(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6165934
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】放電加工機
(51)【国際特許分類】
B23H 7/22 20060101AFI20170710BHJP
B23H 1/04 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
B23H7/22 B
B23H1/04 A
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-134015(P2016-134015)
(22)【出願日】2016年7月6日
(65)【公開番号】特開2017-104970(P2017-104970A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2016年7月27日
(31)【優先権主張番号】104141452
(32)【優先日】2015年12月10日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】516203335
【氏名又は名称】ナショナル ガオション ユニヴァーシティ オブ アプライド サイエンシーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】スー ウェン−ジェン
【審査官】
黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−307238(JP,A)
【文献】
特開2002−254247(JP,A)
【文献】
特開2002−18646(JP,A)
【文献】
特開平8−25149(JP,A)
【文献】
特開平2−190219(JP,A)
【文献】
特開昭63−7233(JP,A)
【文献】
特開昭58−137529(JP,A)
【文献】
実開昭57−140928(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23H 7/22
B23H 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電加工機であって、刃具によりワークに放電加工を行うための刃具のドレッシング機能を有し、
持ち上げ動力源及びコントローラを有するステージ本体と、持ち上げ台と、刃具ホルダと、刃具ドレッサと、を含み、
前記コントローラは、前記刃具が前記ステージ本体に対してZ方向に移動可能に前記刃具ホルダを制御し、前記ワークに放電加工を行い、
加工初期位置にある前記刃具の刃先と前記ワークとの距離が第1距離であり、
前記ワーク及び前記刃具ドレッサは、前記持ち上げ台に配置され、
前記コントローラは、前記刃具の刃先が磨耗した場合、前記刃具を前記加工初期位置に戻させ、次に、前記持ち上げ動力源により前記持ち上げ台に動力を供給し、前記持ち上げ台により前記ワーク及び前記刃具ドレッサを同時に持ち上げ、その後、前記刃具ドレッサで前記刃具の刃先をドレッシングし、前記加工初期位置にあるドレッシングされた前記刃具の刃先と前記ワークとの間の距離を前記第1距離にすることを特徴とする放電加工機。
【請求項2】
前記持ち上げ台に配置され、前記ワークを前記ステージ本体に対してX方向及び/又はY方向に移動可能に保持するキャリア部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の放電加工機。
【請求項3】
持ち上げ台を前記ステージ本体に対して前記Z方向に沿って移動することを維持するようにガイドするガイド機構をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の放電加工機。
【請求項4】
伝達機構をさらに含み、
前記持ち上げ動力源は、前記伝達機構を介して、前記持ち上げ台に持ち上げる動力を供給することを特徴とする請求項1に記載の放電加工機。
【請求項5】
前記伝達機構は、第1傾斜面を有する第1プッシャーと、第2傾斜面を有する第2プッシャーとを含み、
前記第1プッシャー及び前記第2プッシャーのそれぞれは、第1方向及び第2方向に移動可能であり、
前記第1傾斜面は、前記第1プッシャーが前記第1方向に移動すると、前記第2傾斜面に押し付けることにより、前記第2プッシャーを前記第2方向に移動させて、前記持ち上げ台を前記ステージ本体に対して移動させることを特徴とする請求項4に記載の放電加工機。
【請求項6】
前記第2プッシャーは、第1持ち上げ傾斜面をさらに有し、
