(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ステップS2において、転写する方法又は溶液を塗布してから硬化させる方法によって前記バッファ層を前記薄膜層に形成することを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルの製造方法。
ステップS3とS4の間に、前記センシング層に保護層を形成するとともに、前記センシング層が前記バッファ層と前記保護層との間に位置するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルの製造方法。
ステップS7は、前記第2の接着層に対して光照射処理、熱処理、冷間処理又はこれらの組み合わせを行ってから前記第2の接着層及び前記第2の基板を除去するステップを含むことを特徴とする請求項5に記載のタッチパネルの製造方法。
前記第1の基板は互いに間隔をおいた複数の領域が区分けされ、ステップS3は、それぞれ前記第1の基板における前記領域に対応する複数のセンシング層を前記バッファ層に同時に形成するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルの製造方法。
前記ステップS1は、溶液を前記第1の基板に塗布するステップと、前記溶液を硬化させて前記第1の基板に前記薄膜層を形成するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下において図面と具体的な実施例を参照しながら本発明をより詳しく説明する。
本発明の開示内容では、異なる実施例において同じ部品符号を用いる場合があるが、異なる実施例または図面に関連性を有することを意味しない。また、一つの部品を他の部品の「上」または「下」に形成することは、二つの部品が直接接触する実施例を含んでもよく、または二つの部品の間に他の追加の部品が介在している実施例を含んでもよい。図面を明確にするために、各種の部品を任意の比率で示すことがある。
【0009】
図1A〜
図1Hは本発明の一実施例におけるタッチパネルの製造方法のプロセス図である。そのうち、
図1Hは本発明の一実施例の製造方法によって形成されたタッチパネルの構造を示す図である。
【0010】
図1Aに示すように、まず第1の基板100を提供し、かつ第1の基板100に薄膜層121を形成する。第1の基板100は後続ステップで形成される構造の機械的支持とすることができ、透明または非透明基板であってもよく、例えばガラス基板であってもよい。第1の基板100は最終的に形成されるタッチパネル製品の一部を構成しないため、第1の基板100は必要な機械的支持を提供しさえすればよく、コストの比較的安い材料を使用することができる。例えば、第1の基板100はタッチパネルの製造コストを削減するため、化学強化ガラスではなくマザーガラスを使用することができる。また、後続工程でタッチパネルから除去された第1の基板100は繰り返し再利用することができる。このようにすれば、さらに製造コストを削減することができる。なお、第1の基板100はガラスに限らず、機械的支持を提供できる、いかなる適切な材料であってもよい。
【0011】
薄膜層121は単層または多層構造にすることができ、または下層に離型性を有する材料と上層に離型性を有しない材料とからなる堆積構造にすることができる。ここおよび以下に記載される離型は第1の基板(または第2の基板)を一体に貼り合わさっている他の層(例えば薄膜層121)から除去することをいう。従来のガラスに比べれば、薄膜層121の材料は、例えばポリイミド(PI)のような有機材料であってもよい。また、薄膜層121の材料は、さらにポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シクロオレフィン共重合体(COP、Arton)またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0012】
薄膜層121は、溶液を塗布してから加熱焼成する方法によって第1の基板100に形成することができる。例えば、薄膜層121の材料がポリイミドである場合を例に説明する。第1の基板100を移動可能なテーブルに置き、塗布ナイフまたは塗布器により所定配合の溶液を第1の基板100に塗布してから加熱焼成し、一部の溶剤を揮発させ、および/または、溶液中の一部の成分(例えば、重合モノマーまたは前躯体)を重合させてポリイミド薄膜を形成する。ここで、圧力および適切に配合された溶液粘度を用いて溶液の流速を調整し、かつテーブルの移動速度を制御することによって形成されるポリイミド薄膜の厚さを調整する。加熱焼成はプリ焼成と再焼成など温度の異なる複数回の焼成を含んでもよく、勾配を持つ温度で連続して焼成してもよい。前記溶液は可溶性ポリイミド(Soluble polyimide, SPI)および有機溶剤を含んでもよく、またはポリアミド酸(Polyamide acid, PAA)および有機溶剤を含んでもよい。ポリアミド酸はポリイミドの前躯体であり、有機溶剤はジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチルピロリドン(NMP)、エチレングリコールモノブチルエーテル(BC)、R−ブチロラクトン(GBL)などを含む。薄膜層121の形成方法はこの限りでなく、例えば気相成長法またはその他の適切な方法で形成してもよい。その他の実施例では、ポリイミドドライフィルムを第1の基板100に直接圧着してもよい。
【0013】
