(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導電性ペースト組成物の総重量100%を基として、前記ガラスフリットが前記ペーストの0.01〜10wt%である、請求項1〜5の何れか1項に記載の導電性ペースト組成物。
請求項1〜8の何れか1項に記載の導電性ペースト組成物の施された縁に重ねて、シリコンウェーハの裏面にアルミニウム含有ペーストを塗布する工程をさらに含む、請求項14又は15に記載の太陽電池を製造する方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、太陽電池の裏面への塗布に有用な導電性ペースト組成物に関する。導電性ペースト組成物は、好ましくは、金属粒子、ガラスフリット、及び有機ビヒクルを含む。このような用途に限られないが、そのようなペーストは、太陽電池における電気接点層又は電極を形成するのに、モジュール内で太陽電池を相互接続するために使用するはんだパッドを形成するのに使用されてもよい。
【0017】
図1は、シリコン太陽電池100の裏面に堆積された例となるはんだパッド110を示す。この特定の実施例では、スクリーン印刷された銀はんだパッド110がシリコン太陽電池100の全長に亘って横断する。他の構成では、はんだパッド110は個別のセグメントであってもよい。はんだパッド110は、当該技術分野で公知のもののように、如何なる形状及び大きさとなることができる。第2の裏面側のペースト、例えば、アルミニウム含有ペーストは、また、シリコン太陽電池100の裏面に印刷され、はんだパッド110の縁と接触される。この第2の裏面側のペーストは、焼成されると、太陽電池100のBSF120を形成する。
【0018】
[導電性ペースト]
本発明の1つの態様は、裏面はんだパッドを形成するのに用いられる導電性ペーストの組成物に関する。所望の裏面側のペーストは、太陽電池の電気性能の最適化もしつつ、最適な太陽電池の機械的信頼性を可能にする、高い接着強度を有するものである。本発明に係る導電性ペースト組成物は、一般的に、金属粒子、有機ビヒクル、及びガラスフリットからなる。1つの実施形態によれば、裏面側の導電性ペーストは、導電性ペースト組成物の総重量100%を基として、約30〜75wt%の総金属粒子、約0.01〜10wt%のガラスフリット、及び約20〜60wt%の有機ビヒクルを含む。
【0019】
[ガラスフリット]
本発明のガラスフリットは、得られた導電性ペーストの接着強度を改良する。裏面はんだパッドを印刷するのに用いられる導電性ペーストの金属含有量はペーストの接着強度に影響を有する。よりはんだ付け可能な使用可能材料があるから、高い金属粒子の含有量、例えば導電性ペースト組成物の総重量100%を基として60〜75wt%は、良好な接着を提供する。金属含有量が60wt%より低い場合、接着力は急激に減少する。従って、その接着強度の減少を補うため、ガラスフリットはより一層重要となる。加えて、はんだパッドを形成するために用いられるある特定のペーストは、BSFを形成するためにシリコン太陽電池の裏側表面全体に塗布されるアルミニウムペーストと相互作用し得る。それが生じる際、気泡又は欠陥が裏面側のはんだペーストと表面のアルミニウムペーストが重なる領域で形成する。本発明のガラス組成物は、はんだペーストとアルミニウム層とのこの相互作用を緩和する。
【0020】
本発明の導電性ペーストは、導電性ペースト組成物の総重量100%を基として、約0.01〜10wt%のガラスフリット、好ましくは約0.01〜7wt%、より好ましくは約0.01〜6wt%、及びより一層好ましくは約0.01〜5wt%含んでもよい。最も好ましい実施形態では、導電性ペーストは約3wt%のガラスフリットを含む。
【0021】
ガラスフリット粒子が様々な形状及び大きさを示し得ることは、当該技術分野で周知である。ガラスフリット粒子の種々の形状のいくつかの例は、球状、角ばった形状、細長状(棒又は針状)、及び扁平状(シート状)を含む。ガラスフリット粒子は、また、異なる形状の粒子の組合せとして存在してもよい。製造された電極の接着に有利である、1つの形状、又は形状の組合せを有するガラスフリット粒子が、本発明において好ましい。
【0022】
粒径は、当業者にとっては周知である、粒子の特徴である。粒径d
50は、中位径、又は粒径分布の中央値である。それは、累積分布における50%での粒径の値である。粒径d
10は、より小さい直径を有する累積分布における粒子のおよそ10%での直径である。同様に、粒径d
90は、より小さい直径を有する累積分布における粒子のおよそ90%での直径である。
【0023】
粒径分布は、レーザー回折、動的光散乱、撮像、電気泳動の光散乱、又は当該技術分野で公知の任意の他の方法により測定されてもよい。LA−910ソフトウェアプログラムを備えるコンピューターに接続されたHoriba LA−910レーザー回折粒度分布測定装置が、本発明に係るガラスフリットの粒径分布を測定するのに使用される。ガラスフリット粒子の相対屈折率は、LA−910マニュアルから選ばれ、ソフトウェアプログラムに入力される。試験チャンバーは、タンクにおける適切な充填ラインへ脱イオン水で満たされる。次いで、溶液は、ソフトウェアプログラムにおける循環及び撹拌機能を用いて循環される。1分後、溶液は排出される。これは、チャンバーが如何なる残留物も洗って除かれていることを確実にするための追加の時間を繰り返す。次いで、チャンバーは、脱イオン水で3回満たされ、1分間循環及び撹拌させる。その溶液における如何なるバックグラウンド粒子も、ソフトウェアにおけるブランク機能(blank function)を用いて除去される。次いで、超音波の撹拌が開始され、ガラスフリットが、透過率バー(transmittance bars)がソフトウェアプログラムにおける適切な範囲となるまで、試験チャンバーにおける溶液へゆっくりと添加される。一度、透過率(transmittance)が適切なレベルとなれば、レーザー回折分析が実行され、ガラスフリットの粒径分布が測定され、粒径d
10、d
50、及び/又はd
90として得られる。
【0024】
本発明の好ましい実施形態において、ガラスフリットの中央粒径d
50は、約0.01〜3μmの範囲、好ましくは約0.01〜2μmの範囲、及び最も好ましくは約0.1〜1μmの範囲にある。別の実施形態によれば、ガラスフリットの粒径d
10は、約0.01〜1μm、好ましくは約0.01〜0.5μm、及びより好ましくは約0.01〜0.2μmの範囲にある。さらに別の実施形態によれば、ガラスフリットの粒径d
90は、約0.5〜3μm、好ましくは1〜3μm、及びより好ましくは約2〜3μmの範囲にある。約0.5〜約3μmの範囲の粒子の大きさd
90を有するガラスフリットの含有が得られたペースト電気的性能を改良することが信じられている。
【0025】
粒子の形状及び表面を特徴付ける別の方法は、体積に対する表面積の比(比表面積)によるものである。比表面積を測定する方法は、当該技術分野で公知である。本願明細書に記載の、全ての表面積の測定はHoriba SA−9600 Specific Surface Area AnalyzerにおけるBET(Brunauer−Emmett−Teller)法を用いて実行された。金属粒子サンプルは、およそ全体の半分となるまで、U字管のボトムシリンダー(bottom cylinder)内に充填される。次いで、そのU字管内に充填したサンプルの質量が測定される。このU字管は機器に取り付けられ、30%の窒素/残部のヘリウムガスを用いて15分間、140℃で脱気される。一度サンプルが脱気されると、分析装置に取り付けられる。次いで、液体窒素がサンプルデュワー瓶を満たすのに使用され、機械によってその表面吸脱着曲線が測定される。一度分析器によって表面積が測定されると、U字管を満たすために用いられた金属粒子サンプルの質量によりこの値を割ることによって比表面積は算出される。
【0026】
1つの実施形態において、ガラスフリット粒子は、約0.5m
2/g〜約11m
2/g、好ましくは約1m
2/g〜約10m
2/g、及び最も好ましくは約2m
2/g〜約8m
2/gの比表面積を有する。
【0027】
1つの実施形態によれば、ガラスフリットは、Bi
2O
3、Al
2O
3、SiO
2、B
2O
3、SrO、又はこれらの組合せを含む。1つの実施形態において、ガラスフリットは、Bi
2O
3、Al
2O
3、SiO
2、B
2O
3、及びSrOを含む。そのような組合せは、得られたペースト組成物の接着特性を改良することが測定されている。
【0028】
さらに、1つの実施形態によれば、ガラスフリットは5wt%未満の酸化亜鉛(ZnO)を有する。好ましい実施形態によれば、ガラスフリットは、酸化亜鉛を含まず又は実質的に含まない。本願明細書で使用する場合、「実質的に含まない」との用語は、一般的に、ペーストにおいて酸化亜鉛が1wt%未満であることに関する。
【0029】
