(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0063】
一般的には、本開示では、光弁を利用して光を誘導する方法が、光弁を通して、実質的に光伝播の損失が小さい第1の方向に光線を伝播させる段階を含む。加えて、光弁の端面に光線を相互作用させる段階、および、光弁を通して、光線を第2の方向に伝播させ、光線の少なくとも一部が少なくとも1つの抽出部に当たり、光弁から抽出される段階も含まれてよい。
【0064】
本開示の別の態様によると、実質的に平面形状の第1の光誘導面と、第1の光誘導面の反対側にあり、複数の誘導部と複数の抽出部とを有する第2の光誘導面とを備えるライトバルブが提供される。複数の抽出部と複数の誘導部とは、互いに接続されて交互に配置されており、複数の抽出部は、光が第1の方向に伝播するときに、実質的に損失低く光を透過させ、光が第2の方向に伝播するときに、光を反射させてライトバルブから放出させる。
【0065】
本開示のまた別の態様によると、光弁システムであって、光弁の第一端に少なくとも動作可能に連結された複数の照明素子を備え、光弁は、実質的に平面形状の第1の光誘導面を含む。光弁はさらに、第1の光誘導面の反対側にあり、複数の誘導部と複数の抽出部とを有する第2の光誘導面も含む。複数の抽出部と複数の誘導部とは、互いに接続されて交互に配置されており、複数の抽出部は、光が第1の方向に伝播するときに、実質的に損失低く光を透過させ、光が第2の方向に伝播するときに、光を反射させて光弁から放出させる。
【0066】
本開示の別の態様によると、光弁であって、光弁の第一端に位置する入力側面と、光弁の第二端に位置する反射側面と、光弁の反射側面と入力側面との間に位置する第1の光方向づけ側面と第2の光方向づけ側面とを備える光弁が提供される。第2の光方向づけ側面は、複数の誘導部と複数の抽出部とを有してよい。複数の誘導部は複数の抽出部をそれぞれ接続してよい。
【0067】
本開示の別の態様によると、光線を光弁に提供する照明アレイを備える、方向性を持つ表示システムが提供される。光弁は、実質的に平面形状の第1の光誘導面を含んでよい。光弁はさらに、第1の光誘導面の反対側にあり、複数の誘導部と複数の抽出部とを有する第2の光誘導面を含んでよい。複数の抽出部は、第1の領域と第2の領域とを有してよい。第1の領域及び第2の領域における複数の抽出部は、第1の照明器からの光線の少なくとも一部が、光弁の外の第1の視野窓に方向づけられるように、且つ、第2の照明器からの光線の少なくとも一部が、光弁の外の第1の視野窓と異なる第2の視野窓に方向づけられるように、それぞれの配向を有していてよい。
【0068】
本開示の別の態様によると、観察者トラッキング自動立体ディスプレイであって、光弁と、光弁に光を提供する照明素子のアレイと、光弁の視野窓の近くにいる観察者を検知するセンサと、照明素子のアレイの設定を決定する照明制御器とを備え、設定は、第1の視野窓に対応した第1セットの照明素子に対する第1の照明段階を決定して、設定は、第2の視野窓に対応した第2セットの照明素子に対する第2の照明段階を決定する、観察者トラッキング自動立体ディスプレイが提供されてよい。
【0069】
一般的には、ライトバルブまたは光弁は、局所的な光源から大面積の照明を提供することができる。ライトバルブまたは光弁という呼称は、本明細書では交換可能な概念として利用されてよい、とする。光弁は、一例では導波路であってよく、ステップを持つ(stepped)構造を含んでよく、この構造では、各ステップが、効果的、光学的に、第1の方向に伝播する導波に対しては隠される抽出部であってよい。抽出部は、第2の方向に伝播する戻り光に対して、屈折、回折、及び、反射の少なくとも1つを行い、光弁の上面から照明を提供することができる。このように制御された照明は、効率なマルチユーザの自動立体ディスプレイとともに、改善された二次元表示機能を提供することができる。
【0070】
一般的には、光弁は、光を導き、及び、方向付ける、のうち片方または両方を行うことができる光学構造、または、任意の種類の光学素子であってよい。光は、光弁内で、入力側から反射側への第1の方向に、実質的に損失を伴わずに伝播してよい。光は、反射側で反射されて、第1の方向とは実質的に反対の第2の方向に伝播してよい。光が第2の方向に伝播されると、光は光抽出部に入射してよく、光抽出部から、光弁の外へと、光が抽出され、または、方向づけ直されてよい。言い換えると、光弁は、光を第1の方向に伝播して、及び、第2の方向に伝播されている間に光を抽出することができる。
【0071】
一実施形態では、光弁は、光弁指向性バックライトとして機能することができ、大きな表示面積を有する逐次的な(time sequential)方向性照明器を達成することができる。時分割多重化された自動立体ディスプレイは、空間光変調器の実質的に全ての画素からの光を、第1のタイムスロットの第1の視野窓へと方向付けて、後で、全ての画素を、第2のタイムスロットの第2の視野窓に方向付けることで、自動立体ディスプレイの空間解像度を向上させることができる、という利点を有する。したがって、第1の視野窓及び第2の視野窓で光を受けるような位置に目を置いている観察者は、複数のタイムスロットによってディスプレイ全体で全解像度の画像を見ることができる。時分割多重化されたディスプレイは、方向性光学素子(directional optical element)を利用して実質的に透明な時分割多重化された空間光変調器内を通るように照明アレイを方向づけて、方向性光学素子が実質的に窓平面の照明アレイの画像を形成するようにすることで、方向性のある照明を達成することができる。さらに、視野窓の均一性は、空間光変調器の画素の配置とは独立したものとすると好適である。また、これらディスプレイが、フリッカが少なく、移動中の観察者に対してクロストークが低レベルであるように、観察者にトラッキング表示を提供することができると、好適である。
【0072】
窓平面で高い均一性を達成するためには、高い空間均一性を有する照明素子アレイを提供すると好適であろう。逐次的な照明システムの照明素子は、たとえば、約100μmの空間光変調器の画素をレンズアレイと組み合わせて提供することもできる。しかし、この画素は、空間多重化されたディスプレイと同じ問題を抱える可能性もある。さらに、これらデバイスは、効率が低くコストが高い場合がり、他の表示部材を必要とする場合もある。
【0073】
巨視的照明器(たとえば、約1mm以上であってよい光学素子)を利用することで、高い窓平面の均一性は都合よく達成されるかもしれない。しかし、照明素子の寸法を大きくすると、方向性光学素子の寸法も、それに比例して大きくなることが想定される。たとえば、約65mmの幅の視野窓に結像される約16mmの幅の照明器が、約200mmの後方作動距離(back working distance)になる場合がある。したがって、光学素子の厚みを大きくすると、移動体ディスプレイまたは大きな面積のディスプレイへの用途が妨げられてしまう可能性がある。
【0074】
加えて、光学素子は、光学素子の後方作動距離より薄いものを利用することで、巨視的照明器からの光を窓平面に方向づけることができる。ここで「薄い」とは、z方向の光弁の厚みに関係しうる光弁照明器に対してのものであってよく、約0.1mmから25mmの範囲であってよい。これらディスプレイは、実質的に平行な光弁の第2の方向に伝播する光を抽出するよう構成されたファセットのアレイを利用してよい。
【0075】
本明細書に記載する実施形態は、面積が大きく薄型の構造の自動立体ディスプレイを提供することができる。さらに、以下で記載するように、本開示の光弁は、大きな後方作動距離を有する薄型の光学部品を達成することができる。これら部品は、方向性バックライトで利用されて、自動立体ディスプレイを含む方向性ディスプレイを提供することができる。さらに、一実施形態では、効率のよい自動立体ディスプレイを達成するために制御可能な照明器が提供されてもよい。加えて一実施形態は、方向性バックライト装置、及び、方向性バックライト装置が組み込まれた方向性ディスプレイに関したものであってよい。これらの装置は、自動立体ディスプレイ、プライバシー保護の可能なディスプレイ(privacy displays)、またはその他の方向性ディスプレイの用途への応用が可能である。
【0076】