ポリイミド材料で形成される薄膜層121は組成、構造の変更、共重合、共混合などの方法で改質し、性能のより優れたポリイミド薄膜を得ることができる。例えば、化学的方法によりその分子鎖の長さおよび/または官能基を変更して、および/または物理的方法によってその表面のミクロ構造を変更してポリイミドで形成される薄膜層121に低吸水性を持たせる。それは、強い吸水性は薄膜層121の性能に影響をもたらし、または最終的に形成されるタッチパネルの視覚外観に影響をもたらすおそれがあるからである。通常、分子鎖の長さが長いほど、吸水性がより強くなり、分子鎖の長さが異なるポリイミドは異なる粘度を示し、具体的なニーズに合わせてポリイミドの粘度を調整することができる。ポリイミドはさらに官能基を変更することにより低吸水性を持たせることができる。例えばそのハロゲン官能基を変更することによりポリイミドに含フッ素官能基を持たせることができる。また、含フッ素ポリイミドはさらに波長の比較的短い光を遮断することができる。例えば、紫外線(波長10nm〜400nm)を吸収することにより紫外線が薄膜層121を透過して後続工程で形成されるセンシング層にダメージを与えることを回避することができる。また、タッチパネルの色度を改善し、タッチパネルが青色や紫色っぽくなることを回避することができる。ポリイミドで形成される薄膜層121は高い透明度、耐高温および低吸水性を有し、その耐高温特性により、後続工程でセンシング層を形成する際の温度影響に適応することができ、またその低吸水性により後続工程でセンシング層を形成するプロセスにおいて薄膜層121が吸水して膨張し、これによってセンシング層の電極パターンが立体化して電極パターンが見えるようになり、視覚効果に影響をもたらすことを回避することができる。さらに、その低吸水性によってタッチパネルの寿命を延ばすことができる。
【0014】
本発明の実施例における薄膜層121は、その厚さが従来の材料、例えばポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate, PET)で形成される薄膜層よりも薄く、薄膜層121の厚さが約0.1μmから約15μmであってもよく、より好ましくは2μmから5μmである。但し、本発明はこの限りではない。薄膜層121は一般のガラス基板よりも厚さが薄く、かつこの厚さ範囲内の薄膜層121は優れた機械的性能、例えば延伸性、強靭性および熱安定性を有する。また、薄膜層121はさらに優れた光学特性、例えば高い透過率を有している。本発明ではより軽くて薄い薄膜層を用いることによってタッチパネルの厚さと重量を大幅に削減するとともに、優れた光学特性と製品の外観を維持することができる。
【0015】
本実施例では、第1の接着層110により薄膜層121を第1の基板100に接着することができる。通常、第1の基板100(例えばガラス)と薄膜層121(例えば有機重合体)間の接着力は比較的弱く、緊密に接着することができない。第1の基板100と薄膜層121間の接着力を高めるために、第1の基板100と薄膜層121との間に第1の接着層110を配置する。
【0016】
第1の接着層110は親有機材の官能基および親無機材の官能基を有する接着促進剤(Adhesion Promoter)を含み、溶液を塗布してから硬化させる方法で第1の基板100に形成することができる。第1の基板100がガラスなどの無機材質を用い、薄膜層121がポリイミドなどの有機材質を用いる場合に、第1の接着層110に含まれている異なる官能基により2種類の異なる材質の接着特性に適応することができ、比較的緊密に薄膜層121を第1の基板100に固定することができる。例えば、第1の接着層110は、加熱硬化する際に第1の基板100と架橋するため、比較的良く第1の基板100を接着することができる。薄膜層121を形成するプロセスにおいて、通常加熱焼成する必要があり、そのため、第1の接着層110が薄膜層121とも架橋し、比較的良く薄膜層121を第1の基板100に接着することができる。
【0017】
また、後続工程で薄膜層121を比較的簡単に第1の基板100から除去しなければならないことを考慮して、第1の基板100の周囲に第1の接着層110を配置してもよい。例えば、第1の基板100の周辺領域Nに配置し、薄膜層121の周辺領域Nにおける部分と第1の基板100との接着性を良くすることができる。薄膜層121の周辺領域N以外の領域(例えば中央領域M)は、第1の接着層110を有していないため、薄膜層121と第1の基板100との接着性が比較的低い。このようにすれば、第1の接着層110を除去する前に、薄膜層121を強固に第1の基板100に接着することができ、第1の接着層110を除去した後、比較的容易に第1の基板100と薄膜層121を剥離することができる。その具体的な除去方法は後で詳細に説明する。
【0018】
他の実施例において、第1の接着層110は第1の基板100の全面を覆うようにしてもよく、すなわち、第1の接着層110は第1の基板100と薄膜層121との間に位置する。このような設計により、第1の接着層110は接着特性が可変な材質を用いてもよい。すなわち、製造プロセスにおいては、第1の基板100との間に比較的強い接着力を有するが、第1の基板を除去しようとするときに、特定の溶液に浸漬しまたは温度処理などの方法でその接着性を低減させて第1の基板100を薄膜層121から簡単に除去することができる。
【0019】
次に、
図1Bに示すように、バッファ層122を薄膜層121に形成するとともに、薄膜層121が第1の基板100とバッファ層122との間に位置する。バッファ層122は透明絶縁材料で形成することができる。一実施例において、バッファ層122は酸化シリコンを用いるとともに、化学気相成長(Chemical Vapor Deposition, CVD)、印刷、フォトエッチングまたはその他の適切な方法で形成することができる。他の実施例において、バッファ層122の材料は、二酸化チタン(TiO
2)、二酸化ケイ素(SiO
2)、二酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化タンタル、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化ニオブ、酸化ホウ素、フッ化セリウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウムまたはこれらの組み合わせを含む。また他の実施例において、バッファ層122は有機材料および無機材料からなる複合材料を含む。そのうち、無機材料は、二酸化チタン(TiO
2)、二酸化ケイ素(SiO
