(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6165266
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】圧力補償素子を有する断熱ガラス窓
(51)【国際特許分類】
E06B 3/677 20060101AFI20170710BHJP
C03C 27/06 20060101ALI20170710BHJP
E06B 3/663 20060101ALI20170710BHJP
E06B 3/67 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
E06B3/677
C03C27/06 101Z
E06B3/663 M
E06B3/67 A
E06B3/663 F
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-548292(P2015-548292)
(86)(22)【出願日】2013年8月20日
(65)【公表番号】特表2016-506465(P2016-506465A)
(43)【公表日】2016年3月3日
(86)【国際出願番号】EP2013067278
(87)【国際公開番号】WO2014095097
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2015年6月19日
(31)【優先権主張番号】12198381.1
(32)【優先日】2012年12月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512212885
【氏名又は名称】サン−ゴバン グラス フランス
【氏名又は名称原語表記】Saint−Gobain Glass France
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター コトヴスキー
(72)【発明者】
【氏名】カトリン アメディック
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルター シュライバー
【審査官】
村田 泰利
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−101987(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02006481(EP,A1)
【文献】
特開平06−241374(JP,A)
【文献】
特開平05−254136(JP,A)
【文献】
特開平02−061282(JP,A)
【文献】
特開昭59−078957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/54−3/88
C03C 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力補償体を有する断熱ガラス窓であって、少なくとも、
a.第1の板材(1)及び第2の板材(2)と、
b.前記第1の板材(1)及び前記第2の板材(2)の間の包囲スペーサ(3)であって、少なくとも二つの平行に延在する板材接触壁(5a,5b)、外側壁(5c)、ガラス窓内側壁(5d)、及び、前記外側壁(5c)を貫通する孔開口(6)を有する基体(5)を備えたスペーサ(3)と、を備え、
c.中空の圧力補償体(7)及びシール材(9)が、前記第1の板材(1)と前記第2の板材(2)との間の外側の板材間空間(12)に配置されており、前記圧力補償体(7)は、外周を取り囲む外壁(16a)と、前記圧力補償体(7)内に固定された、気体を透過させかつ蒸気拡散を防止するダイアフラム(8)とを有し、かつ、弁も可動部も含んでおらず、
d.前記圧力補償体(7)は前記孔開口(6)を介して前記スペーサ(3)と連通されており、かつ、前記孔開口(6)と前記圧力補償体(7)の外壁(16a)との間には封止手段(11)が配置されており、
e.前記中空の基体(5)は乾燥剤を収容し、かつ、
f.前記中空の基体(5)は少なくとも1つの隔壁(17)を有する、
断熱ガラス窓。
【請求項2】
前記乾燥剤は、シリカゲル、CaCl2、Na2SO4、活性炭、ケイ酸塩、ベントナイト、ゼオライト、モレキュラーシーブ、及び/又は、これらの混合物を含む、請求項1記載の断熱ガラス窓。
【請求項3】
前記隔壁(17)は、前記圧力補償体(7)と隣り合って配置されている、請求項1又は2記載の断熱ガラス窓。
【請求項4】
前記スペーサ(3)の前記ガラス窓内側壁(5d)は、透過性の領域(18)を含み、当該透過性の領域(18)は、前記中空の基体(5)の中空室(5e)を前記断熱ガラス窓の内部空間(15)に気体透過性に連通させる、請求項1から3までのいずれか一項記載の断熱ガラス窓。
【請求項5】