前記持ち上げ台は、持ち上げプッシャーを有し、
前記持ち上げプッシャーは、第3方向に移動可能であり、第2持ち上げ傾斜面を有し、
前記第1持ち上げ傾斜面は、前記第2プッシャーが前記第2方向に移動すると、前記第2持ち上げ傾斜面に押し付けることにより、前記持ち上げプッシャーを前記第3方向に移動させて、前記持ち上げ台を前記ステージ本体に対して移動させることを特徴とする請求項5に記載の放電加工機。
【請求項7】
前記持ち上げ動力源及び前記伝達機構のそれぞれに接続されるリニアモジュールをさらに含み、
前記リニアモジュールは、前記持ち上げ動力源の動力を受けて前記伝達機構にリニア駆動力を供給し、
前記持ち上げ動力源は、前記持ち上げ台から離れて配置されることを特徴とする請求項5に記載の放電加工機。
【請求項8】
前記刃具の刃先の磨耗度を検出するセンサをさらに含み、
前記コントローラは、前記センサによる検出結果を受信し、前記検出結果に基づいて、前記刃具の磨耗した刃先と前記ワークとの距離を前記第1距離よりも小さくするように前記持ち上げ台の持ち上げ具合を調整した後、前記刃具ドレッサにより前記刃具の磨耗した刃先をドレッシングすることを特徴とする請求項1に記載の放電加工機。
【請求項9】
タイマーをさらに含み、
前記センサは、放電パルスセンサであり、
前記コントローラは、前記センサにより前記刃具が前記ワークに対して放電加工する放電パルス数を検出し、単位時間当たりの放電パルス数を計数するように前記タイマーにより計時し、放電加工中の単位時間当たりの放電パルス数の所定値と比較して減少した数が、前記刃具の刃先の磨耗度に反映されることを特徴とする請求項8に記載の放電加工機。
【請求項10】
位置検出器をさらに含み、
前記コントローラは、前記位置検出器により前記ワークに対して放電加工を行う前記刃具の所在位置を検出することにより、前記ワークに対して放電加工を引き続き行うようにドレッシングされた前記刃具をドレッシングされる前に放電加工を行う位置に戻させることを特徴とする請求項9に記載の放電加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工機に関し、特に、刃具のドレッシング機能を有する放電加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非伝統的な加工方式は、伝統的な機械で切削しにくい材料を加工するために幅広く用いられている。一般的に、放電刃具の刃先を利用して材料に対して非接触で行われる放電加工は、非伝統的な加工方式の一種であることがよく知られている。例えば、切削しにくい硬質材料は、放電加工又は放電研削によって加工を行ってもよい。放電研削とは、超硬、切削しにくく、高温耐熱合金などの材料に対して、複雑な3次元輪郭ができるように連続的加工経路に沿って放電加工を行う方法である。しかし、長時間の放電加工により放電刃具の刃先が磨耗してしまうため、深孔放電加工の精度が問題視されている。
【0003】
これに対して、現在、刃先が磨耗した放電刃具を交換するほか、放電刃具の送給経路を調整するように加工プログラムに基づいて加工機を制御し、刃先の磨耗を補正する方法も知られている。例えば、加工プログラムは、刃先が磨耗した場合、刃先の磨耗状況に応じて放電刃具の送給経路を増加させて、刃先の磨耗を補正することで、深孔をねらい通りに放電加工することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、現在、通常の放電加工の現場では、放電刃具の刃先の磨耗状況を予め判断できる効果的な方法がないため、刃先の磨耗を忠実に補正するように加工プログラムで加工機を制御する必要がある。しかし、刃具が磨耗し続けるため、刃先の磨耗を忠実に補正することが不可能となり、放電加工の精密度を向上させることができない。一方、放電刃具を頻繁に交換すると、放電加工の精密度を向上させることができるが、放電加工の効率が低下してしまう欠点がある。
【0005】
本発明は、放電に用いる刃具の磨耗といった問題を解決し、放電加工の精密度及び効率を向上させることが可能な放電加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明に係る放電加工機は、刃具のドレッシング機能を有し、刃具によりワークに放電加工を行い、ステージ本体と、持ち上げ台と、刃具ホルダと、刃具ドレッサとを含み、ステージ本体は、持ち上げ動力源及びコントローラを有し、コントローラは、刃具がステージ本体に対してZ方向に移動可能に刃具ホルダを制御し、ワークに放電加工を行い、加工初期位置にある刃具の刃先とワークとの距離が第1距離であり、ワーク及び刃具ドレッサは、持ち上げ台に配置され、コントローラは、刃具の刃先が磨耗した場合、刃具を加工初期位置に戻させ、次に持ち上げ動力源により持ち上げ台に動力を供給し、持ち上げ台によりワーク及び刃具ドレッサを同時に持ち上げ、その後、刃具ドレッサで刃具の刃先をドレッシングし、加工初期位置にあるドレッシングされた刃具の刃先とワークとの間の距離を第1距離に維持する。
