(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アクリルポリマー100質量部に対して、熱硬化剤3〜30質量部と、光重合開始剤0.01〜10質量部と、熱重合開始剤0.01〜3質量部と、を含有し、前記アクリルポリマーが、カルボキシル基及びエチレン性不飽和結合を有し、前記熱硬化剤が、エポキシ基を有する組成物を、基材上に塗布し、粘着層を形成させる工程と、
前記粘着層に光照射をすることで、前記粘着層の発熱反応の開始温度を100℃以下とする工程と、
前記粘着層に被着体を接触させ、加熱することにより、積層体を得る工程と、
を有する、積層体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。なお、本明細書において、特に断りがない限り、「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び/又は「メタクリル」を意味し、同様に、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」及び/又は「メタクリロイル」を、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び/又は「メタクリレート」を意味し、「硬化」とは、全硬化だけでなく、半硬化も包含するものとする。
【0014】
本実施形態の保護フィルム用組成物は、アクリルポリマー100質量部に対して、熱硬化剤3〜30質量部と、光重合開始剤0.01〜10質量部と、熱重合開始剤0.01〜3質量部と、を含有し、アクリルポリマーが、カルボキシル基及びエチレン性不飽和結合を有し、熱硬化剤が、エポキシ基を有する、保護フィルム用組成物であり、保護フィルム用組成物の発熱反応の開始温度が、100℃以下である、保護フィルム用組成物である。
【0015】
熱反応性の官能基と紫外線等の光反応性の官能基を効率よくアクリルポリマー側鎖に導入するという観点から、アクリルポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルと、不飽和カルボン酸とを、構成単位として含む共重合体が好ましく、(メタ)アクリル酸エステルと、不飽和カルボン酸とを、構成単位として含む共重合体であって、分子内にカルボキシル基と、(メタ)アクリロイル基とを側鎖に有する共重合体がより好ましい。このようなアクリルポリマーを用いることで、光硬化による半硬化状態の制御と加工時の低温熱反応性をより高いレベルで両立させることができる。
【0016】
不飽和カルボン酸を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられる。アクリルポリマーが、(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸とを、構成単位として含む共重合体である場合、2種以上の(メタ)アクリル酸エステルを用いてもよいし、(メタ)アクリル酸としてメタクリル酸とアクリル酸の2種を用いてもよい。
【0017】
上記したアクリルポリマーとしては、カルボキシル基及びエチレン性不飽和結合を有していればよく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸i−ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸i−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸i−ノニル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸i−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸n−テトラデシル、ステアリル、(メタ)アクリル酸i−ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド等のアクリルアミド類;モノメチルアミノエチル、モノエチルアミノエチル、モノメチルアミノプロピル、モノエチルアミノプロピル等のアクリル酸モノアルキルアミノエステル、のいずれかを単量体として少なくとも含むアクリルポリマー等が挙げられる。
【0018】
これらの中でも、基板等の被着体に対する張り付き性や初期の追従性等に一層優れるといった観点から、(メタ)アクリル酸n−ブチル及び/又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルを含むアクリルポリマーが好ましい。なお、本実施形態の効果を失わない範囲であれば、水酸基、アミノ基、アミド基等の官能基を更に含んでもよい。
【0019】
アクリルポリマーには、上述した(メタ)アクリル酸エステルや不飽和カルボン酸以外の構成単位を更に含有していてもよい。
【0020】
