特許第6165247号(P6165247)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6165247電池を充電する方法及びこの方法によって充電される電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6165247
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】電池を充電する方法及びこの方法によって充電される電池
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20170710BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
   H02J7/02 H
   H01M10/48 P
【請求項の数】15
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-520905(P2015-520905)
(86)(22)【出願日】2013年7月2日
(65)【公表番号】特表2015-527035(P2015-527035A)
(43)【公表日】2015年9月10日
(86)【国際出願番号】EP2013063975
(87)【国際公開番号】WO2014009211
(87)【国際公開日】20140116
【審査請求日】2016年3月15日
(31)【優先権主張番号】1256625
(32)【優先日】2012年7月10日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】513197921
【氏名又は名称】ブルー ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジェスティン、ジャン−ジャック
(72)【発明者】
【氏名】ヒンガン、ドミニク
【審査官】 高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−508685(JP,A)
【文献】 特開2013−070600(JP,A)
【文献】 米国特許第09013147(US,B2)
【文献】 特開2008−154317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00−3/12,
B60L7/00−13/00,
B60L15/00−15/42,
H01M10/42−10/48,
H02J7/00−7/12,
H02J7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の再充電可能なセル(j)と、
前記セルを充電するための、且つ、充電器に対して接続可能である、充電子と
それぞれの前記セル(j)と関連付けられたバイパス回路(CPC)と、
前記バイパス回路(CPCに対する前記セル(j)の接続及び切断を許容するスイッチング要素と
前記スイッチング要素(SW)を制御する制御手段と
を有する電池を充電する方法であって、
2以上であり、前記電池のi番目の充電を実行するために、
前記充電器に対する前記充電端子の接続検出
前記充電器に対する前記充電端子の接検出されると、第1フェーズにおいて、前記セル(j)の各々と関連付けられたそれぞれの第1先取りバイパス時間(TPjiの間、前記バイパス回路(CPCに前記セル(j)を接続し
−次いで、それぞれの前記セル(j)ごとに、前記第1先取りバイパス時間(TPji)が経過すると、第2フェーズ(Cji)において、前記バイパス回路(CPC)は、前記セル(j)の電圧(Vji)が、前記セル(j)について規定されると共に非ゼロである予め設定された電圧(VLIM)に到達する時点まで、前記セル(j)から切断され、
前記i番目の充電用の前記セル(j)とそれぞれ関連付けられた前記第1先取りバイパス時間(TPji、前記セルのすべてが前記予め設定された電圧(VLIM)に到達する時点まで1番目から(i−1)番目の少なくとも1回の充電における前記セル(j)に対する前記バイパス回路(CPCの合計接続時間の関数として、算出され、
−前記i番目の充電における前記第1先取りバイパス時間(TPji)及び/又は、
前記1番目から(i−1)番目の少なくとも1回の充電における前記セル(j)に対する前記バイパス回路(CPC)の前記合計接続時間、
を決定するために用いられる前記セル(j)と関連付けられた少なくとも1つの期間が、前記1番目から(i−1)番目の少なくとも1回の充電において前記電池のメモリ内に記憶されている、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記セル(j)の少なくとも1つについて、前記第2のフェーズの末尾において、前記バイパス回路(CPC)は、前記セル(j)の前記電圧(Vji)が、少なくとも前記セル(j)の前記電圧(Vji)のすべてが前記予め設定された電圧(VLIM)に到達する時点まで、第充電維持フェーズ(Mji)において閾値充電電圧(VLIM)を超過しないように、前記セル(j)に接続されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第3充電維持フェーズにおいて前記セル(j)に対する前記バイパス回路(CPC)の第3接続時間(Mji計測
前記i番目の充電時における前記セル(j)と関連付けられた前記第1先取りバイパス時間(TPji)は、前記1番目から(i−1)番目の少なくとも1回の充電の前記第1フェーズにおける前記セル(j)に対する前記バイパス回路(CPC)の前記第1先取りバイパス時間(TPji−1)及び前記1番目から(i−1)番目の少なくとも1回の充電の前記第3充電維持フェーズにおける前記セル(j)に対する前記バイパス回路(CPC)の前記第3接続時間(Mji−1)を少なくとも考慮していることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
それぞれの前記セル(j)は、前記セル(j)の前記電圧(Vji)を計測するために計測要素(MES)と関連付けられると共に、前記第3充電維持フェーズ(Mji)の前記第3接続時間(Mji)を計数するためカウンタ(CT)と関連付けられており、前記計測要素(MES)は、前記セル(j)の前記電圧(Vji)を前記予め設定された電圧(VLIM)と比較可能であると共に、前記セル(j)の前記電圧(Vji)が前記予め設定された電圧(VLIM)に到達した際に前記第3接続時間(Mji)の前記カウンタ(CT)による計数をトリガ可能であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記カウンタ(CT)は、前記第3接続時間(Mji)の末尾において、前記セルのすべてが前記予め設定された電圧(VLIM)に到達した瞬間を計数するように制御されている請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記i番目の充電時におけるセル(j)と個々に関連付けられた前記第1先取りバイパス時間(TPji)は、前記セルのすべてが前記予め設定された電圧(VLIM)に到達する時点までの、このセル(j)に対する前記バイパス回路(CPC)の、i−1番目の充電における、前記合計接続時間の関数として、算出されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記i番目の充電用の前記第1先取りバイパス時間(TPji)及び/又は、
−前記i−1番目の充電におけるこのセル(j)に対する前記バイパス回路(CPC)の前記合計接続時間、
を決定するために用いられる前記セル(j)と関連付けられた少なくとも1つの期間が、前記i−1番目の充電において前記電池のメモリ内に記憶されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記1番目から(i−1)番目の少なくとも1回の充電において、記憶される前記セル(j)と関連付けられた前記期間は、少なくとも、前記i番目の充電時における前記セル(j)と個々に関連付けられた前記第1先取りバイパス時間(TPji)であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記1番目から(i−1)番目の少なくとも1回の充電において、記憶される前記セル(j)と関連付けられた前記期間は、少なくとも、この1番目から(i−1)番目の少なくとも1回の充電における前記セル(j)に対する前記バイパス回路(CPC)の前記合計接続時間であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記i番目の充電用の前記セルと個々に関連付けられた前記第1先取りバイパス時間TPjiは、
