(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明者等は、矩形の模擬吸気ダクト内部における単孔噴霧ノズルおよび多孔噴霧ノズルによるスプレーの広がり具合を試験的に検討した。具体的には、10個の単孔噴霧ノズルによるスプレーと12孔を有する多孔噴霧ノズルで同量の水噴霧を実施し、次の知見を得た。
【0011】
1)単孔噴霧ノズルのみ用いる場合、矩形ダクト内部全体に噴霧液滴を行き渡らせるためには、吸気ダクトの流路断面に対して縦横に単孔噴霧ノズルを配置する必要がある。
【0012】
2)多孔噴霧ノズルのみ用いる場合、多孔噴霧ノズルのスプレーが円形状に広がるため、矩形ダクト内部の角部には噴霧液滴が到達しにくい状況にある。また、ダクトの角部まで噴霧液滴を到達させようとすると、ダクトの上下左右の壁面に噴霧液滴が衝突するため、ドレン発生量が増えるという課題が残る。
【0013】
上記の知見を基に、矩形の吸気ダクトにおいて、ノズル設置費用を勘案しつつ吸気全体をより均一に冷却する噴霧ノズルの設置構成として、下記を発案するに至った。
【0014】
すなわち、コスト面においては多孔噴霧ノズルを採用することでメリットを得る一方、多孔噴霧ノズルの課題である吸気全体への噴霧液滴の浸透を補完するため、多孔噴霧ノズル間のスペースや矩形の吸気ダクトの角部に単孔噴霧ノズルを併設する構成とすることである。
【0015】
なお、本発明の技術思
想は、多孔噴霧ノズルと単孔ノズルの組合せ
以外に、
噴孔数が異なる2種類以上の多孔噴霧ノズルを併設する場合
にも適用できる。以下の説明では、噴孔数が異なる2種類以上の多孔噴霧ノズルを併設する場合を参考例として記載している。
【0016】
すなわち、本発明
及び参考例の噴霧冷却装置は第1の
噴孔数を有する第1の噴霧ノズルと、第2の
噴孔数を有する第2の噴霧ノズルを前記吸気ダクトに併設することにより構成される。
【0017】
そして、前記第1の噴霧ノズルの
噴孔数n、第2の噴霧ノズルの
噴孔数mの関係をn>mとし、前記吸気ダクトのある断面をみたときに、前記吸気ダクトの空間内に前記第1の噴霧ノズルを複数列に配置すると共に、当該第1の噴霧ノズルの間の空間又は前記第1の噴霧ノズルと吸気ダクトの内壁面との間の空間又は前記吸気ダクトの内壁面に前記第2の噴霧ノズルを配置している。
【0018】
また、前記第1の噴霧ノズルの
噴孔数nが前記第2の噴霧ノズルの
噴孔数mの整数倍kであって、且つm×k=nとなる個数分の第2の噴霧ノズルを噴霧ノズル群とし、当該噴霧ノズル群を一括して噴霧水量を制御するものである。
【0019】
以下、ガスタービン発電システムを適用例として、詳述する本発明の実施の形態に共通する基本概念について説明する。
【0020】
ガスタービン発電システムの基本的な構成要素は、吸気ダクトから吸入した空気を圧縮する空気圧縮機と、この空気圧縮機で圧縮された空気と燃料とを燃焼させる燃焼器と、当該燃焼器で生成した燃焼ガスによって駆動されるタービンである。ここでは、噴霧冷却装置と密接な関係にある空気圧縮機と吸気ダクトまでの構成を主体に説明する。
【0021】
空気を圧縮する空気圧縮機において、空気を吸い込む吸気ダクト内部もしくは吸気ダクトの上流側にて空気温度を大気温度以下に下げるため、空気圧縮機の入口空気に水を噴霧し冷却する。その際、高速回転機である空気圧縮機内部では、ドレンとなる水滴などを形成させず、速やかに噴霧水を気化させることが吸気性能および機器信頼性(回転機バランス)の観点から望ましい。特に空気圧縮機入口部では、できる限り微細な液滴径をスプレーできる噴霧ノズルの採用が重要である。
