(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6166183
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】注射装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/31 20060101AFI20170710BHJP
【FI】
A61M5/31 520
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-555937(P2013-555937)
(86)(22)【出願日】2012年3月2日
(65)【公表番号】特表2014-508606(P2014-508606A)
(43)【公表日】2014年4月10日
(86)【国際出願番号】GB2012050470
(87)【国際公開番号】WO2012117255
(87)【国際公開日】20120907
【審査請求日】2015年1月23日
(31)【優先権主張番号】1103557.3
(32)【優先日】2011年3月2日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】61/448,438
(32)【優先日】2011年3月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501410160
【氏名又は名称】オウエン マンフォード リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100171251
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100141081
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 庸良
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(72)【発明者】
【氏名】トビー カウェ
【審査官】
佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】
特表平7−509636(JP,A)
【文献】
特表2008−528144(JP,A)
【文献】
特表2009−526576(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/092807(WO,A1)
【文献】
国際公開第2009/141650(WO,A2)
【文献】
国際公開第2010/091523(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視の表示及び動力学的衝撃状態の表示の両方を提供するための注射完了インジケータを含む注射装置であって、
前記注射装置は、
ハウジング(22)と、
前記ハウジング内で運動可能なプランジャ(28)と、
プランジャ駆動源(30)と、を含み、
プランジャ(28)が、プランジャ駆動源(30)の影響によって、プランジャ駆動源(30)の力に抗して保持された、後方の作動準備位置と、発射位置との間で運動可能であり、
注射完了インジケータは、
インジケータエレメント(20)と、
注射完了表示位置に向かってインジケータエレメント(20)を付勢するインジケータ付勢手段(46)と、
保持及び−リリース機構(38,40,41,43)であって、保持及び−リリース機構(38,40,41,43)は、前記プランジャ(28)がその発射位置に又は発射位置の近くに到着する時に、前記インジケータエレメント(20)をリリースするように構成され、その結果、前記インジケータエレメント(20)が、前記インジケータ付勢手段(46)の影響によって、前記注射完了表示位置に向かって移動し、前記プランジャ(28)上に設けられた衝突面(38)に衝突して、前記動力学的衝撃を形成しかつ可視表示を提供する、保持及び−リリース機構と、を含み、
前記インジケータエレメント(20)がその注射完了表示位置に対して前記インジケータエレメントの回転軸回りに角度的に移動する、
注射装置。
【請求項2】
前記プランジャ(28)は、その発射位置に向かって移動すると、前記インジケータ付勢手段(46)にエネルギを付与する、
