特許第6165505号(P6165505)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6165505
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/02 20060101AFI20170710BHJP
【FI】
   F24F11/02 102F
   F24F11/02 S
   F24F11/02 102H
   F24F11/02 102W
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-108343(P2013-108343)
(22)【出願日】2013年5月22日
(65)【公開番号】特開2014-228198(P2014-228198A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2015年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】515294031
【氏名又は名称】ジョンソンコントロールズ ヒタチ エア コンディショニング テクノロジー(ホンコン)リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米山 裕康
【審査官】 横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−235945(JP,A)
【文献】 特開2001−065950(JP,A)
【文献】 特開2011−190941(JP,A)
【文献】 特開2012−211737(JP,A)
【文献】 特開平05−026502(JP,A)
【文献】 特開2010−236711(JP,A)
【文献】 特開2007−237926(JP,A)
【文献】 特開2005−241124(JP,A)
【文献】 特開平05−312382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を吐出する圧縮機を有する室外機と、
冷媒配管を介して前記室外機に接続され、複数の吹出口が形成された室内機と、
前記室外機及び前記室内機により形成される冷凍サイクルを制御する制御部と、を備え、
前記室内機は、
前記複数の吹出口に対応して設けられた複数の熱交換器と、
前記複数の熱交換器に対応し、対応する前記熱交換器への冷媒の流量を制御可能な複数の制御弁と、
前記複数の吹出口に対応する複数のエリア毎の人の状況を検知可能な検知手段と、を備え、
前記制御部は、前記検知手段による前記複数のエリア毎の検知結果に基づき、前記複数の制御弁の開度を調整し、前記複数の制御弁の開度の調整結果に応じて前記圧縮機の回転数を制御し、
前記検知手段は、前記複数のエリア毎の人の有無を検知可能であり、
前記検知手段が、前記複数のエリアのうちの所定のエリアに人がいないことを検知した場合、前記制御部は、前記所定のエリアへ空気を送るための前記吹出口に対応する前記熱交換器に対応する前記制御弁を閉じて冷媒の流れを止めると共に、前記圧縮機の回転数を低下させ、
前記室内機は、前記冷媒と空気との間で熱交換を行うために前記複数の熱交換器に前記空気を送る送風機と、前記複数の吹出口に対応して設けられ前記複数の吹出口を開閉する複数のルーバと、を更に備え、
前記検知手段が、前記複数のエリアのうちの所定のエリアに人がいないことを検知した場合、前記制御部は、前記所定のエリアへ空気を送るための前記吹出口に対応する前記ルーバを閉じると共に、前記送風機の回転数を低下させる空気調和機。
【請求項2】
前記検知手段が、前記複数のエリアのうちの所定のエリアに人がいないことを検知した場合、前記制御部は、前記所定のエリアへ空気を送るための前記吹出口に対応する前記ルーバを閉じると共に、前記検知手段により人がいると検知されたエリアへ空気を送るための前記吹出口を通過する風量を、前記所定のエリアへ空気を送るための前記吹出口に対応する前記ルーバを閉じる前に通過していた風量となるように、前記送風機の回転数を低下させる請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記検知手段は、前記複数のエリア毎の人の活動量を検知可能であり、
前記検知手段による前記複数のエリア毎の人の活動量の検知結果に基づき、前記制御部は、前記複数の制御弁の開度を調整し、前記複数の制御弁の開度の調整結果に応じて前記圧縮機の回転数を制御する、請求項1または請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記室内機は、人及び人の周囲の物体の温度を検知可能な温度検知手段を更に備え、
