特許第6165323号(P6165323)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6165323アルツハイマー病の治療剤を含む、神経細胞の軸索の機能不全が関与する疾患の治療剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6165323
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】アルツハイマー病の治療剤を含む、神経細胞の軸索の機能不全が関与する疾患の治療剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/58 20060101AFI20170710BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20170710BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20170710BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20170710BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20170710BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20170710BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20170710BHJP
   C07J 71/00 20060101ALI20170710BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20170710BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20170710BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20170710BHJP
【FI】
   A61K31/58
   A61K9/08
   A61K9/10
   A61K9/48
   A61K9/20
   A61K9/16
   A61K9/06
   C07J71/00CSP
   A61P25/00
   A61P25/28
   A23L33/10
【請求項の数】13
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2016-514946(P2016-514946)
(86)(22)【出願日】2015年4月21日
(86)【国際出願番号】JP2015062094
(87)【国際公開番号】WO2015163318
(87)【国際公開日】20151029
【審査請求日】2016年3月4日
(31)【優先権主張番号】特願2014-91718(P2014-91718)
(32)【優先日】2014年4月25日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-147890(P2014-147890)
(32)【優先日】2014年7月18日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514073400
【氏名又は名称】レジリオ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】東田 千尋
(72)【発明者】
【氏名】松谷 裕二
(72)【発明者】
【氏名】杉本 健士
【審査官】 石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−016013(JP,A)
【文献】 特開2012−031153(JP,A)
【文献】 特表2008−516972(JP,A)
【文献】 特表2005−526077(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/149580(WO,A1)
【文献】 'Caprospinol reduces amyloid deposits and improves cognitive function in a rat model of Alzheimer's,Neuroscience,2010年,vol.165,pp.427-435
【文献】 'Caprospinol: Discovery of a steroid drug candidate to treat Alzheimer's Disease based on 22R-Hydrox,Journal of Neuroendocrinology,2011年,vol.24,pp.93-101
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−31/80
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/69
A23L 33/10
A61P 25/00
A61P 25/28
C07J 71/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジオスゲニン、ジオスゲニン誘導体、及びこれらの薬学的に許容される塩から選ばれる1種以上の化合物が油脂に懸濁又は溶解していることを特徴とする経口投与剤であり、
ジオスゲニン誘導体が、(3β,25R)−3−(2−アミノエタノイロキシ)−スピロスト−5−エン、及び(3β,25R)−3−フルオロスピロスト−5−エンからなる群から選ばれる1種以上であり
1)神経細胞の軸索の機能不全が関与する疾患の予防及び/又は治療、(2)神経細胞の軸索の伸展、(3)変性した神経細胞の軸索の修復、及び(4)記憶の増進又は記憶力低下の抑制から選択された少なくとも1つの用途に用いるための経口投与剤。
【請求項2】
少なくともジオスゲニンを含有する請求項1記載の剤。
【請求項3】
神経細胞の軸索の機能不全が関与する疾患の予防剤又は治療剤である、請求項1又は2に記載の剤。
【請求項4】
神経細胞の軸索が機能不全となっていることが要因の疾患が、アルツハイマー病である、請求項に記載の剤。
【請求項5】
神経細胞の軸索が機能不全となっていることが要因の疾患が、脊髄損傷である、請求項に記載の剤。
【請求項6】
神経細胞の軸索の伸展剤である、請求項1〜のいずれか1項に記載の剤。
【請求項7】
変性した神経細胞の軸索の修復剤である、請求項1〜のいずれか1項に記載の剤。
【請求項8】
記憶増進剤又は記憶力低下の抑制剤である、請求項1〜のいずれか1項に記載の剤。
【請求項9】
軸索の機能不全が関与する疾患の治療又は予防に有用であることが知られている1以上の化合物、又はその薬学的に許容されている塩が併用される、請求項1〜のいずれか1項に記載の剤。
【請求項10】
剤形が、液剤、懸濁剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、ゼリー剤、口腔内崩壊錠、及びチュワブル錠からなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜に記載の剤。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の剤を含有する飲食品であり、
(1)神経細胞の軸索の機能不全が関与する疾患の予防及び/又は治療、(2)神経細胞の軸索の伸展、(3)変性した神経細胞の軸索の修復、及び(4)記憶の増進又は記憶力低下の抑制から選択された少なくとも1つの用途に用いるための飲食品。
【請求項12】
健康機能食品である請求項11記載の飲食品。
【請求項13】
下記式(III)
【化2】
で表される(3β,25R)−3−フルオロスピロスト−エン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経細胞の軸索(以下、単に「軸索」ともいう。)の機能不全が関与する疾患の、臨床において実用化可能な予防剤又は治療剤に関する。より具体的には、臨床において実用化可能なアルツハイマー病の予防剤又は治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(以下、ADともいう。)は、進行性の認知機能低下及び通常の加齢とは一致しない機能障害の状態として定義され、その診断は、米国精神医学会が発表しているDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,第4版(DSM-IV)に記載されている。
【0003】
現在、ADの治療は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤に代表される症状改善剤による対症療法に限られており、病気の進行を抑制、治療する根本療法剤は開発されていない。ADの根本療法剤の創出には、病態の発症原因メカニズムの解明や発症原因を制御する新しい方法の開発が必要である。ADの原因メカニズムとしては、コリン作動性仮説、Aβ仮説、及びタウ仮説等が提唱されており、ADの原因メカニズムを特定するために、膨大な数の研究がなされている。
【0004】
学習と記憶におけるアセチルコリンの役割が議論される中、大脳基底部におけるコリン作動性ニューロンの変性、ならびにそれに関連した大脳皮質及びその他の領域におけるコリン作動性神経伝達の欠損が、AD患者に見られる認知機能の低下に大きく関わっているとする「アルツハイマー病のコリン仮説」が議論されてきた(非特許文献1)。この作用メカニズムに基づき、脳のシナプスにおけるアセチルコリンの分解を抑制するアセチルコリンエステラーゼ阻害剤がADの治療薬として市販されている。例えばドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン等のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤が例として挙げられる。
【0005】
また、アミロイド前駆体タンパク(以下、APPともいう。)の代謝産物であるAβタンパクは、神経細胞の変性及び脱落、さらには認知障害の発現に大きく関わると考えられている(非特許文献2、3)。Aβタンパクの形成には、ベータセクレターゼ及びガンマセクレターゼが関与し、タンパク質分解の部位の違いにより、アミノ酸38個からなるAβ(1−38)、C末端にアミノ酸が2つ増えたAβ(1−40)、及びC末端にアミノ酸が4つ増えたAβ(1−42)等が生じる。これらのAβは、凝集性が高く(非特許文献4)、老人斑の主要構成成分となっている(非特許文献4、5、6、7)。すなわち、これらの凝集体は最終的にはADの病理学的特徴である不溶性の沈着物及び高濃度の神経突起斑プラークに変化する(非特許文献8)。さらに、家族性ADで見られるAPP及びプレセニリン遺伝子の変異は、これらのAβタンパクを増加させることが知られている(非特許文献9、10、11)。したがって、Aβの産生を低下させる化合物は、ADの進行抑制剤又は予防薬として期待されている。このことから、例えば、Aβ産生低下を目的として、Aβ抗体やセクレターゼ阻害剤等の薬物の創出が試みられている。この仮説に基づくAD治療薬の候補品のいくつかは現在臨床試験中であり、AD患者に対するある程度の有効性が報告されている(非特許文献12、非特許文献13)。
【0006】
以上述べたように、現在、AD患者に臨床で使用されている薬剤では、ADの発症もしくは進行を予防もしくは遅らすことはできても、認知機能の改善には至らない。すなわち、現在のADの治療は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤に代表される症状改善剤による対症療法に限られており、病気自体を改善する根本療法剤は開発されていない。ADの根本療法剤の創出には、神経機能不全の要因を制御する方法の開発が必要である。さらにはその新しいメカニズムに適合する化合物の提供が真に求められている。
【0007】
非特許文献15及び非特許文献16には、ジオスゲニンをマウスに腹腔内投与することにより、正常マウス又はADモデルマウスにおいて記憶力の亢進が観察されたことが報告されている。また、非特許文献15及び非特許文献16には、記憶力の亢進は、軸索の進展によるものであることも報告されている。この文献から、ジオスゲニンはADの根本療法に有効であることが期待される。しかしながら、この文献においては、ジオスゲニンの効果を確認するための試験は全て腹腔内投与で行っているが、腹腔内投与は、例えばヒトを対象とした場合、臨床において実用的な投与方法ではない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Francis, P et al., J Neurol Neurosurg Psychiatry 66; pp137-147, 1999.
【非特許文献2】Klein, WL et al., Proceeding of the National Academy of Science USA, Sep, 2;100(18), pp.10417-10422, 2003.
【非特許文献3】Nitsch, RM et al., Neuron, May 22, 38, pp.547-554, 2003.
【非特許文献4】Jarrett, JT et al., Biochemistry, 32(18), pp.4693-4697, 1993.
【非特許文献5】Glenner, GG et al., Biochemical and Biophysical Research Communications, May 16, 120(3), pp.885-890, 1984.
【非特許文献6】Masters, CLら, Proceeding of the National Academy of Science USA, Jun, 82(12), pp.4245-4249, 1985.
【非特許文献7】Gong, Y et al., PNAS 100; pp.10417-10422, 2003.
【非特許文献8】Hardy, J et al., Science 297; pp.353-356, 2002.
【非特許文献9】Gouras, GK et al., American Journal of Pathology, Jan, 156(1), p.15-20, 2000.
【非特許文献10】Scheuner,D et al., Nature Medicine, 1996, Aug, 2(8), pp.864-870.
【非特許文献11】Forman, MS et al., Journal of Biological Chemistry, Dec, 19, 272(51), pp.32247-32253, 1997.
【非特許文献12】Mount, C et al., Nature Medicine 12; pp-780-784, 2006.
【非特許文献13】Siemers, ER et al., Clinical Neuropharmacology, 30; pp.317-325, 2007.
【非特許文献14】Cho, S et al., Experimental Neurology, 203; pp.274-278, 2007.
【非特許文献15】SCIENTIFIC REPORTS, Volume 2, Number 535, pp1-11.
【非特許文献16】Tohda C, Lee YA, Goto Y, Nemere I. Sci Rep. 2013 Dec 2;3:3395. pp1-8.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の状況に鑑み、本発明は、臨床において実用化可能なADの根本療法に用いる薬剤を創出することを主な課題とする。また、本発明は、AD根本治療における作用メカニズムを応用し、軸索の機能不全が関与するAD以外の神経疾患の治療剤の提供についても重要課題とする。さらに、これ以外の課題については、本明細書本文中から明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、予想外にも、ジオスゲニンを水系溶媒(有機溶媒と水の混合液)に溶解させた溶液を経口投与する方法では、ジオスゲニンの記憶亢進効果が得られない一方、ジオスゲニンを油脂に懸濁させた懸濁液を経口投与することで、有効に記憶亢進効果が得られる(特に、腹腔内投与に比べて、低用量で有効に記憶亢進効果が得られる)という、本発明に特有の顕著にして有用な新知見を得た。さらに検討を進め、ジオスゲニンだけでなく、ジオスゲニン誘導体化合物についても同様に、油脂に懸濁させて経口投与することで、顕著な記憶亢進効果が得られるという本願に特有の有用な新知見を得て、さらに試験を重ね、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明は以下に関する。
[1] ジオスゲニン、ジオスゲニン誘導体[ジオスゲニンのC3位の水酸基が置換された化合物(例えば、アミノ酸誘導体、アミノスルホン酸誘導体、カーバメイト誘導体、ハロゲン化誘導体など)]、及びこれらの薬学的に許容される塩から選ばれる1種以上の化合物が油脂に懸濁又は溶解していることを特徴とする経口投与剤。
[2] 少なくともジオスゲニンを含有する[1]に記載の剤。
[3] ジオスゲニン誘導体が、下記式(I−1)
【化1】
(式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって水素原子又は置換基を示す。ただし、R、R及びRが水素原子であるとき、Rはヒドロキシル基でない。)
で表される化合物及びその薬学的に許容可能な塩から選択された少なくとも1種である[1]又は[2]に記載の剤。
