特許第6165169号(P6165169)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6165169
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】バイオマスの処理
(51)【国際特許分類】
   C12P 7/10 20060101AFI20170710BHJP
   C13B 5/00 20110101ALI20170710BHJP
   C12P 3/00 20060101ALI20170710BHJP
   C12P 7/06 20060101ALI20170710BHJP
   C12P 21/00 20060101ALI20170710BHJP
   C12P 19/14 20060101ALI20170710BHJP
   C12N 1/22 20060101ALN20170710BHJP
【FI】
   C12P7/10
   C13B5/00
   C12P3/00 Z
   C12P7/06
   C12P21/00 A
   C12P19/14 A
   !C12N1/22
【請求項の数】26
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2014-548922(P2014-548922)
(86)(22)【出願日】2012年12月20日
(65)【公表番号】特表2015-503327(P2015-503327A)
(43)【公表日】2015年2月2日
(86)【国際出願番号】US2012071092
(87)【国際公開番号】WO2013096699
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2015年11月9日
(31)【優先権主張番号】61/579,550
(32)【優先日】2011年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/579,562
(32)【優先日】2011年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512175199
【氏名又は名称】ザイレコ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 共永
(74)【代理人】
【識別番号】100194423
【弁理士】
【氏名又は名称】植竹 友紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100176094
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 満
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】メドフ,マーシャル
(72)【発明者】
【氏名】マスターマン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】リンチ,ジェームズ
【審査官】 平林 由利子
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02377918(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0286295(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0206862(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 1/00−41/00
C13B 5/00−99/00
C12N 1/00− 1−38
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生成物を製造する方法であって、
第1の構造または担体の内および/または外への難分解性が低減したセルロース系またはリグノセルロース系バイオマスの分子の通過を可能にする条件下で、前記第1の構造または担体内に配置された難分解性が低減したセルロース系またはリグノセルロース系バイオマスと、第2の担体または構造内に配置された微生物および液体培地とを提供する工程、ここで、前記第1の構造または担体が、最大1mm未満の寸法の開口部を有するメッシュ材料から形成され、かつ、前記第2の担体または構造内に配置され、および
前記微生物の酵素が、前記分子を前記生成物に転化することを可能にする工程を含む、前記方法。
【請求項2】
前記微生物が、Trichoderma reesei株を含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記株が、高収率セルラーゼ産生Trichoderma reeseiの変異体である、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記株が、Trichoderma reesei RUT−C30を含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記メッシュ材料が、平均10mm〜1nmの寸法の孔を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記構造または担体が、生体分解可能ポリマーから作製される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記生体分解可能ポリマーが、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート−吉草酸塩、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート−ヘキサノエート、ポリブチレンサクシネート、コハク酸ポリブチレートアジパート、ポリエステルアミド、ポリブチレンアジパート−コ−テレフタラート、これらの混合物、およびこれらの積層物からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記構造または担体が、スターチフィルムから作製される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記セルロース系またはリグノセルロース系バイオマスの難分解性が、電子による衝撃、音波処理、酸化、熱分解、水蒸気爆発、化学的処理、機械的処理、凍結粉砕、およびこのような処理の組み合わせからなる群から選択される処理方法によって低減されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記セルロール系またはリグノセルロース系バイオマスの難分解性が、電子ビームに曝露させることにより低減されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記セルロース系またはリグノセルロース系バイオマスが、紙、紙製品、紙廃棄物、紙パルプ、着色紙、上塗り紙、被覆紙、充填紙、雑誌、印刷物、印刷用紙、ポリコーティング紙、硬い厚紙、ボール紙、板紙、綿、木材、パーティクルボード、林業系廃棄物、おがくず、アスペン材、木材チップ、草、スイッチグラス、ススキ、ミクリ、クサヨシ、穀粒残渣、コメ籾殻、オートムギ籾殻、コムギ籾殻、オオムギ籾殻、農業廃棄物、貯蔵牧草、キャノーラ藁、コムギ藁、オオムギ藁、オートムギ藁、コメ藁、ジュート、麻、亜麻、竹、サイザルアサ、マニラ麻、トウモロコシ穂軸、トウモロコシ飼葉、ダイズ飼葉、トウモロコシ繊維、アルファルファ、干し草、ココヤシ表面毛、糖加工残渣、バガス、ビートパルプ、リュウゼツランバガス、藻類、海藻、堆肥、下水汚物、腐肉、農業または工業廃棄物、アラカチャ、ソバ、バナナ、オオムギ、キャッサバ、葛、アンデスカタバミ、サゴヤシ、モロコシ、ジャガイモ、サツマイモ、タロイモ、ヤムイモ、ダイズ、ソラマメ、レンズマメ、エンドウおよびこれらのいずれかの混合物からなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記セルロール系またはリグノセルロース系バイオマスが、トウモロコシ穂軸を含有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記微生物の酵素が、前記生成物に対し分子を糖化する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
生成物を製造する方法であって、
第1の構造または担体の内および/または外への難分解性が低減したセルロース系またはリグノセルロース系バイオマスの分子の通過を可能にする条件下で、前記第1の構造または担体内に配置された難分解性が低減したセルロース系またはリグノセルロース系バイオマスと、第2の担体または構造内に配置された微生物および液体培地とを提供する工程、ここで、前記第1の構造または担体が、生体分解可能ポリマーから形成され、かつ、前記第2の担体または構造内に配置され、および
前記微生物の酵素が、前記分子を前記生成物に転化することを可能にする工程を含む、前記方法。
【請求項15】
前記微生物が、Trichoderma reesei株を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記株が、高収率セルラーゼ産生Trichoderma reeseiの変異体である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記株が、Trichoderma reesei RUT−C30を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の構造または担体が、最大1mm未満の寸法の開口部を有するメッシュ材料から形成される、請求項14〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記メッシュ材料が、平均10mm〜1nmの寸法の孔を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記生体分解可能ポリマーが、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート−吉草酸塩、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート−ヘキサノエート、ポリブチレンサクシネート、コハク酸ポリブチレートアジパート、ポリエステルアミド、ポリブチレンアジパート−コ−テレフタラート、これらの混合物、およびこれらの積層物からなる群から選択される、請求項14〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記構造または担体が、スターチフィルムから作製される、請求項14〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記セルロース系またはリグノセルロース系バイオマスの難分解性が、電子による衝撃、音波処理、酸化、熱分解、水蒸気爆発、化学的処理、機械的処理、凍結粉砕、およびこのような処理の組み合わせからなる群から選択される処理方法によって低減されている、請求項14〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記セルロール系またはリグノセルロース系バイオマスの難分解性が、電子ビームに曝露させることにより低減されている、請求項14〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記セルロース系またはリグノセルロース系バイオマスが、紙、紙製品、紙廃棄物、紙パルプ、着色紙、上塗り紙、被覆紙、充填紙、雑誌、印刷物、印刷用紙、ポリコーティング紙、硬い厚紙、ボール紙、板紙、綿、木材、パーティクルボード、林業系廃棄物、おがくず、アスペン材、木材チップ、草、スイッチグラス、ススキ、ミクリ、クサヨシ、穀粒残渣、コメ籾殻、オートムギ籾殻、コムギ籾殻、オオムギ籾殻、農業廃棄物、貯蔵牧草、キャノーラ藁、コムギ藁、オオムギ藁、オートムギ藁、コメ藁、ジュート、麻、亜麻、竹、サイザルアサ、マニラ麻、トウモロコシ穂軸、トウモロコシ飼葉、ダイズ飼葉、トウモロコシ繊維、アルファルファ、干し草、ココヤシ表面毛、糖加工残渣、バガス、ビートパルプ、リュウゼツランバガス、藻類、海藻、堆肥、下水汚物、腐肉、農業または工業廃棄物、アラカチャ、ソバ、バナナ、オオムギ、キャッサバ、葛、アンデスカタバミ、サゴヤシ、モロコシ、ジャガイモ、サツマイモ、タロイモ、ヤムイモ、ダイズ、ソラマメ、レンズマメ、エンドウおよびこれらのいずれかの混合物からなる群から選択される、請求項14〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記セルロール系またはリグノセルロース系バイオマスが、トウモロコシ穂軸を含有する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記微生物の酵素が、前記生成物に対し分子を糖化する、請求項14〜25のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、ともに2011年12月22日出願の、米国特許仮出願第61/579,550号および同第61/579,562号の利益を主張する。上記出願の全開示内容は、参照により本明細書中で援用される。
【0002】
本発明は、微生物学的反応、生物学的反応、および生化学的反応の改善に関する。
【背景技術】
【0003】
石油に対する需要が増大するのに伴い、バイオ燃料および生化学生成物を製造するための再生可能原料が関心を集めている。このような製造工程のための供給原料としてのリグノセルロース系バイオマスの使用は、1970年代以来研究されてきた。リグノセルロース系バイオマスは、豊富で、再生可能で、自国で製造されるため、そして食品産業用途と競合しないため、魅力的である。
【0004】
多数の潜在的リグノセルロース原料、例えば少数の例を挙げると、農業残渣、木材バイオマス、地方自治体廃棄物、脂肪種子/固形採油残渣および海藻が、今日利用可能である。目下、これらの材料は、動物飼料、バイオ堆肥材料として用いられるか、あるいは熱電併給施設で焼却されるかまたは埋め立てられる。
【0005】
リグノセルロース系バイオマスは、植物細胞壁が剛性で且つ緊密な構造を有するので、難分解性である。当該構造は、リグニンに取り囲まれた半セルロースマトリクス中に埋め込まれた結晶セルロース繊維を含む。この緊密なマトリクスは、酵素または他の化学的、生化学的および生物学的工程により査定するのが難しい。セルロース性バイオマス材料(例えば、実質的にすべてのリグニンが除去されたバイオマス材料)は、酵素またはその他の転嫁工程により接近することが可能になるが、しかしそういう場合でも、天然セルロース材料は、加水分解酵素と接触されると、しばしば低収量(理論的収量に比して)を有する。リグノセルロース系バイオマスは、酵素攻撃に対してさらに難分解性である。さらに、各型のリグノセルロース系バイオマスは、セルロース、半セルロースおよびリグニンのその自身の特異的組成物を有する。
【0006】
リグノセルロース系バイオマスから構造性炭水化物を抽出するために多数の方法が試みられてきたが、それらは高価すぎるか、収量が低すぎるか、得られる生成物中に望ましくない化学物質を残しているか、あるいは簡単に糖を分解する。
【0007】
再生可能バイオマス供給源からの単糖は、石油およびその他の化石供給原料に取って代わり、補足し、または置換することにより化学および燃料産業の基礎になる。しかしながら、これらの単糖を、大量に、許容可能な純度および価格で利用可能にする技術が開発される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書中で、生成物を製造する方法であって、液体培地、構造または担体、および構造または担体内に配置される、難分解性が低減したセルロース系またはリグノセルロース系バイオマスを含む組み合わせを維持することを含む方法が提供される。
【0009】
別の態様では、生成物を製造する方法であって、液体培地を提供することと、セルロース系またはリグノセルロース系バイオマスを提供することを含む方法であって、セルロース系またはリグノセルロース系バイオマスは、構造または担体内に配置され、構造または担体は、分子の通過を可能にするよう構成された1つ以上の孔を有することと、添加物を提供することと、液体培地中に構造または担体と添加物とを組み合わせて、構造またはキャリアと添加物との組み合わせを作製することと、構造または担体の内および/または外への分子の通過を可能にする条件下で組み合わせを維持することと、添加物が分子を1つ以上の生成物に転化することを可能にする条件下で組み合わせを維持することにより生成物を製造することとを含む方法が本明細書中に提供される。
【0010】
さらに、酵素を産生する方法であって、方法が、液体培地を提供することと、セルロース系またはリグノセルロース系バイオマスを提供することと、セルロース系またはリグノセルロース系バイオマスの存在下で酵素を産生することのできる微生物を提供することと、分子を通過させることが可能であるように構成される1つ以上の孔を有する構造または担体を提供することと、構造または担体内にセルロース系またはリグノセルロース系バイオマスを配置することと、液体培地、構造または担体、および微生物を組み合わせて構造または担体−微生物の組み合わせを作製することと、微生物が酵素を産生することを可能にする条件下で組み合わせを維持することにより、酵素を産生させることとを含む方法が、本明細書中に提供される。
【0011】
