(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6166199
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】土嚢の利用方法
(51)【国際特許分類】
E02B 3/04 20060101AFI20170710BHJP
E02D 17/20 20060101ALI20170710BHJP
A01G 33/00 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
E02B3/04 301
E02D17/20 102A
A01G33/00
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-48308(P2014-48308)
(22)【出願日】2014年3月12日
(65)【公開番号】特開2015-172294(P2015-172294A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2015年11月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】513112326
【氏名又は名称】株式会社九コン
(73)【特許権者】
【識別番号】504038284
【氏名又は名称】納冨 啓一
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】納冨 啓一
【審査官】
苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−172679(JP,A)
【文献】
特開2002−054117(JP,A)
【文献】
実開平07−012543(JP,U)
【文献】
実開平07−007412(JP,U)
【文献】
特開2000−139268(JP,A)
【文献】
特開2004−159610(JP,A)
【文献】
米国特許第03922832(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/04〜 3/14
E02D 17/00〜 17/20
A01K 61/00
A01G 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通水性を有しない袋本体に窓を形成した袋に水硬性を有する中込材を充填するとともに前記中込材に吸水性及び導水性を有する繊維状材料を添加した土嚢を設置した後に窓から雨水が浸入することで中込材を硬化させて使用することを特徴とする土嚢の利用方法。
【請求項2】
前記袋の通水性を有する窓を通水性を有しない素材で着脱自在に被覆したことを特徴とする請求項1に記載の土嚢の利用方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の土嚢を使用後に回収し、硬化した中込材を海中に設置して藻の繁殖を促成する人工藻礁として再利用することを特徴とする土壌の利用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土嚢の利用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、土木資材として、麻袋の中に土砂を詰め込んだ土嚢が土木現場などで広く利用されている。
【0003】
この土嚢は、雨水の浸入や土砂崩れなどを防止するために積み上げられて使用されるものであり、緊急時等に一時的に使用されるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−243042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の土木資材としての土嚢は、麻袋に土砂を詰め込んだ構成となっているために、変形が容易である程度の重量があることから、一時的に積み上げて暫定的に使用するには適したものであった。
【0006】
しかしながら、従来の土嚢は、長期間にわたって使用すると経時的に変形が進むことから、長期間にわたって恒久的に使用するには適していなかった。
【0007】
また、従来の土嚢は、使用後に産業廃棄物として廃棄処理されており、有効に再利用されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、請求項1に係る本発明では、土嚢の利用方法において、
通水性を有しない袋本体に窓を形成した袋に水硬性を有する中込材を充填するとともに前記中込材に吸水性及び導水性を有する繊維状材料を添加した土嚢を設置した後に
窓から雨水が浸入することで中込材を硬化させて使用することにした。
【0009】
また、請求項2に係る本発明では、土嚢の利用方法において、前記袋の通水性を有する
窓を通水性を有しない素材で着脱自在に被覆
することにした。
【0010】
また、請求項3に係る本発明では、土嚢の利用方法において、前記土嚢を使用後に回収し、硬化した中込材を海中に設置して藻の繁殖を促成する人工藻礁として再利用することにした。
【発明の効果】
【0011】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0012】
すなわち、本発明では、土嚢の利用方法において、通水性を有する袋に水硬性を有する中込材を充填した土嚢を設置した後に通水して中込材を硬化させて使用することにしているために、長期間にわたって使用しても変形することがなくなり、止水効果が得られ、恒久的に使用することができる。
【0013】
