(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
燃料と酸化剤を用いて電気化学反応による発電を行う燃料電池、および燃料、空気又は水としての流体が流れる流路を内部に備え、前記流路を規定する内壁が樹脂で形成された樹脂モジュールとを備えた燃料電池発電システムの製造方法であって、
前記樹脂モジュールの前記流路の一部を切り欠いて溝を形成し、
前記樹脂モジュールに搭載する機器が前記樹脂モジュールの溝に挿入された状態で、前記樹脂モジュール内部の流路と前記機器が有する流路とを接続し、
前記機器は、
流体の流動方向に直交する横断面が上辺の長い台形型で、
前記機器の内部における前記流体の流動方向に沿った外周面に台形型Oリングが取り付けられ、
前記樹脂モジュールの前記溝の前記横断面は上辺の長い台形型であり、
前記樹脂モジュールの前記溝に挿入された機器に蓋を被せて前記蓋をネジ止め固定する事で、前記機器における前記樹脂モジュール内部の流路との接続面と前記樹脂モジュール内部における前記機器の流路との接続面とを前記台形型Oリングを介して接続したことを特徴とする燃料電池発電システムの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。
図1は、実施形態の燃料電池発電システムを示す概略構成図である。なお、本明細書で開示された燃料電池発電システムを構成する各構成要件は文脈が別段に明確に示すのでなければ、単数でも複数でも構わない。
【0017】
実施形態の燃料電池発電システム101は、燃料改質装置をパッケージング内部に有する固体高分子型燃料電池発電システムであり、例えば、家庭用燃料電池発電システムに適用されるものである。以下の説明では、家庭用燃料電池発電システムを例にあげて説明するが、本実施形態の燃料電池発電システム101は、家庭用燃料電池発電システム以外の燃料電池発電システムにも適用可能である。
【0018】
燃料電池発電システム101は、主に、燃料処理系(FPS;Fuel Processing System)と、電池本体(CSA;Cell Stack Assembly)102とから構成される。
上記燃料処理系は、燃料103、脱硫器104、水蒸気発生器105、改質器106、COシフト反応器107、CO選択酸化器108、水蒸気分離器109、改質用燃焼器110、改質用水ポンプ111、排熱熱交換器112a,112b、燃料用の流量計61、及びタンク180を備えている。改質用燃焼器110は改質器106に設けられている。燃料103は、例えば、都市ガスやプロパン等の炭化水素系燃料である。
【0019】
一方、電池本体102は、アノード極113、カソード極114を備えている。アノード極113とカソード極114とは、固体高分子電解質膜を挟んで設けられる。電池本体102は、燃料と酸化剤を用いて電気化学反応による発電を行う燃料電池を含んでいる。また、電池本体102には、電池本体102を冷却するための冷却流路170が形成されている。
【0020】
固体高分子型燃料電池発電システムの発電原理を簡単に説明する。
燃料に都市ガスを使用する場合、都市ガスから水素ガスへの改質は、上記燃料処理系で行われる。燃料103としての都市ガスは脱硫器104を通過する。このとき、脱硫器104の内部で、例えば、活性炭やゼオライト吸着等によって、都市ガス中の硫黄分が取り除かれる。脱硫器104を通過した都市ガスは改質器6を通過する。
【0021】
一方、タンク180からフィルタ130を介して改質用水ポンプ111により供給された純水は、水蒸気発生器105で加熱されてガス化する。水蒸気発生器105から水蒸気分離器109に送られた気体から水蒸気のみが抽出され、水蒸気流量調節弁127を通過して、脱硫済の燃料ガスに合流する。水蒸気分離器109で分離された液体の水は、弁183を介してタンク180に送られる。改質器106の排気は、水蒸気発生器105に送られて水を加熱した後、タンク180に併設された排熱熱交換器112aに送られ、その後排気される。
【0022】
改質器106では、触媒により都市ガスと水蒸気との反応から水素が生成するが、同時にCOの生成も行われる。この水蒸気改質は吸熱反応のため、改質器106には改質用燃焼器110が含まれている。すなわち、改質用燃焼器110によって改質器106の内部は加熱されており、吸熱反応としての水蒸気改質反応が維持されている。
【0023】
