特許第6166073号(P6166073)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6166073
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】車両用テーブル
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/00 20060101AFI20170710BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
   B60N3/00 A
   A47C7/62 B
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-58362(P2013-58362)
(22)【出願日】2013年3月21日
(65)【公開番号】特開2014-180996(P2014-180996A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2016年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】712004783
【氏名又は名称】株式会社総合車両製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】橋本 健司
(72)【発明者】
【氏名】河田 直樹
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−154362(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0204683(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0187163(US,A1)
【文献】 実開平7−13565(JP,U)
【文献】 特開2005−96489(JP,A)
【文献】 特開平10−138920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/00
A47C 7/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内装部材に回動自在に取り付けられる車両用テーブルであって、
表面及び裏面を有する天板部と、
前記天板部の裏面側において、前記天板部の縁部に立設された側面部と、を備え、
前記天板部及び前記側面部は、アルミニウム合金、アルミニウムとマンガンとを含むマグネシウム合金、及びアルミニウムと亜鉛とを含むマグネシウム合金のいずれかの軽合金によって形成され、
前記天板部の前記裏面には、前記側面部の高さよりも低い扁平な凸状部が形成されており、
前記凸状部が外部に露出した状態となっている車両用テーブル。
【請求項2】
車両の内装部材に回動自在に取り付けられる車両用テーブルであって、
表面及び裏面を有する天板部と、
前記天板部の裏面側において、前記天板部の縁部に立設された側面部と、を備え、
前記天板部及び前記側面部は、アルミニウム合金、アルミニウムとマンガンとを含むマグネシウム合金、及びアルミニウムと亜鉛とを含むマグネシウム合金のいずれかの軽合金によって形成され、
前記天板部の前記裏面には、前記側面部の高さよりも低い扁平な凸状部が形成されており、
前記側面部には、内向きのフランジ部が設けられ、
前記フランジ部と接合されて前記天板部との間に中空構造を形成する裏蓋を更に備える車両用テーブル。
【請求項3】
前記凸状部は、射出成形によって前記天板部と一体に形成されている請求項1又は2記載の車両用テーブル。
【請求項4】
前記車両用テーブルを前記内装部材に取り付けるための軸部材が、前記射出成形によって前記側面部と一体に形成されている請求項記載の車両用テーブル。
【請求項5】
前記側面部の高さは、前記天板部の基端側から先端側に向かって低くなっている一方、前記凸状部の高さは一定となっている請求項1〜のいずれか一項記載の車両用テーブル。
【請求項6】
前記凸状部が占める面積は、前記裏面全体の面積の20%〜60%となっている請求項1〜のいずれか一項記載の車両用テーブル。
【請求項7】
前記凸状部の高さは、0.3mm〜2.0mmとなっている請求項1〜のいずれか一項記載の車両用テーブル。
【請求項8】
