(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つの第2のアンテナ素子(AE2a、AE2b、AE3)は、少なくとも前記第3の偏波方向(PD3)と異なる第4の偏波方向(PD4)を有する第4の電磁場を励起するようにさらになされている、請求項1に記載のアンテナ・アレイ(AA3、AA5)。
前記第1の励起エリア(EA1)は、前記少なくとも1つの第2の励起エリア(EA2a、EA3)に直交配置されている、請求項1または2に記載のアンテナ・アレイ(AA3、AA5)。
前記第1の偏波方向(PD1)、前記第2の偏波方向(PD2)、および前記第3の偏波方向(PD3)は、互いに直交配置される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアンテナ・アレイ(AA3、AA5)。
前記基本配置(BA1)の前記少なくとも1つのさらなる配置(BA1−1−2、BA1−1−3、BA1−1−4、BA1−1−5)は、前記第1の励起エリア(EA1)によって張られた第1の平面と前記第2の励起エリア(EA2)によって張られた第2の平面との交線(IL)によって与えられる軸にほぼ沿って前記基本配置(BA1)に隣接して配置されている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアンテナ・アレイ(AA3)。
前記基本配置(BA1)の前記少なくとも1つのさらなる配置(BA1−2−1、BA1−2−2)は、前記第1のアンテナ素子(AE1)の前記第1の励起エリア(EA1)および前記第2のアンテナ素子(AE2a)の前記第2の励起エリア(EA2)を中心で横切るさらなる交線(IL2)によって与えられる軸にほぼ沿って前記基本配置(BA1)に隣接して配置されている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のアンテナ・アレイ(AA3)。
前記基本配置(BA2)は、第3のアンテナ素子(AE3)をさらに備え、前記第3のアンテナ素子(AE3)は、前記第1のアンテナ素子(AE1)に隣接してかつ前記少なくとも1つの第2のアンテナ素子(AE2a)に隣接して配置され、前記第3のアンテナ素子(AE3)は、前記第1の励起エリア(EA1)に平行でないかつ前記第2の励起エリア(EA2a)に平行でないように配置され前記第1の励起エリア(EA1)および前記第2の励起エリア(EA2a)の方に向いている第3の励起エリア(EA3)内で第5の偏波方向(PD5、PD6)を有する第5の電磁場を少なくとも励起するようになされている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアンテナ・アレイ(AA5)。
前記第1の励起エリア(EA1)、前記第2の励起エリア(EA2a)、および前記第3の励起エリア(EA3)は、互いに直交配置される、請求項7に記載のアンテナ・アレイ(AA5)。
前記基本配置(BA2)の前記少なくとも1つのさらなる配置(BA2−2、BA2−3、BA2−4、BA2−5、BA2−6)は、前記基本配置(BA2)の前記第3のアンテナ素子(AE3)および前記少なくとも1つのさらなる配置(BA1−1−2、BA1−1−3、BA1−1−4、BA1−1−5)のアンテナ素子が平行に配置された状態で前記基本配置(BA2)に隣接して配置されている、請求項7または8に記載のアンテナ・アレイ(AA5)。
前記アンテナ・アレイ(AA5)のアンテナ素子(AE1、AE2a、AE3)は、ほぼ菱面体の形態で配置されている、請求項7に記載のアンテナ・アレイ(AA5)。
前記アンテナ素子(AE1、AE2a、AE2b、AE3)の励起エリア(EA1、EA2、EA3)の中心点は、平面内に配置される、あるいは凹面もしくは凸面を形成するまたは円柱の外側面を形成する、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のアンテナ・アレイ(AA3、AA5)。
前記アンテナ素子(AE1、AE2a、AE2b、AE3)はパッチ・アンテナである、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のアンテナ・アレイ(AA3、AA5)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数経路のチャネルを介して送信される高周波信号の偏波方向は、ワイヤレス送信システムの全体的なデータ・スループット(data throughput)に影響している。したがって、本発明の各実施形態の目的は、ワイヤレス送信システムの全体的なデータ・スループットを増大させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本目的は、高周波信号を送信および/または受信するためのアンテナ・アレイによって達成される。アンテナ・アレイは、両方が第1の基本配置を形成する第1のアンテナ素子と第2のアンテナ素子とを含む。第1のアンテナ素子は、第1のほぼ平らな形態を有し、第1の偏波方向を有する第1の電磁場、および第1の偏波方向と異なる第2の偏波方向を有する第2の電磁場を第1の励起エリア内で励起するようになされている。第2のアンテナ素子も、第2のほぼ平らな形態を有する。第2のアンテナ素子は、第1のアンテナ素子に隣接して配置されていると共に、第1の励起エリアに平行でないように配置され第1の励起エリアの方に向いている第2の励起エリア内で第1の偏波方向に平行でないかつ第2の偏波方向に平行でない第3の偏波方向を有する第3の電磁場を少なくとも励起するようになされている。
【0006】
