特許第6165688号(P6165688)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6165688
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】歪計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/30 20060101AFI20170710BHJP
   G01B 11/30 20060101ALI20170710BHJP
   B21C 51/00 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
   G01B21/30 101Z
   G01B11/30 Z
   B21C51/00 R
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-163861(P2014-163861)
(22)【出願日】2014年8月11日
(65)【公開番号】特開2016-38363(P2016-38363A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2016年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】在原 広敏
(72)【発明者】
【氏名】山内 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】米田 哲平
【審査官】 ▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−130393(JP,A)
【文献】 特開平05−164548(JP,A)
【文献】 特開昭49−018349(JP,A)
【文献】 特開平08−021716(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0283864(US,A1)
【文献】 特開2014−169896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 21/00−21/32
G01B 11/00−11/30
G01L 5/00− 5/28
B21C 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の板の板幅方向の歪分布を計測する歪計測装置であって、
前記板幅方向に複数並べて配置され、前記板の振動の振幅を計測する非接触式の振動センサと、
検出範囲内での、前記板幅方向における前記板のエッジの有無を検出する非接触式のエッジセンサと、
複数の前記振動センサを前記板幅方向に平行移動させる蛇行追従機構と、
複数の前記振動センサどうしの前記板幅方向の間隔を変える板幅追従機構と、
前記エッジセンサの検出結果を用いて、前記板の蛇行量および板幅に応じて、前記蛇行追従機構および前記板幅追従機構の動作を制御する制御装置と、
を備え
前記蛇行追従機構は、フレームに支持され、
前記蛇行追従機構は、前記フレームに対して前記板幅方向に移動可能である蛇行追従用フレームを備え、
前記板幅追従機構は、前記蛇行追従用フレームに取り付けられ、
前記板幅追従機構の前記板幅方向の中央部は、前記蛇行追従用フレームに対して固定され、
前記板幅追従機構は、複数のリンク部材を組み合わせた機構により、前記振動センサの間隔を等間隔に保ちながら、前記振動センサの間隔を拡大および縮小させる、歪計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の歪計測装置であって、
前記制御装置は、
前記エッジセンサから出力されたエッジ計測信号が入力される信号入力部と、
前記信号入力部に入力された前記エッジ計測信号を用いて前記蛇行量を算出する蛇行演算部と、
前記信号入力部に入力された前記エッジ計測信号を用いて前記板幅を算出する板幅演算部と、
前記蛇行演算部により算出された前記蛇行量に基づいて前記蛇行追従機構を駆動させる蛇行追従制御部と、
前記板幅演算部により算出された前記板幅に基づいて前記板幅追従機構を駆動させる板幅追従制御部と、
を備える、歪計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歪計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、帯状の板の板幅方向の張力分布(歪分布)を計測する装置が記載されている。特許文献1の特許請求の範囲には、「複数に分割されたローラを夫々別個に昇降し得るよう配設し、各ローラを枢支する部材を各ローラに掛かる圧延材の張力を検出するための荷重検出器に支持させた」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−17320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装置では、荷重検出器の位置を板幅方向に変更できない。そのため、通板中に板幅が変化したとき、または、通板中に板幅方向に板が蛇行したときに、板の張力分布を計測できなくなるおそれがある。また、この装置の荷重検出器は、接触式(板にローラを接触させて張力を検出するもの)である。そのため、板幅の変化や板の蛇行に追従させるために荷重検出器(ローラ)を板幅方向に動かすと、板の表面に傷がつくおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、板の表面を傷つけることなく、板幅または蛇行量が変化したときでも歪計測を行いやすく、振動センサの位置決めを速やかに精度よく行える、歪計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の歪計測装置は、帯状の板の板幅方向の歪分布を計測する。