特許第6165779号(P6165779)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6165779可塑剤組成物及び可塑剤組成物を製作するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6165779
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】可塑剤組成物及び可塑剤組成物を製作するための方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20170710BHJP
   C08K 5/1515 20060101ALI20170710BHJP
   C08L 27/06 20060101ALI20170710BHJP
   C08G 59/14 20060101ALI20170710BHJP
   C07D 303/16 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
   C08L63/00 Z
   C08K5/1515
   C08L27/06
   C08G59/14
   C07D303/16
【請求項の数】14
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-556567(P2014-556567)
(86)(22)【出願日】2013年1月28日
(65)【公表番号】特表2015-509544(P2015-509544A)
(43)【公表日】2015年3月30日
(86)【国際出願番号】US2013023362
(87)【国際公開番号】WO2013119402
(87)【国際公開日】20130815
【審査請求日】2015年10月27日
(31)【優先権主張番号】61/596,432
(32)【優先日】2012年2月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】マニシュ・マンドラ
(72)【発明者】
【氏名】アブヒジト・ゴーシュ−ダスティダー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・エフ・イートン
(72)【発明者】
【氏名】リン・フ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・エム・キャンベル
(72)【発明者】
【氏名】ブルース・エム・ベル
【審査官】 藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−512442(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/102877(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0272174(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/019073(WO,A1)
【文献】 特開昭48−000420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
・IPC
C08L 63/00
C07D 303/16
C08G 59/14
C08K 5/1515
C08L 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ化脂肪酸アルキルエステルを含む第1の可塑剤と、
エポキシ化天然油を含む第2の可塑剤とを含み、
前記第1の可塑剤が、前記第1の可塑剤の総重量に基づいて0.1重量パーセント未満の濃度の脂肪酸二量体を含む、可塑剤組成物。
【請求項2】
前記エポキシ化脂肪酸アルキルエステルの少なくとも一部が、メチルエステルであり、前記エポキシ化天然油が、エポキシ化大豆油である、請求項1に記載の可塑剤組成物。
【請求項3】
前記第1の可塑剤が、前記第1の可塑剤の総重量に基づいて0.02重量パーセント未満の濃度の前記脂肪酸二量体を有する、請求項1または2に記載の可塑剤組成物。
【請求項4】
前記第1および第2の可塑剤が、10:90以上90:10以下の範囲の第1の可塑剤対第2の可塑剤の重量比で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の可塑剤組成物。
【請求項5】
前記第1の可塑剤が、190℃で60分間の熱老化で100未満のAPHA値を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の可塑剤組成物。
【請求項6】
ポリマー樹脂と、請求項1〜5のいずれか一項に記載の前記可塑剤組成物とを含む、ポリマー組成物。
【請求項7】
前記ポリマー樹脂が、ポリ塩化ビニルである、請求項6に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
処理された可塑剤を製造する方法であって、
(a)第1の可塑剤および第2の可塑剤を混合して、それにより可塑剤組成物を形成し、前記第1の可塑剤が、エポキシ化脂肪酸アルキルエステルを含み、前記第2の可塑剤が、エポキシ化天然油を含むステップ、および
