特許第6165285号(P6165285)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6165285
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】USBデータ通信装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/38 20060101AFI20170710BHJP
   G06F 3/00 20060101ALI20170710BHJP
   G06F 13/36 20060101ALI20170710BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20170710BHJP
   H04L 12/44 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
   G06F13/38 350
   G06F3/00 W
   G06F13/36 310E
   H04L12/28 200Z
   H04L12/44 Z
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-52135(P2016-52135)
(22)【出願日】2016年3月16日
【審査請求日】2016年9月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000200334
【氏名又は名称】JFEプラントエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127845
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 壽彦
(72)【発明者】
【氏名】本坊 勝博
(72)【発明者】
【氏名】小林 伸二
(72)【発明者】
【氏名】田端 司
【審査官】 田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−048585(JP,A)
【文献】 特開2015−141648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/38
G06F 3/00
G06F 13/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
USBポートを有する2台のパーソナルコンピュータ同士を接続して相互通信を行うためのUSBデータ通信装置であって、
一方のパーソナルコンピュータと接続可能な第1USBポートと、他方のパーソナルコンピュータと接続可能な第2USBポートと、第1USBポートと接続された第1データ変換通信モジュールと、前記第2USBポートに接続された第2データ変換通信モジュールと、RS232C通信データのデジタルデータとRS232Cのアナログデータとを相互変換する機能を有するアナログ・デジタル変換モジュールと、該アナログ・デジタル変換モジュールに接続されたRS232Cポートと、前記第1データ変換通信モジュールと前記第2データ変換通信モジュール及び前記アナログ・デジタル変換モジュールとの間に介在して、前記第1データ変換通信モジュールとの接続を前記前記第2データ変換通信モジュールとするか又は前記アナログ・デジタル変換モジュールにするかを切り換える切換モジュールとを備え、
前記第1、第2データ変換通信モジュールは、USBシリアルデータとRS232C通信データとの相互変換をする機能と、RS232C通信データを相互に送受信する機能とを備えていることを特徴とするUSBデータ通信装置。
【請求項2】
前記切換モジュールは、前記第2USBポートから電源の供給があったときには、前記第1データ変換通信モジュールと前記前記第2データ変換通信モジュールとを接続し、前記第2USBポートから電源の供給がないときには、第1データ変換通信モジュールと前記アナログ・デジタル変換モジュールとを接続することを特徴とする請求項1に記載のUSBデータ通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば振動計とホストPC(パーソナルコンピュータ)との間において、データの通信を行うために用いるUSBデータ通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
振動計で取得した振動データを、振動解析用のソフトウェアがインストールされているホストPCに転送する場合、従来は、ホストPC側のUSBポートに、USBシリアルデータをRS232Cアナログデータに変換する機能を有するケーブルの一端側に接続し、該ケーブルの他端側に振動計を接続してデータ通信を行っていた。
【0003】
しかしながら、近年においては、振動解析ソフトの高度化に伴い振動計で取得されるデータ量が膨大になり、RS232Cアナログデータによる通信では、通信速度が遅く使用するのが難しい状況になっている。
また、最近では振動計自体が小型のPCによって構成されたPC型振動計となっており、振動計自体がアナログデータではなくデジタルデータ処理を行うようになっている。
