(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の圧縮段を含んでいる圧縮セクションと、燃焼セクションと、複数のタービン段を含んでいるタービンセクションと、回転可能とされるロータとを含んでいる、ガスタービンエンジンのベーンキャリア温度制御システムにおいて、
前記ベーンキャリア温度制御システムが、
ロータ冷却空気を前記ロータに供給するロータ冷却空気源と、
前記圧縮セクションから抽出されたベーンキャリア冷却空気の第1の部分をベーンキャリアの第1のセクションに供給する第1のベーンキャリア冷却空気源であって、前記ベーンキャリアが、前記タービンセクションの内部において複数の翼列を支持している、前記第1のベーンキャリア冷却空気源と、
前記圧縮セクションから抽出されたベーンキャリア冷却空気の第2の部分を前記ベーンキャリアの第2のセクションに供給する第2のベーンキャリア冷却空気源であって、前記第2のセクションが、高温の作動ガスが前記タービンセクションを通じて流れる方向によって規定されるアキシアル方向において前記第1のセクションから離隔している、前記第2のベーンキャリア冷却空気源と、
前記ベーンキャリア冷却空気の前記第1の部分及び前記第2の部分のうち少なくとも1つの部分の温度を制御するための空気温度制御システムと、
を備えており、
前記空気温度制御システムが、熱交換器と二次冷却器とを備えており、
前記燃焼セクションの燃焼器に供給するための燃料が、前記二次冷却器の内部において前記ベーンキャリア冷却空気の前記第2の部分を冷却するために、冷却剤として前記熱交換器で利用され、
前記熱交換器が、前記二次冷却器の上流に配置されており、前記ベーンキャリア冷却空気の前記第1の部分が、前記ベーンキャリア冷却空気の前記第2の部分が前記二次冷却器に流入する前に、前記熱交換器の内部において前記ベーンキャリア冷却空気の前記第2の部分を冷却するために、冷却材として利用され、
前記ベーンキャリア冷却空気の前記第1の部分が好ましい温度より高い温度に加熱されず、前記ベーンキャリア冷却空気の前記第1の部分が前記ベーンキャリア冷却空気の前記第2の部分を所望の温度に至るまで冷却するための容量を有していない場合に、前記二次冷却器が、前記ベーンキャリア冷却空気の前記第2の部分を所定の温度に至るまで冷却するために利用されること特徴とするベーンキャリア温度制御システム。
前記熱交換器が、前記ベーンキャリア冷却空気の前記第1の部分及び前記第2の部分それぞれが前記ベーンキャリアに供給される位置に対応するアキシアル方向位置において、前記ベーンキャリア冷却空気の前記第1の部分及び前記第2の部分の温度が前記ロータ冷却空気の温度に対して約25℃以内の範囲にあるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のベーンキャリア温度制御システム。
複数の圧縮段を含んでいる圧縮セクションと、燃焼セクションと、複数のタービン段を含んでいるタービンセクションと、回転可能とされるロータとを含んでいる、ガスタービンエンジンのベーンキャリア温度制御システムにおいて、
前記ベーンキャリア温度制御システムが、
ロータ冷却空気を前記ロータに供給するロータ冷却空気源と、
圧縮空気が前記圧縮セクションを通じて流れる方向に関する前記圧縮セクションの上流セクションから抽出されたベーンキャリア冷却空気の第1の部分を、高温の作動ガスが前記タービンセクションを通じて流れる方向によって規定されるアキシアル方向に関するベーンキャリアの下流セクションに供給する第1のベーンキャリア冷却空気源であって、前記ベーンキャリアが、前記タービンセクションの内部において複数の翼列を支持している、前記第1のベーンキャリア冷却空気源と、
圧縮空気が前記圧縮セクションを通じて流れる方向に関する、前記圧縮セクションの下流セクションから抽出されたベーンキャリア冷却空気の第2の部分を、アキシアル方向における前記ベーンキャリアの上流セクションに供給する第2のベーンキャリア冷却空気源と、
圧縮空気が前記圧縮セクションを通じて流れる方向に関する前記圧縮セクションの中間セクションから抽出された前記ベーンキャリア冷却空気の第3の部分を、アキシアル方向における前記ベーンキャリアの中間セクションに供給する第3のベーンキャリア冷却空気源と、
前記ベーンキャリア冷却空気の前記第2の部分の温度を制御するために、熱交換器及び二次冷却器を含んでいる空気温度制御システムであって、前記二次冷却器が、前記ベーンキャリア冷却空気の前記第2の部分の温度が、所定位置において、前記ロータ冷却空気の温度に対して所定の温度差の範囲内にあるように、冷却材として、前記燃焼セクションの燃焼器に供給される燃料を利用する、前記空気温度制御システムと、
を備えており、
前記熱交換器が、前記二次冷却器の上流に配置されており、前記ベーンキャリア冷却空気の前記第1の部分が、前記ベーンキャリア冷却空気の前記第2の部分が前記二次冷却器に流入する前に、前記熱交換器の内部において前記ベーンキャリア冷却空気の前記第2の部分を冷却するために、冷却材として利用されること特徴とするベーンキャリア温度制御システム。
