【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明によれば、画像信号が送信装置と少なくとも1つの受信装置との間でディジタル伝送され、その画像信号が、時間的に連続する複数の画像を有する画像処理装置を動作させる方法において、画像の画像内容が、伝送の前に、信号交番周波数にて変化する交番信号を重畳され、その信号交番周波数が人間の目によって分解可能である知覚周波数より大きい又は同じであることによって解決される(請求項1)。
この方法では、画像の画像内容が伝送前に信号交番周波数にて変化する交番信号(alternating signal)を重畳され、信号交番周波数(signal alternation frequency)が人間の目によって分解可能な知覚周波数より大きい又は同じである。画像信号は送信装置から伝送区間を介して受信装置にディジタル伝送される。その前に複数の画像の画像内容に交番信号が重畳される。これは、必要に応じて伝送系列内に設けられている画像メモリの前で、それゆえ特に画像内容の撮影直後に、しかし少なくとも伝送前に行なわれることが好ましい。それゆえ、伝送される画像は画像内容および交番信号もしくは交番信号の部分信号から成る。交互に生じる交番信号は、連続する画像が相違を有するように配慮する。この相違は、例えば自動的に、特に受信装置又は表示装置において、確認されるとよい。
本発明による画像処理装置の動作方法の有利な実施態様は次の通りである。
・表示装置による表示が、前記信号交番周波数より大きい又は同じである再生周波数にて行なわれる(請求項2)。
・重畳が撮影装置において画像内容の撮影時又は撮影直後および/又はディジタル伝送前に行なわれる(請求項3)。
・各画像およびそれぞれの画像内容が、それぞれ1つの画素値を有する複数の画素を含み、交番信号が画像の変更領域内の画素に影響を及ぼす(請求項4)。
・交番信号が少なくとも2つの異なる交替する部分信号を含み、各部分信号が少なくとも1つの画素から成り、その画素の画素値が、画像内容の対応する画素値に加算されるか、又は画像内容の対応する画素値に上書きされる(請求項5)。
・画像内容への交番信号の重畳の際に、画像信号の連続する複数の画像の第1の画像については、変更領域内の1つの画素値、好ましくは全ての画素値の少なくとも1つのビットが特定の第1の値にセットされ、第2の画像については、変更領域内の1つの画素値、好ましくは全ての画素値の少なくとも1つのビットが特定の第2の値にセットされる(請求項6)。
・それぞれの画素値の全てのビットがセットされ、第1の値が画素値の最大値であり、第2の値が画素値の最小値である(請求項7)。
・ビットがそれぞれの画素値の最下位ビットである(請求項8)。
・第1の値および第2の値は、ビットのセット時に、特定の画素値パリティ、特に連続する複数の画像の第1の画像と第2の画像との間で異なる特定の画素値パリティが生じるように選ばれている(請求項9)。
・画像信号への交番信号の重畳時に、画像信号の連続する複数の画像の第1の画像については、変更領域内の少なくとも1つの画素値、好ましくは全ての画素値が規定値だけ増加させられ、第2の画像については、同じ値だけ減少させられる(請求項10)。
・規定値が、増加および/又は減少が画素値のオーバーフローをもたらす場合には減少させられ、オーバーフローがない場合には規定の最大値まで増加させられる(請求項11)。
・画像信号の複数の画像が画像交番周波数にて連続し、画像交番周波数が信号交番周波数より大きい又は同じに選ばれる(請求項12)。
・各画像が、表示装置による表示時に表示される有効領域と、有効領域の外側にあって同様に表示される縁領域と、表示されない外側領域とを有し、変更領域が有効領域、縁領域および/又は外側領域にある(請求項13)。
・交番信号がシンボル、特に絵文字又は記号を有する(請求項14)。
【0008】
従って、画像信号の連続する画像間に相違がある場合には、伝送区間を介する信号伝送の成功が推定される。相違の確認は、例えば、画像信号の少なくとも2つの連続する画像、特に直接的に連続する画像の自動的な比較により行なわれ、その際にこれらの画像は領域的に少なくとも互いに比較される。比較は、有利には、2つよりも多い連続する画像に拡張されるとよく、それによって、成功又は失敗した画像伝送の誤認のリスクが低減され、従って識別精度が高められる。それゆえに、3つ又はそれ以上の連続する画像が互いに比較される。