また、アクリルポリマーは、下記単量体(1)と下記単量体(2)と下記単量体(3)とグリシジル(メタ)アクリレートを単量体として含有するアクリルポリマーが好ましい。かかるアクリルポリマーは、少なくとも、カルボキシル基と、グリシジル(メタ)アクリレートの(メタ)アクリロイル基とが側鎖に組み込まれたアクリルポリマーであることが好ましい。さらに、単量体(1)と単量体(2)と単量体(3)とを反応させて得られるアクリルポリマーに、グリシジル(メタ)アクリレートを更に反応させて得られるアクリルポリマーであることがより好ましい。かかる場合、単量体(1)と単量体(2)と単量体(3)とを反応させて得られるアクリルポリマーと、グリシジル(メタ)アクリレートのエポキシ基とが反応することで、カルボキシル基と(メタ)アクリロイル基との両方を効率よく側鎖に導入することができる。
【0021】
そして、単量体(1)と単量体(2)と単量体(3)とを反応させて得られるアクリルポリマーとしては、単量体(1)45〜98質量%と、単量体(2)2〜15質量%と、単量体(3)0〜49質量%と、を反応させて得られるアクリルポリマーであり、単量体(2)に対する単量体(3)の質量比((3)/(2))が、1.8以下であるものが更に好ましい。
(1)下記一般式(a)で表され、かつその単独重合体のガラス転移温度が、−50℃以下であるアクリル酸エステル、
(2)カルボキシル基を有する単量体、
(3)単量体(1)、単量体(2)、グリシジルアクリレート、及びグリシジルメタクリレート以外のアクリル酸エステル。
H
2C=CHCOOR
1・・・(a)
(式中、R
1は、炭素数4〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表す。)
【0022】
一般式(a)について、置換基R
1は、炭素数4〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であればよく、例えば、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基等が挙げられる。
【0023】
単量体(1)の具体例としては、上述したアクリル酸アルキルエステルの中でも、例えば、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
単量体(2)の具体例としては、例えば、上述した(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
単量体(3)としては、単量体(1)、単量体(2)、及びグリシジル(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリル酸エステルであれば、特に限定されない。例えば、単量体(1)、単量体(2)、及びグリシジルアクリレート以外のものであり、上述した(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、アクリルアミド類、アクリル酸モノアルキルアミノエステル等が挙げられる。
【0024】
アクリルポリマーの単量体総量における単量体(1)の含有量は、接着力(タック)の観点から、45〜98質量%であることが好ましい。アクリルポリマーの単量体総量における単量体(2)の含有量は、初期の追従性と熱加工後の剥離性を両立させるために、2〜15質量%であることが好ましい。アクリルポリマーの単量体総量における単量体(3)の含有量は、0〜49質量%であることが好ましい。カルボキシル基を有する単量体((メタ)アクリル酸等)の総量に対するグリシジル(メタ)アクリレートの質量比は、初期の追従性確保や熱加工後の剥離性の観点から、1.8以下であることが好ましい。
【0025】
単量体(1)〜(3)及びグリシジル(メタ)アクリレートを含有するアクリルポリマーは、上記条件を満たすものであれば、他の単量体を更に含有してもよい。
【0026】
ここまで、本実施形態のアクリルポリマーの好適な一態様として、熱反応性の官能基(例えば、カルボキシル基等)と紫外線等の光反応性の官能基(例えば、二重結合等)を側鎖に有するもの等を例示した。そして、これらの両方の官能基をポリマーに導入する方法の好適な一例として、カルボキシル基等が導入されたポリマーを用意し、そのカルボキシル基の一部をグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基と等反応させたものをアクリルポリマーとして用いること等も例示したが、本実施形態は、必ずしもかかる態様に限定されるものではない。
【0027】