前記熱交換器が、前記ベーンキャリア冷却空気の前記第1の部分及び前記第2の部分それぞれが前記ベーンキャリアに供給される位置に対応するアキシアル方向位置において、前記ベーンキャリア冷却空気の前記第1の部分及び前記第2の部分の温度が前記ロータ冷却空気の温度に対して約25℃以内の範囲にあるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載のベーンキャリア温度制御システム。
複数の圧縮段を含んでいる圧縮セクションと、燃焼セクションと、複数のタービン段を含んでいるタービンセクションと、回転可能とされるロータとを含んでいる、ガスタービンエンジンを動作させるための方法において、
前記方法が、
ロータ冷却空気を前記ロータに供給するステップと、
圧縮空気が前記圧縮セクションを通じて流れる方向に関する前記圧縮セクションの上流セクションから抽出されたベーンキャリア冷却空気の第1の部分を、高温の作動ガスが前記タービンセクションを通じて流れる方向によって規定されるアキシアル方向に関するベーンキャリアの下流セクションに供給するステップであって、前記ベーンキャリアが、前記タービンセクションの内部において複数の翼列を支持している、前記ステップと、
圧縮空気が前記圧縮セクションを通じて流れる方向に関する前記圧縮セクションの下流セクションから抽出されたベーンキャリア冷却空気の第2の部分を、アキシアル方向における前記ベーンキャリアの上流セクションに供給するステップと、
熱交換器及び二次冷却器を有している空気温度制御システムの内部において前記ベーンキャリア冷却空気の前記第2の部分の温度を制御するステップであって、前記二次冷却器が、前記ベーンキャリア冷却空気の前記第1の部分及び前記第2の部分のうち少なくとも1つの部分の温度が、所定位置において、前記ロータ冷却空気の温度に対して所定の温度差の範囲内にあるように、前記燃焼セクションの燃焼器に供給するための燃料を利用する、前記ステップと、
を備えており、
前記熱交換器が、前記二次冷却器の上流に配置されており、前記ベーンキャリア冷却空気の前記第1の部分が、前記ベーンキャリア冷却空気の前記第2の部分が前記二次冷却器に流入する前に、前記熱交換器の内部において前記ベーンキャリア冷却空気の前記第2の部分を冷却するために、冷却材として利用されることを特徴とする方法。
圧縮空気が前記圧縮セクションを通じて流れる方向に関する前記圧縮セクションの中間セクションから抽出された前記ベーンキャリア冷却空気の第3の部分を、アキシアル方向における前記ベーンキャリアの中間セクションに供給するステップを備えていることを特徴とする請求項10に記載の方法。
前記方法が、選択された運転状態において、前記ベーンキャリア冷却空気の前記第1の部分及び前記第2の部分に前記熱交換器を選択的に迂回させるために、一組のバイパス回路を準備するステップを備えていることを特徴とする請求項10に記載の方法。
前記ベーンキャリア冷却空気の前記第1の部分及び前記第2の部分のうち少なくとも1つの部分の温度を制御するステップが、前記ベーンキャリア冷却空気の前記第1の部分及び前記第2の部分それぞれが前記ベーンキャリアに供給される位置に対応するアキシアル方向位置において、前記ベーンキャリア冷却空気の前記第1の部分及び前記第2の部分の温度それぞれが前記ロータ冷却空気の温度に対して約25℃以内の範囲にあるように、前記ベーンキャリア冷却空気の前記第1の部分及び前記第2の部分の温度を制御することを含んでいることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
好ましい実施例についての以下の詳細な説明では、本出願の一部分を形成している添付図面を参照する。添付図面は、限定することを意図せず、図解することを目的として、本発明を具体化した好ましい実施例を表わす。他の実施例が利用可能であり、本発明の技術的思想及び技術的範囲を逸脱することなく、変更することができることに留意すべきである。
【0009】
図1は、本発明におけるガスタービンエンジン10を表わす。ガスタービンエンジン10は、圧縮セクション12と、複数の燃焼器16(単一の燃焼器16のみを
図1に表わす)を含んでいる燃焼セクション14と、タービンセクション18とを備えている。好ましくは、本発明におけるガスタービンエンジン10は、ガスタービンエンジン10の内部においてアキシアル方向を規定しているガスタービンエンジン10の長手方向軸線L
Aの周りに配置されている、環状列の燃焼器16を備えていることに留意すべきである。ここで、アキシアル方向は、圧縮空気C
Aが圧縮セクション12を通じて流れる方向と、高温の作動ガスH
Gがタービンセクション18を通じて流れる方向とを規定している。一般に、このような構成は、環状筒型燃焼システム(can-annular combustion system)”と呼称される。
