特許第6166227号(P6166227)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧 ▶ 小島プレス工業株式会社の特許一覧 ▶ 矢崎総業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6166227-送電装置及び受電装置 図000002
  • 特許6166227-送電装置及び受電装置 図000003
  • 特許6166227-送電装置及び受電装置 図000004
  • 特許6166227-送電装置及び受電装置 図000005
  • 特許6166227-送電装置及び受電装置 図000006
  • 特許6166227-送電装置及び受電装置 図000007
  • 特許6166227-送電装置及び受電装置 図000008
  • 特許6166227-送電装置及び受電装置 図000009
  • 特許6166227-送電装置及び受電装置 図000010
  • 特許6166227-送電装置及び受電装置 図000011
  • 特許6166227-送電装置及び受電装置 図000012
  • 特許6166227-送電装置及び受電装置 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6166227
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】送電装置及び受電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20170710BHJP
   H02J 50/60 20160101ALI20170710BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20170710BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20170710BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20170710BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20170710BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
   H02J50/10
   H02J50/60
   H02J7/00 P
   H01F38/14
   B60L11/18 C
   B60M7/00 X
   B60L5/00 B
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-138791(P2014-138791)
(22)【出願日】2014年7月4日
(65)【公開番号】特開2016-19305(P2016-19305A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2016年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 達
(72)【発明者】
【氏名】山田 英明
(72)【発明者】
【氏名】川出 誠
(72)【発明者】
【氏名】堀内 学
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 裕昭
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−128363(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/103316(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0015329(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00 − 50/90
H02J 7/00
B60L 5/00
B60L 11/18
B60M 7/00
H01F 38/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受電装置へ電力を送電する送電装置であって、
前記受電装置の受電コイルへ非接触で送電するための送電コイルと、
前記送電コイルの上方に位置する前記受電コイルへ前記送電コイルが送電するものとして、前記送電コイルの上方に設けられる異物検知器とを備え、
前記異物検知器は、
前記送電コイルの上面に沿って配設される複数の第1コイルと、
前記送電コイルの上面に沿って前記複数の第1コイルの上方又は下方に配設され、前記複数の第1コイルに対応して設けられる複数の第2コイルとを含み、
前記複数の第2コイルの各々は、対応の第1コイルに対向して配置され、
前記送電コイル並びに前記複数の第1コイル及び前記複数の第2コイルを前記送電コイルの上方から平面視した場合に、前記複数の第1コイルの各々及び前記複数の第2コイルの各々の外形は、前記送電コイルの外形よりも小さく、
前記複数の第1コイルの各々及び前記複数の第2コイルの各々は、互いに巻き数が同じで、かつ、巻き方向が反対の、少なくとも一つの一対のコイル要素を同一平面上に配置して、前記コイル要素を直列に接続した形状を有する、送電装置。
【請求項2】
受電装置へ電力を送電する送電装置であって、
前記受電装置の受電コイルへ非接触で送電するための送電コイルと、
前記送電コイルの上方に位置する前記受電コイルへ前記送電コイルが送電するものとして、前記送電コイルの上方に設けられる異物検知器とを備え、
前記異物検知器は、
前記送電コイルの上面に沿って配設される複数の第1コイルと、
前記送電コイルの上面に沿って前記複数の第1コイルの上方又は下方に配設され、前記複数の第1コイルに対応して設けられる複数の第2コイルとを含み、