2)、二酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化タンタル、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化ニオブ、酸化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、フッ化セリウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウムまたはこれらの組み合わせなどを含む。前記有機材料は、高分子重合体または樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などを含む。
【0020】
さらに、本発明の実施例において、前記有機材料は無機材料と混合してもよく、例えば有機材料と無機材料はナノメートルレベルの場合、混合して新しい分子構造の複合材料を形成することができる。無機材料と有機材料の混合または結合は分子間作用力、例えばファン・デル・ワールス力、水素結合、イオン結合および共有結合によって形成してもよい。また他の実施例では、有機材料によって無機材料粒子を被覆するかまたは無機材料粒子を有機層内に嵌め込み、有機無機混合物を形成する。
【0021】
有機材料と無機材料とからなる複合材料は、有機材料の特性と無機材料の特性を有し、これらの特性により、多くの高性能の要望を満たすことができる。例えば、有機材料と無機材料とを含むバッファ層122は有機材料と無機材料のいずれに対しても比較的優れた接着力を有しているため、バッファ層122は異なる材料の薄膜層材料に適用することができる。
【0022】
次に、
図1Bと
図1Cに示すように、センシング層130をバッファ層122に形成するとともに、センシング層130が第1の基板100の中央領域Mに位置する。単一材質のバッファ層に比べて、複合材料からなるバッファ層122は、屈折率の異なる材質の選択により外観ニーズの異なるタッチパネルに適応することができる。具体的には、バッファ層122の屈折率と厚さを調整し、その屈折率をバッファ層122の上下に位置する積層構造の屈折率にマッチングさせることによりタッチパネルの光透過率を高め、タッチパネルの外観不良の問題を改善することができる。例えば、バッファ層122の屈折率をn
1とし、薄膜層121の屈折率をn
fとし、センシング層130の屈折率をn
Tとした場合に、n
f<n
1<n
Tであり、より好ましくは、n
1≒√(n
f×n
T)である。
【0023】
このように、順次配列された薄膜層121、バッファ層122およびセンシング層130の屈折率は順次逓増または順次逓減し、そのため、光線は比較的平滑にこれらの三層を透過することができ、センシング層130における電極ブロックが配置された領域と電極ブロックが配置されていない領域の光線に対する屈折率の差異を低減させ、電極パターンの可視度を低下させ、タッチパネルの視覚効果を改善することができる。
【0024】
また、バッファ層122はさらに薄膜層121およびセンシング層130の各々とバッファ層122との間に生じる応力作用を低減させることができる。とりわけいくつかの所定の状況、例えば温度が急激に上昇または低下する状況、または第1の基板100の離型プロセスにおいて、バッファ層122の役割がより重要になる。前に述べたように、薄膜層121は有機材料、例えばポリイミド(PI)を用いて形成することができる。一方において、センシング層130は通常無機材料を用いて形成される。したがって、ポリイミドから形成される薄膜層121は比較的大きい熱膨張係数(CTE)を有し、これに対しセンシング層130は比較的小さい熱膨張係数を有する。また、ポリイミドから形成される薄膜層121とセンシング層130は機械的性能の差も極めて大きい。そのため、薄膜層121とセンシング層130の間に比較的大きい応力が生じることがある。当該応力はタッチパネルの視覚外観効果に不利な影響(例えば前に述べた電極パターンが見える)をもたらすばかりでなく、第1の基板100を除去するときに薄膜層121に傷を付けるおそれがある。本発明の実施例では、薄膜層121とセンシング層130の間にバッファ層122を増設し、バッファ層122のバッファ作用により薄膜層121とセンシング層130の間に生じるおそれのある応力を効果的に低減することができる。このように、薄膜層121とセンシング層130の間にバッファ層122を増設することによってタッチパネルの品質を大幅に向上させることができる。
【0025】
前に述べたように、バッファ層122の材料の熱膨張係数は薄膜層121の材料の熱膨張係数とセンシング層130の材料の熱膨張係数との間でなければならない。例えば、ポリイミド材料からなる薄膜層121の熱膨張係数が1000で、センシング層130の熱膨張係数が一桁の数値である場合、バッファ層122の熱膨張係数は三桁の数値がより好ましく、センシング層130の熱膨張係数に近すぎないほうがよく、例えばその範囲は100を上回らなければならない。また、バッファ層122の熱膨張係数は薄膜層121の熱膨張係数に近すぎないほうがよく、例えばその範囲は900を下回らなければならない。したがって、バッファ層122の熱膨張係数は薄膜層121の熱膨張係数とセンシング層130の熱膨張係数の中間値に近いのがより好ましい。これは有機材料と無機材料によってバッファ層122を形成するもう一つの理由であり、バッファ層122の熱膨張係数の調整が容易になる。
【0026】
また、バッファ層122の厚さは約10オングストローム(Å)から約3000オングストローム(Å)であってもよい。バッファ層122は印刷、塗布またはフォトエッチング法で形成してもよい。例えば、凸版、例えばAPP(AsahiKASEI photosensitive resin)板で転写する方法で形成することができ、該転写する方法で形成されたバッファ層122は、後続工程で形成されるセンシング層と薄膜層121間の応力を低減させ、センシング層が応力のため変形するなどの不良を減らすことができる。一実施例では、溶液を塗布してから紫外線で硬化させ、その後加熱してさらに硬化させる方法でバッファ層122を薄膜層121に形成することができる。
【0027】