前記凸状部のアスペクト比は、0.004〜0.05となっている請求項1〜のいずれか一項記載の車両用テーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両等の座席後部等に取り付けられる車両用テーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道車両等の座席後部等に取り付けられる車両用テーブルとして、合成樹脂製のテーブルが広く使用されている(下記特許文献1,2参照)。合成樹脂としては、例えばFRP(Fiber Reinforced Plastics:繊維強化プラスチック)等が用いられる。合成樹脂製のテーブルは、一般的にはプレス成形によって製造され、テーブル天板の裏面には補強用のリブ形状が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−138920号公報
【特許文献2】特開2005−96489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したような合成樹脂等の有機材料で製造された車両用テーブルには、洗浄液による化学的な劣化や経年的な劣化によってテーブルに割れが生じ易く、メンテナンス費用が嵩むという問題がある。一方で、金属材料で製造された車両用テーブルは、有機材料より強度が高く割れが生じにくいというメリットを有するが、耐荷重性及び軽量性の両立が困難という問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、軽量性及び耐荷重性を両立しつつ、メンテナンス性にも優れた車両用テーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決のため、本発明に係る車両用テーブルは、車両の内装部材に回動自在に取り付けられる車両用テーブルであって、表面及び裏面を有する天板部と、天板部の裏面側において、天板部の縁部に立設された側面部と、を備え、天板部及び側面部は、アルミニウム合金、アルミニウムとマンガンとを含むマグネシウム合金、及びアルミニウムと亜鉛とを含むマグネシウム合金のいずれかの軽合金によって形成され、天板部の裏面には、側面部の高さよりも低い扁平な凸状部が形成されている。
【0007】
この車両用テーブルでは、天板部及び側面部が軽量かつ加工容易な軽合金によって形成されている。したがって、天板部の裏面に側面部の高さよりも低い扁平な凸状部を容易に形成でき、凸状部によって天板部の耐荷重性を十分に高めることができる。また、扁平な凸状部を採用することにより、従来のFRP製テーブル等に設けられる複数の大型リブと比較して遜色のない強度を保ちつつ、軽量性を担保できる。さらに、上述の軽合金は、有機材料よりも劣化が生じにくく、洗浄液による化学的劣化や経年劣化が原因で発生する割れ等を抑制できる。このため、車両用テーブルのメンテナンス性も容易となる。
【0008】
また、凸状部は、射出成形によって天板部と一体に形成されていてもよい。これにより、天板部に凸状部を一度に形成できる。また、従来のFRP製テーブルの製造に用いられているプレス加工と比較して高い寸法精度の凸状部が得られる。
【0009】
また、車両用テーブルを上記内装部材に取り付けるための軸部材が、射出成形によって側面部と一体に形成されていてもよい。この場合、側面部に軸部材を埋め込む開口部の形成工程を別途実施する必要がなくなり、製造工程の簡単化が図られる。
【0010】
また、凸状部が外部に露出した状態となっていてもよい。この場合、天板部の裏面をカバーする裏蓋等を省略して製造工程の簡単化及び材料費の低減が図られる。また、凸状部が露出したとしても、凸状部は扁平であるため手触りがよく利用者に不快感を与えるおそれもない。
【0011】
また、側面部には、内向きのフランジ部が設けられ、フランジ部と接合されて天板部との間に中空構造を形成する裏蓋を更に備えてもよい。この場合、裏蓋を設けることによって、車両用テーブルの見栄えや手触り等を向上できる。また、車両用テーブルの内部を中空構造とすることで、車両用テーブルの耐荷重性を一層確保できる。
【0012】
また、側面部の高さは、天板部の基端側から先端側に向かって低くなっている一方、凸状部の高さは一定となっていてもよい。この場合、テーブルの先端側が軽くなることで、耐荷重性を一層確保できる。一方で、扁平な凸形状を採用しているため、側面部の高さの大小によらず凸状部の高さを一定とすることで天板部の強度を保つことができる。
【0013】
また、凸状部が占める面積は、裏面全体の面積の20%〜60%となっていることが好ましい。この場合、車両用テーブルとして十分な強度を持たせつつ、天板部の裏面の形状をより手触りの良い形状とすることができる。
【0014】