前記複数の第2コイルの各々は、対応の第1コイルに対向して配置され、
前記送電コイル並びに前記複数の第1コイル及び前記複数の第2コイルを前記送電コイルの上方から平面視した場合に、前記複数の第1コイルの各々及び前記複数の第2コイルの各々の外形は、前記送電コイルの外形よりも小さく、
前記異物検知器は、前記複数の第1コイルのうち検知用の交流電圧が印加される第1コイル、及び前記検知用交流電圧が印加される第1コイルに対応する第2コイルのペアを切替えるための切替装置をさらに含み、
前記送電装置は、さらに、前記検知用交流電圧が印加される第1コイル、及び前記検知用交流電圧が印加される第1コイルに対応する第2コイルのペアを順次切替えるように前記切替装置を制御し、前記検知用交流電圧が印加される第1コイルに対応する第2コイルの受電状態に基づいて異物の有無を判定する制御装置をさらに備える、送電装置。
【請求項3】
前記検知用交流電圧が印加される第1コイルを含んで形成される第1共振回路、及び前記検知用交流電圧が印加される第1コイルに対応する第2コイルを含んで形成される第2共振回路の各々の共振周波数は、前記送電コイルに供給される交流電圧の周波数よりも高い、請求項2に記載の送電装置。
【請求項4】
前記共振周波数は、前記送電コイルに供給される交流電圧の高調波の周波数と異なる、請求項3に記載の送電装置。
【請求項5】
前記複数の第1コイル及び前記複数の第2コイルは、前記送電コイルが収容される筐体の上面の筐体内側に行列状に配設される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の送電装置。
【請求項6】
送電装置から出力される電力を受電する受電装置であって、
前記送電装置の送電コイルから非接触で受電するための受電コイルと、
前記受電コイルの下方に位置する前記送電コイルから前記受電コイルが受電するものとして、前記受電コイルの下方に設けられる異物検知器とを備え、
前記異物検知器は、
前記受電コイルの下面に沿って配設される複数の第1コイルと、
前記受電コイルの下面に沿って前記複数の第1コイルの上方又は下方に配設され、前記複数の第1コイルに対応して設けられる複数の第2コイルとを含み、
前記複数の第2コイルの各々は、対応の第1コイルに対向して配置され、
前記受電コイル並びに前記複数の第1コイル及び前記複数の第2コイルを前記受電コイルの下方から平面視した場合に、前記複数の第1コイルの各々及び前記複数の第2コイルの各々の外形は、前記受電コイルの外形よりも小さく、
前記複数の第1コイルの各々及び前記複数の第2コイルの各々は、互いに巻き数が同じで、かつ、巻き方向が反対の、少なくとも一つの一対のコイル要素を同一平面上に配置して、前記コイル要素を直列に接続した形状を有する、受電装置。
【請求項7】
送電装置から出力される電力を受電する受電装置であって、
前記送電装置の送電コイルから非接触で受電するための受電コイルと、
前記受電コイルの下方に位置する前記送電コイルから前記受電コイルが受電するものとして、前記受電コイルの下方に設けられる異物検知器とを備え、
前記異物検知器は、
前記受電コイルの下面に沿って配設される複数の第1コイルと、
前記受電コイルの下面に沿って前記複数の第1コイルの上方又は下方に配設され、前記複数の第1コイルに対応して設けられる複数の第2コイルとを含み、
前記複数の第2コイルの各々は、対応の第1コイルに対向して配置され、
前記受電コイル並びに前記複数の第1コイル及び前記複数の第2コイルを前記受電コイルの下方から平面視した場合に、前記複数の第1コイルの各々及び前記複数の第2コイルの各々の外形は、前記受電コイルの外形よりも小さく、
前記異物検知器は、前記複数の第1コイルのうち検知用の交流電圧が印加される第1コイル、及び前記検知用交流電圧が印加される第1コイルに対応する第2コイルのペアを切替えるための切替装置をさらに含み、
前記受電装置は、さらに、前記検知用交流電圧が印加される第1コイル、及び前記検知用交流電圧が印加される第1コイルに対応する第2コイルのペアを順次切替えるように前記切替装置を制御し、前記検知用交流電圧が印加される第1コイルに対応する第2コイルの受電状態に基づいて異物の有無を判定する制御装置をさらに備える、受電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、送電装置及び受電装置に関し、特に、非接触で電力をやり取りする送電装置と受電装置との間の異物検知に関する。
【背景技術】
【0002】
送電装置から受電装置へ非接触で電力を伝送する非接触電力伝送システムについて各種提案されている(特許文献1〜7)。
【0003】
このような非接触電力伝送システムにおいては、送電装置と受電装置との間に異物(存在すべきでない物)が侵入することが想定され、異物を適切に検知することが必要である。たとえば、特開2013−27171号公報(特許文献1)には、送電装置から受電装置への送電中でも精度よく金属異物を検知可能な検知装置が開示されている。この検知装置は、送電装置と受電装置との間に存在する金属異物を、コイルを含む共振回路のQ値の変化を用いて検知する。Q値測定用の上記コイルは、給電用コイル(送電コイル又は受電コイル)とは別に設けてもよいし、給電用コイルを用いてもよいとされる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−27171号公報
【特許文献2】特開2012−16125号公報
【特許文献3】特開2013−154815号公報
【特許文献4】特開2013−146154号公報
【特許文献5】特開2013−146148号公報
【特許文献6】特開2013−110822号公報
