(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記統計的コポリマーが、非反応性であり、かつ前記シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズと会合されるか、又は前記シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ中で絡み合わされる、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
前記ポリカチオン性成分が、カチオン性水溶性高分子アンモニウム塩類、ポリクオタニウム含有化合物類、水溶性高分子テトラアルキルホスホニウム塩類、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
前記ポリカチオン性成分が、ビグアニド類、ビスビグアニド類、第4級アンモニウム中心を有するポリカチオン性ポリマー類、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
前記ポリカチオン性成分が、ポリヘキサメチレンビグアニドPQ−1、PQ−42、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
前記アニオン性モノマーが、3−アクリルアミドプロピオン酸、4−アクリルアミドブタン酸、5−アクリルアミドペンタン酸、ナトリウム−2−(アクリルアミド)−2−メチルプロパンスルホネート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
前記アニオン性モノマーが、(メタ)アクリル酸、アクリル酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレートカリウム塩、3−スルホプロピル(メタ)アクリレートナトリウム塩、スルホエチルメタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
前記単一の反応性官能基がメタクリルアミドであり、前記反応性イオン性モノマーが、少なくとも1種のアクリルアミドスルホン酸又はアクリルアミドスルホン酸塩を含む、請求項28に記載のシリコーンヒドロゲル。
前記反応性イオン性モノマーが、3−アクリルアミドプロピオン酸、4−アクリルアミドブタン酸、5−アクリルアミドペンタン酸、ナトリウム−2−(アクリルアミド)−2−メチルプロパンスルホネート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項28に記載のシリコーンヒドロゲル。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、シリコーンヒドロゲル材料、及び前記シリコーンヒドロゲル材料から形成される物品中のアニオン電荷の空間密度及び濃度を制御することに関する。イオン性シリコーンヒドロゲルポリマー、及び前記イオン性シリコーンヒドロゲルポリマーから形成される物品は、涙成分(リゾチームを含む)の取り込みが所望のように増大され、また洗浄及びケア溶液からのポリカチオン性成分の取り込みが低く又は全くない可能性があることが見出されている。シリコーンヒドロゲル、及び前記シリコーンヒドロゲルから形成される物品は、イオン性統計的コポリマーから形成されてもよく、又はイオン性統計的コポリマーと結合した少なくとも1種の非架橋(可溶性)イオン性統計的コポリマーを有してもよい。この実施形態では、イオン性統計的コポリマーは、エンタングルメント、結合、又はこれらの組み合わせのいずれかを介して、レンズと結合している。例えば、コンタクトレンズは、レンズ本体中の成分としてのNVP又はPVPを含んでもよい。この実施形態では、アニオン性統計的コポリマーは、ピロリドンのラクタム部分と永続的な結合を形成している。代替的に、アニオン性統計的コポリマーは、少なくとも1つの末端に疎水性ブロックを有してもよい。アニオン性統計的コポリマーの疎水性ブロックは、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズのシリコーンと結合する。
【0010】
本明細書で使用される「生体医療用器具」とは、哺乳動物組織又は体液に使用されるように設計された任意の物品である。これらの器具の例には、カテーテル、インプラント、ステント、並びに、眼内レンズ、インレイレンズ及びコンタクトレンズ等の眼科用器具が挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
本明細書で使用される「眼科用器具」は、眼の中又は上、並びに角膜、瞼及び眼腺を含む目の任意の部分に存在する、任意の器具である。これらの器具は、光学補正、美容整形、視界強化、治療効果(例えば包帯として)、並びに薬学及び栄養補助成分等の活性成分の供給、又は前述の任意の組み合わせを提供することができる。眼科用器具の例には、レンズ及び涙点プラグ等を含むが、これに限定されない光学的及び眼内挿入物を含む。
【0012】
本明細書で使用する場合、用語「レンズ」とは、眼内又は眼の表面上に置かれる眼科用機器のことを指す。用語レンズには、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイレンズが挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
本発明の医療用器具、眼科用器具及びレンズは、一実施形態では、シリコーンヒドロゲル及びシリコーンフッ化ヒドロゲルを含むが、これらに限定されないシリコーンエラストマー又はヒドロゲルから製造される。これらのヒドロゲルは、硬化されたレンズにおいて相互に共有結合する疎水性及び親水性モノマーを含む。
【0014】
本明細書で使用されるとき、「取り込み」はレンズの中に、レンズと、又はレンズの上に結合した、レンズの中又は上に沈殿した状態を意味する。ポリカチオン性成分の「パーセント(%)取り込み」とは、本発明のシリコーンヒドロゲルと接触する前の眼科用溶液中のポリカチオン性成分の総量と比較した、レンズの中若しくは上に結合し、又はレンズの中若しくは上に沈殿するそのポリカチオン性成分のパーセントを意味する。
【0015】
本明細書で使用されるとき、「反応性混合物」は、互いに混合され、本発明の一実施形態のイオン性シリコーンヒドロゲルを形成する重合条件におかれる成分(反応性及び非反応性の双方)の混合物を指す。反応性混合物は、モノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、反応開始剤、希釈剤等の反応性成分、及び湿潤剤、剥離剤、染料等の添加剤、UV吸収剤及びフォトクロミック化合物等の光吸収化合物を含み、任意のこれらの化合物は反応性又は非反応性であってもよいが、医薬及び栄養補給化合物と同様に、得られる医療用器具中に留まることができる。製造される医療用器具及び意図する用途に応じて、広範囲の添加物が加えられることがあると理解される。反応性混合物の成分の濃度は、希釈剤を除く反応性混合物中の全ての成分の重量%で与えられる。希釈剤が使用される場合には、この濃度は反応性混合物中の全ての成分と希釈剤の量に基づく重量%で与えられる。
【0016】
本明細書で使用されるとき、統計的コポリマーは、それ自体の及び互いの反応に関して実質的に類似した反応速度定数、kを有する反応性成分から形成されている少なくとも1つのセグメントを有するポリマーである。例えば、統計的コポリマーには、同一の反応性官能基を有する反応性成分から形成されている架橋ポリマーマトリクス、同一の反応性官能基を有する反応性成分から形成されているポリマー、及び少なくとも1つのブロックが同一の反応性官能基を有する反応性成分から形成されているブロックコポリマーが挙げられる。一般に、実質的に類似した反応速度定数は、約10%以内である。同一の反応性官能基を有する反応性成分は、実質的に類似した反応速度定数を有する。
【0017】
本明細書で使用されるとき、カチオン性涙成分は、ラクトフェリン、リゾチーム、血清アルブミン、及び分泌免疫グロブリンAを含むカチオン性タンパク質を含む。リゾチームは、好ましいカチオン性涙成分である。
【0018】
本明細書で使用されるとき、眼科用溶液は、眼内に注入され、又は、眼球環境内に配置される器具のコンディショニング若しくは洗浄に使用される溶液である。眼科用溶液の例には、点眼液、湿潤点眼薬、コンタクトレンズ多目的溶液、コンタクトレンズを含む眼科用器具の包装溶液が挙げられる。
【0019】
コンタクトレンズ多目的溶液は、多くの場合、ポリカチオン性成分を含む。ポリカチオン性成分には、ビグアニド、ビスビグアニド等のカチオン性水溶性高分子アンモニウム塩、及び、「ポリクオート(polyquat)」又はPQ化合物とも称されるポリクオタニウム含有化合物等の、正に帯電した有機化合物が挙げられる。ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)は、コンタクトレンズの多目的、洗浄及びケア溶液中で使用される通常のビグアニドである。水溶性高分子アンモニウム塩の例には、第4級アンモニウム中心を有するポリカチオン性ポリマーが挙げられる。その例には、PQ−1、PQ−42(ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミニオ)エチレン(ジメチルイミニオ)エチレンジクロリド])等が挙げられる。アンモニウム塩の代わりに、カチオン性水溶性高分子テトラアルキルホスホニウム塩も使用することができる。クロルヘキシジン(N’,N’’’’’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[N−(4−クロロフェニル)(イミドジカルボンイミド酸ジアミド)]、又はCHG)等の2つ以上のカチオンを有する非高分子カチオン性有機成分も含み得る。ナトリウムイオン等の無機帯電イオンは、本明細書で定義するカチオン性成分ではない。
【0020】
PQ1は、そのポリマーバックボーン中に第4級アンモニウムイオンを有するカチオン性コポリマーである。詳細には、PQ1は、ポリ[(ジメチルイミニオ)−2−ブテン−1,4−ジイルクロリド(1:1)]、α−[4−[トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニオ]−2−フテン−1−イル]−ω−[トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニオ]−、クロリド(CAS 75345−27−6)である。多目的溶液及び洗浄溶液を含むコンタクトレンズ溶液は、一般に、クエン酸塩二水和物及びクエン酸一水和物等のクエン酸塩も含んで、コンタクトレンズによるPQ1取り込みを阻止することを助ける。しかしながら、シリコーンヒドロゲルレンズにアニオン性を加えることによって、クエン酸塩の存在下でもレンズによる不必要なPQ1取り込みがもたらされ得る。別の実施形態では、本発明は更に、所望による水溶性高分子アンモニウム塩取り込みの低下を提供する。
【0021】
RAFTは、可逆的付加開裂連鎖移動(reversible addition fragmentation-chain transfer)重合を指し、これは「擬似リビング」フリーラジカル重合の一形態である。
【0022】
親水性成分は、水に少なくとも10%可溶な成分である。したがって、10重量部のモノマーが90重量部の水と組み合わされた場合、室温で混合することにより、透明な単相溶液が形成される。
【0023】
アニオン性成分は、少なくとも1個のアニオン性基及び少なくとも1個の反応性基を含む成分である。アニオン性基は、中性pHにて負電荷を帯びる基である。アニオン性基の例には、カルボキシレート基、ホスフェート、サルフェート、スルホネート、ホスホネート、ボレート、これらの混合物等が挙げられる。一実施形態において、アニオン性成分は、3〜10個の炭素原子を含み、別の実施形態では3〜8個の炭素原子を含む。一実施形態において、アニオン性基は、カルボキシレート基又はスルホネート基を含む。アニオン性成分はまた、任意の前述のイオン化可能な塩、例えばカルシウム、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、及びこれらの混合物を含む塩を含む。
【0024】
反応性官能基又は反応基は、重合条件下でフリーラジカル重合及び/又はカチオン性重合等の連鎖反応重合を受けることができるものを含む。例えばジオールと二酸との反応からポリエステル、及びジオールとジ−イソシアネートとの反応からポリウレタンのような段階反応重合を介して、又はチオール−エン反応を介してシリコーンコポリマーを合成することも可能である。一般に、重合性基は、活性化又は非活性化重合性基として分類することができる。
【0025】
活性化重合性成分は、共役した少なくとも2つの二重結合を有するものである。
【化1】
Rは、H、カルボキシル基、エステル基、ハロゲン化物基、C
1〜C
4アルキル基から独立して選択され、これらは更にカルボン酸又はエステル基で置換されてもよい。別の実施形態では、Rは、H及び非置換−C
1〜4アルキル基から選択され;別の実施形態では、H及びメチル、−COOH、−CH
2COOHから選択され、別の実施形態では、H及び−CH
3から選択され;
R’は、O又はNであり、これらは更にH、C
1〜3アルキル基から選択される基で置換され、前記C
1〜3アルキル基は更に、ヒドロキシル基、カルボキシル基又はカルボキシエステル基で置換されてもよく;又はR’は、アルキレンであってもよく、前記アルキレンはR’’と共にフェニル環を形成する。一実施形態において、R’は、H又は非置換C
1〜3アルキルで置換されたO又はNである。
R’’は、O、又はR’と共にフェニル環を形成するアルキレンである。
【0026】
活性化重合性基の例には、アクリレート若しくはメタタクリレート、イタコン酸エステル、フマル酸若しくはマレイン酸のエステル、アクリルアミド若しくはメタクリルアミド、又はスチレンが挙げられる。
【0027】
非活性化重合性基は、炭素−炭素二重結合を有するが、共役した第2の二重結合を有さない。
【化2】
式中、各Rは、H、C
1〜C
4アルキル基であってもよく、これらは非置換又はヒドロキシル、カルボキシ、カルボキシエステル、Cl、Br、O若しくはN(R
2)COR
3で置換されてもよく、R
2は、H又はCOR
3、非置換C1〜3アルキルであり、R
