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特許6165327紙製品の端部構造、及び紙製のパッケージ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6165327
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】紙製品の端部構造、及び紙製のパッケージ
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/42 20060101AFI20170710BHJP
   B65D 5/66 20060101ALI20170710BHJP
   B65D 5/38 20060101ALI20170710BHJP
   B65D 85/10 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
   B65D5/42 F
   B65D5/66 321B
   B65D5/38 E
   B65D85/10
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-517771(P2016-517771)
(86)(22)【出願日】2014年5月9日
(86)【国際出願番号】JP2014062443
(87)【国際公開番号】WO2015170395
(87)【国際公開日】20151112
【審査請求日】2016年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之
(74)【代理人】
【識別番号】100131392
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 武司
(74)【代理人】
【識別番号】100126505
【弁理士】
【氏名又は名称】佐貫 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100123098
【弁理士】
【氏名又は名称】今堀 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100146330
【弁理士】
【氏名又は名称】本間 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100160945
【弁理士】
【氏名又は名称】菅家 博英
(72)【発明者】
【氏名】近藤 貴之
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/025233(WO,A1)
【文献】 特許第4186103(JP,B2)
【文献】 特開2005−96780(JP,A)
【文献】 特開2011−68411(JP,A)
【文献】 特表2011−516359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/42
B65D 5/38
B65D 5/66
B65D 85/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙製品の端部構造であって、
前記紙製品の端部と、
前記端部に連なり、当該端部側に折り曲げられ、当該端部に接着される折り曲げ部と、
前記端部と前記折り曲げ部との境界に設けられ、前記折り曲げ部が折り曲げられる直線状の折れ線と、
前記折れ線の近傍、かつ、前記端部又は前記折り曲げ部に設けられ、前記折れ線からの距離が変化する罫線であって、前記折り曲げ部が折り曲げられた際に、前記端部又は前記折り曲げ部が折れ曲がる罫線と、を備える紙製品の端部構造。
【請求項2】
前記罫線は、前記折れ線からの距離が徐々に長くなり、再び短くなるV字状である、請求項1に記載の紙製品の端部構造。
【請求項3】
前記罫線は、複数の前記V字を有する、請求項2に記載の紙製品の端部構造。
【請求項4】
前記罫線は、前記直線状の折れ線の両端部から延び、当該折れ線と所定の角度を成す、請求項1から3の何れか1項に記載の紙製品の端部構造。
【請求項5】
前記所定の角度は、0.1〜5.0度である、請求項4に記載の紙製品の端部構造。
【請求項6】
前記所定の角度は、0.2〜2.0度である、請求項4に記載の紙製品の端部構造。
【請求項7】
前記所定の角度は、0.5〜1.0度である、請求項4に記載の紙製品の端部構造。
【請求項8】
前記罫線は、前記端部に設けた場合と、前記折り曲げ部に設けた場合で、当該紙製品の端部の内部に作用する引張力が異なる、請求項1から7の何れか1項に記載の紙製品の端部構造。
【請求項9】
被収容物を収容し、被収容物を取り出す開口を有する略直方体形状の収容部と、前記開口を少なくとも覆う蓋部と、を含む紙製のパッケージであって、
前記蓋部の端部と、前記収容部の開口の端部とのうち、少なくとも何れか一方の端部に連なり、前記パッケージの内側に折り曲げられ、当該端部に接着される折り曲げ部と、
前記端部と前記折り曲げ部との境界に設けられ、前記折り曲げ部が折り曲げられる直線状の折れ線と、
前記折れ線の近傍、かつ、前記端部又は前記折り曲げ部に設けられ、前記折れ線からの距離が変化する罫線であって、前記折り曲げ部が折り曲げられた際に、前記端部又は前記折り曲げ部が折れ曲がる罫線と、を備える紙製のパッケージ。
【請求項10】
被収容物を収容し、被収容物を取り出す開口を有する内箱と、内箱を収容し、内箱を出し入れする出し入れ口を有する外箱と、を含む紙製のパッケージであって、
前記内箱の開口の端部と、前記外箱の出し入れ口の端部とのうち、少なくとも何れか一方の端部に連なり、前記パッケージの内側に折り曲げられ、当該端部に接着される折り曲げ部と、
前記端部と前記折り曲げ部との境界に設けられ、前記折り曲げ部が折り曲げられる直線状の折れ線と、