【特許文献7】特開2013−126327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の検知装置では、Q値測定用のコイルは、給電用コイルを用いてもよいとされ、給電用コイルとは別に設けられる場合についても、給電用コイルと同等サイズのものと想定される。しかしながら、たとえば、車両の非接触給電システムなど大電力を扱うシステムにおいては、給電用コイルもある程度大型化するので、給電用コイルに比べて相対的に小さい異物を検知できない可能性がある。
【0006】
それゆえに、この発明の目的は、受電装置へ非接触で電力を送電する送電装置において、送電コイルに比べて相対的に小さい異物も検知可能とすることである。
【0007】
また、この発明の別の目的は、送電装置から出力される電力を非接触で受電する受電装置において、受電コイルに比べて相対的に小さい異物も検知可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明によれば、送電装置は、受電装置へ電力を送電する送電装置であって、送電コイルと、異物検知器とを備える。送電コイルは、受電装置の受電コイルへ非接触で送電するためのコイルである。異物検知器は、送電コイルの上方に位置する受電コイルへ送電コイルが送電するものとして、送電コイルの上方に設けられる。異物検知器は、複数の第1コイルと、複数の第2コイルとを含む。複数の第1コイルは、送電コイルの上面に沿って配設される。複数の第2コイルは、送電コイルの上面に沿って複数の第1コイルの上方又は下方に配設され、複数の第1コイルに対応して設けられる。複数の第2コイルの各々は、対応の第1コイルに対向して配置される。そして、送電コイル並びに複数の第1コイル及び複数の第2コイルを送電コイルの上方から平面視した場合に、複数の第1コイルの各々及び複数の第2コイルの各々の外形は、送電コイルの外形よりも小さい。
【0009】
この送電装置においては、異物検知器は、複数の第1コイルと、複数の第2コイルとを含み、複数の第1コイル及び複数の第2コイルは、セットで送電装置に設けられる。これにより、第1コイルと対応の第2コイルとの間の距離を小さくして、第1コイル及び第2コイルのサイズを小さくすることができる。そして、この送電装置によれば、各第1コイル及び各第2コイルの外形は送電コイルの外形よりも小さいので、異物検知器によって送電コイルに比べて相対的に小さい異物も検知することができる。
【0010】
好ましくは、複数の第1コイル及び複数の第2コイルは、送電コイルが収容される筐体の上面の筐体内側に行列状に配設される。
【0011】
このような構成とすることにより、送電コイルが収容される筐体上の小さい異物を検知することができる。また、複数の第1コイル及び複数の第2コイルを破損や汚れから保護することができる。
【0012】
好ましくは、複数の第1コイルの各々及び複数の第2コイルの各々は、互いに巻き数が同じで、かつ、巻き方向が反対の、少なくとも一つの一対のコイル要素を同一平面上に配置して、コイル要素を直列に接続した形状を有する。
【0013】
各第1コイル及び各第2コイルは、送電コイルと受電コイルへの送電時に送電コイルが発生する磁束を受ける。この磁束は、各コイル要素を同方向に貫くところ、上記の構成とすることにより、各コイル要素に生じる誘導電圧は互いにキャンセルされる。したがって、この送電装置によれば、送電コイルから受電コイルへの送電時に異物検知器に誘導電圧が生じるのを抑制することができる。なお、少なくとも一つの一対のコイル要素は、たとえば一対のコイル要素によって8の字形状を形成するようなもののほか、2つの一対のコイル要素によって花弁形状を形成するようなものも含む。
【0014】
好ましくは、異物検知器は、切替装置をさらに含む。切替装置は、複数の第1コイルのうち検知用の交流電圧が印加される第1コイル(以下「通電コイル」と称する。)、及び通電コイルに対応する第2コイルのペアを切替える。送電装置は、制御装置をさらに備える。制御装置は、通電コイル、及び通電コイルに対応する第2コイルのペアを順次切替えるように切替装置を制御し、通電コイルに対応する第2コイルの受電状態に基づいて異物の有無を判定する。
【0015】
このような構成とすることにより、複数の第1コイル及び複数の第2コイルが配設された範囲において、小さな異物を広範囲にわたり検知することができる。なお、第2コイルの受電状態とは、第2コイルの受電電圧、受電電流及び受電電力の少なくともいずれかを示す。
【0016】
さらに好ましくは、通電コイルを含んで形成される第1共振回路、及び通電コイルに対応する第2コイルを含んで形成される第2共振回路の各々の共振周波数は、送電コイルに供給される交流電圧の周波数よりも高い。さらに好ましくは、共振周波数は、送電コイルに供給される交流電圧の高調波の周波数と異なる。
【0017】
このような構成により、送電コイルにより形成される磁界の異物検知器への影響を抑制することができる。
【0018】
また、この発明によれば、受電装置は、送電装置から出力される電力を受電する受電装置であって、受電コイルと、異物検知器とを備える。受電コイルは、送電装置の送電コイルから非接触で受電するためのコイルである。異物検知器は、受電コイルの下方に位置する送電コイルから受電コイルが受電するものとして、受電コイルの下方に設けられる。異物検知器は、複数の第1コイルと、複数の第2コイルとを含む。複数の第1コイルは、受電コイルの下面に沿って配設される。複数の第2コイルは、受電コイルの下面に沿って複数の第1コイルの上方又は下方に配設され、複数の第1コイルに対応して設けられる。複数の第2コイルの各々は、対応の第1コイルに対向して配置される。そして、受電コイル並びに複数の第1コイル及び複数の第2コイルを受電コイルの下方から平面視した場合に、複数の第1コイルの各々及び複数の第2コイルの各々の外形は、受電コイルの外形よりも小さい。
【0019】