本発明の他の実施形態によれば、導電性ペーストに存在するガラスフリットは、他の元素、酸化物、加熱により酸化物を生成する化合物、又はこれらの混合物を含んでもよい。本願明細書において、好ましい元素は、ケイ素、ホウ素、アルミニウム、ビスマス、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、ガドリニウム、セリウム、ジルコニウム、チタン、マンガン、スズ、ルテニウム、コバルト、鉄、銅、バリウム、及びクロム、又はこれらの組合せである。1つの実施形態によれば、ガラスフリットは鉛を含んでもよく、又は実質的に無鉛であってもよい。好ましくは、ガラスフリットは実質的に無鉛である。本願明細書で使用する場合、「実質的に無鉛」との用語は、一般的にガラスフリットの総重量を基として、鉛が約0.5wt%未満であることに関する。
【0030】
ガラスフリット内に組み込むことができる好ましい酸化物は、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、希土類元素酸化物、第V族及び第VI族酸化物、他の酸化物、又はこれらの組合せを含んでもよい。本願明細書において、好ましいアルカリ金属酸化物は、酸化ナトリウム、リチウムオキシド、酸化カリウム、ルビジウム酸化物、セシウム酸化物、又はこれらの組合せである。本願明細書において、好ましいアルカリ土類金属酸化物は、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、又はこれらの組合せである。本願明細書において、好ましい第V族の酸化物は、P
2O
5のような亜リン酸酸化物、Bi
2O
3のようなビスマス酸化物、又はこれらの組合せである。本願明細書において、好ましい第VI族の酸化物は、TeO
2若しくはTeO
3のようなテルル酸化物、SeO
2のようなセレン酸化物、又はこれらの組合せである。好ましい希土類元素酸化物は、CeO
2のような酸化セリウム、及びLa
2O
3のような酸化ランタンである。本願明細書において、他の好ましい酸化物は、酸化ケイ素(例えば、SiO
2)、酸化アルミニウム(例えば、Al
2O
3)、酸化ゲルマニウム(例えば、GeO
2)、酸化バナジウム(例えば、V
2O
5)、酸化ニオブ(例えば、Nb
2O
5)、酸化ホウ素(例えば、B
2O
3)、酸化タングステン(例えば、WO
3)、酸化モリブデン(例えば、MoO
3)、酸化インジウム(例えば、In
2O
3)、さらに、好ましい元素として上に列挙された元素の酸化物、及びこれらの組合せである。好ましいガラスフリットの元素構成物として挙げられた元素の少なくとも2種を含有する混合酸化物、又は上記の酸化物のうちの少なくとも1つを上記の金属のうちの少なくとも1つと加熱して形成される混合酸化物も、使用されてもよい。上に挙げられた酸化物及び混合酸化物の少なくとも2種の混合物も、本発明において使用されてもよい。
【0031】
本発明の1つの実施形態によれば、ガラスフリットは導電性ペーストの所望の焼成温度より低いガラス転移温度(Tg)を有する。好ましいガラスフリットは、熱機械分析を用いて測定される、約250℃〜約750℃、好ましくは約300℃〜約700℃の範囲、及び最も好ましくは約350℃〜約650℃の範囲のTgを有する。ガラス転移温度Tgは、試料ホルダーHTP 40000A69.010、熱電対Type S、及び白金オーブンPt S TC:S(全てNetzschから市販)を備えたDSC装置Netzsch STA 449 F3 Jupiter(Netzschから市販)を用いて測定されてもよい。測定及びデータ評価のために、ソフトウェアNetzsch Messung V5.2.1、及びProteus Thermal Analysis V5.2.1が使用される。参考及びサンプルのためのパンとして、直径6.8mm及び容量約85μlである、酸化アルミニウムパンGB 399972、及びキャップGB 399973(双方、Netzschから市販)が用いられる。約20〜30mgの量のサンプルが、0.01mgの精度でサンプル用パンに秤量される。空の参照用パン及びサンプル用パンは、装置内に配置され、オーブンが閉じられ、測定が開始される。25℃の開始温度から1000℃の終了温度、10K/分の加熱速度が採用される。機器内のバランスは、常に窒素(N
25.0)でパージされ、オーブンは、50ml/分の流量により合成空気(Lindeから80%N
2及び20%O
2)でパージされる。上記のソフトウェアを用いて、DSC信号における最初のステップがガラス転移として評価され、測定された開始点がTgの温度となる。
【0032】
ガラスフリット粒子は表面コーティングを有してもよい。当該技術分野で公知の及び本発明において好適な如何なるそのようなコーティングも、ガラスフリット粒子に採用されてもよい。本発明において好ましいコーティングは、導電性ペーストの接着特性の改良を高めるコーティングである。もしそのようなコーティングが存在するなら、何れの場合もガラスフリット粒子の総重量を基として、約0.01〜10wt%、好ましくは約0.01〜8wt%、約0.01〜5wt%、約0.01〜3wt%、及び最も好ましくは約0.01〜1wt%に相当するコーティングであるのが好ましい。
【0033】
[導電性の金属粒子]
本発明の導電性の裏面側のペーストは、また、導電性の金属粒子を含む。導電性ペーストは、導電性ペースト組成物の総重量100%を基として、約30〜約75wt%の総金属導電性粒子を含んでもよい。別の実施形態において、導電性ペーストは、約40〜約60wt%、好ましくは約50〜約60wt%の総金属導電性粒子を含んでもよい。1つの実施形態によれば、導電性ペーストは、約52wt%の導電性の金属粒子を含む。低い金属粒子含有量が得られたペーストの接着力を低下させる一方、得られたペーストの製造費も下げる。
【0034】
当該技術分野で公知であり、本発明において好適であるとされる全ての金属粒子は、導電性ペーストにおいて金属粒子として採用されてもよい。本発明において好ましい金属粒子は、電気伝導性が存在し、高い接着力、並びに低い直列及び背面格子抵抗を備えるはんだパッドを生み出すものである。本発明に係る好ましい金属粒子は、元素状金属、合金、金属誘導体、少なくとも2種の金属の混合物、少なくとも2種の合金の混合物、又は少なくとも1種の金属と少なくとも1種の合金との混合物である。
【0035】
好ましい金属は、銀、アルミニウム、金及びニッケル、並びに合金、又はこれらの混合物のうちの少なくとも1つを含む。好ましい実施形態において、金属粒子は銀を含む。好適な銀誘導体は、例えば、銀合金、及び/又は銀ハロゲン化物(例えば、塩化銀)、硝酸銀、酢酸銀、トリフルオロ酢酸銀、オルトリン酸銀、及びこれらの組合せのような銀塩を含む。1つの実施形態において、金属粒子は、1以上の異なる金属又は合金でコートされた金属又は合金、例えばアルミニウムでコートされた銀粒子を含む。
【0036】
金属粒子は、様々な形状、大きさ、体積対表面積比、及びコーティング層を示してもよい。様々な形状は、当該技術分野で公知である。いくつかの例は、球状、角ばった形状、細長状(棒又は針状)、及び扁平状(シート状)を含む。金属粒子は、また、異なる形状の粒子の組合せとして存在してもよい。接着に有利である、1つの形状、又は形状の組合せを有する金属粒子が、本発明において好ましい。粒子の表面性を考慮せずにそのような形状を特性付ける1つの方法は、長さ、幅、及び厚さのパラメータを通してなされるものである。本発明に関して、粒子の長さは、粒子内に含まれる両端点の最長の空間変位ベクトルの長さによって与えられる。粒子の幅は、先に定義された粒子内に含まれる両端点の長さベクトルに垂直の最長の空間変位ベクトルの長さによって与えられる。粒子の厚さは、双方先に定義された、粒子内に含まれる両端点の長さベクトル及び幅ベクトルの双方に垂直の最長の空間変位ベクトルの長さによって与えられる。
【0037】
1つの実施形態において、可能な限り均一な形状を有する金属粒子が使用される(すなわち、長さ、幅、及び厚さを相関する比率が可能な限り1に近く、好ましくは全ての比率が約0.7〜約1.5の範囲内、より好ましくは約0.8〜約1.3の範囲内、及び最も好ましくは約0.9〜約1.2の範囲内にある形状)。この実施形態において、金属粒子の好ましい形状の例は、球及び立方体、若しくはこれらの組合せ、又は1以上のそれらの形状と他の形状との組合せである。
【0038】
別の実施形態において、約1.5より大きく、より好ましくは約3より大きく、及び最も好ましくは約5より大きい、長さ、幅、及び厚さの寸法を相関する比率のうちの少なくとも1つを有する、低い均一性の形状を有する金属粒子が使用される。この実施形態によれば、好ましい形状は、フレーク状、棒若しくは針状、又はフレーク状、棒若しくは針状と他の形状の組合せである。
【0039】
