(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記翻訳対のうちの少なくとも1つの原文及び訳文は、複数の特定の単語に関連付けられた変数を用いて表現され、前記変数は、前記翻訳実行部によって、前記第2言語の運賃規則の生成の際に所定の規則に従って所定の単語に変換される、請求項1又は2に記載の運賃規則翻訳システム。
ユーザシステムから翻訳リクエストを受信し、前記第2言語の運賃規則をXML形式又はHTML形式のデータに変換して送信するインターフェース部をさらに備える請求項1乃至4のいずれか1項に記載の運賃規則翻訳システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照ながら本発明の一実施形態を説明する。本実施形態は、第1言語の運賃規則を第2言語の運賃規則に翻訳する運賃規則翻訳システムであり、この運賃規則翻訳システムは、航空券予約発券システム(GDS)に適用される。本実施形態では、第1言語を英語、第2言語を日本語として説明するが、他の言語の翻訳に適用することも可能である。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る運賃規則翻訳システム10の全体構成図である。運賃規則翻訳システム10は、インターネットを介して、GDSホスト11及び旅行会社システム12に接続されている。GDS(Global Distribution System)とは、世界中の航空会社と旅行会社がオンラインで接続された航空・旅行関連商品の予約発券システムのことであり、例えば、セーバー、ガリレオ、アマデウス、ワールドスパンなどが知られる。GDSホスト11は、旅行会社システム12に対して、航空券の空席照会、予約作成、最安運賃の旅程検索などのGDSサービスを提供するホストコンピュータである。GDSホスト11には、GDSサービスを提供する上で必要となるデータが格納されており、そのデータには運賃規則の正文も含まれている。運賃規則は、商品によって数多くの種類があり、例えば、NH(全日本空輸)の日本発海外行きの商品に限っても1000種類以上の運賃規則が存在する。運賃規則の正文の多くは、英語で記載された英文運賃規則である。
図2にGDSホスト11に格納されている英文運賃規則の一例を示す。
【0016】
旅行会社システム12は、旅行会社が開発したアプリケーションであり、例えば旅行会社のオンライン予約サイトである。旅行会社システム12は、インターネットを介してGDSホスト11に接続されており、航空券の予約・発券などのGDSサービスを一般消費者に提供する。一般消費者は、例えば、旅行会社システム12であるオンライン予約サイトを利用して航空券の予約・発券を行うことができる。なお、図示されないが、運賃規則翻訳システム10は、インターネットを介して異なる複数の旅行会社システム12に接続されており、各旅行会社システム12に対してGDSサービスを提供することが可能である。
【0017】
運賃規則翻訳システム10は、データベースサーバ110とWEBサーバ120とを備えており、航空運賃に係る英文運賃規則を日本語に翻訳することが可能である。運賃規則翻訳システム10は、旅行会社システム12から運賃規則表示リクエストを受け付け、GDSホスト11から翻訳対象となる英文運賃規則を取得し、取得した英文運賃規則を日本語に翻訳して、旅行会社システム12に日本語運賃規則を返却する。
【0018】
データベースサーバ110は、コードデータ記憶部111、辞書データ記憶部112、翻訳対記憶部113、翻訳提供データ記憶部114、ユーザ運賃規則記憶部115を備えている。これら各記憶部は、データベースサーバ110に備えられたHDDやメモリ等の記憶装置から構成される。
【0019】
コードデータ記憶部111には、運賃規則で用いられるレターコードとそれに対応する日本語名称が関連付けられて記憶されている。
図3に示されるように、レターコードは、航空会社コード、空港・都市コード、国コード、通貨コードを含む。各コードは、対応する日本語名称に加えて、英語名称や所属地域などの他の情報を有しても良い。
【0020】
