(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の光制御パネルでは、重ね合わされた多数のガラス片において、隣り合うガラス片の間に接着層(UV硬化型の接着剤による接着層)が設けられている。光制御パネルには、多数の接着層が設けられている。そのため、光制御パネルの製造に多くの接着剤が必要となり、低コストで光制御パネルを製造することが困難であった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、光制御パネルの製造に使用される接着剤を減らして、光制御パネルの製造コストを低下させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するべく、本発明に係る光制御パネルの製造方法は、内部において厚さ方向に垂直な方向に一定のピッチで多数の帯状反射面が形成された光制御パネルの製造方法であって、多数の細長い平板状のガラス片を直接重ね合わせることにより、形状が平板状であって厚さ方向に垂直な方向に多数のガラス片が並べられたガラス積層体を作製する積層工程と、ガラス積層体における多数のガラス片を一体化する一体化工程とを備えている。
【0008】
この製造方法の一体化工程は、ガラス積層体の片面又は透明なカバープレートの片面の少なくとも一方に透明な接着剤を塗布する工程と、ガラス積層体とカバープレートとの間に接着剤を挟むように、ガラス積層体の片面にカバープレートを重ねる工程と、ガラス積層体とカバープレートとの間の接着剤を硬化させて接着層を形成する工程とを備えていてもよい。
【0009】
また、この製造方法は、透明板ガラスを切断して、積層工程に用いる複数のガラス片に分断する切断工程をさらに備え、各ガラス片の長辺側の側面に対し研磨を行わないようにしてもよい。この場合、ガラス積層体の各ガラス片の側面に、切断された痕跡として凹凸が残る。
【0010】
また、本発明に係る光制御パネルは、内部において厚さ方向に垂直な方向に一定のピッチで多数の帯状反射面が形成された光制御パネルであって、形状が平板状であって、厚さ方向に垂直な方向に直接重ね合わされた多数のガラス片により構成されたガラス積層体と、ガラス積層体における多数のガラス片を一体化する固定部とを備え、ガラス片の各々は、その厚さ方向に対向する主面の一方が帯状反射面として機能する。
【0011】
また、この光制御パネルの固定部は、ガラス積層体の片面に接し、硬化した透明な接着剤により構成された接着層と、ガラス積層体の片面を覆うように接着層におけるガラス積層体の反対側に接着された透明なカバープレートとを有していてもよい。
【0012】
また、本発明に係る光学結像装置は、上述の光制御パネルを2つ備え、2つの光制御パネルは、互いの帯状反射面が略直交し、且つ、互いのガラス積層体が向き合うように、第2接着層を介して貼り合わされている。
【0013】
また、本発明に係る空中映像形成システムは、上述の光学結像装置と、光学結像装置の背面側に配置され、電子データに基づいて表示器内に映像を表示する再生装置とを備え、光学結像装置の前面側の自由空間(空中)に、表示器内の映像を結像させて空中映像を形成する。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、多数の細長い平板状のガラス片を直接重ねあわせて平板状のガラス積層体を作製している。従来のように多数の透明シートの積層体(透明シート間にミラーシートが介在したブロック体)を一定の厚みで切り出すことは行わず、重ね合わせた多数のガラス片が、光制御パネルの一要素であるガラス積層体となる。そして、従来とは異なり、積層工程において、多数のガラス片を直接重ね合わせている。積層工程において、隣り合うガラス片の間に接着剤を設けない。従って、従来は多量の接着剤を用いていた隣り合うガラス片15の間で接着剤を減らすことができるため、光制御パネルの製造コストを低下させることができる。
【0015】
なお、ガラス片としては、両面に金属反射膜(ミラー)を有しない透明なガラス片を用いることができる。ここで、多数のガラス片を直接重ね合わせた場合、隣り合うガラス片の間に微小隙間ができる。そのため、ガラス積層体では、ガラス片の側面から斜めに入射した光が、ガラス片と微小隙間の空気との屈折率の違いにより、ガラス片の主面(厚さ方向に対向する面)で全反射する。ガラス片の両面に金属反射膜を設けなくても、空中映像を形成するための光が適切に反射され、光制御パネルは適切に機能する。この場合、従来使用されていた多数の金属反射層(ミラーシート)が必要ないため、光制御パネルの製造コストをさらに低下させることができる。
【0016】