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0023】
本発明の実施例1を
図1により説明する。
【0024】
図1は、空気圧縮機の上流側に位置する矩形の吸気ダクト1の内部断面に設けた噴霧冷却装置の構成図である。
【0025】
図1において、本実施例の噴霧冷却装置は、吸気ダクト内部2に設けた6つの多孔噴霧ノズル3と、多孔噴霧ノズル3の間に形成されたスペースおよび吸気ダクト内部2の角部や辺近傍に設けた単孔噴霧ノズル5から構成される。
図1の多孔噴霧ノズル3は孔数が四孔の場合であり、位相角度90度ごとに四孔からのスプレー4が形成される。また、単孔噴霧ノズル5の中心部には一個の噴孔6が設けられている。四個の噴孔を持つ多孔噴霧ノズル3の噴出水量は、一個の噴孔を持つ単孔噴霧ノズル5の噴霧水量の四倍の仕様となっている。吸気ダクト内部2の流路断面において、多孔噴霧ノズル3の配置は吸気ダクト内部2の流路面積に対して各多孔噴霧ノズル3が占める面積が等しくなるように均等配置される。単孔噴霧ノズル5は多孔噴霧ノズル3によるスプレー4のデッドスペースとなる位置に配置される。六個の多孔噴霧ノズル3と十二個の単孔噴霧ノズル5による構成例を示したが、これ以外の噴霧ノズル個数で構成する噴霧冷却装置においても基本的な考え方は同じである。
(作用・効果)
次に、
図1の実施例の動作を説明する。
【0026】
本実施例では、吸気ダクト1において噴霧冷却の主体的な働きを受け持つ多孔噴霧ノズル3(第1の噴霧ノズル)の四孔からのスプレー4の微細液滴の気化熱にて吸気ダクトの内部2の空気が冷却される。多孔噴霧ノズル3の四孔からのスプレー4の微細液滴群は、吸気ダクト内部の空気の流れに乗り下流へ輸送されながら微細液滴の一部が気化し同伴する空気の温度を低下させる。一方、吸気ダクト内部2の空気流れが層流であるため、吸気の一部において六個の多孔噴霧ノズル3による微細液滴群が行き渡りにくい箇所が生じる。すなわち、多孔噴霧ノズル3の間のデッドスペースと吸気ダクト内部2の内壁面近傍である。これらのデッドスペースに設けた単孔噴霧ノズル5(第2の噴霧ノズル)の噴孔6から噴出した微細液滴が、多孔噴霧ノズル3のスプレー4が行き渡らない箇所に流れ込むことで吸気ダクト内部2の流路断面全体に微細液滴がほぼ充満し、冷却されにくかった吸気の一部を微細液滴の気化熱で冷却する。
【0027】
図2に空気圧縮機と吸気ダクトおよび噴霧冷却装置の配置関係を示す。
【0028】
空気7は吸気ダクト内部2を通り、空気圧縮機12に吸入し、加圧されたのち空気圧縮機12の吐出管13より圧縮空気14として送気される。吸気ダクト内部2には噴霧流体9である水を通水するための水管10が複数設けられており、その水管10に多孔噴霧ノズル3ないしは単孔噴霧ノズル5が取り付けられている。
【0029】
大気より吸引された空気7は吸気ダクト1の内部2に流入したのち、多孔噴霧ノズル3からのスプレー4と単孔噴霧ノズル5からのスプレー8と合流し、微細液滴の気化熱にて冷却される。多孔噴霧ノズル3からのスプレー4と単孔噴霧ノズル5からのスプレー8の一部は吸気ダクト内部2において気化するものの、気化せずに残存した微細液滴を含む高湿分空気11となって空気圧縮機12に流入し、空気圧縮機12のインタークーラ効果をもたらし、空気圧縮機12の動力低減に寄与する。
(本実施例の特徴)
本実施例においては、多孔噴霧ノズル3の噴孔一つ分の水量に相当する単孔噴霧ノズルを補完用ノズルとして用いたので、噴霧後の微粒化特性がほぼ同等性能のノズル群による構成となり、安定した吸気噴霧冷却性能が得られる特徴がある。
