特許第6166167号(P6166167)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6166167
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】定着器部材
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20170710BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
   G03G15/20 515
   G03G15/00 550
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-253009(P2013-253009)
(22)【出願日】2013年12月6日
(65)【公開番号】特開2014-123119(P2014-123119A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2016年12月2日
(31)【優先権主張番号】13/722,283
(32)【優先日】2012年12月20日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユー・チ
(72)【発明者】
【氏名】ナン−シン・フー
【審査官】 國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−095597(JP,A)
【文献】 特開2010−211207(JP,A)
【文献】 特開2002−116650(JP,A)
【文献】 特開2012−198517(JP,A)
【文献】 特開2008−145832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
基材上に配置され、約50パーセントから約95パーセントの気孔率を有するポリイミドエアロゲルからなる中間層と、
中間層上に配置された、フルオロポリマーを含む表面層と、
を含み、媒体基材に圧力および熱を提供する定着器ニップを形成する定着器部材。
【請求項2】
請求項1に記載の定着器部材であって、ポリイミドエアロゲルの厚みが約0.010mmから約10mmである、定着器部材。
【請求項3】
請求項1に記載の定着器部材であって、ポリイミドエアロゲルの密度が約0.1gm/cm3から約0.5gm/cm3である、定着器部材。
【請求項4】
請求項1に記載の定着器部材であって、ポリイミドエアロゲルの表面積が約100m2/gから約550m2/gである、定着器部材。
【請求項5】
請求項1に記載の定着器部材であって、ポリイミドエアロゲルの孔径が約2nmから約200nmである、定着器部材。
【請求項6】
請求項1に記載の定着器部材であって、フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);パーフルオロアルコキシポリマー樹脂(PFA);テトラフルオロエチレン(TFE)およびヘキサフルオロプロピレン(HFP)のコポリマー;ヘキサフルオロプロピレン(HFP)およびビニリデンフルオリド(VDFまたはVF2)のコポリマー;テトラフルオロエチレン(TFE)、ビニリデンフルオリド(VDF)およびヘキサフルオロプロピレン(HFP)のターポリマー;ならびにテトラフルオロエチレン(TFE)、ビニリデンフルオリド(VF2)およびヘキサフルオロプロピレン(HFP)および硬化部位モノマーのテトラポリマーならびにこれらの混合物からなる群から選択されるフッ素プラスチックである、定着器部材。
【請求項7】
請求項1に記載の定着器部材であって、フルオロポリマーが、ビニリデンフルオリド、ヘキサフルオロプロピレンおよびテトラフルオロエチレンのうちの2つのコポリマー;ビニリデンフルオリド、ヘキサフルオロプロピレンおよびテトラフルオロエチレンのターポリマー;ならびにビニリデンフルオリド、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンおよび硬化部位モノマーのテトラポリマーからなる群から選択されるフルオロエラストマーである、定着器部材。
【請求項8】
請求項1に記載の定着器部材であって、基材が、ポリイミド、ポリアラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリフタラミド、ポリアミドイミド、ポリケトン、ポリフェニレンスルフィド、フルオロポリイミド、フルオロポリウレタン、アルミニウム、ニッケルおよびステンレス鋼からなる群から選択される材料を含む、定着器部材。
【請求項9】
基材と、
基材上に配置され、約50パーセントから約95パーセントの気孔率を有し、約2nmから約200nmの孔径を有するポリイミドエアロゲルからなる中間層と、
中間層上に配置された、フルオロポリマーを含む表面層と、
を含み、媒体基材に圧力および熱を提供する定着器ニップを形成する定着器部材。
【請求項10】
請求項9に記載の定着器部材であって、ポリイミドエアロゲルの厚みが約0.010mmから約10mmである、定着器部材。
【請求項11】