[4]式(I−1)において、置換基が、炭化水素基、ヒドロキシル基、基−O−(CH−CH、基−O−(CH−NH、基−O−(CH−COOH、基−O−(CH−SOH、基−O−CO−(CH−CH、基−O−CO−NH−(CH−CH、基−O−CO−NR−(CH−CH、基−O−CO−NH−CH(R)−COOH、基−O−(CH−CO−NH−AD(式中、ADはアダマンチル基を示す)、基−O−CO−NH−(CH−SOH、基−O−CO−NH−(CH−COOH、基−O−CO−O−(CH−CH、基−O−CO−S−(CH−CH、基−O−SU(式中、SUは、糖鎖を示す)、基−O−SO−OH、基−O−PO−OH、基−(OCHCH−CH、基−(OCHCHCH−CH、カルボキシル基、基−COO(CHCH、基−CO−NH−(CH−CH、基−SOH、基−SO−(CH−CH、基−SO−Ph(式中、Phはフェニル基を示す。)、基−CO−NH−CH(R)−COOH、基−CO−NH−(CH−SOH、アミノ基、基−NH−(CH−CH、基−NH−(CH−NH2、基−NH−CH(R)−COOH、基−NH−(CH−SOH、基−NH−(CH−SOH、基−NH−CO−O−(CH−CH、基−NH−CO−NH、基−NH−CO−NH−AD(式中、ADはアダマンチル基を示す)、基−NH−CO−NH−CH(R)−COOH、基−NH−CO−NH−(CH−SOH、基−NH−CO−NH−(CH−COOH、メルカプト基、基−S−(CH−CH、基−S−(CH−COOH、基−S−(CH−CH(NH)−COOH、基−S−CO−NH−AD(式中、ADはアダマンチル基を示す)、基−S−S−(CH−CH(NH)−COOH、基−SOH、基−POH、アミノ酸基、又はハロゲン原子(上記式中、mは1以上の整数、nは0以上の整数、Rは水素原子又は炭化水素基を示す。)である[3]記載の剤。
[5] ジオスゲニン誘導体が、(3β,25R)−3−(2−アミノエタノイロキシ)−スピロスト−5−エン、(3β,25R)−3−フルオロスピロスト−5−エン、(3β,25R)−3−(2−アミノエチルスルホニルオキシ)−スピロスト−5−エン、(3β,25R)−3−(2−アミノプロピルスルホニルオキシ)−スピロスト−5−エン、(3β,25R)−3−[N−(2,6−ジメチルアダマンタン−1−イル)カルバモイルオキシ]−スピロスト−5−エン、(3β,25R)−3−{[N−(2,6−ジメチルアダマンタン−1−イル)カルバモイル]アミノ}−スピロスト−5−エン、(3β,25R)−3−[N−(2,6−ジメチルアダマンタン−1−イル)カルバモイルチオ]−スピロスト−5−エン、(3β,25R)−3−{[N−(アダマンタン−1−イル)カルバモイル]アミノ}−スピロスト−5−エン、(3β,25R)−3−[N−(アダマンタン−1−イル)カルバモイルチオ]−スピロスト−5−エン、(3β,25R)−3−[N−(アダマンタン−1−イル)カルバモイルオキシ]−スピロスト−5−エン、及びこれらの薬学的に許容される塩からなる群から選ばれる1種以上である、[1]〜[4]のいずれかに1項に記載の剤。
[6] 神経細胞の軸索の機能不全が関与する疾患の予防剤又は治療剤である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の剤。
[7] 神経細胞の軸索が機能不全となっていることが要因の疾患が、アルツハイマー病である、[6]に記載の剤。
[8] 神経細胞の軸索が機能不全となっていることが要因の疾患が、脊髄損傷である、[6]に記載の剤。
[9] 神経細胞の軸索の伸展剤である、[1]〜[5]に記載の剤。
[10] 変性した神経細胞の軸索の修復剤である、[1]〜[5]に記載の剤。
[11] 記憶増進剤(記憶亢進剤)又は記憶力低下(例えば、加齢に伴う記憶力の低下)の抑制剤(又は予防剤)である、[1]〜[5]に記載の剤。
[12] 軸索の機能不全が関与する疾患の治療又は予防に有用であることが知られている1以上の化合物、又はその薬学的に許容されている塩が併用される、[1]〜[11]のいずれかに1項に記載の剤。
[13] 剤形が、液剤、懸濁剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、ゼリー剤、口腔内崩壊錠、及びチュワブル錠からなる群から選ばれる1種以上である[1]〜[12]に記載の剤。
[14] [1]〜[13]のいずれか1項に記載の剤を含有する健康機能食品。
[15] 下記式(III)
【化2】
で表される(3β,25R)−3−フルオロスピロスト−エン。
【0012】
また、本発明には、前記経口投与剤を、ヒトを含む動物に投与する、(1)神経細胞の軸索の機能不全が関与する疾患の予防及び/又は治療方法、(2)神経細胞の軸索の伸展方法、(3)変性した神経細胞の軸索の修復方法、又は(4)記憶の増進方法(又は亢進方法)又は記憶力低下(例えば、加齢に伴う記憶力の低下)の抑制方法(又は予防方法)も含む。
【0013】
本発明には、新規なジオスゲニン誘導体(例えば、前記式(III)で表される化合物)が含まれる。
また、本発明には、ジオスゲニン誘導体(例えば、後述の式(I−1)で表される化合物)及びその薬学的に許容される塩から選択された少なくとも1種の化合物を含む、神経細胞の軸索の機能不全が関与する疾患の予防剤又は治療剤も含まれる。前記疾患は、アルツハイマー病又は脊髄損傷、特に、脊髄損傷であってもよい。
さらに、本発明には、ジオスゲニン誘導体及びその薬学的に許容される塩から選択された少なくとも1種の化合物を含む、神経細胞の軸索の伸展剤、変性した神経細胞の軸索の修復剤、記憶増進剤(記憶亢進剤)又は記憶力低下(例えば、加齢に伴う記憶力の低下)の抑制剤(又は予防剤)も含まれる。
さらにまた、本発明には、ジオスゲニン誘導体及びその薬学的に許容される塩から選択された少なくとも1種の化合物を含む医薬(又は医薬組成物)も含まれる。
また、本発明には、ジオスゲニン誘導体及びその薬学的に許容される塩から選択された少なくとも1種の化合物を含有する健康機能食品も含まれる。
さらに、本発明には、ジオスゲニン誘導体及びその薬学的に許容される塩から選択された少なくとも1種の化合物(ジオスゲニン誘導体及びその薬学的に許容される塩から選択された少なくとも1種の化合物を含む前記剤、ジオスゲニン誘導体及びその薬学的に許容される塩から選択された少なくとも1種の化合物を含む医薬、又はジオスゲニン誘導体及びその薬学的に許容される塩から選択された少なくとも1種の化合物を含む健康機能食品)を、ヒトを含む動物に投与する、(1)神経細胞の軸索の機能不全が関与する疾患の予防及び/又は治療方法、(2)神経細胞の軸索の伸展方法、(3)変性した神経細胞の軸索の修復方法、又は(4)記憶の増進方法(又は亢進方法)又は記憶力低下(例えば、加齢に伴う記憶力の低下)の抑制方法(又は予防方法)も含む。
【0014】
また、本発明者らは、ジオスゲニン誘導体が、1,25D3-MARRSの刺激活性を有すること、そして、このような1,25D3-MARRSの刺激活性を有する物質は、神経疾患(アルツハイマー病、脊髄損傷などの前記例示の神経細胞の軸索の機能不全が関与する疾患など)の予防及び/又は治療に有効であることを見出した。
そのため、本発明には、次の発明も含まれる。
[A]神経疾患の予防及び/又は治療のための、ジオスゲニン誘導体。
[B]前記神経疾患が、アルツハイマー病、認知症、パーキンソン病、脊髄損傷又は脳挫傷である、前記[A]に記載のジオスゲニン誘導体。
[C] 神経疾患を予防及び/又は治療するための薬剤の製造における、前記[A]又は[B]に記載のジオスゲニン誘導体。
[D] 前記神経疾患が、アルツハイマー病、認知症、パーキンソン病、脊髄損傷又は脳挫傷である、前記[C]に記載の使用。
[E] 神経疾患の予防及び/又は治療における使用のための前記[A]に記載のジオスゲニン誘導体。
[F] 前記神経疾患が、アルツハイマー病、認知症、パーキンソン病、脊髄損傷又は脳挫傷である、前記[E]に記載のジオスゲニン誘導体。
[G] 前記[A]に記載のジオスゲニン誘導体の治療有効量を含む、神経疾患治療のための医薬組成物。
[H] 前記神経疾患が、アルツハイマー病、認知症、パーキンソン病、脊髄損傷又は脳挫傷である、前記[F]に記載の医薬組成物。
[I] 疾患の治療もしくは予防に有用であることが知られているひとつ以上の化合物、又は薬学的に許容されるその塩の治療有効量をさらに含む、前記[G]又は[H]に記載の医薬組成物。
[J] 疾患の治療もしくは予防に有用であることが知られているひとつ以上の化合物、又は薬学的に許容されるその塩が、神経疾患の治療もしくは予防に有用であることが知られているひとつ以上の化合物、又は薬学的に許容されるその塩である、前記[I]に記載の医薬組成物。
[K] 前記[H]〜[J]のいずれかひとつに記載の医薬組成物であって、少なくとも1つの担体を混合することを特徴とする、医薬組成物の調製方法。
[L] 前記[A]に記載のジオスゲニン誘導体を、ヒトを含む動物に投与することを特徴とする、神経疾患の予防及び/又は治療方法。
[M] 前記[A]に記載のジオスゲニン誘導体と、神経疾患の治療もしくは予防に有用であることが知られているひとつ以上の化合物、又は薬学的に許容されるその塩とを併用することを特徴とする、前記[L]に記載の方法。
[N] 前記神経疾患が、アルツハイマー病、認知症、パーキンソン病、脊髄損傷又は脳挫傷である、前記[L]又は[M]に記載の方法。
[O] 前記[A]に記載のジオスゲニン誘導体を含む、神経疾患の予防及び/又は治療に使用されるキット。
[P] 前記[A]に記載のジオスゲニン誘導体、及び容器を含む、前記[O]に記載のキット。
[Q] ジオスゲニン誘導体を投与することを特徴とする1,25D3-MARRSを活性化させる方法。
[R] ジオスゲニン誘導体を投与することを特徴とするアルツハイマー病を予防又は治療する方法。
[S] ジオスゲニン誘導体を人などの哺乳動物に投与することを特徴とする、アミロイド斑、タウ沈殿、タウ析出物、PHF-タウ、又は神経原線維変化を減少させる方法。
[T] ジオスゲニン誘導体を人などの哺乳動物に投与することを特徴とする、Aβ(1-42)に誘導された軸索の委縮を抑える方法。
[U] ジオスゲニン誘導体を人などの哺乳動物に投与することを特徴とする、1,25D3-MARRSを刺激してシグナル伝達経路を活性化する方法。
[V] ジオスゲニン誘導体を含有する健康食品、機能性食品、又は特定保健用食品。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、臨床において実用化可能な、ADの根本療法に用いる剤を提供することができる。加えて、本発明によれば、AD以外の軸索の機能不全が関与する疾患の予防剤又は治療剤を提供することができる。さらに、本発明によれば、軸索の伸展剤、変性した軸索の修復剤をも提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、物体認知記憶試験(実施例1〜4及び比較例1)の結果を示す。
図2図2は、物体認知記憶試験(実施例5、6及び比較例2)の結果を示す。
図3図3は、物体認知記憶試験(実施例7、8及び比較例3)の結果を示す。
図4図4は、脊髄損傷モデルマウスを用いた後肢運動機能評価試験(実施例10及び比較例5)の結果を示す。図4Aは、バッソマウススケール(BMS)による評価結果、図4Bは、トヤママウススケール(TMS)による評価結果である。
図5図5Aは、参考試験1の自発運動量の測定結果を、図5Bは、参考試験1の体重測定の結果を示す。
図6図6は、参考試験2の結果を示す。図6Aは参考例1の結果を、図6Bは参考例2の結果を示す。
図7図7は、参考試験3の結果を示す。
図8図8は、物体認知記憶試験(実施例11及び比較例6)の結果を示す。
図9図9は、物体認知記憶試験(比較例7及び比較例8)の結果を示す。
図10図10は、物体認知記憶試験(実施例12及び比較例9)の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0018】
本発明のひとつの態様は、ジオスゲニン、ジオスゲニン誘導体及びこれらの薬学的に許容される塩から選ばれる1種以上の化合物を含有する経口投与剤に関する。
なお、本明細書において、「ジオスゲニン、ジオスゲニン誘導体及びこれらの薬学的に許容される塩から選ばれる1種以上の化合物」を「ジオスゲニン等」とも略称する。
【0019】
ジオスゲニンは、下記化学式(I)
【化3】
で表わされるステロイドサポゲニンであり、サンヤク(Dioscorea rhizome)、及びトリゴネラ属(Trigonella spp.)、アマドコロ属(Polygonatum spp.)、シオデ属(Smilax spp.)のようなハーブ薬等いくつかの種の植物に含まれていることが知られている。ジオスゲニンは、抗がん(Yan,L.Lら, Exp Oncol, 31, pp.27-32, 2009.)、抗食物アレルギー(Huang,C.H.ら, Planta Med, 75, pp.1300-1305, 2009.)、ガラクトース投与による酸化ストレス誘発性の記憶障害の抑制効果(Chiu,C.S.ら, Am J Chin Med, 39, pp.551-563, 2011.)及び抗糖尿病性神経障害(Kang,T.H.ら, Biol Pharm Bull, 34, pp.1493-1498, 2011.)等が報告されている。さらには、肌の美白効果(特表2010−535758号明細書)、シワとり等皮膚改善(特表2009−501209号明細書、特開2007−016013号明細書)、発毛効果(特開2006−273754号明細書)等の効果が知られている。
【0020】
本発明に用いることができるジオスゲニンは、本発明の効果を失しない限り特に限定されず、市販されているものであってもよく、又は、公知方法、自体公知方法又はそれらに準ずる方法に従って製造したものであってもよく、天然物からの抽出物であってもよい。
【0021】
本発明において、ジオスゲニン誘導体とは、ジオスゲニンの等価物であり得る化合物をいう。ジオスゲニン誘導体は、市販されているものを用いてもよく、又は、公知方法、自体公知方法又はそれらに準ずる方法に従って製造したものを用いてもよく、天然物からの抽出物を用いてもよい。例えば、ジオスゲニン誘導体は、ジオスゲニンに置換基を導入したり、置換基を変換したりする化学修飾によって達成できる等価物であってもよく、天然物から抽出したジオスゲニン配糖体(ジオシンなど)であってもよい。
【0022】
ジオスゲニン誘導体としては、特に限定されないが、例えば、ジオスゲニンのC3位の水酸基が置換された化合物、C2位に置換基を有する化合物(又はC2位の水素原子が置換された化合物)、C4位に置換基を有する化合物(又はC4位の水素原子が置換された化合物)、C6位に置換基を有する化合物(又はC6位の水素原子が置換された化合物)、又はそれらの塩等が具体例として挙げられ、例えば、C3位の水酸基のエステル誘導体(例えば、アミノ酸誘導体、アミノスルホン酸誘導体、カーバメイト誘導体)、又はC3位の水酸基のハロゲン化誘導体等が挙げられる。
【0023】
ジオスゲニン誘導体(及びその塩)としては、例えば、下記式(I−1)で表される化合物及びその塩(薬学的に許容可能な塩)などが挙げられる。
【化4】
(式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって水素原子又は置換基を示す。ただし、R、R及びRが水素原子であるとき、Rはヒドロキシル基でない。)
【0024】
において、置換基としては、炭化水素基{例えば、アルキル基[例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基などの直鎖又は分岐鎖アルキル基(例えば、C1−12アルキル基、好ましくはC1−8アルキル基)]、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などのC4−10シクロアルキル基、好ましくはC5−8シクロアルキル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリールC1−4アルキル基)、多環式脂肪族炭化水素基(例えば、デカリニル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、ジメチルアダマンチル基など)などの飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基;アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基などのC6−10アリール基)などの芳香族炭化水素基}、ヘテロ原子(窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子など)含有基{例えば、酸素原子含有基[例えば、ヒドロキシル基、オキソ基(=O)、基−OR、基−O−CO−R、基−O−CO−N(R、基−O−CO−O−R、基−O−CO−S−R、基−OR、基−O−SO−OH、基−O−PO−OH、基−(OR−R、カルボキシル基、基−CO−O−R、基−CO−N(Rなど]、窒素原子含有基[例えば、アミノ基、基−NR、基−NR−CO−O−R、基−NR−CO−N(R、窒素含有環基(例えば、ピリジン、ピロリン、ピロール、インドールなどに対応する基)など]、硫黄原子含有基[例えば、メルカプト基、基−SR、基−S−S−R、スルホ基(−SOH)、基−SO−R、基−S−CO−N(Rなど]、リン原子含有基[例えば、リン酸基(HPO−)、基−POHなど]、アミノ酸基[又はアミノ酸の残基、例えば、ジオスゲニンを構成する3位(上記式においてRの置換位置に対応)のヒドロキシル基と、アミノ酸(グリシン、アラニンなど)のカルボキシル基とのエステル結合により形成された基]など}、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)などが挙げられる。
なお、上記式において、Rは炭化水素基(例えば、アルキル基などの前記例示の炭化水素基など)、Rは水素原子又は炭化水素基(例えば、アルキル基などの前記例示の炭化水素基)、Rは糖(又は糖鎖又は糖の残基)、Rはアルキレン基(例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基などのC2−4アルキレン基)、Rは水素原子、ヒドロキシル基又は炭化水素基(例えば、アルキル基(メチル基など)などの前記例示の炭化水素基)、kは2以上の整数(例えば、2〜10)を、それぞれ示し、R及びRは同一又は異なる基であってもよく、Rが複数であるとき、同一又は異なっていてもよい。
【0025】
及びRにおいて、炭化水素基(アルキル基など)は、さらに、置換基を有していてもよい。置換基としては、特に限定されないが、前記例示の置換基、例えば、酸素原子含有基(例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、基−OR、基−O−CO−Rなど)、窒素原子含有基(例えば、アミノ基、基−NR)、硫黄原子含有基(例えば、メルカプト基、基−SR、スルホ基、基−SO−Rなど)が挙げられる。
炭化水素基は、これらの置換基を単独で又は2種以上組み合わせて有していてもよい。
炭化水素基が置換基を有する場合、置換基の数は、1以上であればよく、例えば、1〜10(例えば、1〜8)、好ましくは1〜6(例えば、1〜4)、さらに好ましくは1〜3程度であってもよい。
