(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6165265
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】プラテンの平行度を制御した両面研磨機
(51)【国際特許分類】
B24B 37/12 20120101AFI20170710BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20170710BHJP
B24B 37/005 20120101ALI20170710BHJP
B24B 37/015 20120101ALI20170710BHJP
【FI】
B24B37/12 D
H01L21/304 621A
B24B37/005 B
B24B37/015
【請求項の数】22
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-548046(P2015-548046)
(86)(22)【出願日】2013年12月16日
(65)【公表番号】特表2016-505394(P2016-505394A)
(43)【公表日】2016年2月25日
(86)【国際出願番号】US2013075465
(87)【国際公開番号】WO2014099812
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年12月13日
(31)【優先権主張番号】61/738,733
(32)【優先日】2012年12月18日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514165336
【氏名又は名称】サンエディソン・セミコンダクター・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SunEdison Semiconductor Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ディ・アルブレヒト
(72)【発明者】
【氏名】サミート・エス・バガヴァット
【審査官】
亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−208016(JP,A)
【文献】
特開平05−277929(JP,A)
【文献】
特開平06−155259(JP,A)
【文献】
特開2006−055984(JP,A)
【文献】
特開平02−274464(JP,A)
【文献】
特開2011−251352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/00 − 37/34
H01L 21/304
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハの表面を研磨するためのプラテンであって、
上面および底面を有し、そこを通って延びる縦方向の軸を規定するリアクションプレートと、
リアクションプレートと同軸に配置された研磨プレートであって、第2の上面および第2の底面を有し、第2の上面はリアクションプレートの底面に隣り合う研磨プレートと、
リアクションプレートの上面および底面の一方の、半径方向に外方の部分に沿って配置されたブラダーであって、リアクションプレートと同軸であり、リアクションプレートの底面に対して研磨プレートを変形させるために、研磨プレートに接続されたブラダーと、
リアクションプレートを研磨プレートに接続するリング状に並んだ複数の留め具であって、ブラダーから半径方向に内方に間隔をおいて配置され、研磨プレートの外方端部が、リアクションプレートの底面に対して縦方向に動けるようにしたリング状に並んだ複数の留め具と、を含むプラテン。
【請求項2】
ブラダーは、リアクションプレートと研磨プレートとの間に配置され、ブラダーを拡張させて、リアクションプレートの底面から離れるように研磨プレートを変形させる請求項1に記載のプラテン。
【請求項3】
研磨プレートの第2の底面は、第1位置で円錐形状を有し、ブラダーは、円錐形状から実質的に平坦な形状に、第2の底面を変形させるように配置される請求項2に記載のプラテン。
【請求項4】
