特許第6165704号(P6165704)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6165704
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】駐車位置誘導装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20170710BHJP
【FI】
   E04H6/42 C
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-249655(P2014-249655)
(22)【出願日】2014年12月10日
(65)【公開番号】特開2016-108899(P2016-108899A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2016年12月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508316461
【氏名又は名称】津田 悦夫
(72)【発明者】
【氏名】津田 悦夫
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−303041(JP,A)
【文献】 特開平11−131857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場や車庫に設置されるフレームワーク構造物であり、長さの異なるパイプをジョイント等で組み合わせて、長方形のフレームワークを形成し、長手フレ−ムの一方を後部フレーム、他方を前部フレーム、左右の短手フレームを側部フレームと呼称するのであるが、後部フレームの両端には三方向ジョイントを用いてポールを立設し、前部フレーム及び後部フレームの長さは路面標識の区画ラインの幅に、また側部フレームの長さは、車輪の後輪が位置する車止めから路面標識の後方ラインまでの距離に、左右のポールの高さは普通自動車のドアミラーの高さに、それぞれ相応し、2本のポールには、それぞれ上端近くに、車両のドアミラーに投影して現在位置を確認する標識を標識固定具で取り付け、後部フレーム中央には重量のあるフレーム固定具を、前部フレームにも重量のある車止め固定具を、左右車輪の間隔幅で取り付け、このフレーム固定具及び車止め固定具は、共にフレームワーク全体が動かないように作用する重石の役割を兼ねるのであって、全体としてこのように形成されたフレームワークを駐車区画ライン・駐車後方ライン・駐車前方ラインに沿わせて設置し、車をバックさせる際にドアミラーに標識を投影させて、現在位置をドライバーに認識させ、駐車場に真っ直ぐ正確に誘導させることを特徴とする駐車位置誘導装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアミラーを利用して車両を駐車区域内の定位置に駐車させる駐車位置誘導装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から車両を定位置に駐車させるため、路面に白色または黄色等の塗料で駐車区画ライン及び駐車後方ラインまたは駐車前方ラインをそれぞれ塗装する他、車止めを設置するなど駐車区域内に車両をスムーズに駐車出来るような設備を設けている。また、ポールを地面に埋設して駐車区画ラインを示す表示装置もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許公開2006−132293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両をバックで車庫入れする際には、路面に塗装された駐車区画ラインを利用するが、バックが苦手の人にとっては、真っ直ぐに車を駐車するのは困難で数度のやり直しが必要になることも多い。路面に白線等で区画ラインを塗装したものは、車両通過等の経年変化で摩耗し、ラインが薄くなり塗り直しが必要となる。また、ドアミラーを白線等のラインが見えるように下方向に向けないとラインが見えない、しかしドアミラーを下方向に向けて白線等ラインと平行にバックしていると、車両が通過するにつれラインがドアミラーから消えて見えなくなる。このため真っ直ぐ止まっているかどうかを確認するには、車から降りて区画ラインと車両の位置を目視する必要がある。特に雨の日には、路面が濡れて反射して区画ラインが見えづらくなる、夜間ではラインは全く見えない。ドアミラーを下に向けてドアミラ−を見ながらバックしていると車両の周囲の状況が見えなくなる恐れがあり、駐車場内での事故の発生の一要因となる。これは、バックモニターも同様で後方の全体像が把握できないことになり、頼りすぎるは危険である。バックギアで自動的にドアミラーが下がり、前進の際には元のドアミラーの位置に戻る装置が特別仕様にあるように、前進する際には、再びドアミラーを走行時の位置に戻して後方の交通情報を得る必要がある。