前記ガラス窓内側壁(5d)は、前記透過性の領域(18)において一つ又は複数の開口(20)及び/又は気体透過性の壁を有する、請求項4記載の断熱ガラス窓。
【請求項6】
前記ガラス窓内側壁(5d)は、部分的に又は区画毎に気密アイソレーション層(4b)又は気密性の内壁を含み、気体非透過性の領域(19)を形成する、請求項4又は5記載の断熱ガラス窓。
【請求項7】
前記圧力補償体(7)と透過性の領域(18)との間に、前記気体非透過性の領域(19)が延在する、請求項6記載の断熱ガラス窓。
【請求項8】
前記包囲スペーサ(3)に沿った前記気体非透過性の領域(19)の長さdは、前記スペーサ(3)の全長Uの少なくとも0.2倍である、請求項6又は7記載の断熱ガラス窓。
【請求項9】
前記中空の圧力補償体(7)は、狭窄部(13)を介して前記孔開口(6)と連通されている、請求項1から8までのいずれか一項記載の断熱ガラス窓。
【請求項10】
前記圧力補償体(7)は、金属又は気密性のプラスチック、及び/又は、これらの混合物を含む、請求項1から9までのいずれか一項記載の断熱ガラス窓。
【請求項11】
前記圧力補償体(7)は、アルミニウム、ポリエチレンビニルアルコール(EVOH)、低密度ポリエチレン(LDPE)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(BOPP)、及び/又は、これらの共重合体、及び/又は、これらの混合物を含む、請求項1から9までのいずれか一項記載の断熱ガラス窓。
【請求項12】
内装ガラス窓、外装ガラス窓、及び/又は、ファサードガラス窓である請求項1から11までのいずれか一項記載の断熱ガラス窓。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか一項記載の、圧力補償体を有する断熱ガラス窓を製造するための方法であって、
a.二つの平行に延在する板材接触壁(5a,5b)と、外側壁(5c)と、ガラス窓内側壁(5d)とを有する中空の基体(5)を備えたスペーサ(3)を用意し、
b.前記スペーサ(3)に、前記外側壁(5c)を貫通する孔開口(6)を設け、
c.前記スペーサ(3)を、接着層(10)と共に、第1の板材(1)と第2の板材(2)との間に配置し、
d.気体透過性及び蒸気拡散防止性のダイアフラム(8)がその中に固定されている、中空の圧力補償体(7)を、前記孔開口(6)の中に、又は、前記孔開口(6)に接するように、前記第1の板材(1)と第2の板材(2)との間で固定し、
前記圧力補償体(7)の外壁(16a)と前記孔開口(6)との間に、封止手段(11)を配置し、
e.前記中空の圧力補償体(7)を収容する、前記第1の板材(1)と前記第2の板材(2)との間の、外側の板材間空間(12)に、シール材(9)を充填する、
方法。
【請求項14】
前記中空の圧力補償体(7)は、取り外し可能なキャップ(14)を有する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記中空の圧力補償体(7)は、前記取り外し可能なキャップ(14)として、ゴムキャップを有する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
ステップe.の後に、前記キャップ(14)を取り外す、請求項14又は15記載の方法。
【請求項17】
前記圧力補償体(7)と前記孔開口(6)との間に、ブチルテープを前記封止手段(11)として配置する、請求項13から16までのいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力補償素子を有する断熱ガラス窓、その製造方法、および、その使用に関する。
【0002】
ガラスの熱伝導率はコンクリート又は類似の建築資材のそれに比べて、1/2から1/3ほどである。ほとんどの場合、窓ガラスは、石材またはコンクリートからなる比較可能な素材より、はるかに薄く設計されているので、建物はしばしば熱量の大部分を外装ガラス窓から失う。この作用は、特に、部分的な又は完全なガラスファサードを備えた高層ビルで顕著になる。暖房及び冷房システムのために必要となる追加の費用は、建物の維持費の相当の部分を占める。加えて、厳格な建築基準によって、低い二酸化炭素排出量が要求される。このための重要な解決策は、断熱ガラス窓である。断熱ガラス窓は、なによりも、急速に上昇し続ける原材料費、及び、より厳格になる環境保護規制によって、建物の建設に欠くことのできないものとなっている。そのため、断熱ガラス窓は、外装として設けられたガラス窓の中で、増加する大きな部分を占めている。断熱ガラス窓は、一般に、少なくとも2枚の、ガラス又はポリマー材料からなる板材を含む。これらの板材は、間隔保持部材(スペーサ)によって規定された、気体又は真空の空間によって互いに隔てられている。断熱ガラスの熱遮断能力は、単一ガラスのそれより著しく高く、三重ガラスにおいて、または、特殊なコーティングによれば、さらに改良乃至向上させることができる。例えば、銀含有コーティングは、赤外線の透過を減少させることを可能にし、冬期の建物の冷却を低下させる。重要な断熱特性に加えて、建物の窓の分野では、光学的及び美的特徴も重要な役割を果たしている。