TPji=TPji−1+ji−1−minj(TPji−1+ji−1)
として算出され、
この場合に、min(TPji−1+Mji−1)は、前記セル上におけるTPji−1+Mji−1の最小値を表しており、前記Mji−1は前記(i−1)番目の充電における前記セル(j)にそれぞれ関連する前記第3接続時間であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記i番目の充電用の前記セルと個々に関連付けられた前記第1先取りバイパス時間TPjiは、
TPji=a.(TPji−1+Mji−1)−b.min(TPji−1+Mji−1
として算出され、
この場合に、min(TPji−1+Mji−1)は、前記セル(j)上におけるTPji−1+Mji−1の最小値を表し、且つ、a、bは、処方された非ゼロの係数であり、前記Mji−1は前記(i−1)番目の充電における前記セル(j)にそれぞれ関連する前記第3接続時間であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
記a及び前記bは、前記充電器に対するその接続が検出された際に前記電池の充電レベルの関数として判定される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記電池のそれぞれの前記セル(j)の初回充電時において、
前記充電器に対する前記充電端子の前記接続が検出され、
前記充電器に対する前記充電端子の前記接続検出されると前記2フェーズ(Cj1)において、前記セル(j)の個々の電圧(Vj1)が前記予め設定された電圧(VLIM)に到達する時点まで、前記セル(j)を充電するために、前記バイパス回路(CPCj)から前記セル(j)を切断し、
次いで、前記セル(j)の少なくとも1つについて、前記第2フェーズ(Cj1)の末尾において、前記バイパス回路(CPC)は、前記セル(j)の電圧(Vj1)のすべてが前記予め設定された電圧(VLIM)に到達する時点まで、前記セル(j)の電圧(Vj1)が、前記第3充電維持フェーズ(Mj1)において前記閾値充電電圧(VLIM)を超過しないように、前記セル(j)に対して接続され
前記セル(j)と個々に関連付けられると共に少なくとも2番目の充電について有効である前記第1先取りバイパス時間(TPj2)は、前記初回充電の前記第3充電維持フェーズ(Mj1)における前記セル(j)に対する前記バイパス回路(CPC)の前記第3接続時間(Mj1)に対応している、
ことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記予め設定された電圧(VLIM)は、前記セル(j)について規定されると共に非ゼロである閾値充電電圧以下の電圧であることを特徴とする請求項乃至のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
複数の再充電可能なセル(j)と、
前記セルを充電するための、且つ、充電器に接続可能である、充電子と
それぞれの前記セル(j)と関連付けられたバイパス回路(CPC)と、
それぞれの前記セル(j)がその関連付けられた前記バイパス回路(CPC)との間において接続及び切断されることを許容するスイッチング要素(SW)と、
前記スイッチング要素(SW)を制御する制御手段と
それぞれの前記セル(j)の電圧(Vji)を計測する手段と、
を有する電池であって、
前記制御手段は1番目から(i−1)番目の少なくとも1回の充電時において、前記セルのすべてが予め設定された電圧(VLIM)に到達する時点まで、i≧2であるi番目の充電における前記セル(j)とそれぞれ関連付けられた第1先取りバイパス時間(TPji)を、前記セル(j)に対する前記バイパス回路(CPC)の合計接続時間の関数として演算する手段を有し、
前記電池は、前記セル(j)と関連付けられた少なくとも1つの期間を記憶、且つ、
−前記i番目の充電における前記第1先取りバイパス時間(TPji)及び/又は、
−この1番目から(i−1)番目の少なくとも1回の充電におけるこのセルに対する前記バイパス回路(CPC)の前記合計接続時間
の判定を可能とする少なくとも1つのメモリを有し
前記電池は、前記充電器に対する前記充電端子の接続を検出するための検出器を有し、
前記制御手段は、前記電池の前記i番目の充電について、前記充電端子が前記充電器に接続されたことを前記検出器が検出したという事実に応答して、前記バイパス回路(CPC前記複数のセル接続されたことをトリガし、且つ、前記電池の前記i番目の充電時に前記セル(j)とそれぞれ関連付けられた前記第1先取りバイパス時間(TPjiの間、前記バイパス回路(CPCに前記セル(j)の各々の接続を維持するように、設計されており、
前記制御手段は、前記第1先取りバイパス時間(TPji)の末尾において、前記セル(j)の電圧(Vji)が、前記セル(j)について規定されると共に非ゼロである前記予め設定された電圧(VLIM)に到達する時点まで、前記電池の前記i番目の充電用の第2フェーズ(Cji)においてそれぞれのセル(j)から前記関連付けられたバイパス回路(CPCを切断するように設計されている、
ことを特徴とする電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池と、電池の充電方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の用途の一分野は、例えば、電気自動車の駆動ラインに電力供給するためのエネルギー源として使用されるものなどの電池に関する。このタイプの電気自動車搭載型電池は、例えば、リチウム−金属−ポリマー技術のセルを収容している。
【0003】
電池は、例えば、固定された機器に電力供給するためのその他の用途を有してもよく、且つ、例えば、リチウム−イオン技術などの別の技術を使用したセルを有してもよいことが明らかである。
【0004】
これらの電池は、一般に、直列に接続された複数の基本セルから形成されており、これらの複数の基本セルは、適合された充電器に対して接続することによって充電することができる。
【0005】
セルのそれぞれは、その独自の固有の特性を有し、これらの特性は、その他のセルの特性とは異なる場合がある。
【0006】
但し、電池の充電は、単一の電源を、即ち、充電器を、使用して実行される。
【0007】
一般に、既知の方法においては、すべてのその他のセルがその最大充電レベルに到達していない限り、既にフル充電済みのいくつかのセルの充電が継続される。
【0008】
しかし、電池を充電する際に、その最大レベルに既に到達済みのセルに対して電力供給を継続すれば、その特性を劣化させる可能性があり、且つ、具体的には、その経年劣化を加速させる場合がある。
【0009】
米国特許出願公開第2002/0094623号明細書は、複数の再充電可能なセルと、充電器に対して接続可能なセルの充電端子と、それぞれのセルと関連付けられたバイパス回路と、その関連付けられたバイパス回路との間のそれぞれのセルの接続及び接続切断を許容するスイッチング要素と、スイッチング要素を制御する手段と、を有する電池を充電する方法について記述しており、
一方法においては、電池セルを充電するために、セルの充電端子が充電器に接続され、且つ、スイッチング要素を介して、それぞれのセルが、既定の時間長にわたってその関連付けられたバイパス回路に接続される。
【0010】
更に詳しくは、米国特許出願公開第2002/0094623号明細書による充電方法は、所与の初期化電圧に到達する時点までそれぞれのセルを充電するためのステップと、既定の時間長にわたる回路によるセルの迂回を伴う初期化ステップと、フル充電電圧に到達する時点までの通常充電のステップと、定電圧充電による緩和ステップと、を連続的に提供している。
【0011】
この既知の方法の欠点のうちの1つは、それぞれのセルがその他のセルとは異なる方式によって進捗を継続するという点にある。
【0012】
別の欠点は、迂回を伴う初期化ステップにおいて無視不能な電流が流れるという点にある。
【0013】
