【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成25年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「固体酸化物型燃料電池を用いた事業用発電システム要素技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記圧力容器内に流出させた酸化性ガスを、異物を除去可能な異物分離部を経由させた後、前記熱交換器を介してカートリッジに導く工程を含む請求項7に記載の燃料電池の運転方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図14の複合発電設備では、ガスタービン4のコンプレッサ10から排出された空気がSOFC1へと供給される。ガスタービン4では、負荷に応じた運転状態の変化にともない、排出される空気の圧力も変動する。事業用のガスタービンにおいて、排出される空気の圧力の変動幅は、1MPa〜2MPa程度である。
【0010】
ガスタービン4から排出される空気の圧力が変動することは、SOFCカートリッジ3に供給される空気の圧力が変動することを意味する。SOFCカートリッジ3に供給される空気の圧力が運転中に変動すると、SOFCカートリッジ3を囲う断熱材の内外で酸化性ガスの移動が生じる。それにより、SOFCカートリッジ3に供給されるときの酸化性ガスの流量と、SOFCカートリッジ3から排出されたときの酸化性ガスの流量とに違いが生じる。しかも、断熱材およびその隙間は、断熱材全体で均一ではないため、SOFCカートリッジ3を通過する過程での部分的な酸化性ガスの流量予測は困難である。
【0011】
SOFCカートリッジ3に供給する酸化性ガスの供給流量は、発電時の温度管理や、発電に必要な酸素量を考慮して設定される。しかしながら、SOFCカートリッジ3を通過する過程で、酸化性ガスの流量が変化すると、温度分布や発電時の負荷設定が困難となる。
【0012】
SOFCの運転中に、酸化性ガスの供給流量が少ない部分が生じると、セルスタックを破損させる危険がある。これを防止するために酸化性ガスの供給流量を上げると、発電効率が低下する。また、SOFCカートリッジでは、発電によって発生した熱と、外部から加えた熱とのバランスを考慮して温度管理が行われる。供給される酸化性ガスの温度は、発電中の燃料電池セルの温度よりも低い。そのため、酸化性ガスが過剰となる部分では、温度が部分的に低下するなど、温度管理が難しくなる。
【0013】
運転圧力が1MPa以上に高いSOFCでは、内封されるガス量が多くなる。それにともなって、加圧減圧に要する時間が長くなるため、高圧のSOFCでは、断熱材を介した酸化性ガスの移動の影響が大きくなる。
【0014】
上記のような問題は、供給する酸化性ガスの圧力をゆっくりと変化させることで、緩和できる。しかしながら、負荷応答性がよいというのはガスタービンの利点である。圧力変化を遅くさせることは、ガスタービンの利点が生かされなくなってしまうため好ましくない。
【0015】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、圧力変化をともなう酸化性ガス供給源と接続された場合であっても、酸化性ガスの供給流量の制御がしやすい燃料電池及びその運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、圧力容器と、前記圧力容器の内部に収納され、燃料ガスおよび酸化性ガスの供給を受けて電解質を介した電気化学反応により発電する燃料電池セルを有するカートリッジと、前記カートリッジの周囲を囲む断熱部材と、前記断熱部材の前記圧力容器側の外周を囲み、前記酸化性ガスが前記断熱部材を介して前記圧力容器に流入するのを防止する流入防止壁と、前記カートリッジに前記酸化性ガスを通気可能な酸化性ガス流路と、を備え、前記酸化性ガス流路が、圧力容器内に酸化性ガスを流出させる流出口を有している燃料電池を提供する。
【0017】
断熱部材の周りを流入防止壁で囲うことで、カートリッジに供給された酸化性ガスが圧力容器へ流入するのを防止できる。それにより、カートリッジの酸化性ガスの出入口における酸化性ガス流量の差を小さくできるとともに、カートリッジにおける部分的な流量変動を抑制できる。
【0018】
酸化性ガス流路は流出口を有しているため、圧力容器内とカートリッジとの圧力を同圧にできる。圧力容器内と、カートリッジとが同圧であることから、流入防止壁に耐圧性を持たせなくてもよい。
【0019】
本発明によれば、燃料電池が、圧力変化をともなう酸化性供給源に接続された場合あっても、酸化性ガスの供給流量を制御しやすいため、温度調整および負荷設定が容易となる。
【0020】
上記発明の一態様において、前記酸化性ガス流路が、酸化性ガス供給源から前記圧力容器内に酸化性ガスを供給する供給経路と、前記圧力容器内に供給された酸化性ガスを、前記カートリッジに導入する導入経路と、を備えてい
る。
【0021】
酸化性ガスは、圧力容器内を経由してカートリッジへと供給される。それにより、流入防止壁の内外の圧力、すなわち、圧力容器内とカートリッジとの圧力を略同圧にできる。
【0022】
上記発明の一態様において、前記導入経路に、異物分離部が設けられていることが好ましい。
【0023】
酸化性ガスが、圧力容器を介してカートリッジへ導入される場合、圧力容器内にある異物がカートリッジに入る可能性がある。異物分離部を設けることで、圧力容器内の異物がカートリッジに混入することを防止できる。
【0024】
上記発明の一態様において、前記供給経路と前記導入経路との間で熱交換を行
い、前記供給経路から前記圧力容器内に供給する酸化性ガスの温度を下げる熱交換器が設けられている。
【0025】