一実施形態では、光弁構造に統合可能な非線形の光抽出部によって方向性バックライトの光学的機能を提供することで、コストと複雑性とを低減させることもできる。光学的機能の組み合わせを抽出部に提供することで、照明構造から視野窓を提供するために追加が必要な光学膜の数を低減させることができる。線形の抽出部よりも、ディスプレイの照明の均一性を向上させることができる。さらに、端部反射器の下垂部(sag)は、方向性バックライトのベゼルの寸法が小さくなるように小さくすることができ、こうすることで、ベゼルの外観をよくすることができる。方向性バックライトとパネルとの間のモワレを低くすると好適である。加えて、ディスプレイの収差を、視野位置の範囲に合うよう好適化することができ、これにより視野の自由度を向上させることができる。
【0077】
本開示の実施形態は、様々な光学系、ディスプレイシステム、及び、投影システムに利用することができる。実施形態は、様々なプロジェクタ、投影システム、光学部品、ディスプレイ、マイクロディスプレイ、コンピュータシステム、プロセッサ、内蔵式プロジェクタシステム、視覚システム、聴視覚システム、電気機器、及び、光学機器に利用することができる。本開示の態様は、光学機器及び電気機器光学システム、表示システム、娯楽システム、プレゼンテーションシステム、または任意の種類の光学システムを含むことができるいずれの装置を含んでもよく、またはこれらとともに利用することができる。したがって本開示の実施形態は、光学システム、視覚提示及び光学提示に利用されるデバイス、視覚周辺機器等で、及び、複数のコンピューティング環境で利用することができる。
【0078】
本開示を詳細に説明する前に、本開示は他の実施形態を含んでもよく、ここに示す特定の構成の詳細に、その用途または成り立ちが限定されない点を理解されたい。さらに、本開示の態様は、享受すべき権利に固有の実施形態を定義するために、異なる組み合わせ及び配置で説明することもできる点を理解されたい。さらに、ここで利用する用語は、あくまで説明を目的としたものであり、限定として捉えられるべきではない。
【0079】
図1の(A)及び
図1の(B)は、従来の導波路バックライト照明器の上面と側面とをそれぞれ示す概略図である。
図1の(A)の上面150は、楔形の導波路(wedged waveguide)160を照明するために利用することができるLED155を含んでいる。散乱部を有する楔形の導波路が通常LCD照明に利用される。上面150は、xy平面に示されている。
【0080】
図1の(B)の側面100は、xz平面に示されており、LED105、導波路110、LCD120、拡散器130、及び反射素子140を含む。
図1の(B)の側面100は、
図1の(A)の上面150の代替図である。したがって
図1の(B)のLED105は、LED155に対応しており、
図1の(B)の導波路110は、
図1の(A)の導波路160に対応していてよい。
【0081】
図1の(B)に示すように、LED105は、導波路110の、分厚いほうの端部107を照明してよく、光が導波路110内で伝播してよい。伝播光の比率は、点145等の反射素子140に定期的に当たり、この点145から、光線が散乱される。導波路110の臨界角を超える伝播角度を有する散乱光線は、外へ放射されて拡散器130を通過してから、LCD120を照らす。残りの散乱光線は、光線が導波路110の薄いほうの端部109に向かう際に、楔形のプロフィールによって徐々に圧縮される。光線は、ますます多い散乱部(導波路110の点146及び147に示すように)に当たり、ついには、照明光の大半が導波路110から放出される。このようにして徐々に光が漏れて、局所的な光源からの光が導波路110のx軸沿いに拡散して、LCD120が照らされる。LED155は、互いに隣接して設けられてよく(
図1の(A)参照)、光は、その楔形プロフィールに直交する導波路の方向に、y軸沿いに伝播してよい。拡散器130はさらに、照明を拡散させる用途にも利用される(
図1の(B)参照)。
【0082】
この従来の方法でも照明は提供されるが、光の退出角度が制御も方向づけもされていない。照明を制御することができないと、効率化、プライバシー確保、及び自動的立体化を実現することができない。
【0083】
図2の(A)及び
図2の(B)は、公知の自動立体ディスプレイの上面及び側面を示す概略図である。
図2の(A)の上面250は、xy平面に示されており、導波路210を照明するために利用することができるLED255a及び255bを含んでいる。加えて、
図2の(B)の側面200は、xz平面に示されており、LED205a及び205b、LCD220、3Mフィルム230、導波路210、並びに、反射素子240を含む。
図2の(B)の側面200は、
図2の(A)の上面250の代替図である。したがって
図2の(B)のLED205a及びbは、
図2の(A)のLED255a及び255bに対応しており、
図2の(B)の導波路210は、
図2の(A)の導波路260に対応している。
【0084】
より近年になって、Nelsonらに対する米国特許第7,750,982号明細書に記載する、角度制御が可能な出力照明が開発され、これを参照としてここに組み込む。この公知の例では、
図2の(A)及び
図2の(B)に示すように、LED255a、255b、及び、205a、205bが、それぞれ導波路の左側及び右側に配置され、個々に変調することができる。
図2の(B)に示すように、右側のLED205bから放出された光は、二重楔形の導波路210へと伝播され、徐々に光線角度を上げて、ついには、その一部が、全反射(TIR)がなくなることにより、臨界角を超える。これらの光線は、ガイドから外側に出て、ガイドの法線(guide normal)またはZ軸に対して90度に近い狭い範囲の角度で、ディスプレイに向かう。統合されたレンズが導波路210とLCD220との間に位置しているマイクロプリズムフィルム(
図2の(B)では3Mフィルム230として示されている)が、この光をz軸沿いに、且つ、通常の伝播を超えない拡散角度で方向づける。
【0085】
図2の(B)の説明を続けると、LCD220が3Mフィルム230のすぐ上に位置されることで、完全に照明されたLCDは、ディスプレイを通常に見たとき、左目によってのみみられることとなる。表示は、垂直線の周りに時計回りに回転されるために、この画像は、左目のみで見えつづけ、最終的には右目に見えるようになる。この時点では、表示は従来の二次元表示にみえる。
図2の(B)の左側のLED205aから放射される光について右目において対称の状況が得られる。次に左目及び右目のLED205a及び205bを、ディスプレイに供給される交互する左目画像及び右目画像に変調することにより、通常の見方をしたとき、観察者は、高い解像度の立体画像を見ることができるようになる。表示を法線から離れるよう(away from the normal)回転させることで、二次元画像が提供され、従来のレンチキュラースクリーンまたは視差バリア法で生成されるような、不快な擬似の感覚が回避される(たとえば、左目の立体画像が右目で見えたり、この逆であったりするような感覚)。さらに、三次元画像が、従来の方法とはことなり完全な解像度となり、すべてのLEDをONにすると従来の二次元表示になるよう初期設定することができる。この公知の立体表示の解決方法は、2つのビームのみしか個々に制御できないので、プライバシーを考慮に入れた効率のよい照明モードを達成することができず、さらに、複数の独立した変調ビームが含まれうる自動立体システムにおける頭部の移動の自由度に制約を課す。
【0086】
図3の(A)及び
図3の(B)は、別の公知の自動立体ディスプレイの上面及び側面を示す概略図である。
図3の(A)の上面350は、xy平面に示されており、楔形の導波路360を照明するために利用することができるLED355を含んでいる。
図3の(A)に示すように、楔形の導波路360は、波型反射面(reflecting corrugated surface)362を有していてよい。加えて、
図3の(B)の側面300は、xz平面に示されており、LED305、LCD320、再方向づけフィルム330、及び、導波路310を含む。
図3の(B)の側面300は、
図3の(A)の上面350の代替図である。したがって
図3の(B)のLED305は、
図3の(A)のLED355に対応しており、
図3の(B)の導波路310は、
図3の(A)の導波路360に対応している。
図1の(A)、
図1の(B)、
図2の(A)、及び
図2の(B)の導波路と同様に、
図3の(B)の楔形の導波路310も、薄い端部307と分厚い端部309とを有している。
【0087】
Travisに対する米国特許第7,660,047号明細書(この全体をここに参照目的で組み込む)にも教示されている楔形の導波路を、
図3の(A)及び
図3の(B)に示すように利用することができる。
図3の(A)及び
図3の(B)の方法は、光の範囲または面積が小さい1つのLED放射器を利用することができる。