本実施形態の保護フィルム用組成物は、保護フィルム用組成物の発熱反応の開始温度が100℃以下であることが好ましい。プリプレグ等の充填材を用いて、回路基板のキャビティ内の搭載部品を溶融接着する際、通常、100℃以上といった高温条件下でプレス成形が行われる。その際、本実施形態の保護フィルム用組成物は、100℃以下で発熱反応を開始することで、プレス温度によって充填材が溶融する前に、十分に硬化することができる。かかる保護フィルム用組成物から得られる保護フィルムは、回路基板から容易に剥離することができる。さらに、上記保護フィルムは、被着体である搭載部品等を汚染することもなく、かつ、剥離後の基板や搭載部品の表面に、保護フィルムの成分(残渣等)が残留すること(糊残り)もない。保護フィルム用組成物の発熱反応の開始温度は、例えば、保護フィルム用組成物に光照射を施すことで制御することが可能である(この点、後述する)。
【0028】
アクリルポリマーの数平均分子量(Mn)は、特に限定されないが、300000〜2000000であることが好ましい。数平均分子量の上限としては、1000000以下であることがより好ましく、800000以下であることが更に好ましい。数平均分子量の下限としては、500000以上であることがより好ましい。アクリルポリマーの数平均分子量が上記上限値以下であると、保護フィルム用組成物の粘度を適度に抑制でき、製造等における塗工の不具合を一層効果的に抑制できる。アクリルポリマーの数平均分子量が上記下限値以上であると、保護フィルム用組成物中におけるアクリルポリマーの凝集力が向上できるため、保護フィルムとして基板等に貼り合わせた後に剥離する際の糊残りを一層効果的に抑制できる。数平均分子量は、後述する実施例に記載の方法に準じて測定することができる。
【0029】
アクリルポリマーの二重結合当量(計算値)は、特に限定されないが、500g/eq.以上8000g/eq.以下であることが好ましい。特に、アクリルポリマーの二重結合当量が上記上限値以下であることで、初期の追従性を一層向上させることができる。二重結合当量は、後述する実施例に記載の方法に準じて求めることができる。
【0030】
アクリルポリマーの酸価は、特に限定されないが、5〜100mgKOH/gであることが好ましい。アクリルポリマーの酸価が上記の上限以下とすることで、被着体との接着による剥離力の上昇を抑えることができ、下限以上とすることで、熱加工時の硬化度を十分に上げることができる。これにより糊残りを一層効果的に抑制でき、接着力を一層向上させることができる。酸価は、後述する実施例に記載の方法に準じて測定することができる。
【0031】
熱硬化剤としては、例えば、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性等の観点から、エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂としては、反応性の観点から、二重結合当量が200g/eqであることが好ましい。イソシアネート樹脂としては、反応性の観点から、多官能基イソシアネートであること好ましい。例えば、エチレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
【0032】
アクリルポリマー100質量部に対する熱硬化剤の含有量は、3〜30質量部である。熱硬化剤の含有量が30質量部を超えると過剰量の熱硬化剤による接着作用により、剥離性が悪化してしまい、3質量部未満であると十分に硬化させることができない。
【0033】
光重合開始剤としては、光照射によって保護フィルム用組成物において硬化反応を開始させることができるものであればよく、特に限定されない。光重合開始剤としては、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤等が挙げられる。
【0034】
アルキルフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンジルジメチルケタール(BDK);1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン;2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等のα−アミノアルキルフェノン等が挙げられる。
【0035】
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0036】
チタノセン系光重合開始剤としては、例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等が挙げられる。
【0037】
これらの中でも、アルキルフェノン系光重合開始剤が好ましく、その中でもα−
ヒドロキシアルキルフェノンがより好ましく、その中でも2−ヒドロキシ2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンが好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0038】
