(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記のような門扉では、低強度パネルを破壊して、そこから門扉の錠に腕が届いても、その時に錠を解錠できる鍵を持っていないと扉を開けることができず、また錠を解錠できた場合であっても、門扉や、門扉の支持材に歪みや変形が生じてしまうと、門扉を開けることができなくなる恐れがあり、その門扉を通って手前から奥側に進むことが困難な場合があった。
【0007】
本発明は、前記の如き問題点を解消し、フェンスの一部を壊して、フェンスの手前側から奥側に、容易に通り抜けることができる非常時に破壊可能なフェンスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
すなわち本発明に係る非常時に破壊可能なフェンスは、間隔をおいて設置面に複数立設される支柱と、該各支柱の間に架設される複数のパネルとを備えたフェンスであって、
前記複数のパネルのうちの一部のパネルはそれ以外の他のパネルよりも破壊容易な板部を備える低強度パネルが用いられており、
前記低強度パネルは、矩形板状に形成された前記板部と、該板部の少なくとも上端部及び下端部のいずれかに固定される横枠と、前記板部の左右の端部にそれぞれ固定される縦枠とを備え、
該各縦枠が前記各支柱へそれぞれ取り付けられて該各支柱間に前記低強度パネルが架設されると共に、前記横枠が前記各縦枠のいずれにも固定されない状態で前記板部に固定されていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る非常時に破壊可能なフェンスによれば、支柱の間に架設させる複数のパネルうちの一部のパネルをそれ以外の他のパネルよりも破壊容易な板部を備える低強度パネルを用いるので、災害発生等の非常時に前記板部を破壊して人の通り抜けを可能とすることができる。尚、ここでの破壊容易とは、道具を用いずに人力のみで叩く蹴る等して破壊できる程度の容易さを意味する。
また、前記低強度パネルは、前記板部を矩形板状に形成させ、その左右の端部にそれぞれ縦枠を固定させ、この各縦枠を前記各支柱へそれぞれ取り付けて前記低強度パネルを架設させるので、破壊容易に設けた前記板部を備える低強度パネルを安定して設置することができる。
また、前記板部の少なくとも上端部及び下端部のいずれかに横枠を固定するので、設置させた低強度パネルの前記板部が強風を受けるなどの外力を受けたとき、板部の歪みを前記横縁により抑制させ、前記板部の歪みによる劣化や損傷を低減できる。
また、前記横枠が前記各縦枠のいずれにも固定させない状態で前記板部に固定させるので、非常時に前記板部を破壊することで前記横枠を低強度パネルから容易に取り外すことが可能となされ、支柱間の人の通り抜けをより容易なものとすることができる。
【0010】
また、前記横枠に、ウェブ部と、このウェブ部に接続し間隔をおいて配置させる2個のフランジ部とを備えさせ、この各フランジ部間の隙間へ挿入させた前記板部の上縁又は下縁に固定させて前記横枠を取り付ければ、前記板部が強風を受けるなどの外力を受けたとき、板部の歪みを両方の板面側にそれぞれ配置させた前記各フランジ部によって効果的に抑制させ、板部の歪みによる劣化や損傷を低減できるので、好ましい。
また、前記板部に固定させた前記縦枠を前記隙間へ挿入させれば、板部の歪みによる前記横枠の移動を縦枠により抑制させ、前記板部の歪みをより効果的に低減できるので、好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る非常時に破壊可能なフェンスによれば、非常時に、人が低強度パネルの板部を叩いたり、蹴ったりして衝撃を与えて破壊することにより、人の通り抜けを可能とすることができると共に、通常の設置状態における板部の劣化や損傷を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
図面において、Fは非常時に破壊可能なフェンスである。
フェンスFは、設置面Gに適宜間隔をおいて立設させた支柱1間に、パネル2、及び低強度パネル3を架設させて形成させている。前記パネル2は従来からフェンスに用いられている通常の強度を有する通常のパネルであり、前記低強度パネル3は前記の通常のパネル2よりも破壊容易に形成させたパネルであり、4は低強度パネル3に貼着される表示材である。
【0014】