この受電装置においては、複数の第1コイル及び複数の第2コイルは、セットで受電装置に設けられる。これにより、第1コイルと対応の第2コイルとの間の距離を小さくして、第1コイル及び第2コイルのサイズを小さくすることができる。そして、この受電装置によれば、各第1コイル及び各第2コイルの外形は受電コイルの外形よりも小さいので、異物検知器によって受電コイルに比べて相対的に小さい異物も検知することができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、送電コイルや受電コイルに比べて相対的に小さい異物も検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明の実施の形態1に従う送電装置が適用される非接触電力伝送システムの概略構成図である。
図2図1に示す送電ユニットの分解斜視図である。
図3】第1コイルと第2コイルとにより構成されるコイルペアの斜視図である。
図4図2に示す異物検知器の電気的な構成を示した図である。
図5】実施の形態1の変形例における第1コイル及び第2コイルの形状を示した図である。
図6】第1コイル及び第2コイルの他の形状を示した図である。
図7】第1コイル及び第2コイルのさらに他の形状を示した図である。
図8】実施の形態2における異物検知器にて用いられるコイルペアの斜視図である。
図9】実施の形態2の変形例における第1コイル及び第2コイルの形状を示した図である。
図10】第1コイル及び第2コイルの他の形状を示した図である。
図11図10に示す断面XI−XIの断面図である。
図12】実施の形態3において車両に搭載される受電ユニットの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。なお、以下では複数の実施の形態について説明するが、各実施の形態で説明された構成を適宜組合わせることは出願当初から予定されている。また、個数及び量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数及び量などに限定されない。
【0023】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1に従う送電装置が適用される非接触電力伝送システムの概略構成図である。なお、図中、矢印Dは鉛直方向下方を示し、矢印Uは鉛直方向上方を示し、矢印Fは車両前進方向を示し、矢印Bは車両後進方向を示す。これらについては、後述する図2,3,8,12においても共通する。
【0024】
図1を参照して、非接触電力伝送システム1000は、車両100と、送電装置300とを備える。車両100は、車両本体110と、受電ユニット200とを含む。車両本体110は、車両ECU(Electronic Control Unit)120と、整流器130と、DC/DCコンバータ140と、蓄電装置150と、パワーコントロールユニット160と、駆動ユニット170と、通信部180とを含む。
【0025】
受電ユニット200は、送電装置300の送電ユニット400に対向した状態で、送電ユニット400から非接触で受電するように構成される。受電ユニット200は、コアの周囲に導線が巻回された受電コイルと、共振コンデンサとを含む(いずれも図示せず)。なお、受電コイルにおける導線の巻数は、受電コイルと送電ユニット400の送電コイルとの間の距離、並びに受電コイルと送電コイルとの共振強度を示すQ値(たとえばQ≧100)及びそれらの結合度を示す結合係数κが大きくなるように適宜設計される。
【0026】
送電装置300は、高周波電力装置310と、送電ECU320と、通信部322と、送電ユニット400と、制御装置485とを含む。高周波電力装置310には、交流電源330が接続されている。送電ユニット400は、コアの周囲に導線が巻回された送電コイルと、共振コンデンサとを含む(いずれも図示せず)。送電ユニット400から車両100の受電ユニット200へ電力伝送可能な位置に車両100が駐車した際に、受電ユニット200における受電コイルのコイル巻回軸O1と、送電ユニット400における送電コイルのコイル巻回軸O2とは、互いに平行になることが企図される。
【0027】
そして、送電ユニット400の送電コイルは、高周波電力装置310から高周波電力(交流電圧)が印加されることにより磁界を形成し、その形成された磁界を介して受電ユニット200の受電コイルへ非接触で送電する。なお、送電コイルにおける導線の巻数も、送電コイルと受電コイルとの間の距離、並びにQ値(たとえばQ≧100)及び結合係数κが大きくなるように適宜設計される。制御装置485については、後ほど図4において説明する。
【0028】
図2は、図1に示した送電ユニット400の分解斜視図である。図2を参照して、送電ユニット400は、送電コイル410と、共振コンデンサ420と、筐体430と、異物検知器460とを含む。送電コイル410は、コア440と、コア440の周囲に巻回された導線450とを含む。一例として、コア440はフェライト製であり、その大きさについては長さL1,L2が400mm程度である。送電コイル410及び共振コンデンサ420は、筐体430内に収容される。筐体430は、シールド432と、蓋部材434とを含む。
【0029】
送電ユニット400と受電ユニット200との間に異物(存在すべきでない物)が存在すると、送電コイル410から受電ユニット200の受電コイルへの電力伝送時に、異物が発熱したり、電力伝送効率が低下したりする。異物検知器460は、送電ユニット400と受電ユニット200(図1)との間に異物が存在している場合に、そのような異物を検知する。異物としては、たとえば、飲料缶やお金等の金属片や、動物等が想定される。
【0030】
異物検知器460は、複数の第1コイル468と、複数の第2コイル478とを含む。複数の第1コイル468及び複数の第2コイル478は、送電コイル410の上方に設けられ、この実施の形態1では、筐体430の蓋部材434の内面上に配設されている。複数の第2コイル478は、複数の第1コイル468に対応して設けられ、各第1コイル468及び各第2コイル478は、同一の大きさ及び形状を有する。各第2コイル478は、対応の第1コイル468に対向して配置され、対応の第1コイル468とともにコイルペアを構成する。そして、複数の第1コイル468(複数の第2コイル478)の数に相当する複数組のコイルペアが、蓋部材434の内面上に行列状に配設される。