請求項9に記載の定着器部材であって、ポリイミドエアロゲルの密度が約0.1gm/cm3から約0.5gm/cm3である、定着器部材。
【請求項12】
請求項9に記載の定着器部材であって、ポリイミドエアロゲルの表面積が約100m2/gから約550m2/gである、定着器部材。
【請求項13】
請求項9に記載の定着器部材であって、フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);パーフルオロアルコキシポリマー樹脂(PFA);テトラフルオロエチレン(TFE)およびヘキサフルオロプロピレン(HFP)のコポリマー;ヘキサフルオロプロピレン(HFP)およびビニリデンフルオリド(VDFまたはVF2)のコポリマー;テトラフルオロエチレン(TFE)、ビニリデンフルオリド(VDF)およびヘキサフルオロプロピレン(HFP)のターポリマー;ならびにテトラフルオロエチレン(TFE)、ビニリデンフルオリド(VF2)およびヘキサフルオロプロピレン(HFP)および硬化部位モノマーのテトラポリマーならびにこれらの混合物からなる群から選択されるフッ素プラスチックを含む、定着器部材。
【請求項14】
請求項9に記載の定着器部材であって、基材が、ポリイミド、ポリアラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリフタラミド、ポリアミドイミド、ポリケトン、ポリフェニレンスルフィド、フルオロポリイミド、フルオロポリウレタン、アルミニウム、ニッケルおよびステンレス鋼からなる群から選択される材料を含む、定着器部材。
【請求項15】
請求項9に記載の定着器部材であって、基材と中間層との間に配置された接着層をさらに含む、定着器部材。
【請求項16】
請求項9に記載の定着器部材であって、中間層と表面層との間に配置された接着層をさらに含む、定着器部材。
【請求項17】
基材と、
基材上に配置され、約50パーセントから約95パーセントの気孔率を有し、約2nmから約200nmの孔径を有する細孔を有し、約0.5mmから約10mmの厚みを有するポリイミドエアロゲルからなる中間層と、
中間層上に配置された、ポリテトラフルオロエチレンおよびパーフルオロアルコキシポリマー樹脂からなる群から選択されるフッ素プラスチックを含む表面層と、
を含み、媒体基材に圧力および熱を提供する定着器ニップを形成する定着器部材。
【請求項18】
請求項17に記載の定着器部材であって、表面層の厚みが約1μmから約400μmである、定着器部材。
【請求項19】
請求項17に記載の定着器部材であって、表面層がフィラーをさらに含む、定着器部材。
【請求項20】
請求項17に記載の定着器部材であって、ポリイミドエアロゲルの表面積が約100m2/gから約550m2/gである、定着器部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は全般に、デジタル、多重画像などを含む電子写真画像化装置に有用な、定着器部材用中間層に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の定着器部材は、剥離層に対するクッション材および支持体を提供する中間層を含む。該中間層は普通、シリコーンなどの一種のエラストマーまたはゴムである。しかし、シリコーンおよび他のエラストマー材料は、製造中に昇温に供された場合分解する可能性がある。これが、定着器部材の不適切な性能を引き起こし得る。高温の製造温度に耐え得る、定着器部材中の中間層として有用な材料を有することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態に従って、基材および基材上に配置された、ポリイミドエアロゲル層を含む定着器部材を提供する。該ポリイミドエアロゲル層は、約50パーセントから約95パーセントの気孔率を有する。フルオロポリマーを含む表面層は、ポリイミドエアロゲル層上に配置される。
【0004】
別の実施形態に従って、基材、基材上に配置されたポリイミドエアロゲル層および熱耐性層上に配置されたフルオロポリマーを含む表面層を有する定着器部材を提供する。ポリイミドエアロゲル層は、約50パーセントから約95パーセントの気孔率および約2nmから約200nmの孔径を含む。
【0005】
別の実施形態に従って、基材、基材上に配置されたポリイミドエアロゲル層およびポリイミドエアロゲル層上に配置された表面層を有する定着器部材を記載する。該ポリイミドエアロゲル層は、約50パーセントから約95パーセントの気孔率および約2nmから約200nmの孔径を有する。該ポリイミドエアロゲル層は、約0.5mmから約10mmの厚みを有する。剥離層は、ポリテトラフルオロエチレンおよびパーフルオロアルコキシポリマー樹脂からなる群から選択されるフッ素プラスチック(fluorolastic)である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本教示に従った円筒状基材を有する、例示的定着部材を表す図である。
図2図2は、本教示に従ったベルト基材を有する、例示的定着部材を表す図である。
図3A図3Aは、本教示に従った図1に示す定着器ローラーを使用する、例示的定着構造を表す図である。