【0010】
圧縮セクション12は、流入空気を導入し加圧する。当該流入空気の少なくとも一部分は、燃焼器16に輸送するために、燃焼器シェル20に向かって方向づけられる。以下に説明するように、加圧空気の残り部分は、ガスタービンエンジン10の内部の様々な構成部品を冷却するために、圧縮セクション12から抽出される。
図2A及び
図2Bに表わすように、図示の典型的なガスタービンエンジンの構成では、圧縮セクション12は、13段12A〜12Mを含んでいる。段12A〜12Mそれぞれは、タービンロータ26に結合されている回転圧縮機翼列と、静翼列とを含んでおり、タービンロータ26は、長手方向軸線L
Aに沿ってガスタービンエンジン10を貫通してアキシアル方向に延在している、回転可能とされるシャフト28に対して平行に延在している。また、
図2Aに表わすように、
図1に表わす典型的なガスタービンエンジン10は、アキシアル方向において第1の段12Aの前方に配置されている入口案内翼I
GVから成る列を含んでいる。
【0011】
圧縮セクション12からの圧縮空気C
Aは、燃焼器16に流入すると、燃料と混合され、本明細書では高温の作動ガスとも呼称される高温の燃焼ガスを生成するために点火される。高温作動ガスは、燃焼器16それぞれの内部において高速で且つ乱流状態で流れる。その後に、
図2Cに表わすように、燃焼器16それぞれの内部における燃焼ガスは、移行ダクト30それぞれを通じて流れ、燃焼ガスを膨張させることによって当該燃焼ガスからエネルギを抽出するタービンセクション18に至る。燃焼ガスから抽出されたエネルギの一部は、タービンロータ26を、対応して圧縮機翼列を回転させるために利用される。
【0012】
図2Cに表わすように、図示の典型的なエンジン構成では、タービンセクション18は4つの段18A〜18Dを含んでいる。段18A〜18Dそれぞれが、静翼列32A〜32Dと動翼列36A〜36Dとを含んでおり、静翼列32A〜32Dは、静翼列32A〜32Dのラジアル方向外方に配置されているベーンキャリア34によって支持されており、動翼列36A〜36Dは、タービンロータ26に結合されている。
図2Cに表わすように、ベーンキャリア34は、静翼列32A〜32Dそれぞれについて分割部分34A〜34Dを含んでいるか、又は、より少ない部分を含んでいるが、部分それぞれが、少なくとも1つの静翼列32A〜32Dを支持している。さらに、ベーンキャリア34の分割部分34A〜34Dは、連続的な円筒状部材を備えているか、又は、隣り合う周方向セグメント同士の間に形成されている略アキシアル方向に延在しているスロットを具備する、複数の周方向セグメントから形成されている。
【0013】
ガスタービンエンジン10の内部構成部品に冷却空気を供給するための、本発明の一の実施態様におけるベーンキャリア温度制御システム40について説明する。
【0014】
上述のように、ガスタービンエンジン10の様々な内部構成部品を冷却するために、加圧空気の一部が圧縮機セクション12から抽出される。例えば、本発明の一の実施態様では、以下に詳述するように、圧縮空気の第1の部分が、上流セクション若しくは上流段又は圧縮機セクション12から抽出される。圧縮セクション12は、タービンセクション18の下流段に対応するベーンキャリア34の下流セクションに供給するための、ベーンキャリア温度制御システム40の第1のベーンキャリア冷却空気源42を備えている(
図2B参照)。圧縮空気の第2の部分は、下流セクション若しくは下流段又は圧縮セクション12から抽出される。圧縮セクション12は、タービンセクション18の上流段に対応するベーンキャリア34の上流セクションに供給するための、ベーンキャリア温度制御システム40の第2のベーンキャリア冷却空気源48を備えている(
図2B参照)。圧縮空気の第3の部分は、中間セクション若しくは中間段又は圧縮セクション12から抽出される。圧縮セクション12は、タービンセクション18の中間段に対応するベーンキャリア34の中間セクションに供給するための、ベーンキャリア温度制御システム40の第3のベーンキャリア冷却空気源54を備えている(
図2B参照)。
【0015】
特に図示の実施例では、抽出された圧縮空気の第1の部分は、第5の圧縮段12Eから抽出されたベーンキャリア冷却空気の第1の部分V
A1とされ(
図2B参照)、第5の圧縮段12Eは、第1のベーンキャリア冷却空気源42を備えている。図示の実施例では、ベーンキャリア冷却空気の第1の部分V
A1は、第1の配管システム44を介して、第4のタービン段18D及び第4のベーンキャリア部分34Dに対応するベーンキャリア34の第1のセクション46に供給される(
図2C参照)。
【0016】
抽出された圧縮空気の第2の部分は、第11の圧縮段12Kから抽出されたベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2とされ(
図2B参照)、第11の圧縮段12Kは、第2のベーンキャリア冷却空気源48を備えており、圧縮空気C