(b)前記第1の可塑剤、前記第2の可塑剤、および/または前記可塑剤組成物を、1つまたは複数の色低減処理工程にかけて、それにより前記処理された可塑剤を製造し、
前記色低減処理工程が、
(i)前記第1の可塑剤、前記第2の可塑剤、および/または前記可塑剤組成物の少なくとも一部を過酸化物と接触させる工程、
(ii)前記第1の可塑剤、前記第2の可塑剤、および/または前記可塑剤組成物の少なくとも一部をろ過する工程、
(iii)ステップ(a)での前記混合前に、前記第1の可塑剤の少なくとも一部を蒸留する工程、および
(iv)上記のうち2つ以上の組み合せ、
からなる群から選択され
処理された可塑剤のエポキシ化脂肪酸アルキルエステルは、エポキシ化脂肪酸アルキルエステルの総重量に基づき0.1重量パーセント未満の濃度の脂肪酸二量体を含む、方法。
【請求項9】
前記エポキシ化脂肪酸アルキルエステルが、エポキシ化脂肪酸メチルエステルであり、前記エポキシ化天然油が、エポキシ化大豆油である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記色低減処理工程が、工程(i)を含み、前記過酸化物が、過酸化水素である、請求項8または9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記色低減処理工程が、工程(ii)を含み、前記ろ過が、前記第1の可塑剤、前記第2の可塑剤、および/または前記可塑剤組成物の少なくとも一部を、合成ケイ酸マグネシウム、漂白粘土、モンモリロナイト粘土、フラー土粘土、活性アルミナ、真珠岩、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択されるろ過媒体に通すことにより実施される、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記色低減処理工程が、工程(iii)を含み、前記蒸留が、120〜180℃以下の範囲の温度で実施される、請求項8〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の可塑剤が、前記色低減処理工程後の190℃で60分間の熱老化で100未満のAPHA値を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記可塑剤組成物およびステップ(b)の前記色低減処理工程のいずれにもかけられていない同一の対照可塑剤組成物を両方とも190℃で60分間熱老化した際に、前記可塑剤組成物が、前記参照可塑剤組成物のAPHA値未満のAPHA値を有する、請求項8〜13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2012年2月8日に出願された米国特許仮出願第61/596,432号の利益を請求するものである。
本発明の種々の実施形態は、天然油(例えば、生物学的供給源に由来する油)に由来する可塑剤に関する。本発明の他の態様は、そのような可塑剤を製造するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
序文
可塑剤は、柔軟性および可撓性を付与するためにポリマー樹脂に添加される化合物または化合物の混合物である。フタル酸ジエステル(「フタル酸エステル」としても知られている)は、ポリ塩化ビニル(「PVC」)および他のビニルポリマーから形成されるポリマー製品等の、多くの可撓性ポリマー製品中にある公知の可塑剤である。一般的なフタル酸エステル系可塑剤の例には、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジアリル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジオクチル、およびフタル酸ジイソデシルが含まれる。高温での応用に使用される他の一般的な可塑剤は、トリメリット酸エステルおよびアジピン酸ポリエステルである。可塑剤の混合物は、至適特性を得るために使用されることが多い。
【0003】
近年、フタル酸エステル系可塑剤は、フタル酸エステルの否定的な環境影響、およびフタル酸エステルと接触したヒト(特に小児)における有害健康効果の可能性を懸念する公益団体により厳しく監視されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大豆油のエポキシ化メチルエステル(例えば、エポキシ化脂肪酸メチルエステル、または「eFAME」)は、ポリ塩化ビニル(「PVC」)および他のポリマー(天然ゴム、アクリラート等)の可塑剤として使用することができる。または、その代わりに、可塑剤混合物の一次または二次可塑剤として使用することができる(エポキシ化大豆油(「ESO」)等と共に)。しかしながら、eFAMEは、可塑化組成物の変色を引き起こす場合がある種々の不純物を含有していることが多い。したがって、そのような可塑剤の改良が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの実施形態は、エポキシ化脂肪酸アルキルエステルを含む第1の可塑剤およびエポキシ化天然油を含む第2の可塑剤を含み、前記第1の可塑剤が、前記第1の可塑剤の総重量に基づき0.1重量パーセント未満の濃度の脂肪酸二量体を含む可塑剤組成物である。
