特許第6165257号(P6165257)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工コンプレッサ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6165257-回転機械 図000002
  • 特許6165257-回転機械 図000003
  • 特許6165257-回転機械 図000004
  • 特許6165257-回転機械 図000005
  • 特許6165257-回転機械 図000006
  • 特許6165257-回転機械 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6165257
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】回転機械
(51)【国際特許分類】
   F04B 9/02 20060101AFI20170710BHJP
   F04D 25/16 20060101ALI20170710BHJP
   F16H 57/04 20100101ALI20170710BHJP
【FI】
   F04B9/02 A
   F04D25/16
   F16H57/04 J
   F16H57/04 E
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-535234(P2015-535234)
(86)(22)【出願日】2013年9月6日
(86)【国際出願番号】JP2013074103
(87)【国際公開番号】WO2015033438
(87)【国際公開日】20150312
【審査請求日】2015年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】310010564
【氏名又は名称】三菱重工コンプレッサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】宮田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】得山 伸一郎
【審査官】 山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−144855(JP,A)
【文献】 実開昭57−011397(JP,U)
【文献】 実開昭59−160919(JP,U)
【文献】 特許第3735147(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/00
F04D 29/056
F04D 29/063
F04D 29/60
F16C 33/72
F16C 35/00
F16H 57/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動部と、
前記回転駆動部によって水平方向に延びる軸線まわりに回転される駆動軸と、
前記駆動軸に固定された大歯車と、
前記駆動軸を回転可能に支持し、潤滑油が供給されている駆動軸用軸受部と、
前記大歯車と噛み合って従動する複数のピニオンと、
前記複数のピニオンに対応するように設けられて、前記ピニオンによってそれぞれ回転する複数の圧縮部と、
前記駆動軸用軸受部と前記大歯車との間に配置されて、前記大歯車と前記駆動軸用軸受部とを隔離するように前記大歯車の下半分の少なくとも一部の領域を覆う第一プレートと、
前記ピニオンが固定された従動軸を回転可能に支持する従動軸用軸受部と、
前記従動軸用軸受部の下半部と前記大歯車との間に前記第一プレートから独立して配置されて、前記大歯車と前記従動軸用軸受部とを隔離する第三プレートと、を備えることを特徴とする回転機械。
【請求項2】
前記第一プレートの下端は前記大歯車の下端よりも下方に延びていることを特徴とする請求項1に記載の回転機械。
【請求項3】
前記駆動軸用軸受部の上半部と前記大歯車との間に配置されて、前記大歯車と前記駆動軸用軸受部とを隔離する第二プレートを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転機械。
【請求項4】
前記駆動軸用軸受部を支持するケーシングを備え、
前記ケーシングには、前記駆動軸用軸受部から前記駆動軸用軸受部の軸方向他方側に排出される排油を前記第一プレートが配置されている前記駆動軸用軸受部の軸方向一方側に導く油溝が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の回転機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転機械に係り、特に大歯車と、この大歯車と噛み合って従動する複数のピニオン歯車と、を有する回転機械に関する。