酸化性ガス供給源によって供給される酸化性ガスは、高温である場合がある。供給経路に熱交換器を設けることで、酸化性ガスの温度を圧力容器の耐熱温度以下にし、圧力容器内の温度上昇を抑えることができる。一方、導入経路に設けられた熱交換器では、回収した熱を利用して酸化性ガスを昇温させることができる。そのため、発電に適した温度の酸化性ガスをカートリッジに供給できる。
【0026】
上記発明の一態様において、燃料電池は、圧力容器内を昇温させる圧力容器昇温手段を備えていてもよい。
【0027】
燃料電池の運転前など、圧力容器内の温度が低いことがある。圧力容器昇温手段を備えることで、高い温度の酸化性ガスを圧力容器内に供給できる。それにより、圧力容器全体を早く昇温させることができる。
【0028】
上記発明の一態様において、前記熱交換器は、前記圧力容器内に配置されていてもよい。
【0029】
熱交換器を圧力容器内に配置することで、熱交換器の内外の圧力が略同圧となるため、熱交換器に耐圧性をもたせなくてよくなる。
【0030】
上記発明の一態様において、前記流出口が、前記圧力容器内に位置する前記供給経路に設けられ、前記導入経路が、前記圧力容器内で開口する導入口を有していてもよい。
【0031】
流出口が供給経路の一端部に設けられるため、酸化性ガスは、まず圧力容器内に供給される。圧力容器内に供給された酸化性ガスは、導入口からカートリッジに導かれる。上記構成とすることで、燃料電池の構造をシンプルにできる。
【0032】
上記発明の一態様において、前記酸化性ガス流路が、酸化性ガス供給源から前記カートリッジに酸化性ガスを導入する導入経路と、前記カートリッジに通気された酸化性ガスを前記圧力容器の外へ排出する排出経路と、を備え、前記排出経路が、前記圧力容器内に位置する前記流出口を有し、前記流出口よりも上流側の前記排出経路と前記導入経路との間で熱交換を行う熱交換器が設けられて
いる。
【0033】
供給経路に熱交換器を設けることで、酸化性供給源からの酸化性ガスが高温であった場合でも、熱を回収することができる。
【0034】
燃料電池では、一般的に、カートリッジへ供給される酸化性ガスの温度より、カートリッジから排出される酸化性ガスの温度の方が高い。そのため、圧力容器内にある排気経路に流出口を設けると、圧力容器内の温度が圧力容器の耐熱温度を超えてしまう可能性がある。上記発明の一態様によれば、カートリッジから排出された酸化性ガスは、熱交換器で降温された後に流出口から圧力容器内へ流出する。そのため、圧力容器内の温度上昇を抑制できる。
【0035】
また、本発明は、圧力容器と、前記圧力容器の内部に収納され、燃料ガスおよび酸化性ガスの供給を受けて電解質を介した電気化学反応により発電する燃料電池セルを有するカートリッジと、前記カートリッジの周囲を囲む断熱部材と、を備えた燃料電池の運転方法であって、前記断熱部材の周囲を囲み、前記酸化性ガスが前記断熱部材を介して前記圧力容器に流入するのを防止する流入防止壁を設ける工程と、前記カートリッジに前記酸化性ガスを通気させる工程と、前記カートリッジに導入される前、または前記カートリッジから排出された後の前記酸化性ガスを、圧力容器内に流出させる工程と、を備えている燃料電池の運転方法を提供する。
【0036】
断熱部材の周りを流入防止壁で囲うことで、カートリッジに供給された酸化性ガスが圧力容器へ流入するのを防止できる。それにより、カートリッジの酸化性ガスの出入口における酸化性ガス流量の差を小さくできるとともに、カートリッジにおける部分的な流量変動を抑制できる。
【0037】
酸化性ガスは、カートリッジを通過する前後いずれかのタイミングで圧力容器内に流出する。それにより圧力容器内とカートリッジとの圧力を略同圧にできる。流入防止壁の内外で圧力が略同圧であることから、流入防止壁に耐圧性を持たせなくてもよい。
【0038】
本発明によれば、燃料電池が、圧力変化をともなう酸化性供給源に接続された場合あっても、酸化性ガスの供給流量を制御しやすいため、温度調整および負荷設定が容易となる。
【0039】
上記発明の一態様において、燃料電池の運転方法は、前記カートリッジに導入される前の前記酸化性ガスを圧力容器内に流出させる工程と、前記圧力容器に流出させた酸化性ガスを前記カートリッジに導く工程と、を含むことができる。
【0040】
酸化性ガスは、圧力容器内を経由してカートリッジへと供給される。それにより、圧力容器内とカートリッジとの圧力を略同圧にできる。
【0041】
上記発明の一態様において、燃料電池の運転方法は、前記圧力容器内に流出させた酸化性ガスを、異物を除去可能な異物分離部を経由させた後、前記カートリッジに導く工程を含むことができる。
【0042】
異物分離部を介して酸化性ガスをカートリッジに導入することで、圧力容器内の異物がカートリッジに混入することを防止できる。
【0043】
上記発明の一態様において、燃料電池の運転方法は、熱交換器を介して
温度を下げた前記酸化性ガスを前記圧力容器内へと流出させる工程と、前記圧力容器内に流出させた前記酸化性ガスを、前記熱交換器を介して
昇温させた後、前記カートリッジに導く工程と、を含む。
【0044】
熱交換器を介することで酸化性ガスの温度を下げることができる。それにより、圧力容器内の温度を耐熱温度以下に維持できる。熱交換器で回収された熱は、カートリッジに導入される前の酸化性ガスを昇温させるのに利用できる。それにより、発電に適した温度の酸化性ガスをカートリッジに導入できる。
【0045】
上記発明の一態様において、燃料電池の運転方法は、前記熱交換器を介さずに、前記酸化性ガスを、前記圧力容器内へと流出させて前記圧力容器内の温度を上げる工程を含むことができる。
【0046】
酸化性ガス供給源から送られる酸化性ガスの温度が、圧力容器内の温度より高い場合、熱交換器を介さずに圧力容器内に流出させることで、圧力容器内を早く昇温させることができる。
【0047】