【0003】
特に、大面積のガラスファサードを備えた建物においては、断熱作用が費用の理由だけでなく、重要な役割を果たしている。通常は壁に比べて非常に薄いので、ガラスの断熱性は比較的低くなり、そのため、この分野で改良が必要とされている。
【0004】
ガラスの性質及び構造に加えて、断熱ガラス窓の他の構成要素も重要である。シール部材、及び、とりわけスペーサは、断熱ガラス窓の品質に大きな影響を及ぼす。
【0005】
とりわけ、ガラス板とスペーサとの間の接触部は、温度及び気候変動に非常に敏感である。ガラス板とスペーサとの間の接着は、例えばポリイソブチレンなどの有機ポリマーから成る接着接合によって行われる。接着接合部の物理的特性に対しては、直接的な作用に加え、特にガラス自体が作用する。例えば日光の照射などによる温度変化によってガラスが膨張し、又は、冷却の際には再び収縮する。同時に、この機械的な動きは、接着接合部を、引き延ばし又は圧縮するが、これは固有の弾性によって制限された範囲でしか補償されない。断熱ガラス窓の耐用年数の経過において、上述の機械的ストレスは接着接合部の部分的または全体的な剥離を意味する。この接着接合部の剥離は、その後、断熱ガラス窓への湿気の浸入を引き起こしうる。こうした環境負荷は、ガラス板の領域に曇り及び断熱効果の低下を招きうる。
【0006】
独国特許出願公開第4024697号明細書には、少なくとも2枚のガラス板とスペーサ成形物とを備えた防水多層断熱ガラスが開示されている。密封は、スペーサ上へのポリ塩化ビニリデンフィルムまたはコーティングにより行われる。エッジの接合はポリ塩化ビニリデンを含む溶液を用いて行われる。
【0007】
欧州特許第0852280号明細書には、多層断熱ガラス窓のためのスペーサが開示されている。スペーサは、接着領域に金属フィルムを含み、基体のプラスチック内にガラスファイバ添加物を含む。
【0008】
独国特許出願公開第19625845号明細書には、熱可塑性オレフィンからなるスペーサを備えた断熱ガラスユニットが開示されている。このスペーサは、1gmm/mm
2・dより小さい水蒸気透過性と、高い引っ張り強度と、高いショア硬度とを有している。さらに、このスペーサは、水蒸気バリアとして気密フィルムを含む。
【0009】
欧州特許第0261923号明細書には、乾燥剤が混合された透湿性の発泡材とからなるスペーサを備えた多層断熱ガラス窓が開示されている。このアレイは、好ましくは、外側のシーリングと、気体及び湿気封止フィルムとによって覆われている。このフィルムは金属コーティングされたPET及びポリ塩化ビニリデン共重合体を含む。
【0010】
独国特許出願公開第3808907号明細書には、エッジ接着部を通る通気チャネルと、乾燥剤が充填された乾燥チャンバと、を有する多層ガラス板が開示されている。
【0011】
独国特許出願公開第102005002285号明細書には、断熱ガラスのガラス板同士の間の空間に適用される断熱ガラス圧力補償化システムが開示されている。
【0012】
欧州特許第2006481号明細書には、気体が封入された断熱ガラスユニットのために圧力を補償する装置が開示されている。ここで、断熱ガラス窓のスペーサには、圧力補償弁が組み込まれている。この種の圧力補償弁は、システムの高いエラー発生率を招くだけでなく、生産コストを著しく高める原因となる、多数の可動部という形の複雑な機構を有する。さらなる欠点は、この断熱ガラス窓システムの圧力補償にかかる時間が長いことである。そのため、圧力補償のないシステムと比べて、ガラス窓の出荷前に、より長い保管期間が必要になる。さらに、圧力補償弁によれば、限られた容積の交換しか可能とならず、そのため、特に大きいガラス板では、多数の弁が必要になり、追加の弁ごとにシステムを脆弱化させ、追加の製造コストを生じさせる。
【0013】
スペーサ内のリークは、断熱ガラス窓内の不活性ガスの損失に容易につながる。断熱ガラス窓の板材間隔に依存して、例えば種々の希ガスまたは空気が利用される。これは、遮断作用の低下に加えて、断熱窓ガラスへ湿気を浸入しやすくさせる。断熱ガラス窓の板材間の湿気によって形成された結露は、非常に重大な光学的品質の劣化を引き起こし、多くの場合に断熱ガラス窓全体の交換を必要にさせる。同時に、非常に封止性の高い断熱ガラス窓は、空気圧や温度の変化の影響を受けやすい。例えば日照条件が変化する場合のような、大きな温度変動があると、大きな圧力差が生じる。こうした圧力差は、断熱窓ガラス自体の変形及び/又は窓枠の変形を引き起こしうる。これらの変形は、断熱ガラス窓のガラス板とスペーサとの間の接着接合の気密性と寿命とを損なう。
【0014】