図3B図3Bは、本教示に従った図1に示す定着器ローラーを使用する、例示的定着構造を表す図である。
図4A図4Aは、本教示に従った図2に示す定着器ベルトを使用する、別の例示的定着構造を表す図である。
図4B図4Bは、本教示に従った図2に示す定着器ベルトを使用する、別の例示的定着構造を表す図である。
図5図5は、転写固定装置を使用する、例示的定着器構造を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
さまざまな実施形態において、固定部材は、例えば、基材およびこの上に形成された1または複数の機能層を含むことができる。該基材は、特定の構造、例えば図1および図2に示すような構造に依存して、非導電性または導電性の適切な材料を使用して、さまざまな形状、例えば円筒形(例えば、シリンダーチューブ)、円筒ドラム、ベルトまたはフィルムに形成することができる。
【0008】
具体的には、図1は、円筒形基材110を有する例示的固定部材または定着部材100を表し、図2は、本教示に従ったベルト基材210を有する、別の例示的固定部材または定着部材200を表す。図1に表された固定部材または定着部材100および図2に表された固定部材または定着部材200が、一般化された略図を表し、他の層/基材を加えることも、または既存の層/基材の除去または改良も可能であることは、当業者には容易に明らかなはずである。
【0009】
図1において、例示的固定部材100は、円筒形基材110および1または複数の機能層120(中間層とも称される)ならびにこの上に形成された外層130を有する定着器ローラーであってよい。さまざまな実施形態において、円筒形基材110は、例えば、中空構造を有し、この中に加熱灯を含むシリンダーチューブまたは固体の円筒形シャフトの形態をとることができる。図2において、例示的固定部材200は、1または複数の機能層、例えば220およびこの上に形成された外表面230を備えたベルト基材210を含むことができる。
【0010】
基材層
ベルト基材210(図2)および円筒形基材110(図1)は、例えば、ポリマー材料(例えば、ポリイミド、ポリアラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリフタラミド、ポリアミドイミド、ポリケトン、ポリフェニレンスルフィド、フルオロポリイミドまたはフルオロポリウレタン)および金属材料(例えば、アルミニウム、ニッケルまたはステンレス鋼)から形成し、当業者に公知のように、剛性および構造整合性を維持することができる。
【0011】
中間層
定着器部材中の中間層120(図1)220(図2)として適切なポリイミドエアロゲルを開示する。該ポリイミドエアロゲルは、剥離層に対するクッション材を提供し、剥離層に対する支持基材を提供する。該ポリイミドエアロゲルは、機械的に強く、柔軟で熱耐性である。該ポリイミドエアロゲルは、約50パーセントから約95パーセントの気孔率を有する。該ポリイミドエアロゲルは優れた柔軟性、高い引張強度(すなわち4−9MPa)および高い分解開始温度を有する。定着器ベルトは、高温ポリイミドゲル層を基材層の上部にコーティングし、その後表面剥離層をコーティングすることによって作ることができる。場合により、熱耐性補強層を、発泡層と表面剥離層との間にコーティングする。
【0012】
ローラー構造に関して、中間層または機能層の厚みは、約0.010mmから約10mmまたは約1mmから約8mmまたは約2mmから約7mmであってよい。ベルト構造に関して、機能層は、約10ミクロンから最大約2mmまたは25ミクロンから約1.5mmまたは50ミクロンから約1mmであってよい。
【0013】
剥離層
剥離層130(図1)、230(図2)の例示的実施形態は、フルオロポリマーを含む。本明細書に記載の配合物における使用に適切なフルオロポリマーは、フッ素含有ポリマーを含む。これらのポリマーは、ビニリデンフルオリド、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択されるモノマー反復単位を含むフルオロポリマーを含む。該フルオロポリマーは、直鎖または分枝のポリマーおよび架橋フルオロエラストマーを含むことができる。フルオロポリマーの例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);パーフルオロアルコキシポリマー樹脂(PFA);テトラフルオロエチレン(TFE)およびヘキサフルオロプロピレン(HFP)のコポリマー;ヘキサフルオロプロピレン(HFP)およびビニリデンフルオリド(VDFまたはVF2)のコポリマー;テトラフルオロエチレン(TFE)、ビニリデンフルオリド(VDF)およびヘキサフルオロプロピレン(HFP)のターポリマー;ならびにテトラフルオロエチレン(TFE)、ビニリデンフルオリド(VF2)およびヘキサフルオロプロピレン(HFP)および硬化部位モノマーのターポリマーならびにこれらの混合物を含む。該フルオロポリマー粒子は、化学的安定性および熱安定性を提供し、低い表面エネルギーを有する。該フルオロポリマー粒子は、約255℃から約360℃または約280℃から約330℃の溶融温度または硬化温度を有する。これらの粒子は溶融または硬化して、剥離層を形成する。