前記温度検知手段により検知された温度と前記室内機の設定温度に基づいて、前記制御部は、前記複数の制御弁の開度を調整し、前記複数の制御弁の開度の調整結果に応じて前記圧縮機の回転数を制御する、請求項1乃至請求項3に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記検知手段及び前記温度検知手段は、前記複数の吹出口毎に設けられている請求項4に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の吹出口を有する室内機を備えた空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機には室内機に複数の吹出口があるものがある。例えば、個人宅やオフィスビルなどの天井に埋め込まれ、複数の吹出口から異なる方向に冷風や温風を送る埋め込み型の室内機が利用されている。この種の室内機には様々な工夫がなされている(特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1には、温度分布に応じた適切な気流制御を可能にすることにより、空調対象空間の快適性向上を図るための技術が開示されている。
【0004】
また特許文献2には、風向を制御することで温度ムラを改善し、省エネ性を向上させるための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−16885号公報
【特許文献2】特開2010−8004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような、複数の吹出口を有する室内機によって温度分布に応じて気流を制御する技術や風向を制御して温度ムラを改善する技術は、いずれも室内全体を、設定した温度に均一化するため、あるいはその均一化を迅速に行うためのものである。複数の吹出口から吹き出される空気の温度は同じであり、気流や風向を制御できるに止まっている。そして、室内機の構成としては、単一の熱交換器で温度が調整された空気を分流し、複数の吹出口から吹き出す構成である。
【0007】
しかしながら、空気調和の目的は本来的には人間が快適に感じるように温度等を調整することである。そして、同じ室内にいる各人が快適と感じる室温が同じとは限らない。各人の快適性を向上するには、室内全体の温度を均一化するのではなく、更に積極的な場所毎の制御を行うことが好ましい場合がある。
【0008】
また、同じ室内でも窓際、壁際、内側など場所によって自然光による熱や輻射熱に違いがある場合がある。そのような場合、室内全体の温度を均一化するのではなく、更に積極的に場所毎の制御を行うことが好ましい場合がある。
【0009】
本発明の目的は、室内の場所毎の快適性を向上させることができ、省エネルギー運転が可能な空気調和機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様による空気調和機は、冷媒を吐出する圧縮機を有する室外機と、冷媒配管を介して前記室外機に接続され、複数の吹出口が形成された室内機と、前記室外機及び前記室内機により形成される冷凍サイクルを制御する制御部と、を備え、前記室内機は、前記複数の吹出口に対応して設けられた複数の熱交換器と、前記複数の熱交換器に対応し、対応する前記熱交換器への冷媒の流量を制御可能な複数の制御弁と、前記複数の吹出口に対応する複数のエリア毎の人の状況を検知可能な検知手段と、を備え、前記制御部は、前記検知手段による前記複数のエリア毎の検知結果に基づき、前記複数の制御弁の開度を調整し、前記複数の制御弁の開度の調整結果に応じて前記圧縮機の回転数を制御する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の空気調和機によれば、室内の場所毎の快適性を向上させることができ、省エネルギー運転が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施の形態による空気調和機の冷凍サイクル系統図である。
図2】第1の実施の形態による空気調和機の室内機を天井に取り付けた状態を下側から見た図である。
図3】第1の実施の形態による空気調和機の室内機を天井に設置した状態における縦断面図である。
図4】第1の実施の形態による空気調和機の室内機のサイクル系統図である。
図5】本発明の第2の実施の形態による空気調和機の室内機を天井に設置した状態における縦断面図である。
図6】本発明の第3の実施の形態による空気調和機の室内機を天井に設置した状態における縦断面図である。
図7】本発明の第4の実施の形態による空気調和機の冷凍サイクル系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1の実施の形態の空気調和機(空気調和システム)について、図面に基づいて説明する。図1は、第1の実施の形態による空気調和機100の冷凍サイクル系統図である。空気調和機100は、室外機10と室内機20とを備えている。室外機10と室内機20とは、ガス冷媒配管2及び液冷媒配管3により接続される。本実施の形態では、室外機10と室内機20とを1対1で接続しているが、一台の室内機に対し複数台の室外機を接続しても良いし、一台の室外機に対し複数台の室内機を接続しても良いし、複数台の室外機に対し、複数台の室内機を接続しても良い。
