(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6165965
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】シーメンス炉用のガス分配器
(51)【国際特許分類】
C01B 33/035 20060101AFI20170710BHJP
【FI】
C01B33/035
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-506830(P2016-506830)
(86)(22)【出願日】2014年3月19日
(65)【公表番号】特表2016-521238(P2016-521238A)
(43)【公表日】2016年7月21日
(86)【国際出願番号】EP2014055472
(87)【国際公開番号】WO2014166711
(87)【国際公開日】20141016
【審査請求日】2015年12月3日
(31)【優先権主張番号】102013206236.2
(32)【優先日】2013年4月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポップ,フリードリヒ
(72)【発明者】
【氏名】クザ,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】レッケル,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】バイス,トビアス
【審査官】
小野 久子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−241120(JP,A)
【文献】
米国特許第03188173(US,A)
【文献】
特開平02−006317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00−33/193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容易に脱着可能な固定手段を用いて互いに気密に接続される少なくとも2つのセグメントと、少なくとも1つのガス入口孔および少なくとも1つのガス出口孔とを備え、ガスを輸送できる、ガス分配器であって、ガス分配器は、容易に脱着可能な固定手段を用いて多結晶シリコンを析出するための炉に取り付けることができ、ガス分配器の少なくとも1つのガス出口孔のそれぞれが、炉の1つのガス入口孔に連通接続される、および/または、ガス分配器の少なくとも1つのガス入口孔のそれぞれが、炉の媒体供給部の1つのガス給送管に連通接続される、ガス分配器。
【請求項2】
ガスを炉内に導入するのに適しており、少なくとも1つのガス入口孔が、ガスを給送するために設けられ、ガス給送管に接続され、少なくとも1つのガス出口孔が、ガスを炉ノズルに給送するのに役立つ、請求項1に記載のガス分配器。
【請求項3】
容易に脱着可能な固定手段がフランジ接続部である、請求項1または2に記載のガス分配器。
【請求項4】
ガス分配器からノズルまでの給送管が、同一形状を有する、請求項1または2に記載のガス分配器。
【請求項5】
給送管が垂直に延びる、請求項4に記載のガス分配器。
【請求項6】
リング型である、請求項1または2に記載のガス分配器。
【請求項7】
容易に脱着可能な固定手段を用いて互いに気密に接続される少なくとも2つのセグメントと、少なくとも1つのガス入口孔および少なくとも1つのガス出口孔とを備え、ガスを輸送できる、ガス分配器であって、ガス分配器は、容易に脱着可能な固定手段を用いて多結晶シリコンを析出するための炉に取り付けることができ、ガス分配器の少なくとも1つのガス入口孔が、炉からの排ガスを給送するために設けられ、少なくとも1つのガス入口孔のそれぞれが、炉の1つの排ガス孔に接続され、ガス分配器の少なくとも1つのガス出口孔が、ガス分配器から排ガスを除去するのに役立つ、ガス分配器。
【請求項8】
容易に脱着可能な固定手段がフランジ接続部である、請求項7に記載のガス分配器。
【請求項9】
炉の排ガス孔からガス分配器までの接続管が同一形状を有する、請求項7または8に記載のガス分配器。
【請求項10】
リング型である、請求項7または8に記載のガス分配器。
【請求項11】
請求項1から6のいずれか一項に記載の少なくとも1つのガス分配器を含む、多結晶シリコンを析出するための炉。
【請求項12】
請求項7から10のいずれか一項に記載の少なくとも1つのガス分配器を含む、多結晶シリコンを析出するための炉。
【請求項13】