【0031】
すなわち、複数組のコイルペアは、送電コイル410の上面に沿って、送電コイル410の上方において行列状に配設されるところ、各コイルペア(各第1コイル468及び各第2コイル478)の外形(L3×L4)は、送電コイル410の外形(L1×L2)よりも小さい。このようなサイズのコイルペアによって、送電ユニット400と受電ユニット200との間に異物が存在する場合に、受電コイルの受電状態の変化(たとえば、受電コイルに発生する誘導電圧の低下)では検知できないような小さい異物も検知することができる。
【0032】
より詳しく説明すると、送電ユニット400と受電ユニット200との間に異物が存在する場合、送電コイル410から受電ユニットの200の受電コイルへの送電時に、送電コイル410と受電コイルとの間の結合係数の変化(低下)として表われる受電コイルの受電状態の変化(たとえば誘導電圧の低下)を検知することによって、異物を検知できる可能性もある。しかしながら、異物の大きさが送電コイル410及び受電コイルに対して相対的に小さい場合、送電コイル410と受電コイルとの間の結合係数に対する異物の影響は小さく、受電コイルの受電状態の変化からは異物を検知することができない。
【0033】
このような小さい異物を検知するには、送電コイル410及び受電コイルとは別に、異物検知用に小型のコイルペアを用いる必要がある。小型のコイルペアを用いることによって、送電側のコイルと受電側のコイルとの間の結合係数に対する異物の影響が相対的に大きくなり、小さい異物についても受電側コイルの受電状態の変化に基づいて検知することができる。しかしながら、コイルサイズを小さくすると、受電側のコイルを送電側のコイルと結合させるためには、コイル間の距離を小さくする必要がある。そこで、本実施の形態1に従う送電装置300においては、互いに近接して対向配置される第1コイル468及び第2コイル478をセットで送電装置300側に設けるとともに送電コイル410の上方に複数配置し、送電ユニット400と受電ユニット200との間に侵入した小さい異物も検知可能としたものである。
【0034】
なお、異物は、コイルペアを構成する第1コイル468と第2コイル478との間ではなく、コイルペアの上方に存在し得ることになるが、そのような場合でも、異物の存在によって第1コイル468と第2コイル478との間の結合係数が変化し、その結果第2コイル478の受電状態が変化するので、異物を検知することができる。なお、第2コイル478の受電状態とは、代表的には、第2コイル478に生じる誘導電圧であるが、第2コイル478に生じる誘導電流や誘導電力等であってもよい。
【0035】
図3は、第1コイル468と第2コイル478とにより構成されるコイルペアの斜視図である。図3を参照して、第1コイル468及び第2コイル478の各々は、矩形状の形状を有する。第2コイル478は、対応の第1コイル468と対向して配置される。第1コイル468及び第2コイル478の外形(L3×L4)に対して、第1コイル468と第2コイル478との間隔L5は小さい。一例として、長さL3,L4は20mmであり、長さL5は数mmである。このようなコイルペアの構成は、たとえば、プリント基板の両面に金属配線をパターニングすることで容易に作製できる。
【0036】
第1コイル468に検知用の交流電圧が印加されると、第1コイル468は、検知用磁界AR1を形成する。そうすると、第1コイル468に対向して配置された第2コイル478に、検知用磁界AR1によって誘導電圧が発生する。このとき、コイルペアの近傍に異物が存在すると、検知用磁界AR1が異物により影響を受けて第1コイル468と第2コイル478との間の結合係数が変化し、第2コイル478の受電状態が変化する。この受電状態の変化に基づいて、異物の有無が判定される。
【0037】
なお、第1コイル468と第2コイル478との上下関係は、特に限定されない。第2コイル478は、図に示されるように第1コイル468の上方(U方向)に配置してもよいし、第1コイル468の下方(D方向)に配置してもよい。
【0038】
図4は、図2に示した異物検知器460の電気的な構成を示した図である。図4を参照して、異物検知器460は、複数の第1コイル468及び複数の第2コイル478に加えて、発振器461と、パワーアンプ462と、共振コンデンサ463と、マルチプレクサ464,465と、複数の共通配線466,467とを含む。また、異物検知器460は、信号処理回路471と、共振コンデンサ472と、共振抵抗473と、マルチプレクサ474,475と、複数の共通配線476,477とをさらに含む。
【0039】
なお、説明上の便宜のため、複数の第1コイル468と複数の第2コイル478とは、離れて図示されているが、実際には、図2で説明したように、各第2コイル478は、対応の第1コイル468と対向して配置され、対応の第1コイル468とコイルペアを構成している。また、この実施の形態1では、一例としてコイルペアが16組設けられる構成が示されているが、コイルペアの数はこれに限定されるものではない。
【0040】
本実施の形態1に従う送電装置においては、マルチプレクサ464,465,474,475が「切替装置」として機能する。この切替装置によって、複数の第1コイル468のうち検知用の交流電圧が印加される1つの第1コイル468と、その検知用交流電圧が印加される第1コイル468に対応する1つの第2コイル478とのペア(コイルペア)が順次切替えられる。以下、具体的に説明する。
【0041】