3 H又は非置換C1〜3であり、Rx及びRyは、一緒になってプロピレンであってもよく、OはC1〜3アルキル又はCORxで置換されてもよく、但し炭素−炭素結合に結合した原子は、それ自体が二重に又は三重に結合していないことを条件とする。非活性化重合性基の例には、ビニルラクタム、ビニルアミド、ビニルカーボネート、ビニルカルバメート、アリルエーテル、アリルアルコール等が挙げられる。
【0028】
フリーラジカル反応性基の非限定例には、(メタ)アクリレート、スチリル、ビニル、ビニルエーテル、C
1〜6アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、C
1〜6アルキル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、C
2〜12アルケニル、C
2〜12アルケニルフェニル、C
2〜12アルケニルナフチル、C
2〜6アルケニルフェニルC
1〜6アルキル、O−ビニルカルバメート及びO−ビニルカーボネートが挙げられる。カチオン性反応性基(カチオン性重合条件下で重合できる基)の非限定例には、ビニルエーテル又はエポキシド基、及びこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、反応性基は、(メタ)アクリレート、アクリルオキシ、(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物を含む。
【0029】
(メタ)が先頭に付く任意の化学名、例えば(メタ)アクリレートは、非置換及びメチル置換化合物の双方を含む。
【0030】
統計的コポリマーは、反応性コモノマー、例えばA及びBの反応性の比、r
A及びr
Bが、互いに接近し、1に近い場合、それらの間で形成される。これら2つのモノマーの「統計的」又は「非統計的」共重合は、重合を受けたときにコポリマーの主鎖に組み込まれるモノマーA及びBの相対的なモル分率により特徴付けられる。A及びBのコポリマー中に組み込まれるモノマーAのモル分率、F
Aは、例えばMayo−Lewis式により予想される。
【数1】
式中、
【数2】
は、A及びBの相対的なモル分率である。反応性の比、r
A及びr
Bは、k
AA、k
AB、k
BA、及びk
BBの4つの成長速度定数により規定される。A及びBのコモノマー混合物中でコポリマーを成長させるには、4つの異なる成長速度定数を与える4つの可能なラジカル付加の状況が存在する。
【数3】
【0031】
一般に、r
A及びr
B、両方のモノマーのモル分率の相対的な値、及び共重合の転化率は、得られたコポリマーの微細構造を決定する主な因子である。一般に、本明細書に開示した本発明に特に適合する、r
A及びr
Bに関する限定的なケースが存在する。r
A及びr
Bが等しく、かつ1に近い場合(例えば、r
A=r
B≒1)、共重合は「ランダム」又は「統計的」であり、即ちモノマーAがそれ自体に付加する確率とモノマーBに付加する確率とが等しく、またモノマーBがそれ自体に付加する確率とモノマーAに付加する確率とが等しいと考えられる。一実施形態において、「類似した」反応性の比は、反応性混合物中の最も速い反応性成分と、最も遅い反応性成分との反応性の比が、互いに25%以内であり、別の実施形態では互いに約10%以内であり、別の実施形態では互いに約5%以内である。いくつかの実施形態では、反応性の染料又はUV吸収剤等の少量反応性添加剤は、本明細書に開示した範囲よりも大きい反応性の比を有し得る。反応性の比は、重合溶液からのモノマーA及びBの相対的な減少、及び得られたコポリマー中のA及びBの相対的な組み込みを測定することにより決定することができる。この測定は、低い総モノマー転化率、即ちほぼ10〜20%の転化率で行われ、1〜99%のA又は99〜1%のBからなる初期のモノマー組成物の範囲にわたって繰り返される。
【0032】
別の実施形態では、ランダム又は統計的コポリマーは、帯電モノマーと、同一の反応性二重結合を含む他のモノマーとから形成される(アニオン性荷電アクリルアミド−モノマーが他のアクリルアミド−コモノマーと組み合わされ、又はアニオン性荷電メタクリル系−モノマーが他のメタクリレート−コモノマーと組み合わされる)。本明細書の実施例に示すように、同一の反応性官能基を含油する他のモノマーを用いて荷電モノマーを消費することにより、PQ1等のポリカチオン性成分と比較したリゾチーム等のカチオン性涙成分の所望の選択的取り込みを示すレンズが生成される。反応性混合物は、同一の反応性官能基及び類似した反応性の比(1に近い)を有する反応性成分を含み、レンズの塊の表面全域で、及び該塊の全体にわたって均一な電荷分布を生じる。
【0033】
r
A=r
B≒0の場合、モノマーA及びBがそれら自体に付加する可能性は非常に低い。このことは、A及びBの交互コポリマーの形成、レンズ全体にわたる所望の電荷分布を有するレンズ材料、及び、ポリカチオン性成分にわたるカチオン性涙成分の所望の選択的取り込みをもたらす。
【0034】
r
A>1>r
Bの場合、本発明の統計的コポリマーは形成されない。この場合、重合の早期において、モノマーAはモノマーBよりも高速に消費される。この共重合の早期の時点では、形成されたコポリマーは、非常にモノマーAに富んでいる。重合が進行し、モノマーAがモノマーBを超えて枯渇し、それ故、相対的なモル分率がモノマーBに有利なように変化するにつれて、コポリマー微細構造は、モノマーAに富んだ状態からモノマーBに富んだ状態へと変化する。これはモノマーAの全部又は殆どが消費されるまで起こり、その時点で、形成されるポリマーは完全に又は殆どモノマーBから構成される。このことは当業者に「組成ドリフト」としても既知である。本発明の比較例では、アニオン性アクリルアミド−モノマーがメタクリレート及び他のアクリルアミドの混合物中で共重合して、コンタクトレンズ又は医療用器具を作製する。この場合、重合の早期においてメタクリレートがアクリルアミド−モノマーと比較して遙かに速い速度で消費されると考えられる。これはメタクリレートの全部又は殆どが消費されるまで継続し、その時点の後、アクリルアミド−モノマーが消費され、重合は100%転化率に到達する。アニオン性荷電アクリルアミド−モノマーが、反応の後期に消費されることの確率が遙かに高いので、基材の塊中若しくは塊上、又は基材の表面上の電荷は、ポリマー塊の全体にわたって均一に分布されない。このことは有意な量のPQ1取り込み、及びリゾチームに繋がり、望ましくない。
【0035】
r
A=r
B>1の場合、ブロック型コポリマーが形成される。この場合、モノマーAはモノマーBよりもそれ自体に付加する、より高い確率を有し、モノマーBはモノマーAよりもそれ自体に付加する、より高い確率を有する。AがBにまれにしか付加せず、また逆も同様である、即ちr
A=r
B>>1である極端な場合、ホモポリマーの混合物の形成が予想される。これらの場合、得られた基材上及び基材中に電荷の不均一な分布が生じると考えられる。
【0036】
反応性比(reactivity rate)が実質的に一致するように反応性混合物の成分を選択することによって、アニオン性モノマーの単位が、本発明の実施形態に応じて、ポリマー、又はポリマーの少なくとも1つのセグメント、のいずれかの全体にわたってランダムに分布された統計的コポリマーを作製できることが見出された。ポリマー全体にわたる負電荷のランダム分布は、リゾチーム等の有益なタンパク質のポリマーによる取り込みを増大させるが、非限定的にPQ1等の、ポリクオタニウム塩を含む、コンタクトレンズ溶液中の正に帯電した成分の取り込みを低下させる、電荷の非局在化を提供すると考えられる。
【0037】
それ故、一実施形態において、非イオン性親水性モノマー及びアニオン性モノマーは、両方とも活性化され又は両方とも非活性化されているかのいずれかである。別の実施形態では、非イオン性親水性モノマー及びアニオン性モノマーの両方における反応性官能基は、同一であり、例えば非イオン性親水性モノマー及びアニオン性モノマーの両方がメタクリレートである。別の実施形態では、非イオン性親水性モノマー及びアニオン性モノマーの両方がメタクリルアミドである。そのような組み合わせの非限定例は、下記の実施例に含まれている。
【0038】
好適なアニオン性成分の例には、(メタ)アクリル酸等のアルキルアクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸、ビニル安息香酸、フマル酸、マレイン酸、フマル(furmaric)酸のモノエステル、マレイン(maelic)酸及びイタコン酸のモノエステル;3−アクリルアミドプロピオン酸、4−アクリルアミドブタン酸、5−アクリルアミドペンタン酸、N−ビニルオキシカルボニル−α−アラニン、N−ビニルオキシカルボニル−β−アラニン(VINAL)を含む反応性カルボン酸、2−ビニル−4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン(VDMO)、ナトリウム−2−(アクリルアミド)−2−メチルプロパンスルホネート、3−スルホプロピル(メタ)アクリレートカリウム塩、3−スルホプロピル(メタ)アクリレートナトリウム塩、ビス3−スルホプロピルイタコネート二ナトリウム、ビス3−スルホプロピルイタコネート二カリウム、ビニルスルホネートナトリウム塩、ビニルスルホネート塩、スチレンスルホネート、2−スルホエチルメタクリレートを含む反応性スルホネート塩、及びこれらの混合物等が挙げられる。一実施形態においては、アニオン性成分は反応性カルボン酸から選択され、別の実施形態において、アニオン性成分はメタクリル酸及びN−ビニルオキシカルボニルアラニンから選択される。反応性モノマーがアクリルアミド反応性基を含む別の実施形態では、アニオン性モノマーは、3−アクリルアミドプロピオン酸、4−アクリルアミドブタン酸、5−アクリルアミドペンタン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のアクリルアミド酸、前記アクリルアミド酸の塩、及びこれらの組み合わせを含む。好適な塩には、ナトリウム、カリウム及びカルシウム塩を含む、眼科的に適合し得る塩が挙げられる。
【0039】
驚くべきことに、アクリルアミドスルホン酸又はアクリルアミドスルホン酸塩は本発明のアクリルアミド配合物に適合性であることが見出された。アクリルアミドスルホン酸又はアクリルアミドスルホン酸塩は一般に、本明細書に開示された低いモル濃度においてでさえも、極性が高すぎてシリコーンヒドロゲル反応性混合物中に可溶性でない。しかしながら、単一の反応性官能基がメタクリルアミドである場合、アクリルアミドスルホン酸又はアクリルアミドスルホン酸塩は、約5モル%まで、いくつかの実施形態では約3mol%まで、別の実施形態では約0.1〜約2mol%の量で反応性混合物中に直接組み込むことができる。
【0040】
別の実施形態では、反応性成分はメタクリレート基を含み、イオン性成分はメタクリル酸を含む。これらのモノマーは、非イオン性(エステル)形態で重合した後、脱プロトン化又は加水分解されて、最終生成物中でイオン性基を形成し得ることが理解される。
【0041】
当業者は、前述のアニオン性モノマーが他方の反応性成分の官能基に基づいて選択されることを理解するであろう。例えば、主要重合性成分がアクリルアミド反応性官能基を含む場合、アニオン性モノマーは3−アクリルアミドプロピオン酸、4−アクリルアミドブタン酸、5−アクリルアミドペンタン酸、ナトリウム−2−(アクリルアミド)−2−メチルプロパンスルホネート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、及びこれらの組み合わせであってもよい。
【0042】
主要重合性成分が(メタ)アクリレート官能基を含む場合、アニオン性モノマーは(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸、フマル(furmaric)酸のモノエステル、3−スルホプロピル(メタ)アクリレートカリウム塩、3−スルホプロピル(メタ)アクリレートナトリウム塩、ビス3−スルホプロピルイタコネート二ナトリウム、ビス3−スルホプロピルイタコネート二カリウム、スルホエチルメタクリレート、及びこれらの混合物であってもよい。別の実施形態では、主要重合性成分は(メタ)アクリレート官能基を含み、アニオン性モノマーは(メタ)アクリル酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレートカリウム塩、3−スルホプロピル(メタ)アクリレートナトリウム塩、スルホエチルメタクリレート、及びこれらの混合物であってもよい。
【0043】
主要重合性成分がビニル官能基を含む場合、アニオン性モノマーはN−ビニルオキシカルボニル−α−アラニン、N−ビニルオキシカルボニル−β−アラニン、2−ビニル−4、4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン、ビニルスルホネートナトリウム塩、ビニルスルホネート塩、及びこれらの混合物であってもよい。
【0044】
好適な非イオン性親水性モノマーには、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、N−ビニルアミド類、N−ビニルラクタム類(例えば、NVP)、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルホルムアミド、N−ビニルホルムアミドが挙げられる。米国特許第5,070,215号に開示されているビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマー、及び米国特許第4,910,277号に開示されている親水性オキサゾロンモノマーも使用することができる。
【0045】
米国公開特許第2011−0230589 A1号に開示されている、式c0のヒドロキシル含有(メタ)アクリルアミドモノマーも使用することができる。
【化3】
式中、R
1は水素又はメチルであり;R
14及びR
15の少なくとも一方が、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたC1〜C20アルキルで置換され、但しi)R
14及びR
15の一方が水素の場合、ii)R
14及びR
15の他方は、2つ以上のヒドロキシル基で置換されたC1〜C20アルキル基であることを条件とする。一実施形態では、非シリコーン(メタ)アクリルアミドモノマーは、分子中に2つ以上のヒドロキシル基を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、R1は水素原子であり、R
14及びR
15の少なくとも一方は、水素、場合により置換されたC1〜C20アルキル基、又は場合により置換されたC6〜C20アリール基から選択されるが、但しR