【0088】
楔形の導波路は、導波路のxy平面に従来のコリメーションを行い、TIRに失敗することにより徐々に楔形の導波路から漏れることによるxzのコリメーションを利用することができる。さらに、xyのコリメーションは反射において行うことができ、ビームの拡張については順方向の伝播を利用して、同じ導波路から下方に漏れる光については、逆方向にコリメーションされた伝播ビームを利用する。傾いた、曲線状の反射端面がコリメーションと角度バイアスとを反射に与える(
図3の(A)及び
図3の(B)参照)。
【0089】
図3の(A)及び
図3の(B)の楔形導波路に関する問題の1つは、導波路の表面から放射される照明ビームを偏向せねばならないという要件である。これは、複雑なフィルムを利用して効率的かつ均一に行われる。さらに、自した楔形手段の対称特性は、上面及び底面両方に生じる可能性がある。加えて、内部伝播光の角度の拡がりは小さくなり、最終的には任意のLED光源において楔の厚みは大きくなる。また別の課題の1つに、この端部付近の照明が不均一になるのを避けるために、反射端部を波型にせねばならない、というものがある。タイトな設計許容度に合わせる必要があるために、波型にする処理はコストがかかる。
【0090】
一般的には、楔形導波路は、弁としての機能は有さなくてよい。楔形の導波路の薄い端部から分厚い端部へと伝播する光は、分厚い端部から直接反射された場合には抽出されずに戻ると想定される。主に、傾いた、または、波型の端部を有する鏡から反射させることによる角度調整により、光を抽出するために十分高い角度で光が後方に伝播する。
【0091】
一般的には、光弁及び楔形の導波路照明ディスプレイ両方について、出願人が同じ「Intra-pixel illumination system」なる名称の米国特許公開第2009/0160757号明細書(ここのその全体を組み込む)に教示されている局所的に制御された色照明を画素に提供することで、または、観察者の目がある領域にのみ照明を集約させることにより、効率を上げて、色フィルタアレイ(「CFA」)を設ける必要がなくなるようにする。照明を観察者の目がある領域にのみ照明を集約させることで、照明光が潜在的な盗聴者の目に達することがなくなるために、プライバシーを保護する用途も遂行することができる。左目画像及び右目画像の提示と同期させて、左目及び右目に別々に到達する照明ビームを変調させることで、さらに、メガネを必要とせずに立体情報を配信することもできるようになる。後者のほうのこの自動立体による方法は、ハンドヘルド型の三次元デバイスにも利用可能である。
【0092】
図4の(A)及び
図4の(B)は、光弁の上面及び側面をそれぞれ示す概略図である。一般的には、
図4の(A)及び
図4の(B)の実施形態は、光弁としての動作が可能である。
図4の(A)及び
図4の(B)の光弁410は、説明のために言及されているのであり、限定として捉えられるべきではない。
【0093】
図4の(A)及び
図4の(B)は、光弁の上面及び側面をそれぞれ示す概略図である。
図4の(A)の上面450は、xy平面に示されており、光弁410を照明するために利用することができる405を含んでいる。LEDは、ここで記載する実施形態に関する光源として説明されているが、任意の光源(レーザ光源、局所的な電界放射光源、有機的な放射アレイ等であってよいがこれらに限定もされない)を利用することもできる。加えて、
図4の(B)の側面400は、xz平面に示されており、LED405、LCD420、抽出部430、及び、光弁410を含む。
図4の(B)の側面400は、
図4の(A)の上面450の代替図である。したがって
図4の(A)及び
図4の(B)のLED405が互いに対応していてよく、
図4の(A)及び
図4の(B)の光弁410が互いに対応していてよい。さらに
図4の(B)では、光弁410が、薄い端部407と分厚い端部409とを有している。ここでは説明をしやすくするためにLCD420を言及しているが、これらに限定はされないがLCOS,DLPデバイス等の他のディスプレイをこの照明器からの反射が作用する対象として利用することができる。
【0094】
図4の(A)及び
図4の(B)の実施形態では、第1の方向に伝播する光が、実質的に損失を伴わずに光弁410内を誘導され、第2の方向に伝播する光が、抽出部430を利用して光弁410から抽出されてよい。抽出部430については本文書で詳述する。
図4の(B)に示すように、光弁410の薄い端部407から分厚い端部409へであってよい第1の方向に伝播してよい。加えて、光弁410の端部から反射された後に、光は、分厚い端部409から薄い端部407へであってよい第2の方向に伝播してよい。光が第2の方向に向かうとき、光は抽出部430に当たり、光弁410から抽出されて、LCD420に向かってよい。加えて、抽出部は、第1の方向に伝播する光から光弁のライザーに光学的に隠れていてよい。
【0095】
図4の(B)の光弁410の説明を続けると、光は第1の端部(
図4の(B)の薄い端部407等)に当たり、光弁の長さに沿って伝播して、第2の端部(
図4の(B)の分厚い端部409等)で反射されて、第1の端部に向けて光弁の長さ沿いに伝播して、光弁の長さ沿いのある点で、抽出部430との相互作用によって光弁から光が抽出されてよい。
【0096】
本実施形態の説明を続けると、光は、平面形状ではない表面から反射され、第2の方向で伝播中に抽出される前に、第1の方向に伝播しているときには均一であり拡張されてよい。平面形状ではない表面は、光に窓平面の原画像を形成させる円柱レンズの機能を果たしてよい。一例では、原画の画像化(source imaging)は、同様の円柱状反射端面を楔形の導波路に利用することで、コストの高い波型形状のものを利用しなくても行うことができる。これと比較すると、Travisに対する米国特許第7,660,047号明細書では、楔形の導波路の反射端を波型形状にする必要がある。
【0097】
光弁は、様々に異なるディスプレイのプラットフォームに適切に調整可能な厚みを有する、独立型の、単一の成形ユニットであってよい。さらに、トレードオフは、薄型にすることによる光学効率の損失であろう。加えて、比較的薄型で、低コストの自動立体ディスプレイを達成することができ、光学品質を向上させつつ自動立体ディスプレイで利用される光学部品の数を減らすことができるようになる。さらに、一実施形態では、端部のベゼル領域のサイズ、または、適切だった光弁の幅広を小さくして、嵩張らないようにすることができる。抽出部は、実質的に光弁の第1の入力側から第2の反射側への、光の光方向づけ機能を実質的に有さないので、光の反射側の後方作動距離を長くして、光弁の厚みを小さくすることができる。加えて、湾曲した表面を抽出部に持たせることで、湾曲した端面を機能的に置き換えることができるようになり、光弁構造の最終的な広がりを、小型のハンドヘルドデバイスに応じたものとすることができる。湾曲した表面を有する抽出部はここで詳述する。
【0098】
前に述べたように、1つの実施形態の構造は、
図4の(A)及び
図4の(B)に示されており、薄い端部407側に2以上のLED放射器を有し、他の分厚い方の端部409または反射端に湾曲した反射表面を有する光弁を含む。光弁構造に入射する光は、x方向に伝播して、y方向に広がってよい(
図4の(A)及び
図4の(B)を参照)。抽出部430は臨界角θcを超えることができない光線から光学的に隠れていてよいので、抽出部430は、光に影響を及ぼさず、光が導かれる方法に影響を与えなくてよく、ここでz軸に対してθc=sin
−1(1/n)であり、nは光弁材料の屈折率である。光のxzの角度プロフィールは、
図3の(A)及び
図3の(B)に対して記載した楔形の導波路構造と対照的に、実質的に不変であってよい。光弁410の分厚い端部409または光源から遠く離れた端部では、z軸に実質的に平行であってよく、しかしxy平面で湾曲していてよい端面に光が入射する。湾曲部は、同じxy平面での角度に沿った光を結像しつつ、同時に、直交するxzの角度プロフィールを維持することができる。光は、分岐ビームを形成してよく、光を失い、または、収束ビームを形成して、端部を照明できないことがあるので、大きなベゼルまたは幅を大きくすることが適切である。
【0099】
構造の対称軸から入力される元の光源のy軸沿いのオフセットは、ほぼ第2の方向にコリメーションされた戻り光線を、−x軸に対して〜ψまでの角度で伝播させる。戻り光線は、抽出部の表面で反射されて、z軸方向に偏向され、ガイドから抽出される。抽出部の約45度に配向された表面からの反射は、誘導される光のオフセット角度ψが光を、−x軸ではなくてz軸に近づくように伝播するとはいえ、xz角度広がりθ/n(空気では