前記歪計測装置は、振動センサと、エッジセンサと、蛇行追従機構と、制御装置と、を備える。前記振動センサは、前記板幅方向に複数並べて配置され、前記板の振動の振幅を計測する非接触式のセンサである。前記エッジセンサは、前記板幅方向における前記板のエッジを検出する非接触式のセンサである。前記蛇行追従機構は、複数の前記振動センサを前記板幅方向に平行移動させる。前記板幅追従機構は、複数の前記振動センサどうしの前記板幅方向の間隔を変える。前記制御装置は、前記エッジセンサの検出結果を用いて、前記板の蛇行量および板幅に応じて、前記蛇行追従機構および前記板幅追従機構の動作を制御する。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、板の表面を傷つけることなく、板幅または蛇行量が変化したときでも歪計測を行いやすく、振動センサの位置決めを速やかに精度よく行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】歪計測装置1の斜視図である。
図2図1に示す歪計測装置1の機構部30を板長手方向Yから見た図である。
図3図2相当図であり、振動センサ35の間隔を広げた状態を示す図である。
図4図2相当図であり、両方のエッジ3eがエッジセンサ37により検出された状態を示す図である。
図5図1に示す歪計測装置1の動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1図5を参照して、図1に示す歪計測装置1について説明する。
【0010】
歪計測装置1(歪分布計測装置、歪計測システム)は、板3の歪分布を計測(測定)する装置である。歪計測装置1は、板3の板幅方向X(後述)の振動分布を計測することで、板3の板幅方向Xの歪分布を計測(同定)する装置である。歪計測装置1は、支持ロール5と、歪演算システム10と、架台20と、板幅・蛇行追従システム(機構部30および制御装置60)と、を備える。
【0011】
板3は、帯状である(帯状体である)。板3の長手方向を板長手方向Yとし、板3の幅方向を板幅方向Xとする。なお、板長手方向Yは、板3の厚さ方向および板幅方向Xに直交する方向である。板3は、例えば金属である。板3には、板長手方向Yの張力が付与される。図4に示すように、板幅方向Xにおける板3の寸法(幅寸法、長さ)を板幅Wとする。板3の位置を表す量(値)には、蛇行量Vがある。蛇行量Vは、板幅方向Xにおける板3の中央3cと、基準位置C40(後述する開始時制御工程S11の項目を参照)と、の板幅方向Xにおける距離(変位量)である。板3には、エッジ3eがある。
【0012】
エッジ3eは、板幅方向Xにおける板3の端である。エッジ3eには、DS側(駆動側)(DS;Drive side)に配置されるDSエッジ3edと、WS側(作業側)(WS;Work side)に配置されるWSエッジ3ewと、がある。
【0013】
支持ロール5は、図1に示すように、板3を支持する部材である。支持ロール5は、板長手方向Yに間隔をあけて2つ設けられる。
【0014】
歪演算システム10は、荷重付加装置11と、信号増幅装置13と、歪演算装置15と、を備える。
【0015】
荷重付加装置11は、板3に振動荷重を付加する(板3を加振する)装置である。荷重付加装置11は、板3のうち、2つの支持ロール5に支持された部位の間を振動させる。荷重付加装置11は、2つの支持ロール5の中央部(板長手方向Yにおける中央部)などに配置される。荷重付加装置11による振動荷重の付加の方法は、例えば次の[付加a]〜[付加d]などである。[付加a]荷重付加装置11が流体(例えば水、油、空気など)を板3に噴射する。[付加b]荷重付加装置11が板3を打撃する。[付加c]荷重付加装置11が電磁気力により板3を振動させる。[付加d]荷重付加装置11が支持ロール5を加振する。
【0016】
信号増幅装置13は、歪演算装置15が出力した信号を増幅し、増幅した信号を荷重付加装置11に出力する装置である。
【0017】
歪演算装置15は、振動計測信号35s(後述)に基づいて、板3の歪分布を演算する装置である。
【0018】
架台20は、機構部30を支持する台である。架台20は、地面や床などに固定される。架台20は、板3の上に板幅方向Xに架け渡される。架台20は、引出用レールガイド21を備える。
【0019】
引出用レールガイド21は、架台20に対して機構部30を板幅方向Xに移動させる(「引き出し」をする)ための部材である。上記「引き出し」は、機構部30のメンテナンス等のために行われる。
【0020】
機構部30は、図2に示すように、引出フレーム31と、振動センサ35と、エッジセンサ37と、蛇行追従機構40と、板幅追従機構50と、を備える。
【0021】
引出フレーム31は、図1に示すように、架台20の引出用レールガイド21に取り付けられる。引出フレーム31は、引出フレーム本体部31aと、引出フレーム支持部31bと、を備える。引出フレーム本体部31aは、長手方向が板幅方向Xの部材であり、例えば四角柱状である。引出フレーム支持部31bは、引出フレーム本体部31aの例えば長手方向両端から上に延びる。引出フレーム支持部31bは、引出用レールガイド21に対して板幅方向Xにスライド可能に、引出用レールガイド21に取り付けられる。
【0022】