【0006】
別の実施形態は、処理された可塑剤を製造する方法であって、
(a)第1の可塑剤および第2の可塑剤を混合して、それにより可塑剤組成物を形成し、前記第1の可塑剤が、エポキシ化脂肪酸アルキルエステルを含み、前記第2の可塑剤が、エポキシ化天然油を含むステップ、および
(b)前記第1の可塑剤、前記第2の可塑剤、および/または前記可塑剤組成物を、1つまたは複数の色低減処理工程にかけて、それにより前記処理された可塑剤を製造するステップを含み、
前記色低減処理工程が、
(i)前記第1の可塑剤、前記第2の可塑剤、および/または前記可塑剤組成物の少なくとも一部を過酸化物と接触させる工程、
(ii)前記第1の可塑剤、前記第2の可塑剤、および/または前記可塑剤組成物の少なくとも一部をろ過する工程、
(iii)ステップ(a)での前記混合前に、前記第1の可塑剤の少なくとも一部を蒸留する工程、および
(iv)上記のうち2つ以上の組み合わせ、
からなる群から選択される方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の種々の実施形態は、天然油に由来する可塑剤に関する。1つまたは複数の実施形態では、可塑剤は、エポキシ化天然油(「eNO」)を含む。加えて、可塑剤は、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル(「eFAAE」)を形成する、エポキシ化およびエステル化されている天然油を含む。そのような可塑剤の調製では、eNO、eFAAE、および/またはそれらの組み合わせを、1つまたは複数の色処理工程にかけることができる。そのような可塑剤は、様々なポリマー樹脂に、および種々の製造品の製作に使用することができる。
【0008】
可塑剤
本開示は、エポキシ化脂肪酸アルキルエステルおよびエポキシ化天然油で構成される可塑剤を提供する。可塑剤は、可塑剤が添加されるポリマー樹脂(典型的には、熱可塑性ポリマー)の弾性および引張強さを低下させることができ、可撓性、伸長性、衝撃強さ、および引裂強さを増加させることができる物質である。また、可塑剤は、ポリマー樹脂の融点を低下させることができ、それによりガラス転移温度が低下し、可塑剤が添加されるポリマー樹脂の加工性が増強される。ある実施形態では、本可塑剤は、フタル酸エステルを含んでいない可塑剤であるか、またはそうでなければフタル酸エステルが無効もしくは実質的に無効にされている。
【0009】
可塑剤は、エポキシ化脂肪酸アルキルエステルを含む。エステルのアルキル部分は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、または2−エチルヘキシル基であってもよい。ある実施形態では、エポキシ化脂肪酸アルキルエステルは、エポキシ化脂肪酸メチルエステル(または「eFAME」)である。「エポキシ化脂肪酸メチルエステル」は、少なくとも1つのエポキシド基を有するC〜C24(飽和または不飽和)カルボン酸メチルエステルである。「エポキシド基」は、酸素原子が、互いに既に結合している2つの炭素原子の各々と結合している3員環エーテル(オキシランまたはアルキレンオキシドとも呼ばれる)である。エポキシ化反応は、典型的には、過カルボン酸または他のペルオキシ化合物を用いて実施される。
【0010】
また、本可塑剤は、エポキシ化天然油(「eNO」)を含む。「天然油」は、本明細書で使用される場合、脂肪酸トリグリセリドで構成されており、微生物(藻類、細菌)、植物/野菜、および/または種子に由来する。ある実施形態では、天然油は、遺伝子組換え天然油を含む。別の実施形態では、天然油は、石油由来の油を除外する。好適な天然油の非限定的な例には、牛脂油、キャノーラ油、ヒマシ油、コーン油、魚油、亜麻仁油、パーム油、菜種油、サフラワー油、大豆油、ひまわり油、トール油、桐油、およびこれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0011】
用語「エポキシ化天然油」は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの脂肪酸部分が、少なくとも1つのエポキシド基を含有する天然油である。エポキシ化は、天然油を過カルボン酸および/または他のペルオキシ化合物と反応させることにより起こすことができる。
【0012】
好適なeNOの非限定的な例には、エポキシ化藻類油、エポキシ化牛脂油、エポキシ化キャノーラ油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化コーン油、エポキシ化魚油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化パーム油、エポキシ化菜種油、エポキシ化サフラワー油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまわり油、エポキシ化トール油、エポキシ化桐油、およびこれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0013】
ある実施形態では、エポキシ化天然油は、エポキシ化大豆油(「eSO」)である。