【0014】
定着器部材100(図1)、200(図2)に関して、表面層または剥離層130(図1)、230(図2)は、約10ミクロンから約100ミクロンまたは約20ミクロンから約80ミクロンまたは約40ミクロンから約60ミクロンであってよい。
【0015】
添加剤および追加の導電性または非導電性のフィラーが、基材層110(図1)および210(図2)、ならびに剥離層130(図1)および230(図2)中に存在してもよい。さまざまな実施形態において、例えば無機粒子を含む他のフィラー材料または添加剤を、コーティング組成物およびその後形成される表面層に使用することができる。本明細書において使用する導電性フィラーは、カーボンブラック、例えばカーボンブラック、グラファイト、フラーレン、アセチレンブラック、フッ化カーボンブラックなど;カーボンナノチューブ;金属酸化物およびドープされた金属酸化物、例えば酸化スズ、二酸化アンチモン、アンチモンがドープされた酸化スズ、二酸化チタン、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、インジウムがドープされた三酸化スズなど、ならびにこれらの混合物を含むことができる。特定のポリマー、例えばポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリ(p−フェニレンスルフィド)、ピロール、ポリインドール、ポリピレン、ポリカルバゾール、ポリアズレン、ポリアゼピン、ポリ(フルオリン)、ポリナフタレン、有機スルホン酸の塩、リン酸のエステル、脂肪酸のエステル、アンモニウム塩またはホスホニウム塩ならびにこれらの混合物を、導電性フィラーとして使用することができる。さまざまな実施形態において、当業者に公知の他の添加剤が、開示の複合材料を形成するために含まれてもよい。
【0016】
該剥離層は、任意の適切な公知の様式で、ポリイミドエアロゲル層上にコーティングされる。基材層上のこのような材料にコーティングする通常の技術は、流しコーティング、液体スプレーコーティング、浸漬コーティング、巻き線ロッドコーティング(wire wound rod coating)、流動層コーティング、粉体コーティング、静電スプレー、音波スプレー、ブレードコーティング、モールディング、ラミネート加工などを含む。該フルオロポリマーは、その後硬化または溶融して、剥離層を形成する。
【0017】
接着層
場合により任意の公知および利用可能な適切な接着層が、剥離層130(図1)、230(図2)、中間層120(図1)、220(図2)および基材110(図1)、210(図2)の間に配置することができる。適切な接着層の例は、アミノシラン(例えばHV Primer10、Dow Corningなど)などのシラン、チタン酸塩、ジルコン酸塩、アルミン酸塩などおよびこれらの混合物を含む。一実施形態において、約0.001パーセントから約10パーセント溶液の接着層を、基材上にワイピングすることができる。該接着層は、基材上または外層上に、約2ナノメートルから約2,000ナノメートルまたは約2ナノメートルから約500ナノメートルの厚みにコーティングすることができる。該接着層は、スプレーコーティングまたはワイピングを含む任意の適切な公知の技術によりコーティングすることができる。
【0018】
添加剤および追加の導電性または非導電性のフィラーが、基材層110(図1)および210(図2)ならびに230(図2)および剥離層130(図1)および230(図2)中に存在してもよい。さまざまな実施形態において、例えば無機粒子を含む他のフィラー材料または添加剤を、コーティング組成物およびその後形成される表面層に使用することができる。本明細書において使用する導電性フィラーは、カーボンブラック、例えばカーボンブラック、グラファイト、フラーレン、アセチレンブラック、フッ化カーボンブラックなど;カーボンナノチューブ;金属酸化物およびドープされた金属酸化物、例えば酸化スズ、二酸化アンチモン、アンチモンがドープされた酸化スズ、二酸化チタン、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、インジウムがドープされた三酸化スズなど、ならびにこれらの混合物を含むことができる。特定のポリマー、例えばポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリ(p−フェニレンスルフィド)、ピロール、ポリインドール、ポリピレン、ポリカルバゾール、ポリアズレン、ポリアゼピン、ポリ(フルオリン)、ポリナフタレン、有機スルホン酸の塩、リン酸のエステル、脂肪酸のエステル、アンモニウム塩またはホスホニウム塩ならびにこれらの混合物を、導電性フィラーとして使用することができる。さまざまな実施形態において、当業者に公知の他の添加剤が、開示の複合材料を形成するために含まれてもよい。
【0019】