【0007】
また、本発明に係る放電加工機は、キャリア部と、ガイド機構をさらに含むことが好ましい。キャリア部は、持ち上げ台に配置され、ワークをステージ本体に対してX方向及び/又はX方向に移動可能に保持し、ガイド機構は、持ち上げ台をステージ本体に対してZ方向に沿って移動することを維持するようにガイドする。
【0008】
また、本発明に係る放電加工機は、伝達機構をさらに含み、持ち上げ動力源は、伝達機構を介して、持ち上げ台に持ち上げる動力を供給し、伝達機構は、第1傾斜面を有する第1プッシャーと、第2傾斜面を有する第2プッシャーとを含み、第1プッシャー及び第2プッシャーのそれぞれは、第1方向及び第2方向に移動可能であり、第1傾斜面は、第1プッシャーが第1方向に移動すると、第2傾斜面に押し付けることにより、第2プッシャーを第2方向に移動させて、持ち上げ台をステージ本体に対して移動させることが好ましい。
【0009】
また、上記放電加工機において、持ち上げ台は、持ち上げプッシャーを有し、持ち上げプッシャーは、第3方向に移動可能であり、第2持ち上げ傾斜面を有し、これに対し、第2プッシャーは、第1持ち上げ傾斜面をさらに有し、第1持ち上げ傾斜面は、第2プッシャーが第2方向に移動すると、第2持ち上げ傾斜面に押し付けることにより、持ち上げプッシャーを第3方向に移動させ、持ち上げ台をステージ本体に対して移動させることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る放電加工機は、持ち上げ動力源及び伝達機構のそれぞれに接続されるリニアモジュールをさらに含み、リニアモジュールは、持ち上げ動力源の動力を受けて伝達機構にリニア駆動力を供給し、持ち上げ動力源は、持ち上げ台から離れて配置されることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る放電加工機は、センサと、タイマーとをさらに含み、センサは、刃具の刃先の磨耗度を検出し、コントローラは、センサによる検出結果を受信し、検出結果に基づいて、刃具の磨耗した刃先とワークとの距離を第1距離よりも小さくするように持ち上げ台の持ち上げ具合を調整した後、刃具ドレッサにより刃具の磨耗した刃先をドレッシングすることが好ましい。
【0012】
また、上記放電加工機において、センサは、放電パルスセンサであり、コントローラは、センサにより刃具がワークに対して放電加工する放電パルス数を検出し、単位時間当たりの放電パルス数を計数するようにタイマーにより計時し、放電加工中の単位時間当たりの放電パルス数の所定値と比較して減少した数が、刃具の刃先の磨耗度に反映されることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る放電加工機は、位置検出器をさらに含み、コントローラは、位置検出器によりワークに対して放電加工を行う刃具の所在位置を検出することにより、ワークに対して放電加工を引き続き行うようにドレッシングされた刃具をドレッシングされる前に放電加工を行う位置に戻させることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
先行技術に比べて、本発明の放電加工機は、刃具のドレッシング機能を有し、刃具の磨耗した刃先をドレッシングすることができる。加工初期位置にある刃具の毎回ドレッシング後の刃先とワークとの距離を一致させるようにすることにより、加工プログラムで放電刃具の磨耗を補正する必要がなくなる。このように、放電加工の時間を効果的に節約することができるとともに、放電加工の精度を向上させることができる。したがって、微細放電加工や大面積の放電研削に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の放電加工機の一実施例を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す放電加工機の第1状態を示す概略図である。
【
図3】
図1に示す放電加工機の第2状態を示す概略図である。
【
図4】
図1に示す放電加工機の第3状態を示す概略図である。
【
図5】
図1に示す放電加工機の第4状態を示す概略図である。