【数13】
及び誘導される光のオフセット角度ψを維持する。約45度の反射も、また、xz平面の退出面の法線の周りに光を集約させる(Φ=約0度であってよい)。抽出部の表面に入射する高い角度の光線はTIRの失敗によって減衰される可能性があることから、xz角度プロフィールはわずかに修正される可能性がある。一例では、x軸から約−50度と約5度との間であってよい光線が良好な効率で反射することができ、約5度であってよい光線は、抽出表面を通るとき破壊され(break)、光学的に失われる可能性がある。光学的に失われた光線は、高い角度の光線であってよい。底部を銀とすること(silvering the bottom)によって、高い角度の光線の抽出効率を高めることができるが、これは、光を誘導する際に伝播が損失する、という犠牲を伴う。誘導される光のオフセット角度ψは、少なくとも
図5の(A)及び
図5の(B)、及び
図5の(C)を参照して詳述する。
【0100】
図5の(A)は、yz平面に方向づけられた出力を示す光弁構造の上面を示す概略図であり、
図5の(B)は、
図5の(A)に示す光弁の第1の側面を示す概略図であり、
図5の(C)は、
図5の(A)に示す光弁の第2の側面を示す概略図である。
【0101】
図5の(A)の上面550は、xy平面に示されており、光弁510を照明するために利用することができるLED505を含んでいる。
図5の(C)の第2の側面500は、xz平面に示されており、LED505、LCD520、及び、光弁510を含んでいる。
図5の(B)の側面525は、
図5の(A)の上面550の代替図であり、これもLED505、LCD520、抽出部530、及び、光弁510を含んでいる。したがって、
図5の(A)、
図5の(B)、及び
図5の(C)のLED505が互いに対応していてよく、
図5の(A)、
図5の(B)、及び
図5の(C)の光弁510が互いに対応していてよい。さらに
図5の(B)に示すように、光弁510が、薄い端部507と分厚い端部509とを有していてよい。分厚い端部509は、凹型のミラーまたは凸型のミラーのいずれかを形成してよい。
【0102】
図5の(C)に示すように、光弁510の入口の厚みt、及び、光弁510の厚みTは、システムの面積及び効率それぞれにより少なくとも決定されてよい。yz平面のシステムの面積は、
図5の(B)に示すように、出口の瞳孔またはアイボックス(eyebox)の垂直y方向の面積によって決定されてよい。一例を挙げると、垂直窓の広がりは、約Δ/2であると好適であると思われ、ここでΔは、目とディスプレイとの間の距離にほぼ等しくてよい(通常は300mm)。xz角度広がりθは、約2.tan
−1(1/4)または約30度であってよい(これは、x軸の周りに約20度の実質的にθ/nの広がりの内部xz角度に変換される)。空気中のLEDの通常の出力の広がりは、約100度であってよく、ガイド中では約65度であってよい。したがって適切に適合させるためには、LEDの角度の範囲を約半分にする必要がある。適切なビーム拡張器(たとえばテーパ状の導波路等)を利用するという前提で、面積を維持することで、約tのガイドの入口のサイズを、LED放出領域のサイズの約2倍にすることができる。小さなプラットフォームの通常のLEDの幅は、約0.5mmであってよく、こうすることで、約t=〜1mmのサイズの入口アパーチャを提供することができる。
【0103】
出口アパーチャのサイズTの入口サイズtに対する割合を利用して、効率の損失を判断することができるが、これは、入口アパーチャに当たる戻り光が、システムから効果的に損失されることに起因している。最小のサイズは、約50%の効率について約2mmであってよいが、3mmまでのTによって、より良い効率と厚みとの間のトレードオフが達成されるだろう。
【0104】
抽出部の数は、主に、製造後の抽出部の形状によって限定されてよい。現実的な抽出部は、現実的な製造方法を利用する際の製造誤差を含む場合がある。これらの誤差は通常、たとえば型を形成する際の切断ツールのサイズに関連する有限のサイズを有していてよい。抽出部が小さい場合には、誤差は、抽出部全体からみて大きな割合を占める場合があり、最適な性能とならない場合がある。したがって抽出部に見合うサイズを選択して、抽出部のサイズが予期される最終形態または忠実度と合致するようにするとよい。抽出部の数が少ないほど、部のサイズが大きくなり、端部があまり丸くならなくなる。丸い端部は、光弁内の光の伝播の角度範囲を広げるので、不要な漏れを生じさせる傾向がある。実現可能なステップのサイズ(が約10μmであると想定すると、ステップの数Nsは、約((T-t)δ〜200であってよい。立体風景モードの移動電話機のディスプレイを例にとると、ステップのピッチpはd/Ns〜250μmである。通常の移動体電話機は、画素ピッチが78μmであることから、x沿いの出力光の拡散を行ってモワレ効果を防ぐことができる。出口瞳孔の垂直方向の広がりを一次(first order)にほぼ維持しつつ、しかも出口の光場をスクランブルするためには、約30度の拡散角度で十分であろう。たとえばLuminit社(カリフォルニア州トランス在住の会社)製の一次元のホログラフィック拡散器を利用して、この効果を達成することができる。
【0105】
湾曲した鏡面は、一次元結像部材と同様の機能を行うことができる。局所的な光ボックスまたは出口瞳孔を、別個のLEDの一次元結像によって観察者の平面に形成することができる。結像条件は、通常の公式である1/u+1/v=1/fで求めることができる(湾曲した反射面の下垂部が最少であると想定した場合(薄いレンズの前提としても知られている))。fが湾曲した反射面の焦点距離である場合(ほぼ曲率半径rの半分に等しくてよく、uはLEDの端面までの距離dであり、vは、観察者までの光路長さであり、約n.Δであってよい)。曲率半径は以下のようになる。
【数1】
通常の移動体電話機の値を想定すると、rは約90mmであってよい。
【0106】
湾曲面の下垂部が大きいような別の場合には、曲率半径は以下のようになる。
【数2】
【0107】
図5の(A)、
図5の(B),及び
図5の(C)に示す実施形態では、アイボックスが生成されてよく、これは、実質的にLEDの拡大バージョンであってよい。この場合にも、アイボックスのサイズの比率Σ/sが、公比nΔ/d〜5にほぼ等しくてよい。アイボックスの位置は、Ω/ω=Σ/s〜5により決定されてよいLEDの近似位置から同様にスケーリングされてよい。ヘッド部分に可撓性をもたせるために、アイボックスは、瞳孔間隔の幅または65mmにほぼ等しくなるようにして、2つのLEDの放射領域間の間隔が最少になるようにしてよい。この例の場合には、各LED放射領域が薄い端部の中間から、約65/5または約13mm延びていてよい。湾曲した円柱状のレンズ表面は、フレネルの均等物で置き換えることができ(
図11参照)、これに関しても本明細書でさらに詳述する。しかしこれにより端面が最終的な表示領域を超える度合いを減らすことができるとしても、追加コストがかかるだろう。
【0108】
図6は、光弁の断面の別の実施形態を示す概略図である。
図6は、透明な材料であってよい光弁601を含む一実施形態の断面を示す。
図6の実施形態では、光弁601が、照明入力側面602、反射側面604、第1の光が方向づけられる側面606(平面である)、及び、誘導部610及び光抽出部612を含む第2の光が方向づけられる側608を含む。
図6に示すように、照明素子のアレイ615の照明素子614からの光線616は、側面606による全反射と誘導部610による全反射によって、光弁601内を通り、鏡面であってよい反射側面604に誘導されてよい。照明素子のアレイ615は、一例では、LEDのアドレス可能なアレイであってよい。一般的には、
図6から
図25では、同様の符号を付された部材同市は互いに対応したものであってよい。たとえば、
図6の光弁が符号601を付されており、
図7Aの光弁が符号701を付されており、
図13の光弁は1301を付されている、等である。
【0109】
図6の説明を続けると、光線618は、側面604により反射されて、さらに、側面604の全反射によって光弁601内を実質的に誘導されてよく、誘導部612により反射されてよい。抽出部612に入射する光線618は、光弁の誘導モードから離れるように偏向されてよく、光線620が示すように、側面604を通り、自動立体ディスプレイの視野窓626を形成することができる光学瞳孔へと方向づけられてよい。視野窓626の幅は、主に、照明器のサイズ、及び、側面604と部612における出力設定距離及び光強度(optical power)によって主に決定されてよい。視野窓の高さは、主に、部612の反射円錐角と、入力側の照明円錐角の入力とによって決定されてよい。