【0026】
が置換基である場合、代表的なRには、例えば、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、基−(CH−CH)、シクロアルキル基、アラルキル基など]、ヘテロ原子含有基{例えば、酸素原子含有基[例えば、ヒドロキシル基、基−O−(CH−CH、基−O−(CH−NH、基−O−(CH−COOH、基−O−(CH−SOH、基−O−CO−(CH−CH、基−O−CO−NH−(CH−CH、基−O−CO−NR−(CH−CH、基−O−CO−NH−CH(R)−COOH、基−O−(CH−CO−NH−AD(式中、ADはアダマンチル基(1−アダマンチル基、2,6−ジメチルアダマンタン−1−イル基など)を示す)、基−O−CO−NH−(CH−SOH、基−O−CO−NH−(CH−COOH、基−O−CO−O−(CH−CH、基−O−CO−S−(CH−CH、基−O−SU(式中、SUは、糖鎖を示す)、基−O−SO−OH、基−O−PO−OH、基−(OCHCH−CH、基−(OCHCHCH−CH、カルボキシル基、基−COO(CHCH、基−CO−NH−(CH−CH、基−SOH、基−SO−(CH−CH、基−SO−Ph(式中、Phはフェニル基を示す。)、基−CO−NH−CH(R)−COOH、基−CO−NH−(CH−SOHなど]、窒素原子含有基[例えば、アミノ基、基−NH−(CH−CH、基−NH−(CH−NH2、基−NH−CH(R)−COOH、基−NH−(CH−SOH、基−NH−(CH−SOH、基−NH−CO−O−(CH−CH、基−NH−CO−NH、基−NH−CO−NH−AD(式中、ADはアダマンチル基(1−アダマンチル基、2,6−ジメチルアダマンタン−1−イル基など)を示す)、基−NH−CO−NH−CH(R)−COOH、基−NH−CO−NH−(CH−SOH、基−NH−CO−NH−(CH−COOHなど]、硫黄原子含有基[例えば、メルカプト基、基−S−(CH−CH、基−S−(CH−COOH、基−S−(CH−CH(NH)−COOH、基−S−CO−NH−AD(式中、ADはアダマンチル基(1−アダマンチル基、2,6−ジメチルアダマンタン−1−イル基など)を示す)、基−S−S−(CH−CH(NH)−COOH、基−SOHなど]、リン原子含有基[例えば、基−POHなど]、アミノ酸基(例えば、基−O−CO−CH−NHなど)など}、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)などが挙げられる。
なお、上記式において、mは1以上の整数(例えば、1〜10、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1又は2)、nは0以上の整数(例えば、0〜10、好ましくは0〜7)を示し、Rは前記と同じ[すなわち、水素原子又は炭化水素基(例えば、アルキル基など)]である。
【0027】
、R及びRにおいて、置換基としては、Rの項で例示の置換基と同様の置換基を挙げることができる。
及び/又はRが置換基である場合、代表的な置換基としては、酸素原子含有基、窒素原子含有基、硫黄原子含有基、アミノ酸基、ハロゲン原子などが挙げられる。
また、Rが置換基である場合、代表的な置換基としては、ハロゲン原子などが挙げられる。
【0028】
式(I−1)において、R〜Rの組み合わせは、限定されず、すべての組み合わせが含まれる。代表的なR〜Rの組み合わせには、例えば、以下の組み合わせなどが挙げられる。
(1)Rがヒドロキシル基以外の置換基、R〜Rが水素原子である組み合わせ
(2)Rがヒドロキシル基以外の置換基、Rが置換基、R及びRが水素原子である組み合わせ
(3)Rがヒドロキシル基以外の置換基、Rが置換基、R及びRが水素原子である組み合わせ
(4)Rがヒドロキシル基以外の置換基、R及びRが置換基、Rが水素原子である組み合わせ
(5)Rがヒドロキシル基以外の置換基、R、R及びRが置換基である組み合わせ
(6)Rがヒドロキシル基以外の置換基、R及びRが水素原子、Rが置換基である組み合わせ
(7)Rがヒドロキシル基以外の置換基、Rが水素原子、R及びRが置換基である組み合わせ
(8)Rがヒドロキシル基以外の置換基、Rが水素原子、R及びRが置換基である組み合わせ
(9)Rがヒドロキシル基、Rが置換基、R及びRが水素原子である組み合わせ
(10)Rがヒドロキシル基、Rが置換基、R及びRが水素原子である組み合わせ
(11)Rがヒドロキシル基、R及びRが置換基、Rが水素原子である組み合わせ
(12)Rがヒドロキシル基、R〜Rが置換基である組み合わせ

(13)Rがヒドロキシル基、R及びRが水素原子、Rが置換基である組み合わせ
(14)Rがヒドロキシル基、Rが水素原子、R及びRが置換基である組み合わせ
(15)Rがヒドロキシル基、Rが水素原子、R及びRが置換基である組み合わせ
【0029】
ジオスゲニン誘導体としては、特に限定されないが、具体的には例えば、下記式(II)
【化5】
で表わされる(3β,25R)−3−(2−アミノエタノイロキシ)−スピロスト−5−エン{(3β, 25R)-3-(2-Aminoethanoyloxy)-spirost-5-ene}、及びその薬学的に許容される塩、又は下記化学式(III)
【化6】
で表わされる(3β,25R)−3−フルオロスピロスト−エン{(3β, 25R)-3-Fluorospirost-5-ene}、並びに、(3β,25R)−3−(2−アミノエチルスルホニルオキシ)−スピロスト−5−エン{(3β, 25R)-3-(2-Aminoethylsulfonyl-oxy)-spirost-5-ene}、(3β,25R)−3−(2−アミノプロピルスルホニルオキシ)−スピロスト−5−エン、(3β,25R)−3−[N−(2,6−ジメチルアダマンタン−1−イル)カルバモイルオキシ]−スピロスト−5−エン、(3β,25R)−3−{[N−(2,6−ジメチルアダマンタン−1−イル)カルバモイル]アミノ}−スピロスト−5−エン、(3β,25R)−3−[N−(2,6−ジメチルアダマンタン−1−イル)カルバモイルチオ]−スピロスト−5−エン、(3β,25R)−3−{[N−(アダマンタン−1−イル)カルバモイル]アミノ}−スピロスト−5−エン、(3β,25R)−3−[N−(アダマンタン−1−イル)カルバモイルチオ]−スピロスト−5−エン、及び(3β,25R)−3−[N−(アダマンタン−1−イル)カルバモイルオキシ]−スピロスト−5−エン[又は(3β,25R)−3−(1−アダマンチル−アミノカルボニルオキシ)−スピロスト−5−エン{(3β, 25R)-3-(1-adamantyl-aminocarbonyloxy)-spirost-5-ene}]等が挙げられる。
【0030】
なお、ジオスゲニン誘導体(又はその塩)は、市販品を用いてもよく、公知の方法により合成したものを用いてもよい。例えば、Rに置換基を導入する場合、ジオスゲニンが本来有するヒドロキシル基(3位のヒドロキシル基)を介して種々の置換基を導入できる。また、RやRにハロゲン原子を導入する場合、Rをオキソ基に置換(酸化)し、生じたケトンの隣接する炭素をハロゲン化して、RやRをハロゲンとする(さらに必要に応じて、オキソ基をヒドロキシル基に戻す(還元する))方法などを採用できる。さらに、Rとしてハロゲン原子を導入する場合、不飽和結合に対する求電子的ハロゲン化等を経由することで導入可能である。さらに、ヘテロ原子(酸素原子、窒素原子、硫黄原子など)を含む求核剤を用いることで、種々の置換基を導入することも可能である。
【0031】
本発明において、「薬学的に許容される塩」(又は「塩」)とは、ジオスゲニン等と薬学的に許容される塩を形成するものを含み、特に限定されない。具体的には、例えばハロゲン化水素酸塩(例えばフッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩等)、無機酸塩(例えば硫酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩等)、有機カルボン酸塩(例えば酢酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩等)、有機スルホン酸塩(例えばメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩等)、アミノ酸塩(例えばアスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等)、有機アミン塩(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、アルギニン及びリジンなどの有機塩基との塩)、四級アミン塩、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例えばマグネシウム塩、カルシウム塩等)等が挙げられる。
【0032】
本発明の経口投与剤中のジオスゲニン、ジオスゲニン誘導体及びこれらの薬学的に許容される塩から選ばれる1種以上の化合物(以降、ジオスゲニン等とも略称する。)は、油脂に懸濁されていることが好ましい。ジオスゲニン等を油脂に懸濁させることで、予想外にも、経口投与によって投与したジオスゲニン等の顕著に高い薬効が得られることを、本発明者らは本発明の検討中に発見した。
なお、本発明において「油脂」は、経口投与される際に液体の状態である必要はなく、液体、半固体、又は固体等の状態であってよい。また、本発明における油脂は、食用油、及び医薬品において溶剤、賦形剤、乳化剤等で用いられる油脂、並びに油状の医薬品を包含する。
また、本発明において、ジオスゲニン等を油脂に溶解させた溶液を用いてもよい。
【0033】
本発明に用いることができる食用油としては、本発明の効果を失しない限り、特に限定されないが、例えば、大豆油、菜種油(ナタネ油、カノラ油)、高オレイン酸菜種油、コーン油、ゴマ油、ゴマサラダ油、太白ゴマ油、シソ油、亜麻仁油(アマニ油)、落花生油、紅花油(サフラワー油)、高オレイン酸紅花油、ひまわり油、高オレイン酸ひまわり油、綿実油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ピーナッツ油、アーモンド油、ナッツ油、クルミ油、カボチャ種子油、クルミ油、レモン油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、オリーブ油、米油、米糠油、小麦胚芽油、パーム油、パームオレイン、パームステアリン、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂等の植物油;牛脂、豚脂(ラード)、鶏脂、乳脂、魚油(例えば、鰯油、鯖油、鱈油、鯨油、肝油等)等の動物油、脂肪酸類(ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等)、脂溶性ビタミン類(ビタミンA、ビタミンE等)等が挙げられ、医薬品において用いられる油脂としては、上記食用油に加えて、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ヨード化ケシ脂肪酸エステル等が挙げられる。これらを単独で、または2種以上を組み合わせて用いもよい。
【0034】
本発明において、ジオスゲニン等と油脂とを懸濁させる方法は特に限定されず、化合物(水溶性化合物又は脂溶性化合物)を油脂に懸濁させる際に用いられる公知方法、自体公知の方法又はそれらに準じる方法によって懸濁させてもよい。具体的には、例えば、ジオスゲニン等に油脂を加えて、ホモジナイザー等によって撹拌させることにより懸濁させてもよい。
【0035】
本発明のひとつの態様において、ジオスゲニン等を油脂に懸濁させた懸濁液中の、ジオスゲニン等及び油脂の含有比率は、本発明の効果が得られれば、特に限定されない。油脂の単位容量(mL)に対するジオスゲニン等のモル量で表わしたときに、例えば、通常、約1nmol/mL〜約1000nmol/mLであってよく、ジオスゲニン等のバイオアベイラビリティを向上させる観点等から、好ましくは約10nmol/mL〜約100nmol/mLである。また、ジオスゲニン等を油脂に溶解させた溶液中のジオスゲニン等及び油脂の含有比率も同様の値としてよい。
【0036】
本発明の前記経口投与剤は、ジオスゲニン等が油脂に懸濁されていれば、その剤形は特に限定されず、例えば、液剤、懸濁剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、ゼリー剤、口腔内崩壊錠、チュワブル錠等が挙げられ、これらは慣用される方法により製造することができる。
【0037】
本発明の前記経口投与剤は、ジオスゲニン等及び油脂に加えて、所望により、安定化剤、乳化剤、懸濁化剤、界面活性剤、pH調製剤、緩衝剤、防腐剤、着色料、香料、矯味矯臭剤等を含有していてもよい。
【0038】
安定化剤としては、特に限定されないが、例えば、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、トコフェロール、ソルビン酸、レチノール等)、キレート剤(例えば、エデト酸、クエン酸、酒石酸等、及びこれらの塩)等が挙げられる。
乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、塩化ベンザルコニウム、グリセリン、プロピレングリコール、セタノール、レシチン、ラノリン、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
懸濁化剤としては、特に限定されないが、例えば、アラビアゴム、塩化ベンザルコニウム、カオリン、カルメロース、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、モノステアリン酸グリセリン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80等)、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合物、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸ソルビタン、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
緩衝剤としては、特に限定されないが、例えば、リン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩等が挙げられる。
pH調節剤としては、特に限定されないが、例えば塩酸、リン酸等の無機酸、及び酢酸、クエン酸、乳酸等の有機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基及びメグルミン、トロメタモール等の有機塩基が挙げられる。
防腐剤としては、特に限定されないが、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。
着色料としては、特に限定されないが、例えば、食用色素、β−カロチン、リボフラビン等が挙げられる。
香料としては、特に限定されないが、例えば、レモン油、オレンジ油、メントール、はっか油等が挙げられる。
矯味矯臭剤としては、特に限定されないが、例えば、クエン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、果糖、D−ソルビトール、ブドウ糖、サッカリンナトリウム、単シロップ、白糖、ハチミツ、アマチャ、カンゾウ、クエン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、オレンジ油、トウヒチンキ、ウイキョウ油、ハッカ、メントール等が挙げられる。
【0039】
本発明の前記経口投与剤の有効成分である、ジオスゲニン等は、好ましくは、軸索の伸展及び/又は変性した軸索の修復作用を有する。
SCIENTIFIC REPORTS, Volume 2, Number 535, pp1-11には、ジオスゲニンが、1,25D−MARRSを刺激することにより軸索の伸展を促すこと、軸索の伸展作用により、記憶力の亢進作用を奏することが報告されている。本発明に用いるジオスゲニン等の作用も、同様の作用メカニズムに基づくものであってよい。
【0040】
本発明のひとつの態様において、前記経口投与剤は、軸索の機能不全が関与する疾患の予防剤又は治療剤である。軸索の機能不全が関与する疾患としては、特に限定されないが、例えば、脊髄損傷、脳挫傷、AD(アルツハイマー病)、パーキンソン病、認知症等が挙げられる。なお、本発明において、前記認知症は、アルツハイマー病を含まず、脳血管性型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、ピック病等を包含する。これらの疾患の中でも、特に、AD又は脊髄損傷の予防剤又は治療剤であることが好ましい。
【0041】
本発明の前記経口投与剤における、有効成分であるジオスゲニン等の含有量は、特に限定されないが、疾患に伴う症状を治療、改善、緩和、又は回復させるのに十分な用量とすることが好ましい。
【0042】
本発明の前記経口投与剤の投与量は、例えば投与する対象の症状の程度、年齢、性別、体重、投与形態、塩の種類、疾患の具体的な種類等に応じて、適宜選択してもよく、特に限定されないが、投与する対象の単位体重当たりのジオスゲニン等の有効成分のモル量で表わした場合、例えば、通常、約0.001〜約1000μmol/kg/日であってよく、好ましくは約0.01〜約10μmol/kg/日、より好ましくは0.01〜約1μmol/kg/日である。
特に、本発明では、比較的少ない投与量でも十分な効果を得ることができる。例えば、前記非特許文献15や16では、投与量を10μmol/kg/日としているが、本発明では、この投与量よりも少ない投与量、すなわち、10μmol/kg/日未満(例えば、5μmol/kg/日以下)、好ましくは3μmol/kg/日以下(例えば、0.001〜2μmol/kg/日)、さらに好ましくは1μmol/kg/日以下(例えば、0.003〜0.5μmol/kg/日)、特に0.3μmol/kg/日以下(例えば、0.005〜0.2μmol/kg/日)とすることもできる。
上記投与量を、1日に1回で、又は数回に分けて投与してよい。
【0043】
本発明の前記経口投与剤の投与対象は、特に限定されないが、ヒトを含む哺乳動物であることが好ましい。ヒトを含む哺乳動物としては、特に限定されないが、例えば、ヒト、サル、マントヒヒ、チンパンジー、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ及びウマ等が挙げられる。