図3A−3Bおよび図4A−4Bは、本教示に従った定着工程のための例示的定着構造を表す。図3A−3Bに表した定着構造300A−Bおよび図4A−4Bに表した定着構造400A−Bは、一般化された略図を表し、他の部材/層/基材/構造を加えること、または既存の部材/層/基材/構造を除去または改良することが可能であることは当業者には容易に明らかなはずである。電子写真プリンターを本明細書において記載しているが、開示した装置および方法は、他の印刷技術にも適用可能である。例は、オフセット印刷およびインクジェット機および固体転写固定(solid transfix)機を含む。
【0020】
図3A−3Bは、本教示に従った、図1に示す定着器ローラーを使用する定着構造300A−Bを表す。構造300A−Bは、定着器ローラー100(すなわち、図1の100)を含み、同定着器ローラー100は、画像支持材料315のための加圧機構335、例えば、図3Aの圧力ローラーまたは図3Bの圧力ベルトとともに定着器ニップ(fuser nip)を形成することができる。さまざまな実施形態において、加圧機構335は、加熱灯337と組み合わせて使用し、画像支持材料315におけるトナー粒子の定着工程のための圧力および熱の両方を提供できる。加えて、構造300A−Bは、図3Aおよび3Bに示すように、1または複数の外部熱ローラー350とともに、例えばクリーニングウェブ360を含むことができる。
【0021】
図4A−4Bは、本教示に従った、図2に示す定着器ベルトを使用する定着構造400A−Bを表す。構造400A−Bは、定着器ベルト200(すなわち、図2の200)を含み、同定着器ベルト200は、媒体基材415のための加圧機構435、例えば、図4Aの圧力ローラーまたは図4Bの圧力ベルトとともに定着器ニップ(fuser nip)を形成することができる。さまざまな実施形態において、加圧機構435は、加熱灯と組み合わせて使用し、媒体基材415におけるトナー粒子の定着工程のための圧力および熱の両方を提供できる。加えて、構造400A−Bは、定着器ベルト200を動かすための機械系445を含むことができ、したがって、トナー粒子を定着させ、媒体基材415の上の画像を形成できる。機械系445は、1または複数のローラー445a−cを含み、これらは必要に応じて、熱ローラーとしても使用可能である。
【0022】
図5は、ベルト、シート、フィルムなどの形態が可能である、転写固定部材(transfix member)7の実施形態の図を明示する。転写固定部材7は、上記の定着器ベルト200と似たように構成されている。中間転写部材1の上に配置された現像された画像12は、ローラー4および8を介して転写固定部材7に接触し、転写される。ローラー4および/またはローラー8は、これらに関して熱を有していても、または有していなくてもよい。転写固定部材7は、矢印13の方向に進む。現像された画像は、コピー基材9がローラー10および11の間を進むにつれてコピー基材9に転写され、定着される。ローター10および/または11は、これらに関して熱を有していても、または有していなくてもよい。
【0023】
ポリイミドエアロゲル(ポリイミドフォームとも称される)の中間層を、定着器部材における中間層としての使用のために開示する。該ポリイミドエアロゲル層は、基材および表面剥離層130(図1)、230(図2)の間であるが、他の任意選択の中間層を定着器部材中に含むことができる。該ポリイミドエアロゲル層は、衝撃吸収、適合性、柔軟性およびエネルギー管理において、改良された性能を提供する。結果として、ポリイミドエアロゲル層を有する定着器部材は、紙の損傷を最小化し、定着効率の改良を提供し、広い媒体ラチチュードを提供し、画像の質を改良し、エネルギー効率を強化する。
【0024】
定着器部材における中間層としての使用のためのポリイミドエアロゲルまたはポリイミドフォームを記載し、ポリイミドエアロゲルまたはポリイミドフォームは熱耐性および絶縁体を提供する。該ポリイミドエアロゲルは、約0.1gm/cmから約0.5gm/cmまたは約0.15gm/cmから約0.45gm/cmまたは約0.2gm/cmから約0.4gm/cmの密度を有する。該ポリイミドエアロゲルは、約100m/gから約550m/gまたは約150m/gから約450m/gまたは約200m/gから約400m/gの表面積を有する。該ポリイミドエアロゲルは、約2nmから約200nmまたは5nmから約180nmまたは10nmから約150nmの孔径を有する。
【0025】
該ポリイミドエアロゲル層は、ゲルを形成する組成物をコーティングすることにより調製される。溶媒をポリイミドゲルから抽出する。溶媒の抽出後、定着器部材における中間層として適切なポリイミドエアロゲル層が残る。フルオロポリマー剥離層をその後、ポリイミドエアロゲル層上にコーティングし、硬化させ、定着器部材を形成(from)する。
【0026】
ポリイミドゲルは、1または複数の無水物キャップド(capped)ポリアミック酸オリゴマーおよび1または複数の多価アミン(ジアミンまたはトリアミン)の溶媒中組成物をコーティングし、ゲルを形成することによって作られる。多価アミンは、イミド化反応を介してポリアミック酸オリゴマーと架橋し、ポリイミドゲル層を形成する。イミド化官能の完了後、溶媒を、溶媒抽出を介して除去し、ポリイミドエアロゲル層を提供する。溶媒抽出は、超臨界COを介して達成することができる。キャストポリイミドエアロゲルフィルムは、優れた柔軟性、高い引張強度(すなわち4−9MPa)および高い分解開始温度(すなわち、460℃−610℃)を有する。