銀粉末及び銀フレークの組合せが使用されることが本発明において好ましい。ペーストは、導電性ペースト組成物の総重量100%を基として、約30〜約75wt%の銀(粉末及びフレーク)、好ましくは約40〜約60wt%の銀、及び最も好ましくは約50〜約60wt%の銀を含むのが好ましい。銀粉末及び銀フレークの組合せは、得られたペーストの接着特性及びはんだ付け性を比較考量する。銀粉末が豊富であるペーストは、高密度であり、従って接着を改良するが、ペーストのはんだ付け性を劣化させる。従って、銀フレークは、また、そのはんだ付け性を改良するために、ペーストに組み込まれる。好ましくは、銀粉末は球形である。例えば、銀粉末の長さ、幅、及び厚さの比率は、0.5〜10:0.5〜10:0.05〜2であってもよい。導電性ペーストは、好ましくは、導電性ペースト組成物の総重量100%を基として、約20〜約50wt%の銀粉末、好ましくは約20〜約40wt%の銀粉末、及びより好ましくは約30〜約40wt%の銀粉末を含む。最も好ましい実施形態によれば、導電性ペーストは、約35wt%の銀粉末を含む。さらに、導電性ペーストは、好ましくは、導電性ペースト組成物の総重量100%を基として、約10〜約30wt%の銀フレーク、より好ましくは約10〜約20wt%の銀フレークを含む。最も好ましい実施形態によれば、導電性ペーストは、約17wt%の銀フレークを含む。銀フレークの厚さは、約0.5〜1μmであってもよい。銀粉末及び銀フレークの組合せは、好ましい量において、得られたペーストの接着性能及びはんだ付け性全体にわたって改良すると信じられる。
【0040】
銀粉末に関して、中央粒径d
50が、本願明細書で説明した通り、約0.1〜約3μmの範囲、好ましくは約0.1〜約1.5μmの範囲、及びより好ましくは約0.1μm〜約1μmの範囲にあることが好ましい。最も好ましい実施形態において、銀粉末は、約0.5μmの中央粒径d
50を有する。銀フレークに関して、中央粒径d
50が、本願明細書で説明した通り、約5〜8μmの範囲、好ましくは約7〜8μmの範囲にあることが好ましい。
【0041】
1つの実施形態において、銀粉末は、約1〜10m
2/g、及び好ましくは約5〜8m
2/gの比表面積を有してもよい。銀フレークは、約0.1〜3m
2/g、及び好ましくは約0.8〜1.4m
2/gの比表面積を有してもよい。
【0042】
金属粒子の追加の成分として、上記の成分にさらに加えると、より有利な接触特性、接着、及び電気伝導率に貢献する成分が本発明において好ましい。例えば、金属粒子は表面コーティングを有してもよい。当該技術分野で公知の及び本発明において好適な、如何なるそのようなコーティングも、金属粒子に採用されてもよい。本発明に係る好ましいコーティングは、得られた導電性ペーストの接着特性を高めるコーティングである。もしそのようなコーティングが存在するなら、金属粒子の総重量100%を基として、約0.01〜10wt%、好ましくは約0.01〜8wt%、最も好ましくは約0.01〜5wt%に相当するコーティングであることが本発明において好ましい。
【0043】
[有機ビヒクル]
本発明に関して好ましい有機ビヒクルは、導電性ペーストの成分が溶解、乳化、又は分散の形態で存在することを確実にする、1以上の溶媒、好ましくは有機溶媒を基とした溶液、エマルション、又は分散体である。好ましい有機ビヒクルは、導電性ペースト内の成分の最適な安定性を提供し、有効な印刷適性となる粘度を備える導電性ペーストを与えるものである。1つの実施形態において、有機ビヒクルは、導電性ペースト組成物の総重量100%を基として、約20〜60wt%、より好ましくは約30〜50wt%、及び最も好ましくは約40〜50wt%の量で存在する。
【0044】
1つの実施形態において、有機ビヒクルは、有機溶媒、並びにバインダー(例えば、ポリマー)、界面活性剤、及びチキソトロープ剤、又はこれらの何れかの組合せの1以上を含む。例えば、1つの実施形態において、有機ビヒクルは、有機溶媒に1以上のバインダーを含む。
【0045】
バインダーは、有機ビヒクルの総重量100%を基として、約0.1〜10wt%、好ましくは約0.1〜8wt%、より好ましくは約0.5〜7wt%の量で存在してもよい。本発明において、好ましいバインダーは、安定性、印刷適性、粘度、及び焼結特性に有利な導電性ペーストの形成に貢献するものである。当該技術分野で公知の及び本発明との関連で好適であると見られる全てのバインダーは、有機ビヒクルにおけるバインダーとして採用されてもよい。本発明に係る好ましいバインダー(しばしば「樹脂」と称するカテゴリーに属する)は、高分子バインダー、単量体のバインダー、及びポリマー及び単量体の組合せであるバインダーである。高分子バインダーは、少なくとも2つの異なる単量体の単位が単一の分子に含まれる、コポリマーであってもよい。好ましい高分子バインダーは、ポリマーの主鎖に官能基を付す高分子バインダー、主鎖の官能基を奪う高分子バインダー、及び主鎖に官能基を付し、且つ、主鎖の官能基を奪う高分子バインダーを含む。主鎖に官能基を付す好ましいポリマーは、例えば、ポリエステル、置換されたポリエステル、ポリカーボネート、置換されたポリカーボネート、主鎖に環状基を付すポリマー、ポリシュガー(poly−sugars)、置換されたポリシュガー(poly−sugars)、ポリウレタン、置換されたポリウレタン、ポリアミド、置換されたポリアミド、フェノール樹脂、置換されたフェノール樹脂、前述のポリマーの1以上の単量体の、任意に他のコモノマーとのコポリマー、又は少なくとも2種のそれらの組合せを含む。1つの実施形態によれば、バインダーは、ポリビニル・ブチラール又はポリエチレンであってもよい。好ましい主鎖に環状基を付するポリマーは、例えば、ポリビニル・ブチラール(PVB)及びその誘導体、並びにポリテルピネオール及びその誘導体、又はこれらの混合物を含む。好ましいポリシュガー(poly−sugars)は、例えば、エチルセルロース、セルロース、及びそれらのアルキル誘導体、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ブチルセルロース、それらの誘導体、並びにそれらの少なくとも2種の混合物を含む。他の好ましいポリマーは、例えば、セルロースエステル樹脂、例えば、酢酸セルロースプロピオン酸塩、酢酸酪酸セルロース、及び任意のこれらの組合せを含む。他の好ましいポリマーは、例えば、酢酸セルロースプロピオン酸塩、酢酸セルロース酪酸塩、及びこれらの混合物のような、セルロースエステル樹脂、好ましくは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第2013/0180583号公報に開示されるものである。好ましいポリマー主鎖の官能基を奪うポリマーは、アミド基を付すポリマー、しばしばアクリル樹脂と呼ばれる酸及び/又はエステル基を付すポリマー、又は上述の官能基の組合せを付すポリマー、又はこれらの組合せである。好ましい主鎖のアミドを奪うポリマーは、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)及びその誘導体を含む。好ましい主鎖の酸及び/又はエステル基を奪うポリマーは、例えば、ポリアクリル酸及びその誘導体、ポリメタクリレート(PMA)及びその誘導体、ポリメチルメタクリレート(PMMA)及びその誘導体、又はそれらの混合物を含む。本発明に係る好ましい単量体のバインダーは、例えば、エチレングリコール系単量体、テルピネオール樹脂、若しくはロジン誘導体、又はそれらの混合物を含む。好ましいエチレングリコール系の単量体のバインダーは、好ましいエーテル基がメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、及び高級アルキルエーテルであり、好ましいエステル基が酢酸塩及びそのアルキル誘導体である、エーテル基若しくはエステル基を有するバインダー、又はエーテル基及びエステル基を有するバインダー、好ましくはエチレングリコールモノブチルエーテルモノアセテート、又はそれらの混合物である。アルキルセルロース、好ましくはエチルセルロース、その誘導体、及びこれらと先に挙げられたバインダー又はそれ以外からの他のバインダーとの混合物が本発明に関して最も好ましいバインダーである。
【0046】
有機溶媒は、有機ビヒクルの総重量100%を基として、約40〜90wt%、より好ましくは約35〜85wt%の量で存在してもよい。導電性ペースト組成物の総重量100%を基として測定される際、有機溶媒は、約0.01〜5wt%、好ましくは約0.01〜3wt%、より好ましくは約0.01〜2wt%の量で存在してもよい。好ましい実施形態において、導電性ペーストは、導電性ペースト組成物の総重量100%を基として、約1wt%の有機溶媒を含む。
【0047】