【0110】
図6の光弁は、たとえば一体的に形成される型によって、または、部610、512を含む成型されたフィルムを、端部602、604を有する楔形の構造に取り付けることによって形成されてよい。光弁601は、ガラスまたはポリマー材料(これらに限定はされないがアクリルまたはPETを含む)単体または組み合わせを利用して形成されてよい。本実施形態において光弁は、低コストで高い透過率で形成することができて好適である。
【0111】
図7Aは、第1の照明素子により照明され、湾曲した光抽出部を含む光弁の概略平面である。
図7Aは、光弁701内の発光素子714からの光線がさらに誘導されている様子を示す平面である。各出力光線がそれぞれの照明器714から同じ視野窓726の方向に方向づけられていてよい。したがって
図7Aの光線730は、窓726の光線720を横切ってよく、または、光線732が示すように窓の内部で異なる高さを有していてもよい。光弁の側面722、724は、これらに限定はされないが、たとえば透明、鏡面状、鋸場状、黒い表面などであってよい。
【0112】
図7Aの説明を続けると、光抽出部712は、細長くて湾曲していてよく、光方向づけ面708の第1の領域734の光抽出部712の配向が、光方向づけ面708の第2の領域736の光抽出部712の配向と異なっていてもよい。
【0113】
図7Bは、第2の照明素子が照明する光弁の概略平面である。
図7Bは、アレイ715の第2の照明素子738からの光線740、742を含んでいる。側面704の鏡の曲率と光抽出部とが協働して、照明器738からの光線を有する視野窓726から横方向に分離されていてよい第2の視野窓744を形成してよい。
【0114】
図7A及び
図7Bの実施形態は、照明素子714の視野窓726における実際の画像を提供してよく、一方で、実際の画像は、反射側面704における光強度と、領域734と736との間の細長い光抽出部712の異なる配向から生じうる光強度との間の協働によって形成されてよい。さらに
図7A及び
図7Bの実施形態は、発光素子714の視野窓726の横方向の位置に対する結像の収差を向上させることができてよい。向上した収差によって、自動立体ディスプレイの視野の自由度が広がり、且つ、低いクロストークレベルを達成することができる。一例としては、視野の自由度が広がることには、三次元が良好な性能で、または低いクロストークで(約5%未満)見ることができるような、より大きな角度を含んでよい。
【0115】
図7Cは、線形光抽出部を含んでよい光弁の概略平面である。
図7Cは、光抽出部が線形であり実質的に互いに平行である
図4の(A)及び
図4の(B)と同様の配置を示している。
図7Cの実施形態は、表示面にわたり実質的に均一な照明を提供することができ、
図7A及び
図7Bの湾曲した部よりも製造しやすい。
【0116】
図8は、光弁を利用する自動立体表示装置を示す概略図である。
図8は、観察者トラッキング自動立体表示装置を示している。
図8に示すように、照明素子のアレイ815及び光弁801は、視野窓のアレイ846を提供するよう配置されていてよい。センサ850(たとえばCCDまたはCMOSセンサ)を利用して、窓の付近の観察者を検知してよく、観察者トラッキングシステム852を利用して、観察者の位置を計算することもできる。照明コントローラ854は、照明アレイの正確な設定を判断して、視野窓セット856に対応する照明素子を、第1の照明ステップ中に照明して、視野窓セット858に対応する照明素子を、第2の照明ステップ中に照明してよい。コントローラ854は、観察者の位置に応じて、アレイ815のどの照明素子を照明するかを調整することができる。画像表示は、LCD等の透過型空間光変調ディスプレイ848によって提供されてよく、光弁801と視野窓アレイ846との間に位置させてよい。窓のアレイ856の照明に対応してよい第1の照明ステップ中には、左目画像がディスプレイ848上に提示されてよく、窓アレイ858の照明に対応してよい第2のステップ中には、右目画像がディスプレイ848上に提示されてよい。
【0117】
図8の実施形態は、移動中の観察者に対してフリッカレベルを下げることのできる、幅広い視野自由度のある観察者トラッキング自動立体ディスプレイを達成することができる。アレイ846の窓の光学品質は、光弁全体において抽出部812の配向を異ならせることにより向上させることができる。したがって、窓平面の照明の均一性及び観察者に対するクロストークを最適化することができる。実施形態は、薄型パッケージにおけるLCDを有する方向性のバックライトとして構成することができる薄型の光弁を提供することができる。さらに
図8の実施形態は、出力が実質的に順方向に方向づけられることから、さらなる光ステアリングフィルムを利用する必要がない。加えて、金属化表面からの反射ではなくて主にTIR反射を利用することで光弁の効率を変化させることができる。光側面808からの光損失光が実質的に低いことから、光の抽出は実質的に光方向づけ側面804から行われる。
【0118】
図9は、平面反射側面を含む光弁を示す概略図である。
図9は、平面形状の反射側面904を含む光弁のさらなる実施形態を示している。光抽出部912は、発光素子アレイ915から窓アレイ946に光線960を実質的に直接方向づけるよう構成されてよい。しかし側面は、光強度をほとんどまたはまったく含まない反射面(鏡等)とすることで、光強度は光抽出部912から提供されるようにしてよい。
図9の実施形態は、空間光変調器の面積にもほぼ匹敵するような光弁の小さな全面積を達成することができる。これにより表示サイズ全体を低減することができる。特に、側面904の曲率の下垂部の下の面積を実質的になくすことができる。
【0119】
図10Aは、フレネルレンズを含む光弁の概略図であり、
図10Bは、別のフレネルレンズを含む光弁を示す概略図である。
図10A及び
図10Bは、さらなるフレネルレンズ1062が平面及び曲面1004をそれぞれ含む光弁の出力側に配置されていてよいさらなる実施形態を示している。フレネルレンズは、側面1004と光抽出部1012と協働して、光を実質的に照明素子のアレイ1015から視野窓アレイ(図面には不図示)に方向づけてよい。フレネルレンズは、球形または円柱形状をしていてよく、形状は、窓(図面には不図示)の垂直方向の高さに応じて決定されてよい。加えて光弁の光強度を側面1004、光偏向部1012、及びフレネルレンズ間で拡散するようにしてもよく、こうすることで窓のアレイ(図面には不図示)における窓構造の劣化を低減させることができ、視野の自由度が上がり、画像のクロストークが低減されつつ、同時に、移動している観察者にとっては窓の平面におけるフリッカレベルを低く維持することができる。
【0120】
図10Cは、別のフレネルレンズを含む別の光弁の概略図である。
図10Cでは、フレネルレンズ1062の軸が、光弁の中央に対してオフセットされており、表示中央の軸1064がレンズの中央の軸1066に対して異なる位置にあるようにされている。
図10Cの実施形態は、さもなくば行うことができない公称出力光方向を、抽出部から、より軸上の方向にシフトさせることができる。さらに
図10Cの実施形態では、適切な軸上の輝度を達成するために垂直方向の拡散を利用しないことからより明るい表示を提供することができる。
【0121】
図11は、代替の反射端を有する光弁を示す概略図である。
図11に示すように、光弁は、湾曲した表面または従来のコリメーション楔1110(フレネルの均等物1120と置き換えることもできる)を有してよい。
【0122】
図12は、垂直拡散器を含む光弁の概略図である。
図12は、垂直拡散器1268が配置されて、入力光線1220を円錐角1270に拡散させ、こうすることで、顕著に水平方向の拡散を増加させることなく、窓を垂直方向に高くすることができるさらなる実施形態を示している。加えて、垂直方向の視野角を、アレイ1246の隣接する窓の間のクロストークを上げることなく高めることができる。垂直拡散器は、これらに限定はされないが非対称散乱面、リリーフ構造、レンチキュラースクリーン等を含む様々な種類の材料であってよい。垂直拡散器は、水平軸の周りを回転したときに表示を高度に均一にすることができるフレネルレンズと協働するよう配置されていてよい。
【0123】
図13は、自動立体ディスプレイの断面の概略図である。