辞書データ記憶部112には、辞書用語として、運賃規則で用いられる頻度が高い単語(一連の単語を含む)とそれに対応する日本語の単語が関連付けられて記憶されている。使用頻度の高い用語としては、特に国名、都市名であり、例えば、“UNITED STATES OF AMERICA”は“アメリカ合衆国”に、“HONG KONG SAR CHINA”は“香港”に、“HAWAII”は“ハワイ”に関連付けられる。
【0021】
翻訳対記憶部113には、複数の翻訳メモリ301が記憶されている。
図4に示すように、各翻訳メモリ301は、英文運賃規則で用いられる一連の単語からなる原文と、原文に対応する日本語の訳文とのセットを含む。英文運賃規則において、「単語」とは、スペースまたは改行で区切られた文字列のことである。また、「一連の単語」とは、意味上の言葉のかたまりのことであり、ある特定の内容に関連するひとまとまりの語句のことを指す。「一連の単語」は、ピリオドで終結する1つの文を構成する場合があり、1つの文のうちの一続きの部分を構成する場合もある。翻訳メモリ301は、さらに、メモリID、航空会社コード、運賃種別コード(FareBasis)、原文ハッシュ、更新日時などを含んでも良い。なお、翻訳メモリ301は、運賃規則翻訳システム10の管理者によって、WEBサーバ120に備えられた翻訳メモリ登録手段(不図示)を使用して、翻訳対記憶部113に予め登録される。
【0022】
また、翻訳メモリ301に含まれる原文、訳文では、翻訳メモリ変数と呼ばれる「変数」を使用することができる。翻訳メモリ301に含まれる原文及び訳文のうちの可変部分、例えば、通貨や日付などは、翻訳メモリ変数に置き換えられて表現される。翻訳メモリ変数は、複数の特定の単語に対してマッチング可能な単語であり、変数所定の翻訳規則に基づいて対訳がなされる。翻訳メモリ変数は、角括弧[]で囲まれて表される。翻訳メモリ変数には、例えば、
図4に示される通貨変数311、日付変数312、期間変数313、曜日変数315をはじめ、国コード変数、都市コード変数、エリア変数、辞書変数、国名変数、都市名変数、航空会社コード変数、パーセント変数、年齢変数、数字変数、汎用変数、汎用変数(複数単語)が含まれる。また、各翻訳メモリ変数は、
図4の翻訳メモリ2の日付変数312のように、「変数1」、「変数2」として複数使用することが可能である。
【0023】
通貨変数311は、通貨コードと金額のペアからなる文字列({通貨コード}{金額})のいずれの文字列ともマッチング可能であり、翻訳の際に、({金額}{日本語通貨名称})に変換される。変換に使用される日本語通貨名称は、コードデータ記憶部111に記憶されている通貨コードデータを参照して決定される。例えば、英文運賃規則“CHARGE JPY22500 FOR CHILD.”は、その “JPY22500”の部分が“{通貨コード}{金額}”に一致するため、
図4の翻訳メモリ1とマッチングされて、翻訳メモリ1の訳文は“小児{金額}{日本語通貨名称}。”すなわち、“小児22,500円。”に翻訳される。
【0024】
日付変数312は、何れの英語形式の日付表示ともマッチング可能であり、翻訳の際に、英語形式の日付表記{DDMMMYY}、{DDDMM}が、日本形式の日付表記{YYYY年M月D日}、{M月D日}に変換される。例えば、運賃規則“TICKETS MUST BE ISSUED ON/AFTER 20DEC12 AND ON/BEFORE 30SEP13.”は、その “20DEC12”及び“30SEP13”の部分が“{DDMMMYY}”に一致するため、
図4の翻訳メモリ2とマッチングされて、翻訳メモリ2の訳文は“2012年12月20日〜2013年9月30日に発券すること。”に翻訳される。
【0025】
翻訳メモリの例として上述した辞書変数は、辞書データ記憶部112に記憶された何れの辞書用語ともマッチング可能である。マッチした辞書用語は、辞書データ記憶部112を参照して対応する日本語の用語に変換される。例えば、英文運賃規則の “UNITED STATES OF AMERICA”は、辞書データで関連付けられた“アメリカ合衆国”に変換される。
【0026】
翻訳メモリの例として上述した他の翻訳メモリ変数も同様に、変数名に対応した特定の可変単語とマッチング可能である。例えば、国コード変数は{国コード}、都市コード変数は{都市コード}、エリア変数{エリア}、国名変数は{国名}、都市名変数は{都市名}、航空会社コード変数は{航空会社コード}、期間変数313は({数値}{期間単位})、曜日変数315は{曜日}、パーセント変数は({数値}{PERCENT})、年齢変数は({数値}{年齢文字列})、数字変数は{数値}、汎用変数は{任意の1単語}、汎用変数(複数単語)は、{任意の複数単語}とそれぞれマッチング可能である。翻訳メモリ変数は、翻訳の際に、必要に応じてコードデータ記憶部111、辞書データ記憶部112に記憶されたデータに基づいて、変数独自の翻訳規則に従って日本語の単語に変換される。