本発明において好ましい溶媒は、焼成中かなりの程度でペーストから除去される導電性ペーストの成分であり、好ましくは、焼成後に、焼成前と比較して少なくとも約80%まで低減される、好ましくは焼成前と比較して少なくとも約95%まで低減される絶対質量で存在する。本発明において好ましい溶媒は、導電性ペーストを粘度、印刷適性、安定性及び焼結特性に有利に成形させるものである。当該技術分野で公知の及び本発明との関連で好適であると見られる全ての溶媒は、有機ビヒクルにおける溶媒として採用されてもよい。本発明において、好ましい溶媒は、上記の通り達成される導電性ペーストの印刷適性を好ましい高いレベルにするものである。本発明において好ましい溶媒は、標準大気温度及び圧力(SATP)(298.15K、25℃、77°F)、100kPa(14.504psi、0.986atm)下で液体として存在し、好ましくは約90℃より高い沸点及び約−20℃より高い融点を有するものである。本発明において好ましい溶媒は、極性又は非極性、プロトン性又は非プロトン性、芳香族又は非芳香族である。本発明において好ましい溶媒は、例えば、モノ−アルコール、ジ−アルコール、ポリ−アルコール、モノ−エステル、ジ−エステル、ポリ−エステル、モノ−エーテル、ジ−エーテル、ポリ−エーテルを含み、官能基のこれらの分類の少なくとも1種以上を含み、任意に、官能基の他の分類、好ましくは、環状基、芳香族基、不飽和結合、ヘテロ原子で置換される1以上の酸素原子を有するアルコール基、ヘテロ原子で置換される1以上の酸素原子を有するエーテル基、ヘテロ原子で置換される1以上の酸素原子を有するエステル基、及び上述の溶媒の2種以上の混合物を含む溶媒である。本願明細書において好ましいエステルは、例えば、好ましいアルキル成分がメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、及び高級アルキル基、又はそのようなアルキル基の2種の異なる組合せである、アジピン酸のジ−アルキルエステル、好ましくはアジピン酸ジメチル、及び2種以上のアジピン酸エステルの混合物を含む。本願明細書において好ましいエーテルは、例えば、ジエーテル、好ましいアルキル成分がメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、及び高級アルキル基、又はそのようなアルキル基の2種の異なる組合せである、好ましくはエチレングリコールのジアルキルエーテル、及び2種のジエーテルの混合物を含む。本願明細書において好ましいアルコールは、例えば、第一級、第二級、及び第三級アルコール、好ましくは第三級アルコール、テルピネオール及びその誘導体、又はアルコールの2種以上の混合物を含む。好ましい複数の異なる官能基を組み合わせる溶媒は、例えば、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(「テキサノール」)及びその誘導体、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール(「カルビトール」)及びそのアルキル誘導体、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシルカルビトール、好ましくはヘキシルカルビトール、又はブチルカルビトール、及びそれらの酢酸塩誘導体、好ましくはブチル酢酸カルビトール、又は上述の少なくとも2種の混合物を含む。
【0048】
有機ビヒクルは、また、界面活性剤及び/又は添加剤を含んでもよい。存在する場合、導電性ペーストは、有機ビヒクルの総重量100%を基として、約0〜10wt%、好ましくは約0〜8wt%、及びより好ましくは約0.01〜6wt%の界面活性剤を含んでもよい。本発明において好ましい界面活性剤は、有利な安定性、印刷適性、粘度、及び焼結特性を有する導電性ペーストの形成に寄与するものである。当該技術分野で公知の及び本発明との関連で好適であると見られる全ての界面活性剤は、有機ビヒクルにおける界面活性剤として採用されてもよい。本発明において好ましい界面活性剤は、直鎖、分枝鎖、芳香族鎖、フッ素化された鎖、シロキサン鎖、ポリエーテル鎖、及びこれらの組合せを基とするものである。好ましい界面活性剤は、単鎖、二本鎖、又は複鎖(poly chained)である。本発明において好ましい界面活性剤は、非イオン、アニオン性、カチオン性、両親媒性の、又は双性イオンのヘッド(heads)を有してもよい。好ましい界面活性剤は、重合体及び単量体、又はそれらの混合物である。本発明において好ましい界面活性剤は、顔料親和性基、好ましくは、顔料親和性基を有するヒドロキシ官能性(hydroxyfunctional)カルボン酸エステル(例えば、BYK USA、Inc.製、DISPERBYK(登録商標)−108)、顔料親和性基を有するアクリレートコポリマー(例えば、BYK USA、Inc.製、DISPERBYK(登録商標)−116)、顔料親和性基を有する変性ポリエーテル(例えば、Evonik Tego Chemie GmbHによって製造されたTEGO(登録商標)DISPERS 655)、及び高い顔料親和性の基を有する他の界面活性剤(例えば、Evonik Tego Chemie GmbHによって製造されたTEGO(登録商標)DISPERS 662 C)を用いることができる。本発明において、先に挙げられていない他の好ましいポリマーは、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール及びその誘導体、並びにアルキルカルボン酸及びそれらの誘導体又は塩、又はこれらの混合物を含む。本発明において好ましいポリエチレングリコール誘導体は、ポリ(エチレングリコール)酢酸である。好ましいアルキルカルボン酸は、完全飽和及び、一価若しくは多価不飽和アルキル鎖を有するもの、又はこれらの混合物である。飽和アルキル鎖を有する好ましいカルボン酸は、約8〜約20の範囲の炭素原子長のアルキル鎖を有するもの、好ましくはC
9H
19COOH(カプリン酸)、C
11H
23COOH(ラウリン酸)、C
13H
27COOH(ミリスチン酸)、C
15H
31COOH(パルミチン酸)、C
17H
35COOH(ステアリン酸)、又は塩若しくはこれらの混合物である。好ましい不飽和アルキル鎖を有するカルボン酸は、C
18H
34O
2(オレイン酸)、及びC
18H
32O
2(リノール酸)である。本発明において好ましい単量体の界面活性剤は、ベンゾトリアゾール及びその誘導体である。
【0049】
有機ビヒクルにおける好ましい添加剤は、上述のビヒクル成分とは性質が異なり、下地基板に対する有利な粘着性及び接着性のような、導電性ペーストの有利な特性に貢献する添加剤である。当該技術分野で公知の及び本発明において好適であると見られる添加剤は、有機ビヒクルにおいて添加剤として採用されてもよい。本発明において好ましい添加剤は、チキソトロープ剤、粘度調整剤、安定剤、無機添加剤、増粘剤、乳化剤、分散剤若しくはpH調整剤、及び任意のこれらの組合せである。本願明細書において、好ましいチキソトロープ剤は、カルボン酸誘導体、好ましくは脂肪酸誘導体又はこれらの組合せである。好ましい脂肪酸誘導体は、C
9H
19COOH(カプリン酸)、C
11H
23COOH(ラウリン酸)、C
13H
27COOH(ミリスチン酸)、C
15H
31COOH(パルミチン酸)、C
17H
35COOH(ステアリン酸)、C
18H
34O
2(オレイン酸)、C
18H
32O
2(リノール酸)、又はこれらの組合せである。本願明細書において脂肪酸を含む好ましい組合せは、ヒマシ油である。
【0050】
[添加剤]
本発明に関して、好ましい添加剤は、明示的に述べた他の成分に加えて、導電性ペースト、それらから製造されたはんだパッド、又は得られた太陽電池の性能を高めるのに貢献する、導電性ペーストに添加される成分である。当該技術分野で公知の及び本発明に関して好適であると見られる全ての添加剤は、導電性ペーストにおける添加剤として採用されてもよい。ガラスフリット及びビヒクルに存在する添加剤に加えて、添加剤は、また、導電性ペーストに存在してもよい。本発明において、好ましい添加剤は、チキソトロープ剤、粘度調整剤、乳化剤、安定剤若しくはpH調整剤、無機添加剤、増粘剤、及び分散剤、又は少なくともそれらの2種の組合せであり、無機添加剤が最も好ましい。本願明細書において好ましい無機添加剤は、本発明によれば、Mg、Ni、Te、W、Zn、Mg、Gd、Ce、Zr、Ti、Mn、Sn、Ru、Co、Fe、Cu、及びCr、若しくは少なくともそれらの2種の組合せ、好ましくはZn、Sb、Mn、Ni、W、Te、及びRu、若しくは少なくともそれらの2種の組合せ、それらの酸化物、焼成においてそれらの金属酸化物を生成できる化合物、又は上述の金属の少なくとも2種の混合物、上述の酸化物の少なくとも2種の混合物、焼成においてそれらの金属酸化物を生成できる上述の化合物の少なくとも2種の混合物、又は先に述べた何れか2以上の混合物である。
【0051】
1つの実施形態によれば、ガラスフリット、金属粒子、及び有機ビヒクルに加えて、導電性ペースト組成物は、金属又は銅、アルミニウム、ビスマス、リチウム、及びテルルから形成される金属酸化物をさらに含む。好ましい実施形態において、ビスマスオキシド(例えば、Bi
2O
3)は、導電性ペーストの全体の接着特性を改良するために添加される。そのような添加剤は、導電性ペースト組成物の総重量100%を基として、約0.01〜2wt%の量で、存在してもよい。好ましい実施形態において、導電性ペーストは、約1wt%のBi
2O
3を含む。
【0052】
[導電性ペースト組成物の形成]
導電性ペースト組成物を形成するために、ガラスフリット材は、ペースト組成物を調製するための当該技術分野で公知の任意の方法を用いて、金属粒子及び有機ビヒクルと組み合わされてもよい。均一に分散されたペーストとなる限り、調製の方法は重要ではない。構成成分は、例えば混合機によって混合され得、次いで、例えば三本ロール練り機を通して、分散された均一のペーストを形成する。
【0053】
[太陽電池]
別の態様において、本発明は、太陽電池に関する。1つの実施形態において、太陽電池は、半導体基板(例えば、シリコンウェーハ)、及び本願明細書に記載される実施形態の何れかによる導電性ペースト組成物を含む。
【0054】
別の態様において、本発明は、本願明細書に記載される実施形態の何れかによる導電性ペースト組成物を半導体基板(例えばシリコンウェーハ)に塗布する工程、及び半導体基板を焼成する工程を含むプロセスによって製造される太陽電池に関する。
【0055】