図13は、光弁1、フレネルレンズ1362、垂直拡散器1368、及び、透過型の空間光変調器1348を含む自動立体ディスプレイを示しており、照明アレイ1314の照明素子から自動立体視野窓1326を提供するよう配置されていてよい。拡散器1368とフレネルレンズ1362との間には間隙が設けられていてよく、これにより空間光変調器1348とフレネルレンズ1362及び光抽出部1312の構造の間のモワレ干渉(Moire beating)を低減させることができる。
【0124】
一部の実施形態では、光弁1301の端部の領域における光抽出部1312の密度は、光弁1301の中央における密度より低くてよい。このような配置によって、表示装置の面積にわたり不均一な強度になってよい。
図14は、分離された細長い光抽出部を含む光弁を示す概略図である。
図14では、さらなる分離された細長い光抽出部1472をたとえば連続した光抽出部1474の間に配置して、より高い表示強度の均一性を達成することができて好適である。
【0125】
図15は、勾配及び高さが可変である光抽出部を含む光弁の断面を示す概略図である。
図15は、光抽出部及び誘導部1576、1578の大まかな配置の断面を示しており、ここでは、光抽出部の高さと勾配とが、第2の光方向づけ側面1508に沿って変動していることがわかる。ここでは勾配が垂直方向の拡散特性を提供するべく調整可能であってよく、高さも、特定の領域の光弁から抽出可能な光量を調整するために可変であってよい。
【0126】
図16Aは、光抽出部のための複数の反射ファセットを有する光抽出部を含む光弁の断面を示す概略図である。
図16Aは、光抽出部1673が複数の平面形状の表面により提供されてよい一実施形態である。
図16Bは、光抽出部のための凸状のファセット面を有する光抽出部を含む光弁の断面を示す概略図である。
図16Bは、凸形状の光抽出部1675の1つの構成を示しており、
図16Cは、凸部1675及び凹部1677光抽出部の組み合わせを示している。
図16Cは、光抽出部の凹形状および凸形状のファセットを有する光抽出部を含む光弁の断面を示す概略図である。
図16Dは、光抽出部のための複数の不定形なファセットを有する光抽出部を含む光弁の断面を示す概略図である。
図16Dは、不定形な部1612形状を提供する1つの実施形態を示している。
図16A、
図16B、
図16C、及び
図16Dの実施形態は、垂直拡散器1668を利用せずに垂直方向の拡散特性を提供することができるので、コストと複雑性とが低減される。
【0127】
図16Eは、結像方向に限定された散乱を提供するよう配置された光抽出部を含む光弁1690の断面を示す概略図である。
図16Eは、光を拡散させるために、及び水平方向の拡散を窓平面で達成するように、光抽出部が面変調器1695を抽出器の面に有しているさらなる実施形態を示している。拡散の円錐角によって、窓構造の横方向に一定のぼけを生じる可能性があるが、これは、垂直方向の拡散によるものよりかなり低い。このような配置を利用することで、窓の均一性が高まり、移動する観察者に対する表示のフリッカが低減する。
【0128】
図17は、横方向の厚みが可変である光弁の概略図を示す。
図17は、側面1706の面積にわたり高い抽出均一性を提供することができる光弁1701の幅にわたり抽出部1712の高さが変化してよい光弁1701(マークされていない)の概略図を示している。したがって、光弁1701の端部の部1712の高さ1778は、光弁1701の中央の高さ1780より大きくてよい。
図17の実施形態では、光誘導部1724は、互いに、または、表面1706に対して平行ではなくてよい。部1712の配向は、光誘導部1710の表面の法線方向(surface normal direction)の変更を保証するよう調整されてよい。
【0129】
図18は、モアレパターンを低減させるよう配置されてよい、複数の分離した光抽出部を有してよい光弁を含む方向性を有するディスプレイの概略平面である。
図18は、複数の細長い光抽出部を無作為に配置して、部が光抽出部と画素化された空間光変調器(pixelated spatial light modulator)との間のモワレを低減させることができるようになっている構成の概略図を示す。モワレパターンは、2つの周期的な半透過性の構造を互いに近づけて配置したときに見られる可能性がある。複数の抽出部を無作為な位置に導入することで、周期性を壊し、および/または、妨害して、眼に見えるモワレ効果を低減させることができる。
【0130】
図19は、湾曲した反射面の選択肢の概略図を示す。
図19は、主光線の光コリメーションの3つの異なる例を示す。
図19の例aでは、収束する主光線が示されており、例bでは、コリメーションされた主光線が示されており、例cでは、分岐した主光線が示されており、これら全てが、反射面から反射された後は第2の方向に伝播してよい。加えて
図19は、反射面1904の曲率を調整して、光弁1901内で反射する光のコリメーション及びコリメーション解除の片方または両方を実質的に制御してよい。こうすることで、
図19(c)に示す分岐ビームが、光弁1901の軸をずれた視野について最大の面積利用を達成することができる。
【0131】
図20は、光弁の光路の概略図を示す。
図20の配置を利用して、視野面a、及びディスプレイからの距離Vで近似された点に、コリメーションされた主光線を集光する光弁2001の抽出部の曲率及び勾配を決定することができる。加えて、
図20は、本実施形態の光弁2001構造の表面の法線方向及び光線の方向を大まかに示している。
【0132】
図21は、第1の光方向づけ面と第2の光方向づけ面の導光部との間でさらなるチルトを有する光弁の概略図である。
【0133】
図22は、実質的に平行な側面を有する光弁の光線の断面の概略図である。
図22は、第1の光方向づけ面2206及び第2の光方向づけ面の誘導部2210の間に傾き角度がない場合の一実施形態の断面である。
【0134】
図23は、テーパ形状の光弁の光線の断面の概略図である。
図22の実施形態は、側面2206が誘導部2210に平行であってよい光方向づけ面2308(部2310、2312を含む)の光抽出部2212に入射してよい、光弁内の誘導光線を含んでいる。光線2282は、抽出部2212に入射して、ファセットにより偏向され、次いで光弁2201のTIRにより面2206でとらえられてよい。光線2284は、示されているように抽出されてよいが、光線2286はさらに、光抽出部を透過することができるので、この結果光学的に失われる場合がある。部2310と側面2306との間の楔によって、
図23に示すような出力が連結した光がさらに提供される場合がある。この場合には、勾配がより緩やかな光抽出部2312が、3つの入射光線すべてに対する光を、光弁へと実質的に戻すように構成されてよい。光弁は、
図23に示す方向に向かう光線用に、幅の狭いテーパ形状であってよいので、側面2306に入射しうる光線は、臨界角を超えず、従い光弁から出力されてよい。さらに出力連結フィルム2388は、側面2306の表面に近い光を、ディスプレイの軸上の方向に向かうように、方向づけ直すことができてよい。このような配置によって、平行な側面の光弁よりもより勾配のきつい部を得ることができるので好適である。これら部は、さらなる金属皮膜を利用せずとも光弁内の導波された(waveguided)円錐角を大部分反射することができるので、より効率が高い。
【0135】
図24は、光弁の光抽出部の屈折によって光が抽出されうる自動立体ディスプレイの概略図である。
図24は、光抽出部2412が光弁2401に光を屈折させるよう配置されてよいさらなる実施形態を示す。光偏向構造2492は、抽出された光線2490を、パネルの出力方向の実質的な法線方向であってよい方向に方向づけるよう配置されていてよいプリズムのアレイを含んでよい。フレネルレンズ2462及び拡散器2468はさらに、光をパネル2448に方向づけて、前述したように視野窓2426が形成されるように配置されていてよい。一例では、ファセットの角度を約90度とすることができる。このような実施形態によって部2412から高いレベルの光抽出が可能となるので好適である。
【0136】
図25は、空隙を含む光弁を示す概略図である。
図25は、光弁が第1及び第2の光方向づけ側面2506及び2508を有する空隙2598を含んでよい別の実施形態を示す。第1及び第2の光方向づけ側面2506及び2508は、それぞれ基板2594及び2596を支持するよう配置されてよい。側面2506及び部2510は、抽出部2512を除いて金属としてよく、こうすることで、光が第1の方向ではなく第2の方向に伝播しているときに抽出されるようにする。この配置は、
図24の全反射する導波路光弁2401よりも、処理中に損傷しにくいので好適である。
【0137】
図26A及び
図26Bは、光弁構造の上面及び側面の概略図である。
図26A及び
