(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至
図8は、本実施の形態による有価媒体処理装置を示す図である。このうち、
図1は、本実施の形態における有価媒体処理装置の外観を示す斜視図であり、
図2は、
図1に示す有価媒体処理装置の内部構成を示す構成図である。また、
図3は、
図1等に示す有価媒体処理装置の機能ブロック図である。また、
図4は、
図1等に示す有価媒体処理装置における、リジェクト券の種類、リジェクトされた理由および後の処理の様々な例を示す表である。また、
図5乃至
図8は、それぞれ、
図1等に示す有価媒体処理装置の操作表示部における表示内容を示す図である。
【0026】
コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の商業施設の店舗において、顧客が立ち入ることができるフロント領域には様々な商品が陳列された商品棚が設置されているとともに、このフロント領域の精算所にはレジ釣銭機が設置されている。顧客がこのような精算所で精算処理を行う際に、店員は、顧客から受け取った商品の代金としての貨幣や商品券をレジ釣銭機に入金したり、釣銭としての貨幣をレジ釣銭機から出金して顧客に返却したりするようになっている。また、このような店舗における顧客の立ち入りが禁止されたバックヤード領域(具体的には、例えば入金室)には、レジ釣銭機から回収された売上金としての貨幣を入金したり、レジ釣銭機用の釣銭準備金としての貨幣を出金したりする売上入金機が設置されている。また、このような売上入金機がショッピングセンターに設置される場合には、フロント領域の精算所に設置されたレジ釣銭機から回収された売上金としての貨幣に加えて、ショッピングセンター内の各テナントから持ち込まれた売上金としての貨幣が当該売上入金機に入金されるようになる。売上入金機に入金された売上金としての貨幣は、警送会社の収集担当者により回収されて当該警送会社の管理センターに運搬されるようになっている。本実施の形態では、このような売上入金機として、紙幣、硬貨、商品券等を含む有価媒体の処理を一つの装置で行うような有価媒体処理装置10が用いられるようになっている。このような有価媒体処理装置10の構成の概略について
図1および
図2を用いて説明する。
【0027】
まず、本実施の形態による有価媒体処理装置10により処理される商品券の種類について説明する。商品券の種類としては、有価媒体処理装置10が設置された店舗等により発行され、この店舗内で処理される自店精算券、および有価媒体処理装置10から警送会社の収集担当者により回収されて当該警送会社の管理センターに運搬され、この管理センターで処理される他店精算券がある。自店精算券には、商品券から読み取ったデータのみを警送会社の管理センターに送信し、商品券の現物自体は店舗内で処分されるようなデータ請求券も含まれる。一方、他店精算券には、商品券から読み取ったデータを警送会社の管理センターに送信するが、商品券の現物自体も管理センターに運搬されてこの管理センターで処分されるような現物請求券も含まれる。また、商品券の更に他の種類としては、有価媒体処理装置10の紙葉類識別部26(後述)により識別できたが、商品券の有効期限が切れた期限切れ券や発行元の倒産等により店舗内で取り扱いを行うことができない取扱い不可券、有価媒体処理装置10の記憶部84(後述)で辞書登録されていない取扱い不可券、ならびに有価媒体処理装置10の紙葉類識別部26(後述)により識別することができない識別不可能券等がある。
【0028】
図1および
図2に示すように、本実施の形態による有価媒体処理装置10は略直方体形状の筐体12を有しており、この筐体12内には、紙幣や商品券等の紙葉類の処理を行う紙葉類処理機構20および硬貨の処理を行う硬貨処理機構50がそれぞれ設けられている。また、
図1に示すように、有価媒体処理装置10を正面から見て右側部分には上方から順に紙葉類投入部22、紙葉類リジェクト部30、および紙葉類集積部32(後述)の前面開口を開閉するためのシャッタ33がそれぞれ配設されている。また、有価媒体処理装置10を正面から見て左側部分には硬貨投入部52が配設されている。また、有価媒体処理装置10の上側部分には例えばタッチパネル等からなる操作表示部82が配設されている。また、有価媒体処理装置10の前面下部には下部扉14が設けられており、この下部扉14を開くことにより、筐体12内に収容された紙葉類収納カセット38、40(後述)や硬貨収納カセット68、70(後述)を筐体12の外部に引き出すことができるようになっている。
【0029】
次に、このような有価媒体処理装置10における紙葉類処理機構20および硬貨処理機構50の構成の詳細についてそれぞれ
図2を用いて以下に説明する。
図2に示すように、紙葉類処理機構20において、紙葉類投入部22には紙葉類繰出部23が設けられており、この紙葉類投入部22に積層状態で投入された紙幣や商品券等の紙葉類は紙葉類繰出部23により1枚ずつ有価媒体処理装置10の筐体12内に繰り出されるようになっている。また、紙葉類投入部22には紙葉類搬送部24が接続されており、紙葉類繰出部23により紙葉類投入部22から繰り出された紙幣や商品券等の紙葉類は紙葉類搬送部24により1枚ずつ搬送されるようになっている。また、紙葉類搬送部24には紙葉類識別部26が介設されており、紙葉類搬送部24により搬送される紙幣や商品券等の紙葉類は紙葉類識別部26によりその種類や金種等について識別が行われるようになっている。より詳細には、紙葉類識別部26には撮像部としてイメージセンサ27が設けられており、このイメージセンサ27により紙幣や商品券等の紙葉類の表面が撮像されてその画像データが取得されるようになっている。
【0030】
また、紙葉類搬送部24における紙葉類識別部26よりも下流側には消し込み部28が設けられている。消し込み部28は例えばインクジェットプリンタ等からなり、紙葉類識別部26により識別が行われた紙葉類が商品券である場合には、このような商品券の表面に対して消し込み部28により「済」印等の所定の内容が印字されるようになっている。このことにより、有価媒体処理装置10の筐体12内に投入されて紙葉類識別部26により識別が行われた商品券について、所定の内容が印字されることにより、操作者はこのような商品券が紙葉類処理機構20で処理済のものであることを視認することができるようになる。なお、消し込み部28により商品券に印字される内容や位置は任意に設定することができるようになっている。また、商品券の種類に応じて、消し込み部28による印字を行うか否かの設定を行うことができるようになっている。
【0031】
また、
図2に示すように、紙葉類搬送部24にはリジェクト部30が接続されており、紙葉類識別部26により識別された紙葉類のうち、正常な紙幣ではないと識別された紙幣や予め設定された所定の種類のものではない商品券がリジェクト券として紙葉類搬送部24からリジェクト部30に送られてこのリジェクト部30に集積されるようになっている。リジェクト部30は有価媒体処理装置10の筐体12の外部から操作者がアクセス可能となっており、リジェクト部30に集積されたリジェクト券は操作者により筐体12の外部に取り出されるようになっている。
【0032】
また、
図2に示すように、紙葉類搬送部24には紙葉類集積部32が接続されており、紙葉類識別部26により識別された紙葉類のうち予め設定された所定の種類の紙葉類が紙葉類搬送部24から紙葉類集積部32に送られてこの紙葉類集積部32に集積されるようになっている。
図1および
図2に示すように、紙葉類集積部32には、この紙葉類集積部32の前面開口の開閉を行うシャッタ33が設けられており、このシャッタ33を開くことにより、操作者は紙葉類集積部32に集積された紙葉類を有価媒体処理装置10の筐体12の外部に取り出すことができるようになっている。このようなシャッタ33の開閉は後述する制御部80により制御されるようになっている。なお、紙葉類集積部32の前面開口にシャッタ33を設置することを省略することもでき、この場合には、紙葉類集積部32は有価媒体処理装置10の筐体12の外部から操作者がいつでもアクセス可能となる。
【0033】
また、