14及びR
15中のヒドロキシル基の総数は、2つ以上であることを条件とする。一実施形態では、R
14及びR
15は、少なくとももう1つのヒドロキシル基で置換され得る、C1〜C10アルキル基から独立して選択され、別の実施形態では、親水性(メタ)アクリルアミドが上記条件を満たす限り、少なくとももう1つのヒドロキシル基で置換され得る、C1〜C6アルキル基から選択される。
【0047】
R
14及びR
15の例には、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、s−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、エイコシル基、フェニル基、ナフチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル基、2−ヒドロキシメチルフェニル基、3−ヒドロキシメチルフェニル基、4−ヒドロキシメチルフェニル基等が挙げられる。これらのアルキル及びヒドロキシアルキル基は、直鎖又は分枝状であり得る。分子中に2つ以上のヒドロキシル基を含有する非シリコーン型(メタ)アクリルアミドモノマーの特に好ましい例には、以下の一般式(c1)〜(c3)で表されるモノマーが挙げられる。
【化4】
【0048】
化学式(c1)〜(c3)中、R
1は、水素原子又はメチル基を独立して表す。
【0049】
別の実施形態では、ヒドロキシル含有(メタ)アクリルアミドモノマーは、分子中に1つのヒドロキシル基を含み、アミド水素を含まない。この実施形態の化学式(c0)において、R
1はメチルを表し、R
14及びR
15は、場合により置換されたC1〜C20アルキル基、又は場合により置換されたC6〜C20アリール基から独立して選択され、但しR
14及びR
15の一方が、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されていることを条件とする。R
14及びR
15の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、s−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、エイコシル基、フェニル基、ナフチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシメチルフェニル基、3−ヒドロキシメチルフェニル基、4−ヒドロキシメチルフェニル基等が挙げられる。これらのアルキル基は、直鎖又は分枝状であり得る。この実施形態のヒドロキシル含有アクリルアミドモノマーの例には、以下の一般式(c11)〜(c13)で表されるモノマーが挙げられる。
【化5】
化学式(c11)〜(c13)中、R
1は、メチル基を独立して表す。
【0050】
いくつかの実施形態では、分子中に1つのヒドロキシル基及び1つのアミド水素を含むアクリルアミドモノマーが使用され得る。モノ−ヒドロキシル基官能基化アクリルアミドモノマーの例には、N−(モノ−ヒドロキシル置換C1〜C20アルキル)アクリルアミド及びN−(モノ−ヒドロキシル置換C6〜C20アリール)アクリルアミドが挙げられる。より特定の例には、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシプロピル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシブチル)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシブチル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシブチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシメチルフェニル)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシメチルフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシメチルフェニル)アクリルアミド等が挙げられる。いくつかの実施形態では、N−(モノ−ヒドロキシル置換C2〜C4アルキル)アクリルアミド、特にN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドが好ましい可能性がある。
【0051】
アニオン性モノマーの量も重要である。所望の電荷分布が達成された場合でも、アニオン性モノマーの濃度が高すぎると、不必要なPQ−1取り込みが生じ得る。それ故、アニオン性モノマーが再使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの成分である実施形態では、アニオン性モノマーは約5mol%まで、いくつかの実施形態では約0.1〜約5mol%、約0.1〜約4mol%、別の実施形態では、約0.2〜約4mol%の量で含まれ得る。コンタクトレンズが一日のみ着用された後廃棄される実施形態では、より大量のアニオン性モノマーが含まれ得る。これらの実施形態において、アニオン性モノマーの上限は、リゾチーム又は他のチームの構成要素の所望のレベルと、約70%未満の水、いくつかの実施形態では70%未満の水、別の実施形態では約65%未満の水の含水量とを提供するように選択され得る。
【0052】
アニオン性モノマー及び非イオン性親水性モノマーは、共重合して(単独で又は追加の成分と、のいずれか)水溶性の非架橋ポリマーを形成してもよく、又はシリコーンヒドロゲル反応性混合物中に含まれ、硬化されて、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成してもよい。
【0053】
アニオン性モノマー及び非イオン性親水性モノマーが共重合して非架橋統計的コポリマーを形成する場合、アニオン性モノマーは、約20〜約80mol%、いくつかの実施形態では約20〜約60mol%の量で非架橋統計的コポリマー中に存在する。非イオン性親水性モノマーは、約80〜約20mol%、いくつかの実施形態では約80〜約40mol%の量で存在し得る。ポリマーが下記に記載するように疎水性セグメント又はブロックを有する場合、mol%はポリマーの親水性セグメントのみに基づく。
【0054】
本発明の非架橋統計的コポリマーの親水性セグメントは、少なくとも約300の重合度を有する。
【0055】
非架橋統計的コポリマーは、チオール−エン化学等の段階成長重合、及びフリーラジカル重合及びRAFT等の連鎖反応重合を含むがこれらに限定されない多数の方法により形成され得る。
【0056】
一実施形態において、非架橋統計的コポリマーは更に、該非架橋統計的コポリマーの少なくとも1つの末端部に疎水性ブロックを有する。疎水性ブロックは、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズと結合することが可能な炭化水素ブロック、シロキサンブロック、又は任意の他のブロックであってもよい。別の実施形態では、非架橋統計的コポリマーは、ステント、ハードコンタクトレンズ、カテーテル、ステント又は他のインプラント等の他の高分子製生体医療用器具に結合することが可能な疎水性ブロックを有する。
【0057】
一実施形態において、疎水性ブロックは、ポリジアルキルシロキサン、ポリジアリールシロキサン、及びこれらの混合物を含む。アルキルは、C
1〜C
4アルキルからなる群から独立して選択されてもよく、一実施形態では、疎水性ブロックは、ポリジメチルシロキサン又はポリジエチルシロキサンを含み、これらのいずれかが、C
1〜12アルキル、C
1〜C
4アルキル、アリール、又はいくつかの実施形態ではメチル又はn−ブチルで終結し得る。
【0058】
疎水性ブロックは、約6〜約200のシロキシ単位、約6〜約60のシロキシ単位、6〜約20のシロキシ単位、6〜15のシロキシ単位、及び6〜12のシロキシ単位を含んでもよい。
【0059】
非架橋統計的コポリマーは、医療用器具を膨潤させ、また医療用器具と接触される溶液中に溶解されてもよい。器具がシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズである一実施形態において、非架橋統計的コポリマーは、水又は水溶液に溶解されて、コンタクトレンズの処理、包装若しくは洗浄中、又は保存中にレンズと接触される。例えば非架橋統計的コポリマーは、水和物若しくは包装溶液に組み込まれてもよく、又はコンタクトレンズ着用者により使用される多目的若しくは洗浄溶液中に含まれてもよい。
【0060】
溶液中に含まれる非架橋統計的コポリマーの量は、非架橋統計的コポリマー中のアニオン性モノマーの濃度に一部依存するであろう。例えば、実施例に示すように、30mol%のアニオン性モノマーを含む非架橋統計的コポリマーは、80mol%のアニオン性モノマーを有する非架橋統計的コポリマーよりも大量に加えることができる。非架橋統計的コポリマー中のアニオン性モノマーの濃度を、溶液中の非架橋統計的コポリマーの濃度と釣り合わせて、リゾチーム及びPQ1取り込みの所望のレベルを達成することが望ましい。約2000ppmまで、いくつかの実施形態では約20ppm〜2000ppm、別の実施形態では約50〜約1500ppmの非架橋統計的コポリマーの濃度が望ましい。
【0061】
別の実施形態では、アニオン性モノマー及び非イオン性親水性モノマーはシリコーンヒドロゲル反応性混合物中に含まれて、ポリマー全体にわたって均一に分布されたアニオン性電荷を有するシリコーンヒドロゲルポリマーを形成する。この実施形態では、得られたコンタクトレンズは、全て液滴法により測定して、約70°未満、約50°未満、いくつかの実施形態では約30°未満の接触角を有する。
【0062】
この実施形態では、反応性混合物中の実質的に全部の重合性成分が、同一の反応性官能度を有する。湿潤剤等の非反応性成分も存在し得る。コンタクトレンズ配合物は、非限定的に、取り扱い色味剤(handling tint)及びUV吸収剤等の少量の成分を含んでもよく、これらはその低い濃度により、同一の反応性官能基を有する必要はない。一般に、異なる官能基を有する、反応性混合物中の反応性成分の濃度は、約0.5mol%未満に制限される必要がある。非反応性湿潤剤等の非反応性成分は、それらが反応に関与しないため、より大量に(約15重量%まで、いくつかの実施形態では約20重量%まで)存在してもよい。
【0063】
本実施形態では、アニオン性モノマーは、約5mol%、いくつかの実施形態では約0.1〜約5mol%、約0.1〜約4mol%、別の実施形態では約0.2〜約4mol%の量の濃度で、反応性混合物中に存在する。非イオン性親水性モノマーは、少なくとも約10重量%、いくつかの実施形態では約10重量%〜約70重量%、約20〜約60%、別の実施形態では約20〜約50重量%の量で存在する。
【0064】
反応性混合物は更に、少なくとも1つのシリコーン含有成分を含む。シリコーン含有成分は、モノマー、マクロマー、又はプレポリマー中に少なくとも1つの[−Si−O−]基を含むものである。一実施形態では、Si(ケイ素)及び付帯するOは、シリコーン含有成分中に、シリコーン含有成分の総分子量の約20重量%を超える、別の実施形態では30重量%を超える量で存在する。有用なシリコーン含有成分は、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、及びスチリル官能基等の重合性官能基を含む。本発明で有用なシリコーン含有成分の例は、米国特許第3,808,178号、同第4,120,570号、同第4,136,250号、同第4,153,641号、同第4,740,533号、同第5,034,461号及び同第5,070,215号、並びに欧州特許第080539号に見出すことができる。本明細書に引用した特許の全ては、それらの全容が参照により本明細書に組み込まれる。これらの参照は、オレフィン性シリコーン含有成分の多くの例を開示している。
【0065】
好適なシリコーン含有成分は、式Iの化合物を含む。
【化6】
式中、R
1は、一価反応性基、シロキサン鎖、一価アルキル基、又は一価アリール基から独立して選択される。一価アルキル基及びアリール基は、更に、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロゲン、又はこれらの組み合わせから選択される官能性を更に含み得、1〜100のSi−O反復単位を含む一価シロキサン鎖は、更に、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、エーテル、アミド、カルバメート、ハロゲン、又はこれらの組み合わせから選択される官能基を含み得る。
式中、b=0〜500であり、bが0以外のときに、bは、表示値と同等のモードを有する分布であると理解され、
式中、少なくとも1つのR
1が少なくとも1つの一価反応性基を含み、いくつかの実施形態では、1〜3個のR
1が一価反応性基を含む。
【0066】
本明細書で使用されるとき、「一価反応性基」は、フリーラジカル、アニオン性及び/又はカチオン性重合等の重合を受け得る基である。フリーラジカル反応性基の非限定例には、(メタ)アクリレート、スチリル、ビニル、ビニルエーテル、置換又は非置換のC
1〜6アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、置換又は非置換のC
1〜6アルキル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、C
2〜12アルケニル、C
2〜12アルケニルフェニル、C
2〜12アルケニルナフチル、C
2〜6アルケニルフェニルC
1〜6アルキル、O−ビニルカルバメート及びO−ビニルカーボネートが挙げられる。前記C1〜6アルキル上の好適な置換基には、エーテル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。カチオン反応性基の非限定例には、ビニルエーテル又はエポキシド基、及びこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、フリーラジカル反応基は、(メタ)アクリレート、アクリルオキシ、(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物を含む。
【0067】
好適な一価アルキル基及びアリール基には、置換及び非置換のメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−ヒドロキシプロピル、プロポキシプロピル、ポリエチレンオキシプロピル、これらの組み合わせ等の非置換の一価C
