[L1−配列番号64]
1および約22%の未反応Ab−[L1−配列番号64]
1の収率が示された。
【0390】
(実施例53)
ABC分子を開発するための代替のストラテジー
本発明は、Ab−[Ex4−第2リンカー]
1が[FGF21−第1リンカー]にコンジュゲートされるコンジュゲーションプロセスのための第1のストラテジー(ストラテジー1)を提供する。このプロセスは、有利であるが、最終的な二重特異性抗体ABC−1のために、一方のHICがAb−[Ex4−第2リンカー]
1のためであり、他方が生成物ABC−1を精製するためである、2つの高分解能クロマトグラフィーステップを必要とする。いくつかの好都合な態様では、このプロセスにより、14%の未反応Ab−[Ex4−第2リンカー]
1プロセス中間体、および低収率の他の不純物を伴って、74%の純度を有する最終生成物ABC−1が得られる。
【0391】
本発明は、ストラテジー2による、非対称二機能性抗体コンジュゲートを生成する代替法も提供する。ストラテジー2は、ストラテジー1に対して、FGF21化学量論比を劇的に改善し(ストラテジー2における約1.25倍のモル比対ストラテジー1における3倍)、必要とされるFGF21の量を低減し、著しいコスト削減をもたらすという著しい利点をもたらす。
【0392】
ストラテジー2はまた、クロマトグラフィーステップを、Ab−[配列番号10−L1]
1プロセス中間体を精製するためのわずか1回のHICクロマトグラフィーに低減した。ABC−1を形成するための[L1−配列番号64]のAb−[配列番号10−L1]
1中間体とのコンジュゲーション効率は、ストラテジー2において十分規定された出発材料[L1−配列番号64]を使用してほぼ完全であった。
【0393】
ブチル650S逆相クロマトグラフィーステップを展開することによって、プロセス中間体としてAb−[配列番号10−L1]
1を生成した。単一のコンジュゲートされたAb−[配列番号10−L1]
1種が、溶出ステップにおいて90%超の高収率および90%超の高純度で選択的に回収され、遊離[配列番号10−L1]、二量体[配列番号10−L1]
2、二重コンジュゲートされたAb−[配列番号10−L1]
2、凝集体、および遊離h38C2種を含む他のコンジュゲーション反応種から十分に分割された。プロセスのスケールアップは、19Lのスケールで順調に実証された。
【0394】
第2のコンジュゲーションからの過剰の[L1−配列番号64]をフロースルーCapto−Qクロマトグラフィーにより急速に除去することによって、二重特異性抗体ABC−1を精製した。ストラテジー2は、ABC−1への完全反応性h38C2から計算して約40%という前例のない収率、およびSECによる約91%のABC−1という優れた純度を実証した。全体的なプロセス効率は、高価な材料のFGF21の利用を低減し、クロマトグラフィーステップを最少化することによって劇的に増大した。
【0395】
(実施例54)
ABCのためのコンジュゲーションパラメータの改善
Ab−[FGF21−リンカー]
1の収率に対する[FGF21−リンカー]:Abのモル比の効果
Ab−[配列番号10−L1]
1プロセス中間体の収率を最大にするための[FGF21−第1リンカー]:Abの様々な比の予備評価を実施した。[FGF21−第1リンカー]:Abの最適なモル比は、約1.25:1であり、約1.5:1〜約1:1が許容できる範囲であった(表23を参照)。約1.25:1の比により、所望の中間体について約42%の収率が得られ、凝集体は、最低の%であった。
【0396】
【表24】
【0397】
Ab−[FGF21−リンカー]
1のための緩衝液、pH、およびコンジュゲーション温度のスクリーニング
緩衝液MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)およびリン酸塩、pH(pH6&7)、ならびに温度(RT対4℃)を含めた、コンジュゲーション効率を改善するための様々なパラメータをスクリーニングした。結果(表24)は、%凝集体が、MESおよびリン酸塩緩衝液の両方について、pH、温度、および様々な濃度範囲にわたって安定なままであることを示した。RTで100mMのリン酸塩緩衝液、pH6.0により、他の条件と比較して有意により多いAb−[FGF21]
1が得られた。4℃でのコンジュゲーションは、同様の生成物プロファイルを示したが、h38C2−[配列番号10−L1]
1の収率はより低かった。h38C2−[配列番号10−L1]
1のコンジュゲーションのための許容できる操作条件は、約25mM〜約150mMの間の濃度で、約5.5〜約7.5、または約6.0〜約7.0のpH範囲で、約0℃〜37℃の間、好ましくは約4℃〜約RTの間で、MESまたはリン酸塩緩衝液を使用することと特定された。h38C2−[配列番号10−L1]
1の最適なコンジュゲーション条件は、RTで約6.0〜約6.5のpH範囲を有する約100mMのリン酸塩緩衝液から構成された。
【0398】
【表25】
【0399】
Ab−[FGF21−リンカー]
1の時間経過試験:[FGF21−第1リンカー]のh38C2とのコンジュゲーションのモデル化で使用するために、時間経過試験を行った。表25に示したように、RTで18時間後に、h38C2−[配列番号10−L1]
1中間体のコンジュゲーション効率が最大に達した。したがって、コンジュゲーション反応は、少なくとも30分、少なくとも約60分、少なくとも約90分、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約18時間、および少なくとも約24時間からなる群から選択される時間にわたって実施することができる。
【0400】
【表26】
【0401】
FGF21−リンカーのためのコンジュゲーション条件の微調整:様々な最適化された緩衝液およびpHを用いて、実験室のスケールアップを異なるスケールで実施した。h38C2−[配列番号10−L1]
1のためのコンジュゲーション効率は、約40%〜約45%の範囲内で同等のままであった(表26)。配列番号10−L1の反応基の加水分解が経時的に起こるので(表27)、配列番号10−L1の活性化後透析濾過は、約2〜約10℃の間で操作されるべきである。活性化後透析濾過をした後の配列番号10−L1の量は、異なる実験で変動し、この差異は、h38C2−[配列番号10−L1]
1のコンジュゲーション効率の変動の一因となり得る。約100mMのリン酸塩、pH約6.3により、再利用目的のために最少の凝集体および最高の%h38C2が残った。
【0402】
【表27】
【0403】
【表28】
【0404】
[第2リンカー−Ex4]およびAb−[FGF21−リンカー]
1のコンジュゲーションのための緩衝液およびpHのスクリーニング:活性化された[配列番号10−L1]およびh38C2を伴う第1のコンジュゲーションステップからのコンジュゲーション反応溶液をブチル650S逆相クロマトグラフィーステップで精製することによって、h38C2−[配列番号10−L1]
1を生成した。次いでこの材料を、適当な緩衝液(30mMの乳酸ナトリウム、pH4.8または20mMのグルタミン酸ナトリウム、pH4.5)中に透析濾過した。L1などのリンカーのAZD環と配列番号26のK
99との間の自発的選択的融合反応は、通常、pH6.5で起こるが、pH4.5で起こらない。h38C2−[配列番号10−L1]
1の[L1−配列番号64]へのコンジュゲーションのための最適なpHパラメータを調査した。100mMのMES緩衝液、pH7.0を使用して、h38C2−[配列番号10−L1]
1溶液のpHを調整した。結果(表28および29)は、pH約6.0〜pH約6.5の間の最適範囲を示した。より高いコンジュゲーション効率がMES/乳酸塩緩衝液中で実現された。ABC−1([配列番号10−L1]
1−h38C2(IgG1)−[L1−配列番号64]
1)の優れた融合効率は、[第2リンカー−Ex4]:Ab−[FGF21−第1リンカー]=約1.3:1のより高いモル比を使用して実現した。
【0405】
【表29】
【0406】
【表30】
【0407】
[第2リンカー−Ex4]
1−Ab−[FGF21−リンカー]
1の時間経過試験:h38C2−[配列番号10−L1]
1の[L1 配列番号64]とのコンジュゲーションのモデル化で使用するために、時間経過試験を行った。表30に示したように、RTで18時間後に、h38C2−[配列番号10−L1]
1のコンジュゲーション効率が最大に近づいた。
【0408】
【表31】
【0409】
(実施例55)
FGF21のリンカーへのコンジュゲーション
FGF21の単量体と二量体の比を実験前に確かめた。FGF21 RHPLC分析により、単量体:二量体比は、27%:73%であることが示された。0.207mMの配列番号10(20mMのトリス、50mMのNaCl、2.346L、pH7.0中17.1g)を、280nmの吸光度によって測定して、標的濃度の4g/Lまで100mMのMES緩衝液、pH7.0(1.920L)で最初に希釈した。次に、TCEP原液(50g/L)7.631mLを添加した。この混合物を5分間完全に混合し、次いで混合を周囲条件で低減させた。反応は、90分間続いた。TCEPで還元した後、試料をFGF21 RFによって分析し、工程内管理として単量体:二量体比が89%:6.3%であることが示された。
【0410】
90分後に、L1(656.7mg)をDMSO 8.76ml中に溶解させ(L1の最終濃度は、0.29mM、または約0.15mg/mlであった)、この溶液を配列番号10の溶液に添加した。L1の容器に緩衝液を流すことによって、すべてのL1が添加されたことを保証した。活性化は、L1のすべてを配列番号10のプールに添加した後、開始した。反応物を5分間完全に混合し、次いで混合をRTで低減させた。配列番号10とリンカーL1との反応を完了するために、この混合物を回旋させながらRTで30分間放置した。活性化温度は、必要であれば下げることができる。FGF21逆相HPLC(RP)によるさらなる分析により、[配列番号10−L1]の73%の形成が示された。
【0411】
上記試料をUF/DFにさらに通過させることによって、過剰のリンカーおよびTCEPを除去した。膜を1NのNaOHで30分間衛生化し、この溶液を切り、100mMのMES、pH7.0で平衡化した。緩衝液の100mMのMES、pH7.0を透析濾過に使用した(7×透析濾過)。透析濾過は、4g/Lの保持液濃度で行った。発泡および飛沫を、UF/DFの間に回避することができる。[配列番号10−L1]の反応基の加水分解が、透析濾過プロセスにわたって起こった。活性化後DFプールのホールドタイムは、最小限にするべきである。UFは、10KのSartorius Hydrosart膜を使用して、2〜10℃で操作することができる。FGF21 RPによって確認した、合わせた種[配列番号10−L1]は、UF/DF後に73%から64%に下がった。
【0412】
濃度は、配列番号10(濾過したQ Sephプール)および[配列番号10−L1](活性化後UF/DFプール)の両方について1mgに等しい0.47ODの吸光係数を使用して、UV280nmによって推定した。この反応機構およびその変形、ならびに他のFGF21変異体およびリンカーも、ストラテジー1で使用するのに適している。
【0413】
(実施例56)
[FGF21−リンカー]のAbへのコンジュゲーション
h38C2(配列番号25および配列番号26:10mMのヒスチジン、10mMのグリシン、pH6.5中、17.05g/L、5.6L)95.0gを、100mMのリン酸塩緩衝液(14.4L、pH6.2)で希釈した。次いで、100mMのMES緩衝液、pH7.0中の[配列番号10−L1]17.72g(4.4g/L、3.8L、1.35モルの[配列番号10−L1]:1モルのh38C2)を、h38C2混合物に添加した。最終的な反応混合物は、RTで約4g/Lのh38C2となり得る。[配列番号10−L1]成分を添加した後、反応が開始した。反応物を約5分間完全に混合し、次いで混合をRTで低減させた。この混合物を、穏やかに撹拌しながら、RTで一晩、約15〜約20時間の間放置した。少量の材料を採取してSECクロマトグラフィーにより分析することによって、混合物中のh38C2−[配列番号10−L1]
1コンジュゲートの形成を確認した。SEC分析により、表33に示したように、h38C2−[配列番号10−L1]
1のコンジュゲーションステップ収率が40%であると示された。コンジュゲーションステップ収率は、SEC(%)によるh38C2−[配列番号10−L1]
1の結合価の純度として計算した。
【0414】
(実施例57)
反応性Ab−[FGF21−リンカー]
1プロセス中間体の濃縮
h38C2−[配列番号10−L1]
1を、20cmのベッド高まで充填された直径35cmのXKカラムを使用して、東ソーブチル650S樹脂を充填した19Lスケールのカラムを使用して濃縮した。カラムは、3CV(カラム体積)のWFIおよび5CVの50mMのリン酸ナトリウム、pH7.0でプレ平衡化し、洗浄した。h38C2−[配列番号10−L1]
1の濾過済みコンジュゲーションプールを、17℃で、ブチル650Sカラム上に5mg/mLで装填した。次いで、ブチル650S装填物を、17〜18℃で、自動クロマトグラフィースキッド上で、プログラムされたUnicorn法を使用して、Tosohブチル650S樹脂に通して処理した。溶出は、直線勾配、すなわち、最初に7CVでの2.4%の1,6ヘキサンジオールアイソクラチック洗浄(88%の緩衝液A(50mMのリン酸ナトリウム、pH7.0)および12%の緩衝液B(50mMのリン酸ナトリウム、20%のヘキサンジオール、pH7.0))、その後に、11CVでの88%のA+12%のB〜60%のA+40%のBの溶出勾配;5CVでの60%のA+40%のBの勾配保持を使用して実施した。画分を収集し、純度についてSECアッセイにより分析することによって、どの画分をプールするかを判定した。最終プールのSEC分析結果を表31に示す。h38C2−[配列番号10−L1]
1は、溶出ステップにおいて、カラム上に装填されたh38C2−[配列番号10−L1]
1種の約90%の回収率に対応する高い収率で、かつまた90%超の高純度で選択的に回収され、遊離[配列番号10−L1]、[配列番号10−L1]
2二量体、h38C2−[配列番号10−L1]
2、凝集体、および遊離h38C2(+0 FGF21)種を含む他のコンジュゲーション反応種から十分に分割された。ブチル650Sクロマトグラフィーからの画分を一緒にプールし、さらに濃縮し、透析濾過した。濃度は、タンパク質1mgに等しい1.47の吸光度を使用して、UV280nmによって推定した。
【0415】
【表32】
【0416】
(実施例58)
[第2リンカー−Ex4]のAb−[FGF21−リンカー]
1へのコンジュゲーション
30mMの乳酸ナトリウム緩衝液、pH4.8中のh38C2−[配列番号10−L1]
134.6g(9.7g/L、3.569L)を、25mMのMES緩衝液、pH7.0(2.1L)で処理することによって、pHを6.3に調整した。次いで、WFI(注射用水)90.2ml中に溶解させた[L1−配列番号64]1.81g([L1−配列番号64]の最終濃度は、0.065mM、または約0.31mg/mlであった)を、h38C2−[配列番号10−L1]