アクリルポリマー100質量部に対する光重合開始剤の含有量は、0.01〜10質量部である。光重合開始剤の含有量が10質量部を超えると、紫外線等による光硬化時の硬化度低下や、過剰量の添加による被着体汚染が生じ、0.01質量部未満であると十分に重合開始させることができない。アクリルポリマー100質量部に対する光重合開始剤の含有量は、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.05〜8質量部であることがより好ましく、0.1〜6質量部であることが更に好ましい。
【0039】
熱重合開始剤としては、活性温度が120℃以下のものを用いることが好ましい。かかる熱重合開始剤を用いることで、プレス成形等の際に、充填材が溶融する温度よりも低い温度で、本実施形態の保護フィルム用組成物が発熱反応を開始することができる。かかる観点から、好適な熱重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クメンヒドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物;2−メチルイミダゾール、N−ベンジル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール系開始剤;2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤、三フッ化ホウ素モノエチルアミン等のルイス酸錯体、ポリアミン、メラミン樹脂等が挙げられる。
【0040】
アクリルポリマー100質量部に対する熱重合開始剤の含有量は、0.01〜3質量部である。熱重合開始剤の含有量が3質量部を超えると過剰添加による被着体汚染等が生じ、0.01質量部未満であると十分に重合開始させることができない。アクリルポリマー100質量部に対する熱重合開始剤の含有量は、0.01〜3質量部であることが好ましく、0.05〜2質量部であることがより好ましく、0.05〜1質量部であることが更に好ましい。
【0041】
本実施形態の保護フィルム用組成物は、有機溶媒等によって溶液とされたものであってもよい。このような溶液とすることで、基材(後述する)に対して塗布すること等ができる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールジアルキルエーテル;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸メチル等のアルキルエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ジメチルホフルアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類等が挙げられる。
【0042】
本実施形態の保護フィルム用組成物は、上記以外にも他の添加剤等を更に含有してもよい。このような他の添加剤としては、例えば、ルイス酸アミン錯体、金属触媒、界面活性剤、光増感剤等が挙げられる。
【0043】
本実施形態の保護フィルム用組成物を、基材(ベースフィルム等と呼ばれる場合もある。)等上に塗布して、粘着層を形成させること等によって、保護フィルムとすることができる。好適例としては、基材と、保護フィルム用組成物を含有する粘着層と、を含む保護フィルムとすることができる。
【0044】
保護フィルムの作製にあたっては、本実施形態の保護フィルム用組成物を基板等の被着体と貼り合わせる前に光(紫外線等)照射を行うことが好ましい。これにより、発熱反応の開始温度を所望の範囲に効率よく制御できるとともに、基板等の被着体との過度の密着を一層防止できる。かかる効果は、アクリルポリマーの側鎖に紫外線等の光反応性官能基(エチレン性不飽和結合を有する官能基等)が存在する場合に一層顕著となる。その理由は、光反応性官能基と光重合開始剤とが反応するためだと考えられる。また、これにより熱硬化の初期段階(ステージ)にて十分に硬化反応を促進させることもできる。
【0045】
光照射の手段としては、特に限定されず、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライト等の光源を用いることができる。また、照射強度は、基材に設けられた粘着層の厚み、硬化剤の量により適宜調整することができるが、通常、200〜5000mJ/cm
2であることが好ましく、500〜3000mJ/cm
2であることがより好ましい。
【0046】
基材としては、保護フィルム用組成物を含有する粘着層を形成可能なものであればよく、その材料等については特に限定されない。基材の材料としては、例えば、ポリエチレン不タレート(PET)系基材、ポリイミド(PI)系基材、ポリエチレンナフタレート(PEN)系基材、ポリフェニレンエーテルサルファイド(PPS)系基材等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性等の観点から、ポリイミド系基材が好ましい。また、基材には、コロナ処理やプラズマ処理等といった表面改質処理を施すこともできる。これにより、基材の経時的な物性変化の防止や各種表面改質等が可能となる。