請求項1に記載の注射装置。
【請求項3】
前記プランジャ(28)及び前記インジケータエレメント(20)が協働面(37,41)を有しており、
前記協働面は、前記プランジャの行程の一部の間に前記インジケータエレメントを前記プランジャと一緒に動かすように係合し、これにより前記インジケータ付勢手段にエネルギを付与する、
請求項2に記載の注射装置。
【請求項4】
前記保持及び−リリース機構(38,40,41,43)は、前記インジケータエレメント(20)上の相補面(43)と協働する保持面(42)を含んで、前記インジケータ付勢手段(46)にエネルギを付与する際に前記インジケータエレメントが前記注射完了表示位置へ移動するのを防止する、
請求項2又は3に記載の注射装置。
【請求項5】
前記プランジャ(28)は、その発射位置の近くに又は発射位置に到着するときに、前記プランジャ(28)は、前記インジケータエレメント上の相補面(43)を前記保持面(42)との協働状態から外し、これにより前記注射完了表示位置へ運動するために前記インジケータエレメント(20)をリリースする、
請求項4に記載の注射装置。
【請求項6】
前記プランジャ(28)は、その発射位置に向かって移動すると、前記インジケータ付勢手段(46)にエネルギを付与し、
前記プランジャ(28)がその発射位置に向かって移動するときに、前記インジケータ付勢手段(46)が前記インジケータエレメント(20)を、前記プランジャ(28)の運動方向とは概ね反対の方向に線形に付勢し、
前記プランジャ(28)及び前記インジケータエレメント(20)の協働面(37,41)は、カム状に作用して、これらの間の相対線形運動を前記インジケータエレメント(20)の角度的な運動に変換する、
請求項1に記載の注射装置。
【請求項7】
前記協働面(37,41)は、前記プランジャ上の耳片(34)と前記インジケータエレメント(20)上の反復プロファイル(41、43)とを含み、
前記反復プロファイル(41、43)は、立ち上がりエッジ面(43)と交互になっている複数の傾斜面(41)を含む歯プロファイルを含み、
前記立ち上がりエッジ面(43)は、前記インジケータエレメント(20)がその注射完了表示位置に達すると、立ち上がりエッジ面(43)が前記耳片(34)の側部に衝突するように構成されている、
請求項6に記載の注射装置。
【請求項8】
前記保持及び−リリース機構(38,40,41,43)は、前記インジケータエレメント上の相補面と協働する保持面(42)を含んで、前記インジケータ付勢手段(46)にエネルギを付与する際に前記インジケータエレメント(20)が前記注射完了表示位置へ移動するのを防止し、
前記保持面(42)は、カム面(44)を含むエレメント(40)上に設けられており、
前記カム面は、前記インジケータエレメント(20)上の前記傾斜面(41)のうちの1つと協働して、前記プランジャ(28)が作動準備位置に戻されると、前記インジケータエレメントを前記インジケータ付勢手段(46)の影響により発射前位置に回転させる、
請求項7に記載の注射装置。
【請求項9】
前記インジケータエレメント(20)は、発射前位置と注射完了位置との間で運動可能であり、
前記装置は、発射後に前記プランジャ(28)がその作業行程の終端に接近又は到達すると、前記インジケータエレメント(20)がその注射完了位置に移動させられるように構成されており、
前記プランジャの後続の再作動準備により前記インジケータエレメント(20)がその発射前位置へ戻される、
請求項1に記載の注射装置。
【請求項10】
前記インジケータエレメント(20)は、前記プランジャ(28)をその発射前位置から発射位置に向かって移動させることによって、インジケータ付勢手段(46)に対して移動させられる、
請求項9に記載の注射装置。
【請求項11】
前記インジケータ付勢手段はばねエレメント(46)を含む、
請求項10に記載の注射装置。
【請求項12】
前記インジケータエレメント(20)を最初に、前記プランジャの運動の最初の部分の際に前記プランジャ(28)に直接又は間接的に係合させ、前記インジケータエレメント(20)を前記インジケータ付勢手段に抗して移動させて前記インジケータ付勢手段をチャージし、
次いで前記プランジャの更なる運動時に、前記インジケータエレメントを係合解離して、インジケータ付勢手段(46)の影響によりその注射完了位置まで動くように前記インジケータエレメント(20)をリリースする、