本発明は、これらの問題点を解決する為になされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
駐車場や車庫に設置される枠体(フレームワーク)構造物である。長さの異なるパイプをジョイント等で組み合わせて、長方形のフレームワークを形成し、長手フレ−ムの一方を後部フレーム、他方を前部フレーム、左右の短手フレームを側部フレームと呼称する。後部フレームの両端には三方向ジョイントを用いてポールを立設する。前部フレーム及び後部フレームの長さは路面標識の区画ラインの幅に、また側部フレームの長さは、車輪の後輪が位置する車止めから路面標識の後方ラインまでの距離に、左右のポールの高さは普通自動車のドアミラーの高さに、それぞれ相応する。2本のポールには、それぞれ上端近くに、車両のドアミラーに投影して現在位置を確認する標識を標識固定具で取り付ける。後部フレーム中央には重量のあるフレーム固定具を、前部フレームにも重量のある車固定具を、左右車輪の間隔幅で取り付け、このフレーム固定具及び車止め固定具は、共にフレームワーク全体が動かないように作用する重石の役割を兼ねる。全体としてこのように形成されたフレームワークを駐車区画ライン・駐車後方ライン・駐車前方ラインに沿わせて設置し、車をバックさせる際にドアミラーに標識を投影させて、現在位置をドライバーに認識させ、駐車場に真っ直ぐ正確に誘導させることを特徴とする駐車位置誘導装置。
【発明の効果】
【0006】
車両をバックで車庫入れする際には、左右のドアミラー上に投影された標識板と車両後部車体の位置を、左右一定の位置に保持したままハンドル操作してバックすることで、駐車区域内の一定の位置に駐車が可能となる。これにより従来、メインであった白線等の駐車区画ラインは補助的な目印となり、定期的な再塗装が必要となくなる。また、従来行っていた駐車場内の駐車区画の増設、変更等の整備が生じた場合は、白線等を消す必要があったが、本発明品を使用すれば、駐車位置誘導装置の増設や移動だけで設定できるようになる。
【0007】
本発明は、車両のドアミラーとポール上に設置している標識板の位置関係を認識してバックするので路面の白線等のように夜間、雨及び雪などの気象に影響を受けない。また、白線等を塗装出来ない荒地等、路面の地質を考慮する必要がない。
【0008】
本発明では、車をバックさせるときドアミラーの位置は、走行状態の位置でドアミラーを注視することになる。従来の白線等を目標としてバックする方法、またバックモニターを注視するバックの方法と異なりドアミラーを見ることによって、後方全体に注意が行きわたる。このため後方を横切る人の姿、突然飛び出てくる車両等を発見し易くなりバック時の事故防止に役に立つ。
【0009】
賃貸駐車場においては、契約者に指定した駐車位置を表示するには、駐車する路面に直接番号等を表示、または車止めの敷石に表示または後方に壁がある場合は壁に表示することになるが、本発明ではポールまたはフレーム等を利用して契約者の表示板を取り付けることが出来る。このため、契約者が変わっても路面等に記載された氏名や駐車番号を消す手間が省け、契約者の表示板を交換すれば済むこととなる。

【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の斜視図
図2】本発明品を従来の路面駐車区域に設置した場合の位置関係図
図3】本発明の正面図
図4】本発明の平面図
図5】本発明の側面図
図6】本発明の一部である車止め固定具、フレーム固定具の実施例を示す斜視図
図7】本発明の使用時に際して、車を真っ直ぐバックさせた時にドアミラーに投影された標識板の位置を示す背面図
図8】本発明の使用時に際して、車を斜めにバックした時にドアミラーに投影された標識板の位置を示す背面図