請求項1から6のいずれか一項に記載の少なくとも1つのガス分配器と、請求項7から10のいずれか一項に記載の少なくとも1つのガス分配器とを含む、多結晶シリコンを析出するための炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多結晶シリコンを析出するためのシーメンス炉用のガス分配器、特に原料ガス分配器および排ガス捕集器に関する。
【背景技術】
【0002】
高純度多結晶シリコン(ポリシリコン)は、チョクラルスキー(CZ)法またはゾーンメルト(FZ)法により半導体用の単結晶シリコンを製造するための出発原料として役立ち、光電池用の太陽電池を製造するための各種の引抜き法および鋳造法により単結晶または多結晶シリコンを製造するための出発原料としても役立つ。
【0003】
ポリシリコンは、通常、シーメンス法を用いて製造される。この方法では、1つ以上のシリコン含有成分を含み、場合により水素も含む反応ガスが、直通電流により加熱され表面にシリコンが固体形態で析出する基材を備える炉内に導入される。好適に使用されるシリコン含有成分は、シラン(SiH
4)、モノクロロシラン(SiH
3Cl)、ジクロロシラン(SiH
2Cl
2)、トリクロロシラン(SiHCl
3)、テトラクロロシラン(SiCl
4)または前記物質の混合物である。
【0004】
シーメンス法は、通常、析出炉(「シーメンス炉」とも呼ばれる。)内で実施される。最も一般的な実施形態では、炉は、金属製ベースプレートと、ベル内部に反応空間が形成されるようにベースプレートに載せられる冷却可能なベル状部とを備える。ベースプレートには、1つ以上のガス入口孔と、出発する反応ガスのための1つ以上の排ガス孔とが備え付けられ、基材を反応空間内に保持し電力が供給されるホルダも備え付けられる。
【0005】
各基材は、2つの薄いフィラメントロッドと、隣り合うロッドをこれらの自由端で概ね接合するブリッジとから主に成る。最も頻繁には、フィラメントロッドは、単結晶または多結晶シリコンで作られ、稀に金属または合金または炭素が使用される。フィラメントロッドは、炉ベースに位置する電極に垂直に差し込み、これらの電極を介して電源供給部との接続が成される。加熱されるフィラメントロッドおよび水平ブリッジには、高純度ポリシリコンが析出し、この結果、これらの直径が時間とともに増加する。所望の直径を達成した後、方法は終了する。
【0006】
ポリシリコンを製造するために、析出炉がルーチン的に使用され、炉内にはベースプレートと呼ばれる下部にて反応ガスがノズルを介して注入される。しかし、炉の上部には、ノズルを用いて可能な限り等しく反応ガスが導入される。
【0007】
同様に、生じた排ガスは、炉ベースの1つ以上の孔を介して、しかし炉フードを介しても炉から頻繁に除去される。
【0008】
ロッド表面の一様な析出にとって原料ガスの一様な分配が重要であるので、ガスは、通常、複数のノズルを介して給送される。
【0009】
このような原料ガスの分配は、個々の原料ガスノズルへの直接接続部をそれぞれに有する多数の個々の原料ガス管を用いるか、または個々の原料ガスノズルのための複数の接続部を有するガス分配器、例えば、炉の近傍、通常は炉ベースプレートの下のリング型または異なるタイプのガス分配器を介するかのいずれかによって成し遂げることができる。
【0010】
先行技術では、幾つかの対応する解決策が知られている。
【0011】
US2011/0058988A1は、多結晶シリコンを製造するための炉であって、多数のノズルを有する炉ベースを有し、多数のノズルが、1つのノズル進入孔をそれぞれ有し、炉内部へのシリコン含有ガスの給送部を形成するノズル出口孔をそれぞれ有する、炉において、1つの壁が、空洞と連通するノズルの少なくとも一部の上にシリコン含有ガスを分配させる空洞の境界を炉ベースの外面とともに定めるような形を成し、壁が、炉ベースの外面との空洞の少なくとも1つの接触面が炉ベースの外面の本来の部分領域に限定されるように炉ベースに気密に取り付けられることを特徴とする、炉を説明している。
【0012】
US2011/0058988A1は、多結晶シリコンを製造するための炉であって、炉の炉ベースが、炉ベースのノズル上へのシリコン含有ガスの分配部がスペースをとらず、確実であり、廉価であり、炉ベースの外側のさらなる装置、例えば電極または冷媒接続部への容易なアクセスが可能となるように構成される、炉を提供することを目的とする。
【0013】
