特許第6165575号(P6165575)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6165575
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 27/06 20060101AFI20170710BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20170710BHJP
【FI】
   H02P27/06
   H02M7/48 E
   H02M7/48 M
【請求項の数】7
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-203002(P2013-203002)
(22)【出願日】2013年9月30日
(65)【公開番号】特開2015-70701(P2015-70701A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】小沼 雄作
【審査官】 森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−011622(JP,A)
【文献】 特開平10−174491(JP,A)
【文献】 特開平04−161086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 21/00−27/18
H02M 7/42− 7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流又は直流電圧を任意の電圧に変換することで電動機の駆動制御を行う電力変換装置であって
電動機定数設定値の各データの内少なくとも1つのデータが、電動機仕様設定値の各データの内少なくとも1つのデータに基づいて定められた上限値又は下限値を満たすか否かを判断する設定値判断部を備え、
前記設定値判断部が上限値又は下限値を満たさないと判断した場合、前記上限値又は下限値を満たさないと判断されたデータを、前記電動機仕様設定値の各データの内少なくとも1つのデータに基づいて定められたデータに変更し、
前記変更されたデータを用いて前記電動機の駆動制御を行うことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1記載の電力変換装置であって、
前記設定値判断部は、前記電動機定数設定値の各データの内少なくとも1つのデータが、電動機定格電圧設定値に基づいて定められた上限値又は下限値を満たすか否かを判断することを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電力変換装置であって、
前記設定値判断部は、前記電動機定数設定値の各データの内少なくとも1つのデータが、電動機定格電圧設定値に所定の係数を掛けて決められた上限値又は下限値を満たすか否かを判断することを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項1記載の電力変換装置であって、
前記設定値判断部は、d軸インダクタンスとq軸インダクタンスとの比較を行うことを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項1記載の電力変換装置であって、
前記電動機定数設定値の各データの内少なくとも1つのデータが、前記電動機仕様設定値の各データの内少なくとも1つのデータに基づいて定められた上限値又は下限値を満たさないと判断された場合に警報を出力することを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
交流又は直流電圧を任意の電圧に変換することで電動機の駆動制御を行う電力変換装置であって、
電動機仕様設定値の各データの内少なくとも1つのデータが、電力変換装置仕様設定値の各データの内少なくとも1つのデータに基づいて定められた上限値又は下限値を満たすか否かを判断する設定値判断部を備え、
前記設定値判断部が上限値又は下限値を満たさないと判断した場合、前記上限値又は下限値を満たさないと判断されたデータを、前記電力変換装置仕様設定値の各データの内少なくとも1つのデータに基づいて定められたデータに変更し、
前記変更されたデータを用いて前記電動機の駆動制御を行うことを特徴とする電力変換装置。
【請求項7】
請求項6記載の電力変換装置であって、
前記設定値判断部は、電動機定格トルクが、前記電力変換装置仕様設定値の各データの内少なくとも1つのデータに基づいて定められた上限値又は下限値を満たすか否かを判断することを特徴とする電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機の駆動制御を行う電動変換装置には、定格出力電流といった電力変換装置仕様値は勿論のこと、駆動する電動機に合わせ、定格電圧といった電動機仕様値及び抵抗といった電動機定数を設定し、これらの設定値を用いることで、電動機の安定駆動を実現している。