【0014】
室外機10は、圧縮機11と、四方弁12と、室外熱交換器13と、室外制御弁14と、アキュムレータ15と、室外ファン16と、室外ファンモータ17と、室外制御部18とを備える。
【0015】
圧縮機11は、冷媒を圧縮して配管に吐出する。四方弁12を切り替えることで、冷媒の流れが変化し、冷房運転と暖房運転が切り替わる。室外熱交換器13は、冷媒と外気の間で熱交換させる。室外制御弁14は、冷媒を減圧して低温にする。アキュムレータ15は、過渡時の液戻りを貯留するために設けられている。室外ファン16は、室外ファンモータ17の出力軸に取り付けられ、室外ファンモータ17により回転駆動される。室外制御部18は、圧縮機11、室外熱交換器13、及び、室内機20の運転状態を基に圧縮機11、室外熱交換器13、室外制御弁14、及び室外ファンモータ17を制御する。
【0016】
室内機20は、複数の室内熱交換器21(本実施の形態では4個)と、複数の室内制御弁22(本実施の形態では4個)と、室内ファン23と、室内ファンモータ24と、室内制御部25と、対象物検知器(検知手段)26と、化粧板27(図2)とを備える。本実施の形態における室内機20は、空調が行われる室内の天井に設置されるタイプであり、図2には、天井30(図3)に取り付けた状態を下側から見た室内機20を示し、図3には、天井30に設置された室内機20の縦断面図を示している。
【0017】
各室内熱交換器21は、冷媒と内気の間で熱交換を行わせる。複数の室内制御弁22の数は、複数の室内熱交換器21と同数であり、一対一で対応して設けられ、室内制御部25からの制御に従って、各室内熱交換器21の冷媒流量を個別に調整する。各室内制御弁22は開度の設定により、各室内熱交換器21の冷媒流量を連続的な値に調整することができる。各室内熱交換器21の冷媒流量を連続的に制御することにより、高い精度で各方向の温度調整能力を設定することができる。ここでいう温度調整能力は、室内の空気の温度を所望の温度に近づける能力であり、冷房であれば空気の温度を下げる能力であり、暖房であれば温度を上げる能力である。例えば、室内熱交換器21内の冷媒流量を増加させれば、その室内熱交換器21の温度調整能力が上昇する。
【0018】
また、図4は、第1の実施の形態における室内機20の冷媒サイクル系統図を示している。図4に示すように、4組の室内熱交換器21及び室内制御弁22は、直列に接続され、その4組が互いに並列に接続され、冷媒配管2、3に共通接続されている。
【0019】
また、図2、3に示すように、室内機20は化粧板27と共に天井30に取り付けられている。そして、室内機20には、複数の吹出口28(本実施の形態では4個)が形成されている。複数の吹出口28の数は、複数の室内熱交換器21と同数あり、一対一で対応している。各室内交換器21は、室内ファン23と吹出口28との間に位置し、各吹出口28は、対応する室内熱交換器21で温度調整された空気を室内に吹き出す。複数の吹出口28は、図2に示すように、それぞれが互いに異なる方向(異なるエリア)に空気を吹き出すように配置されている。
【0020】
室内ファン23は、室内ファンモータ24の出力軸に取り付けられ、室内ファンモータ24により回転駆動され、複数の室内熱交換器21に空気を送る。室内ファン23及び室内ファンモータ24により送風機が構成される。
【0021】
室内制御部25は、図示せぬリモコンからの運転指令に基づいて複数の室内熱交換器21、複数の室内制御弁22、及び室内ファンモータ24を制御する。また、室内制御部25は、室外制御部18と図示せぬ伝送線を介して互いに接続され、互いに通信を行う。対象物検知器26は、例えば、室内機20が設置された室内の人の有無(人の状況)を検知可能である。具体的には、対象物検知器26は、4個の室内熱交換器21及び吹出口28に対応して室内を4つのエリア(Aエリア〜Dエリア)に分けて、各エリアの人の有無(人の状況)を検知可能である。対象物検知器26は、例えば、赤外線、超音波、可視光線、又はそれらの全部あるいは一部を組み合わせることにより実現される人感センサである。なお、各エリアは、対応する一組の室内熱交換器21及び吹出口28により、空調が行われる。
【0022】
次に、空気調和機100における冷房運転について説明する。図1における実線の矢印は、空気調和機100の冷房運転における冷媒の流れを示している。なお、図1における破線の矢印は空気調和機100の暖房運転における冷媒の流れを示している。
【0023】
圧縮機11から吐出された高圧ガス冷媒は、四方弁12を通って室外熱交換器13へ流れ、室外ファンモータ17で駆動される室外ファン16によって、室外空気と熱交換され、凝縮し、液冷媒となる。液冷媒は、室外制御部18により開度が大きくされた室外制御弁14を介して液冷媒配管3を流れ、室内機20へ送られる。
【0024】