更なる欠点は、充電が既にほぼ始まり、これにより、(3Vのフル充電電圧の場合に)2.2Vの初期化電圧に到達したら、迂回を伴う初期化ステップが実行されるという点にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、従来技術の欠点を克服すると共に電池が充電されている際にそれぞれの異なるセルの駆動を許容する電池及び電池を充電する方法を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的のために、本発明の第1の主題は、電池を充電する方法であり、電池が、複数の再充電可能なセルと、セルを充電するための、且つ、充電器に接続可能な、端子と、それぞれのセルと関連付けられたバイパス回路と、その関連付けられたバイパス回路との間におけるそれぞれのセルの接続及び接続切断を許容するスイッチング要素と、スイッチング要素を制御する制御手段と、を有する、方法において、
iが2以上である電池のi番目の充電を実行するために、
充電器に対する充電端子の接続が検出され、
充電器に対する充電端子の接続の検出により、第1フェーズにおいて、セルとそれぞれ関連付けられた個々の第1先取りバイパス時間にわたってその関連付けられたバイパス回路に対するセルの接続をトリガし、
− 次に、それぞれのセルごとに、第1時間が経過したら、第2の関連付けられたフェーズにおいて、セルの電圧が、セルのために規定されると共に非ゼロである予め設定された電圧に到達する時点まで、関連付けられたバイパス回路がセルから接続切断され、
i番目の充電についてセルとそれぞれ関連付けられた第1先取りバイパス時間は、すべてのセルが予め設定された電圧に到達する時点まで、このセルに対する関連付けられたバイパス回路の、少なくとも1回の以前の充電における、合計接続時間の関数として、算出されたものであり、
セルと関連付けられた少なくとも1つの期間は、
− i番目の充電用の第1先取りバイパス時間及び/又は
− この少なくとも1回の以前の充電におけるこのセルに対する関連付けられたバイパス回路の前記合計接続時間、
の判定を許容し、
この少なくとも1回の以前の充電において電池のメモリ内に記憶されたものである、
ことを特徴とする方法である。
【0016】
第1フェーズは、少なくとも1つのセルについてゼロの時間長を有してもよいことに留意されたい。又、1つ又は複数の記憶される期間は、例えば、第1先取りバイパス時間又はこのセルに対するバイパス回路の合計接続期間を有してもよい。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、セルの少なくとも1つについて、第2フェーズの末尾において、セルの電圧が、少なくともセルの電圧のすべてが予め設定された電圧に到達する時点まで、関連付けられ充電維持第3フェーズにおいて、閾値充電電圧を超過しないように、関連付けられたバイパス回路がセルに対して接続される。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、第3フェーズにおいてセルに対して関連付けられたバイパス回路の第3接続期間(Mji)が計測され、
i番目の充電用のセルと関連付けられた第1既定先取りバイパス時間は、少なくとも1回の以前の充電の第1フェーズにおけるセルに対する関連付けられたバイパス回路の第1接続時間と、前記少なくとも1回の以前の充電の第3フェーズにおけるセルに対して関連付けられたバイパス回路の第3接続時間と、を少なくとも考慮している。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、それぞれのセルは、セル電圧計測要素と関連付けられ、且つ、第3バイパスフェーズの第3バイパス時間のカウンタと関連付けられており、計測要素は、セルの計測電圧を予め設定された電圧と比較する能力を有し、且つ、セル電圧が予め設定された電圧に到達した際に第3バイパス時間のカウンタによる係数をトリガする能力を有する。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、カウンタは、第3バイパス時間の末尾において、すべてのセルが予め設定された電圧に到達した瞬間を計数するように、制御されている。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、i番目の充電についてセルとそれぞれ関連付けられた第1先取りバイパス時間は、すべてのセルが予め設定された電圧に到達する時点までのこのセルに対する関連付けられたバイパス回路の、i−1番目の充電における、合計接続時間の関数として算出される。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、セルと関連付けられた前記少なくとも1つの期間は、
− i番目の充電用の第1先取りバイパス時間及び/又は、
− i−1番目の充電におけるこのセルに対する関連付けられたバイパス回路の前記合計接続時間、
の判定を許容し、
i−1番目の充電において電池のメモリ(21)内に記憶されたものである。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、前記少なくとも1回の以前の充電において、記憶されるセルと関連付けられた期間は、少なくとも、i番目の充電についてセルとそれぞれ関連付けられた第1先取りバイパス時間である。i番目の充電用の第1先取りバイパス時間は、例えば、i−1番目の充電において電池のメモリ内に記憶されたものである。従って、この期間は、i−1番目の充電において算出されたものである。
【0024】
i−1番目の充電の合計バイパス接続時間又はこの合計時間(例えば、それぞれのセル(j)ごとの第2フェーズの持続時間と関連付けられた電池の合計充電時間)の判定を許容する期間などのその他のパラメータは、この充電において記憶されていてもよい。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、前記少なくとも1回の以前の充電において、記憶されるセルと関連付けられた期間は、少なくとも、この少なくとも1回の以前の充電におけるこのセルに対する関連付けられたバイパス回路の前記合計接続時間である。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、i番目の充電についてセルjとそれぞれ関連付けられた第1先取りバイパス時間TPjiは、以下のように算出され、
TPji=TPji−1+Mji−1−min(TPji−1+Mji−1
ここで、min(TPji−1+Mji−1)は、セルj上におけるTPji−1+Mji−1の最小値を表している。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、i番目の充電についてセルjとそれぞれ関連付けられた第1先取りバイパス時間TPjiは、以下のように算出され、
TPji=a.(TPji−1+Mji−1)−b.min(TPji−1+Mji−1
ここで、min(TPji−1+Mji−1)は、セルj上におけるTPji−1+Mji−1の最小値を表し、且つ、a、bは、規定された非ゼロの係数である。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、係数a及びbは、充電器に対する電池の接続が検出された際の電池の充電レベルの関数として判定される。
【0029】
一実施形態においては、a及びbは、充電器に対するその接続が検出された際の電池の充電レベルに関係している。これらの係数は、具体的には、(1−NCR)に比例することが可能であり、ここで、NCRは、電池内に残っている充電レベルである。又、係数a及びbは、等しくてもよい。
【0030】
一実施形態によれば、電池のそれぞれのセルの1回目の充電について、
充電器に対する充電端子の接続が検出され、
充電器に対する充電端子の接続の検出により、第2の関連付けられたフェーズにおいて、セルの個々の電圧が予め設定された電圧に到達する時点までセルを充電するためにその関連付けられたバイパス回路からのそれぞれのセルの接続切断をトリガし、
次いで、セルの少なくとも1つについて、第2の関連付けられたフェーズの末尾において、セルの電圧が、セルの電圧のすべてが予め設定された電圧に到達する時点まで、第3の関連付けられた充電維持フェーズにおいて、閾値充電電圧を超過しないように、関連付けられたバイパス回路がセルに接続され、
