(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガイド部材は、前記送り機構で送られている前記筒状部材を挿通自在な貫通孔、及び前記貫通孔に開けられた間隙部を有し、前記溶接ガンは、前記間隙部から当接された状態の前記第1の端部と前記第2の端部に臨む請求項1に記載の溶接装置。
前記第2の押圧機構は、前記筒状部材における溶接された前記第1の端部及び前記第2の端部と、前記筒状部材における前記溶接された前記第1の端部と前記第2の端部に対向する部分と、を対応して押圧する各々が回転自在な一対のローラを有する請求項1又は2に記載の溶接装置。
更に、前記送り機構で送られながら第2の押圧機構を経た前記筒状部材を押圧する第3の押圧機構を備え、前記第3の押圧機構は、前記筒状部材における溶接された前記第1の端部及び前記第2の端部と、前記筒状部材における前記溶接された前記第1の端部と前記第2の端部に対向する部分と、を対応して押圧する各々が回転自在な一対のローラを有する請求項3に記載の溶接装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1の構成においては、ワークWをガイド部材4の挿通孔に通す前に、ワークWの突き合わせ部の隙間を、複数の挿入刃21により内側面に裏ビードができるだけの所定間隔に保持する必要があり、溶接装置としては煩雑なものとなり、改善の余地がある。
【0007】
更に、本発明者の検討によれば、特許文献1の構成は、ミグ溶接やマグ溶接する構成になっており、その他の溶接方法に適用する場合の具体的な構成を何等開示等もしていないものである。
【0008】
また更に、本発明者の検討によれば、特許文献1は、ワークWが長尺物になった場合に、それをスムースかつ連続的に溶接するための具体的な構成を何等開示等もしていないものである。
【0009】
また更に、本発明者の検討によれば、特許文献1は、ワークWの溶接歪みや、特にワークWが長尺物になった場合の形状歪みを修正するための具体的な構成を何等開示等もしていないものである。
【0010】
本発明は、以上の検討を経てなされたもので、筒状部材の互いに対向した両端部を対向させた状態で、筒状部材をスムースかつ連続的に溶接部に導入して、筒状部材の互いに当接された両端部を連続的に溶接すると共に、筒状部材をスムースかつ連続的に溶接部から排出してその溶接歪みを修正することができる溶接装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の目的を達成すべく、本発明の第1の局面における溶接装置は、板部材の第1の端部と第2の端部とが対向するように前記板部材を筒状に成形して得られた筒状部材を送る送り機構と、前記送り機構で送られている前記筒状部材を、前記第1の端部と前記第2の端部とが第1のスペーサを介して対向するように押圧する第1の押圧機構と、溶接ガン、及び前記送り機構で送られながら前記第1の押圧機構で押圧された前記筒状部材がその内部に侵入し、前記第1の端部と前記第2の端部とが第2のスペーサを介して対向された状態に維持されるように前記筒状部材を保持しながら前記溶接ガンに向かってガイドするガイド部材を有する溶接部と、前記送り機構で送られながら前記溶接部で前記第1の端部と前記第2の端部とが溶接された前記筒状部材を、
前記溶接部によって前記第1の端部と前記第2の端部とが溶接されることにより前記筒状部材に生じる歪みである溶接歪みが修正されるように押圧する第2の押圧機構と、を備え、前記第1の押圧機構は、前記筒状部材における前記第1の端部側の中間部分と前記筒状部材における前記第2の端部側の中間部分とを対応して押圧する各々が回転自在な一対のローラを更に備え、前記第1のスペーサは、前記一対のローラ間に配置され、前記一対のローラは、前記第1のスペーサを挟んで、前記筒状部材の周方向に所定の締め代を与える壁面形状を有する環状孔部を協働して画成し、前記第1のスペーサは、前記第1の端部の端面及び前記第2の端部の端面同士が前記周方向で所定の間隔で対向した対向状態を実現して維持し、前記第1の押圧機構は、前記送り機構で送られている前記筒状部材を、前記溶接部に送るように駆動し、前記第2の押圧機構は、前記送り機構で送られている前記筒状部材を、前記溶接部から引き出すように駆動する。