Aが圧縮セクション12を通じて流れる方向において、第5の圧縮段12Eから離隔配置されている。図示の実施例では、ベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2は、第2の配管システム50を介して、第2のタービン段18B及び第2のベーンキャリア部分34Bに対応するベーンキャリア34の第2のセクション52に供給される(
図2C参照)。第2のタービン段18Bは、高温の作動ガスH
Gがタービンセクション18を通じて流れる方向によって規定されるアキシアル方向において第4のタービン段18Dから離隔配置されている。
【0017】
抽出された圧縮空気の第3の部分は、第8の圧縮段12Hから抽出されたベーンキャリア冷却空気の第3の部分V
A3とされ(
図2B参照)、第8の圧縮段12Hは、第3のベーンキャリア冷却空気源54を備えており、圧縮空気C
Aが圧縮セクション12を通じて流れる方向において、第5の圧縮段12E及び第11の圧縮段12Kから離隔配置されている。図示の実施例では、ベーンキャリア冷却空気の第3の部分V
A3は、第3の配管システム56を介して、第3のタービン段18C及び第3のベーンキャリア部分34Cに対応するベーンキャリア34の第3のセクション58に供給される(
図2C参照)。第3のタービン段18Cは、アキシアル方向において、第2のタービン段18B及び第4のタービン段18Dから離隔配置されている。本明細書で説明する圧縮器とベーンキャリア冷却空気の部分V
A1〜V
A3それぞれに関連するタービン段とが、例示的なものであり、ベーンキャリア冷却空気の部分V
A1〜V
A3が、任意の適切な圧縮器及び/又はタービン段に関連していることに留意すべきである。
【0018】
さらに、
図2B及び
図2Cに表わすように、ベーンキャリア温度制御システム40は、ロータ冷却空気R
CAをタービンロータ26に供給するロータ冷却空気源70を備えている。
図2Cに表わすように、図示の実施例では、ロータ冷却空気源70は燃焼器シェル20を備えており、燃焼器シェル20の内部において、圧縮空気の一部が第4の配管システム72によって抽出され、外部冷却器74内で冷却される。その後に、従来技術に基づく方法によって、ロータ冷却空気R
CAはタービンロータ26に供給される。
図1に表わす実施例では、タービンロータ26は、第4の配管システム72と連通している複数のロータ冷却空気配管76を備えている(一のロータ冷却空気配管76のみを
図1、
図2B、及び
図2Cに表わす)。
【0019】
また、
図2Cに表わすように、本発明におけるベーンキャリア温度制御システム40は、ベーンキャリア冷却空気の第1〜第3の部分V
A1〜V
A3のうち少なくとも1つの部分の温度を制御するための熱交換器82を具備する空気温度制御システム80を備えている。図示の実施例では、熱交換器82は、ベーンキャリア冷却空気の第1の部分V
A1及びベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2の温度を制御する。具体的には、当該実施例における熱交換器82は、ベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2を冷却するために、ベーンキャリア冷却空気の第1の部分V
A1を冷却剤として利用する。圧縮セクション12の上流セクションすなわち図示の実施例における第5の圧縮段12Eから抽出される、ベーンキャリア冷却空気の第1の部分V
A1が、ベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2の下流セクションすなわち図示の実施例における第11の圧縮段12Kから抽出されるベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2より低温であるので、ベーンキャリア冷却空気の第1の部分V
A1は、ベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2を冷却するために、熱交換器82において冷却剤として利用可能とされる。言い換えれば、それぞれの抽出位置におけるベーンキャリア冷却空気の第1の部分V
A1とベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2との温度差を考慮すれば、当業者であれば容易に理解可能であるように、圧縮空気が圧縮空気C
Aの流れ方向において移動し、圧縮セクション12において圧縮されるので、圧縮空気は加熱される。
【0020】
ベーンキャリア冷却空気の第1の部分V
A1は、ベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2を冷却するために、熱交換器82において冷却剤として利用されるが、他の構成であっても良い。例えば、ベーンキャリア冷却空気の第1の部分V
A1は、ベーンキャリア冷却空気の第3の部分V
