特許第6165588号(P6165588)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6165588
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   F02B 63/02 20060101AFI20170710BHJP
   B08B 5/02 20060101ALI20170710BHJP
   F02B 77/00 20060101ALI20170710BHJP
   F02B 67/00 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
   F02B63/02
   B08B5/02 Z
   F02B77/00 P
   F02B67/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-222768(P2013-222768)
(22)【出願日】2013年10月25日
(65)【公開番号】特開2015-83818(P2015-83818A)
(43)【公開日】2015年4月30日
【審査請求日】2016年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100064724
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 照一
(72)【発明者】
【氏名】福永 昂
(72)【発明者】
【氏名】梨本 知伸
(72)【発明者】
【氏名】柴田 美徳
【審査官】 佐藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0039298(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0229556(US,A1)
【文献】 特開2008−106660(JP,A)
【文献】 特開2010−157476(JP,A)
【文献】 米国特許第04715086(US,A)
【文献】 米国特許第04697300(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0136976(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103382708(CN,A)
【文献】 特開平07−275757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 63/02
F02B 67/00
E01H 1/08
B08B 5/02
A47L 5/12、14、24
A01M 9/00
H05F 3/02
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボリュートケース内に回転可能に支持したファンを原動機により回転駆動させることにより吸引した空気を噴出するブロワユニットと、
前記ブロワユニットに設けた空気を吸引または噴出させる通風ダクトに連通した風管と、
前記風管に設けられて、作業者が把持する把持部とを備えた作業機において、
前記風管内を少なくとも前記把持部を設けた位置より先端開口までを導電可能な状態とするとともに、前記風管の先端開口には導電性部材よりなるリングを嵌合固定し、前記風管の先端開口の前記リングから地面に対して接地可能としたことを特徴とする作業機。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機において、
前記風管内に少なくとも前記把持部を設けた位置から前記リングまで延びる導電線を設けたことを特徴とする作業機。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機において、
前記導電線の一端側を前記原動機に電気的に接続させたことを特徴とする作業機。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の作業機において、
前記リングには導電性の金属材を採用したことを特徴とする作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロワユニットにより空気を吸引または噴出するブロワ装置または集塵機よりなる作業機に関し、特に、ブロワユニットの通風ダクトに連通した風管から静電気を除去する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地面等に散る落ち葉を吹き飛ばす作業機としてブロワ装置が知られている。ブロワ装置は、ボリュートケース内に回転可能に支持したファンをエンジンにより駆動させ、ボリュートケースの噴出ダクトに連通接続した風管から空気を放出させるものである。このようなブロワ装置においては、ボリュートケースの噴出ダクトから噴出される空気が風管を通って放出されるときに、通過する空気とボリュートケース及び風管の周壁内面との間の摩擦により静電気が生じ、この静電気によりボリュートケース及び風管が帯電することがあった。この状態で、風管に設けたグリップを把持すると、静電気が作業者の手に一気に流れて、作業者が不快に感じることがあった。