【0027】
翻訳提供データ記憶部114には、翻訳対象となる運賃規則のカテゴリ番号がユーザID、航空会社コードなどと関連付けられて記憶されている。これらの翻訳提供データは、ユーザに対してカテゴリごとに翻訳文の提供可否の判断を行う場合や、同一の原文に対して航空会社特有の翻訳文を提供する場合に使用される。
【0028】
ユーザ運賃規則記憶部115には、ユーザ独自の翻訳文が運賃規則のカテゴリ単位で記憶される。本発明において、「ユーザ」とは、運賃規則翻訳システム10の直接的な利用者、すなわち、旅行会社システム12を指す。ユーザ独自の翻訳文は、ユーザID、航空会社コード、旅行開始日、出発地、目的地などと関連付けられて記憶される。運賃規則の文章自体を記憶させる代わりに、運賃規則が記載された遷移先ページのURLを記憶させるようにしても良い。ユーザ独自の運賃規則は、旅行会社システム12の管理者によって、WEBサーバ120に備えられたユーザ運賃規則登録手段(不図示)を使用して、ユーザ運賃規則記憶部115に予め登録される。
【0029】
WEBサーバ120は、インターフェース部121、運賃規則取得部122、翻訳対取得部123、翻訳実行部124を備えている。これら各部の機能は、WEBサーバ120に備えられたCPU等の演算装置とメモリ等の一時記憶装置によって実現される。
【0030】
インターフェース部121は、旅行会社システム12から運賃規則表示リクエストを受信して、運賃規則表示リクエストからリクエストパラメータを取得する。運賃規則表示リクエストは、具体的にはHTTPSリクエストであり、運賃規則の翻訳文をXMLまたはHTMLのいずれかのデータ形式でレスポンスとして返すことを要求する。HTTPSリクエストは、例えばユーザID、運賃種別コード(FareBasis)、航空会社コード、旅行開始日、出発地、目的地をパラメータとして含む。HTTPSリクエストは、さらに、返却カテゴリ番号、訳文の言語区分などのパラメータを含んでも良い。受信されたリクエストパラメータは、運賃規則取得部122、翻訳対取得部123に渡される。
【0031】
運賃規則取得部122は、インターフェース部121から渡されたリクエストパラメータに基づいて運賃規則の原文が必要か否かを判断し、運賃規則の原文が必要であると判断した場合には、運賃規則の原文(英文運賃規則)をGDSホスト11から取得する。英文運賃規則をGDSホスト11から取得する代わりに、データベースサーバ110に運賃規則記憶部を設けて英文運賃規則を記憶させておき、データベースサーバ110から英文運賃規則を取得するようにしても良い。
【0032】
翻訳対取得部123は、インターフェース部121から渡されたリクエストパラメータに基づいて、マッチングに使用される複数の翻訳メモリを翻訳対記憶部113から抽出する。複数の翻訳メモリは、同一の原文を含む翻訳メモリを重複して含まないように抽出される。
【0033】
翻訳実行部124は、運賃規則取得部122によって取得された英文運賃規則と、翻訳対取得部123によって抽出された複数の翻訳メモリとをマッチングさせて、英文運賃規則の翻訳文を生成する。
【0034】
インターフェース部121は、翻訳実行部124によって生成された運賃規則の翻訳文をXMLまたはHTMLのデータ形式で旅行会社システム12に送信する。翻訳文のデータ形式は、旅行会社システム12からの運賃規則翻訳リクエストに応じて決定される。インターフェース部121によって返される翻訳文は、旅行会社システム12からのリクエストに対するレスポンスである。
【0035】
続いて、
図5を参照しながら本実施形態における運賃規則翻訳方法を説明する。
【0036】
図5は、WEBサーバ120において実行される各処理の流れを示すフローチャートである。これらの処理は、運賃規則翻訳システム10が旅行会社システム12から運賃規則表示リクエストを受信したときに開始される。運賃規則表示リクエストは、例えば、
