(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の従動アームは第1のピボットスプールに回転可能に結合された第2の端部を有し、前記第2の従動アームは第2のピボットスプールに回転可能に結合された第2の端部を有する、請求項1に記載の手術用具。
前記第1及び第2の従動アームの関節位置に影響を与えることなく、前記シャフト組立体の回転が可能となるように、前記第1及び第2の従動アームそれぞれの下方に装着された第1及び第2のブッシュを更に備える、請求項1に記載の手術用具。
時計回り(CW)及び反時計回り(CCW)方向における前記シャフト組立体の回転を制御するためのシャフト組立体回転機構を更に備える、請求項1に記載の手術用具。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ロボット制御式の手術器具の様々な実施形態について詳細に説明する前に、留意されたいこととして、それらの例示的な実施形態は、用途又は使用法において、添付の図面及び説明に示す部品の構造及び構成の詳細に限定されるものではない。それらの例示的な各実施形態は、他の実施形態、変形形態、及び修正形態において実現されても、あるいはそれらに組み込まれてもよく、また、様々な方式で遂行又は実行されてもよいことが理解されよう。更に、特に明記しない限り、本明細書で用いる用語及び表現は、読者の便宜のために例示的な実施形態を説明する目的で選ばれており、それらを限定するためのものではない。
【0009】
更に、理解されたいこととして、後述する実施形態、実施形態の表現、及び/又は実施例のうちの任意の1つ以上が、後述する他の実施形態、実施形態の表現、及び/又は実施例のうちの任意の1つ以上と組み合わされ得る。
【0010】
本開示は、ロボット手術の機器、システム、及び方法の様々な実施形態を提供する。具体的には、本開示は、ロボット制御式の手術器具の様々な実施形態を提供する。より具体的には、本開示は、手術器具をロボット式で関節運動させるためのロボット制御式の関節機構を備えたロボット制御式の電気手術及び/又は超音波器具の様々な実施形態を提供する。
【0011】
開示を明確にするために、「近位」及び「遠位」という用語は、手術用具をロボットマニピュレータ及び遠位側の手術用エンドエフェクタに手術用具を機械的にかつ電気的に結合するインターフェースを有する近位側のハウジングを備えたロボット手術用具に対して定義される。「近位」という用語は、ハウジングにより近い要素の位置を指し、「遠位」という用語は、手術用エンドエフェクタにより近く、かつハウジングからより離れた要素の位置を指す。
【0012】
多くのロボット手術手技は、血管又は他の脈管組織を切断又は結紮することを必要とする。最小侵襲ロボット手術では、外科手術は、患者の体内の小さな切開部を通じて実施される。空間が限られる結果として、多くの場合、横切された血管をクランピング及び/又は結紮するときの出血を制御する上で困難が生じる。電気手術鉗子を利用することで、ロボット手術用具は、クランプアームとも呼ばれるロボット制御式の電気手術鉗子のジョー部材を通じて印加される電気手術用エネルギーをロボット制御することによって、出血を焼灼し、凝固/乾燥させ、かつ/又は単純に減らすか若しくは遅くすることができる。
【0013】
外科的な巧緻性を向上させるためだけでなく、外科医が直感的な方式で患者に手術できるようにするために、長年にわたって、様々な最小侵襲ロボット(又は「遠隔手術(telesurgical)」)システムが開発されてきた。ロボット手術システムは、本明細書で説明するように、例えば超音波器具及び/又は電気手術器具を含め、多種多様な手術器具と共に使用され得る。例示的なロボットシステムには、米国カリフォルニア州サニーベール(Sunnyvale)のインテュイティヴ・サージカル社(Intuitive Surgical, Inc.)によって製造されているものが挙げられる。そのようなシステム、並びに他の製造業者によるロボットシステムが、それぞれ参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第5,792,135号、名称「向上した巧緻性および感度で最低侵襲性外科手術を行うための連結外科手術器具(Articulated Surgical Instrument For Performing Minimally Invasive Surgery With Enhanced Dexterity and Sensitivity)」、米国特許第6,231,565号、名称「手術作業を実施するためのロボットアームDLUS(Robotic Arm DLUS For Performing Surgical Tasks)」、米国特許第6,783,524号、名称「超音波焼灼及び切断器械を備えたロボット手術用具(Robotic Surgical Tool With Ultrasound Cauterizing and Cutting Instrument)」、米国特許第6,364,888号、名称「最小侵襲手術機器におけるマスター及びスレーブのアライメント(Alignment of Master and Slave In a Minimally Invasive Surgical Apparatus)」、米国特許第7,524,320号、「ロボット手術用具のための機械式アクチュエータインターフェースシステム(Mechanical Actuator Interface System For Robotic Surgical Tools)」、米国特許第7,691,098号、名称「プラットフォーム関節手首(Platform Link Wrist Mechanism)」、米国特許第7,806,891号、名称「最小侵襲遠隔手術におけるマスター/スレーブ関係の再位置決め及び再配向(Repositioning and Reorientation of Master/Slave Relationship in Minimally Invasive Telesurgery)」、並びに、米国特許第7,824,401号、名称「手関節型単極電気手術エンドエフェクタ(Surgical Tool With Writed Monopolar Electrosurgical End Effectors)」において開示されている。そのようなシステムの多くはしかしながら、組織を効果的に切断及び締結するのに必要な大きさの力を発生させることが、これまではできなかった。
【0014】
図1は、ロボット手術システムの一実施形態をブロック図の形態で示している。
図1〜5は、いくつかの例示的なロボット手術システム及びその構成要素の構造及び動作を示している。
図1は、例示的なロボット手術システム100のブロック図である。システム100は、少なくとも1台のコントローラ108と、少なくとも1台のアームカート110とを備えている。アームカート110は、1台以上のロボットマニピュレータ又はアーム112に機械的にかつ/又は電気的に結合され得る。ロボットアーム112の各々は、患者104に対して様々な手術作業を実施するための1台以上の手術器具114を備え得る。アーム112及び器具114を含めて、アームカート110の動作は、臨床医102によってコントローラ108から指示され得る。いくつかの実施形態において、第2の臨床医102’によって操作される第2のコントローラ108’もまた、第1の臨床医102’と協働してアームカート110の動作を指示し得る。例えば、臨床医102、102’の各々が、カートの異なるアーム112を制御してもよく、あるいは場合により、アームカート1010のすべての制御が、臨床医102、102’の間で交わされてもよい。いくつかの実施形態において、付加的なアームカート(図示せず)が患者104に対して利用されてもよい。これらの付加的なアームカートは、コントローラ108、108’の1台以上によって制御され得る。アームカート110とコントローラ108、108’は、通信リンク116を介して互いに通信してもよく、通信リンク116は、任意の好適な通信プロトコルに従って任意の好適な種類の信号(例えば、電気、光、赤外線など)を搬送する任意の好適な種類の有線又は無線通信リンクであってよい。通信リンク116は実際的な物理リンクであってもよく、あるいは、1つ以上の実際的な物理リンクを使用する論理リンクであってもよい。ネットワークの各ノードを接続する通信設備を参照するためのコンピュータネットワークの分野で周知のように、リンクが論理リンクである場合、物理リンクの種類は、例えば、データリンクであっても、アップリンクであっても、ダウンリンクであっても、光ファイバリンクであっても、2地点間リンクであってもよい。システム100などのロボット手術システムの例示的な実現形態が、その開示内容が本明細書に組み込まれる米国特許第7,524,320号に開示されている。したがって、そのような装置の様々な特色について本明細書では、本明細書で開示するロボット手術の機器、システム、及び方法の様々な実施形態及び形式を理解するのに必要となり得る範囲を越えて詳細に説明することはしない。
【0015】
図2は、
図3に示すタイプのロボットアームスレーブカートと連結して使用され得るマスタコントローラの一実施形態を示している。一実施形態において、マスタコントローラ202及びロボットアームスレーブカート300、並びにそれらの個々の構成要素及び制御システムは、本明細書において総じてロボットシステム200と呼ばれる。そのようなシステム及び装置の例が、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第7,524,320号に開示されている。したがって、そのような装置の各詳細については、本明細書において、本発明の各種の実施形態及び形式を理解するのに必要となり得る範囲を越えて説明しないことにする。周知のように、マスタコントローラ202は一般に、外科医が立体ディスプレイ206によって手技を観察する間に外科医によって把持され、空間をおいて操作されるマスタコントローラ(概して
図2において204として表される)を有している。マスタコントローラ202は一般に手動入力装置を備え、その手動入力装置は好ましくは、多自由度で移動するものであり、また多くの場合、用具を作動させるための(例えば、握持のこぎりの閉鎖、電極への電位の印加などのための)作動式ハンドルを更に有している。他の構成において、ディスプレイ206を通じて観察され得るフィードバックメータ208が外科医に与えられてもよく、また、切断器具又は動的クランピング部材に加えられている力の大きさの視覚的指示が外科医に与えられてもよい。例えば、ステープルカートリッジがエンドエフェクタに装填されているか否か、アンビルが発射に先立って閉位置へ移動されているか否かに関する指示をマスタコントローラ202に与えるために、他のセンサ構成が用いられてもよい。
【0016】
図3は、複数の外科用具を作動させるように構成されたロボットアームカートの一実施形態を示している。
図3に示すように、一形態において、ロボットアームカート300は、総じて302と表される複数の手術用具を作動させるように構成される。マスタコントローラとロボットアームカートの構成を利用した様々なロボット手術のシステム及び方法が、参照によってそのすべての開示内容が本明細書に組み込まれる米国特許第6,132,368号、名称「多構成テレプレゼンスシステムおよびその方法(Multi-Component Telepresence System and Method)」に開示されている。様々な形態において、ロボットアームカート300は基部304を有し、図示の実施形態において、この基部304から3つの手術用具302が支持されている。様々な形態において、手術用具302はそれぞれ、組立ジョイント306及びロボットマニピュレータ308と呼ばれる、一連の手動関節式リンク機構によって支持される。これらの構造は本明細書において、ロボットリンク機構の大部分に被さって延びる保護カバーを伴って示されている。これらの保護カバーは任意選択であってよく、また、そのような装置を操作するために使用されるサーボ機構にかかる慣性を最小限にするため、衝突を避けるように可動構成要素の体積を限定するため、そして、カート300の総重量を限定するため、いくつかの実施形態では寸法を限定されるか、あるいは完全に省かれてもよい。カート300は概して、手術室同士の間でカート300を輸送するのに好適な寸法を有する。カート300は、通常は標準的な手術室のドアを通り抜け、標準的な病院のエレベータに入るように構成され得る。様々な形態において、カート300は、好ましくは一定の重量を有し、カート300を1人の付添人によって手術台に隣接して位置決めできるホイール(又は他の輸送)システムを有する。様々な実施形態において、ベース部分を備えた自動リロードシステムが、ロボットシステム200のロボットアームカート300の作業範囲310内に戦略的に設置される。
【0017】
図4は、手術用具の移動を制限するためのリンク機構を有し得るロボットマニピュレータの一実施形態を示している。ここで
図4を参照すると、少なくとも1つの実施形態において、ロボットマニピュレータ308は、手術用具302の移動を制限するリンク機構400を備えてもよい。様々な実施形態において、リンク機構400は、そのすべての開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,817,084号に更に詳細に記述されているように、平行四辺形の構成をなして回転関節によって互いに結合された剛性リンクを有し、そのため、手術用具302は空間402内のある点を中心として回転するようになっている。平行四辺形の構成により、ピッチ軸と呼ばれることもある軸404aを中心とした旋回に回転が限定される平行四辺形のリンク機構を支持するリンクは、組立ジョイント306(
図3)に旋回式で装着され、そのため、手術用具302は更に、ヨー軸と呼ばれることもある軸404bを中心として回転するようになっている。ピッチ軸404aとヨー軸404bは、手術用具302のシャフト408に沿って調心される遠隔中心406にて交差する。手術用具302は、長手方向の用具軸「LT−LT」に沿った手術用具302のスライド運動を含めて、マニピュレータ308によって支援される更なる被駆動自由度を有してもよい。手術用具302が用具の軸線LT−LTに沿ってマニピュレータ308に対してスライドするとき(矢印404c)、遠隔中心406は、マニピュレータ308のベース410に対して依然として不動である。したがって、マニピュレータ308全体は概して、遠隔中心406を再配置するように移動される。マニピュレータ308のリンク機構400は、一連のモータ412によって駆動される。これらのモータ412は、コントロールシステムのプロセッサからの指令に応答してリンク機構400を能動的に移動させる。モータ412はまた、手術用具302を操作するために用いられてもよい。
【0018】
図5は、別の組立ジョイント構造の一実施形態を示している。この実施形態において、手術用具302が、別のマニピュレータ構造500によって2つの組織操作用具の間で支持される。当業者には理解されることとして、本発明の様々な実施形態が、すべての開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,878,193号、名称「最適な位置決めのための自動内視鏡システム(Automated Endoscope System For Optimal Positioning)」に記載されているものを含めて、多様な別のロボット構造を組み込んでいてもよい。加えて、ロボット構成要素とロボット手術システムのプロセッサとの間のデータ通信については、主として、手術用具302とマスタコントローラ202(
図2)との間の通信に関連して説明するが、理解されたいこととして、同様の通信が、マニピュレータ、組立ジョイント、内視鏡又は他の画像捕捉装置などの回路と、構成要素の互換性検証、構成要素の種別の確認、構成要素較正(オフセットなど)の通信、ロボット手術システムへの構成要素の結合の確認などのためのロボット手術システムのプロセッサとの間に起こり得る。
【0019】