【0047】
本実施形態のフィルムは、基材に粘着層が形成されているものであればよく、使用前には離型フィルム(セパレートフィルム)等によって粘着層を保護していてもよい。このような離型フィルムを貼り合わせておくことで、粘着層の粘着力等を維持できる。離型フィルムとしては、特に限定されず、公知のものを適宜に使用することもできる。離型フィルムとしては、例えば、シリコーン系離型処理やフッ素系離型処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、離型紙等が挙げられる。
【0048】
本実施形態では、通常、光照射によって光重合開始剤が機能し、加熱によって熱重合開始剤が機能し、これらによって各重合を促進させることができる。この点、光照射処理と加熱処理のタイミングとしては、まず保護フィルム用組成物(粘着層)に光照射を行っておき、その後の被着体との接着時に加熱処理を行うことが好ましい。よって、保護フィルムとしては、粘着層に光照射を施した状態としておき、被着体と接着させる段階で加熱処理を施すことが好ましい。例えば、光照射は基材上に粘着層を形成した直後に行うことが好ましく、加熱処理は所謂ユーザー工程にて行われるプレス時等に行われることが好ましい。
【0049】
本実施形態の保護フィルムの製造方法としては、例えば、保護フィルム用組成物の溶液を用意し、当該溶液を基材の上に塗布し、乾燥させること等によって粘着層を基材上に形成させる方法等が挙げられる。保護フィルム用組成物の溶液としては、例えば、上述した有機溶媒を用いて保護フィルム用組成物を希釈したもの等を用いることができる。
【0050】
塗布方法については、特に限定されず、公知の手法を採用することもできる。例えば、ダイコーダ、コンマコータ、グラビアコータ等を用いることができる。さらに、基材上に形成された粘着層に光照射を行うことが好ましい。これによって、基板等の被接着体と貼り合わせた際に過度に密着してしまうことを防止できる。その結果、糊残り等も一層効果的に抑制することができる。
【0051】
本実施形態の保護フィルムは、その粘着層を介して被着体と接着させて、積層体とすることができる。被着体としては、例えば、回路基板等を構成する各種部品等が挙げられる。すなわち、上記した保護フィルムと、粘着層上に積層された被着体とを含む積層体が挙げられる。積層体としては、接着性の観点から、上述したような加熱処理が施されていることが好ましい。この場合、保護フィルムの粘着層は予め光照射されており、かつ被着体との接着時に加熱処理が施されることが好ましい。粘着層と被着体を接着する際に加熱処理が施されることで、粘着層中の熱重合開始剤が機能し、熱重合を促進させることができる。
【0052】
積層体の好適な製造方法としては、例えば、アクリルポリマー100質量部に対して、熱硬化剤3〜30質量部と、光重合開始剤0.01〜10質量部と、熱重合開始剤0.01〜3質量部と、を含有し、前記アクリルポリマーが、カルボキシル基及びエチレン性不飽和結合を有し、熱硬化剤が、エポキシ基を有する組成物を、基材上に塗布し、粘着層を形成させる工程と、粘着層に光照射をすることで、前記粘着層の発熱
反応の開始温度を100℃以下とする工程と、粘着層に被着体を接触させ、加熱することにより、積層体を得る工程と、を有する、積層体の製造方法が挙げられる。
【0053】
ここで、回路基板の上に搭載部品を搭載する際に、本実施形態の保護フィルムを使用する一態様を説明する。まず、キャビティを有する回路基板を用意し、そのキャビティ内に、搭載部品を仮置きする。搭載部品が仮置きされた回路基板の一方の表面に、本実施形態の保護フィルムを貼り付けて、搭載部品を仮固定する。そして、回路基板のもう一方の表面から、プリプレグ等の充填材を用いて搭載部品を溶融接着することで、回路基板に搭載部品を完全固定する。その後、保護フィルムを回路基板から剥離することで、部品搭載回路基板を得ることができる。
【0054】
プリプレグ等の充填材を用いて、回路基板のキャビティ内の搭載部品を溶融接着する際、通常、100℃以上といった高温条件下でプレス成形を行う。その際、本実施形態の保護フィルムによれば、プリプレグが溶融する前に粘着層を十分に硬化させることができる。その結果、保護フィルムを回路基板から容易に剥離することもできる。そして、本実施形態の保護フィルムは、被着体である搭載部品等を汚染することもなく、かつ、剥離後の基板や搭載部品の表面に、保護フィルムの成分(残渣等)が残留すること(糊残り)もない。さらには、本実施形態の保護フィルムは、追従性や接着力に優れるため、予め搭載部品をキャビティ内に確実に仮固定しておくことができるという利点も有するため、搭載部品を所定の位置に高い精度で固定することができる。