【背景技術】
【0002】
回転機械である遠心圧縮機は、回転するインペラの半径方向に気体を通り抜けさせ、その際に発生する遠心力を利用して気体を圧縮するものであり、例えば、石油化学や天然ガスや空気分離のプラントに用いられている。
【0003】
遠心圧縮機としては、気体を圧縮するインペラを一本の軸に取り付ける構造の一軸多段型遠心圧縮機と、複数の従動軸の軸端にインペラを取り付ける構造の増速機内蔵型遠心圧縮機(以下、ギアド圧縮機と称する)が知られている。ギアド圧縮機は、複数の従動軸の軸端にインペラを備えた複数の圧縮部によって気体を圧縮する形態のものが知られている。
【0004】
特許文献1には、駆動軸に取り付けられた大歯車の上方にピニオン歯車を配置したギアド圧縮機が記載されている。このギアド圧縮機は、ピニオン歯車の軸受から排出される排油が大歯車に降りかかるのを防止するために、上方に配置されたピニオン歯車に対応する軸受の両側にカバーが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国特許第3735147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ギアド圧縮機などの回転機械においては様々な損失低減が図られている。
損失低減に関する検討の過程において発明者らは、大歯車とピニオン歯車とから構成されている歯車列を有する回転機械において、駆動軸の軸受から排出される排油の大歯車への付着が予想外の損失を生む要因であることを見出した。
即ち、大歯車が取り付けられている駆動軸の軸受から排出される排油が回転する大歯車の側面に付着することにより、大歯車が回転する際に動力損失が生じることがわかった。特に、動力の大きな回転機械の場合この損失は無視できないものとなるが、定量的に見積もることが難しく、想定する以上の損失を生む可能性があることがわかった。
【0007】
特許文献1に記載のギアド圧縮機の場合、大歯車の上半部に排油が付着することは回避されるが、大歯車の下半部への付着を防止することができず、大歯車の下半部に付着する排油が動力損失の原因となっていた。
【0008】
本発明は、大歯車が回転する際の動力損失を低減することで、必要動力を小さくすることができる回転機械を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の回転機械は、回転駆動部と、前記回転駆動部によって水平方向に延びる軸線まわりに回転される駆動軸と、前記駆動軸に固定された大歯車と、前記駆動軸を回転可能に支持し、潤滑油が供給されている駆動軸用軸受部と、前記大歯車と噛み合って従動する複数のピニオンと、前記複数のピニオンに対応するように設けられて、前記ピニオンによってそれぞれ回転する複数の圧縮部と、前記駆動軸用軸受部と前記大歯車との間に配置されて、前記大歯車と前記駆動軸用軸受部とを隔離するように前記大歯車の下半分の少なくとも一部の領域を覆う第一プレートと、前記ピニオンが固定された従動軸を回転可能に支持する従動軸用軸受部と、前記従動軸用軸受部の下半部と前記大歯車との間に前記第一プレートから独立して配置されて、前記大歯車と前記従動軸用軸受部とを隔離する第三プレートと、を備える。
【0010】
上記構成によれば、第一プレートによって軸受部から排出される排油が大歯車の下半部に降りかかって付着することが防止される。これにより、大歯車に排油が付着することによる、大歯車が回転する際の動力損失を低減することができる。
また、第三プレートによって、従動軸用軸受部から排出される排油が大歯車に付着することを防止することができる。
【0011】
上記回転機械において、前記第一プレートの下端は前記大歯車の下端よりも下方に延びていることが好ましい。
上記構成によれば、排油の大歯車への付着をより防止することができる。
【0012】
上記回転機械において、
前記駆動軸用軸受部の上半部と前記大歯車との間に配置されて、前記大歯車と前記駆動軸用軸受部とを隔離する第二プレートを備える構成としてもよい。
上記構成によれば、第二プレートによって、軸受部から上方に排出される排油が大歯車に付着することを防止することができる。
【0015】