本発明の課題は、板材の変形がなく、ガラス板と間隔保持部材(スペーサ)との間の接着接合によるシーリング効果の劣化(老朽化)がなく、かつ、組み立ての容易な、長期間安定した断熱作用を実現する、改良された断熱ガラス窓を提供することにある。
【0015】
本発明の課題は、独立請求項1に記載の発明に係る断熱ガラス窓によって解決される。好ましい実施形態は、従属請求項に開示されている。
【0016】
本発明に係る断熱ガラス窓の製造方法及びその本発明に係る使用は、さらなる独立請求項に表される。
【0017】
圧力補償体を有する本発明の断熱ガラス窓は、少なくとも第1の板材と第2の板材とを備える。この第1の板材と第2の板材との間に、包囲スペーサが配置され、このスペーサは、好ましくは、スペーサと両板材との間の接着により固定されている。スペーサは、少なくとも中空の基体を備え、この基体は、少なくとも、二つの平行に延在する板材接触壁、気密アイソレーション層を有する外側壁、及び、ガラス窓内側壁を有する。
【0018】
この基体としては、従来技術として知られているすべての中空ボディ成形物を、材料組成によらず適用することができる。ここでは、ポリマー製もしくは金属製の基体を例としてあげる。
【0019】
ポリマー製の基体としては、好ましくは、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチロール、ポリブタジエン、ポリニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、特に好ましくは、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、アクリル酸エステル−スチレン−アクリロニトリル(ASA)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−ポリカーボネート(ABS/PC)、スチレン−アクリロニトリル(SAN)、PET/PC、PBT/PC、及び/又は、これらの共重合体、または、これらの混合物を含む。
【0020】
ポリマー製の基体は、例えば、ガラスファイバのような、さらなる任意の構成要素を含んでいても良い。適用されるポリマー材料は、一般的に気体透過性であり、これらの透過率は望ましいものではなく、従って、さらなる措置がとられるべきである。
【0021】
金属製の基体は、好ましくはアルミニウムまたはステンレスから形成され、気体透過性を有さない。
【0022】
前記基体は、中空室を備える。
【0023】
前記基体の内壁は、好ましい実施形態においては、気体透過性である。そのような透過性が望ましくない基体の領域は、例えば気密アイソレーション層によって密封することができる。特に、ポリマー製の基体は、そのような気密アイソレーション層との組み合わせで用いられる。
【0024】
別の好ましい実施形態では、基体は気体非透過性であり、例えば開口を設けることで、透過性を獲得することができる。特に、金属製の基体で壁が透過性でない場合には、気体透過性を獲得するために、必要な開口が設けられる。この際、この開口の総数は断熱ガラス窓の大きさに依存する。この開口は、中空室を断熱ガラス窓の内部空間と連通させ、これらの間の気体交換を可能にする。この開口は、好ましくはスリットとして、特に好ましくは、幅0.2mm長さ2mmのスリットとして形成される。
【0025】
本発明の断熱ガラス窓は、さらに、中空の圧力補償体を有しており、その中には、気体を透過させ、かつ、蒸気拡散を防止するダイアフラムが固定されている。圧力補償体は外壁を備えている。この外壁は、円筒状表面として、または、角を介して連結された面として形成することができ、中空の圧力補償体を包囲している。この蒸気拡散防止ダイアフラムは、圧力補償体内の気体交換が、このダイアフラムのみを介して行われるように、中空の圧力補償体の中に固定されている。このダイアフラムは、気体が、好ましくは空気の気体がダイアフラムを通り抜け、かつ、水蒸気は留められるように、構成されている。圧力補償体及びシール材は、第1の板材と第2の板材との間の、外側の板材間空間に配置されている。シール材は、第1の板材と第2の板材との間の、外側の板材間空間に充填されており、圧力補償体を取り囲んでいる。
【0026】
本発明に係る断熱ガラス窓では、圧力補償体が、弁も可動部も含んでいないオープンシステムである。圧力補償弁は、所定の容積しか交換することができず、大きい板材の場合には、複数の弁が必要であるという欠点を有する。本発明の圧力補償体は、これに対して、コストが安く、任意の中空形状のスペーサに組み込むことができる。好ましい実施形態においては、圧力補償体は外殻(外壁)と、その中に設けられたダイアフラムとを含み、特に好ましくは、圧力補償体は、これらの2つのコンポーネントのみで構成される。外殻は、適切な位置にダイアフラムを固定する役割を果たす。外殻は気体非透過性なので、空気交換はダイアフラムを介してのみ行うことができる。そのため、本発明の圧力補償体は機械部分を含まず、非常に長寿命である。
【0027】