[シリコンウェーハ]
本発明において、好ましいウェーハは、領域、特に、電子正孔対を生み出す高い効率で光を吸収すること、及び高い効率で境界を越えて、好ましくはpn接合境界を越えて正孔と電子を分離することができる太陽電池領域を有する。本発明において好ましいウェーハは、前面ドープ層及び背面ドープ層から構成される単体を含むものである。
【0056】
好ましくは、ウェーハは、適切にドープされた四価の元素、二元化合物、三元化合物、又は合金を含む。本願明細書において、好ましい四価の元素は、ケイ素、Ge、又はSn、好ましくはケイ素である。好ましい二元化合物は、2以上の四価の元素の組合せ、第III族元素と第V族元素との二元化合物、第II族元素と第VI族元素との二元化合物、又は第IV族元素と第VI族元素との二元化合物である。好ましい四価の元素の組合せは、ケイ素、Ge、Sn、又はCから選択される2以上の元素、好ましくはSiCの組合せである。好ましい第III族元素と第V族元素との二元化合物は、GaAsである。本発明の好ましい実施形態によれば、ウェーハはケイ素である。ケイ素が明示的に言及される前述の説明は、また、本願明細書に記載される他のウェーハ組成物に適用する。
【0057】
pn接合境界は、ウェーハの前面ドープ層及び背面ドープ層が接する箇所に位置する。n型太陽電池において、背面ドープ層は電子供与性n型ドーパントでドープされ、前面ドープ層は電子受容性又は正孔供与性p型ドーパントでドープされる。p型太陽電池において、背面ドープ層はp型ドーパントでドープされ、前面ドープ層はn型ドーパントでドープされる。本発明の好ましい実施形態によれば、pn接合境界を有するウェーハは、まずドープシリコン基板を準備し、次いで反対の型のドープ層をその基板の一つ面に施すことで製造される。
【0058】
ドープシリコン基板は当該技術分野で周知である。ドープシリコン基板は、当該技術分野で公知の及び本発明に好適であると見られる任意の方法によって製造されてもよい。本発明においてシリコン基板の好ましいソースは、単結晶のケイ素、多結晶のケイ素、非晶質のケイ素、及び冶金法による高純度ケイ素(upgraded metallurgical silicon)、最も好ましくは単結晶のケイ素又は多結晶のケイ素である。ドープシリコン基板を形成するためのドーピングは、シリコン基板の製造中にドーパントを添加するのと同時に実施されてもよく、又は次の工程において実施されてもよい。シリコン基板の製造に続くドーピングは、例えば、ガス拡散エピタキシーによって実施されてもよい。ドープシリコン基板は、また、容易に市販されている。1つの実施形態によれば、ケイ素混合物にドーパントを添加することによるその形成と同時に、シリコン基板の最初のドーピングは実施されてもよい。別の実施形態によれば、前面ドープ層、及びもし存在すれば背面の高ドープ層の塗布は、気相エピタキシーによって実施されてもよい。この気相エピタキシーは、好ましくは、約500℃〜約900℃、より好ましくは約600℃〜約800℃、及び最も好ましくは約650℃〜約750℃の温度範囲内、約2kPa〜約100kPa、好ましくは約10〜約80kPa、最も好ましくは約30〜約70kPaの範囲の圧力で実施される。
【0059】
シリコン基板がいくつかの形状、表面組織、及び大きさを示し得ることは当該技術分野で公知である。基板の形状は、ほんの数例を挙げると、立方体状、ディスク状、ウェーハ状、及び不規則な多面体状を含んでもよい。本発明の好ましい実施形態によれば、ウェーハは、同様の、好ましくは同じ2つの次元と、他の2つの次元よりかなり小さい第三の次元とを有する立方体状である。第三の次元は、最初の2つの次元よりも少なくとも100倍小さくてもよい。
【0060】
さらに、様々な表明型が当該技術分野で公知である。本発明において、粗い表面を有するシリコン基板が好ましい。基板の粗さを評価する1つの方法は、基板の総表面積と比較して小さい、好ましくは、総表面積の100分の1未満であり、実質的に平面である基板の下部表面に対する表面粗さパラメータを評価することである。表面粗さパラメータの値は、最小化平均二乗変位によって下部表面に最適化された平面上に下部表面を投影することで形成された理論的な表面の面積に対する下部表面の面積の比によって与えられる。表面粗さパラメータのより高い値ほど、より粗い、より不規則な表面を示し、表面粗さパラメータのより低い値ほど、より滑らかな、より平らな表面を示す。本発明において、シリコン基板の表面粗さは、好ましくは、これらに限定されないが、表面に対する光吸収及び接着を含むいくつかの要因の間の最適なバランスをもたらすように変性される。
【0061】
シリコン基板の2つのより大きい次元は、結果として得られた太陽電池に求められる適用に合わせて変えられる。本発明において、シリコンウェーハの厚さに好ましいのは、約0.01〜0.5mm、より好ましくは約0.01〜0.3mm、及び最も好ましくは約0.01〜0.2mmである。いくつかのウェーハは最小の0.01mmの厚さを有する。
【0062】
背面ドープ層と比較して前面ドープ層が薄いことが本発明において好ましい。また、前面ドープ層が約0.1〜約10μmの範囲、好ましくは約0.1〜約5μmの範囲、及び最も好ましくは約0.1〜約2μmの範囲にある厚さを有することが好ましい。
【0063】
高ドープ層は、背面ドープ層と任意のさらなる層との間のシリコン基板の背面に塗布されてもよい。そのような高ドープ層は、背面ドープ層と同じドーピング型であり、そのような層は一般的に+で示される(n
+型層がn型背面ドープ層に施され、p
+型層がp型背面ドープ層に施される)。この高ドープ背面層は、金属化を補助し、導電性の特性を改良するのに役立つ。高ドープ背面層が、もし存在するなら、約1〜約100μmの範囲、好ましくは約1〜約50μmの範囲、及び最も好ましくは約1〜約15μmの範囲の厚さを有するのが本発明において好ましい。
【0064】
[ドーパント]
好ましいドーパントは、シリコンウェーハに添加される際、バンド構造内に電子又は正孔を導入することによってpn接合境界を形成するものである。これらのドーパントの同一性及び濃度が、pn接合のバンド構造プロファイルを調節し、光吸収及び電気伝導率プロファイルを必要に応じて定めるように特に選択されることが本発明において好ましい。本発明において好ましいp型ドーパントは、シリコンウェーハバンド構造に正孔を添加するものである。当該技術分野で公知の及び本発明に関して好適であると見られる全てのドーパントはp型ドーパントとして採用されてもよい。本発明において好ましいp型ドーパントは、三価の元素、特に、周期表の第13族の元素である。本願明細書において、好ましい周期表の第13族元素は、これらに限定されないが、B、Al、Ga、In、Tl、又はそれらの少なくとも2種の組合せを含み、Bが特に好ましい。
【0065】
本発明において好ましいn型ドーパントは、シリコンウェーハバンド構造に電子を加えるものである。当該技術分野で公知の及び本発明に関して好適であると見られる全てのドーパントは、n型ドーパントとして採用されてもよい。本発明において好ましいn型ドーパントは、周期表の第15族元素である。本願明細書において、好ましい周期表の第15族元素は、N、P、As、Sb、Bi、又はそれらの少なくとも2種の組合せを含み、Pが特に好ましい。
【0066】
上記の通り、pn接合の種々のドーピングレベルは、得られた太陽電池の所望の特性を調節するために変更されてもよい。
【0067】
ある実施形態によれば、半導体基板(すなわち、シリコンウェーハ)は、約65Ω/□、70Ω/□、90Ω/□、又は95Ω/□より高いような、約60Ω/□より高いシート抵抗を示す。
【0068】
[太陽電池構造]
上述の目的のうちの少なくとも1つを達成することへの貢献は、本発明に係るプロセスから得ることができる太陽電池によってなされる。本発明において好ましい太陽電池は、電気エネルギー出力に変える入射光の総エネルギーの割合の条件において高い効率を有するものである。軽量及び耐久力のある太陽電池は、また、好ましい。最低限、太陽電池は:(i)前面電極、(ii)前面ドープ層、(iii)pn接合境界、(iv)背面ドープ層、及び(v)はんだパッドを含む。太陽電池は、また、化学的/機械的保護のための追加の層を含んでもよい。
【0069】
[反射防止層]
本発明において、電極が太陽電池の表面に施される前に、反射防止層が外層として施されてもよい。本発明において好ましい反射防止層は、表面によって反射される入射光の割合を減少させ、表面を通過してウェーハによって吸収される入射光の割合を増加させるものである。有利な吸収/反射比をもたらす反射防止層は、導電性ペーストによるエッチングに感受性があり、その他の点では導電性ペーストの焼成に必要とされる温度に耐え、電極界面の近くで電子及び正孔の再結合を増加させることに貢献しないのが好ましい。当該技術分野で公知の及び本発明に関して好適であると見られる全ての反射防止層は採用されてもよい。本発明において好ましい反射防止層は、SiN
x、SiO
2、Al
2O
3、TiO
2、若しくはそれらの少なくとも2種の混合物、及び/又はそれらの少なくとも2層の組合せである。好ましい実施形態によれば、反射防止層はSi
xN
yであり、特にシリコンウェーハが採用され、xは約2〜4及びyは約3〜5である.