US2011/0305604A1は、モノシラン法により多結晶シリコンを製造するための炉であって、シリコン含有ガスを流入させる多数のノズルを形成した炉ベースと、炉ベースに同様に取り付けられた複数のフィラメントロッドと、ノズルから隔てられ使用済みモノシランを濃縮部および/または再処理部に給送するためのガス出口孔とを有する炉において、ガス出口孔が内側チューブの自由端に形成され、内側チューブが炉ベースを通って案内され、内側チューブが外側壁および内側壁を具備し、これにより少なくとも1つの冷却水回路が案内される中間空間を形成することを特徴とする、炉を説明している。
【0014】
US2011/0305604A1は、多結晶シリコンの確実な製造を保証するように使用済みシリコン含有ガス(モノシラン:SiH
4)の除去が設計されるように、多結晶シリコンを製造するための炉を設計することを目的とする。
【0015】
好適な実施形態では、炉および炉ベースは、内側壁および外側壁を備えるジャケットとして構成され、ジャケット内に冷却用の水が位置する。この場合、炉ベースは、第1の領域および第2の領域を備え、第1の領域は、ノズルを有する中間プレートの炉内部に面したプレートにより形成され、第2の領域は、中間プレートと、フィラメント用の供給接続部を有するベースプレートとにより形成される。
【0016】
炉は、反応ガスを給送するための多数のノズルを有する。炉ベースは、中間プレートを介して2つの領域に細分化される。ノズルは、中間プレートと炉の内部との間の円筒接続部として構成される。従って、中間プレートの下の領域はガス分配器として機能する。
【0017】
US4805556Aは、シランの熱分解により多結晶シリコンを析出するための炉であって、炉からの排ガスを再処理し、この排ガスを少なくとも部分的に炉に戻す炉を説明している。この目的のため、分配器ピースのリング型分配器グリッドと、フィラメントに対応する数の多数の分配器リングとが設けられる。
【0018】
好適な実施形態では、分配器グリッドは2つの分配器ピースを備え、第1の分配器ピースは、再処理された排ガス用のチューブに接続され、第2の分配器ピースは分配器リングに接続され、2つの分配器ピースは少なくとも1つの給送管を用いて接続される。各分配器リングは、対称的に配置される多数のノズル孔を備える。分配器リングは、各場合において、再処理された排ガスがフィラメント支持電極に向けられるように置かれる。
【0019】
原料ガスおよび排ガスが湿気に敏感であり、空気または酸素と混合する場合に爆発性ガスの混合物が生じることがあるため、原料ガス管および排ガス管または分配器は炉ベースに堅固に溶接される(US2011/0058988A1を参照のこと。)。これによって、反応ガスの漏れが防止され、特定のメンテナンス作業(例えば、モニタリングまたはシール交換が不要となる。)が簡素化される。
【0020】
析出工程を通して、成長するシリコンロッドにクラックが生じることがある。この結果として、各種サイズのシリコン破砕物が給送孔および排ガス孔に落下し、ガス管またはガス分配器を閉塞することがある。
【0021】
最悪の場合、全てのロッドが崩壊することがあり、非常に大きなシリコン片が入口および出口孔に落下することがある。
【0022】
原料ガスの場合、このような閉塞は、原料ガスの不均一な分配または不正確な計量をもたらし、排ガスの場合、閉塞は、炉内の望ましくない圧力上昇を生じさせることがある。
【0023】
このため、遅くとも次のバッチの前にシリコン片を除去しなければならない。
【0024】
炉ベースに堅固に接続されるガス分配器、即ち、例えば切断のみにより炉ベースから分離できるガス分配器の場合、実際には、炉内のガス孔を介してバッチ切替え中にシリコン片を除去する可能性のみがある。
【0025】
シリコン片は、通常、相当な手間暇をかけて(例えば、手でまたは把持具、真空掃除機を使用して)のみ除去され得る。この手法は、面倒であり時間を要し(即ち、比較的長い準備時間)、非常に大きな片が把持具にとっては嵩張りすぎることがあり、真空掃除機を使用して吸引により除去できないので、常に成功をもたらす訳でもない。
【0026】
脱着可能な接続部(例えばフランジ)を用いて原料ガスまたは排ガス流出管を介して炉に固定されるガス分配器または排ガス捕集器では、原料ガスまたは排ガス管は、事実上分解できるが、シリコン片の大部分が内部に見つかるガス分配器または排ガス捕集器自体は開放できない。炉ベースの下の追加の配管および電気接続部は、また、ガス分配器および/または排ガス捕集器への簡単なアクセスを妨げる。
【0027】
これらの問題から本発明の目的が生じた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】米国特許出願第2011/0058988号明細書
【特許文献2】米国特許出願第2011/0305604号明細書