圧力補償体は、アイソレーション層と外側壁とを貫通する孔開口を介してスペーサと連通されている。例えばブチル(ポリイソブチレン/PIB)などの封止手段が、圧力補償体の外壁とスペーサとの間の隙間を気密に封止する。気密アイソレーション層のため、大気との気体交換は、圧力補償体を介してのみ可能である。このようにして、断熱ガラス窓と環境との間の定義された圧力及び温度補償が可能となる。封止手段、特にブチルは、圧力補償体の密封性及び強度を向上させる。
【0028】
中空基体は乾燥剤を含んでおり、この乾燥剤は、好ましくはシリカゲル、CaCl
2、Na
2SO
4、活性炭、ケイ酸塩、ベントナイト、ゼオライト、及び/又は、これらの混合物、最も好ましくは、モレキュラーシーブが含まれる。こうした乾燥剤は、好ましくは基体の中空室内に収容される。これにより、乾燥剤による大気中の水分の吸収が行われ、従って、板材の曇りが防止される。
【0029】
中空基体は、一つまたは複数の隔壁を有する。この隔壁は、基体を通る直接の気流を制限する。この隔壁は、圧力補償体と直接接触している基体の空間のバリエーションを可能にする。
【0030】
一つの実施形態では、基体は隔壁を備え、この隔壁は好ましくは圧力補償体と隣り合って配置されている。隔壁を通した気体交換は不可能であり、したがって基体の圧力補償体を通る気流は、一方向にのみ流れることができる。
【0031】
スペーサのガラス窓内側壁は、基体の中空室を断熱ガラス窓の内部空間に気体透過性に連通させる透過性の領域を有している。したがって、これらの両空間の間の空気及び湿気の交換が可能である。
【0032】
ガラス窓内側壁の透過性の領域は、一つまたは複数の開口及び/又は気体透過性の内壁を有し、これらは気体交換を可能にする。
【0033】
このガラス窓内側面は、この他に、気体非透過性の領域を有する。一つの実施形態では、この気体非透過性の領域内で、第2の気密アイソレーション層がガラス窓内側壁に設けられる。別の有利な実施形態では、ガラス窓内側壁は、気密性の内壁を有する。
【0034】
好ましくは、気体非透過性の領域は、圧力補償体と透過性の領域との間に設けられる。スペーサが隔壁を有する場合には、圧力補償体は隔壁と気体非透過性の領域との間に配置される。圧力補償体が隔壁と隣り合って設けられ、圧力補償体と隔壁との間にあるガラス窓内側面は同様に気体非透過性である。この場合、圧力補償体に流れ込む気流は、スペーサの気体非透過性の領域に沿って流れ、続いて、後続の透過性の領域において、絶縁ガラス窓の内部に流れ込む。その際、気流は、スペーサの中空室に封入された乾燥剤を通過する。スペーサの気体非透過性の領域では、中空室とガラス窓の内部空間との間の空気の交換が防止される。従って、気流は、ガラス窓内に入る前に、先ず、スペーサの気体非透過性領域で予め乾燥される。これにより、長期安定性と断熱効果がさらに向上され、従ってガラス窓のより長い寿命が得られる。断熱ガラス窓の製造において、業界標準によれば、製造後なるべく早く出荷するためには、製造後24時間で露点が−30℃まで低下するべきである。従来技術として知られている、例えば圧力補償弁などの圧力補償システムを有する断熱ガラス窓は、この標準を満たすことができず、コストのかかる長時間の保管を余儀なくさせる。本発明に係る圧力補償体を有する断熱ガラス窓は、この標準を満たし、24時間以内に所望のように露点が−30℃にまで低下する。
【0035】
包囲スペーサに沿って計測される気体非透過性の領域の長さdは、好ましくは少なくとも0.2Uであり、但し、Uはスペーサのガラス窓内側壁に沿った全長である。好ましくは、d≧0.3Uであり、特に好ましくは、d≧0.5Uである。これによって、気体非透過性の領域における空気流の乾燥経路は拡大され、ガラス窓の長期安定性、断熱性及び寿命が最適化される。
【0036】
基体による所望の気流の制御のために、複数の繰り返される透過性の領域と気体非透過性の領域とをガラス窓内側壁に設けることができる。好ましい実施形態では、気体非透過性の領域と透過性の領域が設けられており、気体非透過性の領域は圧力補償体に隣り合っている。
【0037】
ガラス窓内側壁は、好ましくは、部分的に又は区画毎に第2の気密アイソレーション層を有する。このようにして、気体透過性の基体の内部における気流は、予め設定され、制御され、調整される。本発明における第2の気密アイソレーション層には、ガラス窓内側壁の気体透過性でない部分も含まれる。好ましくは、ガラス窓内側壁の5%から50%が、第2の気密アイソレーション層で覆われているか、又は、コーティングされている。ガラス窓内側壁の気密アイソレーション層でコーティングされたこれらの領域は、気体非透過性の領域を構成する。これは例えば、ガラス窓内側壁の孔の形成されていない気体非透過性の領域によって、代替的に実現することができる。
【0038】