<参考例>
【0030】
次に、本発明の
参考例における構成を
図3により説明する。
【0031】
図3は、噴霧冷却装置のもう一つの構成図である。
図1の実施例1では多孔噴霧ノズル3と単孔噴霧ノズル5の併設した構成であったが、本
参考例では二種類の多孔噴霧ノズルを併設した構成である。吸気ダクト内部2には、六孔の噴孔を有する多孔噴霧ノズル15(第1の噴霧ノズル)が六個と、三孔の噴孔を有する多孔噴霧ノズル16(第2の噴霧ノズル)が四個設けられている。この場合、噴霧冷却の主体は六孔の多孔噴霧ノズル15の六個からのスプレー17であり、三孔の多孔噴霧ノズル16は実施例1における単孔噴霧ノズル5の役目と同様に、六孔の多孔噴霧ノズル15の六個のデッドスペースを補完するために設けている。本
参考例では二種類の多孔噴霧ノズル15と16の噴孔数比率(n:m)が2:1の整数倍(k)である点に特徴がある。
(作用・効果)
次に
図3の
参考例の動作を説明する。
【0032】
吸気ダクト1の内部2に設けた六個の六孔型多孔噴霧ノズル15からは、微細液滴群から成るスプレー17が形成される。六孔型多孔噴霧ノズル15は上下二段に配置されており、それらのスプレー17同士が衝突して粒径の粗大化が起きないように距離が置かれ、デッドスペースが生じる。そのため、六孔型多孔噴霧ノズル15の上下二段の間には微細液滴が行き渡りにくい状況にあるため、六孔型多孔噴霧ノズル15の上下二段の間隙に四個の三孔型多孔噴霧ノズル16を配置することでデッドスペースを通過する空気に三孔型多孔噴霧ノズル16からのスプレー18を同伴させ、吸気全体の噴霧冷却を促進する。
【0033】
図3では六孔型多孔噴霧ノズル15の上下二段の間隙のみに四個の三孔型多孔噴霧ノズル16を配置したが、吸気ダクト1の形状やサイズなどに応じて、吸気ダクト1の内壁面近傍にも三孔型多孔噴霧ノズル16を設置しても良い。
【0034】
本
参考例によれば、二種類の多孔噴霧ノズル15と16を用いることで噴霧ノズル個数を削減でき、ノズル設置コストを低減できる利点がある。
【実施例2】
【0035】
次に、本発明の実施例
2における構成を
図4により説明する。
【0036】
図4は、噴霧冷却装置の構成を示した、吸気ダクト内部2を斜め方向から透視した斜視図である。
図1の実施例1において、吸気ダクト内部2の中央部に多孔噴霧ノズル15(第1の噴霧ノズル)を配置し、吸気ダクト1の吸気ダクト壁面19の四辺側のデッドスペースに単孔噴霧ノズル5(第2の噴霧ノズル)を設けたことを特徴とする。これは吸気ダクト内部2を流れる空気7の均一な冷却を行うため、吸気ダクト1の外面から単孔噴霧ノズル5を設けて空気7の流れ方向に対してほぼ垂直方向から単孔噴霧ノズル5の微細液滴をデッドスペースの空気流に同伴させ高湿分空気11を得る実施例である。
(作用・効果)
次に
図4の実施例の動作を説明する。
【0037】
図4の実施例では、吸気ダクト内部2を流れる空気7を噴霧冷却する主体は六個の多孔噴霧ノズル15であり、吸気ダクト1の流路に均等配置された多孔噴霧ノズル15のスプレー17が空気7の主流に同伴しながらスプレー17の気化熱によって空気7が冷却される。吸気ダクト内部2を流れる空気7は層流のため、多孔噴霧ノズル15のスプレー17は吸気ダクト壁面19付近に到達しない噴霧冷却のデッドスペースが生じる。単孔噴霧ノズル5の噴孔6はそのデッドスペースに微細液滴を投入するために、吸気ダクト1の外部より内部2へ向けて設置されている。単孔噴霧ノズル5の噴霧水量は多孔噴霧ノズルに比べて数分の一と小さく運動量が小さいので、空気7の流れ方向に対して垂直方向に噴霧しても空気7の主流に同伴して流れ、単孔噴霧ノズル5の微細液滴は多孔噴霧ノズル15のスプレー17と吸気ダクト壁面19間にできたデッドスペースに流入し、より均質な高湿分空気11として吸気ダクト1の下流に運ばれる。