バッファ層122は薄膜層121とともに第1の基板100上に位置する担持層120を構成する。バッファ層122は薄膜層121に対して高い硬度を有し、高い硬度を有するバッファ層122に延伸性に優れた薄膜層121を組み合わせることで構成される担持層120は優れた離型性を有するとともに比較的優れた担持性を有し、後続工程で担持層120に形成されるその他の部材の信頼性を高めることができる。なお、単一材質(例えば二酸化ケイ素)のバッファ層122に比べて、前記複合材料のバッファ層122を用いることによって、バッファ層122の応力調整がしやすくなり、離型時のタッチ構造全体の安定性を高めることができる。
【0028】
次に、
図1Cと
図4を参照しながら説明する。
図4は本発明の一実施例におけるタッチパネルのセンシング層の構造を示す図である。該実施例では、センシング層130は、第1の方向に配列された複数の第1の電極ブロック131と、第1の方向に隣り合う第1の電極ブロック131を接続する複数の第1のリード線132と、第2の方向に配列された複数の第2の電極ブロック133とを含み、各々の第2の電極ブロック133は第1のリード線132の両側に分布しており、各第1のリード線132に絶縁ブロック135が形成されており、かつ各絶縁ブロック135に第2の方向に隣り合う第2の電極ブロック133を接続する第2のリード線134が形成されており、すなわち絶縁ブロック135が第1のリード線132と第2のリード線134との間に位置することによって第1のリード線132と第2のリード線134とを互いに電気的に絶縁する。そのうち、第1の方向と第2の方向は異なった方向であり、より好ましくは互いに直交する方向である。なお、センシング層130の構造は
図4に示す構造に限らず、例えばセンシング層130は櫛状、十字クロス状または波状の単層の電極構造を含んでもよい。若しくはその他の実施例において、センシング層130はさらに多層構造であってもよい。例えば、第1方向電極、第2方向電極および第1の電極と第2の電極の間に位置する絶縁層は、それぞれ独立した三層に位置する。
【0029】
センシング層130を形成するステップは具体的に以下のステップを含んでもよい。まず、バッファ層122に第1のリード線132を形成し、ついで各第1のリード線132に絶縁ブロック135を形成し、最後に第1の電極ブロック131、第2の電極ブロック133および第2のリード線134を形成する。若しくは他の実施例において、先に第1の電極ブロック131、第2の電極ブロック133および第1のリード線132を形成してから第1のリード線132に絶縁ブロック135を形成し、最後に絶縁ブロック135に第2のリード線134を形成する。
【0030】
また、センシング層130を形成するステップはさらに複数の信号線136を形成するステップを含み、同一の軸方向に位置する第1の電極ブロック131が第1のリード線132を介して互いに電気的に接続されてタンデムセンシング電極を形成するとともに、対応する信号線136と電気的に接続される。同一の軸方向に位置する第2の電極ブロック133が第2のリード線134を介して互いに電気的に接続されてタンデムセンシング電極を形成するとともに、対応する信号線136と電気的に接続される。第1の電極ブロック131、第2の電極ブロック133により生成されたセンシング信号は信号線136を介してコントローラ(図示していない)に伝達される。コントローラはセンシング信号に基づいてタッチ位置を算出することができる。なお、信号線136の配線方法および数はセンシング層130の構造に応じて調整することができ、
図4の形式に限定されない。具体的には、信号線136の集合領域は複数個であってもよく、同一のタンデムセンシング電極に接続される信号線136は二辺リード線の方式を用いてもよい。
【0031】
第1の電極ブロック131と第2の電極ブロック133の材料は透明導電材料であり、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化アルミニウム亜鉛、酸化亜鉛、酸化スズアンチモン、二酸化スズ、酸化インジウムまたはこれらの組み合わせを含んでもよい。第1の電極ブロック131と第2の電極ブロック133の材料はナノ銀、ナノカーボンチューブまたは金属メッシュ(Metal mesh)などの導電材料を用いることもできる。第1のリード線132、第2のリード線134および信号線136は前記電極ブロックと同じ透明導電材料を用いることができ、さらに非透明導電材料、例えば金属または合金を用いることもでき、金、銀、銅、モリブデン、アルミニウムまたはこれらの組み合わせを含む。第1の電極ブロック131、第2の電極ブロック133、第1のリード線132および第2のリード線134はスパッタリングまたはフォトエッチングステップを用いて形成し、またスクリーン印刷、スプレーコーティングなどの方法を用いて形成することもできる。
【0032】
なお、本発明の好ましい実施例のタッチパネルにおいて、第1の電極ブロック131、第2の電極ブロック133、第1のリード線132および第2のリード線134はいずれも低温条件下でスパッタリングによって形成された酸化インジウムスズであり、該低温は約摂氏20度から摂氏80度である。高温スパッタリングに比べて、低温スパッタリングで形成される酸化インジウムスズは、全体の応力が小さく、そのため後続工程で第1の基板100を除去するときに、担持層120に形成される全体のタッチ構造の安定性が良くなる。具体的には、まず低温条件下でスパッタリングおよびフォトエッチングにより第1のリード線132を形成する。この際の第1のリード線132は非晶質酸化インジウムスズである。次いで第1のリード線132を焼成し、非晶質酸化インジウムスズを結晶質酸化インジウムスズに転換させる。その後、第1のリード線132に各絶縁ブロック135を形成する。さらにその後、低温条件下でスパッタリングおよびフォトエッチングにより第1の電極ブロック131、第2の電極ブロック133および第2のリード線134を形成する。この際、第1の電極ブロック131、第2の電極ブロック133および第2のリード線134はいずれも非晶質酸化インジウムスズである。最後に第1の電極ブロック131、第2の電極ブロック133および第2のリード線134を焼成し、非晶質酸化インジウムスズを結晶質酸化インジウムスズに転換させる。前記焼成の温度は摂氏180度以上摂氏350度以下であり、より好ましくは約摂氏220度以上摂氏240度以下である。
