【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成24年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構省エネルギー革新技術開発事業/挑戦研究(事前研究一体型)/メゾスコピック材料を用いた電力光無損失変換技術の研究開発,産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載のフィラメントの製造方法であって、前記除去工程は、前記セラミックス層が蒸発するまで、前記フィラメント基材を減圧下で加熱することを特徴とするフィラメントの製造方法。
請求項1に記載のフィラメントの製造方法であって、前記成膜工程は、セラミックス粒子を分散させた溶媒に、陰極となるフィラメント基材と、陽極となる電極とを浸漬し、前記フィラメント基材と電極の間に電圧を印加することにより、セラミックス粒子を電気泳動により前記フィラメント基材上に堆積させることを特徴とするフィラメントの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、
図1のようにフィラメント基材1の表面にセラミックス層2を形成する成膜工程(
図2の工程201)と、フィラメント基材1を加熱し、フィラメント基材1の表面とセラミックス層2の界面で両者を反応させ、フィラメント基材1の表面を粗面化する加熱工程(工程202)と、セラミックス層2をフィラメント基材1の表面から除去する除去工程(工程203)とを含むフィラメント製造方法を提供する。これにより、表面が粗面化されたフィラメントを製造することができる。表面が粗面化されたフィラメントは、反射率R(λ)(ただし、λ:波長)が、可視光領域において低下するのに対し、赤外光領域においてはほとんど低下しない。よって、粗面加工していないフィラメントと比較して、可視光領域の反射率R(λ)が低く、赤外光領域の反射率R(λ)は同等のフィラメントを提供できる。フィラメントの放射率ε(λ)は、キルヒホッフの法則により、ε(λ)=1−R(λ)の関係にあるため、本発明のフィラメントは、可視光領域の放射率が向上し、可視光の発光効率が向上する。
【0011】
上記加熱工程202は、フィラメント基材1とセラミックス層2との界面でフィラメント基材1を構成する原子と、セラミクス層2を構成する原子とが相互に拡散する温度まで加熱することが望ましい。界面で相互拡散が生じる温度は、フィラメント基材1とセラミックス層2を構成する材料によって異なるので、材料に応じた温度まで加熱する。例えば、1500K以上の高温で加熱する。この加熱によって界面における原子の相互拡散現象により、フィラメント基材表面が凹凸になる。よって、セラミックス層を除去することにより、表面が粗面加工されたフィラメントを得ることができる。
【0012】
セラミックス層2の除去工程203としては、セラミックス層2が蒸発するまで、フィラメント基材1を減圧下で加熱する方法を用いることが可能である。減圧下で加熱することにより、セラミックス層2を構成する材料の沸点が高くても比較的容易に蒸発させることができる。
【0013】
また、別のセラミックス層2の除去工程として、セラミックス層2を物理的に除去する方法を用いることも可能である。例えば、セラミックス層2をフィラメント基材1から剥がし取る方法を用いることができる。
【0014】
セラミックス層2の除去工程203では、セラミックス層2を構成する原子が、フィラメント基材1の表面にわずかに残存しても構わない。セラミックス層2の原子が残存しても、その量が僅かであればフィラメント基材の放射特性には大きな影響を与えないためである。
【0015】
成膜工程201は、フィラメント基材1にセラミックス層を被覆できる方法であれば、どのような方法で成膜してもよい。例えば、電気泳動堆積法を用いることができる。電気泳動堆積法は、