【特許文献3】米国特許第4805556号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0029】
目的は、容易に脱着可能な固定具を用いて互いに気密に接続される少なくとも2つのセグメントと、少なくとも1つのガス入口孔および少なくとも1つのガス出口孔とを備え、ガスを輸送できる、ガス分配器であって、ガス分配器が、容易に脱着可能な固定手段を用いて多結晶シリコンを析出するための炉に取り付けることができ、ガス分配器の少なくとも1つのガス出口孔が炉の1つのガス入口孔に連通接続される、および/または、ガス分配器の少なくとも1つのガス入口孔が炉の1つのガス出口孔に連通接続される、ガス分配器によって達成される。
【0030】
好適には、ガス分配器は、反応ガス(シラン)を炉内に導入するのに適した原料ガス分配器である。この場合、少なくとも1つのガス入口孔が、反応ガスをガス分配器内に給送するために設けられ、この目的のために反応ガス給送管に接続される。少なくとも1つのガス出口孔は、この場合に反応ガスを炉ノズルに給送するのに役立ち、この目的のために炉のガス入口孔に連通接続される。例えば炉が3つのガス入口孔を有する場合、原料ガス分配器は、同様に3つのガス出口孔を含み、ガス出口孔のそれぞれは、各場合において炉のガス入口孔の1つに連通接続される。
【0031】
しかし、複数の原料ガス分配器が多数のガス入口孔のために使用される可能性もある。同様に、ガス入口孔を適宜所望な任意数の原料ガス分配器および適宜所望な任意の反応ガス給送管と組み合わせる可能性がある。
【0032】
目的は、容易に脱着可能な固定手段を用いて互いに気密に接続される少なくとも2つのセグメントと、少なくとも1つのガス入口孔および少なくとも1つのガス出口孔とを備え、ガスを輸送できる、ガス分配器であって、ガス分配器が、容易に脱着可能な固定手段を用いて多結晶シリコンを析出するための炉に取り付けることができ、ガス分配器の少なくとも1つのガス入口孔が、炉からの排ガスを給送するために設けられ、炉の少なくとも1つの排ガス孔に接続され、ガス分配器の少なくとも1つのガス出口孔が、ガス分配器から排ガスを除去するのに役立つ、ガス分配器によっても達成される。
【0033】
この場合、ガス分配器の少なくとも1つのガス入口孔が、炉からの排ガスを給送するために設けられ、この目的のために炉のガス出口孔(排ガス孔)に連通接続される。例えば炉が3つの排ガス孔を有する場合、排ガス捕集器は、同様に3つのガス入口孔を含み、ガス入口孔のそれぞれは、炉の排ガス孔の1つに連通接続される。排ガス捕集器の少なくとも1つのガス出口孔は、排ガス捕集器から排ガスを除去するのに役立つ。しかし、複数の排ガス捕集器が多数の排ガス孔のために使用される可能性もある。同様に、ガス出口孔を適宜所望な任意数の排ガス捕集器および個々の排ガス管と組み合わせる可能性がある。
【0034】
本発明は、少なくとも1つのこのような原料ガス分配器および/または少なくとも1つのこのような排ガス捕集器を備える、多結晶シリコンを析出するための炉にも関する(
図1から
図4を参照のこと。)。
【0035】
複数のこのような排ガス捕集器および/または原料ガス分配器を1つの析出炉内に設けることが好ましい(例えば
図3/
図4を参照のこと。)。
【0036】
好適には、原料ガス分配器または排ガス捕集器はリング型である。リング型の原料ガス分配器または排ガス捕集器は、特に、炉上のスペースをとらない配置の利点を呈し、炉空間内の一様なガス流を、またこれによって一様なガス分配を引き起こす。
【0037】
ガス分配器からノズルまでの給送管が全てのノズルについて同一の形状および長さを有するように配置される原料ガス分配器が特に優先され、給送管が底部からベースプレートを介して炉内に進む理想的な場合、垂直上向きに接続することさえできる。
【0038】
給送管は、ガス分配器から個々の炉ノズルまでの接続部という意味で捉えられる。
【0039】
炉からの排ガスの一様な除去は、炉空間内の一様なガス分配にとって等しく重要である。この除去は、排ガス捕集器を介して原料ガス分配器と同様に成し遂げることができる。
【0040】
炉の排ガス孔から排ガス捕集器までの排ガス除去管が同一の形状および長さを有するように配置される排ガス捕集器が特に優先される。
【0041】
排ガス除去管は、炉の排ガス孔と排ガス捕集器の間の接続部という意味で捉えられる。
【0042】
本発明の成功にとっては、ガス分配器および排ガス捕集器が2つ以上の部品ピースで構成されることが不可欠である。
【0043】
全ての部品ピースは、脱着可能な手段(例えばフランジ)を使用してのみ互いに気密に接続される。