発振器461は、任意の周波数(たとえば13.56MHz)を有する信号を発生し、その信号はパワーアンプ462によって増幅される。パワーアンプ462から出力される異物検知用の交流電圧は、共振コンデンサ463を通じてマルチプレクサ464に入力される。マルチプレクサ464は、共振コンデンサ463、制御装置485及び4本の共通配線466に接続される。一方、マルチプレクサ465は、接地線、制御装置485及び4本の共通配線467に接続される。
【0042】
各共通配線466は、4つの第1コイル468の一方の端子に接続される。各共通配線467は、4つの第1コイル468の他方の端子に接続される。マルチプレクサ464は、制御装置485からの切替指令に従って、4本のうちのいずれか1本の共通配線466に交流電圧を出力する。マルチプレクサ465は、制御装置485からの切替指令に従って、4本のうちのいずれか1本の共通配線467を接地線と導通させる。
【0043】
複数の第1コイル468は、4×4の行列状に配列される。マルチプレクサ464及びマルチプレクサ465によって、あるタイミングでは、16個の第1コイル468のいずれかにマルチプレクサ464からの交流電圧が印加される。どの第1コイル468に交流電圧が印加されるかについては、制御装置485からマルチプレクサ464,465に与えられる切替指令に従って決定される。そして、各第1コイル468は、検知用交流電圧を印加された際に、検知用磁界を形成する。
【0044】
一方、複数の第2コイル478も、4×4の行列状に配列される。マルチプレクサ474は、共振コンデンサ472、制御装置485及び4本の共通配線476に接続される。マルチプレクサ475は、接地線、制御装置485及び4本の共通配線477に接続される。各共通配線476は、4つの第2コイル478の一方の端子に接続される。各共通配線477は、4つの第2コイル478の他方の端子に接続される。信号処理回路471は、共振コンデンサ472及び共振抵抗473に接続される。なお、共振抵抗473は、周波数のずれに対してロバストな電力伝送を実現するために設けられている。
【0045】
16個の第1コイル468のいずれかに交流電圧が印加された際、その第1コイル468は検知用磁界を形成する。この第1コイル468に対向して配置された第2コイル478は、この第1コイル468が形成した検知用磁界により誘導電圧を発生する。この第2コイル478は、制御装置485からマルチプレクサ474,475に送出される切替指令に応じて予め特定される。
【0046】
ここで、共振コンデンサ463のキャパシタンスC1、及び各第1コイル468のインダクタンスL1について、発振器461の発振周波数f1に対してf1=1/(2π×(L1×C1)1/2)を満足するように回路定数が予め定められている。同様に、共振コンデンサ472のキャパシタンスC2、及び各第2コイル478のインダクタンスL2についても、f1=1/(2π×(L2×C2)1/2)を満足するように回路定数が予め定められている。すなわち、第1コイル468と共振コンデンサ463とにより構成される共振回路、及び第2コイル478と共振コンデンサ472とにより構成される共振回路は、共振周波数が発振器461の発振周波数f1と一致するように設計される。
【0047】
検知用の交流電圧が印加された第1コイル468に対応する第2コイル478に生じた誘導電圧は、マルチプレクサ474、共振コンデンサ472及び共振抵抗473を介して信号処理回路471(たとえばAC/DC回路)に伝達される。信号処理回路471は、共振コンデンサ472から受ける電圧を、制御装置485が受信できるのに適した信号に変換して制御装置485へ出力する。
【0048】
制御装置485は、信号処理回路471からの信号に基づいて、すなわち、検知用交流電圧が印加された第1コイル468に対応する第2コイル478の受電状態に基づいて、異物の有無を判定する。第1コイル468及び第2コイル478の付近に異物が存在していた場合には、第1コイル468及び第2コイル478の周囲に形成される磁界がその異物に鎖交することによって、第2コイル478の受電状態が変化する。制御装置485は、異物が存在していない場合の第2コイル478の受電状態に相当する比較値を予め有しており、信号処理回路471から受け取る信号レベルがこの比較値よりも低い場合には、異物が存在していると判断する。
【0049】
なお、異物検知器460による異物検知は、基本的には、送電ユニット400から受電ユニット200への送電の開始前に実施されるが、送電ユニット400から受電ユニット200への送電中も実施可能である。ここで、送電ユニット400から受電ユニット200への送電中は、各第1コイル468及び各第2コイル478は、送電コイル410により形成される磁界に曝されるので、異物検知器460において構成される上記共振回路の共振周波数は、送電コイル410が形成する磁界の周波数と異なる値に設定するとよい。すなわち、共振周波数(発振器461の発振周波数f1)は、高周波電力装置310から送電ユニット400に供給される交流電圧の周波数f2とは異なる値に設定するとよい。
【0050】
好ましくは、周波数f1は、周波数f2よりも十分に高い値に設定し(たとえば30倍以上)、さらに、周波数f2の高調波の周波数からもずらした値に設定するとよい。周波数f1をこのように設定することにより、送電ユニット400から受電ユニット200への送電時に、送電コイル410が形成する磁界による誘導電圧が第1コイル468及び第2コイル478に生じるのを抑制することができ、高精度な異物検知を実現できる。一例として、周波数f2が85kHzである場合に、周波数f1を13.56MHzに設定することができる。
【0051】