【0003】
このような静電気に対応するため種々の除電構造が提案されている。特許文献1には、風管内に除電線を配置したブロワ装置が開示されており、風管内に配置した除電線は先端側が風管の長手方向の中間部にて自由端とされ、基端側が風管のエルボ部と真直部と嵌合部分から外部に引き出され、導電線を介してエンジンに電気的に接続されている。また、除電線の基端側は導電線と電気的に接続された部分で折り返されて放電線となっている。このブロワ装置により風管から空気を噴出させたときには、風管で発生する静電気を風管内で激しくなびく除電線に取り込み、その大部分をエンジンにアースさせるとともに放電線から大気中に放電させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−106660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のブロワ装置においては、風管で発生する静電気を除電線によりエンジンにアースさせているが、エンジンと作業者との間に電位差が生じ、エンジンに帯電した静電気が風管に設けたグリップとエンジンとを接続するエンジン停止用のリードワイヤ及びスロットルバルブの開度調整用のスロットルワイヤを介して作業者に一気に流れ、作業者が不快に感じることがあった。これに対応するには、例えばエンジンから鎖を垂らして地面に接地させることにより、エンジンに帯電させた静電気を放出することができるが、作業者が誤って鎖を踏むおそれがあり、好ましくなかった。本発明は、ブロワ装置または集塵機よりなる作業機において、作業者が風管から静電気を放電されにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、ボリュートケース内に回転可能に支持したファンを原動機により回転駆動させることにより吸引した空気を噴出するブロワユニットと、ブロワユニットに設けた空気を吸引または噴出させる通風ダクトに連通した風管と、風管に設けられて、作業者が把持する把持部とを備えた作業機において、風管内を少なくとも把持部を設けた位置より先端開口までを導電可能な状態とするとともに、風管の先端開口には導電性部材よりなるリングを嵌合固定し、風管の先端開口のリングから地面に対して接地可能としたことを特徴とする作業機を提供するものである。
【0007】
上記のように構成した作業機においては、風管内を少なくとも把持部を設けた位置より先端開口までを導電可能な状態とするとともに、風管の先端開口には導電性部材よりなるリングを嵌合固定し、風管の先端開口のリングから地面に対して接地可能としたので、作業者が把持部を把持して風管の先端開口から空気を通過させながら、風管の先端開口のリングを地面に接地させることで風管の静電気を地面に放電させることができ、静電気が把持部から作業者に一気に放電されることがなくなった。さらに、風管の先端開口に導電性部材よりなるリングを嵌合固定しているので、風管の先端開口がリングによって削れるのを防ぐことができた。
【0008】
上記のように構成した作業機においては、風管内に少なくとも把持部を設けた位置からリングまで延びる導電線を設けるのが好ましい。また、導電線の一端側を原動機に電気的に接続させたときには、ボリュートケースで発生した静電気を原動機から導電線により地面に接地させることができる
【0009】
上記のように構成した作業機においては、リングには導電性の金属材を採用するのが好ましく、風管の先端開口が金属材よりなるリングによってさらに削れるのを防ぐことができた。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の作業機の一実施形態である背負式ブロワの側面図である。
図2図1の風管のエルボ部とフレキシブル部との間の断面図である。
図3図2の変形例である。
図4】グリップハンドルを後方から見た斜視図である。
図5】グリップハンドルの右部分を取り外して内部構造が見えるようにした図である。
図6】停止スイッチを作動位置としたときのグリップハンドルの左側面図(a)であり、前後方向に沿った縦方向断面図(b)であり、停止スイッチを停止位置としたときのグリップハンドルの左側面図(c)であり、前後方向に沿った縦方向断面図(d)である。