更に、リアクションプレートと研磨プレートとの間に少なくとも一部が延びて、研磨プレートの温度を調整する熱交換マニフォールドを含む請求項1に記載のプラテン。
【請求項5】
更に、研磨プレートに接続されたカンチレバーリングを含み、このカンチレバーリングは、リアクションプレートに沿って縦方向に延びるレッグと、リアクションプレートの上面の少なくとも一部に沿ってレッグから半径方向に延びるアームとを有し、リアクションプレートの底面に対する研磨プレートの変形を制限する請求項1に記載のプラテン。
【請求項6】
ブラダーは、カンチレバーリングのアームとリアクションプレートの上面との間に配置され、ブラダーを拡張して、リアクションプレートの底面に向かって研磨プレートを変形させる請求項5に記載のプラテン。
【請求項7】
シリコンウエハの両面研磨用の研磨装置であって、
第1プラテンであって、
上面および底面を有し、そこを通って延びる縦方向の軸を規定するリアクションプレートと、
リアクションプレートと同軸に配置された研磨プレートであって、第2の上面および第2の底面を有し、第2の上面はリアクションプレートの底面に隣り合う研磨プレートと、
リアクションプレートの上面および底面の一方の、半径方向に外方部分に沿って配置されたブラダーであって、リアクションプレートと同軸に配置され、リアクションプレートの底面に対して研磨プレートを変形させるために、研磨プレートに接続されたブラダーと、
リアクションプレートを研磨プレートに接続するリング状に並んだ複数の留め具であって、ブラダーから半径方向に内方に間隔をおいて配置され、研磨プレートの外方端部が、リアクションプレートの底面に対して縦方向に動けるようにしたリング状に並んだ複数の留め具と、を含む第1プラテンと、
第1プラテンと同軸に配置された第2プラテンであって、第1プラテンから間隔をおいて、その間に隙間を形成する第2プラテンと、
第1プラテンと第2プラテンとの間の隙間内に配置されたウエハキャリアと、を含む研磨装置。
【請求項8】
ブラダーは、リアクションプレートと研磨プレートとの間に配置され、ブラダーを拡張させて、リアクションプレートの底面から離れるように研磨プレートを変形させる請求項7に記載の研磨装置。
【請求項9】
研磨プレートの第2の底面は、自然状態で平坦形状を有し、ブラダーは、平坦形状から第2の底面を変形させるように配置される請求項7に記載の研磨装置。
【請求項10】
第1のプラテンは、研磨プレートに接続されたカンチレバーリングを含み、このカンチレバーリングは、リアクションプレートに沿って縦方向に延びるレッグと、リアクションプレートの上面の少なくとも一部に沿ってレッグから半径方向に延びるアームとを有し、リアクションプレートの底面に対する研磨プレートの変形を制限する請求項7に記載の研磨装置。
【請求項11】
ブラダーは、カンチレバーリングのアームとリアクションプレートの上面との間に配置され、ブラダーを拡張して、リアクションプレートの底面に向かって研磨プレートを変形させる請求項10に記載の研磨装置。
【請求項12】
第1のプラテンは、リアクションプレートと研磨プレートとの間に配置された第2ブラダーを含み、ブラダーを拡張させて、リアクションプレートの底面から離れるように研磨プレートを変形させる請求項11に記載の研磨装置。
【請求項13】
第1のプラテンは、リアクションプレートと研磨プレートとの間に少なくとも一部が延びて、研磨プレートの温度を調整する熱交換マニフォールドを含む請求項7に記載の研磨装置。
【請求項14】
熱交換マニフォールドは研磨プレートと接続され、第1のプラテンは、リアクションプレートの底面と熱交換マニフォールドとの間に配置された第2のブラダーを含み、ブラダーを拡張させて、リアクションプレートの底面から離れるように研磨プレートを変形させる請求項13に記載の研磨装置。
【請求項15】
シリコンウエハを研磨する方法であって、
研磨装置を提供する工程であって、この研磨装置は、
プラテンであって、
上面および底面を有し、そこを通って延びる縦方向の軸を規定するリアクションプレートと、
リアクションプレートと同軸に配置された研磨プレートであって、第2の上面および第2の底面を有し、第2の上面はリアクションプレートの底面に隣り合う研磨プレートと、