振動センサ35は、板3の振動の振幅(変位)を計測する装置(振動計側手段、変位センサ)である。振動センサ35は、板幅方向Xに複数並べて配置される。振動センサ35による計測点は複数ある。振動センサ35の数は、2個以上であればよく、図1では15個示している。図1では複数の振動センサ35のうち一部にのみ符号を付した。振動センサ35は、2つの支持ロール5の間(例えば板長手方向Y中央部)に配置される。図2に示すように、振動センサ35は、例えば、引出フレーム31の下端よりも下に配置される。図1に示すように、振動センサ35は、非接触式であり、板3に接触しない。振動センサ35は、例えば光の反射を用いたもの(光反射式)であり、また例えばレーザ光を用いたもの(レーザ式)などである。振動センサ35は、計測結果を振動計測信号35sとして出力する。すべての振動センサ35は、歪演算システム10の歪演算装置15に接続される。なお、図1では、1つの振動センサ35と歪演算システム10との接続のみを図示している。図2に示すように、複数の振動センサ35には、中央振動センサ35cと、端部振動センサ35eと、がある。
【0023】
中央振動センサ35cは、複数の振動センサ35のうち板幅方向X中央のセンサである(振動センサ35の数が奇数の場合に限る)。端部振動センサ35eは、複数の振動センサ35のうち板幅方向X両端の(2つの)センサである。2つの端部振動センサ35eの板幅方向Xにおける中央の位置を、中央位置C35とする。振動センサ35の数が奇数の場合は、中央位置C35は、中央振動センサ35cの板幅方向Xにおける位置と一致する。
【0024】
エッジセンサ37は、図1に示すように、エッジ3eを検出する装置(エッジ検出手段)である。エッジセンサ37は、エッジセンサ37の検出範囲内でのエッジ3eの有無を検出する。エッジセンサ37は、板3の板幅W(図4参照)および蛇行量V(図4参照)を検出する(板幅Wおよび蛇行量Vの挙動を把握する)ために用いられる(後述)。エッジセンサ37は、エッジ3eの位置を検出する(取得する)ために用いられる。エッジセンサ37は、図2に示す蛇行追従機構40や板幅追従機構50と組み合わされることで、図4に示す蛇行量V、板幅W、およびエッジ3eの位置を検出する。エッジセンサ37は、単独で、蛇行量V、板幅W、およびエッジ3eの位置を検出できるように構成されてもよい。図1に示すエッジセンサ37の検出範囲は、板幅方向Xに延びる。エッジセンサ37は、検出範囲内で板3の有無が切り替わる位置が有るか否かを検出することにより、エッジ3eの有無を検出する。エッジセンサ37は、検出範囲の全域に板3が有ることを検出可能である。エッジセンサ37は、検出範囲の全域に板3が無いことを検出可能である。エッジセンサ37は、振動センサ35と同様に、非接触式であり、板3に接触しない。エッジセンサ37は、計測結果に基づきエッジ計測信号37sを出力する。エッジセンサ37は、制御装置60に接続される。なお、図1では、2つのエッジセンサ37のうち1つのエッジセンサ37と制御装置60との接続のみを図示している。
【0025】
このエッジセンサ37は、図2に示すように、端部振動センサ35eとほぼ同じ位置に配置される。エッジセンサ37は、端部振動センサ35eに隣接するように配置される。エッジセンサ37は、端部振動センサ35eに取り付けられる(固定される)。エッジセンサ37は、例えば、端部振動センサ35eよりも板幅方向X外側に配置される。また例えば、エッジセンサ37は、端部振動センサ35eの前側や後側(板長手方向Yの一方側や他方側)に配置されてもよい(図示なし)。エッジセンサ37は、振動センサ35と連動する。エッジセンサ37は、端部振動センサ35eと一体的に移動する。なお、エッジセンサ37は、振動センサ35と連動しなくてもよい。例えば、エッジセンサ37は、図1に示す架台20や引出フレーム31に固定されてもよい。この場合、板幅W(図4参照)や蛇行量V(図4参照)が変化したときでもエッジセンサ37の検出範囲内にエッジ3eが入るように、エッジセンサ37の検出範囲の広さが設定される必要がある。以下では、エッジセンサ37dが端部振動センサ35eに固定される場合について説明する。図2に示すように、エッジセンサ37は、板幅方向Xに間隔をあけて2つ設けられる。エッジセンサ37には、DS側に配置されるエッジセンサ37dと、WS側に配置されるエッジセンサ37wと、がある。
【0026】
蛇行追従機構40(蛇行追従手段)は、複数の振動センサ35(すべての振動センサ35)を板幅方向Xに平行移動させるための機構である。以下、振動センサ35の移動方向は板幅方向Xであるとする。蛇行追従機構40は、複数の振動センサ35の間隔を固定したまま、すべての振動センサ35を移動させる。蛇行追従機構40は、2つのエッジセンサ37の間隔を固定したまま、2つのエッジセンサ37を平行移動させる。蛇行追従機構40は、蛇行追従用フレーム41と、蛇行追従用レールガイド43と、蛇行追従用スライダ45と、を備える。
【0027】
蛇行追従用フレーム41は、長手方向が板幅方向Xの部材であり、例えば四角柱状などである。蛇行追従用フレーム41は、引出フレーム本体部31aの上に配置される。蛇行追従用フレーム41は、引出フレーム31に対して、板幅方向Xに移動可能(スライド可能)である。
【0028】
蛇行追従用レールガイド43は、引出フレーム31に対して蛇行追従用フレーム41を板幅方向Xに移動自在とするための部材である。蛇行追従用レールガイド43は、引出フレーム本体部31aと蛇行追従用フレーム41との間に配置される。蛇行追従用レールガイド43は、例えば、板幅方向Xに間隔を開けて2つ(3つ以上でもよい)設けられる。蛇行追従用レールガイド43は、蛇行追従用レール43aと、蛇行追従用ガイド部材43bと、を備える。蛇行追従用レール43aは、引出フレーム本体部31aの上面に固定される。蛇行追従用ガイド部材43bは、蛇行追従用フレーム41の下面に固定される。蛇行追従用ガイド部材43bは、蛇行追従用レール43aに沿って移動(スライド)自在である。なお、蛇行追従用レール43aと、蛇行追従用ガイド部材43bとは、上記の配置に対して上下逆に設けられてもよい。具体的には、引出フレーム本体部31aに蛇行追従用ガイド部材43bが固定され、蛇行追従用フレーム41に蛇行追従用レール43aが固定されてもよい。