【
図6】本発明の放電加工機の他の実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の他の利点及び効果を理解しやくするために、特定の具体例を挙げて説明する。当業者には、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本発明に各様の変形・改良を加え得ることが、理解されるだろう。特に、図面における各構成要件の比例関係や相対位置は、例示的なものであり、必ずしも実際の形態とは一致しない。
【0017】
本発明に係る放電加工機は、刃具のドレッシング機能を有し、放電加工(EDM)に適用されることができる。例えば、加工回転軸を結合する放電研削技術に応用することができる。放電研削とは、精密金型、複雑な微細孔や超硬合金材料によく用いられる加工工程である。しかし、電極の磨耗が大きくなると、ワーク加工面の形状精度を効果的に上げることができないという問題があった。
【0018】
本発明の具体例について、
図1〜
図6を併せて参照しながら説明する。
【0019】
図1に示すように、本発明による放電加工機1は、刃具のドレッシング機能を有し、刃具2によりワーク3に放電加工を行うために用いられる。放電加工機1は、ステージ本体11と、刃具ホルダ12と、刃具ドレッサ13と、持ち上げ台19とを含んでいる。ワーク3及び刃具ドレッサ13は、持ち上げ台19に配置されている。ステージ本体11は、持ち上げ動力源111と、コントローラ182とを備えている。持ち上げ動力源111は、例えば、サーボモータ及び減速機から構成されている。コントローラ182は、刃具2がステージ本体11に対してZ方向に移動可能に刃具ホルダ12を制御し、ワーク3に放電加工を行うようにしている。
図2に示すように、加工初期位置にある刃具2の刃先とワーク3との距離が第1距離H1である。
【0020】
コントローラ182は、刃具2の刃先が磨耗した場合、刃具2を上記加工初期位置に戻させるように制御する。このとき、
図3に示すように、加工初期位置にある刃具2の刃先とワーク3との距離が、第1距離H1よりも大きい第2距離H2である。次に、コントローラ182は、持ち上げ動力源111により持ち上げ台19に動力を供給し、持ち上げ台19によりワーク3及び刃具ドレッサ13を同時に持ち上げるように制御する。このとき、
図4に示すように、加工初期位置にある刃具2の刃先とワーク3との距離が、第1距離H1よりも小さい第3距離H3である。その後、コントローラ182は、加工初期位置にあるドレッシングされた刃具2の刃先とワーク3との距離を第1距離H1にするように、刃具ドレッサ13で刃具2の刃先をドレッシングする。
図5に示すように、この距離は、磨耗前の刃具2の刃先とワーク3との距離とが一致するため、一般の加工経路プログラムで放電刃具の磨耗に対して深さの補正を行う必要がなくなる。
【0021】
本実施例において、放電加工機1は、位置検出器184をさらに含んでもよい。コントローラ182は、位置検出器184によってワーク3に対して放電加工を行う刃具2の所在位置を検出することにより、ドレッシングされた刃具2をドレッシングされる前に放電加工を行う位置に戻させて、ワーク3に対して放電加工を引き続き行うことができる。
【0022】
また、本実施例において、放電加工機1は、持ち上げ台19に配置されるキャリア部14をさらに含んでもよい。キャリア部14がワーク3をステージ本体11に対してX方向及びX方向に移動可能に保持することにより、刃具2の刃先がワーク3に対して放電研削を行うことが可能である。放電加工機1は、例えば、ガイドポストであるガイド機構15をさらに配置してもよい。ガイド機構15は、持ち上げ台19の傾斜移動に起因するワーク3の加工精度への影響を及ぼさないように、持ち上げ台19をステージ本体11に対してZ方向に沿って移動することを維持するようにガイドすることができる。
図6に示す実施例のように、ステージ本体11は、ワーク3を保持するためのキャリア部14をステージ本体11に対してX方向及びX方向に移動可能に駆動するX軸の動力源112及びY軸の動力源113が配置されている。
【0023】
また、本発明は、伝達機構16と、持ち上げ動力源111及び伝達機構16にそれぞれ接続されるリニアモジュール17をさらに含んでもよい。リニアモジュール17は、例えば、送りねじであり、持ち上げ動力源111の動力を受けることにより、伝達機構16にリニア駆動力を供給することができる。これにより、伝達機構16は、持ち上げ台19を持ち上げるように持ち上げ台19に動力を供給する。このようにすれば、持ち上げ動力源111は、ワーク3に対して放電加工を行う場所を回避するために、持ち上げ台19から離れて配置されることができる。