上記回転機械において、前記駆動軸用軸受部を支持するケーシングを備え、前記ケーシングには、前記駆動軸用軸受部から前記駆動軸用軸受部の軸方向他方側に排出される排油を前記第一プレートが配置されている前記駆動軸用軸受部の軸方向一方側に導く油溝が形成されている構成としてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、プレートによって軸受部から排出される排油が大歯車の下半部に降りかかって付着することが防止される。これにより、大歯車に排油が付着することによる、大歯車が回転する際の動力損失を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態のギアド圧縮機の平面図である。
図2図1のA−A断面図であり、ギアド圧縮機のバッフルプレートの配置を説明する図である。
図3図2のB−B断面図であって、第一バッフルプレート及び第二バッフルプレートの配置を説明する図である。
図4図2のC−C断面図であって第三バッフルプレートの配置を説明する図である。
図5】本発明の実施形態の油切りを軸方向から見た正面図である。
図6】本発明の実施形態の油切りの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
本発明の実施形態の回転機械であるギアド圧縮機(ギアドコンプレッサ)は、内部に歯車列を有しており、複数のインペラを駆動する多軸多段の構成となっている。
【0019】
図1に示すように、ギアド圧縮機1は、動力を発生させる回転駆動部2と、回転駆動部2によって水平方向に延びる軸線まわりに回転駆動される回転軸である駆動軸3と、駆動軸3に固定された大歯車4と、大歯車4と噛み合って従動する2つのピニオン歯車6と、各々のピニオン歯車6の軸となる2本の従動軸5と、従動軸5に伝達された動力により駆動する3つの圧縮部11,12,13と、を有している。
回転駆動部2としては、例えば電動モータなどの電動機を採用することができる。大歯車4及びピニオン歯車6は、駆動軸3の回転を増速する増速機として機能する歯車列である。
【0020】
2つのピニオン歯車6は大歯車4の回転に伴って回転する。2つのピニオン歯車6は、低圧段ピニオン歯車6aと、低圧段ピニオン歯車6aよりも小さい高圧段ピニオン歯車6bとから構成されている。従って、高圧段ピニオン歯車6bは低圧段ピニオン歯車6aよりも高い回転速度で回転する。
【0021】
2本の従動軸5は、低圧段ピニオン歯車6aの中心軸方向両側に延びる低圧段従動軸5aと、高圧段ピニオン歯車6bの中心軸方向両側に延びる高圧段従動軸5bとから構成されている。
3つの圧縮部11,12,13は、ピニオン歯車6に対応するように設けられており、低圧段従動軸5aの前端であって回転駆動部2が設けられた側と反対側に設けられた第一段圧縮部11と、高圧段従動軸5bの後端に設けられた第二段圧縮部12と、高圧段従動軸5bの前端に設けられた第一段圧縮部11とから構成されている。低圧段従動軸5aの他端には、つり合い重り7が取り付けられている。
以下の説明においては、駆動軸3及び従動軸5の軸方向を単に軸方向と呼び、軸方向における回転駆動部2が設けられている側と(図1の上方)を後方、軸方向における回転駆動部2が設けられている側と反対側(図1の下方)を前方と呼ぶ。
【0022】
第一段圧縮部11、第二段圧縮部12、及び第三段圧縮部13は、それぞれインペラ14と、インペラ14を覆い、ガス導入部とガス排出口を有するスクロールケーシング(図示せず)と、を有している。
【0023】
第一段圧縮部11、第二段圧縮部12、及び第三段圧縮部13は、それぞれインペラ14を用いて作動流体を圧縮している。インペラ14は、ガス導入部より吸入された作動流体を、その内部に形成された流路を介して径方向外周側に向かって放出するものである。第一段圧縮部11、第二段圧縮部12、及び第三段圧縮部13は、配管8を介して接続されている。
【0024】
大歯車4と、複数のピニオン歯車6からなる歯車列は、ギアケーシング9の内部に収められており、駆動軸3、低圧段従動軸5a、及び高圧段従動軸5bは、ギアケーシング9に軸受15,16を介して回転可能に支持されている。軸受15,16は、大歯車4の軸方向前方側及び軸方向後方側に配置された駆動軸用軸受15と、ピニオン歯車6の軸方向前方側及び軸方向後方側に配置された従動軸用軸受16とから構成されている。
【0025】
軸受15,16は、駆動軸3及び従動軸5を支持する複数の軸受パッド17(図3図4を参照)を有するジャーナル軸受(ラジアル軸受)である。軸受15,16は、軸と軸受パッド17との間に潤滑油を供給する給油ノズル(図示せず)を有している。潤滑油としての機能を終えた排油は、軸受パッド17の軸方向両側から排出される。