好ましくは、第1のアンテナ素子は、例えば、銅などの金属材料を含有する正方形、8角形、円形、惰円形、または6角形のパッチを有する第1のパッチ・アンテナであり、第2のアンテナ素子は、好ましくは同じ形態および同じ材料を有する第2のパッチ・アンテナである。代替として、第1のアンテナ素子は、2つの平行でない交差したアンテナ・ロッドによって形成されてもよく、第2のアンテナ素子は、1つのさらなるアンテナ・ロッドによってまたは2つのさらなる平行でない交差したアンテナ・ロッドによって形成されてもよい。さらなる代替例では、マイクロストリップ・アンテナ(micro−strip antenna)、例えば、矩形のマイクロストリップ・パッチ・アンテナ(micro−strip patch antenna)またはいわゆる板状逆Fアンテナ(PIFA)は、第1のアンテナ素子および第2のアンテナ素子に適用することができる。
【0007】
本発明の各実施形態は、高周波信号が同じ無線リソース(例えば、同じ時間スロット、および/または同じ副搬送波周波数、および/または同じ拡散コード)上で3つまでの直交偏波を共に有する複数の放射線ビームを用いて送信できるので、ワイヤレス送信システムの全体的なデータ・スループットを増加させるという第1の利益を提供する。
【0008】
本発明の各実施形態は、偏波方向が送信機において使用されるとしても、および偏波方向の変更が送信アンテナ・アレイから受信アンテナ・アレイへの送信経路上で生じたとしても、直線偏波された高周波信号の受信を可能にするアンテナ・アレイを提供するという第2の利益を提供する。
【0009】
本発明の各実施形態は、簡単な方法でアンテナ・アレイを製造することを可能にするという第3の利益を提供する。パッチ・アンテナに基づいたアンテナ・アレイの製造プロセス中、アンテナ素子の平らな接地板は、接地板の対応する縁で接続することができ、励起エリアを含む平らな要素は、プリント配線板のための標準的なプロセスによって製造することができる。アンテナ・アレイが基本的に平らな構造であるので、給電線は、アンテナ素子に容易に整合することができ、この給電線は、アンテナ素子に容易に接続できる。
【0010】
本発明の各実施形態は、相互に直交するパッチ・アンテナが平行なパッチ・アンテナを使用するのではなく提案した方法で完全に平らな表面に配置されるとき、さらなる利益をもたらす。アンテナ・アレイの放射特性はそのように改善され、立体角のより大きいフィールド(field)において、ビームの方向は、アンテナ・アレイのアンテナ素子の少なくともサブセットにほとんど直交し、または少なくともこのサブセットのアンテナ素子の法線方向とビームの方向との間の角度が比較的小さい。交差したダイポールまたは交差したアンテナ・ロッドに基づいたアンテナ・アレイと比べて、いくつかのパッチ・アンテナを含むアンテナ・アレイは、半空間内で高周波信号を単に放射し、したがって高周波信号用の反射面を必要としない。
【0011】
好ましい実施形態によれば、第2のアンテナ素子は、少なくとも第3の偏波方向と異なる第4の偏波方向を有する第4の電場を励起するようにさらになすことができる。それによって、第1のアンテナ素子および第2のアンテナ素子は共に、2つの異なる偏波方向を有する高周波信号を送信および/または受信することができる。
【0012】
さらに好ましい実施形態によれば、第1の励起エリアは、第2の励起エリアに直交配置される。好ましい実施形態は、同じ強さまたは強度で3つの可能な直交偏波方向全てを有し得る高周波信号の送受信を可能にする。
【0013】
さらに好ましい実施形態では、第1の偏波方向、第2の偏波方向、および第3の偏波方向は、互いに直交配置される。さらに好ましい実施形態も、同じ強さまたは強度で3つの可能な直交偏波方向全てを有し得る高周波信号の送受信を可能にする。
【0014】
第1の代替実施形態によれば、アンテナ・アレイは、第1の基本配置の少なくとも1つの第1のさらなるものをさらに含むことができ、この第1の基本配置の少なくとも第1のさらなるものは、第1の励起エリアによって張られた第1の平面と第2の励起エリアによって張られた第2の平面との交線によって与えられる軸に沿って第1の基本配置に隣接して配置されている。それによって、第1のアンテナ素子および第2のアンテナ素子の第1の基本配置は、2×n個のアンテナ素子(×:乗算記号、n:例えば、行におけるアンテナ素子の個数)を有するアンテナ・アレイを構築するために第1の次元で広げられる。
【0015】
第2の代替実施形態によれば、アンテナ・アレイは、第1の基本配置の少なくとも1つの第2のさらなるものをさらに含み、この第1の基本配置の少なくとも第2のさらなるものは、第1のアンテナ素子の第1の励起エリアおよび第2のアンテナ素子の第2の励起エリアを中心で横切るさらなる交線によって与えられる軸にほぼ沿って第1の基本配置に隣接して配置されている。それによって、第1のアンテナ素子および第2のアンテナ素子の第1の基本配置は、m×1個のアンテナ素子(m:例えば、列におけるアンテナ素子の個数)を有するアンテナ・アレイを構築するために第2の次元で広げられる。
【0016】
好ましくは、第1の基本配置の少なくとも第2のさらなるものおよび第1の基本配置は、アンテナ素子の励起エリアの複数の折り畳まれたエリアを形成する。側面図から、この複数の折り畳まれたエリアは、ジグザグ・パターン(zigzag pattern)のように見える。
【0017】
さらに好ましい実施形態では、第1の代替実施形態および第2の代替実施形態は、m×n個のアンテナ素子を有するコンパクトな3次元アンテナ・アレイを構築するために2次元で第1の基本配置を広げるように組み合わせることができる。
【0018】
第3の代替実施形態では、アンテナ・アレイは、第3のアンテナ素子をさらに含む。第1の基本配置および第3のアンテナ素子は、第2の基本配置に配置される。第3のアンテナ素子は、第3のほぼ平らな形態を有し、第1のアンテナ素子に隣接して配置されていると共に第2のアンテナ素子に隣接して配置されている。第3のアンテナ素子は、第1の励起エリアに平行でないかつ第2の励起エリアに平行でないように配置され第1の励起エリアの方に向いていると共に第2の励起エリアの方に向いている第3の励起エリア内で第5の偏波方向を有する第5の電磁場を少なくとも励起するようになされている。それによって、アンテナ・アレイは、半空間内で、任意の偏波方向を有する任意の方向へ高周波信号を送信すると共に、任意の偏波方向を有する任意の方向からの高周波信号を受信することができる。
