(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記標的位置の近くの血管内に配置されるように適応され、前記アブレーション要素を前記標的位置の近くで安定化させる安定化部材を更に含む、請求項1に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
現在、腎臓の除神経は、腎動脈内で行われており、最適な損傷群は、周辺に連続していても連続していなくても、動脈のまわりの完全又はほぼ完全な周辺損傷を提供する腎動脈内の螺旋形の損傷群である。本明細書では、いくつかの代替方法を述べる。
【0019】
本明細書に記載された1つの方法は、腎動脈の外側の、腎動脈が大動脈から分岐し、神経が腎動脈の経路をたどり始める上位接続部でアブレーションを使用することであり、それにより、アブレーションエネルギーが集中する。この接続部で、神経は稠密かつ多数である。単一アブレーションを用いてこの神経群の大部分を含む位置で組織を除神経すると、交感神経トラフィックが中断される。この方法は、大動脈内のアブレーション部位の数を最小にし、したがって、動脈の痙攣又は狭窄の危険を減少させる。神経が稠密な1つの場所だけに集中させることによって、この方法は、多数のアブレーション位置を試しすべての神経を標的にする必要性を緩和する。この方法では、右腎動脈と左腎動脈の上位接続部で切除する必要がある。
【0020】
この方法で使用されるカテーテルは、ユーザが、その部位での治療をきわめて安定した位置で行うことを可能にする。カテーテルは、大きくて深い損傷を作るために使用され、それよりその場所のすべての神経が除神経される。最も有利なエネルギー送達方法は、狭窄を回避し、また標的神経が表面や内皮内にないときに外膜内の神経を標的にするために、エネルギー送達を血管外組織内でより深く集束させてできるだけ多くの内皮層を温存するようなものになる。そのような特徴を有するエネルギー送達のいくつかの既知の方法は、高周波(RF)アブレーションカテーテル(灌注又は非灌注)、集中超音波カテーテル、又はレーザー・エネルギー送達カテーテルである。カテーテルは、腎動脈の近くに位置して接続部だけで切除することができ最適である。針状アブレーション装置を配置し安定化させるのを支援する固定装置として、腎動脈又は血管分岐内にバルーン又は安定化部材が使用されることがあり、その場合、針状アブレーション装置は、所望の標的接続位置で安定化するように固定装置の横又は前方に配置される。
【0021】
図1は、右腎及び左腎動脈内の腎臓交感神経の標的アブレーションの好ましい位置を示す図である。
図2は、右腎及び左腎静脈の神経の標的アブレーションの好ましい位置を示す図である。
【0022】
図1では、左腎と右腎(LKとRK)は、右腎動脈(A)と左腎動脈(D)によって酸素化血液が供給され、酸素化血液は、腹大動脈(B)から供給される。腎臓は、その比較的小さい寸法にも関わらず、心臓の酸素化血液の全拍出量の約20%を受け取る。各腎動脈は、腎区動脈へと分枝して、更に腎被膜を貫通する葉間動脈へと分かれ、腎錐体の間の腎柱を通って延びる。尿は、腎臓LK及びRKによって尿管に排出され、次に泌尿器系の膀胱に排出される。
図1に、右生殖腺動脈(E)と左生殖腺動脈(F)も示されている。
【0023】
酸素化血液は、腎臓によって使用された後、右腎(RK)から右腎静脈(I)を介し、左腎(LK)から左腎静脈(K)を介し、下大静脈(即ち、「IVC」)(J)を通って、腎臓から心臓に戻る。
図2には、右生殖腺静脈(L)と左生殖腺静脈(M)も示されている。腎臓と中枢神経系は、腎神経叢を介して連通し、その神経繊維は、腎動脈に沿って通り各腎臓に達する。腎神経は、腎動脈RAの長さに沿って長手方向に、かつ腎動脈RAの周囲で、概ね動脈壁の外膜の内部に、内皮層の約3mm下で延びる。
【0024】
図1は、腹大動脈(H)内のアブレーションの標的位置を示す。カテーテルが、腹大動脈(H)に導入され、アブレーションは、大動脈側面から神経を標的にする。最良には、神経の右束は、右腎及び左腎動脈がそれぞれ右腎動脈の位置10と左腎動脈の位置20で分岐する腹大動脈の上位接続部の腹大動脈の単一位置で標的にされ切除される。
【0025】