また、微生物に物質を提供する方法であって、方法が、液体培地を提供することと、微生物を提供することと、物質を提供することと、構造または担体の内および外への分子の通過を可能にするように構成される1つ以上の孔を有する構造または担体を提供することと、構造または担体内に微生物を配置し、液体培地、構造または担体内の微生物、および物質を組み合わせることにより組み合わせを形成するか、または、構造内または担体内に物質を配置し、液体培地、構造または担体内の物質、および微生物を組み合わせることにより組み合わせを形成するかのいずれかと、物質を、構造または担体の内および外に移動させる条件下で組み合わせを維持することと、微生物と接触させることにより微生物に物質を提供することとを含む。また、このような方法は、第2の構造または担体を提供することと、微生物および物質を、構造または担体を、それぞれ別々に配置することとを含む。
【0012】
また、生成物を作製するためのシステムであって、システムが、コンテナ中の液体培地と、生成物を作製することのできる微生物と、物質を含む構造または担体であって、液体培地内に物質を放出するよう構成される、構造または担体とを含む、方法が本明細書中に提供される。
【0013】
本明細書中に提供されるいずれかの方法において、セルロース系またはリグノセルロース系バイオマスを、構造または担体内に配置することができ、方法が、第2の構造または担体内に添加物を配置することをさらに含み、セルロース系またはリグノセルロース系バイオマスを含む構造または担体が、第2の構造または担体内に配置される。
【0014】
本明細書中に提供されるいずれかの方法またはシステムにおいて、物質を、糖とすることができ、例えば、糖を、1つ以上の構造または担体内に配置することができる。
【0015】
本明細書に提供されるいずれかの方法またはシステムにおいて、産生される生成物は、分子、タンパク質、糖、燃料、またはそれらの組み合わせとすることができる。
【0016】
本明細書中で提供されるいずれかの方法またはシステムは、構造または担体中に微生物を配置することをさらに含むことができる。あるいは、このセルロースまたはリグノセルロース材料または添加物を、構造または担体内に配置することができる。セルロース系またはリグノセルロース系物質、添加物、または微生物を、第2の構造または担体内に配置することができる。添加物は、微生物、酵素、酸、塩基、またはこれらの組み合わせとすることができる。
【0017】
本明細書に提供されるいずれかの方法またはシステムにおいて、構造または担体は、バッグ状、シェル状、ネット状、膜状、メッシュ状、またはそれらの組み合わせとすることができる。構造または担体は、最大1mm未満の寸法の開口部を有するメッシュ材料から形成されるバッグを含むことができる。あるいは、メッシュ材料は、平均約10mm〜1nmの寸法の孔を有することができる。構造または担体は、生体分解可能ポリマーから作製することができるバッグである。生体分解可能なポリマーを、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート−吉草酸塩、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート−ヘキサノエート、ポリブチレンサクシネート、コハク酸ポリブチレートアジパート、ポリエステルアミド、ポリブチレンアジパート−コ−テレフタラート、これらの混合物、およびこれらの積層物からなる群から選択することができる。バッグを、スターチフィルムから作製することができる。
【0018】
本明細書に提供されるいずれかの方法またはシステムにおいて、組み合わせを、羽根車を含む発酵容器中に配置することができ、組み合わせは、バッグが羽根車により破られて開口する条件下で維持される。
【0019】
本明細書に提供されるいずれかの方法またはシステムでは、微生物は、Trichoderma reesei株、例えば、高収率セルラーゼ産生変異体のTrichoderma reesei、例えばRUT−C30株を含む。
【0020】
本明細書に提供されるいずれかの方法またはシステムでは、セルロース系またはリグノセルロース系物質の難分解性を、本来の状態の材料と比較して低減することができる。難分解性を低減するような処理は、電子による衝撃、音波処理、酸化、熱分解、水蒸気爆発、化学的処理、機械的処理または凍結粉砕、またはこのような処理の組み合わせからなる群から選択される。好ましくは、セルロース系またはリグノセルロース系バイオマスの難分解性は、電子による衝撃により低減される。
【0021】
本明細書中で提供されるいずれかの方法またはシステムでは、転化を糖化とすることができ、その生成物は、糖溶液または糖懸濁液とすることができる。方法は、糖溶液または糖懸濁液から糖を単離することをさらに含むことができる。単離した糖をキシロースとすることができる。
【0022】
本明細書中で提供されるいずれかの方法、またはシステムにおいて、セルロース系またはリグノセルロース系バイオマスは、紙、紙製品、紙廃棄物、紙パルプ、着色紙、上塗り紙、被覆紙、充填紙、雑誌、印刷物、印刷用紙、ポリコーティング紙、硬い厚紙、ボール紙、板紙、綿、木材、パーティクルボード、林業系廃棄物、おがくず、アスペン材、木材チップ、草、スイッチグラス、ススキ、ミクリ、クサヨシ、穀粒残渣、コメ籾殻、オートムギ籾殻、コムギ籾殻、オオムギ籾殻、農業廃棄物、貯蔵牧草、キャノーラ藁、コムギ藁、オオムギ藁、オートムギ藁、コメ藁、ジュート、麻、亜麻、竹、サイザルアサ、マニラ麻、トウモロコシ穂軸、トウモロコシ飼葉、ダイズ飼葉、トウモロコシ繊維、アルファルファ、干し草、ココヤシ表面毛、糖加工残渣、バガス、ビートパルプ、リュウゼツランバガス、藻類、海藻、堆肥、下水汚物、腐肉、アラカチャ、ソバ、バナナ、オオムギ、キャッサバ、葛、アンデスカタバミ、サゴヤシ、モロコシ、ジャガイモ、サツマイモ、タロイモ、ヤムイモ、ダイズ、ソラマメ、レンズマメ、エンドウまたはこれらのいずれかの混合物からなる群から選択され得る。セルロース系またはリグノセルロース系物質はトウモロコシ穂軸を含むことができる。セルロース系またはリグノセルロース系バイオマスは、例えば乾式粉砕により、または湿式粉砕により、細かく砕くことができる。セルロース系またはリグノセルロース系物質を処理してその嵩密度を低減するか、および/またはその表面積を増大し得る。セルロース系またはリグノセルロース系物質は、約1mm未満の平均粒径、または0.25mm〜2.5mmの平均粒径を有することができる。
【0023】
本発明は、上記概要に開示された実施形態に限定されるものではなく、本発明は、特許請求の範囲により定義されるように、本発明の精神および範囲内である修正を包含するよう意図されると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
添付の図面(同一参照数字は、異なる図面全体を通して同一部分を指す)に示されているように、本発明の実施形態例についての以下のさらに特定的説明から、上記の説明は明らかになる。図は、必ずしも同一縮尺ではなく、代わりに、本発明の実施形態を例証する時に強調される。
図1】グルコースへのセルロースの酵素的加水分解を示す図である。セルロース基質(A)は、エンドセルラーゼ(i)によりセルロース(B)に転化され、これは、エキソセルラーゼ(ii)によりセルロビオース(C)に転化され、これは、セロビアーゼ(ベータグルコシダーゼ)(iii)によりグルコース(D)に転化される。
図2】バイオマス供給原料の1つ以上の生成物への転換を示す流れ図である。供給原料を物理的に前処理(例えばその寸法を低減)し(200)、任意にその難分解性を低減するために処理し(210)、糖化させて糖溶液を形成し(220)、この溶液を(例えばパイプライン、車両により)製造プラントに輸送し(または糖化が途中で実施される場合、供給原料、酵素、および水を輸送し)(230)、この糖化した供給原料をバイオプロセス処理して所望の生成物(例えばアルコール)を生成し(240)、この生成物をさらに、例えば蒸溜によりさらに処理し、最終生成物を生成する(250)。難溶性の処理を、リグニン含有量を測定し(201)、処理パラメーターを設定または調整すること(205)により修正することができる。供給原料(220)を糖化することが、培地および酵素と供給原料を混合することにより修正することができる(221)。
図3】第1のバイオマスを処理し(300)、セルラーゼ産生生物を添加し(310)、第2のバイオマスを添加し(320)、得られる糖を処理して生成物(例えばアルコール、精製糖)を作製する(330)ことを示す流れ図である。第1の処理を行ったバイオマスは、任意に流れ落ちる可能性があり、一部を第2のバイオマス(A)として添加することができる。
図4】酵素の産生を示す流れ図である。セルラーゼ産生生物を増殖培地(400)に添加し、処理した第1のバイオマス(405)を添加して(A)、混合物(410)を作製し、第2のバイオマスを添加(420)し、この得られた糖を処理して生成物(例えばアルコール、精製糖)を作製する(430)。また、第1のバイオマスのタンパク質(405)を第2のバイオマス(420)に添加(B)することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書において、1つ以上の構造またはコンテナを使用することにより、生物学的反応、微生物学的反応、および生化学的反応を行う方法が提供され、このコンテナは、孔または他の開口部を有し、または生体分解可能とすることができる。この構造はバッグ状、ネット状、またはメッシュ状、シェル状(例えば、剛体または半剛体のシェル)、膜状、またはこれらの構造の組み合わせとすることができる(例えば、1種以上の1つ以上の構造を、同一または別の種類の構造内に配置することができる)。これらの構造は、生物学的反応、微生物学的反応、および生化学的反応に関与する多様な部品または成分を保持することができる。この方法において物質を包有することにより、例えば、バイオマスなどの一部または成分を、このような反応中、いずれか時点または順序で容易に添加することができ、または除去することができる。また、本発明は、生成物(例えば、糖化または発酵での糖または他の生成物など)の精製を簡略化することもでき、代謝物、糖、または栄養のレベルの維持に役立つことができる。
【0026】
例えば、本構造を使用して、微生物に対する1つ以上の栄養分を提供することができる。この栄養分を、構造内に配置することができ、この構造は、微生物を含む液体培地中に配置される。この栄養分は、構造から培地に放出され、微生物により利用される。あるいは、この微生物を、構造内に配置することができ、この構造は、栄養分を含む液体培地中に配置される。
【0027】
好ましい実施形態において、この構造は、微生物、または酵素もしくはシグナル分子などの微生物の生成物により作用するバイオマスを含むことができる。例えば、このバイオマスを、微生物を有する液体培地中に配置される構造中に配置することができる。バイオマスからの物質は、構造から濾し取ることができ、微生物により利用され、微生物により分泌される酵素、および微生物により産生される酵素は、構造内を移動することができ、バイオマス上で作用することができる。
【0028】
別の態様において、本発明は、バイオマス物質の存在下で微生物を用いた酵素の産生に関する。このバイオマス物質は、特定のバイオマス物質に耐性のある活性を有するセルラーゼ複合体を産生するセルラーゼ合成の誘導剤としての酵素産生処理の際に作用し、一部の実施において、この誘導剤はセルラーゼ複合体により糖化されたものと同一の物質である。
【0029】
また、本発明は、培地中の構造または担体中に配置されるセルロース系またはリグノセルロース系物質を添加物と接触させて生成物を生成することを含む方法を特徴とする。この添加物は、例えば、微生物、酵素、酸、塩基またはこれらのいずれかの混合物とすることができる。この添加物をあらゆるオーダーで添加することができる。この生成物は、例えば、分子、タンパク質、糖、燃料、またはこれらのいずれかの混合物とすることができる。この生成物をあらゆるオーダーで生成することができる。例えば、タンパク質をまず産生した後に、糖を生成し、最後に燃料を生成することができる。任意に、このタンパク質を酵素とすることができる。
【0030】
この構造の内または外の物質の移動は、様々な方法により行うことができる。この構造は、培地中においてゆっくりと時間が経つにつれて分解させることができ、この構造は、培地内の栄養分を放出する孔物質から作製することができ、この構造は、微生物により消費される物質から作製することができ、この構造は、発酵容器の底面の羽根車により破かれて開口する物質から作製することができ、またはこの構造は、培地中で膨張または爆発する物質から作製することができる。
【0031】
本明細書に記載される処理の実施形態において、バイオマスを、構造または担体内に、構造または担体上に、または構造または担体内部に配置することができる。このバイオマスを、構造または担体内部に配置する前後に処理することができる。添加物、栄養分、および生成物も同様に、バイオマスを備える、またはバイオマスのない状態の構造または担体内に配置することができる。例えば、抗生物質、微生物、酵素、および糖を備えたバイオマスを、構造内に配置することができ、処理中、任意の量および任意の順序で組み合わせてもよい。
【0032】
任意に、このバイオマスを、構造または担体の外側とすることができる。例えば、微生物を、構造もしくは担体内(すなわち、構造または担体内部に組み立てられ)、または構造もしくは担体上に配置することができ、この微生物は、バイオマスを含む培地と接触している。別の例では、構造または担体内に1種類のバイオマスがあってもよく、構造または担体の外側に第2種のバイオマスがあってもよい。処理中、いずれかの組み合わせおよびいずれかの順序で、構造または担体の内および外に複数のバイオマスが存在してもよい。
【0033】
この処理の別の実施形態において、培地内または培地と接触して配置される複数の構造または担体があってもよい。これらを、処理の間に、いずれかの順序および組み合わせで培地中に配置することができる。この構造または担体を、それぞれ、同一の物質または異なる物質から作製することができ、同一の形状または異なる形状を有することができ、いずれかの組み合わせで使用してもよい。
【0034】
例えば、複数の構造または担体を、別の構造または担体内に配置することができる。多様な構造または担体は、同一の種類とすることができ、または異なる種類とすることができる。複数の構造または担体を、順次配置することができ、各内部に別の、例えば「入れ子人形」と同じように別の構造または担体内に配置することができる。
【0035】
例えば、それぞれに同一または同様の量のバイオマスを含む、均一の寸法および量の複数の構造または担体中に分散されるバイオマテリアルを有することに利便性があってもよい。この方法において、この整数量または単位の構造または担体を、この処理のバッチサイズに応じて使用される単位数で培地と接触することができる。このような均一量の構造または担体はまた、例えば、簡単に重ねることができるような形状のおおよその直方体として設計される場合、貯蔵がより簡単に行われるようになり得る。
【0036】
任意に、一部の実施において、バイオマスを含む構造または担体を、例えば、この構造または担体内に含まれる酵素といった、添加物をゆっくりと放出するように設計される構造または担体と組み合わせて培地と接触させることができる。例えば、制御放出は、制御された孔の寸法(例えば、1μm未満、または0.1μm未満といった、10μm未満の孔の寸法)を有することにより有効となり得る。
【0037】
別の例として、構造または担体を含む1つ以上のバイオマスを含有する構造または担体、および1つ以上の微生物を含有する構造または担体を、培地と同時に、または培地に続いて接触させることができる。
【0038】
さらなる例として、一部の処理において、1つ以上のバイオマスを含有する構造または担体および1つ以上の添加物を含む水に分解可能な構造または担体を、水性培地と接触させる。
【0039】
この処理の別の実施形態において、この構造または担体を、この処理のいずれかの時点およびいずれかの順序で除去することができる。例えば、その内容物を含む構造または担体を、生成物を生成した後に除去することができる、および/または、その内容物を含むさらなる構造または担体を、生成物の生成中に添加することができる。
【0040】
別の例として、構造または担体中に配置されるバイオマスを、水性培地と接触させ、微生物をこの水性培地に添加し、その後、生成物を生成する。続いて、バイオマスを含む構造または担体を除去することができ、第2の量のバイオマスを含む構造または担体を添加してさらに生成物を生成することができる。任意に、この微生物を、第2のバイオマスを添加する前後に除去することができる。
【0041】
さらなる別の例において、バイオマスを、構造または担体に中に配置することができ、第1の生成物を生成する微生物の組み合わせを含む水性培地と接触させることができる。この微生物を、任意に除去(例えば、濾過または遠心により)、または殺傷(抗生物質の適用、加熱、または紫外線により)により除去することができ、続いて、異なる微生物を添加して、第2の生成物を生成することができる。
【0042】
さらなる例において、バイオマスを、第1の構造または担体中に配置することができる。第1の構造または担体を、微生物を含む第2の構造または担体中に配置することができる。この2つの構造または担体を、培地中に配置することができる。この第2の構造または担体は、微生物を含むように設計される(例えば、約5μm未満、約1μm未満、約0.4μm未満、約0.2μm未満の孔の寸法を有する)。この組み合わせは、任意に第2の構造または担体から任意に流出することのできる生成物を生成することができる。一旦生成物が生成されると、第1および第2の構造および含有物を、分散した生成物から残りの培地を除去する、および/またはその中に溶解させることができる。この含有物を含む第1および第2の構造または担体の組み合わせを、任意に別の培地に使用してさらなる生成物を生成することができる。
【0043】