図2に示すように、紙葉類搬送部24には第1の紙葉類一時保留部34および第2の紙葉類一時保留部36がそれぞれ接続されており、紙葉類識別部26により識別された紙葉類のうち予め設定された所定の種類の紙葉類が紙葉類搬送部24から第1の紙葉類一時保留部34や第2の紙葉類一時保留部36に送られてこれらの第1の紙葉類一時保留部34や第2の紙葉類一時保留部36に一時的に保留されるようになっている。また、第1の紙葉類一時保留部34の下方には第1の紙葉類収納カセット38が設けられているとともに、第2の紙葉類一時保留部36の下方には第2の紙葉類収納カセット40が設けられている。そして、第1の紙葉類一時保留部34や第2の紙葉類一時保留部36に紙葉類が一時的に保留された後、有価媒体処理装置10の制御部80(後述)に対して操作表示部82(後述)により入金承認の指令が与えられると、第1の紙葉類一時保留部34や第2の紙葉類一時保留部36の底面が開放されてこれらの第1の紙葉類一時保留部34や第2の紙葉類一時保留部36に一時的に保留されている紙葉類が第1の紙葉類収納カセット38や第2の紙葉類収納カセット40に収納されるようになっている。これらの第1の紙葉類収納カセット38や第2の紙葉類収納カセット40は、有価媒体処理装置10の筐体12から取り外し可能となっており、第1の紙葉類収納カセット38や第2の紙葉類収納カセット40を筐体12から取り外すことによりこれらの第1の紙葉類収納カセット38や第2の紙葉類収納カセット40に収納されている紙葉類を取り出すことができるようになっている。
【0034】
また、第1の紙葉類一時保留部34や第2の紙葉類一時保留部36に紙葉類が一時的に保留された後、有価媒体処理装置10の制御部80(後述)に対して操作表示部82(後述)により返却の指令が与えられると、第1の紙葉類一時保留部34や第2の紙葉類一時保留部36に一時的に保留された紙葉類が有価媒体処理装置10の筐体12の外部に返却されるようになっている。具体的には、例えば、第1の紙葉類一時保留部34に一時的に保留された紙葉類については、この第1の紙葉類一時保留部34の前面に設けられたシャッタ(図示せず)が開放されることにより、操作者は第1の紙葉類一時保留部34内にアクセスしてこの第1の紙葉類一時保留部34から紙葉類を取り出すことができるようになる。また、第2の紙葉類一時保留部36に一時的に保留された紙葉類については、この第2の紙葉類一時保留部36自体を筐体12の前方側に引き出すことにより、操作者は第2の紙葉類一時保留部36内にアクセスしてこの第2の紙葉類一時保留部36から紙葉類を取り出すことができるようになる。
【0035】
本実施の形態では、紙葉類処理機構20における紙葉類を収納する第1の紙葉類収納カセット38および第2の紙葉類収納カセット40について、その管理権限(例えば、店舗側の管理権限か警送会社側の管理権限か)や、収納されるべき紙葉類の種類(例えば、紙幣、商品券、あるいは紙幣および商品券の混合)をそれぞれ設定することができるようになっている。
【0036】
次に、硬貨処理機構50の構成について以下に説明する。
図1および
図2に示すように、硬貨処理機構50には例えばホッパ等からなる硬貨投入部52が設けられており、この硬貨投入部52には硬貨搬送部54が接続されている。ここで、硬貨投入部52に投入された硬貨は硬貨搬送部54により一層一列状態で1枚ずつ搬送されるようになっている。また、硬貨搬送部54には硬貨識別部56が設けられており、硬貨搬送部54により搬送される硬貨は硬貨識別部56によりその真偽や金種等について識別が行われるようになっている。
【0037】
また、硬貨識別部56よりも硬貨の搬送方向における下流側において、硬貨搬送部54の搬送面には硬貨リジェクト口および2つの分岐口がそれぞれ設けられており、これらの硬貨リジェクト口や各分岐口にはソレノイド付き選別部材(図示せず)がそれぞれ設けられている。そして、各ソレノイド付き選別部材により、硬貨搬送部54により搬送される硬貨が硬貨リジェクト口や各分岐口に選択的に入れられ、硬貨搬送部54から分岐されるようになっている。
【0038】
図2に示すように、硬貨搬送部54における硬貨リジェクト口の下方には硬貨リジェクトシュート58を介して硬貨リジェクト部60が設けられている。ここで、硬貨識別部56により識別された硬貨のうち、正常な硬貨ではないリジェクト硬貨は硬貨リジェクト口により硬貨搬送部54から分岐されて硬貨リジェクトシュート58に送られ、この硬貨リジェクトシュート58により硬貨リジェクト部60に導かれるようになっている。このような硬貨リジェクト部60は有価媒体処理装置10の筐体12の外部に取り出し可能となっており、操作者は、硬貨リジェクト部60を筐体12の外部に取り出した後、この硬貨リジェクト部60からリジェクト硬貨を取り出すようになっている。
【0039】
また、硬貨搬送部54に設けられた2つの分岐口の各々の下方には第1の硬貨搬送シュート61および第2の硬貨搬送シュート63を介して第1の硬貨一時保留部62および第2の硬貨一時保留部64がそれぞれ設けられており、所定の金種の硬貨がそれぞれ硬貨搬送部54から分岐口により分岐されて第1の硬貨搬送シュート61や第2の硬貨搬送シュート63に送られ、第1の硬貨一時保留部62や第2の硬貨一時保留部64に一時的に保留されるようになっている。ここで、第1の硬貨一時保留部62および第2の硬貨一時保留部64はそれぞれ、上方および下方が開口された枠体と、この枠体の下方開口を選択的に閉じる底板とを有しており、枠体の下方開口を底板が閉じた状態で、第1の硬貨一時保留部62や第2の硬貨一時保留部64に硬貨が一時的に保留されるようになっている。
【0040】
また、
図2に示すように、第1の硬貨一時保留部62や第2の硬貨一時保留部64の下方には、硬貨返却箱66、第1の硬貨収納カセット68および第2の硬貨収納カセット70がそれぞれ設けられており、第1の硬貨一時保留部62や第2の硬貨一時保留部64に一時的に保留された硬貨は、これらの硬貨返却箱66、第1の硬貨収納カセット68および第2の硬貨収納カセット70のうち何れかに送られるようになっている。ここで、第1の硬貨収納カセット68には第1の硬貨一時保留部62に一時的に保留された硬貨が送られるようになっており、また、第2の硬貨収納カセット70には第2の硬貨一時保留部64に一時的に保留された硬貨が送られるようになっている。また、硬貨返却箱66は2つの領域に区分けされている。そして、第1の硬貨一時保留部62や第2の硬貨一時保留部64に硬貨が一時的に保留された後、有価媒体処理装置10の制御部80(後述)に対して操作表示部82(後述)により入金承認の指令が与えられると、第1の硬貨一時保留部62や第2の硬貨一時保留部64の枠体が水平方向に移動して、この枠体内にある硬貨がそれぞれ第1の硬貨収納カセット68や第2の硬貨収納カセット70に収納されるようになる。これらの第1の硬貨収納カセット68や第2の硬貨収納カセット70は、有価媒体処理装置10の筐体12から取り外し可能となっており、第1の硬貨収納カセット68や第2の硬貨収納カセット70を筐体12から取り外すことによりこれらの第1の硬貨収納カセット68や第2の硬貨収納カセット70に収納されている硬貨を取り出すことができるようになっている。
【0041】
また、第1の硬貨一時保留部62や第2の硬貨一時保留部64に硬貨が一時的に保留された後、有価媒体処理装置10の制御部80(後述)に対して操作表示部82(後述)により返却の指令が与えられると、第1の硬貨一時保留部62や第2の硬貨一時保留部64の底板が水平方向に移動して枠体の下部開口が開くことにより、この枠体内にある硬貨が硬貨返却箱66に収納される。ここで、前述したように硬貨返却箱66は2つの領域に区分けされており、第1の硬貨一時保留部62および第2の硬貨一時保留部64からそれぞれ送られた硬貨が、2つに区分けされた各領域に収納されるようになる。硬貨返却箱66は有価媒体処理装置10の筐体12から前方に引き出し可能となっており、硬貨返却箱66を筐体12から前方に引き出すことにより操作者はこの硬貨返却箱66から返却硬貨を取り出すことができるようになる。
【0042】
本実施の形態では、硬貨処理機構50における硬貨を収納する第1の硬貨収納カセット68および第2の硬貨収納カセット70について、紙葉類処理機構20における紙葉類を収納する第1の紙葉類収納カセット38および第2の紙葉類収納カセット40と同様に、その管理権限(例えば、店舗側の管理権限か警送会社側の管理権限か)を設定することができるようになっている。
【0043】
また、本実施の形態では、紙葉類集積部32、第1の紙葉類収納カセット38、第2の紙葉類収納カセット40、第1の硬貨収納カセット68および第2の硬貨収納カセット70からなる各有価媒体収納部へのアクセスが規制部75(
図3参照)により有価媒体収納部毎に規制されるようになっている。より詳細には、紙葉類収納カセット38、40や硬貨収納カセット68、70については、各収納カセットに対応してカセットロック部(図示せず)が設けられており、これらのカセットロック部により有価媒体処理装置10の筐体12内に各収納カセットを選択的にロックして取出不可とするようになっている。そして、このような規制部75によるロックを解除することにより、有価媒体処理装置10の筐体12内から第1の紙葉類収納カセット38のみを取り出す動作や、価有価媒体処理装置10の筐体12内から第1の紙葉類収納カセット38、第2の紙葉類収納カセット40、第1の硬貨収納カセット68、第2の硬貨収納カセット70を一体的に取り出す動作等を選択的に行うことができるようになる。