また、本発明では、従来のように複数の光制御パネルが切り出されるブロック体を作製せずに、多数のガラス片から、1枚の光制御パネルに用いるガラス積層体を作製している。ガラス積層体は、ブロック体に比べて軽い。そのため、従来はブロック体の重量の制約から光制御パネルを大型化することが困難であったが、本発明では重量の制約が緩和されるため、光制御パネルを大型化することができる。
【0017】
また、ガラス積層体の多数のガラス片は、接着層によって1枚のカバープレートに固定することで一体化することができる。この場合、各ガラス片の側面とカバープレートとに接着層が密着する。そのため、各ガラス片の側面(切断面)に対し研磨を行わなくても、ガラス積層体における各ガラス片の側面部分を透明化することができる。従って、各ガラス片の側面の研磨を省略できるため、光制御パネルの製造コストをさらに低下させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、
図1−
図4を参照しながら、実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
[1.光制御パネルについて]
光制御パネル10は、その内部において厚さ方向に垂直な方向に一定のピッチで多数の帯状反射面が形成された光学要素である。光制御パネル10は、
図1に示すように、ガラス積層体11、接着層12(第1接着層)、及び、カバープレート13を備えている。ガラス積層体11は、多数のガラス片15が横方向に積層されたものである。ガラス積層体11には、接着層12及びカバープレート13がこの順番で積層されている。接着層12及びカバープレート13は、ガラス積層体11における多数のガラス片15を一体化する固定部に相当する。
【0021】
ガラス積層体11は、細長い矩形平板状のガラス片15(ガラス棒)が多数(例えば、100以上)重ね合わされたものである。多数のガラス片15は、同一寸法(同じ形状で同じ大きさ)であり、互いにずれることなく重ね合わされている。ガラス積層体11の形状は、矩形平板状(扁平な直方体)である(
図3(d)参照)。ガラス積層体11では、その厚み方向に対して垂直な方向に、多数のガラス片15が直接重ね合わされている。隣り合うガラス片15は、接着剤等の他の部材を介することなく直接対面している。ガラス積層体11の一対の主面(厚さ方向に対向する表裏面)は、多数のガラス片15の側面(長辺側の側面)が面一に並ぶことで、概ね平坦面に形成されている。
【0022】
例えば、ガラス片15の寸法は、短辺(幅)1.5mm、長辺(長さ)300mm、厚さ0.5mmである。ガラス積層体11では、例えば600枚のガラス片15が重ね合わされている。ガラス積層体11は、平面視が約300mm×約300mmの正方形で、厚みが1.5mmの直方体である。なお、ガラス片15及びガラス積層体11の各々の寸法は、本段落に記載した寸法に限定されない。
【0023】
接着層12は、ガラス積層体11の一方の主面上に接する、薄くて透明な層である。接着層12は、ガラス積層体11の一方の主面に塗布されて硬化した接着剤により構成されている。接着層12は、ガラス積層体11の各ガラス片15をカバープレート13に固定している。接着層12は、ガラス積層体11の一方の主面を略全面に亘って被覆している。
【0024】
カバープレート13は、矩形平板状の薄くて透明なガラスである。例えば、カバープレート13の厚さは、ガラス片15の厚さと同程度であり、ガラス積層体11に比べて薄い。平面視において、カバープレート13は、例えば、ガラス積層体11の主面と略同じ大きさであり、該主面の全面を覆うように接着層12におけるガラス積層体11の反対側に接着されている。カバープレート13とガラス積層体11の主面とは、互いに近接する辺同士が略平行になっている。
【0025】
ここで、ガラス積層体11の主面(表裏面)を構成する各ガラス片15の側面は、後述する切断工程で切断された切断面であり、研磨されていない。各ガラス片15の側面には、切断された痕跡として凹凸が残っている。しかし、接着層12が各ガラス片15の側面とカバープレート13とに密着することで、ガラス積層体11における各ガラス片15の側面部分を透明化することができる。本実施の形態によれば、各ガラス片15の一方の側面の研磨を省略できる。
【0026】
また、多数のガラス片15を直接重ね合わせた場合、隣り合うガラス片15の間に微小隙間ができる。そのため、ガラス積層体11では、ガラス片15の側面から斜めに入射した光が、ガラス片15と微小隙間の空気との屈折率の違いにより、ガラス片15の主面(厚さ方向に対向する面)で全反射する。つまり、光制御パネル10では、ガラス積層体11の主面から斜めに入射した光が、帯状反射面として機能する各ガラス片15の主面で全反射する。
【0027】