【0013】
また、本発明は、かかる第
1の局面に加え、前記ガイド部材は、前記送り機構で送られている前記筒状部材を挿通自在な貫通孔、及び前記貫通孔に開けられた間隙部を有し、前記溶接ガンは、前記間隙部から当接された状態の前記第1の端部と前記第2の端部に臨むことを第
2の局面とする。
【0014】
また、本発明は、かかる第1
又は2の局面に加え、前記第2の押圧機構は、前記筒状部材における溶接された前記第1の端部及び前記第2の端部と、前記筒状部材における前記溶接された前記第1の端部と前記第2の端部に対向する部分と、を対応して押圧する各々が回転自在な一対のローラを有することを第
3の局面とする。
【0015】
また、本発明は、かかる第
3の局面に加え、更に、前記送り機構で送られながら第2の押圧機構を経た前記筒状部材を押圧する第3の押圧機構を備え、前記第3の押圧機構は、前記筒状部材における溶接された前記第1の端部及び前記第2の端部と、前記筒状部材における前記溶接された前記第1の端部と前記第2の端部に対向する部分と、を対応して押圧する各々が回転自在な一対のローラを有することを第
4の局面とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の局面における構成によれば、板部材の第1の端部と第2の端部とが対向するように板部材を筒状に成形して得られた筒状部材を送る送り機構と、送り機構で送られている筒状部材を、第1の端部と第2の端部とが第1のスペーサを介して対向するように押圧する第1の押圧機構と、溶接ガン、及び送り機構で送られながら第1の押圧機構で押圧された筒状部材がその内部に侵入し、第1の端部と第2の端部とが第2のスペーサを介して対向された状態に維持されるように筒状部材を保持しながら溶接ガンに向かってガイドするガイド部材を有する溶接部と、送り機構で送られながら溶接部で第1の端部と第2の端部とが溶接された筒状部材を、その溶接歪みが修正されるように押圧する第2の押圧機構と、を備え、第1の押圧機構は、送り機構で送られている筒状部材を、溶接部に送るように駆動し、第2の押圧機構は、送り機構で送られている筒状部材を、溶接部から引き出すように駆動することにより、筒状部材の互いに対向した両端部の対向状態を維持した状態で、筒状部材をスムースかつ連続的に溶接部に導入して、筒状部材の互いに当接された両端部を連続的に溶接すると共に、筒状部材をスムースかつ連続的に溶接部から排出してその溶接歪みを修正することができる。
また、第1の押圧機構が、筒状部材における第1の端部側の中間部分と筒状部材における第2の端部側の中間部分とを対応して押圧する各々が回転自在な一対のローラを更に備え、第1のスペーサが、一対のローラ間に配置され、一対のローラが、第1のスペーサを挟んで、筒状部材の周方向に所定の締め代を与える壁面形状を有する環状孔部を協働して画成し、第1のスペーサが、第1の端部の端面及び第2の端部の端面同士が周方向で所定の間隔で対向した対向状態を実現して維持することにより、筒状部材の互いに対向した両端部を確実に対向状態のまま維持させることができる。
【0018】
また、本発明の第
2局面における構成によれば、ガイド部材が、送り機構で送られている筒状部材を挿通自在な貫通孔、及び貫通孔に開けられた間隙部を有し、溶接ガンが、間隙部から当接された状態の第1の端部と第2の端部に臨むことにより、筒状部材の互いに対向した両端部を当接させた状態を実現しながら、かかる両端部を確実に溶接することができる。
【0019】