【0009】
代替として、成功もしくは失敗した画像伝送の識別を、画像処理装置、特に受信装置もしくは表示装置の使用者に任せることもできる。人間の目によって分解可能な知覚周波数(約20Hz)より大きい又は同じである信号交番周波数で交番信号が交替するので、成功した画像伝送の場合に使用者は交番信号の個々の部分信号を互いに分離することができない。それらの部分信号は使用者にはむしろ重畳された部分信号として見える。信号交番周波数は知覚周波数よりも明確に大きく、特にこれの数倍であることが好ましい。交番信号の個々の部分信号は例えば色表示および/又はそれの模様に関して異なる。ここで画像伝送においてエラーが発生する場合に、従ってフリーズ画像が現れる場合に、使用者は交番信号を構成する部分信号のうちの一方の孤立した部分信号に気づく。
【0010】
使用者は、それゆえ簡単に、画像伝送が成功したか又は失敗したかを確認することができる。この場合に特別に重要な観点は、信号交番周波数が知覚周波数に等しいかそれよりも大きいことである。このようにしてのみ、画像処理装置の動作中に画像表示装置において使用者にとって障害となる画像のゆらぎが全く発生せずに、常に落ち着いた画像表示が行なわれることを保証することができる。知覚周波数よりも小さい信号交番周波数の場合には、使用者は個々の部分信号を互いに区別することができる。それに応じて使用者は常に画像の本来の画像内容から気をそらされる。このために使用者は表示された部分信号を評価し、画像伝送が成功したか又は誤ったかを判定せざるを得ない。これに対して、本発明による方法では、成功した画像伝送の場合には、常に、交番信号の一定の落ち着いた画像印象が現れるように交番信号の個々の部分信号が重なり合う。使用者は、それゆえ、伝送されて表示された画像の本来の内容から気をそらされることはない。
【0011】
特に医学分野において、例えば撮影装置により撮影されたシーンが変化しなかったために、2つの連続する画像、とりわけ直接的に連続する画像が同一の画像内容を有することが起こり得る。このようなケースは、例えば血管造影検査時の造影剤なしの撮影の際に、又はX線撮影の際にしばしば発生する。従って、交番信号の重畳がなければ、変化のないシーンにおいて必要に応じて画像信号の連続する画像間の相違を確認することができないので、使用者は、成功した画像伝送が存在しているのか又は失敗した画像伝送が存在しているのかを確信できない。
【0012】
この理由から、本発明による方法にとって、伝送前に画像内容に交番信号を重畳することが特に重要である。このケースにおいて、連続する画像は本来同じ画像内容である場合にも伝送後には異なる。従って、連続する画像を比較すると、相違を確認することができ、もしくは使用者が、交番信号の部分信号の重ねられた表示が存在するのか、それとも分離された表示が存在するのかを確認し、それにより、成功した画像伝送か、それとも失敗した画像伝送かを識別することができる。
【0013】
本発明の実施形態によれば、表示装置による表示が、信号交番周波数より大きい又は同じである再生周波数にて行なわれる。表示装置は画像信号の連続する画像を表示するために用いられる。表示は再生周波数で行なわれ、これは画像信号の画像が再生周波数の逆数の時間間隔で連続することを意味する。特に成功した画像伝送であるか、それとも失敗した画像伝送であるかの識別を使用者自身によって可能にするためには、交番信号の個々の部分信号が表示装置に表示されることが保証されていなければならない。この理由から再生周波数は信号交番周波数に比べて大きいか又は等しい。好ましくは、再生周波数と信号交番周波数とが一致するのがよい。それゆえ、交番信号の各部分信号は、変わらない一定の表示時間間隔の期間中に現れる。従って、個々の部分信号は見えなくなり、これは、表示装置上に、例えば交番信号の部分信号の重ね表示の明滅の形で現れる交番信号の不規則な表示を生じさせる。
【0014】