以上のように、この実施の形態1においては、異物検知器460は、複数の第1コイル468と、複数の第2コイル478とを含み、複数の第1コイル468及び複数の第2コイル478がセットで送電ユニット400に設けられる。これにより、第1コイル468と対応の第2コイル478との間の距離を小さくして、第1コイル468及び第2コイル478のサイズを小さくすることができる。そして、この実施の形態1によれば、各第1コイル468及び各第2コイル478の外形は送電コイル410の外形よりも小さいので、異物検知器460によって送電コイル410に比べて相対的に小さい異物も検知することができる。
【0052】
また、この実施の形態1によれば、複数の第1コイル468及び複数の第2コイル478を筐体430の上面の筐体内側(蓋部材434の内面上)に行列状に配設したので、送電ユニット400上の小さい異物を検知することができる。また、複数の第1コイル468及び複数の第2コイル478を破損や汚れから保護することができる。
【0053】
また、この実施の形態1においては、マルチプレクサ464,465,474,475を用いることによって配線の一部が共通化され、配線量の増大が抑制される。したがって、この実施の形態1によれば、第1コイル468及び第2コイル478の配置数を増やして異物検知精度を高めることができる。また、別の見方をすれば、配線は、金属シールドとして機能しやすい部材であり、配線量の増大は、電力伝送の効率を低下させる要因となり得るので、この実施の形態1によれば、配線量の増大が抑制されることにより、電力伝送の効率低下を抑制することができる。
【0054】
また、この実施の形態1においては、異物検知器460において構成される共振回路の共振周波数は、送電コイル410に供給される交流電圧の周波数よりも高い。さらに好ましくは、共振周波数は、送電コイル410に供給される交流電圧の高調波の周波数と異なる。このような構成とすることにより、この実施の形態1によれば、送電コイル410により形成される磁界の異物検知器460への影響を抑制することができる。
【0055】
[実施の形態1の変形例]
上記の実施の形態1では、第1コイル468及び第2コイル478は、矩形の形状を有するものとしたが(図3)、図5に示すように、第1コイル468及び第2コイル478の形状は、三角形状であってもよい。また、図6に示すように、第1コイル468及び第2コイル478の形状は、六角形状などの他の多角形形状であってもよい。多角形形状のコイルによれば、大きさ及び形状を揃えることによって、検知感度の均一化を図ることができる。
【0056】
また、図7に示すように、外形が円形状のコイル部分を有する第1コイル468及び第2コイル478が採用されてもよい。図7では、第1コイル468及び第2コイル478から成る複数組のコイルペアが同心円状に配置されている。
【0057】
[実施の形態2]
図3図5図7に示した第1コイル468及び第2コイル478は、送電コイル410により形成される磁界の影響を受けて誘導電圧が発生し、送電コイル410と受電ユニット200との間の電力伝送効率の低下を招く場合がある。そのため、実施の形態1では、異物検知器460において構成される共振回路の共振周波数を、送電コイル410に供給される交流電圧の周波数と異ならせる(高調波も含めて)のが好ましいことを説明した。
【0058】
この実施の形態2では、異物検知器を構成する各コイルについて、送電コイル410により形成される磁界の影響を受けにくい形状を有するコイルが採用される。
【0059】
図8は、実施の形態2における異物検知器にて用いられるコイルペアの斜視図である。図8を参照して、この実施の形態2では、図3に示した実施の形態1におけるコイルペアに代えて、第1コイル468Aと第2コイル478Aとによって構成されるコイルペアが用いられる。
【0060】
第1コイル468Aは、互いに巻き数が同じで、かつ、巻き方向が反対の一対のコイル要素468B,468Cを同一平面上に配置して、コイル要素468B,468Cを直列に接続した形状(8の字形状)を有する。第2コイル478Aは、第1コイル468Aと同様のコイル形状を有しており、対応の第1コイル468Aと対向して配置される。
【0061】
第1コイル468Aに検知用の交流電圧が印加されると、第1コイル468Aは、検知用磁界AR2を形成する。そうすると、第1コイル468Aに対向して配置された第2コイル478Aに、検知用磁界AR2によって誘導電圧が発生する。ここで、送電ユニット400と受電ユニット200との間で電力伝送が行なわれている最中には、各コイル要素は、同一方向かつ同一量の磁束(矢印AR3)を受ける。この磁束AR3によって各コイル要素には誘導電圧が発生し得るところ、コイル要素468Bに発生する誘導電圧は、コイル要素468Cに発生する誘導電圧によってキャンセルされるので、第1コイル468Aにはトータルで誘導電圧は発生しない。第2コイル478Aについても同様であり、第2コイル478Aが磁束AR3を受けても、第2コイル478Aにはトータルで誘導電圧は発生しない。
【0062】
したがって、このようなコイル形状を有する実施の形態2によれば、送電ユニット400から受電ユニット200への電力伝送時に送電コイル410により形成される磁界の異物検知器への影響を抑制することができる。電力伝送のための磁界による誘導電圧の発生が抑制されることによって、第2コイル478Aから出力される検知用磁界による誘導電圧の値にノイズが入り込むことが抑制され、ひいては検知感度を向上させることが可能となる。
【0063】
なお、コイル要素468B,468Cの各々(コイル要素478B,478Cの各々)が送電コイル410から受ける磁束は、できるだけ同量にすることが望ましい。そこで、コイル要素468B,468C(コイル要素478B,478C)が送電コイル410の導線450(図2)の延びる方向(車幅方向)に沿って並ぶようにコイルペアを配置するのが好ましい。
【0064】
[実施の形態2の変形例]