【0014】
ある実施形態では、可塑剤は、重量比で、0超(「>」):100未満(「<」)から<100:>0まで、より典型的には10:90以上90:10以下、より典型的には20:80以上80:20以下、更により典型的には30:70以上70:30以下の範囲の相対量のeNO(例えば、eSO)対eFAAE(例えば、eFAME)を含有する。重量比は、可塑剤の総重量に基づく。
【0015】
ある実施形態では、本可塑剤は、1つ又は複数の色低減処理工程にかけることができる。そのような色低減処理工程には、蒸留、ろ過、過酸化物による処理、およびそれらの2つ以上の混合が含まれる。
【0016】
ある実施形態では、色低減処理は、上述のeFAAE(例えば、eFAME)を、eNOと混合する前に蒸留することを含む。従来の蒸留技術が使用される。例えば、蒸留は、ワイプ式薄膜蒸発器(「WFE」)およびコンデンサを用いて実施することができる。ある実施形態では、蒸留は、120℃以上180℃以下、140℃以上170℃以下、または150℃以上160以下の範囲の温度にてWFEを使用して実施される。コンデンサの温度は、20℃であってもよい。
【0017】
ある実施形態では、色低減処理は、eNO、eFAAE、および/または混合可塑剤組成物の少なくとも一部をろ過することを含む。従来のろ過技術が使用される。好適なろ過媒体の例示的な例には、Magnesol D−60(商標)(The Dallas Group of America, Inc社から入手可能)、Pure Flow B−80(商標)(Oil Dri Corporation of America社から入手可能)、活性アルミナ(Sigma−Aldrich社またはDelta adsorbents社から入手可能)、フラー土粘土(Sigma−Aldrich社から入手可能)、および真珠岩(例えば、PF−60(商標)、The Schundler Company社から入手可能)が含まれる。ある実施形態では、可塑剤または混合可塑剤は、高温(例えば、40℃)にて、ある時間(例えば60分間)ろ過媒体と共に撹拌される。本明細書で使用される場合、用語「高温」は、周囲温度より高いあらゆる温度を示す。その後、混合物は、例えば、1マイクロメートル(「μm」)ろ紙を11μmろ紙の上に重ねて使用し、ろ過を加速するために減圧してろ過される。
【0018】
ある実施形態では、色低減処理は、eNO、eFAAE、および/または混合可塑剤組成物の少なくとも一部を過酸化物と接触させることを含む。種々の実施形態では、可塑剤または可塑剤混合物は、過酸化物溶液および可塑剤を合わせた重量に基づき1重量%以上3重量%以下の濃度の過酸化物溶液で処理することができる。その後、混合物を、ある時間(例えば、60分間)撹拌することができる。過酸化物は、当技術分野で公知の任意の過酸化物であってもよい。過酸化物は、一般的に構造ROORを有しており、RおよびRは、同じであってもよくまたは異なっていてもよく、水素、脂肪族、または芳香族基であってもよい。種々の実施形態では、過酸化物溶液は、過酸化水素(「H」)であってもよい。過酸化物溶液は、例えば、30重量%水溶液であってもよい。
【0019】
種々の実施形態では、処理された可塑剤のeFAAE(例えば、eFAME)は、eFAAEの総重量に基づき0.1未満、0.05未満、または0.02重量パーセント未満の濃度の脂肪酸二量体を含む。脂肪酸二量体の含有量は、下記の試験手順に記載されているように、クロマトグラフィー分析により決定することができる。脂肪酸二量体には、2つの脂肪酸脂肪族鎖の組み合わせを有する分子が含まれる。脂肪酸脂肪族鎖は、飽和、不飽和、および/またはエポキシ化されていてもよい。脂肪酸二量体の非限定的な例には、以下のもの等の構造を有する分子が含まれる。
【0020】
【化1-1】
【化1-2】
【0021】
種々の実施形態では、処理された可塑剤のeFAAE(例えば、eFAME)は、eFAAEの総重量に対して0、1重量パーセント未満、0.05重量パーセント未満、または0.02重量パーセント未満の濃度の脂肪酸三量体を含む。脂肪酸三量体の含有量は、下記の試験手順に記載されているように、クロマトグラフィー分析により決定することができる。脂肪酸三量体には、3つの脂肪酸脂肪族鎖の組み合わせを有する分子(例えば、トリグリセリド)が含まれる。脂肪酸脂肪族鎖は、飽和、不飽和、および/またはエポキシ化されていてもよい。脂肪酸三量体の非限定的な例には、以下のもの等の構造を有する分子が含まれる。
【0022】
【化2】
【0023】
種々の実施形態では、処理された可塑剤のeFAAE(例えば、eFAME)は、eFAAEの総重量に対して総量が0、1未満、0.05未満、または0.02重量パーセント未満の混合濃度の脂肪酸二量体および脂肪酸三量体を含む。
【0024】
種々の実施形態では、処理されたeFAAE、処理されたeNO、および/またはそれらの処理された組み合わせは、190℃で60分間老化させた場合に、100未満の、90未満の、80未満の、70未満の、60未満の、50未満の、40未満の、または30未満の米国公衆衛生協会(「APHA」)色指数値を有していてもよい。熱老化は、以下の実施例に記載の手順により実施される。APHA色調は、ASTM標準E1209およびE313に準拠して決定される。