【0044】
また、本実施の形態では、上述した規制部75により紙葉類集積部32へのアクセスも選択的に規制することができるようになっている。具体的には、規制部75は、紙葉類集積部32の前面開口を開閉するためのシャッタ33の開閉を選択的に規制することにより、当該前面開口をシャッタ33により閉じた場合には操作者が紙葉類集積部32から紙葉類を筐体12の外部に取り出せないようにし、一方、紙葉類集積部32の前面開口をシャッタ33が開いた場合には操作者が紙葉類集積部32から紙葉類を筐体12の外部に取り出せるようにしている。
【0045】
また、
図3に示すように、本実施の形態の有価媒体処理装置10では、この有価媒体処理装置10における各構成要素の制御を行う制御部80が設けられている。より詳細には、制御部80には紙葉類処理機構20、硬貨処理機構50、規制部75等がそれぞれ接続されており、この制御部80から各構成要素に指令信号が送られることにより、これらの各構成要素が制御されるようになっている。なお、紙葉類処理機構20には紙葉類識別部26が含まれる。また、前述したように、有価媒体処理装置10の上側部分には例えばタッチパネル等からなる操作表示部82が配設されているが、この操作表示部82も制御部80に接続されており、このことにより、操作者は操作表示部82によって制御部80に対して様々な指令を与えたり、あるいは操作表示部82における表示内容が制御部80により制御されたりするようになっている。このような操作表示部82には、例えば操作ガイダンスや入金処理時の取引データ、あるいは各収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32に収納された貨幣や商品券の在高等のデータが表示されるようになっている。
【0046】
また、制御部80には記憶部84が接続されており、この記憶部84には、入金処理時の取引データや、各収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32に収納された貨幣や商品券の在高等のデータが記憶されるようになっている。また、記憶部84には、各収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32と管理権限との関係や、各収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32と有価媒体の種類との関係も、各収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32毎に記憶するようになっている。
【0047】
また、制御部80には、操作者の管理権限を認証するための認証部86が設けられている。認証部86は、例えば有価媒体処理装置10の上側部分における操作表示部82の右側に配置され、操作者が携帯するICカードの読み取りを行うICカードリーダ83(
図1参照)を含み、このようなICカードリーダ83で操作者が携帯するICカードの読み取りを行うことによりこの操作者の管理権限が店舗側の管理権限および警送会社側の管理権限のうち何れかを判定するようになっている。なお、認証部86としては、ICカードリーダ83の代わりに、操作者が携帯する磁気カードの読み取りを行う磁気カードリーダが用いられてもよい。また、操作者は、ICカードをICカードリーダ83に読み取らせる代わりに、操作表示部82や別途設けられたキーボード等(図示せず)により操作者IDやパスワードを入力し、この入力された操作者IDやパスワードに基づいて認証部86が操作者の管理権限を認証するようになっていてもよい。また、認証部86は、操作者の指紋や網膜をチェックするような生体認証を行うようになっていてもよい。
【0048】
また、制御部80にはプリンタ88が接続されており、このプリンタ88により、入金処理時の取引データや、有価媒体処理装置10の締め処理や回収処理の際における各収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32に収納された貨幣や商品券の在高等のデータ等の印字が行われるようになっている。
【0049】
また、制御部80には通信部90が接続されており、この通信部90により、有価媒体処理装置10の制御部80は上位装置等の外部装置に対して信号の送受信を行うことができるようになっている。具体的には、有価媒体処理装置10の入金処理時の取引データが通信部90を介して外部装置に送信されたり、有価媒体処理装置10の様々な設定情報(例えば、各収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32と管理権限との関係のパターンに関する情報)等が通信部90により外部装置から受信されたりするようになっている。
【0050】
また、
図3に示すように、制御部80には判定部92および要因特定部94がそれぞれ接続されている。ここで、判定部92は、紙葉類識別部26や硬貨識別部56による識別結果に基づいて、紙幣や硬貨、商品券等の有価媒体を受け入れるか否かの判定を行うようになっている。また、要因特定部94は、判定部92により受け入れ不可と判定された有価媒体における受け入れ不可の要因を特定するようになっている。また、本実施の形態の有価媒体処理装置10では、制御部80により、要因特定部94により特定された受け入れ不可の要因に関する情報や、この受け入れ不可の要因に対する対応方法に関する情報が出力されるようになっている。そして、制御部80により出力された情報が操作表示部82に表示されたり、プリンタ88により印字されたり、あるいは通信部90により有価媒体処理装置10とは別に設けられた外部装置に送信されたりするようになる。
【0051】
ここで、
図1等に示す有価媒体処理装置10の紙葉類処理機構20における、リジェクト券の種類(すなわち、要因特定部94により特定された受け入れ不可の要因)、リジェクトされた理由、および後の処理(すなわち、受け入れ不可の要因に対する対応方法)の様々な例を
図4の表に示す。
図4の表に示すように、紙幣および商品券に共通するリジェクト券の種類としては、(a)搬送エラー券および(b)識別不可能券が挙げられる。ここで、(a)搬送エラー券とは、紙葉類識別部26により識別された紙幣や商品券の搬送状態が重送や斜行等の搬送異常であるものを指す。また、(b)識別不可能券とは、有価媒体処理装置10の筐体12内に投入された紙幣や商品券の汚れや汚損等により紙葉類識別部26により識別することができないものを指す。また、商品券に関するリジェクト券の種類としては、(c)期限切れ券、(d)取扱い不可券、(e)裏券が挙げられる。ここで、(c)期限切れ券とは、商品券の有効期限が切れたものを指し、(d)取扱い不可券とは、有価媒体処理装置10が設置された店舗において契約外であったり、商品券の発行元が倒産したりすることにより店舗内で取り扱いを行うことができないものを指す。また、(e)裏券とは、商品券が裏向きで有価媒体処理装置10の紙葉類投入部22に投入されたものを指す。ここで、商品券が裏向きで有価媒体処理装置10の紙葉類投入部22に投入されると、商品券のおもて面に対して消し込み部28により「済」印等の処理済のものであることを示す所定の内容を印字することができないという問題が生じるようになる。
【0052】
図4の表に示すように、要因特定部94により特定された受け入れ不可の要因が(a)搬送エラー券である場合には、後の処理として、このような搬送エラー券は有価媒体処理装置10の紙葉類投入部22に再投入されるようになる。一方、要因特定部94により特定された受け入れ不可の要因が(b)識別不可能券である場合には、このような識別不可能券を有価媒体処理装置10の紙葉類投入部22に再投入しても紙葉類識別部26により識別することができず再びリジェクト券としてリジェクト部30に排出されるようになるため、このような識別不可能券については操作者が目視にてその金額等の情報を確認し、この操作者は操作表示部82や別途設けられたキーボード等(図示せず)により識別不可能券に関する情報(具体的には、券種や金額等)を手入力するようになる。また、要因特定部94により特定された受け入れ不可の要因が(c)期限切れ券や(d)取扱い不可券である場合には、これらのリジェクト券に関する情報を操作表示部82等により操作者は手入力してはならず、代わりに管理者へ報告する必要がある。そして、管理者がこのような期限切れ券や取扱い不可券に対応するようになる。また、要因特定部94により特定された受け入れ不可の要因が(e)裏券である場合には、操作者は商品券を裏返して(すなわち、おもて面を上にして)有価媒体処理装置10の紙葉類投入部22に再投入するようになる。
【0053】