【0027】
開示の無水物キャップドポリアミック酸オリゴマーは、ピロメリト酸二無水物のポリアミック酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物のポリアミック酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物のポリアミック酸などおよびこれらの混合物のうちの1つを含む。
【0028】
実施形態において、該無水物キャップドポリアミック酸オリゴマーは、二無水物とジアミンとの反応から形成される。適切な二無水物は、芳香族二無水物および芳香族テトラカルボン酸二無水物を含み、例えば9,9−ビス(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス((3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシ−2,5,6−トリフルオロフェノキシ)オクタフルオロビフェニル二無水物、3,3’,4,4’−テトラカルボキシビフェニル二無水物、3,3’,4,4’−テトラカルボキシベンゾフェノン二無水物、ジ−(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)エーテル二無水物、ジ−(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)スルフィド二無水物、ジ−(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ジ−(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、1,2,4,5−テトラカルボキシベンゼン二無水物、1,2,4−トリカルボキシベンゼン二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリト酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4−4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4’−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4’−ジフェニルスルフィドジオキシビス(4−フタル酸)二無水物、4,4’−ジフェニルスルホンジオキシビス(4−フタル酸)二無水物、メチレンビス(4−フェニレンオキシ−4−フタル酸)二無水物、エチリデンビス(4−フェニレンオキシ−4−フタル酸)二無水物、イソプロピリデンビス−(4−フェニレンオキシ−4−フタル酸)二無水物、ヘキサフルオロイソプロピリデンビス(4−フェニレンオキシ−4−フタル酸)二無水物などを含む。
【0029】
無水物キャップドポリアミック酸オリゴマーの調製における使用に適切な例示的ジアミンは、4,4’−ビス−(m−アミノフェノキシ)−ビフェニル、4,4’−ビス−(m−アミノフェノキシ)−ジフェニルスルフィド、4,4’−ビス−(m−アミノフェノキシ)−ジフェニルスルホン、4,4’−ビス−(p−アミノフェノキシ)−ベンゾフェノン、4,4’−ビス−(p−アミノフェノキシ)−ジフェニルスルフィド、4,4’−ビス−(p−アミノフェノキシ)−ジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−アゾベンゼン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−p−ターフェニル、1,3−ビス−(ガンマ−アミノプロピル)−テトラメチル−ジシロキサン、1,6−ジアミノヘキサン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、1,3−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノ−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロ−ビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロジフェニルエーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,1−ジ(p−アミノフェニル)エタン、2,2−ジ(p−アミノフェニル)プロパンおよび2,2−ジ(p−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンなど、ならびにこれらの混合物を含む。
【0030】