[2.光学結像装置及び空中映像形成システムについて]
光学結像装置20は、
図1に示すように、2枚の光制御パネル10を備えている。なお、以下において、光学結像装置20に関する説明では、2枚の光制御パネル10を区別するために、光制御パネル10及びその構成部品の参照符号として、数字に「a」又は「b」を付けた参照符号を用いる。
【0028】
光学結像装置20では、2枚の光制御パネル10a,10bが、互いの帯状反射面が略直交し、且つ、互いのガラス積層体11a,11bが向き合うように、ガラス積層体11a,11b同士が接着層16(第2接着層)により貼り合わされている。各光制御パネル10a,10bでは、ガラス積層体11a,11bの各ガラス片15a,15bの側面に、接着層16が密着している。そのため、未研磨の側面部分を透明化することができる。本実施の形態によれば、各ガラス片15の他方の側面の研磨も省略できる。なお、平面視において、光制御パネル10aの帯状反射面と光制御パネル10bの帯状反射面とのなす角度は、例えば90°±2°であればよい。
【0029】
続いて、空中映像形成システム25について説明する。空中映像形成システム25は、
図2に示すように、光学結像装置20、及び、光学結像装置20の背面側に配置された再生装置26を備えている。再生装置26は、電子データに基づいて空中映像用の映像を表示する表示器27を備えている。表示器27は、静止画又は動画の映像を表示可能である。
図2では、表示器27は、光学結像装置20の下方に位置し、光学結像装置20側を向いている。
【0030】
表示器27の点Xからの各光線A,Bは、光制御パネル10aの帯状反射面の点Pと、光制御パネル10bの帯状反射面の点Qとで順次正反射をする。そして、点Qで正反射をした各光線A,Bは、光学結像装置20の上方の点X’に集まる。また、表示器27の点Yからの各光線C,Dは、光制御パネル10aの帯状反射面の点Rと、光制御パネル10bの帯状反射面の点Sとで順次正反射をする。そして、点Sで正反射をした各光線C,Dは、光学結像装置20の上方の点Y’に集まる。そのため、光学結像装置20の前面側の自由空間に、表示器27内の映像を結像させて空中映像を形成することができる。
【0031】
なお、「空中映像」は、「浮遊映像」と言うこともできる。空中映像形成システム25は、表示器27内の映像に応じて、二次元の空中映像を形成したり、三次元の空中映像(立体像)を形成したりすることができる。二次元の空中映像としては、例えば空中タッチパネルを形成できる。三次元の空中映像としては、例えばキャラクタを形成できる。
【0032】
[3.光制御パネルの製造方法について]
光制御パネル10の製造方法は、切断工程、洗浄工程、積層工程、及び、一体化工程を備えている。
図3及び
図4を用いて、光制御パネル10の製造方法について説明する。なお、
図3は、(a)〜(d)の全てが斜視図である。
図4は、(a)及び(c)が斜視図であり、(b)が側面図である。
【0033】
切断工程では、まず、材料板として、矩形平板状の透明板ガラス30(例えば、青板ガラス基板)が平坦な設置面に設置される。透明板ガラス30の上側には、カッター40(例えば、レーザーカッター)が存在している。カッター40としては、高速(例えば、直線部1m/秒)で透明板ガラス30をフルカットできるものを使用する。以下では、
図3(a)に示すように、透明板ガラス30における2組の対辺のうち一方に平行な方向を「第1方向」といい、他方に平行な方向を「第2方向」という。
【0034】
切断工程では、透明板ガラス30が設置面上に固定された状態で、
図3(a)に示すように、カッター40を第1方向に移動させながら、カッター40によって透明板ガラス30を端から端まで切断する。続いて、所定の設定距離(ガラス片15の幅に相当する距離)だけ第2方向にカッター40の位置をシフトさせ、第1方向に透明板ガラス30を端から端まで切断し、再び、設定距離だけ第2方向にカッター40の位置をシフトさせる。カッター40は、「第1方向の切断」と「第2方向のシフト」を交互に繰り返す。カッター40は、往復動をしながら、徐々に第2方向に移動してゆく。カッター40による透明板ガラス30の切断は、第2方向に一定のピッチで行われることになる。その結果、
図3(b)に示すように、透明板ガラス30が、同一幅の複数のガラス片15に分断される。1枚の光制御パネル10の製造には、複数の透明板ガラス30が用いられる。
【0035】
なお、第1方向の切断後に、カッター40の代わりに、第2方向(
図3(a)における左方向)に設定距離だけ透明板ガラス30を移動させてもよい。この移動後に、第1方向の切断を行う。また、第2方向に一定のピッチで並べた複数のカッター40を用いてもよい。この場合、複数のカッター40を一体で移動させながら、一度に複数箇所の切断を行うことができる。