【実施例】
【0055】
以下の実施例及び比較例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0056】
本実施例において、以下のものを使用した。
熱硬化剤:
商品名「AER260」(旭化成ケミカルズ社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量189g/eq.)
光開始剤:
商品名「Darocure 1173」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン)
熱重合開始剤(熱硬化触媒):
商品名「2MZ−H」(四国化成社製、イミダゾール系熱硬化剤、2−メチルイミダゾール)
【0057】
<実施例1>
(アクリルポリマーA−1の作製)
反応容器の中に、アクリル酸n−ブチル(BA)97.3質量部、アクリル酸(AA)2.7質量部、酢酸エチル100質量部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3質量部を加え、70℃で撹拌を開始した。開始から60分経過後から、30分間置きに反応溶液の一部を取り出し、脱イオン水で反応を停止させ、メチルエチルケトンにより抽出し、抽出溶液のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって数平均分子量(Mn)を経時的に分析した。そして、Mnが570000に到達した時点で反応溶液を冷却して、反応を停止させた。停止後、酢酸エチルにて希釈することで、アクリルポリマーを得た。
アクリルポリマーA−1のMnは570000、水酸化カリウム水溶液での滴定による酸価は20mgKOH/gであった。
【0058】
(アクリルポリマーB−1の作製)
反応溶液の中に、アクリルポリマーA−1を100質量部と、メチルエチルケトン300質量部を加え、70℃に加温して溶解させた。そこにメタクリル酸グリシジル(GMA)2.6質量部、N,N−ジメチルベンジルアミン14質量部、トリフェニルホスフィン0.1質量部を加え、10時間撹拌して反応させた。反応の完結は、反応溶液をGPCによって経時的に分析してメタクリル酸グリシジルに由来するピークが消失したことによって確認した。そして、反応溶液を冷却して、反応を停止することで、アクリルポリマーB−1(側鎖にアクリロイル基を有するアクリルポリマー)を得た。
アクリルポリマーB−1のMnは610000であり、二重結合当量は5462g/eq、水酸化カリウム水溶液での滴定による酸価は11mgKOH/gであった。
なお、二重結合当量は、使用したメタクリル酸グリシジルの物質量と、使用したアクリルモノマーの全質量とに基づく計算値であり、具体的には、下記式に基づき算出した。
二重結合当量〔g/eq〕=(加えたアクリルモノマーの総重量〔g〕)÷{(加えたGMAの重量〔g〕)/142}
ここで142はGMAの分子量である。以下にて作製した他のアクリルポリマーの二重結合当量も、同様にして算出した。
【0059】
なお、GPC測定について、下記の条件により、ポリスチレン換算で求めた。
[GPC条件]
装置:装置名「HLC−8220GPC」(東ソー社製)測定温度:23℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
温度:23℃
流速:0.3mL/分
注入量:20mL
濃度:0.03%未満
検出器:RI検出器
【0060】
(保護フィルム用組成物及び保護フィルムの作製)
アクリルポリマーB−1を100質量部と、「AER260」3.4質量部と、「Darocure1173」5質量部と、「2MZ−H」0.5質量部を、撹拌機付き反応容器を用いて、室温で撹拌することによって、保護フィルム用組成物を得た。
そして、厚さが25μmであるポリイミドフィルムに、保護フィルム用組成物を、乾燥後の厚さが25μmとなるように、ダイコーダを用いて塗布し、120℃で2分間乾燥させた。そして、塗布面に離型処理を施したセパレートフィルムの離型面を重ねるように貼り合わせて、ラミネートしてラミネートフィルムを得た。このラミネートフィルムのセパレートフィルム側より、高圧水銀灯によりUV照射(照射量:1000mJ/cm
2)して保護フィルムを得た。
得られた保護フィルムの粘着層(保護フィルム用組成物の層)から、樹脂成分を採取し、示差走査熱量計(DSC)測定を行うことで、発熱反応の開始温度を求めた。具体的には、熱硬化反応に由来する発熱曲線の変曲点における接線と、ベースラインの交わる点を、発熱反応の開始温度とした。
【0061】
[DSC測定条件]
測定条件:窒素雰囲気下で、室温から昇温速度10℃/minで昇温させた。
装置:熱分析装置「Q200」(ティー・エイ・インスツルメント社製)
測定温度範囲:−60℃〜250℃
【0062】
(薬液染込み試験)