【0019】
好ましくは、第1の励起エリア、第2の励起エリア、および第3の励起エリアは、互いに直交配置される。それによって、アンテナ・アレイは、ほとんど同じ品質で、半空間内で、任意の偏波方向を有する任意の方向へ高周波信号を送信し、および/または任意の偏波方向を有する任意の方向から高周波信号を受信することができる。
【0020】
第3の代替実施形態の拡張としての第4の代替実施形態では、アンテナ・アレイは、第2の基本配置の少なくとも1つのさらなるものをさらに含み、この第2の基本配置の少なくともさらなるものは、第2の基本配置に隣接して配置されている。それによって、第1のアンテナ素子、第2のアンテナ素子、および第3のアンテナ素子の第2の基本配置は、m×n×o個のアンテナ素子(o:第3の次元に関してのアンテナ素子の個数)を有するアンテナ・アレイを構築するために3次元で広げられる。
【0021】
好ましくは、第4の代替実施形態のアンテナ・アレイのアンテナ素子は、ほぼ3角形、菱面体、または6角形の形態で配置される。そのような形態は、アンテナ・アレイのアンテナ素子の励起エリア全体が3次元空間内に平面を与えるとき、かつアンテナ・アレイが3次元空間内の平面に対して垂直から見られるときに与えられ得る。
【0022】
さらなる代替実施形態では、アンテナ素子の励起エリアの中心点は、平面内に配置される、あるいは凹面もしくは凸面を形成するまたは円柱の外側面を形成する。
【0023】
本発明の各実施形態のさらなる有利な特徴は、以下の詳細な説明において定められ、説明されている。
【0024】
本発明の各実施形態は、以下の詳細な説明において明らかになり、非限定の例示によって与えられる添付図面に示されている。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1a)は、第1の基本配置BA1、第1のアンテナ素子AE1、および第2のアンテナ素子AE2aを含むアンテナ・アレイAA1を示す。第1のアンテナ素子AE1は、電場用の第1の正方形の励起エリアEA1を直交座標系のx−y平面内に含む。第1のアンテナ素子AE1は、x方向に第1の偏波方向PD1を有する第1の電磁場を第1の励起エリアEA1内で励起するようになされており、それによって第1の電磁場は、第1の励起エリアEA1の反対側の縁から放射される。第1のアンテナ素子AE1は、y方向に第2の偏波方向PD2を有する第2の電磁場を第1の励起エリアEA1で励起するようにさらになされており、それによって第2の電磁場は、第1の励起エリアEA1のさらなる残りの反対側の縁から放射される。これは、
図1a)に示された実施形態に関して、第1の偏波方向PD1が第2の偏波方向PD2に直交していることを意味する。代替例では、両偏波方向PD1、PD2の間の角度は、励起エリアの幾何学的形態に応じて45度から135度の間の範囲内、例えば85度であり得、代替として、この励起エリアの幾何学的形態は、8角形、円形、楕円形、または6角形の形態を有してもよい。
【0027】
同じように、第2のアンテナ素子AE2aは、直交座標系のy−z平面内に電場用の第2の正方形の励起エリアEA2aを含む。第2のアンテナ素子AE2aは、z方向に第3の偏波方向PD3を有する第3の電磁場を第2の励起エリアEA2a内で励起するようになされており、それによって第3の電磁場は、第2の励起エリアEA2の反対側の縁から放射される。第2のアンテナ素子AE2aは、y方向に第4の偏波方向PD4を有する第4の電磁場を第2の励起エリアEA2a内で励起するようにさらになされており、それによって第4の電磁場は、第2の励起エリアEA2のさらなる残りの反対側の縁から放射される。これは、
図1a)に示された実施形態に関して、第3の偏波方向PD3は第4の偏波方向PD4に直交しており、第3の偏波方向PD3は第1の偏波方向PD1および第2の偏波方向PD2にも直交しており、第4の偏波方向PD4は第2の偏波方向PD2に平行であることを意味する。第1の偏波方向PD1、第2の偏波方向PD2、および第3の偏波方向PD3が互いに直交している状態のそのような配置が、好ましい実施形態である。
【0028】
代替例では、第3の偏波方向PD3および第4の偏波方向PD4は、y、z方向に平行でないが、中間に直角も有する。さらなる代替例では、両偏波方向PD3、PD4の間の角度は、45度から135度の間の範囲内、例えば85度であり得る。さらなる代替例では、励起エリアEA1、EA2の正面側から測った第1の励起エリアEA1と第2の励起エリアEA2aとの間の角度PHIは、90度の代わりに、好ましくは80度から135度の間の範囲内、例えば100度または120度とすることができる。
【0029】
第1のアンテナ素子AE1および第2のアンテナ素子AE2aは、
図1a)に示されているように、および
図1b)に関してより詳細に示されているように、例えば、いわゆるよく知られているパッチ・アンテナであり得る。パッチ・アンテナは、正方形の接地板などの導電性接地板G1、G2を含み、正方形の形態(
図1a)および
図1b)参照)または6角形の形態をした導電性パッチは、励起エリアEA1、EA2a、導電性パッチの第1の電気接触EC1のための第1の給電リンクFL1、および導電性パッチの第2の電気接触EC2のための第2の給電リンクFL2を与える。第1のアンテナ素子AE1の導電性パッチと第2のアンテナ素子AE2aの導電性パッチとの間の距離は、例えば、電磁場の半波長に等しいまたは電磁場の半波長の範囲内であり得る。
【0030】
第1のアンテナ素子AE1および第2のアンテナ素子AE2aは、近くに位置し、互いに隣接している。導電性接地板G1、G2は、
図1a)に示されるように接触している。代替として、導電性接地板は、互いから分離されていてもよい。
【0031】
典型的には、アンテナ素子AE1、AE2は、アンテナ素子にとって普通である50オームの線が適用されるときのいわゆる50オームの点に関してそれぞれ制御される。電気接触EC1、EC2の位置は、インピーダンス・レベル(impedance level)および偏波方向を定める。第1の電気接触EC1の位置は、例えば場のシミュレーションによって決定することができる。そのような決定は、当業者によく知られており、したがってより詳細には説明されない。