【0044】
本発明のひとつの態様において、前記経口投与剤は、軸索の機能不全が関与する疾患の治療又は予防に有用であることが知られているひとつ以上の化合物、又はその薬学的に許容されている塩を併用してよい。
【0045】
本発明のひとつの好ましい態様において、軸索の機能不全が関与する疾患が、ADである場合、本発明の経口投与剤は、ジオスゲニン等に加えて、ADやその症状の治療もしくは予防に有用であることが知られているひとつ以上の化合物を含有していてもよい。あるいは、本発明の別のひとつの好ましい態様において、本発明の経口投与剤と、ADやその症状の治療もしくは予防に有用であることが知られているひとつ以上の化合物を含有する医薬組成物を併用してもよい。
併用する場合、その態様は特に限定されず、合剤、配合剤などであってもよい。
【0046】
前記ADやその症状の治療もしくは予防に有用であることが知られている化合物としては、アミロイドベータ(Aβ)に起因する疾患、例えばAD、老年性痴呆、ダウン症又はアミロイドーシス症等の治療のために、以下のメカニズムを有する化合物が挙げられる。
【0047】
具体的には例えば、コリンエステラーゼインヒビター(例えば、donepezil,huperzineA,tacrine,rivastigmine,galantamine);AMPAレセプターアンタゴニスト(例えば、3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン等の1,2−ジヒドロピリジン化合物);NMDAレセプターアンタゴニスト(例えば、memantine);アセチルコリン放出ステュムラント(例えば、pramiracetam;aniracetam);カルシウムチャンネルアゴニスト(例えば、nefiracetam);フリーラジカルスカヴェンジャー(例えば、EGb 761);血小板活性因子アンタゴニスト(例えば、EGb 761);血小板凝集アンタゴニスト(例えば、EGb 761,triflusal);インシュリンセンシタイザー(例えば、rosiglitazone);パーオキシソーム増殖因子−活性化レセプターアゴニスト(例えば、rosiglitazone);パーオキシソーム増殖因子−活性化レセプターガンマアゴニスト(例えば、rosiglitazone);モノアミンオキシダーゼBインヒビター(例えば、rasagiline,selegiline,procaine);カルニチンアセチルトランスフェラーゼステュムラント(例えば、levacecarnine);NSAIDs(例えば、triflusal,celecoxib等のcyclooxygenase−2 inhibitors);神経成長因子アゴニスト(例えば、xaliproden,FPF 1070);ベータ−アミロイドインヒビター(例えば、tarenflurbil,tramiprosate,leuprorelin−D);イムノモデレーター(例えば、tarenflurbil,immune globulin,icosapentethyl ester);NF−カッパBインヒビター(例えば、tarenflurbil);スロトロピン放出ホルモン(例えば、taltirelin);ドーパミンD2レセプターアンタゴニスト(例えば、risperidone);セロトニン2レセプターアンタゴニスト(例えば、risperidone);ムスカリニックM1レセプターアゴニスト(例えば、cevimeline);アルファ1アドレノセプターアゴニスト(例えば、modafinil);セロトニン3レセプターアンタゴニスト(例えば、alosetron);ドーパミンD2レセプターアゴニスト(例えば、aripiprazole);ドーパミンD2レセプターアンタゴニスト(例えば、aripiprazole);セロトニン1Aレセプターアゴニスト(例えば、aripiprazole);セロトニン2Aレセプターアンタゴニスト(例えば、aripiprazole);グルコルチコイドアンタゴニスト(例えば、mifepristone);プロゲステロンアンタゴニスト(例えば、mifepristone);HMG−CoAレダクターゼインヒビター(例えば、atorvastatin,simvastatin);アデノシン取り込みインヒビター(例えば、propentofylline);ホスホジエステラーゼインヒビター(例えば、propentofylline);アセチルコリンレセプターアゴニスト(例えば、choline alfoscerate);膜透過エンハンサー(例えば、choline alfoscerate);カンナビノイド1レセプターアンタゴニスト(例えば、rimonabant);カンナビノイドレセプターアゴニスト(例えば、dronabinol);血管形成インヒビター(例えば、paclitaxel);免疫抑制剤(例えば、paclitaxel);ツブリンアンタゴニスト(例えば、paclitaxel);トロンボキサンAシンターゼインヒビター(例えば、triflusal);アンチオキシダント(例えば、idebenone);アルファアドレナレセプターアンタゴニスト(例えば、nicergoline);エストロゲンアンタゴニスト(例えば、conjugated estrogens,trilostane);3−ベータハイドロキシステロイドデヒドロゲナーゼインヒビター(例えば、trilostane);シグナル伝達経路インヒビター(例えば、trilostane);メラトニンレセプターアゴニスト(例えば、ramelteon);免疫ステュムラント(例えば、immune globulin,icosapentethyl ester,procaine);HIVエントリーインヒビター(例えば、procaine);ナトリウムチャンネルアンタゴニスト(例えば、procaine);微細管インヒビター(例えば、CPH 82);グリシンNMDAアゴニスト(例えば、cycloserine);アデノシンA1レセプターアンタゴニスト(例えば、KW 3902);ATPアーゼステュムラント(例えば、triacetyluridine);ミトコドリア機能エンハンサー(例えば、triacetyluridine);成長ホルモン放出因子アゴニスト(例えば、tesamorelin);ブチルコリンエスタラーゼインヒビター(例えば、bisnorcymserine);アルファアドレナリン作動性レセプターアンタゴニスト(例えば、nicergoline);NOシンターゼタイプIIインヒビター(例えば、arundic acid);キレート化剤(例えば、PBT 2);アミロイド原線維生成インヒビター(例えば、TTP488,PF 4494700);セレトニン4レセプターアゴニスト(例えば、PRX 03140);セレトニン6レセプターアンタゴニスト(例えば、SB 742457);ベンゾジアゼピンレセプターインバースアゴニスト(例えばradequinil);Caチャンネルアンタゴニスト(例えば、safinamide);ニコチンレセプターアゴニスト(例えば、ispronicline);又はBACEインヒビター(例えば、CTS 21166)等のメカニズムを有する化合物が挙げられる。
【0048】
さらに具体的化合物としては、例えば、シロスタゾール(Cilostazol)、donepezil,huperzine A,tacrine,rivastigmine,galantamine,pramiracetam,aniracetam,nefiracetam,EGb761,rosiglitazone,rasagiline,levacecarnine,celecoxib,3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン,talampanel,becampanel,memantine,xaliproden,tarenflurbil,tramiprosate,leuprorelin−D,taltirelin,risperidone,cevimeline,modafinil,alosetron,aripiprazole,mifepristone,atorvastatin,propentofylline,choline alfoscerate,FPF 1070(CAS No. 143637−01−8),rimonabant,dronabinol,docosahexaenoic acid,paclitaxel,triflusal,idebenone,nicergoline,conjugated estrogens,trilostane,simvastatin,selegiline,ramelteon,immune globulin,icosapentethyl ester,procaine,CPH 82,cycloserine,KW 3902(CAS No. 136199−02−5),triacetyluridine,estrogen dementia therapeutics(e.g.,MIGENIX,Vancouver,Canada),tesamorelin,bisnorcymserine,nicergoline,arundic acid,PBT 2,TTP488,PF 4494700,PRX 03140,SB 742457,radequinil,safinamide,ispronicline,CTS 21166,Bapineuzumab,NP 031112,(2S,3aS,7aS)−1{[(R,R)−2−フェニルシクロプロピル]カルボニル}−2−[(チアゾリジン−3−イル)カルボニル]オクタヒドロ−1H−インドール,citalopram,venlafaxine,levprorelin,prasterone,peptide T(CAS No. 53−43−0),besipiridine,lexipafant,stacofylline,SGS 742(CAS No. 123690−78−8),T 588(CAS No. 142935−03−3),nerispiridine,dexanabinol,sabcomeline,GTS 21(CAS No. 156223−05−1),CX516(CAS No. 154235−83−3),ABT 089(CAS No. 161417−03−4),anapsos,tesofensine,SIB 1553A(すなわち、4−[[2−(1−メチル−イル−2−ピリロリジニル)エチル]チア]フェノール),ladostigil,radequinil,GPI 1485,ispronicline,arundic acid,MEM 1003(すなわち、3−イソプロピル 5−(2−メトキシル)4−(2−クロロ−3−シアノフェニル)−2,6−ジメチルピリジン−3,5−ジカルボキシラーゼ),V 3381(すなわち、2−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−3−イルアミノ)アセトアミド塩酸塩),farampator,paliroden,prasterone−paladin,urocortin,DP b99(すなわち、2,2’−(エチレンジオキシ)ビス(2,1−フェニレン)ビス[N−[2−[2−(オクチルオキシ)エトキシ]−2−オキソエチル]イミノ]ビス(酢酸)),capserod,DU 125530,bapineuzumab,AL 108(すなわち、L−Asparaginyl−L−alanyl−L−prolyl−L−valyl−L−seryl−L−isoleucyl−L−prolyl−L−glutamine),DAS 431,DEBIO 9902,DAR 100,mitoquinone,IPL 455903(すなわち、5(S)−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]−3(S)−(3−メチルベンジル)ピペリジン−2−オン),E2CDS,PYM 50028,PBT 2,lecozotan,SB 742457,CX 717,AVE 1625(すなわち、1−(ビス(4−クロロフェニル)メチル)−3−((3,5−ジフルオロフェニル)(メチルスルフォニル)メチレン)アゼチジン),LY 450139(すなわち、N2−[2(s)−ヒドロキシ−3−メチルブチリル]−N1−[3−メチル−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン−1(S)−イル]−L−アラニンアミド),EM 1421(すなわち、4,4’−[(2R,3S)−2,3−ジメチルブタン−1,4−ジイル]ビス(1,2−ジメトキシベンゼン),SRN 001,TTP 488,PRX 03140,dimebolin,glycine−proline−glutamate,C105,AL 208,MEM 3454,AC 1202,L 830982,LY 451395(すなわち、(R)−N−[2−[4’−(メチルスルホンアミドメチル)ビフェニル−4−イル]プロピル]プロパン−2−スルフォンアミド),MK 0249,LY 2062430,diethylnorspermine,neboglamine,S 18986,SA 4503(CAS No. 165377−44−6),GRI 1,S 17092(すなわち、(2S,3aS,7aS)−1{[(R,R)−2−フェニルシクロプロピル]カルボニル}−2−[(チアゾリジン−3−イル)カルボニル]オクタヒドロ−1H−インドール),SL 251188,EUK 189,R 1450,6,6−ジメチル−3−(2−ヒドロキシエチル)チオ−1−(チアゾール−2−イル)−6,7−ジヒドロ−2−ベンゾチオフェン−4(5H)−オン,CERE 110,dexefaroxan,CAD 106,HF 0220,HF 0420,EHT 0202,VP 025,
【0049】
MEM 1414,BGC 201259(すなわち、N,N−Dimethylcarbamic acid,4−[1(S)−(メチルアミノ)−3−(4−ニトロフェノキシ)プロピル]フェニルエステル),EN 100,ABT 834,ABT 239(すなわち、4−[2−[2−[(2R)−2−メチルピロリジニル]エチル]−ベンゾフラン−5−イル]ベンゾニトリル),SGS 518,R 1500,C 9138,SSR 180711,alfatradiol,R 1577,T 817MA(すなわち、1−[3−[2−(1−ベンゾチエン−5−イル)エトキシ]プロピル]アゼチジン−3−オールマレイン酸塩),CNP 1061(すなわち、4−メチル−5−(2−ニトロオキシエチル)チアゾール),KTX 0101(すなわち、ベータヒドロキシ酪酸ナトリウム),GSK 189254(すなわち、6−[3−シクロブチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[d]アゼピン−7−イルオキシ]−N−メチルニコチンアミド),AZD 1080,ACC 001,PRX 07034,midazolam,R−phenserine,AZD 103(CAS No. 488−59−5),SN 522,NGX 267(CAS No. 503431−81−0),N−PEP−12,RN 1219,FGLL,AVE 8112,EVT 101,NP 031112,MK 0752,MK 0952,LX 6171,PAZ 417,AV 965,PF 3084014,SYN 114,GSI 953,SAM 315,SAM 531,D−serine,leteprinim potassium,BR 16A(CAS No. 149175−77−9),RPR 107393(CAS No. 190841−57−7),NXD 2858,REN 1654,CDD 0102,NC 1900(CAS No. 132925−74−7),ciclosporin,NCX 2216(すなわち、(E)−4−(ニトロオキシ)ブチル3−[4−[2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロパノイルオキシ]−3−メトキシフェニル]アクリレート),NXD 3109,NXD 1191,ZSET 845(すなわち、3,3−ジフェニルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−(3H)−オン),ET 002,NT 13,RO 638695(すなわち、[1,6−(1,6−ジオキソヘキシル)]ジピロリジン−(2R)−カルボン酸),bisnorcymserine,BA 1016,XD 4241,EUK 207(すなわち、(SP−5−13)−(acetato−κO)[13,16,19,22−テトラオキサ−3,6−ジアザトリシクロ[21.3.18,12]オクタコサ−1(27),2,6,8,10,12(28),23,25−オクタエン−27,28−ジオラト(2−)−κN3,κN6,κO27,κO28]マグネシウム塩),LG 617 inhibitors,ZSET 1446,PAN 811,F 14413(すなわち、2−[5−フルオロ−2(S)−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−イル]−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール),FP 7832(すなわち、N−[2−(5−メトキシ−1−ニトロソ−1H−インドール−3−イル)エチル]アセトアミド),ARA 014418(すなわち、N−(4−メトキシベンジル)−N’−(5−ニトロ−1,3−チアゾール−2−イル)ウレア),AZD 3102,KP 544(すなわち、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−トランス−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン),DP 155,5−クロロ−N−[3−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−1H−インドール−5−イル]ナフタレン−2−スルフォンアミド,TAK 070,
【0050】