【0029】
蛇行追従用スライダ45は、引出フレーム31に対して蛇行追従用フレーム41を板幅方向Xに駆動する。蛇行追従用スライダ45は、引出フレーム31と蛇行追従用フレーム41とをつなぐように、これらに取り付けられる。蛇行追従用スライダ45は、例えば電力により動作する電動スライダであり、また例えば流体圧などにより動作するスライダでもよい(例えば電力や流体圧などにより動作する点は、後述する板幅追従用スライダ55についても同様である)。
【0030】
板幅追従機構50(板幅追従手段)は、複数の振動センサ35どうしの板幅方向Xにおける間隔を変える(調整する)ための機構である。以下「複数の振動センサ35どうしの板幅方向Xにおける間隔」を単に「振動センサ35の間隔」という。板幅追従機構50は、振動センサ35の間隔を、等間隔で、拡大や縮小させる。板幅追従機構50は、2つのエッジセンサ37の間隔を、拡大や縮小させる。板幅追従機構50は、連結部材51と、板幅追従用レールガイド53と、板幅追従用スライダ55と、板幅追従用伸縮装置57と、を備える。
【0031】
連結部材51は、振動センサ35が取り付けられる(固定される)部材である。連結部材51は、複数の振動センサ35それぞれに取り付けられる。連結部材51は、例えば上下方向に延びる。連結部材51には、下端部に振動センサ35が取り付けられ、上端部に板幅追従用ガイド部材53b(後述)が取り付けられる。連結部材51の一部には、振動センサ35を介して、エッジセンサ37が取り付けられる。連結部材51には、振動センサ35を介さずに(例えば直接)エッジセンサ37が取り付けられてもよい(図示なし)。連結部材51(さらに振動センサ35およびエッジセンサ37)は、蛇行追従用フレーム41に対して、板幅方向Xに移動可能(スライド可能)である。なお、図1図3では、複数の連結部材51のうち一部にのみ符号を付している。
【0032】
板幅追従用レールガイド53は、図2および図3に示すように、蛇行追従用フレーム41に対して振動センサ35を(エッジセンサ37を、連結部材51を)板幅方向Xに移動自在とするための部材である。図2に示すように、板幅追従用レールガイド53は、板幅追従用レール53aと、板幅追従用ガイド部材53bと、を備える。板幅追従用レール53aは、蛇行追従用フレーム41の上面に固定される。板幅追従用ガイド部材53bは、複数設けられる。複数の板幅追従用ガイド部材53bそれぞれは、板幅追従用レール53aと、1つの振動センサ35(1つの連結部材51)とをつなぐ。板幅追従用ガイド部材53bは、板幅追従用レール53aの上に配置される。板幅追従用ガイド部材53bは、板幅追従用レール53aに沿って移動(スライド)自在である(後述するように、中央振動センサ35cが取り付けられたものを除く)。
【0033】
板幅追従用スライダ55は、蛇行追従用フレーム41に対して振動センサ35を(板幅追従用ガイド部材53bを)板幅方向Xに駆動する。板幅追従用スライダ55は、蛇行追従用フレーム41と、1つの板幅追従用ガイド部材53b(例えば端部振動センサ35eが固定されたもの)とをつなぐように、これらに取り付けられる。
【0034】
板幅追従用伸縮装置57は、振動センサ35の間隔を等間隔に保ちながら、振動センサ35の間隔(板幅追従用ガイド部材53bの間隔)を拡大や縮小させる装置である。板幅追従用伸縮装置57は、複数のリンク部材(棒状部材)を組み合わせた機構を備え、例えばレージトング機構を備える。上記の複数のリンク部材それぞれは、板幅追従用ガイド部材53bに取り付けられる(連結される)。
【0035】
(中央位置C35および基準位置C40)
図4に示すように、機構部30に関する位置(板幅方向Xにおける位置、以下同様)を表すものとして、中央位置C35と、基準位置C40と、がある。中央位置C35は、複数の振動センサ35(図2参照)の板幅方向X中央の位置(およびその上下)である。振動センサ35の数が奇数の場合、中央位置C35は、中央振動センサ35cの位置と一致する。振動センサ35の数が偶数の場合(図示なし)、中央位置C35は、複数の振動センサ35のうち板幅方向X中央の2つの振動センサ35どうしの、板幅方向X中央の位置と一致する。基準位置C40は、蛇行追従機構40の動作の基準となる位置である。基準位置C40は、引出フレーム31に対する蛇行追従用フレーム41の動作の基準となる位置である。基準位置C40は、後述する開始時制御工程S11(図5参照)で機構部30が初期位置に配置されたときの(図2参照)、中央位置C35の位置である。基準位置C40は、例えば次の位置である。蛇行追従用フレーム41は引出フレーム31に対して板幅方向Xに可動であるところ、この蛇行追従用フレーム41の可動範囲のうち板幅方向X中央に蛇行追従用フレーム41が配置されたときの、中央位置C35の位置が、基準位置C40である。例えば、基準位置C40は、引出フレーム31の(引出フレーム本体部31aの)板幅方向X中央の位置である。
【0036】
制御装置60(図1参照)は、蛇行追従機構40および板幅追従機構50の動作を制御する。図1に示す制御装置60は、エッジセンサ37の検出結果に応じて上記動作を制御する。制御装置60は、蛇行量V(図4参照)に応じて蛇行追従機構40を駆動させる。制御装置60は、板幅Wに応じて板幅追従機構50を駆動させる。制御装置60は、信号入力部61と、演算部63と、記憶部65と、比較部67と、追従制御部69と、を備える。