上記発明の一態様において、燃料電池の運転方法は、前記酸化性ガスを、熱交換器を介してカートリッジに導入する工程と、前記カートリッジを通過した後の前記酸化性ガスを、前記熱交換器を介して前記圧力容器に流出させる工程と、を含
む。
【0048】
カートリッジを通過した後の酸化性ガスは、熱交換器を経由させることで、降温させることができる。それにより、圧力容器内の温度上昇を抑制できる。熱交換器で回収された熱は、カートリッジに導入する酸化性ガスの加熱に利用できる。
【発明の効果】
【0049】
本発明は、カートリッジを囲む断熱部材の圧力容器側に流入防止壁を設け、かつ、圧力容器およびカートリッジの圧力を略同じにすることで、圧力変化をともなう酸化性ガス供給源と接続された場合であっても、酸化性ガスの供給流量の制御がしやすい燃料電池及びその運転方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下に、本発明に係る燃料電池およびその運転方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0052】
以下においては、説明の便宜上、紙面を基準として「上」及び「下」の表現を用いて各構成要素の位置関係を特定するが、鉛直方向に対して必ずしもこの限りである必要はない。例えば、紙面における上方向が鉛直方向における下方向に対応してもよい。また、紙面における上下方向が鉛直方向に直行する水平方向に対応してもよい。
【0053】
以下においては、固体酸化物形燃料電池(SOFC)のセルスタックとして円筒形を例として説明するが、必ずしもこの限りである必要はなく、例えば平板形のセルスタックであってもよい。
【0054】
本発明は以降で説明する実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【0055】
酸化剤ガスとは、酸素を略15%〜30%含むガスである。酸化剤ガスとしては、代表的には空気が好適であるが、空気以外にも燃料排ガスと空気の混合ガスや、酸素と空気の混合ガスなどが使用されてもよい。
【0056】
〔第1実施形態〕
まず、
図1を参照して本実施形態に係る円筒形セルスタックについて説明する。ここで、
図1は、第1実施形態に係るセルスタックの一態様を示すものである。セルスタック101は、円筒形状の基体管103と、基体管103の外周面に複数形成された燃料電池セル105と、隣り合う燃料電池セル105の間に形成されたインターコネクタ107とを有する。燃料電池セル105は、燃料極109と固体電解質111と空気極113とが積層して形成されている。また、セルスタック101は、基体管103の外周面に形成された複数の燃料電池セル105の内、基体管103の軸方向において最も端に形成された燃料電池セル105の空気極113に、インターコネクタ107を介して電気的に接続されたリード膜115を有する。
【0057】
基体管103は、多孔質材料からなり、例えば、CaO安定化ZrO
2(CSZ)、又はY
2O
3安定化ZrO
2(YSZ)、又はMgAl
2O
4とされる。この基体管103は、燃料電池セル105とインターコネクタ107とリード膜115とを支持すると共に、基体管103の内周面に供給される燃料ガスを基体管103の細孔を介して基体管103の外周面に形成される燃料極109に拡散させるものである。
【0058】
燃料極109は、Niとジルコニア系電解質材料との複合材の酸化物で構成され、例えば、Ni/YSZが用いられる。この場合、燃料極109は、燃料極109の成分であるNiが燃料ガスに対して触媒作用を有する。この触媒作用は、基体管103を介して供給された燃料ガス、例えば、メタン(CH
4)と水蒸気との混合ガスを反応させ、水素(H
2)と一酸化炭素(CO)に改質するものである。また、燃料極109は、改質により得られる水素(H
2)及び一酸化炭素(CO)と、固体電解質111を介して供給される酸素イオン(O
2−)とを固体電解質111との界面付近において電気化学的に反応させて水(H
2O)及び二酸化炭素(CO
2)を生成するものである。なお、燃料電池セル105は、この時、酸素イオンから放出される電子によって発電する。
【0059】
固体電解質111は、ガスを通しにくい気密性と、高温で高い酸素イオン導電性とを有するYSZが主として用いられる。この固体電解質111は、空気極で生成される酸素イオン(O
2−)を燃料極に移動させるものである。
【0060】
空気極113は、例えば、LaSrMnO
3系酸化物、又はLaCoO
3系酸化物で構成される。この空気極113は、固体電解質111との界面付近において、供給される空気等の酸化性ガス中の酸素を解離させて酸素イオン(O
2−)を生成するものである。
【0061】
インターコネクタ107は、SrTiO
3系などのM
1−xL
xTiO
3(Mはアルカリ土類金属元素、Lはランタノイド元素)で表される導電性ペロブスカイト型酸化物から構成され、燃料ガスと酸化性ガスとが混合しないように緻密な膜となっている。また、インターコネクタ107は、酸化雰囲気と還元雰囲気との両雰囲気下で安定した電気導電性を有する。このインターコネクタ107は、隣り合う燃料電池セル105において、一方の燃料電池セル105の空気極113と他方の燃料電池セル105の燃料極111とを電気的に接続し、隣り合う燃料電池セル105同士を直列に接続するものである。リード膜115は、電子伝導性を有すること、及びセルスタック101を構成する他の材料との熱膨張係数が近いことが必要であることから、Ni/YSZ等のNiとジルコニア系電解質材料との複合材で構成されている。このリード膜115は、インターコネクタにより直列に接続される複数の燃料電池セル105で発電された直流電力をセルスタック101の端部付近まで導出すものである。
【0062】
次に、
図2および