huperzine,N−[2−(3,5−ジメチルアダマント−1−イル)エチル]アセタミド塩酸塩,6−[4−[(ジメチルアミノ)メチル]−5−エチル−2−メトキシフェニル]ピリジン−2−アミン,4,6−ジフェニル−3−(4−(ピリミジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)ピリダジン,N−[(1S,2R)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−1−ヒドロキシ−1−[(5S,6R)−5−メチル−6−(ネオペンチルオキシ)モルホォリン−3−イル]プロパン−2−イル]アセトアミド塩酸塩,N−[(1R,2S)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−1−ヒドロキシ−1−[(2R,4R)−4−フェノキシピロリジン−2−イル]プロパン−2−イル]−3−[(R)−2−(メトキシメチル)ピロリジン−1−カルボニル]−5−メチルベンズアミド,R 1589,midafotel,phenserine,coluracetam,physostigmine,cipralisant,nitroflurbiprofen,PPI 1019(すなわち、(3α,5β,7α,12α)−trihydroxycholan−24−oyl−L−leucyl−L−valyl−L−phenylalanyl−L−phenylalanyl−L−alanine),dapsone,MDL 100453(CAS No. 129938−34−7),NS 377,midaxifylline,propofol phosphate,metrifonate,ceronapril,tenilsetam,sufoxazine,seglitide,ebiratide,nebracetam,milacemide,iododoxorubicin,SM 10888(CAS No. 129297−21−8),U 80816(CAS No. 138554−11−7),YM 954(CAS No. 132041−85−1),SUT 8701(CAS No. 123577−73−1),apovincamine,FR 121196(CAS No. 133920−65−7),LY 274614(CAS No. 136109−04−1),CL 275838(CAS No. 115931−65−2),igmesine,K 7259(CAS No. 133667−88−6),vinconate,itasetron,CL 287663(CAS No. 125109−98−0),WAY 100289(CAS No. 136013−69−9),SR 46559A(CAS No. 137733−33−6),GYKI 46903(CAS No. 142999−59−5),L 670548(CAS No. 121564−89−4),Y 29794(CAS No. 129184−48−1),AF 125(CAS No. 7631−86−9),KFM 19(CAS No. 133058−72−7),ST 796(すなわち、(S)−3−[3−(トリフルオロメチル)ベンゾイル)アミノ]ヘキサハイロドアゼピン−2−オン),RU 33965(CAS No. 122321−05−5),SDZ 210086(すなわち、(−)−1’,2(S)−ジメチルスピロ[1,3−ジオキサン−4,4’−ピペリジン]),L 689660(CAS No. 144860−79−7),L 689560(CAS No. 139051−78−8),ST 618(すなわち、1−(6,7−ジメトキシ−1,2,3,4−teテトラヒドロ−2−ナフチル)−4−ヒドロキシピロリジン−2−オン),U 74500A(CAS No. 110101−65−0),GEA 857(CAS No. 120493−42−7),BIBN 99(CAS No. 145301−48−0),DX 9366,ONO 1603(CAS No. 114668−76−7),MDL 102234(CAS No. 137766−81−5),P 9939(CAS No. 157971−37−4),PD 140532(CAS No. 157971−39−6),azetirelin,MR 16728(CAS No. 147614−21−9),dabelotine,MDL 102503(すなわち、8−[1(R)−メチル−2−フェニルエチル]−1,3−ジプロピル−7H−キサンチン),PD 141606(すなわち、(±)−(Z)−3−(3−フェニル−2−プロピニルオキシイミノ)−1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン),SNK 882(CAS No. 152221−12−0),L 696986(CAS No. 141553−45−9),tazomeline,LY 235959(CAS No. 137433−06−8),2−(2−チオキソピロリジン−1−イル)アセトアミド,AK 30 NGF,ABT 418(CAS No. 147402−53−7),itameline,HUP 13,sibopirdine,KST 5452(CAS No. 157998−88−4),TJ 54,U 92798(すなわち、7−[4−[Bis(4−フルオロフェニル)メチル]パーヒドロ−1,4−ジアゼピン−1−イルメチル]−4−イソプロピル−2−メトキシ−2,4,6−シクロヘプタトリエン−1−オン),U 92032(CAS No. 142223−92−5),
【0051】
3−(スルファモイルオキシ)エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン,P 11012(CAS No. 164723−36−8),A 82695(CAS No. 147388−86−1),FR 76659(CAS No. 116904−25−7),apaxifylline,CX 417,7 MEOTA(CAS No. 5778−80−3),BU 4514N(CAS No. 151013−39−7),pregnenolone,mexidol,ST 857(CAS No. 154755−63−2),RU 49041(CAS No. 123828−80−8),RU 35929(CAS No. 111711−47−8),P 878184,P 128(CAS No. 157716−52−4),eurystatin A,eurystatin B,LK 12,NBI 108,NBI 107,NBI 117,L 705106,bacoside A + B,clausenamide,SM 21(CAS No. 155156−22−2),alaptide,RS 17017(すなわち、1−(4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシフェニル)−5−(1−ピペリジニル)−1−ペンタノン塩酸塩),AF 150(S)(すなわち、(S)−[1−メチル−ピペリジン−4−スピロ−(2’−メチルチアゾリン)]),RO 153505(CAS No. 78771−13−8),PV 113(すなわち、1,2,3,4−テトラヒドロピロール−[1,2−a]−ピラジン),arisugacin,A 98284(すなわち、2(R)−(3−メチルキサゾール−5−イル)キヌクリジン),AP 5(CAS No. 136941−85−0),BD 1054,SDZ NDD 094(すなわち、ビス−(2−(2−メチルイミダゾール−1−イル]メチル)−ピリジン−トリス(ハイドロゲン−フマレート),AZ 36041(CAS No. 173324−76−0),quilostigmine,A 84543(すなわち、3−[1−メチルピロリジン−2−(S)−イルメトキシ]ピリジンフマレート),BTG 4247(すなわち、(2−[2−クロロエトキシ[4−(ジメチルアミノ)フェニル]ホスホォリル]−アセトヒドラジン),CGP 50068(CAS No. 158647−49−5),cerebrocrast,desferri−nordanoxamine,isolichenan,MHP 133(すなわち、3−(N,N−ジメトキシカルバモイルオキシ)−1−メチル−2−(4−フェニル−セミカルバゾメチル)ピリジウムクロライド),FR 152558(CAS No. 151098−08−7),GVS 111(CAS No. 157115−85−0),P 11149(CAS No. 164724−79−2),PDC 008004,KST 2818(CAS No. 158623−26−8),KST 5410(CAS No. 158623−27−9),RU 52583(CAS No. 123829−33−4),PD 151832(CAS No. 149929−39−5),UCL 1199(すなわち、4−[2−[(5−ニトロピリジン−2−イルスルファニル)エチル]−1H−イミダゾール),isovanihuperzine A,SIB 1765F(CAS No. 179120−52−6),JWS USC 751X(すなわち、3−[[[2−[[(5−ジメチルアミノエチル)−2−フラニル]メチル]チオ]エチル]アミノ]−4−ニトロピリダジン),GR 175737(すなわち、3−(4−クロロベンジル)−5−[2−(1H−イミダゾール−4−イル)エチル]−1,2,4−オキサジアゾール),KS 505A(CAS No. 131774−53−3),ZTTA 1(すなわち、N−ベンジルオキシカルボニル−チオプロピル−チオプロピナール−ジメチルアセタール),AGN 190837(CAS No. 136527−40−7),P 10358(188240−59−7),WAY 131256(CAS No. 174001−71−9),DBO 83(すなわち、3−(6−クロロピラジン−3−イル)−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン 二塩酸塩一水和物),FUB 181(CAS No. 152029−80−6),RJR 2557,WSU 2088,LVV−haemorphin−7,M 40(すなわち、galanin[1−12]−Pro3−(Ala−Leu)2−Ala−NH2),SIB 1757,SKF 74652(すなわち、[5−クロロ−2−(4−メトキシフェニル)−3−ベンゾフラニル][4−[3−(ジメチルアミノ)−プロポキシ]フェニル]メタンノン),CGP 71982,SCH 57790(すなわち、4−シクロヘキシル−アルファ−[4−[[4−メトキシフェニル]スルフィニル]フェニル]−1−ピペラジンアセトニトリル),Putrescine−D−YiAbeta11,DU 14(すなわち、p−O−(スルファモイル)−N−テトラデカノイルチラミン),CLZ 4,SL 340026,PPRT 424,ciproxifan,UR 1827(すなわち、2−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−1−[4−(5−メチルピリミジン−4−イルアミノ)フェニル]−1−エタノン),caproctamine,TGS 20(すなわち、L−pyroglutamil−D−alanine amide),PG 9(すなわち、アルファ−トロパニル 2−[(4−ブロモ)フェニル]プロピオネート),
【0052】
TEI 3356(すなわち、(16S)−15−デオキシ−16−ヒドロキシ−16−メチル−9−(O)−メタノ−DELTA6(9アルファ)−プロスタグランジンI1),LY 392098(すなわち、Thiophene,3−[(2−メチルエチル−2)スルホニルアミノプロピル−2]フェニル−4−イル−),PG 1000,DM 232,NEPP 11(すなわち、12−イソ−15−デオキシ−18−(4−メチル)フェニル−13,14−ジヒドロ−デルタ7−プロスタグランジンA1メチルエステル),VA 100(すなわち、(2,3−ジヒドロ−2−[[(4−フルオロベンゾイル)アミノ]エチル]−1−メチル−5−フェニル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン),VA 101(すなわち、(2,3−ジヒドロ−2−[[(2−チエニルカルボニル)アミノ]エチル]−1−メチル−5−フェニル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン),NC 111585(すなわち、(3S)−1,3−Bis−[3−[(3−アザビシクロ[2.2.2]オクタニル)−1,2,5−チアジアゾール−4−イルオキシ]−1−プロピン−1−イル]ベンゼン,2L−(+)−tartate),IN 201,imoproxifan,kanokodiol,picroside I,picroside II,DM 235(すなわち、1−(4−ベンゾイルピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン),モノクローナル抗体 10D5,JLK2,JLK 6,JLK 7,DAPT(すなわち、N−[N−(3,5−ジフルオロフェンアセチル)−L−アラニル]−S−フェニルグリシン t−ブチルエステル),huperine X,SGS 111(すなわち、(S)−エチル 2−[1−(2−フェニルアセチル)ピロリジン−2−カルボキサミド]アセテート),NP 7557,C 9136,C 7617,R 1485,rofecoxib,velnacrine,montirelin,lazabemide,ORG 2766(CAS No. 50913−82−1),sabeluzole,adafenoxate,CAS No. 9061−61−4,ipidacrine,bemesetron,idazoxan,linopirdine,selfotel,suritozole,milameline,xanomeline,TJ 960,fasoracetam,eptastigmine,ensaculin,zanapezil,posatirelin,zacopride,RS 86(CAS No. 3576−73−6),ORG 5667(CAS No. 37552−33−3),RX 77368(CAS No. 76820−40−1),BMS 181168(CAS No. 123259−91−6),BY 1949(CAS No. 90158−59−1),AWD 5239(CAS No. 109002−93−9),YM 796(171252−79−2),aloracetam,CI 933(CAS No. 91829−95−7),ST 793(CAS No. 99306−37−3),cebaracetam,zifrosilone,talsaclidine,alvameline,JTP 2942(148152−77−6),OPC 14117(CAS No. 103233−65−4),elziverine,AP 521(すなわち、N−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロ[1]ベンゾチエノ[2,3−c]ピリジン−3(R)−カルボキサミド塩酸塩),S 8510(CAS No. 151466−23−8),JTP 4819(CAS No. 162203−65−8),icopezil,SC 110,FK 960(CAS No. 133920−70−4),DMP 543(CAS No. 160588−45−4),ganstigmine,CI 1017(すなわち、(R)−(−)−(Z)−1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−オン,O−(3−(3’−メトキシフェニル)−2−プロピオニル)−オキシムマレイン酸),T 82(すなわち、2−[2−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−9−メトキシ−1H−ピロロ[3,4−b]キノリン−1−オン 1/2フマル酸塩),NGD 971,vaccine of Aspartyl−alanyl−glutamyl−phenylalanyl−arginyl−histidyl−aspartyl−seryl−glycyltyrosyl−glutamyl−valyl−histidyl−histidyl−glutaminyl−lysyl−leucyl−valyl−phenylalanyl−phenylalanyl−alanyl−glutamyl−aspartyl−valyl−glycyl−seryl−asparaginyl−lysyl−glycyl−alanyl−isoleucyl−isoleucyl−glycylleucyl−methionyl−valyl−glycyl−glycyl−valyl−valyl−isoleucyl−alanine,PBT 1(CAS No. 130−26−7),TCH 346,FK 962(すなわち、N−(1−アセチルピペリジン−4−イル)−4−フルオロベンズアミド),voxergolide,KW 6055(CAS No. 63233−46−5),thiopilocarpine,ZK 93426(CAS No. 89592−45−0),SDZ NVI 085(CAS No. 104195−17−7),CI 1002(CAS No. 149028−28−4),
【0053】