固体高分子型燃料電池は、電池本体102の電解質膜及び触媒層から構成されるMEA(Membrane Electrode Assembly)でのCO被毒が問題となるため、COはCO
2 へ酸化させる必要がある。このため、COシフト反応器107ではH
2 Oによるシフト反応を進める必要がある。また、CO選択酸化用空気ブロア118の空気供給により、CO選択酸化器108では、触媒によりCO被毒が発生しない程度に、酸化反応を進める必要がある。
【0024】
また、簡単化のため図示しなかったが、改質器106を含めたこれらの触媒反応温度はそれぞれ異なり、改質器106の数百度からCO選択酸化器108の百数十度と、改質ガスの上流と下流との温度差が大きいため、下流側温度を下げるための熱交換器を設けても構わない。
【0025】
次に、各触媒での主なプロセス反応を以下に示す。
メタン成分が主体の都市ガス改質の場合、水蒸気改質反応は(1)式、COシフト反応は(2)式、CO選択酸化反応は(3)式のようになる。
CH
4 +2H
2 O→CO
2 +4H
2 …式(1)
CO+H
2 O→CO
2 +H
2 …式(2)
2CO+O
2 →2CO
2 …式(3)
CO選択酸化器108を通過した改質ガスは、主に水素、炭酸ガス及び余った水蒸気等を含んでいる。これらのガスはアノード極113に送り込まれる。
アノード極113に送り込まれた水素ガスは、MEAの触媒層を経てプロトンH
+ が電解質膜を通過し、カソード極用空気ブロア115によってカソード極114を通過する空気中の酸素及び電子と結びついて水が生成される。
【0026】
したがって、アノード極113は−極、カソード極114は+極となり、電位を持って直流電圧を発電する。この電位間に電気負荷が接続されれば、本システムは電源としての機能を持つことになる。
【0027】
発電に使われずに残ったアノード極113の出口ガスは、水蒸気発生器105及び改質器106の加熱用燃料ガスとして使われる。また、カソード極114の出口中の水蒸気及び燃焼排気ガス中の水蒸気は、排熱熱交換器112aにより水分を回収し、システムでの水自立を図る。
【0028】
一方、電池本体102の排熱は、冷却流路170を通過する電池冷却水ポンプ129の循環ラインに配置された排熱熱交換器112bによって熱回収される。
温水循環ポンプ133の運転により、排熱熱交換器112a及び112bで熱交換して暖められた温水は、蓄熱装置136内の貯湯槽138に蓄熱され、給湯やお風呂の温水として使われる。貯湯槽138には、必要に応じて水道管184を介して水道水が供給される。
【0029】
貯湯槽138の熱が使われずに、タンク180の下部まで高温の温水が貯まった状態では、燃料電池発電システム101に戻る循環水温度が上昇する。その場合、温水が使われるまでシステムの運転を停止するか、若しくは、放熱器137を通じて大気に放熱するようにする。
【0030】
続いて、本実施形態の燃料電池発電システムの起動時の運転方法について説明する。
【0031】
運転起動の指令が始まると、燃焼空気切替弁125が開いた状態で燃焼用空気ブロア126が起動し、改質器106内の燃焼室を空気パージする。この場合、燃焼用空気は燃焼用空気ブロア126より、起動燃料の予混合空気としてだけでなく、拡散空気としても燃焼室内に供給される。空気パージが完了すると、起動燃料の着火のための例えば点火プラグからの火花を燃焼室内で発生させる。
【0032】
メイン燃料遮断弁22を閉じ、脱気用遮断弁123を開いた状態で、燃料入口遮断弁120及び起動用燃料遮断弁21を開くと、燃料入口遮断弁120及び起動用燃料遮断弁21を通過した起動燃料が、燃料昇圧ブロア131で昇圧され、燃焼室内で着火されることにより、火炎が形成される。脱硫器104から燃料昇圧ブロア131に送られる燃料の流量は、燃料用の流量計61で計測される。
【0033】
燃焼室内で使用されるバーナは、起動用と発電用とを兼ねた一体型バーナである。メタン主体の起動燃料は発電時のオフガス燃料としての水素主体の燃料より燃焼速度が遅く、吹き消えし易い。そのため、本実施形態では、予混合燃焼させて燃焼性を向上させる。
【0034】
燃焼が継続し、燃焼ガスの加熱によって改質器106や、図示はしていないが電気ヒータ等で加熱されたCOシフト反応器107、CO選択酸化器108、水蒸気分離器109等が所定の温度になると、改質用水ポンプ111により水蒸気分離器109に供給された改質水はそこで蒸気となり、水蒸気流量調節弁127が開き、燃料改質ラインに供給された後、同時にメイン燃料遮断弁22が開いて供給される燃料と共に、燃料処理系内に供給され改質反応が始まる。このタイミングで、起動用燃料遮断弁21、脱気用遮断弁123及び燃焼空気切替弁125は閉じる。