図2は、IVC(B)近くの稠密神経の位置を標的にする、この方法の代替実施形態におけるアブレーションの標的位置を示す。カテーテルが、IVCに導入され、アブレーションは、静脈側から適切な神経を標的にする。最良には、神経の右束は、右腎静脈(I)が30でIVCから分岐するIVCの接続部におけるIVC内の単一位置で標的にされ切除される。左神経を標的にするために、アブレーションは、左腎静脈内の、左腎静脈がこの分岐接続部40を横切った箇所で左腎動脈が腹大動脈から分岐する位置の近くで行われる。右側の標的神経のアブレーションは、IVC内の、右腎動脈と腹大動脈の上位接続部に空間的に最も近い位置で行われなければならない。同様に、左側の標的神経のアブレーションは、左腎静脈内の、左腎動脈と腹大動脈との間の上位接続部に空間的に最も近い位置で行われなければならない。これらの位置でのアブレーションは、右腎動脈と左腎動脈が腹大動脈から分岐する上位接続部の近くにある右腎と左腎を衰弱させる神経を標的にするために、IVC又は左腎静脈の壁を貫通して切除することが目的である。
【0026】
方法の第3の実施形態において、アブレーションは、腹大動脈内の右腎静脈と左腎静脈に続く小孔、又は下大静脈内の右腎動脈と左腎動脈への小孔を標的位置として行われる。
【0027】
図3は、動脈や静脈などであるがこれらに限定されない血管の小孔で切除するように設計されたカテーテル110を示す。特定の実施形態は、遠位端に複数の突起アセンブリを有するカテーテルを示す。遠位アセンブリの形状は、ニチノールやその他の形状記憶材料で作製される。自由状態位置の遠位構造の形状は、カテーテルシャフトの遠位端から突出する複数の「S」字形の突起120に見える。「S」字形の遠位端にあるアブレーション要素122は、二次的な曲線を形成する。電極の湾曲又はL型曲りにより、電極は、血管の小孔と係合することができる。ニチノール突起は、Pebax、Pellethane、又は他の熱可塑性エラストマによって覆われる。
【0028】
カテーテルが身体から引き抜かれるとき、突起は、ガイドシース又はカテーテルによって導かれてほぼ完全に180度回転する。電極の形状により、突起がその格納位置にあるとき、遠位アセンブリは、シャフトの直径と同じかほぼ同じ全体的な直径を有する。この特徴により、カテーテルを臨床的に許容サイズのシース内に更に格納することができる。
図4に、カテーテルの格納位置を示す。
【0029】
アブレーション要素122が電極の場合、アブレーション要素122は、エネルギー印加と温度感知のための対応リード線を有する。この設計により、灌注する電極を有することができる。
【0030】
腎臓除神経処置では、神経密度が高いことがある動脈の小孔を切除する危険がある。更に、カテーテルが、小孔のまわりを切除することによって肺静脈を閉じ込めたい心房細動の治療処置で使用されることがある。
【0031】
この方法で使用される
図3と
図4のカテーテルの利点は、カテーテル/切除電極が小孔に適合できることと、カテーテルが単一又は複数箇所のアブレーションを行えることであり、カテーテルを使用して、管状血管内で小孔を容易に切除することができる。更に、カテーテル設計は、ガイドシース/カテーテル内に格納し易く、またカテーテル/切除電極が確実に小孔と係合するように設計される。
【0032】
図5は、本発明の一実施形態による、腎臓及び/又は心臓カテーテル法並びにアブレーションのためのシステム20の概略図である。システム20は、例えば、Biosense Webster Inc.(Diamond Bar,California)によって製造されたCARTO(商標)システム、及び/又はSmartAblate若しくはnMarq RF生成システムを利用してもよい。このシステムは、カテーテル28の形態の侵襲性プローブと、制御及び/又はアブレーションコンソール34とを含む。以降で説明する実施形態では、カテーテル28は、当該技術分野において既知であるように、心内膜組織を切除する際に使用される。あるいは、このカテーテルは、心臓、腎臓又は他の身体臓器の他の治療及び/又は診断のために、必要な変更を加えて使用することができる。
【0033】
心臓病専門医、電気生理学者、インターベンショナルラジオロジストなどのオペレータ26が、カテーテル28(
図3、