支柱1は、その下部を設置面に埋設させて適宜間隔をおいて立設させている。支柱1は一般に強度的に安定している鋼管が用いられるが、鋼材以外に他の金属を用いてもよい。他の金属としては、アルミニウム合金、ステンレス合金等を挙げることができる。また、支柱1の耐食性や耐候性を高めるために金属めっきや塗装を施してもよい。尚、フェンスFの前面側とは、低強度パネル3に表示材4が貼着されている面側を前面側としたものであり、実施例についてもその様に説明する。また、本形態では、支柱1の上端に支柱キャップ11を取り付けている。
【0015】
通常のパネル2は、破壊が容易でなく、人が叩いたり、蹴ったりして受けた衝撃によっては、人が通過できるほどの破損が容易には生じない強度を有して一般のフェンスに用いられているものでよく、本形態では、多数の鋼線を縦横に格子状に配置して、交差部を溶接等によって接合したメッシュパネルを用いている。パネル2の他の形態としては、無孔パネルや有孔パネルを挙げることができる。無孔パネルとしては、金属板や、金属板と樹脂板とを積層した積層板を挙げることができる。有孔パネルとしては、無孔パネルに孔をあけたものを挙げることができる。
【0016】
図2は、
図1の低強度パネル3の正面図である。
低強度パネル3は、前記の通常のパネル2よりも破壊容易なパネルであって、人がこの低強度パネル3に衝撃を与えて破り、通過可能となされたものである。
前記低強度パネル3は、矩形板状に形成させた板部31と、この板部31の左右の側端にそれぞれ取り付けた縦枠5と、板部31の上下の両端にそれぞれ取り付けた横枠6とを備えさせており、前記板部31を、人が道具を用いずに叩く、蹴るなどして破壊できる強度に形成させている。
低強度パネル3の個数は、フェンスF全体において、1個でもよいし、2個以上でもよく、通常のパネル2に対する、低強度パネル3の個数と配置は設置される現場の状況に応じて適宜決定されればよい。
【0017】
前記低強度パネル3の板部31は、一般には、石灰石やセメント等の石灰質原料、珪酸質原料及びガラス繊維等の無機質繊維を主成分とし、前記各原料に混和物質や水を加えて混練し、抄造し、養生して形成した板材であって、具体的には、JIS A 5430(繊維強化セメント板)に規定された珪酸カルシウム板を挙げることができる。本形態においては、板部31は、前記珪酸カルシウム板を用いており、その厚さは約3mmであって、低強度パネル3に対して厚さ方向に向けて、人がたたいたり、蹴ったりするような衝撃が加わると割れて破れが生じる。
【0018】
低強度パネル3は、通常時には、人が容易には乗り越えられない程度の高さであることが好ましく、具体的には、設置時に低強度パネル3の上端が地上から1500〜2000mmの高さであることが好ましい。また低強度パネル3は、本形態では、矩形状に形成させているが、設置させる設置面の傾斜に合わせて形状を変更してもよい。すなわち、フェンスFを傾斜地に設置する場合は、その傾斜に沿って前記低強度パネル3の下端部を斜めに加工しておけば、設置後も低強度パネル3と傾斜地の設置面との間に不必要な隙間が生じないように設置することができる。
【0019】
低強度パネル3は、板部31が破壊容易なパネルであること、すなわち衝撃を与えると破れることを示した表示材4が貼着されている。これにより、地震、津波、台風、洪水等によって災害が発生した時に避難するような緊急時に、避難者は、通常のパネルの部分を乗り越えたり、壊したりする必要はなく、板部31を破って、スムーズに避難することができる。
【0020】
前記表示材4は、一般に前記板部31の表面に接着させたものであって、板部31に衝撃を与えると破れる旨の標示を設けている。
図1、2に示す表示材4は、「非常時は、ここを破って避難して下さい。ここを強くたたくと破れる仕様になっております。」との表示を施した表示層と、この表示層を板部31に接着させるための接着層とを積層したシート材であり、これに耐候性、耐水性、耐久性等を向上させるための機能を有する層を備えたものとしてもよい。
【0021】
前記表示材4には、上下方向に沿う切れ目41を左右に間隔を開けて多数形成させている。前記各切れ目41は表示材4の上端から下端に至ると共に、表面から裏面側までに達するようにそれぞれ形成させている。表示材4を貼着した板材31の部分は、この表示材4が補強材となって破壊されにくくなるが、切れ目41の形成部分は、それ以外の表示材4の貼着部分と比較して、切れ目41の形成方向に沿って板材31が破壊されやすくなる。すなわち、避難者が低強度パネルに衝撃を与えた際に生じる割れ目が表示材4に達した場合、その周端部で割れ目が止まる恐れがあるが、切れ目41を形成することで、板部31の破れが拡がり易くなるように設けている。
【0022】
図4は低強度パネル3の横断面を示す
図2のA−A断面図であり、