また、凸状部の高さは、0.3mm〜2.0mmとなっていることが好ましい。この場合、車両用テーブルとして十分な強度を持たせつつ、天板部の裏面の形状をより手触りの良い形状とすることができる。
【0015】
また、凸状部のアスペクト比、すなわち凸状部の幅が最小となる方向における凸状部の幅に対する凸状部の高さの比(凸状部の高さ/凸状部の幅)は、0.004〜0.05となっていることが好ましい。この場合、車両用テーブルとして十分な強度を持たせつつ、天板部の裏面の形状をより手触りの良い形状とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、軽量性及び耐荷重性を両立しつつ、メンテナンス性にも優れた車両用テーブルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る車両用テーブルが取り付けられた座席の一例を示す図である。
図2】車両用テーブルを表面側から見た斜視図である。
図3】車両用テーブルを裏面側から見た斜視図である。
図4】車両用テーブルの側面図である。
図5図2におけるV−V線断面図である。
図6】天板部の裏面に形成された凸状部の断面図である。
図7】第2実施形態に係る車両用テーブルの裏蓋取り付け前の底面図である。
図8図7におけるVIII−VIII線端面図である。
図9図7に示した車両用テーブルの裏蓋取り付け後の底面図である。
図10図9におけるX−X線端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る車両用テーブルの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0019】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両用テーブルが取り付けられた座席の一例を示す図である。図1に示すように、車両座席2は、例えば鉄道車両等の車両において内装部材として設けられる部材である。車両座席2の後部には、車両用テーブル1を収納するための略直方体状の空間Sを形成する凹部2Aが設けられている。凹部2Aの下部側には、車両座席2に対して車両用テーブル1を回動可能に支持する取付支持部材2Bが設けられている。車両用テーブル1は、取付支持部材2Bを介して、凹部2A内の空間Sに略鉛直に収納される収納位置と、車両座席2の後方に向かって略水平に引き出される使用位置との間で回動自在に取り付けられている。
【0020】
続いて、図2及び図3を用いて、上述した車両用テーブル1の各構成について詳細に説明する。図2は、車両用テーブル1を表面側から見た斜視図である。また、図3は、車両用テーブル1を裏面側から見た斜視図である。これらの図に示すように、車両用テーブル1は、天板部11と、側面部12とを備えている。
【0021】
天板部11は、略長方形状をなし、表面11Aと裏面11Bとを有している。天板部11の基端部11aと側部11cとは、いずれも直線状となっており、基端部11aと側部11cとがなす角部には、矩形の切欠部11dが形成されている。また、天板部11の先端部11bは、先端側に向かって凸となるように緩やかなアーチ状をなしており、先端部11bと側部11cとがなす角部は、R形状となっている。
【0022】
天板部11の表面11Aは、テーブル使用時において上方に向き、物などが置かれる載置面をなす。また、天板部11の基端側には、例えばペットボトル、缶、紙コップ等の飲物容器を置くための断面円形の凹部Cが設けられている。凹部Cの内壁面は、飲物容器の引っ掛かり等の防止のため、底面側から開口端側に向かって裾広がりとなっている。
【0023】
側面部12は、図3に示すように、天板部11の裏面11B側において天板部11の縁部に沿って立設されている。すなわち、側面部12の基端部12aと側部12cとは、いずれも直線状となっており、基端部12aと側部12cとがなす角部には、矩形の切欠部12dが形成されている。また、側面部12の先端部12bは、先端部11bに対応して、先端側に凸となるように緩やかなアーチ状をなしており、先端部12bと側部12cとがなす角部は、R形状となっている。
【0024】
また、図4に示すように、側部12cの高さは、基端部12aから凹部Cが形成されている位置付近までは一定となっているが、これよりも先端側では基端側から先端側に向かって徐々に低くなっている。さらに、図3及び図5に示すように、側面部12の基端側において、切欠部12dの内側には、肉厚に形成された略直方体形状の軸埋め込み部12eが形成されている。軸埋め込み部12eには、回動軸(軸部材)14A及び回動規制軸(軸部材)14Bの一端側が所定の間隔をもって埋め込まれている。回動軸14Aは、取付支持部材2Bに取り付けられて車両用テーブル1の回動の支点となる軸となる。回動規制軸14Bは、車両用テーブル1の回動を鉛直方向と水平方向との間に規制する軸となる。本実施形態では一例として、図1に示すように、取付支持部材2Bには回動軸14Aを回動自在に保持する保持部2aと、回動規制軸14Bの回動を鉛直方向と水平方向との間に規制する規制部2bとが設けられている。