図4又は後述する実施形態により設計されてもよく、Biosense ThermoCoolやThermoCool SFアブレーションカテーテル設計などの他の既知の設計を含んでもよい)を、カテーテルの遠位端30が、下大静脈又は腹大動脈に入るか、腹大動脈の外側と接触するように患者24の身体に挿入する。オペレータは、カテーテルの遠位部分が前述の所望の位置にある組織と係合するようにカテーテルを前進させる。カテーテル28は、典型的には、その近位端で、好適なコネクタによってコンソール34に接続される。このコンソール34は、以降で更に説明するように、遠位先端部によって係合された位置で、心臓内の組織を切除するために、カテーテルを介して高周波電気エネルギーを供給する、高周波(RF)発生器40を含む。あるいは、このカテーテル及びシステムは、冷凍アブレーション、超音波アブレーション、又はマイクロ波エネルギー若しくはレーザ光を用いたアブレーションなどの、当該技術分野で既知の他の技術によってアブレーションを実行するように構成されてもよい。
【0034】
コンソール34は、磁気位置検出を使用して患者24の身体内の遠位端30の位置座標を決定してもよい。この目的のために、コンソール34内の駆動回路38が、磁場発生器32を駆動して、患者24の身体内部に磁場を生成する。典型的には、この磁場発生器は、患者胴体の下方の、患者の外部の既知の位置に設置されるコイルを含む。これらのコイルは、腎静脈と腎動脈の近くの腹大動脈を含む所定の作業体積内に磁場を生成する。カテーテル28(
図2に示した)の遠位端30内の磁場センサは、これらの磁場に応じて電気信号を生成する。信号プロセッサ36は遠位末端の位置座標を決定するために、これらの信号を処理する。位置座標は一般的に、配置と配向の両方の座標を含む。この位置検知法は、上記のCARTOシステムにおいて実行されており、その詳細が、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号及び同第6,332,089号、PCT特許公開WO 96/05768、並びに米国特許出願公開第2002/0065455 A1号、同第2003/0120150 A1号及び同第2004/0068178 A1号に開示されており、その開示事項は参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
プロセッサ36は、典型的には、カテーテル28から信号を受け取り、コンソール34の他の構成要素を制御するための、好適なフロントエンド回路及びインターフェイス回路を備える、汎用コンピュータを含む。このプロセッサは、本明細書で説明される機能を実行するように、ソフトウェアでプログラムすることができる。このソフトウェアは、例えば、ネットワークを通じて電子的形態でコンソール34にダウンロードされることができる。若しくは、ソフトウェアは、光学的、磁気的、又は電子的記録媒体などの実体のある媒体により提供されることができる。もう1つの方法として、プロセッサ36の機能の一部分又は全部が、専用又はプログラム可能なデジタルハードウエアの構成要素により実行されることもできる。カテーテル、及びシステム20の他の構成要素から受け取った信号に基づいて、プロセッサ36は、ディスプレイ42を駆動して、患者身体内での遠位端30の位置に関する視覚的フィードバック、並びに進行中の処置に関する状況情報及びガイダンスを、操作者26に与える。
【0036】
あるいは、又は更に、システム20は、患者24の身体内部でカテーテル28を誘導及び操作するための、自動化機構を含み得る。そのような機構は、典型的には、カテーテルの長手方向の動き(前進/後退)、及びカテーテルの遠位端の横方向の動き(偏向/操舵)の双方を制御することが可能である。この種のいくつかの機構は、この目的のために、例えば、直流の磁場を使用する。そのような実施形態では、プロセッサ36は、カテーテル内の磁場センサより供給された信号に基づき、カテーテルの動きを制御する制御入力を発生させる。これらの信号は、カテーテルの遠位末端の位置及び以下で記述される遠位末端に加えられる力の両方を表示する。
【0037】
図6は、腎動脈内に配置された本発明の方法で使用されるカテーテルの更に他の実施形態を示す。
図6では、カテーテル220の遠位先端のアブレーション電極222が、標的位置でポイントアブレーションを行うために使用される。カテーテル220は、ガイドシース210によって標的位置近くに案内される。標的位置でアブレーション電極222を安定化させるために、安定化バルーン230が、右腎動脈(A)(又は、腎静脈)に固定される。安定化バルーン230は、PET、ナイロン、ポリウレタンなどの高分子又は類似の材料で構成することができる。安定化バルーンは、腎動脈や腎静脈などの血管内にアンカーを提供するために、生理食塩水や類似の流体で膨張される。安定化バルーン230を膨張させた後で、カテーテル210の遠位先端上のアブレーション電極が、アブレーションの標的となる小孔の近くの箇所と接触するように案内される。