無水物キャップドポリアミック酸オリゴマーの架橋に適切な例示的多価アミンは、ジアミンおよびトリアミンを含む。上記のジアミンは、二無物キャップドポリ(アミック)酸オリゴマーの架橋に使用できる。追加の多価アミン化合物の例は、1,3,5−トリアミノフェノキシベンゼン、1,3,5−トリアミノベンゼン、シクロヘキサン−1,3,5−トリアミン、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、N2−(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、N2−(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、N2−(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、N2−(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、N2−(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−オクタ(アミノフェニル)シルセスキオキサンを含む。
【0031】
該無水物キャップドポリアミック酸オリゴマーおよび多価アミンは、例えば、ジアミンまたはトリアミン対ポリアミック酸オリゴマーの重量比が約1パーセントから約5パーセントの重量比、より詳細には約2パーセントの重量比で選択される。上記の無水物ならびにジアミンおよびトリアミンは、それぞれ、単独または混合物として使用される。二無水物およびジアミンは、室温において、非プロトン性有機溶媒、例えばNMP、DMAc、またはDMF中で混合され、ポリアミック酸を形成する。トリアミンをポリアミック酸溶液に加え、その後無水酢酸およびピリジンを、化学的イミド化のために加える。無水酢酸およびピリジンの添加後20分でゲルが形成される。12時間のエージング後、該ゲルを、アセトン中75重量パーセントのNMP溶液、アセトン中25重量パーセントのNMP溶液および100パーセントアセトンの溶液を含む、一連の溶液を用いて抽出する。溶媒を、超臨界CO抽出により、31℃/1100−1400psiにおいて除去し、その後真空下で80℃において乾燥させる。
【0032】
該ポリアミック酸オリゴマーおよびアミンの組成物は、溶媒を含む。この組成物を形成するように選択される溶媒の例は、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、へプタン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン(NMP)、塩化メチレンなどおよびこれらの混合物を含み、該溶媒は、例えば、コーティング混合物の量に基づき約70重量パーセントから約95重量パーセントおよび80重量パーセントから約90重量パーセントの量で選択される。
【0033】
ポリイミドゲル層の形成後、溶媒をゲルから除去する必要がある。これは、溶媒を超臨界COと交換し、CO除去の為に真空乾燥し、ゲル中の細孔を無傷のままにすることによって達成される。実施形態において、コーティング溶液の溶媒(slvent)は、第2の溶媒、例えば超臨界COにおいて可溶性であるアセトンと交換することができ、溶媒除去を向上させる。CO除去のための条件は、温度約31℃および圧力約1100psiから約1400psiを含む。
【0034】
ポリイミドエアロゲル層を定着器部材上に提供後、剥離層を、該ポリイミドエアロゲル層上に提供する。基材層上のこのような材料にコーティングするための通常の技術は、流しコーティング、液体スプレーコーティング、浸漬コーティング、巻き線ロッドコーティング(wire wound rod coating)、流動層コーティング、粉体コーティング、静電スプレー、音波スプレー、ブレードコーティング、モールディング、ラミネート加工などを含む。フルオロポリマー剥離層のコーティング後、該コーティングを、約255℃から約360℃または約280℃から約330℃の温度で硬化させる。
【0035】
剥離層としての使用に適切なフルオロポリマーは、ビニリデンフルオリド、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択されるモノマー反復単位を含むフッ素プラスチックである。フッ素プラスチックの例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);パーフルオロアルコキシポリマー樹脂(PFA);ならびにテトラフルオロエチレン(TFE)およびヘキサフルオロプロピレン(HFP)のコポリマーおよびこれらの混合物を含む。フッ素プラスチックは、化学的安定性および熱安定性を提供し、低い表面エネルギーを有する。該フッ素プラスチックは、約280℃から約400℃または約290℃から約390℃または約300℃から約380℃の溶融温度を有する。
【0036】