前記折れ線の近傍、かつ、前記端部又は前記折り曲げ部に設けられ、前記折れ線からの距離が変化する罫線であって、前記折り曲げ部が折り曲げられた際に、前記端部又は前記折り曲げ部が折れ曲がる罫線と、を備える紙製のパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製品の端部構造、及び紙製のパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たばこ商品等の被収容物を収容するパッケージ(包装)として、ソフトパック型パッケージ、ハード型パッケージ等が公知である。ハード型パッケージの1つの形態として、蓋(リッド)を備えたヒンジリッドパッケージ(ヒンジリッドボックスとも言う)が知られている。この種のヒンジリッドパッケージは、通常、ボックス状の外形を有し、シガレット束を収容する収容部と、収容部の上部に形成される開口端を開閉するための蓋が、開口端の縁部に沿って設けられるヒンジを介して回動自在に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2005−512909号公報
【特許文献2】特開2009−292516号公報
【特許文献3】特表2006−521245号公報
【特許文献4】特開2011−68411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヒンジリッドパッケージは紙製が一般的であり、紙製のヒンジリッドパッケージでは、紙の撓みを起因として、蓋と本体との間に隙間が生じるといった問題があった。このような問題を解決するため、蓋と本体の一部を嵌合することで隙間の発生を防ぐ技術が提案されている。但し、このような従来技術では、パッケージの構造が複雑化することが懸念される。また、繰り返し嵌合することによる、嵌合箇所の紙の劣化も懸念される。なお、このような問題は、ヒンジリッドパッケージに限らず、内箱と外箱を有するスライド式のパッケージを始めとして、紙製品全般において言える。特に紙製品の端部では、撓みや劣化が懸念される。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑み、紙製品の端部の撓み、及び劣化を抑制する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するため、紙製品の端部を折り曲げるとともに、折り曲げ方を工夫して、折り曲げ部分に予め引張力を与えられるようにした。
【0007】
詳細には、本発明は、紙製品の端部構造であって、前記紙製品の端部と、前記端部に連なり、当該端部側に折り曲げられ、当該端部に接着される折り曲げ部と、前記端部と前記折り曲げ部との境界に設けられ、前記折り曲げ部が折り曲げられる直線状の折れ線と、前記折れ線の近傍、かつ、前記端部又は前記折り曲げ部に設けられ、前記折れ線からの距離が変化する罫線であって、前記折り曲げ部が折り曲げられた際に、前記端部又は前記折り曲げ部が折れ曲がる罫線と、を備える紙製品の端部構造である。
【0008】
本発明に係る紙製品の端部構造は、折れ線に加えて罫線を備えることを特徴の一つとする。罫線は、一般的な罫線と同じように、紙製品を折り曲げ易くするためのもので、折り目、ミシン目、薄肉によって構成することができる。紙製品は、本来、罫線位置で折れ曲がることになるが、本発明に係る紙製品の端部構造では、折り曲げるための罫線を有しているにも関わらず、罫線に反して、罫線とは別の折れ線で折り曲げられる。ここで、紙製品を折り曲げると、折り曲げた位置では、元に戻ろうとする復元力が作用する。本発明に係る紙製品の端部構造では、折り曲げ部が折れ線で折り曲げられることに加えて、罫線においても折れ曲がり、罫線においても復元力が作用する。更に、この罫線は、折れ線からの距離が変化するように形成されている。そのため、例えば罫線を折れ線と平行な直線状とする場合と比較すると、罫線では折り曲げ難くなっている。したがって、紙製品を直線状の折れ線で折り曲げた際、罫線では、抵抗しながら折れ曲がるため、より強い復元力が作用する。更に、折り曲げ部は、端部に接着されている。その結果、紙製品の端部では、従来よりも強い復元力が作用するものの、元に戻ることができない。そのため、本発明に係る紙製品の端部構造では、紙製品の端部の内部に、引張力が作用し、紙製品の端部が撓むことが抑制される。つまり、本発明に係る紙製品の端部構造では、引張力を制御、換言すると撓みを制御することで、経年劣化による紙の撓みを抑制している。また、本発明に係る紙製品の端部構造は、折り曲げ部が折り曲げられており二重構造であり、更に非常に単純な構成であるため、劣化し難くなっている。
【0009】
前記罫線は、前記折れ線からの距離が徐々に長くなり、再び短くなるV字状とすることができる。罫線の一例にすぎないが、罫線をV字状とすることで、罫線の加工も容易であり、引張力の調整も行い易くなる。罫線は、直線状でもよく、また、曲線状でもよい。V字の罫線の位置は、折れ線の全体に亘って設けてもよく、また、折れ線の一部(例えば、中央部や端部)に設けてもよい。V字の数は、一つでもよく、複数でもよい。換言すると、罫線は、複数の前記V字を有する構成としてもよい。複数のV字を設けることで、より強い引張力を作用させることができる。罫線は、V字の頂点が紙製品の端部側、折り曲げ部側の何れに設けられていてもよいが、折り曲げ部側に設けることがより好ましい。罫線を折り曲げ部側に設けることで、折れ線と罫線の復元力の方向が一致し、より強い引張力を作用させることができる。
【0010】
ここで、前記罫線は、前記直線状の折れ線の両端部から延び、当該折れ線と所定の角度を成すものでもよい。本発明は、V字を構成する2本の線の基端を折れ線の両端部に設けた一例である。V字の罫線を折れ線の両端部から伸ばすことで、折れ線の両端部近傍では罫線が折れ線に近接し、中央に向けて折れ線との距離が徐々に長くなる。そのため、紙製品が罫線で折れ曲がる際にも目立ち難くなり、罫線を設けたことによる紙製品の形状の変化を少なくすることができる。所定の角度を大きくすると、罫線で折れ曲がり難くなるため、引張力は大きくなる。一方、所定の角度を小さくすると、罫線で折れ曲がり易くなり、引張力は小さくなる。また、所定の角度を大きくすると、端部の厚みが増してしまい、紙製品の形状が変わってしまい、紙製品への影響が懸念される。一方、所定の角度を小さくすることで、紙製品の形状の変化を少なくすることができる。したがって、所定の角度は、引張力、紙製品の形状の変化を考慮して設計することができる。なお、罫線は、直線状でもよく、曲線状でもよい。罫線が曲線状の場合、罫線と折れ線とのなす角は、曲線状の罫線の接線と直線状の折れ線とのなす角とすることができる。