1〜C
16アルキル基、C
6〜C
14アリール基が挙げられる。
【0068】
一実施形態において、R
1は、C
1〜6アルキル(メタ)アクリレート及びC
1〜6アルキル(メタ)アクリルアミドから選択され、これらは非置換であり、又はヒドロキシル、アルキレンエーテル若しくはこれらの組み合わせで置換されてもよい。別の実施形態では、R
1は、プロピル(メタ)アクリレート及びプロピル(メタ)アクリルアミドから選択され、前記プロピルは、場合によりヒドロキシル、アルキレンエーテル又はこれらの組み合わせで置換されてもよい。
【0069】
一実施形態では、bは、ゼロであり、1個のR
1は、一価の反応性基であり、少なくとも3個のR
1は、1〜16個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択され、別の実施形態では、1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択される。本発明のシリコーン成分の非限定例には、2−メチル−、2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキザニル]プロポキシ]プロピルエステル(「SiGMA」)、
2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルオキシプロピル−トリ(トリメチルシロキシ)シラン、
3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(「TRIS」)、
3−メタクリルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、及び
3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサンが挙げられる。
【0070】
別の実施形態では、bは、2〜20、3〜15、又はいくつかの実施形態では、3〜10であり、少なくとも1つの末端R
1は、少なくとも1つの一価反応基を含み、残りのR
1は、1〜16個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択され、別の実施形態では、1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択される。更に別の実施形態では、bは3〜15であり、1つの末端R
1は、一価の反応基を含み、これは置換又は非置換のC
1〜6アルキル(メタ)アクリレート、置換又は非置換のC
1〜6アルキル(メタ)アクリルアミドから選択され、他の末端R
1は、1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基を含み、残りのR
1は、1〜3個の炭素原子を有する一価アルキル基を含む。本実施形態のシリコーン成分の非限定例には、(モノ−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピル)−プロピルエーテル末端、n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン(400〜1000MW))(「OH−mPDMS」)、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン(800〜1000MW)、(「mPDMS」)、N−(2,3−ジヒドロキシプロパン)−N’−(プロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)アクリルアミド、及び以下の式(s1)〜(s6)のメタクリルアミドシリコーンが挙げられる。
【化7】
【0071】
別の実施形態では、bは、5〜400、又は10〜300であり、両方の末端R
1は、一価反応性基を含み、残りのR
1は、炭素原子間のエーテル結合を有することもあり、かつハロゲンを更に含むこともある、1〜18個の炭素原子を有する一価アルキル基から独立して選択される。
【0072】
別の実施形態では、1〜4個のR
1は、以下の式のアリル若しくはビニルカーボネート、又はカルバメートを含む。
【化8】
式中、YはO−、S−又はNH−を示し、
Rは、水素又はメチルを示し、dは1、2、3又は4、qは0又は1である。
【0073】
シリコーン含有カーボネート又はカルバメートモノマーは、具体的には、1,3−ビス[4−(ビニルオキシカルボニルオキシ)ブタ−1−イル]テトラメチル−ジシロキサン、3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルメチルビニルカーボネート、及び
【化9】
を含む。
【0074】
アクリルアミド系が使用される別の実施形態では、米国公開特許第2011/0237766号の(メタ)アクリルアミドシリコーンが、DMA及びHEAA等のアクリルアミド親水性モノマー、並びに3−アクリルアミドプロパン酸(ACA1)又は5−アクリルアミドペンタン酸(ACA2)等のアクリルアミドアニオン性モノマーと共に使用されてもよい。
【0075】
約200以下の弾性率を有する生体医療用器具が所望される場合、1個のR
1のみが一価の反応性基を含むものとし、残りのR
1基のうちの2個以下は、一価シロキサン基を含む。
【0076】
シリコーンヒドロゲルレンズが望ましい一実施形態では、本発明のレンズは、ポリマーが作製される反応性モノマー成分の総重量に基づき、少なくとも約20重量%、いくつかの実施形態では約20〜70重量%のシリコーン含有成分を含む、反応性混合物から作製される。
【0077】
別のクラスのシリコーン含有成分としては、次の式のポリウレタンマクロマーが挙げられる。
式XIII−XV
(
*D
*A
*D
*G)
a*D
*D
*E
1;
E(
*D
*G
*D
*A)
a*D
*G
*D
*E
1又は
E(
*D
*A
*D
*G)
a*D
*A
*D
*E
1
式中、
Dは、炭素原子6〜30個を有するアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アリールジラジカル又はアルキルアリールジラジカルを示し、
Gは、炭素原子1〜40個を有するアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、アリールジラジカル又はアルキルアリールジラジカルを示し、これは、主鎖中にエーテル、チオ又はアミン結合を含有できる。
*はウレタン又はウレイド結合を示し、
aは、少なくとも1であり、
Aは次の式の二価重合ラジカルを示す。
【化10】
R
11は、1〜10個の炭素原子を有するアルキル又はフルオロ置換アルキル基を独立して示し、これは炭素原子間にエーテル結合を含んでよく;yは少なくとも1であり;pは400〜10,000の部分重量を提供し;E及びE
1はそれぞれ独立して次の式に示される重合性不飽和有機ラジカルを示す。
【化11】
式中、R
12は、水素又はメチルであり、R
13は、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキルラジカル又は−CO−Y−R
15ラジカルであり、Yは、−O−、Y−S−又は−NH−であり、R
14は、1〜12個の炭素原子を有する二価ラジカルであり、Xは−CO−又は−OCO−を示し、Zは、−O−又は−NH−を示し、Arは、6〜30個の炭素原子を有する芳香族ラジカルを示し、wは0〜6であり、xは0又は1であり、yは0又は1であり、zは0又は1である。
【0078】
コモノマーシリコーン含有成分は、次の式で表されるポリウレタンマクロマーを含む。
【化12】
式中、R
16は、イソホロンジイソシアネートのジラジカル等のイソシアネート基除去後のジイソシアネートのジラジカルである。別の好適なシリコーン含有マクロマーは、フルオロエーテル、ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、イソホロンジイソシアネート及びイソシアネートエチルメタクリレートの反応によって形成される式X(式中、x+yは10〜30の範囲の数である)の化合物である。
【化13】
【0079】
本発明での使用に好適な他のシリコーン含有成分には、ポリシロキサン、ポリアルキレンエーテル、ジイソシアネート、ポリフッ化炭化水素、ポリフッ化エーテル及びポリサッカライド基を含有するマクロマー等、国際公開第96/31792号に記載されているものが挙げられる。好適なシリコーン含有成分の別のクラスには、米国特許第5,314,960号、同第5,331,067号、同第5,244,981号、同第5,371,147号及び同第6,367,929号に開示されるようなGTPを経て作られるシリコーン含有マクロマーが挙げられる。米国特許第5,321,108号、同第5,387,662号、同第5,539,016号は、末端ジフルオロ置換炭素原子に結合した水素原子を有する極性フッ素化グラフト又は側基を有するポリシロキサンについて記載している。米国公開特許第2002/0016383号は、エーテル並びにポリエーテル及びポリシロキサニル基を含有するシロキサニルリンケージ及び架橋可能なモノマーを含有する親水性のシロキサニルメタクリレートについて記載している。前述のポリシロキサンのいずれもまた、本発明のシリコーン含有成分として使用することができる。
【0080】
約827.4kPa(120psi)未満の弾性率が望ましい本発明の一実施形態においては、レンズの配合で用いられるシリコーン含有成分の質量分率の大部分は、重合性官能基を1つだけ含むべきである(「一官能性シリコーン含有成分」)。本実施形態では、酸素透過率及び弾性率の所望の釣り合いを保証するために、1つ超の重合性官能基を有する(「多官能性成分」)全ての成分が、10mmol/100g反応性成分以下、好ましくは7mmol/100g以下の反応性成分を占めることが好ましい。
【0081】
別の実施形態では、反応性混合物は、トリメチルシロキシ基を含むシリコーン含有成分を実質的に含まない。
【0082】
シリコーン含有成分は、全ての反応性成分を基準に、約85重量%の量まで存在してもよく、いくつかの実施形態においては約10〜約80重量%、別の実施形態においては約20〜約70重量%存在してもよい。
【0083】
本発明のコンタクトレンズを形成するために用いられる反応性混合物中に存在し得る他の成分には、米国特許第6,367,929号、国際公開第03/22321号、同第03/22322号に開示されているもの等の湿潤剤、米国公開特許第2003/162862号及び同第2003/125498号に開示されているもの等の相溶化成分、紫外線吸収化合物、薬剤、抗微生物化合物、フォトクロミック染料を含む共重合性及び非重合性染料、離型剤、反応性色味剤、色素、医薬及び栄養補給化合物、これらの組み合わせ等が挙げられる。添加成分の総量は約20重量%までであってよい。一実施形態においては、反応性混合物は約18重量%までの湿潤剤を含み、別の実施形態においては約5〜約18重量%の湿潤剤を含む。
【0084】
反応性混合物には、重合触媒が含まれてもよい。重合開始剤は、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル、過炭酸イソプロピル、アゾビスイソブチロニトリル等の、中程度の昇温状態でフリーラジカルを発生させる化合物、及び、芳香族α−ヒドロキシケトン、アルコキシオキシベンゾイン、アセトフェノン、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルフォスフィンオキサイド、三級アミン+ジケトン、これらの混合物等の光開始剤系を含む。光開始剤の具体例には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4−4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819)、2,4,6−トリメチルベンジルジフェニルホスフィンオキシド及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾインメチルエステル、及びカンファーキノンとエチル4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエートとの組み合わせがある。市販の可視光開始剤系には、Irgacure 819、Irgacure 1700、Irgacure 1800、Irgacure 819、Irgacure 1850(いずれもCiba Specialty Chemicalsより)及びLucirin TPO開始剤(BASFより販売)が挙げられる。市販の紫外光開始剤には、Darocur 1173及びDarocur 2959(Ciba Specialty Chemicals)が挙げられる。使用することができるこれら及び他の光開始剤は、Volume III,Photoinitiators for Free Radical Cationic & Anionic Photopolymerization,2
nd Edition by J.V.Crivello& K.Dietliker;edited by G.Bradley;John Wiley and Sons;New York;1998に開示されている。この開始剤は、反応性混合物の光重合を開始するのに有効な量、例えば反応性モノマー100重量部に対し、約0.1〜約2重量部の量で反応性混合物中に用いられる。反応性混合物の重合反応は、使用される重合開始剤に応じて熱又は可視光若しくは紫外光、又は他の手段を適宜選択して開始することができる。また、例えば電子線を使用することにより光開始剤を使用することなく反応を開始させることもできる。しかし、光重合開始剤を使用するとき、好ましい開始剤は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819(登録商標)、又は1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトンとビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4−4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)との組み合わせ等の酸化ビスアシルフォスフィンであり、別の実施形態では、重合開始法は可視光活性化を介する。好ましい反応開始剤は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド(Irgacure 819(登録商標))である。