リアクションプレートの上面および底面の一方の、半径方向に外方の部分に沿って配置されたブラダーであって、リアクションプレートと同軸に配置され、リアクションプレートの底面に対して研磨プレートを変形させるために、研磨プレートに接続されたブラダーと、
リアクションプレートを研磨プレートに接続するリング状に並んだ複数の留め具であって、ブラダーから半径方向に内方に間隔をおいて配置され、研磨プレートの外方端部が、リアクションプレートの底面に対して縦方向に動けるようにしたリング状に並んだ複数の留め具と、を含むプラテンと、
研磨プレートの第2の底面に隣り合って配置されたウエハキャリアと、を含む装置である工程と、
ウエハキャリアの上にウエハを乗せる工程と、
ウエハと研磨プレートとの間で動きを発生させることにより、少なくともウエハの表面を研磨する工程と、
研磨されたウエハの表面の平坦性を測定する工程と、
ブラダー内の内部圧力を調整し、ウエハキャリアに対して研磨プレートをそらせて、研磨された表面の平坦性を改良する工程と、を含む方法。
【請求項16】
更に、ウエハにスラリーを供給する工程を含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
更に、ウエハの研磨された表面の平坦性を測定する工程の前に、ウエハの研磨された表面を仕上げ研磨する工程を含む請求項15に記載の方法。
【請求項18】
更に、ウエハの研磨された表面の平坦性を測定する工程の前に、ウエハの研磨された表面の上に、シリコン層を堆積する工程を含む請求項15に記載の方法。
【請求項19】
ウエハの表面を研磨するためのプラテンであって、
上面および底面を有し、そこを通って延びる縦方向の軸を規定するリアクションプレートと、
リアクションプレートと同軸に配置された研磨プレートであって、第2の上面および第2の底面を有し、第2の上面はリアクションプレートの底面に隣り合う研磨プレートと、
リアクションプレートの上面および底面の一方の、半径方向に外方の部分に沿って配置されたブラダーであって、リアクションプレートと同軸であり、リアクションプレートの底面に対して研磨プレートを変形させるために、研磨プレートに接続されたブラダーと、
リアクションプレートと研磨プレートとの間に少なくとも一部が延びて、研磨プレートの温度を調整する熱交換マニフォールドと、を含むプラテン。
【請求項20】
ウエハの表面を研磨するためのプラテンであって、
上面および底面を有し、そこを通って延びる縦方向の軸を規定するリアクションプレートと、
リアクションプレートと同軸に配置された研磨プレートであって、第2の上面および第2の底面を有し、第2の上面はリアクションプレートの底面に隣り合う研磨プレートと、
リアクションプレートの上面および底面の一方の、半径方向に外方の部分に沿って配置されたブラダーであって、リアクションプレートと同軸であり、リアクションプレートの底面に対して研磨プレートを変形させるために、研磨プレートに接続されたブラダーと、
研磨プレートに接続されたカンチレバーリングであって、リアクションプレートに沿って縦方向に延びるレッグと、リアクションプレートの上面の少なくとも一部に沿ってレッグから半径方向に延びるアームとを有し、リアクションプレートの底面に対する研磨プレートの変形を制限するカンチレバーリングと、を含むプラテン。
【請求項21】
ブラダーは、カンチレバーリングのアームとリアクションプレートの上面との間に配置され、ブラダーを拡張して、リアクションプレートの底面に向かって研磨プレートを変形させる請求項20に記載のプラテン。
【請求項22】
プタテンは、リアクションプレートと研磨プレートとの間に配置された第2ブラダーを含み、ブラダーを拡張させて、リアクションプレートの底面から離れるように研磨プレートを変形させる請求項21に記載のプラテン。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願の請求項は、2012年12月18日に出願された米国仮出願61/738,733についての優先権を主張し、その開示は、その全体が参照されることにより、ここに援用される。