【0037】
信号入力部61は、エッジセンサ37から出力されたエッジ計測信号37sが入力される部分である。
【0038】
演算部63は、板3の板幅W(図4参照)および蛇行量V(図4参照)を算出する(演算する)。演算部63は、板幅演算部63bと、蛇行演算部63aと、を備える。演算部63の詳細は後述する(以下に述べる制御装置60の各構成要素の詳細についても後述する)。
【0039】
記憶部65は、エッジ3eの検出状態(エッジ3e検出状態)を記憶する。
【0040】
比較部67は、エッジセンサ37によるエッジ3eの検出状態が変化したか否かを判定する。
【0041】
追従制御部69は、エッジセンサ37の検出結果などに応じて、蛇行追従機構40(図2参照)および板幅追従機構50(図2参照)を駆動させる。追従制御部69は、蛇行追従機構40および板幅追従機構50に、駆動のための制御信号を出力する。追従制御部69は、板幅追従制御部69bと、蛇行追従制御部69aと、を備える。
【0042】
(蛇行追従機構40の動作)
図2に示す蛇行追従機構40が駆動することで、すべての振動センサ35が平行移動し、2つのエッジセンサ37が平行移動する。この動作の詳細は次の通りである。蛇行追従制御部69a(図1参照)は、蛇行追従用スライダ45を駆動させる。その結果、引出フレーム31に対して蛇行追従用フレーム41が板幅方向Xに移動する。その結果、振動センサ35の間隔を保ったまますべての振動センサ35が板幅方向Xに移動し、エッジセンサ37の間隔を保ったまま2つのエッジセンサ37が板幅方向Xに移動する。
【0043】
(板幅追従機構50の動作)
板幅追従機構50が駆動することで、振動センサ35およびエッジセンサ37の間隔が拡大や縮小する。この動作の詳細は次の通りである。板幅追従制御部69b(図1参照)は、板幅追従用スライダ55を駆動させる。その結果、板幅追従用スライダ55に連結された板幅追従用ガイド部材53bが、蛇行追従用フレーム41に対して、板幅方向Xに移動する。但し、板幅追従機構50のうち中央位置C35と一致する部分(例えば中央振動センサ35cが固定される板幅追従用ガイド部材53b)は、蛇行追従用フレーム41に対して移動しない。その結果、中央位置C35を中心として、板幅追従用伸縮装置57が板幅方向Xに伸長または縮小する。その結果、振動センサ35の間隔が等間隔で拡大または縮小する。その結果、2つの端部振動センサ35eそれぞれに取り付けられたエッジセンサ37の間隔が拡大または縮小する。
【0044】
(歪計測装置1の動作)
歪計測装置1(図1参照)の動作を説明する。以下、機構部30の各構成要素(符号31〜57)については主に図2を参照し、制御装置60の各構成要素(符号61〜69b)については図1を参照し、各工程(S11〜S72)については図5を参照して説明する。歪計測装置1の動作(歪計測方法)には、開始時制御工程S11と、エッジ計測工程S12と、エッジ判定および追従工程(S21〜S26)と、記憶工程S30と、算出工程S40と、センサ位置微調整工程S50と、がある。また、歪計測装置1の動作には、歪計測工程S60と、計測終了判定工程S65と、エッジ再計測工程S71と、変化判定工程S72と、がある。
【0045】
開始時制御工程S11は、歪計測装置1の制御の開始時(歪計測の開始前)に行われる。開始時制御工程S11では、図2に示すように、機構部30(蛇行追従機構40および板幅追従機構50)が「初期位置」に移動させられる。この「初期位置」は、次の[状態a]および[状態b]を満たす位置である。[状態a]振動センサ35の間隔が最も縮小した状態(最縮小状態)。[状態b]振動センサ35の中央位置C35と、予め定められた基準位置C40と、が一致するように蛇行追従用フレーム41が配置された状態。また、板幅W(図4参照)は、最縮小状態のときの、エッジセンサ37dとエッジセンサ37wとの間隔よりも大きい。板幅W(図4参照)は、図3に示す最拡大状態(振動センサ35の間隔が最も拡大した状態)のときの、エッジセンサ37dとエッジセンサ37wとの間隔よりも狭い。
【0046】
エッジ計測工程S12では、図4に示すエッジセンサ37によりエッジ3eが計測される(エッジ3eの有無が計測される)。エッジ計測工程S12では、エッジセンサ37dおよびエッジセンサ37wそれぞれから、信号入力部61(図1参照)に、エッジ計測信号37s(図1参照)が入力される。
【0047】
エッジ判定および追従工程(S21〜S26)では、エッジセンサ37の検出結果に応じて、エッジセンサ37の位置調整が行われる(以下、エッジセンサ37の位置調整を単に「位置調整」ともいう)。エッジ判定および追従工程(S21〜S26)は、次のように行われる。制御装置60(図1参照)は、エッジセンサ37dがDSエッジ3edを検出したか否かを判定し、エッジセンサ37wがWSエッジ3ewを検出したか否かを判定する。これらの判定結果に応じて、制御装置60は、蛇行追従機構40および板幅追従機構50を駆動させることで、エッジセンサ37の位置調整を行う。制御装置60は、エッジセンサ37の検出範囲内に両方のエッジ3eが存在するようになるまで、位置調整を行う。さらに詳しくは、制御装置60は、エッジセンサ37dの検出範囲内にDSエッジ3edが存在し、エッジセンサ37wの検出範囲内にWSエッジ3ewが存在するようになるまで、位置調整を行う。
【0048】
(両方のエッジ3eが検出された場合)
DSエッジ3edおよびWSエッジ3ewがエッジセンサ37により検出された場合(S21でYES、かつ、S22でYES)、制御装置60(図1参照)はエッジセンサ37の位置調整を行わない。
【0049】
(一方のエッジ3eのみが検出された場合)