図3を参照して本実施形態に係るSOFCモジュール(燃料電池)及びSOFCカートリッジ(カートリッジ)について説明する。ここで、
図2は、第1実施形態に係るSOFCモジュールの一態様を示す概略構成図である。
図3は、第1実施形態に係るSOFCカートリッジの一態様の縦断面図である。
【0063】
SOFCモジュール201は、複数のSOFCカートリッジ203と、これら複数のSOFCカートリッジ203を収納する圧力容器205とを有する。SOFCモジュール203は、SOFCカートリッジ203の周囲を囲む断熱部材202と、該断熱部材202の圧力容器側の外周を囲む流入防止壁204とを有する。SOFCモジュール201は、SOFCカートリッジ203に燃料ガスを通気できる燃料ガス流路と、SOFCカートリッジ203に酸化性ガスを通気できる酸化性ガス流路とを有する。
【0064】
燃料ガス流路は、SOFCカートリッジに燃料ガスを供給する燃料ガス供給経路207と、SOFCカートリッジから燃料ガスを排出する燃料ガス排出経路209とを有する。燃料ガス供給経路207および燃料ガス排出経路209は、それぞれ複数の副経路を有する(不図示)。
【0065】
燃料ガス供給経路207の一端部は、圧力容器205の外部に設けられ、SOFCモジュール201の発電量に対応して所定ガス組成と所定流量の燃料ガスを供給する燃料ガス供給源に接続される。
【0066】
燃料ガス供給経路207の他端部は、分岐されて副経路となっている。複数の副経路は、それぞれ複数のSOFCカートリッジ203に接続されている。燃料ガス供給経路207は、上述の図示しない燃料ガス供給源から供給される所定流量の燃料ガスを、複数のSOFCカートリッジ203に導くものである。燃料ガス供給経路207は、燃料ガスを複数のSOFCカートリッジ203に略均等の流量で導き、複数のSOFCカートリッジ203の発電性能を略均一化させることができる。
【0067】
燃料ガス排出経路209の一端部は、分岐されて副経路となっている。複数の副経路は、それぞれ複数のSOFCカートリッジ203に接続されている。
【0068】
燃料ガス排出経路209の他端部は、圧力容器205の外部に配置されている。燃料ガス排出経路208は、SOFCカートリッジ203から略均等の流量で排出される排燃料ガスを圧力容器205の外部に導くものである。
【0069】
酸化性ガス流路は、酸化性ガス供給源から送り出された酸化性ガスを圧力容器内に供給する供給経路208、圧力容器内に供給された酸化性ガスをカートリッジに導入する導入経路210、および、カートリッジに通気された酸化性ガスを圧力容器内に排出する排出経路211を備えている。導入経路210および排気経路211は、それぞれ複数の副経路を有する(不図示)。
【0070】
供給経路208の一端部は、圧力容器205の外部に設けられ、酸化性ガスを供給できる酸化性ガス供給源(不図示)に接続される。本実施形態において、酸化性ガス供給源は、ガスタービンのコンプレッサとされる。
【0071】
供給経路208の他端部は、圧力容器205の側面に接続されている。供給経路208の他端部は、流出口212となっている。流出口212は、酸化性ガス供給源から送られた酸化性ガスを圧力容器内に流出させることができる。流出口212は、小口径よりは大口径とされることが望ましい。それにより、流出口212における圧損を低く抑えることができる。流出口212は、圧力容器205の内部に配置することが望ましい。それにより、圧力容器本体と離れた位置で酸化性ガスを流出できるため、圧力容器本体の温度が上昇するのを抑制できる。流出口212は、圧力容器内の空間に向けて酸化性ガスを噴出せる向きとすることが好ましい。酸化性ガスを圧力容器内面に向けて流出させると、断熱部材の粉を巻き上げる可能性がある。酸化性ガスをSOFCカートリッジ203に向けて流出させると、SOFCカートリッジ203に局所的な温度分布をつくる可能性がある。
【0072】
導入経路210の一端部は、圧力容器205の側面(供給経路の他端部が接続された側面と対向する側面)に接続されている。導入経路210の一端部は、導入口213を有する。導入口213は、圧力容器内に流出させた酸化性ガスを、導入経路内に導くことができる。導入口213は、小口径よりは大口径とされることが望ましい。それにより、導入口213における圧損を低く抑えることができる。導入口213は、圧力容器205の内部に配置することが望ましい。それにより、圧力容器本体と離れた位置で酸化性ガスを導入経路内に導けるため、圧力容器本体の温度が上昇するのを抑制できる。導入口213は、圧力容器205の底部、または上部に設けられてもよい。導入口213は、圧力容器205の側部(側面)または上部に設けられることが望ましい。それにより、導入経路210に異物が流入するのを避けることができる。
【0073】
導入経路210の他端部は、分岐されて副経路となっている(不図示)。複数の副経路は、それぞれ複数のSOFCカートリッジ203に接続されている。
【0074】
導入経路210の一部は、圧力容器205の外に設けられている。圧力容器205の外に配置される導入経路210には、異物分離部214が設けられている。異物分離部214は、フィルターなどとされる。該フィルターは、圧力容器内の異物、断熱部材202の欠片などを酸化性ガスから分離できる。異物分離部214は、圧力容器205の外部にあるため、メンテナンスが容易である。
【0075】
排出経路211の一端部は、分岐されて副経路(不図示)となっている。複数の副経路は、それぞれ複数のSOFCカートリッジに接続されている。
【0076】
排出経路211の他端部は、圧力容器205の外部に配置されている。排出経路211の他端部は、圧力容器外で燃焼器(不図示)などに接続されてもよい。排出経路211は、SOFCカートリッジ203から排出される排酸化性ガスを圧力容器205の外部に導くものである。