【0044】
分割可能なセグメントは、脱着可能な固定手段(例えば、ボルト付きフランジ、留め具付きフランジ、ねじ付き固定具、圧縮嵌め具等)を使用してのみ互いに気密に接続される。
【0045】
加えて、給送管または排ガス除去管は、同様に、脱着可能な手段(フランジ)を使用して炉に気密に接続されるべきである。
【0046】
本発明による装置は、ガス分配器または排ガス捕集器の簡素化された除去および洗浄によって、落下したSi片を除去することを可能にする。
【0047】
ガス分配器または排ガス捕集器が複数のセグメントから成るため、必要であれば、分配器/捕集器の汚れた部分のみを取り外し、この部分を洗浄(準備時間の節減)すること、または場合により交換することも可能である。
【0048】
多くの場合、高圧で片を排出することなしに済ますことが可能である。
【0049】
さらに、設備の耐用年数は、補助手段(把持アーム、真空掃除機等)による面倒な作業工程によって増加されない。
【0050】
設備の下のメンテナンス作業のためにベースプレート全体を取り外す必要がない場合(例えば、設備の下の炉ピットを使用する。)、ガス分配器/排ガス捕集器の単一のセグメントを比較的素早く除去し洗浄することができる。
【0051】
給送管/排ガス除去管が幾何学的に同一となるようにガス分配器または排ガス捕集器が配置される場合であって、これらの配管を垂直上向き/下向きに(即ち、給送管/排ガス除去管の屈曲なしに)さえ接続できる理想的な場合、加えて、炉内には析出工程を改良する一様なガス流が生じる。
【0052】
図1、
図2、
図3および
図4を参照して本発明を以下でさらに説明する。
【0053】
使用する参照符号のリスト
1 炉フード
21 原料ガス分配器
22 排ガス捕集器
31 原料ガス管
32 排ガス管
41 反応ガス給送部
42 排ガス除去部
5 ベースプレート
6 フランジ接続部
7 U字状基材(フィラメント)
8 水冷却部(二重壁)
9 水噴霧部
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】原料ガス分配器を有するシーメンス炉を概略的に示している。
【
図2】排ガス捕集器を有するシーメンス炉を示している。
【
図3】排ガス捕集器および2つの原料ガス分配器を有するシーメンス炉を概略的に示している。
【
図4】炉蓋上の排ガス捕集器と炉ベース上の2つの原料ガス分配器とを有するシーメンス炉を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1は、炉フード1と、U字状基材7(表面にシリコンが析出される。)と、原料ガス分配器21とを有する炉を示している。31は原料ガス管を示している。反応ガスは、反応ガス給送部41を介して原料ガス分配器21に案内される。反応ガス用の3つの孔を示している。ベースプレート5には、対応する孔が存在する。原料ガス分配器の個々の要素は、フランジ接続部6を用いて固定されており分離され得る。排ガスは、ベースプレート5の孔を介して除去される。
【0056】
図2は、炉フード1と、U字状基材7(表面にシリコンが析出される。)と、排ガス捕集器22とを有する炉を示している。32は排ガス管を示している。炉からの排ガスは、ベースプレート5の3つの孔を介して排ガス管32(対応する孔を排ガス捕集器が有する。)に導かれ、排ガス除去部42を用いて排ガス捕集器22から除去される。排ガス捕集器22の個々の要素は、フランジ接続部6を用いて固定されており分離され得る。水冷却部8が水噴霧部9とともに設けられる。
【0057】
図3は、炉フード1、U字状基材7(表面にシリコンが析出される。)と、2つの原料ガス分配器21とを有する炉を示している。31は原料ガス管を示している。反応ガスは、反応ガス給送部41を介して原料ガス分配器21に導かれる。原料ガス分配器21毎に反応ガス用の3つの孔を示している。ベースプレート5には、対応する孔が存在する。原料ガス分配器の個々の要素は、フランジ接続部6を用いて固定されており分離され得る。加えて排ガス捕集器22が設けられる。32は排ガス管を示している。炉からの排ガスは、ベースプレート5の3つの孔を介して排ガス管32(対応する孔を排ガス捕集器が有する。)に導かれ、排ガス除去部42を用いて排ガス捕集器22から除去される。排ガス捕集器22の個々の要素は、フランジ接続部6を用いて固定されており分離され得る。水冷却部8が水噴霧部9とともに設けられる。
【0058】
図4は、2つの原料ガス分配器21と、排ガス捕集器22とを有する実施形態を示しているが、
図3とは違って、排ガス捕集器がベースプレートではなく炉蓋にフランジ留めされている。