本発明の実施形態によれば、重畳が撮影装置において画像内容の撮影時又は撮影直後および/又はディジタル伝送前に行なわれる。原理的には、画像伝送系列のどの個所で交番信号が画像信号に重畳されるかは重要なことではない。これがディジタル伝送前に行なわれることだけが重要である。交番信号が画像内容の撮影時又は撮影直後に既に画像信号に重畳されるならば、格別に有利である。このようにして、撮影装置から受信装置もしくは表示装置までの画像伝送区間全体において、必要に応じて発生する失敗した画像伝送の確実な識別を保証することができる。
【0015】
本発明による実施形態によれば、各画像およびそれぞれの画像内容が、それぞれ少なくとも1つの画素値を有する複数の画素を含み、交番信号が画像の変更領域内の画素に影響を及ぼす。各画像および同様にそれぞれの画像内容も、基本的には任意に(例えば行および列に)編成された複数の画素から構成され、各画素は少なくとも1つの画素値を有する。画素値は、使用される色空間に応じて、表示装置による表示時に画素が表示される色および/又は強度を表す。
【0016】
画像信号の色深度もしくはその画像信号の中に含まれる画像の色深度に応じて、異なった数の画素値が用意されなければならない。単色画像、特に黒白画像又はグレースケール画像は、通常、画素当たり1つの画素値だけを含むが、しかし画素値は異なった分解能を持つことができる。黒白画像の場合には、例えば画素値当たり1ビットの分解能で十分である(従って、画像信号の色深度は1ビットである)のに対して、グレースケール画像の画素値は、例えば8ビット以上、特に10、12又は16ビットの分解能を有する。画素値は、グレースケール画像については、強度を再生し、この強度で当該画素が表示装置において再生される。画像がカラー画像として存在する場合、各画素には、異なった分解能を有し得る複数の画素値が割り当てられている。例えば、使用される色空間に応じて、少なくとも3つの画素値が用いられ、これらの画素値は、それぞれ少なくとも8ビット、特に10、12又は16ビットの分解能を有し、3つの基本色の赤、緑、青の表示強度を表す。
【0017】
画像の変更領域は、少なくとも1つの画素、好ましくは複数の画素を含む。交番信号は、変更領域に割り当てられたこれらの画素に重畳される。このようにして、画像信号もしくは該当画像のそれぞれの画像内容は、変更領域内にのみ交番信号を供給され、しかしこれの外側には交番信号を供給されない。
【0018】
本発明の実施形態によれば、交番信号が少なくとも2つの異なる交替する部分信号を含み、各部分信号が少なくとも1つの画素から成り、その画素の画素値が、加算によって画像内容の対応する画素値に供給されるか、又は上書きによって画像内容の対応する画素値と置き換えられる。画像および画像内容と同様に、交番信号の部分信号は少なくとも1つの画素、しかし好ましくは複数の画素から成る。部分信号の各画素は、画像もしくは画像内容の1つの画素に割り当てられている。画像信号への交番信号の重畳時に、部分信号の画素の画素値が、画像内容の画素の対応する画素値に供給されるか、又は画像内容の画素の対応する画素値と置き換えられる。従って、前記供給の場合には部分信号の画素値が画像内容の画素値に加算される。この加算の結果が、合成画像の対応する画素の画素値を形成する。代替として、画像内容の元の画素を、上書きによっても部分信号の画素値で置き換えることができる。それゆえ、合成画像の画素値は、部分信号の画素値と対応し、(変更領域の外側におけるように)画像内容の画素値と対応しない。最初の方法の場合には元の画像内容が少なくとも部分的に保存されたままで異化されるだけであるのに対して、上書きの場合には元の画像内容が完全に置き換えられるので、今となっては(変更領域においては)部分信号の画素値が存在するだけである。
【0019】
本発明の実施形態によれば、画像内容への交番信号の重畳の際に、画像信号の連続する複数の画像の第1の画像については、変更領域内の1つの画素値、好ましくは全ての画素値の少なくとも1つのビットが特定の第1の値にセットされ、第2の画像については、変更領域内の1つの画素値、好ましくは全ての画素値の少なくとも1つのビットが特定の第2の値にセットされる。従って、対応する画素もしくは対応する画素値の少なくとも1つのビットが、特に唯一のビットだけが、交番信号もしくは各部分信号の画素値で置き換えられる。例えば、全てのビット、従って画素値全体が置き換えられる。その際に、対応する1つ又は複数の画素が、交番信号もしくはそれぞれの部分信号の画素値で置き換えられる。従って第1の画像に割り当てられる部分信号の画素値は第1の値を有し、第2の画像に割り当てられる部分信号の画素値は第2の値を有する。それにより交番信号においては第1の値を有する部分信号と第2の値を有する部分信号とが交互に現れる。例えば3番目の画像のための画素値が特定の第3の画素値にセットされるように、より多くの部分信号および画素値を用いることができる。この系列は任意に継続することができる。