銅箔厚さ18μmのポリイミド基板(有沢製作所社製、「PNS H1018RAH」)をエッチングし、
図1のようなパターン試料を作製した。次に、上記パターン試料の銅箔面に、得られた保護フィルムを、ロールラミネーターを用いて、25℃、0.5m/min、0.4MPaの条件で貼合した。この貼合した試料を、23℃、1Nの塩酸に10分間浸漬した後、目視にて端部の剥がれや薬液の染み込みの有無を確認した。回路に対する追従性が弱いと、フィルムの浮きが発生し、薬液が染みこむ原因となる。
【0063】
(プレス後剥離力試験)
圧着ローラーを用いて、1oz電解銅箔の光沢面に、10cm×10cmに切り出した保護フィルムを常温で貼り合わせた。その後、180℃×2.94MPa×60分(Cold−Hot−Cold)の条件で、プレス成形を行った。そして、25mm幅にカットして試験片を得た。両面テープを用いて試験片の銅箔面をステンレス板に固定し、雰囲気温度23℃、剥離角度180℃、引張速度300mm/分の条件で、保護フィルムを剥離させるのに要する力を、精密万能試験機「オートグラフAGS−J」(島津製作所社製)によって測定した。測定した値を、剥離力として評価した。
【0064】
(糊残り試験)
圧着ローラーを用いて、3mm×3mmの四角孔を複数有するFR−4基板(Flame Retardant Type 4;厚さ50μm、100mm×100mm)の一方の表面に、保護フィルムを常温で貼り合わせた。そして、もう一方の表面に、プリプレグ(有沢製作所社製、商品名「SPC4020」)と1oz電解銅箔を積層して、180℃×2.94MPa×60分(Cold−Hot−Cold)の条件で、プレス成形を行い、プレプリグを得た。
図2に、糊残り試験で作製したプレプリグの正面図を示す。このプレプリグから表面保護テープを剥離し、剥離面の表面保護テープの成分の残留の有無を、実体顕微鏡(倍率20倍)を用いて確認した。
【0065】
<実施例2>
(アクリルポリマーA−2の作製)
アクリルポリマーのMnが890000となるように制御した以外は、アクリルポリマーA−1の作製と同様にしてアクリルポリマーA−2を作製した。
【0066】
(アクリルポリマーB−2の作製)
アクリルポリマーA−1の替わりにアクリルポリマーA−2の用い、アクリルポリマーのMnが950000となるよう制御した点以外は、アクリルポリマーB−1の作製と同様にして、アクリルポリマーB−2を作製した。得られたアクリルポリマーB−2のMnは950000、水酸化カリウム水溶液での滴定による酸価は10mgKOH/gであった。
【0067】
(保護フィルム用組成物及び保護フィルムの作製)
アクリルポリマーB−1をアクリルポリマーB−2に替えた点以外は、実施例1と同様にして、保護フィルム用組成物及び保護フィルムを作製した。そして、得られた保護フィルムについて、実施例1と同様にして、評価試験を行った。
【0068】
<実施例3>
(アクリルポリマーA−3の作製)
アクリルポリマーのMnが470000となるように制御した以外は、アクリルポリマーA−1の作製と同様にしてアクリルポリマーA―3を作製した。
【0069】
(アクリルポリマーB−3の作製)
アクリルポリマーB−3は、アクリルポリマーA−1の代わりにアクリルポリマーA−3の用い、アクリルポリマーのMnが510000となるよう制御した点以外は、アクリルポリマーB−1の作製と同様にして、アクリルポリマーB−3を作製した。得られたアクリルポリマーB−3のMnは510000、水酸化カリウム水溶液での滴定による酸価は10mgKOH/gであった。
【0070】
(保護フィルム用組成物及び保護フィルムの作製)
アクリルポリマーB−1をアクリルポリマーB−3に替えた点以外は、実施例1と同様にして、保護フィルム用組成物及び保護フィルムを作製した。そして、得られた保護フィルムについて、実施例1と同様にして、評価試験を行った。
【0071】
<実施例4>
(アクリルポリマーA−4の作製)
アクリルポリマーA−4は、アクリル酸n−ブチル(BA)、アクリル酸(AA)の量を表1に記載の量に変更し、アクリルポリマーのMnが540000となるように制御した以外は、アクリルポリマーA−1の作製と同様にしてアクリルポリマーA−4を作製した。
【0072】
(アクリルポリマーB−4の作製)
アクリルポリマーB−4は、アクリルポリマーA−1の代わりにアクリルポリマーA−4の用いた点と、GMAの量を表2に記載の量に変更し、二重結合当量を表2に記載の値となるよう制御した点以外は、アクリルポリマーB−1の作製と同様にして、アクリルポリマーB−4を作製した。得られたアクリルポリマーB−4のMnは590000、水酸化カリウム水溶液での滴定による酸価は10mgKOH/gであった。
【0073】
(保護フィルム用組成物及び保護フィルムの作製)