本明細書に記載される工程はバイオマスおよびバイオマス材料、ならびにこのような工程の結果としての中間物質および生成物の処理を含む。この工程の少なくとも一部の間、このバイオマス物質を、構造または担体中に配置することができる。
【0044】
本明細書に記載される工程は、例えば、セルロール系またはリグノセルロース系物質といったバイオマス物質の存在下で微生物を使用して酵素を産生することを含む。本明細書に記載される工程により作製される酵素としては、様々なセルロース性酵素(セルラーゼ)、リグニナーゼ、または様々な小分子バイオマス破壊型代謝体が挙げられる。これらの酵素は、結晶形セルロースまたはバイオマスのリグニン部を分解するために相乗的に作用する酵素複合体であってもよい。セルロース性酵素の例は、エンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、およびセロビアーゼ(β−グルコシダーゼ)を含む。
【0045】
図1に示したように、例えば糖化中、セルロース基質(A)は、最初に、無作為位置でエンドグルカナーゼ(i)により加水分解されて、オリゴマー中間体(例えばセルロース)を生じる(B)。これらの中間体は、その場合、グルカナーゼ(ii)、例えばセロビオヒドロラーゼを外分解して、セルロースポリマーの末端からセロビオースを生成するための基質である。セロビオースは、グルコースの水溶性1,4‐連結二量体である。最後に、セロビアーゼ(iii)はセロビオースを切断して(C)、グルコースを生じる(D)。したがって、エンドグルカナーゼは、セルロースの結晶部分を攻撃するのに、エキソセルラーゼの有効性を増大してセロビオースを生成し、これは次に、グルコースを生成するためにセロビオースの特異性を要する。したがって、セルロース基質の性質および構造によって、3つの異なる酵素の量および種類が改質される必要があり得る、ということは明白である。
【0046】
一部の実施において、この酵素は、例えば、セルロース系糸状菌 Trichoderma reesei株といった、真菌により産生される。例えば、Trichoderma reeseiの高収率のセルラーゼ変異体、例えば、RUT−NG14、PC3−7、QM9414、および/またはRut−C30を使用してもよい。このような株は、例えば、“Selective Screening Methods for the Isolation of High Yielding Cellulase Mutants of Trichoderma reesei,” Montenecourt, B.S. and Everleigh, D.E., Adv. Chem. Ser. 181, 289−301 (1979)中に記載され、この完全な開示は、参照により本明細書中に組み込まれる。他のセルラーゼ産生微生物を同様に使用してもよい。
【0047】
以下にさらに説明するように、一旦酵素が産生されると、この酵素を、バイオマスを糖化するために使用することができ、一部の場合、酵素を産生するために使用されてきたものと同種のバイオマス物質を使用することができる。このバイオマス物質を所望の生成物または中間体に転化する工程は、一般的に、この糖化ステップに加えてさらなるステップを含む。このようなステップは、例えば、2011年10月18日に出願し、2012年4月26日に公開した米国特許公開公報第2012/0100577号に記載され、この完全な開示は、本明細書に参照により援用される。
【0048】
例えば、図2を参照すると、アルコールを製造する工程は、任意に、例えば、このバイオマスの寸法を低減するために、供給原料を機械的に処理すること(200)と、この処理の前後で、難分解性をさらに低減するための別の物理的処理で任意に処理すること(210)と、その後、酵素複合体を使用して供給原料を糖化して、糖溶液を形成すること(220)とを含むことができる。任意に、本方法は、例えば、パイプライン、鉄道車輛、トラック、船により溶液(または、糖化が途中で実施されている場合はフードストック、酵素、および水)を輸送してプラントを製造すること(230)をも含む。一部の場合、糖化した供給原料を更にバイオプロセス処理(例えば発酵)して、例えばアルコールといった望ましい生成物を生成する(240)。この得られる生成物を、一部の実施では、例えば蒸溜により処理して(250)、最終生成物をさらに生成してもよい。この供給原料の難分解性を低減する一方法は、この供給原料の電子衝撃によるものである。必要に応じて、この供給原料のリグニン含有量を測定するステップ(201)およびこの測定に基づく工程パラメーターを設定または調整すること(205)は、2010年8月12日に公開された米国特許出願公開第2010/0203495A1号に記載される多様な工程段階で実施することができ、この完全な開示は、参照により本明細書に援用されている。供給原料を糖化すること(220)を、培地および酵素と供給原料を混合することにより修正することもできる(221)。
【0049】
例えば、図3を参照すると、第1のバイオマスは、例えば、バイオマスの寸法および/または難分解性を低減するために任意に処理され(300)、および構造または担体に配置される。任意に、第1のバイオマスを、まず第1の構造または担体内に配置した後、処理する。その後、このバイオアマスを含有する構造または担体を、水性培地およびセルラーゼ産生生物と接触させる(310)。細胞を適切な時間そのままにして、望ましい段階まで増殖させ、酵素が十分産生した後、第2の構造または担体中に任意に配置される第2のバイオマスを添加してもよい(320)。任意に、第1のバイオマスを含む構造または担体を、第2のバイオマスを添加する前後のいずれかの時点で除去することができる。第2のバイオマスおよび残りの第1のバイオマスに関する酵素の作用は、有益な生成物にさらに処理することのできる混合型の糖を生成する(330)。任意に、第2のバイオマスを含む第2の構造または担体は、有益な生成物の生成の前後に除去することができる。第1および第2のバイオマスは、同一のバイオマス物質の一部とすることができる。例えば、バイオマスの一部を、構造または担体内に配置することができ、セルラーゼ産生生物を含む培地と接触することができる。一旦いくつかの酵素が産生されると、培地を含む酵素は、第2のバイオマスと組み合わせることができる(A)。任意に、第1および第2のバイオマスを前処理して、難分解性を低減してもよい。また、第1および第2のバイオマスを、単一の構造または担体内に含むこともできる。また、この第1および第2のバイオマスを、バイオリアクターに対して直線状に形成することができる。構造または担体を含む複数のバイオマスを使用することもできる。この水性培地は、以下に論述される。いくつかの場合、第2バイオマスをこのリアクターに添加するよりも、糖化の後に酵素を収集し、貯蔵し使用する。
【0050】
図4を参照すると、このセルラーゼ産生生物(400)を、特定の増殖段階に達するまで、一定期間増殖培地中で増殖させることができる。例えば、この増殖期間を、何日かにわたり、またはさらに数週間にわたり延長することができ得る。前処理した第1のバイオマス(405)を、構造または担体中に配置し、その後、一定期間の間に酵素を産生させるため、酵素産生細胞(410)と接触させることができる。酵素産生期間も延長して行うことができる。この酵素含有溶液を、第2のバイオマスと組み合わせてもよい(420)。任意に、第2のバイオマスを添加する前、または第2のバイオマスを添加した後のいずれかの時点で、第1のバイオマスを含む構造または担体を除去することができる。第2のバイオマスおよび残りの第1のバイオマス上の酵素の作用は、有益なセ生物をさらに処理することのできる混合型の糖を生成する(430)。第1および第2のバイオマスを、同一のバイオマスの一部とすることができ、または類似しているが、同一のバイオマスではない(例えば、前処理したものおよび前処理してない)物質とすることができる(B)。ふたたび、第2のバイオマスをすぐに使用するよりも、望ましい酵素を収集し貯蔵することができる。
【0051】
上に記載した方法に沿って、セルロース産生生物を、第1の前処理したバイオマスと組み合わせる前に収集してもよい。この収集は、溶媒および増殖培地の成分の一部を含んでもよく、溶媒および培地がほとんど除去された状態で含まれていても良い。例えば、この細胞を、遠心により収集し、その後、水または別の溶液で洗浄してもよい。
【0052】
別の実施形態において、酵素が産生した後、この構造または担体を、酵素を含む培地から除去することができ、この酵素を濃縮することができる。この濃縮は、クロマトグラフィー、遠心、濾過、透析、抽出、溶媒の蒸発、スプレー乾燥、および固体担体上での吸着を含むいずれかの有益な方法によるものであってもよい。この濃縮した酵素を、一定期間貯蔵し、その後、第2のバイオマスに添加して使用し、有益な生成物を得ることができる。
【0053】
本方法の別の実施において、この酵素を、バイオマス物質の存在下で、液体(例えば水性)培地中の選択された微生物により産生させる。培地内にバイオマス物質を含ませるために、例えば、開口部または孔を有したメッシュ型のバッグまたは他の多孔性のコンテナといった構造または担体中にバイオマス物質を配置する。この孔の寸法は、好ましくは少なくとも80%(より好ましくは少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%)のバイオマス物質の不溶性部分が、酵素産生の間構造または担体内に保持されるような寸法である。例えば、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%のバイオマス物質の不溶性部が、酵素産生の間構造または担体内に保持される。
【0054】
このコンテナの孔の寸法またはメッシュの寸法が、実質的に不溶部のないバイオマス物質が、酵素産生の間コンテナから流れ出すような寸法であることが好ましい。同様に、この孔の寸法は、糖、可溶な多糖、タンパク質、および生分子などの分子を通過させるために十分大きいことが好ましい。好ましくは、この孔の寸法は、タンパク質などの大きな分子が、酵素産生工程の間、孔をふさがない、または阻害しないような十分な大きさであることが好ましい。
【0055】
したがって、名目上の孔の寸法またはメッシュの寸法が、バイオマス物質のほとんどすべての粒子よりも小さいことが好ましい。一部の実施において、絶対的な孔の寸法は、バイオマス物質の粒子の50%より小さい(好ましくは、60%、70%、80%、90%、95%、98%または99%より小さい)。例えば、、絶対的な粒子寸法は、バイオマス物質の50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、または59%より小さいとすることができる。好ましくは、この絶対的な孔の寸法は、バイオマス物質の粒子の60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%より小さいものとすることができる。
【0056】
上述の方法で使用した水性培地は、添加した酵母抽出物、トウモロコシ浸出液、ペプトン、アミノ酸、アンモニウム塩、リン酸塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩、亜鉛塩、およびコバルト塩を含んでもよい。これらの成分を添加する際に、この増殖培地は、概して、0〜10%のグルコース(例えば、1〜5%のグルコース)を炭素源として含む。この誘導剤培地は、前述したバイオマスに加えて、他の誘導剤を含むことができる。例えば、いくつかの知られている誘導剤は、ラクトース、純粋なセルロース、およびソロホースである。望ましく有益な生成物の生成を最適化するため、処理の間に多様な成分を添加することができ、除去することができる。
【0057】
酵素産生の誘導に使用されるバイオマスの濃度は、一般に0.1wt%超(例えば、1%以上)、50wt%以下(40wt%以下、30wt%以下、20wt%以下、10wt%以下、または5wt%以下)である。例えば、酵素誘導に使用されるバイオマスの濃度は、0.1wt%、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、または1.0wt%とすることができる。このバイオマスの濃度は、2、3、4、5、6、7、8、9、または10wt%とすることができる。このバイオマスの濃度は、15、20、25、30、35、40、45、または50wt%とすることができる。
【0058】
本明細書に記載される工程のいずれかは、バッチ、フェドバッチ、または連続した工程として実行されてもよい。この工程は、例えば、少なくとも50リットル、好ましくは少なくとも100リットル、より好ましくは少なくとも500リットル、さらに好ましくは少なくとも1,000リットル、特には、少なくとも5,000リットルまたは50,000リットル、または500,000リットルの培養培地を有する、工業規模の生産に特に有益である。この工程を、好気的に、または嫌気的に実行してもよい。いくつかの酵素を、液内培養およびいくつかの表面培養により産生する。
【0059】
本明細書に記載されるいずれかの工程において、この酵素を製造および貯蔵し、後日および/または異なる場所における糖化反応において使用することができる。
【0060】
本明細書に記載するいずれかの工程を、撹拌して行ってもよい。場合によっては、この撹拌を、2010年5月18日に出願され、2012年11月25日に公開された米国特許出願公開第2010/0297705A1号、2011年11月10日に出願され、2012年4月26日に公開された米国特許出願公開第2012/0100572号、2011年11月10日に出願され、2012年4月19日に公開された米国特許出願公開第2012/0091035号に記載されるジェット混合を使用して実施してもよく、この完全な開示は、本明細書中で参照として援用される。
【0061】
酵素を産生する生物が増殖する温度は、生物の増殖を高めるために選択される。例えば、Trichoderma reeseiにとって最適な温度は、一般的に20および40℃の間(例えば、30℃)であり、酵素の産生に最適な温度は、この処理の一部に最適とすることができる。例えば、Trichoderma reeseiの酵素産生にとって最適な温度は、約20および40℃の間(例えば、27℃)である。
【0062】
構造または担体
この構造または担体は、例えば、バック状、ネット状、膜状、シェル状、またはこれらのいずれかの組み合わせとすることができる。
【0063】
この構造または担体を、熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリブチレン、熱可塑性ポリエステル、ポリエーテル、熱可塑性ポリウレタン、ポリビニルクロリド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、またはこれらのいずれかの組み合わせから作製することができる。
【0064】
この構造または担体はまた、織ファイバまたは非織ファイバから作製することができる。合成ファイバまたは非織物質、例えば、ポリエステル、アラミド、ポリオレフィン、PTFE、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリイミド、アクリル、ナイロン、およびこれらのいずれかの組み合わせが好ましい場合がある。
【0065】
また、担体の構造は、生分解性および/または水に可溶なポリマー、例えば、脂肪性ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシ吉草酸塩、ポリヒドロキシヘキサノエート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジパート、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリ無水物、スターチ誘導体、セルロースエステル、アセチルセルロース、ニトロセルロースおよびこれらのいずれかの組み合わせから作製することができる。
【0066】
この構造または担体に考慮される他の物質は、例えば、金属(例えばアルミニウム、銅)、および合金(例えば真鍮、ステンレス鉄)セラミック(例えばガラス、アルミナ)、熱硬化性ポリマー(例えばベークライト)、複合物質(例えばファイバーグラス)、バイオポリマーおよびこれらのいずれかの組み合わせを含む。上記に開示されるようないずれかの構造的な物質を組み合わせて構造または担体に提供することができる。
【0067】
この構造または担体を、生分解性、生浸蝕性、および/または水に可溶なポリマーから作製することができる。このようなポリマーを、設計した時間またはほぼ設定した時間に、このポリマー内の物質を分解し、放出するために選択することができる。培養されている微生物の炭素源または栄養源とするようなポリマーを選択することができる。例えば、ポリヒドロキシアルカノエートは、多くのコンポスト化に係る真菌および細菌により容易に消費される。このような生物の培養物中に含有物を放出するために設計された構造または担体にとって、PHAは好ましい選択とすることができる。
【0068】
あるいは、この構造または担体を、発酵システムの羽根車によりばらばらにされるよう意図した物質から構成され、作製することができる。この発酵混合サイクルを、一定期間完全な状態で構造または担体を維持するようにスケジュール化し、その後、構造または担体を羽根車と接触させるためにこのサイクルを変更することができる。
【0069】
コンテナまたは担体は、例えば、ドーナッツ型、球状、立方体状、長円状、イヌの骨状、円柱状、六角柱状、円錐状、底辺が四角のピラミッド状、包装された状態、またはこれらの組み合わせとすることができる。
【0070】
このコンテナまたは構造を、密封可能であり、場合によってはジッパー、Velcro(登録商標)ホックおよび面ファスナー、熱シール、クリップ、感圧接着剤、ボタン、または(例えば、ひも、引きひもを用いた)タイなどの放出可能な開口部を有することができる。