【0026】
図2に示すように、ギアケーシング9は、上方が開口した下部ケーシング19と、下部ケーシング19の上方を覆う上部ケーシング20と、を有している。下部ケーシング19には、開口部から水平方向に張り出す形状のフランジ部21が形成されている。
ギアケーシング9は、複数の軸受固定部23,24を有している。軸受固定部23,24は、駆動軸用軸受15を固定する第一軸受固定部23と、従動軸用軸受16を固定する第二軸受固定部24と、から構成されている。
【0027】
軸受固定部23,24は、下部ケーシング19のフランジ部21に一体に形成されている軸受固定部下半部23a,24aと、軸受固定部下半部23a,24aの上部にボルト等の締結部材を用いて取り付けられる軸受固定部上半部23b,24bとから構成されている。軸受固定部上半部23b,24bを、上部ケーシング20と一体とする構成としてもよい。
【0028】
軸受15,16は、軸受固定部上半部23b,24bと軸受固定部下半部23a,24aとの間に組み込まれることでギアケーシング9のフランジ部21に固定される。下部ケーシング19の軸受固定部下半部23a,24aには、軸受15,16からの排油の流出路となる油溝27が形成されている。
【0029】
ここで、図3を参照して、油溝27の構造について説明する。油溝27は、大歯車4とは反対側(軸方向他方側)に排出される排油を、大歯車4の側(軸方向一方側)に導くように形成されている。具体的には、油溝27は、軸受固定部下半部23aの上面であって大歯車4と反対側の上面と、軸受固定部下半部23aの側面であって大歯車4の側の側面とを連通させるように形成されている。
【0030】
本実施形態のギアド圧縮機1には、軸受15,16から排出される排油が、大歯車4に付着するのを防止するための複数のバッフルプレート28,30,31が設置されている。バッフルプレート28,30,31は、例えば、SUS304などの鋼板を板金加工することによって形成されている。
複数のバッフルプレートのうち、第一バッフルプレート28は、駆動軸用軸受15と大歯車4とを隔離するように、駆動軸用軸受15と大歯車4との間であって、大歯車4の軸方向の両側に配置されている。
【0031】
第一バッフルプレート28は、大歯車4の下半分の少なくとも一部の領域を覆う矩形形状の板部材であり、軸方向と直交する水平方向の幅寸法W(図2参照)が駆動軸用軸受15の直径よりも十分に大きく、軸方向から見て油溝27の出口部を十分に覆う寸法とされている。第一バッフルプレート28は、上端が駆動軸3の軸中心と同じ位置とされ、下端が大歯車4の下端よりもやや下方の位置とされている。
【0032】
図3に示すように、第一バッフルプレート28は、両側に設けられた折曲部29を介して、下部ケーシング19の内面に対して所定寸法G1を開けて離間するように、下部ケーシング19の内面に固定されている。また、第一バッフルプレート28の上部には、駆動軸3及び駆動軸用軸受15との干渉を避けるために、半円形の切欠が形成されている。
【0033】
第二バッフルプレート30は、駆動軸用軸受15の上半部と大歯車4との間に、駆動軸用軸受15と大歯車4とを隔離するように配置されている。第二バッフルプレート30は、駆動軸用軸受15を固定する軸受固定部上半部23bに取り付けられている。
第二バッフルプレート30は、大歯車4の軸方向前方側のものと、大歯車4の軸方向後方側のものとでは異なる形状とされている。軸方向前方側の第二バッフルプレート30は、大歯車4のボス部4aを避けるように、軸受固定部上半部23bより上方に折り曲げられている。軸方向後方側の第二バッフルプレート30は、軸受固定部上半部23bの上端より下方に折り曲げられている。
【0034】
第三バッフルプレート31は、従動軸用軸受16の下半部と大歯車4との間に、従動軸用軸受16と大歯車4とを隔離するように配置されている。図4に示すように、第三バッフルプレート31は、従動軸用軸受16を固定する軸受固定部下半部24aに取り付けられている。第三バッフルプレート31の主面は、下部ケーシング19の内面に対して所定寸法G2を開けて離間するように、従動軸用軸受16を固定する軸受固定部下半部24aに固定されている。
【0035】
図5及び図6に示すように、従動軸用軸受16には、従動軸5軸受から排出される排油の飛び散りを防止する油切り33が取り付けられている。油切り33は、下部を切り欠いて排出口とした切欠リング34と円板状のカバー35とから構成され、ボルトなどの締結手段によって従動軸用軸受16の軸方向の両側に取り付けられている。