1溶液に添加した。[配列番号10−L1]の容器に緩衝液を流すことによって、すべてのペプチドが添加されたことを保証した。最終的な反応混合物は、h38C2−[配列番号10−L1]
1について6.0g/Lとなり得る。反応物を約5分間完全に混合し、次いで混合をRTで低減させた。この混合物を、穏やかに撹拌しながら、RTで一晩、約15〜約20時間の間放置した。少量の材料を採取してHICクロマトグラフィーにより分析することによって、[配列番号10−L1]−[配列番号:25および26]−[L1−配列番号64]
1(ABC−1)の形成を確認した。HIC分析により、(ABC−1)の90%の収率が示された。コンジュゲーションステップ収率は、HIC(%)による[配列番号10−L1]−[配列番号:25および26]−[L1−配列番号64]
1(ABC−1)の+2結合価の純度として計算した。
【0417】
過剰の[L1−配列番号64]を、陰イオン交換クロマトグラフィーCapto Qを使用して除去し、Capto Qクロマトグラフィーからの画分を一緒にプールし、さらに濃縮し、透析濾過することによって、最終的な原薬を得た。
【0418】
(実施例59)
フェニル650Sカラムを使用する完全反応性Abの濃縮
完全反応性Ab(h38C2)を、14cmのベッド高まで充填された直径30cmのカラムを使用して、Tosohフェニル650S樹脂を充填した9.5Lスケールのカラムを使用して濃縮した。カラムは、2CV(カラム体積)のWFIおよび5CVの20mMのリン酸ナトリウム、1MのNaCl、pH7.0でプレ平衡化し、洗浄した。h38C2プール(153g)を、RTで、フェニル650Sカラム上に15mg/mLで装填した。次いで、h38C2装填物を、自動クロマトグラフィースキッド上で、プログラムされたUnicorn法を使用して、Tosohフェニル650S樹脂に通して処理した。溶出は、最初に20mMのリン酸ナトリウム、1MのNaCl、pH7.0を使用する1CVの洗浄、次いで7CVで100%のA(20mMのリン酸ナトリウム、1MのNaCl、pH7.0)から67%のB(20mMのリン酸ナトリウム、pH7.0)、6CVについて67%のBで保持、次いで3CVで100%のBへの減塩、その後に、1CVで100%のBから70%のC(20mMのリン酸ナトリウム、20%のヘキサンジオール、pH7.0)の溶出、次いで、5CVについて70%のCでの勾配保持を用いて実施した。画分を収集し、純度についてHICアッセイにより分析することによって、どの画分をプールするかを判定した。完全にコンジュゲート可能なh38C2は、所望の最終生成物をもたらす後続のバイオコンジュゲーションステップのフィード材料として機能を果たすことができる。
【0419】
結論:ABC−1バイオコンジュゲート二重特異性抗体原薬の生産プロセスの一部として、3つのコンジュゲーションステップを開発した。最終的な原薬の生成をもたらすはずであるプロセス中間体をコンジュゲートおよび精製するのに、2つの異なるストラテジーを探索した。ストラテジー2は、実験室内で順調にスケールアップされ、試行の繰り返しに対して一貫して機能した。
【0420】
(実施例60)
Ab−[配列番号10−L1]
1精製のためのブチルRPの最適化
実験プロトコール:
クロマトグラフィー実験を、以下に示すプロトコールおよび操作条件を使用して、4mLまたは103mLのスケールで実施した。
4mLのカラム−周囲条件下で操作される直径0.5cm×高さ20cm
緩衝液A:50mMのリン酸塩、pH7.0
緩衝液B:50mMのリン酸塩、pH7.0、20%の1,6−ヘキサンジオール
緩衝液C:50mMのリン酸塩、pH6.5
流量:125cm/時間
洗浄および勾配にわたる2mLの画分を、VWR製のディープウェルマイクロタイタープレートを備えたFrac950を使用して収集した。
【0421】
【表33】
【0422】
各カラム実行(column run)は、3カラム体積(CV)で、WFIでプレ平衡化した。平衡化は、5CVで行い、その後、カラムにFGF21コンジュゲーションプールを4mg/mlで装填した。勾配溶出ステップの間に、任意の所与のステップでカラムが経験する移動相組成は、特定の比で混合されている緩衝液Aと緩衝液Bの混合物として表現される。例えば、12%のBから40%のBへの勾配ステップは、11カラム体積の長さにわたって、12%のB+88%のAの混合物の組成から開始して、40%のB+60%のAの最終組成まで時間とともに直線的に変化することを意味する。勾配溶出ステップの後、各カラム実行に5CVの100%の緩衝液Bを流した。この後に、各カラム実行を、上昇流方向で5CVの0.5NのNaOHで浄化し、次いで、5CVの0.1NのNaOHを流した。すべての予備評価は、Tosohブチル650S樹脂を充填した4mLのカラム(直径0.5cm×高さ20cm)を使用して実施した。
【0423】
実行番号118:最初のブチル650Sカラム実行番号118は、h38C2−[配列番号10−L1]
1コンジュゲーション反応溶液を使用して、5mg/mLのカラム装填量で実施した。カラムに、いずれのリオトロピック塩も添加することなく装填し、周囲温度条件下で操作した。カラムは、3CV(カラム体積)のWFIおよび5CVの100%の緩衝液A(50mMのリン酸ナトリウム、pH7.0)でプレ平衡化し、洗浄した。h38C2−[配列番号10−L1]
1の濾過済みコンジュゲーションプールを、ブチル650Sカラム上に5mg/mLで装填し、次いで、プログラムされたUnicorn法を使用して、ブチル650S樹脂に通して処理した。カラムを5CVの100%の緩衝液Aで洗浄し、次いで、直線勾配を、10CVで、100%のA+0%のB(50mMのリン酸ナトリウム、20%のヘキサンジオール、pH7.0)から10%のA+90%のBまで実行し、勾配を5CVの100%のBで保持した。画分を収集し、SECアッセイによって分析した。SEC分析結果を表33に示す。
【0424】
結果は、Ab−[配列番号10−L1]
1とAb−[配列番号10−L1]
2および遊離FGF21との間の良好な分離を示す。遊離mAb(+0)種の一部がAb−[配列番号10−L1]
1生成物ピークの前端中で共溶出することが判明したが、mAb(+0)種のほとんどは、1,6−ヘキサンジオール勾配中で後に溶出した。
【0425】
【表34】
【0426】
実行番号128:勾配をカラム実行番号118と同じに保持しながら、タンパク質装填量を10mg/mLに増やすことの効果を、カラム実行番号128で評価した。この実験に関して、異なるコンジュゲーション反応物を、装填材料として利用した。この反応物は、より高い相対濃度のAb−[配列番号10−L1]
1(すなわち、44.7%)について最適化されていたが、カラム実行番号118で使用した装填溶液と比較して、SECアッセイによって、より高い相対濃度のAb−[配列番号10−L1]
2(すなわち、24.4%)およびより低い濃度のmAb24.7%種も有していた。より高いレベルのAb−[配列番号10−L1]
2種およびより高いタンパク質装填量は、カラム性能および溶出プール生成物組成にインパクトを与えることが予期される。表34で明白であるように、装填量を増やすと、Ab−[配列番号10−L1]
1からのAb−[配列番号10−L1]
2種の分割が減少する。
【0427】
【表35】
【0428】
実行番号132:Ab−[配列番号10−L1]
1種の分割を改善するために、カラム実行番号128で使用した同じ装填材料を使用して、5mg/mLのカラム装填量で、カラム実行番号132で、浅い勾配溶出(20CVで、100%のA+0%のBから10%のA+90%のB)を実施した。表35は、溶出画分についてSECによって求めた場合の、様々なコンジュゲート種の溶出プロファイルおよび相対純度を示す。Ab−[配列番号10−L1]
2種とAb−[配列番号10−L1]
1種との間の分離の改善が、浅い1,6ヘキサンジオールで得られた。これは、ある特定の低い濃度の1,6ヘキサンジオールを用いてAb−[配列番号10−L1]
2種のほとんどを溶出するように設計されたステップ溶出が有益であることを示唆する。5mg/mLの装填後にカラム実行番号134において5%のヘキサンジオールで洗浄すると、結合種のすべてが溶出された(データを示さず)。
【0429】
【表36】
実行番号138:引き続いて、2.4%の1,6−ヘキサンジオールアイソクラチック洗浄(すなわち、カラム実行番号138)、その後の30CVで2.4〜18%の溶出勾配を用いる実験を、5mg/mlの装填密度で実施した。表36は、画分のSECアッセイを用いた、この実行からの溶出プロファイルを示す。この溶出プロファイルで見られるように、溶出勾配の前に2.4%の洗浄ステップを使用して分離の増強が得られた。これに基づくと、12%の緩衝液Bおよび88%の緩衝液Aは、30CVにわたる直線勾配溶出に対して、適当な初期濃度の1,6ヘキサンジオールをもたらすと判定された一方、カラム実行番号134は、わずかにより高い初期1,6ヘキサンジオール濃度に起因して過剰のAb−[配列番号10−L1]
1を最初に洗出するように思われた。
【0430】
【表37】
【0431】
温度およびpHの効果
実行番号148:温度およびpHは、カラム性能および様々なコンジュゲート種の分割に影響する重要なプロセスパラメータであることが示された。この試験では、他の種からAb−[配列番号10−L1]
1種を分離することに関して、より低い温度のインパクトをカラム実行番号148で評価した。この実験については、カラムおよび緩衝液を、温度制御された冷蔵庫内で、17℃で貯蔵および操作した。カラム実行番号138と同様のプロトコールを使用して、カラムに、最大5mg/mLまで装填し、これを洗浄し、溶出した。温度を22℃から17℃に下げると、Ab−[配列番号10−L1]
2種の結合能力が大いに減少した。表37に示したプロファイルで明白であるように、下げられた温度(すなわち、約17℃)でカラムを操作すると、洗浄ステップにおけるAb−[配列番号10−L1]
2種の分離が増強されることが判明し、生成物Ab−[配列番号10−L1]
1の分割が改善された。
【0432】
【表38】
【0433】
実行番号152:152において、6.5のより低いpHでカラムを平衡化するが、7.0のより高いpHで溶出を実施すると、分離性能に有害であることが判明した。Ab−[配列番号10−L1]
2種は、より低いpHでカラムに強く結合することが観察され、溶出プロファイルの右へのシフトが見られ、Ab−[配列番号10−L1]
2種とAb−[配列番号10−L1]
1種との間の芳しくない分離をもたらした(表38)。
【0434】
【表39】
【0435】
最終的な条件の開発およびプロセス一貫性の実証
実行番号156:カラム実行番号148で使用した操作条件、すなわち、pH、温度、洗浄、および直線勾配溶出の条件の選択された組合せは、Ab−[配列番号10−L1]
2種からのAb−[配列番号10−L1]
1種の十分な分割をもたらした。mAb種からのAb−[配列番号10−L1]
1種の分割を実現するための分離のさらなる改善を、勾配溶出の間に8%の1,6−ヘキサンジオールでのアイソクラチック保持ステップを使用して、カラム実行番号156で探索した。8%の1,6−ヘキサンジオールで、Ab−[配列番号10−L1]
1種のほとんどは、mAb種の大部分をカラムに依然として結合したままにして、カラムから溶出される。次いでmAb種は、100%の1,6−ヘキサンジオールアイソクラチック洗浄を用いた再生ステップの間に引き続いて溶出された。5mg/mLのカラム装填密度で実施したカラム実行番号156からの画分のSEC結果を表39に示す。勾配ステップの中間で観察された溶出ピークは、Ab−[配列番号10−L1]
1種に富み、非常に低レベルのAb−[配列番号10−L1]
2種およびいくつかのmAb種を伴っている。代表的なプールを画分番号C8〜D6から調製し、24%のカラムタンパク質収率に対応する0.225mg/mLのプールのタンパク質濃度をもたらした。
【0436】
【表40】
【0437】
実行番号160:スケールアップ性能を、20cmのベッド高まで充填された直径2.6cmのXKカラムを使用して充填した103mLのカラムを使用して、カラム実行番号160において評価した。カラム実行番号156と同様のプロトコールを使用して、カラムに、最大5mg/mLまで装填し、これを洗浄し、溶出した。5mg/mLのカラム装填密度で実施したカラム実行番号160からの画分のSEC結果を、表40に示す。直線勾配ステップにおける溶出ピークは、Ab−[配列番号10−L1]
1種に富む非常に高純度の画分を含有していた。溶出プールは、カラムに装填された+1種の85%超の回収率に対応する36.4%の総タンパク質を含有していた画分D2〜F1をプールすることによって調製した。
【0438】
【表41】
【0439】
5mg/mLの装填で性能の再現性を試験するために、いくつかのスケールアップカラム実行(番号178、番号180、および番号182)を、同一の条件下で実施した。溶出プールを各実行について調製した。同じ操作条件下で実施した3つの実行からの溶出プールプロファイルを表41に示す。結果は、一貫した結果を示した。
【0440】
【表42】
【0441】
結論:コンジュゲーションプロセスを、最初にmAbに、その後エキセンジン4ペプチドにカップリングされたFGF−21タンパク質で実施したときの精製ステップの好適な候補樹脂として、ブチル650Sを選んだ。この樹脂は、リオトロピック塩の非存在下で5mg/mLの良好な結合能力をもたらした。結合生成物(bound product)の溶出は、pH7.0で1,6−ヘキサンジオールの勾配を使用して達成した。単一のコンジュゲートされたAb−[配列番号10−L1]
1種を、濃縮し、逐次溶出ストラテジー、すなわち、2.4%のヘキサンジオールを用いたアイソクラチック洗浄ステップ、その後の2.4%〜8%のヘキサンジオール直線勾配溶出を使用して選択的に溶出した。85%超の収率が、カラムに装填されたmAb +1 FGF21種について得られた。
【0442】
洗浄ステップの間のヘキサンジオールの濃度、カラムの装填密度、pH、および温度は、結合能力、分割、およびカラム性能にインパクトを与えた重要なパラメータであることが判明した。精製ステップは、実験室内で100mLスケールまで順調にスケールアップされ、試行の繰り返しに対して一貫して機能した。
【0443】
(実施例61)
ABC分子のインビトロアッセイ
Glut1 Taqmanアッセイでは、分化3T3−L1脂肪細胞を使用することによって、以下に記載したリアルタイム定量的PCR(qPCR)法により、Glut1 mRNA発現を測定した。一晩血清飢餓させて10〜14日目の分化した3T3−L1脂肪細胞を、化合物で6時間処理した。トータルRNAをこれらの細胞から抽出し、Glut1およびGAPDH mRNA発現を、Quantitect Probe RT−PCRキットを使用して、Taqman装置でリアルタイム定量的PCR反応を実行して測定した。化合物の生物活性は、各試料からのGAPDH mRNAレベルによって正規化したGlut1 mRNAレベルの倍率変化によって求めた。cAMPアッセイでは、ヒトGLP−1Rを過剰発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(CHO−hGLP−1R)を、96ウェルプレート内に、300uMのIBMXを含む無血清培地中に播種した。細胞をRTで1時間、化合物とともにインキュベートした。cAMPレベルは、製造者の指示書に従ってCisBio cAMPキットを使用して測定した。化合物の生物活性は、アッセイから得られたEC