【0033】
第1のリード線132を焼成することにより既に形成された第1のリード線132が第1の電極ブロック131、第2の電極ブロック133および第2のリード線134を形成する際のエッチング液によって腐食されることを回避できるとともに、第1のリード線132の光透過性を高め、第1のリード線132の抵抗を下げてその導電性を高めることができる。同じ理由により、第1の電極ブロック131、第2の電極ブロック133および第2のリード線134を焼成することによって第1の電極ブロック131、第2の電極ブロック133および第2のリード線134の光透過性を高め、第1のリード線132の抵抗を下げてその導電性を高めることができる。
【0034】
他の実施例において、先に低温条件下でスパッタリングおよびフォトエッチングにより第1の電極ブロック131、第2の電極ブロック133および第2のリード線134を形成してもよい。この際、第1の電極ブロック131、第2の電極ブロック133および第1のリード線132はいずれも非晶質酸化インジウムスズである。次いで第1の電極ブロック131、第2の電極ブロック133および第1のリード線132を焼成し、非晶質酸化インジウムスズを結晶質酸化インジウムスズに転換させる。次いで第1のリード線132に各絶縁ブロック135を形成する。その後、第2のリード線134を形成する。この際、第2のリード線134は非晶質酸化インジウムスズである。最後に第2のリード線134を焼成し、非晶質酸化インジウムスズを結晶質酸化インジウムスズに転換させる。本実施例では酸化インジウムスズの材料を例に説明したが、本発明はこの限りではない。
【0035】
次に、
図1Dに示すように、センシング層130に第2の基板150を形成する。第2の基板150はバッファ層122の一部または全部を被覆してもよく、第2の接着層140によって第2の基板150をセンシング層130およびバッファ層122に接着することができる。第2の基板150の材料は例えばポリエチレンテレフタレート(PET)の重合体または本発明の実施例により薄膜ユニットを支持してカバープレートに移送できるすべての適切な材料、例えばガラス、シクロオレフィン共重合体(COP、Arton)、ポリプロピレン(PP)などを含む。第2の接着層140は除去可能な接着剤である。該第2の接着層140は非水溶性接着剤または2層を一時的に接着しかつ後続工程で溶解され得るまたはその他の方法で除去可能なすべての適切な材料を含んでもよい。なお、第2の基板150と第2の接着層140は積層配置され、その全体は例えば片面接着剤であってもよい。第2の基板150は例えばフレキシブル膜層であり、第2の接着層140は接着層である。
図1Dに示すように、第2の接着層140は対向配置されたA表面とB表面を有し、第2の基板150に近い表面はA表面であり、第2の接着層140のB表面の粘性は光照射処理、例えば紫外線照射、熱処理または冷間処理またはこれらの処理の組み合わせによって低下しまたは消滅するが、これと同時に第2の接着層140のA表面と第2の基板150の間は依然として比較的良い粘性を有しており、そのため、後続の第2の基板150を除去する工程で第2の接着層140をともに除去することができる。
【0036】
次いで、
図1E−1、
図1E−2および
図1Fを参照しながら説明する。
図1E−2は
図1E−1の展開図であり、第1の基板100を除去する。
図1E−1と
図1E−2に示すように、先に周辺領域Nの中央領域Mに近い辺縁に沿って切断し、すなわち
図1E−1に示す切断線CC'に沿って切断し、周辺領域Nに位置する第1の接着層110、薄膜層121、バッファ層122、第2の接着層140および第2の基板150を切り取ってから第1の基板100を除去する。先に主な接着作用を果たす第1の接着層110を切り取ることによって第1の基板100と薄膜層121の間における接着層を無くし、その間の接着力を大幅に低下させてから第1の基板100を除去するので、第1の基板100を除去するプロセスにおいて薄膜層121および薄膜層121に形成された他の構造に対する応力の影響を減らすことができる。また、第1の接着層110を切り取るときに、切断パラメータを制御することができるため、第1の基板100が切断されることがなく、そのため、第1の基板100を繰り返し使用することができ、コストを削減することができる。
【0037】
他の実施例において、先に周辺領域Nの中央領域Mに近い辺縁に沿って切断し、すなわち
図1E−1に示す切断線CC'に沿って切断することができる。前記方法と異なるのは、周辺領域Nに位置する第1の接着層110、薄膜層121、バッファ層122、第2の接着層140および第2の基板150を切り取るとともに、周辺領域Nに位置する一部の第1の基板100を同時に切り取り、その後切り取られた後の第1の基板100を除去する点である。または、さらに他の実施例において、センシング層130を形成するステップと第2の基板150を形成するステップの間に、周辺領域Nの中央領域Mに近い辺縁に沿って切断し、周辺領域Nに位置する第1の接着層110、薄膜層121およびバッファ層122を切り取るとともに、第1の基板100を残し、第2の基板150を形成した後に、第1の基板100を除去することができる。
【0038】
なお、第1の基板100を除去するときに、容易に離型できるように補助するか、またはその他の方法を用いることができる。例えば、溶液浸漬処理、熱処理、冷間処理、外力剥離処理またはこれらの処理の組み合わせによって第1の基板100を薄膜層121から除去することができる。用いる溶液は水、アルコール、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のN−メチルピロリドン(NMP)溶液などであってもよい。熱処理と冷間処理により第1の基板100を加熱または冷却し、担持層120と第1の基板100の熱膨張係数が異なるために生じる応力により容易に離型することができる。
【0039】
次に、