【0038】
図7は、本発明により使用するためのカテーテルの更に他の実施形態の側面図である。カテーテル310は、遠位端又はその近くに取り付けられた1つ又は複数のアブレーション電極322をそれぞれ有する複数の形状記憶材料アーム又は突起320を有する。次に、ユーザは、標的位置に最も近い位置、例えば神経叢に最も近い位置を有するアームの電極を使用して切除するように選択してもよい。各先端は、アブレーションエネルギーを標的組織に送達することができる先端電極を有する。この場合、アーム320は、ガイドシース(図示せず)内に格納されてもよく、それにより、アームは、カテーテル310を患者の身体から引き抜くために内側に折りたたまれる。
【0039】
図8は、腎動脈内及びその近くに配置された本発明の更に他の実施形態を示す図である。ガイドシース410は、アブレーションカテーテル422と、ガイドシース410の遠位で腎動脈(あるいは腎静脈)内にガイドされるガイドワイヤ432とをガイドするために使用される。アブレーションカテーテル422は、ガイドシース410に拘束されないときに丸められるか「三日月」形状になり、アブレーションエネルギーを標的位置に送達することができる1つ又は複数のリング電極を含む。これにより、ユーザは、ガイドワイヤ432と安定化部材430が標的位置で安定化された後で、標的位置の近くで切除する適正なスポットを決定することができる。更に、安定化部材上には、電気信号が腎動脈(又は、他の血管)にまだ送られているかどうかを確認するエネルギー信号を記録するためのリング電極が配置されてもよい。安定化部材430は、バルーンや他の拡張可能な部材でもよい。
【0040】
図9A〜
図9Hは、本発明の方法で使用するように設計されたカテーテル500を示す。
図9Aは、本発明によるカテーテルの側面図である。
図9Bは、遠位アセンブリ520の下面図であり、
図9Cは、シャフト510と遠位アセンブリ520の側面図である。
図9Dは、遠位アセンブリ520の上面図である。遠位アセンブリ520は、約11ミリメートル(mm)の高さ(H)を有する概略環状アセンブリである。遠位アセンブリの概略環状部分上に、複数(好ましくは6個)のリング電極530が配置される。最遠位のリング電極530は、遠位アセンブリ520の遠位先端のポリウレタンプラグであることが好ましい非外傷性先端540から約3mmにある。各リング電極は、長さ約3mmであり、隣りの電極から約4〜4.5mm離間される。各リング電極530は、貴金属、好ましくは白金とイリジウムの混合物で作製されるが、金やパラジウムなどの他の貴金属が使用されてもよく、複数のリード線に接続される。各リング電極は、可視化、刺激及びアブレーションのために使用されてもよい。各リング電極には、組織又はその近くの温度の示度を提供する熱電対が取り付けられる。高周波エネルギーを1つの電極に独立に送達することもでき、複数の電極に同時に送達することもでき、電極間で二極モードで送達することもできる。リング電極は、後述する灌水管腔535及び535aに繋がった複数の開口(
図9Dに519として示される)を介して灌注されてもよい。
【0041】
また、遠位アセンブリは、三軸磁気位置センサでも単軸(SAS)センサでもよい3個のセンサを含む。遠位センサ550cは、最遠位のリング電極530の遠位端の近くに配置される。中央センサ550bは、中間又は中央リング電極の近くにあるリング電極530の遠位端の近くに配置される。近位センサは、非外傷性先端540の近くに配置された「浮動センサ」である。あるいは、カテーテル500は、ループの伸縮を様々なサイズに変化させるために使用される収縮ワイヤ(図示せず)を含む。
【0042】
そのような収縮カテーテルは、2つのサイズ範囲で作製されてもよく、その1つは、最大の直径約19mmから完全に収縮した最小状態で約10mmまで変化し、他の小さい方の直径のカテーテルは、最大の直径約14mmから最小収縮状態で約6mmまで変化する。収縮ワイヤが使用されない場合、遠位アセンブリ520は、拘束されないときに約8〜12mm、好ましくは直径約10mmでなければならない。遠位アセンブリ520は、軸に対して斜めに向けられた弧を画定し、軸上に湾曲中心を有するように設計される。この文脈における用語「斜め」は、弧に最も適合する空間内の平面が、シャフト510の長手方向軸に対して斜めであることを意味する。平面と軸と間の角度は、45度を超える。弧は、半円を形成する180度の範囲を定めており、この半円は、より小さい環形状に収縮することができる。範囲を定められた弧に対する角度は、90度〜360度に変化してよいが、望ましい実施形態では、180度である。