50値によって求めた(表42を参照)。
【0444】
【表43】
【0445】
(実施例62)
マウスモデルにおけるABCインビボアッセイ
薬物動態。非対称二機能性コンジュゲート−1(ABC−1)とも呼ばれる[配列番号10−L1]
1−h38C2−(IgG1)−[L1−配列番号64]
1の薬物動態を、雄Swiss Websterマウス(22〜24g)で評価した。マウスに化合物を3mg/kgでIVおよびSC投与し、血液試料を、最大120時間の異なる時点で、時点ごとに3匹のマウスから採取した。血清試料を調製し、2つのELISAアッセイによって分析した。GLP−1アッセイでは、コンジュゲートをエキセンジン4 C末端特異的抗体によって捕捉し、GLP−1 N末端特異的mAbによって検出した。FGF21アッセイでは、コンジュゲートを抗Id抗体で捕捉し、FGF21 mAbによって検出した。PKパラメータの推定値を表43に要約する。
【0446】
【表44】
【0447】
体重およびグルコースAUC。ABC−1のインビボ効力を、ob/obマウスにおける単回投与試験で評価した。化合物を1または3mg/kgで0日目にSCで投与し、3日目にOGTTを行った。ABC−1は、単回投与して3日後に、1および3mg/kgで体重を有意に低減し、3mg/kgで糖耐性を有意に改善した(表44)。
【0448】
【表45】
【0449】
インビボでの異なるABC分子の比較。2種の非対称二官能性分子(ABC)ABC分子、ABC−1およびABC−2を比較した。両ABCは、式:[配列番号10−L1]
1−[Ab]−[L1−配列番号64]
1を有する。両ABCは、抗体として1つのバージョンのh38C2を含む。ABC−1は、h38C2のIgG1バージョンを含み(配列番号25および26)、ABC−2は、h38C2のIgG2バージョンを含む(配列番号25および76)。ABC−1およびABC−2のインビトロ効力の比較を、細胞ベースアッセイ(FGF21アームについてGlut1アッセイ、およびGLP−1アームについてcAMPアッセイ)で評価し、これらは、同等の活性を示した。
【0450】
ABC−2の薬物動態を、雄Swiss Websterマウス(22〜24g)で評価した。マウスに3mg/kgで化合物をIVおよびSC投与し、血液試料を、最大120時間の異なる時点で、時点ごとに3匹のマウスから採取した。血清試料を調製し、2つのELISAアッセイによって分析した。GLP−1アッセイでは、コンジュゲートを抗Id抗体によって捕捉し、GLP−1 N末端特異的mAbによって検出した。FGF21アッセイでは、コンジュゲートを抗Id抗体で捕捉し、FGF21 mAbによって検出した。PKパラメータの推定値を、表45に要約する。
【0451】
【表46】
【0452】
ABC−1およびABC−2のインビボ効力を、ob/obマウスにおける単回投与試験で評価した。化合物を0.3または3mg/kgで0日目にSCで投与し、3日目にOGTTを行った。両化合物は、3mg/kgで、単回投与して3日後に、有意に体重を低減し、糖耐性を改善した(表46)。
【0453】
【表47】
【0454】
(実施例63)
カニクイザルにおけるABCインビボアッセイ
ABC−1の薬物動態はまた、3mg/kgの用量レベルで単回IVおよびSCボーラス投与した後、雄カニクイザルにおいて調査した。血液試料を、最大21日の指定時点で動物から収集した。血清試料を調製し、2つのELISAアッセイによって分析した。GLP−1アッセイでは、コンジュゲートをエキセンジン4 C末端特異的抗体によって捕捉し、GLP−1 N末端特異的mAbによって検出した。FGF21アッセイでは、コンジュゲートを抗Id抗体で捕捉し、FGF21 mAbによって検出した。PKパラメータの推定値を、表47に要約する。
【0455】
【表48】
【0456】
(実施例64)
ABC−1の投与効力
ABC−1の反復投与効力。ABC−1の反復投与効力を、db/dbマウスにおいて、Ab−[配列番号10−L1]
2(Ab[FGF21]
2とも呼ばれる)およびAb[L1−配列番号64]
2(Ab[Ex4]
2とも呼ばれる)と比較して評価した。化合物を、0日目および7日目に投与した。体重を毎週2回測定し、OGTTを10日目に行った。11日目に、肝臓、膵臓、および血清の試料を収集し、脂質および免疫組織化学(IHC)分析を行った。ABC−1(10mg/kg)は、これらのマウスにおいて、2回目の投与の3日後に、ビヒクル処置群と比較して体重増加を有意に低減し、また、2回目の投与の3日後に、単剤単独より大きい程度に、空腹時血中グルコースレベルを正常化し、糖耐性を有意に改善した(表48)。さらに、ABC−1は、血清トリグリセリドおよびコレステロールレベルを有意に低下させ、肝臓トリグリセリド含量を、ビヒクル処置群と比較して約43%低減した(表49)。膵臓では、IHCによって分析して2.7倍のβ細胞質量の著しい増加が、ABC−1処置マウスで観察された(表49)。
【0457】
【表49】
【0458】
【表50】
【0459】
db/dbマウスにおける単剤Ab[FGF21]
2およびAb[Ex4]
2と比較したABC−1での追加の反復投与効力データを収集することによって、膵臓機能およびβ細胞質量に対するこの分子の効果をより良好に明確化した。化合物を0日目および7日目に投与し、OGTTを10日目に行った。OGTTの15分の時点で、血液を収集し、グルコース刺激性血漿インスリン分泌の測定を行った。11日目に、膵臓試料を収集し、生化学的および免疫組織化学的分析を行った。すべての処置は、ビヒクル処置対照と比較して糖耐性を有意に改善した。グルコース誘導インスリン分泌およびインスリン免疫反応性細胞(%PCNA陽性β細胞)の増殖の増大の相乗作用が、最高用量のABC−1(10mg/kg)を例外として、ビヒクル処置対照と比較して、すべての処置群で観察された。したがって、試験したABC−1のより低い用量で、膵臓に対する化合物の効果は、単剤のものと一致する。予想外に、ABC−1の10mg/kgの用量は、β細胞増殖またはグルコース刺激性インスリン分泌の有意な増大を伴わない、インスリン免疫反応性染色(β細胞質量)および膵インスリン含量の増大と関連していた。これらのデータは、より大きい体重減少に関連するABC−1の用量で(上記表48および以下のDIOマウスにおける試験を参照)、インスリン感作性効果が、β細胞の増殖およびインスリン分泌の原動力に優先し、既存のβ細胞中のインスリン蓄積をもたらすことを示唆する。
【0460】
【表51】
【0461】
亜慢性投与効力。ABC−1の亜慢性投与効力を、DIOマウスにおいて、Ab[FGF21]
2およびAb[EX4]
2と比較して評価した(結果を表51に示す)。すべての化合物を毎週1回SC投与し、体重および食物摂取量を毎週2回測定し、3回目の毎週投与の3日後である17日目にOGTTを行った。20日目に、肝臓および血清の試料を収集し、脂質分析を行った。ABC−1は、有意にかつ用量依存的に体重を低減させた。3mg/kgで、ABC−1は、同じ用量の単剤単独より大きい体重減少を生じさせた。ABC−1は、最大3mg/kgのAb[EX4]
2の量まで食物摂取を阻害し、ABC−1のGLP−1効果を示した。しかし、食物摂取阻害の量は、ABC−1によって生じる大きい体重減少を説明することができず、ABC−1誘導体重減少は、FGF21アームおよびGLP−1アームの両方の組合せに起因しなければならないことを示唆する。すべてのABC処置群は、3回目の毎週投与の3日後に、空腹時血中グルコースレベルを有意に低下させ、糖耐性を改善し、3回目の毎週投与の6日後に、肝臓トリグリセリド含量も有意に低減させた。db/dbマウスにおいて観察されたものと同様に、毎週1回ABC−1で処置すると、DIOマウスにおいて血清コレステロールレベルが有意に低減し、一方、単剤のいずれもあまり効果がなかった。
【0462】
【表52】
【0463】
効果の持続時間。インビボでのABC−1の効果の持続時間を判定するために、単回投与効力試験をDIOマウスにおいて行った。3mg/kgのABC−1を0日目にSC投与し、体重を毎日測定し、13日目にOGTTを行った。ABC−1は、DIOマウスにおいて単回投与して最大13日目まで、体重減少を生じさせ、維持すること、および糖耐性を改善することにおいて持続的効力を実証した。
【0464】
【表53】
【0465】
【表54】
【0466】
インビボで、Ab[FGF21]
2およびAb[Ex4]
2単独、ならびに2つの物理的組合せと比較したABC−1の効果の持続時間を判定するために、単回投与効力試験をDIOマウスにおいて行った。すべての化合物を0日目にSC投与し、体重を毎週2回測定し、7日目、13日目、および21日目にOGTTを行った。結果を表54に示す。ABC−1は、DIOマウスにおいて、単回投与して最大21日目まで、体重減少を生じさせ、維持すること、および糖耐性を改善することにおいて持続的効力を実証した。ABC−1誘導体重減少は、単剤単独より大きく、Ab[FGF21]
2およびAb[Ex4]
2を一緒にした組合せと同等であった。しかし、組合せ群におけるOGTTの間のグルコースAUCは、ビヒクル処置群のレベルまで戻り、一方、ABC−1処置群のグルコースAUCは、ビヒクル処置群より依然として有意に下がっていた。これらのデータは、単剤単独、および2つの物理的組合せに対して、ABC−1の優れた、かつ持続的な効力を示す。インビボでのABC−1の持続的効力は、化合物の毎週1回の投与を支える。
【0467】
【表55】
【0468】
亜慢性投与効力。ABC−1の亜慢性投与効力も、DIOマウスにおいて、Ab[FGF21]
2およびAb[Ex4]
2の物理的組合せと比較して評価した(表55)。すべての化合物を毎週1回、SC投与した。体重を毎週2回測定し、3回目の毎週投与の3日後にOGTTを行った。ABC−1は、同じ総量の用量またはインビトロ効力に匹敵する同様の用量の組合せ群と同様の程度に、有意に体重減少を低減させ、糖耐性を改善した。
【0469】
【表56】
【0470】
ABC−1で処置することによって誘導される体重増加のより大きい規模の低減が、単剤Ab[FGF21]
2またはAb[Ex4]
2によって誘導されるものより、食物摂取量のより大きい低減の非存在下で観察された(表51および55を参照)。間接的な熱量測定試験をDIOマウスにおいて行うことによって、単剤と比較したABC−1によって誘導される追加の体重減少が、エネルギー消費量の増大に起因するか否かを判定した。化合物を0日目および7日目にSC注射し、2回目の投与直後から始めて48時間連続的にパラメータを評価した。Ab[Ex4]
2(1mg/kg)は、O
2消費、CO
2産生、熱産生、または呼吸商を変化させなかった。Ab[FGF21]
2(10mg/kg)は、O
2消費、CO
2産生、および熱産生を増大させたが、呼吸商を変化させなかった。予想外に、O
2消費、CO
2産生、および熱産生に対するABC−1(10mg/kg)の効果は、Ab[FGF21]
2(10mg/kg)のものと同等であり、それ以下であった。したがって、ABC−1によって誘導される体重減少の増大は、単剤の効果より大きいエネルギー消費量の増大によって説明することができない。
【0471】
(実施例65)
遺伝子アレイ分析
肝臓および白色脂肪組織中のより広い数の候補を調べることによって、ABC−1によって誘発される体重減少の増大の機構を解明するために、遺伝子アレイ分析を行った。DIOマウスに、ABC−1(10mg/kg)、Ab[FGF21]
2(10mg/kg)、またはAb[Ex4]
2(3mg/kg)を3週間にわたって毎週1回投与し、ABC−1処置によって差別的に制御されるが、Ab[FGF21]
2またはAb[Ex4]
2によって差別的に制御されない遺伝子を同定した。アレイによって評価した45000超の遺伝子のうち、引き続くqPCR分析により、ABC−1で処置したマウスの肝臓中のサブセット遺伝子の選択的な上方制御または下方制御が確認されたが、Ab[FGF21]
2またはAb[Ex4]
2で処置したマウスにおいて確認されなかった(表56)。同定された遺伝子のいくつかは、特に予期されていなかった。これらは、Ab[FGF21]
2またはAb[Ex4]
2によって予測されないABC−1治療剤の新規の作用機序を示唆する(例えば、Acot3、Saa1/2)。これらの遺伝子は、有用な予測的薬力学的マーカーでもあり得る。
【0472】
【表57】
【0473】
したがって、いくつかの態様では、本発明は、代謝異常を治療するための患者の適性を評価または判定する方法であって、Abcd2、Acot3、Cidea、Cyp2b9、Cyp4a14、Fmo2、Gstm5、Hmgcrk、Klb、Lepr、Saa1/2、Scd1、およびSrebf2からなる群から選択される1種または複数の遺伝子の遺伝子発現レベルを測定するステップと、この遺伝子発現レベルを、処置の初期期間後のそれぞれの遺伝子発現レベルと比較するステップとを含む、方法を提供する。いくつかの態様では、遺伝子は、Acot3およびSaa1/2からなる群から選択される。遺伝子発現の測定は、インビトロであってもよい。遺伝子発現の測定は、体外であってもよい。
【0474】
いくつかの態様では、本発明は、Abcd2、Acot3、Cidea、Cyp2b9、Cyp4a14、Fmo2、Gstm5、Hmgcrk、Klb、Lepr、Saa1/2、Scd1、およびSrebf2からなる群から選択される遺伝子の相対的は発現レベルを判定する方法であって、本発明の化合物、またはFGF21−受容体アゴニストおよび/もしくはGLP1−受容体アゴニストの一方もしくは両方で処置する前後に遺伝子発現レベルを測定するステップを含む、方法を提供する。次いでこのような判定を、臨床的行動方針を推奨するのに使用することができる。
【0475】
いくつかの態様では、本方法は、肝臓中の前記遺伝子の発現を測定するステップを含む。いくつかの態様では、本方法は、本発明の化合物で処置する結果として体重を減らす患者の可能性を評価する方法であって、本発明の化合物、またはFGF21−受容体アゴニストおよび/もしくはGLP1−受容体アゴニストで処置する結果として、患者が体重減少を経験する可能性がより高いことを示唆するために、Acot3の発現の増大および/またはSaa1/2の発現の減少を利用する、方法に関する。
【0476】
(実施例66)
h38C2−[配列番号7−L1]
2&h38C2−[配列番号10−L1]
2の安定性
h38C2−[配列番号7−L1]
2(Ab−[FGF21ΔH−H125C−L1]
2)およびh38C2−[配列番号10−L1]
2(Ab−[FGF21ΔH−A129C−L1]