ロボットシステム200において使用され得る更なる手術器具については、本発明の譲受人に譲渡された以下の米国特許出願、すなわち、(1)2012年2月9日出願の米国特許出願第13/369,561号、名称「ロボットシステムで使用するための自動エンドエフェクタ構成要素取換えシステム(AUTOMATED END EFFECTOR COMPONENT RELOADING SYSTEM FOR USE WITH A ROBOTIC SYSTEM)」、(2)2012年2月9日出願の米国特許出願第13/369,569号、名称「力フィードバック機能を備えたロボット制御式の手術器具(ROBOTICALLY-CONTROLLED SURGICAL INSTRUMENT WITH FORCE-FEEDBACK CAPABILITIES)」、(3)2012年2月9日出願の米国特許出願第13/369578号、名称「ロボット制御式の手術用具のためのシフト式駆動インターフェース(SHIFTABLE DRIVE INTERFACE FOR ROBOTICALLY-CONTROLLED SURGICAL TOOL)」、(4)2012年2月9日出願の米国特許出願第13/369,584号、名称「カム駆動式ステープル配備装置を備えた手術用ステープリング器具(SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH CAM-DRIVEN STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS)」、(5)2012年2月9日出願の米国特許出願第13/369,588号、名称「可変作動速度を有する回転作動式閉鎖システムを備えたロボット制御式電動手術用エンドエフェクタシステム(ROBOTICALLY-CONTROLLED MOTORIZED SURGICAL END EFFECTOR SYSTEM WITH ROTARY ACTUATED CLOSURE SYSTEMS HAVING VARIABLE ACTUATION SPEEDS)」、(6)2012年2月9日出願の米国特許出願第13/369,594号、名称「選択的に関節運動可能なエンドエフェクタを備えたロボット制御式手術器具(ROBOTICALLY-CONTROLLED SURGICAL INSTRUMENT WITH SELECTIVELY ARTICULATABLE END EFFECTOR)」、(7)2012年2月9日出願の米国特許出願第13/369,601号、名称「ロボット制御式手術用エンドエフェクタシステム(ROBOTICALLY-CONTROLLED SURGICAL END EFFECTOR SYSTEM)」、(8)2012年2月9日出願の米国特許出願第13/369,609号、名称「操作可能な手術用具をロボットに動作可能に結合するための駆動インターフェース(DRIVE INTERFACE FOR OPERATIVELY COUPLING A MANIPULATABLE SURGICAL TOOL TO A ROBOT)」、(9)2012年2月9日出願の米国特許出願第13/369,629号、名称「ロボット制御式のケーブル型手術用エンドエフェクタ(ROBOTICALLY-CONTROLLED CABLE-BASED SURGICAL END EFFECTORS)」、(10)2012年2月9日出願の米国特許出願第13/369,666号、名称「回転作動式閉鎖システムを備えたロボット制御式手術用エンドエフェクタシステム(ROBOTICALLY-CONTROLLED SURGICAL END EFFECTOR SYSTEM WITH ROTARY ACTUATED CLOSURE SYSTEMS)」に記載されており、各々の開示内容は参照によってそのすべてが本明細書に組み込まれる。
【0020】
図6〜12は、用具駆動組立体を有するロボットシステム200(
図2)と共に使用するように適合された手術用具600の一実施形態を示しており、用具駆動組立体は、操作者(すなわち外科医)からの入力によって動作可能なマスタコントローラ202(
図2)に動作可能に結合されている。
図6に示すように、一実施形態において、手術用具600は、可動ジョー部材を有する医療用鉗子を備えた手術用エンドエフェクタ602(例えばクランプジョー602)と、ロボットシステム200によって制御される細長シャフト組立体608内に配置された内部シースに結合された切断ブレードとを備える。可動ジョー部材は、上部ジョー604と下部ジョー606とを備える。切断要素(例えば、ブレード、ナイフ)をその中にスライド可能に受容するための中心スロット628が設けられている。一実施形態において、切断要素は、そのすべての開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる、2011年9月19日出願の米国特許出願第13/235,660号(「出願第660号」)、名称「外科用装置を関節運動させるための関節接合特徴(Articulation Joint Features For Articulating Surgical Device)」に開示されているような「I形梁(I-beam)」のように付形される。また発射梁を有するエンドエフェクタ及びその動作の様々な例が、参照によって本明細書に組み込まれる出願第660号に記載されている。一実施形態において、手術用具600は細長シャフト組立体608を備え、細長シャフト組立体608は、細長チューブ部分610と、遠位関節区間612とを有する。手術用具600は、用具装着部分614によってマニピュレータ308(
図3〜5)に作動的に結合される。手術用具600は更にインターフェース616を備え、インターフェース616は用具装着部分614をマニピュレータ308に機械的にかつ電気的に結合するものである。
【0021】
様々な実施形態において、用具装着部分614は、用具装着ハウジング626と用具装着プレート618とを備え、用具装着プレート618は、複数の回転本体部分、従動ディスク又は要素620(4枚が
図8に示されている)を作動的に支持するものであり、従動ディスク又は要素620はそれぞれ、従動要素620の表面から延びる1対のピン622を有する。あるピン622は、同じ従動要素620上の他のピン622よりも、各従動要素620の回転軸に近く、このことは、従動要素620の角度アライメントが確実となるようにするのに役立つ。インターフェース616は、以下で更に議論するように、装着プレート618に装着によって係合するように構成されたアダプタ部分を備える。一実施形態において、アダプタ部分は電気接続ピンの配列を有してもよく、その電気接続ピンは、用具装着部分614内で回路基板によって記憶構造に結合され得る。インターフェース616については、機械的、電気的、及び磁気的結合要素に関連して説明するが、赤外線、誘導結合などを含め、多種多様な遠隔測定の様式が用いられ得ることを理解されたい。手術用具600を発電機に電気的に結合するために、電気ケーブル624及びストレインリリーフ654が設けられ、発電機は、超音波エネルギー源であっても、高周波RFエネルギー源であっても、それらの組合わせであってもよい。いくつかの実施形態において、その開示内容がすべて参照によって本明細書に組み込まれる、本発明の譲受人に譲渡された2011年10月24日出願の米国仮特許出願第61/550,768号、名称「医療器具(MEDICAL INSTRUMENT)」(「出願第768号」)に開示されているような発電機及びエネルギー源が手術用具600に電気的に結合され得る。
【0022】
一実施形態において、手術用具600は、いくつかの特徴の中でも特に、双極性のRFエネルギー、血管及び組織へのアクセスを良好にするための細長シャフトの関節運動、血管の封止、低熱膨張性(low thermal spreading)、止血性を改善するための一様な圧縮性をもたらす。
図13〜24を参照して更に詳細に説明するように、手術用具600は、いくつかある運動の中でも特に、シャフト組立体608の関節区間612、エンドエフェクタ602の上部ジョー604の部分、切断要素の独立した運動と、シャフト組立体608の回転が得られるようにギヤ機構を設けている。一実施形態において、用具装着ハウジング626はまた、手術用具600を識別するために、電子要素を備えた電子回路基板を備えてもよい。一実施形態において、用具装着ハウジング626はまた、例えば、血管などの組織を焼灼する、凝固/乾燥させる、及び/又は単純にその組織の出血を減らすか若しくは遅くするのに十分なエネルギーを発生させるために、
図89及び90に示すように、内部電池を備えてもよい。そのような電池給電型回路が、参照によって本明細書に組み込まれる出願第768号に記載されている。
【0023】
開示を明確にするために、
図13及び14において、手術用具600は、用具装着ハウジング626を取り外して示されている。開示を更に明確にするために、
図17、18、及び21〜24において、手術用具600は、用具装着ハウジング626と用具装着プレート618を取り外して示されている。用具装着ハウジング626と用具装着プレート618の詳細図がそれぞれ、
図15、16及び19、20に示されている。
【0024】
ここで手術用具600について、
図6〜24を参照して説明することにする。したがって、一実施形態において、手術用具600は、シャフト組立体608を用具装着部分614に結合するための結合具630を備える。上部シャフトホルダ632及び下部シャフトホルダ634が、シャフト組立体608を用具装着ハウジング626に回転可能に結合する。
【0025】
一実施形態において、手術用具600の用具装着部分614は、シャフト組立体608の関節機構と、シャフト組立体608の回転機構と、クランプジョー602の開閉機構と、ナイフ作動機構とを備える。一実施形態において、回転胴部621(例えば回転スプール)が従動要素620に結合される。回転胴部621は、従動要素620と一体に形成されてもよい。いくつかの実施形態において、回転胴部621は、従動要素620を駆動することで回転胴部621の回転が生じるように回転胴部621と従動要素620が固定式に結合されるのであれば、従動要素620とは別に形成され得る。回転胴部621の各々は、シャフトの関節運動及び回転、クランプジョーの開閉、並びにナイフの作動をもたらすように、ギヤトレーン又はギヤ機構に結合される。
【0026】
一実施形態において、手術用具600の用具装着部分614は、シャフト組立体608の関節機構を備える。図示の実施形態において、例えば、手術用具600は、シャフトの関節機能をもたらすために、ラックピニオンギヤ機構を備えている。一実施形態において、ラックピニオンギヤ機構は、対応する従動要素620の回転によって第1のピニオンギヤ636が回転されるように回転胴部621に結合された第1のピニオンギヤ636を備える。軸受け660(
図17)が回転胴部621に結合され、従動要素620と第1のピニオンギヤ636との間に設けられる。第1のピニオンギヤ636は、シャフト組立体608の関節区間612の関節運動を左方向658L(
図99も参照)に制御するために、第1のラックギヤ650に噛み合わされて第1のピニオンギヤ636の回転運動を第1のラックギヤ650の直線運動に変換する。第1のラックギヤ650は、第1のラックギヤ650が遠位方向に直線運動することによってシャフト組立体608の関節区間612が左方向658に関節運動されるように、第1の関節バンド651(
図9、13、21、22、及び102、103、106、107)に取り付けられている。対応する従動要素620の回転によって第2のピニオンギヤ638が回転するように、第2のピニオンギヤ638は別の回転胴部621に結合される。軸受け660が回転胴部621に結合され、従動要素620と第2のピニオンギヤ638との間に設けられる。第2のピニオンギヤ638は、関節区間612の関節運動を右方向658Rに制御するために、第2のラックギヤ652に噛み合わされて第2のピニオンギヤ638の回転運動を第2のラックギヤ652の直線運動に変換する。第2のラックギヤ652は、第2のラックギヤ652が遠位方向に直線運動することによってシャフト組立体608の関節区間612が右方向658Rに関節運動されるように、第2の関節バンド653(
図10、14、21、22、106、107)に取り付けられている。更なる軸受けが回転胴部とそれに対応するギヤとの間に設けられてもよい。例えば、装着を支持及び安定化し、シャフトとギヤの回転摩擦を低減するために、任意の好適な軸受けが設けられてよい。
【0027】
一実施形態において、手術用具600の用具装着部分614は、シャフト組立体608の回転機構を備える。図示の実施形態において、例えば、手術用具600は、回転胴部621に結合された第1の螺旋状ウォームギヤ644と、シャフト組立体608に結合された第2の螺旋状ウォームギヤ646とを備えている。軸受け660(
図17)が回転胴部621に結合され、従動要素620と第1の螺旋状ウォームギヤ644との間に設けられる。第1の螺旋状ウォームギヤ644は、シャフト組立体608に結合された第2の螺旋状ウォームギヤ646に噛み合わされて、第1及び第2の螺旋状ウォームギヤ644、646の回転方向に基づいて時計回り(CW)及び反時計回り(CCW)におけるシャフト組立体608の回転を制御するようになっている。したがって、第1の軸を中心とした第1の螺旋状ウォームギヤ644の回転が、第1の軸に対して直角をなす第2の軸を中心とした第2の螺旋状ウォームギヤ646の回転に変換される。
図13及び14に示すように、例えば、第2の螺旋状ウォームギヤ646が時計回りに回転すると、結果として、シャフト組立体608が662CWで示す方向に時計回りに回転することになる。第2の螺旋状ウォームギヤ646が反時計回りに回転すると、結果として、シャフト組立体608が662CCWで示す方向に反時計回りに回転することになる。更なる軸受けが回転胴部とそれに対応するギヤとの間に設けられてもよい。例えば、装着を支持及び安定化し、シャフトとギヤの回転摩擦を低減するために、任意の好適な軸受けが設けられてよい。
【0028】
一実施形態において、手術用具600の用具装着部分614は、クランプジョー602の開閉機構とナイフ作動機構とを備える。図示の実施形態において、例えば、手術用具600は、クランプジョー602の開閉機能とナイフの作動機能をもたらすために、ラックピニオンギヤ機構を備えている。図示の実施形態において、第1のギヤ640が回転胴部621に結合されており、対応する従動要素620が回転することによって第1のギヤ640が第1の方向に回転されるようになっている。第2のギヤ642が、用具装着プレート618に形成されたポスト656を中心として自在に回転する。第1のギヤ640は第2のギヤ642に噛み合わされており、そのため、第2のギヤ642が、第1のギヤ640とは反対の方向に回転するようになっている。一実施形態において、第1及び第2のギヤ640、642を備えるギヤ機構が、クランプジョー602の上部ジョー804の開閉、及びクランプジョー602に形成されたスロット628を通じた「I形梁」形状の切断要素の移動を制御するように構成される。一実施形態において、第2のギヤ642は、直線方向に移動するラックギヤ649に噛み合わされるピニオンギヤである。ラックギヤ649は、閉開ブロック648に結合されており、閉開ブロック648はシャフト組立体608の遠位部分に結合されている。ラックギヤ649が遠位方向に移動するとき、「I形梁」形状の切断要素が前進し、クランプジョー602の上部ジョー604を閉鎖する。ラックギヤ649が近位方向に移動するとき、「I形梁」形状の切断要素が後退して、クランプジョー602の上部ジョー604を開放させる。「I形梁」形状の切断要素の一実施形態については、参照によって本明細書に組み込まれる出願第660号に示されている。
【0029】
図25〜31は、用具駆動組立体を有するロボットシステム200(
図2)と共に使用するように適合された手術用具700の一実施形態を示しており、用具駆動組立体は、操作者(すなわち外科医)からの入力によって動作可能なマスタコントローラ202(
図2)に作動的に結合されている。
図25に示すように、手術用具700は、可動ジョー部材を有する医療用鉗子を備えた手術用エンドエフェクタ702(例えばクランプジョー702)と、ロボットシステム200によって制御される細長シャフト組立体708内に配置された内部シースに結合された切断ブレードとを備える。可動ジョー部材は、上部ジョー704と下部ジョー706とを備える。切断要素(例えば、ブレード、ナイフ)をその中にスライド可能に受容するための中心スロット728が設けられている。一実施形態において、切断要素は、出願第660号に開示されているように、「I形梁」のように付形される。一実施形態において、手術用具700は細長シャフト組立体708を備え、細長シャフト組立体708は、細長チューブ部分710と、遠位関節区間712とを有する。手術用具700は、用具装着部分714によってマニピュレータ308(
図3〜5)に作動的に結合される。手術用具700は更にインターフェース716を備え、インターフェース716は用具装着部分714をマニピュレータ308に機械的にかつ電気的に結合するものである。
【0030】
様々な実施形態において、用具装着部分714は、用具装着ハウジング726と用具装着プレート718とを備え、用具装着プレート718は、複数の回転本体部分、従動ディスク又は要素720(4枚が
図27に示されている)を作動的に支持するものであり、従動ディスク又は要素720はそれぞれ、従動要素720の表面から延びる1対のピン722(
図27)を有する。あるピン722は、同じ従動要素720上の他のピン722よりも、各従動要素720の回転軸に近く、このことは、従動要素720の角度アライメントが確実となるようにするのに役立つ。インターフェース716は、以下で更に議論するように、装着プレート718に装着によって係合するように構成されたアダプタ部分を備える。一実施形態において、アダプタ部分は電気接続ピンの配列を有してもよく、その電気接続ピンは、用具装着部分714内で回路基板によって記憶構造に結合され得る。インターフェース716については、機械的、電気的、及び磁気的結合要素に関連して説明するが、赤外線、誘導結合などを含め、多種多様な遠隔測定の様式が用いられ得ることを理解されたい。手術用具700を発電機に電気的に結合するために、電気ケーブル724及びストレインリリーフ754が設けられ、発電機は、超音波エネルギー源であっても、RFエネルギー源であっても、それらの組合わせであってもよい。いくつかの実施形態において、出願第768号に開示されているような発電機及びエネルギー源が、手術用具700に電気的に結合され得る。
【0031】
一実施形態において、手術用具700は、いくつかの特徴の中でも特に、双極性のRFエネルギー、血管及び組織へのアクセスを良好にするための細長シャフトの関節運動、血管の封止、低熱膨張性(low thermal spreading)、止血性を改善するための一様な圧縮性をもたらす。