請求項10又は11に記載の注射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は注射装置、及び具体的には使い捨てシリンジを挿入することにより注入を行い、次いで取り外して次の注射のために必要に応じて交換することができるハウジングを含む再使用可能な自己注射器装置に関するが、しかしこれに限られるものではない。
【背景技術】
【0002】
注射が完了すると、「注射完了シグナル」によって使用者に自己注射器シグナルを送ることが一般に必要である。「注射完了」という用語は、申し分のない薬物送達が達成された状態を意味するために使用される。注射部位が視野外にあるとき、又は例えば臀部又は上腕部を見る際に身体をいくらかひねらなければならないときに使用者に確認させるために、この表示は可視表示だけではなく、可聴及び/又は触覚表示であることも望ましい。
【0003】
可聴シグナルを生成するために必要とされるエネルギのうちの少なくともいくらかをインジケータエレメントと連携するエネルギ貯蔵部に貯えることによって、実際のプランジャ運動速度とは本質的に無関係な高速の衝撃エネルギ運動をリリースし得ることが望ましい。さらに、それぞれの注射サイクル毎に自動的にリセットするインジケータ構成を提供することも望ましい。
【発明の概要】
【0004】
従って1つの態様では、本発明は、動力学的衝撃の表示を提供するための注射完了インジケータを含む注射装置であって、
前記装置は、
ハウジングと、
前記ハウジング内で、プランジャ駆動源の影響によって作動準備位置(cocked position)と発射位置(fired position)との間で運動可能なプランジャと、
インジケータ付勢手段によって注射完了表示位置に向かって付勢されたインジケータエレメントと、
保持−リリース機構と、
を含み、
前記保持−リリース機構は、前記プランジャがその発射位置に又は発射位置の近くに到着するのに応答して、前記インジケータエレメントを、前記インジケータ付勢手段の影響によって運動するようにリリースし、前記注射完了表示位置に移動させてストッパに衝突させて、前記動力学的衝突を形成する、
注射装置を提供する。
【0005】
このような構成により、動力学的衝撃を形成するためのエネルギをインジケータ付勢手段内に保存することができる。このことが意味するのは、インジケータエレメントがリリースされると、その運動がプランジャとは概ね独立することである。これにより運動規模の設計のフレキシビリティを相当に高くし、またインジケータによってエネルギを供給することができる。
【0006】
前記インジケータエレメントはまた可視表示を提供することが好ましい。
【0007】
前記プランジャは、その発射位置に向かって移動すると、前記インジケータ付勢手段にエネルギを付与すると好都合である。付勢手段にエネルギを付与する方法は多数あるが、1構成の場合、前記プランジャ及び前記インジケータエレメントが協働面を有しており、前記協働面は、前記プランジャの行程の一部の間に前記インジケータエレメントを前記プランジャと一緒に動かすように係合し、これにより前記インジケータ付勢手段にエネルギを付与する。前記保持−リリース機構は、前記インジケータエレメント上の相補面と協働する保持面を含んで、前記インジケータ付勢手段にエネルギを付与する際に前記インジケータエレメントが前記注射完了表示位置へ移動するのを防止することができる。こうして、駆動源からタップされたエネルギは、プランジャ運動に対する影響を軽減するように、プランジャの運動行程の大部分にわたって広がる。これにより、チャージが拡張された行程部分にわたってゆっくりと行われ、そしてチャージ解放はスナップ動作で極めて素早く行われるエネルギチャージ・サイクルが可能になる。
【0008】
この構成において、前記プランジャは、その発射位置の近くに又は発射位置に到着するときに、前記インジケータエレメント上の相補面を前記保持面との協働状態から外し、これにより運動するために前記インジケータエレメントをリリースすることができる。
【0009】
前記インジケータエレメントはその注射完了表示位置に対して、任意には所定の長手方向運動量を伴って、角度的に移動することが好ましい。
【0010】