剥離層としての使用に適切なフルオロポリマーは、記載の配合における使用に適切なフルオロエラストマーを含み、1)ビニリデンフルオリド、ヘキサフルオロプロピレンおよびテトラフルオロエチレンのうちの2つのコポリマー;例えば、市販品として公知のVITON A(登録商標)、2)ビニリデンフルオリド、ヘキサフルオロプロピレンおよびテトラフルオロエチレンのターポリマー、例えば市販品として公知のVITON B(登録商標);ならびに3)ビニリデンフルオリド、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンおよび硬化部位モノマーのテトラポリマー、例えば、市販品として公知のVITON GH(登録商標)またはVITON GF(登録商標)のクラスに由来する。これらのフルオロエラストマーは、上に列挙した名称に加えて、VITON E(登録商標)、VITON E60C(登録商標)、VITON E430(登録商標)、VITON 910(登録商標)およびVITON ETP(登録商標)などのさまざまな名称で市販品として公知である。VITON(登録商標)という名称は、E.I.DuPont de Nemours,Inc.の商標である。硬化部位モノマーは、4−ブロモパーフルオロブテン−1、1,1−ジヒドロ−4−ブロモパーフルオロブテン−1、3−ブロモパーフルオロプロペン−1、1,1−ジヒドロ−3−ブロモパーフルオロプロペン−1または任意の他の適切な公知の硬化部位モノマー、例えばDuPontから市販品として利用可能な硬化部位モノマーであってよい。他の市販品として利用可能なフルオロポリマーは、FLUOREL2170(登録商標)、FLUOREL2174(登録商標)、FLUOREL2176(登録商標)、FLUOREL2177(登録商標)およびFLUOREL LVS76(登録商標)を含み、FLUOREL(登録商標)は、3M Companyの登録商標である。さらなる市販品として利用可能な材料は、ポリ(プロピレン−テトラフルオロエチレン)であるAFLAS(商標)およびポリ(プロピレン−テトラフルオロエチレンビニリデンフルオリド)であるFLUOREL II(登録商標)(LII900)を含み、双方とも3M Companyから利用可能であり、ならびにFOR−60KIR(登録商標)、FOR−LHF(登録商標)、NM(登録商標)、FOR−THF(登録商標)、FOR−TFS(登録商標)、TH(登録商標)、NH(登録商標)、P757(登録商標)、TNS(登録商標)、T439(登録商標)、PL958(登録商標)、BR9151(登録商標)およびTN505(登録商標)として名付けられた、Ausimontから利用可能なTecnoflonsを含む。
【0037】
フルオロエラストマーVITON GH(登録商標)およびVITON GF(登録商標)は、比較的低量のビニリデンフルオリドを有する。VITON GF(登録商標)およびVITON GH(登録商標)は、約35重量パーセントのビニリデンフルオリド、約34重量パーセントのヘキサフルオロプロピレンおよび約29重量パーセントのテトラフルオロエチレンならびに約2重量パーセントの硬化部位モノマーを有する。該フルオロエラストマーは、約80℃から約250℃の温度で硬化する。
【0038】
該ポリイミドエアロゲル層は、シリコーンまたはフルオロエラストマーと比較した場合、改良された特性を有する。該ポリイミドエアロゲル層は、機械的に剛性であり、熱耐性である。該ポリイミド構造は、目的に合わせることが可能である。該ポリイミドエアロゲル層は、ポリイミド基材に容易に接着する。
【0039】
ポリイミドエアロゲルコーティングの調製を実施した。ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物(BPDA)(2.395g、8.15mmol)および4,4’−オキシジアニリン(ODA)(1.58g、7.9mmol)の25mLのn−メチルピロリジン(methylppyrrolidine)(NMP)中溶液を、室温においてアルゴンガス下で30分間撹拌した。この溶液に、1,3,5,−トリアミノフェノキシベンゼン(TAB)(0.175mmol、0.07g)の8mLのNMP中溶液を加えた。この溶液を1時間撹拌し、その後無水酢酸(65mmol、6.15g)およびピリジン(65mmol、5.14g)を溶液に加えた。該溶液を、ポリイミドベルト基材上にコーティングし、ゲル層が20以内に形成された。該ゲル層を24時間エージングさせた。エージング後、該ゲルを、アセトン中75%のNMP溶液を用いて抽出し、一晩浸漬した。ゲル中の溶媒を、24時間間隔でアセトン中25%のNMP、その後100%アセトンと交換した。最終的に、31℃、約1100psiにおける超臨界CO抽出および真空下での乾燥により、約90パーセントの気孔率を有するポリイミドエアロゲル層がもたらされる。該ポリイミドエアロゲル層は、優れた柔軟性、高い引張強度(すなわち4−9MPa)および高い分解開始温度(すなわち、460℃−610℃)を有する。
【0040】
フッ素プラスチックの表面剥離層を、ポリイミドエアロゲル層上にコーティングした。DuPontから購入したPFA MP320(9グラム)含有PFAコーティング分散剤、ポリ(プロピレンカーボネート)(0.675グラム)、フッ素化界面活性剤(fluorinate surfactant)GF400(0.09グラム)、メチルエチルケトン(9グラム)およびシクロヘキサノン(9グラム)を組み合わせ、超音波処理し、ポリイミドエアロゲル層に、流速3ml/分およびコーティング速度2mm/秒で流しコーティングすることにより適用した。得られたコーティングをオーブンで1持間過熱し、溶媒を除去し、その後15分間340℃において加熱し連続定着器トップコートを形成した。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5