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般には半導体ウエハまたはソーラーウエハの研磨に関し、特に、両面研磨装置および半導体ウエハの表面および裏面の平高度を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体ウエハは、一般に、その上に回路がプリントされる集積回路(IC)チップの製造に使用される。回路は、最初に、小型形態でウエハの表面上にプリントされる。次に、ウエハは、回路チップに分割される。この小型回路は、ウエハの表面および裏面は極めて平坦かつ平行で、ウエハの全表面の上に適切に回路がプリントされることを必要とする。これを行うために、通常、グラインドプロセスおよび研磨プロセスが、インゴットからウエハが切り出された後に、ウエハの表面および裏面の平坦性および平行性を改良するために使用される。
【0004】
電子ビームリソグラフィプロセスまたはフォトリソグラフィプロセス(以下、「リソグラフィ」という。)によりウエハ上に小型回路をプリントするために準備されるウエハを研磨する場合、特に良好な仕上げが要求される。小型回路がその上にプリントプされるウエハ表面は、平坦でなければならない。一般には、ウエハ上で新しい研磨パッドが使用された場合には、ウエハの研磨された表面の平坦性は許容できるが、多くのウエハを研磨して研磨パッドがすり減るに従って、平坦性は許容できなくなる。
【0005】
従来の研磨機の構造および操作は、許容できない平坦性パラメータに貢献する。研磨機は、一般に、パッドの中心を通る垂直軸の周囲で駆動されて回転するためのターンテーブルまたはプラテンの上に搭載された円形または環状の研磨パッドを含む。一般には化学研磨剤と研磨粒子とを含む研磨スラリーが、研磨パッドとウエハの表面との間の研磨相互作用を大きくするためにパッドに適用される。このタイプの研磨操作は、一般に、化学機械研磨または単にCMPと呼ばれる。
【0006】
操作中に、パッドは回転し、ウエハをパッドに接触させる。例えば数100ウエハ後にパッドが摩耗すると、パッドはもはや平坦で無いために、ウエハ平坦パラメータが低下し、代わりに、パッドの研磨面に沿ってへこみを形成する摩耗した環状の帯を有する。そのようなパッドの摩耗は、ウエハの平坦性に影響し、「ディッシング(dishing)」や「ドーミング(doming)」を起こす。
【0007】
図1に示すように、「ドーミング」は、一般に凸状の研磨面52を有するウエハ50となる。凸状の表面52は、摩耗したパッドが、ウエハ50の表面の中心において、ウエハの端部54に近い領域よりも少ない量の材料を除去することで発生する。これは、パッドの除去速度は、その摩耗に反比例するためである。換言すれば、より少なく摩耗したパッドの部分は、より多く摩耗したパッドの部分より、より多くの材料を除去する。最も少ない量の材料が、摩耗した環状の帯に対応するパッドの部分により、ウエハ50から除去される。結果として、ウエハの研磨された表面52は、全体が「ドーム型の」形状を有するようになる。
【0008】
図2に示すように、「ディッシング」は、一般に凹状の研磨面62を有するウエハ60となる。これが起きる1つの潜在的な理由は、研磨パッドに、研磨剤(例えば、スラリーからのコロイド材料、先に研磨されたウエハからの破片、および保持リングからの破片)が埋め込まれ、摩耗した領域で除去速度が増加することによる。より摩耗したパッドの部分は、より摩耗していないパッドの部分より、研磨プロセス中に、ウエハからより多くの材料を除去する。結果として、ウエハ60の中心から、ウエハの端部64からよりも多くの材料が除去され、全体が「ディッシュ」型を有するウエハの研磨面62となる。
【0009】
ウエハの平坦性が許容出来なくなった場合(例えば、あまりに「ドーム型」またはあまりに「ディッシュ型」)、摩耗したパッドは新しいパッドに取り替えなければならず、または、パッドのドレッシングまたはコンディショニング操作を行い、パッドを使用できる状体に戻す必要がある。それらの仕事は、研磨機の操作に大幅なコストの追加となる。なぜならば、購入、貯蔵、および廃棄する必要があるパッドの数のためであり、また、研磨パッドの交換またはパッドのドレッシング/コンディショニングを行うのに必要とされる時間の実質的な量のためでもある。
【0010】