【0036】
次に、本実施形態のギアド圧縮機1の作用について説明する。
圧縮すべき作動流体は、第一段圧縮部11、第二段圧縮部12、第三段圧縮部13の順に導入されて圧縮される。作動流体は、第三段圧縮部13において圧縮された後、圧縮された作動流体の需要先である所定のプラントPに供給される。
【0037】
図3に示すように、駆動軸用軸受15から排出される排油であって、大歯車4の側に排出される排油は、第一バッフルプレート28に当たった後、ギアケーシング9と第一バッフルプレート28との囲まれた部分を経由して下方に流れる。駆動軸用軸受15から排出される排油であって、大歯車4とは反対の側に排出される排油は、油溝27を経由して第一バッフルプレート28の中に流入し、第一バッフルプレート28との囲まれた部分を経由して下方に流れる。
【0038】
また、駆動軸用軸受15から排出される排油であって、上方に飛び散るように排出される排油は、第二バッフルプレート30に当たって、第二バッフルプレート30より上方に飛び散ることはない。
図5及び図6に示すように、従動軸用軸受16から排出される排油は、油切り33の切欠リング34とカバー35によって囲まれた空間の中に排出され、切欠リング34の下部の排出口から下方へ排出される。図4に示すように、油溝27を経由して排出される排油であって、大歯車4の側に排出される排油は、第三バッフルプレート31に当たった後、下方へ流れる。
【0039】
上記実施形態によれば、第一バッフルプレート28によって駆動軸用軸受15から排出される排油が大歯車4の下半部に降りかかって付着することが防止される。これにより、大歯車4に排油が付着することによる、大歯車4が回転する際の動力損失を低減することができ、回転駆動部2による必要動力が小さいギアド圧縮機1を提供することができる。
また、第一バッフルプレート28の下端が大歯車4の下端よりも下方に延びていることによって、排油の大歯車4への付着をより防止することができる。
【0040】
また、第二バッフルプレート30が駆動軸用軸受15の上半部と大歯車4との間に配置されていることによって、駆動軸用軸受15から上方に排出される排油が大歯車4に付着することを防止することができる。
【0041】
また、第三バッフルプレート31が、従動軸用軸受16部の下半部と大歯車4との間に配置されていることによって、従動軸用軸受16から排出される排油が大歯車4に付着することを防止することができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、クレームの範囲によってのみ限定される。
【0043】
なお、上記実施形態では、バッフルプレートをギアド圧縮機に適用する例を用いて説明したが、バッフルプレートは、大歯車とピニオン歯車とからなる歯車列を備えた回転機械であれば適用が可能であり、例えばタービンにも適用することができる。
【0044】
また、上記実施形態のギアド圧縮機は、3つの圧縮部を有する構成としたが、これに限ることはなく、2本の従動軸の両端に圧縮部を設けてもよい。
また、ピニオン歯車は2つに限ることはなく、例えば、大歯車の上方に3つ目のピニオン歯車を配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、大歯車とピニオン歯車とからなる歯車列を備えた、ギアド圧縮機、タービンなどの回転機械に適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 ギアド圧縮機
2 回転駆動部
3 駆動軸
4 大歯車
5 従動軸
5a 低圧段従動軸
5b 高圧段従動軸
6 ピニオン歯車(ピニオン)
6a 低圧段ピニオン歯車
6b 高圧段ピニオン歯車
7 つり合い重り
8 配管
9 ギアケーシング
11 第一段圧縮部
12 第二段圧縮部
13 第三段圧縮部
14 インペラ
15 駆動軸用軸受
16 従動軸用軸受
17 軸受パッド
19 下部ケーシング
20 上部ケーシング
21 フランジ部
23 第一軸受固定部
23a 軸受固定部下半部
23b 軸受固定部上半部
24 第二軸受固定部
24a 軸受固定部下半部
24b 軸受固定部上半部
27 油溝
28 第一バッフルプレート(プレート)
29 折曲部
30 第二バッフルプレート(第二プレート)
31 第三バッフルプレート(第三プレート)
33 油切り
34 切欠リング
35 カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6