図26Bは、平面形状の反射端面を許容することができる湾曲した抽出部を利用することができる別の実施形態を示す。さらにまた別の実施形態では、コリメーションを行わずに端部における過度な光損失を防止しつつ、裏面の端部の外向きの湾曲(back edge outer curve)を低減させることができる、反り返った(curved back)反射裏面及び湾曲した抽出部2610が含まれてよい。さらに他の実施形態では、抽出部をより小さな分離された部に分けて、パネルに対するエイリアシングの問題を実質的になくすことができる。各部は、依然として設計されたファセットを構成しており、これが、実質的に順方向の伝播誘導光に影響を与えることなく結像条件に対して反射角を大まかに補正することができる。
【0138】
光弁システムの抽出部は、一連の分離したファセットを形成することもできる。分離したファセットは、誘導された光の伝播角を変更して、光弁面の全反射を失わせ、光が抽出されるようにしてよい。一例では、傾いた部が第1の勾配を有し、第2の勾配を有する誘導部とは一定の間隔を置いて分離されるように抽出部を分離させてよく、ここで第2の勾配は、傾いた部の第1の勾配とは異なっていてよい。
【0139】
別の機能は、光を実質的に規定された方法で方向づけて、角度制御された照明について最適化させてよい。少なくとも
図5及び
図6を参照して行った説明では、抽出部が、実質的に線形であり、均一な勾配のステップを持ち、ステップが勾配の角度に応じて−xから〜zまで伝播方向を変更するよう機能することを想定している。集光、方向づけ直し処理、拡散等の機能は、1以上の外部フィルムにより行われ、これには、これらに限定はされないが、拡散器及びフレネルレンズ等が含まれる。なるべく多くの機能を抽出部に組み込むことで、コストが低減されて性能を高めることができる。
【0140】
また別の実施形態では、拡散器は、ここで説明する光弁のいずれの変形例に組み込むこともできる。表面変調器を
図5に示すように抽出ファセットに組み込むことにより、光をほぼ規定された水平及び垂直角度のセットに偏向することができ、これにより、効果的に照明光を拡散させることができる。拡散を利用して、LED放射領域間の物理的間隙の結像をぼかすことができる。さらに、隣接するLED源の間で光を混合して、色の不均一性を最小限に抑える際にも有用である。この拡散表面変調器の空間的大きさは、十分小さくすることで、面変調がシステムにより解消されたり、照明ディスプレイの周期的な画素に空間的に干渉したりしないようにする。空間干渉は、一部には変調を非周期的にしたり、疑似乱数的にしたりすることで軽減することができる場合がある。
【0141】
ライトバルブの方向性のバックライトシステムの抽出部は、一連の分離して、傾いたファセットを形成し、これにより、誘導された光の伝播角度は、誘導面における全反射が実質的に失敗して、光を外部に放出させるように変更される。分離、傾き、切り離す、引き離す、等の用語は、本明細書では抽出部の互いに対する構成を記載するために利用される。一例では、抽出部それぞれを、誘導部によって互いから分離させてよい。二次的な機能としては、光を規定されたように方向づけて、実質的に角度を制御された照明に合わせて最適化することが含まれてよい。少なくとも
図4の(A)、
図4の(B)、
図5の(A)、
図5の(B)、及び
図5の(C)を参照して記載したように、抽出部は、勾配角度に応じて−xから〜zまでの伝播方向を変更させることができる、実質的に線形で、均一な傾きのステップとして想定される。集光、方向づけ直し処理、拡散等の機能は、1以上の外部フィルムにより行われてよく、これには、これらに限定はされないが、拡散器及びフレネルレンズ等が含まれる。または、これら機能は、抽出特徴プロフィールの設計により提供されてもよい。
【0142】
一実施形態では、抽出部は、実質的にシステムの主光線を視野平面に集光して、これにより、より小さな拡散器を利用できなくするさらなるフィルムの利用を妨げてよい。システムの主光線は、システムの任意の位置に設定された光学光線の実質的な中央にある光線であってよい。たとえば、光弁の一端にある物理的に小型であるLED源から伝播した光が、xy平面の主光線の扇状の広がり(a fan of principal rays)を提供して、端部の反射器に向かって伝播させられてもよい。端部の反射器から反射されると、これら光線は、xy平面を修正された角度で伝播されて戻り、収束、コリメーション、または分岐を提供する(
図19(a)(b)(c)参照)。
図19(a)(b)(c)は、湾曲した反射側面が提供する光結像に関する選択肢を示す概略図である。
【0143】
図19(a)に例えば示すような主光線の収束は、端部から離れ、光弁の表面積を照明できないが、実質的に線形の抽出部で、視野平面で抽出された光線の実質的な水平方向の局所化を実現することができる。ディスプレイを均一に照明することで、導波路の水平方向のサイズを大きくする必要が出てくる。
図19(c)に示すような分岐した光線は、局所的な目の瞳孔に光を提供するために方向づけ直されるが、軸からずれたLEDからのものであっても所望の照明面積を実質的に満たすことができる。光線の分岐量が増えることで、光が光弁の端部に向かって光学的に失われていくので、照明器の輝度の損失量も増える。
図19(b)に示すような、ほぼコリメーションされた伝播主光線であれば適当な妥協点を探ることができる。
【0144】
図20の実施形態は、例示であり限定ではないが、x及びy次元についてほぼ150x200mmの照明面積を想定している。加えて、座標の原点が、
図20に示すように表示領域の中間にほぼ集約していると想定して計算を行う。
【0145】
コリメーションされた主光線を観察者の平面の一転に集光するために利用することができる抽出部の曲率及び勾配を、
図20に示す構成から導出することができる。コリメーションされた光線は、位置(x,y)で抽出特徴に遭遇する前に、以下の伝播ベクトルでx軸沿いに伝播して戻ることができる。
【数3】
この点における抽出部の面は、表面の法線のベクトルn(x,y)を有して、反射光が実質的に集光点(0,0,V)に対して、以下の正規化された伝播ベクトルで実質的に直接移動することができる。
【数4】
【0146】
Vは、約500mmであってよい視野距離と、導波路の約1.5であってよい屈折率との積である。この例ではVが約750mmであってよい。
【0147】
反射の法則では、kiで伝播する光線をk0の光線に屈折させる表面の法線であるn(x,y)を以下のように近似することができるだろう。
【数5】
【0148】
連続した抽出特徴曲線は、この面の法線に直交してよいxy平面上のある経路を通ってよい。数学的に表すと以下となる。
【数6】
上の式では、dxとdyとが、曲線に沿って非常にわずかにシフトしてよい。この式を解くと、xy平面における曲線の局所的な勾配が求まる。
【数7】
【0149】
図27は、ガイドの中央(y=0)から端部(y=100mm)までの抽出特徴曲線x(x0,y)を示しており、これは、上述した局所的な勾配に関する等式から求めることができる。yの負の値をカバーする完全な曲線は、y軸に対して物理的対称であることから、利用できない。
【0150】
抽出部の表面の法線nは、xy平面に対する傾き角度により記述することができるが、これは、同じxy平面における表面の法線の方向が、抽出部の曲率により決定されることに起因している。z軸からの表面の傾き角度θは、以下のように与えられてよい。
【数8】
本式中、kは従来のx軸方向のベクトルであってよい。
【0151】
nを規定した上述した一実施形態では、以下のようになる。
【数9】
【0152】
図28は、x=−50,0及び50mmに略集まる3つの抽出部についての傾き角度を示している。
【0153】
別の実施形態では、分岐して伝播する主光線に焦点を当てた設計であってよい。一例では、設計に湾曲した端面が含まれていなくてよい。この実施形態では、平らな銀の表面が光を反射して、元のLED放射のxy平面で分岐を実質的に維持していてよい。この実施形態の利点には、製造しやすさ、曲線の下垂部があって不完全な照明になるため領域が無駄になることが少ないこと、入射端部をLED光源でポピュレートして、すべての光源をONにしたときに、より大きな角度偏向と実質的に均一な「あたかも二次元のような」パフォーマンスを達成することができること、等が挙げられる。
図29は、平面の端面から分岐する光伝播を示す。
図29に示す配置では、任意の位置(x,y)における主要光線の伝播kiが以下のように与えられる。
【数10】
本式においてLは光弁のx次元であってよい。この実施形態では、Lが約150mmである。
【0154】