セルとそれぞれ関連付けられると共に少なくとも2回目の充電について有効である第1の先取りバイパス時間は、1回目の充電の第3フェーズにおけるセルに対する関連付けられたバイパス回路の第3接続時間に対応している。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、前記予め設定された電圧は、セル用に規定されると共に非ゼロである閾値充電電圧以下の電圧である。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、セルは、薄膜組立体によって形成されている。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、セルは、20℃超の公称動作温度を有する。
【0034】
本発明の更なる主題は、複数の再充電可能なセルと、セルを充電するための、且つ、充電器に接続可能な、端子と、それぞれのセルと関連付けられたバイパス回路と、それぞれのセルがその関連付けられたバイパス回路との間において接続及び接続切断されることを許容するスイッチング要素と、スイッチング要素を制御するための制御手段と、それぞれのセルの電圧を計測する手段と、を有する電池において、
制御手段は、i≧2であるi番目の充電についてセルとそれぞれ関連付けられた第1先取りバイパス時間を、すべてのセルが予め設定された電圧に到達する時点までのこのセルに対する関連付けられたバイパス回路の、少なくとも1回の以前の充電における、合計接続時間の関数として、演算する手段を有し、
電池は、セルと関連付けられた少なくとも1つの期間を記憶するための少なくとも1つのメモリを有し、且つ、
− i番目の充電用の第1先取りバイパス時間及び/又は、
− この少なくとも1回の以前の充電におけるこのセルに対するバイパス回路の前記合計接続時間、
の判定を許容し、
電池は、充電器に対する充電端子の接続を検出する検出器を有し、
制御手段は、電池のi番目の充電について、充電端子が充電器に接続されたことを検出器が検出したという事実に応答して、その関連付けられたバイパス回路に対する複数のセルの接続をトリガし、且つ、電池のi番目の充電についてセルとそれぞれ関連付けられた第1先取りバイパス時間においてその関連付けられたバイパス回路に対するそれぞれのセルの接続を維持するように、設計されており、
制御手段は、第1先取りバイパス時間の末尾において、セルの電圧が、セル(j)について規定されると共に非ゼロである予め設定された電圧に到達する時点まで、電池のi番目の充電について第2の関連付けられたフェーズにおいてそれぞれのセルから関連付けられたバイパス回路を接続切断するように設計されている、
ことを特徴とする電池である。
【0035】
本発明は、非限定的な例としてのみ添付図面を参照して付与される以下の説明を参照することにより、更に十分に理解することができよう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明による電池の一実施形態を概略的に示す。
図2】本発明の充電方法のフローチャートの一例を概略的に示す。
図3】電池の1回目の充電において本発明の充電方法を実装する際の電池の異なるセルの異なる動作フェーズのタイミングチャートを概略的に示す。
図4】電池の2回目の充電について本発明の充電方法を実装する際の電池の異なるセルの異なる動作フェーズのタイミングチャートを概略的に示す。
図5】電池のi−1番目の充電について本発明の充電方法を実装する際の電池の異なるセルの異なる動作フェーズのタイミングチャートを概略的に示す。
図6】電池のi番目の充電について本発明の充電方法を実装する際の電池の異なるセルの異なる動作フェーズのタイミングチャートを概略的に示す。
図7】1回目の充電におけるX軸に沿った時間の関数として電池の異なるセルのY軸に沿った電圧曲線を概略的に示す。
図8】i番目の充電におけるX軸に沿った時間の関数として電池のセルのY軸に沿った電圧曲線を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
添付図面においては、電池10は、全体的にセルjによって表されるN個のセル1、...、j、...Nを有し、ここで、Nは、2以上である。
【0038】
以下においては、例えば、セルj、k、l、m、p、q、rについて、以下のようになっている。
1≧j≧N
1≧k≧N
1≧l≧N
1≧m≧N
1≧p≧N
1≧q≧N
1≧r≧N
【0039】
以下、添付図面に示されている実施形態を参照し、本発明について説明するが、この場合に、例えば、セルjは、例えば、リチウム−金属−ポリマーの形態の薄膜の組立体によって形成されている。例えば、これらの薄膜の合計厚さは、300マイクロメートル未満であり、且つ、例えば、約150マイクロメートルであってもよい。セルは、リチウム−金属−ポリマー技術の場合には、例えば、90℃などの20℃超の公称動作温度を有する。
【0040】
以下の説明においては、セルjは、直列状態にある。セルは、例えば、直列状態にあり、且つ、それぞれ、再充電及び放電可能である。セルは、例えば、同一であってもよい。
【0041】
電池10は、その独自のセルjを制御する制御ユニット20を有する。
【0042】
電池10は、セルjを充電するための端子11、12を有する。充電端子11、12は、互いに別個になっている。例えば、セルjを充電するための少なくとも1つの第1充電端子11と、セルjを充電するための第2充電端子12と、が設けられる。すべてのセルjは、例えば、充電端子11、12の間に接続される。セルjは、例えば、充電端子11、12の間に、直列状態で接続される。充電端子11、12は、例えば、外部充電器100などの充電器100に接続することができる。充電器100は、それぞれ充電端子11、12に対する接続のための接続端子101、102と、端子101及び102が電池10の端子11及び12に接続された際に充電電流を送ってセルjを充電するべく端子101及び102の間に接続された充電部材103と、を有する。セルがフル充電されているという事実は、その個々のセル端子の間の電圧が、絶対値において、例えば、絶対値において最大電圧であると共に非ゼロである予め設定された閾値充電電圧に等しいという事実に対応している。セルがフル充電されていない又は部分的にフル放電された状態にあるという事実は、その個々のセル端子の間の電圧が、絶対値において、予め設定された閾値充電電圧を下回るか又はゼロであるという事実に対応している。閾値充電電圧は、セルjについて規定され、且つ、非ゼロである。それぞれのセルの個々の端子は、恐らくは、充電端子11に接続された第1セル1の個々の端子及び充電端子12に接続された最後のセルNの個々の端子を除いて、電池の充電端子11、12とは異なっている。
【0043】
電池は、例えば、セルjをその公称動作温度に加熱するべく、特に、例えば、リチウム−金属−ポリマーの形態の薄膜組立体によって形成されたセルの場合には、例えば、端子11、12によって電流が供給される1つ又は複数のホットプレートの形態の、1つ又は複数の要素を有してもよい。
【0044】
電池10は、それぞれのセルjと関連付けられたバイパス回路CPCも有する。更には、電池10は、それぞれのセルjがその関連付けられたバイパス回路CPCとの間において接続及び接続切断されることを許容するスイッチング要素SWも有する。バイパス回路CPCがその関連付けられたセルjに接続される際には、このバイパス回路CPCは、一例として、セル1及びその関連付けられたバイパス回路CPCについて図1に示されているように、このセルJと並列に接続される。
【0045】
一般に、そのセルjと関連付けられたそれぞれのバイパス回路CPCは、その関連付けられたセルjと電気的に並列の状態にある。換言すれば、それぞれのバイパス回路CPCは、関連付けられたスイッチング要素SWの接続位置において、関連付けられたセルjの個々の端子に接続されている。従って、関連付けられたスイッチング要素SWによるバイパス回路CPCjの接続切断位置においては、充電器100によって充電端子11、12上に送られる充電電流は、その充電又は再充電のためにセルjに送られる。その関連付けられたセルjに対するバイパス回路CPCの接続位置においては、充電器100によって充電端子11、12上に送られる充電電流は、部分的に又は完全に、セルjを迂回し、即ち、端子11、12に到達する充電電流の少なくとも一部分がバイパス回路CPC内に転送される。バイパス回路CPCは、例えば、それぞれのセルjごとに、1つ又は複数の電気抵抗Rを有する。
【0046】
