(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6165250
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】導管長調整装置および方法
(51)【国際特許分類】
F16L 27/12 20060101AFI20170710BHJP
F22B 37/02 20060101ALI20170710BHJP
G21C 17/003 20060101ALI20170710BHJP
F28F 27/00 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
F16L27/12 E
F22B37/02 D
G21C17/00 G
F28F27/00 511G
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-524383(P2015-524383)
(86)(22)【出願日】2013年7月23日
(65)【公表番号】特表2015-530529(P2015-530529A)
(43)【公表日】2015年10月15日
(86)【国際出願番号】US2013051632
(87)【国際公開番号】WO2014018508
(87)【国際公開日】20140130
【審査請求日】2016年5月30日
(31)【優先権主張番号】13/559,764
(32)【優先日】2012年7月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501010395
【氏名又は名称】ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【弁理士】
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】ホーキンス、フィリップ、ジェイ
【審査官】
黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭64−23389(JP,U)
【文献】
米国特許第6606920(US,B2)
【文献】
特開平4−250396(JP,A)
【文献】
実開昭55−20766(JP,U)
【文献】
特開昭60−205094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 27/12
F22B 37/02
F28F 27/00
G21C 17/003
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導管(102)と、
第2の導管(101)であって、当該第1の導管が当該第2の導管の内および外に移動するように構成されている第2の導管(101)と、
導管長調整機構(100)とを具備する導管長調整装置(100、101、102)であって、
当該導管長調整機構は、
第1のハウジング(105)であって、当該第1のハウジング(105)を選択的に前記第1の導管(102)に係合させるように構成されている第1の部材(103)を含む第1のハウジング(105)と、
前記第2の導管(101)に取り付けられた第2のハウジング(116)であって、当該第2のハウジング(116)を選択的に前記第1の導管(102)に係合させるように構成されている第2の部材(114)を含み、前記第1の導管(102)の一部が前記第2の導管(101)の内側に配置される第2のハウジング(116)と、
前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングに結合されたハウジング移動機構(107)であって、当該ハウジング移動機構(107)を操作すると前記第1のハウジング(105)と前記第2のハウジング(116)との間の距離が変化するハウジング移動機構(107)とを含み、
前記第1のハウジング(105)が前記第1の導管(102)に係合し、前記第2のハウジング(116)が前記第1の導管(102)から離脱した状態で前記ハウジング移動機構(107)を操作すると、前記第1の導管(102)の一部が前記第2の導管(101)の内または外に移動すること
を特徴とする導管長調整装置(100、101、102)。
【請求項2】
前記第1の部材(103)および前記第2の部材(114)がブラダーである、請求項1に記載の導管長調整装置(100、101、102)。
【請求項3】
前記ハウジング移動機構(107)がピストンである、請求項1に記載の導管長調整装置(100、101、102)。
【請求項4】
前記ピストン(107)が環状であり、前記第1の導管(102)の周りに配置される、請求項3に記載の導管長調整装置(100、101、102)。
【請求項5】