図9】本発明を横一列に連結した場合の実施例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
それぞれ長さの異なる合成樹脂もしくは鋼製等のパイプを図4のようにジョイント等で組み合わせて互いに連結して長方形のフレームワークを構成する。後部フレーム2となる長手のフレームには、図1のように三方向ジョイントを用いて上方にもパイプを伸ばしこれをポール4とする。長方形のフレームワークの大きさは、図2に示すように長手フレームの長さはヘアピン型の二つの駐車区画ライン11との間隔の幅を、また短手フレームの長さは、車両の後輪が位置する車止め10から路面標識の後方ライン11の長さを、ポール4の高さは、普通自動車のドアミラー14の高さをそれぞれ基準とする。左右のポール4には、標識板5を2個基準として標識板取付具6に取り付け固定して標識固定具7に挿入して固定する。
本装置の転倒防止のため、図6に示すような固定具を前部フレーム1及び後部フレーム2に取り付ける。後部フレーム2にはフレーム固定具9を、そして前部フレームには車止めを兼ねた車止め固定具8を取り付ける。なお車止め固定具8には、車両の後輪が接するようになる。
本装置を駐車場内にセットするには、図2に示すように駐車後方ライン12に相当する位置に後部フレーム2を平行して設置し、駐車前方ライン13に相当する位置と平行になるように前部フレーム1をセットする。本装置は、二方向及び三方向型ジョイントを利用して組み立てているが、溶接などで直接つなぐ場合、各コーナーは直角となるように結合する。
前部フレーム1に、車止め固定具8を2個、車両の後輪が向かう位置にそれぞれ取付ける。後部フレーム2には、フレーム固定具9を取り付け、前部フレーム1及び後部フレーム2が固定されていることを確認する。また図5のように左右のポール4が側部フレーム3に対して直角であるか確認し、左右のポール4に標識固定具7を取り付ける。
次に標識板5を2個、標識板取付具6に取り付け固定する。 標識板5を2個取り付けた標識板取付具6を標識固定具7に挿入する。図3に示すように、左右ポール4の2つの標識取付具が同じ長さになるよう固定する、また左右ポール4のそれぞれの標識板が前部フレーム1に平行に設置していることを確認する。
本発明は車両をバックさせる際にドアミラー14に標識板5を投影させて、車両の後部ボディーと標識板5の位置関係をドラバーに認識させて車両を定位置に駐車させる補助装置である。
ドライバーがこれを利用するには、ドアミラー14を通して行う。ドアミラー14の位置は、通常の走行状態時の高さ向きで良い。右ハンドル車の普通自動車でバックする際は、当初、図7の上段図のように右のドアミラー14にポール4、2個の標識板5が投影される。左のドアミラー14も確認する。標識板5を補足してバックしつつ、同時に左のドアミラー14にも標識板5が見えることを確認する。バックするに従い両ドアミラー14に標識板5が大きく見えてくる。普通自動車、小型自動車、軽自動車等の車両の大きさによって後部ボディーに投影される標識板5は異なる。普通自動車では、ポール4に近い標識板が、小型自動車では次の標識板が、軽自動車では後部ボディーの中間の位置に小型自動車用の標識板が投影される。
左右のドアミラー14内の標識板5が均等に位置するようにそのままの姿勢を維持してバックしていくと図7の下段図のように標識板5の位置が大きくなり車体は真っ直ぐ停車できる。また後輪も車止め固定具8に当たる。バックモニターを搭載していれば、後部フレーム2及びフレーム固定具9が投影されてブレーキをかけるタイミングがより明確となる。図8は、ドアミラー14に投影された標識板5とボディーの位置関係を示す。上段の図は、車体が右向きとなって駐車したことを表す、下段の図は左向きとなって駐車したことを表す。本発明品を利用することによって車両から下車することなく車両の駐車位置がわかる。
【実施例】
【0012】