【0035】
改質反応が始まった後、CO選択酸化用空気ブロア118の空気で酸化され、CO選択酸化器108の出口から出た改質ガスは、主として水素、炭酸ガス、水蒸気等の成分からなり、電池本体102のアノード極113に供給される。
【0036】
アノード極113の出口から出るオフガスは、オフガス逆止弁124を通過した後、改質用燃焼器110に供給される。改質用燃焼器110に供給されたオフガス燃料は着火して、メイン燃料用空気と安定した拡散燃焼を開始する。
【0037】
その後、カソード極用空気ブロア115から電池本体102のカソード極114に空気が供給され、インバータ(図示せず)が起動すると、燃料電池発電システム101の発電が開始する。発電に寄与しないまま残ったアノード極113の出口から出るオフガスは、改質用燃焼器110に供給され続ける。
【0038】
本実施形態の燃料電池発電システム101は、樹脂ブロックモジュール(単に「樹脂モジュール」ともいう。)を具備している。この樹脂ブロックモジュールは内部に流体(燃料、空気又は水)が流れる流路(配管など)を備えている。この流路を規定する内壁は樹脂で形成されている。このような樹脂ブロックモジュールは、例えば、樹脂成形を用いて形成される。
【0039】
本実施形態では、
図1において破線で囲まれた部分を樹脂ブロックモジュール(樹脂モジュール)40としている。
図2に、本実施形態における燃料電池発電システムに用いられる樹脂ブロックモジュール40の平面図(設置時の正面図)を示す。また、
図3に、本実施形態における燃料電池発電システムに用いられる樹脂ブロックモジュール40の正面図を示す。
本実施形態の樹脂ブロックモジュール40は、起動用燃料遮断弁(電磁弁)21、メイン燃料遮断弁(電磁弁)22及び燃料用の流量計61を搭載(設置)している。
【0040】
また、樹脂ブロックモジュール40は、
図2,
図3に示すように、樹脂で成形された樹脂配管部(流路体)49,50,54を備え、さらに、
図2に示すように、樹脂配管部(流路体)50をシールするための燃料流量計用の台形型O(オー)リング62、長方形型のOリング63を備えている。
【0041】
また、樹脂ブロックモジュール40は、樹脂配管部(流路体)54をシールするための遮断弁用Oリング(大)43及び遮断弁用Oリング(小)44を備えている。各Oリングを介して樹脂ブロックモジュール40と各機器21,22,61とは図示しないネジにより固定される。
【0042】
さらに、樹脂ブロックモジュール40の外部には、
図2に示すように、例えば、中継コネクタ基板(子基板)45や、熱交、空気フィルタの他機器を止める複数の支持部46がある。
【0043】
中継コネクタ基板45とは、回転機等の電力を必要とする機器の配線、例えば、燃料昇圧ブロア131用の電力及び制御信号の中継線を繋ぐための基板を意味している。
なお、樹脂ブロックモジュール40のパッケージング内部への設置は例えば脚部47にねじ止めするがこれに限ったものではない。
【0044】
燃料入口遮断弁120が開き、脱硫器104を通過した燃料は、燃料流量計入口接続部48から樹脂配管部49を介して樹脂ブロックモジュール40の内部に供給される。なお、燃料入口遮断弁120は実際には2連の遮断弁であるが、図では簡略化して一つの弁として示してある。
【0045】
燃料は燃料用の流量計61を通過した後、樹脂配管部50に入り、そして、燃料は樹脂配管部50と比較して断面積が大きいバッファタンク部(バッファ部)51を経てバッファタンク出口接続部(出口接続部)52から一旦樹脂ブロックモジュール40の外部に出る。
燃料は、燃料昇圧ブロア131を介して、燃料遮断弁入口接続部(入口接続部)53から再び樹脂ブロックモジュール40の内部に供給される。
【0046】
各燃料は樹脂配管部54で分岐後、起動用燃料遮断弁21、メイン燃料遮断弁22に入り、各遮断弁の開閉制御により流れが決定され、起動時は起動用燃料遮断弁出口接続部(出口接続部)55、定常時はメイン燃料遮断弁出口接続部(出口接続部)56から樹脂ブロックモジュール40の外部の接続配管(図示せず)に導かれる。
【0047】