図3のように、セラミックス粒子50を分散させた溶媒51に、陰極となるフィラメント基材1と、陽極53とを浸漬し、フィラメント基材1と陽極53の間に電源54から直流電圧を印加する。これにより、セラミックス粒子50を電気泳動によりフィラメント基材1上に移動させて堆積させる。セラミックス粒子50の粒径は、電気泳動堆積法によって堆積させることができる粒径であればどのような大きさであってもよい。例えば、1μm〜30μm程度の粒径のセラミックス粒子50を用いる。
【0016】
また、電気泳動堆積法の他にも、粉体をフィラメント基材1に対して吹き付ける溶射法や、スパッタリング法や蒸発法等の気相成長法を用いることができる。
【0017】
セラミックス層2は、例えば、HfC、TaC、ZrC、C、W、Re、Os、Ta、Mo、Nb、Ir、Ru、Rh、V、Cr、Zr、SiO
2、MgO,ZrO
2、Y
2O
3、6H−SiC(六方晶のSiC)、GaN,3C−SiC(立方晶のSiC)、HfO
2、Lu
2O
3、Yb
2O
3、グラファイト、ダイヤモンド、CrZrB
2、MoB、Mo
2BC、MoTiB
4、Mo
2TiB
2、Mo
2ZrB
2、MoZr
2B
4、NbB、Nb
3B
4、NbTiB
4、NdB
6、SiB
3、Ta
3B
4、TiWB
2、W
2B、WB、WB
2、YB
4およびZrB
12、のうちのいずれかの材料、または、いずれかを含有する材料で形成することができる。
【0018】
フィラメント基材1は、HfC(融点4160K)、TaC(融点4150K)、ZrC(融点3810K)、C(融点3800K)、W(融点3680K)、Re(融点3453K)、Os(融点3327K)、Ta(融点3269K)、Mo(融点2890K)、Nb(融点2741K)、Ir(融点2683K)、Ru(融点2583K)、Rh(融点2239K)、V(融点2160K)、Cr(融点2130K)、およびZr(融点2125K)、のうちのいずれか、または、いずれかを含有する材料であって、前述のセラミックス層2とは異なる材料によって形成する。
【0019】
本発明により製造した(粗面化加工した)フィラメント(フィラメント基材1)の表面粗さは、中心線平均粗さRaで10μm以上であることが好ましい。
【0020】
また、本発明により製造したフィラメント(フィラメント基材1)の反射率は、波長3μm以上の赤外波長域で0.7以上であり、波長0.7μm以下の可視光波長域では0.4以下であることが好ましい。
【0021】
本発明のフィラメントの表面には、フィラメントを構成する基材とは異なる原子(セラミックス層を構成していた原子)が拡散していてもよい。
【0022】
本発明のフィラメントの形状は、どのような形状であってもよく、フィラメントを所定のピッチおよび径で巻き回した巻き線構造にすることも可能である。この場合、フィラメント基材1を巻き線構造にしてから、セラミックス層2を形成して、上述の工程によりフィラメント基材1の表面を粗面化加工することも可能であるし、線材の状態で粗面化加工した後、巻き線構造に加工してもよい。
【0023】
本発明のフィラメントを透光性気密容器に配置し、フィラメントに電流を供給するためのリード線を接続することにより、可視光の発光効率の高い光源装置(例えば白熱電球)を製造することができる。
【0024】
また、光源装置(白熱電球)の他に、例えば、ヒーター用電線、溶接加工用電線、熱電子放出電子源(X線管や電子顕微鏡等)等として採用することが可能である。
【0025】
また、本発明の表面の粗面化加工したフィラメント(フィラメント基材1)の表面にさらに放射制御層を配置することも可能である。これにより、可視光領域の反射率をさらに低下させ、赤外光領域の反射率をさらに上昇させることができるため、電力の可視光への変換効率がさらに向上する。
【0026】