【0077】
圧力容器205は、内部の圧力が0.1MPa〜約1MPa、内部の温度が大気温度〜約550℃で運用されるので、耐力性と酸化性ガス中に含まれる酸素などの酸化剤に対する耐食性を保有する材質が利用される。例えばSUS304などのステンレス系材が好適である。
【0078】
SOFCカートリッジ203は、断熱部材202で囲まれている。断熱部材202は、カートリッジに流れる空気の流路の一部を形成するものである。断熱部材202は、断熱性を有する多孔質部材などで構成されうる。断熱部材202の厚さは、50mm以上500mm以下とされることが好ましい。
【0079】
断熱部材202の圧力容器側の外周は、流入防止壁204で囲まれている。
図4に、断熱部材を囲う流入防止壁の横断面図を示す。
流入防止壁204は、SOFCカートリッジ203に導入された酸化性ガスが断熱部材202を介して圧力容器205に流入するのを防止できるものである。流入防止壁204は、圧力容器205にある酸化性ガスが断熱部材202を介してSOFCカートリッジ内に流入するのを防止できる。流入防止壁204は、酸化性ガス中に含まれる酸素などの酸化性に対する耐食性を保有する。流入防止壁204は、ガスの透過性を略防止できる材料からなる。流入防止壁204の材料は、限定されるものではないが、ステンレス材、炭素鋼、アルミ合金材、緻密性のあるセラミックス板およびタイル等などとされる。流入防止壁204が耐食性の低い材料からなる場合には、表面を防食塗料などで被覆してもよい。流入防止壁204の厚さは、施工性を考慮して数十ミクロンから10mm程度とすると良い。流入防止壁204は、断熱部材202と接するよう設けられることが好ましい。流入防止壁202は、断熱部材の表面に塗布されたコーキング材であってもよい。
【0080】
図5〜8に、流入防止壁204の設置例を示す。
図5は、説明の簡略化のため、断熱部材202の上面の流入防止壁204の記載を省略している。
図6は、断熱部材202と流入防止壁204の一部を抜き出した図である。
【0081】
流入防止壁204は、断熱部材202に密着するように設置されることが好ましい。厚さの薄い流入防止壁204は、接着剤を用いて断熱部材202に接着させることができる。厚さの薄い流入防止壁204は、帯状としたものを断熱部材202の外周に巻き付け、帯の重なった面Fで接着または圧着させてもよい(
図5)。
【0082】
厚さの厚い流入防止壁204は、ピンやボルトなどの固定具206を用いて断熱部材202に固定することができる(
図6)。
【0083】
流入防止壁204は、断熱部材202の大きさに合わせて箱状に形成したものを、断熱部材202に被せてもよい(
図7)。
【0084】
断熱部材202に囲まれたSOFCカートリッジが、支柱216によって支えられている場合、流入防止壁204は、支柱216に固定されてもよい(
図8)。
【0085】
ここで、本実施形態においては、複数のSOFCカートリッジ203が集合化されて圧力容器205に収納される態様について説明しているが、これに限られず例えば、SOFCカートリッジ203が集合化されずに圧力容器205内に収納される態様とすることもできる。
【0086】
SOFCカートリッジ203は、
図3に示す通り、複数のセルスタック101と、発電室215と、燃料ガス供給室217と、燃料ガス排出室219と、酸化性ガス供給室221と、酸化性ガス排出室223とを有する。また、SOFCカートリッジ203は、上部管板225aと、下部管板225bと、上部断熱体227aと、下部断熱体227bとを有する。なお、本実施形態において、SOFCカートリッジ203は、燃料ガス供給室217と燃料ガス排出室219と酸化性ガス供給室221と酸化性ガス排出室223とが
図3のように配置されることで、燃料ガスと酸化性ガスとがセルスタック101の内側と外側とを対向して流れる構造となっているが、必ずしもこの必要はなく、例えば、セルスタックの内側と外側とを平行して流れる、または酸化性ガスがセルスタックの長手方向と直交する方向へ流れるようにしても良い。
【0087】
発電室215は、上部断熱体227aと下部断熱体227bとの間に形成された領域である。この発電室215は、セルスタック101の燃料電池セル105が配置され、燃料ガスと酸化性ガスとを電気化学的に反応させて発電を行う領域である。この発電室215のセルスタック101長手方向の中央部付近での温度は、SOFCモジュール201の定常運転時に、およそ700℃〜1100℃の高温雰囲気となる。
【0088】
燃料ガス供給室217は、SOFCカートリッジ203の上部ケーシング229aと上部管板225aとに囲まれた領域である。また、燃料ガス供給室217は、上部ケーシング229aに備えられた燃料ガス供給孔231aによって、図示しない燃料ガス供給経路と連通されている。燃料ガス供給室217には、セルスタック101の一方の端部が、セルスタック101の基体管105の内部が燃料ガス排出室219に対して開放して配置されている。この燃料ガス供給室217は、図示しない燃料ガス供給経路から燃料ガス供給孔231aを介して供給される燃料ガスを、複数のセルスタック101の基体管105の内部に略均一流量で導き、複数のセルスタック101の発電性能を略均一化させるものである。
【0089】
燃料ガス排出室219は、SOFCカートリッジ203の下部ケーシング229bと下部管板225bとに囲まれた領域である。燃料ガス排出室219は、下部ケーシング229bに備えられた燃料ガス排出孔231bによって、図示しない燃料ガス排出経路と連通されている。燃料ガス排出室219には、セルスタック101の他方の端部が、セルスタック101の基体管105の内部が燃料ガス排出室219に対して開放して配置されている。この燃料ガス排出室219は、複数のセルスタック101の基体管105の内部を通過して燃料ガス排出室219に供給される排燃料ガスを集約して、燃料ガス排出孔231bを介して図示しない燃料ガス排出経路に導くものである。