【0071】
この構造またはコンテナは、剛体、半剛体、または非剛体であってもよい。非剛体のコンテナは、一般的に最も柔軟性があると予測される。半剛体のコンテナは、何らかの柔軟性があると予測される。一部の実施において、このコンテナは、柔軟な布製のバッグ状とすることができる。
【0072】
このバッグは、金属ワイヤまたは剛体ポリマーから作製されるフレームなどのいくつかの剛体構成部品を有していてもよい。このコンテナまたは担体は、例えば、グローブ状、波状、キルティング状の表面テクスチャリングを有することができる。
【0073】
このコンテナは、例えば同一または異なる物質で作製した異なるポーチを有することができる、および/または相互に入れ子になった2つ以上の構造または担体が存在するといったように、区分化することができる。
【0074】
このコンテナまたは担体を、培地の上に浮かべるように、または培地中に部分的に潜るように設計してもよく、または、培地中に完全に潜るように設計してもよい。例えば、このバッグは、バイオリアクター、タンク、または他のコンテナの壁に付着させるようなホック、ループ、または接着剤を有していてもよい。また、培地中に部分的にまたはすべてが潜ったままの状態を保持する重量を有していてもよく、および/または培地の上部にその一部を保持する浮力部を有していてもよい。このコンテナまたは担体は、培地と全く関わりなく設計することができる。
【0075】
この構造または担体は、孔を有することができる。孔の寸法に関しては、透過可能な物質が、孔の寸法の分布に関与していてもよい。概して、この孔の寸法は、絶対的または名目上の比率であってもよい。絶対的な孔の寸法は、課題となる物質または生物の特定の寸法が、100%の効力を維持したままの寸法を明記する。名目上の穴の寸法は、大部分の微粒子(60〜98%)を保持する透過可能な性質が記載される。両比率は、異なる圧力、温度、または濃度などの工程条件に依存する。
【0076】
一部の実施において、このコンテナは、約10mm未満、例えば、1000μm未満、750μm未満、500μm未満、250μm未満、100μm未満、75μm未満、50μm未満、25μm未満、10μm未満、1μm未満、0.1μm未満、10nm未満、またはさらに1nm未満の名目上の孔の寸法またはメッシュの寸法を有する。一部の実施において、このコンテナは、1nm超、例えば、10nm超、0.1μm、10μm、25μm超、50μm、75μm、100μm、250μm、500μm、750μm、1mmまたはさらに10mm超の名目上の孔の寸法またはメッシュを有する。
【0077】
この構造または担体がポリマーから作製される場合、この孔は、ポリマーの一軸延伸または二軸延伸により形成されてもよい。このような、特定の孔の寸法をフィルムに作製するためのポリマーの配合および延伸方法は、当業者に公知である。
【0078】
この構造または担体を、例えば、混合装置、監視装置、サンプリング装置、またはこれらのいずれかの組み合わせの挿入が可能であるように設計してもよい。この設計は、例えば、このような装置を受領するように構成された密封可能な開口部または付属物を含んでもよい。この監視装置は、例えば、pHプローブ、酸素プローブ、温度プローブ、化学プローブ、またはこれらのいずれかの組み合わせとすることができる。任意に、この監視装置は、無線で(例えば、ワイヤレス接続により)作動させることができ、この構造に取り付けることもでき、外すこともできる。この担体または構造は、例えば、英数字のラベルを識別する、または色を識別するタグといった、タグ化装置を有することができる。
【0079】
一部の実施において、この構造または担体は、例えば、構造または担体の含有物および培地または他の外部の成分の間、例えば、添加物およびバイオマス
で良好に交換が可能であるよう十分な表面積を有することが好ましい。また、微生物、例えば、セルラーゼ産生生物を任意に付着させることのできる大きな面積で存在するより広い表面積を有することを有益とすることができる。
【0080】
培地
本明細書に記載される方法において、この構造または担体は、培地と接触し、または培地中に配置される。この培地は、例えば、液体、気体、化学溶液、懸濁液、コロイド、エマルジョン、不均質の複相系(例えば、疎水性層を重ねた親水性相)、およびこれらの組み合わせとすることができる。この培地は、この工程の間、またはこの工程の後にさらに処理することができる。例えば、濾過、遠心、および/または照射によりこの培地を生成し、再利用することができる。任意に、この培地は、例えば、栄養分、微粒子(例えば無機物または生物含有)、オリゴマー(例えば粘度調整剤)、炭素源、界面活性剤(例えば、消泡剤)、脂質、脂肪、抽出物(例えば酵素抽出物、カゼイン抽出物、および植物抽出物)、金属イオン(例えば、Fe2+、Mg2+、Mn2+、Cu2+、Na1+、Ca2+、K1+)、アニオン、窒素源(例えばアミノ酸、アンモニア、尿素)、ビタミン、タンパク質(例えば、ペプトン、酵素)、緩衝剤(例えばリン酸塩)およびいずれかの組み合わせを含み、いずれかの順序で添加することができる。
【0081】
添加物
本明細書で開示される工程で使用される添加物は、例示的なものであるが、微生物、栄養分、胞子、酵素、酸、塩基、気体、抗生物質、医薬品、およびこれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。この工程中に、この添加物を、いずれかの順序および組み合わせで添加することができる。この添加物を、いずれかの組み合わせまたは順序で、この構造または担体内に配置することができ、またはこの構造または担体の外に配置することができる。
【0082】
酵素
本工程の一実施形態において、この添加物は、糸状菌または糸状細菌により産生される酵素である。
【0083】
酵素は、幅広い様々な真菌、細菌、酵母および他の微生物により産生され、セルラーゼの産生および使用を最適化する多くの方法が存在する。
【0084】
セルラーゼを産生する糸状菌または糸状細菌は、セルラーゼ産生のための炭素源および誘導因子を必要とする。先行技術工程において、この炭素源は、一般にグルコースであり、誘導因子は一般に純粋なセルロースである。純粋なグルコースおよび純粋なセルロースの費用を考えない場合、この方法により産生した分泌型酵素は、バイオマスの透過性が劣っている可能性がある。理論に拘束されるものではないが、産生される酵素は、この産生の誘導に使用される物質の糖化に特に適している理由のため、したがって、この誘導剤がセルロースである場合、この酵素は、リグノセルロース系物質の分解に適さない可能性があると考えられる。
【0085】
このセルラーゼ産生生物の増殖比および状態は、特定の増殖条件により決定される。このホスト細胞培養液が、炭素源を含む発酵培地に誘導される際、この播種された培養液は、多くの段階を通る。最初は、増殖は起こらない。この期間は、誘導期を意味し、適応期間と考えられてもよい。次の段階は「対数期」を指す。この期間中は、ホスト細胞培養液の増殖比が徐々に増加し、炭素源が消費される。最大増殖比期間が終了した後、この培養液は定常期に入る。さらに時間が経過した後、培養液は死滅期に入り、生存細胞数が減少する。セルラーゼの増殖相は、セルラーゼおよびホスト細胞に依存する。例えば、セルラーゼが、対数期内、対数期および定常期の間の移行期内、または定常期内で発現してもよく、および/または、胞子形成時、または胞子形成前に発現してもよい。
【0086】
バイオマスと接触すると、セルラーゼ産生生物は、バイオマスと接触すると、生物の増殖に有益な分子、例えばグルコースを放出する酵素を産生する傾向がある。これは、酵素誘導の現象により実行される。特定の生体物質中には種々の基質が存在するため、種々のセルラーゼ、例えば上記のエンドグルカナーゼ、エキソグルカナーゼおよびセロビアーゼが存在する。誘導物質として特定のリグノセルロース材料を選択することにより、これらの酵素の相対濃度および/または活性は調整され、したがってその結果生じる酵素複合体は、誘導物質または同様の物質として用いられるリグノセルロース材料において効率的に作用させることができる。例えば、結晶セルロースの割合の高い生体物質ほど、結晶セルロースをほとんど有さない生体物質より有効なまたは多量のエンドグルカナーゼを誘導し得る。
【0087】
セルロースは不溶性であり、生物に不浸透性であるため、セルロースを誘導剤として使用する際に、セロビオースなどの可溶性のオリゴ糖がセルラーゼの急性的な直接的誘導剤であると示唆されてきた。基礎レベルでの発現は、少量のセルラーゼが、セルロースを可溶性のオリゴ糖または誘導因子に加水分解する。誘導因子が細胞に入ることが、活性タンパク質および活性化要素により媒介されるセルラーゼ遺伝子の完全な転写の引き金となる。セルロースが分解された後、多量のグルコースが遊離し、カタボライト抑制を引き起こす。
【0088】
リグノセルロース材料は、セルロース、ヘミセルロースおよびリグニンの異なる組合せを含む。セルロースは、グルコースの線状ポリマーで、有意のらせん化を伴わないわずかに堅い線状構造を形成する。この構造および水素結合することのできるヒドロキシル基の配置のため、セルロースは、結晶および非結晶部分を含有する。結晶部分はさらにまた、鎖間の水素結合の位置によって、例えばI(アルファ)およびI(ベータ)として表される異なる型を有することもできる。ポリマー長それ自体が変化して、セルロースの形態により多くの変種を加える。ヘミセルロースは、いくつかのヘテロポリマーのいずれか、例えばキシラン、グルクロノキシラン、アラビノキシランおよびキシログルカンである。存在する主な糖単量体はキシロースであるが、しかし他の単量体、例えばマンノース、ガラクトース、ラムノース、アラビノースおよびグルコースが存在する。典型的には、ヘミセルロースは、セルロースより低い分子量を有する分枝鎖構造を形成する。したがって、ヘミセルロースは、一般的に酵素的加水分解に感受性のある非晶質物質である。リグニンは、一般的に複合的な高分子量ヘテロポリマーである。すべてのリグニンがその組成に変異を示すが、しかしそれらは、フェニルプロペン単位の非晶質樹上網目構造ポリマーとして記載されている。特定の生体物質中のセルロース、ヘミセルロースおよびリグニンの量は、生体物質の供給源によって決まる。例えば、木材由来の生体物質は、型によって、セルロース約38〜49%、ヘミセルロース7〜26%、およびリグニン23〜34%であり得る。草は、典型的には、セルロース約33〜38%、ヘミセルロース24〜32%、およびリグニン17〜22%である。明らかに、リグノセルロース性バイオマスは、大きな分類の基質を構成する。
【0089】
バイオマス物質の多様性は、前処理により、例えばポリマーの結晶性および分子量を変えることにより、さらに増大され得る。このバイオマス組成物の変形もまた、地形的または季節性の変形、すなわち、物質を収集する場所および時期により、増大する可能性がある。
【0090】
酵母抽出物、トウモロコシ浸出液、ペプトン、アミノ酸、アンモニウム塩、リン酸塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩、亜鉛塩、コバルト塩またはその他の添加物および/または栄養素および/または炭素源を添加することにより、微生物によって、当業者は酵素の産生を最適化し得る。有用な生成物の所望の産生を最適化するための加工処理中に、種々の構成成分が付加され、除去され得る。
【0091】
微生物の増殖および酵素の産生のために最適な温度、pHおよびその他の条件は、一般的に当該技術分野で既知である。
バイオマス材料
【0092】
本明細書中で用いる場合、「バイオマス材料」という用語は、リグノセルロース、セルロース、デンプンおよび微生物材料を包含する。
【0093】
リグノセルロース材料としては、木材、パーティクルボード、林業系廃棄物(例えば、おがくず、アスペン材、木材チップ)、草(例えば、スイッチグラス、ススキ、ミクリ、クサヨシ)、穀粒残渣(例えば、コメ籾殻、オートムギ籾殻、コムギ籾殻、オオムギ籾殻)、農業廃棄物(例えば、貯蔵牧草、キャノーラ藁、コムギ藁、オオムギ藁、オートムギ藁、コメ藁、ジュート、麻、亜麻、竹、サイザルアサ、マニラ麻、トウモロコシ穂軸、トウモロコシ飼葉、ダイズ飼葉、トウモロコシ繊維、アルファルファ、干し草、ココヤシ表面毛)、糖加工残渣(例えば、バガス、ビートパルプ、リュウゼツランバガス)、藻類、海藻、堆肥、下水汚物、およびこれらのいずれかの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
いくつかの場合、リグノセルロース材料はトウモロコシ穂軸を包含する。粉砕または破砕トウモロコシ穂軸は、照射のために相対的に均一な厚みで広げられ、照射後、さらなる加工処理のために媒質中に分散するのが容易になる。収穫および収集を助長するために、いくつかの場合には、トウモロコシ植物全体、例えばトウモロコシ茎、トウモロコシ穀粒、いくつかの場合には、植物体の根系でも用いられ得る。
【0095】
トウモロコシ穂軸あるいは有意量のトウモロコシ穂軸を含有するセルロースまたはリグノセルロース材料の発酵中は、付加的栄養成分(窒素源、例えば尿素またはアンモニア以外)を必要としない、というのが有益である。
【0096】
トウモロコシ穂軸は、細砕の前および後に、搬送および分散するのも容易であり、他のセルロースまたはリグノセルロース材料、例えば干し草および草より空気中で爆発性混合物を生じ難い。
【0097】
セルロース材料としては、例えば紙、紙製品、紙廃棄物、紙パルプ、着色紙、上塗り紙、被覆紙、充填紙、雑誌、印刷物(例えば、書物、カタログ、マニュアル、ラベル、カレンダー、挨拶状、小冊子、内容見本、新聞印刷用紙)、印刷用紙、ポリコーティング紙、硬い厚紙、ボール紙、板紙、高α‐セルロース含量を有する材料、例えば綿、ならびにこれらのいずれかの混合物が挙げられる。例えば、米国特許出願13/396,365(“Magazine Feedstocks”;Medoff等;2012年2月14日出願;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されたような紙製品。
【0098】
セルロース材料は、脱リグニン化されたリグノセルロース材料も含み得る。
【0099】
デンプン材料としては、デンプンそれ自体、例えばコーンスターチ、コムギデンプン、ジャガイモデンプンまたはコメデンプン、デンプンの誘導体、あるいは食料品または穀物のようなデンプンを含む材料が挙げられる。例えば、デンプン材料は、アラカチャ、ソバ、バナナ、オオムギ、キャッサバ、葛、アンデスカタバミ、サゴヤシ、モロコシ、普通の家庭用ジャガイモ、サツマイモ、タロイモ、ヤムイモ、あるいは1つ以上の豆類、例えばソラマメ、レンズマメまたはエンドウであり得る。任意の2つ以上のデンプン材料の配合物も、デンプン材料である。デンプン、セルロースおよび/またはリグノセルロース材料の混合物も、用いられ得る。例えばバイオマスは、全植物、植物の一部分、または植物の異なる部分、例えばコムギ植物体、綿植物体、トウモロコシ植物体、コメ植物体または樹木であり得る。デンプン材料は、本明細書中に記載される方法のいずれかにより処理され得る。
【0100】
微生物材料としては、任意の天然または遺伝子修飾微生物、または炭水化物(例えばセルロース)の供給源を含有するかまたは提供し得る生物体、例えば原生生物、例えば動物原生生物(例えば、鞭毛虫類、アメーバ類、繊毛虫類および胞子虫類のような原生動物)および植物原生生物(例えば、藻類、例えばアルベオラータ類、クロロラクニオン藻類、クリプトモナド類、ミドリムシ類、灰色藻類、ハプト藻類、紅藻類、黄金色藻類および緑藻類)が挙げられるが、これらに限定されない。その他の例としては、海藻、プランクトン(例えば、マクロプランクトン、メソプランクトン、ミクロプランクトン、ナノプランクトン、ピコプランクトンおよびフェムトプランクトン)、植物プランクトン、細菌(例えば、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌および好極限性細菌)、酵母および/またはこれらの混合物が挙げられる。いくつかの場合には、微生物バイオマスは、天然供給源から、例えば海、湖、水本体、例えば塩水または真水から、あるいは陸上で得られる。代替的にはまたはさらに、微生物バイオマスは、培養系、例えば大規模乾燥および湿潤培養および発酵系から得られる。
【0101】
バイオマス材料は、腐肉および同様の材料供給源を含んでもよい。
【0102】
他の実施形態では、バイオマス材料、例えばセルロース、デンプンおよびリグノセルロース供給材料は、野生型変種に関して修飾されたトランスジェニック微生物および植物から獲得され得る。このような修飾は、例えば、植物における所望の形質をえるための選択および育種の反復ステップによるものであり得る。さらに、植物は、野生型変種に関して除去され、修飾され、サイレンス化され、および/または付加される遺伝物質を有し得た。例えば遺伝子修飾植物は、組換えDNA法(この場合、遺伝子修飾は、親変種からの特定遺伝子を導入するかまたは修飾することを包含する)により、あるいは例えば、トランスジェニック育種(この場合、単数または複数の特定遺伝子が異なる種の植物および/または細菌からある植物に導入される)を用いることにより、産生され得る。遺伝子変異を作成するための別の方法は、突然変異育種による(この場合、新規対立遺伝子は、内因性遺伝子から人工的に作成される)。人工遺伝子は、種々の方法により、例えば化学的突然変異誘発因子(例えば、アルキル化剤、エポキシ度、アルカロイド、過酸化物、ホルムアルデヒドを使用する)、照射(例えば、X線、ガンマ線、中性子、ベータ粒子、アルファ粒子、陽子、重水素、UV線)および温度ショックまたはその他の外的ストレス、ならびにその後の選択技法により、作成され得る。修飾遺伝子を提供するその他の方法は、エラープローンPCRおよびDNAシャッフリングとその後の所望の修飾DNAの所望の植物または種子への挿入による。種子または植物における所望の遺伝子変異を導入する方法としては、例えば、細菌キャリア、微粒子銃、リン酸カルシウム沈降、電気穿孔、遺伝子スプライシング、遺伝子サイレンシング、リポフェクション、マイクロインジェクションおよびウィルスキャリアが挙げられる。付加的遺伝子修飾材料は、米国特許出願13/396,369(2012年2月14日出願;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されている。