図32〜43を参照して更に詳細に説明するように、手術用具700は、いくつかある運動の中でも特に、シャフト組立体708の関節区間712、エンドエフェクタ702の上部ジョー704の部分、切断要素の独立した運動と、シャフト組立体708の回転が得られるようにギヤ機構を設けている。一実施形態において、用具装着ハウジング726はまた、手術用具700を識別するために、電子要素を備えた電子回路基板を備えてもよい。一実施形態において、用具装着ハウジング726はまた、例えば、血管などの組織を焼灼する、凝固/乾燥させる、及び/又は単純にその組織の出血を減らすか若しくは遅くするのに十分なエネルギーを発生させるために、
図89及び90に示すように、内部電池を備えてもよい。そのような電池給電型回路が出願第768号に記載されている。
【0032】
開示を明確にするために、
図32及び33において、手術用具700は、用具装着ハウジング726を取り外して示されている。開示を更に明確にするために、
図36、37、及び40〜43において、手術用具700は、用具装着ハウジング726と用具装着プレート718を取り外して示されている。用具装着ハウジング726と用具装着プレート718の詳細図がそれぞれ、
図34、35及び38、39に示されている。
【0033】
ここで手術用具700について、
図25〜43を参照して説明することにする。したがって、一実施形態において、手術用具700は、シャフト組立体708を用具装着部分714に結合するための結合具730を備える。上部シャフトホルダ632(
図13、14)と類似した上部シャフトホルダと、下部シャフトホルダ634(
図13、14)と類似した下部シャフトホルダが、シャフト組立体708を用具装着ハウジング726に回転可能に結合する。
【0034】
一実施形態において、手術用具700の用具装着部分714は、シャフト組立体708の関節機構と、シャフト組立体708の回転機構と、クランプジョー702の開閉機構と、ナイフ作動機構とを備える。一実施形態において、回転胴部721(例えば回転スプール)が従動要素720に結合される。回転胴部721は、従動要素720と一体に形成されてもよい。いくつかの実施形態において、回転胴部721は、従動要素720を駆動することによって回転胴部721の回転が生じるように回転胴部721と従動要素720が固定式に結合されるのであれば、従動要素720とは別に形成され得る。回転胴部721の各々は、シャフトの関節運動及び回転、クランプジョーの開閉、並びにナイフの作動をもたらすように、歯車列又は歯車機構に結合される。
【0035】
一実施形態において、手術用具700の用具装着部分714は、シャフト組立体708の関節機構を備える。図示の実施形態において、例えば、手術用具700は、シャフトの関節機能をもたらすために、ラックピニオン機構を備えている。一実施形態において、ラックピニオンギヤ機構は、対応する従動要素721の回転によって第1のピニオンギヤ736が回転されるように回転胴部721に結合された第1のピニオンギヤ736を備える。軸受け760(
図36)が回転胴部721に結合され、従動要素720と第1のピニオンギヤ736との間に設けられる。第1のピニオンギヤ736は、シャフト組立体708の関節区間712の関節運動を左方向758Lに制御するために、第1のラックギヤ750に噛み合わされて第1のピニオンギヤ736の回転運動を第1のラックギヤ750の直線運動に変換する。第1のラックギヤ750は、第1のラックギヤ750が遠位方向に直線運動することによってシャフト組立体708の関節区間712が左方向758Lに関節運動されるように、第1の関節バンド751に取り付けられている。対応する従動要素721の回転によって第2のピニオンギヤ738が回転されるように、第2のピニオンギヤ738は別の回転胴部720に結合される。軸受け760が回転胴部721に結合され、従動要素720と第2のピニオンギヤ738との間に設けられる。第2のピニオンギヤ738は、シャフト組立体708の関節区間712の関節運動を右方向758Rに制御するために、第2のラックギヤ752に噛み合わされて第2のピニオンギヤ738の回転運動を第2のラックギヤ752の直線運動に変換する。第2のラックギヤ752は、第2のラックギヤ752が遠位方向に直線運動することによってシャフト組立体708の関節区間712が右方向758Rに関節運動されるように、第2の関節バンド753に取り付けられている。更なる軸受けが回転胴部とそれに対応するギヤとの間に設けられてもよい。例えば、装着を支持及び安定化し、シャフトとギヤの回転摩擦を低減するために、任意の好適な軸受けが設けられてよい。
【0036】
一実施形態において、手術用具700の用具装着部分714は、シャフト組立体708の回転機構を備える。図示の実施形態において、例えば、手術用具700は、第2の螺旋状ウォームギヤ764に結合された第1の螺旋状ウォームギヤ766を備え、第2の螺旋状ウォームギヤ764は第3の螺旋状ウォームギヤ744に結合されている。既存のロボットシステム200との互換性を維持すること及び/又は空間が限定され得る場所を含め、様々な理由により、そのような配列が設けられている。第1の螺旋状ウォームギヤ766は回転胴部721に結合されている。第3の螺旋状ウォームギヤ744は、シャフト組立体708に結合された第4の螺旋状ウォームギヤ746に噛み合わされている。軸受け760(
図37)が回転胴部721に結合され、従動要素720と第1の螺旋状ウォームギヤ738との間に設けられる。別の軸受け760が回転胴部721に結合され、従動要素720と第1の螺旋状ウォームギヤ766との間に設けられる。第3の螺旋状ウォームギヤ766は、シャフト組立体708に結合された第4の螺旋状ウォームギヤ746に噛み合わされて、シャフト組立体708の回転を螺旋状ウォームギヤ744、746の回転方向に基づいてCW及びCCW方向に制御するようになっている。したがって、第1の軸を中心とした第3の螺旋状ウォームギヤ744の回転が、第1の軸に対して直角をなす第2の軸を中心とした第4の螺旋状ウォームギヤ746の回転に変換される。
図32、33に示すように、例えば、第4の螺旋状ウォームギヤ746が時計回りに回転すると、結果として、シャフト組立体708が762CWで示す方向に時計回りに回転することになる。第4の螺旋状ウォームギヤ746が反時計回りに回転すると、結果として、シャフト組立体708が762CCWで示す方向に反時計回りに回転することになる。更なる軸受けが回転胴部とそれに対応するギヤとの間に設けられてもよい。例えば、装着を支持及び安定化し、シャフトとギヤの回転摩擦を低減するために、任意の好適な軸受けが設けられてよい。
【0037】
一実施形態において、手術用具700の用具装着部分714は、クランプジョー702の開閉機構とナイフ作動機構とを備える。図示の実施形態において、例えば、手術用具700は、クランプジョー702の開閉機能とナイフの作動機能をもたらすために、ラックピニオンギヤ機構を備えている。一実施形態において、第3のギヤ740が回転胴部721に結合されており、対応する従動要素720が回転することによって第3のピニオンギヤ740が第1の方向に回転されるようになっている。第3のピニオンギヤ740は、直線方向に移動するラックギヤ749に噛み合わされる。ラックギヤ749は、閉開ブロック748に結合されており、閉開ブロック748はシャフト組立体708の遠位部分に結合されている。一実施形態において、ピニオンギヤ740を備えるギヤ機構が、クランプジョー702の開閉、及びクランプジョー702に形成されたスロット728を通じた「I形梁」形状の切断要素の移動を制御するように構成される。ラックギヤ749が遠位方向に移動するとき、「I形梁」形状の切断要素が前進し、クランプジョー702の上部ジョー704を閉鎖する。ラックギヤ749が近位方向に移動するとき、「I形梁」形状の切断要素が後退し、クランプジョー702の上部ジョー704を開放させる。「I形梁」形状の切断要素の一実施形態の説明が、参照によって本明細書に組み込まれる出願第660号に示されている。
【0038】
図44〜50は、用具駆動組立体を有するロボットシステム200(
図2)と共に使用するように適合された手術用具800の一実施形態を示しており、用具駆動組立体は、操作者(すなわち外科医)からの入力によって作動可能なマスタコントローラ202(
図2)に作動的に結合されている。
図44に示すように、手術用具800は、可動ジョー部材を有する医療用鉗子を備えた手術用エンドエフェクタ802(例えばクランプジョー802)と、ロボットシステム200によって制御される細長シャフト組立体808内に配置された内部シースに結合された切断ブレードとを備える。可動ジョー部材は、上部ジョー804と下部ジョー806とを備える。切断要素(例えば、ブレード、ナイフ)をその中にスライド可能に受容するための中心スロット828が設けられている。一実施形態において、切断要素は、出願第660号に開示されているように、「I形梁」のように付形される。一実施形態において、手術用具800は細長シャフト組立体808を備え、細長シャフト組立体808は、細長チューブ部分810と、遠位関節区間812とを有する。手術用具800は、用具装着部分814によってマニピュレータ308(
図3〜5)に作動的に結合される。手術用具800は更にインターフェース816を備え、インターフェース816は用具装着部分814をマニピュレータ308に機械的にかつ電気的に結合するものである。
【0039】
様々な実施形態において、用具装着部分814は、用具装着ハウジング826と用具装着プレート818とを備え、用具装着プレート818は、複数の回転本体部分、従動ディスク又は要素820(4枚が
図46に示されている)を作動的に支持するものであり、従動ディスク又は要素820はそれぞれ、従動要素820の表面から延びる1対のピン822(
図46)を有する。あるピン822は、同じ従動要素820上の他のピン822よりも、各従動要素820の回転軸に近く、このことは、従動要素820の角度アライメントが確実となるようにするのに役立つ。インターフェース816は、以下で更に議論するように、装着プレート818に装着によって係合するように構成されたアダプタ部分を備える。一実施形態において、アダプタ部分は電気接続ピンの配列を有してもよく、その電気接続ピンは、用具装着部分814内で回路基板によって記憶構造に結合され得る。インターフェース816については、機械的、電気的、及び磁気的結合要素に関連して説明するが、赤外線、誘導結合などを含め、多種多様な遠隔測定の様式が用いられ得ることを理解されたい。手術用具800を発電機に電気的に結合するために、電気ケーブル824及びストレインリリーフ854が設けられ、発電機は、超音波エネルギー源であっても、RFエネルギー源であっても、それらの組合わせであってもよい。いくつかの実施形態において、出願第768号に開示されているような発電機及びエネルギー源が、手術用具800に電気的に結合され得る。
【0040】
一実施形態において、手術用具800は、いくつかの特徴の中でも特に、双極性のRFエネルギー、血管及び組織へのアクセスを良好にするための細長シャフトの関節運動、血管の封止、低熱膨張性(low thermal spreading)、止血性を改善するための一様な圧縮性をもたらす。
図51〜62を参照して更に詳細に説明するように、手術用具800は、いくつかある運動の中でも特に、シャフト組立体812の関節区間812、エンドエフェクタ802の上部ジョー804の部分、切断要素の独立した運動と、シャフト組立体808の回転が得られるようにギヤ機構を設けている。一実施形態において、用具装着ハウジング826はまた、手術用具800を識別するために、電子要素を備えた電子回路基板を備えてもよい。一実施形態において、用具装着ハウジング826はまた、例えば、血管などの組織を焼灼する、凝固/乾燥させる、及び/又は単純にその組織の出血を減らすか若しくは遅くするのに十分なエネルギーを発生させるために、
図89及び90に示すように、内部電池を備えてもよい。そのような電池給電型回路が出願第768号に記載されている。
【0041】
開示を明確にするために、
図51及び52において、手術用具800は、用具装着ハウジング826を取り外して示されている。開示を更に明確にするために、
図55、56、及び59〜62において、手術用具800は、用具装着ハウジング826と用具装着プレート818を取り外して示されている。用具装着ハウジング826と用具装着プレート818の詳細図がそれぞれ、
図53、54及び57、58に示されている。
【0042】
ここで手術用具800について、
図44〜62を参照して説明することにする。したがって、一実施形態において、手術用具800は、シャフト組立体808を用具装着部分814に結合するための結合具830を備える。結合具830とブッシュ831がシャフト組立体808を用具装着ハウジング826に回転可能に結合する。
【0043】
一実施形態において、手術用具800の用具装着部分814は、シャフト組立体808の関節機構と、シャフト組立体808の回転機構と、クランプジョー802の開閉機構と、ナイフ作動機構とを備える。一実施形態において、回転胴部821(例えば回転スプール)が従動要素820に結合される。回転胴部821は、従動要素820と一体に形成されてもよい。いくつかの実施形態において、回転胴部821は、従動要素820を駆動することによって回転胴部821の回転が生じるように回転胴部821と従動要素820が固定式に結合されるのであれば、従動要素820とは別に形成され得る。回転胴部821の各々は、シャフトの関節運動及び回転、クランプジョーの開閉、並びにナイフの作動をもたらすように、歯車列又は歯車機構に結合される。
【0044】
一実施形態において、手術用具800の用具装着部分814は、シャフト組立体808の関節機構を備える。図示の実施形態において、例えば、手術用具800は、シャフトの関節運動機能をもたらすために、ラックピニオンギヤ機構を備えている。一実施形態において、ラックピニオンギヤ機構は、対応する従動要素820の回転によって第1のピニオンギヤ836が回転されるように回転胴部821に結合された第1のピニオンギヤ836を備える。第1のピニオンギヤ836は、シャフト組立体808の関節区間812の関節運動を左方向858Lに制御するために、第1のラックギヤ850に噛み合わされて第1のピニオンギヤ836の回転運動を第1のラックギヤ850の直線運動に変換する。第1のラックギヤ850は、第1のラックギヤ850が遠位方向に直線運動することによってシャフト組立体808の関節区間812を左方向858Lに関節運動させるように、第1の関節バンド851に取り付けられている。対応する従動要素820の回転によって第2のピニオンギヤ838が回転するように、第2のピニオンギヤ838は別の回転胴部821に結合される。第2のピニオンギヤ838は、シャフト組立体808の関節区間812の関節運動を右方向858Rに制御するために、第2のラックギヤ852に噛み合わされて第2のピニオンギヤ838の回転運動を第2のラックギヤ852の直線運動に変換する。第2のラックギヤ852は、第2のラックギヤ852が遠位方向に直線運動することによってシャフト組立体808の関節区間812を右方向858Rに関節運動させるように、第2の関節バンド853に取り付けられている。
【0045】
一実施形態において、手術用具800の用具装着部分814は、シャフト組立体808の回転機構を備える。図示の実施形態において、例えば、手術用具800は、回転胴部821に結合された第1のギヤ844と、第1及び第2の開口部870を備える固定ポスト868と、シャフト組立体に結合された第1及び第2の回転ピン874と、ケーブル872(又はロープ)とを備える。ケーブルは回転胴部821に巻き付けられる。ケーブル872の一方の端部は、固定ポスト868の上部開口部870を貫いて配置され、上部回転ピン874に固定式に結合されている。ケーブル872のもう一方の端部は、固定ポスト868の下部開口部870を貫いて配置され、下部回転ピン874に固定式に結合されている。既存のロボットシステム200との互換性を維持すること及び/又は空間が限定され得る場所を含め、様々な理由により、そのような配列が設けられている。したがって、回転胴部821が回転することによってシャフト組立体808が回転されて、シャフト組立体808の回転が回転胴部821の回転方向に基づいてCW及びCCW方向に制御される。したがって、第1の軸を中心とした回転胴部821の回転が、第1の軸に対して直角をなす第2の軸を中心としたシャフト組立体808の回転に変換される。
図51、52に示すように、例えば、回転胴部821が時計回りに回転すると、結果として、シャフト組立体808が862CWで示す方向に時計回りに回転することになる。回転胴部821が反時計回りに回転すると、結果として、シャフト組立体808が862CCWで示す方向に反時計回りに回転することになる。更なる軸受けが回転胴部とそれに対応するギヤとの間に設けられてもよい。例えば、装着を支持及び安定化し、シャフトとギヤの回転摩擦を低減するために、任意の好適な軸受けが設けられてよい。
【0046】