図7】スロットルハンドルを押動操作したときのグリップハンドルの内部を示す前後方向に沿った縦方向断面図である。
図8】背負式ブロワの他の実施形態の側面図である。
図9】作業機の他の実施形態である背負式集塵機の概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の作業機の一実施形態である背負式ブロワを添付図面を参照して説明する。図1に示したように、背負式ブロワ10は、作業者が背負う背負フレーム11に空気を噴出するブロワユニット20を搭載し、ブロワユニット20の噴出ダクト(通風ダクト)21aに空気を放出させる風管30を連通接続したものである。
【0012】
図1に示したように、背負フレーム11は作業者がブロワユニット20を背負って運ぶためのものである。背負フレーム11は、作業者の背中に沿って配置される背板部12と、背板部12の下端から後方に延びる台座部13とからなり、側面から見た形状がL字形をしている。背負フレーム11の背板部12には作業者が背負うための左右一対のショルダーストラップ14が取り付けられている。
【0013】
図1に示したように、台座部13にはブロワユニット20が搭載されている。ブロワユニット20は、樹脂製のボリュートケース21と、ボリュートケース21内に回転可能に支持した樹脂製のファン22と、ボリュートケース21に一体的に組み付けてファン22を回転駆動させるエンジン23とを備えている。ボリュートケース21の右側部には前側の吸気開口から吸い込んだ外気を噴出する噴出ダクト21aが一体的に形成されており、この噴出ダクト21aには風管30が連通接続されている。
【0014】
風管30は、噴出ダクト21aに回動可能に連通接続したエルボ風管31と、エルボ風管31に連通接続した蛇腹形状のフレキシブル風管32と、フレキシブル風管32に連通接続した真直風管33と、真直風管33に連通接続して先端側に進むにつれて細径となるノズル風管34とを備えており、各風管31〜34は何れも樹脂製である。真直風管33は第1真直風管33aと第2真直風管33bとを伸縮自在に連結したものである。また、真直風管33は基端側となる第1真直風管33の基端部にグリップハンドル(把持部)40が設けられている。
【0015】
風管30内には導電線35が設けられている。図2に示したように、導電線35は一端側がエルボ風管31とフレキシブル風管32と間の嵌合部から外側に引き出され、風管30内の導電線35に電気的に接続された外側の導電線36によってエンジン23に電気的に接続されている。図1に示したように、風管30内の導電線35の他端側は風管30の先端部となるノズル風管34の先端開口34aから垂れ下がっている。なお、図3に示したように、導電線35は一端側がエルボ風管31の先端部にて外部に貫通して設けたボルト37により外側の導電線36に電気的に接続されるようにしてもよい。
【0016】
グリップハンドル40は、風管30のノズル風管34の先端開口34aの向きを変えるように操作をするものであり、さらに、エンジン23の出力の可変操作及び停止操作をする機能を有している。図4及び図5に示したように、グリップハンドル40は作業者が把持する略筒形をしたグリップ部41と、グリップ部41の先端部に一体的に形成したヘッド部42とを備えている。ヘッド部42は前方及び右方へグリップ部41より膨出している。
【0017】
図5に示したように、グリップハンドル40内にはエンジン23のスロットルバルブの開度を調整するスロットルワイヤ43の一部と、エンジン23を停止させるマイクロスイッチよりなる停止スイッチ44とを備えている。スロットルワイヤ43はエンジン23のスロットルバルブ(図示省略)に接続されており、スロットルワイヤ43を引くことでスロットルバルブを開放させるものである。停止スイッチ44は、エンジン23の点火装置(図示省略)にリード線45により接続されており、内部のスイッチ機構をオンさせることにより、エンジン23の点火装置への電気の供給を停止させ、エンジン23を停止させるものである。停止スイッチ44は筐体44a内にて図示しないスイッチ機構に動力を伝達するプランジャ44bと、筐体44aに回動可能に支持されたレバー44cとを備えている。プランジャ44bは先端部が前方に突出するように付勢され、前後方向に移動可能となっている。レバー44cは上下に延びる帯板部材よりなり、上下方向の中間部がプランジャ44bの先端に当接した状態で、上端が筐体44aの上部に回動可能に支持されている。レバー44cの下端部は後述するカム48a側に膨らむ半円形をしている。
【0018】