例えば放射制御層として基材表面の可視光反射率を低下させる膜(可視光反射率低下膜と称す)を用いることができる。可視光反射率低下膜は、可視光に対して透明で、可視光反射率低下膜の表面で反射される可視光と、可視光反射率低下膜を透過して基体表面で反射される可視光とを打ち消し合わせることにより、フィラメントの可視光反射率を低下させる。例えば、2000K以上の融点を有する金属の酸化物膜、窒化物膜、炭化物膜、および、ホウ化物膜のいずれかを用いる。具体的には、MgO,ZrO
2、Y
2O
3、6H−SiC(六方晶のSiC)、GaN,3C−SiC(立方晶のSiC)、HfO
2、Lu
2O
3、Yb
2O
3、グラファイト、ダイヤモンド、CrZrB
2、MoB、Mo
2BC、MoTiB
4、Mo
2TiB
2、Mo
2ZrB
2、MoZr
2B
4、NbB、Nb
3B
4、NbTiB
4、NdB
6、SiB
3、Ta
3B
4、TiWB
2、W
2B、WB、WB
2、YB
4、ZrB
12、C,B
4C,ZrC,TaC,HfC,NbC,ThC,TiC,WC,AlN,BN,ZrN,TiN,HfN,LaB
6,ZrB
2,HfB
2,TaB
2,TiB
2,CaO,CeO
2,およびThO
2,のうちのいずれかの単層膜、もしくは、これらの材料の単層膜を複数種類積層した多層膜、またはこれらの複合材料で形成された単層膜並びに多層膜を用いることができる。
【0027】
上記可視光反射率低下膜の膜厚は、その屈折率に応じて計算により、または実験またはシミュレーションにより、適切な値に設計されている。計算により設計する場合には、例えば、可視光に対する光学的光路長(λ/n
0、ただし、n
0は屈折率)が1/4波長程度になるように膜厚を設計する。
【0028】
また、放射制御層として、赤外光領域では透明で、可視光を吸収する膜(可視光吸収膜と称する)を用いることができる。可視光吸収膜は、赤外光領域に透明な材料に金属微粒子または不純物を添加した材料によって形成することができる。金属微粒子としては、W、Ta、Mo、Au、Ag、Cu、Al、Ti、Ni、Co、Cr、Si、V、Mn、Fe、Nb、Ru、Pt、Pd、Hf、Y、Zr、Re、OsおよびIrのうちのいずれかを含有する金属の微粒子を用いることができる。金属微粒子の粒径は、2nm以上5μm以下であることが望ましい。また、不純物は、Ce、Eu、Mn、Ti、Sn、Tb、Au、Ag、Cu、Al、Ni、W、Pb、As、Tm、Ho、Er、DyおよびPrのうちのいずれかを用いることができる。可視光吸収膜を構成する赤外光領域に透明な材料は、SiO
2、MgO、ZrO
2、Y
2O
3、6H−SiC(六方晶のSiC)、GaN、3C−SiC(立方晶のSiC)、HfO
2、Lu
2O
3、Yb
2O
3、グラファイト、ダイヤモンド、CrZrB
2、MoB、Mo
2BC、MoTiB
4、Mo
2TiB
2、Mo
2ZrB
2、MoZr
2B
4、NbB、Nb
3B
4、NbTiB
4、NdB
6、SiB
3、Ta
3B
4、TiWB
2、W
2B、WB、WB
2、YB
4およびZrB
12のうちのいずれかを含有する材料を用いることができる。
【0029】
放射制御層として、赤外光反射膜を用いることも可能である。赤外光反射膜は、単独で放射制御層として用いることも可能であるが、上記可視光吸収膜とフィラメント基材1との間に配置することも可能である。この赤外光反射膜は、赤外光を透過する材料でそれぞれ構成され、かつ、積層された第1および第2の層の組を含む干渉膜の構造である。第1の層が、屈折率n
1、厚さd
1、第2の層が、屈折率n
2、厚さd
2である場合、赤外光の所定の波長λ
1に対して
n
1・d
1=n
2・d
2=λ
1/4
の関係を満たすように設計する。これにより、所定の波長λ
1の赤外光を反射することができる。赤外光反射膜は、第1および第2の層の組を複数組積層した構造であり、各組は、反射する赤外光の所定の波長が異なるように構成することもできる。