図6(a)に示されるような旅行会社システム12である航空券予約サイトの予約内容確認画面において、「運賃規則表示」のリンク601が押下された時に、運賃規則翻訳システム10に送信される。なお、
図6(b)は、「運賃規則表示」のリンク601を押下された後に表示される日本語の運賃規則表示の例である。
【0037】
図5に戻って説明すると、まず、インターフェース部121は、旅行会社システム12(ユーザ)から送信された運賃規則表示リクエストを受け付ける(S0)。運賃規則表示リクエストは、XMLリクエスト、またはHTMLリクエストのいずれかである。インターフェース部121は、受信した運賃規則表示リクエストから、パラメータとして、ユーザID、運賃種別コード(FareBasis)、航空会社コード、旅行開始日、出発地、目的地、カテゴリ番号を取得する(S1)。取得した各パラメータは、以下の処理において使用される。
【0038】
次に、運賃規則取得部122は、パラメータ(ユーザID、FareBasis、航空会社コード、旅行開始日、出発地、目的地、カテゴリ番号)に基づいて、ユーザ運賃規則記憶部115からユーザ運賃規則の取得を試みる(S2)。表示リクエストを受けた運賃規則に対するユーザ運賃規則、すなわちユーザ独自の翻訳文がユーザ運賃規則記憶部115に登録されている場合、運賃規則取得部122は、該当するユーザ運賃規則を取得して、処理は運賃規則レスポンス作成(S6)に進む。該当するユーザ運賃規則が運賃規則記憶部115に登録されていない場合、処理は英文運賃規則取得(S3)に進む。
【0039】
該当するユーザ運賃規則が登録されていない場合、運賃規則取得部122は、パラメータ(FareBasis、航空会社コード、旅行開始日、出発地、目的地)に基づいて、表示リクエストを受けた運賃規則の原文(英文運賃規則)をGDSホスト11から取得する(S3)。
図2において英文運賃規則の一例が示されている。
【0040】
さらに、運賃規則取得部122は、取得した英文運賃規則をカテゴリ毎に分割する。例えば、以下の手順により、英文運賃規則から「カテゴリ番号」、「カテゴリタイトル」、「カテゴリ本文」を取得する。
1.行の先頭から3文字目がピリオド“.”の場合、その行をタイトル行とする。
2.タイトル行の先頭2文字を「カテゴリ番号」21、4文字目以降を「カテゴリタイトル」22とする。
3.タイトル行から次のタイトル行または文末までを「カテゴリ本文」23とする。
【0041】
なお、英文運賃規則をカテゴリ毎に分割する方法は上述の手順に限定されるものではない。GDSによって英文運賃規則のレスポンスフォーマットが異なるため、英文運賃規則の取得先となるGDSホスト11のレスポンスフォーマットに応じた手順を使用するものとする。
【0042】
さらに、運賃規則取得部123は、パラメータ(ユーザID、航空会社コード)に基づいて、翻訳提供データ記憶部114から翻訳提供可能なカテゴリ番号を取得する。運賃規則取得部123は、取得した翻訳提供可能カテゴリ番号とユーザからのリクエストパラメータ(カテゴリ番号)とを比較して、ユーザに提供する翻訳カテゴリを決定する(S4)。
【0043】
次に、翻訳実行部124は、英文運賃規則のうちの上記ステップ4で決定されたカテゴリに対して、翻訳を実行する。まず、翻訳実行部124は、パラメータ(航空会社コード、FareBasis)に基づいて、マッチングに使用するための複数の翻訳メモリを翻訳対記憶部113から抽出する(S51)。
【0044】
図7(a)〜(d)は、ステップ51の翻訳メモリ抽出方法を詳しく説明するための図である。例として、パラメータ(航空会社コード「NH」、FareBasis「QWKWRCI」)に基づいて、翻訳実行部124によって翻訳メモリが抽出される様子が示されている。
【0045】
まず、翻訳メモリ記憶部113から航空会社コード「NH(空文字列を含む)」の条件に一致する翻訳メモリを取得する(
図7a)。取得した翻訳メモリには、原文ハッシュ、メモリID、原文、訳文、航空会社コード、FareBasis、更新日時が含まれる。取得した翻訳メモリは、更新日時で昇順にソートされていることが好ましい。
【0046】
次に、取得した翻訳メモリのうち、FareBasis「QKWRCI(空文字列を含む)」の条件に一致しない翻訳メモリ(ID62)を削除する(