また、本発明の第
3の局面における構成によれば、第2の押圧機構が、筒状部材における溶接された第1の端部及び第2の端部と、筒状部材における溶接された第1の端部と第2の端部に対向する部分と、を対応して押圧する各々が回転自在な一対のローラを有することにより、溶接された筒状部材の断面形状における形状歪みを確実に修正することができる。
【0020】
また、本発明の第
4の局面における構成によれば、更に、送り機構で送られながら第2の押圧機構を経た筒状部材を押圧する第3の押圧機構を備え、前記第3の押圧機構は、前記筒状部材における溶接された前記第1の端部及び前記第2の端部と、筒状部材における溶接された第1の端部と第2の端部に対向する部分と、を対応して押圧する各々が回転自在な一対のローラを有することにより、溶接された筒状部材の長手方向における形状歪みを確実に修正することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態における溶接装置につき詳細に説明する。なお、図中、x軸、y軸及びz軸は、3軸直交座標系を成す。また、x軸の方向が筒状部材の長手方向であり、z軸の正方向が筒状部材の上方向であるとする。
【0023】
図1は、本実施形態における溶接装置の側面図である。
図2は、本実施形態における溶接装置の縦断面図であり、
図2(a)は、
図1のA−A断面図、
図2(b)は、
図1のB1−B1断面図、
図2(c)は、
図1のB2−B2断面図である。
図3は、本実施形態における溶接装置の縦断面図であり、
図3(a)は、
図1のC−C断面図、及び
図3(b)は、
図1のD−D断面図である。
図4は、本実施形態における溶接装置に適用される筒状部材の構造を示す図であり、
図4(a)は、両端部が当接されていない状態の筒状部材の上面図、
図4(b)は、
図4(a)をx軸の負方向に見た正面図、
図4(c)は、両端部が溶接された状態の筒状部材の上面図、
図4(d)は、
図4(c)をx軸の負方向に見た正面図である。
【0024】
図1から
図4に示すように、溶接装置1は、一端部10a及び他端部10bが、筒状部材10のz軸の正方向側において、y軸方向で互いに対向するように丸められた典型的には鉄等の金属製の筒状部材10における一端部10a及び他端部10bを溶接するものである。かかる溶接装置1は、筒状部材10を送る送り機構20と、一連の工程の最初の工程部である第1の押圧機構30と、第1の押圧機構30の下流の工程部である溶接部40と、溶接部40の下流の工程部である第2の押圧機構50と、第2の押圧機構50の下流の工程部である第3の押圧機構60と、を備える。なお、筒状部材10においては、一端部10a及び他端部10bは、筒状部材10のz軸の正方向側で対向して位置するものとする。
【0025】
具体的には、送り機構20は、棒部材22と、棒部材22に固設された鍔部材24と、を備え、これらは典型的には充分な強度を有する鉄等の金属製である。棒部材22は、図示を省略するモータ等の駆動源に接続され、駆動源からの動力でx軸方向に移動自在である。また、鍔部材24は、筒状部材10のx軸の正方向側の端部に当接自在である。つまり、送り機構20は、駆動源からの動力で棒部材22及び鍔部材24がx軸の負方向側に向けて移動される際には、鍔部材24に対してx軸の正方向側の端部が当接された筒状部材10を、x軸の負方向に移動して送ることが可能である。
【0026】