室内機20では、液冷媒は、室内制御部25によって適切な開度に調整された各室内制御弁22で減圧され、各室内熱交換器21に入り、室内ファンモータ24で駆動される室内ファン23によって室内空気と熱交換される。このとき、室内空気は冷却され、冷風が各吹出口28を介して室内(各エリア)に送られ、冷媒は蒸発して低圧ガス冷媒となり、ガス冷媒配管2を通って室外機10へ戻る。
【0025】
室外機10に戻った低圧ガス冷媒は、四方弁12およびアキュムレータ15を通って圧縮機11へ吸入される。
【0026】
また、対象物検知器26は、空気調和機100における冷房運転中、Aエリア〜Dエリアの人の有無を検知している。例えば、図2に示すように、A、B、Dエリアに人が存在し、Cエリア(所定のエリア)に人がいないことを対象物検知部26が検知した場合、室内制御部25は、Cエリアを空調する室内熱交換器21への冷媒の流れを室内制御弁22を閉じて止めると共に、一つの室内制御弁22を閉じたことを知らせる信号を室外制御部18に送信する。
【0027】
室内制御部25から信号を受け取った室外制御部18は、A、B、Dエリアを空調している残りの3個の室内熱交換器21への冷媒流量が増加しないように、圧縮機11の回転数を低下させ、冷媒流量を減少させる。
【0028】
以上の空気調和機100によれば、対象物検知器26の検知結果に基づき、室内制御弁22により、室内熱交換器21毎に冷媒流量が調整可能であり、熱交換量を調整することができる。そして、冷媒流量に応じて、圧縮機11の回転数を制御するように構成されている。よって、各吹出口28から吹出される冷風の温度を個別に制御することができると共に、圧縮機11を適切な回転数で動作させることができる。その結果、室内の全ての方向(エリア)の人の快適性を同時に向上させることができると共に、効率の良い運転を行うことができる。
【0029】
また、上記の実施の形態によれば、対象物検知器26の検知結果に基づき、Cエリアに対応する室内熱交換器21への冷媒の流れを室内制御弁22を閉じて止め、圧縮機11の回転数を低下させている。よって、空調の必要のないエリアに対する空調を停止することができると共に、圧縮機11の動力を減少させることができ、省エネルギー運転を実現することができる。
【0030】
なお、上記の説明では、冷房運転時における動作及び効果を説明したが、暖房運転時においても同様の効果を得ることができる。
【0031】
次に、本発明の第2の実施の形態の空気調和機について図面を参照して説明する。図5は、第2の実施の形態における天井に設置された室内機120の縦断面図である。第1の実施の形態における室内機20と同一の構成には同一の番号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明を行う。なお、第2の実施の形態における室外機の構成は、第1の実施の形態における室外機10と同じである。
【0032】
第2の実施の形態における室内機120は、図5に示すように、各吹出口28を開閉するためのルーバ29が設けられている点で、第1の実施の形態の室内機20と異なる。室内制御部25(図1)は、各ルーバ29の角度を個別に制御して、吹出口28の開閉及び風向の変更を行う。
【0033】
そして、空調運転中において対象物検知部26(図1)が、Cエリアに人がいないこと検知した場合、室内制御部25(図1)は、Cエリアを空調する室内熱交換器21への冷媒の流れを室内制御弁22を閉じて止めると共に、対応するルーバ29を閉じる。これにより、人がいないCエリアには送風が行われなくなる。Cエリアのルーバ29を閉じたことにより、その他の3箇所の室内熱交換器21を通過する風量が増加してしまうため、Cエリアのルーバ29を閉じる前に各室内熱交換器21を通過していた風量になるように、室内ファンモータ24の回転数を減少させて室内ファン23が送風する風量を減少させる。
【0034】
また、第1の実施の形態と同様に、室内制御部25(図1)は、一つの室内制御弁22を閉じたことを知らせる信号を室外制御部18に送信し、室外制御部18は、A、B、Dエリアを空調している残りの3個の室内熱交換器21への冷媒流量が増加しないように、圧縮機11の回転数を低下させ、冷媒流量を減少させる。
【0035】
第2の実施の形態による空気調和機によれば、室内機120は吹出口28を開閉可能なルーバ29を備えているので、ルーバ29によって送風の方向を制御することが可能となると共に、送風が不要な吹出口28からの送風を停止することも可能になる。
【0036】
そして、ルーバ29を閉じると共に、閉じたルーバ29に対応する室内熱交換器21への冷媒の流れを止めて圧縮機11の回転数を低下させ、室内ファンモータ24の回転数を減少させて室内ファン23が送風する風量を減少させる。よって、圧縮機11の動力の減少に加え、送風機の回転数(仕事量)が減少されるので、更なる省エネルギー運転を実現することができる。
【0037】
次に、本発明の第3の実施の形態の空気調和機について図面を参照して説明する。図6は、第3の実施の形態における天井に設置された室内機220の縦断面図である。第2の実施の形態における室内機120と同一の構成には同一の番号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明を行う。なお、第3の実施の形態における室外機の構成は、第1の実施の形態における室外機10と同じである。