【0011】
また、前記所定の角度は、0.1〜5.0度とすることができる。好ましくは、前記所定の角度は、0.2〜2.0度とすることができる。より好ましくは、前記所定の角度は、0.5〜1.0度とすることができる。これにより、十分な引張力を作用させることができ、また、紙製品の形状の変化も抑えることができる。
【0012】
また、折り曲げ部は、先端部が当該端部に接着されるようにしてもよい。復元力が最も大きく作用する先端部を接着することで、引張力を効果的に作用させることができる。折り曲げ部は、全体が当該端部に接着されるようにしてもよい。
【0013】
また、前記罫線は、前記端部に設けた場合と、前記折り曲げ部に設けた場合で、当該紙製品の端部の内部に作用する引張力が異なるものとすることができる。前記罫線を端部に設けた場合には、紙製品の端部構造は、端部側を膨らませることができる。一方、罫線を折り曲げ部に設けた場合には、紙製品の端部構造は、折り曲げ部側を膨らませる(端部側を凹ませる)ことができる。つまり、罫線を設ける位置によって、端部構造を膨らませる方向(凹ませる方向)を決定することができる。したがって、罫線の設ける位置は、紙製品の用途に応じて適宜変更することができる。
【0014】
ここで、本発明は、上述した紙製品の端部構造を有するパッケージとして特定することができる。例えば、本発明は、紙製のパッケージであって、前記紙製のパッケージの開口縁の少なくとも一部を形成する端部と、前記端部に連なり、当該端部側に折り曲げられ、当該端部に接着される折り曲げ部と、前記端部と前記折り曲げ部との境界に設けられ、前記折り曲げ部が折り曲げられる直線状の折れ線と、前記折れ線の近傍、かつ、前記端部又は前記折り曲げ部に設けられ、前記折れ線からの距離が変化する罫線であって、前記折り曲げ部が折り曲げられた際に、前記端部又は前記折り曲げ部が折れ曲がる罫線と、を備える紙製のパッケージである。
【0015】
本発明に係る紙製のパッケージでは、紙製のパッケージの開口縁の少なくとも一部を形成する端部の内部に、引張力が作用する。そのため、パッケージの開口における、経年劣化による撓みが抑制される。したがって、例えば、パッケージが蓋部と収容部によって構成されている場合、蓋部と収容部との間に隙間が生じ難い。また、本発明に係る紙製のパッケージは、折り曲げ部が折り曲げられており二重構造であり、更に非常に単純な構成であるため、パッケージの開口が劣化し難くなっている。
【0016】
紙製のパッケージは、例えば、被収容物を収容し、被収容物を取り出す開口を有する略直方体形状の収容部と、前記開口を少なくとも覆う蓋部と、を含むパッケージとすることができる。このようなパッケージでは、上述した本発明に係る端部構造は、蓋部の端部、例えば、蓋部の上壁、又は蓋部の前壁の端部に用いることができる。また、上述した本発明に係る端部構造は、収容部の開口の端部に用いるようにしてもよい。具体的には、本発明は、被収容物を収容し、被収容物を取り出す開口を有する略直方体形状の収容部と、前記開口を少なくとも覆う蓋部と、を含む紙製のパッケージであって、前記蓋部の端部と、前記収容部の開口の端部とのうち、少なくとも何れか一方の端部に連なり、前記パッケージの内側に折り曲げられ、当該端部に接着される折り曲げ部と、前記端部と前記折り曲げ部との境界に設けられ、前記折り曲げ部が折り曲げられる直線状の折れ線と、前記折れ線の近傍、かつ、前記端部又は前記折り曲げ部に設けられ、前記折れ線からの距離が変化する罫線であって、前記折り曲げ部が折り曲げられた際に、前記端部又は前記折り曲げ部が折れ曲がる罫線と、を備える紙製のパッケージである。折り曲げ部をパッケージの内側に折り曲げることで、蓋部の端部や収容部の開口の端部には、内側に向けた引張力が作用する。その結果、蓋部と収容部との間に隙間が生じ難くなる。
【0017】
また、紙製のパッケージは、例えば、被収容物を収容し、被収容物を取り出す開口を有する内箱と、内箱を収容し、内箱を出し入れする出し入れ口を有する外箱と、を含むパッケージとすることができる。このようなパッケージでは、上述した本発明に係る端部構造は、内箱の開口の端部に用いることができる。また、上述した本発明に係る端部構造は、外箱の出し入れ口の端部に用いるようにしてもよい。具体的には、本発明は、被収容物を収容し、被収容物を取り出す開口を有する内箱と、内箱を収容し、内箱を出し入れする出し入れ口を有する外箱と、を含む紙製のパッケージであって、前記内箱の開口の端部と、前記外箱の出し入れ口の端部とのうち、少なくとも何れか一方の端部に連なり、前記パッケージの内側に折り曲げられ、当該端部に接着される折り曲げ部と、前記端部と前記折り曲げ部との境界に設けられ、前記折り曲げ部が折り曲げられる直線状の折れ線と、前記折れ線の近傍、かつ、前記端部又は前記折り曲げ部に設けられ、前記折れ線からの距離が変化する罫線であって、前記折り曲げ部が折り曲げれた際に、前記端部又は前記折り曲げ部が折れ曲がる罫線と、を備える紙製のパッケージである。折り曲げ部をパッケージの内側に折り曲げることで、内箱の開口の端部や外箱の出し入れ口の端部には、内側に向けた引張力が作用する。その結果、内箱と外箱との間に隙間が生じ難くなる。
【0018】
なお、本発明の紙製品の端部構造が適用される紙製のパッケージは、上記に限定されない。本発明の紙製品の端部構造は、紙製のパッケージの端部であって、折り曲げることができる紙製のパッケージの端部に広く用いることができる。なお、上述したパッケージでは、引張力をパッケージの内側に作用させるが、用途に応じて引張力をパッケージの外側に作用させるようにしてもよい。例えば、前壁を有する蓋部と、この蓋部の前壁と一部が重なる前壁を有する収容部とを備えるパッケージにおいて、収容部の前壁の端部に、引張力をパッケージの外側に作用させる端部構造を用いることができる。これにより、収容物の前壁と蓋部の前壁との抵抗が増し、蓋閉まりが向上する。