第1の押圧機構30は、互いにy軸方向で対向する右ローラ32及び左ローラ34と、右ローラ32及び左ローラ34を支持する支持部材36と、右ローラ32及び左ローラ34間に配置される平板状のスペーサ38と、を備え、これらは典型的には充分な強度を有する鉄等の金属製である。右ローラ32及び左ローラ34には各々凹部32a及び34aが対応して設けられ、凹部32a及び34aは、スペーサ38を挟んで、筒状部材10に周方向の所定の締め代を与える壁面形状を有する環状孔部を、協働して画成する。また、支持部材36は、その上部に右ローラ32及び左ローラ34を対応して軸支して、各々がz軸に平行である支持軸36a及び36bを回動自在に装着すると共に、図示を省略する床上に固定された支持板70上に固設される。支持軸36a及び36bは、各々、図示を省略するモータ等の駆動源に接続され、駆動源からの駆動力でそれらが互いに逆方向に回転されることにより、右ローラ32及び左ローラ34を互いに逆方向に回動自在に対応して軸支する。また、スペーサ38は、平板状であり、右ローラ32及び左ローラ34間に立設して配置されるように、床上に固定された図示を省略する支持部材に固設される。かかるスペーサ38の存在により、右ローラ32及び左ローラ34は、スペーサ38の板厚に相当する距離だけy軸方向に離間される。なお、支持軸36a及び36bに関しては、それらの一方のみが、図示を省略するモータ等の駆動源に接続されていてもよい。
【0027】
ここで、右ローラ32及び左ローラ34は、凹部32a及び34aが協働して、筒状部材10の一端部10a及び他端部10bを、スペーサ38を挟んでy軸方向で互いに対向させると共に、かかる筒状部材10の外周面に密着するような円周状壁面を有する環状孔部を画成した状態で、駆動源に接続された支持軸36a及び36bの回転によって各々回動自在である。かかるスペーサ38は、その両面で筒状部材10の一端部10aの端面及び他端部10bの端面を各々面当たりさせながら対応して受け止め、かかる一端部10aの端面及び他端部10bの端面が所定の間隔でそれらの端面同士が対向した対向状態を実現して維持する。また、右ローラ32及び左ローラ34が筒状部材10に与えるx軸の負方向側への移動速さは、送り機構20の棒部材22が筒状部材10に与えるx軸の負方向側への移動速さと等しく設定される。
【0028】
つまり、第1の押圧機構30は、送り機構20でx軸の負方向側に向けて送られてきた筒状部材10のx軸の負方向側の端部を、右ローラ32及び左ローラ34の間に導入して、筒状部材10の一端部10aがスペーサ38の一面に当接し、かつ筒状部材10の他端
部10bがスペーサ38の他面に当接した状態で、筒状部材10の一端部10a及び他端部10bを、スペーサ38を介してy軸方向で互いに対向させながら、筒状部材10の外周面を凹部32a及び34aが成す環状孔部で押圧した状態で、右ローラ32及び左ローラ34が互いに逆回転することにより、筒状部材10の一端部10a及び他端部10bを、スペーサ38を介して一定間隔で互いに対向させる成形を、筒状部材10に施すことが可能である。この際、右ローラ32及び左ローラ34は、それらの回動動作により筒状部材10を溶接部40に向けて送ると共に、環状孔部の凹部32a側の部分は、筒状部材10のy軸の正方向側の外周部分をy軸の負方向側に押圧し、環状孔部の凹部34a側の部分は、筒状部材10のy軸の負方向側の外周部分をy軸の正方向側に押圧する。かかる第1の押圧機構30による成形は、筒状部材10の一端部10a及び他端部10bを、スペーサ38を介して互いに確実に対向させながら行う必要があるから、凹部32a及び34aが成す環状孔部は、スペーサ38の板厚に相当する距離だけ離間した間隙部を対向して有しながら、筒状部材10の外周面を覆うことができるような長円状であることが好ましい。
【0029】
溶接部40は、図示を省略する床上に固定された支持板70上に固設され、典型的に充分な強度を有する鉄等の金属製のガイド部材42と、ガイド部材42に対向して配置され典型的にはプラズマ溶接やレーザ溶接を行う溶接ガン44と、スペーサ38とx軸方向で整列してガイド部材42に嵌装される平板状のスペーサ46と、を有する。ガイド部材42には、一端部10a及び他端部10bがスペーサ46を介して互いに対向自在な形状を有した筒状部材10の外形に対応した孔周面を有する貫通孔42aと、貫通孔42aの上部においてガイド部材42の上壁部を一部開放する間隙部42bと、間隙部42bよりも第1の押圧機構30側で、貫通孔42aの上部においてガイド部材42の上壁部を一部開放する間隙部42cと、が形成される。