【0020】
それゆえ、ここに紹介した画像信号への交番信号の重畳の場合には、前述の上書きが提案されている。従って、画像信号の画素値は、それぞれ割り当てられた部分信号の画素値によって完全に置き換えられる。画像は、特に直接的に連続し、従って第1の画像と第2の画像との間に中間画像は存在しない。
【0021】
この実施形態の場合には、変更領域を取り囲む画素(これらは交番信号のための背景領域を成す。)が、信号交番周波数で画像内容に重畳される部分信号と同一の又は少なくとも類似の色印象を使用者において生じさせる画素を有するならば、格別に有利である。例えば、これらの画素は、特定の第1の値と特定の第2の値との平均値に相当する画素値を有するべきである。画像信号のエラーのない伝送の場合には、使用者にとって、殆ど単色の面の印象が生じる。これに対して、エラーが発生すると、使用者は、取り囲む背景領域とは異なる第1の部分信号か第2の部分信号かのいずれか一方を認識する。背景領域は、変更領域に対して分離して存在してよいし、又はその代わりに変更領域の構成要素であってもよく、従って変更領域と一緒に画像内容に重畳されてよい。
【0022】
本発明の実施形態によれば、それぞれの画素値の全てのビットがセットされ、第1の値が画素値の最大値であり、第2の値が画素値の最小値である。同様に画素値全体のセットもしくは置換えが行なわれる。上述の実施形態によれば、画素値はさまざまの分解能を有することができる。今や第1の値は最大値、従って画素値が最大限取り得る値に相当するべきである。これに対応して、第2の値は、画素値が最小限再生できる最小値を再生すべきである。一般に最小値は0に等しく、最大値は2
n−1に等しく、nは画像の色深度、従って画素の分解能を表す。例えば8ビットの色深度については、最小値が0、最大値が255である。
【0023】
本発明の実施形態によれば、ビットがそれぞれの画素値の最下位ビットである。各画素値は2進系でコード化され、従って色深度に相当するビット数を有する。最下位ビット(least significant bit ; LSB)は、それの変化が画素値の最も少ない値変化、一般には1の大きさだけの値変化になるビットである。最下位ビットの変化は、一般に表示装置による再生時に、画像内容の僅かしか見えない、殆ど見えない又は全く見えない変化をもたらす。従って、ここで述べた最下位ビットだけの変化の際に、知覚周波数よりも小さい信号交番周波数も選択することができる。それゆえ、信号交番周波数が知覚周波数より大きい又は同じであることは必要でない。再生時の変化は僅かだけであるので、一般に、失敗した画像伝送か成功した画像伝送かの判定は、連続する画像の比較による自動評価によってしか可能でない。これに対して、使用者は変化を知覚できないか、又はかろうじて知覚できるにすぎず、そのかぎりでは失敗した画像伝送か又は成功した画像伝送かを信頼性をもって判定できない。その点では、この場合、使用者が直接的に評価できないが、画像伝送の状態の自動評価を可能にするディジタル透かし模様が存在する。
【0024】
本発明の実施形態によれば、第1の値および第2の値は、ビットのセット時に、特に連続する複数の画像の第1の画像と第2の画像との間で異なる特定の画素値パリティが生じるように選ばれている。従って、先ず、全てのビットを観察して、それぞれの画素値のパリティが求められる。続いて少なくとも1つのビットが、所望のパリティが生じるようにセットされる。その際に唯一のビット、特に最下位ビットだけが第1の値もしくは第2の値にセットされる。成功した画像伝送か又は失敗した画像伝送かを判定するために、伝送後に、好ましくは再生直前に、連続する画像のパリティが求められて評価される。
【0025】