【0025】
ポリマー組成物
本開示は、ポリマー組成物を提供する。ある実施形態では、ポリマー樹脂および上記で開示された本可塑剤を含むポリマー組成物が提供される。
【0026】
好適なポリマー脂剤の非限定的な例には、ポリスルフィド、ポリウレタン、アクリル樹脂、エピクロロヒドリン、ニトリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリクロロプレン、スチレンブタジエンゴム、天然ゴム、合成ゴム、EPDMゴム、プロピレン系ポリマー、エチレン系ポリマー、および塩化ビニル樹脂が含まれる。用語「プロピレン系ポリマー」は、本明細書で使用される場合、重量パーセントの大半が重合したプロピレンモノマー(重合可能なモノマーの総量に基づく)を含むポリマーであり、随意に少なくとも1つの重合したコモノマーを含んでいてもよい。用語「エチレン系ポリマー」は、本明細書で使用される場合、重量パーセントの大半が重合したエチレンモノマー(重合可能なモノマーの総量に基づく)を含むポリマーであり、随意に少なくとも1つの重合したコモノマーを含んでいてもよい。
【0027】
用語「塩化ビニル樹脂」は、本明細書で使用される場合、ポリ塩化ビニル(「PVC」)等の塩化ビニルポリマー、または塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニル/塩化ビニリデンコポリマー、塩化ビニル/エチレンコポリマー、もしくは塩化ビニルをエチレン/酢酸ビニルコポリマーにグラフトすることにより調製されるコポリマー等の塩化ビニルコポリマーである。また、塩化ビニル樹脂は、上述の塩化ビニルポリマーまたは塩化ビニルコポリマーと、これらに限定されないが、塩素化ポリエチレン、熱可塑性ポリウレタン、メタクリルポリマー等のオレフィンポリマー、またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンポリマーを含む、他の混和性または適合性ポリマーとのポリマー混合物を含むことができる。
【0028】
ある実施形態では、塩化ビニル樹脂は、PVCである。
【0029】
ある実施形態では、ポリマー組成物は、40重量%以上50重量%以下のPVC、5重量%以上20重量%以下のeFAAE、5重量%以上20重量%以下のeNO、および0重量%超から35重量%までの充填材を含む。
【0030】
添加剤
ポリマー組成物は、随意に、以下の添加剤の1つまたは複数を含んでいてもよい:充填材、難燃剤、熱安定剤、防滴剤、着色剤、潤滑剤、低分子量ポリエチレン、ヒンダードアミン光安定剤、UV光吸収剤、硬化剤、ブースター、遅延剤、加工助剤、カップリング剤、帯電防止剤、成核剤、スリップ剤、粘性調整剤、粘着付与剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、エキステンダー油、酸スカベンジャー、金属不活性化剤、およびそれらの任意の組み合わせ。
【0031】
ある実施形態では、ポリマー組成物は、PVC、本可塑剤、充填材(炭酸カルシウム、粘土、シリカ、およびそれらの任意の組み合わせ)、金属セッケン安定剤(ステアリン酸亜鉛、またはCa、Zn、Mg、Sn、およびそれらの任意の組み合わせを含有する混合金属安定剤)、フェノール酸または関連酸化防止剤、および加工助剤を含む。
【0032】
被膜導体
本開示は、被膜導体を提供する。被膜導体は、導体および導体の被膜を含み、被膜は、上述のポリマー組成物から形成されている。
【0033】
「導体」は、本明細書で使用される場合、熱、光、および/または電気を伝導するための1つまたは複数のワイヤまたはファイバーである。導体は、単一のワイヤ/ファイバーまたは複数のワイヤ/ファイバーであってもよく、紐状の形態または管状の形態であってもよい。好適な導体の非限定的な例には、銀、金、銅、炭素、およびアルミニウム等の金属が含まれる。また、導体は、ガラスまたはプラスチックのいずれかで作られた光ファイバーであってもよい。
【0034】
被膜導体は、可撓性、半剛性、または剛性であってもよい。被膜(「ジャケット」または「シース」または「絶縁体」とも呼ばれる)は、導体と接していてもよく、または導体周囲の別のポリマー層と接していてもよい。
【0035】
定義
本明細書で使用される場合、2つ以上の項目を列挙する際に使用される用語「および/または」は、列挙された項目のいずれか1つが、単独で使用することができるか、または列挙された項目の2つ以上の任意の組み合わせで使用することができることを意味する。例えば、組成物が、成分A、B、および/またはCを含有していると記載されている場合、組成物は、A単独、B単独、C単独、AおよびBの組み合わせ、AおよびCの組み合わせ、BおよびCの組み合わせ、BおよびCの組み合わせ、またはA、B、およびCの組み合わせを含有していてもよい。
【0036】
「天然油」は、石油または他の鉱物源に由来する油とは対照的に、1つまたは複数の生物学的供給源(例えば、種子、野菜、魚、動物脂、細菌、または藻類)に由来する油を意味する。
【0037】
「エポキシ化」は、オキシランまたはアルキレンオキシドとしても知られているエポキシドを形成するプロセスを意味する。
【0038】