図1Gに示すように、カバープレート170を薄膜層121に貼り付け、接合層160により積層またはその他の方法でカバープレート170と薄膜層121とを一体に貼り付けるとともに、接合層160が薄膜層121とカバープレート170との間に位置する。
図1Gに示すように、積層の順序は、上から下へカバープレート170、接合層160、薄膜層121、バッファ層122、センシング層130、第2の接着層140および第2の基板150となっている。
【0040】
カバープレート170はその下方に位置する構造を保護するもので、ガラス、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの透明材料を用いてもよい。カバープレート170は硬質材質またはフレキシブル材質を用いることができ、さらに6面が化学強化される強化基板または上下面が化学強化され側面が物理強化される強化基板であってもよい。カバープレート170はマザーガラスをタッチモジュールにマッチングする寸法に切断してから化学強化することによって製造することができる。カバープレート170は二つの平面である表面(例えば上下面がともに平面)、二つの曲面である表面(例えば上下面がともに曲面)、または一つの平面と一つの曲面(上下面のうち一方が平面で他方が曲面)の設計を含んでもよく、例えば2.5D形状、または3D形状であってもよい。カバープレート170の上面、すなわち薄膜層121に対向する他方の面は物体と接触する接触面とすることができる。接合層160は固体または液体の透明光学接着剤またはその他の適切な透明接合材料を用いることができる。
【0041】
本発明の担持層120とセンシング層130を薄膜ユニットと呼ぶことができる。一枚のガラス基板と一つの薄膜層または二つの薄膜層または二枚のガラス基板を担持板として含みかつ対応するセンシング層を組み合わせる通常のタッチモジュールに比べて、本発明の薄膜ユニットはより薄くかつより優れた柔軟性を有している。薄膜ユニットはタッチユニットとして異なる曲率半径を有する硬質基板に貼り付け、またはフレキシブル基板に貼り付けることができ、より柔軟的に異なるタッチパネルの設計ニーズに適応することができる。また、第2の基板150の移載作用により薄膜層121をバッファ層122、センシング層130とともにカバープレート170に貼り付け、より好ましくは第2の基板150はフレキシブル材質を使用し、カバープレート170は通常相対的に硬い材質、例えば強化ガラスを使用する。このようにフレキシブル材質を硬い材質に貼り付けることで貼り付けが容易になり、接合層160に気泡が生じることを回避するとともに、接合層160の厚さを減らすことができる。
【0042】
また、カバープレート170を貼り付ける前に、遮蔽層180をカバープレート170に形成することができる。遮蔽層180はカバープレート170の少なくとも一方側に位置して信号線(たとえば
図4の信号線136)を遮蔽して信号リード線がカバープレート170の上面側から利用者に容易に見られないようにする。一実施例において、遮蔽層180はカバープレート170の下面に位置し、すなわちカバープレート170の薄膜層121に近接する面に位置する。他の実施例において、遮蔽層180はカバープレート170の上面に位置してもよく、すなわちカバープレート170の薄膜層121に対向する他方の面に位置する。またはその他の実施例において、遮蔽層180は装飾膜層(Deco-film)であってもよい。該装飾膜層は具体的に透明薄膜を含み、該透明薄膜の周辺領域に遮蔽層が配置されており、該装飾膜層をカバープレートの上面に直接配置してもよく、またカバープレート170および遮蔽層180の代わりに該装飾膜層を使用してもよい。遮蔽層180の材料は着色インク、着色フォトレジストまたは前記二つの組み合わせであってもよい。遮蔽層180は単層構造または複合積層構造であってもよく、単層構造は例えば黒色インク層であり、複合積層構造は例えばインク層とフォトレジスト層の堆積構造、白色インク層と黒色インク層の堆積構造、白色インク層、黒色インク層およびフォトレジスト層の堆積構造などである。
【0043】
最後に
図1Gと
図1Hを参照しながら説明する。第2の基板150および第2の接着層140をセンシング層130から除去する。具体的に、まず第2の接着層140に対して光照射処理、熱処理または冷間処理またはこれらの組み合わせを含む前処理を行い、例えば第2の接着層140の材料の違いに基づいてそれぞれ紫外線照射、加熱または冷却などの方法により第2の接着層140とセンシング層130間の粘着性を低下させてから第2の接着層140および第2の基板150をセンシング層130から除去する。例えば前に述べたように、第2の接着層140および第2の基板150の積層構造は片面接着剤であり、紫外線照射によって第2の接着層140のB表面とセンシング層130間の粘性を低下または消滅させる。一方において、第2の接着層140のA表面と第2の基板150間の粘性が依然として存在しているため、比較的簡単に第2の基板150と第2の接着層140を同時に除去することができる。当然のことながら、本発明はこの限りではなく、第2の接着層140の材料に応じて異なる除去方法を選択することができる。
【0044】
前記ステップを経て最終的に
図1Hに示すタッチパネル10を形成し、図の上方は利用者がタッチし視認する面である。タッチパネル10は上から下への順番で堆積されたカバープレート170、接合層160、薄膜層121、バッファ層122およびセンシング層130を含み、すなわち接合層160がカバープレート170と薄膜層121の間に位置し、薄膜層121が接合層160とバッファ層122の間に位置し、バッファ層122が薄膜層121とセンシング層130の間に位置する。
【0045】
引き続き
図1Hを参照しながら説明する。タッチパネル10はさらに遮蔽層180を含み、遮蔽層180はカバープレート170の少なくとも一方側に位置する。前記各部材の詳細構造、材料、製造方法は前文で説明したため、ここでは再度の説明を省略する。タッチパネル10はコンピュータシステム、携帯電話、デジタルメディア再生装置、タブレットパソコン、超軽量薄型ノートパソコン、装着式タッチ装置、車載タッチシステムなどのタッチ表示装置に利用することができる。