一実施形態において、手術用具800の用具装着部分814は、クランプジョー802の開閉機構とナイフ作動機構とを備える。図示の実施形態において、例えば、手術用具800は、クランプジョー802の開閉機能とナイフの作動機能をもたらすために、ラックピニオン機構を備えている。一実施形態において、第3のピニオンギヤ840である。第3のピニオンギヤ840は回転胴部821に結合されており、対応する従動要素820が回転することによって第3のピニオンギヤ840が第1の方向に回転されるようになっている。第3のピニオンギヤ840は、直線方向に移動するラックギヤ849に噛み合わされる。ラックギヤ849は、閉開ブロック848に結合されており、閉開ブロック848はシャフト組立体808の遠位部分に結合されている。一実施形態において、ピニオンギヤ840を備えるギヤ機構が、クランプジョー802の上部ジョー804の開閉、及びクランプジョー802に形成されたスロット828を通じた「I形梁」形状の切断要素の移動を制御するように構成される。ラックギヤ849が遠位方向に移動するとき、「I形梁」形状の切断要素が前進し、クランプジョー802の上部ジョー804を閉鎖する。ラックギヤ849が近位方向に移動するとき、「I形梁」形状の切断要素が後退し、クランプジョー802の上部ジョー804を開放させる。「I形梁」形状の切断要素の一実施形態の説明が、参照によって本明細書に組み込まれる出願第660号に示されている。
【0047】
図63〜68は、用具駆動組立体を有するロボットシステム200(
図2)と共に使用するように適合された手術用具900の一実施形態を示しており、用具駆動組立体は、操作者(すなわち外科医)からの入力によって動作可能なマスタコントローラ202(
図2)に作動的に結合されている。
図63に示すように、手術用具900は、可動ジョー部材を有する医療用鉗子を備えた手術用エンドエフェクタ902(例えばクランプジョー902)と、ロボットシステム200によって制御される細長シャフト組立体908内に配置された内部シースに結合された切断ブレードとを備える。可動ジョー部材は、上部ジョー904と下部ジョー906とを備える。切断要素(例えば、ブレード、ナイフ)をその中にスライド可能に受容するための中心スロット928が設けられている。一実施形態において、切断要素は、出願第660号に開示されているように、「I形梁」のように付形される。一実施形態において、手術用具900は細長シャフト組立体908を備え、細長シャフト組立体908は、細長チューブ部分910と、遠位関節区間912とを有する。手術用具900は、用具装着部分914によってマニピュレータ308(
図3〜5)に作動的に結合される。手術用具900は更にインターフェース916を備え、インターフェース916は用具装着部分914をマニピュレータ308に機械的にかつ電気的に結合するものである。
【0048】
様々な実施形態において、用具装着部分914は、用具装着ハウジング926と用具装着プレート918とを備え、用具装着プレート918は、複数の回転胴部、従動ディスク又は要素920、及び固定ディスク又は要素990を作動的に支持するものである(3枚の従動要素と1枚の固定要素が
図65に示されている)。従動要素920はそれぞれ、従動要素920の表面から延びる1対のピン922(
図65)を有する。あるピン922は、同じ従動要素920上の他のピン922よりも、各従動要素920の回転軸に近く、このことは、従動要素920の角度アライメントが確実となるようにするのに役立つ。固定要素990が2本のピン992を有する。インターフェース916は、以下で更に議論するように、装着プレート918に装着によって係合するように構成されたアダプタ部分を備える。一実施形態において、アダプタ部分は電気接続ピンの配列を有してもよく、その電気接続ピンは、用具装着部分914内で回路基板によって記憶構造に結合され得る。インターフェース916については、機械的、電気的、及び磁気的結合要素に関連して説明するが、赤外線、誘導結合などを含め、多種多様な遠隔測定の様式が用いられ得ることを理解されたい。手術用具800を発電機に電気的に結合するために、電気ケーブル924及びストレインリリーフ954が設けられ、発電機は、超音波エネルギー源であっても、RFエネルギー源であっても、それらの組合わせであってもよい。いくつかの実施形態において、出願第768号に開示されているような発電機及びエネルギー源が、手術用具900に電気的に結合され得る。用具装着ハウジング926の背面から出る電力ケーブル924は、手術中に電源(制御モジュール)に接続され得る。
図91に示すように、フィードバック制御をもたらすために、電子回路基板1102が用具装着部分914又はインターフェース916内に装着され得る。
【0049】
一実施形態において、手術用具900は、いくつかの特徴の中でも特に、双極性のRFエネルギー、血管及び組織へのアクセスを良好にするための細長シャフトの関節運動、血管の封止、低熱膨張性(low thermal spreading)、止血性を改善するための一様な圧縮性をもたらす。
図70〜88を参照して更に詳細に説明するように、手術用具900は、いくつかある運動の中でも特に、シャフト組立体908の関節区間912、エンドエフェクタ902の上部ジョー904の部分、切断要素の独立した運動と、シャフト組立体908の回転が得られるようにギヤ機構を設けている。一実施形態において、用具装着ハウジング926はまた、手術用具900を識別するために、電子要素を備えた電子回路基板を備えてもよい。一実施形態において、用具装着ハウジング926はまた、例えば、血管などの組織を焼灼する、凝固/乾燥させる、及び/又は単純にその組織の出血を減らすか若しくは遅くするのに十分なエネルギーを発生させるために、
図91に示すように、内部電池を備えてもよい。そのような電池給電型回路が出願第768号に記載されている。
【0050】
開示を明確にするために、
図70及び71において、手術用具900は、用具装着ハウジング926を取り外して示されている。開示を更に明確にするために、
図74、75、及び78〜81において、手術用具900は、用具装着ハウジング926と用具装着プレート918を取り外して示されている。用具装着ハウジング926と用具装着プレート918の詳細図がそれぞれ、
図72、73及び76、77に示されている。
【0051】
ここで手術用具900について、
図63〜88を参照して説明することにする。それによれば、一実施形態において、手術用具900は、シャフト組立体908を用具装着部分914に結合するための結合具930を備える。結合具930とブッシュ931がシャフト組立体908を用具装着ハウジング926に回転可能に結合する。
【0052】
一実施形態において、手術用具900の用具装着部分914は、シャフト組立体908の関節機構と、シャフト組立体908の回転機構と、クランプジョー902の開閉機構と、ナイフ作動機構とを備える。一実施形態において、回転胴部921(例えば回転スプール)が従動要素920に結合される。回転胴部921は、従動要素920と一体に形成されてもよい。いくつかの実施形態において、回転胴部921は、従動要素920を駆動することによって回転胴部921の回転が生じるように回転胴部921と従動要素920が固定式に結合されるのであれば、従動要素921とは別に形成され得る。一実施形態において、回転胴部921のうちのいくつかは、シャフトの関節運動をもたらすためにダブルカム機構に結合され、他の回転胴部は、シャフトの回転及びクランプジョーの開閉及びナイフの作動をもたらすためにギヤトレーン又はギヤ機構に結合され得る。
【0053】
一実施形態において、手術用具900の用具装着部分914は、シャフト組立体908の関節機構を備える。図示の実施形態において、例えば、手術用具900は、シャフトの関節運動機能をもたらすために、ダブルカム機構984を備えている。一実施形態において、ダブルカム機構984は第1及び第2のカム部分954A、954Bを備える。第1及び第2の従動アーム986、988が、対応するピボットスプール982に旋回式で結合される。ダブルカム機構984に結合された回転本体921が回転するとき、第1のカム部分984Aは第1の従動アーム986に作用し、第2のカム部分984Bは第2の従動アーム988に作用する。カム機構984が回転するとき、従動アーム986、988はピボットスプール982を中心として旋回する。第1の従動アーム986は第1の関節バンド951に取り付けられ、第2の従動アーム988は第2の関節バンド983に取り付けられる。上部カム部分954Aが第1の従動アーム986に作用するとき、シャフト組立体908は左方向958Lに関節運動する。カム部分954Bが第2の従動アーム988に作用するとき、シャフト組立体908は左方向958Rに関節運動する。第1及び第2の従動アーム986、988(又はレバー)は、用具装着部分914内でシャフト上に装着され、シャフト組立体908の遠位端部から現れる関節バンド(ワイヤ)に連結される。第1及び第2の従動アーム986、988の関節位置に影響を与えることなくシャフトの回転を可能にするために、2つの別々のブッシュ983、985が、それぞれ第1及び第2の従動アーム986、988の下方に装着される。関節運動のために、これらのブッシュは、ジョー902の回転位置に影響を及ぼすことなく第1及び第2の従動アーム986、988と共に往復する。
図78Bは、第1及び第2のカム部分984B、984Bを含めて、ブッシュ983、985及び二重カム組立体984を示しており、第1及び第2の従動アーム986、988はより詳細でかつ明確な図を提示するために取り除かれている。
【0054】
ダブルカム機構984を使用したシャフト組立体908の左及び右関節運動の操作について、
図82〜85に更に示す。
図82及び83において、ダブルカム機構984は、シャフト組立体908を右方向958Rに関節運動させるように配置されている。カム機構984をCCW方向に中立位置から回転させることにより、シャフト組立体908の遠位端部の関節区間912は右方向958Rに移動する。
図84及び85において、ダブルカム機構954は、シャフト組立体908を左方向958Lに関節運動させるように配置されている。カム機構984をCW方向に中立位置から回転させることにより、シャフト組立体908の遠位端部の関節区間912は左方向958Lに移動する。
【0055】
図86に更に詳細に示すように、一実施形態において、手術用具900の用具装着部分914は、シャフト組立体908の回転機構を備える。図示の実施形態において、例えば、手術用具900は第1の螺旋状ウォームギヤ996を備えており、第1の螺旋状ウォームギヤ996は、回転胴部921に結合され、第2の螺旋状ウォームギヤ998に噛み合わされており、第2の螺旋状ウォームギヤ998はシャフト組立体908に結合されている。それ故に、第1の螺旋状ウォームギヤ996が回転することによって、第2の螺旋状ウォームギヤ998が、したがってシャフト組立体908が、第1の螺旋状ウォームギヤ996に結合された回転胴部921の回転方向に応じて、CW及びCCW方向に回転されることになる。したがって、第1の軸を中心とした回転胴部921の回転が、第1の軸に対して直角をなす第2の軸を中心としたシャフト組立体908の回転に変換される。更なる軸受けが回転胴部とそれに対応するギヤとの間に設けられてもよい。例えば、装着を支持及び安定化し、シャフトとギヤの回転摩擦を低減するために、任意の好適な軸受けが設けられてよい。
【0056】
一実施形態において、手術用具900の用具装着部分914は、クランプジョー902の開閉機構とナイフ作動機構とを備える。図示の実施形態において、例えば、手術用具900は、クランプジョー902の開閉機能とナイフの作動機能をもたらすために、ラックピニオンギヤ機構を備えている。ある実施形態において、ラックピニオンギヤ機構は、ピニオンギヤ997に結合された回転胴部921を備え、ピニオンギヤ997はラックギヤ995に噛み合わされる。ピニオンギヤ997は回転胴部921に結合されており、対応する従動要素920が回転することによってピニオンギヤ997が第1の方向に回転されるようになっている。ピニオンギヤ997は、直線方向に移動するラックギヤ995に噛み合わされる。ラックギヤ995は、閉開ブロック999に結合されており、閉開ブロック999はシャフト組立体908の遠位部分に結合されている。一実施形態において、ピニオンギヤ997を備えるラックピニオンギヤ機構が、クランプジョー902の上部ジョー904の部分の開閉、及びクランプジョー902に形成されたスロット928を通じた「I形梁」形状の切断要素の移動を制御するように構成される。ラックギヤ995が遠位方向に移動するとき、「I形梁」形状の切断要素が前進し、クランプジョー902の上部ジョー904を閉鎖する。ラックギヤ995が近位方向に移動するとき、「I形梁」形状の切断要素が後退し、クランプジョー902の上部ジョー904を開放させる。「I形梁」形状の切断要素の一実施形態の説明が、参照によって本明細書に組み込まれる出願第660号に示されている。
【0057】
ここで
図86〜88を参照するが、エンドエフェクタ902のカッター要素の位置を示すために、リミットスイッチ980が設けられている。一実施形態において、外部制御を得るために、あるいは手術用具900の電気的状態を示すために、点滅スイッチ994が用具装着ハウジング926に装着され得る。
図87に示すように、例えば、手術用具900の遠位部分における上部ジョー904及びカッター要素が完全に閉鎖される際、ラックギヤ995はリミットスイッチ980を圧迫して、電力作動に関する信号及び/又はコントローラへの指示を与えるが、その指示は、クランプジョー902の上部ジョー904が閉鎖され、カッター要素が遠位位置に「不在」であるというものである。
図88に示すように、例えば、リミットスイッチ908は自由であり、クランプジョー902の上部ジョー902が開放しており、カッター要素が近位位置にあるという指示を与える。
【0058】
様々な実施形態において、手術用具600、700、800、900は、外部電力及びエネルギー源で作動され得る。他の実施形態において、
図89〜91に示すような手術用具1000、1100は、電子装置を駆動すると共に所望の焼灼電気エネルギーを供給するための内部エネルギー源を備えてもよく、RF周波数(約50kHzを超える周波数はヒトの神経系に影響を及ぼさないことが判明している)が次いで、制御された方式でエンドエフェクタの鉗子に加えられる。
【0059】
したがって、
図89及び90は、用具駆動組立体を有するロボットシステム200(
図2)と共に使用するように適合された手術用具1000の一実施形態を示しており、用具駆動組立体は、操作者(すなわち外科医)からの入力によって作動可能なマスタコントローラ202(
図2)に作動的に結合されている。
図89、90に示すように、手術用具は、内部直流(DC)エネルギー源と、内部駆動及び制御回路1002とを備えている。図示の実施形態において、エネルギー源は第1及び第2の電池1004、1006を備えている。他の態様において、手術用具1000は、
図25〜43に示す手術用具700と類似している。したがって、一実施形態において、手術用具1000は、細長チューブ部分1010と遠位関節区間(図示せず)とを有するシャフト組立体を備える。手術用具1000は更にインターフェース1016を備え、インターフェース1016は用具装着部分1014をマニピュレータ308に機械的にかつ電気的に結合するものである。様々な実施形態において、用具装着部分1014は、用具装着ハウジング1026と用具装着プレート1018とを備え、用具装着プレート1018は、複数の回転胴部、従動ディスク又は要素を作動的に支持するものであり、従動ディスク又は要素はそれぞれ、従動要素の表面から延びる1対のピンを有する。あるピン922は、同じ従動要素上の他のピンよりも、各従動要素の回転軸に近く、このことは、従動要素の角度アライメントが確実となるようにするのに役立つ。インターフェース1016は、装着プレート1018に装着によって係合するように構成されたアダプタ部分を備える。一実施形態において、アダプタ部分は電気接続ピンの配列を有してもよく、その電気接続ピンは、用具装着部分1014内で回路基板1002によって記憶構造に結合され得る。インターフェース1016については、機械的、電気的、及び磁気的結合要素に関連して説明するが、赤外線、誘導結合などを含め、多種多様な遠隔測定の様式が用いられ得ることを理解されたい。
【0060】
一実施形態において、手術用具1000の用具装着部分1014は、シャフト組立体の関節機構と、シャフト組立体の回転機構と、クランプジョーの開閉機構と、ナイフ作動機構とを備える。一実施形態において、回転胴部721(例えば回転スプール)が従動要素に結合される。回転胴部1021は、従動要素と一体に形成されてもよい。いくつかの実施形態において、回転胴部1021は、従動要素を駆動することによって回転胴部1021の回転が生じるように回転胴部1021と従動要素が固定式に結合されるのであれば、従動要素とは別に形成され得る。回転胴部1021の各々は、シャフトの関節運動及び回転、クランプジョーの開閉、並びにナイフの作動をもたらすように、ギヤトレーン又はギヤ機構に結合される。
【0061】
一実施形態において、手術用具1000の用具装着部分1014は、シャフト組立体の関節機構を備える。図示の実施形態において、例えば、手術用具1000は、シャフトの関節運動機能をもたらすために、ラックピニオン機構を備えている。一実施形態において、ラックピニオンギヤ機構は、対応する従動要素の回転によって第1のピニオンギヤ1036が回転されるように回転胴部1021に結合された第1のピニオンギヤ1036を備える。第1のピニオンギヤ1036は、シャフト組立体の関節区間の関節運動を左方向に制御するために、第1のラックギヤ1050に噛み合わされて第1のピニオンギヤ1036の回転運動を第1のラックギヤ1050の直線運動に変換する。第1のラックギヤ1050は、第1のラックギヤ1050が遠位方向に直線運動することによってシャフト組立体の関節区間が左方向に関節運動されるように、第1の関節バンドに取り付けられている。対応する従動要素1020の回転によって第2のピニオンギヤ1038が回転されるように、第2のピニオンギヤ1038が別の回転胴部1021に結合される。第2のピニオンギヤ1038は、シャフト組立体の関節区間の関節運動を右方向に制御するために、第2のラックギヤ1052に噛み合わされて第2のピニオンギヤ1038の回転運動を第2のラックギヤ1052の直線運動に変換する。第2のラックギヤ1052は、第2のラックギヤ1052が遠位方向に直線運動することによってシャフト組立体の関節区間が右方向に関節運動されるように、第2の関節バンドに取り付けられている。