図7b)。FareBasisには、ワイルドカード(*:任意の1文字、−:任意の複数文字)を使用することができる。同じ原文に対して異なるFareBasisを有する翻訳メモリが複数残った場合、以下の優先規則に従って、さらに翻訳メモリの絞り込みを行う(
図7c)。
1.特定文字(ワイルドカードを除く文字)が多いものを優先
2.「−」より「*」を優先
3.先頭が特定文字のものを優先
【0047】
次に、同じ原文に対して、航空会社コードを持つ翻訳メモリ(ID05)と航空会社コードを持たない(空文字列)翻訳メモリ(ID28)がある場合、航空会社コードを持たない翻訳メモリ(ID28)を消去する(
図7d)。最終的に、原文に対して訳文が一に定まる(原文が重複しない)複数の翻訳メモリが得られる。これら複数の翻訳メモリは、後述のステップ54でマッチングに使用される。
【0048】
翻訳メモリを抽出した後、翻訳実行部124は、運賃規則取得部122が取得した英文運賃規則(原文)から原文単語リストを作成する(S52)。原文単語リストは、英文運賃規則をスペースと改行で分割して作成される。具体的には、以下の手順に従う。
A)まず、英文運賃規則を改行コードで区切って行に分割する。改行コードは、CRLF(Carriage Return Line Feed)、LF(Line Feed)、CR(Carriage Return)を含む。続いて、分割した行ごとに以下a)〜d)の手順で単語リストを作成する。
a)単語の前にあるスペース、行末単語の後にある改行コードは保持する。ただし、行末単語と改行コードの間にあるスペース、“¥”は削除する。
分割前 [ keep spaces and line breaks. \ %LF]
分割後 [ keep], [ spaces], [ and], [line], [breaks.%LF]
b)スペース、“−”、“/”のみの行(罫線)は無視する。(単語リストに含まれない)
無視 [ -------/////------- %LF]
c)行末が“[アルファベット]−”で終わっており、次行が存在し、次行の単語がアルファベットで始まっている場合(単語前のスペースを除去して判定)、単語が途中で改行されているものとして、単語を結合する。
行N [ trans- %LF]
行N+1 [ lator. %LF]
結合 [ translator.%LF]
d)行末が“[アルファベット・数字]/”で終わっており、次行が存在し、次行の単語がアルファベット・数字で始まっている場合(単語前のスペースを除去して判定)、スラッシュで分割された単語が途中で改行されているものとして、単語を結合する。
行N [ USD 100.0/ %LF]
行N+1 [ JPY 10000. %LF]
結合 [ USD 100.0/JPY 10000.%LF]
【0049】
次に、翻訳実行部124は、抽出した複数の翻訳メモリから翻訳メモリ辞書を構築する(S53)。
図8(a)は翻訳メモリ辞書の一例であり、
図8(b)に示される翻訳メモリから構築される。翻訳メモリ辞書とは、複数の翻訳メモリがツリー状のデータ構造で一時記憶されたものである。翻訳メモリ辞書の末端ノードである葉ノード803には、各翻訳メモリ(01〜04)が登録される。翻訳メモリ辞書の最上位ノードである根ノード801から葉ノードに至る一連の中間ノード802には、各翻訳メモリの原文が単語ごとに順次登録される。なお、
図8においては便宜上符号を一部省略している。
【0050】
次に、翻訳実行部124は、ステップ52で作成した英文運賃規則の原文単語リストを、ステップ53で作成した翻訳メモリ辞書を用いて1行ごとにマッチングさせる(S54)。1行ごとのマッチングにおいては、行の先頭から単語毎にマッチングを行う。
【0051】
例えば、
図8(c)の入力文である単語リスト「AAA BBB EEE HHH III」を
図8(a)の翻訳メモリ辞書を用いてマッチングさせる場合、翻訳メモリ辞書のルートノードから末端ノードに向けて順次マッチングを行う。翻訳ツリー辞書のルートノードから中間ノードAAA、BBB、EEEと辿り、1回目のマッチングとして翻訳メモリ02が選択される。経路選択の際には、変数単語よりも通常単語(変数以外の文字)を優先する。
【0052】
マッチングがあった場合、翻訳実行部124は、マッチした翻訳メモリから訳文を取得する。翻訳メモリの原文、訳文に変数単語が使用されている場合、変数単語は、所定の規則に従って所定の単語に変換された後に取り出される。運賃規則の全ての行のマッチングを行い、運賃規則の翻訳文を生成して、翻訳処理は終了する。