【0043】
ループは、挿入シャフト545の遠位端に接続された基部510と、先端とを有する。ループは、先端が基部に対して遠位軸方向に突出するような中心のある概略円筒形を特徴とする。基部510とシャフト545の軸は、非拘束ループの直径に沿って中心にあることが好ましいが、拘束ループの直径に沿って中心にあってもよい。遠位アセンブリ520のピッチは、ループの長さ方向に固定され、約5〜20度である。
【0044】
遠位先端アセンブリの形状は、拘束されていないときに体温で所望の形状となるように予成形されたニチノールなどの形状記憶材料で作製された構造をとることによって生じる。遠位先端アセンブリは、シース(図示せず)に挿入する際にループがまっすぐになり、次に拘束されないときにアーチ形状になるように十分に柔軟である。
【0045】
カテーテル500のシャフト545は、シャフト545の近位端に細い方の部分516aを有する制御ハンドル516に取り付けられる。あるいは、制御ハンドル516は、参照により組み込まれた同時係属米国特許出願第13/174,742号に示されたように引抜き線を使用して、収縮ワイヤ内を通るループの膨張/収縮と遠位先端アセンブリの撓みとを制御するための2つの独立した機構を含む。
【0046】
カテーテル500は、また、遠位先端アセンブリを適切な位置に配置することを保証するガイドワイヤを内蔵してもよく、遠位先端アセンブリを適切な位置にガイドするために使用される、シャフト545と基部510の長手方向軸と平行な柔軟な遠位先端部分を内蔵してもよい。
【0047】
図9Aは、収縮又は撓みワイヤがないときの本発明によるカテーテル500の側面図である。
図9Eは、
図9Aの近位部分の線A−Aによる断面図である。制御ハンドル516は、概略円筒管状構造であるが、装置のユーザが、カテーテルを操作することを可能にし同時に構成要素が通る内部キャビティを提供する他の形状及び構造とすることができる。細い方の部分516aを有する制御ハンドル516は、ポリエチレン、ポリカーボネート、ABS、その他の類似の材料などの射出成形高分子で作製される。コネクタ518は、制御ハンドル516の近位端に挿入され、相手コネクタと、高周波発生器に接続されたケーブルアセンブリに電気接続を提供する。コネクタ518は、エポキシ又はその他の類似の手段を使用して固定される。リード線アセンブリ543は、テフロンシースと、そのテフロンシースに収容され、リング電極530とその関連した熱電対(図示せず)ごとに1対の、6対のリード線541、542とを含む。各リード線の近位端は、はんだ又は他の手段を使用して、コネクタ518に電気的かつ機械的に接続される。灌水ルアーハブ510は、灌水ポンプ(図示せず)などの灌水源から相手コネクタに取り付けることができる継手である。灌水ルアーハブ512は、流体侵入に対する封止を形成するためにポリアミドを使用して灌水サイドアーム511に取り付けられる。次に、灌水流体は、灌水ハブから灌水管腔535を通して運ばれる。灌水管腔535は、灌水流体を
図9Dに示されたような複数の開口519を有する各リング電極530まで運ぶために、側面アーム511と、制御ハンドル516の壁と、シャフト545とを通る管腔を通り、多管腔管525の基部510内の灌水管腔535aから遠位アセンブリ520に約3mm入る。カテーテル500は、灌水なしで構成されてもよい。
【0048】
制御ハンドル516は、より小さい直径の部分516aを有し、その部分は、リード線アセンブリ543と灌水管腔535が通る張力緩和要素551、552及びシャフト545から構成されるカテーテルアセンブリ570の近位端を収容するように適応されている。好ましい実施形態の張力緩和要素551及び552は、加熱されてシャフト545の上に縮むポリオレフィン又は類似の材料で作製された2つの収縮スリーブである。この場合、張力緩和要素551及び552をハンドル部分516aに取り付けるためにポリウレタンが使用される。
【0049】