【0103】
本明細書中に記載される方法のいずれかが、本明細書中に記載される任意のバイオマス材料の混合物で実行され得る。
バイオマス材料調製‐機械的処理
【0104】
バイオマスは、乾燥形態であり、例えば約35%未満(例えば、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、あるいは約1%未満でさえある)の含水量を有する。バイオマスは、さらにまた、湿潤状態で、例えば湿潤固体、スラリーまたは懸濁液として送達され、少なくとも約10重量%(例えば、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%)固体を有し得る。
【0105】
本明細書中に開示される工程は、低嵩密度材料、例えば約0.75g/cm、例えば約0.7未満、0.65、0.60、0.50、0.35、0.25、0.20、0.15、0.10、0.05またはそれ未満、例えば約0.025g/cm未満の嵩密度を有するセルロースまたはリグノセルロース供給材料を利用し得る。嵩密度は、ASTM D1895Bを用いて確定される。要するに、当該方法は、既知容積のメスシリンダーに試料を充填すること、試料の重量を得ることを包含する。嵩密度は、試料の重量(グラム)をシリンダーの既知容積(立方センチメートル)で割ることにより算定される。所望により、例えば米国特許第7,971,809号(Medoff;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載された方法により、低嵩密度材料は密度を上げられ得る。
【0106】
いくつかの場合、前処理工程は、バイオマス材料のスクリーニングを包含する。スクリーニングは、メッシュを通して、または所望の開口サイズ、例えば約6.35mm(1/4インチ、0.25インチ)未満、(例えば、約3.18mm(1/8インチ、0.125インチ)未満、約1.59mm(1/16インチ、0.0625インチ)未満を有するメッシュまたは穿孔プレートにより、約0.79mm(1/32インチ、0.03125インチ)、例えば約0.51mm(1/50インチ、0.02000インチ)未満、約0.40mm(1/64インチ、0.015625インチ)未満、約0.23mm(0.009インチ)未満、約0.20mm(1/128インチ、0.0078125インチ)未満、約0.18mm(0.007インチ)未満、約0.13mm(0.005インチ)未満、または約0.10mm(1/256インチ、0.00390625インチ)未満でさえある)である。一形状では、所望のバイオマスは、穿孔またはスクリーンを通して落下し、したがって、穿孔またはスクリーンより大きいバイオマスは照射されない。これらの大型材料は、例えば細砕により再加工処理され得るし、あるいはそれらは、単に加工処理から除去され得る。別の形状では、穿孔より大きい材料が照射され、より小さい材料はスクリーニング工程により除去されるか、または再循環される。この種類の形状では、コンベヤーそれ自体(例えばコンベヤーの一部分)が穴を開けられるか、またはメッシュで作られ得る。例えば、特定の一実施形態では、バイオマス材料は湿潤性であり得るし、照射前に、穿孔またはメッシュがバイオマスから水を排出できる。
【0107】
材料のスクリーニングは、手動方法により、例えば望ましくない材料を除去するオペレーターまたはメカノイド(例えば、色、反射性またはその他のセンサーを装備したロボット)によりなされ得る。スクリーニングは、磁気スクリーニングによってもなされ得るが、この場合、時期は搬送材料近くに配置され、磁性材料は磁気的に除去される。
【0108】
任意の前処理加工は、材料を加熱することを包含し得る。例えば、コンベヤーの一部分は、加熱帯を通して送られ得る。加熱帯は、例えばIR放射線、マイクロ波、燃焼(例えば、ガス、石炭、油、バイオマス)、抵抗加熱および/または誘導コイルにより、作成され得る。加熱は、少なくとも一側面から、または1つより多い側面から適用され、転属的または定期的であり、試料材料の一部分だけ、または材料全体に適用され得る。例えば、搬送溝の一部分は、加熱外被の使用により加熱され得る。加熱は、例えば材料を乾燥するという目的のためであり得る。材料を乾燥するという場合、これは、それが搬送されるものである場合、バイオマスの上の、および/または通した、ガス(例えば空気、酸素、窒素、He、CO、アルゴン)の移動により、加熱を伴っても伴わなくても、助長され得る。
【0109】
任意に、前処理加工は、材料を冷却することを包含し得る。材料の冷却は、米国特許第7,900,857号(Medoff;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されている。例えば、冷却は、冷却用流体、例えば水(例えば、グリセロールを伴う)または窒素(例えば、液体窒素)を搬送溝の底に供給することによりなされ得る。代替的には、冷却用ガス、例えば冷却窒素は、バイオマス材料の上に、または搬送系の下に吹き付けられ得る。
【0110】
別の任意の前処理加工方法は、バイオマスに材料を付加することを包含し得る。付加的材料は、例えば、搬送される場合、バイオマス上に材料を浴びせること、撒き散らすこと、および/または注ぐことにより、付加され得る。付加され得る材料としては、米国特許出願公開第2010/0105119 A1号(2009年10月26日出願)および米国特許出願公開第2010/0159569 A1号(2009年12月16日出願)(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)に記載されているように、例えば金属、セラミックおよび/またはイオンが挙げられる。付加され得る任意の材料としては、酸および塩基が挙げられる。付加され得る他の材料は、酸化剤(例えば、過酸化物、塩素酸塩)、ポリマー、重合可能単量体(例えば、不飽和結合を含有する)、水、触媒、酵素および/または生物体である。材料は、例えば純粋形態で、溶媒(例えば水または有機溶媒)中の溶液として、および/または溶液として付加され得る。いくつかの場合、溶媒は揮発性であり、例えば前記のようなガスを加熱および/または煮沸することにより蒸発させられ得る。付加材料は、バイオマス上の均質コーチングを形成し得るし、あるいは異なる構成成分(例えばバイオマスおよび付加材料)の均質混合物であり得る。付加材料は、照射の効率を増大し、照射を減衰し、または照射の効果を変える(例えば電子線からX線または熱に)ことにより、その後の照射ステップを調整し得る。当該方法は、照射に影響を及ぼし得ないが、しかしさらなる下流加工処理のために有用であり得る。付加材料は、例えば塵埃レベルを低下させることにより、材料を搬送するのに役立ち得る。
【0111】
バイオマスは、ベルトコンベヤー、空気コンベヤー、スクリューコンベヤー、ホッパー、パイプにより、手動で、またはこれらの組合せにより、コンベヤーに送達され得る。バイオマスは、例えば、これらの方法のいずれかにより、コンベヤー上に滴下され、注がれ、および/または配置され得る。一部の実施形態では、材料は、封入材料分配系を用いてコンベヤーに送達されて、低酸素大気を保持し、および/または塵埃および細粒を制御するのに役立つ。飛ばされたり空気懸濁されたバイオマスの微粒および塵埃は、爆発の危険を生じたり、電子銃のウィンドウフォイルを損害し得るため(このような装置が材料を処理するために用いられる場合)、望ましくない。
【0112】
材料は、約0.0312〜5インチ(例えば、約0.0625〜2.000インチ、約0.125〜1インチ、約0.125〜0.5インチ、約0.3〜0.9インチ、約0.2〜0.5インチ、約0.25〜1.0インチ、約0.25〜0.5インチ、0.100±0.025インチ、0.150±0.025インチ、0.200±0.025インチ、0.250±0.025インチ、0.300±0.025インチ、0.350±0.025インチ、0.400±0.025インチ、0.450±0.025インチ、0.500±0.025インチ、0.550±0.025インチ、0.600±0.025インチ、0.700±0.025インチ、0.750±0.025インチ、0.800±0.025インチ、0.850±0.025インチ、0.900±0.025インチ、0.900±0.025インチの均一厚を形成するために、均一化され得る。
【0113】
一般的に、電子銃を介して最大処理量に、できるだけ迅速に材料を搬送するのが好ましい。例えば材料は、少なくとも1ft/分、例えば少なくとも2ft/分、少なくとも3ft/分、少なくとも4ft/分、少なくとも5ft/分、少なくとも10ft/分、少なくとも15ft/分、20、25、30、35、40、45、50ft/分の速度で搬送され得る。搬送速度はビーム電流に関連しており、例えば、1/4インチ厚バイオマスに関して、100mAでは、コンベヤーは約20ft/分移動して、有用な照射投与量を提供し、50mAでは、コンベヤーは約10ft/分移動して、ほぼ同一の照射投与量を提供し得る。
【0114】
バイオマス材料が放射線帯を通って搬送された後、任意の後処理加工が実行され得る。任意の後処理加工は、例えば、前照射加工処理に関して記載した工程であり得る。例えばバイオマスは、スクリーニングされ、加熱され、冷却され、および/または添加物と併合され得る。後照射に独自に、ラジカルのクエンチング、例えば圧力、熱および/またはラジカル掃去剤の付加を用いる流体またはガス(例えば、酸素、亜酸化窒素、アンモニア、液体)の付加によるラジカルのクエンチングが起こり得る。例えばバイオマスは、封入コンベヤーの外側に搬送されて、ガス(例えば酸素)に曝露され、ここでそれは区園地され、カルボキシル化基を生成し得る。一実施形態では、バイオマスは、照射中に反応性ガスまたは流体に曝露される。照射されたバイオマスのクエンチングは、米国特許第8,083,906号(Medoff;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されている。
【0115】
所望により、バイオマス材料の難分解性をさらに低減するために、照射のほかに、1つ以上の機械的処理が用いられ得る。これらの工程は、照射の前、最中および/または後に適用され得る。
【0116】
いくつかの場合、機械的処理は、受容時の供給原料の初期調製、例えば細砕による、例えば切断し、磨り潰し、剪断し、粉々にし、または切り刻むことによる、材料のサイズ低減を包含し得る。例えば、いくつかの場合、剪断または細断により、目の粗い供給原料(例えば、リサイクル紙、デンプン材料またはスイッチグラス)が調製される。機械的処理は、バイオマス材料の嵩密度を低減し、バイオマス材料の表面積を増大し、および/またはバイオマス材料の1つ以上の寸法を減少する。
【0117】
代替的には、またはさらに、供給材料は、先ず、他の物理的処理方法、例えば化学的処理、放射線、音波処理、酸化、熱分解または水蒸気爆発のうちの1つ以上により物理的に処理され得る。この一連の方法は、他の処理、例えば照射または熱分解のうちの1つ以上により処理される材料がより脆くなる傾向があり、したがって、機械的処理により材料の構造をさらに変えることが容易であり得るため、有益であり得る。例えば供給材料は、本明細書中に記載されるようにコンベヤーを用いて放射線をイオン化することにより搬送されて、次に機械的に処理され得る。化学的処理は、リグニンのうちのいくつかまたはすべてを除去し(例えば化学的パルプ化)、試料部分的にまたは完全に材料を加水分解し得る。当該方法は、前加水分解化材料に関しても用いられ得る。当該方法は、前加水分解されていない材料に関しても用いられ得る。当該方法は、例えば約50%以上の非加水分解化材料、約60%以上の非加水分解化材料、約70%以上の非加水分解化材料、約80%以上の非加水分解化材料を伴い、90%以上でさえある非加水分解化材料を有する加水分解化および非加水分解化材料の混合物に関して、用いられ得る。
【0118】
加工処理の最初および/または後期に実施され得るサイズ低減のほかに、機械的処理は、バイオマス材料を「開口し」、「圧迫し」、分断するかまたは打ち砕き、当該材料のセルロースを、物理的処理中の鎖切断および/または結晶構造の崩壊に対してより感受性にするためにも、有益である。
【0119】
バイオマス材料を機械的に処理する方法としては、例えば粉砕または磨り潰しが挙げられる。粉砕は、例えばミル、ボールミル、コロイドミル、コニカルまたはコーンミル、ディスクミル、エッジミル、ウィリーミル、グリストミルまたはその他のミルを用いて実施され得る。磨り潰しは、例えば切断/衝撃型グラインダーを用いて実施され得る。いくつかの例示的グラインダーとしては、石材用グラインダー、ピングラインダー、コーヒーグラインダーおよびブーア(burr)グラインダーが挙げられる。磨り潰しまたは粉砕は、例えば、ピンミルの場合のように、往復運動ピンまたは他の要素により、提供され得る。その他の機械的処理方法としては、機械的切り裂きまたは引き裂き、剪断、切り刻む繊維に圧力を適用する他の方法、および空気磨滅粉砕が挙げられる。適切な機械的処理はさらに、以前の加工処理ステップにより開始された材料の内部構造の崩壊を継続する任意の他の技法を包含する。
【0120】
機械的供給調製系は、例えば、特定最大サイズ、特定の長さ対幅、または特定の表面積比のような特定の特質を有する流れを生じるよう設計され得る。物理的調製は、反応速度を増大し、コンベヤー上の材料の動きを改良し、材料の照射プロフィルを改良し、材料の放射線均一性を改良し、または材料を切開して、それらが加工および/または試薬、例えば溶液中の試薬により近づけるようにすることによって必要とされる加工時間を低減し得る。
【0121】
供給原料の嵩密度は、制御され(例えば増大され)得る。いくつかの状況では、例えば材料の密度を上げて(高密度化は、別の部位に運搬するのを容易に且つ低コストにし得る)、次に材料をより低い嵩密度状態に戻す(例えば運搬後に)ことにより、低嵩密度材料を調製することが望ましい。当該材料は、例えば、約0.2g/cc未満から約0.9g/ccより大に(例えば、約0.3未満〜約0.5g/ccより大、約0.3未満〜約0.9g/ccより大、約0.5未満〜約0.9g/ccより大、約0.3未満〜約0.8g/ccより大、約0.2未満〜約0.5g/ccより大)、高密度化され得る。例えば、材料は、米国特許第7,932,065号(Medoff)および国際公告WO 2008/073186(2007年10月26日出願;英語で公開;米国を指名)(これらの記載内容は、参照により本明細書中で援用される)に開示された方法および設備により高密度化され得る。高密度化材料は、本明細書中に記載される方法のいずれかにより加工処理され得るし、あるいは本明細書中に記載される方法のいずれかにより加工処理される任意の材料は、その後、高密度化され得る。
【0122】
一部の実施形態では、加工処理されるべき材料は、繊維源を剪断することにより提供される繊維を含む繊維性材料の形態である。例えば、剪断は、回転式ナイフカッターで実施され得る。
【0123】
例えば、難分解性であるか、または低減されたその難分解性レベルを有する繊維源は、例えば回転式ナイフカッターで剪断されて、一次繊維性材料を提供し得る。一次繊維性材料は、例えば1.59mm以下(1/16インチ、0.0625インチ)の平均開口サイズを有する一次スクリーンに通されて、二次繊維性材料を提供する。所望により、繊維源は、例えばシュレッダーで、剪断前に切断され得る。例えば、紙が繊維源として用いられる場合、紙は、シュレッダー、例えばMunson(Utica,N.Y.)製造の卓上回転式スクリュー式シュレッダーを用いて、細片(例えば、1/4〜1/2インチ幅)に先ず切断され得る。細断に代わるものとして、ギロチンカッターを用いて、所望サイズに切断することにより、紙はサイズを低減され得る。例えば、ギロチンカッターは、例えば幅10インチ、長さ12インチのシートに紙を切断するために用いられ得る。
【0124】
一部の実施形態では、繊維源の剪断、およびその結果生じる一次繊維性材料を一次スクリーンに通すことは、同時発生的に実施される。剪断および通過は、バッチ型工程でも実施され得る。
【0125】
例えば、回転式ナイフカッターを用いて、同時発生的に、繊維源を剪断し、一次繊維性材料をスクリーニングし得る。回転式ナイフカッターは、繊維源を細断することにより調製される細断済み繊維源を載せられ得るホッパーを包含する。細断済み繊維源。
【0126】
いくつかの実行において、供給原料は、糖化および/または発酵前に物理的に処理される。物理的処理工程は、本明細書中に記載される工程、例えば機械的処理、化学的処理、照射、音波処理、酸化、熱分解または水蒸気爆発のいずれかのうちの1つ以上を包含し得る。処理方法は、これらの技法のうちの2、3、4、またはすべての組合せ(任意の順序で)で用いられ得る。1つより多い処理方法が用いられる場合、当該方法は、同時に、または異なる時点で適用され得る。バイオマス供給原料の分子構造を変える他の工程も、単独で、または本明細書中に開示される工程と組合せて用いられ得る。
【0127】
用いられ得る機械的処理、ならびに機械的処理されるバイオマス材料の特質は、米国特許出願公開第2012/0100577 A1(2011年10月18日出願;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)にさらに詳細に記載されている。
【0128】
バイオマス材料の処理