また、土嚢を使用後に回収し、硬化した中込材を他の土嚢や人工藻礁として再利用することで、資源を長期間にわたって有効に利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る土嚢の利用方法の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0016】
本発明に係る土嚢は、通水性を有する袋の内部に水硬性を有する中込材を充填したものであり、たとえば、上部に開口を有する袋の内部に中込材を詰め込んで、上部の開口を紐やミシンや溶着等で封止したものである。
【0017】
本発明に係る土嚢では、袋が、一部又は全部に通水性を有している。この袋は、麻袋等のように織成された袋で、全部に通水性を有しているものでもよく、また、ビニール袋等のように通水性を有していない素材で形成した袋本体に矩形貫通状の窓を形成し、その窓に網を袋本体の内側から張設(貼着)して、一部に通水性を有するように構成したものでもよい。
【0018】
また、本発明に係る土嚢では、袋の内部に詰め込まれた中込材が、土砂ではなく、硬化前のセメント等の水硬性を有する粒子を一部又は全部に含んでいる。
【0019】
袋の内部に詰め込まれた中込材は、水分と反応して硬化(固化)する水硬性を有する物質の粒子を含有させている。たとえば、中込材として、粉末状のスラグ100重量部と粉末状のセメント30重量部との混合物を袋の内部に詰め込んでいる。なお、袋の内部には、重金属の流出を防止するために重金属固化材を添加してもよく、スサやセルロースなどの繊維状材料や有機材料を添加してもよく、さらには、使用済みの土嚢で固化した中込材を破砕又は粉砕したものを骨材や増量材として添加してもよい。なお、中込材としては、0.01μm以上0.5mm以下の粒体であって0.5μm以下の微粒子を5重量%以上含まれているものを用いている。また、袋の内部にスラグとセメントを詰め込んだ場合には、100重量部〜500重量部の水と反応することで固化し、重量が倍以上に増大する。
【0020】
以上に説明したように、上記土嚢は、袋が通水性を有し、中込材が水硬性を有することから、設置後の自然な通水や強制的な通水によって袋の内部の中込材を硬化(固化)させることができ、長期間にわたって使用しても変形することがなく、恒久的に使用することができる。
【0021】
特に、上記土嚢では、中込材に吸水性及び導水性を有する繊維状材料を添加することで、中込材に含有された繊維状材料によって、固化する際に水分を内部に良好に導くことができ、袋の内部の中込材を均一に硬化(固化)させることができるとともに、水の分散が適当となるために水和反応の速度や固化反応による内部ストレスの発生を抑制することができてクラックの発生がなく、固化した際の強度を増大させることができる。
【0022】
また、上記土嚢では、中込材が水分と反応して水和体を生成することで重量が増大することで、使用前(硬化前)においては重量が軽く、使用前の運搬作業や積み上げ作業を容易なものとすることができる。
【0023】
さらに、上記土嚢では、袋の通水性を有する部分を通水性を有しない素材で着脱自在に被覆することで、袋の内部に水分が浸入するのを防止することができ、使用前に長期間にわたって備蓄しておくことができる。
【0024】
本発明に係る土嚢は、
図1に示すように、まず、通水性を有する袋に硬化前(硬化していない状態)の水硬性を有する中込材を充填することで自硬性土嚢を製造する。その後、自硬性土嚢は、設置現場に設置され使用される。なお、自硬性土嚢は、予め袋に中込材を詰め込んで開口を封止した状態の物(完成品)を設置現場に運搬して設置してもよく、袋と中込材を設置現場にそれぞれ運搬し、設置現場において袋の内部に中込材を詰め込み、袋の開口を紐等で結んでから、所定位置に設置してもよい。また、
【0025】
この自硬性土嚢は、使用により雨水が袋の内部に浸入することで、或いは、強制的に水を袋の内部に侵入させることで、中込材が硬化する。これにより、自硬性土嚢は、長期間にわたって使用しても変形することがなく、恒久的に使用することができる。
【0026】
自硬性土嚢は、使用後に回収し、硬化した中込材をそのまま或いは粉砕して、再利用することができる。
【0027】
回収した自硬性土嚢は、硬化した中込材を袋に充填することで、非自硬性土嚢を製造することができる。この非自硬性土嚢は、従来の土嚢と同様に設置されて使用される。
【0028】
また、回収した自硬性土嚢(非自硬性土嚢を回収したものでもよい)は、硬化した中込材をそのまま資材として利用することもできる。その場合に、硬化した中込材をそのまま或いは硬化した中込材を骨材として成型(製造)したものを海中に設置して藻の繁殖を促成する人工藻礁として利用することもできる。なお、人工藻礁として利用する場合には、所定期間海中において海底に接触させることなく吊設して藻と種子を付着させた後に海底に設置させることで、藻の繁殖を良好なものとすることができる。
【0029】
なお、自硬性土嚢や非自硬性土嚢は、販売してもよく、また、レンタルやリースにて貸与してもよい。貸与した場合には、自硬性土嚢や非自硬性土嚢が不法投棄されたり不特定業者に拡散してしまうのを防止することができ、国や地方自治体等の管理を容易なものとすることができる。
【0030】
以上に説明したように、通水性を有する袋に水硬性を有する中込材を充填した土嚢を設置した後に通水して中込材を硬化させて使用することによって、土嚢を長期間にわたって使用しても変形することがなくなり、止水効果が得られ、恒久的に使用することができる。
【0031】
また、土嚢を使用後に回収し、硬化した中込材を他の土嚢や人工藻礁として再利用することで、資源を長期間にわたって有効に利用することができる。