A3を冷却するために、熱交換器において冷却剤として利用され、及び/又は、ベーンキャリア冷却空気の第3の部分V
A3は、ベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2を冷却するために、熱交換器において冷却剤として利用される。
【0021】
さらに、
図2Cに表わす空気温度制御システム80は、任意に、ベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2をさらに冷却するために、二次冷却器84を含んでいる。ベーンキャリア冷却空気の第1の部分V
A1が好ましい温度より高い温度に加熱されず、ベーンキャリア冷却空気の第1の部分V
A1がベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2を所望の温度に至るまで冷却するための容量を有していない場合に、二次冷却器84は、ベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2を所定の温度に至るまで冷却するために必要とされる。二次冷却器84は、例えば周囲空気を、ミストを、蒸気を、又はベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2を冷却するために冷却剤として燃焼器16に供給される燃料を利用することができる。
【0022】
本発明の当該実施例における空気温度制御システム80の主要機能は、所定の位置においてベーンキャリア冷却空気の第1の部分V
A1及びベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2それぞれとロータ冷却空気R
CAの温度との温度差が、所定の温度差の範囲内に、例えば約25℃以内の範囲にあるように、ベーンキャリア冷却空気の第1の部分V
A1及びベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2の温度を制御することである。好ましくは、ベーンキャリア冷却空気の第3の部分V
A3が抽出された場合に、ベーンキャリア冷却空気の第3の部分V
A3とロータ冷却空気R
CAとの温度差が所定の温度差の範囲内にあるように、当該実施例におけるベーンキャリア冷却空気の第3の部分V
A3の抽出位置が選定されることに留意すべきである。これにより、空気温度制御システム80が、ベーンキャリア冷却空気の第3の部分V
A3を加熱又は冷却するために必要とされなくなる。好ましくは、ベーンキャリア冷却空気の第1〜第3の部分V
A1〜V
A3の温度が、ロータ冷却空気R
CAの温度より低いことに留意すべきである。
【0023】
一の実施例では、ロータ冷却空気R
CAがタービンセクション18に配置されているタービンロータ26の一部分に導かれる場合に、ベーンキャリア冷却空気の第1〜第3の部分V
A1〜V
A3それぞれの温度とロータ冷却空気R
CAの温度との温度差が所定の範囲内とされるように、ベーンキャリア冷却空気の第1〜第3の部分V
A1〜V
A3の温度は制御又は抽出される。すなわち、当該実施例の所定位置は、ロータ冷却空気R
CAがタービンセクション18に配置されているタービンロータ26の一部分に導かれる位置とされる。
【0024】
他の実施例では、ベーンキャリア冷却空気の第1〜第3の部分V
A1〜V
A3それぞれがベーンキャリア34に供給される位置に対応するアキシアル方向位置において、ベーンキャリア冷却空気の第1〜第3の部分V
A1〜V
A3の温度それぞれとロータ冷却空気R
CAの温度との温度差が所定の範囲内とされるように、ベーンキャリア冷却空気の第1〜第3の部分V
A1〜V
A3の温度が制御又は抽出される。すなわち、当該実施例に従った所定の位置は、ベーンキャリア冷却空気の第1〜第3の部分V
A1〜V
A3それぞれがベーンキャリア34に供給される位置に対応するアキシアル方向位置とされる。言い換えれば、ロータ冷却空気R
CAがタービンロータ26に導入され、タービンロータ26を通じてアキシアル方向下流に移動するので、タービンロータ26を冷却した結果として、及び、ロータ冷却空気R
CAの速度をタービンロータ26の回転速度に到達させるというタービンロータ26の仕事によって、ロータ冷却空気R
CAは加熱される。従って、ベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2がベーンキャリア34に導入される位置に対応するアキシアル方向位置に、すなわち、図示の実施例における第2のタービン段18Bにロータ冷却空気R
CAが到達するまでは、ロータ冷却空気R
CAの温度は、ロータ冷却空気R
CAがタービンロータ26に導入されたときの温度より高い。同様に、ベーンキャリア冷却空気の第3の部分V
A3がベーンキャリア34に導入される位置に対応するアキシアル方向位置に、すなわち、図示の実施例における第3のタービン段18Cにロータ冷却空気R
CAが到達するまでは、ロータ冷却空気R