【0032】
第1の電気接触EC1は、例えば、第1のアンテナ素子AE1の場合には第1の偏波方向PD1を有する第1の電場または第2のアンテナ素子AE2aの場合には第3の偏波方向PD3を有する第3の電場を励起するために適用することができる。第2の電気接触EC2は、例えば、第1のアンテナ素子AE1の場合には第2の偏波方向PD2を有する第2の電場または第2のアンテナ素子AE2aの場合には第4の偏波方向PD4を有する第4の電場を励起するために適用することができる。
【0033】
金属板における第1の電気接触EC1および第2の電気接触EC2のそのような配置は、2つの直交偏波を有する2つの電場の励起を可能にし、これは、第1のアンテナ素子AE1の場合には第1の偏波方向PD1と第2の偏波方向PD2のいずれかを有し、または第2のアンテナ素子AE2の場合には第3の偏波方向PD3と第4の偏波方向PD4を有する。
【0034】
第1の給電線FC1の内側導体と第1の給電リンクFL1との間の電気接触は、接地板G1、G2の第1の穴、および第1の給電線FC1から第1の給電リンクFL1への第1の穴内の接続WTC1を貫く第1の電線によって行われ得る。第2の給電線FC2の内側導体と第2の給電リンクFL2との間の電気接触は、接地板G1、G2の第2の穴、および第2の給電線FC2から第2の給電リンクFL2への第2の穴内の接続WTC2を貫く第2の電線によって行われ得る。
【0035】
接地板G1、G2は、第1の給電線FC1の外側導体および/または第2の給電線FC2の外側導体に接続することができる。好ましくは、接続WTC1を貫く第1の電線、および第1の給電リンクFL1は、第1の連続した電線および接続WTC2を貫く第2の電線によって実現することができ、第2の給電リンクFL2は、第2の連続した電線によって実現することができる。第1の給電線FC1および第2の給電線FCは、例えば同軸ケーブルとすることができる。
【0036】
代替として、パッチ・アンテナを適用する代わりに、少なくとも第1のアンテナ素子AE1は、電気的絶縁および高周波デカップリング(radio frequency decoupling)のために十分大きい距離であると共に電磁場の半波長と比べて小さい2つのアンテナ・ロッド間のダイポール距離を伴って、2つの平行でない交差したアンテナ・ロッドによって形成することができ、少なくとも第2のアンテナ素子AE2aは、中間にダイポール距離をやはり伴って、1つのさらなるアンテナ・ロッドによってまたは2つのさらなる平行でない交差したアンテナ・ロッドによって形成することができる。さらなる代替例では、マイクロストリップ・アンテナ、例えば、矩形のマイクロストリップ・パッチ・アンテナまたはいわゆる板状逆Fアンテナ(PIFA)は、少なくとも第1のアンテナ素子および少なくとも第2のアンテナ素子に適用することができる。原理では、最大2つの異なる偏波方向で2つの電場を励起することができると共に、ほぼ平らな空間形態を有する全ての種類のアンテナ素子が、本発明に適用することができる。ほぼ平らな空間形態は、単一のアンテナ素子は、高周波信号を半空間の中に単に放射することができ、または半空間から高周波信号を単に受信することができ、この半空間は、アンテナ素子の励起エリアによって閉じ込められていることを意味する。
【0037】
図1a)に示されるような第1のアンテナ素子AE1の第1の励起エリアEA1は、法線ベクトル
【数1】
を有し、第2のアンテナ素子AE2aの第2の励起エリアEA2aは、法線ベクトル
【数2】
を有する。アンテナ素子AE1、AE2aの各中心は、以下の式
【数3】
によって与えられる位置
【数4】
にあり、ただし、Dは、アンテナ素子AE1、AE2aの横寸法であると共に、特に接地板G1、G2の縁の長さであり、この長さは、典型的には半波長λ/2以上の大きさの程度である。
【0038】
波数ベクトル
【数5】
の伝搬方向に進む入射電磁波は、以下の電場ベクトル
【数6】
によって記述することができ、ただし、
【数7】
すなわち、電場ベクトルは、波数ベクトル
【数8】
に直交している。
【0039】
入射電磁波は、アンテナ素子AE1、AE2aの中心において以下の電場ベクトル
【0040】
【数9】
を有し、ただし、E
1は第1のアンテナ素子AE1の中心における電場ベクトルであり、E
2は第2のアンテナ素子AE2の中心における電場ベクトルである。
【0041】
第1のアンテナ素子AE1は、以下の式、すなわち、
【数10】
に従って、電場ベクトル
【数11】
のx成分E
1,xおよびy成分E
1,yを受信する。
【0042】
x成分E
1,xの受信信号r
1,xは、以下の式
【数12】
によって得ることができ、ただし、
【数13】
は、入射電磁波の伝搬方向の関数であり、第1のアンテナ素子AE1の向きおよび入射電磁波の偏波方向に依存し、第1のアンテナ素子AE1の向きに関しての伝搬方向に基づくアンテナ出力信号の強さを記述する。
【0043】
したがって、y成分E
1,yの第1のアンテナ素子AE1における受信信号r
1,y、y成分E
2,yの第2のアンテナ素子AE2aにおける受信信号r
2,y、およびz成分E
2,zの第2のアンテナ素子AE2aにおける受信信号r
2,zは、以下の式によって与えられ得る。
【0045】
電磁波が、例えば、波数ベクトル方向に進む場合、
【数15】
であり、アンテナ素子AE1、AE2aの中心における電場ベクトルは、以下の式
【数16】
によって与えられ、すなわち、2つの電場ベクトルは、同じ振幅および同じ位相を有する。逆に、2つのアンテナ素子AE1、AE2aが同じ位相で励起される場合、送信された高周波信号は、波数ベクトル
【数17】
の逆伝搬方向に最大の強さを有する。
【0046】