このように、研磨プロセス中にウエハの表面のドーミングおよびディッシングの双方を阻止すること、および研磨パッドの使用寿命を延ばすことが、研磨機にとって必要となる。
【0011】
この背景技術のセクションは、以下に記載され、および/または請求された、本開示の様々な形態に関連する、様々な技術の形態を、読者に紹介することを意図する。この議論は、本開示の様々な形態のより良い理解を手助けするために、背景情報を読者に提供する助けとなるものと信じる。このように、これらの記載は、この観点から読まれるべきであり、従来技術の自白として読むべきではないことを理解すべきである。
【発明の概要】
【0012】
第1の形態は、ウエハの表面を研磨するためのプラテンである。プラテンは、反応プレート(reaction plate)、研磨プレート(polishing plate)、およびブラダー(bladder)を有する。反応プレートは、底面および上面を有し、そこを通って延びる縦方向の軸を形成する。研磨プレートは、反応プレートと同軸に配置される。研磨プレートは、第2の上面と第2の底面を有する。第2の上面は、反応プレートの底面と隣り合う。ブラダーは、反応プレートの上面および底面の1つの、半径方向(放射状)に外方部分に沿って配置される。ブラダーは、研磨プレートと接続され、反応プレートの底面に対して研磨プレートを変形させる。
【0013】
他の形態は、シリコンウエハの両面研磨のための研磨機である。研磨機は、第1プラテンおよび第2プラテンと、ウエハキャリアとを含む。第1プラテンは、反応プレート、研磨プレート、およびブラダーを含む。反応プレートは、底面および上面を有し、そこを通って延びる縦方向の軸を形成する。研磨プレートは、反応プレートと同軸に配置され、第2の上面および底面を有する。第2の上面は、反応プレートの底面と隣り合う。ブラダーは、反応プレートの上面または底面の半径方向に、外方部分に沿って配置される。ブラダーは、反応プレートと同軸に配置され、研磨プレートに接続されて、反応プレートの底面に対して研磨プレートを変形させる。第2プラテンは、第1プラテンから、その間に隙間をおいて配置される。ウエハキャリアは、第1プラテンと第2プラテンとの間の隙間中に配置される。
【0014】
他の形態は、シリコンウエハを研磨するための方法である。研磨機は、ウエハキャリアと、反応プレート、研磨プレート、およびブラダーを有するプラテンとを含む。反応プレートは、底面および上面を有し、そこを通って延びる縦方向の軸を形成する。研磨プレートは、反応プレートと同軸に配置され、第2の上面および底面を有する。第2の上面は、反応プレートの底面と隣り合う。ブラダーは、反応プレートの上面または底面の半径方向に、外方部分に沿って配置される。ブラダーは、反応プレートと同軸に配置される。ブラダーは研磨プレートに接続され、反応プレートの底面に対して研磨プレートを変形させる。ウエハキャリアは、研磨プレートの第2の底面に隣り合って配置される。ウエハはウエハキャリア中に配置される。少なくともウエハの表面は、ウエハと研磨プレートとの間に移動を起こすことで研磨され、ウエハ上に研磨面を形成する。ウエハの研磨面の平坦性が検出される、ブラダーの中の内部圧力が調整されて、ウエハキャリアに対して研磨プレートをそらせて、研磨面の平坦性を改良する。
【0015】
上述の形態に関連して記載される特徴の、様々な改良が存在する。更なる特徴は、また、上述の形態と同様に援用される。それらの改良および追加の特徴は、独立して、または組み合わされて存在する。例えば、記載された具体例に関連して以下で検討された様々な特徴は、単独でまたは組み合わせて、上述の形態中に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】負の隙間を有する両面研磨機を備えた両面研磨機の側面図である。
【
図4】正の隙間を有する上部ターンテーブルを備えた両面研磨機の側面図である。
【
図5】一の具体例にかかるウエハ両面研磨機の分解図である。
【
図6】
図5の両面研磨機の第1プラテンの斜視図である。
【
図7】
図5の両面研磨機の第1プラテンの部分断面図である。
【
図8】他の具体例のウエハ両面研磨機の分解図である。
【
図9】
図8の両面研磨機の第1プラテンの断面図である。
【0017】