このような状況において、ホストPCとPC型振動計との間で高速通信を行うためのデバイスとして、例えば特許文献1に開示されているようなUSBリンクケーブルを用いることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3093338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたUSBリンクケーブルを用いた場合、USBコントローラ間でのデータ通信がOS(オペレーティング・システム)のファイルシステムを用いたパケット方式で通信されるため、例えばPC型振動計がウィルスに感染したような場合には、PC型振動計をホストPCにUSBリンクケーブルで接続すると、ホストPCのOS(オペレーティング・システム)のファイルシステムが起動し、そのタイミングでPC型振動計に存在するウィルスをホストPCにコピーするプログラムが起動してホストPCがウィルスに感染することになる。
【0006】
そこで、USBポートを有するホストPCとPC型振動計との間でウィルスの感染の危険がなく、かつデータ転送及び通信を高速で行うことのできる装置の開発が望まれていた。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、USBポートを有するPC間においてウィルスの感染の危険がなく、かつ高速でのデータ通信できるUSBデータ通信装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係るUSBデータ通信装置は、USBポートを有する2台のパーソナルコンピュータ同士を接続して相互通信を行うためのUSBデータ通信装置であって、
一方のパーソナルコンピュータと接続可能な第1USBポートと、他方のパーソナルコンピュータと接続可能な第2USBポートと、第1USBポートと接続された第1データ変換通信モジュールと、前記第2USBポートに接続された第2データ変換通信モジュールとを備え、
前記第1、第2データ変換通信モジュールは、USBシリアルデータとRS232C通信データとの相互変換をする機能と、RS232C通信データを相互に送受信する機能とを備えていることを特徴とするものである。
【0008】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、RS232C通信データのデジタルデータとRS232Cのアナログデータとを相互変換する機能を有するアナログ・デジタル変換モジュールと、該アナログ・デジタル変換モジュールに接続されたRS232Cポートと、前記第1データ変換通信モジュールと、前記第2データ変換通信モジュール及び前記アナログ・デジタル変換モジュールとの間に介在して、前記第1データ変換通信モジュールとの接続を前記前記第2データ変換通信モジュールとするか又は前記アナログ・デジタル変換モジュールにするかを切り換える切換モジュールをさらに備えたことを特徴とするものである。
【0009】
(3)また、上記(2)に記載のものにおいて、前記切換モジュールは、前記第2USBポートから電源の供給があったときには、前記第1データ変換通信モジュールと前記前記第2データ変換通信モジュールとを接続し、前記第2USBポートから電源の供給がないときには、第1データ変換通信モジュールと前記アナログ・デジタル変換モジュールとを接続することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、一方のパーソナルコンピュータと接続可能な第1USBポートと、他方のパーソナルコンピュータと接続可能な第2USBポートと、第1USBポートと接続された第1データ変換通信モジュールと、前記第2USBポートに接続された第2データ変換通信モジュールとを備え、前記第1、第2データ変換通信モジュールは、USBシリアルデータとRS232C通信データとの相互変換をする機能と、RS232C通信データを相互に送受信する機能とを備えていることにより、パーソナルコンピュータ間において例えば一方のパーソナルコンピュータがウィルスに感染していたとしてもそのウィルスを他方のパーソナルコンピュータに感染させることなく、かつデータの通信を高速で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態に係るUSBデータ通信装置のブロック図である。
図2】本発明の一実施の形態に係るUSBデータ通信装置の使用態様の説明図である。
図3】本発明の他の実施の形態に係るUSBデータ通信装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施の形態1]
本実施の形態に係るUSBデータ通信装置1は、図2に示すように、USBポートを有するホストPC3と、USBポートを有するPC型振動計5との間をUSBケーブル7を介して接続して、相互通信を行うための装置である。
【0013】
USBデータ通信装置1は、図1に示すように、ホストPC3に接続されるUSBケーブル7に接続可能なメスの第1USBポート9(USB TYPE B)と、PC型振動計5に接続されるUSBケーブル7に接続可能なメスの第2USBポート11(USB TYPE B)と、第1USBポート9と接続された第1データ変換通信モジュール13と、第2USBポート11に接続された第2データ変換通信モジュール15とを備えている。