一つの実施形態では、気密アイソレーション層及び/又は第2の気密アイソレーション層は、鉄、アルミニウム、銀、銅、金、クロム、および/またはそれらの合金または混合物を含む。この金属層は、好ましくは10nmから200nmの厚さを有する。
【0039】
中空の基体は、好ましく、狭窄部を介して孔開口に連通される。狭窄部は圧力補償体の孔開口への取り付けを容易にし、例えばブチルテープのような封止手段の封止効果を向上させる。
【0040】
シール材は、好ましくは、有機ポリスルフィド、シリコーン、RTV(室温架橋)シリコーンゴム、HTV(高温架橋)シリコーンゴム、酸化架橋シリコーンゴム、及び/又は、付加架橋シリコーンゴム、ポリウレタン、ブチルゴム、及び/又は、ポリアクリレートが含まれる。任意の実施形態では、耐老化性を向上させるための添加剤として、例えば、UV安定剤が含まれていてもよい。
【0041】
好ましい実施形態では、圧力補償体の外殻(外壁)は、金属、又は、気密性プラスチック、好ましくは、アルミニウム、ポリエチレンビニルアルコール(EVOH)、低密度ポリエチレン(LDPE)、及び/又は、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(BOPP)、特に好ましくは、ポリ
エチレンビニルアルコール
及び/又は、これらの共重合体、及び/又は、これらの混合物を含む。
【0042】
代替的な実施形態では、圧力補償体の外殻(外壁)は、好ましくはエラストマー、好ましくはゴム、特に好ましくは架橋ポリイソプレン、RTV(室温架橋)シリコーンゴム、HTV(高温架橋)シリコーンゴム、酸化架橋シリコーンゴム、及び/又は、付加架橋シリコーンゴム、ブチルゴム、及び/又は、それらの混合物を含む。
【0043】
封止手段は、好ましくはブチル(ポリイソブチレン(PIB))を、好ましくはブチルテープとして含む。ブチルによって、圧力補償体とスペーサとの間の間隙を長期安定でかつ良好な可塑性を有するように密封することが実現される。
【0044】
さらに、本発明は、圧力補償機能を有する断熱ガラス窓を製造するための方法を含む。ここで、スペーサには、外側壁上に気密アイソレーション層が設けられている。スペーサは中空の基体を備え、この基体は、二つの平行に延在する板材接触壁と、外側壁と、ガラス窓内側壁とを有する。次のステップで、スペーサには、外側壁を貫通する孔開口が設けられる。続いて、スペーサは、接着層と共に、第1の板材と第2の板材との間に配置される。続くステップで、中空の圧力補償体が孔開口の中に、又は、孔開口に接するように固定される。この圧力補償体の中には、気体透過性及び蒸気拡散防止性のダイアフラムが固定されている。好ましい実施形態では、例えばポリイソブチレンの封止手段が、孔開口と圧力補償体の外壁との間に配置される。最後に、第1の板材、第2の板材、中空の圧力補償体、及び、スペーサの間の、外側の板材間空間は、例えばポリウレタン又はポリスルフィドからなるシール材によって充填される。
【0045】
中空の圧力補償体は、好ましくは取り外し可能なキャップ、好ましくはゴムキャップを有する。このゴムキャップは、本発明の圧力補償体による圧力補償を実現するために、断熱ガラス窓の製造の後、再び取り外される。ゴムキャップは、断熱ガラス窓の製造中における圧力補償体の汚染を防止する。
【0046】
圧力補償体と孔開口との間には、好ましくはブチルテープが(気密)封止手段として配置されている。ブチルは、圧力補償体と気密アイソレーション層との間の間隙を、長期安定にかつ良好な可塑性に封止することができる。
【0047】
本発明はさらに、内装用ガラス窓、外装用ガラス窓、及び/又はファサードガラス窓としての、本発明に係る断熱ガラス窓の使用を含む。
【0048】
以下では、本発明を図面を参照して説明する。図面は、単に模式的な図であり、正確な縮尺によって示されたものではない。図面は本発明を何ら限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本発明に係る断熱ガラス窓の周縁領域の断面を模式的に示す図である。
【
図2】本発明に係る断熱ガラス窓の周縁領域の断面を模式的に示す別の図である。
【
図3】完成後の本発明に係る断熱ガラス窓の周縁領域の断面を模式的に示す図である。
【
図4】本発明に係る断熱ガラス窓の側面を模式的に示す図である。
【
図5a】本発明のスペーサを模式的に示す図である。
【
図5b】本発明のスペーサの別の実施形態を模式的に示す図である。
【
図5c】本発明のスペーサの別の実施形態を模式的に示す図である。
【
図6a】本発明に係る断熱ガラス窓を製造するための方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【
図6b】本発明に係る断熱ガラス窓を製造するための方法の別の実施形態を示すフローチャートである。
【0050】