グリップ部41の前側上部にはスロットルレバー46が設けられており、ヘッド部42の左側部には停止レバー48が設けられている。スロットルレバー46はスロットルワイヤ43によりエンジン23のスロットルバルブの開度を調整し、これによりエンジン23の出力を調整するものである。スロットルレバー46はヘッド部42内にて上部が左右方向の水平軸線回りに回動可能に支持されている。このスロットルレバー46はばね47により下部が前側にある状態に付勢されている。スロットルレバー46の下部が前側にある状態ではスロットルバルブが閉止され、スロットルレバー46の下部をばね47による付勢力に抗して後側に移動させた状態(スロットルレバー46を引いた状態)ではスロットルバルブが開放される。
【0019】
停止レバー48はエンジン23を停止させるとともに、スロットルレバー46の位置を固定してエンジン23の出力を一定に維持する、いわゆるクルーズコントロールの機能を有した操作レバーとしても機能している。停止レバー48はグリップ部41の前部にて前後方向に延在しており、前部が左右方向の水平軸線回りに回動可能に支持されている。図5,6に示したように、停止レバー48はヘッド部42内にカム48aと、カム48aの右側に一体的に設けた係合部48bとを備えており、カム48a及び係合部48bは停止レバー48の回動軸線回りに回動可能となっている。なお、停止レバー48はヘッド部42に回動自在に取り付けるためのボルトとナットとによって生じる摩擦力により所望の回動位置にて停止可能となっている。
【0020】
図6に示したように、カム48aは円弧面48a1と、円弧面48a1の上部に外側に突出する突部48a2とを備え、円弧面48a1または突部48a2が停止スイッチ44のレバー44cの下端部に当接している。図6(a),(b)に示したように、停止レバー48の後部を最も下側に回動させてない作動位置にあるときには、カム48aの円弧面48a1がレバー44cの下端部に当接し、レバー44cはプランジャ44bを押圧せず、スイッチ機構がオンされない。この状態では、エンジン23の点火装置に電気が供給可能となり、エンジン23が作動可能となっている。
【0021】
この状態から、図6(c),(d)に示したように、停止レバー48の後部を最も下側に回動させると、カム48aの円弧面48a1がレバー44cの下端部に当接した状態から、カム48aの突部48a2がレバー44cの下端部に当接し、レバー44cはプランジャ44bを押圧して、スイッチ機構がオンされる。この状態になると、エンジン23の点火装置に電気が供給されなくなり、エンジン23が作動停止となる。
【0022】
また、図6(b),(d)に示したように、ヘッド部42内にはカム48a側に開口した有底筒形の凹部42aが形成されており、凹部42a内にはコイルスプリング49が介装されている。コイルスプリング49は停止スイッチ44のレバー44cの下端部をカム48aに付勢するものであり、コイルスプリング49はレバー44cとカム48aとの間のガタ付き(クリアランス)をなくし、停止レバー48による回動操作の操作荷重を一定としている。
【0023】
図5及び図7に示したように、停止レバー48の係合部48bはスロットルレバー46の上部に設けた被係合部46aに下側から係合可能となっており、係合部48bはスロットルレバー46の被係合部46aに係合することで、スロットルレバー46を適宜な回動位置にて停止させる。
【0024】
上記のように構成した背負式ブロワ10の作動を説明する。エンジン23を起動させてから、背負フレーム11を背負い、右手に風管30のグリップハンドル40を把持して、手指によりスロットルレバー46を操作しつつ、風管30の先端開口34aを地面に向けるように操作して、地面に散る落ち葉を吹き飛ばすようにする。このとき、ボリュートケース21から風管30を通って空気が放出されるときに、通過する空気とボリュートケース21及び風管30の周壁内面との間に静電気が生じ、この静電気よりボリュートケース21及び風管30が帯電する。
【0025】
上記のように構成した背負式ブロワ10においては、風管30内を少なくともグリップハンドル40を設けた位置より先端開口34aまでを導電線35により導電可能な状態とした。特にこの実施形態では、風管30の先端開口34aから導電線35の他端部35aを垂下させている。作業者は、風管30の先端開口34aを地面に散る落ち葉に向けて清掃作業をするだけで、導電線35の他端部35aが自然と地面に接地されることになった。これにより、風管30に帯電した静電気がグリップハンドル40から作業者に一気に放電されにくくなり、作業者が静電気により不快に感じることがなくなった。また、風管30の先端開口34aは作業者が清掃作業をするときに離れた位置となるので、導電線35の他端部35aが作業者の足で踏まれるおそれはない。
【0026】
また、このような背負式ブロワ10においては、ボリュートケース21で発生した静電気がエンジン23からスロットルワイヤ43及びリード線45を流れ、グリップハンドル40を把持する作業者の手に一気に放電されるおそれがあった。