【0019】
また、本発明は、上述した紙製のパッケージのブランクとして特定することもできる。例えば、本発明は、被収容物を収容し、被収容物を取り出す開口を有する略直方体形状の収容部と、前記開口を少なくとも覆う蓋部と、を含む紙製のパッケージのブランクであって、前記蓋部を構成する蓋パネルと、前記蓋パネルと連なり、又は前記蓋パネルと別部材からなり、前記収容部を構成する収容パネルと、前記蓋パネルの端部と、前記収容パネルの端部とのうち、少なくとも何れか一方の端部に連なり、前記パッケージの内側に折り曲げられ、前記蓋パネルと前記収容パネルとのうち少なくとも何れか一方のパネルに接着される補強パネルと、前記蓋パネルの端部、又は前記収容パネルの端部と、前記補強パネルとの境界に設けられ、前記補強パネルが折り曲げられる直線状の折れ線と、前記折れ線の近傍、かつ、前記蓋パネル又は前記収容パネルと、前記補強パネルとのうちの一方に設けられ、前記折れ線からの距離が変化する罫線であって、前記補強パネルが折り曲げられた際に、前記蓋パネル又は前記収容パネルと、前記補強パネルとのうちの一方が折れ曲がる罫線と、を備える紙製のパッケージのブランクである。
【0020】
また、例えば、本発明は、被収容物を収容し、被収容物を取り出す開口を有する内箱と、内箱を収容し、内箱を出し入れする出し入れ口を有する外箱と、を含む紙製のパッケージのブランクであって、前記内箱を構成する内箱パネルと、前記内箱パネルと別部材からなり、前記外箱部を構成する外箱パネルと、前記内箱パネルの端部と、前記外箱パネルの端部とのうち、少なくとも何れか一方の端部に連なり、前記パッケージの内側に折り曲げられ、前記内箱パネルと前記外箱パネルとのうち少なくとも何れか一方のパネルに接着される補強パネルと、前記内箱パネルの端部、又は前記外箱パネルの端部と、前記補強パネルとの境界に設けられ、前記補強パネルが折り曲げられる直線状の折れ線と、前記折れ線の近傍、かつ、前記内箱パネル又は前記外箱パネルと、前記補強パネルとのうちの一方に設けられ、前記折れ線からの距離が変化する罫線であって、前記補強パネルが折り曲げられた際に、前記内箱パネル又は前記外箱パネルと、前記補強パネルとのうちの一方が折れ曲がる罫線と、を備える紙製のパッケージのブランクである。
【0021】
紙製のパッケージの収容部に収容する被収容物は特に限定されるものではないが、棒状物品の集合体、例えばたばこ商品を被収容物として好適に例示できる。すなわち、本発明に係る被収容物はたばこ商品であってもよい。なお、たばこ商品とは、例えば紙巻たばこ(フィルタシガレット、両切たばこ(フィルタ無し))、シガー(葉巻)、シガリロ、スヌース、嗅ぎたばこ、チューイングたばこ、電子たばこ等が例示できる。
【0022】
なお、本発明における課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて採用することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、紙製品の端部の撓み、及び劣化を抑制する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、第一実施形態に係る紙製品の端部構造の作成工程を示す。
図2図2は、第一実施形態に係る紙製品の端部構造の折り曲げ前の拡大平面図を示す。
図3A図3Aは、第一実施形態に係る紙製品の端部構造の平面図を示す。
図3B図3Bは、図3AのA−A断面図を示す。
図3C図3Cは、図3AのB−B断面図を示す。
図4図4は、第一実施形態の変形例1に係る紙製品の端部構造の折り曲げ前の拡大平面図を示す。
図5図5は、第一実施形態の変形例2に係る紙製品の端部構造の折り曲げ前の拡大平面図を示す。
図6図6は、第二実施形態に係るパッケージのリッドを閉じた状態を前方上方から見た斜視図を示す。
図7図7は、第二実施形態に係るパッケージのリッドを開放した状態を前方上方から見た斜視図を示す。
図8図8は、第二実施形態に係るパッケージのリッドを閉じた状態を上方から見た平面図を示す。
図9図9は、第二実施形態に係るパッケージのブランクのうち、リッドの上壁付近のブランクを示す。
図10図10は、第三実施形態に係るパッケージのリッドを閉じた状態を前方上方から見た斜視図を示す。
図11図11は、第三実施形態に係るパッケージのリッドを開放した状態を前方上方から見た斜視図を示す。
図12図12は、第三実施形態に係るパッケージのリッドを閉じた状態を前方から見た正面図を示す。
図13図13は、第三実施形態に係るパッケージのリッドを閉じた状態を上方から見た平面図を示す。
図14図14は、第三実施形態に係るパッケージのブランクを示す。
図15図15は、第四実施形態に係るパッケージの内箱を外箱に収容した状態を前方上方から見た斜視図を示す。
図16図16は、第四実施形態に係るパッケージの内箱を外箱からスライドさせた状態を前方上方から見た斜視図を示す。
図17図17は、第四実施形態に係るパッケージの内箱を外箱から取り出した状態を前方上方から見た斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明に係る紙製品の端部構造の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0026】
<作成工程>
図1は、第一実施形態に係る紙製品の端部構造の作成工程を示す。図1の左側の(a−1)〜(a−4)は、紙製品の端部の平面図を示す。図1の右側の(b−1)〜(b−4)は、紙製品の端部の平断面図示す。
【0027】
第一実施形態に係る紙製品の端部構造の作成では、初めに、紙製品に対して罫線RLが加工される。図1(a−1)、図1(b−1)に示すように、第一実施形態に係る紙製品の端部構造1は、紙製品の端部2、端部2に連なり、端部2側に折り曲げられ、端部2の糊代3に接着される折り曲げ部4、端部2と折り曲げ部4との境界に設けられ、折り曲げ部4が折り曲げられる直線状の折れ線BL、折れ線BLの近傍、かつ、折り曲げ部4に設けられ、折れ線BLからの距離が変化するV字状の罫線RLであって、折り曲げ部4が折り曲げられた際に折れ曲がる罫線RL、を備える。