【0030】
ここで、溶接ガン44は、間隙部42bを介して貫通孔42aの内部空間に臨んで、床上に固定された図示を省略する支持部材に固設されて配置される。また、スペーサ46は、スペーサ38と同じ板厚を有し、間隙部42cのx軸の正方向側の端部からx軸の負方向側に向かって延在しながら間隙部42cを介して貫通孔42aの内部空間に突出して配置される。かかるスペーサ46は、スペーサ38に引き続き、その両面で筒状部材10の一端部10aの端面及び他端部10bの端面を各々面当たりさせながら対応して受け止め、かかる一端部10aの端面及び他端部10bの端面がスペーサ38で設定されたものと同じ所定の間隔でそれらの端面同士が対向した対向状態を実現して維持する。また、貫通孔42aは、間隙部42cが存在する範囲では、第1の押圧機構30から送られた筒状部材10をスムースに導入してその形状を維持できるような一定の縦断面形状を有する。具体的には、かかる断面形状は、右ローラ32及び左ローラ34における凹部32a及び34aが成す環状孔部の形状に対応して、スペーサ46の板厚に相当した長さの直線部を対向して有しながら、筒状部材10の外周面を覆うことができるような長円状であることが好ましい。かかる貫通孔42aでは、その径が間隙部42cのx軸の正方向の端部からx軸の負方向側に向かうに連れて漸減して、その径は、溶接ガン44の直下では、一端部10a及び他端部10bが当接された状態の筒状部材10の外径の値となる。
【0031】
つまり、溶接部40は、第1の押圧機構30の右ローラ32及び左ローラ34を経て、送り機構20、右ローラ32及び左ローラ34による駆動力でx軸の負方向側に向けて送られてきた筒状部材10のx軸の負方向側の端部を、貫通孔42a内に導入して、筒状部材10の一端部10a及び他端部10bを、スペーサ46を介して互いに対向させた状態に維持しながら、それらのx軸の負方向側の端部を間隙部42bの下方に位置させることが可能である。更に、溶接部40は、このように間隙部42bの下方に位置されて互いに当接された状態の一端部10a及び他端部10bに対して、溶接ガン44を用いて溶接を施して溶接部12を形成することが可能である。この際、一端部10a及び他端部10b
間の間隙部は、貫通孔42aの径がx軸の負方向側に向かうに連れて漸減するために狭められて当接状態にある。このように溶接されて得られる一端部10a及び他端部10b間の溶接部12は、筒状部材10のz軸の正方向側に位置する。
【0032】
第2の押圧機構50は、互いにz軸方向で対向する上ローラ52及び下ローラ54と、上ローラ52及び下ローラ54を支持する支持部材56と、を備え、これらは典型的には充分な強度を有する鉄等の金属製である。上ローラ52及び下ローラ54には各々凹部52a及び54aが対応して設けられ、凹部52a及び54aは、筒状部材10の所定の円筒外形に対応する形状を有する部分的な環状孔部を、協働して画成する。また、支持部材56は、その上部に上ローラ52及び下ローラ54を対応して軸支して、各々がy軸に平行である支持軸56a及び56bを回動自在に装着すると共に、図示を省略する床上に固定された支持板70上に固設される。支持軸56a及び56bは、各々、図示を省略するモータ等の駆動源に接続され、駆動源からの駆動力でそれらが互いに逆方向に回転されることにより、上ローラ52及び下ローラ54を互いに逆方向に回動自在に対応して軸支する。なお、支持軸56a及び56bに関しては、それらの一方のみが、図示を省略するモータ等の駆動源に接続されていてもよい。
【0033】