2)の様々な製剤を調製し、一連のストレス条件にかけた(完全な詳細は、US2011/13289533、US61/579,609、およびPCT/IB2011/054874にあり、これらの内容のそれぞれ、特に実施例72〜76は、本明細書によって参照され、組み込まれている)。いくつかの安定性試験、例えば、外観アッセイ、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、画像化キャピラリー電気泳動(iCE)、および分析的超遠心分離法などのデータを比較して、Ab−[L1−FGF21ΔH−A129C]
2の全体的な安定性プロファイルは、Ab−[L1−FGF21ΔH−H125C]
2より優れていると思われた。製剤のpHを下げると(例えば、アセテート、pH4)、より高いpH(例えば、pH6〜8)と比較してより良好な安定性がもたらされることも明白である。
【0477】
(実施例67)
[FGF21−L1]
1−[Ab]−[L1−Ex4]
1およびAb−[L1−FGF21ΔH−A129C]
2の製剤
液体製剤を本発明の化合物とともに使用することができるが、凍結乾燥製剤は、より長い寿命の安定性をもたらし得る(その内容のそれぞれが本明細書に組み込まれている、US2011/13289533、US61/579,609、およびPCT/IB2011/054874の実施例72〜76を参照)。したがって、いくつかの態様では、本発明は、約0.1〜約200mg/mlの間のABCまたはAb−[L1−FGF21ΔH−A129C]
2、および約4〜約5.5の間のpHの約1〜150mMの間の乳酸または酢酸ナトリウム;および以下、すなわち、
(i)約10〜約150mg/mlの間の凍結保護物質、
(ii)約0.001〜約1.0mg/mlの間のキレーター、
(iii)約0.01〜約10mg/mlの間の抗酸化剤、
(iv)約0.02〜2.0mg/mLの間の界面活性剤
のうちの少なくとも1つを含む製剤を提供する。
【0478】
いくつかの態様では、本発明の製剤は、(i)〜(iv)の2種以上を含む。いくつかの態様では、本発明の製剤は、(i)〜(iv)の3種以上を含む。いくつかの態様では、本発明の製剤は、(i)、(ii)、(iii)、および(iv)を含む。
【0479】
いくつかの態様では、本発明は、
(i)約0.1〜約200mg/mlの間のABC、
(ii)約4〜約5.5の間のpHの約1〜150mMの間の乳酸;および
(iii)約10〜約150mg/mlの間の凍結保護物質、
(iv)約0.02〜2.0mg/mLの間の界面活性剤
を含む凍結乾燥製剤を提供する。
【0480】
いくつかの態様では、凍結乾燥製剤は、約0.001〜約1.0mg/mlの間のキレーターをさらに含むことができる。キレーターは、EDTAまたはDTPAとすることができ、約0.02〜約0.5mg/mLの間の量で存在し得る。キレーターは、約0.05mg/mLの量で存在し得る。
【0481】
いくつかの態様では、凍結乾燥製剤は、約0.01〜約10mg/mlの間の抗酸化剤をさらに含むことができる。いくつかの態様では、抗酸化剤は、L−メチオニンとすることができる。抗酸化剤は、約0.02〜約5mg/mLの間の量で存在し得る。抗酸化剤は、約0.05〜約0.2mg/mLの間の量で存在し得る。抗酸化剤は、約0.1mg/mLの量で存在し得る。
【0482】
いくつかの態様では、ABCは、本明細書に記載される本発明の化合物である。いくつかの態様では、ABCは、特定の種[配列番号56−L1]
1−h38C2−[配列番号10−L1]
1である。いくつかの態様では、ABCは、約5mg/ml〜約200mg/mlの間の量で存在する。いくつかの態様では、ABCは、約5mg/ml〜約100mg/mlの間の量で存在する。いくつかの態様では、ABCは、約5mg/ml〜約50mg/mlの間の量で存在する。いくつかの態様では、ABCは、約10mg/mlの量で存在する。
【0483】
いくつかの態様では、乳酸は、約1〜約100mMの間の量で存在する。いくつかの態様では、乳酸は、約10mM〜約50mMの間の量で存在する。いくつかの態様では、乳酸は、約30mMの量で存在する。pHは、約4.3〜約5.3の間とすることができる。pHは、約4.8±0.5であってもよい。pHは、約4.8とすることができる。
【0484】
いくつかの態様では、凍結保護物質は、トレハロース二水和物、スクロース、およびマンニトールからなる群から選択される。凍結保護物質は、トレハロース二水和物とすることができる。凍結保護物質は、約50〜約120mg/mlの間の量で存在することができる。凍結保護物質は、約90mg/mlの量で存在することができる。
【0485】
いくつかの態様では、界面活性剤は、ポリソルベート80、ポリソルベート20、およびポロキサマーからなる群から選択することができる。界面活性剤は、ポリソルベート20とすることができる。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.05〜約1.0mg/mLの間の量で存在する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.1〜約0.5mg/mLの量で存在する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.2mg/mLの量で存在する
【0486】
いくつかの態様では、本発明は、以下、すなわち、
(i)約10mg/mLのABC、
(ii)pH4.8±0.5の約30mMの乳酸、
(iii)約90mg/mLのトレハロース二水和物、
(iv)約0.05mg/mLのEDTA二ナトリウム二水和物、
(v)約0.1mg/mLのL−メチオニン、および
(vi)約0.2mg/mLのポリソルベート20
を含む凍結乾燥に適した製剤を含む。
【0487】
上記(実施例66および67のすべて)も、Ab−[L1−FGF21ΔH−A129C]
2を含む製剤に関する。したがって、いくつかの態様では、本発明は、
(i)約0.1〜約200mg/mlの間のAb−[L1−FGF21ΔH−A129C]
2、
(ii)約4〜約5.5の間のpHの約1〜150mMの間の乳酸、および
(iii)約10〜約150mg/mlの間の凍結保護物質、
(iv)約0.02〜2.0mg/mLの間の界面活性剤
を含む凍結乾燥製剤を提供する。
【0488】
本発明は、優れた再構成時間(すなわち、再構成により短い時間を要する)および患者に優しい用量調製法をもたらす、凍結乾燥した粉末またはケーキのより望ましい性質(例えば、フワフワ感、多孔度)を得るために、所望の量で(例えば、2倍、3倍)出発製剤を前希釈した後に凍結乾燥されている凍結乾燥製剤も提供する。本発明は、より小さいまたはより大きい体積の希釈剤(例えば、3倍、2倍、1倍、0.5倍、0.33倍、0.25倍)をそれぞれ添加することによって、凍結乾燥前(pre−lyophilized(凍結乾燥前(pre−lyo))の液体製剤の組成と比較して、より高いまたはより低い濃度の成分(例えば、0.33倍、0.5倍、1倍、2倍、3倍、4倍)で再構成することができる凍結乾燥製剤も提供する。希釈剤の例は、水、生理食塩水、リン酸緩衝溶液、デキストロース溶液(例えば、5%)、または医薬品、酵素、界面活性剤、糖などを含有する水溶液である。
【0489】
いくつかの態様では、本発明は、以下の製剤、すなわち、
(i)約10〜約60mg/mLの間のAb−[L1−FGF21ΔH−A129C]
2、
(ii)pH4.8±0.5の約5〜約30mMの間の乳酸、
(iii)約10〜約90mg/mLの間のトレハロース二水和物、
(iv)約0.01〜約0.1mg/mLの間のEDTA二ナトリウム二水和物、
(v)約0.01〜0.1mg/mLの間のL−メチオニン、および
(vi)約0.04〜約0.2mg/mLのポリソルベート20
を含む。
【0490】
いくつかの態様では、本発明は、以下の製剤、すなわち、
(i)約10〜約20mg/mLの間のAb−[L1−FGF21ΔH−A129C]
2、
(ii)pH4.8±0.5の約10mMの乳酸、
(iii)約30mg/mLのトレハロース二水和物、
(iv)約0.017mg/mLのEDTA二ナトリウム二水和物、
(v)約0.033mg/mLのL−メチオニン、および
(vi)約0.067mg/mLのポリソルベート20
を含む。
【0491】
いくつかの態様では、本発明は、以下の製剤、すなわち、
(i)約15〜約30mg/mLの間のAb−[L1−FGF21ΔH−A129C]
2、
(ii)pH4.8±0.5の約15mMの乳酸、
(iii)約45mg/mLのトレハロース二水和物、
(iv)約0.025mg/mLのEDTA二ナトリウム二水和物、
(v)約0.05mg/mLのL−メチオニン、および
(vi)約0.1mg/mLのポリソルベート20
を含む。
【0492】
いくつかの態様では、本発明は、以下の製剤、すなわち、
(i)約10〜約50mg/mLの間のAb−[L1−FGF21ΔH−A129C]2、
(ii)pH4.8±0.5の約30mMの乳酸、
(iii)約90mg/mLのトレハロース二水和物、
(iv)約0.05mg/mLのEDTA二ナトリウム二水和物、
(v)約0.1mg/mLのL−メチオニン、および
(vi)約0.2mg/mLのポリソルベート20
を含む。
【0493】
いくつかの態様では、本発明は、以下の製剤、すなわち、
(i)約10〜約30mg/mLの間のAb−[L1−FGF21ΔH−A129C]2、
(ii)pH4.8±0.5の約15mMの乳酸、
(iii)約45mg/mLのトレハロース二水和物、
(iv)約0.025mg/mLのEDTA二ナトリウム二水和物、
(v)約0.05mg/mLのL−メチオニン、および
(vi)約0.1mg/mLのポリソルベート20
を含む。
【0494】
いくつかの態様では、本発明は、以下の製剤、すなわち、
(i)約20〜約60mg/mLの間のAb−[L1−FGF21ΔH−A129C]2、
(ii)pH4.8±0.5の約30mMの乳酸、
(iii)約90mg/mLのトレハロース二水和物、
(iv)約0.05mg/mLのEDTA二ナトリウム二水和物、
(v)約0.1mg/mLのL−メチオニン、および
(vi)約0.2mg/mLのポリソルベート20
を含む。
【0495】
いくつかの態様では、本発明は、以下の製剤、すなわち、
(i)約10〜約50mg/mLの間のAb−[L1−FGF21ΔH−A129C]2、
(ii)pH4.8±0.5の約30〜60mMの乳酸、
(iii)約90〜180mg/mLのトレハロース二水和物、
(iv)約0.05〜0.1mg/mLのEDTA二ナトリウム二水和物、
(v)約0.1〜0.2mg/mLのL−メチオニン、および
(vi)約0.2〜0.4mg/mLのポリソルベート20
を含む。
【0496】
いくつかの態様では、本発明は、以下の製剤、すなわち、
(i)約5〜約25mg/mLの間のAb−[L1−FGF21ΔH−A129C]2、
(ii)pH4.8±0.5の約30mMの乳酸、
(iii)約90mg/mLのトレハロース二水和物、
(iv)約0.05mg/mLのEDTA二ナトリウム二水和物、
(v)約0.1mg/mLのL−メチオニン、および
(vi)約0.2mg/mLのポリソルベート20
を含む。
【0497】
いくつかの態様では、本発明は、以下の製剤、すなわち、
(i)約10〜約50mg/mLの間のAb−[L1−FGF21ΔH−A129C]2、
(ii)pH4.8±0.5の約30mMの乳酸、
(iii)約90mg/mLのトレハロース二水和物、
(iv)約0.05mg/mLのEDTA二ナトリウム二水和物、
(v)約0.1mg/mLのL−メチオニン、および
(vi)約0.2mg/mLのポリソルベート20
を含む。
【0498】
いくつかの態様では、本発明は、以下の製剤、すなわち、
(i)約5〜約25mg/mLの間のAb−[L1−FGF21ΔH−A129C]2、
(ii)pH4.8±0.5の約15mMの乳酸、
(iii)約45mg/mLのトレハロース二水和物、
(iv)約0.025mg/mLのEDTA二ナトリウム二水和物、
(v)約0.05mg/mLのL−メチオニン、および
(vi)約0.1mg/mLのポリソルベート20
を含む。
【0499】
上記製剤のそれぞれは、本明細書で記載される追加の要素も含むことができる。さらに、上記製剤のそれぞれは、より小さい体積で引き続いて凍結乾燥および再構成するのに適している場合もある。いくつかの態様では、製剤は、約2倍〜約3倍の間で濃縮することができる。
【0500】
(実施例68)
[FGF21]−[第1リンカー]−[抗体]−[第2リンカー]−[Ex4]の安定性
[FGF21]−[第1リンカー]−[抗体]−[第2リンカー]−[Ex4]の様々な製剤を、10kDaの分子量カットオフ透析カセットを使用して緩衝液交換によって調製し、次いで滅菌濾過した(すべての実験は、ABC−1を使用した)。製剤を様々なストレス条件に曝した(表57を参照)。次いで、外観アッセイ、UV(紫外吸光度)、およびサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して試料を分析した。試料を様々な時点(表57)で分析することによって、安定性傾向を評価した。
【0501】
外観アッセイ
濁度は、様々な温度で貯蔵した後、増大する:20mMの乳酸および20mMのヒスチジン、pH5.8の製剤(製剤CおよびD)はともに、40℃で1週間の貯蔵、または25℃で2週間、または40℃で2週間の後、濁度が増大することを示した。これらのデータは、製剤CおよびDは、[FGF21]−[第1リンカー]−[抗体]−[第2リンカー]−[Ex4]の製剤の不安定性をもたらすことを示唆する。ストレスをかけたとき、酢酸ナトリウム、pH4.0およびグルタミン酸、pH4.0はともに、貯蔵条件にかかわらず、濁度の増大をまったく示さなかった。
【0502】
UVの有意な変化は、経時的にまったく観察されず、表57に列挙した製剤のいくつかにおいて粒状物形成が観察されても、タンパク質の正味の濃度は、経時的に有意に影響されなかったことを示す。
【0503】
高分子量種(HMW)形成
SE−HPLCを使用することによって、表57に列挙した様々な製剤についてHMW形成を測定した。SE−HPLCは、HMWを確実に分離することができ、[FGF21]−[第1リンカー]−[抗体]−[第2リンカー]−[Ex4]にとって重要な安定性指示アッセイである。SE−HPLCアッセイにおけるHMWは、[FGF21]−[第1リンカー]−[抗体]−[第2リンカー]−[Ex4]ピークの前に溶出する化学種として定義される。両候補についての20mMのヒスチジン、pH5.8および20mMのリン酸塩、pH8.0中の製剤は、HMWSの高い初期形成および時間依存形成を示した。経時的なタンパク質製剤の非線形凝集傾向は、文献で公知である。20mMの酢酸ナトリウム、pH4.0および20mMのグルタミン酸、pH4.0中の製剤は、他の製剤と比較したとき、最も少ない量のHMWを示した。したがって、20mMの酢酸ナトリウム、pH4.0および20mMのグルタミン酸、pH4.0中の製剤は、HMW形成に関して優れた安定性をもたらす。
SE−HPLCによって測定した%HMWS(高分子量種)。SE−HPLC条件は、Toso Biosep G3000SWXL 5μm、7.8×300mm SECカラム、移動相:200mMのリン酸ナトリウム、100mMの塩化ナトリウム緩衝液(pH7.0)、カラム温度:25℃、流量:0.3ml/分(アイソクラチック)、検出:214nmにおけるUV吸光度、実行時間:42分を含む。