【0062】
一実施形態において、手術用具1000の用具装着部分1014は、シャフト組立体の回転機構を備える。図示の実施形態において、例えば、手術用具1000は、第2の螺旋状ウォームギヤ1064に結合された第1の螺旋状ウォームギヤ1066を備え、第2の螺旋状ウォームギヤ1064は第3の螺旋状ウォームギヤ1044に結合されている。既存のロボットシステム200との互換性を維持すること及び/又は空間が限定され得る場所を含め、様々な理由により、そのような配列が設けられている。第1の螺旋状ウォームギヤ1066は回転胴部1021に結合されている。第3の螺旋状ウォームギヤ1044は、シャフト組立体に結合された第4の螺旋状ウォームギヤ1046に噛み合わされている。第3の螺旋状ウォームギヤ1066は、シャフト組立体に結合された第4の螺旋状ウォームギヤ1046に噛み合わされて、シャフト組立体の回転を螺旋状ウォームギヤ1044、1046の回転方向に基づいてCW及びCCW方向に制御するようになっている。したがって、第1の軸を中心とした第3の螺旋状ウォームギヤ1044の回転が、第1の軸に対して直角をなす第2の軸を中心とした第4の螺旋状ウォームギヤ1046の回転に変換される。
【0063】
一実施形態において、手術用具1000の用具装着部分1014は、クランプジョーの開閉機構とナイフ作動機構とを備える。図示の実施形態において、例えば、手術用具1000は、クランプジョーの開閉機能とナイフの作動機能をもたらすために、ラックピニオンギヤ機構を備えている。一実施形態において、第3のギヤ1040が回転胴部1021に結合されており、対応する従動要素が回転することによって第3のピニオンギヤ1040が第1の方向に回転されるようになっている。第3のピニオンギヤ1040は、直線方向に移動するラックギヤ1049に噛み合わされる。ラックギヤ1049は、閉開ブロック1048に結合されており、閉開ブロック1048はシャフト組立体の遠位部分に結合されている。一実施形態において、ピニオンギヤ1040を備えるギヤ機構が、クランプジョーの開閉、及びクランプジョーに形成されたスロットを通じた「I形梁」形状の切断要素の移動を制御するように構成される。ラックギヤ1049が遠位方向に移動するとき、「I形梁」形状の切断要素が前進し、クランプジョーの上部ジョーを閉鎖する。ラックギヤ1049が近位方向に移動するとき、「I形梁」形状の切断要素が後退し、クランプジョーの上部ジョーを開放させる。「I形梁」形状の切断要素の一実施形態の説明が、参照によって本明細書に組み込まれる出願第660号に示されている。
【0064】
図91は、用具駆動組立体を有するロボットシステム200(
図2)と共に使用するように適合された手術用具1100の一実施形態を示しており、用具駆動組立体は、操作者(すなわち外科医)からの入力によって作動可能なマスタコントローラ202(
図2)に作動的に結合されている。
図89、90に示すように、手術用具は、内部直流(DC)エネルギー源と、内部駆動及び制御回路とを備えている。図示の実施形態において、エネルギー源は第1の電池1104と第2の電池1106とを備えている。他の態様において、手術用具1100は、
図63〜88に示す手術用具900と類似している。したがって、一実施形態において、手術用具1100は、細長チューブ部分1110と遠位関節区間(図示せず)とを有するシャフト組立体を備える。手術用具1100は更にインターフェース1116を備え、インターフェース1116は用具装着部分1114をマニピュレータ308に機械的にかつ電気的に結合するものである。様々な実施形態において、用具装着部分1114は、用具装着ハウジングと用具装着プレート1118とを備え、用具装着プレート1118は、複数の回転胴部、従動ディスク又は要素を作動的に支持するものであり、従動ディスク又は要素はそれぞれ、従動要素の表面から延びる1対のピンを有する。あるピンは、同じ従動要素上の他のピンよりも、各従動要素の回転軸に近く、このことは、従動要素の角度アライメントが確実となるようにするのに役立つ。インターフェース1116は、装着プレート1118に装着によって係合するように構成されたアダプタ部分を備える。一実施形態において、アダプタ部分は電気接続ピンの配列を有してもよく、その電気接続ピンは、用具装着部分1114内で回路基板によって記憶構造に結合され得る。インターフェース1116については、機械的、電気的、及び磁気的結合要素に関連して説明するが、赤外線、誘導結合などを含め、多種多様な遠隔測定の様式が用いられ得ることを理解されたい。
【0065】
一実施形態において、手術用具1100の用具装着部分1014は、シャフト組立体の関節機構を備える。図示の実施形態において、例えば、手術用具1100は、シャフトの関節運動機能をもたらすために、ダブルカム機構1184を備えている。一実施形態において、ダブルカム機構1184は第1及び第2のカム部分1154A、1154B(図示せず)を備える。第1及び第2の従動アーム1186、1188が、対応するピボットスプール1182に旋回式で結合される。ダブルカム機構1184に結合された回転本体1121が回転するとき、第1のカム部分1184Aは第1の従動アーム1186に作用し、第2のカム部分1184Bは第2の従動アーム1188に作用する。カム機構1184が回転するとき、従動アーム1186、1188はピボットスプール1182を中心として旋回する。第1の従動アーム1186は第1の関節バンド1151に取り付けられ、第2の従動アーム1188は第2の関節バンド1153に取り付けられる。上部カム部分1154Aが第1の従動アーム1186に作用するとき、シャフト組立体は左方向1158Lに関節運動する。カム部分1154Bが第2の従動アーム1188に作用するとき、シャフト組立体は右方向1158Rに関節運動する。
【0066】
図86に更に詳細に示すように、一実施形態において、手術用具1100の用具装着部分1114は、シャフト組立体の回転機構を備える。図示の実施形態において、例えば、手術用具1100は第1の螺旋状ウォームギヤ1196を備えており、第1の螺旋状ウォームギヤ1196は、回転胴部1121に結合され、第2の螺旋状ウォームギヤ1198に噛み合わされており、第2の螺旋状ウォームギヤ1198はシャフト組立体に結合されている。それ故に、第1の螺旋状ウォームギヤ1196が回転することによって、第2の螺旋状ウォームギヤ1198が、したがってシャフト組立体が、第1の螺旋状ウォームギヤ1196に結合された回転胴部1121の回転方向に応じて、CW及びCCW方向に回転されることになる。したがって、第1の軸を中心とした回転胴部1121の回転が、第1の軸に対して直角をなす第2の軸を中心としたシャフト組立体の回転に変換される。
【0067】
一実施形態において、手術用具1100の用具装着部分1114は、クランプジョーの開閉機構とナイフ作動機構とを備える。図示の実施形態において、例えば、手術用具1100は、クランプジョーの開閉機能とナイフの作動機能をもたらすために、ラックピニオンギヤ機構を備えている。ある実施形態において、ラックピニオンギヤ機構は、ピニオンギヤ1197に結合された回転胴部1121を備え、ピニオンギヤ1197はラックギヤ1195に噛み合わされる。ピニオンギヤ1197は回転胴部1121に結合されており、対応する従動要素1120が回転することによってピニオンギヤ1197が第1の方向に回転されるようになっている。ピニオンギヤ1197は、直線方向に移動するラックギヤ1195に噛み合わされる。ラックギヤ1195は、閉開ブロック1199に結合されており、閉開ブロック1199はシャフト組立体の遠位部分に結合されている。一実施形態において、ピニオンギヤ1197を備えるラックピニオンギヤ機構が、クランプジョーの上部ジョーの部分の開閉、及びクランプジョーに形成されたスロット1128を通じた「I形梁」形状の切断要素の移動を制御するように構成される。ラックギヤ1195が遠位方向に移動するとき、「I形梁」形状の切断要素が前進し、クランプジョーの上部ジョーを閉鎖する。ラックギヤ1195が近位方向に移動するとき、「I形梁」形状の切断要素が後退し、クランプジョーの上部ジョーを開放させる。「I形梁」形状の切断要素の一実施形態の説明が、参照によって本明細書に組み込まれる出願第660号に示されている。
【0068】
エンドエフェクタ内におけるカッター要素の位置を示すために、リミットスイッチ1180が設けられる。手術用具1100の電気的状態を制御するために、点滅スイッチ1194が設けられる。リミットスイッチ1180は圧迫され、クランプジョーの上部ジョー1104が閉鎖されており、カッター要素が遠位位置に「不在」であるという指示をコントローラに与える。リミットスイッチは解放され、クランプジョーの上部ジョーが開放されており、カッター要素が近位位置にあるという指示をコントローラに与える。
【0069】
図89〜91に示す改良された手術用具1000、1100について手術用具700及び900の実施形態を参照して説明したが、手術用具600及び800の他の実施形態もまた、限定されることなく、
図89〜91に関連して示し議論したものと類似した方式で改良され得る。
【0070】
ここで説明は
図92〜98に移るが、一実施形態による電池給電式の電気手術器具のRF駆動及び制御回路部の一実施形態について説明する。電子回路1002、1102のRF駆動及び制御回路部が、それぞれ手術用具1000、1100と関連して示されている。給電及びRF増幅部の電子要素は、比較的小さな手持型ハウジングに放出される熱を最小限にするために、可能な限り高い効率を有するように設計されるべきである。効率はまた、電池の保管及び作動寿命を可能な限り延長する。
【0071】
様々な実施形態において、また給電並びにRF駆動及び制御回路部の効率により、
図89〜91に示す電池1004、1006、1104、1106、及び
図92〜98に関連して以下で電池1300とも呼ばれる電池の、ミッション寿命を果たすためにあるいは所与の寸法の電池1300に対してミッション寿命を延長するために必要な寸法を最小化することができる。一実施形態において、電池1300は、12.6V(無負荷)の端子電圧及び1030mA−Hourの容量で、低い電源インピーダンスをもたらす。負荷を受けた状態で、電池電圧は例えば公称で11.1Vである。
【0072】
高周波駆動増幅器のトポロジは、様々な実施形態に応じて異なり得る。一実施形態において、例えば、直列共振の手法が用いられ得るが、この手法では、事前にプログラムされた負荷曲線に従って手術用具を強制的に作動させるために、動作周波数は出力電圧を変化させるように変動される。直列共振の手法において、直列共振ネットワークのインピーダンスは共振周波数で最小となるが、これは、容量性要素と誘導性要素のリアクタンスが、小さな実抵抗を残して相殺するからである。直列共振回路の最大電圧も共振周波数で生じる(また回路のQ値にも依存する)。したがって、出力で高電圧を発生させるためには、直列共振回路は、共振周波数のより近くで動作するべきであり、これにより、必要な電流をRF増幅器区間に供給するために、DC供給部(例えば電池1300)からの電流の引き込みが増加する。直列共振の手法は、共振モードブーストコンバータと呼ばれることもあるが、実際には、共振周波数は最大電圧点であるため、この設計では共振周波数で作動されることはまれである。共振モードトポロジの利点は、共振周波数のすぐ近くで作動される場合、スイッチング電界効果トランジスタ(FET)を、電圧又は電流のゼロ交差のいずれかで「オン」又は「オフ」に切り替えることができ、それによって、可能な限り、最小量の電力がスイッチングFET内で散逸することである。
【0073】
一実施形態によるRF駆動及び制御回路部のもう1つの特徴により、巻数比の比較的高い変圧器が設けられ、この変圧器は、電池1300の公称電圧の約11.1Vから約85Vrmsへと出力電圧を増大させるものである。これにより、1つの変圧器と1つの他のインダクタのみが必要となるため、より小型の実装がもたらされる。そのような回路においては、所望の出力電圧又は電流を生成するために、変圧器の一次側に高電流が必要である。そのような装置はしかしながら、消耗しているときの電池の電圧降下を考慮するために余裕が設けられているため、共振周波数では作動され得ない。したがって、出力電圧を必要なレベルに維持するために、ヘッドルームが設けられる。直列共振の手法の更に詳細な説明は、2011年5月20日出願の、本発明の譲受人に譲渡された国際特許出願PCT/GB2011/000778号、名称「医療装置(Medical Device)」に示されており、その開示内容のすべてが参照によって本明細書に組み込まれる。
【0074】
別の実施形態によれば、新規でかつ独特なアーキテクチャを備えたRF器具トポロジが、電気外科手術用具のための、手持形の電池給電式RF型発電機に設けられる。したがって、一実施形態において、本開示は、組織によって与えられる負荷抵抗、又はいかなる電圧、電流、若しくは電力レベルがコントローラによって指令されるかにかかわらず、装置の各電力部が最大効率で作動するように構成されたアーキテクチャを、RF器具トポロジにもたらす。一実施形態において、このことは、例えば、現在知られている最も効率的なエネルギー変換様式を利用することによって、そして素子の寸法を最小化して電子回路パッケージを小型でかつ軽量なものにしてハウジング内に収まるようにすることによって実現され得る。
【0075】
一実施形態において、電子回路システム400のRF電力電子回路区間は、ブーストモードコンバータ、同期バックコンバータ、及び並列共振増幅器として分割され得る。一実施形態によれば、手術用具の共振モードブーストコンバータ区間は、同期モードバックコンバータで使用するために、DC電池1300の電圧をより高いDC電圧に変換するのに用いられ得る。共振モードブーストコンバータ区間の所定の効率を達成するために考慮すべき1つの側面は、ブーストコンバータの入力電圧と出力電圧との比である。一実施形態において、10:1の比が達成可能であるが、二次側の電力が相当なものとなり、ブーストモード変圧器への入力電流が、負荷に応じて約15A〜25Aの範囲で、極めて大きくなる。別の実施形態において、変圧器の約5:1の巻数比が設けられる。理解されたいこととして、約5:1〜約10:1の範囲内の変圧器の比がまた、限定を伴うことなく実現され得る。5:1の変圧器の巻数比において、設計トレードオフは、並列共振出力のQを昇圧比に対して管理することである。共振出力ネットワークは2つの機能を果たす。第1に、D級出力増幅器から正方形のデジタルパルスをフィルタ処理し、基本周波数の正弦波を除いたすべてを出力から除去する。第2に、フィルタネットワークのQによる受動的な電圧利得をもたらす。換言すれば、増幅器からの電流が、回路の無負荷Q及び負荷抵抗によって決まる利得で、出力電圧に変えられ、これが回路のQに影響を与える。
【0076】
共振モードブーストコンバータ部において所定の効率を達成するために考慮すべき別の側面は、フルブリッジ型スイッチのトポロジを利用することであり、これにより、同じ入力電圧に対して昇圧変圧器の巻数比が半分となる。このトレードオフは、この手法では更なるFETトランジスタが必要となる場合があり、例えばハーフブリッジ手法と比べて更に2つのFETが必要となることである。現在利用可能なスイッチモードFETはしかしながら比較的小型であり、ゲート駆動電力は無視できるものではないが、合理的な設計トレードオフをもたらす。
【0077】
共振モードブーストコンバータ区間において所定の効率を達成し、ブーストコンバータを最大効率で作動させるために考慮すべき更に別の側面は、例えば、設計者がどちらを選択するかにかかわらず(ZCSスイッチングかあるいはZVSスイッチング)、FETが常に電圧又は電流の最小値で切り替えするように、常に回路を共振周波数で稼働させることである。これには、負荷が変化するときにコンバータの共振周波数を監視すること、及びZVS又はZCS(ゼロ電圧スイッチング/ゼロ電流スイッチング)が最小の電力損で生じるようにブーストコンバータのスイッチング周波数を調節することが含まれ得る。
【0078】
共振モードブーストコンバータ部において所定の効率を達成するために考慮すべき更に別の側面は、通常の全波ダイオード整流器ブロックの代わりに同期整流器回路を利用することである。FETのオン抵抗は、高電流条件下での順電圧降下に対して最適化されたショットキーパワーダイオードのオン抵抗よりもかなり低いため、同期整流ではFETがダイオードとして用いられる。同期整流器は、FET用のゲート駆動と、FETを制御するためのロジックを必要とするが、従来のフルブリッジ整流器に対して、相当な電力節減をもたらす。
【0079】
各種の実施形態によれば、共振モードブーストコンバータの所定の効率は、例えば、98%〜99%の入出力比である。任意の好適な所定効率が、特定の実現形態に基づいて選択され得る。したがって、本明細書で説明する実施形態はこの状況において限定される。