ここで、第1の実施形態で用いる燃料用の流量計61を樹脂ブロックモジュール40へ接続する方法としての台形型コンテナ埋め込み方式の詳細を説明する。
図4は、第1の実施形態における燃料電池発電システムに用いられる取外し可能機器の構造図である。
図5は、第1の実施形態における燃料電池発電システムに用いられる取外し可能機器用固定蓋の構造図である。
図6は、第1の実施形態における燃料電池発電システムに用いられる取外し可能機器と樹脂ブロックモジュールの構成図である。
この例では、流量計61として台形型コンテナ流量計61aを用いる。
図4には台形型コンテナ流量計61aの正面断面図を示す。
図5には流量計用固定蓋64の正面断面図を示す。この流量計用固定蓋64は、樹脂ブロックモジュール40に台形型コンテナ流量計61aをシールして固定するための蓋である。
図6には、樹脂ブロックモジュール40に台形型コンテナ流量計61aを埋め込んだ状態の正面断面図を示す。
【0048】
図4に示した台形型コンテナ流量計61aは、長手方向(流体の流動方向)に直交する横断面が上辺が長い台形型をなしている。台形型コンテナ流量計61aの長手方向に沿った外周面のほぼ中央部には台形型Oリング62が設けられる。
【0049】
図6で示すように、樹脂ブロックモジュール40内の流路は途中で切欠かれている。この切欠かれた部分が台形型コンテナ流量計61aの全体を挿入するための溝をなしており、流路が切欠かれてなる2か所の端部が溝の内部に露出している。この溝の長手方向の長さは台形型コンテナ流量計61aの長手方向の長さと等しい。また、この溝の横断面の形状は、台形型コンテナ流量計61aを挿入できる様に同じ台形型をなしている。
【0050】
台形型コンテナ流量計61aが樹脂ブロックモジュール40の溝に挿入されると、樹脂ブロックモジュール40の樹脂配管部の流路49,50(
図2参照)は台形型コンテナ流量計61a内の流路65(
図6参照)と接続されて、台形型Oリング62の下部および側部が押圧される。
【0051】
これらの接続された流路は台形型Oリング62における押圧された部分によりシールされる。樹脂ブロックモジュール40に台形型コンテナ流量計61aが挿入された状態では、樹脂ブロックモジュール40からの出っ張りは生じない。
【0052】
本実施形態では、台形型コンテナ流量計61a内の流路の長手方向に直交する横断面が上辺が長い台形型をなしているため、台形型コンテナ流量計61aを樹脂ブロックモジュール40へ挿入する事は、この横断面が例えば長方形型であるときと比較して容易になる。
【0053】
また、前述のように流量計の横断面の形が台形型であれば、台形型コンテナ流量計61aを樹脂ブロックモジュール40へ挿入した際の台形型コンテナ流量計61aの壁面と樹脂ブロックモジュール40の壁面との間のシールは容易となる。この理由は、この台形型コンテナ流量計61aを樹脂ブロックモジュール40へ挿入した際の台形型Oリング62の傾斜部分への押圧は水平方向および垂直方向の双方に生じ、押圧の方向が例えば垂直方向のみであるときと比較して十分なシール効果が得られるからである。この様にして、樹脂ブロックモジュール40内の流路に流れる流体の内部漏れを防ぐことが出来る。
【0054】
また、樹脂ブロックモジュール40内の流路に流れる流体の外部漏れに関しては、
図5に示す流量計用固定蓋64および長方形型Oリング63によって防ぐ事が出来る。
流量計用固定蓋64は長方形型をなしている。この流量計用固定蓋64の一面の内周には長方形型Oリング63が配置される。流量計用固定蓋64における長方形型Oリング63の外周側には、流量計用固定蓋64を樹脂ブロックモジュール40へ固定するための4ヶ所のねじ部71aが設けられる。
【0055】
流量計用固定蓋64を樹脂ブロックモジュール40へ固定するには、台形型コンテナ流量計61aを樹脂ブロックモジュール40へ挿入した状態で、台形型コンテナ流量計61aに流量計用固定蓋64を被せるように配置して、ねじをねじ部71aから樹脂ブロックモジュール40へねじ込む。この流量計用固定蓋64は、台形型コンテナ流量計61aの上面全体を覆い、かつ長方形型Oリング63が台形型コンテナ流量計61aの上面に接触するように配置される。
【0056】