アクリルポリマーB−1をアクリルポリマーB−4に替えた点以外は、実施例1と同様にして、保護フィルム用組成物及び保護フィルムを作製した。そして、得られた保護フィルムについて、実施例1と同様にして、評価試験を行った。
【0074】
<実施例5>
(アクリルポリマーA−5の作製)
アクリルポリマーA−5は、アクリル酸n−ブチル(BA)、アクリル酸(AA)の量を表1に記載の量に変更し、アクリルポリマーのMnが580000となるように制御した以外は、アクリルポリマーA−1の作製と同様にしてアクリルポリマーA−5を作製した。
【0075】
(アクリルポリマーB−5の作製)
アクリルポリマーA−1の替わりにアクリルポリマーA−5の用いた点、GMAの量を表2に記載の量に変更した点、アクリルポリマーの二重結合当量を表2に記載の値となるよう制御した点、及びアクリルポリマーのMnが600000となるよう制御した点以外は、アクリルポリマーB−1の作製と同様にして、アクリルポリマーB−5を作製した。
【0076】
(保護フィルム用組成物及び保護フィルムの作製)
アクリルポリマーB−1をアクリルポリマーB−5に替えた点以外は、実施例1と同様にして、保護フィルム用組成物及び保護フィルムを作製した。そして、得られた保護フィルムについて、実施例1と同様にして、評価試験を行った。
【0077】
<実施例6>
(アクリルポリマーA−6の作製)
アクリルポリマーA−6は、アクリル酸n−ブチル(BA)、アクリル酸(AA)の量を表1に記載の量に変更し、アクリルポリマーのMnが570000となるように制御した以外は、アクリルポリマーA−1の作製と同様にしてアクリルポリマーA−6を作製した。
【0078】
(アクリルポリマーB−6の作製)
アクリルポリマーA−1の替わりにアクリルポリマーA−6の用いた点、GMAの量を表2に記載の量に変更した点、アクリルポリマーの二重結合当量を表2に記載の値となるよう制御した点、及びアクリルポリマーの酸価が77mgKOH/gとなるよう制御した点以外は、アクリルポリマーB−1の作製と同様にして、アクリルポリマーB−6を作製した。
【0079】
(保護フィルム用組成物及び保護フィルムの作製)
アクリルポリマーB−1をアクリルポリマーB−6に替え、表3に示す配合割合とした点以外は、実施例1と同様にして、保護フィルム用組成物及び保護フィルムを作製した。そして、得られた保護フィルムについて、実施例1と同様にして、評価試験を行った。
【0080】
<実施例7>
(保護フィルム用組成物及び保護フィルムの作製)
表3に示す配合割合とした点以外は、実施例1と同様にして、保護フィルム用組成物及び保護フィルムを作製した。そして、得られた保護フィルムについて、実施例1と同様にして、評価試験を行った。
【0081】
<比較例1>
保護フィルムの作製において、光照射後、150℃に設定した乾燥機内で2時間加熱処理することで、完全に硬化させた点以外は実施例1と同様にして保護フィルムを得た。なお、DSC測定では発熱反応は見られなかった。得られた保護フィルムについて、実施例1と同様にして、評価試験を行った。
【0082】
<比較例2>
「AER260」を用いなかった点以外は実施例1と同様にして、保護フィルム用組成物を得た。なお、硬化剤を含有していなかったため、DSC測定では発熱反応は見られなかった。得られた保護フィルムについて、実施例1と同様にして、評価試験を行った。
【0083】
<比較例3>
「Darocure 1173」を用いなかった点以外は実施例1と同様にして、保護フィルム用組成物を得た。そして、この保護フィルム用組成物を用いた点以外は実施例1と同様にして、保護フィルムを得た。得られた保護フィルムについて、実施例1と同様にして、評価試験を行った。
【0084】
<比較例4>
「2MZ−H」を用いなかった点以外は実施例1と同様にして、保護フィルム用組成物を得た。そして、この保護フィルム用組成物を用いた点以外は実施例1と同様にして、保護フィルムを得た。得られた保護フィルムについて、実施例1と同様にして、評価試験を行った。
【0085】
<比較例5>
アクリルポリマーB−1に替えてアクリルポリマーA−1(エチレン性不飽和結合を有していないアクリルポリマーが)を用いた点以外は実施例1と同様にして、保護フィルム用組成物を得た。そして、この保護フィルム用組成物を用いた点以外は実施例1と同様にして、保護フィルムを得た。得られた保護フィルムについて、実施例1と同様にして、評価試験を行った。
【0086】
各実施例及び比較例で用いたアクリルポリマーの物性を表1及び表2に示し、各実施例及び比較例の配合条件及び評価結果を表3及び表4に示す。
【0087】
【表1】
BA:アクリル酸n−ブチル、AA:アクリル酸
「−」;未測定
【0088】
【表2】
GMA:メタクリル酸グリシジル
【0089】
【表3】
【0090】
【表4】
【0091】
以上より、少なくとも各実施例では、薬液染込み性、プレス後の剥離力、及び糊残りのいずれの試験も優れた結果であることが確認された。