前記プランジャがその発射位置に向かって移動するときに、前記インジケータ付勢手段が前記インジケータエレメントを、前記プランジャとは概ね反対の方向に線形に付勢し、前記プランジャ及び前記インジケータエレメントの協働面は、カム状に作用して、これらの間の相対線形運動を前記インジケータエレメントの角度的な運動に変換することが好ましい。
【0011】
好ましくは、前記協働面は、前記プランジャ上の耳片と前記インジケータエレメント上の反復プロファイル(profile)とを含み、前記反復プロファイルは、立ち上がりエッジ面と交互になっている複数の傾斜面を含み、前記立ち上がりエッジ面は、前記インジケータエレメントがその注射完了表示位置に達すると、立ち上がりエッジ面が前記耳片の側部に衝突するように構成されていることが好ましい。
【0012】
前記保持面は、カム面を含むエレメント上に設けられており、前記カム面は、前記インジケータエレメント上の前記傾斜面のうちの1つと協働して、前記駆動プランジャが作動準備位置に戻されると、前記インジケータエレメントを前記インジケータ付勢手段の影響により発射前位置に回転させることが好ましい。
【0013】
別の態様において、本発明は、注射完了インジケータを含む注射装置であって、
前記装置は、
ハウジングと、
前記ハウジング内で、プランジャ駆動源の影響により作動準備位置と発射位置との間で運動可能なプランジャと、
発射前位置と注射完了位置との間で運動可能なインジケータエレメントと、
を含み、
前記装置は、発射時に前記プランジャがその作業行程の終端に接近又は到達すると、前記インジケータエレメントがその注射完了位置に移動させられるように構成されており、
前記プランジャの後続の再作動準備により前記インジケータエレメントがその発射前位置へ戻される、
注射装置を提供する。
【0014】
本発明が上述されたが、本明細書中又は下記説明又は図面に開示された本発明の特徴の任意の組み合わせにまで発明の範囲が及ぶ。
【0015】
本発明は種々の形式で実施することができ、そして一例として、添付の図面を参照しながらその実施態様を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明による自己注射器装置を示す大まかな透視図である。
【
図2】
図2は、リアボディ集成体を、シリンジを取り外した状態で示す分解図である。
【
図3】
図3(a)〜(h)は、リアボディ集成体を、発射操作及び作動準備操作を通した種々の構成部分の構成を順番に示す斜視図である。
【
図4】
図4(a)〜(h)は、これらの操作中のリアボディ集成体を示す対応側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
最初に
図1を参照すると、好ましい実施態様の自己注射器が、分離式ボディを含んでいる。分離式ボディは、外側のスライド可能なカバー14を有するリアボディ12にねじ嵌められるか又はその他の形式で解離可能にカップリングされたフロントボディ集成体10を含んでいる。装置は再使用可能であるように設計されて、使用者はフロントボディ集成体とリアボディ集成体とを分離し、リアボディ集成体内に含まれる駆動機構を作動準備し、フロントボディ集成体内に収納されたシリンジ22を挿入又は交換し、そして使用準備のできたフロントボディ集成体とリアボディ集成体とを互いに結合するようになっている。これは、国際公開第2004/108194号に記載されているよく知られたAutoject2(登録商標)装置と同様である。国際公開第2004/108194号の構成におけるように、カバーは、トリガ16の作動を防止するためにこれと噛み合う位置に後方に向かって付勢されている。カバー14はまた直径方向に対向する2つの窓18を有している。これらの窓を通して、インジケータスリーブ20を見ることができ、このインジケータスリーブは申し分のない注射完了時に色を変えるように動く。
【0018】