前記第1のハウジング(105)および前記第2のハウジング(116)が環状であり、前記第1の導管(102)の周りに配置される、請求項4に記載の導管長調整装置(100、101、102)。
【請求項6】
前記第1のハウジング(105)が前記第1の導管(102)から離脱し、前記第2のハウジング(116)が前記第1の導管(102)に係合し、前記ハウジング移動機構(107)が操作されるときは、前記第1の導管(102)が前記第2の導管(101)に対して移動しない、請求項1に記載の導管長調整装置(100、101、102)。
【請求項7】
前記第1のハウジング(105)が前記第1の導管(102)に係合し、前記第2のハウジング(116)が前記第1の導管(102)に係合している状態では、前記第1の導管(102)は前記第2の導管(101)に対して移動しない、請求項1に記載の導管長調整装置(100、101、102)。
【請求項8】
選択された蒸気発生器細管(5)に導管を移動させるように構成されたロボットマニピュレーター(1)と、
当該導管に接続され、前記導管を通して当該選択された蒸気発生器細管(5)にプローブを送り込むように構成されたプローブプッシャー(6)と、
当該ロボットマニピュレーター(1)と当該プローブプッシャー(6)との間に前記導管に沿って配置された導管長調整装置(100、101、102)と
を具備する蒸気発生器細管検査システムであって、
当該導管長調整装置は、
第1の導管(102)と、
第2の導管(101)であって、前記第1の導管が当該第2の導管の内および外に移動するように構成されている第2の導管(101)と、
導管長調整機構(100)とを含み、
前記導管長調整機構は、
第1のハウジング(105)であって、前記第1のハウジング(105)を選択的に前記第1の導管(102)に係合させるように構成された第1の部材(103)を含む第1のハウジング(105)と、
前記第2の導管(101)に取り付けられた第2のハウジング(116)であって、前記第2のハウジング(116)を選択的に前記第1の導管(102)に係合させるように構成された第2の部材(114)を含み、前記第1の導管(102)の一部が前記第2の導管(101)の内側に配置される第2のハウジング(116)と、
前記第1のハウジング(105)および前記第2のハウジング(116)に結合されたハウジング移動機構(107)において、前記ハウジング移動機構(107)を操作することによって前記第1のハウジング(105)と前記第2のハウジング(116)との間の距離が変化するハウジング移動機構(107)とを含み、
前記第1のハウジング(105)が前記第1の導管(102)に係合し、前記第2のハウジング(116)が前記第1の導管(102)から離脱した状態で前記ハウジング移動機構(107)を操作すると、前記第1の導管(102)の一部が前記第2の導管(101)の内または外に移動すること
を特徴とする蒸気発生器細管検査システム。
【請求項9】
前記第1の部材(103)および前記第2の部材(114)がブラダーである、請求項8に記載の蒸気発生器細管検査システム。
【請求項10】
前記ハウジング移動機構(107)がピストンである、請求項8に記載の蒸気発生器細管検査システム。
【請求項11】
前記ピストン(107)が環状であり、前記第1の導管(102)の周りに配置される、請求項10に記載の蒸気発生器細管検査システム。
【請求項12】
前記第1のハウジング(105)および前記第2のハウジング(116)が環状であり、前記第1の導管(102)の周りに配置される、請求項11に記載の蒸気発生器細管検査システム。
【請求項13】
前記第1のハウジング(105)が前記第1の導管(102)から離脱し、前記第2のハウジング(116)が前記第1の導管(102)に係合し、前記ハウジング移動機構(107)が操作されるときは、前記第1の導管(102)が前記第2の導管に対して移動しない、請求項8に記載の蒸気発生器細管検査システム。
【請求項14】
前記第1のハウジング(105)が前記第1の導管(102)に係合し、前記第2のハウジング(116)が前記第1の導管(102)に係合している状態では、前記第1の導管(102)は前記第2の導管(101)に対して移動しない、請求項8に記載の蒸気発生器細管検査システム。
【請求項15】
蒸気発生器細管検査システムの導管の長さの調整方法であって、