【0504】
(実施例69)
[FGF21]−[第1リンカー]−[抗体]−[第2リンカー]−[Ex4]のpH−緩衝液スクリーニング
様々な水性緩衝液中の[FGF21]−[第1リンカー]−[抗体]−[第2リンカー]−[Ex4]の安定性を、凍結乾燥することもできる適切な安定化媒体を見つける目的で調査した(すべての実験は、ABC−1を使用した)。実施例68では、本発明の化合物は、pH4.0の酢酸ナトリウムおよびグルタミン酸中で最も安定であるという意外な結果が実証された。しかし、酢酸ナトリウムは昇華し、したがって、凍結乾燥した緩衝液中に組み込むことが困難である。したがって、凍結乾燥製剤中で最適な長期安定性をもたらす、本発明の化合物の代替の緩衝液を開発する必要性が存在する。リンカーの不安定性、およびタンパク質成分の任意の加水分解性切断(clipping)は、低分子量種(LMW)の生成をもたらす。さらに、コンジュゲートが試験した製剤中で凝集する場合、高分子量種が形成され得る。製剤を、7〜9mg/mLの範囲内の目標タンパク質濃度で、緩衝液交換によって調製して所望の製剤にした。製剤を、0.2μmフィルターを使用して濾過し、ガラスバイアル中に包装し、所望の温度で貯蔵した。指定時点で、試料をアッセイした。
【0505】
外観アッセイ
濁度は、様々な温度および条件で貯蔵した後増大する:20mMのクエン酸(すべてのpH)および20mMのコハク酸(pH4.8超)の製剤(製剤A〜C、KおよびL)はともに、25℃で2週間または30℃で2週間貯蔵した後、濁度が増大することを示した。ストレスをかけたとき、グルタミン酸および乳酸試料はともに、貯蔵条件にかかわらず、最低の濁度増大を示した。
【0506】
クエン酸試料を例外として、UVの著しい変化は、経時的にまったく観察されず、粒子形成が表57に列挙した製剤のいくつかに観察されても、タンパク質の正味の濃度は、経時的に有意に影響されないことを示した。
【0507】
SE−HPLCによるHMW測定およびSDS−PAGEによるLMWモニタリング
緩衝液およびpHの顕著な効果を、2週間にわたる温度ストレスの後に観察した。データを表59に提示する。初期の時点で、HMWが増大する傾向が、クエン酸製剤およびより高いpHの製剤(4.8超)中で見られた。グルタミン酸のpH4.2および4.5の製剤は、%HMWに関して相対的に優れた性能を示した。
【0508】
LMWの傾向は、pHに正比例した。30℃で1週間貯蔵した後、より低いpHの製剤は、おそらく断片化に起因して、%LMWの顕著な増大を示した。グルタミン酸製剤の中で、製剤のpHのバランスが、リンカー不安定性およびタンパク質クリッピング(protein clipping)に起因する過剰な断片化を防止するのに必要とされる。例えば、液体状態での製剤D、pH4.2は、他のグルタミン酸製剤と比較して、実質的な断片化を生じる。pH依存性%LMWの傾向は、pH4.5の製剤が適当であることを示唆する(SDS PAGEによって裏付けられた、データを示さず)。
【0509】
【表58】
【0510】
さらに、グルタミン酸のpH4.5の製剤も使用することによって、コンジュゲートが高濃度で水性緩衝溶媒中に可溶性であるか否かを評価し、高濃度での安定性を評価した。濃度(A280)関連増大が、貯蔵後の%HMWにおいて観察された。結果を表60に示す。
【0511】
【表59】
【0512】
(実施例70)
[FGF21]−[第1リンカー]−[抗体]−[第2リンカー]−[Ex4]の凍結乾燥製剤
液体製剤を本発明の化合物とともに使用することができるが、凍結乾燥製剤は、より長い寿命の安定性をもたらし得る。実施例68および69は、グルタミン酸のみを含む[FGF21]−[第1リンカー]−[抗体]−[第2リンカー]−[Ex4]の製剤は、ヒスチジンなどの他の緩衝液より優れていても、望まれるより長期間の使用に適切な安定性をもたらすことができないことを示す(すべての実験は、ABC−1を使用した)。凍結保護物質およびリオプロテクタントとして役割を果たす糖またはポリオールなどの様々なタイプの安定剤(例えば、トレハロース、スクロース、マンニトール)、ならびに撹拌安定性のための界面活性剤(例えば、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポロキサマー)、ならびにキレーター(例えば、EDTA、DTPA)、ならびに抗酸化剤(例えば、L−メチオニン)とグルタミン酸を組み合わせると、安定性が相乗的に増強される。したがって、組合せは、[FGF21]−[第1リンカー]−[抗体]−[第2リンカー]−[Ex4]の安定性を明らかに増強する。
【0513】
製剤同士間で多様であった目標タンパク質濃度で、緩衝液交換および賦形剤添加によって製剤を調製した(すべての実験は、ABC−1を使用した)。調製した製剤を、0.2μmフィルターを使用して濾過し、ガラスバイアル中に包装した。凍結乾燥製剤を調製するために、バイアルを、凍結乾燥し、ストッパーを付け、キャップを付けた。指定時点で、SEC、iCE、および還元cGEを含む様々な分析的方法によって試料をアッセイした。さらに、液体製剤の安定性傾向を評価するために、液体製剤も4週間評価した。凍結乾燥製剤の含水量を凍結乾燥後に試験し、すべて0.5%未満であった。
【0514】
凍結乾燥製剤を様々な温度ストレス下で貯蔵した。表61は、指定時点におけるSEC、iCE、および還元cGE(キャピラリーゲル電気泳動)データを示す。cGEにより、タンパク質断片が半定量的に推定される。凍結乾燥製剤は、すべての方面(Δ%HMW、Δ%酸性種、およびΔ%Frag)に対して、これらの液体対応物と比較した場合、より良好な安定性を示した。安定化賦形剤の存在下(凍結保護物質/リオプロテクタントの存在下)でのグルタミン酸(乳酸ナトリウム)の凍結乾燥製剤は、良好な安定性を示した。したがって、凍結乾燥グルタミン酸製剤は、より長期の貯蔵安定性を試験するのに適切であると結論づけられる。最後に、金属キレーター(例えば、EDTA、DTPA)が、安定性を実現するのに有利であると予期される。
【0515】
凍結乾燥製剤(lyo formulation)試料を、相対的な生物活性についても試験した。生物活性を、非競合的結合ELISA(FGF21)およびGLP−1エキセンジン効力アッセイ(Ex4ペプチド)の両方を使用して測定し、基準材料の生物活性に対する相対的な%として表した。生物活性データを表62に提示する。これらのデータは、Lyo製剤の成分によってもたらされる安定性および機能的完全性のさらなる信頼度をもたらす。
【0516】
(実施例71)
撹拌に対する[FGF21]−[第1リンカー]−[抗体]−[第2リンカー]−[Ex4]の安定性
グルタミン酸/トレハロース/EDTA/PS80製剤を、15mg/mLの範囲内の標的タンパク質濃度で、緩衝液交換および賦形剤添加をすることによって調製した。調製した製剤を、0.2μmフィルターを使用して濾過し、ガラスバイアル中に包装した。300rpmの速度で軌道振盪機を使用して撹拌を施した。指定時点で、試料をアッセイした。表63中の結果は、ポリソルベート80が存在すると、撹拌誘導性不安定性を防止するのに役立つことを実証する(すべての実験は、ABC−1を使用した)。
【0517】
【表60】
【0518】
したがって、いくつかの態様では、本発明は、約0.1〜約200mg/mlの間の[FGF21]−[第1リンカー]−[抗体]−[第2リンカー]−[Ex4]、および約4.0〜約5.0の間のpHの約1〜150mMの間のグルタミン酸;および以下のうちの少なくとも1つを含む製剤を提供する:
(i)約10〜約150mg/mlの間の凍結保護物質;
(ii)約0.001〜約1.0mg/mlの間のキレーター;
(iii)約0.02〜2.0mg/mLの間の界面活性剤。
【0519】
いくつかの態様では、本発明の製剤は、(i)〜(iv)のうちの1つ以上を含む。いくつかの態様では、本発明の製剤は、(i)〜(iv)のうちの2つ以上を含む。いくつかの態様では、本発明の製剤は、(i)、(ii)、および(iii)を含む。
【0520】
いくつかの態様では、本発明は、
(i)約0.1〜約200mg/mlの間のFGF21−コンジュゲート、
(ii)約4.0〜約5.0の間のpHの約1〜150mMの間のグルタミン酸;および
(iii)約10〜約150mg/mlの間の凍結保護物質;
(iv)約0.02〜2.0mg/mLの間の界面活性剤
を含む凍結乾燥製剤を提供する。
【0521】
いくつかの態様では、凍結乾燥製剤は、約0.001〜約1.0mg/mlの間のキレーターをさらに含むことができる。キレーターは、EDTAまたはDTPAとすることができ、約0.02〜約0.5mg/mLの間の量で存在し得る。キレーターは、約0.05mg/mLの量で存在し得る。
【0522】
いくつかの態様では、[FGF21]−[第1リンカー]−[抗体]−[第2リンカー]−[Ex4]は、本明細書に記載される本発明の化合物である。いくつかの態様では、FGF21−Ex4−コンジュゲートは、[FGF21]−[第1リンカー]−[抗体]−[第2リンカー]−[Ex4]である。いくつかの態様では、FGF21−Ex4−コンジュゲートは、約5mg/ml〜約200mg/mlの間の量で存在する。いくつかの態様では、FGF21−Ex4−コンジュゲートは、約5mg/ml〜約90mg/mlの間の量で存在する。いくつかの態様では、FGF21−Ex4−コンジュゲートは、約5mg/ml〜約50mg/mlの間の量で存在する。いくつかの態様では、FGF21−コンジュゲートは、約10mg/mlの量で存在する。
【0523】
いくつかの態様では、グルタミン酸は、約1〜約100mMの間の量で存在する。いくつかの態様では、グルタミン酸は、約10mM〜約50mMの間の量で存在する。いくつかの態様では、グルタミン酸は、約20mMの量で存在する。pHは、約4.2〜約5.3の間とすることができる。pHは、約4.5±0.5とすることができる。pHは、約4.5であってもよい。
【0524】
いくつかの態様では、凍結保護物質は、トレハロース二水和物、スクロース、およびマンニトールからなる群から選択される。凍結保護物質は、トレハロース二水和物とすることができる。凍結保護物質は、約50〜約120mg/mlの間の量で存在し得る。凍結保護物質は、約90mg/mlの量で存在してもよい。
【0525】
いくつかの態様では、界面活性剤は、ポリソルベート80、ポリソルベート20、およびポロキサマーからなる群から選択することができる。界面活性剤は、ポリソルベート20とすることができる。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.05〜約1.0mg/mLの量で存在する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.1〜約0.5mg/mLの量で存在する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.2mg/mLの量で存在する。
いくつかの態様では、本発明は、以下のものを含む、凍結乾燥に適した製剤を含む:
(i)約30〜約60mg/mLの間の[FGF21]−[第1リンカー]−[抗体]−[第2リンカー]−[Ex4]、
(ii)pH4.5±0.5の約10〜約60mMの間のグルタミン酸、
(iii)約50〜約100mg/mLの間のトレハロース二水和物、
(iv)約0.01〜約0.0mg/mLの間のEDTA二ナトリウム二水和物、
(v)約0.1〜約0.3mg/mLの間のポリソルベート20。
【0526】
いくつかの態様では、本発明は、以下のものを含む、凍結乾燥に適した製剤を含む:
(i)約30mg/mLの[FGF21]−[第1リンカー]−[抗体]−[第2リンカー]−[Ex4];
(ii)pH4.5±0.5の約20mMのグルタミン酸;
(iii)約85mg/mLのトレハロース二水和物;
(iv)約0.05mg/mLのEDTA二ナトリウム二水和物;
(v)約0.2mg/mLのポリソルベート20。
【0527】
いくつかの態様では、本発明は、以下のものを含む、凍結乾燥に適した製剤を含む:
(i)約30mg/mLの[FGF21]−[第1リンカー]−[抗体]−[第2リンカー]−[Ex4];
(ii)pH4.5±0.5の約20mMのグルタミン酸;
(iii)約8.5%のトレハロース二水和物;
(iv)約0.005%のEDTA二ナトリウム二水和物;および
(v)約0.02%のポリソルベート80。
【0528】
(実施例72)
抗体濃縮プロセス
h38C2がコンジュゲーションのためにペプチドまたはタンパク質とともにインキュベートされるいくつかの状況では、反応が完了せず、一部の未反応抗体が残る。この現象を調査するための分析的HICアッセイ(以下に記載される方法)により、2つの早期に溶出するピーク(一般に、それぞれ約0.6〜1.8%のタンパク質、ならびに16.9および19.4%のタンパク質)と、主ピーク(一般に、約75.2〜79.5%タンパク質であるが、最大73.5%および83.3%タンパク質の変動が観察された)とを分離した。主ピークのタンパク質は、完全に反応性であった一方、ピーク1および2は、非反応性であった。したがって、抗体h38C2を精製するための改善されたプロセスを開発する必要性がある。
【0529】
HIC法
このセクションでは、h38C2抗体の工程内試料および原薬試料中に存在する異なるアイソフォームのパーセンテージを評価するためのHICクロマトグラフィーの使用を記載する。これらの種は、Lys−99位(h38C2 1つ当たり2つのFabのそれぞれについて1つ)で、ゼロ(ピーク1)、1つ(ピーク2)、または2つのペプチド(主ピーク)をコンジュゲートすることになる出発材料成分であると考えられる。分離および溶出は、逆相クロマトグラフィーと同様に、この方法における勾配にわたって、有機溶媒(イソプロピルアルコール)を同時に増やしながら減塩勾配によって行い、それにより、移動相についてより多くの疎水性タンパク質の親和性が増大する。ピーク面積を積分して各アイソフォームの相対存在量を求める。
【0530】
h38C2 IgG
1抗体から、非反応性(P1、P2)および反応性mAb主ピークを分離するために、TSKゲルフェニル−5PWカラム(7.5mm×75mm、10μm、TOSOH)を用いる分析的HIC法を展開した。移動相は、A:0.75Mの硫酸アンモニウム、50mMのリン酸カリウム、pH7.0、およびB:50mMのリン酸カリウム、pH7.0、10%のIPAである。カラムを35℃で、0.65ml/分で実行し、214nmで吸光度を測定した。希釈剤(移動相A:水、50:50)で試料または標準物質を1mg/mLに希釈することによって、注射用に100μgの試料を調製した。
【0531】
【表61】
【0532】
(実施例73)
非反応性h38C2の増大とのiCE、Met−Oxデータ相関
保持試験を、h38C2の清澄化済み収穫ブロスを用いて25℃で実施した。試料を指定時間に凍結させた。試料を解凍し、プロテインAスピンカラムによって精製し、アッセイに送った。酸性種および酸化種の増大と、非反応性形態のmAbの増大との間に相関があった(表65)。h38C2を非反応性にすることに関与する他の要因があり得るが、酸性種および硫黄部分の酸化が、関与する要因の2つであると思われる。