【0028】
図2は、第一実施形態に係る紙製品の端部構造の折り曲げ前の拡大平面図を示す。第一実施形態に係る紙製品の端部構造1は、直線状の折れ線BLの近傍にV字状の罫線RLを備えることを特徴の一つとする。罫線RLは、一般的な罫線と同じように、紙製品を折り曲げ易くするためのものである。罫線RLは、折り目、ミシン目、薄肉によって構成することができる。罫線RLの加工は、既存の加工技術、プロッターによる加工、型押しによる加工が例示される。
【0029】
第一実施形態の罫線RLは、V字を形成する2本の直線が直線状の折れ線BLの両端部から延び、折れ線BLと所定の角度αを成している。第一実施形態では、所定の角度αが1度である。所定の角度αは、この角度に限定されない。所定の角度αは、0.1〜5.0度とすることができる。好ましくは、所定の角度αは、0.2〜2.0度とすることができる。より好ましくは、所定の角度αは、0.5〜1.0度とすることができる。所定の角度αを大きくすると、罫線RLで折れ曲がり難くなるため、引張力は大きくなる。一方、所定の角度αを小さくすると、罫線RLで折れ曲がり易くなり、引張力は小さくなる。また、所定の角度αを大きくすると、端部の厚みが増し、紙製品の形状が変わることで、紙製品への影響が懸念される。一方、所定の角度αを小さくすることで、紙製品の形状の変化を少なくすることができる。したがって、所定の角度αは、引張力、紙製品の形状の変化を考慮して設計することができる。なお、罫線RLは、曲線状でもよい。
【0030】
図1の説明に戻る。図1(a−2)、(a−3)、図1(b−2)、(b−3)に示すように、第一実施形態に係る紙製品の端部構造1の作成では、次に、直線状の折れ線BLで折り曲げられる。第一実施形態に係る紙製品の端部構造1では、折り曲げ部4が折れ線BLで折り曲げられることに加えて、V字状の罫線RLにおいても折れ曲がる。そのため、折れ線BL及び罫線RL付近は、図1(a−3)に示すように、僅かにV字状となる。なお、図面は、強調して示しており、所定の角度αが1度の場合、折れ線BL及び罫線RL付近は、凡そ直線状である。他の図面についても同様である。
【0031】
図1(a−4)、図1(b−4)に示すように、第一実施形態に係る紙製品の端部構造1の作成では、次に、折り曲げ部4が、端部2の糊代3に接着される。第一実施形態では、折り曲げ部4の先端部が接着されている。復元力が最も大きく作用する先端部を接着することで、引張力を効果的に作用させることができる。なお、折り曲げ部4は、全体が端部2に接着されるようにしてもよい。以上により、第一実施形態に係る紙製品の端部構造1が完成する。
【0032】
<構成>
図3Aは、第一実施形態に係る紙製品の端部構造の平面図を示す。図3Bは、図3AのA−A断面図を示す。図3Cは、図3AのB−B断面図を示す。第一実施形態に係る紙製品の端部構造1は、直線状の折れ線BL、及び罫線RLで折り曲げられ、端部2及び折り曲げ部4が折り重なり二重構造となっている。また、端部2及び折り曲げ部4は、折り曲げ部4側が膨らむように湾曲している。
【0033】
<作用効果>
紙製品は、本来、罫線位置で折れ曲がることになるが、第一実施形態に係る紙製品の端部構造1では、罫線RLとは別の折れ線BLで折り曲げられる。ここで、紙製品を折り曲げると、折り曲げた位置では、元に戻ろうとする復元力が作用する。第一実施形態に係る紙製品の端部構造1では、折り曲げ部4が折れ線BLで折り曲げられることに加えて、罫線RLにおいても折れ曲がり、罫線RLにおいても復元力が作用する。更に、この罫線RLは、折れ線BLからの距離が変化するようV字状に形成されている。そのため、例えば罫線RLを折れ線と平行な直線状とする場合と比較すると、V字状の罫線RLは折り曲げ難くなっている。したがって、紙製品を直線状の折れ線BLで折り曲げた際、罫線RLでは、抵抗しながら折れ曲がるため、より強い復元力が作用する。更に、折り曲げ部4は、端部2に接着されている。その結果、紙製品の端部2では、従来よりも強い復元力が作用するものの、元に戻ることができない。そのため、第一実施形態に係る紙製品の端部構造1では、端部2及び折り曲げ部4の内部に、折り曲げ部4側が膨らむように、引張力が作用する。その結果、端部2及び折り曲げ部4は、折り曲げ部4側が膨らむように湾曲している。第一実施形態に係る紙製品の端部構造1では、端部2及び折り曲げ部4の内部に予め引張力が作用していることから、経年劣化による紙の撓みを抑制することができる。また、第一実施形態に係る紙製品の端部構造1は、端部2及び折り曲げ部4が折り重なり二重構造であり、更に非常に単純な構成であるため、劣化し難くなっている。
【0034】
また、V字状の罫線RLを折れ線BLの両端部から伸ばすことで、折れ線BLの両端部近傍では罫線RLが折れ線BLに近接し、中央に向けて折れ線BLとの距離が徐々に長くなる。そのため、紙製品が罫線RLで折れ曲がる際にも目立ち難くなり、罫線RLを設けたことによる紙製品の形状の変化を少なくすることができる。
【0035】
<変形例1>
第一実施形態に係る紙製品の端部構造1は、一例にすぎない。例えば、罫線RLは、図4に示すようにV字状の罫線RLを折れ線BLの中央部に設けてもよい。折れ線BLから罫線RLの頂点までの距離を同じとして第一実施形態と比較すると、図4に示す例(変形例1)では、所定の角度αが第一実施形態よりも大きくなる。その結果、端部2及び折り曲げ部4の内部に、より大きい引張力を作用させることができる。
【0036】
<変形例2>
また、例えば、罫線RLは、図5に示すようにV字状の罫線RLを複数設けてもよい。折れ線BLから罫線RLの頂点までの距離を同じとして第一実施形態と比較すると、図5に示す例では、所定の角度αが第一実施形態よりも大きくなる。また、折れ線BLから罫線RLの頂点までの距離を同じとして第一実施形態の変形例1と比較すると、図5に示す例(変形例2)では、変形例1と同様のV字状の罫線RLが2つ存在している。その結果、端部2及び折り曲げ部4の内部により大きい引張力を作用させることができる。
【0037】
<その他の変形例>