【0085】
反応性成分(シリコーン含有成分、親水性モノマー、湿潤剤、及びレンズを形成するために反応する他の成分)を、希釈剤と共に又は希釈剤を用いずに混合して反応性混合物を形成する。
【0086】
一実施形態では、反応条件で反応性混合物中の非極性成分を可溶化するのに十分低い極性を有する希釈剤が用いられる。本発明の希釈剤の極性を特徴付ける1つの方法は、Hansen溶解度パラメータ、δpを用いる。特定の実施形態では、δpは約10未満、好ましくは約6未満である。好適な希釈剤は、更に米国特許出願番号第60/452898号及び米国特許第6,020,445号に開示されている。
【0087】
好適な希釈剤の分類としては、限定されないが、2〜20個の炭素原子を有するアルコール、第1級アミンに由来する10〜20個の炭素原子を有するアミド、エーテル、ポリエーテル、3〜10個の炭素原子を有するケトン、及び8〜20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。全ての溶媒について、炭素数が増加するにつれて、極性部分の数も増加して所望の水準の水混和性をもたらすことができる。いくつかの実施態様では、第1級及び第3級アルコールが好ましい。好ましい分類は、炭素4〜20個を有するアルコール及び炭素原子10〜20個を有するカルボン酸を含む。
【0088】
一実施形態において、希釈剤は、1,2−オクタンジオール、t−アミルアルコール、3−メチル−3−ペンタノール、デカン酸、3,7−ジメチル−3−オクタノール、トリプロピレングリコールメチルエーテル(TPME)、ブトキシエチルアセテート、これらの混合物等から選択される。
【0089】
一実施形態では、希釈剤は、水にある程度溶解する希釈剤から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも約3%の希釈剤が水混和性である。水溶性希釈剤の例には、1−オクタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、3−メチル−3−ペンタノール、2−ペンタノール、t−アミルアルコール、tert−ブタノール、2−ブタノール、1−ブタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、エタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、1−エトキシ−2−プロパノール、1−tert−ブトキシ−2−プロパノール、EH−5(Ethox Chemicalsから市販)、2,3,6,7−テトラヒドロキシ−2,3,6,7−テトラメチルオクタン、9−(1−メチルエチル)−2,5,8,10,13,16−ヘキサオキサヘプタデカン、3,5,7,9,11,13−ヘキサメトキシ−1−テトラデカノール、これらの混合物、及びそれらに類似するもの等が挙げられる。
【0090】
本発明の反応性混合物は、回転成形及び静電成形を含む、コンタクトレンズの生産において反応性混合物の成形のための任意の既知のプロセスを介して硬化されてもよい。回転成形の方法は、米国特許第3,408,429号及び第3,660,545号に開示され、静電成形の方法は、米国特許第4,113,224号及び第4,197,266号に開示されている。一実施形態では、本発明のコンタクトレンズは、シリコーンヒドロゲルの直接成形により形成され、これは経済的であり、水和レンズの最終形状を正確に制御することを可能にする。この方法では、反応性混合物を所望のシリコーンヒドロゲルの最終形状を有する成形型、即ち水膨潤ポリマー中に定置し、反応性混合物をモノマーが重合する条件に供し、それにより所望の最終製品のおおよその形状のポリマーを作製する。
【0091】
硬化後、レンズを抽出に供し、未反応成分を除去し、レンズをレンズ成形型から取り外す。抽出は、アルコール等の有機溶媒等の従来の抽出流体を用いて行ってもよく、水溶液を用いて抽出してもよい。
【0092】
水溶液は、水を含む溶液である。一実施形態では、本発明の水溶液は、少なくとも約30重量%の水、いくつかの実施形態では少なくとも約50重量%の水、いくつかの実施形態では少なくとも約70重量%の水、別の実施形態では少なくとも約90重量%の水を含む。水溶液は、本発明の非架橋統計的コポリマー等の追加の水溶性成分、剥離剤、湿潤剤、スリップ剤、医薬及び栄養補給成分、これらの組み合わせ等も含み得る。離型剤は、水と組み合わせたとき、離型剤を含まない水溶液を用いてかかるレンズを取り外すのに必要な時間と比べて、コンタクトレンズを成形型から取り外すのに必要な時間を短縮する化合物又は化合物の混合物である。一実施形態では、水溶液は、約10重量%未満、別の実施形態では約5重量%未満の、イソプロピルアルコール等の有機溶媒を含み、別の実施形態では有機溶媒を含まない。これらの実施形態では、水溶液は、精製、再利用、又は特殊な廃棄手順等の特殊な取扱を必要としない。
【0093】
種々の実施形態では、抽出は、例えばレンズの水溶液への浸漬、又はレンズの水溶液流への曝露を介して達成することができる。種々の実施形態では、抽出はまた、例えば、水溶液の加熱、水溶液の攪拌、水溶液中の離型助剤の濃度をレンズを離型させるのに十分な濃度に上昇させる、レンズの機械的又は超音波による攪拌、及びレンズから未反応成分の適切な除去を促進するのに十分な濃度に水溶液に少なくとも1種の浸出補助剤を組み込む、のうちの1つ以上を含んでもよい。前述の操作はバッチでも連続プロセスでも行うことができ、熱、攪拌又はこの両方を加えても加えなくてもよい。
【0094】
いくつかの実施形態はまた、浸出及び取り外しを円滑にするために物理的な揺動の適用を含むこともできる。例えば、レンズが付着するレンズ成形型部分は、振動、又は水溶液中で前後運動させることもできる。別の実施形態には、超音波を水溶液に通すことが含まれてもよい。
【0095】
これらの及び他の類似プロセスにより、許容可能なレンズの離型手段を提供することができる。
【0096】
本明細書に使用されるとき、「成形型から取り外す」とは、レンズが、成形型から完全に分離した状態、又は穏やかな振動によって取り外すか、若しくは綿棒を用いて押し外すことができるように、ほんの軽く付着した状態のいずれかであることを意味する。本発明のプロセスでは、用いられる条件は、1時間未満99℃未満の温度を含む。
【0097】
レンズをオートクレーブ等の、しかしこれに限定されない既知の手段により滅菌してもよい。非架橋統計的コポリマーは、重合の前又は後に加えてもよい。
【0098】
一実施形態において、本発明のポリマーから形成される眼科用器具は、ヒトの涙の成分と優れた相溶性を示す。
【0099】
ヒトの涙は複雑で、眼の潤滑性を保つ手助けとなるタンパク質、脂質及び他の成分を含んでいる。ヒトの涙に見出されるタンパク質の例は、ラクトフェリン、リゾチーム、リポカリン、血清アルブミン及び分泌型免疫グロブリンAを含む。
【0100】
リゾチームは通常ヒトの涙に相当な濃度で存在する。リゾチームは溶菌性で眼を細菌の感染から守ると信じられている。着用された際に、市販のコンタクトレンズに結合するリゾチームの量は、たったの数マイクログラムからエタフィルコンAコンタクトレンズ(Johnson & Johnson Vision Care,Inc.からACUVUE及びACUVUE2の商品名で市販されている)の800マイクログラムまで大きく変化している。エタフィルコンAコンタクトレンズは長年市販されており、どのソフトコンタクトレンズと比べても最低に近い副作用発生率を示す。このように、相当なレベルのリゾチームを取り込むコンタクトレンズが望ましい。本発明のレンズは少なくとも約50μg、100μg、200μg、500μgのリゾチームを、いくつかの実施形態においては、少なくとも約800μgのリゾチームを取り込むが、これら全ては72時間、35℃の処理における2mg/mL溶液からの取り込みである。別の実施形態では、本発明のシリコーンヒドロゲルは、リゾチーム取り込み及び含水量の両方とも所望量を示す。所望の含水量は、約20〜約70%、約25〜70%、いくつかの実施形態では、約25〜約65重量%の含水量である。前述した範囲は、任意の組み合わせで組み合わされてもよい。
【0101】
リゾチームに加えて、ラクトフェリンは主にその抗菌及び抗炎症特性により、涙の中の他の重要なカチオン性タンパク質である。着用すると、コンタクトレンズは種々の量のラクトフェリンを、そのポリマー組成(表面修飾されないレンズに関して)並びに表面コーティングの組成及びその完全性(表面修飾されたレンズに関して)に応じて取り込む。本発明の一実施形態において、レンズを2mg/mLラクトフェリン溶液2mLに一晩浸漬することにより、レンズは少なくとも約5μg、いくつかの実施形態では、少なくとも約10マイクログラムのラクトフェリンを取り込む。ラクトフェリン溶液には、リン酸生理食塩水緩衝液に2mg/mLの濃度で溶解した母乳(Sigma L−0520)からのラクトフェリンが含まれている。リゾチームについて、以下に説明する手順により、レンズ当たり2mLのラクトフェリン溶液中で、72時間、35℃の条件で、レンズを処理した。ラクトフェリン及びリゾチームはまた殺菌剤として相乗的に作用する。
【0102】
レンズの中の、上の、及びレンズと結合したタンパク質の形態も重要である。変性したタンパク質は角膜の炎症と着用者の不快感に寄与すると信じられている。pH、角膜表面温度、着用時間及び閉眼着用等の環境因子がタンパク質の変性に寄与すると信じられている。しかし、組成の異なるレンズは著しく異なるタンパク質の取り込み及び変性プロファイルを示すことがある。本発明の一実施形態においては、発明のレンズにより取り込まれたタンパク質の大部分は、着用中生来の形態であり続ける。別の実施形態においては、取り込まれたタンパク質の少なくとも約50%、少なくとも約70%及び少なくとも約80%は、24時間後、3日後、及び意図した着用期間中未変性のまままであり続ける。
【0103】
本発明の一実施形態では、眼科用器具は、約20%未満の、いくつかの実施形態では約10%未満の、別の実施形態では約5%未満のポリクオタニウム−1(「PQ1」)を、0.001重量%のPQ1、クエン酸塩二水和物及びクエン酸一水和物を含む眼科用溶液から取り込む。
【0104】
本発明のレンズは、本明細書に記載されるタンパク質取り込み特性に加えて、多くの望ましい特性を有している。一実施形態において、レンズは、約50を超える、別の実施形態では約60を超える、別の実施形態では約80を超える、尚別の実施形態では少なくとも約100の酸素透過率を有する。いくつかの実施形態では、レンズは約689.5kPa(100psi)未満の引張弾性率を有する。
【0105】
本発明の生体医療用器具、特に眼科用レンズは、これらを特に有用にする、釣り合いのとれた性質を有する。このような性質としては、透明性、含水量、酸素透過率、及び接触角が挙げられる。本発明のポリマーから形成されるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、全て液滴法により測定して、約70°未満、約50°未満、並びにいくつかの実施形態では約30°未満の接触角と、約30%以上、並びにいくつかの実施形態では約50%以上の接触角の低下とを示す。
【0106】
一実施形態では、生体医療用器具は、含水率が約20%を超える、より好ましくは約25%を超えるコンタクトレンズである。
【0107】
本明細書で使用するところの透明性とは、視認できるヘイズが実質的にないことを意味する。好ましくは、透明なレンズは、約150%未満のヘイズ値を有し、より好ましくは、約100%未満のヘイズ値を有する。
【0108】
シリコーン含有レンズの好適な酸素透過率は、好ましくは約40バレルを超え、より好ましくは約60バレルを超える。
【0109】
いくつかの実施形態では、本発明の物品は上述した酸素透過率、含水率、及び接触角の組み合わせを有する。上記の範囲の全ての組み合わせは、本発明の範囲に含まれるものとみなされる。
【0110】
本明細書に記載する試験は全て、ある程度の特有の試験誤差を有することが理解されよう。したがって、本明細書に報告する結果は、絶対数として解釈されるべきではなく、具体的な試験の精度に基づく数値範囲である。
【0111】
レンズの湿潤性は、液滴法を使用し、室温で、KRUSS DSA−100 TM機器を使用し、プローブ溶液として脱イオン水を使用して測定された。テストすべきレンズ(3〜5/試料)を、脱イオン水中ですすぎ、包装溶液を取り除いた。それぞれのテストレンズを包装溶液で湿らせておいた糸くずの出ない吸い取り紙上に置いた。レンズの両面をこの紙と接触させて、レンズを乾燥させることなく、表面の水を取り除いた。適切な平坦化を確保するために、レンズは、コンタクトレンズのプラスチック製の型上の凸面上に「皿面を下にして(bowl side down)」配置した。そのプラスチック製の型及びレンズは、適切な中央への注射器の整合及び注射器が割り当てられた液体に対応することができるように、液滴器具の容器内に置いた。3〜4マイクロリットルの脱イオン水の液滴は、その液滴がレンズから離れて垂れるように、DSA 100−Drop Shape Analysisソフトウェアを使用して注射器の先端上に形成された。その液滴は、その針を下に移動することによって、レンズの表面上に円滑に放出された。その針は、液滴を分注した後、直ちに回収された。その液滴は、5〜10秒間レンズ上に平衡を保たれ、接触角は液滴画像とレンズの表面との間で測定された。
【0112】
含水率は、次のように測定することができる。テストすべきレンズを24時間包装溶液中に静置した。先端がスポンジ状のスワブを使用して、3枚のテストレンズのそれぞれを包装溶液から取り出し、包装溶液で湿らせておいた吸い取り紙上に置いた。レンズの両面をこの紙と接触させた。ピンセットを使用してテストレンズを秤量皿に置き、秤量した。更に他の2個の試料セットを準備し、前述のように秤量した。秤量皿を3回秤量し、その平均値が湿潤重量である。
【0113】
乾燥重量は、60℃で30分間予熱した真空オーブンに試料皿を置いて測定した。少なくとも1.35kPa(0.4インチHg)の真空が達成されるまで減圧した。真空バルブ及びポンプをオフにし、レンズを4時間乾燥した。パージ弁を開け、オーブンを大気圧に戻した。秤量皿を取り出し、秤量した。含量率は、次のように計算した。
湿潤重量=皿とレンズの合計湿潤重量−秤量皿の重量
乾燥重量=皿とレンズの合計乾燥重量−秤量皿の重量
【数4】
【0114】
含水量の平均値及び標準偏差が計算され報告されている。
【0115】