第1の導管(102)、第2の導管(101)であって、前記第1の導管が前記第2の導管の内および外に移動するように構成されている第2の導管(101)、第1のハウジング(105)であって、前記第1のハウジング(105)を選択的に前記第1の導管(102)に係合させるように構成された第1の部材(103)を含む第1のハウジング(105)、前記第2の導管(101)に取り付けられた第2のハウジング(116)であって、前記第2のハウジング(116)を選択的に前記第1の導管(102)に係合させるように構成された第2の部材(114)を含み、前記第1の導管(102)の一部が前記第2の導管(101)の内側に配置される第2のハウジング(116)ならびに前記第1のハウジング(105)および前記第2のハウジング(116)に結合されたハウジング移動機構(107)であって、前記ハウジング移動機構(107)の操作によって前記第1のハウジング(105)と前記第2のハウジング(116)との間の距離が変化するハウジング移動機構(107)を具備する導管長調整装置(100、101、102)を、プローブプッシャー(6)と蒸気発生器管板(4)との間に用意するステップと、
前記第1のハウジング(105)を前記第1の導管(102)に係合させるステップと、
前記第2のハウジング(116)を前記第1の導管(102)から離脱させるステップと、
前記第1のハウジング(105)が前記第1の導管(102)に係合し、前記第2のハウジング(116)が前記第1の導管(102)から離脱しているときに前記ハウジング移動機構(107)を操作して、前記第1の導管(102)を前記第2の導管(101)の内または外に移動させるステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によってその開示を本明細書の一部とする、2012年7月27日出願の米国特許出願第13/559,764号(発明の名称:CONDUIT LENGTH ADJUSTMENT APPARATUS AND METHOD)に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は一般に蒸気発生器用の導管長調整装置に関し、より詳細には、蒸気発生器におけるプローブプッシャーと蒸気発生器管板との間の導管長調整装置に関する。
【背景技術】
【0003】
加圧水型原子炉は、一次側循環ループを流れる放射性冷却材と、二次側循環ループを流れる二次側流体とを隔離しながら熱交換する蒸気発生器を利用する。蒸気は二次側流体から発生させる。蒸気は一般に、たとえば発電機のような仕事をするタービンを駆動するために利用される。一次側ループでは、原子炉冷却材は炉心で起こる核反応によって加熱され、高温側配管により、一般にチャネルヘッドとして知られる蒸気発生器一次側の半球形部分に循環される。チャネルヘッドは、その直径を横断する隔壁によって入口側と出口側プレナムに仕切られており、これらのプレナムはそれぞれ、U字形伝熱管の終端部が貫通して固定された管板に覆われている。U字形伝熱管はそれぞれ、チャネルヘッドの入口側プレナムに通じる管板の管穴から、チャネルヘッドの出口側プレナムと連通する管板の管穴まで延びる。蒸気発生器の円筒形の二次側は、管板と、U字形伝熱管の上方に、それらを覆うように配置されている。蒸気発生器の一次側を循環するのは炉心からの高温で放射性の水であるが、二次側に導入される水は非放射性である。管板および伝熱管は、一次側と二次側を水力学的に分離する一方で熱的に結合する。一次側の高温で放射性の水が伝熱管の中を流れ、その管の外側が二次側の非放射性の水と接することで非放射性の蒸気が発生する。
【0004】
蒸気発生器の二次側では、U字形伝熱管の外側部分が、伝熱管の長手方向である垂直方向に離隔した複数の水平な板に形成された管穴を貫通し、当該管支持板によって支持される。伝熱管と管支持板および管板の管穴との間には、当技術分野で「クレビス部」として知られる小さな環状の空間が存在する。このクレビス部は、蒸気発生器の二次側を循環する給水に対して非常に狭い流路を提供するため、給水が急激に沸騰することで、蒸気発生器の運転中にクレビス部が実際にドライアウトすることがある「ドライ沸騰」が発生する。この慢性的なドライアウトにより、水に含まれる不純物が析出し、クレビス部に集まる。こうした析出物は、クレビス部の腐食を促進するスラッジやその他のデブリを最終的に生じさせ、もし補修が行われない場合、最終的に管に亀裂が生じ、蒸気発生器一次側の放射性の水が二次側の非放射性の水を汚染する可能性がある。
【0005】
渦電流プローブシステムは、腐食による伝熱管壁の劣化の程度を監視するために利用されている。かかるシステムの1つは、本譲受人に対して1992年12月29日に付与された米国特許第5,174,165号に記載されている。この種のシステムを用いた蒸気発生器の渦電流検査は、原子力発電所で行われている保全作業の1つである。この検査は、原子力蒸気発生器の高放射線および汚染区域において渦電流プローブを様々な構成で挿入し引抜くことにより行われる。蒸気発生器内部へアクセスするための人道開口部の周辺(一般に蒸気発生器プラットフォームと呼ばれる)における人員滞在時間および機器を最小化することは、当該区域における放射線レベルの高さを考えるときわめて望ましいことである。プローブは、典型的には、長い可とう性チューブ部品に取り付けられ、プローブプッシャーにより可とう性導管を通して該当する区域へ、または蒸気発生器細管の全長にわたって駆動される。一般に可とう性導管の一方の端部はプローブプッシャーに固定され、もう一方の端部はロボットマニピュレーターを使って蒸気発生器細管の下に位置決めされ、取り付けられる。