「脂肪酸」は、典型的には、末端カルボキシル基(−COOH)を有する4〜24個の炭素原子を含有する脂肪族鎖で構成されるカルボン酸を意味する。脂肪酸は、飽和していてもよくまたは不飽和であってもよく、分岐していてもよくまたは非分岐であってもよく、1つまたは複数のヒドロキシル基を含んでいてもよくまたは含んでいなくともよい。
【0039】
「エポキシ化脂肪酸エステル」は、少なくとも1つのエポキシド基を含有する少なくとも1つの脂肪酸エステル部分を有する化合物を意味する。
【0040】
「ワイヤ」は、伝導性金属、例えば銅もしくはアルミニウムの1本の素線、または光ファイバーの1本の素線を意味する。
【0041】
「ケーブル」は、シース(例えば、絶縁カバー、保護外側ジャケット)内の少なくとも1つのワイヤまたは光ファイバーを意味する。典型的には、ケーブルは、典型的には一般的な絶縁体カバーおよび/または保護ジャケットで共に囲まれている2つ以上のワイヤまたは光ファイバーである。シース内部の個々のワイヤまたはファイバーは、剥き出しでもよく、カバーされていてもよく、または絶縁されていてもよい。結合ケーブルは、電気ワイヤおよび光ファイバーを両方とも含有している場合がある。ケーブルは、低電圧印加、中電圧印加、および/または高電圧印加用に設計することができる。典型的なケーブル設計は、米国特許第5,246,783号、第6,496,629号、および第6,714,707号に例示されている。
【0042】
試験方法
APHA色測定
BYK Gardner LCS III(商標)機器およびAPHA単位の尺度を使用し、ASTM標準E1209およびE313に準拠して液体の色を測定する。卓上機器をセットアップし、較正検査を実施して、機器が仕様通りに作動していることを確認する。下記に列挙したプロトコールを使用して試料の色を測定する。
・LCS IIIを設定して、ハーゼン/アルファ色度を測定する。
・注射器(10mL)を用いて各試料を個々の校正済みキュベットに測りとる。
・各負荷キュベットをLCS IIIに設置し、試験ボタンを押すと、ハーゼン/アルファ数値が生成される。この数値を記録し、試料を取り出し、LCS IIIに再び設置して2回目の測定を行う(データを記録する)。3回目を繰り返す(データを記録する)。
・負荷キュベットを取り出してわきに置き、黄色色度を測定するようにLCS IIIをリセットして、同じキュベットの黄色色度を測定する(3回の測定を記録する)。
【0043】
熱老化
各可塑剤試料を、190℃のII型コンベクションオーブンで加熱する。以下の実施例で示されている時間間隔で試料を収集し、卓上に静置して冷却する。24時間後、各試料のAPHA値を測定する。
【0044】
蒸留
eFAMEの蒸留方法:試料1a〜e
2インチ分子蒸留器を使用して、下記条件下で試料を脱気する。
【0045】
【表1】
【0046】
パス1からの残留物流動を、パス2の蒸留の供給材料として使用する。
【0047】
【表2】
【0048】
TeFAMEの蒸留方法:試料2a〜e
2インチ分子蒸留器を使用して、下記条件下で試料を脱気する。
【0049】
【表3】
【0050】
パス1からの残留物流動を、パス2の蒸留の供給材料として使用する。
【0051】
【表4】
【0052】
電気的性能試験
Baur社製DTL C(商標)オイルテスターを使用して、電気的性能を測定する。各液体を試験する前に、誘電試験セルを、ヘプタンで十分に洗浄する。その後、空セルを較正して、空セルのキャパシタンスを取得し、汚染を検査する。セルに試験液体を充填し、適切な試験温度、典型的には25℃に加熱する。まず、εおよびtanδを、ASTM D924に準拠して測定する。この場合、試験電圧は2000V(1000V/mm)である。次の測定での一切の分極効果を防止するために、ε/tanδ後に直流抵抗を測定する。ASTM D1169に準拠して抵抗を測定する。この場合、まず正極性の500Vを印加し、抵抗を測定した後でセルを放電し、その後負極性で測定する。その後、データは、2回の測定の平均として報告される。
【0053】
クロマトグラフィー分析
試料を、下記条件でガスクロマトグラフィー(「GC」)システムを使用して分析した。
機器:Agilent社製6890GC(商標)
カラム:RTx−Biodiesel TG(商標)(Restek社製)、15m×0.32mm×0.1−μmフィルム
インジェクション:分割Restek社製精密二重ウールライナー
インジェクション容積:1.0μL
検出:水素炎イオン化型(FID)
キャリアガス:He
キャリア圧力:8psi、定圧
分流:123mL/分
分割比:40
水素:30mL/分
空気:350mL/分
メイクアップ:25mL/分
インジェクション温度:340℃
検出器温度:350℃
温度プログラム:初期温度:60℃で1分間
勾配速度:15℃/分
最終温度:350℃で20分間
データシステム:Thermo Atlas v8.2
【0054】
ろ過
試料サイズを100mLにして、試料をろ過媒体と共に60分間40℃で撹拌する。その後、溶液を、1マイクロメートル(「μm」)のろ紙を11μmのろ紙の上に重ねて使用し、ろ過を加速するために減圧してろ過する。ろ過媒体は以下の通りである。
・Magnesol D−60(商標)(the Dallas Group of America, Inc.社から入手可能)−合成ケイ酸マグネシウム。