スイッチング要素SWは、例えば、接続位置において閉路されると共に接続切断位置において開路状態にあるスイッチINTを有する。スイッチング要素SWは、例えば、関連付けられたバイパス回路CPCとの間において直列状態に配置され、この場合に、このスイッチング要素SW及びこのバイパス回路CPCを直列状態において有するこの回路は、関連付けられたセルjと並列状態において接続されている。
【0047】
電池10は、その接続位置から接続切断位置への変化の個々の制御のために、スイッチング要素SWを制御するための手段200も有する。それぞれのスイッチング要素SWは、例えば、制御手段20の一部分を形成するユニット20に接続された制御入力Eを有する。制御手段20、200は、例えば、具体的には、スイッチング要素SWを制御するべく、例えば、コンピュータ又は少なくとも1つのマイクロプロセッサが設けられた電気基板から形成されている。
【0048】
従って、制御手段200は、個々のスイッチング要素SWを制御して後述するセルの異なるフェーズを実装する。
【0049】
本発明によれば、1回目の充電の後の後続する電池10のそれぞれの充電について、即ち、iが2以上であるi番目の充電について、それぞれ、セルjについて先取りバイパス時間TPjiを有する第1先取りバイパスフェーズが設けられ、このバイパス時間TPjiは、少なくとも1回の以前の充電におけるこのセルjに対する関連付けられたバイパス回路CPCの合計接続時間の関数として算出されたものであり、バイパス回路CPCのこの合計接続時間は、電池10のすべてのセルjがこの少なくとも1回の以前の充電において予め設定された電圧VLIMに到達するために必要とされる時間である。i番目の充電用のこの第1先取りバイパス時間TPjiは、この少なくとも1回の以前の充電において電池10のメモリ21内にステップMEMにおいて記憶されたものである。
【0050】
一実施形態によれば、判定された電圧VLIMは、閾値充電電圧に等しい。
【0051】
一実施形態によれば、判定された電圧VLIMは、閾値充電電圧以下の電圧であり、例えば、閾値充電電圧の90%以上であると共に閾値充電電圧の100%以下である固定値に等しい。
【0052】
このi番目の充電について、第1先取りバイパス時間は、それぞれのセルjごとに、第2の関連付けられたフェーズCによって後続され、この第2フェーズにおいては、セルjの電圧Vjiが予め設定されたVLIMに到達する時点まで、関連付けられたバイパス回路CPCがセルjから接続切断される。従って、セルjは、端子11、12に接続された充電器100により、この第2フェーズCにおいて充電される。既定の電圧VLIMは、セルjについて規定され、且つ、非ゼロである。
【0053】
以下、例示を目的とした例として付与された図5及び図6を参照し、i番目の充電において発生する異なるフェーズについて更に詳細に説明する。
【0054】
まず、例示を目的とした例として付与された図3を参照し、以下、電池10の1回目の充電において発生するステップについて説明する。
【0055】
「関連付けられた」という用語は、セルjと関連付けられた部分を意味しており、且つ、同一の添え字j又はこの関連付けられたセルと同一のその他の添え字を有する。
【0056】
1回目の充電i=1
1回目の充電においては、例えば、時点tにおいて、充電端子11、12の充電器100に対する接続が検出される。充電端子11、12の充電器100に対する接続の検出により、セルjの個々の電圧Vj1が予め設定された電圧VLIMに到達する時点までセルjを充電するために、その関連付けられたバイパス回路CPCからの、第2の関連付けられたフェーズCj1における、それぞれのセルjの接続切断をトリガする。
【0057】
例えば、それぞれのセルjごとに、セルjの電圧を計測するべく計測要素MESが設けられる。要素MESによって計測されたセルjの電圧Vjiは、制御手段200に送られる。
【0058】
次いで、セルjの少なくとも1つについて、第2の関連付けられたフェーズCj1の末尾において、即ち、このセルjが予め設定された電圧VLIMに到達した際に、すべてのセルj、k、l(並びに、その他のもの)の電圧Vj1、Vk1、Vl1が閾値充電電圧を超過しない時点まで、関連付けられたバイパス回路CPCをセルjに接続することにより、関連付けられた充電維持第3フェーズMj1において予め設定された電圧VLIMにおいてセルjの電圧Vj1を維持する。
【0059】
従って、図3において観察することができるように、セルjについて、1回目の充電(i=1)の際に、且つ、充電器に対する電池の接続が検出されたら即座に、セルjをその関連付けられたバイパス回路CPCから接続切断するための第2フェーズCj1が実装され、これは、第3充電維持時間Mj1だけ継続する充電維持第3フェーズMj1によって後続される。
【0060】
従って、1回目の充電(i=1)の際に、且つ、充電器に対する電池の接続が検出されたら即座に、セルkについて、その関連付けられたバイパス回路CPCからセルkを接続切断するための第2フェーズCk1が実装され、これは、充電維持時間Mk1だけ継続する第3充電維持フェーズMk1によって後続される。
【0061】
1回目の充電(i=1)の際に、且つ、充電器に対する電池の接続が検出されたら即座に、セルlについて、セルlの個々の電圧Vl1が予め設定された電圧VLIMに到達する時点までセルlを充電するべく、その関連付けられたバイパス回路CPCからセルlを接続切断するための第2フェーズCl1が実装される。これは、ゼロの時間長だけ継続する充電維持第3フェーズMl1によって後続され、その理由は、セルlは、例えば、充電に最長の時間を所要し、且つ、従って、その電圧Vl1が予め設定された電圧VLIMに到達するために最長の時間を所要するセルであるからである。これは、結局、セルlは、関連付けられた充電維持フェーズMl1を有しておらず、或いは、ゼロに等しい第3電界時時間Ml1だけ継続する関連付けられた充電維持フェーズMl1を有するということになる。図3において観察することができるように、すべてのセルのうちで最長であるセルlの第2フェーズCl1の終了により、その他のセルj、kの充電維持第3フェーズMj1、Mk1の終了がもたらされる。
【0062】
この1回目の充電i=1におけるステップMEMにおいて、1回目の充電の第3フェーズMj1におけるセルjに対する関連付けられたバイパス回路CPCの第3接続時間Mj1が、即ち、TPj2=Mj1が、セルjとそれぞれ関連付けられた第1先取りバイパス時間TPj2として、電池10のメモリ21内に記憶される。
【0063】
同様に、例えば、セルkなどのその他のセルの場合には、この1回目の充電i=1において、1回目の充電の第3フェーズMk1におけるセルkに対する関連するバイパス回路CPCの第3接続時間Mk1が、即ち、TPk2=Mk1が、セルkとそれぞれ関連付けられた第1先取りバイパス時間TPk2として、電池10のメモリ21内に記憶される。
【0064】
セルlの場合には、記憶される時間TPl2はゼロである。
【0065】
2回目の充電i=2
2回目の充電i=2においては、例えば、時点tにおいて、充電器100に対する充電端子11、12の接続が、図4に例示を目的として示されているように、検出される。
【0066】
充電器100に対する充電端子11、12の接続は、検出されたら、セルj、k、及びmと関連付けられた第1先取りバイパス時間TPj2=Mj1、TPk2=Mk1、TPm2=Mm1にわたるそれぞれその関連付けられたバイパス回路CPC、CPC、CPCに対するセルj、k、mの接続をトリガする。2回目の充電についてセルj、k、mとそれぞれ関連付けられたこれらの第1先取りバイパス時間TPj2、TPk2、TPm2は、これらのセルj、k、mに対する関連付けられたバイパス回路CPC、CPC、CPCの合計接続時間の関数として算出されたものであり、前記合計接続時間は、1回目の以前の充電(i=1)において判定されたものであり、且つ、すべてのセルj、k、mが予め設定された電圧VLIMに到達するために必要とされる時間であった。2回目の充電用のこの第1先取りバイパス時間TPj2、TPk2、TPm2は、ステップMEMにおいて、この1回目の以前の充電において電池10のメモリ21内に記憶されたものである。この同一の内容は、第1の先取りバイパス時間TPl2=0であると共に第2フェーズCl2が2回目の充電i=2の初期開始時間tの直後に実行される少なくとも1つのセルlを除いて、すべてのセルに対して適用される。
【0067】