【0006】
渦電流検査の際の問題の1つは、ロボットマニピュレーターを様々な管位置に移動させる時に蒸気発生器内の導管の量を増減させる必要があることである。この作業は典型的には、蒸気発生器プラットフォーム上において可とう性導管のセクションを手作業で追加したり、取り外したりすることによって行われるが、これは現場保全作業員の放射線被曝時間を増やす原因となる。導管長の変更を必要としない1つの方法は、本譲受人に対して2003年8月19日に付与された米国特許第6,606,920号に記載されている。この米国特許第6,606,920号は、渦電流検査中にプローブプッシャーと導管の双方の位置を変えられる駆動システムにプローブプッシャーを取り付けたシステムを開示している。米国特許第6,606,920号に記載された構成は有効であるが、多くの発電所ではプローブプッシャーの平行移動に必要な作業スペースを用意できない。
【0007】
こうした困難を克服することが本発明の目的である。
【発明の概要】
【0008】
上記およびその他の目的は、第1の導管、第2の導管および導管長調整機構を含む導管長調整装置によって果たされる。導管長調整機構は、第1のハウジングであって、第1のハウジングを選択的に第1の導管に係合させるように構成された第1の部材を含む第1のハウジングと、第2の導管に取り付けられた第2のハウジングであって、第2のハウジングを選択的に第1の導管と係合させるように構成された第2の部材を含む第2のハウジングと、第1のハウジングおよび第2のハウジングに結合されたハウジング移動機構とを含む。ハウジング移動機構を操作すると、第1のハウジングと第2のハウジングとの間の距離が変化する。第1のハウジングが第1の導管に係合し、第2のハウジングが第1のハウジングから離脱した状態でハウジング移動機構を操作すると、第1の導管の一部が第2の導管の内にまたは外に移動する。
【0009】
第1の部材および第2の部材はブラダーであってよい。ハウジング移動機構はピストンであってよい。ピストンは環状で、第1の導管の周りに配置されたものであってよい。第1のハウジングおよび第2のハウジングは環状で、第1の導管の周りに配置されたものであってよい。一実施形態では、第1のハウジングが第1の導管から離脱し、第2のハウジングが第1の導管に係合した状態でハウジング移動機構を操作すると、第1の導管は第2の導管に対して移動しない。一実施形態では、第1のハウジングが第1の導管に係合し、第2のハウジングが第1の導管に係合した状態では、第1の導管は第2の導管に対して移動しない。一実施形態において、導管長調整機構は、第1の部材を作動して第1のハウジングを第1の導管に選択的に係合させるための圧力を受ける第1のポートと、第2の部材を作動して第2のハウジングを第1の導管と選択的に係合させるための圧力を受ける第2のポートと、第1のハウジングと第2のハウジングとの間の距離を広げるようにハウジング移動機構を操作するための圧力を受ける第3のポートと、第1のハウジングと第2のハウジングとの間の距離を狭めるようにハウジングの移動を操作するための圧力を受ける第4のポートとを含み、第1のポート、第2のポート、第3のポートおよび第4のポートは軸方向に一直線に並んでいる。第1の導管および第2の導管は可とう性チューブを含むことができる。
【0010】
本発明の思想の特徴および有用性は、導管を選択された蒸気発生器細管に移動させるように構成されたロボットマニピュレーター、導管に接続され、当該導管を通して選択された蒸気発生器細管にプローブを送り込むように構成されたプローブプッシャーおよび導管長調整装置を含む伝熱管検査システムによっても実現できる。導管長調整装置は、ロボットマニピュレーターとプローブプッシャーとの間の導管に沿って配置される。導管長調整装置は、第1の導管、第2の導管および導管長調整機構を含む。導管長調整機構は、第1のハウジングを選択的に第1の導管に係合させるように構成された第1の部材を含む第1のハウジングと、第2の導管に取り付けられた第2のハウジングであって、第2のハウジングを選択的に第1の導管に係合させるように構成された第2の部材を含む第2のハウジングと、第1のハウジングおよび第2のハウジングに結合されたハウジング移動機構とを含む。ハウジング移動機構を操作すると、第1のハウジングと第2のハウジングとの間の距離が変化する。第1のハウジングが第1の導管と係合し、第2のハウジングが第1のハウジングから離脱した状態でハウジング移動機構を操作すると、第1の導管の一部が第2の導管の内にまたは外に移動する。