エネルギー粒子衝撃による1つ以上の処理を用いて、広範囲の異なる供給源からの生供給原料を加工処理して、供給原料から有用な物質を抽出し、部分的に分解された有機材料(これはさらなる加工処理ステップおよび/またはシーケンスへのインプットとして機能する)を提供し得る。粒子衝撃は、供給原料の分子量および/または結晶性を低減し得る。一部の実施形態では、その原子軌道から電子を放出する材料中に預託されたエネルギーが、材料を処理するために用いられ得る。衝撃は、重度荷電粒子(例えばアルファ粒子または陽子)、電子(例えば、ベータ崩壊または電子線加速器で生成される)または電磁線(例えばガンマ線、x線または紫外線)により提供され得る。代替的には、放射性物質により生成される放射線は、供給原料を処理するために用いられ得る。これらの処理の、任意の順序での、または同時発生的での、任意の組合せが利用され得る。別のアプローチでは、電磁線(例えば、電子線放出器を用いて生成)を用いて、供給原料を処理し得る。
【0129】
各型のエネルギーは、特定の相互作用によりバイオマスをイオン化する。重度荷電粒子は、主にクーロン散乱により物質をイオン化する;さらに、これらの相互作用は、物質をさらにイオン化し得るエネルギー性電子を生じる。アルファ粒子は、ヘリウム原子の核と同一であり、種々の放射性核、例えばビスマス、ポロニウム、アスタチン、ラドン、フランシウム、ラジウム、いくつかのアクチニド、例えばアクチニウム、トリウム、ウラニウム、ネプツニウム、キュリウム、カリフォルニウム、アメリシウムおよびプルトニウムの同位体のアルファ崩壊により生成される。
【0130】
粒子が利用される場合、それらは中性(非荷電)、正電荷または負電荷であり得る。荷電される場合、荷電粒子は、単一の正または負電荷、あるいは多重電荷、例えば1、2、3または4つ、あるいはそれ以上の電荷を保有し得る。鎖切断が望まれる場合、一部はそれらが酸性であるために、正荷電粒子が望ましい。粒子が利用される場合、当該粒子は、静止電子の質量、あるいはそれ以上、例えば静止電子の質量の500、1000、1500または2000倍またはそれ以上の質量を有し得る。例えば、粒子は、約1原子単位〜約150原子単位、例えば約1原子単位〜約50原子単位、または約1〜約25、例えば1、2、3、4、5、10、12または15原子単位の質量を有し得る。粒子を加速するために用いられる加速器は、静電DC、電気力学的DC、RFリニア、磁気誘導型リニアまたは連続波であり得る。例えば、サイクロトロン型加速器、例えばRhodotron(商標)系は、IBA(Ion Beam Accelerators, Louvain−la−Neuve, Belgium)から入手可能であり、一方、DC型加速器、例えばDynamitron(商標)は、RDI(現在、IBA Industrial)から入手可能である。イオンおよびイオン加速器は、Introductory Nuclear Physics, Kenneth S. Krane, John Wiley & Sons, Inc. (1988), Krsto Prelec, FIZIKA B 6 (1997) 4, 177−206;Chu, William T., “Overview of Light−Ion Beam Therapy”, Columbus−Ohio, ICRU−IAEA Meeting, 18−20 Mar. 2006; Iwata, Y. et al., “Alternating−Phase−Focused IH−DTL for Heavy−Ion Medical Accelerators”, Proceedings of EPAC 2006, Edinburgh, Scotland;およびLeitner, C. M. et al., “Status of the Superconducting ECR Ion Source Venus”, Proceedings of EPAC 2000, Vienna, Austriaで考察されている。
【0131】
適用される線量は、所望の作用および特定の供給原料によって決まる。例えば、高線量は、供給原料構成成分内の化学結合を分断し得るし、低線量は、供給原料構成成分内の化学結合(例えば架橋)を増大し得る。
【0132】
いくつかの場合には、鎖切断が望ましいか、および/またはポリマー鎖官能化が望ましい場合、電子より重い粒子、例えば陽子、ヘリウム核、アルゴンイオン、ケイ素イオン、ネオンイオン、炭素イオン、リンイオン、酸素イオンまたは窒素イオンが利用され得る。開環鎖切断が所望される場合、開環鎖切断増強のために、正荷電粒子がそれらのルイス酸特性のために利用され得る。例えば、酸素含有官能基が所望される場合、酸素の存在下での処理、または酸素イオンでの処理でさえ、実施され得る。例えば、窒素含有官能基が望ましい場合、窒素の存在下での処理、または窒素イオンでの処理さえ、実施され得る。
他の型のエネルギー
【0133】
電子は、クーロン散乱、または電子の速度の変化により生成される制動放射線により相互作用する。電子は、ベータ崩壊を受ける放射性核、例えばヨウ素、セシウム、テクネチウムおよびイリジウムの同位体により生成され得る。代替的には、熱電子放出による電子供給源として、電子銃が用いられ得る。
【0134】
電磁放射線は、3工程を介して相互作用する:すなわち、光電吸収、コンプトン散乱および電子対生成である。優位相互作用は、入射放射線のエネルギーおよび材料の原子数により確定される。セルロース材料中の吸収放射線に寄与する相互作用の合計は、質量吸収係数により表され得る。
【0135】
電磁放射線は、波長によって、ガンマ線、x線、紫外線、赤外線、マイクロ波または電波として細分類される。
【0136】
例えば、ガンマ線は、材料を処理するために用いられ得る。ガンマ線は、試料中の種々の材料中への有意の浸透深度という利点を有する。ガンマ線の供給源としては、放射性核、例えば、コバルト、カルシウム、テクネチウム、クロム、ガリウム、インジウム、ヨウ素、鉄、クリプトン、サマリウム、セレニウム、ナトリウム、タリウムおよびキセノンの同位体が挙げられる。
【0137】
x線の供給源としては、金属標的、例えばタングステンまたはモリブデンまたは合金との電子線衝突、あるいは小型光源、例えばLynceanにより商業的に製造されるものが挙げられる。
【0138】
紫外線のための供給源としては、重水素またはカドミウムランプが挙げられる。
【0139】
赤外線のための供給源としては、サファイア、亜鉛またはセレン化合物ウィンドウセラミックランプを包含する。
【0140】
マイクロ波のための供給源としては、クリプトン、スレビン型RF源、あるいは水素、酸素または窒素ガスを用いる原子線源が挙げられる。
【0141】
種々のその他の装置、例えばフィールドイオン化源、静電イオン分離器、フィールドイオン化発生器、熱電子放出源、マイクロ波放電イオン源、再循環または静電加速器、動的直線型加速器、ファンデグラーフ加速器、および折り返し型タンデム加速器が、本明細書中に開示される方法に用いられ得る。このような装置は、例えば米国特許第7,931,784 B2号(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に開示されている。
バイオマス物質の処理−電子衝撃
【0142】
供給原料は、電子衝撃で処理されて、その構造を改変し、それによりその難分解性を低減し得る。このような処理は、例えば、供給原料の平均分子量を低減し、供給原料の結晶構造を変え、および/または供給原料の表面積および/または多孔度を増大する。
【0143】
電子線による電子衝撃が一般的に好ましいが、それは、非常に高い処理量を提供するためであり、試料相対的低電圧/高出力電子線装置は、「セルフシールド」され、安全で効率的工程を提供するので、このような装置の使用が高価なコンクリート製丸天井型遮蔽の必要性を排除するためである。「セルフシールド」装置は遮蔽(例えば金属板遮蔽)を包含するが、それらは、コンクリート製丸天井の構築を必要とせず、資本支出を大きく低減し、試料しばしば、高価な修正なしに現存製造設備の使用を可能にする。電子線加速器は、例えばIBA(Ion Beam Applications, Louvain−la−Neuve, Belgium)、Titan Corporation(San Diego, California, USA)およびNHV Corporation(Nippon High Voltage, Japan)から入手可能である。
【0144】
電子衝撃は、10MeV未満、例えば7MeV未満、5MeV未満または2MeV未満、例えば約0.5〜1.5MeV、約0.8〜1.8MeV、約0.7〜1MeVまたは約1〜3MeVの公称エネルギーを有する電子線装置を用いて実施され得る。いくつかの実行において、公称エネルギーは約500〜800keVである。
【0145】
電子線は、相対的に高い総ビーム出力(全加速ヘッドの併合ビーム出力、または多重加速器が用いられる場合、全加速器および全ヘッドの併合ビーム出力)、例えば少なくとも25kW、例えば少なくとも30、40、50、60、65、70、80、100、125または150kWを有し得る。いくつかの場合、出力は、500kW、750kWまたは1000kW以上という高さでさえある。いくつかの場合、電子線は、1200kW以上のビーム出力を有する。
【0146】
この高い総ビーム出力は、通常は、多重加速ヘッドを利用することにより達成される。例えば電子線装置は、2、4またはそれより多い加速ヘッドを包含し得る。その各々が相対的低ビーム出慮億を有する多重ヘッドの使用は、当該材料中の過剰温度上昇を防止し、それにより当該材料の燃焼を防止し、さらにまた、材料の総の厚みを通して線量の均一性を増大する。
【0147】
いくつかの実行においては、電子衝撃中に材料を冷却することが望ましい。例えば、当該材料は、例えば単軸押出機またはその他の搬送装置により搬送されている間、冷却され得る。
【0148】
難分解性が低減した工程により必要とされるエネルギーを低減するために、できるだけ迅速に材料を処理することが望ましい。概して、処理は約0.25Mrad/秒より大きい、例えば約0.5、0.75、1、1.5、2、5、7、10、12、15より大きく、あるいは約20Mrad/秒より大きいことさえあり、例えば約0.25〜2Mrad/秒の線量率で実施される、ということが好ましい。材料の熱分解を回避するためには、線量率が高いほど、一般的に高ライン速度を要する。一実行において、加速器は、3MeV、50mAmpビーム流に設定され、約20mmの試料厚に関してはライン速度は24フィート/分である(例えば、0.5g/cmの嵩密度を有する細砕トウモロコシ穂軸材料)。
【0149】
一部の実施形態では、電子衝撃は、材料が少なくとも0.5Mrad、例えば少なくとも5、10、20、30または少なくとも40Mradの総線量を受けるまで実施される。一部の実施形態では、処理は、約0.5Mrad〜約150Mrad、約1Mrad〜約100Mrad、約2Mrad〜約75Mrad、10Mrad〜約50Mrad、例えば約5Mrad〜約50Mrad、約20Mrad〜約40Mrad、約10Mrad〜約35Mradまたは約25Mrad〜30Mradの線量を材料が受けるまで実施される。いくつかの実行において、25〜35Mradの総線量が選択され、理想的には2〜3秒間、例えば5Mrad/通過(pass)で適用され、各通過(pass)は、約1秒間適用される。7〜8Mrad/通過(pass)より多い線量の適用は、いくつかの場合、供給材料の熱分解を引き起こす。
【0150】
上記のような多重ヘッドを用いて、当該物質は、多重通過(pass)で、例えば2通過(pass)を、10〜20Mrad/通過(pass)で、例えば12〜18Mrad/通過(pass)で、2〜3秒のクールダウンを挟んで、あるいは3通過(pass)を、7〜12Mrad/通過(pass)、例えば9〜11Mrad/通過(pass)で、処理され得る。上記のように、1つの高線量でというよりむしろ、いくつかの相対的に低い線量での材料の処理は、材料の過熱を防止し、さらにまた材料の厚み全体を通しての線量均一性を増大する傾向がある。いくつかの実行において、材料は各通過(pass)の最中または後に撹拌されるか、そうでなければ混合されて、次に、再び均一層にならした後、次の通過(pass)に進んで、処理均一性をさらに増強する。
【0151】
一部の実施形態では、電子は、例えば光の速度の75%を超える速度、例えば光の速度の85、90、95または99%を超える速度に加速される。
【0152】
一部の実施形態では、本明細書中に記載される任意の加工処理は、獲得された場合の乾燥を保持する、または、例えば熱および/または減圧を用いて乾燥されたリグノセルロース材料において生じる。例えば、一部の実施形態では、セルロースおよび/またはリグノセルロース材料は、25℃において50%の相対湿度で測定して、約5重量%未満の保持水分量を有する。
【0153】
セルロースおよび/またはリグノセルロース材料が空気、酸素濃化空気に、または酸素それ自体にも曝露されるか、あるいは不活性ガス、例えば窒素、アルゴンまたはヘリウムにより覆われている間、電子衝撃が適用され得る。最大酸化が所望される場合、酸化環境、例えば空気または酸素が利用され、ビーム源からの距離が最適化されて、反応性ガス生成、例えばオゾンおよび/または窒素の酸化物を最大にする。
【0154】
一部の実施形態では、2つ以上の電子供給源、例えば2つ以上のイオン化源が用いられる。例えば、試料は、任意の順序で、電子のビームで、その後、ガンマ線及び紫外線(約100nm〜約280nmの波長を有する)で処理され得る。一部の実施形態では、試料は3つのイオン化放射線源、例えば電子のビーム、ガンマ線およびエネルギー性UV光で処理される。バイオマスは、それが電子で衝撃を与えられ得る処理帯を通して搬送される。バイオマス材料床は、処理されている間、前記のように、相対的に均一の厚みを有する、というのが一般的に好ましい。
【0155】
バイオマスの難分解性をより十分に低減し、および/またはバイオマスをさらに改質するために処理を反復することは有益であり得る。特に、工程パラメーターは、材料の難分解性によって、第一(例えば、第二、第三、第四またはそれ以上の)通過(pass)後に調整され得る。一部の実施形態では、バイオマスが上記のような種々の工程を通して多重回数搬送される循環系を含むコンベヤーが用いられ得る。いくつかの他の実施形態では、多重処理装置(例えば、電子線発生器)を用いて、バイオマスを多数(例えば、2、3、4またはそれ以上)回、処理する。さらに他の実施形態では、単一電子線発生器は、バイオマスの処理のために用いられ得る多重ビーム(例えば2、3、4またはそれ以上のビーム)の供給源であり得る。
【0156】
バイオマス材料の分子/超分子構造を変えるに際して、および/または難分解性を低減するに際しての有効性は、用いられる電子エネルギーおよび適用される線量によって決まり、一方、曝露時間は出力および線量によって決まる。
【0157】
一部の実施形態では、処理(任意の電子源または供給源の組合せを用いる)は、少なくとも約0.05Mrad、例えば少なくとも約0.1、0.25、0.5、0.75、1.0、2.5、5.0、7.5、10.0、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175または200Mradの線量を当該材料が受容するまで、実施される。一部の実施形態では、処理は、0.1〜100Mrad、1〜200、5〜200、10〜200、5〜150、5〜100、5〜50、5〜40、10〜50、10〜75、15〜50、20〜35Mradの線量を受容するまで実施される。
【0158】
一部の実施形態では、処理は、5.0〜1500.0キロrads/時、例えば10.0〜750.0キロrads/時または50.0〜350.0キロrads/時の線量率で実施される。他の実施形態では、処理は、10〜10000キロrads/時、100〜1000キロrad/時または500〜1000キロrads/時の線量率で実施される。
電子供給源
【0159】
電子は、クーロン散乱、および電子の速度の変化により生成される制動放射線により相互作用する。電子は、ベータ崩壊を受ける放射性核、例えばヨウ素、セシウム、テクネチウムおよびイリジウムの同位体により生成され得る。代替的には、熱電子放出による電子供給源として、電子銃が用いられ、加速電位により加速され得る。電子銃は、電子を生成し、それらを大電位(例えば約500,000より大きい、約100万より大きい、約200万より大きい、約500万より大きい、約600万より大きい、約700万より大きい、約800万より大きい、約900万より大きい、または1000万ボルトより大きいことさえある)により加速し、試料次に、x‐y平面で機械的にそれらを走査するが、この場合、電子は、最初は管を下がってz方向に加速され、試料フォイルウィンドウを通して引き出される。電子線を走査することは、走査ビームを通して搬送される材料、例えばバイオマスを照射する場合、照射表面を増大するために有用である。電子線の走査は、さらにまた、ウィンドウ上に均質に熱負荷を分配し、電子線による局所加熱のためのフォイルウィンドウ破裂を低減するのを助ける。ウィンドウフォイル破裂は、その後に必要な修復および電子銃の再開のために有意の休止時間の一因である。
【0160】
種々のその他の照射装置、例えばフィールドイオン化源、静電イオン分離器、フィールドイオン化発生器、熱電子放出源、マイクロ波放電イオン源、再循環または静電加速器、動的直線型加速器、ファンデグラーフ加速器、および折り返し型タンデム加速器が、本明細書中に開示される方法に用いられ得る。このような装置は、例えば米国特許第7,931,784号(Medoff等;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に開示されている。
【0161】