ここで、上ローラ52及び下ローラ54は、凹部52a及び54aが協働して、一端部10a及び他端部10bが溶接された筒状部材10の外周面に密着するような円周壁面を有する部分的な環状孔部を画成した状態で、かかる筒状部材10を所定の円筒形状に成形するように、支持軸56a及び56bの回転によって各々回動自在である。また上ローラ52及び下ローラ54が筒状部材10に与えるx軸の負方向側への移動速さは、送り機構20の棒部材22、並びに第1の押圧機構30の右ローラ32及び左ローラ34が筒状部材10に与えるx軸の負方向側への移動速さと等しく設定される。
【0034】
つまり、第2の押圧機構50は、溶接部40を経て、送り機構20及び第1の押圧機構30でx軸の負方向側に向けて送られてきた筒状部材10のx軸の負方向側の端部を、上ローラ52及び下ローラ54の間に導入して、筒状部材10の外周面を凹部52a及び54aが成す部分的な環状孔部で押圧した状態で、上ローラ52及び下ローラ54が互いに逆回転することにより、それらの回動動作により筒状部材10を溶接部40から引き出して第3の押圧機構60に向けて送ると共に、筒状部材10を所定の円筒形状に修正する成形を、筒状部材10に対して施すことが可能である。この際、部分的な環状孔部の凹部52a側の部分は、筒状部材10のz軸の正方向側の部分をz軸の負方向側に押圧し、部分的な環状孔部の凹部54a側の部分は、筒状部材10のz軸の負方向側の部分をz軸の正方向側に押圧する。かかる第2の押圧機構50による成形は、溶接部40による溶接で筒状部材10の縦断面形状が歪む可能性を考慮して、それを修正するために施されるものであり、凹部52a及び54aが成す部分的な環状孔部は、かかる溶接で筒状部材10の形状が歪む溶接部12の部分、つまり筒状部材10のz軸の正方向側の部分及びそれに対向する筒状部材10のz軸の負方向側の部分を覆って、筒状部材10を上下方向に押圧できる周長を有していれば足りる。
【0035】
第3の押圧機構60は、互いにz軸方向で対向する上ローラ62及び下ローラ64と、上ローラ62及び下ローラ64を支持する支持部材66と、を備え、これらは典型的には充分な強度を有する鉄等の金属製である。上ローラ62及び下ローラ64には凹部62a及び64aが設けられ、凹部62a及び64aは、筒状部材10の所定の円筒外形に対応する形状を有する部分的な環状孔部を、協働して画成する。また、支持部材66は、その上部に上ローラ62及び下ローラ64を対応して軸支して、各々がy軸に平行である支持軸66a及び66bを有し、図示を省略する床上に固定された支持板70上に固設される。上ローラ62及び下ローラ64は、凹部62a及び64aが協働して、一端部10a及び他端部10bが溶接された筒状部材10の外周面に密着するような円周壁面を有する部
分的な環状孔部を画成した状態で、かかる筒状部材10を、その中心軸がy軸と平行になるように上下方向に釣り合った力で押圧しながら、支持軸66aの周りに回動自在である。なお、上ローラ62及び下ローラ64は、必要に応じて、駆動源により駆動されて互いに逆方向に回動されるような構成を有していてもよい。
【0036】
つまり、第3の押圧機構60は、第2の押圧機構50を経て、送り機構20、第1の押圧機構30、及び第2の押圧機構40でx軸の負方向側に向けて送られてきた筒状部材10のx軸の負方向側の端部を、上ローラ62及び下ローラ64の凹部62a及び64aに導入して、筒状部材10を凹部62a及び64aが成す部分的な環状孔部で上下方向に釣り合った力で押圧した状態で、ローラ62が従動的に回転することにより、筒状部材10の中心軸がx軸と平行になるように修正する成形を、筒状部材10に対して施すことが可能である。かかる第3の押圧機構60による成形は、溶接部40による溶接で筒状部材10の長手方向の形状が上側及び下側に曲がる可能性を考慮して、それを修正するために施されるものであり、凹部62a及び64aが成す部分的な環状孔部は、かかる溶接で筒状部材10の形状が上方に曲がる起点となる溶接部12の部分及び重力で筒状部材10の形状が下方に曲がる起点となる溶接部12に対向する部分、つまり筒状部材10におけるz軸の正方向側の部分及びz軸の負方向側の部分を覆って筒状部材10を上下方向に釣り合った力で押圧できる周長を有していれば足りる。