様々な図面中の類似の参照符号は、類似の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図5を参照して、両面研磨機の一部が模式的に示され、全体が100で表される。両面研磨機は、1またはそれ以上の単結晶シリコンインゴットから切り出された半導体ウエハWの表側および裏側を研磨するために使用される。他のタイプの両面研磨機の使用も考慮された。研磨機100は、複数のおおよそ環状の第1プラテン120と、おおよそ環状の第2プラテン220との間に配置された、複数のおおよそ環状のウエハキャリア102を含む。
【0019】
それぞれのウエハキャリア102は、少なくとも1つの円形の開口部(この具体例では3つ)を有し、ウエハWを受けてその中に配置する。それぞれのウエハキャリア102の端部は、「サン(sun)」で噛み合わされたリングギア(図示せず)または内部ギア、および研磨機100の外部ギア(図示せず)を有する。内部ギアおよび外部ギアは、好適な駆動メカニズムで動かされて、選択された速度でキャリアを回転させる。
【0020】
第1プラテン120および第2プラテン220は、従来技術で知られている好適な駆動メカニズム(図示せず)で、選択された回転速度で回転する。いくつかの具体例では、研磨機100は、コントローラ(図示せず)を含み、第2プラテン220のために選択された回転速度とは異なる第1プラテン120のために選択された回転速度をオペレータが選択できるようにする。いくつかの具体例では、第1プラテン120と第2プラテン220は、同じ方向または反対の方向に回転可能である。
【0021】
更に
図5を参照すると、第1プラテン120は、反応プレート130と研磨プレート150とを含む。研磨プレート150は、反応プレート130の底面132から間隔をおいて配置される。第2プラテン220は、第2反応プレート230と第2研磨プレート250とを含む。第2研磨プレート250は、第2反応プレート230の面232から間隔をおいて配置される。
【0022】
更に
図7を参照すると、第1プラテン120は、おおよそ環状のブラダー160と、熱交換マニフォールド170とを含む。ブラダー160および熱交換マニフォールド170は、互いに間隔をあけ、反応プレート130および研磨プレート150に対して同軸に配置される。ブラダー160は、圧力制御システム(図示せず)により調整される内部圧力に基づいて、拡張したり縮小したりできる。圧力制御システムは、他の作動システムも考えられるが、例えば、水圧または空気圧での作動を含んでもよい。それらの作動システムは関連分野で良く知られており、詳しくは記載しない。
【0023】
反応プレート130の底面132は、反応プレートの外方端部136に沿って、ブラダーの上面164に直接接続する。反応プレート130は十分に硬く、ブラダー160からの与えられた拡張力の結果のたわみに耐える。熱交換マニフォールド170は、反応プレート130の底面132と、ブラダー160の底面162の双方と隣り合う上面174を有する。反応プレート130の底面132と、熱交換マニフォールド170の上面174
は、間をおいて、その間に間隔を形成する。
【0024】
熱交換マニフォールド170は、研磨プレート150の上面154と直接隣り合う底面172を有する。結果として、ブラダー160によるいかなる拡張も、反応プレート130に向かって働き、熱交換マニフォールド170と研磨プレート150を、ウエハキャリア102に向かう下方に向かわせる。
【0025】
両面研磨機100は、研磨プレート150の温度を調整するために、第1プラテン120の熱交換マニフォールド170を通る熱交換媒体の循環を制御するための第1温度制御システム(図示せず)を含む。
【0026】
いくつかの具体例では、研磨プレート150の底面152は、自然状態で平坦な形状を有する。いくつかの具体例では、ブラダー160の最初の膨張は、底面152をゆがめ、または変形させる。
【0027】
いくつかの具体例では、研磨プレート150の底面152は、自然状態または無変形状態では円錐形状を有する。それらの具体例では、ブラダー160による最初の拡張は、研磨プレート150の底面152を、円錐形状から実質的に平坦な形状に変形する。ブラダー160による追加の拡張は、研磨プレート150の底面152を更に変形させ、最初の無変形状態から反対の円錐形状にする。