この後に、それぞれのセルj、k、m、lについて、即ち、すべてのセルについて、第2の関連付けられたフェーズCj2、Ck2、Cm2、Cl2が実行され、この第2フェーズにおいては、セルj、k、m、lの電圧Vj2、Vk2、Vm2、Vl2が、予め設定された電圧VLIMに到達する時点まで、関連付けられたバイパス回路CPC、CPC、CPC、CPCがセルj、k、m、lから接続切断される。この第2フェーズCj2、Ck2、Cm2、Cl2において、対応するセルj、k、l、mは、充電器100によって端子11、12上に送られる充電電流により、最大で予め設定された電圧VLIMまで再充電される。
【0068】
従って、第2の関連付けられたフェーズCj2、Ck2、Cm2、Cl2のすべては、正確に同時に終了することが可能である。これは、理想的なケースである。このケースにおいては、セルのために、第2フェーズの後に第3充電維持フェーズを実行することが不要となろう。但し、実際には、第2フェーズCj2、Ck2、Cm2、Cl2は、同時には終了しない場合があり、即ち、第2フェーズCm2が、その他のセルと比べて、セルmについて最後に終了する場合がある。このケースにおいては、その第2の関連付けられたフェーズCm2が最後に終了する1つ又は複数のセルm以外のセルのすべてについて、それぞれ、セルj、k、lについて、第3充電維持フェーズMj2、Mk2、Ml2が設けられる。これは、結局、セルmの第2フェーズCm2が、Mm2=0である、即ち、ゼロの持続時間を有する第3充電維持時間Mm2だけ継続する、第3の関連付けられたフェーズによって後続されることをもたらす。
【0069】
制御手段20は、電池10を制御する制御ユニット200の一部分である。電池を制御するこの制御ユニット200は、セルjの電圧Vjiを計測する要素MESに加えて、クロックHと、それぞれのセルとそれぞれ関連付けられたカウンタCTと、を有する。
【0070】
一実施形態によれば、それぞれのセルjは、セルjの電圧Vjiを計測するために計測要素MESと関連付けられ、且つ、第3バイパスフェーズMjiの第3バイパス時間Mjiを計数するためにカウンタCTと関連付けられており、計測要素MESは、セルjの計測電圧Vjiを予め設定された電圧VLIMと比較する能力を有し、且つ、セルjの電圧Vjiが予め設定された電圧VLIMに到達した時間を第3バイパス時間Mjiとして計数するように、カウンタCTをトリガする能力を有する。それぞれのカウンタは、計測要素から受け取った信号によってトリガされた瞬間からの、即ち、セルjの電圧Vjiが予め設定された電圧VLIMに到達した時点からの、経過時間を計数する。最後のセルmが第2フェーズCm2においてこの予め設定された電圧VLIMに到達することにより、その他のセルj、k、lのカウンタCT、CT、CTの停止がトリガされ、この結果、前記カウンタは、このようにして計数された第3充電維持期間Mj2、Mk2、Ml2を付与し、これらは、次いで、ステップMEMにおいてメモリ21内に記憶される。
【0071】
同様に、それぞれ、セルk、l、m、p、q、rとの関連において、その個々の電圧Vki、Vli、Vmi、Vpi、Vqi、Vriを計測するための計測部材MES、MES、MES、MES、MES、MESが、個々の関連付けられたセルk、l、m、p、q、rが予め設定された電圧VLIMに到達した以降に経過した時間の個々のカウンタCT、CT、CT、CT、CT、CTが、そして、関連付けられたバイパス回路CPC、CPC、CPC、CPC、CPC、CPC、関連付けられたスイッチング要素SW、SW、SW、SW、SW、SW、関連付けられたスイッチINT、INT、INT、INT、INT、INT、及び関連付けられた制御入力E、E、E、E、E、Eが、設けられる。
【0072】
充電i−1(i≧2)
図5において、i−1番目の充電においては、セルjについて、充電端子11、12の充電器100に対する接続が、時点ti−1において検出されている。充電器100に対する充電端子のこの接続は、検出されたら、セルjと関連付けられた第1先取りバイパス時間TPji−1におけるその関連付けられたバイパス回路CPCに対するセルjの接続をトリガする。次に、セルjと関連付けられた第2フェーズCji−1において、セルjの電圧Vji−1が、セルjの充電のために予め設定された電圧VLIMに到達する時点まで、関連付けられたバイパス回路CPCがセルjから接続切断される。第2フェーズCji−1の末尾において、セルjの電圧Vji−1が、少なくともすべてのセルの電圧が予め設定された電圧VLIMに到達する時点まで、関連付けられた充電維持第3フェーズMji−1において閾値充電電圧を超過しないように、バイパス回路CPCが、関連付けられたセルjに接続される。
【0073】
同様に、それぞれ、セルk、m、及びlについて、第1先取りバイパス時間TPki−1、TPmi−1、TPli−1が、その後に、セルk、m、lを最大で予め設定されたVLIMまで充電するための第2の関連付けられたフェーズCki−1、Cmi−1、Cli−1が、そして、その後に、個々のセルk、m、lに対する関連付けられたバイパス回路CPC、CPC、CPCの第3接続時間Mki−1、Mmi−1、Mli−1を有する第3充電維持フェーズが、設けられる。
【0074】
充電i−1においては、以前に、予め設定されたVLIMに到達するのが最後であったことから、セルqは、第1時間TPqi−1を有し、且つ、従って、充電器100に対する充電端子11、12の接続は、セルqについて、初期時点ti−1において、セルqの電圧Vqi−1が予め設定された電圧VLIMに到達する時点までこのセルqを充電するべく、関連付けられたバイパス回路CPCがセルqから接続切断された際に、関連付けられた第2フェーズCqi−1をトリガするものと仮定される。次いで、この第2フェーズCqi−1の末尾において、関連付けられたバイパス回路CPCをセルqに接続することにより、セルqの電圧Vqi−1を第3の関連付けられた充電維持フェーズMqi−1において予め設定された電圧VLIMにおいて維持する。セルqは、セルj、k、m、及びlとは異なってもよく、或いは、これらのセルj、k、m、lのうちの1つであってもよいことが明らかである。
【0075】
同様に、セルpは、第1先取りバイパス時間TPpi−1を有するが、セルpの電圧Vpi−1が予め設定された電圧VLIMに到達する時点まで関連付けられたバイパス回路CPCがセルpから接続切断される第2の関連付けられたフェーズCpi−1においてこのセルpを充電する際に、最後に予め設定された電圧VLIMに到達するのは、このセルpであると仮定される。この結果、このセルpについては、充電維持第3フェーズMpi−1が存在しておらず、或いは、図5に示されているように、ゼロに等しい第3充電維持時間Mpi−1だけ継続する充電維持第3フェーズが存在している。この結果、その他のセルj、k、l、m、qの第3充電維持フェーズMji−1、Mki−1、Mli−1、Mmi−1、Mqi−1が停止する。次いで、充電器100を充電端子11、12から接続切断することができる。非ゼロの充電維持第3時間Mpi−1だけ継続する充電維持第3フェーズMpi−1を想定可能であることが明らかであり、これは、相応して、その他のセルの充電維持第3フェーズを延長させることになろう。
【0076】
一実施形態においては、例えば、第3充電維持フェーズがこの限度を超えた場合に自動的に停止するように、それぞれの充電維持第3フェーズの限度持続時間が設けられている。
【0077】
一実施形態においては、セルj、k、l、m、p、q、rの電圧Vji−1、Vki−1、Vli−1、Vmi−1、Vpi−1、Vqi−1、Vri−1が、予め設定された電圧VLIMに到達したという事実は、計測電圧をこの予め設定された電圧VLIMと比較する関連付けられた電圧計測部材MES、MES、MES、MES、MES、MES、MESによって検出されている。
【0078】
一実施形態によれば、充電維持第3フェーズMji−1、Mki−1、Mli−1、Mmi−1、Mpi−1、Mqi−1、Mri−1におけるセルj、k、l、m、p、q、rと関連付けられたバイパス回路CPC、CPC、CPC、CPC、CPC、CPC、CPCの第3接続期間Mji−1、Mki−1、Mli−1、Mmi−1、Mpi−1、Mqi−1、Mri−1は、例えば、カウンタCT、CT、CT、CT、CT、CT、CT及びクロックHによって計測されている。
【0079】
充電i(i≧2)
充電iの際に、例えば、時点tにおいて、充電器100に対する充電端子11、12の接続が、図6に示された例示を目的とした例に示されているように、検出される。