Z 321(CAS No. 130849−58−0),mirisetron,CHF 2060(すなわち、N−ヘプチルカルバミン酸 2,4a,9−トリメチル−2,3,4,4a,9,9a−ヘキサヒドロ−1,2−オキサジノ[6,5−b]インドール−6−イル エステル−L−酒石酸塩),gedocarnil,terbequinil,HOE 065(CAS No. 123060−44−6),SL 650102,GR 253035,ALE 26015,SB 271046(すなわち、5−クロロ−N−(4−メトキシ−3−ピペラジン−1−イル−フェニル)−3−メチル−2−ベンゾチオフェンスルホンアミド),iAbeta5,SCH 211803(すなわち、3−クロロフェニル[4−[1−[1−(2−アミノ−3−メチルベンゾイル)−4−ピペリジニル]−4−ピペリジニルメチル]フェニル]スルホン),EVT 301,alpha−Linolenic acid/linoleic acid,Kamikihi−To,siagoside,FG 7142(CAS No. 78538−74−6),RU 47067(CAS No. 111711−92−3),RU 35963(CAS No. 139886−03−6),FG 7080(CAS No. 100332−18−1),E 2030(CAS No. 142007−70−3),トランフフォーミング成長因子ベータ−1,A 72055(すなわち、2’,1−ジメチルスピロ[ピペリジン−4,5’−オキサゾリジン]−3’−カルボキシアルデヒド),NS 626,dimiracetam,GT 3001,GT 2501,GT 2342,GT 2016(CAS No. 152241−24−2),ORG 20091(CAS No. 141545−50−8),BCE 001(CAS No. 95678−81−2),CGP 35348(CAS No. 123690−79−9),WAY 100635(CAS No. 146714−97−8),E 4804(CAS No. 162559−34−4),LIGA 20(CAS No. 126586−85−4),NG 121(すなわち、2−[4,8−ジメチル−3(E),7(E)−モノアジエニル]−3,5−ジヒドロキシ−2−メチル−3,4,7,9−テトラヒドロ−2H−フルオロ[3,4−h]−1−ベンゾピラン−7−オン),MF 247(すなわち、N−[10−(ジメチルミノ)デシル]カルバミン酸(3aS,8aR)−1,3a,8−トリメチル−1,2,3,3a,8,8a−ヘキサヒドロピロロ[2,3−b]インドール−5−イル エステル),JTP 3399(すなわち、N−ベンジル−2(S)−[2(S)−(フェノキシアセチル)ピロリジン−1−イルカルボニル]ピロリジン−1−カルボキサミド),KF 17329,thioperamide,F 3796(すなわち、1−[2−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)エチル]−3−[3,4−(メチレン−ジオキシ)ベンゾイル]チオウレア),GT 4001,GT 4002,FPL 14995(CAS No. 123319−03−9),RU 34332(CAS No. 137157−58−5),SR 96777A(CAS No. 115767−94−7),SIB T1980,NS 649(CAS No. 146828−02−6),PD 142505(CAS No. 149929−08−8),GYKI 52466(CAS No. 102771−26−6),RO 246173(CAS No. 159723−57−6),SCH 50911(CAS No. 160415−07−6),Z 4105(CAS No. 119737−52−9),RS 67333(CAS No. 168986−60−5),NS 1546,ZM 241385(CAS No. 139180−30−6),RO 249975(すなわち、[1S,3S(2’S),5R]−3−(1−ベンジル−5−オキソピロリジン−2−イルメチル)−5−(1H−イミダゾール−5−イルメチル)シクロヘキサン−1−アセタミド),AF 185(すなわち、8−メチル−3−(2−プロピニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン),CEP 427,CX 423,CX 438,CX 480,CDP−ethanolamine,GT 4003,GT 4011,GT 5011,MS 430(CAS No. 122113−44−4),MBF 379(すなわち、[3,3−ビス(ヒドロキシメチル)−8−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジン−5−イル][3’,5’−ジヒドロキシ−4’−(2−イキソ−2−フェニルエトキシ)フェニル]メタノン),NGD 187(CAS No. 163565−48−8),DUP 856,MR 3066,MF 8615(すなわち、5−アミノ−6−クロロ−4−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−1H−チオピラノ−[3,4−b]キノリノン),himbacine,ABS 300,RJR 2403(CAS No. 538−79−4),MF 268(CAS No. 174721−00−7),RO 465934(すなわち、N,N−ジメチルカルバミン酸 3−(2−シクロヘキシル)−2,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−ベンゾ[e]インドール−6−イル エステル),NS 393,RGH 2716(CAS No. 134069−68−4),
【0054】
WIN 678702(12,12−ビス(3−フリル)−6,11−ジヒドロ−6,11−エタノベンゾ[b]キノリジニウムクロライド),RS 66252(すなわち、1−ブチル−2−[(2’−(2H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イル)メチル]−1H−インドール−3−カルボン酸),AIT 034(CAS No. 138117−48−3),NG 012(CAS No. 131774−53−3),PD 142012(CAS No. 5778−84−7),GT 4054,GT 4077,GT 4035,P 26(CAS No. 152191−74−7),RGH 5279(すなわち、(−)−(13aR,13bS)−13a−エチル−2,3,5,6,13a,13b−ヘキサヒドロ−1H−インドロ[3,2,1−de]ピリド[3,2,1−ij][1,5]ナフチリジン−12−カルボン酸 2−アセトキシエチル エステル),AIT 083,CeNeS,エストラジオール(すなわち、1,3,5(10)−エストラトリエン−3,17ベータ−ジオール),WAY 132983((3R,4R)−3−(3−ヘキサスルファニルピラジン−2−イルオキシ)−1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン 塩酸塩),ABS 205,ABS 401,SX 3507(すなわち、3−(3−プロピル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)キノキサリン−2(1H)−オン),ARR 17779(すなわち、(−)−スピロ[1−アザビシクロ[2.2.2]オクタエン−3,5−オキサゾリジン]−2−オン),XE 991(すなわち、10,10−ビス(4−ピリジルメチル)アンスラセン−10(9H)−オン),phenethylnorcymserine,RO 657199,RJR 1781(すなわち、R(+)−2−(3−ピリジル)−1−アザビシクロ[2.2.2.]オクタン),RJR 1782(すなわち、S(−)−2−(3−ピリジル)−1−アザビシクロ[2.2.2.]オクタン),gilatide,tolserine,TC 2559(すなわち、(E)−N−メチル−4−[3−(5−エトキシピリジン)イル]−3−ブテン−1−アミン),ER 127528(すなわち、1−(3−フルオロベンジル)−4−[(2−フロロ−5,6−ジメトキシ−1−インダノン−2−イル)メチル]ピペリジン 塩酸塩),thiatolserine,targacept,axonyx,cymserine,thiacymserine,monoclonal antibody 266,Apan−CH,DP 103,SPI 339(すなわち、4−[3−(4−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロインドール−1−イル)プロピオニルアミノ]安息香酸 エチル エステル),S 37245(すなわち、4−(1,4−ベンゾジオキサン−5−イル)−1−[3(S)−ヒドロキシ−5−ニトロ−インダン−2−イル]−ピペラジン),LLG 88,AZD 2858,trometamol,AN 240,NG 002(すなわち、5−ヒドロキシ−5−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−4−メトキシフラン−2(5H)−オン),UCB 29427(すなわち、2−シクロプロピル−4−(シクロプロピルアミノ)−6−(モルホリノ)−1,3,5−トリアジン),TRH−SR,RO 401641(CAS No. 122199−02−4),MPV 1743AIII(CAS No. 150586−64−4),IDRA 21(CAS No. 22503−72−6),CEP 431,ACPD(CAS No. 67684−64−4),CT 3577(すなわち、3,7−ジメチル−1−[11−(3,4,5−トリメトキシベンジルアミノ)−11−オキソウンデシル]キサンチン),CT 2583,NXD 9062,Desferri−nordanoxamine,DP b99,PBT 1,T 817MA,Alfatradiol(CAS No.57−91−0),AL 108,SL 650102,RS 67333(CAS No.168986−60−5),RS 17017,SGS 518,SYN 114,SB 271046,RO 657199,PRX 07034,Suritozole(CAS No.110623−33−19),Terbequinil(CAS No.113079−82−6),FG 7142(CAS No.78538−74−6).RU 34332(CAS No.137157−58−5),SX 3507,RO 153505(CAS No.78771−13−8),RU 33965(CAS No.122321−05−5),S 8510(CAS No.151466−23−8),Sabeluzole(CAS No.104383−17−7),Cerebrocrast(CAS No.118790−71−9),NS 626,NS 649(CAS No.146828−02−6),U 92032(CAS No.142223−92−5),MEM 1003,U 92798,RGH 2716(CAS No.134069−68−4),Safinamide(CAS No.133865−89−1),AZD 0328,MEM 63908,ABT 418(CAS No.147402−53−7),ARR 17779,RJR 2403(CAS No.538−79−4),TC 2559,A 82695(CAS No.147388−86−1),A 84543,A 98284,DBO 83,RJR 2557,SIB 1765F(CAS No.179120−52−6),GTS 21(CAS No.156223−05−1),MEM 3454,SIB 1553A,EVP 6124,SSR 180711,
【0055】
ABT 089(CAS No.161417−03−4),ABT 107,ABT 560,TC 5619,TAK 070,N−[(1S,2R)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−1−ヒドロキシ−1−[(5S,6R)−5−メチル−6−(ネオペンチルオキシ)モルホリン−3−イル]プロパン−2−イル]アセトアミド 塩酸塩,6−フルオロ−5−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロピリジン,2−アミノ−6−[2−(3’−メトキシビフェニル−3−イル)エチル]−3,6−ジメチル−5,6−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン,AZD 1080,ARA 014418,XD 4241,Z 321(CAS No.130849−58−0),ONO 1603(CAS No.114668−76−7),JTP 3399,Eurystatin A(CAS No.137563−63−4),Eurystatin B(CAS No.137563−64−5),P 128(CAS No.157716−52−4),Y 29794(CAS No.129184−48−1),ZTTA 1,JTP 4819(CAS No.162203−65−8),Monoclonal antibody 266,duloxetine,escitalopram oxalate,fluoxetine,fluvoxamine maleate,paroxetine,sertraline,dapoxetine,desvenlafaxine,sibutramine,nefazodone,milnacipran,desipramine,duloxetine,又はbicifadine等が挙げられる。
【0056】
本発明の組成物は、所望により、有効成分を含有する1つ以上の単位剤形を含有することができるパック又はディスペンサー装置等の容器を備えたキットの形で提供されうる。
【0057】
本発明はまた、別々の薬剤組成物をキット形に組み合わせることもできる。このキットは2種類又はそれ以上の別々の薬剤組成物を含んでもよい。例えば、本発明の化合物とADの治療もしくは予防に有用であることが知られているひとつ以上の化合物、及び/又は本発明の化合物とAD以外の治療において薬効を示す化合物を含む。このキットは、通常、例えば分割式ボトル又は分割式ホイルパケットのような、別々の組成物を含有するための容器を含むが、別々の組成物を単一の非分割式容器に含めることもできる。キット形は、別々の成分を異なる投与形(例えば、経口的と非経口的)で投与することが好ましい場合、別々の成分を異なる投与間隔で投与する場合、又は処方医師によって組み合わせた個々の成分を滴定する必要がある場合に、特に有用である。
【0058】
パックは、例えば、金属もしくはプラスチックホイル、例えばブリスターパックを含むことができる。ブリスターパックはパッケージング業界において周知であり、製薬的単位投与形(錠剤、カプセル等)のパッケージングに広く用いられている。ブリスターパックは一般に、透明なプラスチック材料のホイルによって覆われた比較的硬質材料のシートから成るのが好ましい。パッケージング・プロセス中に、該プラスチックホイル中に凹みが形成される。これらの凹みは、パックされる個々のカプセル等のサイズ及び形状に合わせてある。次に、カプセル等を凹み中に入れて、凹みが形成された方向とは逆のホイル面において、比較的硬質材料のシートをプラスチックホイルに対してシールする。その結果、カプセル等が該プラスチックホイルと該シートとの間の凹み中にシールされる。シートの強度は、凹みの場所においてシートに開口が形成されるように手で圧力を凹みに加えることによって、カプセル等をブリスターパックから取り出すことができるような強度が好ましい。錠剤又はカプセルを前記開口によって取り出すことができる。
【0059】
パック又はディスペンサー装置には、投与のための添付文書、プロダクトインサート等を添付することができる。パック又はディスペンサー等の容器は、医薬の製造、使用又は販売を規制する政府機関、当局の通達に適応させることができる。
【0060】
本発明のひとつの態様において、前記経口投与剤は、軸索の伸展剤及び/又は変性した軸索の修復剤であってもよい。好ましくは、上記したジオスゲニン等の作用メカニズムにより、軸索の伸展剤及び/又は変性した軸索の修復作用を奏する。本態様において、軸索の伸展剤及び/又は変性した軸索の修復剤の投与量、投与対象は、上記と同様であってよい。
【0061】
なお、化合物の軸索の伸展、又は変性した軸索の修復作用は、通常この分野で用いられる公知方法、自体公知の方法又はそれらに準じる方法によって評価することができる。具体的には、例えば、以下の方法により測定することができる:各マウスを麻酔し、冷却した生理食塩水で経心臓灌流する。常法に従って、このマウスの脳を慎重に頭蓋骨から外し、直ちに10〜30%(w/v)スクロース-PBSに浸し、−80℃で保存する。脳をクライオスタット(CM3050S、ライカ(Leica)社、ハイデルベルク、ドイツ)を用いて頭頂領域(ブレグマ(bregma)1.4-2mm)のセクション内で100μm毎に、20 μmの連続した冠状切片に切り出す。スライスは4%(w/v)パラホルムアルデヒド/(0.1mol/L)リン酸緩衝液で固定し、Aβ(1-40/42)(1:300)に対するポリクローナル抗体(ケミコン(Chemicon)、テメキュラ(Temecula)、カリフォルニア州、米国)、pNF-H(1:500)に対するモノクローナル抗体(コバンス(Covance)、エメリーヴィル(Emeryville)、カリフォルニア州、米国)を用い、4℃で20時間染色する。二次抗体として、Alexa Fluor 488標識ヤギ抗マウスIgG抗体(1:300)とAlexa Fluor 568標識ヤギ抗ウサギ抗体(1:300)(モレキュラープローブス(Molecular Probes)社、ユージーン(Eugene)、オレゴン州、米国)を用いる。軸索及びAβ(1-40/42)の蛍光画像は、蛍光顕微鏡(BX61)を使用して、1枚当たり324μm × 430μmの画像を撮影する。前頭葉の3つの連続した脳切片と海馬の5つの連続した脳切片を定量のためマウスから切り出す。細胞外アミロイド斑は大きさ(50μmより大きい幅)で決定し、その面積を、画像解析ソフトウェアImageJ(http://rsbweb.nih.gov/ij)を用いて測定する。軸索の伸展は、pNF-H陽性の線維状の軸索の長さを、Neurocyte(クラボウ、大阪)あるいは、Metamorph(モレキュラーデバイス、Sunnyvale, CA、米国)にて測定する。変性した軸索の測定は、アミロイド斑の内側の領域内に限局する、pNF-H陽性の球状軸索の面積を、ImageJにて定量することによりおこない、変形した軸索の修復を評価する。
より具体的な軸索の伸展又は修復の測定方法は、例えば、Tohda C, Urano T, Umezaki M, Nemere I, Kuboyama T, Diosgenin is an exogenous activator of 1,25D3-MARRS/Pdia3/ERp57 and improves Alzheimer’s disease pathologies in 5XFAD mice. Sci. Rep., 2, 535; DOI:10.1038/srep00535 (2012)等の記載を参考にしてよい。
【0062】
本発明の別のひとつの態様は、本発明の経口投与剤を含有する、飲食品、飼料、食品添加剤、又は飼料添加剤等に関する。
【0063】
本発明の前記飲食品について説明する。
本発明の前記飲食品は、一般的に飲食品に用いられる食品添加剤、例えば甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、発色料、漂白料、防かび剤、ガムベース、苦味料、酵素、光沢剤、酸味料、調味料、乳化剤、強化剤、製造用剤、香料、香辛料抽出物等の一種以上が添加されてもよい。なお、本発明の前記飲食品には、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、乳児用食品、幼児用食品、妊産婦用食品、高齢者用食品、病者用食品等が含まれる。
【0064】