【0038】
本実施例によれば、単孔噴霧ノズル5を吸気ダクト壁面19に設けたので、単孔噴霧ノズル5のメンテナンス性が向上する。
【実施例3】
【0039】
次に、本発明の実施例
3における構成を
図5により説明する。
図5は噴霧冷却装置のノズル運用構成図である。
【0040】
図5の噴霧冷却装置は、
図1の実施例1のノズル構成と同様に、六個の四孔型多孔噴霧ノズル3(第1の噴霧ノズル)と十二個の単孔噴霧ノズル5(第2の噴霧ノズル)から構成される。ここで多孔噴霧ノズル3の一つの噴孔から流出する噴霧水量は、単孔噴霧ノズル5の噴孔6から流出する噴霧水量は仕様上において同一である。したがって、一個の四孔型多孔噴霧ノズル3の全噴霧水量は、単孔噴霧ノズル5の四倍である。
図5のノズル構成において、吸気ダクト内部2に設けた十二個の単孔噴霧ノズル5を上中下の三段に区分し、一段当りを四個の単孔噴霧ノズル5で構成した。すなわち、
図5における上段を四個の単孔噴霧ノズル5a、中段を四個の単孔噴霧ノズル5b、下段を四個の単孔噴霧ノズル5cとし、三つの群として構成した。
図5において点線で囲まれた単孔噴霧ノズル5a〜5cの各群は、それぞれ個別の給水管から噴霧水が供給される。
(作用・効果)
次に
図5の実施例の動作を
図6により説明する。
図6は実施例
3の噴霧冷却装置の噴霧水量制御図である。
図6の横軸は噴霧開始から噴霧最大までの経過時間を示し、縦軸は噴霧水量(wt%)を示している。ここで噴霧水量(wt%)とは、吸気ダクト1で取り込む空気7の質量流量(kg/s)に対する噴霧水の質量流量(kg/s)のパーセント比率である。また、
図6のグラフ中に記載したノズル記号は、
図5に記載した符号を示している。
【0041】
図6により噴霧水量を次第に増加させていく手順について説明する。まず、噴霧開始時は吸気ダクト内部2を流れる空気7の主流部分に位置する多孔噴霧ノズル3-Iから噴霧する。多孔噴霧ノズル3-Iからの噴霧水量は0.2wt%相当であり、次に同じく空気7の主流部分に位置する多孔噴霧ノズル3-IIに噴霧水を投入し、合計の噴霧水量を0.4wt%とする。その後、残りの多孔噴霧ノズルのうち3-IIIを投入し0.6wt%とし、次に多孔噴霧ノズル3-IVを投入し0.8wt%へ、同様に順次、3-Vを投入し1.0wt%へ、3-VIを投入し1.2wt%へと噴霧水量を増加する。すべての多孔噴霧ノズル3-Iから3-VIの噴霧水を投入したのち、吸気ダクト1の中段に位置する四個の単孔噴霧ノズル5bの群に噴霧水を投入し、噴霧水量を1.4wt%まで上昇させる。その後、吸気ダクト1の上段に位置する四個の単孔噴霧ノズル5aの群に噴霧水を投入し、噴霧水量を1.6wt%へと高める。最後に吸気ダクト1の下段に位置する四個の単孔噴霧ノズル5cの群に噴霧水を投入し、噴霧水量を1.8wt%の最大値とする。なお、単孔噴霧ノズル5aの群と5cの群の噴霧水の投入順序は入れ替えても差し支えない。
【0042】
このように四個の単孔噴霧ノズル5を一つの群として四孔型多孔噴霧ノズル3と同量の噴霧水量としたので、定量ずつの噴霧水量増加が可能であるため制御設計し易く、また噴霧ノズルの投入順序を任意に入れ替えるなど、運転上の柔軟性を有する利点がある。例えば、噴霧開始時に、吸気ダクト内部2の中段に位置する四個の多孔噴霧ノズル5bの群を最初に噴霧することも可能である。