【0080】
充電器100に対する充電端子11、12の接続は、検出されたら、セルj、k、l、m、p、rと関連付けられた個々の第1先取りバイパス時間TPji、TPki、TPli、TPmi、TPpi、TPriにわたるその関連付けられたバイパス回路CPC、CPC、CPC、CPC、CPC、CPCに対するセルj、k、l、m、p、rの接続をトリガする。充電iについてセルj、k、l、m、p、rとそれぞれ関連付けられたこれらの第1先取りバイパス時間TPji、TPki、TPli、TPmi、TPpi、TPriは、これらのセルj、k、l、m、p、rに対する関連付けられたバイパス回路CPC、CPC、CPC、CPC、CPC、CPCの合計接続時間の関数として算出されたものであり、前記合計接続時間は、例えば、充電i−1などの少なくとも1回の以前の充電において判定されたものであり、且つ、例えば、以前の充電i−1などのこの少なくとも1回の以前の充電においてすべてのセルj、k、l、m、p、rが予め設定されたVLIMに到達するために必要とされる時間であった。充電i用のこの第1先取りバイパス時間TPji、TPki、TPli、TPmi、TPpi、TPriは、例えば、以前の充電i−1などのこの少なくとも1回の以前の充電において、ステップMEMにおいて電池10のメモリ21内に記憶されたものである。同一の内容は、第1先取りバイパス時間TPqi=0であると共にセルqを最大で予め設定された電圧VLIMに充電するべく充電iの初期開始時間tの直後に第2フェーズCqiが実行される少なくとも1つのセルqを除いて、すべてのセルに適用される。別の実施形態においては、充電i用の第1バイパス時間の計算を許容する、例えば、充電i−1などのこの少なくとも1回の以前の充電における関連付けられたセルj、k、l、m、p、rに対するバイパス回路CPC、CPC、CPC、CPC、CPC、CPCの合計接続時間は、電池のメモリ21内に記憶されたものである。別の実施形態におては、充電i用の第1バイパス時間の計算を許容するi番目の充電用の第1先取りバイパス時間TPji、TPki、TPli、TPmi、TPpi、TPri及び/又は、例えば、充電i−1などのこの少なくとも1回の以前の充電における関連付けられたセルj、k、l、m、p、rに対するバイパス回路CPC、CPC、CPC、CPC、CPC、CPCの前記合計接続時間は、例えば、充電i−1などのこの少なくとも1回の以前の充電において電池のメモリ21内に記憶されたものである。
【0081】
次に、それぞれのセルj、k、l、m、p、q、rごとに、即ち、すべてのセルについて、第2の関連付けられたフェーズCji、Cki、Cli、Cmi、Cpi、Cqi、Criが実行され、この第2フェーズにおいては、セルj、k、l、m、p、q、rの電圧Vji、Vki、Vli、Vmi、Vpi、Vqi、Vriが予め設定された電圧VLIMに到達する時点まで、関連付けられたバイパス回路CPC、CPC、CPC、CPC、CPC、CPC、CPCがセルj、k、l、m、p、q、rから接続切断される。この第2フェーズCji、Cki、Cli、Cmi、Cpi、Cqi、Criにおいて、対応するセルj、k、l、m、p、q、rは、充電器100によって端子11、12上に送られる充電電流により、最大で予め設定されたVLIMまで再充電される。
【0082】
従って、すべての関連付けられた第2フェーズCji、Cki、Cli、Cmi、Cpi、Cqi、Criは、理想的なケースにおいては、正確に同時に終了することが可能である。このケースにおいては、第2フェーズの後に、セルについて充電維持第3フェーズを実行することが不要である。但し、実際には、第2フェーズCji、Cki、Cmi、Cliは、すべてが同時に終了しない場合があり、即ち、第2フェーズCriが、その他のセルj、k、l、m、p、qとの関係において、セルrについて最後に終了する場合がある。このケースにおいては、その第2の関連付けられたフェーズCriが最後に終了する1つ又は複数のセルr以外のすべてのセルについて、それぞれ、セルj、k、l、m、p、qについて、充電維持第3時間Mji、Mki、Mli、Mmi、Mpi、Mqiだけ継続する充電維持第3フェーズが設けられる。これは、結局、Mri=0である、即ち、ゼロである充電維持第3時間Mriだけ継続する第3の関連付けられたフェーズによって後続されるセルrの第2フェーズCriが得られることになる。例示用の実施形態においては、例えば、少なくとも1つのセルrが、そのバイパス回路CPCの接続において、予め設定された電圧VLIMに最後に到達するという事実に起因し、又はこの少なくとも1つのセルrの第3の関連付けられた充電維持フェーズMriがゼロの持続時間を有するという事実に起因し、トリガされた第2フェーズCriの終了により、その他のセルj、k、l、m、p、qの充電維持第3フェーズの第3持続時間Mji、Mki、Mli、Mmi、Mpi、Mqiの終了がトリガされる。次いで、充電器100を充電端子11、12から接続切断することができる。非ゼロの充電維持第3持続時間Mriを有する充電維持第3フェーズMriが設けることができることが明らかであり、これは、相応して、その他のセルの第3フェーズを延長させることになろう。セルrは、セルj、k、m、l、pとは異なってもよく、或いは、これらのセルj、k、m、l、pのうちの1つのであってもよいことが明らかである。
【0083】
一実施形態においては、セルj、k、l、m、p、q、rの電圧Vji、Vki、Vli、Vmi、Vpi、Vqi、Vriが、予め設定された電圧VLIMに到達したという事実が、計測された電圧Vji、Vki、Vli、Vmi、Vpi、Vqi、Vriをこの予め設定された電圧VLIMと比較することにより、関連付けられた電圧計測部材MES、MES、MES、MES、MES、MES、MESによって検出されている。
【0084】
一実施形態によれば、充電維持第3フェーズMji、Mki、Mli、Mmi、Mpi、Mqi、Mriにおけるセルj、k、l、m、p、q、rと関連付けられたバイパス回路CPC、CPC、CPC、CPC、CPC、CPC、CPCの接続の第3持続時間Mji、Mki、Mli、Mmi、Mpi、Mqi、Mriは、例えば、カウンタCT、CT、CT、CT、CT、CT、CT及びクロックHを使用することによって計測されている。
【0085】
一実施形態によれば、i番目の充電用のセルj、k、l、m、p、rと関連付けられた第1既定先取りバイパス時間TPji、TPki、TPli、TPmi、TPpi、TPriは、例えば、充電i−1などの少なくとも1回の以前の充電の第1フェーズにおけるセルj、k、l、m、p、rと関連付けられたバイパス回路CPC、CPC、CPC、CPC、CPC、CPCの第2接続時間TPji−1、TPki−1、TPli−1、TPmi−1、TPpi−1、TPri−1と、例えば、充電i−1などのこの少なくとも1回の以前の充電の充電維持第3フェーズにおけるセルj、k、l、m、p、rと関連付けられたバイパス回路CPCの第3接続時間Mji、Mki、Mli、Mmi、Mpi、Mriと、を考慮している。
【0086】
一実施形態によれば、i番目の充電用のセルj、k、l、m、p、rとそれぞれ関連付けられた第1先取りバイパス時間TPji、TPki、TPli、TPmi、TPpi、TPriは、(i−1)番目の充電において判定されると共にすべてのセルが予め設定された電圧VLIMに到達するために必要とされたこのセルj、k、l、m、p、rに対する関連付けられたバイパス回路CPC、CPC、CPC、CPC、CPC、CPCの少なくとも合計接続時間の関数として算出され、i番目の充電用の第1先取りバイパス時間TPji、TPki、TPli、TPmi、TPpi、TPriは、このi−1番目の充電において電池のメモリ内に記憶されたものである。
【0087】
一実施形態においては、i番目の充電用のセルjとそれぞれ関連付けられた第1先取りバイパス時間TPjiは、以下のように算出され、
TPji=TPji−1+Mji−1−min(TPji−1+Mji−1
ここで、min(TPji−1+Mji−1)は、セルj上におけるTPji−1+Mji−1の最小値を表している。
【0088】
同様に、その他のセルk、l、m、p、q、rの場合にも、それぞれ、以下のとおりである。
TPki=TPki−1+Mki−1−min(TPji−1+Mji−1
TPli=TPli−1+Mli−1−min(TPji−1+Mji−1
TPmi=TPmi−1+Mmi−1−min(TPji−1+Mji−1