・Pure Flow B−80(商標)漂白粘土(Oil Dri Corporation of America社から入手可能)−フラー土粘土を有するモンモリロナイト型粘度と少量の石英との混合物。
・活性アルミナ(Sigma−Aldrich社から入手可能)−200m/gを超える表面積を有する高度に多孔性のアルミナ。水酸化アルミニウムから製造される。
・フラー土粘土(Sigma−Aldrich社から入手可能)−抽出:100%天然の採石場採掘物(ホルマイト(hormite)およびスメクタイト鉱物の連晶)。 ・典型的な鉱物含有量:シリカ(70.85%);サファイア結晶(14.06%);酸化マグネシウム(5.71%);酸化鉄(5.34%)、酸化カルシウム(1.62%)。
・真珠岩PF−60(商標)(The Schundler Company社から入手可能)−真珠岩は、主として融合ケイ酸アルミニウムカリウムナトリウムからなる、本質的に非晶質の水和ガラス質火山岩である流紋岩組成物である。
【0055】
過酸化物処理
下記に示されているように、1重量%または3重量%のいずれかの30%過酸化水素(H)溶液を、可塑剤原液試料に添加し、磁気撹拌子及びスターラーで約60分間撹拌する。過酸化水素の重量パーセントは、可塑剤原液試料と過酸化水素とを合わせた重量に基づく。反応はジャーで実施する。
【実施例】
【0056】
実施例1−蒸留試料の初期色分析
試料1化合物は、未蒸留eFAME比較試料である。上記で概説した手順に従ってeFAME試料1a〜1eを蒸留する。蒸留の前に、エポキシ化試料を、以下のエポキシ化基本手順に従って調製する。開始原料が脂肪酸メチルエステル(「FAME」)である場合、エポキシ化はeFAMEをもたらし、開始原料が大豆油である場合、エポキシ化はESOをもたらす。
【0057】
典型的には、エステルまたは大豆油、過酸化物、およびギ酸を、それぞれ1:2:0.5の割合で混合する。50gのエステルまたは大豆油および対応する量のギ酸を、機械的スターラー、コンデンサ、およびHの制御添加用のドロッパを装着した三つ口丸底フラスコ(「RBF」)に量りとる。エステルおよびギ酸の混合物を、30℃にて400rpmの速度で撹拌する。計算量の過酸化水素(30または50重量%)を、10mL/時の速度で添加し、その後、反応の発熱性に応じて、速度をゆっくりと必要な流速に増加させる。添加は、一般的に1時間以内に終了する。その後、反応温度を40または50℃に上昇させ、オキシラン酸素値が更なる増加を示さなくなるまで、反応を継続させる。撹拌を止め、層を分離させる。油層を、まず水で、その後希釈水酸化カリウムで洗浄し、再び水またはブラインで洗浄する。その後、油層を減圧下で乾燥させる。
【0058】
試料2化合物は、未蒸留TeFAME比較試料である。上記で概説した手順に従ってTeFAME試料2a〜2eを蒸留する。TeFAME試料を、以下の基本手順に従って調製する。オレイン酸(60g)、メタノールまたは任意の他のアルコール(33.92g)、および硫酸(1重量%の酸、0.6g)を、コンデンサおよび温度センサを装着した二つ口RBFに量りとる。反応混合物を、窒素流動下65℃にて6時間油バッチで加熱する。幾つかの反応では、反応中に水が形成される場合があるが、トルエンを使用して共沸的に除去することできる。反応後、混合物を、水および炭酸カリウムで洗浄して未反応オレイン酸を除去し、その後水またはブラインで洗浄する。過剰アルコールを、ロータリーエバポレータを使用して除去する。最終産物を減圧下で乾燥させる。
【0059】
蒸留した後、上記で概説した手順に従って各試料の色を分析する。
【0060】
【表5】
【0061】
実施例2−蒸留試料の熱老化色分析
実施例1で調製した各試料を、上記で概説した熱老化手順に従って熱老化させる。上記で概説した手順に従って各試料の色を分析する。
【0062】
【表6-1】
【表6-2】
【0063】
蒸留した試料は全て、未蒸留の対照試料と比較して、熱老化の際に、特により長い老化時間(例えば、60分間)で色の減少を示す。
【0064】
実施例3−蒸留試料の電気的性能
実施例1で調製した各試料を、上記で概説した電気的性能試験手順に従って分析する。
【0065】
【表7】
【0066】
eFAMEおよびTeFAME試料の蒸留は、2eを除く全ての試料で絶縁抵抗を増加させた。
【0067】
実施例4−蒸留eFAME試料および対照eFAMEのクロマトグラフィー分析
インジェクションする試料を以下の通り調製する:100μLの試料および100μLのペンタデカン内部標準をバイアルに量りとる。およそ5mLのテトラヒドロフラン(「THF」)を添加し、得られた溶液を十分に混合する。この溶液の等量を2mLのオートサンプラーバイアルに入れ、上述したGC条件および試料1化合物および1a〜eを使用して分析する。
【0068】
【表8】
【0069】
実施例5−ろ過試料の初期色分析
各々が実施例1で概説した手順に従って調製されたESOおよびeFAME可塑剤の混合物を使用して、上記で概説した手順により、以下の重量比を使用して、5つのろ過試料を調製する。
【0070】
【表9】
【0071】