【0011】
本発明の思想の特徴および有用性は、蒸気発生器細管検査システムにおける導管の長さの調整方法によっても実現できる。その方法は、プローブプッシャーと蒸気発生器管板との間に導管長調整装置を用意することを含む。導管長調整装置は、第1のハウジングを選択的に第1の導管に係合させるように構成された第1の部材を含む第1のハウジングと、第2の導管に取り付けられた第2のハウジングであって、第2のハウジングを選択的に第1の導管に係合させるように構成された第2の部材を含む第2のハウジングと、第1のハウジングおよび第2のハウジングに結合されたハウジング移動機構とを含む。ハウジング移動機構を操作すると、第1のハウジングと第2のハウジングとの間の距離が変化する。この方法はさらに、第1のハウジングを第1の導管に係合させ、第2のハウジングを第1の導管から離脱させ、さらに、第1のハウジングが第1の導管と係合し、第2のハウジングが第1の導管から離脱した状態でハウジング移動機構を操作して、第1の導管を第2の導管の内にまたは外に移動させることを含む。
【0012】
本発明の詳細を、好ましい実施形態を例にとり、添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態によりプローブプッシャーと蒸気発生器細管との間に導管長調整装置が設置された蒸気発生器のチャネルヘッドの入口側を示す断面図である。
【0014】
【
図2】本発明の一実施形態による導管長調整アセンブリの断面図である。
【0015】
【
図3】本発明の一実施形態による導管長調整装置の断面図である。
【0016】
【
図4】本発明の別の実施形態による導管長調整装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、プローブプッシャー6と蒸気発生器細管5との間に導管長調整機構100が設置された蒸気発生器のチャネルヘッド2の入口側を示す断面図である。
【0018】
チャンネルヘッド2の区域は、チャネルヘッドハウジング3および蒸気発生器管板4によって画定される。蒸気発生器細管5のような蒸気発生器細管は、蒸気発生器管板4を通してアクセスされる。ロボットマニピュレーター1はチャネルヘッド2内にあって、導管8を蒸気発生器管板4の近くで、検査すべき伝熱管の場所に位置決めするために使用される。
図1に示すように、導管8は蒸気発生器細管5の場所に位置決めされる。プローブプッシャー6は、渦電流プローブ(図示せず)を導管7、8、101および102を介して検査すべき蒸気発生器細管5の中に押し込む。
【0019】
図1に示すように、プローブプッシャー6と蒸気発生器管板4との間の導管は4つの導管7、8、101および102からなる。導管7の一方の端部はプローブプッシャー6に接続され、導管7の他方の端部はコネクタ9によって導管101に接続される。導管101の一方の端部はコネクタ9によって導管7に接続され、導管101の他方の端部は導管長調整機構100に接続される。導管102の一方の端部は導管長調整機構100に挿通され、さらに導管101内に挿入される。導管102の他方の端部はコネクタ10によって導管8に接続される。導管8の一方の端部はコネクタ10によって導管102に接続され、導管8の他方の端部は蒸気発生器管板4の近くに位置し、ロボットマニピュレーター1の操作により検査すべき蒸気発生器細管5のそばに位置決めされる。コネクタ9および10は、コネクタ部分9a、9b、10aおよび10bを備える2分割コネクタとして図示されているが、コネクタ9および10は、導管の接続に適していればどのようなタイプのコネクタであってもよいと考えられる。導管7、8、101および102は、それぞれ可とう性導管であっても、剛性導管であってもよい。
【0020】
図1は、プローブプッシャー6と蒸気発生器管板4との間に4つの導管7、8、101および102を図示しているが、本発明がそれに限定されるものでないことは理解されるところである。プローブプッシャー6と蒸気発生器管板4との間には、2個を超えるあらゆる数の導管を含めることができる。さらに、導管7および8は省略することができ、中間的な導管を挟まずに導管101および102をプローブプッシャー6および蒸気発生器管板4に直接接続することができる。
【0021】
導管長調整機構100は、導管102を導管101の内に移動させたり、導管101の外に移動させたりするために使用される。導管102を導管101の内に移動させるとプローブプッシャー6と蒸気発生器管板4との間の導管長が短くなり、導管102を導管101の外に移動させるとプローブプッシャー6と蒸気発生器管板4との間の導管長が増す。
【0022】