図1は、本発明に係る断熱ガラス窓の周縁領域の断面を模式的に示す図である。第1の板材1と第2の板材2との間に、間隔保持部材又はスペーサ3が配置されている。スペーサ3は、中空の基体5を備え、この基体は、少なくとも二つの平行に延在する板材接触壁5a,5bと、気密アイソレーション層4を有する外側壁5cと、ガラス窓内側壁5dと、中空室5eと、を備えている。この基体5は気体透過性のポリマーから形成されている。ガラス窓内側壁5dは、少なくとも部分的に気体透過性に仕上げられている。外側壁5c上には、気密アイソレーション層4が配置されている。この気密アイソレーション層4は、スペーサ3とこれを備える断熱ガラス窓の内部空間15との間の気体交換を妨げる。外側壁5cは、アイソレーション層4と外側壁5cとを貫通する孔開口6を有する。この孔開口6を介して、ダイアフラム8を有する中空の圧力補償体7は、スペーサ3と連通している。このダイアフラム8は、圧力補償体7の内部に固定されており、気体透過性であり、かつ、蒸気拡散防止性である。中空の圧力補償体7は、外周を取り囲む外壁16aを有する。狭窄部13と周囲の封止手段11は、スペーサ3と圧力補償体7の外壁16aとの非常に緊密な連結を実現する。蒸気拡散防止ダイアフラム、好ましくは半透過性のダイアフラム8は、断熱ガラス窓の内部空間15と外気との間の圧力補償を可能にする。この圧力補償は、湿気をさほど浸入させることなく、通常は外気温に依存して生じる断熱ガラス窓の板材1,2の撓みを著しく減少させる。
【0051】
図2は、本発明に係る断熱ガラス窓の周縁領域を模式的に示す別の図である。基本構成は、
図1で説明したものに相当する。圧力補償体7は、直接的に孔開口6の中に配置されている。周囲の封止手段11は、圧力補償体7の外壁16aとスペーサ3との間の気密な連結を実現する。
【0052】
図3は、完成後の本発明に係る断熱ガラス窓の周縁領域の断面を示す図である。基本的構造は、
図1で説明したものに相当する。第1の板材1と第2の板材2との間にスペーサ3が配置されている。外側の板材間空間12には、例えば有機多硫化物からなるシール材9が充填されている。孔開口6を介して、中空の圧力補償体7はスペーサ3と連通されている。圧力補償体7は、キャップ14を備え、このキャップ14は、断熱ガラス窓の組み立て又はセットアップの後に取り外される。このキャップ14は圧力補償体7の汚染を防ぐ。
【0053】
図4は、本発明に係る断熱ガラス窓の側面を模式的に示す図である。第1の板材1と第2の板材2との間にスペーサ3が配置されている。スペーサ3は、
図1及び
図2に示されるように、圧力補償体7と連結されている。外側の板材間空間12は、図示されていないシール材9で充填されている。
【0054】
図5aは、本発明のスペーサ3を模式的に示す平面図である。気密アイソレーション層4は図示されていない。気体透過性の基体5のガラス窓内側壁5dと外側壁5cとが示されている。乾燥剤が充填されたスペーサ3内での圧力補償は、上述したように圧力補償体7を介して行われる。ガラス窓内側壁5dの個別の区画は、第2の気密アイソレーション層4bを備える。第2の気密アイソレーション層4bの領域では、図示されていない第1板材1と、第2の板材2と、スペーサ3との間に存在する気体空間の気体及び圧力補償を行うことができない。加えて、又は、代替的に、気密性の又は気体部分透過性の隔壁17がスペーサ3の中に配置されていても良い。隔壁17又は第2の気密アイソレーション層4bは、中空の基体5を通る直接的な気流を制限する。この制限により、圧力補償体7と直接つながった状態にある基体の空間のバリエーションが可能となる。隔壁17及び第2の気密アイソレーション層は、このようにして断熱ガラス窓内での圧力補償の調整を実現する。
【0055】
図5bは、本発明のスペーサ3の別の実施形態を示す平面図である。基体5のガラス窓内側壁5dと外側壁5cとが示されており、これらの間には中空室5eが形成されている。この中空室5eには、乾燥剤が充填されている。基体5はアルミニウムからなり、従って気密性である。スペーサ3内には、気密の隔壁17が設けられている。隔壁17と隣り合って圧力補償体7が設けられており、圧力補償体7は外側壁5cを介して中空室5eに突出している。ガラス窓内側壁5dの圧力補償体7に隣り合う区画は、気体非透過性の領域19を有しており、この気体非透過性の領域では、板材間に存在する内部空間の気体及び圧力の補償は行われない。ガラス窓内側壁5dに沿って計測される気体非透過性の領域19の長さdは、ガラス窓内側壁5dに沿ったスペーサ3の全長Uの1/2に相当する。気体非透過性の領域19に隣り合って、ガラス窓内側壁5dの透過性の領域18が設けられている。透過性の領域18には、ガラス窓内側壁5dに開口20が設けられており、この開口は、この領域において中空室5eと内部空間との間の気体交換を可能にする。この開口20は、幅0.2mm、長さ2mmのスリットとして形成されている。このスリットは、中空室5eから窓ガラスの内部空間へ乾燥剤を浸入させることなく、適切な空気交換を可能にする。乾燥剤が充填されたスペーサ3内での圧力補償は、上述したように圧力補償体7を介して行われる。圧力補償体7を介して浸入する気流は、乾燥剤が充填されたスペーサ3の毛細管作用によって、先ず気体非透過性の領域19に沿って流れる。この際、気流は、スペーサの中空室に収容された乾燥剤を通過し、同時に、中空室とガラス窓の内部空間との間の空気交換は阻止される。従って、気流は、後続の透過性の領域において断熱ガラス窓の内部空間に浸入する前に、先ずスペーサの気体非透過性の領域で乾燥される。このようにして、長期安定性及び断熱効果がさらに向上され、これにより、ガラス窓のさらに長い寿命が実現される。さらに、この断熱ガラス窓は、製造後24時間以内に露点を−30℃まで低下させるという標準にも対応している。