DSエッジ3edおよびWSエッジ3ewのうち一方のみがエッジセンサ37により検出された場合(S21でYESかつS22でNO、または、S21でNOかつS24でYES)、制御装置60(図1参照)は、エッジセンサ37の位置調整を行う。エッジセンサ37に検出されたエッジ3eを「一方のエッジ3e」とする。この場合、制御装置60は、エッジセンサ37に検出されなかった方のエッジ3e(「他方のエッジ3e」とする)がエッジセンサ37に検出されるまで、位置調整を行う(S23またはS25)。
[位置調整の例1]例えば、制御装置60は、蛇行追従機構40および板幅追従機構50を同時に駆動させることで、位置調整を行う。具体的には例えば、制御装置60は、一方のエッジ3e(例えばDSエッジ3ed)を検出したエッジセンサ37(エッジセンサ37d)の位置を変えずに、他方のエッジセンサ37(エッジセンサ37w)の位置を変える。そして、このエッジセンサ37(エッジセンサ37w)が他方のエッジ3e(WSエッジ3ew)を検出したとき、制御装置60は、位置調整を終了する。
[位置調整の例2]また例えば、制御装置60は、蛇行追従機構40および板幅追従機構50を片方ずつ駆動させ、最終的に両方のエッジ3eがエッジセンサ37に検出されるように、位置調整を行ってもよい。
【0050】
(両方のエッジ3eが検出されなかった場合)
DSエッジ3edおよびWSエッジ3ewがいずれもエッジセンサ37に検出されなかった場合(S21でNOかつS24でNO)、制御装置60(図1参照)は、エッジセンサ37の位置調整を行う。この場合、制御装置60は、両方のエッジ3eがエッジセンサ37に検出されるまで、位置調整を行う(S26)。具体的には例えば、制御装置60は、片方のエッジ3e(例えばDSエッジ3ed)が検出されるまで、位置調整を行う。制御装置60は、一方のエッジ3e(DSエッジ3ed)が検出された後、上記「(一方のエッジ3eのみが検出された場合)」と同様に、他方のエッジ3eが検出されるまで位置調整を行う。
【0051】
記憶工程S30では、エッジ3eの検出状態(エッジ3e検出状態)が、記憶部65(図1参照)に記憶される。記憶部65に記憶されるエッジ3e検出状態には、2つのエッジセンサ37それぞれによるエッジ3eの検出の有無と、エッジ3eの位置(DSエッジ3edおよびWSエッジ3ewそれぞれの位置)と、がある。エッジ3eの位置は、蛇行追従機構40の板幅方向Xの位置(基準位置C40からの変位)と、板幅追従機構50の広さ(最縮小状態からどれだけ広がっているか)と、から定まる。エッジ3eの位置は、図2に示す蛇行追従用スライダ45および板幅追従用スライダ55それぞれの移動量(スライダ操作量、スライド位置の計測値)から定まる。なお、本実施形態では、図4に示すように、蛇行追従機構40および板幅追従機構50とエッジセンサ37とが連動するので、記憶部65に記憶されるエッジ3e検出状態には、エッジ3eの検出の有無が含まれる。しかし、エッジセンサ37が上記連動をしない場合など(エッジセンサ37が架台20(図1参照)に対して固定される場合など)には、記憶部65に記憶されるエッジ3e検出状態は、エッジ3eの位置のみでもよい。記憶工程S30では、エッジ3e検出状態が「第1検出状態」として記憶部65に記憶される。
【0052】
算出工程S40では、板幅Wおよび蛇行量Vが演算部63により算出される。演算部63(図1参照)は、エッジ3eの位置(記憶工程S30で記憶されたもの)に基づいて、板幅Wおよび蛇行量Vを算出する。板幅Wは、板幅演算部63b(図1参照)により算出される。板幅Wは、板幅方向Xにおけるエッジ3eどうしの距離から定まる。板幅演算部63bによる板幅Wの算出には、エッジ計測信号37s(図1参照)が用いられる。エッジ計測信号37sのみではエッジ3eの位置が特定できない場合は、板幅演算部63bによる板幅Wの算出には、上記スライダ操作量も用いられる。蛇行量Vは、蛇行演算部63aにより算出される。蛇行量Vは、2つのエッジ3eどうしの中央3c(中央位置C35と一致)と、基準位置C40と、の距離(間隔)から定まる。蛇行演算部63aによる蛇行量Vの算出には、エッジ計測信号37sが用いられる。エッジ計測信号37sのみではエッジ3eの位置が特定できない場合は、蛇行演算部63aによる蛇行量Vの算出には、上記スライダ操作量も用いられる。
【0053】
センサ位置微調整工程S50では、振動センサ35の位置(計測点)が微調整される。センサ位置微調整工程S50は次のように行われる。制御装置60(図1参照)は、図4に示す蛇行追従機構40および板幅追従機構50を駆動させることで、振動センサ35の位置を微調整する。以下、振動センサ35の位置の微調整を単に「微調整」ともいう。この微調整は、例えば、エッジ3eの位置(記憶工程S30で記憶されたもの)に基づいて行われる。また例えば、この微調整は、算出工程S40で算出された板幅Wおよび蛇行量Vに基づいて行われてもよい。例えば、2つのエッジセンサ37それぞれの検出範囲内にエッジ3eが配置された状態が維持されるように、微調整が行われる。例えば、エッジセンサ37の検出範囲からエッジ3eが外れることがない程度に、微調整が行われる。
[微調整の例1]微調整は、エッジ3eの板幅方向Xにおける位置と、端部振動センサ35eの板幅方向Xにおける位置と、が一致するように行われる。微調整は、エッジ3eの例えば真上に端部振動センサ35eが配置されるように行われる。なお、この場合、エッジセンサ37は、端部振動センサ35eの前側や後側(板長手方向Yの一方側や他方側)に配置されることが好ましい(図示なし)。