【0046】
なお、
図1Aから
図1Hのステップを完了した後、さらに異方性導電接着剤によりコントローラ付きフレキシブル回路板を接合位置の信号線136に貼り付ける。上記から分かるように、
図1Cのステップの後にフレキシブル回路板を直接貼り付ける場合に比べて、本発明では
図1Hのステップを完成した後にフレキシブル回路板を貼り付けるため、第1の基板100または第2の基板150を除去するなどの製造プロセスにおいてフレキシブル回路板が脱落しやすい問題を回避することができる。そのためタッチパネル全体の安定性を向上させることができる。
【0047】
図2Aから
図2Bは本発明の他の実施例におけるタッチパネルの製造方法のプロセス図である。
図2Bはさらに本発明の一実施例におけるタッチパネルの構造を示す図である。なお、
図2Aは
図1Cのステップの後続ステップである。
図2Aに示すステップよりも前のステップは
図1Aから
図1Cと同じステップであり、簡潔にするため再度の説明を省略する。
図2Aに示すように、センシング層130を形成した後に、さらにセンシング層130の上に保護層200を形成するとともにセンシング層130が保護層200とバッファ層122の間に位置するステップを含む。保護層200はセンシング層130を保護する役割を有し、第2の接着層140と第2の基板150を除去するプロセスにおけるセンシング層130への影響を減らすことができる。また、第2の接着層140と第2の基板150を除去した後に、環境中の空気、水蒸気またはその他の物質によるセンシング層130の腐食を減らすことができる。さらに、信号接続線とフレキシブル回路板の接合を容易にするために、保護層200は信号線がフレキシブル回路板に接続する接合位置を露出させる必要がある。
【0048】
図1Dから
図1Hに示すように、第2の基板150および第2の接着層140が保護層200の上方に形成され、すなわち第2の接着層140が保護層200と第2の基板150の間に位置する以外は、
図2Aに示すステップの後続ステップは
図1Dから
図1Hに示すステップとほぼ同じである。第1の基板100および第1の接着層110を除去するとともにカバープレート170と貼り合わせ、さらに、第2の基板150および第2の接着層140を除去した後に形成されたタッチパネル20はさらに保護層200を含み、
図2Bに示すように、タッチパネル20は上から下への順番で堆積されたカバープレート170、接合層160、薄膜層121、バッファ層122、センシング層130および保護層200を含む。保護層200を除き、その他の部品の構造およびその材料、製造方法は前に述べたとおりであり再度の説明を省略する。
【0049】
また、
図2Bに示すように、保護層200は単層構造または多層構造であってもよい。例えば保護層が多層構造である場合に、第1の保護層201および第2の保護層202を含んでもよく、第1の保護層201はセンシング層130と第2の保護層202の間に位置し、第2の保護層202の第1の保護層201から遠ざかる側に表示装置を貼り合わせて組み合わせタッチ表示装置を形成することができる。第1の保護層201および第2の保護層202は異なる材料を選択することにより異なる効果を果たすことができる。
【0050】
第1の保護層201は有機材料、無機材料、複合材料および高分子材料のうちの少なくとも一つを用いることができる。一実施例において、第1の保護層201は前記バッファ層122と同じ複合材料を使用することができ、例えば二酸化チタン(TiO
2)、二酸化ケイ素(SiO
2)、二酸化ジルコニウム(ZrO
2)またはこれらの組み合わせ、若しくは二酸化チタン(TiO
2)、二酸化ケイ素(SiO
2)と有機材料とからなる化合物または二酸化ジルコニウム(ZrO
2)、二酸化ケイ素(SiO
2)と有機材料とからなる化合物を含む。第1の保護層201の屈折率と厚さを調整し、バッファ層122と組み合わせることによってセンシング層130における電極ブロックが配置された領域と電極ブロックが配置されていない領域の光線に対する反射の差異によるタッチパネルの外観不良の問題を改善することができる。例えば、第1の保護層201の屈折率をn
2とし、第2の保護層202の屈折率をn
3とし、センシング層の屈折率をnTとしたとき、n
3<n
2<n
Tとなり、より好ましくはn
2≒√(n
3×n
T)である。このより好ましい実施例では、第1の保護層201の厚さは約0.01μmから0.3μmであってもよい。
【0051】
前記第1の保護層201は主として屈折率をマッチングさせる役割を果たし、前記第2の保護層202は主としてセンシング層130などをさらに保護する役割を果たし、環境中の空気、水蒸気またはその他の物質によるセンシング層130の腐食を減らす。第2の保護層202の材料は具体的に熱硬化型樹脂、二酸化ケイ素、フォトレジストなど適切な透明絶縁材料を含んで良い。
【0052】
第1の保護層201および第2の保護層202は凸版、例えばAPR(AsahiKASEI photosensitive resin)板で転写する方法で形成することができ、該転写する方法で形成された第1の保護層201および第2の保護層202は、センシング層130とその他の層間の応力作用を低減させ、センシング層130の安定性を高めるとともに、後続工程の第2の基板および第2の接着層の除去を容易にし、応力の影響を減らすことができる。他の実施例では、第1の保護層201および第2の保護層202はそれぞれ溶液を塗布してから紫外線で硬化させ、その後熱硬化させるなどの方法で形成することができる。本発明のその他のより好ましい実施例では、必要に応じてその他の製造プロセス、例えばスパッタリング(sputter)、化学気相成長(chemical vapor deposition, CVD)、インクジェット印刷(inkjet printing)、スリットコーティング(slit coating)、スピンコーティング(spin coating)、スプレーコーティング(spray coating)またはローラコーティング(roller coating)などの方法で保護層200を形成することができる。