【0028】
第1プラテン120は、おおよそ環状のカンチレバーリング180を含む。カンチレバーリング180は、レッグ182とアーム184とを有し、これらは実質的に互いに直交する。レッグ182とアーム184は、L型の断面を形成する。レッグ182は、研磨プレート150の外方端部156に接続され、反応プレートの縦方向に沿って伸びる。アーム184は、レッグから反応プレート130の上面134の上の位置に内方に半径方向に延び、反応プレートの少なくとも一部の上に延びる。アーム184と反応プレート130の重なりは、反応プレートに対して研磨プレート150の動きを制限するように機能し、反応プレートの底面に対して研磨プレートの変形を制限しても良い。通常範囲の操作では、重なるアーム184と反応プレート130は十分な空間を有し、他に対する移動を制限する接触を防止する。
【0029】
第1プラテン120はまた、カンチレバーリング180のアーム184と反応プレート130との間に、反応プレート130の外方の円周の端部136に沿って配置される、おおよそ環状の第2のブラダー190を含む。第1の環状のブラダー160および第2の環状のブラダー190は、反応プレート130の底面132および上面134に沿って実質的に対向配置されている。第2ブラダー190内の拡張力は、第2ブラダーの底面192を、反応プレート130に向かって機能させ、反応プレート130は十分に硬く、第2ブラダー190内からの拡張力の適用の結果としてのたわみに抵抗する。
【0030】
拡張力は、次に、カンチレバーリング180を上方に、反応プレート130から遠くに動かす。カンチレバーリング180の上方への移動は、次に研磨プレート150の外周端部156を、反応プレート130に向かって上方に移動させる。この結果、研磨プレート150は、その半径の長さに沿ってたわむ。
【0031】
第1プラテン120は、
図6に示すように、ブラダー160から内方に半径方向に配置された環状リングの留め具200を含む。更に
図7を参照すると、留め具200は、反応プレート130、熱交換マニフォールド170、および研磨プレート150を接続する。留め具200の配置は、結合点を提供し、この結合点は、研磨プレート150の外方端部156が、反応プレート130の底面132に対して縦方向に動くようにする。拡張力がブラダー160、190のいずれかの中で変化した場合、研磨プレート150は、留め具200の周囲で曲げられる。これにより、研磨プレート150は、留め具200の周りで撓む。
【0032】
ブラダー160、190と組み合わされた圧力制御システムは、研磨プレート150の端部156と第2研磨プレート250との間の隙間を制御できるようにする。内部圧力の形で、ブラダー160、190に拡張力を加えると、ブラダーは拡張または大きくなり、圧力を除去すると、ブラダーは縮小または小さくなる。
【0033】
ブラダー160、190の大きな面積により、数1000ポンドの力が、比較的小さな圧力(<100psi(平方インチあたりのポンド)で形成される。ブラダー160、190内での圧力の操作は、一般には45psiより小さく、より特別には、約20psiから約30psiの範囲である。この範囲の圧力は、約−200μmから約+150μmの範囲で、研磨プレート150の外方端部156を変形させる。いくつかの具体例では、変形の範囲は、約−150μmから約+150μmであり、または約−150μmから約+100μmである。
【0034】
それぞれのブラダー160、190内の圧力は、それぞれのブラダーの上面および下面に沿って均一に分散する。このように、ブラダー160、190は、縦方向に、均一に拡張して、反応プレート130の外周に接触する。結果として、ブラダー160、190内の拡張力は、本質的に均一である。
【0035】
第2プラテン220は、上述の構造の第2プラテン220を含み、第2反応プレート230に対して第2研磨プレート250を撓ませることも熟考される。また、両面研磨機が、第1プラテン120の熱交換マニフォールドを通る冷却媒体の循環を制御するために、第2温度制御システム(図示せず)を含むことも熟慮される。分離されたシステムは、使用者が、第2研磨プレート250と研磨プレート150の温度を互いに独立して変えることを可能にする。