CAの温度でさえも、ロータ冷却空気R
CAが第2のタービン段18Bに到達したときの温度より高い。同様に、ベーンキャリア冷却空気の第1の部分V
A1がベーンキャリア34に導入される位置に対応するアキシアル方向位置に、すなわち、図示の実施例における第4のタービン段18Dにロータ冷却空気R
CAが到達するまでは、ロータ冷却空気R
CAの温度でさえも、ロータ冷却空気R
CAが第3のタービン段18Cに到達したときの温度より高い。従って、空気温度制御システム80と当該実施例におけるベーンキャリア冷却空気の第3の部分V
A3についての抽出位置とは、ベーンキャリア冷却空気の第1〜第3の部分V
A1〜V
A3それぞれがベーンキャリア34に供給される位置に対応するアキシアル方向位置において、ベーンキャリア冷却空気の第1〜第3の部分V
A1〜V
A3それぞれの温度とロータ冷却空気R
CAとの温度差が所定の範囲内とされるように構成されている。本発明の実施態様における典型的な温度については、以下に説明する。
【0025】
図2Cに表わすように、ベーンキャリア温度制御システム40は、第1の配管システム44及び第2の配管システム50から分岐された一組のバイパス回路86,88を備えている。バイパス回路86,88は、ベーンキャリア冷却空気の第1の部分V
A1及びベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2に熱交換器82を選択的に迂回させるための弁86A,88Aを含んでいる。ベーンキャリア冷却空気の第1の部分V
A1を加熱すること、及び/又は、ベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2を冷却することが必要でないか若しくは理想的でない動作状態において、弁86A,88Aは、ベーンキャリア冷却空気の第1の部分V
A1及びベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2に熱交換器82及び二次冷却器84を迂回させるように開く。例えば、ガスタービンエンジン10のベースロード運転として知られている、全負荷運転より小さい負荷の運転の際に、具体的にはスタートアップ運転の際に、ベーンキャリア冷却空気の第1の部分V
A1を加熱すること、及び/又は、ベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2を冷却することが必要でないか若しくは望ましくない。例えばスタートアップ運転の際には、タービンセクション18の動翼列36A〜36Dの先端から離隔するようにベーンキャリア34を熱膨張させることによって、動翼の先端が動翼列36A〜36Dからラジアル方向外方に配置されているリングセグメントと擦れることを防止するために、より高い温度でベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2をベーンキャリア34の第2のセクション52に供給することが望ましい。
【0026】
本発明の当該実施例におけるガスタービンエンジン10を運転するための方法について説明する。全負荷運転又はベースロード運転である第1の動作モードの際には、ベーンキャリア冷却空気の第1〜第3の部分V
A1〜V
A3が、上述の本発明の典型的な実施例における第5,第11、及び第8の圧縮段12E,12K,12Hそれぞれに設けられた第1〜第3のベーンキャリア冷却空気源42,48,54から抽出される。ベーンキャリア冷却空気の第1〜第3の部分V
A1〜V
A3の典型的な抽出温度はそれぞれ、約195℃、約370℃、及び約285℃とされるが、当該抽出温度は、エンジン毎に異なるものであり、ガスタービンエンジン10の動作モードに依存する。さらに、第1〜第3のベーンキャリア冷却空気源42,48,54として選定された圧縮段は、例えばロータ冷却空気R
CAの温度及び/又はベーンキャリア冷却空気の第1〜第3の部分V
A1〜V
A3それぞれの理想温度に依存する。
【0027】
ベーンキャリア冷却空気の第1〜第3の部分V
A1〜V
A3は、第1〜第3の配管システム44,50,56それぞれを通じてガスタービンエンジン10のタービンセクション18に向かって輸送される。本発明の当該実施例では、第1の動作モードの際に、バイパス回路86,88の弁86A,88Aが閉じられているので、ベーンキャリア冷却空気の第1の部分V
A1及び第2の部分V
A2が熱交換器82を通過し、ベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2が空気温度制御システム80の二次冷却器84を通過する。
【0028】
ベーンキャリア冷却空気の第1の部分V
A1及び第2の部分V
A2が空気温度制御システム80を通過した場合に、好ましくは、ベーンキャリア冷却空気の第1〜第3の部分V
A1〜V
A3それぞれの温度が、ロータ冷却空気R
CAに対して約25℃以内の範囲にある。本発明の一の典型的な実施態様ではその温度が約310℃であるロータ冷却空気R