このような固定を行う事で、流量計用固定蓋64の長手方向のほぼ中央部に台形型Oリング62の上部が接触して、この接触部分が流量計用固定蓋64により押圧される。また、台形型コンテナ流量計61aを樹脂ブロックモジュール40へ挿入した状態では、台形型コンテナ流量計61aの外周部分を長方形型Oリング63が取り囲んだ状態となる。この長方形型Oリング63は、固定された流量計用固定蓋64により台形型コンテナ流量計61aの上面との間で押圧される。この様にして、樹脂配管部50及び台形型コンテナ流量計61bの流路65からの外部への流体の漏れを完全に防止することが出来る。
【0057】
なお、台形型Oリング62用の溝は例えば台形型コンテナ流量計61aの面に設けられ、長方形型Oリング63用の溝は例えば流量計用固定蓋64の面に設けられる。しかし、台形型Oリング62用の溝や長方形型Oリング63用の溝は各Oリングが接触する樹脂ブロックモジュール40側の面に設けられていても良い。
【0058】
また、本実施形態では台形型Oリング62を設ける位置を台形型コンテナ流量計61aの長手方向のほぼ中央としているが、台形型Oリング62を設ける位置を境とする台形型コンテナ流量計61aの左右部分の長さが若干異なっても構わない。むしろ、長さを異ならせて、流体流れ方向との関係を予め把握しておけば、台形型コンテナ流量計61aを樹脂ブロックモジュール40へ挿入する際の台形型コンテナ流量計61aにかかる流体流れ方向を間違えるリスクを解消することが出来るメリットがある。
【0059】
従来の燃料電池発電システムに搭載する樹脂ブロックモジュールを
図7及び
図8に示す。
図7は従来の燃料電池発電システムに用いられる樹脂ブロックモジュールの平面図である。
図8は従来の燃料電池発電システムに用いられる樹脂ブロックモジュールの正面図である。
従来の樹脂ブロックモジュール140は、
図7,
図8に示すように、樹脂で成形された樹脂配管部149,150,154を備え、さらに、
図7に示すように、樹脂配管部149,150をそれぞれシールするための燃料流量計用Oリング142を備えている。また、樹脂ブロックモジュール140は、樹脂配管部(流路体)154をシールするための遮断弁用Oリング(大)143及び遮断弁用Oリング(小)144を備えている。各Oリングを介して樹脂ブロックモジュール140と各機器121,122,141とは図示しないネジにより固定される。
【0060】
さらに、樹脂ブロックモジュール140の外部には、
図7に示すように、例えば、中継コネクタ基板145や、熱交、空気フィルタの他機器を止める複数の支持部146がある。
【0061】
中継コネクタ基板145とは、回転機等の電力を必要とする機器の配線、例えば、燃料昇圧ブロア131用の電力及び制御信号の中継線を繋ぐための基板を意味している。
なお、樹脂ブロックモジュール140のパッケージング内部への設置は例えば脚部147にねじ止めするがこれに限ったものではない。
【0062】
従来の樹脂ブロックモジュール140に対して設けられる流量計141はL型のフランジ(つば)を経て、樹脂ブロックモジュール140の上部にOリング接続シールされて、
図8に示すように、樹脂ブロックモジュール140から出っ張るように搭載された構成となっている。このため、
図7に示した従来の樹脂ブロックモジュール140内の流量計141の流路は樹脂配管部150に対して直線的では無い。
【0063】
これに対し、本実施形態では、
図4ないし
図6に示すように、台形型コンテナ流量計61aを樹脂ブロックモジュール40の溝に挿入して取り付けているので、台形型コンテナ流量計61aの流路65は
図2に示すように樹脂配管部50に対して直線的である。
【0064】
したがって、本実施形態における燃料電池発電システムに搭載する樹脂ブロックモジュール40は、燃料電池発電システムに搭載する従来の樹脂ブロックモジュール140に比べて全体の容積を小さくすることが出来るため、システム全体を軽量、コンパクト化出来る。
これにより、システムの据付性を大幅に向上させることができるので、CO
2を削減して地球環境に優しい燃料電池発電システムを数多く提供することが出来る。
【0065】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態における家庭用燃料電池発電システムの構成のうち第1の実施形態で説明した同一部分の説明は省略する。
次に、樹脂ブロックモジュール40に対する流量計の接続方法としての楕円型Oリング傾斜接続方式を
図9〜
図10を用いて詳細に説明する。
本実施形態では、流量計として楕円型Oリング傾斜流量計61bを用いる。
図9は、第2の実施形態における燃料電池発電システムに用いられる楕円型Oリング傾斜流量計61bの正面断面図である。