【0003】
特にベクトル制御で電動機を駆動する場合には、これらの設定値が非常に重要な設定要素であり、これらの設定値が適切でないと、電動機の安定駆動は実現できない場合がある。又、過大な電流が発生し、電力変換装置や電動機を焼損する可能性もある。
【0004】
特許文献1(特許第3128833号公報)においては、「インバータに設定される複数のモートル回路定数は、その値が現実的な範囲にあるか、インバータの出力容量から見て設定された容量のモートルが実際に駆動できるか等の合理性が判断され、異常な場合は警告が発せられる。」と記載されている(作用参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3128833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1では、インバータ容量とモートル容量による合理性の判断が記載されているが、それら以外の設定値、例えば、定格出力電流といった電力変換装置仕様値、定格電圧といった電動機仕様値、抵抗といった電動機定数の合理性は、判断することができない。
【0007】
又、設定値が異常だった場合に、モートルの安定駆動は実現できないといった問題もある。
【0008】
そこで、本発明は、設定された電力変換装置仕様値又は電動機仕様値又は電動機定数が不適切であった場合にも、電動機の安定駆動を実現する電力変換装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
交流又は直流電圧を任意の電圧に変換することで電動機の駆動制御を行う電力変換装置において、電動機定数設定値の各データの内少なくとも1つのデータが、電動機仕様設定値の各データの内少なくとも1つのデータに基づいて定められた上限値又は下限値を満たすか否かを判断することを特徴とする電力変換装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、設定された電力変換装置仕様値又は電動機仕様値又は電動機定数が不適切であった場合にも、電動機の安定駆動を実現する電力変換装置を提供することができる。
【0011】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1における実施形態構成の一例である。
図2】RL回路の一例である。
図3】誘導電動機のT形等価回路の一例である。
図4】実施例2における実施形態構成の一例である。
図5】永久磁石同期電動機の等価回路の一例である。
図6】実施例3における実施形態構成の一例である。
図7】実施例4における実施形態構成の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例について、図を用いながら説明する。なお、以下の説明において、各図及び各式で共通する構成要素には同一の符号をそれぞれ付しており、それらについての重複した説明は省略する。
【実施例1】
【0014】
図1は、実施例1における実施形態構成の一例である。
【0015】
3相交流誘導電動機102の駆動制御を行う電力変換装置101は、整流回路104、平滑回路105、スイッチング回路106、電流検出器107、設定値判断部108、電動機制御部109を有する。
【0016】
3相交流電源100から出力される3相交流電圧は、整流回路104により整流され、平滑回路105により平滑し、直流電圧を生成する。なお、3相交流電源100の代わりに単相交流電源を用い、単相交流電圧を整流、平滑し、直流電圧を生成しても良い。
【0017】
スイッチング回路106は、直流電圧を電圧指令118に基づく任意の3相交流電圧に変換し、3相交流誘導電動機102に印加する。
【0018】
電流検出器107は、電力変換装置101の3相出力電流を検出する。2相のみを検出し、3相交流の総和が零であることから、残りの1相を算出しても良い。又、スイッチング回路106の入力の正極側又は負極側にシャント抵抗を設け、このシャント抵抗に流れる電流から3相出力電流を推定しても良い。
【0019】
設定値判断部108は、電動機仕様設定値111の各データ又は電動機定数設定値112の各データの内少なくとも2つのデータに基づいて、設定値が適切か否かを判断し、否と判断された場合に、電動機仕様設定値111の各データ又は電動機定数設定値112の各データの内少なくとも1つのデータに基づいて定められたデータに変更する。
【0020】
ここで、2つのデータとは、例えば下記のデータである。