[微調整の例2]微調整は、両方の端部振動センサ35eの計測点どうしの板幅方向Xの距離が、板幅Wよりもわずかに(例えば10mm程度)小さくなるように(余裕を持たせるように)行われてもよい。微調整は、エッジ3eよりもわずかに板幅方向X内側に端部振動センサ35eが配置されるように行われてもよい。この場合、端部振動センサ35eによる振幅の計測を確実に行える結果、板3の歪計測を確実に行える。
【0054】
歪計測工程S60では、図1に示す歪演算システム10により板3の歪計測が行われる。具体的には、荷重付加装置11が板3を振動させ、振動センサ35がこの振動の振幅を計測し、振動センサ35が振動計測信号35sを出力し、歪演算装置15が振動計測信号35sに基づいて板3の歪分布を演算する。
【0055】
計測終了判定工程S65では、歪計測を終了するか否かが判定される。歪計測を終了しない場合(NOの場合)は、エッジ再計測工程S71に進む。
【0056】
エッジ再計測工程S71では、図4に示すエッジセンサ37が、エッジ3eの有無を再度検出する。エッジ再計測工程S71が行われる場合には、例えば次の[場合a]および[場合b]などがある。[場合a]1ライン分の板3の歪計測を行った後に、次のラインの板3の歪計測を行う場合。[場合b]1つのラインの歪計測の途中で、板3の状態を再度検出する場合。
【0057】
変化判定工程S72では、エッジ3eの位置が変化(後述)したか否かが判定される。エッジ3eの位置が変化していない場合(NOの場合)、歪計測工程S60に戻る。この場合、板幅追従機構50および蛇行追従機構40を駆動させることなく、歪計測工程S60が行われる(続行される)。エッジ3eの位置が変化した場合(YESの場合)、エッジ判定および追従工程(S21〜S26)が再度行われた後、歪計測工程S60が行われる。
【0058】
上記「エッジ3eの位置が変化したか否か」の判定は、エッジセンサ37により検出されたエッジ3e検出状態が変化したか否かにより判定される。この判定は、例えば次のように行われる。
[判定の例1]比較部67(図1参照)は、第2検出状態(後述)が第1検出状態から変化したか否かを判定する。第1検出状態は、記憶工程S30で記憶部65(図1参照)に記憶されたエッジ3e検出状態である。第2検出状態は、記憶部65による上記記憶の後(記憶工程S30後)、具体的にはエッジ再計測工程S71の時に、エッジセンサ37により検出されたエッジ3e検出状態である。
[判定の例2]比較部67は、エッジ3e検出状態(有無や位置)のうちエッジ3eの有無のみを判定してもよい。例えば、上記のセンサ位置微調整工程S50で、2つのエッジセンサ37それぞれの検出範囲内にエッジ3eが配置された状態が維持されるように、微調整が行われる場合がある。このとき、エッジセンサ37が少なくとも一方のエッジ3eを検出しない場合(エッジ3eが「あり」から「なし」に変化した場合)に、エッジ3eの位置が変化した(YES)と判定される。また、2つのエッジセンサ37それぞれがエッジ3eを検出する場合(エッジ3e検出状態の変化がない場合)に、エッジ3eの位置が変化しない(NO)と判定される。このように第1検出状態と第2検出状態との比較が不要な場合は、記憶部65に記憶された情報を用いる必要がないので、記憶部65を省略できる。
【0059】
(効果1)
図1に示す歪計測装置1による効果を説明する。歪計測装置1は、帯状の板3の板幅方向Xの歪分布を計測する装置である。歪計測装置1は、振動センサ35と、エッジセンサ37と、図2に示す蛇行追従機構40と、板幅追従機構50と、図1に示す制御装置60と、を備える。振動センサ35は、板幅方向Xに複数並べて配置され、板3の振動の振幅を計測する。エッジセンサ37は、板幅方向Xにおける板3のエッジ3eを検出する。
[構成1−1]振動センサ35は、非接触式である。
[構成1−2]エッジセンサ37は、非接触式である。
[構成1−3]図2に示す蛇行追従機構40は、複数の振動センサ35を板幅方向Xに平行移動させる(図2および図4参照)。
[構成1−4]板幅追従機構50は、複数の振動センサ35どうしの板幅方向Xの間隔を変える(図2および図3参照)。
[構成1−5]図1に示す制御装置60は、エッジセンサ37の検出結果を用いて、図4に示す板3の蛇行量Vおよび板幅Wに応じて、蛇行追従機構40および板幅追従機構50の動作を制御する(図5のS21〜S26、およびS50参照)。
【0060】
図1に示す歪計測装置1は、上記[構成1−1]および[構成1−2]を備える。よって、振動センサ35およびエッジセンサ37dが板3の表面を傷つけることを抑制できる。
【0061】
歪計測装置1は、上記[構成1−3]および[構成1−4]を備える。よって、図4に示す蛇行量Vや板幅Wが変化したときに、蛇行追従機構40および板幅追従機構50を駆動させることで、振動センサ35を適切(例えば最適)な位置に配置できる。例えば、振動センサ35の配置を、蛇行量Vや板幅Wに追従させることができる。よって、蛇行量Vや板幅Wが変化したときでも歪計測を行いやすい。
【0062】
歪計測装置1は、上記[構成1−5]を備える。よって、エッジセンサ37の検出結果を用いずに蛇行追従機構40および板幅追従機構50を動作させる場合(場合αとする)に比べ、振動センサ35の適切な位置への移動(位置決め)を、速やかに精度よく行える。なお、上記「場合α」には、例えばエッジ3eの位置を目視で確認しながら振動センサ35を移動させる場合などがある。
【0063】
(効果2)
図1に示すように、制御装置60は、信号入力部61と、板幅演算部63bと、蛇行演算部63aと、板幅追従制御部69bと、蛇行追従制御部69aと、を備える。信号入力部61は、エッジセンサ37から出力されたエッジ計測信号37sが入力される部分である。
[構成2−1]蛇行演算部63aは、信号入力部61に入力されたエッジ計測信号37sを用いて蛇行量V(図4参照)を算出する。