装置を操作するために、使用者はカバー14を把持し、フロントボディ集成体10の前端部を注射部位に圧着し、こうしてカバーを前方に向かってシフトすることによって機械的噛み合いをリリースする。トリガを発射すると、リアボディハウジング内部の駆動機構が、シリンジプランジャ25と接触している駆動プランジャを前方に向かって動かし、そしてプランジャは最初にシリンジ22を前進させるので、そのニードル24は注射部位に貫入し、その後、プランジャはシリンジピストン23を、投与量を駆出するように動かす。プランジャはその行程の前端に接近又は到達すると、インジケータスリーブ20をリリースする。インジケータスリーブ20は窓18の下側の色を変化させ、そして可聴・触覚シグナルを提供する内部衝撃を形成するように回転する。注射部位から装置を取り外すと、反力が取り除かれるので、カバー14は後方に向かってリアボディにシフトすることによって、トリガ166と噛み合う。
【0019】
シリンジ(典型的にはガラスから成る)上に公差が蓄積されているため、プランジャの最前方位置が変化することが判っており、従って注射完了位置は通常、プランジャの最終的な最前方位置の背後の短い距離のところとして確定される。
【0020】
ここで
図2〜4を参照しながら、リアボディ集成体をより詳細に説明する。
図3及び4において、リアボディ集成体12はそれぞれ側面図及び斜視図であり、集成体の内部作業を明らかにするためにカバー14の一部が切除されている。この構成では、カバー14は概ね円筒形の内側ボディハウジング22の外側の周りにスライド可能に設けられている。トリガ16は後端部で一体的な取り付け具24によって固定されている。取り付け具は内側ボディハウジングの後端部にクリップ固定されており、弾性的な揺動リリース運動のためにトリガを支持している。内側ボディハウジング22の前端部には、雄ねじ山付きカラー取り付け具26が固定されている。雄ねじ山付きカラー取り付け具はフロントボディ集成体10の後端部のねじ山付き孔内にねじ込まれる。内側ボディハウジング22内部には、駆動プランジャ28がスライド可能に配置されている。駆動プランジャ28は、プランジャと、リアボディ集成体の後側の内壁との間で作用する主駆動ばね30によって前方に推進される。プランジャ28の前端面32(
図3(b)〜(h)で見ることができる)は、シリンジ22のプランジャ25に係合するように設計されている。駆動プランジャ28は後端部にラッチ面31を有している。ラッチ面は、トリガ16の前方下端部の対応ラッチ面(図示せず)とラッチ係合する。トリガはプランジャを後方の作動準備位置で主ばね30の力に抗して保持している。駆動プランジャ28は、一対の横方向耳片34を有している。これらの耳片は内側ボディハウジング22の壁に形成された互いに対向する長手方向スロット36を通って延びている。それぞれの耳片34は傾斜カム面37と、長手方向に延びる衝突面38とを有している。スロットの前端部に向かって、そして前端部から見て反時計回り方向にそこから角度間隔を置いて、直径方向に対向する2つのボディストッパ40が設けられている。これらのボディストッパのそれぞれは、長手方向に延びる保持面42とカム面44とを画定する。
【0021】
プランジャ耳片34及びボディストッパ40はそれぞれ、インジケータスリーブ20の後ろで周方向に延びる、後方に向いた鋸歯プロファイルと協働する。インジケータスリーブ20は内側ボディハウジング22の前端部にスライド可能且つ回転可能に設けられている。この例における鋸歯プロファイルは、それぞれ90度の角度に対する4つの線形傾斜面と、4つの軸方向立ち上がりエッジ43とから形成されていて、傾斜面が立ち上がりエッジ43と出会う場所として谷部45と頂部47とが定義される。インジケータスリーブ20は、圧縮ばね46によって後方に向かって付勢されている。圧縮ばね46は、インジケータ20の前方に向いた内側ショルダと、カラー取り付け具26の後方に向いたエッジとの間で作用する。インジケータスリーブ46は主ばね30よりも著しく弱い。インジケータスリーブは、スリーブの周りに90度の等間隔を置いて着色パッチ21を支持している。パッチは注射が完了したときの可視表示を提供する。
【0022】
操作中、リアボディ集成体が作動準備されていると仮定すると、集成体の構成部分は
図3(a)及び4(a)に示された形態を成すことになる。このような状況では、プランジャ28はその作動準備位置で、完全圧縮された主ばね30とラッチ係合される。プランジャ耳片34はスロット36の後部に位置する。インジケータスリーブ20はその最後部位置でばね46によって推進されるので、鋸歯プロファイルの直径方向に対向する谷部45は、ボディストッパ40の前端部と強制的に接触させられる。これとともに、ボディストッパ40のカム面44がインジケータスリーブ20の傾斜面41とカム接触していることによって、ボディストッパの保持面42が鋸歯の立ち上がりエッジ43と事実上強制的に接触させられる。この状況において、インジケータスリーブ20の平らな無色の表面を窓18を通して見ることができる。