図2は、第1のアンテナ素子AE1および第2のアンテナ素子AE2bを含むさらなるアンテナ・アレイAA2を示す。アンテナ・アレイAA1とアンテナ・アレイAA2との間のわずかな差は、さらなる第2のアンテナ素子AE2bによる第2のアンテナ素子AE2aの置換である。アンテナ・アレイAA2のさらなる第2のアンテナ素子AE2bは、さらなる第2のアンテナ素子AE2bの励起エリアEA2bに関して、アンテナ・アレイAA1の第2のアンテナ素子AE2aと異なる。励起エリアEA2bは、z方向の第3の偏波方向PD3を有する第3の電場を励起するようにだけなされており、他の偏波方向を有するさらなる電場はない。これは、さらなるアンテナ・アレイAA2の第4の偏波方向が、第1のアンテナ素子AE1および第2のアンテナ素子AE2bにおいて3つの直交偏波方向PD1、PD2、PD3を用いるときに原理上冗長であり、存在しないことを意味する。
【0047】
第2のアンテナ素子AE2bは、パッチ・アンテナがアンテナ素子AE2bに使用されるときに、
図1b)に示されるような導電性パッチにおける2つの電気接触EC1、EC2のうちのたった1つを適用することによって容易に実現することができる。代替として、単一のアンテナ・ロッドだけが、第2のアンテナ素子AE2bのための単一のダイポールとして適用される。
【0048】
好ましくは、第1のアンテナ素子AE1の第1の偏波方向PD1および第2の偏波方向PD2と、アンテナ素子AE2bの第3の偏波方向PD3とは、互いに直交している。
図1a)の実施形態に関して説明されたのと同様の代替例は、非直交偏波方向に適用することができる。
【0049】
図3は、5行のアンテナ素子と6列のアンテナ素子を備えた5×6アンテナ・アレイAA3を概略的に示す。ある行内かつある列のアンテナ素子は、隙間なくまたは
図1a)の実施形態に関して説明された隙間と同様の隙間で互いに隣接して配置することができる。
【0050】
さらなる代替例では、4×4アンテナ・アレイ、6×2アンテナ・アレイ、1×8
アンテナ・アレイ、または6×6アンテナ・アレイのように、アンテナ・アレイAA3は、5行よりも少なくまたは多く有してもよく、および/またはアンテナ・アレイAA3は、6列よりも少なくまたは多く有してもよい。
【0051】
アンテナ・アレイAA3は、第1のアンテナ素子AE1および第2のアンテナ素子AE2aからなる第1の基本配置BA1を含むと共に、直交座標系のy方向に互いに隣接した4つのさらなる基本配置BA1−1−2、BA1−1−3、BA1−1−4、BA1−1−5をさらに含む。結果として得られるアンテナ・アレイは、5×2アンテナ・アレイである。
【0052】
より一般的な方法では、1つのさらなる第1の基本配置BA1−1−2、またはいくつかのさらなる第1の基本配置BA1−1−2、BA1−1−3、BA1−1−4、BA1−1−5は、第1のアンテナ素子AE1の第1の励起エリアEA1によって張られた第1の平面と第2のアンテナ素子AE2aの第2の励起エリアEA2によって張られた第2の平面との交線IL1によって与えられる軸に沿って第1の基本配置BA1に隣接して配置することができる。結果として得られるアンテナ・アレイは、n×2アンテナ・アレイである。
【0053】
アンテナ・アレイAA3は、直交座標系のx方向およびz方向に互いに隣接したさらなる2つの基本配置BA1−2−2、BA1−2−3をさらに含む。結果として得られるアンテナ・アレイは、1×6アンテナ・アレイである。
【0054】
より一般的な方法では、1つのさらなる第1の基本配置BA1−2−1、またはいくつかのさらなる第1の基本配置BA1−2−2、BA1−2−3は、第1のアンテナ素子AE1の第1の励起エリアEA1および第2のアンテナ素子AE2aの第2の励起エリアEA2を中心で横切るさらなる交線IL1によって与えられる軸に沿って第1の基本配置BA1に隣接して配置することができる。結果として得られるアンテナ・アレイは、1×mアンテナ・アレイである。
【0055】
x方向の2つのアンテナ素子間のオフセットのサイズは、z方向に法線を有するアンテナ素子のサイズによって与えることができ、z方向の2つのアンテナ素子間のオフセットのサイズは、x方向に法線を有するアンテナ素子のサイズによって与えることができる。
【0056】
n=5およびm=6で
図3に示されるようにn×2アンテナ・アレイと1×mアンテナ・アレイを組み合わせてn×mアンテナ・アレイを形成するとき、第1の基本配置BA1の複数の隣接した配置BA1−1−2、BA1−1−3、BA1−1−4、BA1−1−5、BA1−2−2、BA1−2−3は、アンテナ素子AE1、AE2a、AE3の励起エリアEA1、EA2a、EA3の複数の折り畳まれたエリアを形成する。
【0057】
代替例では、アンテナ・アレイAA2は、アンテナ・アレイAA3のための第1の基本配置または構成要素を与えることができる。アンテナ・アレイAA1およびアンテナ・アレイAA2に関して説明されている全ての変形例および代替例は、アンテナ・アレイAA3に適用することができる。
【0058】
法線ベクトル
【数18】
を有すると共にx−y平面に対して平行に配置されているアンテナ・アレイAA3のアンテナ素子は、ベクトル
【数19】
によって表されるそれらの中心を有することができ、法線ベクトル
【数20】
を有すると共にy−z平面に対して平行に配置されているアンテナ・アレイAA3のアンテナ素子は、ベクトル
【数21】
によって表されるそれらの中心を有することができる。ベクトル
【数22】
および
【数23】
は、以下の式、
【数24】
によって与えられ、ただし、iはx方向に関しての整数の添え字であり、jはy方向に関しての整数の添え字であり、kはz方向に関しての整数の添え字である。これは、アンテナ・アレイAA3の全てのアンテナ素子の中心がアンテナ・アレイ平面AAP1内にあることを意味する(
図3参照)。
【0059】
波数ベクトル
【数25】
を有する電磁波についてのアンテナ素子の中心における電場のベクトルは、以下の式、
【数26】
によって得ることができ、ただし、k
x、k
y、k
zは波数ベクトル
【数27】
のベクトル成分であり、kはz方向に関しての整数の添え字である。
【0060】