【0053】
なお、1回のマッチングにおいて、
図9(a)に示されるように、入力文に対して複数の翻訳メモリが同時にマッチする場合がある。そのような場合には、翻訳メモリの通常単語(変数以外の単語)の多い方、マッチした単語数の多い方、優先度パラメータの高い方、の順番で翻訳メモリを選択する。例えば、翻訳メモリ01〜04が同時にマッチした場合、通常単語数が最大の翻訳メモリ01を選択する。翻訳メモリ02〜04が同時にマッチした場合、通常単語数が最大の翻訳メモリ02を選択する。翻訳メモリ03〜04が同時にマッチした場合、通常単語数及びマッチした単語数が同じであるため、優先度パラメータが大きい翻訳メモリ04を選択する。優先度パラメータには、例えば、翻訳メモリの更新日時を用いる。
【0054】
また、翻訳メモリにマッチした単語数が入力文となる単語リストの単語数より小さい場合(つまり、入力文にさらに続きがある場合)、
図9(b)に示されるように、マッチした最後の単語の次の単語(マッチした単語数+1の単語)から再度マッチングを行い、入力文の文末単語まで繰り返しマッチングさせる。例えば、
図8(c)の例においては、入力文「AAA BBB EEE HHH III」に対して、1回目のマッチングで翻訳メモリ02が選択され、2回目のマッチングで翻訳メモリ04が選択される。
【0055】
なお、入力文がどの翻訳メモリにもマッチしない場合は、入力文の先頭単語をスキップして次の単語からマッチングを再開する。スキップした単語は、英語のまま訳文とするか訳文を省略する。
【0056】
翻訳実行部124によって運賃規則の翻訳文が生成されると、インターフェース部121は、生成された運賃規則の翻訳文から運賃規則レスポンスを作成する(S6)。運賃規則レスポンスは、旅行会社システム12(ユーザ)からのリクエストに応じて、XMLまたはHTMLのデータ形式で作成された、リクエストに対するレスポンスとしての運賃規則の翻訳文である。運賃規則レスポンスには、運賃規則の翻訳文に加えて、運賃規則の原文、ユーザ運賃規則が適用されたか否か、エラー関連情報など、各種の情報が付加されても良い。
【0057】
さらに、インターフェース部121は、ステップ6で作成した運賃規則レスポンスを、旅行会社システム12に返却し(S7)、
図5に示されたフローチャートの処理は終了する。運賃規則レスポンスが旅行会社システム12によって受信されると、例えば
図6(b)に示される運賃規則表示が旅行会社システム12の予約内容確認画面に表示される。
【0058】
このように、本発明によれば、専門用語を正確に翻訳した翻訳対(翻訳メモリ)を使用することにより、運賃規則を正確に翻訳することが可能となる。さらに、本発明によれば、翻訳対象となる運賃規則の原文を翻訳のたびに取得して翻訳することにより、常に最新の運賃規則を生成することが可能となる。
【0059】
また、本発明においては、翻訳メモリの原文、訳文に「変数」を使用することができるため、少ない翻訳メモリで多くの運賃規則を翻訳することが可能となる。例えば、現在、全日本空輸(NH)の日本発海外行きの商品のうち、カテゴリ(06.必要旅行日数)の運賃規則は15種類存在し、これらの15種類の運賃規則は、
図4に示される3つの翻訳メモリ(3〜5)の組み合わせにより全て翻訳可能である。
【0060】
また、本発明においては、運賃規則の翻訳文をXML形式またはHTML形式でユーザシステムに返却することができるため、ユーザシステム側で自由に表示方法を自由にカスタマイズすることが可能となり、またはユーザシステム側の開発の負担を軽減することが可能となる。
【0061】
本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施可能である。例えば、運賃規則翻訳システムの各構成部やフローチャートの各ステップを1つに結合、あるいは分割することが可能であり、また、運賃規則翻訳システムを分散配置された複数のコンピュータで構成することも可能である。
【0062】
さらに、本発明の態様はシステム(装置)に限定されない。本発明の別の態様は、例えば、コンピュータによる運賃規則翻訳方法であり、その方法をコンピュータに実現させるプログラムであり、そのプログラムを記録したコンピュータ可読媒体である。