【0023】
装置を注射のために用意し、これを注射部位までもたらし、そして外側カバー14を押すことによりトリガとの噛み合いをリリースしたら、トリガ16を押し、これにより駆動プランジャ28をリリースして、主駆動ばね30の影響によって駆動プランジャが前方に向かって発射できるようにし、最初はニードル24がフロントボディ集成体の前端部から突出するようにシリンジ22を伸長させ、そしてその後、投与量を駆出するようにシリンジピストン23を動かす。
【0024】
図3(b)及び4(b)に示されたプランジャは、前方に向かって所定の地点まで動いている。この地点で、プランジャの耳片34のカム面37は、インジケータスリーブ20のそれぞれの傾斜面41に丁度接触するが、しかしこの地点は、前方運動がインジケータスリーブに伝達される前の場所である。この地点から、プランジャ28の更なる前方運動がばね46の付勢に抗してインジケータスリーブ20をシフトする。これとともに、スリーブは、ボディストッパの保持面42とインジケータ20の立ち上がりエッジ43とが滑り接触することによって、回転を制約される。
【0025】
この地点を超えると、
図3(d)及び4(d)に示されているように、インジケータスリーブ(
インジケータエレメント)20の立ち上がりエッジ43が耳片
34の衝突面38に衝突して可聴・触覚シグナルを生成するまで、拡張したインジケータばね46及びカム面37の傾斜面41のカム作用の影響によって、インジケータスリーブ20が今や自由に素早く回転して後方に向かって運動するので、インジケータ20の傾斜面41がそれぞれプランジャ耳片及びボディストッパ40のカム面37及び44を乗り越える。この時点で、駆動プランジャ28がその最前方位置又はその近くに位置することを示す着色領域21を今や、窓18内で見ることができる。上記のように、
製造公差をもたらすことが必要となるため、シリンジ内の長手方向の公差が蓄積されていることにより、プランジャは
図3(e)及び4(
e)に示された位置へ短い距離だけ前方運動し続ける。これによりインジケータスリーブ20はボディストッパ40から離れて前方に向かってシフトされる。
【0026】
ここで、完全発射位置からの
図3及び4(e)〜(h)に示された作動準備する順序を参照すると、装置を作動準備するために、例えばフロントボディ集成体10の前端部又は他の好適なツールを用いて、プランジャの露出端面32に圧力を加えることによって主ばね30を圧縮し、そしてプランジャが戻るのに伴って、インジケータばね46が拡張することにより、インジケータスリーブ20をプランジャとともに後方に向かって動かす。
【0027】
インジケータスリーブ20が
図3(f)及び4(f)に示された位置に達すると、その傾斜面41はボディストッパ40のカム面44に係合するが、しかしインジケータスリーブ20の回転運動は防止される。なぜならば、プランジャの耳片34の衝突面38とインジケータスリーブ20の立ち上がりエッジ43とが滑り接触するからである。しかし、
図3(g)及び4(g)に示されているように、滑り接触が失われると、インジケータスリーブ20は、傾斜面43がボディストッパ40のカム面44上をスライドすると、インジケータ圧縮ばね46の影響により自由に回転し、続いて後方に向かって運動することができる。これは
図3(h)及び4(h)に示された位置に続く。この場合、インジケータスリーブ20の立ち上がりエッジ43がボディストッパ40の保持面42に当接する。このような位置において、スリーブは、無色部分が窓18を通して見られる状態で配置されている。プランジャが引き続き後方運動することによって、プランジャは、
図3(a)及び4(a)に示された作動準備位置においてトリガにラッチ係合される。
【0028】
なお、下記実施態様において、それぞれの発射サイクル及び作動準備サイクルとともに、インジケータスリーブは、90度(作動準備された発射前状態から注射完了状態へ動くための45度、そして注射完了状態から作動準備状態へ動くための同じ方向での45度)にわたって角度割出しする(indexes)。