図5は低強度パネル3の縦断面を示す
図2のB−B断面図であり、
図6は
図2の低強度パネル3の各部材の形状と配置を部分断面で示す斜視図である。
図4、
図5においては、矢印Y1が前方を示し、矢印Y2が後方を示している。
前記各縦枠5は、上下に長い長尺体に形成させており、前記板部31の上下方向の大きさと同じ大きさに形成させている。
また、前記各縦枠5は、板状のウェブ部51と、このウェブ部51の両端からそれぞれ延設させた2枚のフランジ部52、53を備える断面コの字形状に形成させており、
図4に示すように、前記ウェブ部51を低強度パネル3の外側方向に配置させ、前記各フランジ部52、53を低強度パネル3の内側方向へ突出させるように配置させている。詳細には、前記縦枠5は、
図4に示すように、前記フランジ部52を図中下側の前方側に配置させ、前記フランジ部53を図中上側の後方側に配置させている。
前記各縦枠5は、前後に間隔をおいて配置させた各フランジ部52、53の間に前記板部31の側端を挿入させて、前記板部31に取り付けている。
前記縦枠5は、アルミニウム合金を押出成型してなる長尺形材を適宜長さに切断して形成している。縦枠5の形成方法はこれに限るものではなく、他の金属として、ステンレス合金や鋼材を用いてもよく、これらを用いる場合は、板材をプレス加工や曲げ加工等によって成形したものでもよい。
【0023】
前記各縦枠5には、隙間部材55をそれぞれ1個づつ取り付けている。
前記隙間部材55は、上下方向に長い長尺体に形成させており、前記縦枠5の上下方向の大きさと同じ大きさに形成させている。
また、前記隙間部材55は、板状の当接板部55aと、この当接板部55aの両端からそれぞれ延設させた2枚の突出板部55bを備える断面コの字形状に形成させており、
図4に示すように、前記当接板部55aを前方側に配置させ、前記各突出板部55bをそれぞれ後方側へ突出させるように配置させている。
前記隙間部材55は、金属板を曲げ加工して形成させており、具体的には、亜鉛メッキ鋼板で形成させている。
【0024】
前記隙間部材55は、前記板部31の後方に配置させると共に、各フランジ部52、53の間の隙間に収納させて、前記縦枠5へ取り付けている。
具体的には、前記隙間部材55は、前記当接板部55aの板面を縦枠5に挿入させた前記板部31の後面へ当接させると共に、後方に突出する前記各突出板部55bの端を前記縦枠5のフランジ部53の内側面へ当接させて、前記縦枠5へ取り付けている。
【0025】
前記各縦枠5は、締結部材59によって前記板部31へ取り付けている。
具体的には、前記締結部材59はボルト・ナットで形成しており、その軸部59aを前記縦枠5のフランジ52、53へ貫通させると共に、このフランジ52、53の間に挿入して配置させた板部31と、隙間部材55の当接板部55aに貫通させ、ボルト頭部とナットからなる前記締結部材59の両側の各端部59bを前記各フランジ部52、53へそれぞれ当接させて締結させている。
尚、前記締結部材59はボルト・ナットに限るものではなく、リベットや、ピンなど、縦枠5を板部31へ取り付け可能な他の種類のものを用いても良い。
【0026】
前記縦枠5は、その内側に前記隙間部材55を取り付けることで、その剛性が高められている。
具体的には、板部31が強風を受けるなどして低強度パネル3に外力がかかったときに、縦枠5が折れ曲がるなどの変形が容易に生じない。また、前記板部31へ縦枠5を取り付けるために、各フランジ部52、53へ貫通させた前記締結部材59を締結させたとき、前記各フランジ52、53の内側面が、前記板部31と、隙間部材55の各突出板部55bとにそれぞれ当接してその変形が抑制されるので、前記締結部材59を適切な力で締結させることができる。
【0027】
図3は
図1のA−A断面図である。
図3は、低強度パネル3を支柱1間に架設させた状況を示す横断面図であり、
図4の低強度パネル3を支柱1へ取り付けた状況を示している。
前記低強度パネル3は、縦枠5を支柱1へ取付金具12を介して固定させている。前記取付金具12は、帯状の金属板を曲げ加工して形成させており、一方の端部12bを前記支柱1へボルト・ナットBN2により固定させ、他方の端部12aを前記縦枠5へボルト・ナットBN1により固定させている。詳細には、前記取付金具12は、端部12aの板面を前記縦枠5のフランジ部53へ当接させて固定させている。
前記取付金具12は、1個の縦枠5へ上下に間隔をおいて2個取り付けている。即ち、前記低強度パネル3には、合計4個の取付金具12を取り付けて、各支柱1間に架設させている。
尚、