【0080】
一実施形態によれば、負荷曲線で決まる指令出力電力、電圧又は電流を可能な限り小さな損失で維持するために、手術用具の同期バックコンバータ区間が用いられて、RF整流器区間に供給されるDC電圧が所定のレベルまで低減され得る。バックコンバータは基本的に、低インピーダンススイッチを制御して指令出力電圧を維持するための調整回路を伴った、低インピーダンススイッチによって供給を受けるLCローパスフィルタである。作動電圧は、メインコントローラによって指令された所定レベルに降下し、メインコントローラは、制御システムコードを動作させて、検出された組織抵抗値の関数として割り当てられた負荷曲線にシステムを強制的に従わせる。様々な実施形態によれば、同期バックレギュレータの所定の効率は例えば約99%である。任意の好適な所定効率が、特定の実現形態に基づいて選択され得る。したがって、本明細書で説明する実施形態はこの状況において限定される。
【0081】
一実施形態によれば、並列共振ネットワークをRF増幅器区間の出力部に備える共振モードRF増幅器区間が設けられる。一実施形態において、並列共振ネットワークをRF増幅器区間の出力部に設けることによって、所定の効率が達成され得る。RF増幅器区間は、次の3つを満たす出力ネットワークの共振周波数で駆動され得る。第1に、高Qネットワークにより、受動的な電圧利得が出力部にもたらされ、高電圧出力レベルを発生させるためにブーストレギュレータで必要とされる昇圧が低減される。第2に、RF増幅器区間で発生される方形パルスがフィルタ処理され、基本周波数のみが出力部に通される。第3に、フルブリッジ増幅器が出力フィルタの共振周波数でスイッチングされ、この共振周波数はつまり、最小の電力を散逸させるために、電圧ゼロ交差か又は電流ゼロ交差のいずれかにおけるものである。したがって、RF増幅器区間の所定効率は約98%である。ゲート駆動損失によって、効率はこの数字か若しくはそれよりわずかに低い数字に制限される。任意の好適な所定効率が、特定の実現形態に基づいて選択され得る。したがって、本明細書で説明する実施形態はこの状況において限定される。
【0082】
RF器具のトポロジ及び上述したアーキテクチャを鑑みると、約96%である、約0.99×0.99×0.98の全システム効率が達成され得る。したがって、約45Wを送出するために、メイン及びハウスキーピングマイクロプロセッサを、そしてADC及びアナログ増幅器とフィルタなどの支持回路を動作させるのに必要な電力を除いて、約1.8Wが電子回路によって散逸する。約135Wを送出するためには、約5.4Wが散逸する。これは、大型ジョーのクラスの発電機を手持形電気手術医療器具に実装するのに必要となる電力の量である。いくつかの従来の器具において当てはまり得るので、全システム効率はおそらく、比較的強い関数となる代わりに、負荷抵抗の弱い関数となるにすぎない。
【0083】
電気外科手術用具の様々な他の実施形態において、フルブリッジ増幅器を一次回路に利用することによって、ある所定の効率向上を達成し、フルブリッジ増幅器をアースから分離して一次側により大きな電圧を得るために、並列共振トポロジが利用され得る。これにより、一次側の巻数がより多くなるがために、より大きな一次インダクタンスと、より低い磁束密度がもたらされる。
【0084】
図92は、一実施形態によるRF駆動及び制御回路1800を示している。
図92は、この実施形態において、鉗子に供給されるRF電気エネルギーを発生及び制御するために使用されるRF駆動及び制御回路1800を示す部分概略部分ブロック図である。以下で更に詳細に説明するように、この実施形態において、駆動回路1800は、並列共振ネットワークをRF増幅器出力部に備えた共振モードRF増幅器であり、制御回路は、駆動信号の作動周波数を制御するように作動して、その作動周波数が駆動回路の共振周波数に維持されるようにし、駆動回路は、鉗子108に供給される電力の量を制御する。これが達成される方式は、以下の説明から明らかとなろう。
【0085】
図92に示すように、RF駆動及び制御回路1800は、この例においては約0V〜約12Vのレールに給電するように構成された上述の電池1300を備えている。低電源インピーダンスを得るために、入力コンデンサ(C
in)1802が0Vと12Vとの間に接続されている。1対のFETスイッチ1803−1と1803−2(共にこの実施形態においては電力損失を低減するためにNチャネルである)が0Vレールと12Vレールとの間に直列に接続されている。2つのFET 1803の各々を駆動するためにそれぞれ1つの、2つの駆動信号を発生させるFETゲート駆動回路1805が設けられている。FETゲート駆動回路1805は、下方のFET(1803−2)がオフであるときに上方のFET(1803−1)をオンにし、またその逆にする駆動信号を発生させる。これにより、ノード1807は12Vレール(FET 1803−1がオンに切り替えられたとき)及び0Vレール(FET 1803−2がオンに切り替えられたとき)に交互に接続されることになる。
図92はまた、対応するFET 1803の内部寄生ダイオード1808−1及び1808−2を示しており、これら内部寄生ダイオード1808−1及び1808−2は、FET 1803が開放している任意の期間に伝導する。
【0086】
図92に示すように、ノード1807は、コイルL
s 1812及びコイルL
m 1814によって形成されたコイル・コイル共振回路1810に接続されている。FETゲート駆動回路1805は、並列共振回路1810の共振周波数でFETスイッチ1803を開閉する駆動信号を駆動周波数(f
d)で発生させるように構成されている。共振回路1810の共振特性の結果として、ノード1807における方形波電圧は、駆動周波数(f
d)の実質的に正弦波状の電流を共振回路1810内に流れさせる。
図92に示すように、コイルL
m 1814は変圧器1815の一次側であり、その二次側はコイルL
sec 1816で形成されている。変圧器1815の2次側のコイルL
sec 1816は、コイルL
2 1818、コンデンサC
4 1820、及びコンデンサC
2 1822によって形成されるコイル・コンデンサ・コンデンサの並列共振回路1817に接続されている。変圧器1815は、コイルL
m 1814にかかる駆動電圧(V
d)を、出力並列共振回路1817に印加される電圧にアップコンバートする。負荷電圧(V
L)は、並列共振回路1817によって出力され、鉗子のジョー及び鉗子で把持される組織又は血管のインピーダンスに対応する負荷(
図92では負荷抵抗R
load 1819で表される)に印加される。
図92に示すように、DC信号が負荷1819に印加されるのを防止するために、1対のDCブロックコンデンサC
bl 1840−1及び1840−2が設けられている。
【0087】
一実施形態において、変圧器1815は、以下の仕様に従うコア径(mm)、線径(mm)、及び二次巻線同士の間隙で実現され得る。
コア径D(mm)
D=19.9×10−3
22AWGワイヤの線径W(mm)
W=7.366×10−4
間隙0.125の2次巻線同士の間隙
G=gap/25.4
【0088】
この実施形態において、鉗子に供給される電力の量は、FET 1803を切り替えるのに使用されるスイッチング信号の周波数を変動させることによって制御される。これで機能するが、それは共振回路810が周波数依存性(無損失)の減衰器として働くからである。駆動信号が共振回路1810の共振周波数に近づくほど、駆動信号は減衰されなくなる。同様に、駆動信号の周波数が移動して回路1810の共振周波数から離れるほど、駆動信号は減衰されなくなり、したがって負荷に供給される電力も低下する。この実施形態において、FETゲート駆動回路1805によって発生されるスイッチング信号の周波数は、負荷1819に送達されるべき目標電力、並びに通常の電圧検出回路1843及び電流検出回路1845によって取得される負荷電圧(V
L)及び負荷電流(I
L)の測定値に基づいて、コントローラ1841によって制御される。コントローラ841が作動する方式について、以下で更に詳細に説明することにする。
【0089】
一実施形態において、電圧検出回路1843及び電流検出回路1845は、高帯域幅で高速のレールツーレール増幅器(例えばナショナルセミコンダクタ社(National Semiconductor)によるLMH6643)で実現され得る。そのような増幅器はしかしながら、作動状態にあるとき、比較的多くの電流を消費する。したがって、増幅器が電圧検出回路1843及び電流検出回路1845において使用されていないときに増幅器の供給電圧を低減するために、節電回路が設けられ得る。一実施形態において、レールツーレール増幅器の供給電圧を低減し、それによって電池1300の寿命を延長するために、ステップダウンレギュレータ(例えばリニアテクノロジー社(Linear Technology)のLT3502)が節電回路で利用され得る。
【0090】
図93は、一実施形態によるコントローラ1841の主構成要素を示している。
図93に示す実施形態において、コントローラ1841はマイクロプロセッサベースのコントローラであり、したがって
図93に示す構成要素の大部分はソフトウェアベースの構成要素である。それでもなお、それに代わってハードウェアベースのコントローラ1841が使用されてもよい。図示のように、コントローラ1841は同期I/Qサンプリング回路1851を有しており、この同期I/Qサンプリング回路1851は、検出電圧及び電流信号を検出回路1843及び1845から受信し、電力、V
rms及びI
rms計算モジュール1853に渡される対応するサンプルを取得する。計算モジュール1853は、受信したサンプルを使用して、負荷1819(
図92、鉗子及びその鉗子に把持される組織/血管)に印加されるRMS電圧及びRMS電流を計算し、そしてそれらRMS電圧及びRMS電流から、負荷1839に現在供給されている電力を計算する。決定した値は次いで、周波数制御モジュール1855及び医療装置制御モジュール1857に渡される。医療装置制御モジュール1857は、それらの値を使用して負荷1819の現在のインピーダンスを決定し、決定したこのインピーダンスと定義済みのアルゴリズムに基づいて、どの程度の目標電力(P
set)を周波数制御モジュール1855に印加すべきかを決定する。医療装置制御モジュール857は次いで、ユーザー入力モジュール1859から受信した信号によって制御されるが、ユーザー入力モジュール1859は、ユーザーからの入力(例えば、ボタンを押下すること又はハンドル上の制御レバーを作動させること)を受信すると共にユーザー出力モジュール1861を介してハンドル上の出力装置(光、ディスプレイ、スピーカなど)を制御するものである。
【0091】
周波数制御モジュール1855は、計算モジュール1853から取得した値及び医療装置制御モジュール1857から取得した電力目標値(P
set)、並びに定義済みのシステム限界(以下で説明する)を使用して、印加周波数を増減させるべきか否かを判断する。この判断の結果は次いで、方形波発生モジュール1863に渡されるが、方形波発生モジュール1863はこの実施形態において、受け取った判断に基づいて、発生させる方形波信号の周波数を1kHz単位で増減させる。当業者には明らかとなるように、別の実施形態において、周波数制御モジュール1855は、周波数を増やすべきかそれとも減らすべきかだけでなく、必要となる周波数変化の大きさをも決定し得る。この場合、方形波発生モジュール1863は、所望の周波数シフトを伴って、対応する方形波信号を発生させる。この実施形態において、方形波発生モジュール1863によって発生された方形波信号はFETゲート駆動回路1805に出力され、FETゲート駆動回路1805はこの信号を増幅し、FET 1803−1に加える。FETゲート駆動回路1805はまた、FET 1803−1に加えられる信号を反転させ、その反転した信号をFET 1803−2に加える。
【0092】
図94は、FET 1803に加えられたスイッチング信号と、負荷1819に加えられた測定電流及び電圧を表す正弦波信号と、検出した負荷電圧及び負荷電流を同期サンプリング回路1851がサンプリングするタイミングとを示す、一実施形態による信号プロットである。特に、
図17は、上方のFET 1803−1に加えられるスイッチング信号(PWM1 Hと記される)と、下方のFET 1803−2に加えられるスイッチング信号(PWM1 Lと記される)を示している。簡潔にするため図示されていないが、FET 1803が共に同じ時間にオンにならないようにするため、PWM1HとPWM1Lとの間にデッドタイムが存在する。
図94はまた、測定負荷電圧/電流(OUTPUTと記される)を示している。負荷電圧と負荷電流は共に正弦波状の波形であるが、それらは、負荷1819のインピーダンスに応じて位相がずれていてもよい。図示のように、負荷電流と負荷電圧は、FET 1803を切り替えるために使用されるスイッチング信号(PWM1 H及びPWM1 L)と同じ駆動周波数(f
d)をなしている。通常、正弦波信号をサンプリングするとき、サンプリングされる信号の周波数の少なくとも2倍、すなわち期間当たり2個のサンプルに相当する速度で信号をサンプリングすることが必要である。しかしながら、コントローラ1841は、スイッチング信号の周波数を把握しているので、同期サンプリング回路1851は、より低い速度で測定電圧/電流をサンプリングし得る。この実施形態において、同期サンプリング回路1851は、測定信号を期間当たり1回、ただし隣接する期間に異なる位相でサンプリングする。
図17において、このことが、「I」サンプル及び「Q」サンプルによって示されている。同期サンプリング回路51がこれらのサンプルを作るタイミングは、この実施形態においては、2つの制御信号PWM2及びPWM3によって制御され、これら制御信号PWM2及びPWM3は、スイッチング信号(PWM1 H及びPWM1 L)に対して固定位相を有し、(好ましくは、それによって後の計算が容易になるため、期間の4分の1だけ)互いに位相を異にしている。図示のように、同期サンプリング回路1851は、PWM2信号の立ち上がり1つおきに「I」サンプルを取得し、また同期サンプリング回路1851は、PWM3信号の立ち上がり1つおきに「Q」サンプルを取得する。同期サンプリング回路1851は、方形波発生器1863(スイッチング信号PWM1 H及びPWM1 Lと同じ周波数をなす)によって出力された方形波信号から、PWM2及びPWM3制御信号を発生させる。したがって、制御信号PWM2及びPWM3もまた変化する(しかしながら相対位相は依然として同じである)。このようにして、サンプリング回路1851は、駆動信号の周波数が変更されたときに、サンプリング回路1851が検出電圧及び電流信号をサンプリングするタイミングを連続的に変更し、そのため、サンプルが常に駆動信号の期間内の同じ時点で取られるようになっている。したがって、サンプリング回路1851は、単純に固定サンプリングクロックで規定される固定サンプリング速度で入力信号をサンプリングする従来のサンプリング動作に代わって、「同期」サンプリング動作を実施している。
【0093】
同期サンプリング回路1851によって取得されたサンプルは次いで、電力、V
rms及びI
rmsの計算モジュール1853に渡されるが、この計算モジュール1853は、負荷電流及び負荷電圧のわずか1つの「I」サンプルと1つの「Q」サンプルから、測定信号の大きさ及び位相を決定し得る。しかしながら、この実施形態において、何らかの平均化を達成するために、計算モジュール1853は、連続する「I」サンプルを平均化して平均「I」値を、また連続する「Q」サンプルを平均化して平均「Q」値を取得し、次いでこの平均I及びQ値を使用して、測定信号の大きさ及び位相を(通常の方式で)決定する。当業者には明らかとなるように、約400kHzの駆動周波数で、期間当たり1回、サンプリングすることは、同期サンプリング回路1851が400kHzのサンプリング速度を有し、計算モジュール1853が0.01msごとに電圧測定値と電流測定値を生成することを意味する。同期サンプリング回路1851の動作は、既存の製品に対する改善をもたらすものであり、既存の製品では、測定を同じ速度で行うことができず、大きさの情報のみが入手可能となる(位相情報は失われる)。
【0094】
一実施形態において、電気外科手術用具のためのRF増幅器及び駆動回路は、必要な組織効果を生じるように所望のRF電気外科周波数で稼働する共振モードステップアップスイッチングレギュレータを利用する。
図18に示す波形は、システム効率を向上させるために、また電子システム400内のいくつかの特注構成要素に要求される許容差を緩和するために利用され得る。一実施形態において、手術用具に必要な高周波数で高電圧の出力信号を生成するために、第1の発生器制御アルゴリズムが共振モードスイッチングトポロジによって利用され得る。第1の発生器制御アルゴリズムは、装置の出力部における電圧を制御する(それによって装置の出力部における電流及び電力が制御される)ために、共振モードコンバータの作動周波数をシフトさせて共振点に近づけるかあるいは共振点から遠ざける。共振モードコンバータへの駆動波形はこれまで、一定の固定デューティであり、駆動波形の周波数が唯一の制御手段であった(振幅はそうではない)。
【0095】