【0024】
図3〜
図6に示すように、本実施例による伝達機構16は、第1プッシャー161と、第2プッシャー162とを含んでいる。第1プッシャー161及び第2プッシャー162のそれぞれは、第1方向及び第2方向に移動可能であり、第1プッシャー161が第1傾斜面1611を有し、第2プッシャー162が第2傾斜面1621を有している。リニアモジュール17は、第1プッシャー161を駆動することができる。第1傾斜面1611は、第1プッシャー161が第1方向に移動すると、第2傾斜面1621に押し付けることにより、第2プッシャー162を第2方向に移動させることが可能である。第2プッシャー162の移動度は、第1傾斜面1611及び第2傾斜面1621の傾斜角度によって変化する。即ち、第1傾斜面1611及び第2傾斜面1621の傾斜角度を調整することにより、第2プッシャー162の移動精度を変更することができる。本実施例において、第1方向が第2方向に対して垂直であるが、本発明はこれに限定されない。
【0025】
また、持ち上げ台19は、持ち上げプッシャー191を有している。持ち上げプッシャー191は、第3方向に移動可能であり、第2持ち上げ傾斜面1911を有してもよい。これに対して、第2プッシャー162は、第1持ち上げ傾斜面1622をさらに有してもよい。第1持ち上げ傾斜面1622は、第2プッシャー162が第2方向に移動すると、第2持ち上げ傾斜面1911に押し付けることにより、持ち上げプッシャー191を第3方向に移動させ、持ち上げ台19をステージ本体11に対して移動させることができる。持ち上げプッシャー191の移動度は、第1持ち上げ傾斜面1622及び第2持ち上げ傾斜面1911の傾斜角度によって変化する。即ち、第1持ち上げ傾斜面1622及び第2持ち上げ傾斜面1911の傾斜角度を調整することにより、持ち上げ台19の移動精度を向上させることができる。本実施例において、第2方向が第3方向に対して垂直であるが、本発明はこれに限定されない。
【0026】
本発明に係る放電加工機1は、刃具2の刃先の磨耗度を検出するためのセンサ181と、タイマー183とをさらに含んでもよい。コントローラ182は、センサ181による検出結果を受信し、検出結果に基づいて(刃具2の刃先の磨耗度に応じて)、刃具2の磨耗した刃先とワーク3との距離を第1距離H1よりも小さくするように、持ち上げ台19の持ち上げ具合を調整する。その後、加工初期位置にあるドレッシングされた刃具2の刃先とワーク3との距離を第1距離H1に維持するように、刃具ドレッサ13で刃具2の磨耗した刃先をドレッシングする。これにより、加工プログラムで放電刃具の磨耗を補正する必要がなくなる。このように、本発明は、追加の演算を補間することなく、放電加工を行うことができ、形彫放電加工によるドレッシングや放電研削による加工を自動的に達成する技術に応用されることができる。
【0027】
センサ181は、放電パルスセンサであることが好ましい。コントローラ182は、センサ181により刃具2がワーク3に対して放電加工する放電パルス数を検出し、単位時間当たりの放電パルス数を計数するようにタイマー183により計時し、放電加工中の単位時間当たりの放電パルス数の所定値と比較して減少した数が、刃具2の刃先の磨耗度に反映される。より詳細に、刃具2の刃先の磨耗度と刃具2の単位時間当たりの放電パルス数とは負の相関があり、即ち、刃具2によりワーク3に対する単位時間当たりの放電パルス数が少ないほど、刃具2の刃先の磨耗度が大きいことを示す。
【0028】
上述したように、本発明の放電加工機は、刃具のドレッシング機能を有し、加工初期位置にあるドレッシングされた刃具の刃先とワークの加工面との距離を一致させることができる。つまり、毎回ドレッシングされた刃具によって加工しようとするプログラムの目標深さが変わらないため、加工プログラムで放電刃具の磨耗を補正する必要がない。また、磨耗した刃具の刃先のドレッシング後の端面における放電領域を効果的に増加させて、刃具の放電経路が過度に重複することはないため、放電加工の時間を効果的に節約するとともに、深孔加工の精度を向上させることもできる。
【0029】
以上、本発明の好適な実施例をあげ説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。当業者であれば、本発明の精神及び範囲を逸脱しない限り、多少の変動や潤色を加えることができる。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲の記載を基準とする。