カテーテルアセンブリ550の作業長(L)は、腎臓アブレーションに使用されるとき、張力緩和要素552の遠位端から遠位アセンブリ517の遠位先端まで約90cmである。作業長は、用途により異なることがある。遠位アセンブリ520は、複数のリング電極530が取り付けられた多管腔管525を含む。腎臓アブレーションの好ましい実施形態では、6個のリング電極が使用される。概略環状の遠位アセンブリ520の最大径は、収縮してないときに約8〜12mm、好ましくは約10mmである。リング電極530は、中間で最大外径2mmと、細い方の端で最小外径1.7mmを有することが好ましい。リング電極は、本明細書に記載された任意の材料でよいが、好ましくは90%の白金と10%のイリジウムで作製され、これらの組み合わせ及び/又は金やパラジウムなどの他の適切な貴金属からなってもよい。基部510を有する多管腔管525は、シャフト545の材料、好ましくはワイヤ組物のない35D PEBAXより柔らかい材料で作製されるが、遠位アセンブリ520の所望の剛性により、他の材料とジュロメータを使用してもよい。シャフト545は、pellethane、ポリウレタン又はPEBAXで作製され、本明細書に記載されたような、ナイロン、ポリイミド又は類似の材料で作製された内管の内部補強材を含む。
【0050】
図9B〜
図9Hは、リング電極530を含む遠位アセンブリ520の一部分を示す。リード線541及び542の各対は、頑強な接続を提供するためにそれぞれのリング電極に溶接される。流体の侵入に対して封止し、遠位アセンブリ520の電極530と多管腔管525との間の非外傷性の移行を提供するために、各リング電極の各端部の上にポリウレタン被覆が配置される。
図9F〜
図9Hは、シャフト545に接続された遠位アセンブリ520と、様々な断面とを示す。
図9Fは、
図9Aのシャフト545の線B−Bの断面図である。
図9Gは、
図9Cの線C−Cの断面図である。
図9Hは、
図9Cの線D−Dの断面図である。非外傷性先端ドーム540は、多管腔管525の端にある灌水管腔535aの端部内に延在するシャフトを備えたポリウレタンドームである。ニチノールワイヤ/形状記憶支持部材521が、多管腔管525の遠位端又はその近くから、シャフト545内に約25ミリメートル延在する。これは、遠位アセンブリ520に安定性を提供する。ニチノールワイヤ521は、好ましくは、断面が0.1905mm(0.0075インチ)×0.1905mm(0.0075インチ)の正方形であるが、0.152mm(0.006インチ)〜0.25mm(0.010インチ)の幅又は直径の断面の正方形、円形、又は長方形でもよい。ニチノールワイヤは、シース内で拘束されていないときに、約10mmの直径と、約5〜11mm(好ましくは約7mm)の高さHとを有する概略環形状となるように予成形される。ニチノールワイヤは、この環形状を遠位アセンブリ520の他の構成要素に付与する。
図9Gと
図9Hにおいて、多管腔管525の断面は、多管腔管525に取り付けられたリング電極530を示す。また、多管腔管525は、灌水管腔535aと、リード線541と542の対を含むリード線アセンブリ543を収容するリード線管腔531とを収容する。
図9Gでは、電極530に接続された第1対のリード線(541、542)の接続が示される。
図9Gのリード線アセンブリ543の残りの部分には、追加のリード線対を見ることができる。
図9Hは、最遠位電極530に取り付けられる最終対のリード線(541、542)を示す。管腔532は、ニチノールワイヤ521を収容する。管腔553は、好ましい実施形態では使用されないが収縮ワイヤに使用されることがある多管腔管525内にあり、この収縮ワイヤは、先端アセンブリ内に必要な追加の熱電対や他のセンサを配線するためのものである。
図9Fでは、シャフト545内のニチノールワイヤ521、灌水管腔535及びリード線アセンブリ543の構成を見ることができる。補強材547は、シャフト545の剛性を高め、約1000分の0.002の厚さを有するポリイミド又はナイロン(好ましくはポリイミド)などの材料からなる。補強材547は、実質的にシャフト545の長さ全体に延びる。シャフト145を多管腔管525の基部510に結合するためにポリウレタンが使用される。この好ましいポリウレタン接着は、これらの2つの要素の接続部から流体が入るのを防ぐ。ヒートシールや他の接着剤などの他の結合方法を使用してもよい。
【0051】