CAがタービンセクション18に配置されているタービンロータ26の一部分に流入するからであり、又は、上述のようにベーンキャリア冷却空気の第1〜第3の部分V
A1〜V
A3がベーンキャリア34に導入される位置に対応するアキシアル方向位置において、ロータ冷却空気R
CAの温度が、第2のタービン段18Bにおいて約310℃より僅かに高く、第3のタービン段18Cにおいて第2のタービン段18Bより僅かに高く、且つ、第4のタービン段18Dにおいて第3のタービン段18Cより僅かに高いからである。例えば、ロータ冷却空気R
CAの温度は、第2のタービン段18Bにおいて約320℃〜約330℃とされ、第3のタービン段18Cにおいて約330℃〜約340℃とされ、第4のタービン段18Dにおいて約340℃〜約350℃とされるが、これら温度範囲は典型的なものであり、当該温度範囲が重なっていても、上述の温度範囲から大きく異なっていても良い。上述のように、好ましくは、当該実施例におけるベーンキャリア冷却空気の第3の部分V
A3の抽出位置は、ベーンキャリア冷却空気の第3の部分V
A3が抽出された際にベーンキャリア冷却空気の第3の部分V
A3がロータ冷却空気R
CAの温度に対して約25℃以内の範囲にあるように選定される。これにより、空気温度制御システム80が、ベーンキャリア冷却空気の第3の部分V
A3を加熱又は冷却するために必要とされない。
【0029】
ベーンキャリア冷却空気の第1〜第3の部分V
A1〜V
A3は、その後に、ベーンキャリア冷却空気の第1〜第3の部分V
A1〜V
A3のためのベーンキャリア34のセクションそれぞれに供給される。図示の典型的な実施例では、ベーンキャリア冷却空気の第1の部分V
A1は、第4のタービン段18D及び第4のベーンキャリア部分34Dに対応するベーンキャリア34の第1のセクション46に供給され、ベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2は、第2のタービン段18B及び第2のベーンキャリア部分34Bに対応するベーンキャリア34の第2のセクション52に供給され、ベーンキャリア冷却空気の第3の部分V
A3は、第3のタービン段18C及び第3のベーンキャリア部分34Cに対応するベーンキャリア34の第3のセクション58に供給される。
【0030】
例えばスタートアップ運転のような、全負荷運転より小さい負荷の運転であるガスタービンエンジン10の第2の動作モードの際には、バイパス回路86,88の弁86A,88Aが開いているので、ベーンキャリア冷却空気の第1の部分V
A1及び第2の部分V
A2の大部分が、空気温度制御システム80の熱交換器82及び二次冷却器84を迂回する。すなわち、ベーンキャリア冷却空気の第1の部分V
A1及び第2の部分V
A2が熱交換器82を通じて流れる場合より弁86A,88Aを通過する場合において、流量制限が小さい。但し、ベーンキャリア冷却空気の第1の部分V
A1及び第2の部分V
A2の残り部分は熱交換器82を通過する。このような条件下においては、ベーンキャリア冷却空気の第1〜第3の部分V
A1〜V
A3は、ベーンキャリア冷却空気の第1〜第3の部分V
A1〜V
A3それぞれの抽出温度で、ベーンキャリア34の第1〜第3のセクション46,52,58それぞれに供給される。
【0031】
ロータ冷却空気R
CAの温度に対して実質的に温度整合(thermal match)している温度を有しているベーンキャリア冷却空気の第1〜第3の部分V
A1〜V
A3によってベーンキャリア34の第1〜第3のセクション46,52,58を冷却することは、ベーンキャリア34の第1〜第3のセクション46,52,58それぞれとタービンロータ26とに起因する熱膨張の一様性を一層高めるという効果を有しており、すなわち、ベーンキャリア34の第1〜第3のセクション46,52,58に供給されるベーンキャリア冷却空気の第1〜第3の部分V
A1〜V
A3の温度が制御されない構成とは対照的である。ベーンキャリア34の第1〜第3のセクション46,52,58それぞれとタービンロータ26とに起因する熱膨張の一様性を一層高めることは、ベーンキャリア34の第1〜第3のセクション46,52,58が異なる比率で熱膨張することに起因して発生する問題、例えばガスタービンエンジン10を囲んでいるケーシングの捩じれ、及び/又はタービンセクション18内における動翼36A〜36Dのラジアル方向外方に配置されている環状セグメントに対する動翼36A〜36Dの先端の擦れを低減又は防止する。これにより、これら構成部品の製品寿命が伸び、全負荷運転の際に小さいブレード先端の間隙が維持されるので、エンジン効率を改善することができる。動翼36A〜36Dの先端が環状セグメントを擦ることを低減/防止することによって、過熱に起因する当該先端の酸化を低減/防止することもできる。さもなければ、これら構成部品の擦れによって、動翼36A〜36Dの先端に形成された冷却穴が塞がれるからである。
【0032】