・電動機仕様設定値111の定格出力Wのデータと電動機仕様設定値111の定格電圧Vのデータ
・電動機仕様設定値111の定格出力Wのデータと電動機定数設定値112の一次抵抗Rのデータ
・電動機定数設定値112の一次抵抗Rのデータと電動機定数設定値112の二次抵抗Rのデータ
又、数1から数8で変換された定数を用いて判断することもできる。
【0021】
電動機制御部109は、電動機仕様設定値111の各データ又は電動機定数設定値112の各データ又は電動機仕様変更値114の各データ又は電動機定数変更値115の各データの内少なくとも1つのデータ及び検出電流116に基づいて電圧指令118を生成する。電圧指令118の算出方法は、例えば、位置(又は速度)センサレスベクトル制御といった方法がある。なお、検出電流116は、3相固定座標系から、2相固定座標系や任意の速度で回転する回転座標系へ変換し用いても良い。
【0022】
3相交流誘導電動機102における電動機仕様設定値111としては、例えば、定格出力Wのデータ、定格電圧Vのデータ、定格電流Iのデータ、定格周波数Fのデータ、最高周波数Fmmaxのデータ、定格回転速度Nのデータ、最高回転速度Nmmaxのデータ、定格トルクTのデータ、極数Pのデータ、極対数Pのデータ、定格滑りFのデータ等がある。又、3相交流誘導電動機102における電動機定数設定値112としては、例えば、一次抵抗Rのデータ、二次抵抗Rのデータ、一次漏れインダクタンスlのデータ、二次漏れインダクタンスlのデータ、一次自己インダクタンスLのデータ、二次自己インダクタンスLのデータ、相互インダクタンスMのデータ、無負荷(励磁)電流Iのデータ等がある。電動機仕様設定値111及び電動機定数設定値112は、電力変換装置101の外部より設定されても良いが、内部に予め設定しても良い。電動機仕様設定値111や電動機定数設定値112を用いて、例えば、数1乃至数8で表される電動機定数に変換しても良い。又、数1乃至数8で表される電動機定数が直接設定しても良い。
【0023】
【数1】
【0024】
【数2】
【0025】
【数3】
【0026】
【数4】
【0027】
【数5】
【0028】
【数6】
【0029】
【数7】
【0030】
【数8】
【0031】
電動機仕様設定値111及び電動機定数設定値112が適切か否かを判断する方法を説明する。
【0032】
先ず、図2の回路を考える。図2は、RL回路の一例である。
【0033】
図2より、角速度ωを用いると、電圧v200及び電流i201は数9のような関係を持つ。
【0034】
【数9】
【0035】
従って、電圧v200、電流i201、角速度ω、抵抗R202、インダクタンスL203が正とすると、数10及び数11のような関係が成り立つ。
【0036】
【数10】
【0037】
【数11】
【0038】
次に、図3を考える。図3は、誘導電動機のT形等価回路の一例であり、定常状態にある誘導電動機の1相分を表している。負荷R308は、一次角速度ω及び滑り角速度ω及び二次抵抗Rを用いて、数12で表すことができる。
【0039】
【数12】
【0040】
ここで、数10及び数11に示す関係を踏襲し、電動機仕様設定値111及び電動機定数設定値112を用いて表現すると、数13乃至数23の関係を得ることができる。
【0041】
【数13】
【0042】
【数14】
【0043】
【数15】
【0044】
【数16】
【0045】
【数17】
【0046】
【数18】
【0047】
【数19】
【0048】
【数20】
【0049】
【数21】
【0050】
【数22】
【0051】
【数23】
【0052】
ここに、
【0053】
【数24】
【0054】
であり、各式に対し、個別に設定しても良い。以下に示す各式に対しても、同様である。数25及び数26の関係を用いて、数13乃至数23を変形しても良い。
【0055】
【数25】
【0056】
【数26】
【0057】
ここに、ωは二次角速度である。又、数25から次の関係を得ることができる。
【0058】
【数27】
【0059】
数13乃至数23及び数27において、例えば、vを定格電圧Vに、iを定格電流Iに、iを無負荷Iに、ωを定格周波数Fに置き換え、少なくとも1つを満たさなければ、電力変換装置101に設定された電動機仕様設定値111及び電動機定数設定値112が不適切であるといえる。
【0060】
又、数28乃至数32に示す回転座標系における誘導電動機の電圧及び電流及びトルクの関係を用いることでも、判断が可能である。
【0061】
【数28】
【0062】
【数29】
【0063】
【数30】
【0064】
【数31】
【0065】
【数32】
【0066】