図10は、第2の実施形態における燃料電池発電システムに用いられる樹脂ブロックモジュール40の溝に楕円型Oリング傾斜流量計61bを埋め込んだ状態の正面断面図である。
【0066】
図9に示すように、楕円型Oリング傾斜流量計61bの上部における、流路からみて外側の4隅には取付鍔68が設けられ、それぞれが楕円型Oリング傾斜流量計61bの上部における短手方向に突出する。
図9,
図10に示すように、樹脂ブロックモジュール40には、楕円型Oリング傾斜流量計61bを取付鍔68を含めて挿入するための溝が設けられている。この溝は、樹脂ブロックモジュール40の流路の一部を切欠くように設けられる。
【0067】
樹脂ブロックモジュール40に楕円型Oリング傾斜流量計61bを挿入した状態では、
図10に示すように樹脂ブロックモジュール40の流路と楕円型Oリング傾斜流量計61bの流路70とが連結され、
図9に示すように樹脂ブロックモジュール40からの楕円型Oリング傾斜流量計61bの出っ張りは生じない。
【0068】
また、楕円型Oリング傾斜流量計61bにおける樹脂ブロックモジュール40内の流路との接続面の長手方向の一端部と他端部は、
図10に示すようにそれぞれ傾斜して傾斜接続面66をなしている。この傾斜接続面66には
図10に示すように楕円型Oリング67が取り付けられ、楕円型Oリング67の内側は流路となっている。この傾斜接続面に取り付けた楕円型Oリング67で形成される楕円の長軸は、
図10に示すように垂直または水平方向に対して例えば45度傾斜している。
【0069】
また、楕円型Oリング傾斜流量計61bの上部における4ヶ所の取付鍔68における中央には、楕円型Oリング傾斜流量計61bを樹脂ブロックモジュール40に固定するための楕円型Oリング傾斜流量計固定用の第1ねじ部71bが設けられる。
【0070】
図10に示すように、樹脂ブロックモジュール40における楕円型Oリング傾斜流量計61bとの接続面69は、楕円型Oリング傾斜流量計61bの傾斜接続面66の傾斜角度と同じ角度で傾斜しており、楕円型Oリング傾斜流量計61bの傾斜接続面と同寸法の楕円型をなしている。楕円型Oリング傾斜流量計61bの流路70は、互いの傾斜した接続面同士を密着させることで楕円型Oリング67が押圧されてシールされる。楕円型Oリング傾斜流量計61bの樹脂ブロックモジュール40との固定は4ヶ所の楕円型Oリング傾斜流量計固定用の第1ねじ部71bで行う。この固定により、楕円型Oリング傾斜流量計61bの取付鍔68は、
図10に示すように樹脂ブロックモジュール40における前述した接続面の上部に位置するので、樹脂ブロックモジュール40は
図10に示すように楕円型Oリング傾斜流量計61bの上部でネジ止めされる。
【0071】
この取付け方法により、傾斜接続面の楕円型Oリング67が押圧され、密着、シールされる。このように、傾斜接続面の楕円型Oリング67を押圧すると、楕円型Oリング傾斜流量計61bを樹脂ブロックモジュール40へ挿入した際の楕円型Oリング67への押圧方向は水平方向および垂直方向の双方に生じ、十分なシール効果が得られる。このため、流体が流れる部分の内部リーク及び外部リークを防ぐことが出来る。加えて、第1の実施形態の様に、樹脂ブロックモジュール40へ挿入した流量計に被せる蓋64やこの蓋64用の長方形型Oリング63を用いなくともシールを行うことができる。
【0072】
なお、楕円型Oリング傾斜流量計61bの傾斜接続面66及び樹脂ブロックモジュール40の傾斜接続面69のそれぞれの角度については、傾斜接続面同士の密着性を考慮すると樹脂ブロックモジュール40の底面に対して浅い方が望ましいと思われる。しかしこの角度が浅いと楕円型Oリング傾斜流量計61bの長手方向の長さが延びてしまう為に楕円型Oリング傾斜流量計61bの容積が大きくなり、ひいては樹脂ブロックモジュール40の容積が大きくなってしまう。このため、本実施形態においてはそれぞれの傾斜接続面の角度を45度としている。このように傾斜接続面の角度を45度とすると、楕円型Oリング傾斜流量計61bを樹脂ブロックモジュール40へ挿入した際の楕円型Oリング67への押圧方向は水平方向および垂直方向の双方に均等に生ずるので、水平方向および垂直方向の双方に対する適切なシール効果を得ることができる。
【0073】