【0027】
この背負式ブロワ10においては、導電線35は一端側が外側の導電線36を介してエンジン23に電気的に接続され、他端部35aが風管30の先端開口34aから垂れ下がるようになっているので、ボリュートケース21で発生した静電気がエンジン23から導電線36,35を流れ、風管30の先端開口34aから垂れ下がる導電線35により常に地面に接地されることになり、エンジン23に帯電する静電気がスロットルワイヤ43及びリード線45のような導電性の操作用配線を流れて、グリップハンドル40を把持する作業者の手に一気に放電されることがなくなった。また、風管30のエルボ風管31では特に通過する空気の摩擦により静電気が発生しやすいが、静電気を導電線35,36の接続部から取り込み、取り込んだ静電気を導電線35を介して地面に放電することができ、特に静電気の発生しやすいエルボ風管31での静電気を除くことができた。
【0028】
上記のように構成した背負式ブロワ10においては、図8に示したように、風管30の先端開口34aに導電性のリング38を嵌合固定し、リング38に導電線35を電気的に接続するようにしてもよい。このようにしたときには、風管30の先端開口34aから空気を放出して清掃作業をしながら、風管30の先端開口34aのリング38を地面に着地させることで、風管30の先端開口34aのリング38を地面に接地させることができる。さらに、リング38を導電性の金属材を採用すれば、風管30の先端開口34aが金属材よりなるリング38によって削れるのを防ぐことができた。なお、風管30の真直風管33は第1真直風管33aと第2真直風管33bとを伸縮自在に連結したものであり、風管30の全体の長さが変わることになるが、導電線35を風管30を最も長くしたときに対応する長さとするか、導電線35の中間部に導電性のコイルスプリングを電気的に接続された状態で介装すればよい。また、風管30の先端の削れを防止するためには、以下の構造とするのが適している。すなわち、作業機(ブロワ装置または集塵機)は、ボリュートケース21内に回転可能に支持したファン22を原動機23により回転駆動させることにより吸引した空気を噴出するブロワユニット20と、ブロワユニット20から空気を吸引または噴出させる通風ダクト21aに連通した風管30とを備え、風管30の先端開口の周囲を覆う高硬度部を備えるようにする。このようにしたときには、地面に接地しやすい風管30の先端の削れを防止することができる。この場合には、高硬度部に上述したリング38を採用するのが好ましく、リング38を風管30の先端開口34aに着脱可能とすれば、リング38(高硬度部)の削れに応じて交換可能となる。
【0029】
なお、本発明は風管30内を少なくともグリップハンドル(把持部)40を設けた位置より先端開口34aまでを導電可能な状態とする一実施形態として、風管30内に導電線35を延在させたが、本発明はこれに限られるものでなく、風管30の少なくともグリップハンドル40を設けた位置より先端開口34aまで(風管30の全体であってもよい)を導電性の樹脂材を用いたものであってもよく、また、風管30の少なくともグリップハンドル40を設けた位置より先端開口34aまで(風管30の全体であってもよい)の内周面に導電性の塗料を塗布したものであってもよく、このようにしたときにも同様の作用効果を得ることができる。
【0030】
また、上述した実施形態においては、作業機として背負式ブロワ10を用いて説明したが、本発明はこれに限られるものでなく、図9に示したように、ボリュートケース内に回転可能に支持したファン22をエンジン(原動機)23により回転駆動させることにより吸引した空気を噴出するブロワユニット20と、ブロワユニット20に設けた空気を吸引させる通風ダクト21aに連通した風管30と、風管30に設けられて作業者が把持するグリップハンドル(把持部)40とを備えた作業機として背負式集塵機10Aにも適用されるものである。この場合には、風管30の先端開口34aに設けたリングを含めて除電に関する詳細な構造は上述した背負式ブロワ10と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0031】
上記の実施形態においては、原動機にはエンジン23を用いたが、本発明はこれに限られるものでなく、バッテリ等の電源により駆動する電動モータを用いたものであってもよい。
【符号の説明】
【0032】
10…作業機(背負式ブロワ)、10A…作業機(背負式集塵機)、20…ブロワユニット、21…ボリュートケース、21a…通風ダクト(噴出ダクト)、22…ファン、23…原動機(エンジン)、30…風管、34a…先端開口、35…導電線、38…リング。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9