【0025】
以上のような天板部11及び側面部12は、アルミニウム合金、アルミニウムとマンガンとを含むマグネシウム合金(AM系合金)、及びアルミニウムと亜鉛とを含むマグネシウム合金(AZ系合金)のいずれかの軽合金によって一体に形成されている。
【0026】
ここで、AM系合金としては、例えばアルミニウム及びマンガンの含有率がそれぞれ約6%及び1%以下であるAM60マグネシウム合金を用いることができる。AM系合金は延性に優れているため、天板部11及び側面部12がAM系合金で形成されている場合には、天板部11及び側面部12が万が一大きな衝撃を受けて破断されたとしても破断面が鋭利な形状となりにくく、安全性が高められる。また、AM系合金としては、アルミニウム及びマンガンに加えてカルシウムが添加されたマグネシウム合金(AMX系合金)を用いてもよい。AMX系合金は、AM系合金と同様に延性に優れるとともに強度面での向上が図られている。
【0027】
また、天板部11の裏面11Bには、図2に示すように、側面部12の高さよりも低い扁平な凸状部13が複数形成されている。より具体的には、凸状部13の高さは、側面部12のうちで最も低い先端部12bよりも低くなっており、凸状部13の平面形状は、四隅の角が丸みを帯びるように形成された略正方形状となっている。このような凸状部13は、例えば天板部11の幅方向に対して略45°傾斜した状態で格子状に配列されている。
【0028】
図6は、凸状部の断面図である。図6に示すように、凸状部13の幅をwとし、高さをhとした場合、凸状部13が裏面11Bにおいて占める面積(本実施形態の場合はおよそ「幅w×幅w」)は、裏面11B全体の面積の20%〜60%となっている。また、凸状部13の高さhは、0.3mm〜2.0mmとなっており凸状部13のアスペクト比、すなわち幅wに対する高さhの比(h/w)は、0.004〜0.05となっている。
【0029】
天板部11、側面部12、及び凸状部13は、上述の軽合金によって形成され、射出成形によって一体成形されている。射出成形としては、例えばダイカスト(die casting)法を用いることができる。また、回動軸14A及び回動規制軸14Bについても、上記射出成形を行う際に同時に設けることができる。具体的には、射出成形に用いる金型に回動軸14A及び回動規制軸14Bを予め配置して射出成形を行うことによって、射出成形時に回動軸14A及び回動規制軸14Bを側面部12の軸埋め込み部12eに一括で埋め込むことができる。
【0030】
以上説明したように、車両用テーブル1では、天板部11及び側面部12が軽量かつ加工容易な軽合金によって形成されている。したがって、天板部11の裏面11Bに側面部12の高さよりも低い扁平な凸状部13を容易に形成でき、凸状部13によって天板部11の耐荷重性を十分に高めることができる。また、扁平な凸状部13を採用することにより、従来のFRP製テーブル等に設けられる複数の大型リブと比較して遜色のない強度を保ちつつ、軽量性を担保できる。さらに、上述の軽合金は、有機材料よりも劣化が生じにくく、洗浄液による化学的劣化や経年劣化が原因で発生する割れ等を抑制できる。このため、車両用テーブル1のメンテナンス性も容易となる。
【0031】
また、凸状部13は、射出成形によって天板部11と一体に形成されているため、天板部11に凸状部13を一度に形成できる。また、従来のFRP製テーブルの製造に用いられているプレス加工と比較して高い寸法精度の凸状部13が得られる。
【0032】
また、凸状部13の幅w及び高さhを上述の範囲とされているため、車両用テーブル1として十分な強度を持たせつつ、天板部11の裏面11Bの形状をより手触りの良い形状とすることができる。
【0033】
また、車両用テーブル1を車両座席2に取り付けるための回動軸14A及び回動規制軸14Bは、射出成形によって側面部12と一体に形成されていてもよい。この場合、側面部12に回動軸14A及び回動規制軸14Bを埋め込む開口部の形成工程を別途実施する必要がなくなり、製造工程の簡単化が図られる。
【0034】
また、凸状部13は、外部に露出した状態となっている。これにより、天板部11の裏面11Bをカバーする裏蓋等を省略して製造工程の簡単化及び材料費の低減が図られる。また、凸状部13が露出したとしても、凸状部13は扁平であるため手触りがよく利用者に不快感を与えるおそれもない。