図3に示す前記各支柱1は、矩形筒形状の長尺体で形成させているが、これに限るものではなく、円筒形状の長尺体など他の形状に形成させてもよい。
【0028】
前記各横枠6は、左右に長い長尺体に形成させている。
図5に示すように、前記各横枠6は、板状のウェブ部61と、このウェブ部61の両端からそれぞれ延設させた2枚のフランジ部62、63を備える断面コの字形状に形成させており、
図5に示すように、前記ウェブ部61を低強度パネル3の外側方向に配置させ、前記各フランジ部62、63を低強度パネル3の内側方向へ突出させるように配置させている。詳細には、前記横枠6は、
図5に示すように、前記フランジ部62を図中右側の前方側に配置させ、前記フランジ部63を図中左側の後方側に配置させている。
前記各横枠6は、前後に間隔をおいて配置させた各フランジ部62、63の間に前記板部31の側端を挿入させて、前記板部31に取り付けている。
前記横枠6は、アルミニウム合金を押出成型してなる長尺形材を適宜長さに切断して形成している。横枠6の形成方法はこれに限るものではなく、他の金属として、ステンレス合金や鋼材を用いてもよく、これらを用いる場合は、板材をプレス加工や曲げ加工等によって成形したものでもよい。
【0029】
前記各横枠6には、隙間部材65をそれぞれ1個づつ取り付けている。
前記隙間部材65は、左右方向に長い長尺体に形成させている。
また、前記隙間部材65は、板状の当接板部65aと、この当接板部65aの両端からそれぞれ延設させた2枚の突出板部65bを備える断面コの字形状に形成させており、
図5に示すように、前記当接板部65aを前方側に配置させ、前記各突出板部65bをそれぞれ後方側へ突出させるように配置させている。
前記隙間部材65は、金属板を曲げ加工して形成させており、具体的には、亜鉛メッキ鋼板で形成させている。
【0030】
前記隙間部材65は、前記板部31の後方に配置させると共に、各フランジ部62、63の間の隙間に収納させて、前記横枠6へ取り付けている。
具体的には、前記隙間部材65は、前記当接板部65aの板面を横枠6に挿入させた前記板部31の後面へ当接させると共に、後方に突出する前記各突出板部65bの端を前記横枠6のフランジ部63の内側面へ当接させて、前記横枠6に取り付けている。
【0031】
前記各横枠6には、隙間板66をそれぞれ1個づつ取り付けている。
前記隙間板66は、左右方向に長い長尺板状に形成させており、亜鉛メッキ鋼板で形成させている。
前記隙間板66は、前記板部31の前方に配置させると共に、各フランジ部62、63の間の隙間に収納させて、前記横枠6へ取り付けている。
具体的には、前記隙間板66は、その後面を横枠6に挿入させた前記板部31の前面へ当接させると共に、前面を前記横枠6のフランジ部62の内側面へ当接させて、前記横枠6へ取り付けている。
【0032】
前記各横枠6は、締結部材69によって前記板部31へ取り付けている。
具体的には、前記締結部材69はボルト・ナットで形成しており、その軸部69aを前記横枠6のフランジ62、63へ貫通させると共に、このフランジ62、63の間に挿入して配置させた板部31と、隙間部材65の当接板部65aと、隙間板66とに貫通させ、ボルト頭部とナットからなる前記締結部材69の両側の各端部69bを前記各フランジ部62、63へそれぞれ当接させて締結させている。
尚、前記締結部材69はボルト・ナットに限るものではなく、リベットや、ピンなど、横枠6を板部31へ取り付け可能な他の種類のものを用いても良い。
【0033】
前記横枠6と、隙間部材65と、隙間板66とは、前記締結部材69により前記板部31へのみ固定されており、前記縦枠5や、隙間部材55へは固定されていない。
即ち、前記横枠6,隙間部材65、及び隙間板66は、前記締結部材69による板部31との固定が解除や破壊された場合には、前記横枠6は低強度パネル3から容易に脱落する。
尚、ここでの固定とは、ボルトやリベットやピンなどに固定や、横枠6に設けた係合部や係止部を介しての係合による固定や、接着剤や粘着剤による固定や、溶接による固定など、前記板部31と横枠6との固定が解除や破壊された場合でも横枠6と縦枠5との着脱不能な結合状態を維持させる構造を意味する。
【0034】
前記横枠6は、その内側に前記隙間部材65と隙間板66を取り付けることで、その剛性が高められている。
具体的には、板部31が強風を受けるなどして低強度パネル3に外力がかかったときに、横枠6が折れ曲がるなどの変形が容易に生じない。また、前記板部31へ縦枠6を取り付けるために、各フランジ部62、63へ貫通させた前記締結部材69を締結させたとき、前記各フランジ62、63の内側面が、前記板部31にそれぞれ当接する、隙間部材65の各突出板部65bと、隙間板66とにそれぞれ当接してその変形が抑制されるので、前記締結部材69を適切な力で締結させることができる。