【0030】
赤外光反射膜の第1および第2の層は、それぞれ、SiO
2、MgO、ZrO
2、Y
2O
3、6H−SiC(六方晶のSiC)、GaN、3C−SiC(立方晶のSiC)、HfO
2、Lu
2O
3、Yb
2O
3、グラファイト、ダイヤモンド、CrZrB
2、MoB、Mo
2BC、MoTiB
4、Mo
2TiB
2、Mo
2ZrB
2、MoZr
2B
4、NbB、Nb
3B
4、NbTiB
4、NdB
6、SiB
3、Ta
3B
4、TiWB
2、W
2B、WB、WB
2、YB
4およびZrB
12のうちのいずれかを含有する材料により構成することができる。
【0031】
また、放射制御層としては、フィラメント基材1を構成する第1の金属よりも融点が低い第2の金属の膜を用いることも可能である。第2の金属は、電流の供給を受けたフィラメント基材1が光を放射する温度で、軟化することが好ましい。これにより、放射制御層は、基体と同じ温度で軟化状態(溶融状態または液体状態)に近い状態になるため、放射制御層の金属原子は、フィラメント基材1の金属原子よりも結晶格子の位置からずれて大きく動くことができるようになるため、フィラメント基材1よりも高いエネルギーの光を放出することができるようになる。これにより、放射制御層は、高エネルギー(可視光成分)の光を高効率で放射することができる。
【0032】
この場合、フィラメント基材1を構成する第1の金属としては、例えば、HfC(融点4160K),TaC(融点4150K),ZrC(融点3810K),C(融点3800K),W(融点3680K)、Re(融点3453K),Os(融点3327K),Ta(融点3269K),Mo(融点2890K),Nb(融点2741K),Ir(融点2683K),Ru(融点2583K),Rh(融点2239K),V(融点2160K),Cr(融点2130K),および、Zr(融点2125K)、のうちのいずれか、もしくは、これらのうちのいずれか少なくとも1つを含有する合金を用いることができる。融点は、2500K以上であることが好ましい。一方、放射制御層を構成する第2の金属としては、上記フィラメント基材1を構成する材料として列記した金属のうちのいずれか、もしくは、これらのうちのいずれかを少なくとも1つを含有する合金であって、フィラメント基材1よりも融点が低いものを用いることができる。例えば、Wで基材1を構成する場合、放射制御層を構成する第2の金属をRe,Os,Ta,Mo,Nb,Ir,Ru,Rh,V,Cr,およびZrのうちのいずれかで構成することができる。また、例えば、フィラメント基材1をReで構成する場合、放射制御層を構成する第2の金属をOs,Ta,Mo,Nb,Ir,Ru,Rh,V,Cr,およびZrのうちのいずれかで構成することができる。
【0033】
また、放射制御層としては、可視光領域の光を吸収する可視光吸収材が添加された白色散乱体層を用いることもできる。このような白色散乱体層は、フィラメントの反射率を赤外光領域を含め広い波長範囲で高め、かつ、可視光領域の反射率を低下させることができるため、可視光領域の放射率を向上させることができる。
【0034】
白色散乱体としては、例えば、イットリア(Y
2O
3)、ハフニア(HfO
2)、ルテチア(Lu
2O
3)、トリア(ThO
2)、マグネシア(MgO)、ジルコニア(ZrO
2)、イッテルビア(Yb
2O
3)、ストロンチア(SrO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ベリリウム(BeO)、酸化ホルミウム(Ho
2O
3)、窒化ジルコニア(ZrN)、窒化チタン(TiN)、および、窒化ホウ素(BN)、のうちのいずれかを含有するものを用いることができる。これらの白色散乱体は、赤外から可視領域にわたって非常に高い反射特性を示す。白色散乱体の粒子は、粒径が50nm以上50μm以下であることが望ましい。白色散乱体は、表面のダングリングボンドの除去処理および表面の結晶欠陥回復処理のうちの少なくとも一方が施されているとさらに好ましい。