【0070】
反射防止層の厚さは、適切な光の波長に合わされる。本発明の好ましい実施形態によれば、反射防止層は、約20〜約300nmの範囲、より好ましくは約40〜約200nmの範囲、及び最も好ましくは約60〜約110nmの範囲の厚さを有する。
【0071】
[パッシベーション層]
本発明において、1以上のパッシベーション層が、外層としてシリコンウェーハの前面及び/又は裏面に施されてもよい。パッシベーション層は、前面電極が形成される前、又は反射防止層が施される(もし存在するなら)前に施されてもよい。好ましいパッシベーション層は、電極界面の近くでの電子/正孔再結合の比率を減少させるものである。当該技術分野で公知の及び本発明に関して好適であると見られる何れのパッシベーション層も採用されてもよい。本発明において、好ましいパッシベーション層は、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、及び二酸化チタンである。最も好ましい実施形態によれば、窒化ケイ素が用いられる。パッシベーション層が約0.1nm〜約2μmの範囲、より好ましくは約1nm〜約1μmの範囲、及び最も好ましくは約1nm〜約200nmの範囲の厚さを有するのが好ましい。
【0072】
[付加的な保護層]
太陽電池の主な機能に直接貢献する上記の層に加えて、さらなる層が機械的及び化学的な保護のために追加されてもよい。
【0073】
化学的な保護を提供するために、電池は封入されてもよい。封入は当該技術分野で周知であり、本発明に好適な何れの封入も採用されてもよい。好ましい実施形態によれば、しばしば透明な熱可塑性樹脂と呼ばれる、透明なポリマーが、もしこのような封入が存在するなら、封入材料として用いられる。本願明細書において、好ましい透明なポリマーは、ケイ素ゴム及びポリエチレン酢酸ビニル(PVA)である。
【0074】
透明なガラスシートが、また、電池の表面に機械的な保護を提供するために、太陽電池の前面に付け足されてもよい。透明なガラスシートは、当該技術分野で周知であり、本発明に関して好適な何れの透明なガラスシートも採用されてもよい。
【0075】
背面保護材が、機械的保護のために、太陽電池の裏面に付け足されてもよい。背面保護材は当該技術分野で周知であり、本発明に関して好適と見られる何れの背面保護材も採用されてもよい。本発明において好ましい背面保護材は、良好な機械的特性及び耐候性を有するものである。本発明において好ましい背面保護材は、ポリフッ化ビニルの層を有するポリエチレンテレフタレートである。背面保護材が封入層の下に存在する(背面保護層及び封入の双方が存在する場合)のが、本発明において好ましい。
【0076】
フレーム材は、機械的支持を与えるために太陽電池の外部に付け足されてもよい。フレーム材は、当該技術分野で周知であり、本発明に関して好適と見られる何れのフレーム材も採用されてもよい。本発明において好ましいフレーム材はアルミニウムである。
【0077】
[太陽電池の製造方法]
太陽電池は、シリコンウェーハのような半導体基板前面上の、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化チタン、又は酸化アルミニウムのような反射防止膜に、導電性ペースト組成物を塗布することによって製造されてもよい。次いで、本発明の裏面側の導電性ペーストは、はんだパッドを形成するために、太陽電池裏面に塗布される。導電性ペーストは、当該技術分野で公知の及び本発明に関して好適であると見られる何れの方法において塗布されてもよい。例としては、これらに限定されないが、含浸、浸漬、鋳込、滴下、注入、噴霧、ナイフコーティング、カーテンコーティング、ブラッシング、若しくは印刷、又はそれらの少なくとも2種の組合せを含む。好ましい印刷手法は、インクジェット印刷、スクリーン印刷、タンポン印刷、オフセット印刷、凸版印刷、若しくはステンシル印刷、又はそれらの少なくとも2種の組合せである。印刷によって、好ましくはスクリーン印刷によって、導電性ペーストが塗布されることが本発明において好ましい。次いで、アルミニウムペーストが、BSFを形成するため、裏面側の導電性ペーストから形成されたはんだパッドの縁に重なりつつ、基板裏面に塗布される。次いで、基板は、適切なプロファイルに従って焼成される。
【0078】
焼成は、固形の導電体を形成するため、印刷されたはんだパッドを焼結するのに必要である。焼成は、当該技術分野で周知であり、及び本発明に関して好適と見られる如何なる方法でも実施できる。ガラスフリット材のTgより高い温度で焼成が実施されることが好ましい。
【0079】
本発明において、焼成のために定められた最大の温度は約900℃より下、好ましくは約860℃より下である。太陽電池を得るために、約820℃と同じ低さの焼成温度が採用される。焼成温度プロファイルは、存在する他の有機物質の何れもと同様に、導電性ペースト組成物からの有機バインダー材料の焼却が可能となるように、典型的には定められる。焼成工程は、典型的には、ベルト炉において、空気中で又酸素含有雰囲気で実施される。約30秒〜約3分間の範囲、より好ましくは約30秒〜約2分間の範囲、及び最も好ましくは約40秒〜約1分間の範囲の総焼成時間を有する高速焼成プロセスにおいて、焼成が実施されるのが本発明において好ましい。600℃より高い時間は、最も好ましくは約3秒〜7秒の範囲である。基板は、約1〜5秒の時間の間、約700〜900℃の範囲のピーク温度に達してもよい。焼成は、また、高い輸送速度、例えば、約0.05〜5分間の滞留時間となる約100〜500cm/分で実施されてもよい。複数の温度区分、例えば3〜12の区分は、所望の熱的プロファイルを制御するために使用することができる。
【0080】
前面及び背面における導電性ペーストの焼成は、同時に又は順次実施されてもよい。もし、両面に塗布される導電性ペーストが、同様の、好ましくは同一の最適の焼成条件を有するなら、同時の焼成が適切である。該当する場合、焼成が同時に実施されることが本発明において好ましい。焼成が順次実施される場合、本発明において、まず、背面側の導電性ペーストが塗布され、焼成された後、前面側への導電性ペーストの塗布及び焼成がされることが好ましい。
【0081】
[接着性能の測定]
引張力としても知られる、接着強度を測定するために使用される1つの方法は、得られた導電性ペーストが、シリコン太陽電池裏面に印刷された導電性ペースト層(はんだパッド)に糸はんだを施すことになる。通常の糸はんだは、Somont Cell Connecting自動はんだ付け装置(Meyer Burger Technology Ltd.製)のような自動化装置、又は当該技術分野で公知の方法に従って手持ちはんだ鏝で手動の何れかにより、はんだパッドに施される。業界で共通の及び当該技術分野で公知の他の方法が使用されてもよいが、本発明において、およそ20μm62/36/2はんだコーティングを有する0.20×0.20mm銅リボンが使用された。特に、太陽電池の長さのおよそ2.5倍のリボンの長さが切られた。はんだフラックスは、切られたリボン上にコートされ、1〜5分間乾燥された。次いで、電池がはんだ付け治具に固定され、そのリボンが電池母線の上部に一直線に取り付けられる。はんだ付け治具は余熱した台に設置され、電池が15秒間、150〜180℃で予熱される。予熱後、はんだ付けピンは下げられ、リボンが母線上に0.8〜1.8秒間、220〜250℃ではんだ付けされる。はんだパッドの長さにはんだ付けされた銅ワイヤで、GP Solar GP PULL−TEST Advancedのような引張力測定装置を用いて接着力が測定される。はんだ付けされたリボンの末尾は引張力測定装置におけるフォースゲージに取り付けられ、およそ180°、6mm/sの定速で引き剥がされる。フォースゲージは、100s
−1のサンプリングレートでニュートン単位により接着力を記録する。
【0082】