【0053】
前記実施例では単独でワンチップタッチパネルを形成する場合を例に説明した。生産効率を高め、コストを削減するために、大きいサイズの第1の基板に一括で複数の薄膜ユニット(薄膜層、バッファ層、センシング層、保護層、第2の接着層、第2の基板を含む)を形成し、薄膜ユニットとカバープレートを貼り合わせる前の工程において、該複数の薄膜ユニットをそれぞれ分割することができる。このようにすれば、一回で複数のタッチパネルを形成することができ、生産効率を高め、コストを削減することができる。具体的な製造プロセスは
図3Aから
図3Dに対応する実施例を参照できる。
【0054】
図3A〜
図3Dは本発明のさらに他の実施例におけるタッチパネルの製造方法のプロセス図である。まず、
図3Aと
図3Bを参照しながら説明する。
図3Bは
図3Aの断面概略図である。大きいサイズの第1の基板300において予め複数の互いに間隔をおいた領域Vを設定または区分けする。領域Vの大きさはタッチパネルの寸法に基づいて設定することができる。次に、第1の基板300に順次第1の接着層110、薄膜層121、バッファ層122を形成し、その後バッファ層122に各領域Vに対応して複数の互いに間隔をおいたセンシング層130を同時に形成し、続いて各センシング層130に保護層200を形成し、さらに第2の接着層140で接着することによって保護層200に第2の基板150を形成する。なお、このとき、複数のセンシング層130の間は互いに間隔をおいており、その他の構造は第1の基板300、薄膜層121、バッファ層122、保護層200、第2の接着層140、第2の基板150を含み、これらはそれぞれ一体化構造をしている。また、第1の接着層110、薄膜層121、バッファ層122、第2の接着層140、第2の基板150の形成方法は、前記
図1Aから
図1Hに対応する実施例を参照でき、保護層200の形成方法は前記
図2Aと
図2Bに対応する実施例を参照できる。
【0055】
また、
図3Cと
図3Dに示すように、第1の基板300を除去するとともに、薄膜ユニット30を薄膜層121の一方側で第3の基板310に貼り付け、薄膜層121がバッファ層122と第3の基板310の間に位置する。第1の基板300の除去方法は前記実施例の方法と同じである。第3の基板310の構造は前記第2の基板と第2の接着層を組み合わせた構造に類似してもよく、互いに接着されるフレキシブル膜層と接着剤層であり、例えば片面接着剤であり、粘性を有する表面で薄膜ユニット30の薄膜層121を貼り付ける。第3の基板310は薄膜ユニット30に対して支持と保護作用を果たし、薄膜ユニット30が後続の分離工程で傷つけられることを回避する。
【0056】
その後、各領域Vに対応する薄膜ユニット30を分離し、一体に接続されていた薄膜ユニットを複数の単独の小さいサイズの薄膜ユニット30に分離する。ナイフまたはレーザーで切断する方法により各薄膜ユニット30を分離することができる。
図3Dに示すように、
図3Dは三つ一組の小さいサイズの薄膜ユニットに分離する場合を例にしているが、言うまでもなく、より小さいサイズまたはより大きいサイズの薄膜ユニットに分離してもよい。
【0057】
その後、第3の基板310を除去する。
図2Bに示すように、小さいサイズの薄膜ユニットをそれぞれカバープレート170に貼り合わせ、最後に第2の基板150および第2の接着層140を除去してそれぞれ複数のタッチパネルを形成する。最終的に形成されたタッチパネルの構造は
図2Bに示す通りである。該実施例のカバープレート170は大きいサイズのマザーガラスをタッチモジュールに合致する寸法に切断してから化学強化して得られる。大きいサイズのガラスカバープレートを先に化学強化してから複数のセンシング層を蒸着形成し、その後大きいサイズのガラスカバープレートをセンシング層とともに切断して小さいサイズのタッチパネルを得る従来の方法に対し、本実施例のカバープレート170は先に切断してから強化を行い、最後に薄膜ユニットに貼り合わせるため、さらなる切断を必要とせず、比較的優れた辺縁強度を有する。また、センシング層の形成プロセスがカバープレートの強度に影響をもたらすことがなく、最終的に形成されたタッチパネルの全体的な強度を高めることができる。
【0058】
なお、
図3Aから
図3Dに示す大きいサイズの第1の基板300を用いて一回で複数のタッチパネルを形成するプロセスにおいて、薄膜層を第1の基板300に接着するための第1の接着層は、該大きいサイズの第1の基板300の周辺領域、例えば第1の基板300の周囲に配置することができる。他の実施例において、薄膜層と第1の基板300との粘着性をより強化するために、第1の接着層はさらに各領域Vの周囲に配置してもよい。このようにすれば、第1の基板300を除去する際に、第1の基板300の周囲に位置する第1の接着層および各領域Vの周囲に位置する接着層を一回で除去することができる。または、各領域Vの周囲にのみ第1の接着層を配置し、第1の基板300の周囲には第1の接着層を配置しないようにしてもよい。本発明はこの限りではない。
【0059】
本発明が提供したタッチパネルおよびその製造方法では、第1の基板の支持作用によりセンシング層を薄膜層に形成し、さらに第2の基板の移載作用により、薄膜層およびその上に形成されたセンシング層をカバープレートに貼り付けることによって、形成されたタッチパネルがより軽く、より薄くなり、製造コストが比較的安くなる。なお、センシング層は薄膜層のカバープレートと貼り合わさった面とは反対の面に位置しており、センシング層とフレキシブル回路板を接合する際に薄膜層とカバープレート間の貼り合わせの平坦度に影響を与えることを回避することができる。また、薄膜層とセンシング層との間にバッファ層が形成されており、センシング層の形成プロセスにおける薄膜層の腐食を減らすとともに、第1の基板を除去する際の応力による薄膜層とセンシング層へのダメージを減らすことができる。
【0060】
以上は本発明のより好ましい実施例であり、本発明を規定するものではない。本発明の主旨と原則に則って行われた修正、等価取り換え、改良などはすべて本発明の保護範囲内に含むものとする。