【0036】
他の具体例の両面研磨機が
図8に示され、全体が500として参照される。研磨機500は、ウエハキャリア102のそれぞれの側面上に、
図9に示すような第1プラテン510と、第2プラテン520を含む。第1プラテン510は、
図10に示すような反応プレート530、および
図12に示すような研磨プレート550を含み、第2プラテン520は、第2反応プレート580と第2研磨プレート590を含む。
【0037】
反応プレート530は、研磨プレート550の上に配置される。環状のブラダー560と、
図11に示すような熱交換マニフォールド570は、反応プレート530と研磨プレート550との間に配置される。
【0038】
留め具572のリングは、研磨プレート550と熱交換マニフォールド570とを、反応プレート530に接続させる。留め具572のリングは、実質的に共通の距離だけ、第1プラテン510の中心から半径方向に距離をおく。留め具572は、曲げ点を提供し、その周りで研磨プレートが撓む。
【0039】
一つの具体例の方法では、研磨機は、第1プラテンの研磨プレートと、第2プラテンの第2研磨プレートとの間に配置されたウエハキャリアを有する。少なくとも1つのウエハが、ウエハキャリア中に配置される。ウエハの1つの側面は研磨プレートに面し、ウエハの他の側面は第2研磨プレートに面する。
【0040】
操作において、第1プラテンは、第2プラテンに向かって下方に下げられて、研磨プレートをウエハの1つの側面に接触させ、第2研磨プレートをウエハの他の側面に接触させる。研磨スラリーが、研磨プレートの少なくとも1つに提供される。ウエハキャリア、研磨プレート、および第2研磨プレートは、回転する。第1プラテンは、研磨中、選択された「押し下げ力(down force)」で下方に向けられ、それぞれの研磨プレートにより、ウエハの側面が同時に研磨される。ウエハに対する研磨プレートの動きは、ウエハの一部を研磨し、研磨された面を形成する。
【0041】
この両面研磨操作は、比較的短い期間、例えば1時間より短い時間、行われる。なお、両面研磨中に除去された材料の量は、仕上げ研磨中に除去された材料より、1桁以上大きい。
【0042】
ウエハキャリアからウエハは離され、研磨された表面の平坦性が、適切な方法で検出される。もし、研磨された表面の平坦性が予め定めた標準偏差内に無いことが検出されれば、ブラダー内の内部圧力が調整され、研磨表面の平坦性を改良するために、ウエハに対して研磨プレートをそらせる。ブラダー内の圧力の調整は、半径長さに沿った研磨プレートの変形を増加させ、または減少させる。結果として、研磨プレートの端部はウエハに向かい、またはウエハから離れる。
【0043】
平坦性が検出される前に、研磨された表面の平坦性に影響する追加の処理工程が行われても良い。追加の処理工程は、ウエハの研磨された表面を仕上げ研磨する工程、および/またはウエハの研磨された表面に沿ってシリコン層を堆積する工程を含む。
【0044】
ここに記載された具体例は、高効率で経済的な研磨装置および半導体ウエハの表面を同時に研磨する工程を含む半導体ウエハを処理する方法を可能にする。装置および方法は、研磨装置の操作実行時間を延ばす。他の利点は、改良されたウエハ生産性と製品の許容誤差を含み、一方、研磨パッドの交換に関するメンテナンスに必要な時間の低減を含む。
【0045】
本発明またはその具体例の要素を紹介する場合、冠詞「一つの(a)」、「一つの(an)」、「その(the)」、および「該(said)」は、1またはそれ以上の要素の存在を意味することを意図する。「含む(comprising)」または「有する(having)」の用語は、包括的であることを意図し、列挙された要素以外に追加の要素があることを意味する。特定の位置を示す用語(例えば、「上(top)」、「下(bottom)」、「横(side)、「下に(down)」、および「上に(up)」等
)は、記載の便宜のためであり、記載された用語の特別な位置を要求するものではない。
【0046】
上記構成および方法中で、本発明の範囲から離れることなく、様々な変形が可能であるため、上記記載に含まれ、図面を参照に示された全ての問題は、例示的であり、限定的でないと解釈されるべきである。