また、硬貨処理機構50におけるリジェクト硬貨の種類としては、搬送エラー硬貨および識別不可能硬貨等が挙げられる。搬送エラー硬貨とは、硬貨識別部56により識別された硬貨の搬送状態が重送等の搬送異常であるものを指す。また、識別不可能硬貨とは、有価媒体処理装置10の筐体12内に投入された硬貨の汚れや汚損等により硬貨識別部56により識別することができないものを指す。そして、要因特定部94は、硬貨識別部56による識別結果に基づいて判定部92により受け入れ不可と判定された硬貨における受け入れ不可の要因(具体的には、搬送エラー硬貨や識別不可能硬貨)を特定するようになる。要因特定部94により特定された受け入れ不可の要因が搬送エラー硬貨である場合には、後の処理として、このような搬送エラー硬貨は有価媒体処理装置10の硬貨投入部52に再投入されるようになる。一方、要因特定部94により特定された受け入れ不可の要因が識別不可能硬貨である場合には、このような識別不可能硬貨を有価媒体処理装置10の硬貨投入部52に再投入しても硬貨識別部56により識別することができず再びリジェクト硬貨として硬貨リジェクト部60に排出されるようになるため、このような識別不可能硬貨については操作者が目視にてその金額等の情報を確認し、この操作者は操作表示部82や別途設けられたキーボード等(図示せず)により識別不可能硬貨に関する情報(具体的には、金額等)を手入力するようになる。
【0054】
また、本実施の形態では、前述したように、紙葉類処理機構20における紙葉類を収納する第1の紙葉類収納カセット38、第2の紙葉類収納カセット40および紙葉類集積部32について、その管理権限(例えば、店舗側の管理権限か警送会社側の管理権限か)や、収納されるべき紙葉類の種類(例えば、紙幣、商品券、あるいは紙幣および商品券の混合)が予め割り当てられている。また、硬貨処理機構50における硬貨を収納する第1の硬貨収納カセット68および第2の硬貨収納カセット70についても、その管理権限が予め割り当てられている。ここで、各収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32と、管理権限や収納有価媒体の種類との関係は、収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32毎に記憶部84に予め記憶されるようになっている。なお、各収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32と、管理権限や収納有価媒体の種類との関係が記憶部84に記憶されるタイミングは、例えば有価媒体処理装置10の設置時や運用変更時となっている。そして、操作者が有価媒体処理装置10から貨幣や商品券を取り出す際に、制御部80は、記憶部84に記憶された、収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32と管理権限との関係に基づいて、認証部86により認証された操作者の管理権限に対応する収納カセット38、40、68、70や紙葉類集積部32のみへのアクセスを認容するよう規制部75を制御するようになっている。より詳細には、認証部86により認証された操作者の管理権限に対応する収納カセット38、40、68、70のみを有価媒体処理装置10の筐体12から外部に取出可能としたり、認証部86により認証された操作者の管理権限と紙葉類集積部32に割り当てられた管理権限とが一致する場合にのみこの紙葉類集積部32の前面開口をシャッタ33が開いたりするようになっている。
【0055】
本実施の形態の有価媒体処理装置10においてこのような運用がなされる場合には、店舗のフロント領域に設けられたレジ釣銭機に補充されるべき釣銭準備金としての紙幣を第1の紙葉類収納カセット38に収納させ、その他の貨幣や商品券を警送会社により回収されるべき有価媒体として第2の紙葉類収納カセット40、第1の硬貨収納カセット68および第2の硬貨収納カセット70に収納させるよう各収納カセットについて管理権限や媒体の種類を割り当てておくことにより、有価媒体処理装置10の各カセットに収納された紙幣、硬貨、商品券等の有価媒体について、警送会社以外の店舗側の操作者でも有価媒体処理装置10の機体内から例えば釣銭準備金として取り出すことができるようになり、このため操作者にとっての利便性を向上させることができる。
【0056】
また、本実施の形態の有価媒体処理装置10では、紙葉類集積部32には概ね店舗側の管理権限が割り当てられる場合が多い。この場合には、店舗側の管理権限を有する操作者は、この操作者が携帯するICカードを認証部86のICカードリーダ83で読み取らせることにより、認証部86において操作者の管理権限の認証が行われると、シャッタ33が自動的に紙葉類集積部32の前面開口を開き、操作者は紙葉類集積部32に集積された紙葉類を有価媒体処理装置10の筐体12の外部に取り出すことができるようになる。紙葉類集積部32に店舗側の管理権限が割り当てられている場合には、この紙葉類集積部32に釣銭準備金としての紙幣を集積させることができるようになる。
【0057】
このような構成からなる有価媒体処理装置10による紙幣や硬貨、商品券等の有価媒体の処理方法、具体的には有価媒体の入金方法について以下に説明する。なお、以下に示すような有価媒体処理装置10の動作は、制御部80が有価媒体処理装置10の各構成要素の制御を行うことにより行われるようになっている。
【0058】
有価媒体処理装置10の待機状態において、タッチパネル等からなる操作表示部82には
図5(a)に示すような待機画面が表示されている。具体的には、操作表示部82には、操作者が携帯するICカードを操作表示部82の右側に配置されたICカードリーダ83により読み取らせることを操作者に指示するメッセージおよび画像が表示されている。また、このような操作表示部82の待機画面において、現金および商品券のうちいずれの有価媒体を入金するかを選択するボタンが表示されている。さらに、
図5(a)に示すような操作表示部82の待機画面において、「番号を入力する」というボタンも表示されており、操作者がこのボタンを押下すると、操作表示部82の表示画面が切り替わって手入力画面となり、操作者は操作表示部82において有価媒体処理装置10に入金される有価媒体の回収元の店の店番号やレジ釣銭機のレジ番号(レジNo.)(
図5(b)参照)を手入力することができるようになる。また、操作者は操作表示部82の手入力画面において店番号やレジ番号を手入力する際に、操作表示部82において操作者IDやパスワードも手入力することができるようになっていてもよい。
【0059】
図5(b)に示すような操作表示部82の手入力画面において操作者が店番号やレジ番号等を手入力すると、操作表示部82は
図5(c)に示すような確認画面に切り替わり、店番号や店の名前、ならびにレジ番号や当該レジ釣銭機が設置された場所等の情報がポップアップ表示される。そして、このような確認画面において、操作者の承認操作を受け付けることを条件に、操作表示部82は次画面へ進むようになる。より詳細には、
図5(c)に示すような操作表示部82の確認画面において操作者が「OK」のボタンを押下することにより、操作表示部82は次画面へ進む。
【0060】
このように、
図5(b)に示すような操作表示部82の手入力画面において操作者が回収元の店の店番号やレジ釣銭機のレジ番号等を手入力すると、手入力された店番号やレジ番号に紐付けられた店名や売場名等の情報が操作表示部82の確認画面に表示されることにより、操作者が店番号やレジ番号等を誤って手入力した場合でも、
図5(c)に示すような操作表示部82の確認画面において操作者は入力された情報の内容を確認することができるため、入力ミスがあった場合には操作者は
図5(c)に示すような確認画面によりこのことに気づくことができ、店番号やレジ番号等の入力ミスを防止することができるようになる。
【0061】
なお、
図5(a)に示すような操作表示部82の待機画面において操作者がICカードをICカードリーダ83により読み取らせたときにも、操作表示部82に
図5(c)に示すような確認画面がポップアップ表示されるようになっていてもよい。この場合には、ICカードリーダ83によりICカードを読み取らせる際に誤ったICカードを読み取らせてしまった場合でも操作者は
図5(c)に示すような確認画面によりこのことに気づくことができるようになる。
【0062】
また、
図5(b)に示すような操作表示部82の手入力画面において操作者が店番号やレジ番号を手入力する際に、当日に既に売上金の入金処理が行われている店の店番号やレジ釣銭機の番号が入力された場合には、操作表示部82には、更に強い警告メッセージや確認メッセージが表示されるようになっていてもよい。一般的には閉店後に1回だけ入金処理を行うような店舗やレジが多いため、同一の店舗やレジにおいて一日に2回目の入金処理が行われた場合は、店番号やレジ番号の入力ミスが発生した可能性がある。しかしながら、有価媒体の取引量が多い店舗やレジの場合は、営業時間中に売上金としての貨幣や商品券を回収して入金処理を行うことがあるため、操作者が店番号やレジ番号の入力ミスではないことを確認した上で、2回目の入金処理を行うことが可能となっている。