図95は、一実施形態による、FETゲート駆動回路1805を駆動するための駆動波形を示している。したがって、別の実施形態において、手術用具に必要な高周波数で高電圧の出力信号を生成するために、第2の発生器制御アルゴリズムが共振モードスイッチングトポロジによって利用され得る。第2の発生器制御アルゴリズムは、制御システムがコンバータの作動効率を維持する一方で電力曲線の付近を追跡するために電力出力を低減する目的で、増幅器に対する制御の更なる手段をもたらす。
図18に示すように、一実施形態によれば、第2の発生器制御アルゴリズムは、コンバータが作動する駆動周波数を変調するだけでなく、デューティサイクル変調によって駆動波形のデューティサイクルをも制御するように構成される。したがって、
図95に示す駆動波形1890は2自由度を呈している。駆動波形1890の変調を利用する利点には、柔軟性、全システムの効率の改善、増幅器の電子回路及び受動的な誘導性構成要素の電力損及び温度上昇の低減、並びに、システム効率の向上による電池寿命の向上が挙げられる。
【0096】
図96は、一実施形態による、第1の基板1408aに設置されたデジタル処理システム1900の略図を示している。デジタル処理システム1900は、開示を明確にするために示されていない構成要素の中でも、主プロセッサ1902と、安全プロセッサ1904と、コントローラ1906と、メモリ1908と、不揮発性メモリ1402とを備えている。このデュアルプロセッサアーキテクチャは、主プロセッサ1902と呼ばれる第1の動作プロセッサを備え、この第1の動作プロセッサは、手術用具の動作を制御するための主プロセッサである。一態様において、主プロセッサ1902は、ソフトウェア命令を実行して、
図93に示すコントローラを実現する。一実施形態において、主プロセッサ1902はまた、アナログ−デジタル(A/D)コンバータと、タイミング制御用のパルス幅変調器(PWM)とを備え得る。
【0097】
主プロセッサ1902は、手術用具全体の様々な機能を制御する。一実施形態において、主プロセッサは、鉗子のジョー及びその鉗子に把持された組織又は血管のインピーダンスに対応する負荷(
図92に負荷抵抗R
load 1819で表される)で測定された電圧検出(V Sense)及び電流検出(I Sense)信号を受信する。例えば、主プロセッサ1902は、
図92に示すように、電圧検出回路1843及び電流検出回路1845用にV Sense及びI Sense信号を受信する。主プロセッサ1902はまた、負荷における組織温度(T sense)測定値を受信する。V Sense、I Sense、及びT Senseを用いて、プロセッサ1902は様々なアルゴリズムを実行して、インピーダンスZに基づいて組織の状態を検知し得る。ここでZ=V Sense/I Senseである。一実施形態において、手術用具は、約350kHz〜約650kHzで周波数アジャイル型である。先に議論したように、コントローラ1841はRF増幅器区間の共振作動周波数を変化させて、例えば
図92〜94に関連して説明したように、パルス幅変調(PWM)を制御し、負荷への出力電圧(V)を低減し、出力電流(I)を増強する。
【0098】
本発明の手術器具100を作動させるために利用され得る周波数アジャイルアルゴリズムの例が、それぞれ参照によってすべての内容を本明細書に組み込まれる、同一所有者の以下の米国特許出願に記載されており、その米国特許出願とは、(1)米国特許出願第12/896,351号、名称「組織を切断及び凝固させるための装置及び技術(DEVICES AND TECHNIQUES FOR CUTTING AND COAGULATING TISSUE)」、代理人整理番号END6427USCIP1/080591CIP、(2)米国特許出願第12/896,479号、名称「超音波及び電気外科装置のための外科用発電器(SURGICAL GENERATOR FOR ULTRASONIC AND ELECTROSURGICAL DEVICES)」、代理人整理番号END6673USNP1/100557、(3)米国特許出願第12/896,345号、名称「超音波及び電気外科装置のための外科用発電器(SURGICAL GENERATOR FOR ULTRASONIC AND ELECTROSURGICAL DEVICES)」、代理人整理番号END6673USNP2/100559、(4)米国特許出願第12/896,384号、名称「超音波及び電気外科装置のための外科用発電器(SURGICAL GENERATOR FOR ULTRASONIC AND ELECTROSURGICAL DEVICES)」、代理人整理番号END6673USNP3/100560、(5)米国特許出願第12/896,467号、名称「超音波及び電気外科装置のための外科用発電器(SURGICAL GENERATOR FOR ULTRASONIC AND ELECTROSURGICAL DEVICES)」、代理人整理番号END6673USNP4/100562、(6)米国特許出願第12/896451号、名称「超音波及び電気外科装置のための外科用発電器(SURGICAL GENERATOR FOR ULTRASONIC AND ELECTROSURGICAL DEVICES)」、代理人整理番号END6673USNP5/100563、(7)米国特許出願第12/896,470号、名称「超音波及び電気外科装置のための外科用発電器(SURGICAL GENERATOR FOR ULTRASONIC AND ELECTROSURGICAL DEVICES)」、代理人整理番号END6673USNP6/100564、並びに、米国特許出願第12/503,775号、名称「段状の出力を用いて切断及び凝固するための超音波装置(ULTRASONIC DEVICE FOR CUTTING AND COAGULATING WITH STEPPED OUTPUT)」、代理人整理番号END6427USNP/080591である。
【0099】
一実施形態において、主プロセッサ1902はまた、リミットスイッチのストローク最終位置(Lmt Sw Sense)を検出する。リミットスイッチは、ナイフがストローク限界の終端に達したときに始動される。リミットスイッチLmt Sw Senseによって発生された信号は主プロセッサ1902に与えられて、ナイフのストローク終端状態を示唆する。
【0100】
一実施形態において、主プロセッサ1902はまた、電子システム、リミットスイッチ、又は他のスイッチ若しくは入力装置に設置された磁気作動式要素に関連付けられた加動信号(Reed Sw Sense)を検出する。初期化が主プロセッサ1902によって検出されると、アルゴリズムが実行されて手術用具の動作が制御される。そのようなアルゴリズムの一実施形態について、以下で更に詳細に説明する。更に、初期の電源投入において、磁気作動式要素が電池1300の供給を電子回路システムに接続するとき、低い抵抗負荷が電池1300の端子に加えられて、電池1300の内部抵抗が確認される。これにより、主プロセッサ1902は、電池1300の充電状態を判断することができ、あるいは換言すれば、電子システムに電力を送出する電池1300の能力を判断することができる。一実施形態において、主プロセッサ1902は単純に、無負荷時と負荷時の電池1300の差の絶対値を決定し得る。適切な量の電力を送出するのに十分な能力を電池1300が有していないと、主プロセッサ1902が判断した場合、電池が再使用されることがなく、初期不良として分類されるように、主プロセッサ1902は、以下で更に詳細に議論するように、手術用具を無効にし、Discharge Battery信号を出力して電池1300を制御可能に放電させる。
【0101】
一実施形態において、アルゴリズムの一部として、主プロセッサ1902は1つ以上の視覚フィードバック要素1181を有効化する。
図96に示すように、視覚フィードバック要素1181は、少なくとも1つの赤色LEDと、少なくとも1つの緑色LEDと、少なくとも1つの青色LEDとを備える。LEDの各々は、手術用具に関連付けられたアルゴリズムに基づいて電圧を加えられる。主プロセッサ1902はまた、手術用具に関連付けられたアルゴリズムに基づいて、聴覚フィードバック要素を起動する。一実施形態において、聴覚フィードバック要素は、例えば、2.605kHz〜2.800kHzの周波数にて1メートルで65dBaで動作する圧電性ブザーを含む。先に議論したように、視覚及び聴覚フィードバック要素1181は、本明細書で開示する装置に限定されず、他の視覚及び聴覚フィードバック要素を包含することを意図されている。
【0102】
一実施形態において、主プロセッサ1902は、ある出力信号を与える。例えば、電池1300を放電させるために、ある出力信号が回路に与えられる(Discharge Battery)。これについて、
図97を参照して更に詳細に説明する。手術用具に関連付けられたアルゴリズムに従って、いくつかの条件下で電池1300を放電させることが必要となり得る。そのような条件及びアルゴリズムについて、以下で更に詳細に議論する。一実施形態において、手術用具に電圧を加えるために使用される電池1300は、ある状況下で約6時間〜約8時間、最大で約10時間にわたって初期状態の容量を有する。医療手技の後、一部の容量が電池1300に残存する。電池1300は、使い捨ての電池として設計されており、再充電可能ではないので、電池1300が不完全な容量を有しているとき、手術用具の再使用を防止するために、電池1300は使用後に制御可能に放電される。
【0103】
一実施形態において、主プロセッサ1902は、電圧及び電流を負荷に人為的に注入することによって、出力電圧(V)及び電流(I)検出機能を確認し得る。主プロセッサ1902は次いで、負荷からの電圧及び電流を読み取り、セーフモードで手術用具が作動し得るかあるいは機能し得ないかを判断する。一実施形態において、試験電圧及び電流が、電気制御スイッチを介して疑似負荷に印加される。例えば、電子スイッチが2極形リレーを備えてもよい。主プロセッサ1902は、休止状態にあるときに1時間当たり1回、そして各発射前に1回、出力検出機能を確認する。これらの期間は特定の実現形態に応じて異なり得ることが理解されよう。出力検出機能を確認するために、主プロセッサ1902は、以下で
図98に関連して説明する出力検出機能試験回路に、注入試験電圧(Inject Test V)及び注入試験電流(Inject Test I)信号を出力する。先に説明したように、主プロセッサ1902は、検出した電圧及び電流信号V Sense及びI Senseを読み取って、手術用具の電圧(V)及び電流(I)検出機能の動作を判断する。
【0104】
主プロセッサ1902はまた、メモリ1908及び不揮発性メモリ1402に結合されている。主プロセッサ1902によって実行されるコンピュータプログラム命令は、不揮発性メモリ1402(例えば、EEPROM、フラッシュメモリなど)に記憶されている。メモリ1908は、ランダムアクセスメモリ(RAM)であってもよく、とりわけ、実行中の命令、測定データ、変数を記憶するために使用され得る。メモリ1908は揮発性であり、その内容は、電池1300が所定の電圧レベル未満で放電されるときに消去される。不揮発性メモリ1402は不揮発性であり、その内容は、電池1300が所定のレベル未満で放電されるときも消去されない。一実施形態において、例えば、手術用具が既に手技で用いられているとき、手術用具が初期不良であると判断されたとき、又は手術用具が別様に不良であるとき、再使用を防止するため、不揮発性メモリ1402の内容を消去することが望ましい場合もある。これらの状況の各々において、主プロセッサ1902は電池1300の放電操作を開始する。そのような状況下で、不揮発性メモリを消去するための、不揮発メモリ1402内のプログラム命令が、メモリ1908に転送され、ここでプログラムの実行が再開する。メモリ1908から実行される命令は次いで、不揮発性メモリ1402の内容を消去する。
【0105】
安全プロセッサ1904は主プロセッサ1902に結合されており、主プロセッサ1902の動作を監視する。安全プロセッサ1904が主プロセッサ1902の誤動作を確認した場合、安全プロセッサ1904は主プロセッサ1902の動作を無効化し、手術用具を安全モードで停止する。
【0106】
コントローラ1906は、主プロセッサ1902と安全プロセッサ1904の両方に結合されている。一実施形態において、コントローラ1906はまた主プロセッサ1902の動作を監視し、主プロセッサ1902が制御を失った場合、コントローラ1906は安全プロセッサを有効化して、RF増幅器区間を安全な方式で停止する。一実施形態において、コントローラ1906は、限定するものではないが、CPLD(complex programmable logic device)として実装され得る。
【0107】
電池1300の寿命を維持又は延長するために、主プロセッサ1902、安全プロセッサ1904、及び/又はコントローラ1906は、それらが使用されていないときに電源を切られてもよい(例えば、スリープモードにされる)。これにより、デジタル処理システム1900はエネルギーを温存して、電池1300の寿命を維持又は延長することが可能となる。
【0108】
様々な実施形態において、主プロセッサ1902、安全プロセッサ1904、又はコントローラ1906は、モジュール及び/又はブロックなど、いくつかの別々の機能要素を備えてもよい。特定のモジュール及び/又はブロックが一例として説明され得るが、それより多数又は少数のモジュール及び/又はブロックが使用されてもよく、また依然として実施形態の範囲内に含まれることが明らかとなる。更に、様々な実施形態が、説明を容易にするためにモジュール及び/又はブロックの点から説明され得るが、そのようなモジュール及び/又はブロックは、1つ又は複数のハードウェア構成要素、例えばプロセッサ、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、専用集積回路(ASIC)、回路、レジスタ、及び/若しくはソフトウェア構成要素、例えば、プログラム、サブルーチン、ロジック、並びに/又はハードウェア構成要素とソフトウェア構成要素との組合わせによって実現され得る。
【0109】
一実施形態において、デジタル処理システム1900は、ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェア、又はそれらの任意の組合わせとして実現された1つ以上の組込みアプリケーションを備え得る。デジタル処理システム1900は、ソフトウェア、プログラム、データ、ドライバ、アプリケーションプログラムインターフェース(API)など、様々な実行可能モジュールを備え得る。ファームウェアは、ビットマスクされた読出し専用メモリ(ROM)又はフラッシュメモリ内など、不揮発性メモリ1402(NVM)内に記憶され得る。様々な実現形態において、ファームウェアをROM内に記憶することで、フラッシュメモリを保護することができる。NVMは、例えば、プログラム可能ROM(PROM)、消去可能プログラム可能ROM(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能ROM(EEPROM)、又は、ダイナミックRAM(DRAM)、ダブルデータレートDRAM(DDRAM)、及び/若しくはシンクロナスDRAM(SDRAM)などのバッテリバックアップ型のランダムアクセスメモリ1908(RAM)を含め、他の種類のメモリを含み得る。
【0110】
図97は、一実施形態による電池放電回路11000を示している。通常の動作において、ライン11004は低電位に保たれ、シリコン制御整流器11002などの電流制御装置がOFF状態にあり、また、シリコン制御整流器11002のアノード「A」からカソード「C」に電流が流れないので、電池電圧V
battが電子システム1400に印加される。高電位の制御信号「Discharge Battery」が主プロセッサ1902によってライン11004に印加されると、シリコン制御整流器11002のゲート「G」はコンデンサC
1によってhighに保たれ、シリコン制御整流器11002はアノード「A」から「C」に電流を導く。放電電流は抵抗器R
4によって制限される。別の実施形態において、電流制御装置は、シリコン制御整流器11002を使用するのではなく、電子スイッチが電池1300からの電流の放出を制御するように構成され得る電子要素の中でも、1つ以上のダイオード、トランジスタ(例えば、FET、バイポーラ、ユニポーラ)、リレー(固体又は電気機械式)、光アイソレータ、光結合器を使用して実現され得る。
【0111】
図98は、一実施形態による、出力検出試験回路と磁気スイッチ要素とを備えたRF増幅器区間を示している。先に議論したように、一実施形態において、主プロセッサ1902は、対応する第1の試験電流11102及び第2の試験電流11104を疑似負荷11114に注入することによって、出力電流(I)及び出力電圧(V)検出機能を確認し得る。主プロセッサ1902は次いで、疑似負荷11114から、電流検出端子11120を通る対応する出力検出電流(I Out Sense 1)と電圧検出端子11122を通る対応する出力検出電流(I Out Sense 2)を読み取り、手術用具が安全モードで作動し得るかあるいは機能し得ないかを判断する。一実施形態において、試験電流及び電圧は、FETトランジスタ、固定リレー、2極形リレーなどの電子制御スイッチを介して疑似負荷に印加される。主プロセッサ1902は、休止状態にあるときに1時間当たり1回、そして各発射前に1回、出力検出機能を確認する。これらの期間は特定の実現形態に応じて異なり得ることが理解されよう。
【0112】