ヘイズ値は、室温で、平坦な黒色背景上に置かれた、20×40×10mmの透明なガラス製セル内のホウ酸緩衝生理食塩水中に水和したテストレンズを配置し、そのレンズのセルの下部から、セルの法線に対して66°の角度で、光ファイバーランプ(電力を4〜5.4に設定された口径0.5”の光導波路を備えたTitan Tool Supply Co.製の光ファイバー光源)で光を照射し、レンズプラットホームの14mm上に配置されたビデオカメラ(Navitar TV Zoom 7000ズームレンズを搭載したDVC 1300C:19130 RGBカメラ)で、このレンズのセル上から垂直でレンズ画像を撮影することによって、測定することができる。バックグラウンド散乱は、EPIX XCAP V 1.0ソフトウェアを使用して、ブランクセルの画像を差し引きすることによって、レンズの散乱から控除する。控除された散乱光画像を、中央10mmのレンズ上で統合した後、ヘイズ値100で適宜設定される(ヘイズ値0として設定されるレンズはない)、−1.00ジオプターCSI Thin Lens(登録商標)と比較することによって定量的に分析する。5個のレンズを分析し、結果を平均して、ヘイズ値を標準CSIレンズのパーセンテージとして作り出す。
【0116】
酸素透過係数(DK)は、以下の変数を除いて、ISO 9913−1:1996(E)に、一般に、説明されているポーラログラフィー法によって決定されてよい。測定は、2.1%酸素含有環境で実施する。この環境は、被験チャンバーを配備し、適切な比率、例えば窒素1800mL/分と空気200mL/分、に設定した窒素及び空気注入によって作り出す。調整されたp
O2を使用して、t/Dkを計算する。ホウ酸緩衝生理食塩水を使用した。MMAレンズを使用する代わりに、純粋加湿窒素環境を使って暗電流を測定した。レンズは、測定前に拭き取らなかった。様々な厚さのレンズを使用する代わりに、4枚のレンズを束にした。フラットセンサーの代わりにカーブセンサーを使用した。得られたDk値をバレルで報告する。
【0117】
リゾチームの取り込みは、以下のように測定した:リゾチームの取り込み試験に使用されたリゾチーム溶液は、1.37g/Lの重炭酸ナトリウム及び0.1g/LのD−ブドウ糖を補ったホスフェート生理食塩水緩衝液に、2mg/mLの濃度で溶解させたニワトリの卵白(Sigma、L7651)からのリゾチームを含んでいた。
【0118】
各実施例について、3枚のレンズがそれぞれのタンパク質溶液を使用して試験され、3枚が対照溶液としてのPBSを使用して試験された。試験レンズを、滅菌ガーゼの上で包装溶液を除去するために拭い、減菌鉗子を使用して、各ウェルが2mLのリゾチーム溶液を含む、減菌した24個のウェルの細胞培養プレート(ウェル当たり1枚のレンズ)へ、無菌状態で移動した。各レンズを溶液中に完全に浸した。対照として、コンタクトレンズを含まない1つのウェルに2mLのリゾチーム溶液を入れた。
【0119】
レンズを含むプレート及びタンパク質溶液のみを含む対照用プレート及びPBS中のレンズは、蒸発と脱水を防ぐためパラフィルムを使用して密封し、旋回シェーカー上に設置し、35℃で、100rpmで攪拌し、72時間処理した。72時間の処理期間の後、レンズを約200mLのPBSを含む3個の別々のバイアル瓶に浸し3〜5回洗浄した。レンズを紙タオルの上で拭い過剰のPBS溶液を除去し、減菌した円錐形のチューブに移した(チューブ当たり1枚のレンズ)。各チューブは、各レンズの組成から予想されるリゾチーム取り込み量の推定を基に決められる量のPBSを含んでいた。検査される各チューブのリゾチーム濃度は、製造業者が述べている(0.05マイクログラム〜30マイクログラム)アルブミン標準レンジ内であることが必要である。レンズ当たり100μg未満のリゾチームレベルを取り込むことが分かっている試料は、5倍に希釈した。レンズ(エタフィルコンAレンズ等)当たり500μgを超えるリゾチームレベルを取り込むことが分かっている試料は、20倍に希釈した。
【0120】
エタフィルコン以外の全ての試料に対して、1mLのアリコートのPBSを使用した。エタフィルコンAレンズに対しては、20mLを使用した。各対照レンズについては、ウェルプレートがリゾチーム溶液の代わりにPBSを含むこと以外は、同じように処理した。
【0121】
リゾチームの取り込みは、オンレンズ・ビシンコニン酸法により、QP−BCAキット(Sigma、QP−BCA)を使用し、製造業者の説明する手順により測定し(標準前処理はキットに記載されている)、リゾチーム溶液に浸したレンズについて測定した光学密度から、PBSに浸したレンズについて測定した光学密度(バックグラウンド)を減じて計算した。
【0122】
光学密度は、562nmの光学密度が読み取れる、SynergyII Microのプレートリーダにより測定した。
【0123】
PQ−1取り込み
以下のようにPQ1取り込みを測定した。以下の濃度:2、4、6、8、12及び15μg/mLを有するように調製された一連の標準的なPQ1溶液を使用して、HPLCを校正した。3mLのOptifree Replenish(0.001重量%のPQ1、0.56%のクエン酸塩二水和物、及び0.021%のクエン酸一水和物(wt/wt))を含み、Alconから市販されている)を有するポリプロピレンコンタクトレンズケース内にレンズを配置した。溶液を3mL含むが、コンタクトレンズは含まない対照用のレンズケースも用意した。レンズ及び対照溶液は、72時間室温で静置した。1mLの溶液を、試料及び対照のそれぞれから取り出し、トリフルオロ酢酸(10μL)で混合した。HPLC/ELSD及びPhenomenex Luna C4(4.6mm×5mm、5μmの粒度)のカラムを使用し、下記の条件で分析した。
【0124】
器具:Agilent 1200 HPLC又はSedere Sedex 85 ELSDの同等品
Sedex 85 ELSD:T=60℃、ゲイン=10、圧力=340kPa(3.4bar)、フィルター=1s
移動相A:H
2O(0.1% TFA)
移動相B:アセトニトリル(0.1% TFA)
カラム温度:40℃
注入量:100μL
【0126】
各分析で3枚のレンズを使用し、結果を平均した。
【0127】
非限定例は、本発明の以下に更に記載している。
【0129】
合成1
S−ヘキシル−S−4−(2−(n−ブチルポリジメチルシロキシシリル)エチル)ベンジルカルボノトリチオエート
XG−1996(式Iに示され、約1000g/モルを中心とするMW分布であり、平均反復10〜12のmに対応する)、(10g、10モル)を、
式I
XG−1996:クロロメチルフェニルエチルポリジメチルシロキサンMW〜1000g/モル
【化14】
を、1Lの丸底フラスコ中のおよそ250mLのアセトン中に溶解した。ナトリウムヘキシルトリチオカルボネート(NaHTTC)を、100mLのアセトン中に溶解し、反応性混合物に添加した。反応性混合物を一晩攪拌した。白色固体が鮮黄色溶液から沈殿した。アセトンを回転蒸発によって除去し、粗生成物を250mLの脱イオン水と250mLのヘキサンに分配した。ヘキサン相を分離し、水相をヘキサン(3×200mL)で抽出した。全ての有機層を合わせて、ブライン(250mL)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させた。ヘキサン中の粗生成物をシリカゲルプラグ上に通過させ、混濁を除去した。回転蒸発によりヘキサンを除去し、生成物(XG−1996−HTTC)が透明黄色油の形態で残った。NMR分光法を使用して構造を確認した。
【0130】
合成2:3−アクリルアミドプロパン酸
未使用のナトリウムメトキシド溶液を、250mLの攪拌したメタノール中の4.6gの金属ナトリウムを溶解することによって調製し、これに、β−アラニン(3−アミノペンタン酸、8.9g、0.1モル)を添加した。
【0131】
塩化アクリロイル(10.0g、1.1当量)を既定の混合物の攪拌した懸濁液に滴下添加する一方、常に35℃を下回る温度を維持した。混合物を更に30分間攪拌し、約50mLまで濃縮し、濾過し、形成した塩化ナトリウムを除去した。吸湿性の生成物をpH 3の水性HClで処理した後、揮発性物質を蒸発させ、酢酸エチル中3〜5%(v/v)のメタノールを使用して、シリカゲルを通して濾過した。
【0132】
合成3:5−アクリルアミドペンタン酸(ACA II)
未使用のナトリウムメトキシド溶液を、250mLの攪拌したメタノール中の5.76gの金属ナトリウムを溶解することによって調製した。吉草酸(5−アミノペンタン酸、14.68g、0.125モル)を既定の溶液中に溶解し、2.1gの炭酸ナトリウムを混合物に添加した。
【0133】
塩化アクリロイル(12.31g、1.1当量)を既定の混合物の攪拌した懸濁液に滴下添加する一方、常に35℃を下回る温度を維持した。混合物を更に30分間攪拌し、濾過し、存在する塩化ナトリウム及び残留するカーボネートを除去した。
【0134】
減圧下でメタノール及び他の揮発物の蒸発、続いて、2×75mLのアセトニトリルで残留物を洗浄することにより、20.4gのナトリウム塩の5−アクリルアミドペンタン酸を得た。pH 3の水性HClによる塩の酸性化、残留水の蒸発、続いて、酢酸エチル中2〜3%(v/v)のメタノールを使用してシリカゲルを通して濾過した後、純粋な遊離カルボン酸を得た。
【0135】
調製物1
N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)及び真空蒸留を介した更なる精製合成3に従って5−アクリルアミドペンタン酸(ACA2)を調製した。上記の合成1に従ってシロキシ官能性ベンジルトリチオカーボネート、S−XG−1996−S’−ヘキシル−トリチオカーボネートを調製した。Irgacure 819を、D3O(10mg/mL)中に溶解した。
【0136】
重合溶液は、20mLの琥珀色のガラス製のバイアル瓶中で、3mLのエタノール及び1.5gのDMA中に1.1gのACA2を溶解することによって調製した。次に、166mgのS−XG−1996−S’−ヘキシル−トリチオカーボネート、及び1.51mg(151ulの原液)のIrgacure−819をモノマーに加え、加温/攪拌して、均一性を確保した(反応開始剤に対するCTAの比=20)。最終重合溶液を含む琥珀色のバイアル瓶を、ゴム製の隔膜で密閉し、N
2で20分間パージし、溶液からO
2を除去した。最後に、密閉した瓶を、保存するためにN
2のグローブボックスに入れた。
【0137】
重合溶液を、N
2雰囲気下で、4つの標準的なPhillips TL 20W/03 RSバルブを用いて、強度2.0mW/cm
2で45分間硬化させた。硬化前、重合溶液を直径80mmの結晶皿に注ぎ入れ、次いで、反射ガラス表面上に置いた。
【0138】
硬化した後、得られた高粘度の重合物質を5mLのエタノール中に溶解した。次いで、溶液を、活発に攪拌するジエチルエーテルに滴下添加し、生成物を沈殿させた。200mLのエーテルで充填した500mLのフラスコを使用した。沈殿したポリマーを、減圧下で数時間乾燥させた。ポリマーを、SEC−MALLSによってMW及びMWDについて分析した。親水性セグメントの重合度は、約300であった。
【0140】
調製物2
N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)を真空蒸留により精製した。合成3に従って5−アクリルアミドペンタン酸(ACA2)を調製した。合成1に従ってシロキシ官能性ベンジルトリチオカーボネート、S−XG−1996−S’−ヘキシル−トリチオカーボネートを調製した。Irgacure 819を、Ciba Specialty Chemicalsから得、D3O(10mg/mL)中に溶解した。
【0141】
重合溶液は、20mLの琥珀色のガラス製のバイアル瓶中で、6mLのエタノール及び300mgのDMA中に2.07gのACA2を溶解することによって調製した。次に、58mgのS−XG−1996−S’−ヘキシル−トリチオカーボネート、及び1.06mg(106ulの原液)のIrgacure−819をモノマーに加え、加温/攪拌して、均一性を確保した(反応開始剤に対するCTAの比=20)。最終重合溶液を含む琥珀色のバイアル瓶を、ゴム製の隔膜で密閉し、N
2で20分間パージし、溶液からO
2を除去した。最後に、密閉した瓶を、保存するためにN
2のグローブボックスに入れた。調製物1に記載されるように、重合溶液を硬化させ、精製した。ポリマーを、SEC−MALLSによってMW及びMWDについて分析した。親水性セグメントの重合度は、約300であった。
【0142】
調製物3及び4(PDMA/ACA2コポリマー、dp=300)
N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)をJarchemから得、真空蒸留を介して更に精製した。S−ベンジル−S’−ヘキシル−トリチオカーボネートを合成1に従って調製した。Irgacure 819(1.06mg)をD3O(10mg/mL)中に溶解した。
【0144】
重合溶液は、20mLの琥珀色のガラス製のバイアル瓶中で、エタノール及びDMA中にACA2を溶解することによって調製した。次にS−ベンジル−S’−ヘキシル−トリチオカーボネート、及び(1.51ulの原液)Irgacure−819をモノマーに加え、加温/攪拌して、均一性を確保した(反応開始剤に対するCTAの比=20)。各成分の量は、上記の表2に示されている。最終重合溶液を含む琥珀色のバイアル瓶を、ゴム製の隔膜で密閉し、N
2で20分間パージし、溶液からO
2を除去した。最後に、密閉した瓶を、保存するためにN
2のグローブボックスに入れた。
【0145】
重合溶液を、N
2雰囲気下で、4つの標準的なPhillips TL 20W/03 RSバルブを用いて、2.0mW/cm
2の強度で45分間硬化させた。硬化前に、重合溶液を直径80mmの結晶皿に注ぎ入れ、次いで、反射ガラス表面上に置いた。
【0146】
得られた重合物質を、5mLのエタノール中に溶解した。次いで、その溶液を、激しく攪拌するジエチルエーテルに滴下添加し、生成物を沈殿させた。200mLのエーテルで充填した500mLのフラスコを使用した。沈殿したポリマーを、減圧下で数時間乾燥させた。ポリマーを、SEC−MALLSによってMW及びMWDについて分析した。反応を以下に示す。
【化16】
【実施例】
【0147】
(実施例1〜12)