例えば、異なる画像内容にもかかわらずパリティが常に等しいままであるように、値が選ばれる。しかし、好ましくは、(とりわけ直接的に)連続する複数の画像についてはパリティがそれぞれ異なるべきである。これは、例えば、画素値が第1の画像については偶数、第2の画像については奇数、これに直ぐ続く画像については再び偶数、・・・等であることを意味する。交互に現れるパリティに基づいて、伝送後には、成功した画像伝送か又は失敗した画像伝送かを確実に判定することができる。
【0026】
本発明の実施形態によれば、画像信号への交番信号の重畳時に、画像信号の連続する複数の画像の第1の画像については、変更領域内の少なくとも1つの画素値、好ましくは全ての画素値が規定値だけ増大させられ、第2の画像については、同じ値だけ減少させられる。従って、対応する画素値が交番信号もしくはそれぞれの部分信号の画素値により変更される。例えば、それぞれの部分信号の画素値が、画像内容の画素値に対して加算され、それにより画像の最終的な画素値がもたらされる。その際に第1の画像に割り当てられた部分信号の画素値は、特に正であり、1つの前記規定値又は(複数の画素値が変更される場合には)特に異なる複数の規定値を有する。これに対して、第2の画像に割り当てられた部分信号の画素値は、負であり、しかし絶対値としては同じ値、もしくは特に異なる複数の規定値を有する。これらの画像は、特に直接的に連続し、従って第1の画像と第2の画像との間に中間画像は存在しない。
【0027】
正の値を有する部分信号と負の値を有する部分信号とが交互に現れ、それらの順序に応じて画像信号のそれぞれの画像の画像内容に供給される。それゆえ、ここでは画像内容の画素値と部分信号の画素値との前述の加算が行なわれ、その加算により画像のそれぞれの画素の画素値が得られる。このようにして、特に、相補記号が画像信号の複数の画像内に導入され、相補記号は第1の画像においては正で、第2の画像においては負で供給されている。知覚周波数より大きい又は同じである信号交番周波数の存在のもとで表示装置によって画像信号を表示する際に、交番信号は使用者による観察時にほぼ平均化されるので、元の画像に対して全く又は僅かしか変化を認識することができない。しかし、失敗した画像伝送が発生した場合もしくはフリーズ画像の場合には、常に交番信号の同じ部分信号が表示されるので、相補記号が表示装置上で負か正かのいずれか一方の形で識別可能である。これらは使用者によって明確に画像内容から区別することができるので、使用者は確実に失敗した画像伝送を識別することができる。
【0028】
実施形態によれば、規定値が、増大および/又は減少が画素値のオーバーフローをもたらす場合には減少させられ、オーバーフローがない場合には規定の最大値まで増加させられる。交番信号の部分信号の1つもしくは複数の規定値は、画像信号の複数の画像の画像内容に適応するように調整される。オーバーフローとは、画像内容の画素値へのそれぞれの部分信号の画素値の重畳が、その重畳により生じる合成画素値が最大値を上回ることによって又は最小値を下回ることによって規定の値範囲から外れることであると理解すべきである。このオーバーフローが発生する場合、画像内容の強い改変を回避するために、画素値を、上に向かっては最大値に制限し、下に向かっては最小値に制限する第1の可能性が存在する。しかし、このような方法は、それにもかかわらず、十分に高い周波数で表示する場合にも、連続する部分信号の相殺が行なわれないので、表示装置上では、少なくとも交番信号の弱まった表示が見える。
【0029】
この理由から、追加又は代替として、オーバーフローが発生する場合には、規定値を減少させることによって、後続の画像内容の画素値には減少させられた規定値だけが重畳されるようにする。その減少は一般に絶対値の減少であると解釈すべきであり、従って正の画素値は減少させられ、負の画素値は増大させられる。減少は、連続する画像に対して、オーバーフローがもはや発生しなくなるまで行なわれる。追加又は代替として、規定値を、特にオーバーフローが確認されない規定の最大値まで、増加させるようにしてもよい。このようにして、現在の画像内容に応じて、常に、失敗した画像伝送のできるだけ有効な識別ができることを保証することができる。例えば部分信号がグレースケール画像又はカラー画像を含むために交番信号の部分信号が複数の異なる規定値を有する場合には、画素値の1つだけがオーバーフローする際に、全ての規定値を比例して減少させるとよい。同様なことが規定値の増加に対しても行われる。