第1データ変換通信モジュール13と第2データ変換通信モジュール15は基板上の配線によって接続されている。そして、第1データ変換通信モジュール13と第2データ変換通信モジュール15は同じ機能を有しており、それぞれUSBシリアルデータとRS232C通信データとの相互変換をする機能と、RS232C通信データを相互に送受信する機能とを備えている。
なお、第1データ変換通信モジュール13と第2データ変換通信モジュール15には、それぞれ第1USBポート9、第2USBポート11を介して外部電源が供給される。
【0014】
上記のように構成されたUSBデータ通信装置1においては、第1データ変換通信モジュール13と第2データ変換通信モジュール15の間をRS232C通信データによってデータ通信するためファイル転送の場合のようにウィルスが送信されることがない。また、RS232C通信データはデジタルデータであるため、高速の通信(1Mbps〜3Mbps)が可能になっている。
【0015】
上記のように構成された本実施の形態のUSBデータ通信装置1の動作について以下説明する。
USBデータ通信装置1を使用するには、USBデータ通信装置1を介して接続するホストPC3とPC型振動計5に専用のUSBシリアル変換器の専用ドライバーソフトウェアをインストールする。
また、ホストPC3とPC型振動計5に専用データ送受信ソフトウェアをインストールする。
専用ドライバー及び専用データ送受信ソフトウェアがインストールされたホストPC3とPC型振動計5を図2に示すように、USBケーブル7を介してUSBデータ通信装置1に接続する。これによって、ホストPC3とPC型振動計5はそれぞれ第1データ変換通信モジュール13と第2データ変換通信モジュール15をデバイスとして認識して相互にRS232Cデータ通信が可能となる。
【0016】
例えば、ホストPC3側からPC型振動計5に対して振動データを取得するのに必要となる設定情報を送信する場合、ホストPC3の専用データ送受信ソフトウェアから送信されたRS232C通信データは、専用ドライバーソフトウェアによって、一旦、USBシリアルデータに変換され、USBケーブル7を経由して、第1USBポート9に送信される。このUSBシリアルデータは、第1データ変換通信モジュール13によってRS232C通信データに変換されて、第2データ変換通信モジュール15に送信される。このため、仮にホストPC3にウイルス25が存在していても、専用データ送受信ソフトウェアで必要なデータのみをRS232C送信するので、第2データ変換通信モジュール15にウィルス25が送信されることはない(図2参照)。
【0017】
第2データ変換通信モジュール15に送信されたRS232C通信データは、第2データ変換通信モジュール15によってUSBシリアルデータに変換され、第2USBポート11を介してPC型振動計5に送信される。
PC型振動計5のUSBシリアル変換器の専用ドライバーソフトウェアでRS232C通信データに戻され、専用データ送受信ソフトウェアで受信された設定情報に基づいて振動データを取得するための各種の設定が行われる。
【0018】
次に、PC型振動計5で取得された振動データをホストPC3に送信する場合の動作について説明する。
PC型振動計5から振動データが専用データ送受信ソフトウェアからRS232C通信データとして送信され、専用ドライバーソフトウェアによって変換され、USBシリアルデータとして第2USBポート11に送信されると、第2データ変換通信モジュール15によってRS232C通信データに変換されて、第1データ変換通信モジュール13に送信される。このため、前述したホストPC3からPC型振動計5へのデータ送信の場合と同様に、仮にPC型振動計5にウィルス25が存在していても、専用データ送受信ソフトウェアで必要なデータのみをRS232C送信するので、第1データ変換通信モジュール13にウィルス25が送信されることはない。
【0019】
第1データ変換通信モジュール13に送信されたRS232C通信データは、第1データ変換通信モジュール13によってUSBシリアルデータに変換され、第1USBポート9を介してホストPC3に送信される。
ホストPC3のUSBシリアル変換器の専用ドライバーソフトウェア27でRS232C通信データに戻され、専用データ送受信ソフトウェア29で受信された振動データはホストPC3に備えられている各種の解析ソフトによって振動解析が行われる。
【0020】
以上のように、本実施の形態のUSBデータ通信装置1によれば、ホストPC3とPC型振動計5との間で高速のデータ転送が可能であり、かつウィルスを送信する危険がない。
【0021】
[実施の形態2]
実施の形態1では、振動計がパーソナルコンピュータによって構成されたPC型振動計5の場合であったが、簡易的なアナログデータによる振動計(以下、「アナログ型振動計」という)をホストPC3に接続したいという要請もある。
本実施の形態のUSBデータ通信装置17は、かかる要請に応えるものであり、図3に示すように、RS232C通信データのデジタルデータとRS232Cのアナログデータとを相互変換する機能を有するアナログ・デジタル変換モジュール19と、アナログ・デジタル変換モジュール19に接続されたRS232Cポート21(D-SUBオス)と、第1データ変換通信モジュール13と、第2データ変換通信モジュール15及び前記アナログ・デジタル変換モジュール19との間に介在して、第1データ変換通信モジュール13に接続される対象を前記第2データ変換通信モジュール15とするか又は前記アナログ・デジタル変換モジュール19にするかを切り換える切換モジュール23をさらに備えたものである。