【0090】
SOFCモジュール201の発電量に対応して所定ガス組成と所定流量の酸化性ガスを酸化性ガスの導入経路を介して、複数のSOFCカートリッジ203へ導入する。酸化性ガス供給室221は、SOFCカートリッジ203の下部ケーシング229bと下部管板225bと下部支持体227bとに囲まれた領域である。酸化性ガス供給室221は、下部ケーシング229bに備えられた酸化性ガス供給孔233aによって、図示しない酸化性ガスの導入経路と連通されている。この酸化性ガス供給室221は、図示しない酸化性ガスの導入経路から酸化性ガス供給孔233aを介して供給される所定流量の酸化性ガスを、後述する酸化性ガス供給隙間235aを介して発電室215に導くものである。
【0091】
酸化性ガス排出室223は、SOFCカートリッジ203の上部ケーシング229aと上部管板225aと上部断熱体227aとに囲まれた領域である。酸化性ガス排出室223は、上部ケーシング229aに備えられた酸化性ガス排出孔233bによって、図示しない酸化性ガスの排出経路と連通されている。この酸化性ガス排出室223は、発電室215から、後述する酸化性ガス排出隙間235bを介して燃料ガス排出室223に供給される排酸化性ガスを、酸化性ガス排出孔233bを介して図示しない酸化性ガスの排出経路に導くものである。
【0092】
上部管板225aは、上部ケーシング229aの天板と上部断熱体227aとの間に、上部管板225aと上部ケーシング229aの天板と上部断熱体227aとが略平行になるように、上部ケーシング229aの側板に固定されている。上部管板225aは、SOFCカートリッジ203に備えられるセルスタック101の本数に対応した複数の孔を有し、該孔にはセルスタック101が夫々挿入されている。この上部管板225aは、複数のセルスタック101の一方の端部をシール部材及び接着部材のいずれか一方又は両方を介して気密に支持すると共に、燃料ガス供給室217と酸化性ガス排出室223とを隔離するものである。
【0093】
下部管板225bは、下部ケーシング229bの底板と下部断熱体227bとの間に、下部管板225bと下部ケーシング229bの底板と下部断熱体227bとが略平行になるように下部ケーシング229bの側板に固定されている。下部管板225bは、SOFCカートリッジ203に備えられるセルスタック101の本数に対応した複数の孔を有し、該孔にはセルスタック101が夫々挿入されている。この下部管板225bは、複数のセルスタック101の他方の端部をシール部材及び接着部材のいずれか一方又は両方を介して気密に支持すると共に、燃料ガス排出室219と酸化性ガス供給室221とを隔離するものである。
【0094】
上部断熱体227aは、上部ケーシング229aの下端部に、上部断熱体227aと上部ケーシング229aの天板と上部管板225aとが略平行になるように配置され、上部ケーシング227aの側板に固定されている。上部断熱体227aには、SOFCカートリッジ203に備えられるセルスタック101の本数に対応して、複数の孔が設けられている。この孔の直径はセルスタック101の外径よりも大きく設定されている。上部断熱体227aは、この孔の内面と、上部断熱体227aに挿通されたセルスタック101の外面との間に形成された酸化性ガス排出隙間235bを有する。
【0095】
この上部断熱体227aは、発電室215と酸化性ガス排出室223とを仕切るものであり、上部管板225aの周囲の雰囲気が高温化し強度低下や酸化性ガス中に含まれる酸化剤による腐食が増加することを抑制する。上部管板225a等はインコネルなどの高温耐久性のある金属材料から成るが、上部管板225a等が発電室215内の高温に晒されて上部管板225a等内の温度差が大きくなることで熱変形することを防ぐものである。また、上部断熱体227aは、発電室215を通過して高温に晒された排酸化性ガスを、酸化性ガス排出隙間235bを通過させて酸化性ガス排出室223に導くものである。
【0096】
本実施形態によれば、上述したSOFCカートリッジ203の構造により、燃料ガスと酸化性ガスとがセルスタック101の内側と外側とを対向して流れるものとなっている。このことにより、排酸化性ガスは、基体管105の内部を通って発電室105に供給される燃料ガスとの間で熱交換がなされ、金属材料から成る上部管板225a等が座屈などの変形をしない温度に冷却されて酸化性ガス排出室223に供給される。また、燃料ガスは、発電室215から排出される排酸化性ガスとの熱交換により昇温され、発電室215に供給される。その結果、ヒーター等を用いることなく発電に適した温度に予熱昇温された燃料ガスを発電室215に供給することができる。
【0097】
下部断熱体227bは、下部ケーシング229bの上端部に、下部断熱体227bと下部ケーシング229bの底板と下部管板225bとが略平行になるように配置され、上部ケーシング227aの側板に固定されている。また、下部断熱体227bには、SOFCカートリッジ203に備えられるセルスタック101の本数に対応して、複数の孔が設けられている。この孔の直径はセルスタック101の外径よりも大きく設定されている。下部断熱体227bは、この孔の内面と、下部断熱体227bに挿通されたセルスタック101の外面との間に形成された酸化性ガス供給隙間235aを有する。
【0098】
この下部断熱体227bは、発電室215と酸化性ガス供給室221とを仕切るものであり、下部管板225bの周囲の雰囲気が高温化し強度低下や酸化性ガス中に含まれる酸化剤による腐食が増加することを抑制する。下部管板225b等はインコネルなどの高温耐久性のある金属材料から成るが、下部管板225b等が高温に晒されて下部管板225b等内の温度差が大きくなることで熱変形することを防ぐものである。また、下部断熱体227bは、酸化性ガス供給室233に供給される酸化性ガスを、酸化性ガス供給隙間235aを通過させて発電室215に導くものである。