[構成2−2]板幅演算部63bは、信号入力部61に入力されたエッジ計測信号37sを用いて板幅W(図4参照)を算出する。
[構成2−3]蛇行追従制御部69aは、蛇行演算部63aにより算出された蛇行量Vに基づいて蛇行追従機構40(図4参照)を駆動させる。
[構成2−4]板幅追従制御部69bは、板幅演算部63bにより算出された板幅Wに基づいて板幅追従機構50(図4参照)を駆動させる。
【0064】
歪計測装置1は、上記[構成2−1]および[構成2−3]を備える。よって、エッジセンサ37の検出結果を用いて算出された蛇行量V(図4参照)に基づいて、複数の振動センサ35を移動させることができる(上記「センサ位置微調整工程S50」参照)。よって、複数の振動センサ35の位置を(中央位置C35と基準位置C40との間隔)をより適切に設定できるので、振動センサ35をより適切な位置に配置できる。
【0065】
歪計測装置1は、上記[構成2−2]および[構成2−4]を備える。よって、エッジセンサ37の検出結果を用いて算出された板幅W(図4参照)に基づいて、複数の振動センサ35どうしの間隔を変えることができる(上記「センサ位置微調整工程S50」参照)。よって、複数の振動センサ35どうしの間隔をより適切に設定できるので、振動センサ35をより適切な位置に配置できる。
【0066】
(他の効果1)
[構成3]エッジセンサ37は、板幅方向Xに移動可能に構成される。
上記[構成3]により、エッジセンサ37が板幅方向Xに移動できない場合(例えば引出フレーム31に固定される場合など)に比べ、エッジセンサ37の検出範囲を狭くでき、小さいエッジセンサ37を用いることができる。
【0067】
(他の効果2)
[構成4]エッジセンサ37は、振動センサ35と連動する。エッジセンサ37は、図2に示す蛇行追従機構40および板幅追従機構50の駆動に伴って板幅方向Xに移動する。
上記[構成4]により、振動センサ35を移動させるための機構とは別に、エッジセンサ37を移動させるための機構を設ける必要がない。
【0068】
(他の効果3)
振動センサ35には、複数の振動センサ35の板幅方向X両端に配置される端部振動センサ35eがある。
[構成5]エッジセンサ37は、板幅方向Xに間隔をあけて2つ設けられる。エッジセンサ37は、2つの端部振動センサ35eそれぞれに取り付けられる。
【0069】
歪計測装置1(図1参照)は、上記[構成5]を備える。よって、図4に示すように、エッジ3eを検出できるようにエッジセンサ37が配置されると、端部振動センサ35eの近傍にエッジ3eが配置されることになる。よって、エッジセンサ37によりエッジ3eが検出された後、端部振動センサ35eによりエッジ3e(またはその近傍)の振動を測定しようとするとき、端部振動センサ35eの位置を微調整すれば足りる(センサ位置微調整工程S50参照)。よって、エッジセンサ37によりエッジ3eが検出された後に、振動センサ35を大きく位置調整する必要がある場合に比べ、速やかに歪測定を開始できる。
【0070】
(他の効果4)
図1に示すように、歪計測装置1は、比較部67を備える。比較部67は、振動センサ35により板3の振幅が計測されている時(歪計測中)に、エッジセンサ37により検出されたエッジ3e検出状態が変化したか否かを判定する。
[構成6−1]比較部67によりエッジ3e検出状態の変化がないと判定された場合(S72でNO)、蛇行追従機構40および板幅追従機構50が駆動されることなく、振動センサ35により板3の振動の振幅が計測される。
[構成6−2]比較部67によりエッジ3e検出状態の変化があると判定された場合(S72でYES)、上記[構成1−5]が行われる。
【0071】
歪計測装置1は、上記[構成6−1]を備える。よって、歪計測中に蛇行量Vおよび板幅Wが変わらない場合に、振動センサ35を適切な位置に保ったまま、歪計測を続行できる。
歪計測装置1は、上記[構成6−2]を備える。よって、歪計測中に蛇行量Vおよび板幅Wの少なくとも一方が変わった場合でも、振動センサ35を適切な位置に移動させてから、歪計測を行える。
【0072】
(変形例)
上記実施形態は様々に変形できる。例えば、図1に示す歪計測装置1は、構成要素の一部を備えなくてもよい。また例えば、図5に示す各工程(各ステップ)の一部が行われなくてもよい。例えば、記憶工程S30は行われなくてもよい。
【0073】
例えば、図5に示す各工程は、上記実施形態の順序で行われなくてもよい。例えば、上記実施形態では、記憶工程S30は、センサ位置微調整工程S50の前に行われた。しかし、記憶工程S30は、センサ位置微調整工程S50の後に行われ、微調整後のエッジ3e検出状態が記憶部65(図1参照)に記憶されてもよい。
【0074】
(参考例)
歪計測装置1は、図2に示す蛇行追従機構40および板幅追従機構50のうち一方のみを備えてもよい。歪計測装置1が蛇行追従機構40を備えない場合は、蛇行追従制御部69aは設けられなくてもよく、蛇行演算部63aは設けられなくてもよい。歪計測装置1が板幅追従機構50を備えない場合は、板幅追従制御部69bは設けられなくてもよく、板幅演算部63bは設けられなくてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 歪計測装置
3 板
3e エッジ
31 引出フレーム(フレーム)
35 振動センサ
37 エッジセンサ
37s エッジ計測信号
40 蛇行追従機構
41 蛇行追従用フレーム
50 板幅追従機構
60 制御装置
61 信号入力部
63a 蛇行演算部
63b 板幅演算部
69a 蛇行追従制御部
69b 板幅追従制御部
V 蛇行量
W 板幅
X 板幅方向
図1
図2
図3
図4
図5