3つのセノフィルコンレンズをそれらのパッケージから取り出し、表1に示される濃度で、調製物1〜4で生成された非反応性ポリシロキサン末端親水性ポリマー(「NRPTHP」)を含有する包装溶液を含むガラス製のバイアル瓶に移した。レンズを、NRPTHP包装溶液中に入れ、121℃で28分間オートクレーブし、滅菌後、少なくとも24時間、周囲温度で、NRPTHP包装溶液中に浸した。レンズの接触角、リゾチームの取り込み、及びPQ−1の取り込みを測定し、表3に報告する。処理されていないセノフィルコンレンズもまた、対照として試験された。
【0148】
【表4】
【0149】
表3のデータは、ランダムに重合したアニオン性モノマーを含む非反応性親水性コポリマーが、接触角を低下させるのに有効であることを示す。調製物1及び2の親水性コポリマーは、実施例2〜4の濃度において、リゾチームの取り込みを少なくとも約50μg/レンズに増加させ、PQ1の取り込みを低下させるのに有効であったアニオン性成分APAを含んだ。リゾチームは、天然型においてコンタクトレンズに取り込まれる場合、コンタクトレンズの生体適合性を改善すると考えられる、眼に自生するタンパク質である。PQ1は、一般に、コンタクトレンズの多目的溶液中に使用される。約10%を超える量でのコンタクトレンズへのPQ1の取り込みは、染色を生じる場合があり、したがって望ましくない。実施例1〜12は、比較例1〜4のアクリル酸含有ポリマーで処理したレンズと比較して、より低い値のPQ1取り込みを示す。実施例2〜4及び9のレンズは、接触角、リゾチーム及びPQ1取り込みの所望の釣り合いを示す。
【0150】
調製実施例5及び6
DMAを真空蒸留によって精製した。アクリル酸(Sigma Aldrich)を、入手状態のままで使用した。合成1に従ってS−XG−1996−S’−ヘキシル−トリチオカーボネートを調製した。Irgacure 819をデカノール(10mg/mL)中に溶解した。
【0151】
【表5】
【0152】
蒸留したDMA及びアクリル酸を琥珀色の30mLのガラス瓶に加えることにより重合溶液を調製した。次に、ペンタノール、S−XG−1996−S’−ヘキシル−トリチオカーボネート、及びIrgacure−819貯蔵溶液を表3aの量でモノマーに加え、加温/攪拌して、均一性を確保した(反応開始剤に対するCTAの比=100)。最終重合溶液を含む琥珀色の瓶を、ゴム製の隔膜で密閉し、N
2で20分間パージして、溶液からO
2を除去した。最後に、密閉した瓶を、一晩の保存のためにN
2のグローブボックスに入れた。
【0153】
重合溶液を、N
2雰囲気下で、4つの標準的なPhillips TL 20W/03 RSバルブを用いて、2.0mW/cm
2の強度で1時間硬化させた。硬化前、重合溶液を直径125mmの結晶皿に注ぎ入れ、次いで、反射ガラス表面上に置いた。
【0154】
1時間硬化させた後、得られた高粘度の重合物質を30mLのエタノール中に溶解した。溶液を一晩攪拌した後、添加漏斗に移し、20mLのエタノールを使用して結晶皿をすすぎ落とした。ポリマー溶液を、激しく攪拌するジエチルエーテルに滴下添加し、生成物を沈殿させた。500mLのエーテルで充填した1Lのフラスコを使用した。沈殿したポリマーを真空中で数時間乾燥した後、ジエチルエーテルを用いたソックスレー抽出による更なる精製に供した。ポリマーを、SEC−MALLSによってMW及びMWDについて分析した。
【0155】
合成4:ナトリウムヘキシルトリチオカーボネートの合成
反応物の量を表3bに示す。
【0156】
【表6】
【0157】
ケロシン中のナトリウム(Sigma Aldrich)を秤量し、小ビーカー内のヘキサン中に沈めた。これを、125mLのフラスコ内で攪拌している100mLメタノールに、数個の塊にて窒素下でおよそ3時間かけて加えた。メタノールを加えて、蒸発した溶媒を置き換えた。ナトリウムメトキシド溶液を、50mLのメタノール中で攪拌している1−ヘキサンチオール(Sigma Aldrich)を収容している500mLの丸底フラスコに添加漏斗を介してゆっくり加えた。フラスコを冷水浴内に配置し、注射器により二硫化炭素(Sigma Aldrich)をゆっくり加えた。反応性混合物は直ちに黄色に変色し、熱を放出した。混合物をおよそ15分間攪拌した後、乾固するまで減圧下で蒸発させた。生成物は、明るい黄色固体である。反応を下記に示す。
【化17】
【0158】
合成5:S−ベンジル−S’−ヘキシル−トリチオカーボネートの合成
反応物の量を表3cに示す。
【0159】
【表7】
【0160】
ケロシン中のナトリウム(Sigma Aldrich)を少量ずつ20mLのメタノールに窒素下でゆっくり加えて、ナトリウムメトキシドを形成した。この溶液を、1−ヘキサンチオール(Sigma Aldrich)を含むフラスコに数個のアリコートで加えた。二硫化炭素(Sigma Aldrich)を注射器により滴下添加した。溶液は直ちに黄色に変色した。溶液を15分間反応させた。次いで、臭化ベンジル(Sigma Aldrich)を注射器により滴下添加した。沈殿物が直ちに形成された。反応を2時間進行させた。最終的にフラスコの底に黄色油が形成された。メタノールをロータリーエバポレーターで蒸発させ(roto-vapped off)、脱イオン水及びヘキサンを用いて生成物をナトリウム塩から分離した。水性層はおよそ50mLであり、50mLのヘキサンを用いて3回抽出した。ヘキサンを合わせて、Na2SO4上で乾燥し、減圧下で乾固するまで蒸発させた。反応を下記に示す。
【化18】
【0161】
調製物7、8:PDMAアクリル酸の調製
DMAを真空蒸留によって精製した。アクリル酸(Sigma Aldrich)を、入手状態のママで使用した。S−ベンジル−S’−ヘキシル−トリチオカーボネートを手順1に従って調製した。Irgacure 819をデカノール(10mg/mL)中に溶解した。成分は、下記の表3dに示す量で使用した。
【0162】
【表8】
【0163】
DMA及びアクリル酸を琥珀色の30mLガラス瓶に加えることにより、調製物5〜7のそれぞれに関して重合溶液を調製した。次に、エタノール、S−ベンジル−S’−ヘキシル−トリチオカーボネート(CTA)、及びIrgacure−819をモノマーに加え、加温/攪拌して、均一性を確保した(反応開始剤に対するCTAの比=100).最終重合溶液を含む琥珀色のバイアル瓶を、ゴム製の隔膜で密閉し、N
2で20分間パージして、溶液からO
2を除去した。最後に、密閉した瓶を、保存するためにN
2のグローブボックスに入れた。
【0164】
重合溶液を、N
2雰囲気下で、4つの標準的なPhillips TL 20W/03 RSバルブを用いて、強度2.0mW/cm
2で硬化させた。硬化前、重合溶液を直径125mmの結晶皿に注ぎ入れ、次いで、反射ガラス表面上に置いた。光の下で40分間後、粘度の増大は観察されなかった。各実施例において、最初の量(dose)と等しい、Irgacur 819の別の量を皿に加え、反応開始剤に対するCTAの比を50に低下させて重合を向上させた。溶液を旋回攪拌により混合した後、更に30分間光に暴露し、極度に粘性となった。
【0165】
硬化した後、得られた高粘度の重合物質を40mLのエタノール中に溶解した。溶液を一晩攪拌した後、添加漏斗に移し、20mLのエタノールを使用して結晶皿をすすぎ落とした。ポリマー溶液を、激しく攪拌するジエチルエーテルに滴下添加し、生成物を沈殿させた。800mLのエーテルで充填した1Lのフラスコを使用した。沈殿したポリマーを真空中で数時間乾燥した後、ジエチルエーテルを用いたソックスレー抽出による更なる精製に供した。ポリマーを、SEC−MALLSによってMW及びMWDについて分析した。
【0166】
(実施例13〜15)
下記の表4に列挙した成分を有するベース反応性混合物を、列挙した量の成分をt−アミルアルコールと混合することにより作製した(55重量%の成分:45重量%のt−アミルアルコール)。
【0167】
【表9】
【0168】
下記の表5に列挙した、3mol%のイオン性成分を加えて、別個の配合物を作製した。配合物をジャーローラー上で2時間攪拌した後、濾過した。各反応性混合物を脱ガスし、成形型(Zeonor FC/ポリプロピレンBC)内に入れ、約55℃、強度約2.25mW/cm
2、及び約0.2%のO
2で5分間硬化させた。成形型は、手により分離された。レンズを取り外し、70/30 IPA/DI中で抽出し、最後に、標準的な包装溶液中で水和させた。レンズを121℃で20分間滅菌した。滅菌レンズを、リゾチーム及びPQ1取り込みに関して試験した。
【0169】
比較例5は、表4の配合物から、いずれのイオン性成分も加えることなく作製したレンズであった。比較例6レンズは、イオン性成分として3%のMAAを有する、表4の配合物から作製したレンズであった。比較例7及び8は、表6の配合物から作製した。比較例7及び8のレンズの作製手順を下記に記載する。
【0170】
【表10】
【0171】
比較例6は、イオン性混合メタクリレート(MAA)/メタクリルアミド(SA2、ビスHEAA、DMA、MBA)系である。3mol%のMAAの添加は、いずれのイオン性成分も有さない配合物と同一である比較例5と比較して、リゾチーム取り込みを多大に改善した。しかしながら、比較例6は、劇的に増大されたPQ1取り込みを示した。実施例13及び14は、イオン性成分として、両方ともアクリルアミドであるACA1及びACA2を含む。これらも有意に改善されたリゾチーム取り込みを示すが、比較例5と比較して、PQ1取り込みの増大は示さない。本発明のレンズは、同一の反応性官能基(実施例13、14では、アクリルアミド)を含む反応性混合物から形成される。これはアニオン性電荷がレンズ全体にわたって一様に分布した統計的コポリマーを提供する。特性の所望の組み合わせは、本発明のレンズ全体にわたる、この電荷の一貫した分布からもたらされると考えられる。
【0172】
比較例7、8の配合物は、メタクリレート官能基(mPDMS、HOmPDMS、HEMA)及びメタクリルアミド官能基(DMA)を有するモノマーを含む。それ故、比較例8は、非常に高いPQ−1取り込み(100%)を示す。
【0173】
比較例7及び8
表6に列挙した量の成分をD3Oと混合することにより(23%のD3O:77%の成分)、比較例レンズを形成した。比較例8は同一の配合物を使用したが、配合物に1.5mol%のMAAを加えた。
【0174】
【表11】
【0175】
配合物を成形型(Zeonor FC/ポリプロピレンBC)内に入れ、約55℃、強度約2.25mW/cm
2、及び約0.2% O
2で5分間硬化させた。レンズを取り外し、70/30 IPA/DI中で抽出し、最後に、標準的な包装溶液中で水和させた。レンズを121℃で20分間滅菌した。
【0176】
リゾチーム及びPQ1取り込みを測定した。これらを上記の表5に示す。
【0177】
(実施例15〜20)
下記の表7に列挙した成分を有するベース反応性混合物を、列挙した量の成分をt−アミルアルコールと混合することにより作製した(55重量%の成分:45重量%のt−アミルアルコール)。
【0178】
【表12】
【0179】
下記の表8に列挙した量のACA1をイオン性成分として加えて、配合物を作製した。比較例9は、表7の配合物から、ACA1を加えずに形成した。配合物をジャーローラー上で2時間攪拌した後、濾過した。
【0180】
各反応性混合物を脱ガスし、成形型(Zeonor TuffTec FC/ポリプロピレンBC)内に入れ、約60℃、強度約1.5mW/cm
2、及び約0.2% O
2で5分間硬化させた。成形型は、手により分離された。レンズを取り外し、70/30 IPA/DI中で抽出し、最後に、標準的な包装溶液中で水和させた。レンズを121℃で20分間滅菌した。滅菌レンズを含水量、リゾチーム及びPQ1取り込みに関して試験した。結果を下記の表8に示す。
【0181】
【表13】
【0182】
この一連の結果は、幅広い(0.25〜3mol%)のアニオン性成分が、PQ1取り込みを増大させず又は含水量を不必要に増大させずに、リゾチーム取り込みの所望の増大を達成するのに使用できることを示している。実施例20は、不必要なPQ1取り込みを示す。電荷はレンズコポリマー全体にわたって一様に分布されているにも係わらず、濃度は相当な量のPQ1を引き付けるのに十分であると考えられる。これらのレンズは再使用可能なレンズには望ましくないが、洗浄されず、また一般に多目的溶液と接触されない一日使い捨てレンズには好適であろう。
【0183】
比較例10〜13
上記の表6に列挙した成分を有するベース反応性混合物を、列挙した量の成分をD3Oと混合することにより作製した(77重量%の成分:23重量%のD3O)。
【0184】
下記の表9に列挙した量のMAAをイオン性成分として加えて、配合物を作製した。配合物をジャーローラー上で2時間攪拌した後、濾過した。
【0185】
各反応性混合物を脱ガスし、成形型(Zeonor TuffTec FC/ポリプロピレンBC)内に入れ、約60℃、強度約1.5mW/cm
2、及び約0.4%のO
2で5分間硬化させた。成形型は、手により分離された。レンズを取り外し、70/30 IPA/DI中で抽出し、最後に、標準的な包装溶液中で水和させた。レンズを121℃で20分間滅菌した。滅菌レンズを含水量、リゾチーム及びPQ1取り込みに関して試験した。結果を下記の表9に示す。
【0186】
【表14】
【0187】
表9の配合物は、メタクリレート成分(HO−mPDMS、HEMA及びmPDMS)及びアクリルアミド成分(DMA)の両方を含む。比較例10〜13は、そのような系が、50μg/レンズを超えるリゾチーム取り込みと、約10%未満のPQ1取り込みとの所望の釣り合いを提供できないことを示している。
【0188】
(実施例20〜24)
下記の表10に列挙した成分を有するベース反応性混合物を、列挙した量の成分をt−アミルアルコールと混合することにより作製した(65重量%の成分:35重量%のt−アミルアルコール)。
【0189】
【表15】
【0190】
下記の表11に列挙した量のAMPSをイオン性成分として加えて、配合物を作製した。配合物をジャーローラー上で2時間攪拌した後、濾過した。各反応性混合物を脱ガスし、成形型(Zeonor TuffTec FC/ポリプロピレンBC)内に入れ、約60℃、強度約1.9mW/cm
2、及び約0.2%のO
2で5分間硬化させた。成形型は、手により分離された。レンズを取り外し、70/30 IPA/DI中で抽出し、最後に、標準的な包装溶液中で水和させた。レンズを121℃で20分間滅菌した。滅菌レンズを含水量、リゾチーム及びPQ1取り込みに関して試験した。結果を下記の表11に示す。
【0191】
【表16】
【0192】