【0099】
本実施形態によれば、上述したSOFCカートリッジ203の構造により、燃料ガスと酸化性ガスとがセルスタック101の内側と外側とを対向して流れるものとなっている。このことにより、基体管105の内部を通って発電室215を通過した排燃料ガスは、発電室215に供給される酸化性ガスとの間で熱交換がなされ、金属材料から成る下部管板225b等が座屈などの変形をしない温度に冷却されて燃料ガス排出室219に供給される。また、酸化性ガスは排燃料ガスとの熱交換により昇温され、発電室215に供給される。その結果、ヒーター等を用いることなく発電に必要な温度に昇温された酸化性ガスを発電室215に供給することができる。
【0100】
発電室215で発電された直流電力は、複数の燃料電池セル105に設けたNi/YSZ等からなるリード膜115によりセルスタック101の端部付近まで導出した後に、SOFCカートリッジ203の集電棒(不図示)に集電板(不図示)を介して集電して、各SOFCカートリッジ203の外部へと取り出される。上記集電棒によってSOFCカートリッジ203の外部に導出された電力は、各SOFCカートリッジ203の発電電力を所定の直列数および並列数へと相互に接続され、SOFCモジュール201の外部へと導出されて、図示しないインバータなどにより所定の交流電力へと変換されて、電力負荷へと供給される。
【0101】
次に、本実施形態に係る燃料電池の運転方法を説明する。
まず、SOFCカートリッジ203を囲む断熱部材202の外周側(圧力容器側)に、流入防止壁204を設ける。流入防止壁204は、SOFCカートリッジ203に供給された酸化性ガスが、断熱部材202を介して圧力容器内に流入するのを防止できる。それにより、SOFCカートリッジ203に供給された酸化性ガスが、圧力容器内の圧力調整に費やされずにすむ。結果として、加圧および減圧時に、SOFCカートリッジ203に供給される酸化性ガスの流量と、SOFCカートリッジ203を通過して排出される酸化性ガスの流量とを揃えることが可能となり、SOFCカートリッジ203の温度調整および負荷設定が容易となる。
【0102】
次に、ガスタービンのコンプレッサからの空気(酸化性ガス)を、流出口212を介して圧力容器内に流出させる(供給する)。圧力容器内に流出させた酸化性ガスは、導入経路210に導き、異物分離部214を経由させて異物を分離した後、SOFCカートリッジ203に通気させる。
【0103】
一旦、空気を圧力容器内に入れた後、SOFCカートリッジ203へと導くことで、導入経路210の両端における圧力が略同圧となる。すなわち、圧力容器205およびSOFCカートリッジ203の圧力が略同圧となり、流入防止壁204にかかる圧力を低くすることができる。流入防止壁204は圧力容器205ほどの耐圧性を要しないため、簡易な装置にできる。
【0104】
圧力容器内に入った酸化性ガスは、圧力容器内にある異物を巻き込んで導入経路内へと導かれる可能性がある。本実施形態では、異物分離部214を経由させることで、酸化性ガスから異物を分離できる。
【0105】
SOFCカートリッジ203に導入された酸化性ガスは、SOFCカートリッジ203を通過する過程で、燃料電池セル105で発電に利用される。
【0106】
SOFCカートリッジ203を通過した酸化性ガスは、排出経路211から圧力容器外へと排出される。排気は、燃焼器などで再利用される。
【0107】
〔第2実施形態〕
本実施形態に係る燃料電池について、
図9を参照して説明する。
図9は、本実施形態に係る燃料電池(SOFCモジュール301)の一態様を示す概略構成図である。本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
【0108】
酸化性ガスの供給経路308の一端部は、圧力容器305の外部に設けられている。供給経路308の一端部は、バルブ315を介して酸化性ガス供給源に接続される。本実施形態において、酸化性ガス供給源は、高温の空気を排出するガスタービンのコンプレッサとされる。ここで高温の空気とは、300℃〜500℃程度の空気を指す。
【0109】
供給経路308の他端部は、圧力容器305の底面に接続されている。供給経路308の他端部は、流出口312となっている。流出口312は、酸化性ガス供給源から送られた酸化性ガスを圧力容器内に流出させることができる。
【0110】
SOFCモジュール301の酸化性ガスの供給経路308および導入経路310には、熱交換器316が設けられている。熱交換器316は、供給経路308と導入経路310との間で熱交換を行うことができる。熱交換器316は、供給経路308を流れる酸化性ガスから熱を回収できる。回収した熱は、導入経路310を流れる酸化性ガスを加熱するのに利用される。熱交換器316は、圧力容器305の外部に配置されている。熱交換器316は、熱交換器内外の圧力差に耐えうる耐圧性を有する。
【0111】
熱交換器316で熱を回収して、圧力容器内に流出させる酸化性ガスの温度を下げることで、圧力容器内の温度の上昇を抑えることができる。圧力容器内の温度は、圧力容器305の耐熱温度以下に維持することが好ましい。
一方、導入経路310を流れる酸化性ガスは、回収された熱で昇温させることができる。それにより、発電に適した温度の酸化性ガスをSOFCカートリッジ303へと導入できる。
【0112】
本実施形態に係るSOFCモジュールは、圧力容器昇温手段317を備えている。圧力容器昇温手段317は、バルブ318を介して酸化性ガス供給源に接続されている。圧力容器昇温手段317は、高温の空気を圧力容器内に供給することができる。