アンテナ・アレイAA3のアンテナ素子の入力が、式(11)および式(12)に与えられるような位相を有するが符号が逆である高周波信号で供給される場合、アンテナ・アレイAA3は、波数ベクトル
【数28】
の伝搬方向に高周波信号を送信する。高周波信号のビーム幅は、アンテナ・アレイAA3に使用されるアンテナ素子の個数に依存すると共に、アンテナ・アレイAA3への距離に依存する。
【0061】
入射電磁波が波数ベクトル方向で伝搬する場合、
【数29】
【0062】
であり、これは、アンテナ・アレイAA3のアンテナ素子の励起エリアの中心または中心点を含むアンテナ・アレイ平面AAP1に直交しており、電場ベクトルは、以下の式によって表すことができる。
【数30】
【0063】
式(13)および式(14)は、電場ベクトルの位相は添え字i、j、kから独立しており、すなわち、アンテナ・アレイAA3の全アンテナ素子の励起エリアの中心における電磁場ベクトルは全て同じ位相を有することを示す。逆に、アンテナ・アレイAA3のアンテナ素子の励起エリアの全部が同じ位相で励起され得る場合、アンテナ・アレイAA3は、アンテナ・アレイ平面AAP1に90°の放射角RA1と直交する最大放射線ベクトルMRV1によって、
図3に示される反対の波数ベクトル方向に最大振幅で高周波信号を送信する。これは、アンテナ・アレイAA3のいわゆる中心方向である。
【0064】
アンテナ・アレイAA3は、アンテナ・アレイ平面AAP1によって閉じ込められていると共に3つの直交偏波方向PD1、PD2、PD3全部を使用する半空間の3次元内でビームを形成することができる。それは、x−z平面に平行である平面内で高い角度の広がりがあるがx−z平面に垂直な低い角度の広がりがある環境にもっとも適している。
【0065】
図3に示されるような単一のアンテナ・アレイ平面内にアンテナ・アレイAA3のアンテナ素子の励起エリアの中心全部を有する代わりに、さらなる代替例では、アンテナ・アレイAA3のアンテナ素子の励起エリアの中心または中心点は、凹面もしくは凸面を形成することができ、または円柱の外側面を形成することができる。
【0066】
図4は、さらなるアンテナ・アレイAA4を示し、このさらなるアンテナ・アレイAA4は、アンテナ・アレイAA1の第1のアンテナ素子AE1と、アンテナ・アレイAA1の第1の基本配置BA1の第2のアンテナ素子AE2aとを含むと共に、第3のアンテナ素子AE3を含む。第1の基本配置BA1および第3のアンテナ素子AE3は、第2の基本配置BA2を形成する。
【0067】
第3のアンテナ素子AE3は、第3のアンテナ素子AE3の第3の励起エリアEA3によって閉じ込められている半空間の中に高周波信号を放射することができ、またはこの半空間から高周波信号を受信することができるほとんど平らな形態も有する。
【0068】
第3のアンテナ素子AE3は、直交座標系のx−z平面に位置し、第1のアンテナ素子AE1に隣接して配置されていると共に、第2のアンテナ素子AE2に隣接して配置されている。これは、第3のアンテナ素子AE3が、直交座標系のx−z平面内に電場のための第3の励起エリアEA3を含むことを意味する。それによって、第3の励起エリアEA3は、第1の励起エリアEA1に平行でないかつ第2の励起エリアEA2に平行でないように配置され、第3の励起エリアEA3は、第1の励起エリアEA1の方を向いており、および第2の励起エリアEA2aと同様の第2の励起エリアEA2aは、
図1a)中の第1の励起エリアEA1の方に向いている。
【0069】
好ましくは、第3のアンテナ素子AE3は、x方向に第5の偏波方向PD5を有する第5の電磁場を第3の励起エリアEA3内で励起するようになされていると共に、z方向に第6の偏波方向PD6を有する第6の電磁場を第3の励起エリアEA3で励起するようになされている。これは、第5の偏波方向PD5と第6の偏波方向PD6との間の角度がやはり90度であり、第3のアンテナ素子AE3の第5の偏波方向PD5が第1のアンテナ素子AE1の第1の偏波方向PD1に平行であり、第3のアンテナ素子AE3の第6の偏波方向PD6が第2のアンテナ素子AE2aの第3の偏波方向PD3に平行であることを意味する。好ましくは、偏波方向PD1、PD5のグループの偏波方向、偏波方向PD2、PD4のグループの偏波方向、および偏波方向PD3、PD6のグループの偏波方向は、互いに直交している。
【0070】
第3のアンテナ素子AE3は、第3の励起エリアEA3を与える正方形の接地板および正方形の形態(
図4参照)または6角形の形態をした導電性パッチなどの接地板G3を備えたパッチ・アンテナとして示されている。代替として、アンテナ・アレイAA4のアンテナ素子AE1、AE2a、AE3は、
図1a)の実施形態に関して説明されたようなパッチ・アンテナ以外の他のタイプのものによって実現されてもよい。
【0071】
第1の代替例によれば、アンテナ素子AE1、AE2a、AE3の導電性パッチは、互いに対して電気的に絶縁されている。第2の代替例に関しては、アンテナ素子AE1、AE2a、AE3の導電性パッチのうちの2つは、単一のパッチを形成することができ、この単一のパッチは、直交座標系の軸の1つによって与えられるコーナーで回転させられる。そのような場合には、パッチは、矩形の金属縁の外形の形態を有することができ、4つの偏波方向のうちの2つだけが互いから独立している。第2の代替例は、制御信号が少なくて済むと共に、給電線が少なくて済むという利点をもたらし、これによりアンテナ素子の構成をあまり複雑でないものにさせ、コストを低減することができる。
【0072】
図1a)の実施形態に関して説明したのと同様の代替例は、アンテナ・アレイAA4のアンテナ素子AE1、AE2a、AE3の非直交偏波方向に適用することができる。
【0073】
図4に示されていない代替実施形態では、第2のアンテナ素子AE2aおよび/または第3のアンテナ素子AE3は、単一の偏波方向を有するアンテナ・アレイAA2の第2のアンテナ素子AE2bと同様のアンテナ素子によって置き換えることができ、置き換えられたアンテナ素子の少なくとも1つは、z方向に偏波方向を与える。
【0074】
励起エリアAE1、AE2a、およびAE3が