【0063】
図5(a)に示すような操作表示部82の待機画面において操作者がICカードをICカードリーダ83により読み取らせたり、
図5(b)に示すような操作表示部82の手入力画面において操作者が店番号、レジ番号、操作者ID、パスワード等を手入力したりすることにより、認証部86が操作者の管理権限を認証する。そして、操作者の管理権限が適正なものである場合には、操作表示部82には
図6(a)に示すような入金画面が表示される。その後、操作者は有価媒体処理装置10の紙葉類投入部22に紙幣や商品券を投入したり硬貨投入部52に硬貨を投入したりすることにより有価媒体処理装置10において有価媒体の入金処理が行われる。
【0064】
具体的には、有価媒体処理装置10において有価媒体の入金処理を行うにあたり、操作者はまずレジ釣銭機から有価媒体とともに回収された伝票に記載された金額を操作表示部82により手入力する。操作者によって操作表示部82により手入力された伝票の金額は、操作表示部82の入金画面において「伝票」欄に表示される(
図6(a)に示す例では、伝票の金額は「110,000円」である)。また、操作者はレジ釣銭機用の釣銭準備金としての貨幣の金額を操作表示部82により手入力で設定することができるようになっている。操作者によって操作表示部82により手入力された釣銭の金額は、操作表示部82の入金画面において「つり銭」欄に表示される(
図6(a)に示す例では、釣銭の金額は「20,000円」である)。前述したように、本実施の形態の有価媒体処理装置10において、店舗のフロント領域に設けられたレジ釣銭機に補充されるべき釣銭準備金としての紙幣を第1の紙葉類収納カセット38に収納させるような運用を行うことができるようになっているが、この場合には、有価媒体処理装置10において有価媒体の入金処理を行うにあたり、操作者により設定された釣銭の金額分の紙幣は第1の紙葉類収納カセット38に送られ、それ以上の金額分の紙幣や商品券は第2の紙葉類収納カセット40に送られるようになる。
【0065】
また、有価媒体処理装置10による有価媒体の入金処理において、紙葉類識別部26により正常な紙幣であると識別されたものや商品券のうち予め設定された所定の種類のものが紙葉類搬送部24から第1の紙葉類一時保留部34や第2の紙葉類一時保留部36に送られてこれらの第1の紙葉類一時保留部34や第2の紙葉類一時保留部36に一時的に保留される。この際に、紙葉類識別部26により正常な紙幣であると識別されたものについてはその金額が
図6(a)の入金画面における「現金」欄に計上され、また、紙葉類識別部26により識別された商品券が予め設定された所定の種類のものである場合にはその金額が
図6(a)の入金画面における「現外項目」欄に計上されるようになる。そして、第1の紙葉類一時保留部34や第2の紙葉類一時保留部36に紙幣や商品券が一時的に保留された後、有価媒体処理装置10の制御部80に対して操作表示部82により入金承認の指令が与えられると、第1の紙葉類一時保留部34や第2の紙葉類一時保留部36の底面が開放されてこれらの第1の紙葉類一時保留部34や第2の紙葉類一時保留部36に一時的に保留されている紙幣や商品券が第1の紙葉類収納カセット38や第2の紙葉類収納カセット40に収納されるようになっている。また、硬貨処理機構50において硬貨識別部56により識別された硬貨の金額も
図6(a)の入金画面における「現金」欄に計上されるようになる。
【0066】
また、
図6(a)に示すような操作表示部82の入金画面において、「現金」欄の金額および「現外項目」欄の金額の合計値から、「つり銭」欄の金額を差し引いた金額が「売上金合計」の欄に表示されるようになる(
図6(a)に示す例では、売上金合計の金額は「105,000円」である)。また、このような操作表示部82の入金画面において、「売上金合計」欄の金額から「伝票」欄の金額を差し引いた金額が「差額」の欄に表示されるようになる(
図6(a)に示す例では、売上金合計の金額と伝票の金額との差額は「−5,000円」である)。有価媒体処理装置10により有価媒体の入金処理が行われる間に、紙葉類投入部22に投入された紙幣や商品券が筐体12内に取り込まれて紙葉類識別部26により識別されたり、硬貨投入部52に投入された硬貨が筐体12内に取り込まれて硬貨識別部56により識別されたりする度に「売上金合計」欄の金額が増加し、これに合わせて「差額」欄の金額が減少する。そして、有価媒体処理装置10による有価媒体の入金処理が正常に終わると、この「差額」欄の金額が0となる。
【0067】
本実施の形態では、有価媒体処理装置10により有価媒体の入金処理が行われる際に、判定部92は、紙葉類識別部26や硬貨識別部56による識別結果に基づいて、有価媒体を受け入れるか否かの判定を行う。具体的には、紙葉類処理機構20において、紙葉類識別部26により識別された紙幣が正常なものではなかったり、紙葉類識別部26により識別された商品券が予め設定された所定の種類のものではなかったりした場合には、判定部92はこれらの紙幣や商品券を受け入れ不可と判定し、判定部92により受け入れ不可と判定された紙幣や商品券等のリジェクト券はリジェクト部30に送られる。また、判定部92により受け入れ不可と判定された紙幣や商品券等のリジェクト券は
図6(a)に示すような操作表示部82の入金画面において「現金」欄の金額や「現外項目」欄の金額に計上されないため、紙葉類投入部22に投入された紙幣や商品券が筐体12内に全て取り込まれても、操作表示部82の入金画面において「差額」欄の金額は0とならずにマイナスのままとなる。
【0068】
また、本実施の形態では、判定部92により、紙葉類識別部26による識別結果に基づいて、有価媒体が受け入れ不可であると判定が行われると、要因特定部94は、判定部92により受け入れ不可と判定された有価媒体における受け入れ不可の要因を特定する。
図4の表に示すように、受け入れ不可の要因として、紙幣および商品券に共通して、(a)搬送エラー券および(b)識別不可能券が挙げられる。また、商品券に関する受け入れ不可の要因として、(c)期限切れ券、(d)取扱い不可券、(e)裏券が挙げられる。そして、本実施の形態の有価媒体処理装置10では、要因特定部94により特定された受け入れ不可の要因に関する情報や、この受け入れ不可の要因に対する対応方法に関する情報が制御部80により出力される。そして、制御部80により出力された情報が操作表示部82に表示されたり、プリンタ88により印字されたり、あるいは通信部90により有価媒体処理装置10とは別に設けられた外部装置に送信されたりする。このように、制御部80は、要因特定部94により特定された受け入れ不可の要因に対する対応方法に関する情報を出力する出力部として機能するようになっている。なお、以下の記載では、要因特定部94により特定された受け入れ不可の要因に関する情報や、この受け入れ不可の要因に対する対応方法に関する情報が操作表示部82に表示される態様について、受け入れ不可の要因毎に説明する。
【0069】
要因特定部94により特定された受け入れ不可の要因が、例えば商品券の(a)搬送エラー券である場合には、
図4の表に示すように、後の処理として、このような商品券の搬送エラー券は有価媒体処理装置10の紙葉類投入部22に再投入する必要があるため、操作表示部82には、
図6(c)に示すように、「リジェクト部から商品券を取り出して再投入してください」というメッセージが表示されるようになる。そして、操作者がリジェクト部30から商品券を取り出して紙葉類投入部22に再投入し、筐体12内に送られた商品券が紙葉類識別部26により正常に識別されると、この商品券の金額が操作表示部82の入金画面において「現外項目」欄の金額に加算されるようになる。そして、
図7(b)に示すように、操作表示部82の入金画面における「差額」欄の金額が0になった後、操作者がこの入金画面において「入金完了」のボタンを押下すると、第1の紙葉類一時保留部34や第2の紙葉類一時保留部36に一時的に保留されている紙幣や商品券が第1の紙葉類収納カセット38や第2の紙葉類収納カセット40に収納され、有価媒体処理装置10における入金処理が完了する。
【0070】
また、要因特定部94により特定された受け入れ不可の要因が、(b)識別不可能券である場合には、操作表示部82の入金画面において「現金」の欄や「現外項目」欄に「リジェクトあり」というガイド表示がなされる(
図6(b)では、リジェクト券が商品券の識別不可能券である場合における操作表示部82の入金画面を示している)。ここで、要因特定部94により特定された受け入れ不可の要因が、(b)識別不可能券である場合には、