圧力容器昇温手段317および酸化性ガスの供給経路308は、バルブにより切り替えることができる。圧力容器内の温度を早く昇温させたい場合には、バルブ315を閉じてバルブ318を開放する。SOFCモジュールを発電させる際には、バルブ315を開放してバルブ318を閉じる。
【0113】
図10に、本実施形態の変形例を示す。
図10に示すように、熱交換器319は、圧力容器305の内部に配置されてもよい。そうすることで、熱交換器319の内外での圧力差がなくなるため、熱交換器319に耐圧性を持たせなくてすむ。
【0114】
〔第3実施形態〕
本実施形態に係る燃料電池について、
図11を参照して説明する。
図11は、本実施形態に係る燃料電池(SOFCモジュール401)の一態様を示す概略構成図である。本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
【0115】
本実施形態において、酸化性ガスを圧力容器内に供給する供給経路408の一端部は、圧力容器405の外部に設けられ、酸化性ガスを供給できる酸化性ガス供給源に接続される。供給経路408の他端部は、圧力容器内に延びている。供給経路408の他端部は、開口した流出口412となっている。流出口412は、酸化性ガス供給源から送られた酸化性ガスを圧力容器内に流出させることができる。
【0116】
圧力容器内に供給された酸化性ガスをSOFCカートリッジ403に導入する導入経路410の一端部は、開口した導入口413を有する。導入口413は、圧力容器内の流出口412と対向する位置に、該流出口412と間隔をあけて配置されている。導入口413は、流出口412から圧力容器内に流出させた酸化性ガスを、導入経路内に導くことができる。導入口413は、SOFCカートリッジ403の近傍、および圧力容器内面近傍から離れた位置に設けられるとよい。それにより、異物の吸い込みを避けることができる。導入口413は、圧力容器405の上部に、開口を下向きにして設置されてもよい。
【0117】
導入経路410の他端部は、分岐されて副経路となっている(不図示)。複数の副経路は、それぞれ複数のSOFCカートリッジ403に接続されている。
【0118】
本実施形態において、導入経路410はすべて圧力容器405の内部に収まっている。そのため、SOFCモジュール401を単純な構造にできる。
【0119】
酸化性ガスは、一旦圧力容器内に流出させた後、SOFCカートリッジ403へと導くため、圧力容器405とSOFCカートリッジ403との圧力を略同圧にできる。
【0120】
図12に、本実施形態の変形例を示す。
図12に示すように、導入経路410の一端部が、供給経路408の途中に接続されてもよい。本変形例によれば、供給経路408を流れる酸化性ガスは、一部が導入経路410に導かれ、一部が流出口414から圧力容器内に流出する。圧力容器405とSOFCカートリッジ403との圧力が略同圧となる。
【0121】
〔第4実施形態〕
本実施形態に係る燃料電池について、
図13を参照して説明する。
図13は、本実施形態に係る燃料電池(SOFCモジュール501)の一態様を示す概略構成図である。本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
【0122】
本実施形態において、酸化性ガス流路は、酸化性ガス供給源から送り出された酸化性ガスをSOFCカートリッジに導入する導入経路510と、SOFCカートリッジに通気された酸化性ガスを圧力容器内に排出する排出経路511とを備えている。導入経路510および排気経路511は、それぞれ複数の副経路を有する(不図示)。
【0123】
導入経路510の一端部は、圧力容器505の外部に設けられ、酸化性ガス供給源に接続される。
【0124】
導入経路510の他端部は、分岐されて副経路となっている(不図示)。複数の副経路は、それぞれ複数のSOFCカートリッジに接続されている。
【0125】
排出経路511の一端部は、分岐されて副経路となっている(不図示)。複数の副経路は、それぞれ複数のSOFCカートリッジ503に接続されている。
【0126】
排出経路511の他端部は、圧力容器505の外部に配置されている。排出経路511の他端部は、圧力容器外で燃焼器などに接続されてもよい。排出経路511は、SOFCカートリッジ503から排出される排酸化性ガスを圧力容器505の外部に導くものである。
【0127】
排出経路511は、圧力容器内で分岐された分岐路513を有する。分岐路513の端部は開口され、流出口512となる。流出口512は、SOFCカートリッジ503から排出された酸化剤ガスを圧力容器内へと流出できる。それにより、圧力容器505とSOFCカートリッジ503の圧力を略同圧にできる。
【0128】
本実施形態において、導入経路510および排出経路511には、熱交換器516が設けられている。熱交換器516は、導入経路510と排出経路511との間で熱交換を行うことができる。熱交換器516は、排出経路511を流れる酸化性ガスから熱を回収できる。回収した熱は、導入経路510を流れる酸化性ガスを加熱するのに利用される。熱交換器516は、圧力容器505の内部に配置されるとよい。
【0129】
SOFCモジュール501は、定常運転時に、およそ700℃〜1100℃の高温雰囲気となる。そのため、SOFCカートリッジ503から排出された酸化性ガスをそのまま圧力容器505へと流出させると、圧力容器内の温度が耐熱温度を超えてしまうおそれがある。本実施形態では、SOFCカートリッジ503から排出された酸化性ガスの熱を熱交換器516で回収できる。それにより、圧力容器内の温度の上昇を抑えることができる。
【0130】
一方、導入経路510を流れる酸化性ガスは、回収された熱で昇温させることができる。それにより、発電に適した温度の酸化性ガスをSOFCカートリッジ503へと導入できる。