電子のビームは、放射線源として用いられ得る。電子のビームは、高線量率(例えば1、5または10Mrad/秒でさえある)、高処理量、低汚染物質、および低閉じ込め設備という利点を有する。電子線は、高電気効率(例えば80%)も有し、他の放射線法に比して低いエネルギー使用量を可能にし、これが、より少量の使用エネルギーに対応して、低操作経費および低温室ガス放出に変え得る。電子は、例えば静電発生器、カスケード型発電機、変圧発電機、走査系を有する低エネルギー加速器、線形陰極を有する低エネルギー加速器、線形加速器およびパルス化加速器により生成され得る。
【0162】
さらにまた、電子は、例えば鎖切断の機序により、バイオマス材料の分子構造における変化を引き起こす時点でより効率的であり得る。さらに、0.5〜10MeVのエネルギーを有する電子は、低密度物質、例えば本明細書中に記載されるバイオマス材料、例えば0.5g/cm未満の嵩密度および0.3〜10cmの深度を有する材料を貫通し得る。イオン化放射線源としての電子は、例えば、約0.5インチ未満、例えば約0.4インチ未満、0.3インチ、0.25インチまたは約0.1インチ未満の、相対的に薄いパイル、材料の層または床に関して有用であり得る。一部の実施形態では、電子線の各電子のエネルギーは、約0.3MeV〜約2.0MeV(ミリオン電子ボルト)、例えば約0.5MeV〜約1.5MeVまたは約0.7MeV〜約1.25MeVである。物質の照射方法は、米国特許出願公開第2012/0100577 A1(2011年10月18日出願;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)で考察されている。
【0163】
電子線照射装置は、Ion Beam Applications(Louvain−la−Neuve,Belgium)、the Titan Corporation(San Diego,California,USA)およびNHV Corporation(Nippon High Voltage,Japan)から商業的に入手され得る。典型的電子エネルギーは、0.5MeV、1MeV、2MeV、4.5MeV、7.5MeVまたは10MeVであり得る。典型的電子線照射装置出力は、1KW、5KW、10KW、20KW、50KW、60KW、70KW、80KW、90KW、100KW、125KW、150KW、175KW、200KW、250KW、300KW、350KW、400KW、450KW、500KW、600KW、700KW、800KW、900KWであり、または1000KWでさえあり得る。
【0164】
電子線照射装置出力仕様書を考察するに際しての相殺条件としては、運転費用、資本費、減価償却および装置設置面積が挙げられる。電子線照射の曝露線量レベルを考察するに際しての相殺条件は、エネルギー費用、ならびに環境、安全性および健康(ESH)問題である。典型的には、発電機は、特に工程において生成されるX線からの産生のために、例えば鉛またはコンクリートの丸天井中に収容される。電子エネルギーを考察するに際しての相殺条件としては、エネルギー費用が挙げられる。
【0165】
電子線照射装置は、固定ビームまたは走査ビームを生じ得る。走査ビームは、これが大型固定ビーム幅に有効に取って代わる場合、大きい走査スイープの長さおよび高さ走査速度に関して有益であり得る。さらに、0.5m、1m、2mまたはそれ以上の利用可能なスイープ幅が利用可能である。走査ビームは、より大きい走査幅、ならびに局所加熱およびウィンドウの不全の可能性低減のため、本明細書中に記載されるほとんどの実施形態において選択される。
バイオマス材料の処理‐音波処理、熱分解、酸化、水蒸気爆発
【0166】
所望により、バイオマス材料の難分解性をさらに低減するために、他の処理に加えて、またはその代わりに、1つ以上の音波処理、熱分解、酸化または水蒸気爆発法が用いられ得る。これらの方法は、別の単数または複数の処理の前、最中および/または後に適用され得る。これらの方法は、米国特許第7,932,065号(Medoff;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に詳細に記載されている。
処理済みバイオマス材料の使用
【0167】
本明細書中に記載される方法を用いて、出発バイオマス材料(例えば、植物バイオマス、動物バイオマス、紙および地方自治体廃棄物バイオマス)は、供給原料として用いられて、有用な中間物質および生成物、例えば有機酸、有機酸の塩、無水物、有機酸のエステルおよび燃料、例えば内部燃焼エンジンのための燃料または燃料電池のための供給原料を生成し得る。容易に入手可能であるが、しかししばしば加工処理するのが困難であり得るセルロースおよび/またはリグノセルロース材料、例えば地方自治体廃棄物ストリームおよび廃棄物紙ストリーム、例えば新聞、クラフト紙、段ボール紙またはこれらの混合物を含むストリームを供給原料として用い得るシステムおよび工程が、本明細書中で記載される。
【0168】
容易に加工処理され得る形態に供給原料を転換するために、供給原料中のグルカン‐またはキシラン‐含有セルロースは、糖化剤、例えば酵素または酸により、低分子量炭水化物、例えば糖に加水分解され得る(糖化と呼ばれる工程)。次に、低分子量炭水化物は、例えば現存製造プラントにおいて、例えば単一細胞タンパク質プラント、酵素製造プラント、または燃料プラント、例えばエタノール製造施設において、用いられ得る。
【0169】
供給原料は、酵素を用いて、例えば溶媒中で、例えば水溶液中で、材料および酵素を併合することにより、加水分解され得る。
【0170】
代替的には、酵素は、バイオマス、例えばバイオマスのセルロースおよび/またはリグニン部分を分解し、種々のセルロース分解酵素(セルラーゼ)、リグニナーゼまたは種々の小分子バイオマス分解代謝物質を含有するかまたは製造する生物体により供給され得る。これらの酵素は、結晶セルロースまあはバイオマスのリグニン部分を分解するために相乗的に作用する酵素の複合体であり得る。セルロース分解酵素の例としては、以下のものが挙げられる:エンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼおよびセロビアーゼ(ベータ・グルコシダーゼ)。
【0171】
糖化中、セルロース性物質は、最初は、無作為位置でエンドグルカナーゼにより加水分解されて、オリゴマー中間体を生成し得る。これらの中間体は、その場合、セルロースポリマーの末端からセロビオースを生成するためのセロビオヒドロラーゼのような外分割グルカナーゼのための基質である。セロビオースは、グルコースの水溶性1,4‐結合二量体である。最後に、セロビアーゼは、セロビオースを切断して、グルコースを産生する。この工程の効率(例えば、加水分解するための時間および/または加水分解の終始)は、セルロース性物質の難分解性によって決まる。
中間体および生成物
【0172】
本明細書中で記載される工程を用いて、バイオマスは、1つ以上の生成物、例えばエネルギー、燃料、食物および材料に転化され得る。生成物の具体的例としては、水素、糖(例えば、グルコース、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、二糖、オリゴ糖および多糖)、アルコール(例えば、一価アルコールまたは二価アルコール、例えばエタノール、n‐プロパノール、イソブタノール、sec‐ブタノール、tert‐ブタノールまたはn‐ブタノール)、水和または水性アルコール(例えば、10%、20%、30%より多い、または40%より多いことさえある水を含有)、バイオディーゼル、有機酸、炭化水素(例えば、メタン、エタン、プロパン、イソブテン、ペンタン、n‐ヘキサン、バイオディーゼル、バイオガソリンおよびその混合物)、共生成物(例えば、タンパク質、例えばセルロース分解タンパク質(酵素)または単一細胞タンパク質)、ならびに任意の組合せまたは相対濃度での、ならびに任意に、任意の添加物(例えば、燃料添加物)と組合せたこれらのいずれかの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。その他の例としては、カルボン酸、カルボン酸の塩、カルボン酸とカルボン酸の塩およびカルボン酸のエステルの混合物(例えば、メチル、エチルおよびn‐プロピルエステル)、ケトン(例えば、アセトン)、アルデヒド(例えば、アセトアルデヒド)、アルファおよびベータ不飽和酸(例えば、アクリル酸)およびオレフィン(例えば、エチレン)が挙げられる。その他のアルコールおよびアルコール誘導体としては、プロパノール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、糖アルコールおよびポリオール(例えば、グリコール、グリセロール、エリトリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、イジトール、イノシトール、ボレミトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、マルトテトライトールおよびポリグリシトール、ならびにその他のポリオール)、ならびにこれらのアルコールのメチルまたはエチルエステルが挙げられる。その他の生成物としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、乳酸、クエン酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、吉草酸、カプロン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、オレイン酸、リノール酸、グリコール酸、ガンマ−酪酸、およびその混合物、これらの酸のいずれかの塩、酸の混合物およびそれらのそれぞれの塩のいずれかの混合物が挙げられる。
【0173】
上記の生成物と互いとのおよび/または上記生成物と他の生成物(他の生成物は、本明細書中に記載される工程により、または他の方法で製造され得る)との任意の組合せは、一緒に包装され、製品として販売され得る。当該生成物は、併合され、例えば混合され、配合され、または共溶解され得るし、あるいは単に一緒に包装され、販売され得る。
【0174】
本明細書中に記載される生成物または生成物の組合せのいずれかは、製品販売の前に、例えば精製または単離後、あるいは包装後でも、生成物(単数または複数)中に存在し得る1つ以上の潜在的に望ましくない夾雑物を中和するために、衛生的にされるかまたは滅菌され得る。このような衛生処理は、電子衝撃で実行され、例えば約20Mrad未満、例えば約0.1〜15Mrad、約0.5〜7Mrad、または約1〜3Mradの投与量であり得る。
【0175】
本明細書中に記載される工程は、プラントの他の部分で用いられるべき、あるいは公開市場で販売されるべき水蒸気および電気(共発生)を生成するために有用な種々の副産物ストリームを産生し得る。例えば、燃焼副産物ストリームから生成される水蒸気は、蒸留工程に用いられ得る。別の例として、燃焼副産物ストリームから生成される電気は、前処理に用いられる発電機を作動するために用いられ得る。
【0176】
水蒸気および電気を生成するために用いられる副産物は、工程全体を通して多数の供給源から得られる。例えば廃水の嫌気性消化は、メタン濃度が高いバイオガスと、少量の廃棄物バイオマス(スラッジ)を生じ得る。別の例として、糖化後および/または蒸留後固体(例えば、前処理および一次工程から残存する非転化リグニン、セルロースおよびヘミセルロース)が用いられ、例えば燃料として燃焼され得る。
【0177】
得られる生成物の多くは、例えばエタノールまたはn‐ブタノールは、車、トラック、トラクター、船または汽車を動かすための燃料として、例えば内燃燃料として、または燃料電池供給原料として、利用され得る。得られる生成物の多くは、航空機、例えばジェットエンジンを有する飛行機またはヘリコプターを動かすためにも利用され得る。さらに、本明細書中に記載される生成物は、発電のために、例えば慣用的水蒸気生成プラントで、または燃料電池プラントで利用され得る。
【0178】
その他の中間体および生成物、例えば食品および薬学的製品は、米国特許出願公開第2010/0124583 A1号(Medoff;2010年5月20日公開;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されている。
【0179】
糖化
処理済みバイオマス材料は、一般的に、流体媒質中、例えば水溶液中で当該材料とセルラーゼ酵素を組み合わせることにより、糖化され得る。いくつかの場合、米国特許出願公開第2012/0100577 A1号(MedoffおよびMasterman;2012年4月26日公開)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されているように、当該材料は、糖化前に熱水中で煮沸され、浸され、または煮られる。
【0180】
糖化工程は、製造プラントにおいてタンク(例えば、少なくとも4000、40,000または500,000Lの容積を有するタンク)中で部分的にまたは完全に実施され得るし、および/または輸送中に、例えば鉄道車輛、タンカートラックにおいて、またはスーパータンカーまたは船の船倉で、部分的にまたは完全に実施され得る。完全糖化に要する時間は、工程条件、ならびに用いられるバイオマス材料および酵素によって決まる。糖化が制御条件下で製造プラントにおいて実施される場合、セルロースは、約12〜96時間で、実質的に完全に、糖、例えばグルコースに転化され得る。糖化が輸送中に部分的にまたは完全に実施される場合、糖化はより長い時間を要し得る。
【0181】
例えば、国際出願PCT/US2010/035331(2010年5月18日出願;WO 2010/135380として英語で公開され、米国を指定;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されたようなジェットミキシングを用いて、糖化中にタンク内容物が混合される、というのが一般的に好ましい。
【0182】
界面活性剤の付加は、糖化の速度を増強し得る。界面活性剤の例としては、非イオン性界面活性剤、例えばトゥイーン(登録商標)20またはトゥイーン(登録商標)80ポリエチレングリコール界面活性剤、イオン性界面活性剤または両イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0183】
糖化に起因する糖溶液の濃度は、相対的に高く、例えば40重量%より高く、あるいは50、60、70、80、90より高く、あるいは95重量%より高いことさえある、というのが一般的に好ましい。水は、例えば蒸発により除去されて、糖溶液の濃度を増大し得る。これは、出荷されるべき容積を低減し、溶液中での微生物増殖も抑制する。
【0184】
代替的には、低濃度の糖溶液が用いられ得るが、この場合、抗菌性添加物、例えば広範囲抗生物質を、低濃度で、例えば50〜150ppmで付加するのが望ましい。その他の適切な抗生物質としては、アンフォテリシンB、アンピシリン、クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、ゲンタマイシン、ヒグロマイシンB、カナマイシン、ネオマイシン、ペニシリン、プロマイシン、ストレプトマイシンが挙げられる。抗生物質は、運搬および貯蔵中の微生物の増殖を抑制し、適切な濃度で、例えば15〜1000重量ppm、例えば25〜500ppmまたは50〜150ppmで用いられ得る。所望により、抗生物質は、糖濃度が相対的に高い場合でも、含まれ得る。代替的には、防腐特性を有する抗菌性のその他の添加物が用いられ得る。好ましくは、抗菌性添加物(単数または複数)は、食品等級である。
【0185】
酵素を有するバイオマス材料に付加される水の量を限定することにより、相対的に高濃度の溶液が得られる。濃度は、例えば糖化が起きる程度を制御することにより、制御され得る。例えば、濃度は、溶液により多くのバイオマス材料を付加することにより、増大され得る。溶液中に生成されている糖を保持するために、界面活性剤、例えば上記の界面活性剤の1つが付加され得る。溶液の温度を増大することにより、溶解度も増大される。例えば、溶液は、40〜50℃、60〜80℃、またはそれより高く保持され得る。
糖化剤
【0186】
適切なセルロース分解酵素としては、以下の属の種からのセルラーゼが挙げられる:バシラス属、ヒトヨタケ属、ミセリオフィトラ属、セファロスポリウム属、シタリジウム属、ペニシリウム属、アスペルギルス属、シュードモナス属、フミコラ属、フザリウム属、チエラビア属、アクレモニウム属、クリソスポリウム属およびトリコデルマ属、特にアスペルギルス種(例えば、欧州特許公開番号0 458 162参照)、フミコラ・インソレンス(シタリジウム・テルモフィルムとして再分類;例えば、米国特許第4,435,307号参照)、コプリヌス・シエレウス、フザリウム・オキシスポルム、ミセリオフィトラ・テルモフィラ、メリピルス・ギガンテウス、チエラビア・テレストリス、アクレモニウム種(例えば、A.ペルシシヌム、A.アクレモニウム、A.ブラキペニウム、A.ジクロモスポルム、A.オブクラバツム、A.ピンケルトニエ、A.ロゼオグリセウム、A.インコロラツムおよびA.フラツム(これらに限定されない))。好ましい菌株としては、フミコラ・インソレンス DSM1800、フザリウム・オキシスポルム DSM2672、ミセリオフィトラ・テルモフィラ CBS117.65、セファロスポリウム種 RYM−202、アクレモニウム種 CBS478.94、アクレモニウム種 CBS265.95、アクレモニウム・ペルシシヌム CBS169.65、アクレモニウム・アクレモニウム AHU9519、セファロスポリウム種 CBS535.71、アクレモニウム・ブラキペニウム CBS866.73、アクレモニウム・ジクロモスポルム CBS683.73、アクレモニウム・オブクラバツム CBS311.74、アクレモニウム・ピンケルトニエ CBS157.70、アクレモニウム・ロゼオグリセウム CBS134.56、アクレモニウム・インコロラツム CBS146.62およびアクレモニウム・フラツム CBS299.70Hが挙げられる。セルロース分解酵素は、クリソスポリウム属、好ましくはクリソスポリウム・ルクノウエンスの菌株からも得られる。用いられ得る付加的菌株としては、トリコデルマ属(特に、T.ビリデ、T.リーセイおよびT.コニンギー)、好アルカリ性バシラス属(例えば米国特許第3,844,890号および欧州特許公開番号0 458 162参照)、ならびにストレプトミセス属(例えば、欧州特許公開番号0 458 162参照)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0187】