図4に示されるように互いに垂直であるとき、アンテナ素子の外側形態は正方形であることが好ましい。代替実施形態では、励起エリアAE1、AE2a、およびAE3が互いに垂直でないとき、アンテナ素子の外側形態は、例えば、菱形、またはフットボール用ボールの表面要素と同様の5角形および6角形の表面要素の混合とすることができる。
【0075】
好ましくは、アンテナ・アレイAA4は、3つの次元の全てにおいて大きな角度の広がりがあるときに適用され得る。
【0076】
図4に示されるようにアンテナ素子AE1、AE2a、およびAE3の中心は、以下の位置にある。
【数31】
【0077】
波数ベクトル
【数32】
の方向に進む入射電磁波は、電場ベクトル
【数33】
、ただし、
【数34】
(すなわち、電場ベクトルは波数ベクトル
【数35】
に直交している)によって記述することができ、アンテナ素子AE1、AE2a、AE3の中心における以下の電場ベクトルを有する。
【0079】
第1のアンテナ素子AE1は、以下の式、すなわち、
【数37】
に従って入射電磁波のx成分E
1,xおよびy成分E
1,yを受信する。
【0080】
第1のアンテナ素子AE1におけるx成分E
1,xの受信信号r
1,xは、式、
【数38】
によって表すことができ、ただし、
【数39】
は、波数ベクトル
【数40】
の関数であり、入射電磁波の伝搬の方向に基づいて第1のアンテナ素AE1の出力信号の強さを記述する。
【0081】
したがって、第1のアンテナ素子AE1におけるy成分E
1,yの受信信号r
1,y、第2のアンテナ素子AE2aにおけるy成分E
2,yの受信信号r
2,y、第2のアンテナ素子AE2におけるz成分E
2,zの受信信号r
2,z、第3のアンテナ素子AE3におけるz成分E
3,zの受信信号r
3,z、および第3のアンテナ素子AE3におけるx成分E
3,xの受信信号r
3,xは、以下の式によって表すことができる。
【数41】
【0082】
上記の式(20)、(21)、および(22)は、アンテナ・アレイAA4のアンテナ素子AE1、AE2a、AE3の異なる出力における入射電磁波および受信信号の各パラメータ間の関係を記述する。逆に、アンテナ・アレイAA4のアンテナ素子AE1、AE2a、AE3のアンテナ・ポート(antenna port)に対応する信号を供給することによって、アンテナ・アレイAA4は、3次元空間の八分円における任意の方向へのビームの送信を可能にし、これは、アンテナ・アレイAA4からかなり遠くでほとんど平面波のように振る舞う。
【0083】
入射電磁波が波数ベクトルの方向に進むとき、
【数42】
であり、アンテナ素子AE1、AE2a、AE3の励起エリアEA1、EA2a、EA3の中心における電場ベクトルは、以下のように同一である。
【数43】
【0084】
逆に、アンテナ素子AE1、AE2a、AE3は同一の高周波信号が供給される場合、波数ベクトル
【数44】
を有する逆伝搬方向に最大振幅を有する出射電磁波が送信される。
【0085】
図5は、第2の基本配置BA2または
図4に示されたようなアンテナ・アレイAA4構成要素に基づいている18個のアンテナ素子を備えたアンテナ・アレイAA5を概略的に示す。代替として、アンテナ素子の個数は、18個未満、例えば15個またはそれより少なくてもよく、あるいは18個より多く、例えば24個またはさらにそれより多くてもよい。
【0086】
アンテナ・アレイAA5は、第2の基本配置BA2の第1のBA2−1、第2の基本配置BA2の第1のものに隣接した第2の基本配置BA2の第2のBA2−2を含み、−x方向およびy方向のオフセットは共に、単一のアンテナ素子の長手方向縁のサイズに等しい。同じように、アンテナ・アレイAA5は、第2の基本配置BA2の第2のBA2−2に隣接した第2の基本配置BA2の第3のBA2−3をさらに含み、−x方向およびy方向のオフセットは共に、単一のアンテナ素子の長手方向縁のサイズに等しい。同じように、アンテナ・アレイAA5は、第2の基本配置BA2の第3のBA2−3および第2のBA2−2に隣接した第2の基本配置BA2の第4のBA2−4をさらに含み、x方向および−z方向のオフセットは共に、第2の基本配置BA2の第3のBA2−3に関して単一のアンテナ素子の長手方向縁のサイズに等しい。同じように、アンテナ・アレイAA5は、第2の基本配置BA2の第4のBA2−4に隣接した第2の基本配置BA2の第5のBA2−5をさらに含み、x方向および−z方向のオフセットは共に、単一のアンテナ素子の長手方向縁のサイズに等しい。同じように、アンテナ・アレイAA5は、第2の基本配置BA2の第5のBA2−4および第1のBA2−1に隣接した第2の基本配置BA2の第6のBA2−6をさらに含み、−y方向およびz方向のオフセットは共に、第2の基本配置BA2の第5のBA2−5に関して単一のアンテナ素子の長手方向縁のサイズに等しい。それによって、第2の基本配置BA2の第1のBA2−1、第2のBA2−2、第3のBA2−3、第4のBA2−4、第5のBA2−5、および第6のBA2−6は、例えば、ほぼ3角形、菱面体、または6角形の形態をしたアンテナ・アレイ全体を形成するように互いに隣接して配置される。
【0087】
アンテナ・アレイAA3の第2の基本配置BA2に関して説明される全ての変形例および代替例は、アンテナ・アレイAA5に適用することができる。
【0088】
アンテナ・アレイAA5の全てのアンテナ素子の中心は、
図5に示されるように、アンテナ・アレイ平面AAP2内にあることができる。ベクトルMRV2は、90度の角度RA2でアンテナ・アレイ平面AAP2に直交している。
【0089】
代替実施形態では、アンテナ・アレイAA5のアンテナ素子の中心は、凹面もしくは凸面を形成するようにまたは円柱または球の外側面を形成するように配置されてもよい。
【0090】
入射電磁波がベクトルMRV2とは反対の伝搬方向
【数45】
に進むとき、全てのアンテナ素子の中心における受信信号の電場は、同じ位相を有する。
【0091】
逆に、全部のアンテナ素子が同じ位相で励起される場合、アンテナ・アレイAA5は、ベクトルMRV2に平行である伝搬方向