【0022】
アナログ・デジタル変換モジュール19は、RS232Cポート21を介して送信されたアナログデータをデジタルのRS232C通信データに変換して第1データ変換通信モジュール13に送信する。また、アナログ・デジタル変換モジュール19は第1データ変換通信モジュール13から送信されたRS232CデジタルデータをRS232Cのアナログデータに変換する。
【0023】
切換モジュール23は、第2データ変換通信モジュール15からの信号によって第1データ変換モジュールとの接続先を第2データ変換通信モジュール15にするかアナログ・デジタル変換モジュール19にするかを切り換える。具体的には、第2USBポート11にPC型振動計5に接続されたUSBケーブル7が接続されると、USBケーブル7及び第2USBポート11を介してPC型振動計5から第2データ変換通信モジュール15に電源が供給される。第2データ変換通信モジュール15に電源が供給されたという信号が切換モジュール23に送信されると、切換モジュール23は第1データ変換通信モジュール13との接続先を第2データ変換通信モジュール15にする。他方、第2USBポート11に電源が供給されていない状況では、切換モジュール23は第1データ変換通信モジュール13への接続先をアナログ・デジタル変換モジュール19にする。
【0024】
切換モジュール23によって、第1データ変換通信モジュール13と第2データ変換通信モジュール15が接続されているときの動作は実施の形態1と同様である。
第2USBポート11に電源が供給されず、アナログ型振動計がRS232Cポート21に接続された場合の動作は以下の通りである。
ホストPC3側からアナログ型振動計に対して振動データを取得するための設定情報を送信する場合、ホストPC3の専用データ送受信ソフトウェアから送信されたRS232C通信データは、専用ドライバーソフトウェアによって、一旦、USBシリアルデータに変換され、USBケーブル7を経由して、第1USBポート9に送信される。このUSBシリアルデータは、第1データ変換通信モジュール13によってRS232C通信データに変換されて、アナログ・デジタル変換モジュール19に送信される。
【0025】
アナログ・デジタル変換モジュール19に送信されたRS232C通信データは、アナログ・デジタル変換モジュール19によってアナログデータに変換され、RS232Cポート21を介してアナログ型振動計に送信される。
アナログ型振動計では送信された設定情報に基づいて振動データを取得するための各種の設定が行われる。
【0026】
次に、アナログ型振動計で取得された振動データをホストPC3に送信する場合の動作について説明する。
アナログ型振動計から振動データがRS232Cポート21第2USBポート11に送信されると、アナログ・デジタル変換モジュール19によってRS232C通信データに変換されて、第1データ変換通信モジュール13に送信される。
【0027】
第1データ変換通信モジュール13に送信されたRS232C通信データは、第1データ変換通信モジュール13によってUSBシリアルデータに変換され、第1USBポート9を介してホストPC3に送信される。
ホストPC3ホストPC3のUSBシリアル変換器の専用ドライバーソフトウェアでRS232C通信データに戻され、専用データ送受信ソフトウェアで受信された振動データはホストPC3に備えられている各種の解析ソフトによって振動解析が行われる。
【0028】
本実施の形態によれば、実施の形態1の効果に加えてPC型振動計とアナログ型振動計のいずれのタイプの振動計であってもホストPC3との通信及びデータ転送を行うことができる。
【0029】
上記の説明では、USBデータ通信装置によって接続するパーソナルコンピュータの例としてホストPC3とPC型振動計5を例示したが本発明で接続されるパーソナルコンピュータの仕様が限定されるものではない。
【符号の説明】
【0030】
1 USBデータ通信装置(実施の形態1)
3 ホストPC
5 PC型振動計
7 USBケーブル
9 第1USBポート
11 第2USBポート
13 第1データ変換通信モジュール
15 第2データ変換通信モジュール
17 USBデータ通信装置(実施の形態2)
19 アナログ・デジタル変換モジュール
21 RS232Cポート
23 切換モジュール
25 ウィルス
【要約】      (修正有)
【課題】USBポートを有するPC間においてウィルスの感染の危険がなく、かつ高速でのデータ通信できるUSBデータ通信装置を提供する。
【解決手段】本発明のUSBデータ通信装置1は、USBポートを有する2台のパーソナルコンピュータ同士を接続して相互通信を行う。一方のパーソナルコンピュータと接続可能な第1USBポート9と、他方のパーソナルコンピュータと接続可能な第2USBポート11と、第1USBポート9と接続された第1データ変換通信モジュール13と、第2USBポート11に接続された第2データ変換通信モジュール15とを備える。第1、第2データ変換通信モジュール13、15は、USBシリアルデータとRS232C通信データとの相互変換をする機能と、RS232C通信データを相互に送受信する機能とを備えている。
【選択図】図1
図1
図2
図3