【0036】
続いて、切断により発生したガラス粉末を洗い流す洗浄工程が行われる。洗浄工程では、切断工程で得られた各ガラス片15の表面を洗浄液で洗い流し、各ガラス片15に付着するガラス粉末を除去する。洗浄後に各ガラス片15は、熱乾燥させる。
【0037】
続いて、多数の細長い平板状のガラス片15を直接重ね合わせることにより、ガラス積層体11を作製する積層工程が行われる。積層工程では、
図3(c)に示すように、元の透明板ガラス30の表裏面が積層面となり、且つ、各ガラス片15の側面(切断面)が上下面となるように、ガラス片15が立てられる。そして、ガラス片15の長手方向の端を揃えて、ガラス片15を重ね合わせてゆくことで、矩形平板状のガラス積層体11(
図3(d)参照)が作製される。最後のガラス片15は、ガラス積層体11の内側に押し付ける。
【0038】
例えば、互いに直交する2つの壁面41a,41bを少なくとも有する型部材41を用いることができる。この場合、壁面41aに向かって、1枚ずつガラス片15を壁面41bに端面を接触させながら移動させて、1枚ずつガラス片15を重ね合わせてゆく。最後のガラス片15は、押し付け治具で壁面41a側に押し付けられる。
【0039】
ここで、多数のガラス片15を立てる方法としては、小さなギザギザのある仮置き場所を用いることができる。この場合、多数のガラス片15が重なり合うように仮置き場所に置き、斜めになった状態の多数のガラス片15を横方向に押して立てる。
【0040】
また、ロボットアームを用いることができる。この場合、ロボットアームは、設置面上のガラス片15を吸着して持ち上げる。そして、持ち上げたガラス片15を90°回転させて、ガラス片15を平坦面上に立てる。
【0041】
続いて、ガラス積層体11における多数のガラス片15を一体化する一体化工程が行われる。一体化工程では、まず、平坦面に設置されたガラス積層体11の上面の略全面に、紫外線硬化型透明接着剤(以下、「UV接着剤」という。)を塗布する工程が行われる。次に、塗布されたUV接着剤をガラス積層体11と透明なカバープレート13との間に挟むように、ガラス積層体11の上面にカバープレート13を重ねる工程が行われる(
図4(a)参照)。カバープレート13は、ガラス積層体11の上面の全面を覆うように重ねられ、ガラス積層体11に軽く押し付けられる。なお、UV接着剤は、カバープレート13の下面に塗布してもよい。
【0042】
そして、ガラス積層体11とカバープレート13との間の接着剤を硬化させて接着層12を形成する工程が行われる。この工程では、
図4(b)に示すように、カバープレート13の上方の照射装置42から、カバープレート13に向けて紫外線が照射される。紫外線は、カバープレート13を透過しUV接着剤に到達する。これにより、UV接着剤が硬化して接着層12が形成される。各ガラス片15はカバープレート13に固定され、多数のガラス片15は一体化される。なお、接着層12の形成には、UV接着剤以外の接着剤(例えば、熱硬化型接着剤)を用いてもよい。
【0043】
以上の工程により、光制御パネル10が完成する。なお、光制御パネル10の製造の過程で、各ガラス片15の側面に対し研磨は行わない。
【0044】
なお、ガラス積層体11の主面に塗布する接着剤の流動性によっては、隣り合うガラス片15の微小隙間に、硬化前の接着剤が流入することがあり得る。そのため、微小隙間に接着剤が流入しないように、ゲル状の接着剤、又は、粘性が高い接着剤(樹脂の分子量が大きい接着剤)を用いてもよい。接着剤の流入を阻止できた場合、ガラス積層体11では、隣り合うガラス片15の全面が直接対面する。但し、ガラス積層体11における厚さ方向の接着層12側で、隣り合うガラス片15の間に接着剤が侵入したとしても、帯状反射面の幅が確保されていれば光制御パネル10は適切に機能する。この場合、例えば、ガラス積層体11の厚さの半分以上の範囲に微小隙間が形成されるように、接着層12側の途中で、接着剤の侵入が止まっていることが望ましい。
【0045】
続いて、光学結像装置20の製造方法について説明する。この製造方法は、2枚の光制御パネル10a,10bを貼り合わせる貼合工程を備えている。
【0046】
貼合工程では、
図4(c)に示すように、互いのガラス片15a,15bの長手方向が略直交するように、2枚の光制御パネル10a,10bのガラス積層体11側を向い合わせる。この状態の時又は直前に、少なくとも一方の光制御パネル10a,10bのガラス積層体11a,11bの主面の略全面に、透明な接着剤が塗布される。そして、この状態から、各光制御パネル10a,10bの向きを変えずに、2枚の光制御パネル10a,10bを重ね合わせる。接着剤が硬化することで接着層16が形成され、2枚の光制御パネル10が貼り合わされる。これにより、