【0035】
白色散乱体に添加する可視光吸収材としては、例えば、不純物元素であるCe、Eu、Mn、Ti、Sn、Tb、Au、Ag、Cu、Al、Ni、W、Pb、As、Tm、Ho、Er、Dy、Pr等を用いることができる。添加濃度は、例えば、0.0001重量%〜10重量%に設定する。可視光吸収材としては、金属粒子であるW、Ta、Mo、Au、Ag、Cu、Al、Ti、Ni、Co、Cr、Si、V、Mn、Fe、Nb、Ru、Pt、Pd、Hf、Y、Zr、Re、Os、Ir等の粒子を用いることもできる。この場合、金属粒子の粒径は、2nm以上5μm以下であることが好ましい。白色散乱体への金属粒子の添加濃度は、例えば、0.0001重量%〜10重量%に設定する。
【0036】
なお、上述してきた各種放射制御層は、単独で用いるだけでなく、2以上を積層して用いることも可能である。また、放射制御層の上には、反射防止層を配置してもよい。
【実施例】
【0037】
本発明の実施例として、表面が粗面加工されたフィラメントを製造した。
まず、フィラメント基材1として、表面が鏡面加工されたタングステンのリボン(5mm×100mm×0.1mm厚)を用意した。フィラメント基材1の表面にセラミックス層2として厚さ50μmの酸化ハフニウム層(以下、酸化ハフニウム層2と称す)を形成した(
図2の工程201)。酸化ハフニウム層2の形成方法としては、電気泳動堆積法を用いた。
【0038】
具体的には、
図3のような装置を用いて電気泳動堆積法を行った。セラミックス粒子50として粒径2〜3μmの酸化ハフニウムの粉体を、溶媒51としてイソプロパノールをそれぞれ用意し、イソプロパノールに酸化ハフニウムの粉体を分散させた。この溶液に、陰極としてフィラメント基材1(タングステン)を、陽極53としてステンレスを浸し、陰極と陽極53間に電源54から直流電圧を印加し、タングステン基材1に酸化ハフニウム粉体を堆積させた。これにより、厚さ50μmの酸化ハフニウム層2を形成した。印加電圧は高いほど成膜速度が大きくなり、電圧の印加時間が長いほど膜厚が大きくなる。よって、印加電圧および印加時間を調整することにより、膜厚を制御する。
【0039】
つぎに、アルゴンガス雰囲気において、タングステン基材1に通電することにより、タングステン基材1を加熱した。これによりタングステン基材1が温度1500K以上になるまで通電し、その温度で数分間保持したのち、通電加熱を停止した(工程202)。
【0040】
室温に戻ったのち、酸化ハフニウム層2を物理的に除去した(工程203)。本実施例では酸化ハフニウム層2を剥がし取った。酸化ハフニウム層2の除去後のタングステン基材1の表面は、粗さ15μmの粗面に加工されていた。これにより、実施例の表面が粗面加工されたタングステンフィラメントを得られた。
【0041】
得られたタングステンフィラメントの反射率を、粗面加工する前の鏡面の状態のタングステンフィラメントの反射率と共に
図4に示す。赤外光領域(波長3μm以上)の本実施例のフィラメント(粗面)反射率は、未加工のフィラメント(鏡面)と変わらないが、近赤外光から可視光領域(3μm未満)では、本実施例のフィラメント(粗面)の反射率が、未加工のフィラメント(鏡面)よりも大きく低下していることがわかる。これにより、本実施例の粗面化加工したフィラメントは、赤外領域の放射率は未加工のものとほとんど変わらないが、近赤外から可視光領域波長域での放射率が増大する。よって、フィラメントの可視光変換効率が向上する。
【0042】
実際に、本実施例のフィラメントの放射光束効率をシミュレーションにより求めたところ、3000Kで31.1 lm/Wであり、未加工の鏡面のフィラメントの放射光束効率26.9 1m/Wと比較して、約16%の効率向上が達成されていた。