図4の表に示すように、後の処理として、このような識別不可能券については操作者が目視にてその金額等の情報を確認し、操作表示部82や別途設けられたキーボード等(図示せず)により識別不可能券に関する情報(具体的には、券種や金額等)を手入力する必要がある。このため、操作表示部82の入金画面において操作者が「現金」の欄や「現外項目」欄の「リジェクトあり」というガイド表示を押下すると、操作表示部82は、
図7(a)に示すように、識別不可能券に関する情報(具体的には、識別不可能券の券種や金額)を手入力することを操作者に指示するガイダンス画面に切り替わるようになる。リジェクト部が商品券である場合には、操作者は
図7(a)に示すような操作表示部82のガイダンス画面において操作者はこの商品券の券種や金額を手入力することができるようになる。そして、操作者がリジェクト券としての商品券の券種や金額を目視にて確認して操作表示部82により手入力した後、「戻る」ボタンを押下すると
図7(b)に示すように操作表示部82の表示内容は入金画面に戻るが、この際に、手入力されたリジェクト券としての商品券の金額が操作表示部82の入金画面における「現外項目」欄の金額に加算されるようになる。そして、
図7(b)に示すような操作表示部82の入金画面において「入金完了」のボタンを押下すると、第1の紙葉類一時保留部34や第2の紙葉類一時保留部36に一時的に保留されている紙幣や商品券が第1の紙葉類収納カセット38や第2の紙葉類収納カセット40に収納され、有価媒体処理装置10における入金処理が完了する。
【0071】
また、要因特定部94により特定された受け入れ不可の要因が、(c)期限切れ券や(d)取扱い不可券である場合には、
図4の表に示すように、後の処理として、これらのリジェクト券に関する情報を操作表示部82等により操作者は手入力してはならず、代わりに管理者へ報告する必要がある。このため、操作表示部82には、
図7(c)に示すように、管理者等の所定の人に連絡することを操作者に指示するガイダンス画面が表示されるようになる。この場合には、操作者が管理者に期限切れ券や取扱い不可券がリジェクト券として有価媒体処理装置10からリジェクトされたことを報告することにより、管理者はこのような期限切れ券や取扱い不可券に対応するようになる。また、この場合には、操作表示部82の入金画面において「差額」欄の金額は0とならずに有価媒体処理装置10における入金処理が完了するようになる。
【0072】
また、商品券が裏向きで有価媒体処理装置10の紙葉類投入部22に投入されると、商品券のおもて面に対して消し込み部28により「済」印等の処理済のものであることを示す所定の内容を印字することができないため、有価媒体処理装置10による有価媒体の入金処理が行われる際に商品券の入金処理を行う場合には(具体的には、
図5(a)や
図5(b)に示すような操作表示部82の画面において「商品券を入金する」というボタンが押下されたときには)、
図8(a)に示すように、商品券を紙葉類投入部22に投入する際に商品券のおもて面を上にしてセットすることを操作者に指示する旨のメッセージが操作表示部82に表示されるようになる。そして、このようなガイダンス画面が操作表示部82に表示されているにもかかわらず、操作者が商品券の裏面を上にして紙葉類投入部22にセットしてしまった場合には、この商品券が筐体12内に取り込まれて紙葉類識別部26により識別されたときに、判定部92によりこの商品券が受け入れ不可であると判定されるとともに、要因特定部94により受け入れ不可の要因が(e)裏券であると特定される。この場合には、
図4の表に示すように、後の処理として、操作者は商品券を裏返して(すなわち、おもて面を上にして)有価媒体処理装置10の紙葉類投入部22に再投入する必要がある。このため、操作表示部82には、
図8(b)に示すように、受け入れ不可の要因に対する対応方法として、商品券の表裏を逆にして機体内に再投入することを操作者に指示するガイダンス画面が表示されるようになる。そして、操作者がリジェクト部30から取り出した商品券を表裏逆にして紙葉類投入部22に再投入し、筐体12内に送られた商品券が紙葉類識別部26により正常に識別されると、この商品券の金額が操作表示部82の入金画面において「現外項目」に加算されるようになる。そして、
図7(b)に示すように、操作表示部82の入金画面における「差額」欄の金額が0になった後、操作者がこの入金画面において「入金完了」のボタンを押下すると、第1の紙葉類一時保留部34や第2の紙葉類一時保留部36に一時的に保留されている紙幣や商品券が第1の紙葉類収納カセット38や第2の紙葉類収納カセット40に収納され、有価媒体処理装置10における入金処理が完了する。
【0073】
上述したように、操作表示部82の入金画面において「現金」の欄や「現外項目」欄に「リジェクトあり」というガイド表示がなされるのは、要因特定部94により特定された受け入れ不可の要因が(b)識別不可能券である場合に限られ、要因特定部94により特定された受け入れ不可の要因が識別不可能券以外の要因であった場合には、操作表示部82の入金画面において「現金」の欄や「現外項目」欄に「リジェクトあり」というガイド表示がなされることなく、操作表示部82において表示画面が
図6(a)に示すような入金画面から
図6(c)、
図7(c)、
図8(b)等に示すようなガイダンス画面に直接切り替わるようになる。このような動作が行われる理由について以下に説明する。要因特定部94により特定された受け入れ不可の要因が(b)識別不可能券である場合には、この識別不可能券を処理するために操作表示部82において
図7(a)に示すような手入力画面を表示させることが必要となり、この画面に遷移するトリガーとして「リジェクトあり」というガイド表示を操作表示部82に表示することで、初心者でも迷うこと無く
図7(a)に示すような手入力画面に移ることができるようになる。一方、要因特定部94により特定された受け入れ不可の要因が識別不可能券以外の要因であった場合には、要因の内容と対応方法さえ操作表示部82に表示させれば、「リジェクトあり」というガイド表示を操作表示部82に表示させなくても、操作者は各種のリジェクト要因に対応することができるようになる。
【0074】
また、本実施の形態では、有価媒体処理装置10により有価媒体の入金処理を行う際に、複数の種類の受け入れ不可の要因が発生した場合には、操作表示部82には、要因特定部94により特定された複数の受け入れ不可の要因の各々に対する複数の対応方法に関する情報が順に表示されるようになる。また、この受け入れ不可の要因の種類が2つである場合には、リジェクト部30および紙葉類集積部32の各々に、それぞれの受け入れ不可の要因に対応する紙幣や商品券が集積されるようになる。例えば、有価媒体処理装置10による有価媒体の入金処理の一取引において、要因特定部94により特定された受け入れ不可の要因として(a)搬送エラー券および(b)識別不可能券の各々が発生した場合には、搬送エラー券に関する紙幣や商品券はリジェクト部30に送られ、識別不可能券に関する紙幣や商品券は紙葉類集積部32に送られる。そして、操作表示部82には、まず、
図6(c)に示すような、搬送エラー券に対する対応方法に関するガイダンス画面が表示されるようになる。その後、操作者がリジェクト部30から紙幣や商品券を取り出して紙葉類投入部22に再投入し、筐体12内に送られた紙幣や商品券が紙葉類識別部26により正常に識別されると、操作表示部82には、次に、
図7(a)に示すような、識別不可能券に対する対応方法に関するガイダンス画面が表示されるようになる。そして、操作者がリジェクト券としての紙幣や商品券の券種や金額を目視にて確認して操作表示部82により手入力した後、「戻る」ボタンを押下すると操作表示部82の表示内容は入金画面に戻り、このような入金画面において操作者が「入金完了」のボタンを押下すると、第1の紙葉類一時保留部34や第2の紙葉類一時保留部36に一時的に保留されている紙幣や商品券が第1の紙葉類収納カセット38や第2の紙葉類収納カセット40に収納され、有価媒体処理装置10における入金処理が完了する。
【0075】
上記説明では、紙葉類処理機構20において、要因特定部94により特定された受け入れ不可の要因に関する情報や、この受け入れ不可の要因に対する対応方法に関する情報が操作表示部82に表示される例について述べたが、硬貨処理機構50において、硬貨識別部56により識別された硬貨が正常なものではなく、判定部92によりこのような硬貨が受け入れ不可と判定された場合にも、紙葉類処理機構20における動作と同様の動作が行われるようになる。具体的には、判定部92により、硬貨識別部56による識別結果に基づいて、硬貨が受け入れ不可であると判定されると、要因特定部94は、判定部92により受け入れ不可と判定された硬貨における受け入れ不可の要因を特定する。そして、要因特定部94により特定された受け入れ不可の要因に関する情報や、この受け入れ不可の要因に対する対応方法に関する情報が制御部80により出力される。そして、制御部80により出力された情報が操作表示部82に表示されたり、プリンタ88により印字されたり、あるいは通信部90により有価媒体処理装置10とは別に設けられた外部装置に送信されたりする。