出力検出機能を確認するために、主プロセッサ1902は、駆動器回路11116を無効化することによってRF増幅器区間11112の動作を無効化する。RF増幅器区間11112が無効化されると、主プロセッサ1902は、第1の注入試験電流(Inject Test I)信号と第2の注入試験電圧(Inject Test V)信号を出力検出試験回路11100に出力する。結果として、第1の試験電流11102が、トランジスタT1 11106をONにする抵抗器に注入され、トランジスタT1 11106はトランジスタT2 11108をONにして、トランジスタT2 11108に流れるI Out Sense 1電流を発生させる。電流I Out Sense 1は電流検出端子11120から流出し、主プロセッサ1902によってI Sense信号として検知される。第2の試験電流11104が、固体リレー11110(SSR)の入力区間を通じて加えられる。これにより、電流I Out Sense 2が疑似負荷11114を通じて流れることになる。電流I Out Sense 2は電流検出端子11122から流出し、主プロセッサ1902によってV Sense信号として検知される。疑似負荷11114は、抵抗器R1〜R4から構成された第1の分圧器ネットワークと、R5〜R8から構成された第2の分圧ネットワークとを備える。先に説明したように、主プロセッサ1902は、検出した電圧及び電流信号V Sense及びI Senseを読み取って、手術用具の電圧(V)及び電流(I)検出機能の動作を判断する。
【0113】
一実施形態において、磁気作動要素1606は、磁石と連動して働く。
図98に示すように、一実施形態において、磁気作動要素はリードスイッチ11118として実現され得る。リードスイッチ11118は、磁石で発生された磁束によって第1の状態に保たれている間、電池の電力を電子システムから電気的に切断する。以下で説明するように、磁石が取り除かれ、磁束がリードスイッチ11118に影響を及ぼさなくなると、電池の電力が電子システムに接続され、システムは初期化アルゴリズムを受ける。
【0114】
エネルギーを温存し、それによって電池1300の寿命を延長するために、ハードウェア回路の特定の区間が停止されるかあるいはスリープモードにされ得る。特に、試験電流及び試験電圧の注入に関連付けられ、出力検出電流を検知する増幅器回路が、エネルギーを温存するために、スリープモードにされるかあるいは周期的に停止され得る。
【0115】
図100〜107は、本明細書で説明した手術用具600、700、800、900、1000、1100の各実施形態のいずれかで利用され得るシャフト組立体608の一実施形態を示している。様々な関節区間612がシャフト組立体608の種々の構成に対して利用され得ることが理解されよう。本明細書で議論した手術用具600、700、800、900、1000、1100のいずれかで利用され得る様々な関節区間の例が、出願第660号で見出され得る。(A)並列支持レールを備えた関節区間、(B)成形ジョイントによって形成された関節区間、(C)ビード付きの関節区間、及び(D)関節制御構成など、関節ジョイント構成のいくつかの例が、参照によって本明細書に組み込まれる出願第660号に記載されている。
【0116】
図108〜111は、本明細書で説明した手術用具600、700、800、900、1000、1100のいずれかで利用され得る関節区間1206を備えたシャフト組立体1200の一実施形態を示している。図示のように、シャフト組立体1200は、単に遠位エンドエフェクタ1202(ジョー)を回転させる遠位スリップリング1204を備え、シャフト組立体1200の残りは依然として不動である。遠位スリップリング1202により、ユーザーは、アクセスの改善、視認性の改善、そしてより容易な切開封止を伴って、組織平面を関節区間1206に対して遠位側に向けることが可能となる。遠位スリップリング1204により、電気的連続性を失うことなく、関節区間1206の遠位側でエンドエフェクタ1202を連続的に回転させることができる。遠位ビードにおける支持表面1208が、接触面を減らすために設けられている。更なる関節構成が、参照によって本明細書に組み込まれる出願第660号に記載されている。
【0117】
図112は、本明細書で説明した手術用具600、700、800、900、1000、1100にて利用され得るエンドエフェクタ1302の一実施形態を示している。エンドエフェクタ1302は、上部ジョー1304と、下部ジョー1306と、カッター要素用のスロット1328とを備えている。図示の実施形態において、手術用具600、700、800、900、1000、1100が単極モードと2極モードのいずれでも動作できるようにするため、下部ジョー1306は、突き出たワイヤ1329を備えている。一実施形態において、モード切替え回路及び機構が設けられ得る。
【0118】
本明細書で説明した手術用具600、700、800、900、1000、1100の様々な実施形態が、一般にロボットシステム200(
図2)によって供給される電力で作動される電動スプール又は回転可能な本体を備える。組織の切断及び/又は凝固の目的で更なる電力が必要である場合、用具装着部分614、714、814、914、1014、1114のハウジング内部に、別のモータが装着され得る。
【0119】
上で議論した手術用具600、700、800、900、1000、1100の様々な実施形態が、使い捨て式であるシャフト組立体608、708、808、908、1008、1108と用具装着部分614、714、814、914、1014、1114とを備え得る。他の実施形態において、しかしながら、シャフト組立体608、708、808、908、1008、1108が容易に分解及び処分され得る一方で、用具装着部分614、714、814、914、1014、1114が洗浄及び再滅菌の後に再使用され得るように、手術用具600、700、800、900、1000、1100が設計されることが企図される。
【0120】
いくつかの態様が、「結合された」及び「連結された」という表現を、それらの派生語と共に用いて説明され得る。これらの用語は互いに同義語とすることを意図したものではないことを理解されたい。例えば、いくつかの態様は、2つ以上の要素が互いに直接、物理的又は電気的接触をなすことを示すために、「連結された」という用語を用いて説明され得る。別の例において、いくつかの態様は、2つ以上の要素が直接、物理的又は電気的接触をなすことを示すために、「結合された」という用語を用いて説明され得る。「結合された」という用語はまた、しかしながら、2つ以上の要素が互いに直接、接触をなさないが、依然として互いに協働又は相互作用することをも意味し得る。
【0121】
本明細書における各例については、主に電気手術器具の状況下で説明されているが、本明細書の教示は、様々な他の種類の医療器具に容易に適用され得ることを理解されたい。単に一例として、本明細書の教示は、組織把持器、組織回収パウチ配置器具、手術用ステープラ、超音波手術器具などに容易に適用され得る。また、理解されたいこととして、本明細書の教示は、本明細書で引用した文献のいずれかに記載された器具のいずれかに容易に適用され得るものであり、そのため、本明細書の教示は、本明細書で引用した文献のいずれかの教示と様々な方式で容易に組み合わされ得る。本明細書の教示が組み込まれ得る他の種類の器具が、当業者には明らかとなろう。
【0122】
理解されたいこととして、参照によって本明細書に組み込まれると述べられた任意の特許、公報、又は他の開示資料は、部分的にあるいは全体的に、その組み込まれた資料が既存の定義、記載内容、又は本開示に示した他の開示資料と矛盾しない範囲で本明細書に組み込まれる。したがって、必要な範囲で、本願に明示的に示した開示内容は、参照によって本願に組み込まれる、矛盾するいかなる文献にも優先する。参照によって本願に組み込まれると述べられた要素又はその一部分であっても、既存の定義、記載内容、又は本願に示された他の開示要素と矛盾するものは、その組み込まれる要素と既存の開示要素との間に矛盾が生じない範囲でのみ組み込まれる。
【0123】
本明細書で開示する装置及びそれらの構成要素の実施形態は、通常の内視鏡及び開放手術器具における応用性、並びにロボット支援手術における応用性を有し得る。例えば、当業者には明らかとなることであるが、本明細書の様々な教示は、参照によってその開示内容が本明細書に組み込まれる、2004年8月31日公開の米国特許第6,783,524号、名称「超音波焼灼及び切断器具を備えたロボット手術用具(Robotic Surgical Tool with Ultrasound Cauterizing and Cutting Instrument)」の様々な教示と容易に組み合わされ得る。
【0124】
本明細書で開示した装置の実施形態は、1回の使用後に処分されるように設計されてもよく、あるいは、それらの実施形態は、複数回使用されるように設計されてもよい。実施形態は、いずれの場合も、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整されることは、装置を分解する工程、それに続いて特定の部品を洗浄及び交換する工程、並びにその後に再組み立てする工程の任意の組み合わせを含み得る。特に、装置の各実施形態は分解されてもよく、また、装置の任意の個数の特定の部片又は部品が、任意の組み合わせで選択的に交換されるか、あるいは取り外されてもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換の際、装置の各実施形態は、再調整用の施設で、又は外科手技の直前に外科チームによって、後の使用のために再組み立てされてよい。装置の再調整では、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術が利用され得ることが、当業者には理解されよう。そのような技術の利用、及びその結果として得られる再調整された装置はすべて、本願の範囲に含まれる。
【0125】
例に過ぎないが、本明細書で説明した実施形態は、手術前に処理されてもよい。まず、新品又は使用済みの器具が入手され、必要に応じて洗浄されてもよい。器具は次いで、滅菌されてもよい。ある滅菌技術において、器具は、プラスチック製又はタイベック(TYVEK)製のバックなど、閉じられた密封容器内に置かれる。次いで、容器と器具は、ガンマ放射線、X線、又は高エネルギー電子など、容器を透過し得る放射線の場に置かれ得る。放射線により、器具上及び容器内の細菌を死滅させてもよい。次いで、滅菌された器具は、滅菌容器内に格納され得る。密封容器は、医療施設で開けられるまで、器具を滅菌状態に保ち得る。装置はまた、限定されるものではないが、ベータ若しくはガンマ放射線、エチレンオキシド、又は水蒸気を含めて、当該技術分野で既知の任意の他の技術を使用して滅菌されてもよい。
【0126】
本発明の装置及び構成要素の様々な実施形態について図示し説明したので、本明細書で説明した方法及びシステムの更なる改作が、当業者による適切な修正により、本発明の範囲を逸脱することなく達成され得る。そのような考えられる修正のいくつかが述べられており、また、その他の修正が当業者には明らかとなろう。例えば、上で議論した例、実施形態、幾何学的形状、材料、寸法、比率、工程などは、例示的なものであり、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲から考慮されるべきであり、本明細書及び図面に示し説明した構造及び操作の細部に限定されると解釈されるものではない。
【0127】
各態様のある特徴について、本明細書に記載の通り説明したが、ここで、多数の修正形態、置換形態、変化形態、及び等価形態が当業者には思い付くであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのような修正形態及び変化形態を、開示する実施形態の範囲内に含まれるものとして扱うことを意図したものであることを理解されたい。
【0128】
〔実施の態様〕
(1) 手術用具であって、
用具装着ハウジングと、用具装着プレートと、結合具とを備える用具装着部分であって、前記結合具は、関節区間を備えたシャフト組立体を前記用具装着部分に結合するためのものである、用具装着部分と、
前記シャフト組立体の近位端部を受容して前記シャフト組立体の前記関節区間を関節運動させるように構成された関節機構と、
前記用具装着部分をマニピュレータに機械的にかつ電気的に結合するためのインターフェースとを備える、手術用具。
(2) 前記関節機構は、前記シャフト組立体の前記関節区間を関節運動させるように作動する少なくとも1つのラックピニオンギヤ機構を備える、実施態様1に記載の手術用具。
(3) 前記ラックピニオンギヤ機構は、
第1の回転胴部に回転可能に結合された第1のピニオンギヤであって、前記第1の回転胴部は、前記インターフェースに回転可能に結合するように適合された第1の従動要素に結合される、第1のピニオンギヤと、
前記第1のピニオンギヤと噛み合わされた第1のラックギヤであって、第1の関節バンドに連結される、第1のラックギヤとを備える、実施態様2に記載の手術用具。
(4) 前記ラックピニオンギヤ機構は、
第2の回転胴部に結合された第2のピニオンギヤであって、前記第2の回転胴部は、前記インターフェースに回転可能に結合するように適合された第2の従動要素に結合される、第2のピニオンギヤと、
前記第2のピニオンギヤと噛み合わされた第2のラックギヤであって、第2の関節バンドに連結される、第2のラックギヤとを備える、実施態様3に記載の手術用具。
(5) 前記関節機構は、前記シャフト組立体の前記関節区間を関節運動させるように作動するカム機構を備える、実施態様1に記載の手術用具。
【0129】
(6) 前記カム機構は、
第1及び第2のカム部分を備える二重カムであって、前記二重カム組立体は、回転胴部に回転可能に結合され、前記回転胴部は、前記インターフェースに回転可能に結合するように適合された従動要素に結合される、二重カムと、
第1のカム部分に作動的に結合される第1の端部を有する第1の従動アームと、
前記第2のカム部分に作動的に結合される第1の端部を有する第2の従動アームとを備える、実施態様5に記載の手術用具。
(7) 前記第1の従動アームは第1のピボットスプールに回転可能に結合された第2の端部を有し、前記第2の従動アームは第2のピボットスプールに回転可能に結合された第2の端部を有する、実施態様6に記載の手術用具。
(8) 前記第1及び第2の従動アームの関節位置に影響を与えることなく、前記シャフト組立体の回転が可能となるように、前記第1及び第2の従動アームそれぞれの下方に装着された第1及び第2のブッシュを更に備える、実施態様6に記載の手術用具。
(9) 前記第1及び第2のブッシュは、前記シャフト組立体の回転位置に影響を与えることなく、対応する前記第1及び第2の従動アームと共に往復する、実施態様8に記載の手術用具。
(10) 時計回り(CW)及び反時計回り(CCW)方向における前記シャフト組立体の回転を制御するためのシャフト組立体回転機構を更に備える、実施態様1に記載の手術用具。
【0130】
(11) 前記シャフト組立体回転機構は、回転胴部に結合された第1の螺旋状ウォームギヤと、前記シャフト組立体に結合された第2の螺旋状ウォームギヤとを備え、前記第1の螺旋状ウォームギヤは前記第2の螺旋状ウォームギヤと噛み合わされる、実施態様10に記載の手術用具。
(12) 前記シャフト組立体回転機構は、
回転胴部に結合されたギヤと、
第1及び第2の開口部を備える固定ポストと、
前記シャフト組立体に結合された第1及び第2の回転ピンと、
ケーブルとを備え、
前記ケーブルは前記回転胴部に巻き付けられ、前記ケーブルの第1の端部が、前記固定ポストの前記第1の開口部に通して配置され、前記第1の回転ピンに固定式に結合され、前記ケーブルの第2の端部が、前記固定ポストの前記第2の開口部に通されて配置され、前記第2の回転ピンに固定式に結合される、実施態様10に記載の手術用具。
(13) クランプジョー開閉及びナイフ作動機構を更に備える、実施態様1に記載の手術用具。
(14) 前記クランプジョー開閉及びナイフ作動機構はラックピニオンギヤ機構を備える、実施態様13に記載の手術用具。
(15) 前記ラックピニオンギヤ機構は、エンドエフェクタに作動的に結合されたラックギヤと噛み合わされたピニオンギヤを備える、実施態様14に記載の手術用具。
【0131】
(16) 前記用具装着部分内に配置された電池を更に備える、実施態様1に記載の手術用具。
(17) 高周波(RF)発生回路を更に備え、前記RF発生回路は、前記ハンドルに結合されるものであり、RF駆動信号を発生させるように、また前記RF駆動信号を前記少なくとも1つの電気接点に供給するように作動可能であり、並列共振回路を備える、実施態様1に記載の手術用具。
(18) 前記RF発生回路は、方形波信号などの周期的に変動する信号を直流(DC)供給部から発生させるスイッチング回路を備え、前記共振回路は前記周期的に変動する信号を受信するように構成され、前記周期的に変動する信号はデューティサイクル変調される、実施態様17に記載の手術用具。
(19) リミットスイッチを更に備える、実施態様1に記載の手術用具。
(20) 前記用具装着部分に作動的に結合されたシャフト組立体を更に備え、前記シャフト組立体は、関節区間とエンドエフェクタとを備える、実施態様1に記載の手術用具。
【0132】
(21) 前記関節区間の遠位端部を越えて前記エンドエフェクタの前記近位端部に配置された遠位スリップリングを更に備える、実施態様20に記載の手術用具。
(22) 前記エンドエフェクタに結合された突き出したワイヤを更に備える、実施態様20に記載の手術用具。