【数46】
に信号を送信する。
【0092】
図5中のアンテナ・アレイの要素の異なる出力における入射電磁波および受信信号の各パラメータ間の関係は、
図3に関して2次元の場合におけるのと同様の式によって説明することができる。逆に、アンテナ・ポートに対応する信号を供給することによって、3次元空間の八分円における任意の方向に関して(アンテナからかなり遠くで)ほとんど平面波のように振る舞うビームが送信することができる。送信ビームの幅は、使用されるアンテナ素子の個数、およびアンテナ・アレイAA5への距離に依存する。
【0093】
典型的には、アンテナ・アレイAA5は、方向
【数47】
が、送信チャネルの主方向を指すように取り付けることができる。
【0094】
図6a)を参照すると、アクセス・ネットワーク・ノードNN1のブロック図が示されている。アクセス・ネットワーク・ノードNN1は、アンテナ・アレイAA、アンテナ・アレイAA−Iに接続された送受信機TR、および送受信機TRに接続されたコントローラまたはプロセッサCONをハウジングまたはケーシングHS1内に含む。用語「プロセッサ」または「コントローラ」は、ソフトウェアを実行できるハードウェアを排他的に指すと解釈されるべきでなく、限定するものではないが、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワーク・プロセッサ(network processor)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、ソフトウェア記憶用のリード・オンリ・メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、および不揮発性記憶装置を暗黙的に含み得る。コントローラCONおよび送受信機TRの一部は、いわゆるベースバンド・ボード(baseband board)の一部であり得る。アンテナ・アレイAA−Iは、上述のように、アンテナ・アレイAA1、AA2、AA3、AA4、またはAA5のうちの1つとすることができる。
【0095】
図6b)は、アクセス・ネットワーク・ノードNN2のハウジングまたはケーシングHS2の外側にアンテナ・アレイAA−Oを含むアクセス・ネットワーク・ノードNN2のさらなるブロック図を示す。アンテナ・アレイAA−Oは、同軸ケーブルなどのケーブルであり得る接続CONによってアクセス・ネットワーク・ノードNN2の送受信機TRに接続されている。アンテナ・アレイAA−Oは、上述のように、アンテナ・アレイAA1、AA2、AA3、AA4、またはAA5のうちの1つとすることができる。
【0096】
アクセス・ネットワーク・ノードNN1およびNN2は、それぞれ、基地局、移動局、中継器、またはリレーであり得る。用語「基地局」は、LTE NodeB(LTE=ロング・ターム・エボリューション(Long Term Evolution))、アクセス・ポイント基地局、アクセス・ポイント、マクロセル(macro−cell)、マイクロセル(microcell)、フェムトセル(femto−cell)、ピコセル(pico−cell)、WLANルータ(WLAN=ワイヤレス・ローカル・エリア・ネットワーク(Wireless Local Area Network))等などのベース・トランシーバ基地局と同義と考えることができおよび/またはそのように呼ぶことができ、ワイヤレス接続性を1つまたは複数の無線リンクを介して1つまたは複数の移動局に与える設備を記述することができる。用語「移動局」は、モバイル・ユニット(mobile unit)、モバイル・ユーザ(mobile user)、アクセス端末、ユーザ装置、加入者、ユーザ、遠隔ステーションなどと同義であると考えることができ、以下、場合によっては、そのように呼ばれ得る。移動局は、例えば、携帯電話、携帯用コンピュータ、ポケット・コンピュータ(pocket computer)、ハンドヘルド・コンピュータ、携帯情報端末、または車載モバイル機器であり得る。用語「中継器」は、信号を受信し、より高いレベルもしくはより高い出力でまたは障害の別の側へ単にそれを再送信し、信号がより長い距離に及び得るようにしている電子デバイスと同義であると考えることができ、および/またはそのように呼ばれ得る。用語「リレー」は、ワイヤレス・アクセス・ネットワークの能力を向上させると共にワイヤレス・リンクの性能を改善するために、信号を受信し、異なる信号をより高いレベルもしくはより高い出力でだけでなく異なる周波数ならびに/あるいは異なる時間スロットおよび/または拡散コードでも再送信する電子デバイスと同義であると考えることができ、および/またはそのように呼ばれ得る。
【0097】
図7a)を参照すると、ビークルVH1のブロック図が示されている。ビークルVH1は、ビークルVH1の内側のビークルの乗員とUMTS(UMTS=ユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム(Universal Mobile Telecommunications System))、LTEまたはLTE Advancedなどに基づいた無線アクセス・ネットワークとの間のワイヤレス・アクセスを可能にするためのアクセス・ネットワーク・ノードNN1を含む。これは、アクセス・ネットワーク・ノードNN1のアンテナ・アレイAA−IがビークルVH1内で適切に位置することを意味する。
【0098】
図7bは、アンテナ・アレイAA−Oについての代替例の配置を備えたビークルVH2のさらなるブロック図を示す。アンテナ・アレイAA−Oは、ビークル本体VBの外側に位置し、接続CONによってアクセス・ネットワーク・ノードNN2に接続されており、このアクセス・ネットワーク・ノードNN2は、ビークル本体VBの内側に位置する。
【0099】
ビークルVH1およびVH2は、自動車として示されている。用語「ビークル」は、トラック、バス、列車、路面電車もしくは市街電車、船、飛行機などと同義とさらに考えられ得、および/またはそのように呼ばれ得る。