上述した分析の説明を続けると、この場合の抽出曲線の局所的な勾配は以下のように表すことができる。
【数11】
【0155】
ここでも、曲線プロフィールx(x0,y)が、x0でx軸を横切る曲線について求められる。
【0156】
すると、z軸に対する抽出ファセットの法線は以下のように求められる。
【数12】
【0157】
求められた抽出プロフィール及び表面の傾きの値を
図30A及び
図30Bに示す。
【0158】
記載してきた実施形態は、軸上の光源を、観察者の平面の単一の点に向けて光を方向づけることができる。これらの設計は、さらに、Zemax,FRED, ASAP社等の光学設計パッケージを利用する複数の光源に対応することができるよう最適化することもできる。
【0159】
図31は、制御されたバックライトを利用する立体表示システムの概略図である。
図31には、観察者3105、右目画像3110、左目画像3120、及び表示システム3130が示されている。
図31では、右目画像3110及び左目画像3120が、LED等の第1の照明源及び第2の照明源にそれぞれ実質的に同期されて表示されてよい。加えて、ここで説明する表示システム3130及びディスプレイは、様々な種類のデバイスであってよく、あくまで例であってこれらに限定はされないが、携帯電話機、スマートフォン、PDA,ゲームシステム、ノートブック、ラップトップ、テレビシステム、ディスプレイ等が含まれる。
図31の例では、2つのLEDがそれぞれ、観察者により各目を照らすように位置合わせされる出口瞳孔または光ボックスを提供してよい。LEDを、交互に右目立体画像及び左目立体画像を提供する表示システム3130に実質的に同期するように変調することで、三次元の画像観察が可能となる。表示ユニットの材料のコストは、二次元ディスプレイのものと同じくらいである。加えて、二次元モードの表示システム3130の効率またはディスプレイが従来のように更新された場合の効率は、光が観察者3105の目から離れた無駄な照明領域とならないために、顕著に向上すると考えられる。
【0160】
図32は、どのように、ある画像が他者ではなくユーザに選択的に提示されるかを示す表示実施形態の概略図である。
図32には、第1の観察者3210、第2の観察者3220、及びディスプレイ3230が示されている。
図32の実施形態では、ディスプレイ3230が、他人が、照明光が実質的にないディスプレイ3230を見ることができないことから、プライバシー保護を行うことができる。
図32の例では、第1の観察者3210は、立体画像または従来の二次元画像を見ることができ、第2の観察者3220は、異なる位置におり(たとえば公共交通機関を利用しているときの隣の席など)、第1の観察者3210が見ることのできるディスプレイ3230の内容を見ることができない。
【0161】
2以上のLEDを導入することで、複数のアイボックスが提供され、頭部及びデバイスの両方または片方の動きを解放して、観察者に対して複数の選択肢を提供することができる。一例では、観察者の目の位置を、内蔵されており外向きの(out facing)CCD検知器を利用して取得することができる(CCD検知器はハンドヘルドデバイス及びラップトップなどによく利用されているものであってよい)。これら2つのシステムの機能を、図式的に
図33及び
図34に示す。
【0162】
図33は、内蔵デバイスがどのようにデバイス及び頭部または目の位置を検知するかを示す概略図である。
図33には、デバイス3310、第1の向き3320、第2の向き3330、第1セットの照明瞳孔3325、及び、第2セットの照明瞳孔3335が示されている。
図33に示すように、第1セットの照明瞳孔3325は、右目に同期されうる画像を示しており、さらに、左目に同期されうる画像を示している。この場合には、デバイス3310が、第1の向き3320に配置されていてよく、第1セットの照明瞳孔3325が含む画像のうち、左目に同期されうる画像のほうが、右目に同期されうる画像よりも多くてよい。同様に、
図33に示す他の例では、デバイス3310が第2の向き3330に配置されていてよく、第2セットの照明瞳孔3335含む画像のうち、右目に同期されうる画像のほうが、左目に同期されうる画像よりも多くてよい。
【0163】
図33の説明を続けると、内蔵デバイスはCCDカメラであってよく、自動立体ディスプレイ3310上の左目画像及び右目画像の表示を自動的かつ実質的に同期させる制御システムに入力を提供することができる。LEDの同期は、内蔵されているCCDカメラを利用して、目のトラッキングによる入力(eye tracking inputs)により判断されてよい。
図33の例では、デバイス及び頭部の両方または片方の位置の入力を、交互に表示される右目画像及び左目画像と実質的に同期させることができる複数のLED照明器を制御する制御システムに提供することができる。加えて、立体画像を視野角に応じて変更して、表示帯域幅を増加させることなく移動視差を達成することができる。
【0164】
図34は、目の位置を特定して、右目ビュー及び右目ビュー用にLED照明を同期させる検知器を利用して、複数の観察者に対して立体視が提供される様子を示す概略図である。
図34は、デバイス3410、第1の観察者3420、及び、第2の観察者3430を示す。
図34に示すように、デバイス3410がある位置にあり、少なくとも第1の観察者3420及び第2の観察者3430がデバイス3410を見ている。この例では、デバイス3410内に位置していてよいCCDカメラが、観察者3420及び3430の目の位置を特定することができる。
図34の例の説明を続けると、コントローラは次に、デバイス3410のLEDの照明を制御して、第1の観察者3420の左目及び第2の観察者3430の左目方向である特定の方向に光弁を介して左目画像を提供する。加えて、第1の観察者3420の右目及び第2の観察者3430の右目方向である別の特定の方向に右目画像を提供する。
図34では2人の観察者しか示されていないが、これより多い数の観察者がデバイス3410を見ていてもよく、2人の観察者といったのは単に説明を目的としたものであり、限定ではない。
【0165】
記載したシステムの実施形態は、ハンドヘルド移動プラットフォームを想定したが、この例は限定と捉えられるべきではない。この制御された照明方法は、ラップトップ、テレビアプリケーションなどを含む小型及び大型のLCDプラットフォームに同様に適用することができる。
【0166】
ここで利用される「実質的」及び「略」といった用語は、アイテム間の対応する用語及び相対性産業で許されている許容範囲を示すために利用される。これら産業で許されている許容範囲は、1パーセントから10パーセント未満の範囲であり、これらに限定はされないが、成分値、角度等に対応している。これらアイテム間の相対性は、1パーセントから10パーセント未満の間である。
【0167】
本明細書で開示した原理に応じたさまざまな実施形態を上述したが、上述した実施形態は本発明を例示するに過ぎず、本発明を限定するものではないと理解されたい。このため、本開示の範囲は、上述した実施形態例のいずれによっても限定されるべきではなく、本開示内容から明らかとなる請求項及びその均等物によってのみ定義されるべきものである。また、実施形態を説明する際には利点及び特徴を挙げたが、上述した利点及び特徴は、請求項の適用を、上述した利点の一部または全てを持つ処理及び構造に限定するものではない。
【0168】
また、本明細書のセクション名は、米国特許法施行規則第1.77条で規定されている内容に従って記載されたものであるか、または、読みやすさを考えて記載されている。本明細書のセクション名は、本開示内容から明らかとなる請求項に記載される発明を限定または特徴化するものではない。具体的に一例として説明すると、「技術分野」というセクション名があるが、請求項は、いわゆる技術分野を説明するためにこのセクションにおいて用いられている用語によって限定されるべきではない。さらに、「背景技術」のセクションで技術を説明しているが、所与の技術を本開示内容の発明に対する先行技術として認めたものと解釈されるべきではない。また、「発明の概要」も、請求項に記載されている発明の特徴を記載したものと解釈されるべきではない。さらに、本開示において「発明」を単数形で記載していても、本開示の新規性が1つのみであるという主張の根拠とされるべきではない。本開示から明らかとなる複数の請求項の限定事項によって複数の発明を記載することができるので、請求項は、1または複数の発明を定義しており、それらの均等物も保護される。いずれにしても、請求項の範囲は、本開示を鑑みて独立して考慮すべきであり、本明細書に記載したセクション名によって制限されるべきではない。