【0076】
以上のような構成からなる本実施の形態の有価媒体処理装置10および有価媒体処理方法によれば、筐体12内に投入された紙幣や硬貨、商品券等の有価媒体を紙葉類識別部26により識別し、この紙葉類識別部26による識別結果に基づいて、判定部92は有価媒体を受け入れるか否かの判定を行い、要因特定部94は、判定部92により受け入れ不可と判定された有価媒体における受け入れ不可の要因を特定する。そして、要因特定部94により特定された受け入れ不可の要因に対する対応方法に関する情報(具体的には、紙幣や商品券については
図4の表における「後の処理」欄の情報)が制御部80により出力され、出力された情報は操作表示部82に表示されたり、プリンタ88により印字されたり、あるいは通信部90により有価媒体処理装置10とは別に設けられた外部装置に送信されたりする。このように、筐体12内に投入された有価媒体が受け入れ不可と判定されたときに、受け入れ不可の要因に対する対応方法に関する情報を出力することにより、操作者は受け入れ不可の要因に対する対応方法を認識することができるようになる。このため、リジェクトされた有価媒体を操作者が何度も筐体12内に再投入してしまうことを防止できるため、操作者にとっての利便性を向上させることができるとともに有価媒体の入金時間を短縮することができるようになる。
【0077】
また、本実施の形態の有価媒体処理装置10においては、前述したように、受け入れ不可の要因に対する対応方法に関する情報に加えて、受け入れ不可の要因自体に関する情報(具体的には、紙幣や商品券については、
図4の表における「リジェクト券の種類」欄の情報)も出力されるようになっている。このような情報も、操作表示部82に表示されたり、プリンタ88により印字されたり、あるいは通信部90により有価媒体処理装置10とは別に設けられた外部装置に送信されたりするようになる。
【0078】
また、本実施の形態の有価媒体処理装置10においては、前述したように、有価媒体の処理中において判定部92により有価媒体が受け入れ不可と判定された場合において、要因特定部94により特定された受け入れ不可の要因が(b)識別不可能券であるときには、操作表示部82に表示される入金画面に、受け入れ不可と判定された有価媒体が存在する旨を示すガイド表示(具体的には、
図6(b)における「現外項目」欄にある「リジェクトあり」という表示)が示されるようになっており、操作表示部82においてこのガイド表示が押下されると、操作表示部82における表示画面が入金画面から受け入れ不可の要因に対する対応方法を示すガイダンス画面(具体的には、
図7(a)に示すような手入力画面)に切り替わるようになっている。
【0079】
また、本実施の形態の有価媒体処理装置10においては、前述したように、要因特定部94により特定された受け入れ不可の要因が複数存在する場合には、この要因特定部94により特定された複数の受け入れ不可の要因の各々に対する複数の対応方法に関する情報が制御部80により出力されるようになっている。具体的には、複数の受け入れ不可の要因の各々に対する複数の対応方法に関する情報が操作表示部82に順に表示されるようになる。
【0080】
なお、本実施の形態による有価媒体処理装置10や有価媒体処理方法は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0081】
例えば、有価媒体処理装置10の紙葉類処理機構20における紙葉類集積部32の数は1つに限定されることはない。紙葉類処理機構20に2つ以上の紙葉類集積部32が設けられ、各紙葉類集積部32に対応してシャッタ33が設けられるようになっていてもよい。このような構成にすれば、釣銭準備金(紙幣)をレジ釣銭機毎に分けて取り出すことが可能となる。また、紙葉類処理機構20に設置される紙葉類収納カセット38、40や硬貨処理機構50に設置される硬貨収納カセット68、70の数はそれぞれ2つに限定されることはない。紙葉類収納カセットや硬貨収納カセットの設置台数を3つ以上としてもよい。この場合、各紙葉類収納カセットに対応する紙葉類一時保留部の数や、各硬貨収納カセットに対応する硬貨一時保留部の数を増やしてもよい。このように、有価媒体収納部を構成する紙葉類集積部や紙葉類収納カセット、硬貨収納カセットの数を増やすことにより、各有価媒体収納部への有価媒体の収納パターンを増やすことができ、有価媒体処理装置10における様々な運用形態に対応することができるようになる。
【0082】
また、本実施の形態の有価媒体処理装置10では、硬貨処理機構50における硬貨一時保留部や硬貨収納カセット、硬貨返却箱を金種毎に複数の領域に区分けしてもよい。例えば、硬貨一時保留部や硬貨収納カセット、硬貨返却箱をそれぞれ、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨の各々が収納される6つの領域に区分けしてもよい。更には、1円硬貨や5円硬貨が使用されない営業形態においては、流通量が多い10円硬貨および100円硬貨にそれぞれ2つの領域を割り当て、50円硬貨および500円硬貨にそれぞれ1つの領域を割り当てるようにしてもよい。
【0083】
また、本実施の形態の有価媒体処理装置10では、紙葉類処理機構20の紙葉類搬送部24において紙葉類が搬送される搬送路の上下両側にそれぞれ消し込み部28を設置してもよい。この場合には、この搬送路に沿って搬送される商品券について、おもて面が上側であっても裏面が上側であっても、搬送される商品券のおもて面側にある消し込み部28によって当該商品券のおもて面に対して「済」印等の所定の内容を印字することができるようになる。なお、この場合には、受け入れ不可の要因として、
図4の表における(e)裏券が発生することがなくなる。すなわち、商品券のおもて面および裏面のどちらを上にして紙葉類投入部22にセットしても、この商品券が筐体12に取り込まれたときに上下両側の消し込み部28のうちいずれか一方の消し込み部28により当該商品券のおもて面に対して「済」印等の所定の内容を印字することができるため、この商品券がリジェクトされることはない。
【0084】
また、上述した有価媒体処理装置10は、紙幣、硬貨、商品券の入金処理を行う入金機として用いられる態様として説明したが、本発明はこのような態様に限定されることはない。本発明による有価媒体処理装置は、入金処理のみならず出金処理も行うことができる入出金機として用いられるものであってもよい。この場合には、有価媒体処理装置の紙葉類処理機構や硬貨処理機構には、それぞれ紙幣リサイクル部や硬貨リサイクル部が設置されるようになり、これらの紙幣リサイクル部や硬貨リサイクル部により、釣銭準備金としての紙幣や硬貨が有価媒体処理装置の機体外に投出されるようになる。また、このような有価媒体処理装置では、貨幣の両替処理も行うことができるようになっていてもよい。
【0085】
また、本実施の形態の有価媒体処理装置10は、紙幣や商品券等の紙葉類の処理を行う紙葉類処理機構20および硬貨の処理を行う硬貨処理機構50を有するものとして説明したが、硬貨処理機構50の設置が省略され、有価媒体処理装置10が紙幣や商品券等の紙葉類のみの処理を行うようになっていてもよい。また、本実施の形態による有価媒体処理装置10が、紙幣のみの入金処理を行う紙幣入金装置や、商品券のみの入金処理を行う商品券入金装置として用いられるようになっていてもよい。
【0086】
また、本実施の形態の有価媒体処理装置10により有価媒体の入金処理が行われる際に、
図6(a)に示すような操作表示部82の入金画面において、店番号やレジ釣銭機のレジ番号に関連付けられた背景色やキャラクタ等が表示されるようになっていてもよい。店の売り場やテナント、あるいはレジ釣銭機によって入金画面の背景色やキャラクタを決めておくことにより、有価媒体処理装置10において店番号やレジ番号の誤りがあるときには操作者はこのことにすぐに気づくことができるようになる。
【0087】
また、本実施の形態の有価媒体処理装置10では、
図7(b)に示すような操作表示部82に入金画面において「入金完了」のボタンが押下されたときに、操作表示部82の画面が切り替わり、店番号や店の名前、ならびに有価媒体の回収元のレジ釣銭機のレジ番号や当該レジ釣銭機が設置された売場の名前等の情報がポップアップ表示されるようになっていてもよい。そして、このような確認画面において、操作者の承認操作を受け付けることを条件に、有価媒体処理装置10における入金処理が完了するようになっていてもよい。