数33乃至数35としv又はtを求め、数36又は数37の内少なくともどちらかを満たさなければ、電力変換装置101に設定された電動機仕様設定値111及び電動機定数設定値112が不適切であるといえる。なお、数28乃至数32は、絶対変換で変換された関係であるが、相対変換で変換された関係を用いても良い。
【0067】
【数33】
【0068】
【数34】
【0069】
【数35】
【0070】
【数36】
【0071】
【数37】
【0072】
電力変換装置101に設定された電動機仕様設定値111及び電動機定数設定値112が不適切であった場合には、不適切であったデータを、前記関係を満たす値に変更する。
【0073】
なお、数13乃至数23に示す関係において、例えば、i及びi及びiの入れ替え、又はω及びω及びωの入れ替え、又はR及びR及びRの入れ替え、
又はl及びl及びl及びL及びL及びL及びMの入れ替え等を行っても良い。
【実施例2】
【0074】
図4は、実施例2における実施形態構成の一例である。
【0075】
3相交流永久磁石同期電動機402の駆動制御を行う電力変換装置401は、スイッチング回路406、電流検出器107、設定値判断部408、電動機制御部409を有する。
【0076】
スイッチング回路406は、直流電源400から出力される直流電圧を電圧指令118に基づく任意の3相交流電圧に変換し、3相交流永久磁石同期電動機402に印加する。
【0077】
位置検出器403は、3相交流永久磁石同期電動機402の回転子位置を検出する。位置と速度は微積分の関係があることから、回転速度を検出し、検出回転速度から位置を算出しても良い。又、3相交流永久磁石同期電動機402に取り付けられた負荷に、位置又は速度検出器を取り付け、検出された位置又は速度から、3相交流永久磁石同期電動機402の回転子位置を算出しても良い。
【0078】
設定値判断部408は、電動機仕様設定値411の各データ又は電動機定数設定値412の各データの内少なくとも2つのデータに基づいて、設定値が適切か否かを判断し、否と判断された場合に、電動機仕様設定値411の各データ又は電動機定数設定値412の各データの内少なくとも1つのデータに基づいて定められたデータに変更する。
【0079】
ここで、2つのデータとは、例えば下記のデータである。
・電動機仕様設定値411の定格出力Wのデータと電動機仕様設定値411の定格電圧Vのデータ
・電動機仕様設定値411の定格出力Wのデータと電動機定数設定値412の相抵抗Rのデータ
・電動機定数設定値412の相抵抗Rのデータと電動機定数設定値412のd軸インダクタンスLのデータ
電動機制御部409は、電動機仕様設定値411の各データ又は電動機定数設定値412の各データ又は電動機仕様変更値414の各データ又は電動機定数変更値415の各データの内少なくとも1つのデータ及び検出電流116及び検出位置417に基づいて電圧指令118を生成する。電圧指令118の算出方法は、例えば、ベクトル制御といった方法がある。なお、検出電流116は、3相固定座標系から、2相固定座標系や任意の速度で回転する回転座標系へ変換し用いても良い。
【0080】
3相交流永久磁石同期電動機402における電動機仕様設定値411としては、例えば、定格出力Wのデータ、定格電圧Vのデータ、定格電流Iのデータ、定格周波数Fのデータ、最高周波数Fmmaxのデータ、定格回転速度Nのデータ、最高回転速度Nmmaxのデータ、定格トルクTのデータ、極数Pのデータ、極対数Pのデータ等がある。又、3相交流永久磁石同期電動機402における電動機定数設定値412としては、例えば、相抵抗Rのデータ、線間抵抗Rlineのデータ、d軸インダクタンスLのデータ、q軸インダクタンスLのデータ、線間インダクタンスLlineのデータ、定格回転速度時の誘起電圧(逆起電力、逆起電圧等とも呼ぶ)Eのデータ、誘起電圧定数Kのデータ等がある。電動機仕様設定値411及び電動機定数設定値412は、電力変換装置401の外部より設定されても良いが、内部に予め設定しても良い。
【0081】
電動機仕様設定値411及び電動機定数設定値412が適切か否かを判断する方法を説明する。
【0082】
図5を考える。図5は、永久磁石同期電動機の等価回路の一例であり、定常状態にある永久磁石同期電動機の1相分を表している。
【0083】
図5より、角速度ωを用いると、電圧500及び電流501は数38のような関係を持つ。
【0084】
【数38】
【0085】
従って、電圧v500、電流i501、誘起電圧e502、角速度ω、抵抗R503、インダクタンスL504が正とすると、数39乃至数41のような関係が成り立つ。
【0086】
【数39】
【0087】
【数40】
【0088】
【数41】
【0089】
ここで、数39乃至数41に示す関係を踏襲し、電動機仕様設定値411、電動機定数設定値412を用いると、数42乃至数47を得ることができる。
【0090】