上記の実施の形態2では、第1コイル468A及び第2コイル478Aの各々は、一対のコイル要素によって8の字形状を有するものとしたが、図9に示すように、第1コイル及び第2コイルの各々は、たとえば、2つの一対のコイル要素によって花弁形状を有するものとしてもよい。すなわち、第1コイル468Aに代わる第1コイル468Dは、互いに巻き数が同じで、かつ、巻き方向が反対の一対のコイル要素468E,468Fと、互いに巻き数が同じで、かつ、巻き方向が反対の一対のコイル要素468G,468Hとによって構成される。コイル要素468E〜468Hは、同一平面上に配置され、コイル要素468E〜468Hを順次直列に接続した形状を有する。第2コイル478Aに代わる第2コイル478Dも、第1コイル468Dと同様の構成を有する。
【0065】
また、図10の平面図及び図11の断面図に示すように、第1コイル468A及び第2コイル478Aに代えて第1コイル468I及び第2コイル478Iによってコイルペアを構成し、コイル要素468J(478J)とコイル要素468K(478K)との間に間隔L6を設ける構成としてもよい。コイル要素の間隔L6を大きくすることによって、第1コイル468Iに検知用の交流電圧を印加することにより形成される検知用磁界AR4を大きくすることができ、ひいては検知精度を向上させることが可能となる。
【0066】
[実施の形態3]
上記の各実施の形態においては、異物検知器は、送電装置300側に設けられるものとしたが、異物検知器は、車両側(受電装置側)に設けてもよい。
【0067】
図12は、実施の形態3において車両に搭載される受電ユニット200Aの分解斜視図である。図12を参照して、受電ユニット200Aは、受電コイル210と、共振コンデンサ220と、筐体230と、異物検知器260とを含む。受電コイル210は、コア240と、コア240の周囲に巻回された導線250とを含む。筐体230は、シールド232と、蓋部材234とを含む。
【0068】
異物検知器260は、複数の第1コイル268と、複数の第2コイル278とを含む。複数の第1コイル268及び複数の第2コイル278は、受電コイル210の下方に設けられ、この実施の形態3では、筐体230の蓋部材234の内面上に配設されている。複数の第2コイル278は、複数の第1コイル268に対応して設けられ、各第1コイル268及び各第2コイル278は、同一の大きさ及び形状を有する。各第2コイル278は、対応の第1コイル268に対向して配置され、対応の第1コイル268とともにコイルペアを構成する。そして、複数の第1コイル268(複数の第2コイル278)の数に相当する複数組のコイルペアが、蓋部材234の内面上に行列状に配設される。
【0069】
複数組のコイルペアは、受電コイル210の下面に沿って、受電コイル210の下方において行列状に配設されるところ、各コイルペア(各第1コイル268及び各第2コイル278)の外形(L3×L4)は、受電コイル210の外形(L1×L2)よりも小さい。このようなサイズのコイルペアによって、送電ユニット400と受電ユニット200との間に異物が存在する場合に、受電コイル210の受電状態の変化(たとえば、受電コイル210に発生する誘導電圧の低下)では検知できないような小さい異物も検知することができる。
【0070】
なお、特に図示しないが、この実施の形態3に対しても、第1コイル268及び第2コイル278を、図5図11に示されるような形状のコイルで構成してもよい。
【0071】
この実施の形態3によっても、上記の各実施の形態と同様の効果が得られる。
なお、上記の各実施の形態において、複数の第1コイル及び複数の第2コイルは、必ずしも行列状に配置する必要はない。なお、行列状に配置することにより、マルチプレクサを採用して配線数を低減することが可能となる。
【0072】
また、上記においては、異物検知器460を破損や汚れから保護するために、異物検知器460は、送電ユニット400の筐体430の内面(蓋部材434の内面)、或いは受電ユニット200の筐体230の内面(蓋部材234の内面)に設けられるものとしたが、この配置は必須ではなく、筐体の外部に設けることも可能である。
【0073】
また、上記においては、送電コイル410及び受電コイル210の各々は、コイルの巻回軸が車両前後方向になる構成としたが、各コイルの構成は、このようなものに限定されない。たとえば、送電コイル410及び受電コイル210の各々には、コイルの巻回軸が車両上下方向を向く螺旋状のものを採用してもよいし、コイルの巻回軸が車両上下方向を向く渦巻き状のものを採用してもよい。
【0074】
今回開示された各実施の形態は、適宜組合わせて実施することも予定されている。そして、今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0075】
100 車両、110 車両本体、120 車両ECU、130 整流器、140 DC/DCコンバータ、150 蓄電装置、160 パワーコントロールユニット、170 モータユニット、180 通信部、200,200A 受電ユニット、210 受電コイル、220,420,463,472 共振コンデンサ、230,430 筐体、232,432 シールド、234,434 蓋部材、240,440 コア、250,450 導線、300 送電装置、310 高周波電力装置、320 送電ECU、322 通信部、330 交流電源、400 送電ユニット、410 送電コイル、460 異物検知器、461 発振器、462 パワーアンプ、464,465,474,475 マルチプレクサ、466,467,476,477 共通配線、468,468A,468D,468I 第1コイル、468B,468C,468E〜468H,468J,468K,478B,478C,478E〜478H,478J,478K コイル要素、471 信号処理回路、473 共振抵抗、478,478A,478D,478I 第2コイル、485 制御装置、1000 車両。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12