【0056】
この効果は当業者にとって、驚くべきものであり、予想を超えたものであった。
【0057】
図5cは、本発明のスペーサ3の別の実施形態を模式的に示す平面図である。基体5のガラス窓内側壁5dと外側壁5cとが示されており、これらの間には中空室5eが形成されている。この中空室5eには、乾燥剤が充填されている。基体5はポリマー材料からなり、気体透過性である。外側壁5c上には、図示されていない気密アイソレーション層4が設けられている。スペーサ3内には、気密の隔壁17が設けられている。隔壁17と隣り合って、圧力補償体7が設けられており、圧力補償体7は外側壁5cを介して中空室5eに突出している。ガラス窓内側壁5dの圧力補償体7に隣り合う区画は、第2の気密アイソレーション層4bを有している。このようにして、気体非透過性の領域19が設けられ、この領域では、板材間に存在する空間の気体及び圧力の補償が行われない。ガラス窓内側壁5dに沿って計測される気体非透過性の領域19の長さdは、ガラス窓内側壁に沿ったスペーサ3の全長Uの1/2に相当する。気体非透過性の領域19に隣り合って、ガラス窓内側壁5dの透過性の領域18が設けられる。基体5の内壁が気体透過性であるので、ガラス窓内側壁5bにさらなる開口を設ける必要が無い。但し、もちろんポリマーの基体において、任意にこのようにしてもよい。気体透過性の壁は、中空室5eから窓ガラスの内部空間へ乾燥剤を浸入させることなく、適切な空気交換を保証する。乾燥剤が充填されたスペーサ3内での圧力補償は、
図5bで説明したように行われる。
図5cに示される実施形態によれば、ガラス窓の寿命が向上され、さらに、製造後24時間以内に露点を−30℃まで低下させるという標準に対応する。
【0058】
この効果は当業者にとって、驚くべきものであり、予想を超えたものであった。
【0059】
図6aは、本発明に係る断熱ガラス窓を製造するための方法の一実施形態を示すフローチャートである。二つの板材1,2の間に配置されたスペーサ3は、中空の、ポリマー製の、気体透過性の基体5を備え、この基体は、平行に延在する二つの板材接触壁5a,5bと、気密のアイソレーション層4を有する外側壁5cと、ガラス窓内側壁5dとを備えている。スペーサ3には、次のステップで、気密アイソレーション層4と外側壁5cとを貫通する孔開口6が形成される。スペーサ3は、続いて、接着層10と共に、第1の板材1と第2の板材2との間に配置される。次のステップでは、中空の圧力補償体7が、孔開口6の中に又は孔開口6に接するように固定される。この圧力補償体7の中には、気体透過性及び蒸気拡散防止性のダイアフラム8が固定されている。続いて、第1の板材1と、第2の板材2と、中空の圧力補償体7とスペーサ3との間の外側の板材間空間12に、例えば、ポリウレタン又はポリスルフィドからなるシール材9が充填される。好ましい実施形態では、中空の圧力補償体7は、断熱ガラス窓の組み立ての間、キャップを有する。このキャップは、断熱ガラス窓の完成後再び取り外され、かつ、特に、シール材9を有する中空の圧力補償体7の汚染を防止する。
【0060】
図6bは、本発明に係る、気体非透過性の基体5を備えた断熱ガラス窓を製造するための方法を示すフローチャートである。この方法の基本的な流れは
図6aに示されるものに相当する。但し、気密性を確保するために、気体非透過性の基体5上にアイソレーション層4を形成する必要はない。これに代えて、第1のステップで、開口20がガラス窓内側壁5dに設けられ、透過性の領域18が形成される。更なる処理は、
図6aに示される方法と同様に行われる。
【符号の説明】
【0061】
1 第1の板材
2 第2の板材
3 スペーサ/間隔保持部材
4 気密アイソレーション層
4b 第2の気密アイソレーション層
5 中空基体
5a 板材接触壁
5b 板材接触壁
5c 外側壁
5d ガラス窓内側壁
5e 中空室
6 孔開口
7 圧力補償体
8 蒸気拡散防止ダイアフラム
9 シール材
10 接着層
11 封止手段
12 外側の板材間空間
13 (圧力補償体の)狭窄部
14 キャップ
15 (断熱ガラス窓の)内部空間
16a (圧力補償体の)外壁
17 隔壁
18 透過性の領域
19 気体非透過性の領域
20 開口