バイオマス材料を糖化し、糖を生成するために用いられ得る多数の微生物はさらにまた、糖を有用な生成物に発酵し、転化するために用いられ得る。
【0188】
本明細書中に記載される工程において、例えば糖化後、糖(例えば、グルコースおよびキシロース)が単離され得る。例えば糖は、沈降、結晶化、クロマトグラフィー(例えば、擬似移動床クロマトグラフィー、高圧クロマトグラフィー)、遠心分離、抽出、当該技術分野で既知の任意の他の単離方法、およびその組合せにより単離され得る。
水素添加およびその他の化学的変換
【0189】
本明細書中に記載される工程は、水素添加を包含し得る。例えば、グルコースおよびキシロースは、それぞれソルビトールおよびキシリトールに水素添加され得る。水素添加は、高圧(例えば、10〜12000psi)下で、Hと組合せて、触媒(例えば、Pt/ガンマ‐Al、Ru/C、ラネーニッケル、または当該技術分野で既知のその他の触媒)の使用により成し遂げられ得る。本明細書中に記載される工程からの生成物の他の型の化学的変換、例えば有機糖由来生成物(例えば、フルフラルおよびフルフラル由来生成物)の生成が、用いられ得る。糖由来生成物の化学的変換は、米国特許仮出願第61/667,481号(2012年7月3日出願;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されている。
発酵
【0190】
例えば、酵母およびザイモモナス属細菌は、アルコール(単数または複数)への糖(単数または複数)の発酵または転化のために用いられ得る。他の微生物は、以下で考察される。発酵のための最適pHは、約pH4〜7である。例えば、酵母のための最適pHは約pH4内s5であるが、一方、ザイモモナス属のためのpHは約5〜6である。典型的発酵時間は、約24〜168時間(例えば24〜96時間)で、温度は20℃〜40℃(例えば、26℃〜40℃)の範囲であるが、しかしながら好熱性微生物はより高温を選択する。
【0191】
いくつかの実施形態では、例えば嫌気性生物が用いられる場合、発酵の少なくとも一部分は、酸素の非存在下で、例えば不活性ガス、例えばN、Ar、He、COまたはその混合物のブランケット下で、実行される。付加的には、混合物は、発酵の一部または全部の間、タンクを通して流れる不活性ガスの不断のパージを有し得る。いくつかの場合、嫌気性条件は、発酵中の二酸化炭素生成により達成されるかまたは保持され、付加的不活性ガスは必要でない。
【0192】
いくつかの実施形態では、発酵工程の全部または一部は、低分子量糖が完全に生成物(例えば、エタノール)に転化される前に、遮断され得る。中間発酵産物としては、高濃度での糖および炭水化物が挙げられる。糖および炭水化物は、当該技術分野で既知の任意の手段により単離され得る。これらの中間発酵産物は、ヒトまたは動物消費のための食物の調製に用いられ得る。付加的には、または代替的には、中間発酵産物は、ステンレススチール製の実験室ミルで微細粒子サイズに磨り潰されて、小麦粉様物質を生じる。
【0193】
ジェットミキシングは、発酵中に用いられ、いくつかの場合、糖化および発酵は、同一タンク中で実施される。
【0194】
微生物のための栄養素は、糖化および/または発酵中に付加され、例えば食物ベースの栄養素パッケージは、米国特許出願公開第2012/0052536号(2011年7月15日出願;この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されている。
【0195】
「発酵」は、米国特許仮出願61/579,559(2012年12月22日出願)および米国特許仮出願61/579,576(2012年12月22日出願)(これらの記載内容はともに、参照により本明細書中で援用される)に開示されている方法および生成物を包含する。
【0196】
国際出願PCT/US2007/074028(2007年7月20日出願;WO2008/011598として英語で公開され、米国を指定)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されているように、可動性発酵槽が利用され得る。同様に、糖化設備は、可動性であり得る。さらに、糖化および/または発酵は、輸送中に、一部または完全に実施され得る。
発酵剤
【0197】
発酵に用いられる微生物(単数または複数)は、天然微生物および/または工学処理微生物であり得る。例えば、微生物は、細菌(例えば、セルロース分解性細菌(これに限定されない))、真菌(例えば酵母(これに限定されない))、植物、原生生物、例えば原生動物または真菌様原生生物(例えば、粘菌(これに限定されない))、または藻類であり得る。生物体が適合性である場合、生物体の混合物が利用され得る。
【0198】
適切な発酵微生物は、炭水化物、例えばグルコース、フルクトース、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトース、オリゴ糖または多糖を発酵産物に転化する能力を有する。発酵微生物としては、以下の属の菌株が挙げられる:サッカロミセス種(例えば、S.セレビシエ(パン酵母)、S.ディスタチクス、S.ウバルム(これらに限定されない))、クルイベロミセス属(例えば、K.マルキシアヌス、K.フラギリス(これらに限定されない))、カンジダ属(例えば、C.シュードトロピカリスおよびC.ブラッシケ(これらに限定されない))、ピキア・スチピチス(カンジダ・シェハテの共通系統)、クラビスポラ属(例えば、C.ルシタニエおよびC.オプンチエ(これらに限定されない))、パチソレン属(例えば、P.タンノフィルス(これに限定されない))、ブレタンノミセス属(例えば、B.クラウセニイ(Philippidis, G. P., 1996, Cellulose bioconversion technology, in Handbook on Bioethanol: Production and Utilization, Wyman, C.E., ed., Taylor & Francis, Washington, DC, 179−212))。その他の適切な微生物としては、例えば、ザイモモナス・モビリス、クロストリジウム種(例えば、C.テルモセルム(Philippidis, 1996,上記)、C.サッカロブチラセトニクム、C.サッカロブチリクム、C.プニセウム、C.ベイジェルンキイおよびC.アセトブチリクム(これらに限定されない))、モニリエラ・ポリニス、モニリエラ・メガチリエンシス、ラクトバシルス種、ヤロウィア・リポリチカ、アウレオバシジウム種、トリコスポロノイデス種、トリゴノプシス・バリアビリス、トリコスポロン種、モニリエラアセトアブタンス種、チフラ・バリアビリス、カンジダ・マグノリエ、ウスチラギノミセテス種、シュードザイマ・ツクバエンシス、ジゴサッカロミセス属、デバリオミセス属、ハンセヌラ属およびピキア属の酵母種、ならびにトルラ属類皮の真菌が挙げられる。
【0199】
例えば、クロストリジウム種は、エタノール、ブタノール、酪酸、酢酸およびアセトンを生成するために用いられ得る。ラクトバシルス種は、乳酸を生成するために用いられ得る。
【0200】
多数のこのような微生物菌株は、商業的に、あるいは例えばATCC(American Type Culture Collection, Manassas, Virginia, USA)、NRRL(Agricultural Research Sevice Culture Collection, Peoria, Illinois, USA)またはDSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Braunschweig, Germany)のような保管所を通して、公的に入手可能である。
【0201】
市販の酵母としては、例えばレッドスター(Red Star)(登録商標)/レサッフレ・エタノールレッド(Lesaffre Ethanol Red)(Red Star/Lesaffre,USAから入手可能)、FALI(登録商標)(Fleischmann’s Yeast, a division of Burns Philip Food Inc., USAから入手可能)、スーパースタート(SUPERSTART)(登録商標)(Alltech、現在はLalemandから入手可能)、GERT STRAND(登録商標)(Gert Strand AB,Swedenから入手可能)およびFERMOL(登録商標)(DSM Specialtiesから入手可能)が挙げられる。
【0202】
バイオマス材料を糖化し、糖を生成するために用いられ得る多数の微生物は、それらを発行し、有用な生成物に転化するためにも用いられ得る。
蒸留
【0203】
発酵後、その結果生じた流体は、例えば「ビールカラム」を用いて蒸留されて、大多数の水および残留固体からエタノールおよびその他のアルコールを分離し得る。ビールカラムを出る蒸気は、例えば、35重量%エタノールであり、精留塔に供給され得る。精留塔からのほぼ共沸混合性(92.5%)のエタノールおよび水の混合物は、蒸気相分子篩を用いて、純(99.5%)エタノールに精製され得る。ビールカラム底は、三重効用蒸発器の第一効用に送られ得る。精留塔還流冷却器は、この第一効用のために熱を提供する。第一効用後、個体は、遠心分離器を用いて分離されて、回転乾燥機中で乾燥される。遠心分離流出液の一部分(25%)は、発酵に再循環され、残りは第二および第三蒸発器効用に送られる。蒸発器凝縮物のほとんどが、かなり透明な凝縮物として当該工程に戻され、小部分が、廃水処理に分けられて、低沸点化合物の増加を防止する。
【0204】
本明細書中の実施例における以外に、または別記しない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲の以下の部分における、数的範囲、量、値およびパーセンテージ、例えば材料、元素含量、反応の時間および温度、量の比率等はすべて、「約」という用語が値、量または範囲を伴って明らかに出現し得ない場合でも、「約」という語が前置きされているかのように理解され得る。したがって、そうでないことが示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲において記述される数的パラメーターは、本発明により得られることが求められる所望の特性によって変わり得る概数である。非常に少なくではあるが、そして本発明の範囲と糖化の見解の適用を限定するものではなく、各数的パラメーターは、少なくとも、報告された有意の数字の数に鑑みて、そして普通の丸め技法を適用することにより、解釈されるべきである。
【0205】
本発明の広範囲を記述する数的葉におよびパラメーターが概数であるにもかかわらず、具体例に記述される数値は、できるだけ精確に報告される。しかしながら、任意の数値は、その基礎をなすそれぞれの試験測定値に見出される標準偏差に必然的に起因する誤差を固有に含有する。さらに、数的範囲が本明細書中で記述される場合、これらの範囲は、列挙範囲終点(すなわち、終点が用いられ得る)を含む。重量パーセンテージが本明細書中で用いられる場合、報告される数値は、総重量に対する割合である。
【0206】
さらにまた、本明細書中で列挙される任意の数的範囲は、そこに組み込まれたすべての亜範囲を包含するよう意図される、と理解されるべきである。例えば、「1〜10」の範囲は、1という記載最小値と10という記載最大値との間の(含めた)すべての亜範囲を包含する、すなわち、1または1より大きい最小値、および10以下の最大値を有するよう意図される。「1つの(one)」、「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、本明細書中で用いる場合、別記しない限り、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を包含するよう意図される。
【0207】
参照により本明細書中で援用されると言われる特許、出版物、またはその他の開示は、全体でまたは一部は、組み入れられた試料がこの開示に記述される現存する定義、記述またはその他の開示と矛盾しない程度に本明細書中で援用される。このようなものとして、そして必要な程度に、本明細書中に明白に記述されるような開示は、参照により本明細書中に組み入れられた任意の相反する資料に取って代わる。本明細書中に参照により組み入れられるといわれる、しかし本明細書中に記述される現行の定義、記述またはその他の開示資料と相反する任意の資料またはその部分は、組み入れられた資料と現行開示資料との間に相反が生じない程度に援用されるに過ぎない。
【0208】
本発明を特定的に示しその好ましい実施形態に関して説明してきたが、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲を逸脱しない限り、形態および詳細における出の変更がなされ得る、当業者は理解する。
本発明は、以下の態様をも包含するものである。
<1>
液体培地、構造または担体、および前記構造または担体内に配置された難分解性が低減したセルロース系またはリグノセルロース系バイオマスを含む組み合わせを、前記構造または担体の内および/または外への分子の通過を可能にする条件下で維持することを含む、方法。
<2>
前記構造または担体が多孔性である、上記1に記載の方法。
<3>
前記構造または担体中に添加物を配置することをさらに含む、上記1に記載の方法。
<4>
前記添加物が、前記分子を1つ以上の生成物に転化することを可能にする条件下で、前記組み合わせを維持することをさらに含む、上記3に記載の方法。
<5>
前記添加物が、微生物、酵素、酸、塩基、化学溶液、栄養分、無機物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、上記1〜4のいずれかに記載の方法。
<6>
前記添加物が、微生物を含む、上記5に記載の方法。
<7>
前記生成物が、分子、タンパク質、糖、燃料、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、上記4〜6のいずれかに記載の方法。
<8>
前記タンパク質が酵素を含む、上記7に記載の方法。
<9>
前記構造または担体が、バッグ状、シェル状、ネット状、膜状、メッシュ状、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、上記1〜8のいずれかに記載の方法。
<10>
前記構造または担体が、バッグ状であり、最大1mm未満の寸法の開口部を有するメッシュ状物質から形成される、上記2に記載の方法。
<11>
前記構造または担体がバッグ状であり、前記バッグが、生腐食性ポリマー、例えばポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート−吉草酸塩、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート−ヘキサノエート、ポリブチレンサクシネート、コハク酸ポリブチレートアジパート、ポリエステルアミド、ポリブチレンアジパート−コ−テレフタラート、それらの混合物およびそれらの積層物からなる群から選択されるポリマーから作製される、上記8に記載の方法。
<12>
前記バッグが、スターチフィルムから作製される、上記11に記載の方法。
<13>
前記構造または担体を引き裂き、破裂させる処置をさらに利用することを含む、上記1〜12のいずれかに記載の方法。
<14>
前記微生物が、Trichoderma reesei株を含む、上記6に記載の方法。
<15>
前記株が、高収率セルラーゼ産生Trichoderma reeseiの変異体である、上記14に記載の方法。
<16>
前記株が、RUT−C30を含む、上記15に記載の方法。
<17>
前記セルロール系またはリグノセルロース系バイオマスの難分解性が、電子ビームに曝露させることにより低減され、上記1〜16のいずれかに記載の方法。
<18>
前記転化が、糖化を含む、上記4〜17のいずれかに記載の方法。
<19>
前記セルロース系またはリグノセルロース系バイオマスが、紙、紙製品、紙廃棄物、紙パルプ、着色紙、上塗り紙、被覆紙、充填紙、雑誌、印刷物、印刷用紙、ポリコーティング紙、硬い厚紙、ボール紙、板紙、綿、木材、パーティクルボード、林業系廃棄物、おがくず、アスペン材、木材チップ、草、スイッチグラス、ススキ、ミクリ、クサヨシ、穀粒残渣、コメ籾殻、オートムギ籾殻、コムギ籾殻、オオムギ籾殻、農業廃棄物、貯蔵牧草、キャノーラ藁、コムギ藁、オオムギ藁、オートムギ藁、コメ藁、ジュート、麻、亜麻、竹、サイザルアサ、マニラ麻、トウモロコシ穂軸、トウモロコシ飼葉、ダイズ飼葉、トウモロコシ繊維、アルファルファ、干し草、ココヤシ表面毛、糖加工残渣、バガス、ビートパルプ、リュウゼツランバガス、藻類、海藻、堆肥、下水汚物、腐肉、農業または工業廃棄物、アラカチャ、ソバ、バナナ、オオムギ、キャッサバ、葛、アンデスカタバミ、サゴヤシ、モロコシ、ジャガイモ、サツマイモ、タロイモ、ヤムイモ、ダイズ、ソラマメ、レンズマメ、エンドウおよびこれらのいずれかの混合物からなる群から選択される、上記1〜18のいずれかに記載の方法。
<20>
前記セルロース系またはリグノセルロース系物質が、約1mm未満、例えば、約0.25mm〜2.5mm未満の平均粒径を有する、上記1〜19のいずれかに記載の方法。
図1
図2
図3
図4