例となるペーストを評価する際、このはんだ及び引張プロセスは、正常にはんだ付けプロセスに起因するデータのばらつきを最小化するために、典型的には、4つの別々の裏面はんだパッドにおいて4回完了される。はんだ付けプロセスにおける個別の差異が結果に影響を及ぼし得るため、1つの実験からの単一の測定値は、信頼性は高くない。それゆえ、4回の引張からの総平均が得られ、引張力の平均がペースト間で比較される。最低でも1ニュートンの引張力が望ましい。接着強度の許容できる工業規格は、典型的には、2ニュートンより高い。少なくとも3ニュートンの、又は場合によっては、4ニュートンより高い引張力を有するより強い接着が最も望ましい。本発明において、少なくとも2.1ニュートン、好ましくは少なくとも3ニュートン、及び最も好ましくは少なくとも4ニュートンの引張力が好ましい。
【0083】
[太陽電池モジュール]
上述の目的のうちの少なくとも1つを達成することへの貢献は、上記の通り得られる少なくとも1つの太陽電池を有するモジュールによってなされる。本発明に係る複数の太陽電池は、モジュールと呼ばれる集合配列を形成するため、空間的に及び電気的に相互接続して配置されてもよい。本発明において好ましいモジュールは、いくつかの配列、好ましくは太陽電池パネルとして知られる碁盤目配列を有してもよい。集合配列を形成するため、太陽電池を電気的に接続する多種多様な方法と、そのような電池を機械的に配置及び固定する多種多様な方法とは、当該技術分野で周知である。当業者によって知られる、及び本発明に関して好適と見られるそのような方法の何れも、採用されてもよい。本発明において好ましい方法は、低い質量対出力比、低い体積対出力比、及び高い耐久性をもたらすものである。アルミニウムが、本発明に係る太陽電池の機械的固定に好ましい材料である。
【0084】
[さらなる実施形態]
I.太陽電池における電極形成のための導電性ペースト組成物であって:
導電性ペースト組成物の総重量100%を基として、約0.1μm〜約1μmの粒径d
50を有する、約20〜約50wt%の球形の銀粉末;
導電性ペースト組成物の総重量100%を基として、約5〜8μmの粒径d
50を有する、約10〜約30wt%の銀フレーク;
実質的に、約0.5〜3μmの粒径d
90を有する無鉛ガラスフリット;及び
有機ビヒクルを含み、
ガラスシステム(system)の総重量100%を基として、前記ガラスフリットが5wt%未満の酸化亜鉛を含む、導電性ペースト組成物。
【0085】
II.導電性ペースト組成物の総重量100%を基として、約20〜約40wt%の球形の銀粉末、好ましくは約30〜約40wt%の球形の銀粉末を含む、実施形態Iに記載の導電性ペースト組成物。
【0086】
III.導電性ペースト組成物の総重量100%を基として、約10〜約20wt%の銀フレークを含む、実施形態II又はIIIに記載の導電性ペースト組成物。
【0087】
IV.導電性ペースト組成物の総重量100%を基として、約30〜約75wt%の銀、好ましくは約40〜約60wt%の銀、及び最も好ましくは約50〜約60wt%の銀、
銀が球形の銀粉末及び銀フレークを含む、前述の実施形態の何れかに記載の導電性ペースト組成物。
【0088】
V.球形の銀粉末が約0.5μmの粒径d
50を有する、前述の実施形態の何れかに記載の導電性ペースト組成物。
【0089】
VI.ガラスフリットが、前記導電性ペースト組成物の総重量100%を基として、ペーストの約0.01〜10wt%、好ましくは約0.01〜7wt%、より好ましくは約0.01〜6wt%、及び最も好ましくは約0.01〜5wt%である、前述の実施形態の何れかに記載の導電性ペースト組成物。
【0090】
VII.ガラスフリットがBi
2O
3、Al
2O
3、SiO
2、B
2O
3、及びSrOを含む、前述の実施形態の何れかに記載の導電性ペースト組成物
【0091】
VIII.ガラスフリットが、酸化亜鉛を実質的に含まない、前述の実施形態の何れかに記載の導電性ペースト組成物。
【0092】
IX.ガラスフリットが、約1〜3μm、及び好ましくは約2〜3μmの粒径d
90を有する、前述の実施形態の何れかに記載の導電性ペースト組成物。
【0093】
X.ガラスフリットが、約0.01〜1μm、好ましくは約0.01〜0.5μm、及びより好ましくは約0.01〜0.2μmの粒径d
10を有する、前述の実施形態の何れかに記載の導電性ペースト組成物。
【0094】
XI.約0.01〜3μm、好ましくは約0.01〜2μm、及びより好ましくは約0.1〜1μmの粒径d
50を有する、前述の実施形態の何れかに記載の導電性ペースト組成物。
【0095】
XII.前記導電性ペースト組成物の総重量100%を基として、有機ビヒクルが、導電性ペースト組成物の約20〜60wt%、好ましくは約30〜50wt%、最も好ましくは約40〜50wt%である、前述の実施形態の何れかに記載の導電性ペースト組成物。
【0096】
XIII.有機ビヒクルが、バインダー、界面活性剤、有機溶媒、並びに、界面活性剤、チキソトロープ剤、粘度調整剤、安定剤、無機の添加剤、増粘剤、乳化剤、分散剤、pH調整剤、及び任意のこれらの組合せからなる群から選択される追加の化合物を含む前述の実施形態の何れかに記載の導電性ペースト組成物。
【0097】
XIV.バインダーが、ポリシュガー(poly−sugar)、セルロースエステル樹脂、フェノール樹脂、アクリル、ポリビニル・ブチラール若しくはポリエステル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン、若しくはポリウレタン樹脂、又はロジン誘導体のうちの少なくとも1つである、実施形態XIIIに記載の導電性ペースト組成物。
【0098】
XV.界面活性剤が、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ベンゾトリアゾール、ポリ(エチレングリコール)酢酸、ラウリン酸、オレイン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、リノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸塩類、パルミチン酸塩類、及びこれらの混合物のうちの少なくとも1つである、実施形態XIII又はXIVに記載の導電性ペースト組成物。
【0099】
XVI.有機溶媒が、カルビトール、テルピネオール、ヘキシルカルビトール、テキサノール、ブチルカルビトール、ブチル酢酸カルビトール、アジピン酸ジメチル、又はグリコールエーテルのうちの少なくとも1つである、実施形態XIII〜XVの何れか1つに記載の導電性ペースト組成物。
【0100】
XVII.導電性ペースト組成物の総重量100%を基として、約0.01〜2wt%のビスマスオキシド、好ましくは約1wt%のビスマスオキシドをさらに含む、前述の実施形態の何れかに記載の導電性ペースト組成物。
【0101】
XVIII.前面及び裏面を有するシリコンウェーハ、及び
実施形態I〜XVIIの何れか1つに記載の導電性ペーストから製造されるシリコンウェーハに形成されたはんだパッドを含む、太陽電池。
【0102】
XIX.はんだパッドが太陽電池の裏面側に形成される、実施形態XVIIIに記載の太陽電池。
【0103】
XX.はんだパッドが、シリコンウェーハから除去されるために、少なくとも2.1ニュートンの引張力を必要とする、実施形態XVIII〜XIXの何れか1つに記載の太陽電池。
【0104】
XXI.はんだパッドが、シリコンウェーハから除去されるために、少なくとも3ニュートンの引張力を必要とする、実施形態XVIII〜XXの何れか1つに記載の太陽電池。
【0105】
XXII.はんだパッドが、シリコンウェーハから除去されるために、少なくとも4ニュートンの引張力を必要とする、実施形態XVIII〜XXIの何れか1つに記載の太陽電池。
【0106】
XXIII.電極がシリコンウェーハの前面に形成される、実施形態XVIII〜XXIIの何れか1つに記載の太陽電池。
【0107】
XXIV.シリコンウェーハの前面が反射防止層をさらに含む、実施形態XVIII〜XXIIIの何れか1つに記載の太陽電池。
【0108】
XXV.実施形態XVIII〜XXIVの何れか1つに記載の電気的に相互接続された太陽電池を含む太陽電池モジュール。
【0109】
XXVI.前面及び裏面を有するシリコンウェーハを供給する工程、
シリコンウェーハの裏面に実施形態I〜XVIIの何れか1つに記載の導電性ペースト組成物を塗布する工程、及び
シリコンウェーハを焼成する工程を含む、太陽電池を製造する方法。
【0110】
XXVII.シリコンウェーハが前面上に反射防止膜を有する、実施形態XXVIに記載の太陽電池を製造する方法。