【0038】
第3の実施の形態における対象物検知器26(図1)は、各エリアの人の有無の検知に加え、各エリアの人の活動量も検知可能に構成されている。そして、図6において、Aエリアの人は立って動いているのに対し、Cエリアの人は座っている状態である。図6に示す人の状態では、同じ温度設定でもCエリアの人は座っている状態で、大きな活動(運動)をしていないため、Aエリアの活動している人に比べ少ない冷力で同じ体感温度になる。
【0039】
そして、本実施の形態の対象物検知器26は、Aエリアの人は立って動いているのを検知し、Cエリアの人は座っていることを検知する。対象物検知器26の検知結果に基づき、室内制御部25(図1)は、Cエリアを空調する室内熱交換器21への冷媒の流れを室内制御弁22の開度を調整して減少させると共に、一つの室内制御弁22の開度を減少させたことを知らせる信号を室外制御部18(図1)に送信する。
【0040】
室内制御部25から信号を受け取った室外制御部18は、A、B、Dエリアを空調している残りの3個の室内熱交換器21への冷媒流量が増加しないように、圧縮機11の回転数を低下させ、冷媒流量を減少させる。
【0041】
第3の実施の形態による空気調和機によれば、対象物検知器26は、各エリアの人の有無の検知に加え、各エリアの人の活動量も検知可能に構成されている。そして、対象物検知器26の検知結果に基づき、Cエリアを空調する室内熱交換器21への冷媒の流れを室内制御弁22により減少させ、圧縮機11の回転数を低下させている。
【0042】
よって、人の活動量に応じて適切な空調を行うことができるので、快適性を向上させることができると共に、圧縮機11の動力を減少させるので、更に省エネルギー運転を実現することができる。
【0043】
次に、本発明の第4の実施の形態の空気調和機について図面を参照して説明する。図7は、第4の実施の形態における空気調和機300の冷凍サイクル系統図である。第1の実施の形態における空気調和機100と同一の構成には同一の番号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明を行う。
【0044】
図7に示すように、空気調和機300の室内機320は、温度検知器30を備えている。温度検知器30は、例えば、赤外線センサであり、室内にいる人及び人の周囲の物体の温度を検知可能に構成されている。そして、室内制御部25は、リモコンにより設定された室内機320の設定温度と、温度検知器30により検知された人及び人の周囲の物体の温度とを比較して、設定温度と温度検知器30により検知された温度との差に基づき、室内制御弁22を調整して室内熱交換器21への冷媒の流量を制御し、送風機の回転数を制御し、室外制御部18は、圧縮機11の回転数を制御する。
【0045】
本実施の形態の空気調和機300によれば、リモコンによる設定温度と温度検知器30により検知された温度との差に基づき、室内熱交換器21への冷媒の流量、送風機の回転数、及び圧縮機11の回転数を制御する。よって、空気調和機100のよりきめ細かな制御が可能となり、快適性の向上、省エネルギー化が可能である。
【0046】
なお、上述した本発明の実施形態および実施例は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態あるいは実施例のみに限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【0047】
例えば、上記の第1〜第4の実施の形態において、対象物検知部26及び温度検知器30を、各吹出口28に設けても良い。これにより、更に精度よく空気調和機を制御することができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0048】
また、上記の実施の形態では、室外機及び室内機のそれぞれに制御部を設けて、各制御部が室外機及び室内機をそれぞれ制御するように構成したが、室外機及び室内機のいずれか一方に一つの制御部を設け、一つの制御部により室外機及び室内機の両方を制御するようにしても良い。
【0049】
また、第3の実施の形態対象物検知器26は、各エリアの人の有無の検知に加え、各エリアの人の活動量も検知可能に構成されていたが、各エリアの人の有無の検知に代えて、各エリアの人の活動量を検知可能に構成されていても良い。
【符号の説明】
【0050】
100、300:空気調和機、2:ガス冷媒配管、3:液冷媒配管、10:室外機、11:圧縮機、18:室外制御部、20、120、220、320:室内機、21:室内熱交換器、22:室内制御弁、23:室内ファン、24:室内ファンモータ、25:室内制御部、26:対象物検知部、28:吹出口、29:ルーバ、30:温度検知器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7