また、4ヶ所の楕円型Oリング傾斜流量計固定用の第1ねじ部71bは、その垂直線が楕円型Oリング傾斜流量計61bと樹脂ブロックモジュール40との接続部中心高さと交差する位置に設けることで、ねじ止めにより楕円型Oリング67に加わる押圧が楕円型Oリング67の各部に均等に加わるようにして、十分なシール効果が得られるようにしている。但し、楕円型Oリング傾斜流量計61bを樹脂ブロックモジュール40に挿入した際の双方の密着性が確保出来るのであれば、前述した傾斜接続面の角度やねじ部71bの位置は特に限定されない。
【0074】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。この第3の実施形態は、第2の実施形態を変形したものである。
この第3の実施形態における楕円型Oリング傾斜流量計61bの樹脂ブロックモジュール40への接続方法の原理は第2の実施形態と同じであるが、これらの固定方法や傾斜接続面の傾斜角度が第2の実施形態と異なる。
【0075】
図11は、第3の実施形態における楕円型Oリング傾斜流量計61bを樹脂ブロックモジュール40へ接続した状態の正面図である。
図12は、第3の実施形態における楕円型Oリング傾斜流量計61bを樹脂ブロックモジュール40へ接続した状態の平面図である。
図13は、第3の実施形態における楕円型Oリング傾斜流量計61bを樹脂ブロックモジュール40へ接続した状態の横断正面図である。この
図13は、
図12に示した流動方向に沿ったA−A線の部分の横断正面図である。
【0076】
楕円型Oリング傾斜流量計61bにおける樹脂ブロックモジュール40との傾斜接続面の近傍には、
図12に示すように短手方向の両端部のそれぞれに計2ヶ所の角型の鍔61b2が設けられる。これらの鍔61b2は楕円型Oリング傾斜流量計固定用の第2ねじ部71cを有する。
【0077】
樹脂ブロックモジュール40における傾斜接続面の近傍には、楕円型Oリング傾斜流量計61bにおける前述した鍔を挿入するためお窪みが設けられる。楕円型Oリング傾斜流量計61bの角型の鍔61b2は樹脂ブロックモジュール40の窪みに挿入され、第2ねじ部71cを用いてねじ止めにより固定される。これにより楕円型Oリング傾斜流量計61bと樹脂ブロックモジュール40との固定を行う。この固定により、樹脂ブロックモジュール40内の流路と楕円型Oリング傾斜流量計61b内の流路とが楕円型Oリング傾斜流量計61b側の楕円型Oリング67を介して接続される。
【0078】
このため、楕円型Oリング傾斜流量計61bにおける楕円型Oリング67が設けられた面は樹脂ブロックモジュール40に対して確実に固定される。楕円型Oリング傾斜流量計61bと樹脂ブロックモジュール40との傾斜接続面の傾斜角は
図13に示した例では45度以上であるが、特に限定されない。
【0079】
このように、第3の実施形態では、楕円型Oリング傾斜流量計61bに設けた鍔61b2は、樹脂ブロックモジュール40の窪みに挿入されて、ねじ部71cを用いてねじ止めにより固定される。したがって、楕円型Oリング傾斜流量計61bと樹脂ブロックモジュール40との固定の精度が向上させる事が出来る。
【0080】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
図14及び
図15に第4の実施形態を示す。
第4の実施形態では、樹脂ブロックモジュール40に取り付ける流量計としてL字型流量計61cを用いる。
図14は、樹脂ブロックモジュール40へのL字型流量計61cの挿入方法を示す図である。
図14に示すように、樹脂ブロックモジュール40には、窪んだ挿入スペース(溝)が設けられる。この挿入スペースは、樹脂ブロックモジュール40の流路の一部が切欠かれて設けられたスペースである。切欠かれた流路の2か所の端部は共に挿入スペースの内部の一面に連なって所定の間隔をなす。これらの端部はL字型流量計61cの流路との接続面となる。これらの接続面は挿入スペースの内部の前述した一面から所定の高さを有する突起として挿入スペースの内部に露出する。
【0081】
樹脂ブロックモジュール40内の挿入スペースの前述した一面に対向する面には、L字型流量計61cを挿入した際にフランジのそれぞれを支持するための突起部が設けられる。
【0082】
また、L字型流量計61cは、両端にL字型のフランジ(つば)61c2が設けられてなり、これらフランジ61c2を含めたL字型流量計61cの全体はコの字状をなす。L字型流量計61cにおけるフランジでない部分をL字型流量計61cの本体と呼ぶ。以下、L字型流量計61cの一端に設けられるフランジ61c2を第1のフランジと呼び、L字型流量計61cの他端に設けられるフランジ61c2を第2のフランジと呼ぶ。