【0030】
本発明の実施形態によれば、画像信号の画像が
フレームレートにて連続し、
フレームレートが信号交番周波数より大きくまたは同じに選ばれる。
フレームレートが再生周波数に一致するのが理想的である。しかし、
フレームレートはこれよりも小さくてもよく、従って
フレームレートよりも大きい再生周波数での表示を可能にするためには、表示装置による画像信号の表示の際に画像信号の個々の画像が繰り返される。しかし、交番信号の連続する部分信号をそれぞれ画像信号の少なくとも1つの画像に割り当て得ることを保証するために、
フレームレートが信号交番周波数より大きい又は同じであるように構成されている。このようにして、交番信号の個々の部分信号が考慮されず、従って画像のどれにも割り当てられないことが防止される。
フレームレート、信号交番周波数、再生周波数および画像伝送周波数が等しいことが格別に好ましい。
【0031】
本発明の実施形態によれば、画像が、表示装置による表示時に表示される有効領域と、有効領域の外側にあって同様に表示される縁領域と、表示されない外側領域とを有し、規定された変更領域が有効領域、縁領域および/又は外側領域にある。それに応じて、画像は3つの異なる領域を有する。有効領域は、一般に使用者にとって重要な画像内容が再生される領域である。縁領域は、例えばステータス情報の表示に用いられ、特に規則正しい又は失敗した画像伝送の存在に関する情報の表示にも用いられ、あるいはロゴの挿入に用いられる。外側領域は表示装置により表示されない。外側領域は縁領域の外側にあり、縁領域は有効領域を取り囲む、つまり有効領域の外側にある。
【0032】
それにもかかわらず、外側領域は、送信装置から受信装置へ伝送される。外側領域は、送信装置と受信装置との間で実効情報、例えば同期化情報を伝送するために利用される。交番信号が画素に影響を及ぼす変更領域は、これらの3つの領域のどれに設けてもよく、特にこれらの複数の領域に部分的に重なり合っていてもよい。失敗した画像伝送の識別を使用者によって行なわなければならない場合に、変更領域は、特に少なくとも部分的に有効領域および/又は縁領域に存在する。成功した画像伝送か又は失敗した画像伝送かの判定を自動的に行なう場合には、変更領域は外側領域にあってもよく、あるいは外側領域のみにあってもよい。
【0033】
本発明の実施形態によれば、交番信号がシンボル、特に絵文字又は記号を有する。それゆえ、シンボルは、例えば使用者に対して成功した画像伝送又は失敗した画像伝送を象徴する重要情報媒体である。シンボルは、例えば絵文字として、又は記号として存在する。絵文字とは、情報が簡単なグラフィック表示によって伝える単独のシンボルであると理解することができる。例えば、特に変更領域が外側領域にある場合には、絵文字として、交番信号の第1の部分信号としての垂直線と、交番信号の第2の部分信号としての水平線とを使用するとよい。知覚周波数より大きい又は同じである信号交番周波数で画像信号のそれぞれの画像に供給される両部分信号を交互表示すると、成功した画像伝送の場合には使用者にプラス記号の印象を与えるのに対して、失敗した画像伝送の場合にはマイナス記号もしくは垂直線が認識される。その点で、使用者は、画像伝送が規則正しいか、それともエラーを有するかという絵文字の意味内容を明確に察知することができる。代替として、シンボルは、記号として、例えば文字等として存在することができる。
【0034】
更に、本発明は、画像送信装置と少なくとも1つの受信装置とを有し、これらは時間的に連続する複数の画像を有する画像信号をディジタル伝送するように構成されている画像処理装置、特に上述の方法を実施するための画像処理装置に関する。
この画像処理装置において、画像処理装置が、複数の画像の画像内容に伝送前に信号交番周波数にて変化する交番信号を重畳するように構成され、その信号交番周波数が人間の目によって分解可能な知覚周波数より大きい又は同じである(請求項15)。
ディジタル伝送は送信装置と少なくとも1つの受信装置との間で行なわれる。画像処理装置は前述の実施形態に従って発展させることができる。
【0035】
以下において図面に示す実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、これに本発明は限定されない。