なお、罫線RLは、端部2側に設けてもよい。罫線RLを折り曲げ部4側に設けた場合、端部2及び折り曲げ部4は、折り曲げ部4側が膨らむように湾曲する。一方、罫線RLを端部2側に設けた場合、端部2及び折り曲げ部4は、端部2側が膨らむように(折り曲げ部4側が凹むように)湾曲する。つまり、罫線RLを設ける位置によって、端部を膨らませる方向(凹ませる方向)を決定することができる。したがって、罫線RLの設ける位置は、用途に応じて適宜変更することができる。
【0038】
<第二実施形態>
次に、第一実施形態に係る紙製品の端部構造1を紙製のパッケージに適用した場合について説明する。パッケージに収容する被収容物は特定のものに限定されないが、ここでは、フィルタシガレットや両切シガレット等のたばこ商品をパッケージに収容する場合を例に説明する。また、本実施形態に記載されている構成要素の、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0039】
図6は、第二実施形態に係るヒンジリッドパッケージ(以下、単に“パッケージ”という)のリッド30aを閉じた状態を前方上方から見た斜視図を示す。図7は、第二実施形態に係るパッケージのリッドを開放した状態を前方上方から見た斜視図を示す。図8は、第二実施形態に係るパッケージのリッドを閉じた状態を上方から見た平面図を示す。
【0040】
第二実施形態に係るパッケージ10aは、略直方体形状を有する所謂ヒンジ蓋付きボックス型パッケージである。パッケージ10aは、収容部としてのパッケージ本体20aと、パッケージ本体20aにヒンジHを介して回動自在に連結される蓋部材としてのリッド30aを含んで構成されている。以下、本明細書では、特に言及する場合を除いて、パッケージ10aの正面側を“前方”と定義し、背面側を“後方”と定義する。また、パッケージ10aのリッド側を“上方”と定義し、反対側(パッケージの底側)を“下方”と定義する。
【0041】
パッケージ本体20aは、直方体形状の上端側が斜めに切り欠かれた形状を有する箱体である。パッケージ本体20aは、対向するパッケージ本体の前壁21a及び後壁、対向する側壁22a,22a、下壁を有する。パッケージ本体20aは、上部が開口しており、たばこ商品の出し入れが自在である。パッケージ本体20aの後壁の上端にはヒンジHが形成されている。ヒンジHは、パッケージ本体の各側壁22a,22aの上端縁の後部間に亘って延伸し、パッケージ本体の後壁とリッド30aとを相互に回動自在に連結している。
【0042】
インナフレーム40aは、略U字形状の前面フレームと、この前面フレームの両側縁に連結された側面フレームとを有する。インナフレーム40aは、パッケージ本体20aの上部の開口端から部分的に上方へ突出した状態で、パッケージ本体20aの内面、具体的には、パッケージ本体の前壁21a及び側壁22a,22aの内面に接着されている。
【0043】
リッド30aは、ヒンジHに連結されている長方形のリッドの後壁と、リッドの後壁に直交するように連結されている長方形のリッドの上壁34aと、リッドの上壁34aに直交するように連結されている長方形のリッドの前壁31aと、一組のリッドの側壁32a,32aとを有している。リッド30aの一組の側壁32a,32aは、夫々台形状であり、リッドの後壁、上壁34a及び前壁31aの各側縁と連結されている。
【0044】
第二実施形態に係るパッケージ10aは、リッドの前壁31aに第一実施形態に係る紙製品の端部構造1が用いられている。紙製品の端部構造1における端部2は、リッドの前壁31aに相当し、折り曲げ部4は、リッドの前壁31aを補強するリッドの前壁補強フレーム35aに相当する。そして、リッドの前壁31aの下縁、すなわちリッドの前壁補強フレーム35aの折り曲げ部分には、折れ線BL及び罫線RLが存在し、補強フレームは、折れ線BL及び罫線RLで内側に折り曲げられている。その結果、図6図7、及び図8に示すように、リッドの前壁31aは、後方に膨らむように僅かに湾曲している。
【0045】
図9は、第二実施形態に係るパッケージのブランクのうち、リッドの上壁付近のブランクを示す。リッドの上壁34aを構成する上壁パネルの上縁には、後壁パネルとは反対側に位置してリッドの前壁31aとなる前壁パネルP1が連なっている。前壁パネルP1の上縁には、リッドの前壁補強フレーム35aを構成する前壁補強パネルP2が更に連なっている。前壁補強パネルP2が、折れ線BL及び罫線RLで内側に折り曲げられ、前壁パネルP1に重ね合わされ、接着されることで、リッドの前壁31aの補強をなす。なお、前壁パネルP1の両側縁には、リッドの側壁32aとなる側壁パネルP3が夫々連なっている。側壁パネルP3の下に位置するパネルは、上壁パネルに重ね合わされ、リッドの上壁の補強をなすインナトップフラップP4である。
【0046】
第二実施形態に係るパッケージ10aでは、リッドの前壁31aに第一実施形態に係る紙製品の端部構造1が用いられ、リッドの前壁31a及びリッドの前壁補強パネル35aは、後方に膨らむように僅かに湾曲している。すなわち、リッドの前壁31a及びリッドの前壁補強パネル35aの内部には、リッドの前壁31aが後方に膨らむように、引張力が作用している。その結果、経年劣化による紙の撓みを抑制することができる。リッドの前壁31a及びリッドの前壁補強パネル35aが折り重なり二重構造であり、更に非常に単純な構成であるため、劣化し難くなっている。また、リッドの前壁31a及びリッドの前壁補強パネル35aは、後方に膨らむように僅かに湾曲し、インナフレーム40aと密着することから、蓋閉まりが向上する。また、リッド30aとパッケージ本体20aの開口との間に隙間が生じにくいため、たばこ商品、例えばシガレットの刻が外部にこぼれ難くなっている。
【0047】
<第三実施形態>
図10は、第三実施形態に係るパッケージのリッドを閉じた状態を前方上方から見た斜視図を示す。図11は、第三実施形態に係るパッケージのリッドを開放した状態を前方上方から見た斜視図を示す。図12は、第三実施形態に係るパッケージのリッドを閉じた状態を前方から見た正面図を示す。図13は、第三実施形態に係るパッケージのリッドを閉じた状態を上方から見た平面図を示す。
【0048】