【0533】
【表62】
【0534】
(実施例74)
カラム選択
最初に、TSKゲルフェニル−5PWカラム(10μMの粒径)を使用することによって、非反応性形態からコンジュゲート可能なmAbを分離するためのHICアッセイを展開した。TSKゲルフェニル−5PWカラム(20μMの粒径)をスケールアップすることによって、完全反応性h38C2を生成した。カラム能力は、4〜5g/Lであり、高圧下で実行した。コンジュゲーション試験のための材料を作製するのに、以下の方法を使用していた。カラムを、50mMのリン酸ナトリウム、pH7中の0.5〜1MのNaClで平衡化し、4〜5g/Lの樹脂で装填した。カラムを洗浄せず、50mMのリン酸ナトリウム、20%のIPA、pH7を含む溶出緩衝液にさらした。50mMのリン酸ナトリウム、pH7中の、42〜60%の溶出緩衝液の直線勾配を、4.8カラム体積(CV)にわたって展開し、次いで、材料が収集され、吸光度がベースラインレベル付近に戻るまで、それぞれの溶出緩衝液の100%まで濃度を上昇させた。この方法は、実験室規模備品に十分であったが、より高い装填能力を伴うより高いスループット法を必要とした。様々なHIC樹脂を考慮または試験した(表66)。
【0535】
【表63】
【0536】
フェニル5PW、フェニル600M、ブチル600M、およびフェニル650Sクロマトグラフィーについて、平衡化緩衝液は、20mMのリン酸ナトリウム、1MのNaCl、pH7.0であった。装填物は、同じpHおよび伝導率を有する同様の組成に調整した。装填量は、フェニル600M(5〜10g/L、および20g/L)、TSKゲルフェニル5PW、およびブチル600M上で、4〜50g/Lの樹脂の範囲であった。フェニル650Sカラム上の装填量は、15〜22gのmAb/Lの樹脂であった。カラムを5CVの平衡化緩衝液で平衡化させ(表67)、次いでカラムに装填し、これを1〜2CVの平衡化緩衝液で洗浄し、次いで0〜2CVの基底緩衝液で洗浄した。20mMのリン酸ナトリウム、20%のIPA、pH7.0からなる40〜43%の溶出緩衝液の1〜2CVの段階勾配でmAbを溶出した。次に、40〜63%の溶出緩衝液を用いる5〜10CVの直線勾配。最後に、カラムを、3〜6CVの溶出緩衝液にさらすことによって、残っているmAbの溶出を保証した。勾配がどのぐらい速く展開されるかに応じて、3〜15CVの過程にわたってタンパク質を溶出した。収率は、フェニル5PW、フェニル600M、およびブチル600M樹脂について0〜43%であり、生成物の濃度は0.5〜2mg/mLであった。物質収支は、一般に、約90〜100%であった。フェニル650Sについての結果を以下に記載する。
【0537】
【表64】
【0538】
フェニル5PW(20μM)樹脂を4mlのカラム内で試験したが、主ピークを濃縮するのに有効ではなく、90%の反応性h38C2を示しただけであった。さらに、フェニル5PWは、20μmのビーズサイズで、高圧で動作し、低い能力、約4〜5g/Lの樹脂を有するので、スケーラブルでなかった。ブチル600Mカラムに23g/Lで装填したとき、これは、まったく濃縮を達成しなかった。20g/Lで装填したフェニル600Mカラムは、91〜92%の主ピークという良好な濃縮を示したが、約43%の全収率は、約50%の収率および約95%の主ピークという好適な最低より低かった。同じカラムを5g/Lの樹脂で少なく装填したとき、ピーク画分は、装填材料より低い主ピークを有し、より高いカラム装填量とより高い生成物純度との関係を実証した。次いで、35μmのビーズを用いるフェニル650Sを試験した。ビーズがより小さいと、表面積および結合部位がより多くなり、それにより、より良好な分割がもたらされる。洗浄ステップの塩濃度および持続時間を微調整することによって、抗体の不活性形態のほとんどが排除された一方、より多くの完全反応性(FR)h38C2が樹脂に結合したままであった。最大57〜58%の収率、および92〜95%の主ピークを含有する生成物プールが得られた。
【0539】
(実施例75)
減塩、プラトー、および緩衝液洗浄ステップの展開
生成物の収率および純度を最大にするために、3つの洗浄ステップを展開する間に、いくつかのパラメータを評価した。減塩直線勾配ステップの間に、洗浄の傾き、持続時間、および最終濃度を試験した。この後に、プラトー洗浄(plateau wash)の最適濃度および持続時間、ならびに緩衝液洗浄の最適持続時間を確立する必要があった。いくつかの重要な実験実行の結果を、これらの実験実行の2つからのHICアッセイデータを比較する表69とともに、表68に示す。
【0540】
【表65】
【0541】
【表66】
【0542】
フェニル650S実行140(表68)は、実行の洗浄および溶出相の両方で有意な量のタンパク質を示した。これらの初期の実行では、10CVにわたる1M〜0MのNaClの直線勾配を使用した。勾配の後に、20mMのリン酸ナトリウムの2CV基底緩衝液洗浄を続けた。これは、非反応性成分を除去し、完全反応性h38C2のより許容できる収率を得る潜在性を実証した最初の実行であった。これは、表69により詳細に示してあり、ここで、画分6(洗浄)は、86.2%の非反応性h38C2を含有するが、10.2%の主ピークしか含有しない。20%のIPAで溶出する間に、3画分は、90%の反応性mAbを含有し、非反応性mAbの量は、約10%に低減された。
【0543】
フェニル650S実行143(表68)では、8CVにわたって0.75M〜0MのNaCl直線勾配を使用した。勾配の後に5CVの基底緩衝液洗浄を続け、それは、以前の実行よりはるかに多くの洗浄相におけるタンパク質を有しており、同時に11%の低収率であった。この実行から得られた意外にも芳しくない収率に基づいて、この樹脂は、よりしっかりしたタンパク質結合をもたらすのに、塩平衡化から恩恵を受け得ることが仮定された。生成物の損失を最小限にしながら、塩および非反応性mAbを除去するために十分な体積の基底緩衝液を使用することの間で、バランスをとらなければならないことも仮定された。
【0544】
後続の実行の多くでは、5CVではなく2〜3体積の基底緩衝液を使用した。フェニル650S実行152では、7CVにわたって1M〜0.30MのNaCl直線勾配を使用した。勾配の後に、基底緩衝液中0.30MのNaClを用いた3CVプラトー洗浄、次いで基底緩衝液中0.10MのNaClを用いた3CVプラトー洗浄を続け、それは、洗浄液中のさらにより少ないタンパク質、および溶出ピークの同時の増大を含み、53%の収率を示した(表68)。300mMのNaClにおける減塩ステップでのプラトーの開始は、極めて重要な発見であり、それは、最終的に、必要な改善をもたらした。実行152からの溶出画分は、94および97%の主ピークを含有し(表69)、この方法が機能することによって、フェニル650S生成物プール中で50%超の収率および90%超の主ピークという目的を実現したことを実証した。洗浄画分10は、31.5%の主ピークを有し、それは、0.30M超のNaClを用いてプラトー洗浄すると、カラム上により多くの生成物を場合により保持することができることを示した。
【0545】
フェニル650S実行155では、3CVにわたって1M〜0.35MのNaCl直線勾配を使用した(表68)。勾配の後に、基底緩衝液中0.35MのNaClを用いた3CVプラトー洗浄を続け、それは、以前の実行より低い、43%の収率をもたらした。一要因は、2倍の装填量の45g/Lをカラムに施したことであった。タンパク質のほとんどは、フロースルーおよび洗浄においてカラムから出て、装填量16g/Lを有効に築いた。より急な傾きの減塩勾配も、より多くの主ピークを洗出し、収率を低減させた。
【0546】
フェニル650S実行159では、7CVにわたって1M〜0.44MのNaCl直線勾配を使用した(表68)。勾配の後に、基底緩衝液中0.44MのNaClを用いた4CVプラトー洗浄、その後、基底緩衝液中0.3MのNaClを用いた4CVプラトー洗浄、基底緩衝液を用いた2CVプラトー洗浄を続け、それは、以前の実行より低い、50%の収率をもたらした。しかし、基底緩衝液洗浄を最適化することは、純度および収率の両方を最大することに役立つ別の重要発見であった。
【0547】
フェニル650S実行167では、7CVにわたって1M〜0.3MのNaCl直線勾配を使用した(表68)。勾配の後に、基底緩衝液中0.3MのNaClを用いた8CVプラトー洗浄、その後、基底緩衝液を用いた2CVプラトー洗浄を続けた。収率は、51%であった。0.3MのNaCl洗浄の濃度がより大きくなっていれば、収率がより大きくなった可能性があると仮定された。
【0548】
フェニル650S実行171では、7CVにわたって1M〜0.33MのNaCl直線勾配を使用した(表68)。勾配の後に、基底緩衝液中0.33MのNaClを用いた6CVプラトー洗浄、その後、基底緩衝液を用いた2CV洗浄を続け、それは、57%の収率をもたらした。
【0549】
最終プロセス開発実行を行うことによって、20mMのリン酸塩洗浄の間のNaClを排除するための条件を微調整した。洗浄ステップをいくつかの実験の過程にわたって確立し、洗浄ステップにおける最終微調整を、実行171および185に示したように完了し(表68)、それにより、非反応性mAbのほとんどが溶出された。カラムに装填し、これを1CVの1MのNaCl緩衝液で洗浄した後、7CVにわたる1〜0.33MのNaCl直線勾配により、非反応性mAbが効率的に除去された。5〜6CVにわたる0.33MのNaClのプラトー洗浄により、非反応性材料をカラムから完全に洗出することが可能になった。基底緩衝液を用いた2〜3CVの洗浄は、残っている塩を除去し、カラムを溶出のためにコンディショニングし、最適な方法として確認された。引き続いて、33Lスケールのパイロットプラント実行のために、生成物品質を失うことなく、0.33MのNaCl洗浄を5CVに低減し、20mMのリン酸ナトリウムを2CVに低減した。
【0550】
溶出緩衝液を14%のIPAから15%の1,6ヘキサンジオールに変更した。目的は、大規模におけるIPAの可燃性の可能性を排除することであった。通常1.5CV以内である実験室スケールで高い収率の完全反応性h38C2が収集されたので、溶出緩衝液のIPA濃度を14%に設定した。ヘキサンジオール溶出緩衝液を、実行177において小規模で試験した(表68)。生成物プールを1.5CV中に収集し、収率は73%であり、88%の主ピークを含有していた。個々の画分を、実験室規模カラム実行のために収集した。プールした画分は一般に、上昇ピーク上で、200mAUで、下降ピーク上で、200〜400mAUの間で収集した。ショルダーの生成物品質を点検した後、これらは、主ピークの%が十分に高く、その結果、33Lカラム実行のプールストラテジーは、100AU〜100mAUの生成物ピークを収集することであった。
【0551】
(実施例76)
水性溶出スクリーニング
別の考慮事項は、完全反応性h38C2を依然として濃縮しながら、溶出緩衝液中に有機成分を用いることなく溶出することができるカラムを見つけることであった。mAbが樹脂にそれほどしっかりと結合しないように、より親水性のカラムをこのスクリーニングのために選択した。タンパク質がそれほどしっかりと結合しない状態で、水性緩衝液でmAbを溶出する可能性は、より大きかった。有効な手法であるために、この方法は依然として、完全反応性h38C2および非反応性h38C2を分離する必要があった。PPG600M、ブチルHP、およびフェニルHPカラムを、本明細書に記載したフェニル650Sカラムで開発したプロセスに非常に類似した方法を使用して試験した(表70)。PPG600M、ブチルHP、およびフェニルHPクロマトグラフィー(4mLスケール)について、平衡化緩衝液は、20mMのリン酸ナトリウム、2.5MのNaCl、pH7.0であった。装填物を、同じpHおよび伝導率を有する同様の組成に調整した。18〜19gのmAb/Lの樹脂を装填した後、平衡化緩衝液を用いた5CVの洗浄を続けた。次に、13〜15CVにわたる2.5M〜0MのNaClの減塩洗浄、その後、3CVの20mMのリン酸塩緩衝液。代わりに、1つのブチル実行は、1M〜0.3MのNaClの減塩洗浄、その後の、3CVの20mMのリン酸塩緩衝液を有した。5CVの20mMのリン酸ナトリウム、20%のIPA、pH7.0でカラムをストリップした。
【0552】
【表67】
【0553】
PPG600Mカラムに、18g/Lでわずかに過剰装填し、mAbの約5%が高塩洗浄の間に流れた。mAbは、伝導率が低下するにつれて溶出した。しかし、反応性/非反応性種の分離を示す定義を伴わない大きな広いピークがあった。ブチルHPカラムは、最も有望であり、実際に、相当量のmAbがより低い塩溶出の間に溶出された。しかし、HICアッセイ結果は、プールが、43%のピーク2および53%の主ピーク種を含有することを示した。h38C2は、フェニルHPカラムから、減塩洗浄の間に水相中に溶出しなかった。濃縮されたh38C2は、IPA勾配でのみ溶出された。mAbは、IPAでのみ溶出され得るので、フェニルHPカラムは、水性溶出法に適していなかった。したがって、これらのカラムのいずれも、代替の精製ストラテジー、またはフェニル650S樹脂から切り替える理由をもたらすことができなかった。
【0554】
(実施例77)
洗練されたフェニル650S精製プロセス
20g/LのmAbのh38C2を解凍し、40mMのリン酸ナトリウム、2MのNaCl、pH7で1:1に希釈し、0.45/0.2μMのフィルターに通して濾過し、20mMのリン酸ナトリウム、1MのNaCl、pH7.0で平衡化したフェニル650S HICカラム(TOSOH)上に16〜18g/Lで装填した(表71)。カラムを1CVの平衡化緩衝液で洗浄し、次いで7CVの勾配を、20mMのリン酸ナトリウム、pH7中、1〜0.33MのNaClで展開した。5CVで、20mMのリン酸ナトリウム、pH7.0中、0.33MのNaClで勾配を保持し、その後、基底緩衝液、20mMのリン酸ナトリウム、pH7で2CVの洗浄を続けた。反応性のより少ない形態のh38C2は、これらの洗浄ステップを施す間に溶出した。溶出相について、0〜15%の1,6ヘキサンジオール勾配を1CVにわたって展開し、溶出が完了するまで15%で保持した。完全反応性h38C2生成物を、約1〜2CVのプールとして収集した。
【0555】
【表68】
【0556】
次いで、90〜95%の完全反応性h38C2を含有するフェニル650S生成物プールを、膜1m
2当たり130〜280gのmAbで、30kD Hydrosart膜(Sartoriusによる3m
2)を用いて、10mMのヒスチジン(8透析容量(diavolume))中に透析濾過した。UF保持液を、UF緩衝液のUFリンス液の適切な量を用いて25g/Lに調整した。最終的なバルク原薬中間製剤を確立するために、4〜5倍量の残っている賦形剤を含有する原液を、透析濾過したタンパク質溶液中にスパイクした。最終的な製剤は、10mMのヒスチジン、10mMのグリシン、2%のスクロース、pH6.5±0.3であった。製剤化したDS中間体溶液を0.45/0.2μMの最終フィルターに通過させ、適切なサイズのStediumバッグまたは等価物中に、2〜8℃で最大6カ月貯蔵した。より長期間の貯蔵のために、DS中間体を、1Lまたは4LのPETGボトル中に−70〜80℃で凍結させた。