上記で概説した手順に従って各試料の色を分析する。試料3化合物は、ESOおよびeFAMEの50/50重量/重量混合物を有する未ろ過比較試料である。
【0072】
【表10】
【0073】
Magnesol D 60(商標)、Pure Flow B−80(商標)、および活性アルミナで処理した試料は、初期色の減少を示す。
【0074】
実施例6−ろ過試料の熱老化色分析
実施例5で調製した各試料を、上記で概説した熱老化手順に従って熱老化させる。上記で概説した手順に従って各試料の色を分析する。
【0075】
【表11】
【0076】
試料は全て、高温老化サイクル中に色形成の著しい減少を示し、190℃で40分間の老化後に最大で60%の色減少を示した。
【0077】
実施例7−過酸化物で処理した試料の熱老化色分析
以下の試料を、上述のエポキシ化処理に従って調製する。試料4化合物、5化合物および6化合物は、比較試料として未処理のままである。過酸化物の重量パーセントは、H溶液と可塑剤とを合わせた重量に基づく。
【0078】
【表12】
【0079】
各試料を、上記で概説した熱老化手順に従って熱老化させる。上記で概説した手順に従って各試料の色を分析する。
【0080】
【表13】
【0081】
試料4a、4bおよび5の場合、190℃での熱老化の初期サイクル中(つまり、最大60分間)に、比較試料4化合物および5化合物と比較して色の改善を見ることができる。試料6の場合、より長期の熱老化サイクルにわたり、比較試料6化合物と比較して色の改善が見られる。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
エポキシ化脂肪酸アルキルエステルを含む第1の可塑剤と、
エポキシ化天然油を含む第2の可塑剤とを含み、
前記第1の可塑剤が、前記第1の可塑剤の総重量に基づいて0.1重量パーセント未満の濃度の脂肪酸二量体を含む、可塑剤組成物。
[2]
前記エポキシ化脂肪酸アルキルエステルの少なくとも一部が、メチルエステルであり、前記エポキシ化天然油が、エポキシ化大豆油である、[1]に記載の可塑剤組成物。
[3]
前記第1の可塑剤が、前記第1の可塑剤の総重量に基づいて0.02重量パーセント未満の濃度の前記脂肪酸二量体を有する、[1]または[2に記載の可塑剤組成物。
[4]
前記第1および第2の可塑剤が、10:90以上90:10以下の範囲の第1の可塑剤対第2の可塑剤の重量比で存在する、[1]〜[3]のいずれかに記載の可塑剤組成物。
[5]
前記第1の可塑剤が、190℃で60分間の熱老化で100未満のAPHA値を有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の可塑剤組成物。
[6]
ポリマー樹脂と、[1]〜[5]のいずれかに記載の前記可塑剤組成物とを含む、ポリマー組成物。
[7]
前記ポリマー樹脂が、ポリ塩化ビニルである、[6]に記載のポリマー組成物。
[8]
処理された可塑剤を製造する方法であって、
(a)第1の可塑剤および第2の可塑剤を混合して、それにより可塑剤組成物を形成し、前記第1の可塑剤が、エポキシ化脂肪酸アルキルエステルを含み、前記第2の可塑剤が、エポキシ化天然油を含むステップ、および
(b)前記第1の可塑剤、前記第2の可塑剤、および/または前記可塑剤組成物を、1つまたは複数の色低減処理工程にかけて、それにより前記処理された可塑剤を製造し、
前記色低減処理工程が、
(i)前記第1の可塑剤、前記第2の可塑剤、および/または前記可塑剤組成物の少なくとも一部を過酸化物と接触させる工程、
(ii)前記第1の可塑剤、前記第2の可塑剤、および/または前記可塑剤組成物の少なくとも一部をろ過する工程、
(iii)ステップ(a)での前記混合前に、前記第1の可塑剤の少なくとも一部を蒸留する工程、および
(iv)上記のうち2つ以上の組み合せ、
からなる群から選択される方法。
[9]
前記エポキシ化脂肪酸アルキルエステルが、エポキシ化脂肪酸メチルエステルであり、前記エポキシ化天然油が、エポキシ化大豆油である、[8]に記載の方法。
[10]
前記色低減処理工程が、工程(i)を含み、前記過酸化物が、過酸化水素である、[8]または[9]のいずれかに記載の方法。
[11]
前記色低減処理工程が、工程(ii)を含み、前記ろ過が、前記第1の可塑剤、前記第2の可塑剤、および/または前記可塑剤組成物の少なくとも一部を、合成ケイ酸マグネシウム、漂白粘土、モンモリロナイト粘土、フラー土粘土、活性アルミナ、真珠岩、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択されるろ過媒体に通すことにより実施される、[8]〜[10]のいずれかに記載の方法。
[12]
前記色低減処理工程が、工程(iii)を含み、前記蒸留が、120〜180℃以下の範囲の温度で実施される、[8]〜[11]のいずれかに記載の方法。
[13]
前記第1の可塑剤が、前記色低減処理工程後の190℃で60分間の熱老化で100未満のAPHA値を有する、[12]に記載の方法。
[14]
前記可塑剤組成物およびステップ(b)の前記色低減処理工程のいずれにもかけられていない同一の対照可塑剤組成物を両方とも190℃で60分間熱老化した際に、前記可塑剤組成物が、前記参照可塑剤組成物のAPHA値未満のAPHA値を有する、[8]〜[13]のいずれかに記載の方法。