車両を駐車場にバックで入れるには、通常右のドアミラーに投影される駐車区画を示す白線などを目標にしてバックするが、途中で白線が見えなくなり後方の壁などに景色が変わっていく。ドアミラーを下方に向けてバックしていっても白線などの一部分が見えるが全体像が見えない。いづれにしても停車して、ドアを開けて白線との位置関係を確認することが必要である。ハンドル操作などに遅れがあると車体が右に向いたり左に向いたり、また真っ直ぐに停めても隣の車両との間隔が狭かったりするので入れ直しが必要となる。特に混んでいる駐車場内での入れ直しは他の車両に迷惑をかけるほか、車との接触事故等のリスクがあり、斜めに曲がったまま放置することも迷惑となる。本発明品は、路面標識ではなく地上から50センチ以上離れた空中の標識板5を目標とするのでドアミラーの位置を下げなくても通常の走行状態の位置のままで標識板5が投影される。図7のように標識板5が左右ドアミラーの真ん中に位置するようバックしていけば自動的に駐車区域の真ん中に真っ直ぐ駐車できる。
【0013】
路面が整地されている専用の駐車場内には、一般的に駐車区画ライン11、駐車後方ライン12、駐車前方ライン13及び車止め10が設けられている。本発明品は、前部フレーム1の車止め固定具8が車止め10となり、後部フレーム2が駐車後方ライン12となり、側部フレーム3が駐車区画ライン11の役割を果たしている。このため、本発明品だけで駐車場内に必要な設備等が備わることになり経済的であり、また保守整備も容易となる。
【0014】
一般的な駐車区画の白線等表示は、費用も安く比較的短時間で表示できる他夜間もわかりやすい利点がある反面、駐車場所が整地されていないと路面塗装が困難である。また、経年による白線等の汚れ、消失による再塗装が必要となる。特に夜間、雨が降り路面に溜まると反射して見えなくなる欠点も有している。一番危険なことは、駐車区画の白線等を基準としているためドアミラー14を下方に向ける必要がある。このため、注意が白線等に向き車の後に人、特に子供がいても気付かないことがある。また後方を横切る車両に接触する危険性もある。発明品は、ドアミラーを走行状態の位置にしたまま後方の標識5を確認しつつバックするので、車の後ろの状況が把握できるので人身、接触事故等の危険を察知できる。
【0015】
有料駐車場では、各種の車が駐車するので標識板5を2個用意した。ポール4側から近い標識板は普通自動車用、次の標識板は小型自動車及び軽自動車用とした。車幅が2メートルを超える車両については、ポール4が標識板の代用となる。
バックで駐車場内に入ると、ドアミラーでは図7の上段のようにポール4を含んで3個の棒が投影されるが、更にバックすると所有する車両に適合した標識が図7の下段の図のように投影されてくる。標識板5の数量は、個人の駐車場では車種が決まっているので標識板5は、1個あれば十分であるが、来客や、買い替えで違う車種の駐車も考えられるので2個とした。なお、2個の標識5を白色、黄色などで着色すると識別しやすくなる、蛍光着色すれば夜間でも更に識別しやすくなる。
【0016】
本発明品は、単体でも使用できるが後部フレーム2のジョイントを四方向に交換して図9のように左右を中継ぎで延長すると横一列の駐車場が可能となる。また、五方向のジョイントに交換して前後左右を中継ぎで延長していけば前後一列の駐車場となる。また本発明品のフレームワークは、二及び三方向のジョイントを用いて接続しているので、分解、搬送して現地で組み立てて臨時駐車場用設備として活用できる。
【0017】
従来の有料または月極めの駐車場では、駐車場の使用者の氏名または一連番号を路面上、もしくは駐車場に接する壁などに塗装しているが、使用者の更新がある都度、路面上や壁に記載した氏名などを削り消去しなければならないが、本発明品ではフレーム、ポールを使用しているので、使用者の氏名または一連番号を記載した看板をフレームやポールなどに取り付けて表示できる。使用者の更新があっても看板を張り替えるだけで良い。

【0018】
不整地の臨時駐車場では、地面に直接消石灰等でラインを引く、または紐を使用して区画ラインを表示するなど簡易な設備を施して駐車区域を示している。本発明品も、フレームワークを形成しないで、店舗前に飾る看板旗のように左右ポール4を台形の置石スタンド上に立てて簡易駐車位置誘導装置としても使用することが出来る。この場合、標識板5が同一直線上に並ぶように左右ポール4を配置する必要がある。
【符号の説明】
【0019】
1 前部フレーム
2 後部フレーム
3 側部フレーム
4 ポール
5 標識板
6 標識板取付具
7 標識固定具
8 車止め固定具
9 フレーム固定具
10 車止め
11 駐車区画ライン
12 駐車後方ライン
13 駐車前方ライン
14 ドアミラー

















図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9