【0557】
表72&73は、洗練されたフェニル650Sプロセスを使用するGLPおよびGMPグレードプロセスの実行からの収率を示す。
【0558】
【表69】
【0559】
【表70】
【0560】
(実施例78)
完全反応性h38C2のEx4−リンカーとのコンジュゲーション効率
試料中の主ピークを報告するHICアッセイ結果と、両コンジュゲーション部位の、基質と反応する能力との間の関係を、以下の(表74)に示す。様々なHIC精製を実行した後、h38C2の各試料は、1:3のモル比の[配列番号53−L1]とともにインキュベートし、次いで、抗体1つ当たりのE4−リンカーコンジュゲーションの数を、サイズ排除クロマトグラフィーを使用してカウントした。
【0561】
h38C2 FR実行171を、実施例77の洗練されたプロセスに従ってフェニル650S上で精製し、基底緩衝液および15%のIPAの溶液中に含めた。h38C2 FR実行171から合計3CVの溶出画分をプールし、プールは、HICアッセイによって92.4%の主ピークを示した。h38C2を、1:3のモル比のEx4−リンカーとともにインキュベートした。コンジュゲーション反応は、87.8%の完了まで進み、mAbの11.8%が、1種のペプチドと反応した。
【0562】
h38C2 FR実行177を、実施例77の洗練されたプロセスに従ってフェニル650S上で精製し、基底緩衝液および15%の1,6ヘキサンジオールの溶液中に含め、次いで、10mMのグリシン、10mMのヒスチジン、pH6.5中に透析濾過した。h38C2 FR実行177から合計1.5CVの溶出画分をプールし、プールは、88%の主ピークを示した。h38C2を、1:3のモル比のEx4−リンカーとともにインキュベートした。コンジュゲーション反応は、96%の完了まで進み、mAbの3.9%が、1種のペプチドと反応した。
【0563】
実行171と177を比較すると、実行177は、IPAを用いずにより高いコンジュゲーション効率を有し、他のすべては等価であったので、IPAが反応を妨害することが明白であった。
【0564】
h38C2 FR実行「E−tox」を、実施例77の洗練されたプロセスに従ってフェニル650S上で精製し、基底緩衝液および15%のIPAの溶液中に含めた。h38C2 FR実行「E−tox」から合計5CVの溶出画分をプールし、プールは、HICアッセイによって90.7%の主ピークを示した。h38C2を、1:3のモル比のEx4−リンカーとともにインキュベートした。コンジュゲーション反応は、93.2%の完了まで進み、mAbの6.7%が、1種のペプチドと反応した。
【0565】
試料中の完全反応性抗体の量を測定するサイズ排除分析は、主ピーク分析と非常によく相関することが、表74から分かる。
【0566】
【表71】
【0567】
(実施例79)
重要なフェニル650S展開の知見
TOSOH(商標)および他の供給業者製のいくつかのHIC樹脂をスクリーニングした後、フェニル650Sカラムを選んだ。この樹脂は、高い装填能力を有する(HIC樹脂について、約16〜約18g/Lの範囲)。35μMの粒径は、反応形態の抗体を濃縮しながらコンジュゲート可能でないmAbを除去するのに必要な分割をもたらす。大規模で、10、13.5、および20cmのベッド高を有するカラムを使用した。流量は、2つのより短いカラムについて約2〜約4倍高く、したがって、本発明は、より低い圧力でより効率的な処理を可能にする、約10cm〜約20cm、好ましくは約10cm〜約15cmのカラムベッド高のカラムの使用を提供する。20cmのカラムベッド高を、処理要求事項を満たすのに使用することができるが、より長い工程所要時間を必要とする。上述したカラム装填範囲および洗浄ストラテジーを、完全反応性h38C2の濃縮および収率の両方について最適化した。以前のストラテジーおよび他の樹脂は、約11〜約55%のタンパク質回収率をもたらし、完全反応性h38C2の所望の濃縮レベルを実現しなかった。小規模展開作業では、溶出緩衝液として20mMのリン酸ナトリウム、pH7.0中、20%のIPAを使用した。本発明は、大規模における可燃性問題を回避するためにIPAの使用を回避するための1,6,ヘキサンジオールの使用を提供する。
【0568】
フェニル650Sカラムは、ロバストであり、フェニル5PWカラムより4倍高い装填能力を有し、より大きい粒径に起因して、フェニル5PWカラムより高い流量を実現し、スケーラブルで再現可能である。
【0569】
同様の精製法を用いて4ml、75ml、9.5L、および33Lスケールでフェニル650Sを使用する開発したプロセスの結果は、すべて優れた収率を実現し、完全反応性h38C2を生成した。9.5Lスケール実行は、110gのh38C2 FRを達成し(80〜90gの目標の十分上)、それは、72%の総タンパク質収率を代表した。HICアッセイは、主ピークが総タンパク質の93%を構成することを示した。
【0570】
本発明は、少なくとも約65%、より好ましくは少なくとも約70%、最も好ましくは少なくとも約72%の総タンパク質収率とともに、少なくとも約85%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約92%、より好ましくは少なくとも約95%の主ピーク収率で完全反応性h38C2を達成するためのプロセスを提供する。
【0571】
本精製法は、ABC1を調製するためにFGF21に、引き続いてEx4ペプチドにコンジュゲートするのに必要とされる完全反応性h38C2をもたらした。
【0572】
フェニル650Sカラムを用いた大規模での総タンパク質収率は、少なくとも約55%、好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約65%、より好ましくは少なくとも約68%、より好ましくは少なくとも約70%、最も好ましくは少なくとも約75%を実現するように最適化された。本発明は、少なくとも約85%、好ましくは少なくとも約88%、より好ましくは少なくとも約90%の完全反応性h38C2をもたらすためのプロセスも提供する。
【0573】
コンジュゲーションのための完全反応性h38C2の濃縮の成功は、フェニル650S樹脂を用いて実現された。フェニル650Sカラムの最大装填能力は、およそ20〜22g/Lであった。
【0574】
最大装填能力は、緩衝液でカラムを平衡化し、次いで、吸光度のブレークスルーが観察されるまでタンパク質装填を施すことによって確認される。ブレークスルーのレベルは、通常、最大吸光度の5〜10%に設定する。カラム装填を停止し、平衡化緩衝液でカラムを洗浄しながらブレークスルーを収集する。加えたタンパク質の質量からタンパク質ブレークスルーの量を差し引いた差異が、最大装填能力である。別のカラム実行で、計算した最大装填量をカラムに施し、その量のタンパク質がカラムに結合することを検証する。
【0575】
650Sカラムは、少なくとも2/3の能力まで装填されるとき、最適な性能を示す。カラム装填量は、一般に約15〜18g/Lであった。これは、最大装填能力の約70〜80%である。カラムの結合能力付近に装填することが有利であることが判明した。カラムが、装填後に過剰の利用可能な結合部位を有する場合、非反応性mAbの溶出が洗浄ステップの間に遅延され、完全にコンジュゲート可能な形態の溶出の前に除去されない場合がある。したがって、いくつかの態様では、カラムに、少なくとも約50%の能力、好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約70%、さらにより好ましくは少なくとも約80%まで装填することができる。実行155(表67)では、カラムに45g/Lで過剰装填し、材料のほとんどは、カラムに結合しなかった。カラム実行を継続し、タンパク質を実行の残りから回収した。総装填量からブレークスルーにおけるタンパク質の量を差し引いて計算すると、16g/Lの実用上の装填量が得られる。カラムに通常のブレークスルー点を超えて過剰装填すると、予期されたものより多くのタンパク質がカラムから洗出された。フェニル650Sカラムの結合能力は、約22〜30g/Lの間であり、ブレークスルーを見ることなく試験した22g/L付近またはそれより上である。
【0576】
精製の重要な部分は、非反応性抗体を溶出する3ステップ水性減塩洗浄を規定することである。目標塩濃度、減塩洗浄の傾き、および洗浄の持続時間を微調整することによって、不活性形態のほとんどがカラムから溶出される一方、完全反応性h38C2のほとんどは、樹脂に結合したままである。溶出は、イソプロピルアルコール(IPA)または1,6ヘキサンジオールによって逆相モードで達成される。水性溶出条件を特定するために追加のカラム試験を実施したが、適当な方法は、特定されなかった。
【0577】
したがって、いくつかの態様では、本発明は、h38C2を精製するための、プロセスの意外な微調整を提供する。いくつかの態様では、h38C2は、配列番号25および26を含む。いくつかの態様では、本発明は、h38C2およびその変異体を微調整するためのプロセスを提供する。この脈絡において、「その変異体」は、配列番号27に示した軽鎖可変領域(V
L)配列のV
L CDR1、V
L CDR2、およびV
L CDR3を含むV
L、ならびに配列番号28に示した重鎖可変領域(V
H)配列のV
H CDR1、V
H CDR2、およびV
H CDR3を含むV
Hを含む抗体に関する。好ましくは、h38C2は、IgG1抗体である。好ましくは、h38C2変異体は、配列番号27に示したV
L、および配列番号28に示したV
Hを含み、配列番号78、79、80、および81の1つまたは複数と少なくとも95%同一である軽鎖定常領域、ならびに配列番号82と少なくとも95%同一である重鎖定常領域をさらに含む。いくつかの態様では、各定常鎖の同一性は、配列番号27または28の1つに対して独立して、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%であり得る。いくつかの態様では、軽鎖定常領域は、配列番号78、79、80、および81の1つまたは複数と5個以下のアミノ酸残基が異なる。いくつかの態様では、軽鎖定常領域は、配列番号81を含む。いくつかの態様では、軽鎖定常領域は、配列番号81と5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸が異なる。
【0578】
いくつかの態様では、本発明は、部分的非反応性h38C2またはその変異体、および完全非反応性h38C2またはその変異体の混合物から、完全反応性h38C2またはその変異体を抽出するためのプロセスであって、試料をフェニルカラム上で逆相クロマトグラフィーにかけるステップを含む、プロセスを提供する。
【0579】
いくつかの態様では、本発明は、完全反応性h38C2またはその変異体を含む組成物に関する。h38C2またはその変異体の反応性試料は、試料中の抗体の少なくとも約85%、約88%、約90%において、両方の抗原結合部位が抗原結合に完全に利用可能である、h38C2またはその変異体の試料として定義することができる。
【0580】
抗体がh38C2またはその変異体などの触媒抗体である場合、反応性抗原結合部位は、それぞれの反応を触媒し、かつh38C2またはその変異体の場合では、本明細書に記載した式X−Y−Zのリンカーへの共有結合性コンジュゲートを形成するのに利用可能となる。理論に束縛されることを望むわけではないが、試料中に部分的および完全非反応性抗体が存在することの一仮説は、抗体の一方または両方の抗原結合部位が、先の生成サイクルにわたるある時点で、天然に存在する「粘着性」低分子と結合した場合である。
【0581】
カラムビーズの粒径は、直径約50μm未満とすることができる。カラムビーズの粒径は、約40μm未満であってもよい。カラムビーズの粒径は、約50μm〜約20μmの間とすることができる。カラムビーズの粒径は、約40μm〜約30μmの間であってもよい。カラムビーズの粒径は、約35μmであってもよい。いくつかの態様では、「S」グレードのフェニルカラムを使用することができる。
【0582】
いくつかの態様では、ビーズは、少なくとも約500Åの孔を含み得る。いくつかの態様では、ビーズは、少なくとも約650Åの孔を含み得る。いくつかの態様では、ビーズは、少なくとも約700Åの孔を含み得る。いくつかの態様では、ビーズは、約500Å〜1000Åの間の孔を含むことができる。いくつかの態様では、ビーズは、約700Å〜800Åの間の孔を含むことができる。
【0583】
いくつかの態様では、HICカラムは、約750Åの孔を含む約35μMのフェニルコンジュゲート樹脂ビーズを含むことができる。いくつかの態様では、カラムは、フェニル650Sカラムとすることができる。
【0584】
HICは、約0℃〜37℃の間で実施することができる。これは、RT(約15℃〜約25℃)であってもよい。これは、約16℃〜約23℃の間の温度でのものとすることができる。
【0585】
カラムの線流速は、約10〜約100cm/時間の間とすることができる。好適な流速は、約50〜約90cm/時間の間であり得る。
【0586】
基底緩衝液は、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、HEPES、トリス、またはビス−トリスからなる群、好ましくはリン酸ナトリウムから選択される緩衝剤を、約15mM〜約100mMの間、好ましくは約20mM〜約70mMの間、より好ましくは約20mM〜約50mMの間、最も好ましくは約20mMの濃度で含むことができる。約5mMの濃度未満で、塩濃度が弱すぎて有効に緩衝することができない可能性があり、約100mM超で、塩濃度の増大が溶液の溶解度に負のインパクトを与え得る。pHは、約6.5〜約7.5の間、より好ましくは約6.8〜約7.2の間、最も好ましくは約7とすることができる。
【0587】
いくつかの態様では、カラムを、装填前に、装填前平衡化洗浄にかけることができる。装填前平衡化洗浄は、基底緩衝液および約0.5M〜約1.5Mの間の塩を含むことができる。
【0588】
いくつかの態様では、カラムを、基底緩衝液を含み、約0.5M〜約1.5Mの間の塩をさらに含む装填後平衡化洗浄にかけることができる。
【0589】
ステップ(装填前、装填、および装填後の平衡化緩衝液を含む)のいずれかのための塩は、下限が、約0.5M、0.6M、0.7M、0.75M、および0.8Mからなる群から選択され、上限が、約0.8M、0.9M、1M、1.1M、1.2M、1.3M、1.4M、および1.5Mからなる群から選択される濃度範囲のものとすることができる。塩濃度は、約0.75Mであってもよい。塩濃度は、約0.5Mであってもよい。塩濃度は、約1Mであってもよい。塩は、NaCl、KCl、およびクエン酸一ナトリウムからなる群から選択することができる。塩は、NaClとすることができる。塩は、約1MのNaClとすることができる。
【0590】