図1はチャネルヘッド2内の導管長調整機構100を示しているが、本発明はそれに限定されない。導管長調整機構100はプローブプッシャー6と蒸気発生器管板4との間であればどこにあってもよい。さらに、プローブプッシャー6と蒸気発生器管板4の間に導管調整機構100を任意の数、設けることは、本発明の範囲内であると考えられる。さらに、本発明の範囲を逸脱することなく、導管調整機構100を逆向きにして、導管102を導管7またはプローブプッシャー6に接続し、導管101を導管8またはロボットマニピュレーター1に接続してもよい。
【0023】
図2は、導管長調整アセンブリ50の断面図である。導管長調整アセンブリ50は、コネクタ部分9aおよび10aと、導管101および102と、導管長調整機構100とを備える。
図2に示す実施例において、コネクタ部分9aは雄コネクタ部分であり、コネクタ部分10aは雌コネクタ部分である。導管長調整器アセンブリ50を、プローブプッシャー6と蒸気発生器管板4との間の導管の1区間として挿入することができる。導管長調整器アセンブリ50を、プローブプッシャー6および蒸気発生器管板4に直接接続して、プローブプッシャー6と蒸気発生器管板4との間の導管全体を構成させてもよい。
【0024】
図3は、本発明の一実施形態による導管長調整機構100の断面図である。
図3に示すように、導管長調整機構100の一方の端部は導管101と接続される。導管102が導管長調整機構100の他方の端部には挿入され、さらに導管101に挿入される。導管長調整機構100は、導管102を導管101内に、または導管101外に移動させるために使用される。これについて以下にさらに詳しく説明する。
【0025】
導管長調整機構100は第1のブラダーハウジング105を含むが、このハウジングには第1のブラダー103に流体連通する第1のポート104がある。第1のポート104に圧力を加えると、第1のブラダー103は第1のブラダーハウジング105を導管102に係合させることにより、第1のブラダーハウジング105を導管102上の係合場所に保持する。導管長調整機構100はさらに、第2のブラダーハウジング116を含むが、このハウシングには第2のポート115と第2のブラダー114がある。第2のポート115に圧力を加えると、第2のブラダー114は第2のブラダーハウジング116を導管102に係合させることにより、第2のブラダーハウジング116を導管102上の係合場所に保持する。本明細書における表現として、ハウジングが導管に係合するとは、ハウジングと導管のそれぞれの位置が互いに固定されることをいうものとする。ハウジングが導管から離脱するとは、ハウジングと導管が互いに自由に動けることをいうものとする。
【0026】
図3に示す実施例では、第1および第2のブラダー103および114は密封性の圧力バウンダリを追加的に提供することができる。
図3に示す実施例は係合させるためのブラダーを含むが、第1および第2のハウジング105および116を選択的に導管102と係合させるために任意適切な部材を用いることができる。たとえば、これに限定されないが、第1および第2のハウジング105および116を選択的に導管102に係合させるためにソレノイドを使用することができる。
【0027】
導管長調整機構100はピストン107をさらに含む。
図3に示す実施例では、ピストン107は環状であり、導管
102の周りに配置されている。さらに、第1のブラダーハウジング105および第2のブラダーハウジング116は環状であり、導管
102の周りに配置されている。この構成は、最小限のスペースの中で大きい並進移動力を得るのを可能にする。しかし、本発明はこの構成に限定されるものではなく、ピストン107ならびにハウジング105および107のこれ以外の構成が本発明の範囲内にあると考えられる。
【0028】
ポート106または108を通してピストンに圧力を加えることによって、ピストン107を所望の方向に移動させる。ピストン107は内部ハウジング111に沿って摺動し、ピストン107の摺動運動は割りブッシュ109および119によって案内される。ワイパー110は、ピストン107ならびに割りブッシュ109および119の汚染防止に役立つ。
【0029】
ピストン107の一方の端部は第2のブラダーハウジング116に接続されているため、ピストン107が移動すると第1のブラダーハウジング105と第2のブラダーハウジング116との間の距離が変化する。第1のブラダー103と第2のブラダー114との係合および離脱ならびにピストン107の動作を制御することにより、導管102の導管101内または外への移動を制御することができる。
図3に示す実施例はピストン107を含むが、第1のハウジング105と第2のハウジング116との間の距離を変化させるために任意適切なハウジング移動機構も用いてよい。