第三実施形態に係るパッケージ10bは、略直方体形状を有する所謂ヒンジ蓋付きボックス型パッケージである。第三実施形態に係るパッケージ10bは、第二実施形態に係るパッケージ10aと同じく、収容部としてのパッケージ本体20bと、パッケージ本体20bにヒンジHを介して回動自在に連結される蓋部材としてのリッド30bを含んで構成されている。但し、第三実施形態に係るパッケージ10bは、前方の壁が全てパッケージ本体の前壁21bによって構成されている。そのため、リッド30bは、リッドの上壁34b、リッドの側壁32b,32b、リッドの後壁によって構成され、リッドの前壁を備えない構成である。また、第三実施形態に係るパッケージ10bは、インナフレームも備えない構成である。なお、符号の数字に続くアルファベットは、実施形態を区別するためのものであり、数字が同じ場合には、特に言及する場合を除いて、同様の機能を有するものとする。他の実施形態の説明においても同様とする。
【0049】
上記のような第三実施形態に係るパッケージ10bは、リッド30bとパッケージ本体20bとの間、より詳細には、リッドの上壁34bの前縁とパッケージ本体の前壁21bの上縁との間に隙間が生じやすい。そこで、第三実施形態に係るパッケージ10bは、リッドの上壁34bと、パッケージ本体の前壁21bの夫々に、第一実施形態に係る紙製品の端部構造1が用いられている。リッド30bについては、紙製品の端部構造1の端部2が、リッドの上壁34bに相当し、折り曲げ部4が、リッドの上壁34bを補強するリッドの上壁補強フレーム36bに相当する。そして、リッドの上壁34bの前縁、すなわちリッドの上壁補強フレーム36bの折り曲げ部分には、折れ線BL及び罫線RLが存在し、リッドの上壁補強フレーム36bは、折れ線BL及び罫線RLで内側に折り曲げられている。また、パッケージ本体20bについては、紙製品の端部構造1の端部2が、パッケージ本体の前壁21bに相当し、折り曲げ部4が、パッケージ本体の前壁21bを補強するパッケージ本体の前壁補強フレーム25bに相当する。そして、パッケージ本体の前壁21bの上縁、すなわちパッケージ本体の前壁補強フレーム25bの折り曲げ部分には、折れ線BL及び罫線RLが存在し、パッケージ本体の前壁補強フレーム25bは、折れ線BL及び罫線RLで内側に折り曲げられている。その結果、図10図11図12、及び図13に示すように、リッドの上壁34bは、下方に膨らむように僅かに湾曲している。また、パッケージ本体の前壁21bは、後方に膨らむように僅かに湾曲している。
【0050】
図14は、第三実施形態に係るパッケージのブランクを示す。図14に示すように、第1ブランクB1は、パッケージ本体20bとなる本体区域R1、リッド30bとなる蓋区域R2を有している。本体区域R1は、パッケージ本体の前壁21bとなる本体の前壁パネルP5を有している。本体の前壁パネルP5の下縁には、パッケージ本体の前壁補強フレーム25bとなる本体の前壁補強パネルP6が連なっている。本体の前壁補強パネルP6が、折れ線BL及び罫線RLで折り曲げられ、本体の前壁パネルP5に重ね合わされ、接着されることで、パッケージ本体の前壁の補強をなす。また、本体の前壁パネルP5の両側縁には、パッケージ本体の側壁22bとなる本体の側壁パネルP7,P7が連なっている。
【0051】
また、本体の前壁パネルP5の上縁には、パッケージ本体の下壁となる本体の下壁(底板)パネルP8が連なっている。本体の下壁パネルP8には、本体の前壁パネルP5とは反対側に位置してパッケージ本体の後壁となる本体の後壁パネルP9が連なっている。本体の後壁パネルP9の両側縁には、パッケージ本体の側壁22b,22bとなる本体のインナサイドフラップP10,P10が連なっている。また、本体のインナサイドフラップP10,P10の下縁には、本体のインナボトムフラップP11が連なっており、これら本体のインナボトムフラップP11は本体の下壁パネルP8に重ね合わされ、パッケージ本体の下壁の補強をなす。
【0052】
蓋区域R2は、リッドの後壁となるリッドの後壁パネルP12を有しており、リッドの後壁パネルP12の下縁は、ヒンジHとなるヒンジラインL1を介して本体区域R1の本体の後壁パネルP9と連結されている。また、リッドの後壁パネルP12の上縁には、リッドの上壁34bとなるリッドの上壁パネルP13が連なっている。リッドの上壁パネルP13の両縁には、リッドの側壁32b,32bとなるリッドの側壁パネルP14,P14が夫々連なっている。また、リッドの後壁パネルP12の両側縁には、リッドの側壁32b,32bの一部となるリッドのインナサイドフラップP15が夫々連なっている。そして、リッドのインナサイドフラップP15がリッドの側壁パネルP14に重ね合わされ、リッドの側壁32bの補強をなす。
【0053】
更に、リッドの上壁パネルP13の上縁には、リッドの上壁補強フレーム36bを構成する、リッドのインナトップフラップP16が連なっている。リッドのインナトップフラップP16が、折れ線BL及び罫線RLで折り曲げられ、リッドの上壁パネルP13に重ね合わされ、接着されることで、リッドの上壁34bの補強をなす。
【0054】
第三実施形態に係るパッケージ10bでは、リッドの上壁34bに第一実施形態に係る紙製品の端部構造1が用いられ、リッドの上壁34b及びリッドの上壁補強フレーム36bは、下方に膨らむように僅かに湾曲している。すなわち、リッドの上壁34b及びリッドの上壁補強フレーム36bの内部には、リッドの上壁34b及びリッドの上壁補強フレーム36bが下方に膨らむように、引張力が作用している。その結果、経年劣化による紙の撓みを抑制することができる。リッドの上壁34b及びリッドの上壁補強フレーム36bが折り重なり二重構造であり、更に非常に単純な構成であるため、劣化し難くなっている。
【0055】
また、第三実施形態に係るパッケージ10bでは、パッケージ本体の前壁21bに第一実施形態に係る紙製品の端部構造1が用いられ、パッケージ本体の前壁21b及びパッケージ本体の前壁補強フレーム25bは、後方に膨らむように僅かに湾曲している。すなわち、パッケージ本体の前壁21b及びパッケージ本体の前壁補強フレーム25bの内部には、パッケージ本体の前壁21b及びパッケージ本体の前壁補強フレーム25bが後方に膨らむように、引張力が作用している。その結果、経年劣化による紙の撓みを抑制することができる。パッケージ本体の前壁21b及びパッケージ本体の前壁補強フレーム25bが折り重なり二重構造であり、更に非常に単純な構成であるため、劣化し難くなっている。