図1に示す光学結像装置20が完成する。なお、
図4(c)では接着層12a,12bの記載は省略している。
【0047】
[4.実施の形態の効果等]
本実施の形態では、従来とは異なり、積層工程において、多数のガラス片15を直接重ね合わせている。積層工程において、隣り合うガラス片15の間に接着剤を設けない。その代わりに、ガラス積層体11の主面に順次積層された接着層12及びカバープレート13により、多数のガラス片15を一体化している。従って、ガラス積層体11の主面に接着剤を用いるものの、従来は多量の接着剤を用いていた隣り合うガラス片15の間で接着剤を減らすことができるため、光制御パネル10の製造コストを低下させることができる。
【0048】
また、本実施の形態では、ガラス片15としては、両面に金属反射膜(ミラー)を有しない透明なガラス片を用いている。そのため、従来に使用されていた多数の金属反射層(ミラーシートや金属蒸着膜)を使用しないため、光制御パネル10の製造コストをさらに低下させることができる。
【0049】
また、本実施の形態では、従来のように複数の光制御パネルが切り出されるブロック体を作製せずに、多数のガラス片15から、1枚の光制御パネル10に用いるガラス積層体11を作製している。ガラス積層体11は、ブロック体に比べて軽い。そのため、従来はブロック体の重量の制約から光制御パネルを大型化することが困難であったが、本発明では重量の制約が緩和されるため、光制御パネル10を大型化することができる。
【0050】
また、本実施の形態では、上述したように各ガラス片15の側面の研磨を省略することができるため、光制御パネル10の製造コストをさらに低下させることができる。
【0051】
[5.変形例について]
上述の実施の形態では、平面視において光学結像装置20は矩形であるが、国際公開第2013/145983号に記載された光学結像装置と同様に台形であってもよいし、他の多角形であってもよい。
【0052】
また、上述の実施の形態では、ガラス片15として、両面に金属反射膜を有しない透明なガラス片を用いたが、片面に金属反射膜を有するガラス片を用いてもよい。この場合、切断工程の前に、透明板ガラス30の片面に金属蒸着などにより金属反射膜を形成し、切断工程で、金属反射膜が形成された透明板ガラス30が複数のガラス片15に分断される。そして、積層工程では、金属反射膜が同じ側を向くように多数のガラス片15が直接重ね合わされる。なお、両面に金属反射膜を有するガラス片15を用いてもよい。
【0053】
また、上述の実施の形態では、各ガラス片15の側面に対し研磨を行わなかったが、各ガラス片15の長辺側の側面に対して研磨を行ってもよい。この場合、接着層12及びカバープレート13を設けずに、別の手段によって多数のガラス片15を一体化してもよい。例えば、接合相手の光制御パネル10b及び接着層16が、光制御パネル10aの多数のガラス片15aを一体化する固定部であってもよい。また、ガラス積層体11の側面のうち多数のガラス片15が並ぶ側面に、接着剤によってプレートを貼り合わせて、多数のガラス片15を一体化してもよい。
【0054】
また、上述の実施の形態において、国際公開第2014/024677号に記載の光学結像装置のように、光制御パネル10の厚さ方向に平行な面に対して帯状反射面が傾斜していてもよい。この場合、断面視が平行四辺形のガラス片15が、重ね合わされる。
【0055】
また、上述の実施の形態において、特許第5646110号に記載の光学結像装置のように、各光制御パネル10が、互いに重ね合わされた複数のガラス積層体11を備えていてもよい。複数のガラス積層体11では、ガラス片15が並ぶ方向に、帯状反射面の位置が互いにずれている。
【0056】
また、上述の実施の形態では、切断工程後に積層工程を行ったが、積層工程後に切断工程を行ってもよい。具体的に、変形例に係る光制御パネル10の製造方法では、積層工程を行い、多数の透明板ガラス30を直接重ね合わせた直方体状の積層体31(
図5参照)を作製する。次に、接着工程を行い、積層体31の主面上に接着剤を塗布した後にカバープレート13を重ね、接着剤を硬化させて接着層12を形成し、多数の透明板ガラス30の側面をカバープレート30に接着する。次に、多数の透明板ガラス30を拘束した状態で切断工程を行う。切断工程では、
図5に示す切断位置で、多数の透明板ガラス30を積層方向に切断する。これにより、光制御パネル10が作製される。さらに、残りの積層体31に対し、接着工程と切断工程を交互に行うことで、複数の光制御パネル10が作製される。なお、切断工程を行った後に接着工程を行ってもよい。本発明に係る光制御パネルは、この段落に記載した製造方法で製造した光制御パネル10を含む。