【0030】
導管長調整機構100の操作例を以下に示す。導管102を導管101の外に移動させるには、第1のブラダー103を第1の導管102と係合させ、第2のブラダー114を導管102から離脱させ、ピストン107を作動して第1のブラダーハウジング105と第2のブラダーハウジング116との間の距離を広げる。その上で、第2のブラダー114を導管102から離脱させ、第1のブラダー103を第1の導管102から離脱させ、ピストン107を作動して第1のブラダーハウジング105の距離を小さくする。第1のブラダー103と第2のブラダー114の係合および離脱ならびにピストン107の作動を行なうこのプロセスを繰り返すことにより、導管102を所望の量だけ導管101の外に移動させ、プローブプッシャー6と蒸気発生器管板4との間の導管の長さを所望の量だけ大きくすることができる。所望の量だけ長さを調整した後、第1のブラダー103と第2のブラダー114の両方を係合させて、導管102をその場に固定することができる。一実施例では、効率的な動作を実現し、第1および第2のブラダー103および114の両方が同時に解放されないように、第1および第2のブラダー103および114の係合と解放ならびにピストン107の作動のシーケンスをコンピュータなど(それに限らない)の電子制御装置によって制御する。
【0031】
同様に、導管102を導管101の内に移動させるには、第2のブラダー114を導管102に係合させ、その上で第1のブラダー103を導管102から離脱させ、さらにピストン107を作動して第1のブラダーハウジング105と第2のブラダーハウジング116との間の距離を広げる。その上で第1のブラダー103を導管102に係合させ、第2のブラダー114を導管102から離脱させ、さらに、第1のブラダーハウジング105と第2のブラダーハウジング116との距離が小さくなるようにピストン107を作動する。第1のブラダー103と第2のブラダー114の係合および離脱ならびにピストン107の作動を行なうこのプロセスを繰り返すことにより、導管102を所望の量だけ導管101の内に移動させ、それによってプローブプッシャー6と蒸気発生器管板4との間の導管の長さを所望の量だけ小さくすることができる。所望の量だけ長さを調整した後、第1のブラダー103と第2のブラダー114の両方を係合させれば、導管102をその場に固定することができる。
【0032】
導管長調整機構100はブッシュ113およびシャフト112をさらに備える。シャフト112はブッシュ113および外側ハウジング117に摺動自在につながれているため、ポート115をポート106および108と軸方向に並べることができる。導管長調整機構100はさらにシム118を備えることができる。シム118の寸法を調整して、外側ハウジング117のねじが内側ハウジング111のねじと係合する量を変化させることにより、ポート104をポート106および108と軸方向に並べることができる。ポート104、106、108および115を軸方向に並べることによってポートへの効率的な接続が可能となる。
【0033】
図4は、本発明の別の実施例による導管長調整装置を示したものである。導管長調整装置は第1のハウジング205および第2のハウジング216を含む。第1のハウジング205は第1のポート204と第1のブラダー203を含む。第1のハウジング205はさらに、ピストン207を作動させる圧力を受け取る第3のポート206および第4のポート208を含む。第2のハウジング216は第2のブラダー214および第2のポート215を含む。
【0034】
図4に示す管長調整装置は、
図2、3に即して上に説明した導管長調整装置の操作と同様に、第1および第2のブラダー203および214を選択的に係合、離脱させ、さらにピストン207を作動させることによって、導管202を導管201の内および外に移動させる。しかし、
図4に示す導管長調整装置は、第1のハウジング205、第2のハウジング216およびピストンが環状でない点が違っている。さらに、
図4に示す実施形態では、導管202は、プローブを容易に導管202内に通すことができるようにする面取りされた端部を有する。この面取りされた端部は、本発明の範囲を外れることなく、
図1に示す実施形態の導管102に容易に組み込むことが可能であると考えられる。
【0035】
本発明の特定の実施形態について詳しく説明してきたが、当業者は、本開示書全体の教示するところに照らして、これら詳述した実施態様に対する種々の変更および代替への展開が可能である。したがって、ここに開示した特定の実施態様は説明目的だけのものであり、本発明の範囲を何らも制約せず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲に記載の全範囲およびその全ての均等物である。