【0037】
以上の構成を有する溶接装置1を適用して行われる溶接方法につき、以下詳細に説明する。
【0038】
まず、所定のサイズの矩形鋼板に曲げ工程を施し、一端部10a及び他端部10bがz軸の正方向側で対向するように丸められた筒状部材10を得て、そのx軸の正方向側の端部を送り機構20の鍔部材24に当接させる。
【0039】
次に、駆動源を稼働させて、送り機構20の棒部材22をx軸の負方向側に移動させることにより、送り機構20の鍔部材24に当接された筒状部材10をx軸の負方向側に向けて送り始める。今回の溶接方法が実行される間は、かかる送り機構20による筒状部材10の送りは継続される。
【0040】
すると、筒状部材10は、そのx軸の負方向側の端部から、一端部10a及び他端部10bの間にスペーサ38を介在させながら、第1の押圧機構30の右ローラ32及び左ローラ34の間に連続的に導入されていく。ここで、右ローラ32及び左ローラ34の間に導入された筒状部材10を、凹部32a及び34aが成す環状孔部で押圧した状態で、送り機構20による筒状部材10の送りに加えて、右ローラ32及び左ローラ34が互いに逆回転して筒状部材10を送ることにより、筒状部材10に対して、その一端部10a及び他端部10bを、スペーサ38を介して互いに対向させる成形を連続的に施していく。
【0041】
ついで、筒状部材10は、そのx軸の負方向側の端部から、一端部10a及び他端部10bの間にスペーサ46を介在させながら、溶接部40の貫通孔42a内に導入されていく。ここで、筒状部材10の外周面が貫通孔42aの周面に当接されることにより、筒状部材10の一端部10a及び他端部10bが、スペーサ46を介して互いに対向された状態に維持されながら間隙部42bの下方に位置されていき、このように間隙部42bの下方に位置されて互いに当接された状態の一端部10a及び他端部10bに対して、溶接ガン44を用いて溶接が施されて、溶接部12を連続的に形成していく。
【0042】
ついで、筒状部材10は、そのx軸の負方向側の端部から、第2の押圧機構50の上ローラ52及び下ローラ54の間に連続的に導入されていく。ここで、上ローラ52及び下ローラ54の間に導入された筒状部材10を、凹部52a及び54aが成す部分的な環状
孔部で押圧した状態で、送り機構20並びに第1の押圧機構30の右ローラ32及び左ローラ34による筒状部材10の送りに加えて、上ローラ52及び下ローラ54が互いに逆回転して筒状部材10を送ることにより、筒状部材10に対して、その形状を円筒形状とする成形、つまりその断面形状における溶接歪みを修正する成形を連続的に施していく。
【0043】
ついで、筒状部材10は、そのx軸の負方向側の端部から、第3の押圧機構60の上ローラ62及び下ローラ64の間に連続的に導入されていく。ここで、上ローラ62及び下ローラ64の間に導入された筒状部材10を、凹部62a及び凹部64aが成す部分的な環状孔部で押圧した状態で、送り機構20、第1の押圧機構30の右ローラ32及び左ローラ34並びに第2の押圧機構40の上ローラ52及び下ローラ54による筒状部材10の送りに従動して、上ローラ62及び下ローラ64が回転することにより、筒状部材10に対して、その形状を長手方向に直線的に延びた円筒形状とする成形、つまりその長手方向における溶接歪み及び重力による変形を修正する成形を連続的に施していく。
【0044】
そして、送り機構20による筒状部材10の送りにより、筒状部材10のx軸の正方向側の端部が、第3の押圧機構60の上ローラ62及び下ローラ64の間から導出されたならば、送り機構20の鍔部材24、第1の押圧機構30の右ローラ32及び左ローラ34並びに第2の押圧機構40の上ローラ52及び下ローラ54の駆動を停止し、筒状部材10のx軸の正方向側の端部を送り機構の20の鍔部材24から解放して、溶接後の筒状部材100を得ることになる。