この一連の結果は、幅広い(0.25〜3mol%)のアニオン性成分が、PQ1取り込みを増大させずに、リゾチーム取り込みの所望の増大を達成するのに使用できることを示している。実施例24は、不必要なPQ1取り込みを示す。電荷はレンズコポリマー全体にわたって一様に分布されているにも係わらず、濃度は相当な量のPQ1を引き付けるのに十分であると考えられる。これらのレンズは再使用可能なレンズには望ましくないが、洗浄されず、また一般に多目的溶液と接触されない一日使い捨てレンズには好適であろう。実施例24のレンズはまた、壊れやすく、不必要に高い含水量を示した。それ故、この一連の実施例は、約0.2〜約1.5mol%のAMPSの濃度がリゾチーム及びPQ1取り込み、並びに含水量の所望の組み合わせを提供することを示す。
【0193】
合成4:VINAL
4.82gのビニルクロロホルメート(Aldrich)を、74mlのアセトニトリル中に溶解した8.19gのβ−アラニン(Aldrich)に加えた。混合物を窒素下で攪拌しながら2時間還流した。この混合物を室温で2時間冷却した後、濾過した。溶媒を減圧下で除去した。
【0194】
この粗生成物を30mlの水に溶解し、酢酸エチルで3回洗浄した。合わせた酢酸エチルを50mlの水で洗浄した。溶媒をストリッピングして、4.51gのVINALを灰白色固体として得た。
【0195】
合成5:N−ドデシル−O−ビニルカルバメート(DVC)
3.0gのドデシルアミン(Aldrich)、4.0gのNa
2CO
3及び30mlのCH
2Cl
2を、攪拌バー及び熱電対温度計を有する100mlの丸底フラスコ内に、窒素下で配置した。フラスコを室温水浴内に配置した。1.9gのビニルクロロホルメート(Aldrich)をサイドアーム添加漏斗を介して加えた。少量の発熱があった。混合物を室温で約4時間攪拌し、濾過し、1.0N HClで1回、及び水で2回洗浄した。これをNa
2SO
4上で乾燥し、溶媒をストリッピングして、粗生成物を粥状の固体として得た。
【0196】
粗生成物を最少量のメタノール中に溶解し、水で沈殿させた。溶媒を除去し、結晶を真空下で乾燥して、2.2gの生成物を得た。
【0197】
調製物9:PVP−コ−VINAL(2重量%)
19.6gのN−ビニルピロリドン(ACROS、98%)、0.40gのVINAL、及び10μlの2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン(Aldrich)を組み合わせて、透明なブレンドを形成した。溶液を直径14mmの2つのポリプロピレン管内に配置した。これらの管を、窒素環境内で、4 Philips TL 20W/09Nの蛍光灯からのUV光で4時間照射した。固体ポリマーを管から取り出し、150mlのテトラヒドロフラン中で攪拌して溶解した。この溶液を、攪拌しながら700mlのジエチルエーテル中に注いで、ポリマーを沈殿させた。濾過により固体を回収し、THFに再溶解し、ジエチルエーテルを用いて再沈殿させた。これを濾過により回収し、真空下で48時間乾燥して、ポリマーを柔らかい白色固体として得た。
【0198】
調製物10−PVP−コ−VINAL(2重量%)−コ−DVC(2重量%)
調製物9の手順を使用して、4.8gのN−ビニルピロリドン、0.1gのVINAL、0.1gのDVC、及び6μlの2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンからコポリマーを形成した。
【0199】
調製物11−PVP
調製物9の手順を使用して、10gのN−ビニルピロリドン及び6μlの2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンからPVPホモポリマーを形成した。
【0200】
比較例13〜15
調製物9〜11で作製したポリマーのそれぞれ1gを、100gのホウ酸塩緩衝食塩水溶液(pH 7.4)中に加え、60℃で2時間混合することによって、1重量%の濃度を有する溶液を形成した。3mLの各溶液を数個のバイアルのそれぞれ内に配置した。1つのセノフィルコンAコンタクトレンズ(HYDRACLEAR(商標)Plusを有するACUVUE OASYS(商標)BRAND CONTACT LENSES)を各バイアル内に配置した。バイアルを密閉し、121℃で30分間加圧減菌器で処理した。レンズを未使用ホウ酸塩緩衝食塩水中ですすぎ、液滴法を使用して接触角を試験した。結果を表11に示す。
【0201】
【表17】
【0202】
接触角の所望の低下が達成されたが、リゾチーム取り込みは有意に増大しなかった。2〜4mol%のアニオン性モノマーを含んでいた比較例14及び実施例19を、実施例2〜4と比較すると、比較例14及び15で使用されたポリマー中でアニオン性モノマーの濃度を少なくとも約20mol%、いくつかの実施形態では少なくとも約30mol%以上増大させると、所望のリゾチーム取り込みを提供するであろうと考えられる。
【0203】
〔実施の態様〕
(1) アニオン性シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズであって、前記シリコーンヒドロゲルの中又上に少なくとも1種の統計的コポリマーを含み、前記コポリマーが、少なくとも10重量%の少なくとも1種の非イオン性親水性モノマー及び少なくとも1種のアニオン性モノマーから誘導された単位を有し、前記コンタクトレンズが、約70°以下の接触角、少なくとも約50μg/レンズのリゾチーム取り込み、並びに0.001重量%のポリカチオン性成分、0.56%のクエン酸塩二水和物(citrate dihydrate)及び0.021%のクエン酸一水和物(wt/wt)を含む3mLの眼科用溶液と接触された際、約10%未満の少なくとも1種のポリカチオン性成分の取り込みを有する、コンタクトレンズ。
(2) 前記統計的コポリマーが、非反応性であり、かつ前記シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズと会合され、又は前記シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ中で絡み合わされる、実施態様1に記載のコンタクトレンズ。
(3) 前記統計的コポリマーが、前記アニオン性モノマーからの約20〜約80mol%単位を有する、実施態様2に記載のコンタクトレンズ。
(4) 前記統計的コポリマーが、前記アニオン性モノマーからの約20〜約60mol%単位を有する、実施態様2に記載のコンタクトレンズ。
(5) 前記統計的コポリマーが、前記非イオン性親水性モノマーからの約80〜約20mol%単位を有する、実施態様3に記載のコンタクトレンズ。
【0204】
(6) 前記統計的コポリマーが、前記非イオン性親水性モノマーからの約80〜約40mol%単位を有する、実施態様3に記載のコンタクトレンズ。
(7) 前記統計的コポリマーが、前記シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの少なくとも一部と会合される、実施態様2に記載のコンタクトレンズ。
(8) 前記統計的コポリマーが、約0.1〜約5mol%の、前記アニオン性モノマーからの単位の濃度を提供するのに十分な濃度で、前記コンタクトレンズの中又上に存在する、実施態様1に記載のコンタクトレンズ。
(9) 前記統計的コポリマーが、約0.2〜約4mol%の、前記アニオン性モノマーからの単位の濃度を提供するのに十分な濃度で、前記コンタクトレンズの中又上に存在する、実施態様1に記載のコンタクトレンズ。
(10) 前記統計的コポリマーが、RAFT重合、フリーラジカル重合、又は段階成長重合により形成される、実施態様2に記載のコンタクトレンズ。
【0205】
(11) 前記非反応性統計的コポリマーが、少なくとも1つの末端に疎水性ブロックを更に含む、実施態様2に記載のコンタクトレンズ。
(12) 前記疎水性ブロックが、ポリジアルキルシロキサン、ポリジアリールシロキサン、及びこれらの混合物を含む、実施態様11に記載のコンタクトレンズ。
(13) 前記アルキルが、C
1〜C
4アルキルから選択される、実施態様12に記載のコンタクトレンズ。
(14) 前記疎水性ブロックが、ポリジメチルシロキサン又はポリジエチルシロキサンを含む、実施態様12に記載のコンタクトレンズ。
(15) 前記疎水性ブロックが、約6〜約200のシロキシ単位を有する、実施態様12に記載のコンタクトレンズ。
【0206】
(16) 前記疎水性ブロックが、約6〜約200のシロキシ単位を有する、実施態様12に記載のコンタクトレンズ。
(17) 前記非イオン性親水性モノマー及び前記アニオン性モノマーからの前記単位が、重合された際に少なくとも約300の重合度を有する、実施態様2に記載のコンタクトレンズ。
(18) 前記シリコーンヒドロゲルが前記統計的コポリマーである、実施態様1に記載のコンタクトレンズ。
(19) 前記アニオン性モノマー及び前記非イオン性親水性モノマーが、同一の反応性官能基を有する、実施態様1、2及び18のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
(20) 前記アニオン性モノマー及び前記非イオン性親水性モノマーが、(メタ)アクリルアミド類から選択される、実施態様19に記載のコンタクトレンズ。
【0207】
(21) 前記アニオン性モノマー及び前記非イオン性親水性モノマーが、(メタ)アクリレート類から選択される、実施態様19に記載のコンタクトレンズ。
(22) 前記アニオン性モノマー及び前記非イオン性親水性モノマーが、ビニル類から選択される、実施態様19に記載のコンタクトレンズ。
(23) 前記リゾチーム取り込みが、少なくとも約70μg/レンズである、実施態様1に記載のコンタクトレンズ。
(24) 前記リゾチーム取り込みが、少なくとも約100μg/レンズである、実施態様1に記載のコンタクトレンズ。
(25) 前記ポリカチオン性成分が、カチオン性水溶性高分子アンモニウム塩類、ポリクオタニウム含有化合物類、水溶性高分子テトラアルキルホスホニウム塩類、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様1に記載のコンタクトレンズ。
【0208】
(26) 前記ポリカチオン性成分が、ビグアニド類、ビスビグアニド類、第4級アンモニウム中心を有するポリカチオン性ポリマー類、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施態様1に記載のコンタクトレンズ。
(27) 前記ポリカチオン性成分が、ポリヘキサメチレンビグアニドPQ−1、PQ−42、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様1に記載のコンタクトレンズ。
(28) 約20%〜約70%の含水量を更に含む、実施態様1に記載のコンタクトレンズ。
(29) 約25%〜約65%の含水量を更に含む、実施態様1に記載のコンタクトレンズ。
(30) 前記アニオン性モノマーが、3−アクリルアミドプロピオン酸、4−アクリルアミドブタン酸、5−アクリルアミドペンタン酸、ナトリウム−2−(アクリルアミド)−2−メチルプロパンスルホネート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施態様20に記載のコンタクトレンズ。
【0209】
(31) 前記アニオン性モノマーが、(メタ)アクリル酸、アクリル酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレートカリウム塩、3−スルホプロピル(メタ)アクリレートナトリウム塩、スルホエチルメタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様21に記載のコンタクトレンズ。
(32) 前記アニオン性モノマーが(メタ)アクリル酸を含む、実施態様21に記載のコンタクトレンズ。
(33) 前記アニオン性モノマーが、N−ビニルオキシカルボニル−α−アラニン、N−ビニルオキシカルボニル−β−アラニン、2−ビニル−4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン、ビニルスルホネートナトリウム塩、ビニルスルホネート塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様21に記載のコンタクトレンズ。
(34) 反応性混合物から形成されるシリコーンヒドロゲルであって、
少なくとも1種の反応性シリコーン含有成分、少なくとも1種の反応性イオン性モノマー、任意選択で反応性親水性成分及び架橋剤を含む主要重合性成分と、
可視性色味剤及び染料(visibility tint and dyes)、UV吸収剤、フォトクロミック化合物、医薬化合物、栄養補給化合物、並びにこれらの混合物からなる群から選択される少量重合性成分と、を含み、
前記主要重合性成分が、単一の反応性官能基を含む、シリコーンヒドロゲル。
(35) 前記単一の反応性官能基が、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニル及びスチリルからなる群から選択される、実施態様34に記載のシリコーンヒドロゲル。
【0210】
(36) 前記単一の反応性官能基が、アクリルアミド、メタクリルアミド及びビニルからなる群から選択される、実施態様34に記載のシリコーンヒドロゲル。
(37) 約50ppm〜約1重量%の少なくとも1種の非架橋統計的コポリマーを含むシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズであって、前記少なくとも1種の非架橋統計的コポリマーが、少なくとも約10重量%の少なくとも1種の非イオン性親水性モノマーを含み、かつ前記ポリマー全体にわたってランダムに分布された、少なくとも約20mol%の少なくとも1種のアニオン性反復単位を有する、コンタクトレンズ。
(38) 前記コポリマーが約20ppm〜2000ppmの量で存在する、実施態様37に記載のコンタクトレンズ。
(39) 前記コポリマーが約50ppm〜1500ppmの量で存在する、実施態様37に記載のコンタクトレンズ。
(40) 前記単一の反応性官能基がメタクリルアミドであり、前記反応性イオン性モノマーが、少なくとも1種のアクリルアミドスルホン酸又はアクリルアミドスルホン酸塩を含む、実施態様34に記載のシリコーンヒドロゲル。
【0211】
(41) 前記アクリルアミドスルホン酸が、2〜4個の炭素原子を含むアルキレン基を含む、実施態様40に記載のシリコーンヒドロゲル。
(42) 前記アクリルアミドスルホン酸が、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩を含む、実施態様40に記載のシリコーンヒドロゲル。