本発明の前記飲食品の形態は、特に限定されない。具体的には、例えば、いわゆる栄養補助食品(サプリメント)としての錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤又はドリンク剤等を挙げることができる。これ以外には、例えば茶飲料、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料、そば、うどん、中華麺、即席麺等の麺類、飴、キャンディー、ガム、チョコレート、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子およびパン類、かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産又は畜産加工食品、加工乳、発酵乳等の乳製品、サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂および油脂加工食品、ソース、たれ等の調味料、カレー、シチュー、丼、お粥、雑炊等のレトルトパウチ食品、アイスクリーム、シャーベット、かき氷等の冷菓などを挙げることができる。
【0065】
本発明の前記飲食品の摂取量は、特に限定されず、飲食品の形態、飲食品を摂取する対象の年齢、性別、状態等の条件に応じて設定してよい。
【0066】
本発明の別のひとつの態様は、本発明の経口投与剤を対象に投与する工程を含む、アミロイド斑、タウ沈殿、タウ析出物、PHF-タウ、又は神経原線維変化を減少させる方法に関する。本態様において、投与対象、投与量等は、上記と同様であってよい。
【0067】
また、本発明のさらに別のひとつの態様は、本発明の経口投与剤を対象に投与する工程を含む、アミロイドβ(Aβ)(1-42)に誘導された軸索の萎縮を抑える方法に関する。本態様において、投与対象、投与量等は、上記と同様であってよい。
【0068】
さらに、本発明の別のひとつの態様は、本発明の経口投与剤を対象に投与する工程を含む、1,25D3-MARRSを刺激し、シグナル伝達経路を活性化させる方法に関する。本態様において、投与対象、投与量等は、上記と同様であってよい。
【0069】
また、別のひとつの態様は、また、本発明のさらなる別のひとつの態様は、本発明の経口投与剤を対象に投与する工程を含む、正常な記憶力を亢進、向上させる方法に関する。なお、「正常な記憶力」とは、「アミロイド斑、タウ沈殿、タウ析出物、PHF-タウ、又は神経原線維変化を有している、もしくは、Aβ(1-42)に誘導された軸索の萎縮を有している等の疾患が、存在しない状態の対象における記憶力」を包含する。本態様において、投与対象、投与量等は、上記と同様であってよい。
【0070】
(ジオスゲニン誘導体およびその用途)
本発明の別の態様には、新規なジオスゲニン誘導体が含まれる。このようなジオスゲニン誘導体としては、前記式(I−1)で表される化合物又はその塩(薬学的に許容可能な塩)のうち、非公知のジオスゲニン誘導体(例えば、前記式(III)で表される化合物など)などが挙げられる。
また、本発明には、ジオスゲニン誘導体(例えば、前記式(I−1)で表される化合物又はその塩)を含む、軸索の機能不全が関与する疾患の予防剤又は治療剤も含まれる。
このような軸索の機能不全が関与する疾患としては、前記と同様の疾患、例えば、脊髄損傷、脳挫傷、AD(アルツハイマー病)、パーキンソン病、認知症等が挙げられる。これらの疾患の中でも、特に、AD又は脊髄損傷が好ましい。
さらに、本発明には、ジオスゲニン誘導体を含む、神経細胞の軸索の伸展剤又は変性した神経細胞の軸索の修復剤も含まれる。
さらにまた、本発明には、ジオスゲニン誘導体を含む医薬(又は医薬組成物)も含まれる。
また、本発明には、ジオスゲニン誘導体を含有する健康機能食品も含まれる。
【0071】
なお、このようなジオスゲニン誘導体の各種用途(予防剤、治療剤、軸索の伸展剤、修復材、健康機能食品など)は、ジオスゲニン誘導体を含む限り、前記のように油脂に懸濁又は溶解した特定の経口投与剤での適用に限定されず、種々の態様を適用できる。
【0072】
剤形としては、例えば、錠剤、懸濁剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、ドライシロップ剤、被覆錠剤、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、カプセル剤、ソフトカプセル剤、シロップ剤、経口液剤、トローチ剤、ゼリー剤、吸入剤、坐剤、注射剤、軟膏剤、点眼剤、眼軟膏剤、点鼻剤、点耳剤、パップ剤、ローション剤、外用液剤、スプレー剤、外用エアゾール剤、クリーム剤、ゲル剤、テープ剤、バッカル錠、舌下錠、膣坐剤、膣錠、直腸ソフトカプセル剤等が挙げられる。製剤化には、通常用いられる添加剤、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、コーティング剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤や、必要により安定化剤、乳化剤、吸収促進剤、界面活性剤、pH調製剤、防腐剤、抗酸化剤等を使用することができ、一般に医薬品製剤の原料として用いられる成分を配合して常法により製剤化可能である。
【0073】
投与形態としては、特に限定されず、経口投与であっても、非経口投与であってもよい。非経口投与としては、例えば、直腸投与、経鼻投与、経肺投与、注射投与(例えば、静脈内投与、脊椎腔内投与、硬膜外腔内投与、筋肉内投与、皮下投与、腹腔内投与、動脈内投与、関節内投与、心臓内投与、嚢内投与、皮内投与、病巣内投与、眼内投与、胸腔内投与、くも膜下投与、子宮内投与、脳室内投与)等が挙げられる。
【0074】
その他、前記特定の経口投与剤であること以外の態様(投与量、投与対象など)は、前記と同様である。
【実施例】
【0075】
次に、実験例、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【0076】
<統計処理>
本実施例において、得られた結果は以下の統計処理を行った:
一元配置分散分析(one-way ANOVA)、事後ダネット(Dunnett)検定、及び対応t−検定は、グラフパッド5(Graphpad Prism 5) (グラフパッドソフトウエア(Graphpad Software)社、ラホヤ(La Jolla)、カリフォルニア州、米国)を用いて行った。* P<0.05は統計学的に有意とし、平均値はSEとともに示す。
【0077】
<供試動物>
(1)正常マウス
ddYマウスは、日本SLC(浜松、日本)から得た。本実施例においては、正常マウスとして、雄性かつ6週齢のddYマウスを用いた。全てのマウスは、餌と水を自由に摂取させ、22±2℃、50±5%の湿度、午前7時から始まる12時間の明暗サイクルで制御された環境で飼育した。
(2)ADモデルマウス
トランスジェニックマウス(5XFAD)はADの動物モデルと考えられており、ジャクソン研究所(バーハーバー(Bar Harbor)、メイン州、米国)から入手した。5XFADマウスは、ニューロン特異的マウスThy-1プロモータの転写制御下、スウェーデン(Swedish)(K670NとM671L)、フロリダ(Florida)(I716V)及びロンドン(London)(V717I)に変異を持つヒトAPP695 cDNA、及びヒト PS1 cDNA(M146LとL286Vの変異)を過剰発現している(Oakley,H.ら,J Neurosci,26,10129-10140,2006.)。それらはB6/SJL F1ブリーダーとヘミ接合トランスジェニックマウスを交配することによって維持された。
本実施例においては、ADモデルマウスとして、24〜27週齢である雄性及び雌性の5XFADマウス、又は28〜31週齢である雌性の5XFADマウスを用いた。全てのマウスは、餌と水を自由に摂取できる状態で、22±2℃、50±5%の湿度、午前7時から始まる12時間の明暗サイクルで制御された環境で飼育した。
【0078】
<自発運動量測定>
本参考試験1において、自発運動量測定は以下のように実施した:
試験に供する各マウスについて、オープンフィールドボックスで10分間馴化させた時のマウスの移動経路を、デジタルカメラシステムを用いて追跡した。10分間に動いた距離をEthoVision3.0(ノルダス(Noldus)社、ワゲニンゲン(Wageningen)、オランダ)で移動活動として分析した。
【0079】
<物体認知記憶試験>
本実施例において、物体認知記憶試験は以下のようにして実施した:
自発運動量測定の翌日、発明者らの文献(Joyashiki,E.ら, Int J Neurosci, 121, pp.181-190, 2011.、及びTohda,C.ら, Int J Neurosci, 121, pp.641-648, 2011.)の記載にしたがって、物体認知記憶試験を行った。試験は比較的照明をおとした部屋(約100ルクス)にて行った。トレーニング段階とテスト段階の間の適切な時間間隔(インターバル)は、別のマウスのグループで予めテストして決めた。物体認知記憶試験とは、動物が新しいものに興味を示す習性を利用した試験である。試験を行うオープンフィールドボックスの内側の壁には、一切の目印はない。トレーニング段階ではフィールド内に2つの同じ物体を置き10分間の探索行動をさせる。テストの段階では、物体の一つを新しい物体に置き換え、しかし置き場所は変えずに、10分間の探索行動をさせる。マウスが、置き換えた新しい物体に興味を示して探索行動する回数の増加を、物体記憶能力の指標とするものである。すなわち、テスト段階において、トレーニング段階で見た物体を覚えているか否かを確認する試験である。本実施例では、総探索時間に対する新たな物体への探索回数の割合(%)を探索指向指数(Preference index)として算出した。
【0080】
<物体場所記憶試験>
本実施例において、物体場所記憶試験は以下のようにして実施した:
試験は比較的照明をおとした部屋(約100ルクス)にて行った。トレーニング段階とテスト段階の間の適切な時間間隔(インターバル)は、別のマウスのグループで予めテストして決めた。物体場所記憶試験とは、動物が新しいものに興味を示す習性を利用した試験である。試験を行うオープンフィールドボックスの内側の4方の壁のうち、対面する2つの壁に目印となるような特徴的な柄を配した壁紙を貼る。トレーニング段階ではフィールド内にマウスにとって初めて見る2つの同じ物体を置き10分間の探索行動をさせる。テストの段階では、その物体のうち一つの置き場所を変えて、10分間の探索行動をさせる。マウスが、物は同じでも置き場所が変わった物体に興味を示して探索行動する回数の増加を、空間記憶能力の指標とするものである。すなわち、テスト段階において、トレーニング段階で見た物体を覚えているか否かを確認する試験である。本実施例では、総探索時間に対する場所を変えた物体への探索回数の割合(%)を探索指向指数(Preference index)として算出した。なお、本試験は、Tohda C., Joyashiki E. Sominone enhances neurite outgrowth and spatial memory mediated by the neurotrophic factor receptor, RET. British Journal of Pharmacology (2009) 157, 1427-1440.の記載を参考にして行った。
【0081】
<実施例1>
2.07mgのジオスゲニン(和光純薬社製)に5mLのゴマ油(カネダ株式会社製)を加え、マイクロホモジナイザーで攪拌し、均一に懸濁させ懸濁液を得た。この懸濁液0.5mLをゴマ油49.5mLと均一に混合させ、ゴマ油(mL)に対するジオスゲニンの重量が0.00414mg/mLである懸濁液(実施品1)を得た。ジオスゲニンの投与量が、マウスの単位体重あたり0.1μmol/kg/日となるように、実施品1を1日1回、ADモデルマウス(5XFAD、雄性および雌性、24〜27週齢)に経口投与で投与した。投与期間は、20日間とした。このマウスに対し、物体認知記憶試験を実施した。なお、最終投与の翌日にトレーニング段階を実施した。また、トレーニング段階とテスト段階のインターバルは1時間とした。
<実施例2>
ジオスゲニンの投与量を、マウスの単位体重あたり10μmol/kg/日とする以外は、実施例1と同様にした。
<実施例3>
実施例1におけるゴマ油を、オリーブ油(カネダ株式会社製)に換えた実施品3を用いる以外は、実施例1と同様にした。
<実施例4>
実施例1におけるゴマ油を、大豆油(カネダ株式会社製)に換えた実施品4を用いる以外は、実施例1と同様にした。
<比較例1>
実施品1をゴマ油のみに換える以外は、実施例1と同様にした。
<コントロール>
ADモデルマウスに換えて野生型マウス(24〜27週齢)を用いる以外は、比較例1と同様にした。
【0082】
結果を図1に示した。
実施例1〜4のマウスは、コントロールとして用いた野生型マウスと同等のレベルまで記憶障害が改善された。
【0083】
<実施例5>
1.30mgの(3β,25R)−3−(2−アミノエタノイロキシ)−スピロスト−5−エンの塩酸塩{(3β, 25R)-3-(2-Aminoethanoyloxy)-spirost-5-ene塩酸塩}(合成品、以降、本明細書においてDios−Gと略称する。)に2.544mLのゴマ油(カネダ株式会社製)を加え、マイクロホモジナイザーで攪拌し、均一に懸濁させ懸濁液を得た。得られた懸濁液0.5mLをとり、ゴマ油49.5mLを加えて均一に混合させ、ゴマ油(mL)に対するDios−Gの重量が0.005081mg/mLである懸濁液(実施品5)を得た。
Dios−Gの投与量が、マウスの単位体重あたり0.1μmol/kg/日となるように、実施品5を1日1回、ADモデルマウス(5XFAD、雌性、28〜31週齢)に経口投与で投与した。投与期間は、20日間とした。このマウスに対し、物体認知記憶試験を実施した。なお、最終投与の翌日にトレーニング段階を実施した。また、トレーニング段階とテスト段階のインターバルは1時間とした。
<実施例6>
実施品5に換えて、(3β,25R)−3−フルオロスピロスト−エン{(3β, 25R)-3-Fluorospirost-5-ene}(合成品、以降、本明細書においてDios−Fと略称する。)に換えた実施品6を用いる以外は、実施例5と同様にした。なお、実施品6は、以下のように調製した:1.13mgのDios−Fに2.712mLのゴマ油を加えて撹拌し、均一に懸濁させ、得られた懸濁液0.5mLに、さらに49.5mLのゴマ油を加えて均一に混合させ、ゴマ油(mL)に対するDios−Fの重量が0.004166mg/mLである懸濁液(実施品6)を調製した。
<比較例2>
実施品5をゴマ油のみに換える以外は、実施例5と同様にした。
<コントロール>
ADモデルマウスに換えて野生型マウス(31週齢)を用いる以外は、比較例2と同様にした。
【0084】
結果を図2に示した。
実施例5及び6のマウスは、コントロールとして用いた野生型マウスと同等のレベルまで記憶障害が改善された。
【0085】
<実施例7>
実施例5と同様にして、ゴマ油にDios−Gを懸濁させた懸濁液(実施品7)を得た。Dios−Gの投与量が、マウスの単位体重あたり0.1μmol/kg/日となるように、実施品7を1日1回、ADモデルマウス(5XFAD、雌性、28〜31週齢)に経口投与で投与した。投与期間は、25日間とした。このマウスに対し、物体認知記憶試験を実施した。なお、最終投与の翌日にトレーニング段階を実施した。また、トレーニング段階とテスト段階のインターバルは24時間とした。
<実施例8>
実施例6と同様にして、ゴマ油にDios−Fを懸濁させて調製した懸濁液(実施品8)を用いる以外は、実施例7と同様にした。
<比較例3>
実施品7をゴマ油のみに換える以外は、実施例7と同様にした。
<コントロール>
ADモデルマウスに換えて野生型マウス(31週齢)を用いる以外は、比較例3と同様にした。
【0086】
結果を図3に示した。
物体認知記憶試験のインターバルを24時間に延長した本試験において、実施例7及び8のマウスは、記憶障害を改善する傾向を示した。
【0087】
<実施例9>
実施例6と同様にして、ゴマ油にDios−Fを懸濁させた懸濁液(実施品9)を得た。Dios−Fの投与量が、マウスの単位体重あたり0.1μmol/kg/日となるように、実施品9を1日1回、ADモデルマウス(5XFAD、雌性、28〜31週齢)に経口投与で投与した。投与期間は、22日間とした。このマウスに対し、物体場所記憶試験を実施した。なお、最終投与の翌日にトレーニング段階を実施した。また、トレーニング段階とテスト段階のインターバルは24時間とした。
<比較例4>
実施品9をゴマ油のみに換える以外は、実施例9と同様にした。
<コントロール>
ADモデルマウスに換えて野生型マウス(31週齢)を用いる以外は、比較例4と同様にした。
【0088】
試験の結果、実施例9のマウスは、記憶障害の改善が観察された。
【0089】
<<試験例:BMS、TMSによる後肢運動機能の評価>>
ジオスゲニン誘導体の、脊髄損傷マウスにおける後肢機能へ及ぼす影響について確認するため、脊髄損傷モデルマウスを用いた試験を実施した。
<脊髄損傷(SCI)マウス>
8週齢の雌のddYマウス(SLC)に下記のようにして挫傷を発生させて、脊髄損傷(SCI)モデルとした:マウスは、餌と水を自由に摂取できる状態で、一定の環境条件(22±2℃、50±5%湿度、および午前7時から開始される12時間の明暗サイクル)下で維持した。挫傷は、常法に従ってマウスの腰椎を露出させ、第一腰椎(L1)へ定位固定装置(ナリシゲ社製)を用いて高さ2cmから6.5gの重りを一度落下させることにより、発生させた。その後、常法に従って縫合等の外科的処置を施した。挫傷を与えた1時間後、マウスを無作為に抽出し、各試験区に分類して後記する実施例10及び比較例5に記載の投与試験を実施した。
<試験方法>
投与試験後のマウスを個別にオープンフィールド(42cm×48cm×15cm)に移動させ、5分間観察し、後肢運動機能を評価した。脊髄損傷のモデル試験における後肢の運動機能を評価する基準として一般的に用いられるバッソマウススケール(Basso Mouse Scale、BMS)(例えば、Engesser-Cesar C, Anderson AJ, Basso DM et al. (2005). Voluntary wheel running improves recovery from a moderate spinal cord injury. J Neurotrauma 22: 157-171)と、試験の精度を高めるために本発明者らがBMSに改変を加えた0−30ポイントのトヤママウススケール(Toyama Mouse Scale、TMS)を用いて、オープンフィールドにおける移動行動を評価した。