【0045】
以上、本実施形態の構成によれば、板部材の第1の端部10aと第2の端部10bとが対向するように板部材を筒状に成形して得られた筒状部材10を送る送り機構と、送り機構20で送られている筒状部材10を、第1の端部10aと第2の端部10bとが第1のスペーサ38を介して対向するように押圧する第1の押圧機構30と、溶接ガン44、及び送り機構20で送られながら第1の押圧機構30で押圧された筒状部材10がその内部に侵入し、第1の端部10aと第2の端部10bとが第2のスペーサ46を介して対向された状態に維持されるように筒状部材10を保持しながら溶接ガン44に向かってガイドするガイド部材42を有する溶接部40と、送り機構20で送られながら溶接部40で第1の端部10aと第2の端部10bとが溶接された筒状部材10を、その溶接歪みが修正されるように押圧する第2の押圧機構50と、を備え、第1の押圧機構30は、送り機構20で送られている筒状部材10を、溶接部40に送るように駆動し、第2の押圧機構50は、送り機構20で送られている筒状部材10を、溶接部40から引き出すように駆動することにより、筒状部材10の互いに対向した両端部10a、10bの対向状態を維持した状態で、筒状部材10をスムースかつ連続的に溶接部40に導入して、筒状部材10の互いに当接された両端部10a、10bを連続的に溶接すると共に、筒状部材10をスムースかつ連続的に溶接部40から排出してその溶接歪みを修正することができる。
【0046】
また、第1の押圧機構30が、筒状部材10における第1の端部10a側の中間部分と筒状部材10における第2の端部10b側の中間部分とを対応して押圧する各々が回転自在な一対のローラ32、34を有することにより、筒状部材10の互いに対向した両端部10a、10bを確実に対向状態のまま維持させることができる。
【0047】
また、ガイド部材42が、送り機構20で送られている筒状部材10を挿通自在な貫通孔42a、及び貫通孔42aに開けられた間隙部42bを有し、溶接ガン44が、間隙部42bから当接された状態の第1の端部10aと第2の端部10bに臨むことにより、筒状部材10の互いに対向した両端部10a、10bを当接させた状態を維持しながら、かかる両端部10a、10bを確実に溶接することができる。
【0048】
また、更に、第2の押圧機構50が、筒状部材10における溶接された第1の端部10
a及び第2の端部10bと、筒状部材10における溶接された第1の端部10aと第2の端部10bに対向する部分と、を対応して押圧する各々が回転自在な一対のローラ52、54を有することにより、溶接された筒状部材10の断面形状における形状歪みを確実に修正することができる。
【0049】
また、更に、送り機構20で送られながら第2の押圧機構50を経た筒状部材10を押圧する第3の押圧機構60を備え、第3の押圧機構60が、筒状部材10における溶接された第1の端部10a及び第2の端部10bと、筒状部材における溶接された第1の端部と第2の端部に対向する部分と、を対応して押圧する各々が回転自在な一対のローラ62、64を有することにより、溶接された筒状部材10の長手方向における形状歪みを確実に修正することができる。
【0050】
なお、以上の本実施形態において、筒状部材10は、円筒状の形状を有するものとして説明したが、もちろん、その他の角筒状の形状を有するものであってもよい。
【0051】
また、筒状部材10に適用される溶接としても、プラズマ溶接やレーザ溶接の他に、マグ溶接やミグ溶接等を用いることも可能である。
【0052】
また、本発明は、部材の形状、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。