【0056】
また、リッドの上壁34b及びリッドの上壁補強フレーム36bが下方に膨らむように湾曲し、パッケージ本体の前壁21b及びパッケージ本体の前壁補強フレーム25bが後方に膨らむように湾曲することで、リッド30bとパッケージ本体20bの開口との間に隙間が生じにくい。その結果、たばこ商品、例えばシガレットの刻が外部にこぼれることを抑制できる。
【0057】
<第四実施形態>
図15は、第四実施形態に係るパッケージの内箱を外箱に収容した状態を前方上方から見た斜視図を示す。図16は、第四実施形態に係るパッケージの内箱を外箱からスライドさせた状態を前方上方から見た斜視図を示す。図17は、第四実施形態に係るパッケージの内箱を外箱から取り出した状態を前方上方から見た斜視図を示す。
【0058】
第四実施形態に係るパッケージ10cは、右側方に開口を有する略直方体形状を有する外箱50と、外箱50に収容され、内部にたばこ商品としてのシガレットを収容し上部の開口からシガレットを取り出し自在である略直方体形状を有する内箱60とを含んで構成されている。
【0059】
第四実施形態に係るパッケージ10cでは、外箱の上壁51に第一実施形態に係る紙製品の端部構造1が用いられている。紙製品の端部構造1の端部2は、外箱の上壁51に相当し、折り曲げ部4は、外箱の上壁51を補強する外箱の上壁補強フレーム56に相当する。そして、外箱の上壁51の右側縁、すなわち外箱の上壁補強フレーム56の折り曲げ部分には、折れ線BL及び罫線RLが存在し、外箱の上壁補強フレーム56は、折れ線BL及び罫線RLで内側に折り曲げられている。その結果、図15図16に示すように、外箱の上壁51は、下方に膨らむように僅かに湾曲している。
【0060】
図17に示すように、第四実施形態に係るパッケージ10cは、内箱の側壁62(左側)の上縁に連なり、また、内箱の前壁61の左側上縁、及び内箱の後壁63の左側上縁に接続された内箱の上壁65を備えている。また、この内箱の上壁65には、外側に折り曲げられて内箱の上壁65の補強をなす内箱の上壁補強フレーム66が連なっている。そして、内箱の上壁65に第一実施形態に係る紙製品の端部構造1が用いられている。但し、内箱の上壁65は、先に説明した実施形態と異なり、第一実施形態に係る紙製品の端部構造1が逆向き、すなわち、折り曲げ部4が外側に折り曲げられるように用いられている。紙製品の端部構造1の端部2は、内箱の上壁65に相当し、折り曲げ部4は、内箱の上壁65の外側に位置し、内箱の上壁を補強する内箱の上壁補強フレーム66に相当する。内箱の上壁65の右側縁、すなわち内箱の上壁補強フレーム66の折り曲げ部分には、折れ線BL及び罫線RLが存在し、内箱の上壁補強フレーム66は、折れ線BL及び罫線RLで外側に折り曲げられている。その結果、図17に示すように、内箱の上壁65は、上方に膨らむように僅かに湾曲している。
【0061】
第四実施形態に係るパッケージ10cでは、外箱の上壁51に第一実施形態に係る紙製品の端部構造1が用いられ、外箱の上壁51及び外箱の上壁補強フレーム56は、下方に膨らむように僅かに湾曲している。すなわち、外箱の上壁51及び外箱の上壁補強フレーム56の内部には、外箱の上壁51及び外箱の上壁補強フレーム66が下方に膨らむように、引張力が作用している。その結果、経年劣化による紙の撓みを抑制することができる。外箱の上壁51及び外箱の上壁補強フレーム66が折り重なり二重構造であり、更に非常に単純な構成であるため、劣化し難くなっている。また、外箱の上壁51及び外箱の上壁補強フレーム56が下方に膨らむように湾曲することで、外箱50の開口と内箱60との間に隙間が生じにくい。その結果、たばこ商品、例えばシガレットの刻が外部にこぼれることを抑制できる。なお、内箱の側壁62(右側)にも、第一実施形態に係る紙製品の端部構造1を用いるようにしてもよい。内箱の側壁62(右側)を左側に膨らむように僅かに湾曲させることで、外箱50の開口と内箱60との間に隙間がより生じにくくなる。
【0062】
また、第四実施形態に係るパッケージ10cでは、内箱の上壁65に第一実施形態に係る紙製品の端部構造1が用いられ、内箱の上壁65及び内箱の上壁補強フレーム66は、上方に膨らむように僅かに湾曲している。すなわち、内箱の上壁65及び内箱の上壁補強フレーム66の内部には、内箱の上壁65及び内箱の上壁補強フレーム66が上方に膨らむように、引張力が作用している。その結果、経年劣化による紙の撓みを抑制することができる。また、内箱の上壁65及び内箱の上壁補強フレーム66が折り重なり二重構造であり、更に非常に単純な構成であるため、劣化し難くなっている。また、内箱の上壁65及び内箱の上壁補強フレーム66が上方に膨らむように湾曲することで、外箱の上壁51の内面との抵抗が大きくなる。その結果、内箱60が外箱50から脱落するのを抑制できる。
【0063】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明に係る紙製品の端部構造や紙製のパッケージは、可能な限り各実施例を組み合わせて実施することができる。また、本実施形態では、本発明に係る紙製品の端部構造の適用例として、たばこ商品(例えば、シガレット)を収容するパッケージを挙げたが、これには限定されない。本発明に係る紙製品の端部構造は、たばこ商品以外の物品を収容するパッケージにも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0064】
1・・・紙製品の端部構造
2・・・紙製品の端部
3・・・糊代
4・・・折り曲げ部
10a、10b・・・パッケージ
20a、20b・・・パッケージ本体
30a、30b・・・リッド
BL・・・折れ線
RL・・・罫線
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17