本発明の一の実施態様では、第1のタービン段18A及び第2のタービン段18Bに関連するベーンキャリア34のセクションは、共に結合されているか、さもなければ当該セクションが互いに構造的に連結されているように互いに関連している。また、ベーンキャリア34の第2のセクション52に輸送されるベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2は、第1のタービン段18A及び第1のベーンキャリア部分34Aに関連するベーンキャリア34のセクションに影響を及ぼす。さらに、第1のタービン段18A及び第1のベーンキャリア部分34Aに関連するベーンキャリア34のセクションは、当該セクションが熱膨張せず、リングのように収縮しないようにスロットに挿入されている。さらに、圧縮セクション12から抽出された冷却空気は、例えば第13の圧縮段12Mから、第1のタービン段18A及び第1のベーンキャリア部分34Aに関連するベーンキャリア34のセクションに供給される。
【0033】
さらに、図示の実施例では、ベーンキャリア冷却空気の第1〜第3の部分V
A1〜V
A3が圧縮セクション12から抽出され、ベーンキャリア34に供給されるが、多少のベーン冷却空気が圧縮セクション12から抽出され、ベーンキャリア34に供給されても、本発明の技術的思想及び技術的範囲から逸脱しない。例えば、ベーンキャリア冷却空気の2つの部分のみが圧縮セクション12から抽出され、ベーンキャリア34に供給されても良い。空気温度制御システム80は、ベーンキャリア冷却空気の少なくとも1つの部分が本明細書で説明したロータ冷却空気R
CAの温度に対して実質的に温度整合するように、ベーンキャリア冷却空気の少なくとも1つの部分を制御するために利用される。このような典型的な構成では、ベーンキャリア冷却空気の部分のうち一の部分が、ベーンキャリア冷却空気の他の部分を冷却するために熱交換器で利用され、及び/又は、他の適切な外部冷却源が、以下においてさらに詳述するように利用される。
【0034】
図3は、本発明の他の実施例におけるベーンキャリア温度制御システム140を表わす。
図3においては、同一の構成部材に対して、100加算された参照符号が付されている。
図1及び
図2A〜
図2Cに表わす上述の構造と相違する構造についてのみ、
図3を参照しつつ具体的に説明する。
図1及び
図2A〜
図2Cに表わす実施例から変更されていない当該実施例におけるガスタービンエンジン110の部品については、明瞭性を考慮して図示しない。
【0035】
図3に表わす実施例では、ベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2を冷却するための冷却剤として、熱交換器182においてベーンキャリア冷却空気の第1の部分V
A1を利用するのではなく、当該実施例における空気温度制御システム180の熱交換器182は、ベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2を冷却するための冷却剤として、外部冷却源E
CSを利用する。
図3に表わす実施例における外部冷却源E
CSは、ベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2を冷却するための冷却剤として、周囲空気を利用するが、例えばミスト、蒸気、水、燃焼器116に供給するための燃料のような他の適切な流体も利用可能とされる。代替的には、ロータ冷却空気R
CAを冷却するための外部冷却器174は、ベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2を冷却するための外部冷却源E
CSとしても機能する。
【0036】
図3に表わすように、当該実施例におけるベーンキャリア温度制御システム140は、ベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2に熱交換器182を選択的に迂回させるための弁188Aを具備するバイパス回路188を含んでいる。弁188Aは、ベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2を冷却することが必要とされないか又は望ましくない特定の運転状態において、ベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2の大部分に熱交換器182を迂回させるために開かれる。上述のように、例えばスタートアップ運転のような、ガスタービンエンジン110が全負荷運転より小さい負荷で動作している際に、ベーンキャリア冷却空気の第2の部分V
A2を冷却することが必要とされないか又は望ましくない場合がある。
【0037】
本発明の特定の実施例について図解及び説明したが、当業者にとっては、本発明の技術的思想及び技術的範囲から逸脱することなく様々な変化及び変更が明白である。従って、特許請求の範囲では、本発明の技術的範囲にあるこのような変化及び変更のすべてが保護される。