新しいスコアであるトヤママウススケール(TMS)は、試験の精度を向上させるために、本発明者らがBMSスコアに改変を加えたスコアであり、このTMSをSCIマウスにおける後肢機能の評価に用いた。TMSのスコア表を表1に示した。なお、表中、括弧内の数字が点数であり、項目毎に点数を判定し、加算して評価する。

【表1】
【0090】
<実施例10>
実施例6と同様にして、ゴマ油にDios−Fを懸濁させて懸濁液(実施品10)を得た。Dios−Fの投与量が、マウスの単位体重あたり0.1μmol/kg/日となるように、実施品10を1日1回、脊髄損傷マウスに経口投与で投与した。初回の投与は挫傷1時間後に行い、2回目の投与はその翌日(1日後)に行い、投与期間は14日間とした。このマウスに対し、後肢運動機能評価を実施した。
<比較例5>
実施品10をゴマ油とする以外は、実施例10と同様にした。
【0091】
なお、実施例10の供試マウスの個体数は3であり後肢は計6本(n=6)及び比較例5の供試マウスの個体数は6であり、後肢は計12本(n=12)で評価を行った。
結果を図4に示した。図4Aは、BMS(バッソマウススケール)で評価した結果、図4Bは、TMS(トヤママウススケール)で評価した結果である。Dios−Fを経口投与したマウス(実施例10、図4の黒丸で表された群)は、コントロールのゴマ油のみを投与したマウス(比較例5、図4の白丸で表された群)と比較して、後肢運動機能が有意に向上した。
【0092】
<<参考試験1>>食用油に懸濁したジオスゲニン誘導体の経口投与による自発運動量と体重変動への影響の確認。
実施例5及び6と同様にして、Dios−G又はDios−Fをゴマ油に懸濁させた懸濁液を調製した。ジオスゲニン誘導体(Dios−G又はDios−F)の投与量が、マウスの単位体重あたり0.1μmol/kg/日となるように、懸濁液を1日1回、ADモデルマウス(5XFAD、雌性、28〜31週齢)に経口投与で投与した。20日目の投与の1時間後に自発運動量を測定した。その後、さらに投与を続け、総投与期間を25日間とした。投与期間25日間を通して、毎日体重を測定した。
また、比較として、ADモデルマウス(5XFAD、雌性、28〜31週齢)又は野生型マウス(31週齢)にゴマ油のみを投与し、投与20日目の自発運動量、及び、体重の測定を実施した。
【0093】
自発運動量の測定結果を図5Aに、体重測定の結果を図5Bに示した。
ジオスゲニン誘導体を投与したADモデルマウス、ジオスゲニン誘導体を投与されていないADモデルマウス及び野生型マウスの間には、自発運動量及び体重の変化に有意差は観察されなかった。
【0094】
<<参考試験2>>水系溶媒に溶解したジオスゲニンは経口投与では記憶力の亢進効果を示さない。
<参考例1>
4.9mgのジオスゲニンを1.182mLのエタノールに溶解させ、10mMのジオスゲニンエタノール溶液とした。この溶液とは別に、2.3gのグルコースを46mLの水に溶解させて、5%グルコース水溶液を調製した。10mMジオスゲニンエタノール溶液1mLを、5%グルコース水溶液9mLに加えて混和させ、ジオスゲニンの水系溶媒溶液(参考品1)を得た。ジオスゲニンの投与量が、マウスの単位体重あたり10μmol/kg/日となるように、参考品1を1日1回、正常マウス(ddY、雄性、6週齢)に経口投与で投与した。投与期間は、5日間とした。このマウスに対し、物体場所記憶試験を実施した。なお、最終投与の翌日にトレーニング段階を実施した。また、トレーニング段階とテスト段階のインターバルは48時間とした。
<参考例2>
参考例1と同様にしてジオスゲニンの水系溶媒溶液(参考品2)を調製し、投与方法を腹腔内投与とする以外は、参考例1と同様にした。
【0095】
結果を図6に示した。水系溶媒に溶解したジオスゲニンを経口投与した参考例1のマウスでは、記憶力の亢進効果が観察されなかった(図6A)。一方、水系溶媒に溶解したジオスゲニンを腹腔内投与した参考例2のマウスでは、記憶力の亢進効果が有意に観察された。
【0096】
<<参考試験3>>ジオスゲニンの低用量による正常マウスでの記憶力亢進作用の確認。
<参考例3>
参考例1と同様にして、ジオスゲニンの水系溶媒溶液(参考品3)を得た。ジオスゲニンの投与量が、マウスの単位体重あたり0.1μmol/kg/日となるように、参考品3を1日1回、正常マウス(ddY、雄性、6週齢)に腹腔内投与で投与した。投与期間は、7日間とした。このマウスに対し、物体認知記憶試験を実施した。なお、最終投与の翌日にトレーニング段階を実施した。また、トレーニング段階とテスト段階のインターバルは48時間とした。
<参考例4>
ジオスゲニンの投与量を、マウスの単位体重あたり1μmol/kg/日とする以外は、参考例3と同様にした。
<参考例5>
ジオスゲニンの投与量を、マウスの単位体重あたり10μmol/kg/日とする以外は、参考例3と同様にした。
<コントロール>
参考品3をゴマ油のみとする以外は、参考例3と同様にした。
【0097】
結果を、図7に示した。参考例3〜5のマウスは、いずれも記憶力の亢進が観察された。
【0098】
上記の結果は、ジオスゲニン及び特定のジオスゲニン誘導体についての結果であるが、他のジオスゲニン誘導体でも同様の結果が得られることを確認している。例えば、Dios−Fは、ジオスゲニンの3位のヒドロキシル基がフッ素に置換された化合物であるが、ジオスゲニンの2位(α又はβ)がフッ素に置換された化合物、及びジオスゲニンの4位(α又はβ)がフッ素に置換された化合物のそれぞれについて、1,25D3−MARRSとのドッキングシュミレーションを行ったところ、ジオスゲニン及びDios−Fと同様のBinding affinityの値(kcal/mol)が得られた。なお、Binding affinityの値(kcal/mol)は、低いほど、結合活性が高いことを示す。
下記に結果を示す。表において、「ds」とは「ジオスゲニン」、「dsF−3β」とはジオスゲニンの3位ヒドロキシル基がフッ素に置換した化合物、「dsF−2β」とはジオスゲニンの2位(β)にフッ素が置換した化合物、「dsF−2α」とはジオスゲニンの2位(α)にフッ素が置換した化合物、「dsF−4β」とはジオスゲニンの4位(β)にフッ素が置換した化合物、「dsF−4α」とはジオスゲニンの4位(α)にフッ素が置換した化合物を、それぞれ示す。
【表2】
【0099】
<合成例1>Dios−G((3β, 25R)-3-(2-Aminoethanoyloxy)-spirost-5-ene塩酸塩)の合成方法
ジオスゲニン (和光純薬社製)(1.00 g, 2.41 mmol)とFmoc-Gly-OH (2.15 g, 7.24 mmol)をCH2Cl2 (24.0 mL)に溶解させ、この溶液にEDCI(1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド)(1.39 g, 7.24 mmol)とDMAP(N,N-ジメチル-4-アミノピリジン) (29.4 mg, 0.241 mmol)およびi-Pr2Net(N,N-ジイソプロピルエチルアミン)(1.12 g, 8.68 mmol)を氷冷下、順次加えた。その後、室温で24時間撹拌後水を加えて反応を停止した後、酢酸エチル(30 mL)で抽出した。集めた有機層を飽和食塩水(10 mL)で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下、有機溶媒を留去した。得られた残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=70:30)にて精製し、ジオスゲニン−Fmoc−グリシネート(diosgenin Fmoc-glycinate) (1.19 g, 71%)を得た。
上記のジオスゲニン−Fmoc−グリシネート(1.19 g, 1.71 mmol)をCH3CN-CH2Cl2混合溶液(15 mL, 3:2 v/v)に溶解させ、室温下、この溶液にピペリジン(piperidine)(1.46 g, 17.1 mmol)を加え、室温下にて1時間撹拌すると懸濁液となった。この懸濁液にトルエン(10 mL)を加えて澄明な溶液とした後、減圧下、有機溶媒を留去した。得られた残渣に(10 mL)を加えて溶液とした後、減圧下、有機溶媒を留去した。この操作を更に1回繰り返した後、得られた残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=80:20〜0:100)にて精製し、(3β,25R)−3−(2−アミノエタノイロキシ)−スピロスト−5−エン(3β, 25R)-3-(2-Aminoethanoyloxy)-spirost-5-ene) (693 mg, 86%)を得た。
上記の(3β,25R)−3−(2−アミノエタノイロキシ)−スピロスト−5−エン(590 mg, 1.25 mmol)をEt2O (50 mL)に溶解させ、氷冷下、塩酸(HCl)のジエチルエーテル(Et2O)溶液 (1.0 M, 3.13 mL, 3.13 mmol)を滴下し、室温下、30分撹拌した。生じた沈殿を濾取し、表題化合物(535 mg, 84%)を白色固体として得た。表題化合物の1H NMRを既報(Wang, X.; Ye, Z.; Wang, L. Faming Zhuanli Shenging Gongkai Shuomingshu (2004), CN 151760 A 20040804.)のものと照合して確認した。
Mp 194-197 °C; IR (KBr) 3400, 2951, 1746, 1598 cm-1;1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 5.42 (1H, d, J = 5.6 Hz), 4.72-4.66 (1H, m), 4.41-4.37 (1H, m), 3.80 (3H, s), 3.46-3.43 (2H, m), 2.43-2.38 (3H, m), 2.06-1.88 (5H, m), 1.79-1.13 (17H, m), 1.08 (3H, s), 0.95 (3H, d, J = 7.2 Hz), 0.81 (3H, s), 0.78 (3H, d, J = 6.4 Hz); 13C NMR (125 MHz, CD3OD) δ 167.9, 140.6, 123.9, 110.5, 82.1, 77.6, 67.8, 63.7, 57.7, 51.5, 42.9, 41.4, 41.2, 40.8, 38.9, 38.0, 37.9, 33.1, 32.7, 32.4, 31.4, 29.9, 28.6, 21.9, 19.74, 19.70, 17.5, 16.8, 14.9; LRMS (FAB) m/z 508 ([M+H]+); HRMS (FAB) m/z calcd. For C29H47O4ClN ([M+H]+) 508.31936, found 508.31852.
【0100】
<合成例2>Dios−F((3β, 25R)-3-Fluorospirost-5-ene)の合成方法
XtalFluor-E(登録商標、シグマアルドリッチ社) (85.9 mg, 0.375 mmol)をジクロロメタン(CH2Cl2)(0.63 mL)に懸濁させた溶液に、室温下にてトリエチルアミン三フッ化水素酸塩(Et3N・3HF)(0.16 mL, 1.00 mmol)とジオスゲニン(和光純薬社製)(118 mg, 0.25 mmol)を順次加え、この溶液を室温にて21時間撹拌した。TLCにて原料の消失を確認後、5% Na2CO3水溶液を加えて反応を停止し、酢酸エチル(1 mL)にて3回、抽出を行った。集めた有機層を飽和食塩水(1 mL)にて洗浄後、硫酸マグネシウムによって乾燥し、固体を濾別した後、減圧下、有機溶媒を留去した。得られた残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル, 98:2)にて精製し、表題化合物(49.3 mg, 47%)を白色固体として得た。さらにこの白色固体を酢酸エチルから再結晶し、19.1 mgの無色透明な針状晶を得た。
Mp 224-226 ℃; Rf = 0.36 (silica gel, hexane/AcOEt, 98:2); 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ5.39 (1H, d, J = 4.2 Hz), 4.46-4.39 (1H, m), 4.38 (1H, dm, 2JH-F = 50 Hz), 3.43 (1H, dd, J = 10.9, 10.9 Hz), 3.38 (1H, dd, J = 10.9, 3.1 Hz), 2.46-2.44 (2H, m), 2.03-1.96 (3H, m), 1.90-1.85 (2H, m), 1.79-1.43 (14H, m), 1.36-1.26 (1H, m), 1.21-1.07 (2H, m), 1.04 (3H, s), 0.97 (3H, d, J = 6.8 Hz), 0.80-0.78 (6H, m); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ139.3 (d, 3JC-F = 11.9 Hz), 122.7, 109.3, 92.7 (d, 1JC-F = 173 Hz), 80.8, 66.8, 62.1, 56.4, 49.91, 49.84, 41.6, 40.2, 39.7, 39.3 (d, 2JC-F = 19.3 Hz), 36.7, 36.3 (d, 3JC-F = 11.0 Hz), 32.0, 31.8, 31.4, 30.3, 28.8, 28.7 (d, 2JC-F = 17.3 Hz), 20.9, 19.3, 17.1, 16.3, 14.5; LRMS (EI) m/z 417 [M+]; HRMS (EI) m/z calcd. for C27H41FO2 416.3091 [M+], found 416.3137.
【0101】
<実施例11>
12.92mgのワイルドヤム乾燥エキス(アスク薬品株式会社製、ジオスゲニン16.05%含有)に5mLの大豆油(カネダ株式会社製)を加え、マイクロホモジナイザーで攪拌し、均一に懸濁させ懸濁液を得た。この懸濁液0.5mLを大豆油49.5mLと均一に混合させ、大豆油(mL)に対するジオスゲニンの重量が0.004146mg/mLである懸濁液(実施品11)を得た。ジオスゲニンとしての投与量が、マウスの単位体重あたり0.1μmol/kg/日となるように、実施品11を1日1回、ADモデルマウス(5XFAD、雄性および雌性、30〜47週齢)に経口投与で投与した。投与期間は、14日間とした。このマウスに対し、物体認知記憶試験を実施した。なお、最終投与の翌日にトレーニング段階を実施した。また、トレーニング段階とテスト段階のインターバルは1時間とした。
<比較例6>
実施品11を大豆油のみに換える以外は、実施例11と同様にした。
<コントロール>
ADモデルマウスに換えて野生型マウス(34〜36週齢)を用いる以外は、比較例6と同様にした。
【0102】
結果を図8に示した。なお、図8において、「preferential index」とは、前記の通り、探索指向係数、「Wild」とは野生型マウス、「5XFAD」とはADモデルマウス、「Yam」とはワイルドヤム乾燥エキスを用いたもの(すなわち、実施例11に対応)、「Veh」とはワイルドヤムエキス乾燥エキスを用いていないもの(すなわち、比較例6及びコントロールに対応)をそれぞれ示し、図の左側の3本の棒グラフがトレーニング段階、図の右側の3本の棒グラフがテスト段階の結果である(図9においても同じ)。
図8の結果から明らかなように、実施例11のマウスは、コントロールとして用いた野生型マウスと同等のレベルまで記憶障害が改善された。
【0103】
<比較例7>
12.92mgのワイルドヤム乾燥エキス(アスク薬品株式会社製、ジオスゲニン16.05%含有)に5mLの蒸留水を加え、マイクロホモジナイザーで攪拌し、均一に懸濁させ懸濁液を得た。この懸濁液0.5mLを蒸留水49.5mLと混合させ、蒸留水(mL)に対するジオスゲニンの重量が0.004146mg/mLである懸濁液(実施品12)を得た。ジオスゲニンとしての投与量が、マウスの単位体重あたり0.1μmol/kg/日となるように、実施品12を1日1回、ADモデルマウス(5XFAD、雄性、30〜47週齢)に経口投与で投与した。投与期間は、14日間とした。このマウスに対し、物体認知記憶試験を実施した。なお、最終投与の翌日にトレーニング段階を実施した。また、トレーニング段階とテスト段階のインターバルは1時間とした。
<比較例8>
実施品12を蒸留水のみに換える以外は、比較例7と同様にした。
<コントロール>
ADモデルマウスに換えて野生型マウス(39〜43週齢)を用いる以外は、比較例8と同様にした。
【0104】
結果を図9に示した。
図9の結果から明らかなように、蒸留水を用いた比較例7では有意に記憶障害が改善されなかった。
【0105】
<実施例12>
2.07mgのジオスゲニン(和光純薬社製)に5mLのゴマ油(カネダ株式会社製)を加え、マイクロホモジナイザーで攪拌し、均一に懸濁させ懸濁液を得た。この懸濁液0.5mLをゴマ油49.5mLと均一に混合させ、ゴマ油(mL)に対するジオスゲニンの重量が0.004146mg/mLである懸濁液(実施品13)を得た。ジオスゲニンの投与量が、マウスの単位体重あたり0.1μmol/kg/日となるように、実施品13を1日1回、ddYマウス(雄性および雌性、9週齢)に経口投与で投与した。投与期間は、4日間とした。このマウスに対し、物体認知記憶試験を実施した。なお、最終投与の1時間後にトレーニング試験を実施した。また、トレーニング段階とテスト段階のインターバルは48時間とした。
<比較例9>
実施品13をゴマ油のみに換える以外は、実施例12と同様にした。
【0106】
結果を図10に示した。ゴマ油に懸濁させたジオスゲニンを経口投与した実施例12のマウスでは、物体認知記憶の有意な亢進が観察された。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明によれば、これまで対処療法のみで対処していたアルツハイマー病の、根本療法に有効に使用できる臨床化可能な予防剤又は治療剤を提供することができる。さらに、本発明によれば、軸索の機能不全が関与する、アルツハイマー病以外の疾患についての、臨床化可能な予防剤又は治療剤をも提供することができる。
図1
図2
図3
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図7
図8
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図10