【0111】
XXVIII.実施形態I〜XVIIに記載の導電性ペースト組成物の施された縁に重なりつつ、シリコンウェーハの裏面にアルミニウム含有ペーストを塗布する工程をさらに含む、実施形態XXVII又はXXVIIIに記載の太陽電池を製造する方法。
【0112】
XXIX.シリコンウェーハの前面に銀含有ペーストを塗布する工程をさらに含む、実施形態 XXVI〜XXVIIIの何れか1つに記載の太陽電池を製造する方法。
【実施例】
【0113】
[実施例1]
ガラス組成物の総重量100%を基として、約20〜30wt%のSiO
2、約15〜25wt%のBi
2O
3、約3〜20wt%のB
2O
3、約5〜10wt%のAl
2O
3、及び約30〜40wt%のSrOを含むガラス組成物を調製した。ガラスサンプルを、適切な比で個々のオキシド成分を混合することにより100gバッチに調製した。オキシド混合物を容量8.34in
3のColoradoるつぼに充填した。次いで、るつぼを、オキシド混合物を予熱するために、40分間600℃で、オーブン内に設置した。予熱後、るつぼを耐火性オーブンに移動し、20分間1200℃でガラス混合物中の個々の成分を融かした。次いで、融けたガラスを、オーブンから移動し、脱イオン水を含むバケットの中へと注ぎ込み、急冷した。このガラスフリットを、さらに1Lセラミックボールに供した。ボールミルを、1/2インチの円筒形のアルミナメディア及び脱イオン水でおよそ半分満たした。ガラスフリットを、ボールミルに加え、8時間60〜80RPMで転がした。得られたガラスフリットは、約2.3μmの粒径d
90を有していた。フライス加工後、ガラスフリットを、325メッシュ篩を通してろ過し、125℃で24時間乾燥した。
【0114】
次いで、ガラス組成物を、球形の銀粉末、銀フレーク、及び有機ビヒクルと混合し、例となるペーストP1〜P6を形成した。対照として、同じガラス組成物及び有機ビヒクルを含有する例となるペースト(P4)及び(P7)を調製したが、銀成分をそれぞれ薄片又はサブミクロンの銀粉末のみ含むものであった。それぞれ例となるペーストの処方、使用した種々の銀粉末の粒径d
50(本明細書に説明した通り)、及び使用した種々の銀薄片の粒径d
50は、下記表1に全て説明する。全ての質量は、例となるペーストの総重量100%を基とした。
【0115】
表1.例となるペーストP1〜P7の組成物
【表1】
【0116】
一度、ペーストを均一な粘稠度に混合し、250メッシュのステンレス鋼、5μmEOM(emulsion over mesh)を用いて、ブランク単結晶シリコンウェーハの裏面側上に線径約30μmでそれらをスクリーン印刷した。裏面側のペーストを印刷して、電池の全長に亘って広がり、約4mm幅のはんだパッドを形成した。次いで、異なるアルミニウム裏面側のペーストを電池の裏面側の残りの領域全体に印刷し、アルミニウムBSFを形成した。次いで、電池を適切な温度で乾燥した。電気的性能を試験するために、標準的な前面側のペーストを、2つの母線パターンで電池の前面に印刷した。次いで、前面側及び裏面側のペーストを印刷したシリコン基板を、およそ700〜975℃の温度で焼成した。
【0117】
次いで、例となるペーストの接着強度を、これまでに記載された手順に従って測定した。先に説明するように、最低でも1ニュートン引張力(接着強度)が望ましい。接着強度の許容できる工業規格は、典型的には、2ニュートンより高い。少なくとも3ニュートンの、又は場合によっては、4ニュートンよりも高い引張力を有するより強い接着が好ましい。
【0118】
例となるペーストP1〜P7の接着性能を、下記の表2において説明する。全ての接着力の値をニュートンの単位によって示す。銀粉末のみを含有するペーストP7は、最も低い1.5ニュートンの引張力を示した。銀フレークのみを含有するペーストP4も、また、比較的低い2.1ニュートンの引張力を示した。同様に、比較的高い量の銀フレーク(35%)を含有するペーストP3は、2.8ニュートンの低い引張力を示した。高い量のサブミクロン銀(35%)及び低い量の銀フレーク(17%)を含有するペーストP1は、5.4ニュートンの引張力を有する、最高の接着性能を示した。銀粉末及び銀フレークのいくつかの組合せをそれぞれ含むペーストP2及びP5は、また、それぞれ4.5及び4.1ニュートンの許容できる引張力を示した。
【0119】
高い接着力を示したペーストは、銀フレークと同等又は、銀フレークより多い量の銀粉末である、銀粉末及び銀フレークの組合せを含むものであった。さらに、ペーストP1で観察した際、サブミクロン銀粉末(0.5ミクロン)の使用は、最も高い接着力を示した。より大きい銀粉末及び比較的高い量の銀フレークを有するペーストは、接着力の低下を示した。
【0120】
表2.例となるペーストP1〜P7の第一セットの接着強度及び抵抗
【表2】
【0121】
[実施例2]
実施例1に従って、別のガラス組成物を調製し及び回転した。ガラスフリットバッチの一部を約5〜8μmの粒径d
90に(ガラスG8)、別の部分を約3〜5μmの粒径d
90に(ガラスG9)、及び第三の部分を約0.5〜3μmの粒径d
90に(ガラスG10)粉砕した。フライス加工後、ガラスフリットを325メッシュ篩を通してろ過し、125℃で24時間乾燥した。
【0122】
次いで、3種のガラスフリットG8〜G10それぞれを、P1の同じ組成物を用いて球形の銀粉末、銀フレーク、及び有機ビヒクルと混合し、対応するペーストP8〜P10を形成した。太陽電池を、実施例1に記載の通り、そのペーストで製造した。
【0123】
次いで、得られた太陽電池の電気的及び接着性能を試験した。サンプル太陽電池を、Halm Elektronik GmbHから市販されるIVテスター「cetisPV−CTL1」を用いて分析した。測定装置の全ての部分及び試験される太陽電池を、電気計測中25℃で維持した。この温度を、温度プローブによる実際の測定中、同時に電池表面において常に測定した。Xeアーク灯は、電池表面において既知のAM1.5、強度1000W/m
2を有する太陽光を再現する。この強度を再現するために、IVテスターのソフトウェア「PVCTControl 4.313.0」によって観察される安定したレベルに達するまで、そのランプを短時間で数回を点灯した。Halm IVテスターは、電池のIV曲線を測定するための電流(I)及び電圧(V)を測定するために多点接触法を用いる。そうすることによって、太陽電池を、プローブフィンガーが電池の母線と接触するような態様において多点接触プローブ間に配置した。接触プローブラインの数を、太陽電池の前面における母線の数(すなわち、2本)に調整する。全ての電気値を、ソフトウェアパッケージを実行することによって、自動的にこの曲線から直接測定した。全く同じ方法において実施した少なくとも5つのウェーハを測定し、それぞれの平均を算出することによってそのデータを解釈した。ソフトウェアPVCTControl 4.313.0は短絡電流(Isc、mA/cm
2)、曲線因子(FF、%)、効率(Eta、%)、直列抵抗(mΩ)、及び開回路電圧(mV)の値を提供する。
【0124】
例となるペーストP8〜P10の電気的及び接着性能を、下記表3において説明する。そこで見られるように、約0.5〜3μmの粒径d
90を有するガラスフリットを含有するペーストP10は、全てのパラメータに亘って、最高の電気的性能を示した。ペーストP10のVoc、FF、及びEtaは、ペーストP8及びP9の同じパラメータよりも高かく、及びIsc及びRsは低かった。接着力の測定は、ガラスの粒径が接着力に全く影響しないことを明らかにした。
【0125】
表3.ペーストP8〜P10を有する例となる太陽電池の電気的性能
【表3】
【0126】
本発明のこれらの及び他の利点は、前述の詳細な説明から当業者にとって明らかであろう。従って、本発明の広く創意に富んだ概念から逸脱せずに、先に説明した実施形態を変更又は修正し得ることが当業者によって理解されるだろう。どんな特定の実施形態の具体的次元も、説明の目的のみのために説明される。それゆえ、本発明が本願明細書に記載される特定の実施形態に制限されるものではなく、本発明の範囲及び趣旨の中での全ての変更及び修正を含むことを意図するものと理解されたい。