<参考例>
【0043】
次に、本発明の
参考例における構成を
図7により説明する。
図7は、噴霧冷却装置のノズル運用構成図である。
【0044】
図7の噴霧冷却装置は、
図3の
参考例のノズル構成と同様に、六個の六孔型多孔噴霧ノズル15(第1の噴霧ノズル)と四個の三孔型多孔噴霧ノズル16(第2の噴霧ノズル)から構成される。ここで六孔型多孔噴霧ノズル15の一つの噴孔から流出する噴霧水量は、三孔型多孔噴霧ノズル16の一つの噴孔から流出する噴霧水量と仕様上において同一である。したがって、一個の六孔型多孔噴霧ノズル15の全噴霧水量は、三孔型多孔噴霧ノズル16の二倍である。
図7のノズル構成において、吸気ダクト内部2に設けた四個の三孔型多孔噴霧ノズル16を中央部と両側の二つに区分し、それぞれを二個の三孔型多孔噴霧ノズル16で構成した。すなわち、
図7における中央部を二個の三孔型多孔噴霧ノズル16a、両側を二個の三孔型多孔噴霧ノズル16bとし、二つの群として構成した。
図7において点線で囲まれた三孔型多孔噴霧ノズル16a、16bの各群は、それぞれ個別の給水管から噴霧水が供給される。
(作用・効果)
次に
図7の
参考例の動作を
図8により説明する。
図8は
参考例の噴霧冷却装置の噴霧水量制御図である。
図6の横軸は噴霧開始から噴霧最大までの経過時間を示し、縦軸は噴霧水量(wt%)を示している。ここで噴霧水量(wt%)とは、吸気ダクト1で取り込む空気7の質量流量(kg/s)に対する噴霧水の質量流量(kg/s)のパーセント比率である。また、
図8のグラフ中に記載したノズル記号は、
図7に記載した符号を示している。
【0045】
図8により噴霧水量を次第に増加させていく手順について説明する。まず、噴霧開始時は吸気ダクト内部2を流れる空気7の主流部分に位置する六孔型多孔噴霧ノズル15-Iから噴霧する。六孔型多孔噴霧ノズル15-Iからの噴霧水量は0.18wt%相当であり、次に同じく空気7の主流部分に位置する六孔型多孔噴霧ノズル15-IIに噴霧水を投入し、合計の噴霧水量を0.36wt%とする。その後、残りの六孔型多孔噴霧ノズルのうち15-IIIを投入し0.54wt%とし、次に六孔型多孔噴霧ノズル15-IVを投入し0.72wt%へ、同様に順次、15-Vを投入し0.72wt%へ、15-VIを投入し1.08wt%へと噴霧水量を増加する。すべての六孔型多孔噴霧ノズル15-Iから15-VIの噴霧水を投入したのち、吸気ダクト1の中央部に位置する二個の三孔型多孔噴霧ノズル16aの群に噴霧水を投入し、噴霧水量を1.26wt%まで上昇させる。最後に、吸気ダクト1の両側に位置する二個の三孔型多孔噴霧ノズル16bの群に噴霧水を投入し、噴霧水量を1.44wt%へと高め最大値とする。なお、三孔型多孔噴霧ノズル16aの群と16bの群の噴霧水の投入順序は入れ替えることも可能である。
【0046】
このように二個の三孔型多孔噴霧ノズル16を一つの群として六孔型多孔噴霧ノズル15と同量の噴霧水量としたので、定量ずつの噴霧水量増加が可能であるため制御設計し易く、また噴霧ノズルの投入順序を任意に入れ替えるなど、運転上の柔軟性を有する利点がある。例えば、噴霧開始時に、吸気ダクト内部2の中央部に位置する二個の三孔型多孔噴霧ノズル16aの群を最初に噴霧することも可能である。
【0047】
大気温度が上昇した場合のガスタービン発電システムの増出力装置として利用することができる。また、産業用の小型空気圧縮機に対する吸気噴霧冷却装置としても利用可能である。