更に、蛍光透視法による可視化を支援するために、遠位アセンブリ520の遠位端又はその近くにフルオロ不透明マーカーが配置されてもよい。そのようなフルオロ不透明マーカーは、リング電極19と類似組成の白金とイリジウムの組み合わせなどの貴金属から作製されたリング形構造でよいが、そのようなマーカー・バンドは、幅がより狭く、灌水流体用の穴がない。
【0052】
使用する際、カテーテルアセンブリ500は、シース、好ましくは、所望のアブレーション/除神経のために解剖学的に適切な場所にカテーテルを配置し易くする操縦可能なシース(図示せず)と共に使用される。カテーテルアセンブリ550の遠位端がシースから出た後、ニチノールワイヤ/支持部材521は、遠位アセンブリを予め構成された概略環形状にする。概略環形状は、高周波エネルギーを発生器から1つ又は複数のリング電極に送ることにより、腎動脈の除神経又は部分的除神経が行われるアブレーションのための接点を提供するために、腎動脈又は静脈への小孔の近く又はそのまわりの上位接合部の前述の標的位置で大動脈又はIVCの内壁に対してリング電極を十分に付着させる。
【0053】
上記の説明文は、現時点における本発明の好ましい実施形態に基づいて示したものである。当業者であれば、本発明の原理、趣旨及び範囲を大きく逸脱することなく、本願に述べた構造の改変及び変更を実施することが可能であることは認識されるところであろう。その点において、上記の説明は、添付の図面で説明及び図示した厳密な構造のみに関するものとして読まれるべきではなく、むしろ、以下の特許請求の範囲と一致しかつそれを支持するものとして読まれるべきであり、この特許請求の範囲が完全かつ公正な範囲を有することになる。
【0054】
〔実施の態様〕
(1) 患者を治療する方法であって、
患者の身体にアブレーションカテーテルを挿入することと、
腎動脈と腹大動脈の交差部分又はその近くの標的位置で組織を切除して、前記腎動脈を除神経することと、を含む方法。
(2) 前記標的位置が、前記腹大動脈内の、前記腹大動脈と左腎動脈の上位接続部の近くである、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記標的位置が、前記腹大動脈内の、前記腹大動脈と右腎動脈の上位接続部の近くである、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記標的位置が、前記腹大動脈内の、前記腹大動脈と右腎動脈の小孔の近くである、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記標的位置が、前記腹大動脈内の、前記腹大動脈と左腎動脈の小孔の近くである、実施態様1に記載の方法。
【0055】
(6) 患者を治療する方法であって、
患者の下大静脈にアブレーションカテーテルを挿入することと、
前記下大静脈内の、右腎静脈が前記下大静脈から分岐する位置の近くの標的位置で組織を切除して、腎動脈を除神経することと、を含む方法。
(7) 前記標的位置が、前記下大静脈と前記右腎静脈の小孔の近くである、実施態様6に記載の方法。
(8) 患者を治療するための方法であって、
患者の左腎静脈にアブレーションカテーテルを挿入することと、
左腎動脈が腹大動脈から分岐する接続部の上を前記左腎静脈が横切る前記左腎静脈内の標的位置で組織を切除して、前記腎動脈を除神経することと、を含む方法。
(9) 前記下大静脈内の前記標的位置が、前記右腎動脈と前記腹大動脈との間の上位接続部に空間的に最も近い位置である、実施態様6に記載の方法。
(10) 前記左腎静脈内の前記標的位置が、前記左腎動脈と前記腹大動脈との間の上位接続部に空間的に最も近い位置である、実施態様8に記載の方法。
【0056】
(11) 前記アブレーションカテーテルが、電極で無線周波数エネルギーを使用して組織を切除することができる、実施態様1、6及び8に記載の方法。
(12) 前記アブレーションカテーテルが、レーザー・エネルギー、マイクロ波エネルギー、極低温冷却、高周波エネルギー又は超音波エネルギーを使用して組織を切除することができる、実施態様1、6及び8に記載の方法。
(13) 前記電極が、前記腎動脈の管腔の内側を覆う内皮細胞への損傷を軽減するために灌注される、実施態様11に記載の方法。
(14) 前記高周波アブレーションカテーテルが、冷却流体が中を通って流れることができる複数の孔を有する、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記標的位置で切除する前記アブレーションカテーテルが、遠位端に配置されたアブレーション要素をそれぞれ有する複数の突起を有する、実施態様1、6及び8に記載の方法。