【0088】
この場合には、
図7(b)に示すような操作表示部82に入金画面において「入金完了」のボタンが押下されたときに、入金処理の開始時に操作者によって手入力された店番号やレジ番号等を含む様々な情報が操作表示部82に表示されることにより、操作者が店番号やレジ番号等を誤って手入力した場合でも、この手入力された情報を入金処理の完了前に操作者は確認できるため、入力ミスがあった場合には操作者はこのことに気づくことができ、店番号やレジ番号等の入力ミスを防止することができるようになる。
【0089】
また、本実施の形態による有価媒体処理装置10を備えたシステムにおいて、取扱対象とする有価媒体(具体的には、例えば商品券)に関する情報である辞書データが一元管理されるようになっていてもよい。このようなシステムを
図9に示す。
図9に示すシステムでは、店舗のバックヤード領域1の入金室2に1または複数の有価媒体処理装置10が配設されているとともに、このバックヤード領域1の出納室4に管理ターミナル200が配設されており、また、これらの有価媒体処理装置10や管理ターミナル200と通信可能に店舗サーバ100が配設されている。ここで、店舗サーバ100は、店舗とは別の場所にある本部に設けられていてもよく、あるいは店舗内に設けられていてもよい。そして、管理ターミナル200において更新された最新の辞書データは、店内の全ての有価媒体処理装置10へ配信され、各有価媒体処理装置10は最新の辞書データを使って有価媒体を識別することができるようになっている。
【0090】
このようなシステムでは、取扱対象とする商品券等に関する情報である辞書データが店舗サーバ100により一元管理されるようになっており、管理ターミナル200は店舗サーバ100から辞書データをオンラインで取得して、この取得した辞書データを管理ターミナル200は各有価媒体処理装置10にオンラインで配信するようになっている。ここで、取り扱うべき新しい商品券が発生したり、ある商品券の取引が取り止められたり発行元が倒産したりすることにより、取扱対象とする商品券等に関する情報が変更された場合には、店舗サーバ100において辞書データが書き換えられる。また、管理ターミナル200は店舗サーバ100に対して辞書データの問い合わせをオンラインで常に行うようになっており、店舗サーバ100において辞書データが書き換えられると、管理ターミナル200はすぐに店舗サーバ100に対して辞書データを送信することを要求し、このことにより店舗サーバ100から管理ターミナル200に最新の辞書データがすぐに送られるようになる。
【0091】
従来技術では、取扱対象とする商品券等に関する情報である辞書データは各店舗において管理されており、顧客が多くの店舗を有している場合には、辞書データを更新する必要が生じたときには、本部から各店舗に対して辞書データが記録されたCD−R等の記録メディアが送付されていた。具体的には、まず、辞書データが記録されたCD−R等の記録メディアが、商品券の管理会社等から顧客の本部に送付され、顧客の本部において、傘下の店舗に送られるべきCD−R等の記録メディアが作成される。そして、このCD−R等の記録メディアが顧客の本部から各店舗に送られると、店舗の担当者が管理ターミナル200に辞書データを取り込み、この管理ターミナル200のソフトを用いて子機である有価媒体処理装置10に辞書データを配信するようになっていた。しかしながら、このような従来技術の方法では、傘下の店舗が多いほど余計な時間(タイムラグ)や手間がかかってしまうという問題があった。これに対し、
図9に示すようなシステムでは、管理ターミナル200は店舗サーバ100から辞書データをオンラインで取得して、この取得した辞書データを管理ターミナル200は各有価媒体処理装置10にオンラインで配信するようになっているため、辞書データが記録されたCD−R等の記録メディアの費用が不要となり、また、このような記録メディアを作成する手間や発送する手間が省けるようになる。また、顧客の本部だけで店舗サーバ100により辞書データを管理することができ、辞書データの管理が容易になる。
【0092】
なお、
図9に示すようなシステムの変形例としては、複数の有価媒体処理装置10のうち1つの有価媒体処理装置10が親機となり、この親機となる有価媒体処理装置10で辞書データを管理するようになっていてもよい。また、各有価媒体処理装置10において新しい商品券が登録される等により取扱対象とする商品券等に関する情報が変更された場合には、この情報が店舗サーバ100や他の有価媒体処理装置10に送信され、有価媒体処理装置10から送信された情報に基づいて店舗サーバ100等で辞書データの書き換えが行われるようになっていてもよい。具体的には、有価媒体処理装置10で読み取った商品券のイメージデータが、辞書データとして他の有価媒体処理装置10や店舗サーバ100に送信されるようになっていてもよい。このことにより、商品券の地域券や新種の偽造券に即座に対応することができるようになる。
【0093】
また、本実施の形態による有価媒体処理装置10を備えたシステムにおいて、店舗に配置された様々な機器が互いに通信可能に接続されるとともにサーバとしてWebサーバが導入され、パーソナルコンピュータ等に専用のソフトを新たにインストールすることなく例えばインターネットエクスプローラ等の既にインストールされている汎用ソフトを用いて各機器の管理を行うことができるようになっていてもよい。このようなシステムを
図10に示す。
図10に示すシステムでは、店舗のバックヤード領域1にストアコンピュータ300、ユーザコンピュータ310、ユーザプリンタ320、有価媒体処理装置10、両替機400、現金バス500、金庫600がそれぞれ配設されている。ここで、現金バス500は、紙幣束や包装硬貨を収納し、その金種や束数(あるいは本数)を検知したり出力したりすることができるものとなっており、また、金庫600は、収納されている有価媒体の在高情報を記憶したり出力したりする機能を有するものとなっている。また、店舗のフロント領域5におけるサービスカウンターに商品券払出機800が配設されているとともにレジカウンターにレジ釣銭機900が配設されている。そして、このようなバックヤード領域1およびフロント領域5に設けられた各機器は互いに通信可能に接続されている。このことにより、有価媒体処理装置10や両替機400における貨幣や商品券の収納データ等を、Webサーバによりユーザコンピュータ310においてインターネットエクスプローラ等の既にインストールされている汎用ソフトを用いて集計したり監視したりすることができるようになる。このため、店員が有価媒体処理装置10や両替機400の実機の場所に行かなくてもこれらの有価媒体処理装置10や両替機400の状態を確認することができるようになる。また、有価媒体処理装置10や両替機400における貨幣や商品券の収納データ等をユーザプリンタ320により印字することもできる。また、ユーザコンピュータ310により有価媒体処理装置10や両替機400に指令信号を送ることにより、これらの有価媒体処理装置10や両替機400の遠隔操作を行うことができるようになる。また、フロント領域5に設置された商品券払出機800やレジ釣銭機900のデータをユーザコンピュータ310で確認することができ、バックヤード領域1とフロント領域5の間の現金の移動を可視化することができる。また、現金バス500や金庫600をユーザコンピュータ310等と通信可能に接続することにより、ユーザコンピュータ310等によって現金バス500や金庫600内の現金の管理を行うことができるようになる。
【0094】
従来のシステムでは、サーバ機や現金処理機の一つを親機として店舗に設置された各機器の管理を行っていたが、サーバ機は稼働率が低いわりに導入コストが高額であり、またセットアップに専門知識が必要であるという問題があった。また、現金処理機を親機として使用した場合には、この現金処理機により現金を処理している間は当該現金処理機により他の機器の管理を行うことができないという問題があった。また、従来技術では、レジ釣銭機が他の機器と通信可能に接続されていないためレジ釣銭機を他の機器と連携させることができないという問題があった。これに対して、
図10に示すようなシステムでは、バックヤード領域1およびフロント領域5に設けられた各機器を互いに通信可能に接続するとともにサーバとしてWebサーバを導入し、例えばインターネットエクスプローラ等の既にインストールされている汎用ソフトを用いて各機器の管理を行うようになっているため、フロント領域5における現金の出入りやバックヤード領域1における現金の出入りを一括して管理することができるようになり、また、専用のサーバ機を購入する必要がないため、投資コストを低減することができる。また、ユーザコンピュータ310等により各機器の遠隔管理が可能となるため、各機器のそばに専任者を配置する必要がなくなるというメリットがある。