【0083】
L字型流量計61cの本体及びフランジ内には流路が設けられ、第1のフランジの流路の一端はL字型流量計61cの本体内の流路の一端に連なる。第2のフランジの流路の一端はL字型流量計61cの本体内の流路の他端に連なる。
【0084】
第1および第2のフランジの流路の他端は、樹脂ブロックモジュール40における流路との接続面となる。第1および第2のフランジにおける接続面は同じ方向を向き、この方向は、L字型流量計61cの本体内の流路における流動方向に直交した方向である。これらの接続面にはOリングが取り付けられる。このOリングは樹脂ブロックモジュール40側の接続面に取り付けても良い。
【0085】
本実施形態では、L字型流量計61cを樹脂ブロックモジュール40の窪んだ挿入スペースに対して回転するように挿入することで、各フランジ内の流路の他端としての接続面のそれぞれが樹脂ブロックモジュール40における流路の2か所の接続面のそれぞれに対してOリングを介して1対1で接続可能な構造としている。
【0086】
この接続により、樹脂ブロックモジュール40内の第1の流路、L字型流量計61cの第1のフランジ内の流路、L字型流量計61cの本体内の流路、L字型流量計61cの第2のフランジ内の流路、樹脂ブロックモジュール40内の第2の流路の順で一本の流路が形成される。
【0087】
図15は、樹脂ブロックモジュール40へ挿入したL字型流量計61cの固定方法を示す図である。
本実施形態では、
図15に示すように、L字型流量計61cには、圧着用つば部72を有する固定板73が設けられる。この固定板73を設ける理由は、樹脂ブロックモジュール40内の挿入スペースへ挿入したL字型流量計61cが樹脂ブロックモジュール40に密着して固定出来るようにするためである。この固定板73における長手方向の両端部には固定板用ねじ部71dが設けられる。
【0088】
図15の右図は、
図15の左図に示した、固定板73の長手方向に沿ったA−A線の部分の横断正面図である。固定板73の圧着用つば部72は、前述した挿入を行った際にL字型流量計61cと樹脂ブロックモジュール40との間に生じた隙間を埋めるためのつばである。圧着用つば部72は、L字型流量計61cが樹脂ブロックモジュール40に挿入した際に樹脂ブロックモジュール40の挿入スペースの開口面から底面に向かうように固定板73の一面に取り付けられる。
【0089】
L字型流量計61cを樹脂ブロックモジュール40に挿入した状態で、固定板73をL字型流量計61cに被せて、この固定板73を固定板用ねじ部71dを用いてネジ止め固定すると、前述したフランジにおける接続面のOリングが押圧される。この押圧により、L字型流量計61cのフランジの内部の流路と樹脂ブロックモジュール40の内部の流路とがシールされる。
このように、第4の実施形態では、樹脂ブロックモジュール40で切欠かれた流路同士が向かい合っていなくとも、他の実施形態で得た効果を得ることができる。
【0090】
以上説明した第1〜第4の実施形態によれば、従来の家庭用燃料電池発電システムに搭載する樹脂ブロックモジュールに比べて、システム全体の容積を小さくすることが出来るため、システム全体の軽量化およびコンパクト化が実現出来る。
【0091】
したがって、各実施形態の構成によれば、コンパクト化した樹脂ブロックモジュールの採用により、大幅に製造性とコンパクト性を高めた燃料電池発電システムの設置が可能となり、省スペース、省エネで経済性が大きくイニシャルコストを極力抑えた家庭用燃料電池発電システムを提供することが出来る。
【0092】
また、各実施形態では、流量計を樹脂ブロックモジュール40に挿入して、この流量計の流路と樹脂ブロックモジュール40の流路とを接続する事について説明した。しかし、これに限らず、例えば、起動用燃料遮断弁(電磁弁)21やメイン燃料遮断弁(電磁弁)22を樹脂ブロックモジュール40に挿入して、この遮断弁の流路と樹脂ブロックモジュールの流路とを接続する事としても良い。また、樹脂ブロックモジュール40の流路とを接続する機器は、この樹脂ブロックモジュール40の流路と接続するための流路を有する機器であれば特に限定されない。
【0093】
発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。