【数42】
【0091】
【数43】
【0092】
【数44】
【0093】
【数45】
【0094】
【数46】
【0095】
【数47】
【0096】
又、d軸インダクタンスL及びq軸インダクタンスLには、数48に示す関係がある。
【0097】
【数48】
【0098】
従って、数42乃至数48の関係を、少なくとも1つを満たさなければ、電力変換装置401に設定された電動機仕様設定値411及び電動機定数設定値412が不適切であるといえる。なお、数49及び数50の関係を用いて、数42乃至数47を変形しても良い。
【0099】
【数49】
【0100】
【数50】
【0101】
又、数30及び数31及び数51乃至数53に示す回転座標系における永久磁石同期電動機の電圧及び電流及びトルクの関係を用いることでも、判断が可能である。
【0102】
【数51】
【0103】
【数52】
【0104】
【数53】
【0105】
数33及び数34及び数54としv又はtを求め、数36又は数37の内少なくともどちらかを満たさなければ、電力変換装置401に設定された電動機仕様設定値411及び電動機定数設定値412が不適切であるといえる。なお、数51乃至数53は、絶対変換で変換された関係であるが、相対変換で変換された関係を用いても良い。
【0106】
【数54】
【0107】
電力変換装置401に設定された電動機仕様設定値411及び電動機定数設定値412が不適切であった場合には、不適切であったデータを、前記関係を満たす値に変更する。
【実施例3】
【0108】
図6は、実施例3における実施形態構成の一例である。
【0109】
3相交流誘導電動機102の駆動制御を行う電力変換装置601は、スイッチング回路606、設定値判断部608、電動機制御部609を有する。
【0110】
スイッチング回路606は、3相交流電源100からの3相交流電圧を、電圧指令118に基づく任意の3相交流電圧に変換し、3相交流誘導電動機102に印加する。
【0111】
設定値判断部608は、電力変換装置仕様設定値610の各データ又は電動機仕様設定値111の各データの内少なくとも2つのデータに基づいて、設定値が適切か否かを判断し、否と判断された場合に、電力変換装置仕様設定値610の各データ又は電動機仕様設定値111の各データの内少なくとも1つのデータに基づいて定められたデータに変更する。
【0112】
ここで、2つのデータとは、例えば下記のデータである。
・電力変換装置仕様設定値610の定格出力容量VAのデータと電力変換装置仕様設定値610の適用電動機定格出力Wのデータ
・電力変換装置仕様設定値610の定格出力容量VAのデータと電動機仕様設定値111の定格出力Wのデータ
・電動機仕様設定値111の定格出力Wのデータと電動機仕様設定値111の定格電圧Vのデータ
電動機制御部609は、電力変換装置仕様設定値610の各データ又は電動機仕様設定値111の各データ又は電力変換装置仕様変更値613の各データ又は電動機仕様変更値114の各データの内少なくとも1つのデータに基づいて電圧指令118を生成する。電圧指令118の算出方法は、例えば、V/f制御といった方法がある。
【0113】
電力変換装置仕様設定値610としては、例えば、定格出力容量VAのデータ、適用電動機定格出力Wのデータ、定格出力電圧Vのデータ、定格出力電流Iのデータ、最高出力周波数Fcmaxのデータ等がある。電力変換装置仕様設定値610は、電力変換装置601の外部より設定されても良いが、内部に予め設定しても良い。
【0114】
電力変換装置仕様設定値610又は電動機仕様設定値111が適切か否かを判断する方法を説明する。
【0115】
電動機の仕様を最大限に発揮するためには、電力変換装置の仕様は、少なくとも電動機の仕様以上でなければならない。例えば、数55乃至数73の関係を満たす必要がある。
【0116】
【数55】
【0117】
【数56】
【0118】
【数57】
【0119】
【数58】
【0120】
【数59】
【0121】
【数60】
【0122】
【数61】
【0123】
【数62】
【0124】
【数63】
【0125】
【数64】
【0126】
【数65】
【0127】
【数66】
【0128】
【数67】
【0129】
【数68】
【0130】
【数69】
【0131】
【数70】
【0132】
【数71】
【0133】
【数72】
【0134】
【数73】
【0135】
従って、数55乃至数73の内少なくとも1つの関係を満たさなければ、電力変換装置601に設定された電力変換装置仕様設定値610又は電動機仕様設定値111が、不適切であるといえる。又、数74乃至数76の関係を用いて、数55乃至数73を変形しても良い。
【0136】
【数74】
【0137】
【数75】
【0138】
【数76】