TPpi=TPpi−1+Mpi−1−min(TPji−1+Mji−1
TPqi=TPqi−1+Mqi−1−min(TPji−1+Mji−1)=0
TPri=TPri−1+Mri−1−min(TPji−1+Mji−1
【0089】
制御手段200は、i≧2であるi番目の充電用のセルjとそれぞれ関連付けられた第1先取りバイパス時間TPjiを、少なくとも1回の以前の充電において判定されると共にすべてのセルが既定の電圧VLIMに到達するために必要されるこのセルjに対する関連付けられたバイパス回路CPCの合計接続時間の関数として、演算する手段20を有する。
【0090】
電池は、少なくとも、i番目の充電用の第1先取りバイパス時間TPji及び/又はこの少なくとも1回の以前の充電におけるセルjに対するバイパス回路CPCの前記合計接続時間を記憶するためのメモリ21を有する。
【0091】
電池は、充電器100に対する充電端子11、12の接続を検出するための検出器を有する。この目的のために、例えば、充電ソケットの存在が、端子11、12上において検出され、この場合に、この充電ソケットは、電池の端子11、12を充電器100の端子101、102に接続するように意図されていると共に/又は、充電を実行するために閉鎖されなければならないパネルの閉鎖が検出されると共に/又は、充電を実行するために作動しなければならない機械的部材の作動が検出されると共に/又は、電池の通信バスを介した充電器に由来する状態フレームの受取りが検出される。
【0092】
制御手段200は、電池のi番目の充電について、充電端子が充電器に対して接続されたことを検出器が検出したという事実に応答して、その関連付けられたバイパス回路CPCに対する複数のセルの接続をトリガし、且つ、電池のi番目の充電についてセルjとそれぞれ関連付けられた第1先取りバイパス時間TPjiにおいてその関連付けられたバイパス回路CPCjに対するそれぞれのセルjの接続を維持するように、設計されている。
【0093】
制御手段200は、第1先取りバイパス時間TPjiの末尾において、セルjの電圧Vjiが予め設定されたVLIMに到達する時点まで、電池のi番目の充電用の第2の関連付けられたフェーズCjiにおいてそれぞれのセルjと関連付けられたバイパス回路CPCを接続切断するように、設計されている。
【0094】
図5及び図6は、例示を目的とした数値例として、括弧の間に、i−1番目の充電用のこれらの第1及び第3の期間とその合計の数値TP+Mと、セルj、k、l、m、p、q、rのi充電における第1先取りバイパス時間について算出された対応する数値と、を示している。
【0095】
本発明は、予め設定された電圧VLIMに既に到達したセルに対して電気エネルギーを供給しなければならないことを回避し、これにより、その特性の劣化を防止し、且つ、具体的には、そのエージングの加速を防止している。従って、本発明によれば、セルの第2充電フェーズCjiを近接した時点において終了させることが可能であり、或いは、すべてのセルjについて、この第2フェーズCjiの終了時間を実際的に同一にすることが可能である。又、セルjの充電維持第3フェーズの持続時間Mjiも低減され、これによっても、セル特性の劣化が防止されることになる。
【0096】
更には、本発明の方法は、自己適応型である。この方法は、セルの動作の変動に対して、具体的には、セルがその予め設定された電圧VLIMに到達する時点までのセルの充電時間の変動に対して、適合する。従って、数回の充電動作の後に、場合によっては、実際的に2回の充電動作のみの後にさえも、2回目の充電フェーズが実際に同一の時間においてすべてが終了することが可能であり、且つ、従って、非常に短い充電維持第3フェーズを得ることが可能である。
【0097】
又、それぞれの充電が実際にすべてのセルの第1先取りバイパスフェーズによって始まるようにすることにより、セルが最大でその予め設定された電圧VLIMに充電された際にこの迂回を実行することが可能であり、この結果、過大な需要の印加が防止される。
【0098】
セルの充電維持第3フェーズの低減により、充電維持フェーズにおいて一般に発生する充電/放電マイクロサイクルが回避され、且つ、従って、電池10の充電時間を増大させることなしに、セルの経年劣化が制限される。
【0099】
更には、バイパス回路CPCjに送られる電流が、充電の開始の際に発生する第1バイパスフェーズにおいては、相対的に小さいことから、このバイパス回路の接続に起因してジュール効果によって放散される熱が相対的に小さくなる。この結果、バイパス回路によって生成される更なる制御されていない加熱の電池加熱要素に対する追加が回避されることから電池セルの動作の混乱が防止される。従って、電池の充電に使用されるエネルギーが相対的に小さくなる。
【0100】
一実施形態においては、更なる充電及び放電マイクロサイクルを回避するべく、例えば、電池が充電されたと判断されたら、充電器100を電池10の充電端子11、12から接続切断し、これにより、電池10を適合された温度において保持するように意図された加熱要素のみが充電器に接続された状態に留まるようにすることができる。これにより、エネルギー消費量も小さくなる。
【0101】
以上においては、予め設定されたVLIMは、バイパス回路が再度接続される電圧である。この場合に、予め設定された電圧VLIMは、例えば、基本セルjが充電されると考えられる電圧(閾値充電電圧)にも対応しているが、これは、閾値充電電圧と異なってもよいであろう。この予め設定された電圧VLIMは、例えば、セルj用の最大規定充電電圧である。予め設定された電圧VLIMは、例えば、すべてのセルjについて同一であってもよく、或いは、セルごとに異なってもよい。閾値充電電圧は、例えば、すべてのセルjについて同一であってもよく、或いは、セルごとに異なってもよい。
【0102】
一実施形態においては、予め設定された電圧VLIMをパラメータ化することができる。
【0103】
一実施形態においては、閾値充電電圧をパラメータ化することができる。例えば、予め設定された電圧VLIMは、メモリ21内に予め記録される。
【0104】
例えば、閾値充電電圧は、メモリ21内に予め記録される。
【0105】
充電維持第3フェーズMjiが提供されている一実施形態においては、この第3フェーズは、次の充電i+1用の期間TPji+1の補正を許容する。
【0106】
その他の実施形態においては、第1先取りバイパス時間TPjiは、例えば、これらの第1及び第3フェーズの平均時間値を考慮することにより、いくつかの以前の充電動作のいくつかの第1フェーズTP及びいくつかの第3フェーズMを考慮してもよい。
【0107】
方法は、1回目の充電動作において、上述の単一の計測ステップも含んでもよく、その他の充電動作は、この計測ステップ(例えば、第1のもの)において計測されたデータに基づいて実行される。異なるセルに関係した理論値を使用することにより、異なる期間を判定することもできよう。但し、これらの実施形態は、好適な実施形態ではなく、その理由は、これらの実施形態は、その寿命の全体を通じてセルが経験する変化を考慮していないからである。
【0108】
図7において、1回目の充電において、セルは、そのすべてが同一の時点において予め設定された電圧VLIMに到達しておらず、且つ、従って、同一の時点において始まらない充電維持第3フェーズを有していることを観察することが可能であり、その理由は、この図に示されているセルの電圧曲線が重なっていないからである。
【0109】
図8においては、i番目の充電について、電圧曲線は、ほとんど、且つ、図7におけるよりも格段に、重なっており、且つ、セルは、その予め設定された電圧VLIMにほとんど同時に到達し、且つ、従って、ほとんど同時に始まる充電維持第3フェーズを有していることを観察することができる。これは、システムの効能を立証している。
【0110】
別の実施形態においては、i番目の充電についてセルjとそれぞれ関連付けられた第1先取りバイパス時間TPjiは、以下:
TPji= a.(TPji−1+Mji−1)−b.min(TPji−1+Mji−1
のように算出され、ここで、min(TPji−1+Mji−1)は、セルj上における最小のTPji−1+Mji−1を表しており、且つ、a及びbは、規定された非ゼロの係数である。これらの係数は、例えば、充電器に対するその接続時点における電池の充電レベルに関係している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8