いくつかの態様では、カラムを、出発塩濃度が約0.5〜約1.5Mの間であり、好ましくは約1Mであり、最終濃度が約0.25〜約0.4Mの間であり、好ましくは約0.3M〜約0.35Mの間であり、より好ましくは約0.33Mである、基底緩衝液中の直線塩勾配にかけることができる。勾配にわたる塩(特にNaCl)の濃度の低減が、1CV当たり90〜100mMの減少に等しい場合(例えば、1.5Mから0.5Mに塩濃度を低減するのに約10〜11CVの間が使用される)、特に有利な結果が得られることが判明した。したがって、いくつかの態様では、直線塩勾配は、1CV当たり約90mM〜100mMの間の塩濃度の低減を特徴とする。したがって、NaCl勾配を使用する場合、約7CV当たり少なくとも約0.65〜0.7MのNaCl、いくつかの態様では、約7CV当たり約0.67MのNaClを維持することが望ましいことが判明した。直線勾配は、少なくとも約4、好ましくは少なくとも約4.5、より好ましくは少なくとも約5CVから構成することができる。直線勾配の体積が小さすぎると、険しすぎる勾配の傾きをもたらす場合があり、非反応性材料が溶出する時間が不十分である。いくつかの態様では、直線塩勾配は、約4〜約10CVの間から構成され得る。いくつかの態様では、直線塩勾配は、約5〜約7CVの間から構成され得る。いくつかの態様では、直線塩勾配は、約7CVから構成され得る。塩は、NaCl、KCl、およびクエン酸一ナトリウムからなる群から選択することができる。塩は、NaClとすることができる。
【0591】
好都合には、次いでカラムを、約4CV〜約7CVの間、好ましくは約6CV、より好ましくは約5CVで、約0.25M〜約0.4Mの塩(上記の通り)、好ましくは0.33Mの塩を含む、基底緩衝液中のプラトー洗浄にかけることができる。塩は、NaClとすることができる。NaClは、0.33Mのものとすることができる。
【0592】
いくつかの態様では、次いでカラムを、下限が、約1、2、3、4、および5からなる群から選択され、上限が、約5、6、7、8、9、および10からなる群から選択され、範囲を、約1〜約10、または約2〜約8、または約3〜約8の間、または約5〜約6の間とすることができる、一連のCV中の基底緩衝液を用いたさらなる洗浄にかけることができる。いくつかの態様では、基底緩衝液中のさらなる洗浄は、約2〜約3CVの間の基底緩衝液中である。
【0593】
いくつかの態様では、カラムでの溶出は、基底緩衝液、および1,6ヘキサンジオールの直線濃度勾配を使用して行うことができる。溶出直線勾配は、約0〜約1%の間、好ましくは約0%の1,6ヘキサンジオールの初期濃度から、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、および約22%からなる群から選択される上限まで進めることができる。ヘキサンジオール溶出は、約0.5CV〜約3CVの間の溶出緩衝液のカラム体積にわたって、または溶出プールが収集されるまで増大させることができる。いくつかの態様では、最大5CVで、または溶出プールが収集されるまで、基底緩衝液、ならびに約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、および22%、約0%〜約22%からなる群から選択される濃度の1,6ヘキサンジオールを含む、さらなる溶出ステップを実行することができる。いくつかの態様では、総溶出CVは、約7CVである。いくつかの態様では、総溶出CVは、約6CVである。
【0594】
20%のヘキサンジオールは、十分に機能するが、15%が、UF/DFに対してより良好な流量を可能にすることが判明した。
【0595】
次いで、溶出したh38C2を、適当な緩衝液(例えば、約10mMのヒスチジン、約10mMのグリシン、約2%のスクロース、pH6.5±0.3)中に透析濾過することができる。
【0596】
いくつかの態様では、本発明は、h38C2またはその変異体の試料を精製するためのプロセスであって、試料中の抗体の少なくとも約85%で、両方の抗原結合部位が抗原結合に完全に利用可能であり、
(i)pH約6.5〜約7.5の間で、約15mM〜約100mMの間のリン酸ナトリウム、リン酸カリウム、またはリン酸アンモニウム、HEPES、トリス、およびビス−トリスを含み、約0.5M〜1.5Mの間の第1濃度で、NaCl、KCl、およびクエン酸一ナトリウムからなる群から選択される塩をさらに含む基底緩衝液を含む装填前平衡化洗浄液でHICカラムを平衡化するステップであって、HICカラムは、直径が約50μm未満であり、少なくとも約500Åの孔を含むフェニルコンジュゲート樹脂ビーズを含む、ステップと、
(ii)基底緩衝液を含み、第1濃度の塩をさらに含む装填緩衝液中の約4〜約80g/Lの間のh38C2の試料をカラムに装填するステップと、
(iii)基底緩衝液および第1濃度の塩を含む装填後平衡化洗浄液でカラムを洗浄するステップと、
(iv)基底緩衝液を含み、塩濃度が1CV当たり約90mM〜100mMの間で減少することを特徴とする、約1.5M〜約0.25Mの塩の直線濃度勾配をさらに含む、塩勾配でカラムを洗浄するステップと、
(v)約4CV〜約8CVの間の、基底緩衝液中、約0.25M〜約0.4Mの間の塩を含む塩プラトー洗浄液でカラムを洗浄するステップと、
(vi)基底緩衝液を含む緩衝洗浄液でカラムを洗浄するステップと、
(vii)基底緩衝液、ならびに約0.5CV〜約3CVの間にわたって、または溶出プールが収集されるまで、約0〜約1%の間の1,6ヘキサンジオールの濃度で始まり、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、および22%、約0%〜約22%の1,6ヘキサンジオールからなる群から選択される上限で終わる1,6ヘキサンジオールの直線濃度勾配を含む溶出緩衝液でh38C2を溶出するステップと、
(viii)最大5CVで、または溶出プールが収集されるまで、基底緩衝液、ならびに約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、および22%、約0%〜約22%からなる群から選択される濃度の1,6ヘキサンジオールを含むさらなる溶出ステップを任意選択により実行するステップと
を含む、プロセスを提供する。
【0597】
いくつかの態様では、本発明は、h38C2またはその変異体の試料を精製するためのプロセスであって、試料中の抗体の少なくとも約85%で、両方の抗原結合部位が抗原結合に完全に利用可能であり、
(i)約20mMのリン酸ナトリウム、約1MのNaCl、pH約7を含む装填前平衡化洗浄液でフェニル650S HICカラムを平衡化するステップと、
(ii)pH約7の約20mMのリン酸ナトリウム中、約5〜約20g/Lの間でh38C2の試料をカラムに装填するステップと、
(iii)約1CVの、pH約7の約20mMのリン酸ナトリウム中、1MのNaClを含む装填後平衡化洗浄液でカラムを洗浄するステップと、
(iv)20mMのリン酸ナトリウム、pH7を含み、塩濃度が1CV当たり約90mM〜100mMの間で減少することを特徴とする、約1M〜約0.33MのNaClの直線濃度勾配をさらに含む、NaCl勾配でカラムを洗浄するステップと、
(v)約5CVの、pH約7の約20mMのリン酸ナトリウム中、約0.33MのNaClを含むNaClプラトー洗浄液でカラムを洗浄するステップと、
(vi)約2CVの、pH約7の20mMのリン酸ナトリウムを含む緩衝洗浄液でカラムを洗浄するステップと、
(vii)20mMのリン酸ナトリウム、pH7、および約1CVで、約0〜約1%の1,6ヘキサンジオールの濃度で始まり、約14%、約15%、または約16%からなる群から選択される上限の1,6ヘキサンジオールで終わる、1,6ヘキサンジオールの直線濃度勾配を含む溶出緩衝液でh38C2を溶出するステップと、
(viii)約2〜約5CVで、または溶出プールが収集されるまで、20mMのリン酸ナトリウム、pH7、および約14%、約15%、および約16%からなる群から選択される濃度の1,6ヘキサンジオールを含むさらなる溶出ステップを実行するステップと
を含むプロセスを提供する。
【0598】
(実施例80)
ABC−1処置後の脂肪細胞分析
白色脂肪組織中のアレイによる遺伝子発現分析に加えて、ABC−1、Ab[Ex4]
2、またはAb[FGF21]
2で処置したDIOマウスに由来する白色脂肪組織に対して組織化学的評価を行った。化合物を毎週1回(0日目および7日目)投与し、体重および食物摂取量を毎週2回測定した。終了の日に(10日目)、1つの生殖腺白色脂肪貯蔵物を、切除、秤量、固定化、パラフィン包埋、および切断し、細胞サイズおよびアポトーシスの組織化学的分析(TUNEL染色)を行った。ABC−1は、脂肪細胞アポトーシスの低減に向かう傾向を伴って、体重および脂肪組織湿重量、ならびに脂肪細胞サイズを有意に低減させた。
【0599】
【表72】
【0600】
(実施例81)
高脂肪食後のサルに対するABC−1の効果
6カ月にわたって高脂肪食を摂食させた後のカニクイザルにおけるABC−1の効力を調査するように設計された試験において、8匹の成体雄に、1.0mg/kg(1週目および2週目)、3.0mg/kg(3週目および4週目)、および10mg/kg(5週目および6週目)の用量レベルで、2週間にわたって毎週2回ABC−1を静脈内投与した。ベースラインにおいて一晩絶食させた後、および6週間の投薬期間の最後に、麻酔下で全身DXAスキャンを撮った。脂肪量、除脂肪体重、および骨ミネラル量(BMC)からなる3つの身体コンパートメントの組成を分析および推定した。顕著な体重の変化は、ベースラインと1.0mg/kgおよび3.0mg/kgの投薬期間との間でまったく確認されなかった。しかし、10.0mg/kg処置の最後に、平均体重の相当な減少が観察された(±5.4%の標準誤差を伴って9.0%)。平均ボディーマスインデックス(BMI)値は、平均ベースライン値と比較して、投薬期間の最後(6週目)で、12.09%低かった。DXA身体組成分析により、ベースライン値と比べて、投薬期間の最後(6週目)に記録した胴体および全身を伴う、組織(−34.9±12.9%)および局所(−35.6±12.9%)のパーセンテージ脂肪ならびに脂肪量(−42.1±14.0%)についてより低い平均パーセント値が示された。除脂肪組織量、骨ミネラル量(BMC)、および総質量の顕著な変化は、観察期間全体の間でまったく確認されず、ABC−1によって誘導される体重減少は、ユニークに脂肪量の減少を対象としていることを示唆した。
【0601】
【表73】
【0602】
別段の指定のない限り、用語「Ab−L1−FGF21ΔH−A129C」が具体例の脈絡において使用される場合、これは、抗体の各アームが配列番号26のK
99を通じてリンカー−1(L1)に共有結合により連結され、各L1分子が配列番号10中のCys
129のチオール基に共有結合によりコンジュゲートされた、h38C2抗体(配列番号25および26)を指す(配列番号1の番号付けによる)。この化合物は、Ab−(FGF21ΔH−A129C−L1)
2、h38C2−(FGF21ΔH−A129C−L1)
2、およびh38C2−(配列番号10−L1)
2と記載することもできる。抗体、特定のリンカー、およびFGF21分子の配列、特に、LまたはPであり得る、146位などの公知の多型部位に、軽微な修飾が可能であり得ることが明らかになるであろう。FGF21のP146およびL146変異体は、いずれの生物学的差異も示さないように思われることが注目される。
【0603】
非対称二機能性コンジュゲート(ABC)分子、ならびにこれらの中間体および誘導体が、具体例との関連で記載されている場合、下付き文字の1または2は、抗体1つ当たりのコンジュゲートされたタンパク質−リンカーまたはペプチド−リンカー種の数を表す。
【0604】
文字がリンカー基、または化学変数を記載する関連で使用される場合(例えば、認識基を定義するためのY)、式は、単一文字によって表される式と、1文字IUPACコードによって表されるアミノ酸またはヌクレオチドとの間のいずれの予想される混乱も回避するために、文字の大文字と小文字の組合せ、またはダブル小文字によって表すことができる。したがって、認識基としてのYは、Yyまたはyyとして記載される場合もある。
【0605】
こうして、本発明を、上述した代表的な実施形態を参照して広く開示し、例示してきた。当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な改変を本発明に行うことができることを認識するであろう。すべての刊行物、特許出願、および発行済み特許は、各個々の刊行物、特許出願、または発行済み特許が、その全体が参照により組み込まれているように具体的かつ個々に示されているのと同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれている。参照により組み込まれているテキスト中に含まれる定義は、これらが本開示における定義と矛盾する程度に応じて除外される。
【0606】
明確にするために別個の実施形態の脈絡において記載されている本発明のある特定の特徴は、1つの実施形態において組合せで提供することもできることが理解される。反対に、簡潔にするために1つの実施形態の脈絡において記載されている本発明の様々な特徴を、別個に、または適当なサブコンビネーションで提供することもできる。
【0607】
本発明の一実施形態に関して論じたいずれの限定事項も、本発明の任意の他の実施形態に適用することができることが特に企図されている。さらに、本発明の任意の組成物は、本発明の任意の方法において使用することができ、本発明の任意の方法は、本発明の任意の組成物を生成または利用するのに使用することができる。特に、請求項に記載される本発明の任意の態様は、単独で、または1つもしくは複数の追加の請求項および/もしくは明細書の態様と組み合わせて、特許請求の範囲および/または明細書の他の箇所で述べた本発明の他の態様と組み合わせられると理解されるべきである。
【0608】
特許請求の範囲における用語「または」の使用は、選択肢のみを指すことが明確に示され、または選択肢が相互に排他的であるのでなければ、「および/または」を意味するのに使用されるが、本開示は、選択肢のみ、および「および/または」を指す定義を支持する。
【0609】
本明細書において文中で使用される「a」または「an」は、別段の明らかな指示のない限り、1つまたは複数を意味することができる。請求項(複数可)において文中で使用される、単語「含む」とともに使用される場合の、「単語「a」または「an」は、1つまたは1つより多いことを意味することができる。本明細書において、「別の」は、少なくとも第2、またはそれ以上を意味することができる。
【0610】
単語「含む(comprises)/含む(comprising)」および単語「有する/含む(including)」は、本発明を参照して本明細書で使用する場合、述べた特徴、整数、ステップ、または構成要素の存在を指定するのに使用されるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、構成要素、またはこれらのグループの存在または追加を排除しない。
【0611】
【表74】
【0612】
【表75】
【0613】
【表76】
【0614】
【表77】