【0139】
電力変換装置601に設定された電力変換装置仕様設定値610及び電動機仕様設定値111が不適切であった場合には、不適切であったデータを、前記関係を満たす値に変更する。
【実施例4】
【0140】
図7は、実施例4における実施形態構成の一例である。
【0141】
3相交流誘導電動機102の駆動制御を行う電力変換装置701は、スイッチング回路706、設定値判断部708、電動機制御部709を有する。
【0142】
スイッチング回路706は、直流電源400から出力される直流電圧を、電圧指令118に基づく3相交流電圧に変換し、3相交流誘導電動機102に印加する。
【0143】
設定値判断部708は、電力変換装置仕様設定値610の各データ又は電動機仕様設定値111の各データの内少なくとも2つのデータに基づいて、設定値が適切か否かを判断し、否と判断された場合に、警報信号719を出力する。設定値が適切か否かを判断する方法としては、前記した通りである。
【0144】
電動機制御部709は、電力変換装置仕様設定値610の各データ又は電動機仕様設定値111の各データの内少なくとも1つのデータに基づいて電圧指令118を生成する。電圧指令118の算出方法は、例えば、V/f制御といった方法がある。
【0145】
なお、本発明は、3相交流誘導電動機及び3相交流永久磁石同期電動機に対し説明を行ったが、他の3相交流電動機及び単相交流電動機、直流電動機といった電動機全般に適用可能である。
【0146】
又、各式は、電動機がスター結線の場合を表現しているが、デルタ結線はスター結線へ等価的に変換が可能である。T形等価回路に基づいて説明したが、例えば、L形等価回路等の他の等価回路へ等価的に変換が可能である。相と線間は変換が可能である。電動機が3相の場合を考えているが、単相の場合には各式を単相のものに置き換えて考えれば良い。
鉄損や機械損等の損失は無視しているが、考慮しても良い。周波数及び角速度及び回転速度は、極数又は極対数を用いることにより変換が可能である。これらの説明は省略した。
【0147】
駆動する電動機の電動機定数を測定するオートチューニングと呼ばれる機能を備えた電力変換装置があるが、オートチューニングにて測定した電動機定数測定値にも、本発明を適用可能である。
【0148】
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。又、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、又、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。又、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0149】
又、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。又、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0150】
又、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0151】
100 3相交流電源
101 電力変換装置
102 3相交流誘導電動機
104 整流回路
105 平滑回路
106 スイッチング回路
107 電流検出器
108 設定値判断部
109 電動機制御部
111 電動機仕様設定値
112 電動機定数設定値
114 電動機仕様変更値
115 電動機定数変更値
116 検出電流
118 電圧指令
200 電圧v
201 電流i
202 抵抗R
203 インダクタンスL
300 一次電圧v
301 一次電流i
302 無負荷電流i
303 二次電流i
304 一次抵抗R
305 一次漏れインダクタンスl
306 相互インダクタンスM
307 二次漏れインダクタンスl
308 負荷R
400 直流電源
401 電力変換装置
402 3相交流永久磁石同期電動機
403 回転子位置検出器
406 スイッチング回路
408 設定値判断部
409 電動機制御部
411 電動機仕様設定値
412 電動機定数設定値
414 電動機仕様変更値
415 電動機定数変更値
417 検出位置
500 電圧v
501 電流i
502 誘起電圧e
503 抵抗R
504 インダクタンスL
601 電力変換装置
606 スイッチング回路
608 設定値判断部
609 電動機制御部
610 電力変換装置仕様設定値
613 電力変換装置仕様変更値
701 電力変換装置
706 スイッチング回路
708 設定値判断部
709 電動機制御部
719 警報信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7