【0035】
また、側面部12の高さは、天板部11の基端側から先端側に向かって低くなっている一方、凸状部13の高さは一定となっている。これにより、テーブルの先端側が軽くなることで、耐荷重性を一層確保できる。一方で、扁平な凸形状を採用しているため、側面部12の高さの大小によらず凸状部13の高さを一定(高さh)とすることで天板部11の強度を保つことができる。
【0036】
[第2実施形態]
続いて、本発明の第2実施形態に係る車両用テーブルについて説明する。図7〜10に示すように、第2実施形態に係る車両用テーブル21は、天板部11の裏面11Bを覆う裏蓋23を備えている点で第1実施形態とは異なっている。
【0037】
より具体的には、図7及び図8に示すように、車両用テーブル21では、裏蓋23と接合される内向きのフランジ部22が、側面部の先端部12b及び側部12cに設けられている。フランジ部22は、側面部12の先端から裏蓋23の厚み分だけ一段下がった位置に所定の幅で形成されている。なお、フランジ部22についても、射出成形によって側面部12と一体に形成されていることが好ましい。
【0038】
裏蓋23は、例えば天板部11及び側面部12と同種の軽合金によって、側面部12の内形に対応し且つフランジ部22が形成する面に沿うように先端側が折れ曲がった略平板状に形成されている。裏蓋23は、図9及び図10に示すように、車両用テーブル21の裏面側から側面部12の内側に嵌め込まれ、天板部11との間に中空構造を形成するようにフランジ部22と接合されている。上述のとおり、フランジ部22は、側面部12の先端から裏蓋23の厚み分だけ一段下がっているため、図10に示すように、側面部12の先端と裏蓋23とは平坦に繋がっている。
【0039】
裏蓋23とフランジ部22とは、例えば接着剤による接着及びビス止めによる機械的締結等によって接合されてもよいが、摩擦攪拌接合によって接合されることが好ましい。例えば図7及び図9において一点鎖線で示すラインLに沿って摩擦攪拌接合によって接合することにより、裏蓋23の歪みを抑えつつ、裏蓋23とフランジ部22とを強固に接合することができる。また、衣服等の引っ掛かりの原因となるビス頭部が外部に突き出ることもないため、車両用テーブル21の安全性を向上させることができる。
【0040】
以上説明したように、車両用テーブル21においても車両用テーブル1と同様に、天板部11及び側面部12が軽量かつ加工容易な軽合金によって形成されているため、天板部11の裏面11Bに側面部12の高さよりも低い扁平な凸状部13を容易に形成でき、凸状部13によって天板部11の耐荷重性を十分に高めることができる。また、扁平な凸状部13を採用することにより、従来のFRP製テーブル等に設けられる複数の大型リブと比較して遜色のない強度を保ちつつ、軽量性を担保できる。さらに、上述の軽合金は、有機材料よりも劣化が生じにくく、洗浄液による化学的劣化や経年劣化が原因で発生する割れ等を抑制できる。このため、車両用テーブル21のメンテナンス性も容易となる。さらに、車両用テーブル21では、裏蓋23を設けることによって、車両用テーブル21の見栄えや手触り等を向上できる。また、車両用テーブル21の内部を中空構造とすることで、車両用テーブル21の耐荷重性を一層確保できる。
【0041】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば本実施形態では平面形状が略正方形状の凸状部を例示したが、凸状部の形状はこれに限定されるものではない。例えば凸状部は、平面形状が円形、楕円形、及び正方形以外の多角形であってもよい。また、凸状部の断面形状は、柱状、錘状、半球状等であってもよい。また、本実施形態では車両用テーブル1が鉄道車両の車両座席2に取り付けられるものとして説明したが、本発明に係る車両用テーブルは、バス等の鉄道車両以外の車両の座席に取り付けられてもよく、船舶及び航空機等の座席に取り付けられてもよい。また、車両座席に限られず例えば車両の壁部等に取り付けられてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1,21…車両用テーブル、2…車両座席(内装部材)、11…天板部、11A…表面、11B…裏面、12…側面部、13…凸状部、14A…回動軸(軸部材)、14B…回動規制軸(軸部材)、22…フランジ部、23…裏蓋。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10