【0035】
前記横枠6は、そのフランジ62、63の間の隙間に、前記縦枠5の端部を挿入させている。
即ち、前記板部31の下端に取り付けた横枠6は、そのフランジ62、63の間の隙間に前記各縦枠5の下端をそれぞれ挿入させており、前記板部31の上端に取り付けた横枠6は、そのフランジ62、63の間の隙間に前記各縦枠5の上端をそれぞれ挿入させている。
詳細には、各縦枠5の端部は、そのフランジ52の外側面を前記フランジ62の内側面へ当接させると共に、フランジ53の外側面を前記フランジ63の内側面へ当接させて、横枠6のフランジ62、63間に挿入されている。
尚、各横枠6にそれぞれ取り付けた前記隙間部材65と、隙間板66は、左右の大きさを前記各横枠6より若干小さく形成させており、各フランジ62、63間に挿入させた前記各縦枠5の間に配置させて前記各横枠6へ取り付けている。
【0036】
前記横枠6の各フランジ62、63間に各縦枠の端を挿入させることで、前記板部31が風を受けるなどして歪んだときに、前記横枠6の移動が前記縦枠5によって規制される
詳しくは、前記板部31の歪みによって前記横枠6が前後方向へ移動しようとしたときに、支柱に取り付けられた前記縦枠5とフランジ62、63との当接によって横枠6の移動が規制され、板部31の歪みの増大を抑制させて、低強度パネル3の全体的な剛性を高める。
【0037】
図7は
図1の低強度パネル3の板部31を破壊した状況の一例を示す正面図である。
図7は、通常のパネル2や、設置面G等の図示を省いて、図を簡略化している。
低強度パネル3の前記板部31は破壊容易に形成しているので、非常時に板部31を叩く、蹴るなどすれば簡単に破れ、人が通過可能な隙間Sを形成させることができる。
このとき、低強度パネル3の各縦枠5は、前記取付金具12を介して各支柱1へそれぞれ取り付けられているので、板部31が破れた状態でも支柱1に支持され、支柱1に沿うように配置された状態が維持される。
【0038】
また、各支柱1の間を通過する人を遮るように配置される前記横枠6と、その内側に取り付けた隙間部材65、隙間板66は、前記締結部材69により前記板部31へのみ固定されているので、
図7に示すように、締結部材69付近の板部31を破壊すれば、低強度パネル3から横枠6と、隙間部材65と、隙間板66を容易に取り外すことができる。
このように横枠6を取り外すことで、板部31に形成させた隙間Sを通って人が通過しようとしたときに、横枠6に顔や体をぶつけたり、躓いたりすることなく、より容易に通過させることができるようになされる。
【0039】
また、板部31を叩くなどして破いたときに、前記締結部材69付近の板部31がうまく破れずに横枠6が低強度パネル3に残る場合がある。
非常時において避難する人は、冷静な判断ができない状態であることが予想され、横枠6が残った状態で強引に低強度パネル3を突破しようとする可能性があるが、このような場合でも、隙間Sを通り抜けようとした人が横枠6へぶつかり、その際に加えられる力で板部31が更に破れて横枠6が低強度パネル3から外れ人が通過しやすい状況となる。即ち、前記横枠6を破壊容易な板部31へのみ固定させることで、横枠6が板部31に支持されて残った状態でも人が強引に押し通ることが可能となされるので、非常時に効率よく人を避難させることができる。
【0040】
尚、本発明に係るフェンスFは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0041】
例えば、
図1〜7に示す実施形態において、前記フェンスFの縦枠5や横枠6は、1個のウェブ部と2個のフランジ部を備える断面コの字形状に形成させているが、これに限るものではなく、平板状や、H形形状など、前記板部31の剛性を向上させうるその他の形状に形成させてもよい。
【0042】
また、
図1〜7に示す実施形態において、前記縦枠5の端部を前記横枠6の各フランジ62、63間の隙間に挿入させているが、これに限るものではなく、前記横枠6の端部を前記縦枠5の各フランジ52、53間の隙間に挿入させてもよく、また前記縦枠5の端部と横枠6の端部とを離間させて設けてもよい。
【0043】
また、
図1〜7に示す実施形態において、板部31の上下両端に横枠6を固定させているが、これに限るものではなく、低強度パネル3の剛性が十分であれば、横枠6を板部31の上端又は下端のいずれか一方のみに固定させてもよい。