【0057】
(16) 前記突起が、前記カテーテルの長手方向軸に近づきその後遠ざかって湾曲する「s」字形である、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記突起が、ニチノールで作製され、送達シース内に拘束されたときに実質的に線形になるように設計された、実施態様15に記載の方法。
(18) 前記アブレーションカテーテルが、アブレーション要素と、前記標的位置の近くの血管内に配置され前記アブレーション要素を安定化させる安定化部材とを更に含む、実施態様1、6及び8に記載の方法。
(19) 前記安定化部材が、膨張式バルーンである、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記安定化部材が、ガイドワイヤで前記血管内にガイドされる、実施態様18に記載の方法。
【0058】
(21) 腹大動脈、下大静脈及び/又は左腎静脈内の標的位置で組織を切除する装置であって、
複数の突起が上に配置された遠位先端を有し、各突起が自由遠位端を有する細長い管状本体と、
各突起の前記自由遠位端上に配置されたアブレーション要素と、を有する装置。
(22) 前記アブレーション要素が、高周波電極である、実施態様21に記載の装置。
(23) 前記突起が、前記細長い本体の長手方向軸に近づきその後遠ざかって湾曲するs字形である、実施態様21に記載の装置。
(24) 各突起は、送達シース内に拘束されたときに実質的にまっすぐになることができ、前記送達シース内で拘束されなくなったときにs字形に戻る形状記憶材料で構成される、実施態様23に記載の装置。
(25) 前記形状記憶材料が、ニチノールである、実施態様24に記載の装置。
【0059】
(26) 前記標的位置の近くの血管内に配置されるように適応され、前記アブレーション要素を前記標的位置の近くで安定化させる安定化部材を更に含む、実施態様21に記載の装置。
(27) 前記安定化要素が、バルーンである、実施態様26に記載の装置。
(28) 前記安定化要素が、ガイドワイヤによって前記血管内に先行される、実施態様26に記載の装置。
(29) 腹大動脈、下大静脈及び/又は左腎静脈内の標的位置で組織を切除する装置であって、
近位端と遠位端を有する細長い管状シャフトと、
概略環状部材が上に配置された遠位アセンブリと、
前記概略環状遠位部材上に配置された少なくとも1つのアブレーション要素と、
前記細長い管状シャフトの前記近位端に取り付けられた制御ハンドルと、を有する装置。
(30) 前記アブレーション要素が、高周波電極である、実施態様29に記載の装置。
【0060】
(31) 前記高周波電極が、灌注される、実施態様30に記載の装置。
(32) 前記概略環状部材が、拘束されないときに前記概略環状部材を形成する形状記憶材料を更に含む、実施態様29に記載の装置。
(33) 前記形状記憶材料が、ニチノールである、実施態様32に記載の装置。
(34) 前記細長いシャフトと前記遠位アセンブリ内に延在する収縮ワイヤを更に含み、前記制御ハンドルが、前記収縮ワイヤを作動させて前記概略環状形態を収縮させるように構成された第1の制御部材を含む、実施態様29に記載の装置。
(35) 前記細長いシャフト内に延在する撓みワイヤを更に有し、前記制御ハンドルが、前記撓みワイヤを作動させて前記細長い本体の一部分を撓ませるように構成された第2の制御部材を有する、実施態様29に記載の装置。
【0061】
(36) 前記少なくとも1つの高周波電極が、温度の高さ(measure of temperature)を示す信号を提供することができる電気リードに接続された、実施態様29に記載の装置。
(37) 前記高周波電極が、6個のリング電極を含む、実施態様29に記載の装置。
(38) 前記遠位アセンブリが、複数の位置センサを含む、実施態様29に記載の装置。
(39) 前記複数の位置センサが、最遠位電極の遠位端の近くに配置された遠位センサ、中間電極の近くに配置された中央センサ、及び前記遠位アセンブリの遠位先端の近くの近位センサを含む、実施態様38に記載の装置。
(40) 前記概略環状部材が、収縮されないときに半円となり、より小さい環形状に収縮することができる、少なくとも180度の範囲を定める円弧である、実施態様39に記載の装置。