特許第6166253号(P6166253)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6166253着用可能な医療装置においてアラームを適合させるためのコントローラおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6166253
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】着用可能な医療装置においてアラームを適合させるためのコントローラおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/37 20060101AFI20170710BHJP
   A61N 1/39 20060101ALI20170710BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
   A61N1/37
   A61N1/39
   A61B5/00 102C
【請求項の数】26
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2014-501285(P2014-501285)
(86)(22)【出願日】2012年3月23日
(65)【公表番号】特表2014-517716(P2014-517716A)
(43)【公表日】2014年7月24日
(86)【国際出願番号】US2012030428
(87)【国際公開番号】WO2012135059
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2015年3月20日
(31)【優先権主張番号】61/542,749
(32)【優先日】2011年10月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/467,663
(32)【優先日】2011年3月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504242032
【氏名又は名称】ゾール メディカル コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】ZOLL Medical Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カイブ,トーマス・イー
(72)【発明者】
【氏名】ボルペ,シェーン・エス
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,ジョン・ジィ
【審査官】 宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−510631(JP,A)
【文献】 特開2008−302228(JP,A)
【文献】 特表2009−536068(JP,A)
【文献】 特開2008−302225(JP,A)
【文献】 特表2007−522859(JP,A)
【文献】 特表2002−509472(JP,A)
【文献】 特表平10−505515(JP,A)
【文献】 特開平06−091013(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0295674(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/37
A61B 5/00
A61N 1/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用可能な医療装置コントローラであって、
心臓の異常と前記着用可能な医療装置に関する事象とを備える群からの事象の発生時にアラームがトリガされることを示し、適合経路とアラームとの間の関連付けを含むアラームプロファイルを記憶するメモリとを備え、前記適合経路は、前記着用可能な医療装置コントローラによって識別可能な少なくとも1つの事象に対処するために前記アラームの特性の適合を特定し、前記着用可能な医療装置コントローラはさらに
メモリに結合される少なくとも1つのプロセッサと、を備え、前記プロセッサは、
事象の発生を検出し、
前記発生の検出に応じてアラームの第1のインスタンスを発行し、
アラームの第1のインスタンスに対する予め定められた応答が目標応答時間内に受信されなかったと判断し、
目標応答時間内に予め定められた応答が受信されなかったと判断したことに応じて、適合経路に従ってアラームの少なくとも1つの特徴を適合させ、
アラームの第2のインスタンスを発行するよう構成され、アラームの第2のインスタンスは少なくとも1つの適合された特徴を有する、着用可能な医療装置コントローラ。
【請求項2】
前記メモリは、複数の適合経路とアラームとの間の複数の関連付けを記憶し、
前記複数の関連付けは前記関連付けを含み、前記複数の適合経路は前記適合経路を含み、および前記複数の適合経路の各適合経路は、少なくとも1つの応答パターンに対処する、請求項1に記載の着用可能な医療装置コントローラ。
【請求項3】
前記少なくとも1つのプロセッサは、
現象を検出し、
現象を検出したことに応じて、前記アラームの前記第1インスタンスの発行に先立って、前記適合経路に従ってアラームの1つ以上の特徴を適合させることが可能である、請求項1に記載の着用可能な医療装置コントローラ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのプロセッサは、現象を示す独立変数の値と少なくとも1つの応答パターンとの間の相関関係を判断し、前記相関関係が予め定められたしきい値を超えるアラームプロファイルを生成することが可能である、請求項1に記載の着用可能な医療装置コントローラ。
【請求項5】
前記少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも部分的にアラームの強さを高めることにより、アラームの少なくとも1つの特徴を適合させることが可能である、請求項1に記載の着用可能な医療装置コントローラ。
【請求項6】
前記少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも部分的にアラームの伝路を変更することにより、アラームの少なくとも1つの特徴を適合させることが可能である、請求項1に記載の着用可能な医療装置コントローラ。
【請求項7】
前記少なくとも1つのプロセッサは、個人用電子装置にアラームを伝送するために、少なくとも部分的にアラームの伝路を変更することにより、アラームの少なくとも1つの特徴を適合させることが可能である、請求項1に記載の着用可能な医療装置コントローラ。
【請求項8】
前記少なくとも1つのプロセッサは、抑制要因を検出し、および、
前記抑制要因の検出に応じて、且つアラームの前記第1インスタンスの発行に先立って、適合経路に従ってアラームの1つ以上の特徴を適合させることが可能である、請求項1に記載の着用可能な医療装置コントローラ。
【請求項9】
前記少なくとも1つのプロセッサとデータ通信するインターフェイスをさらに備え、前記少なくとも1つのプロセッサは、
インターフェイスを介して新しいアラームプロファイルを受信し、および、
前記新しいアラームプロファイルをメモリに記憶することが可能である、請求項1に記載の着用可能な医療装置コントローラ。
【請求項10】
前記少なくとも1つのプロセッサとデータ通信するインターフェイスをさらに備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記インターフェイスを介して新しいアラームプロファイルを受信し、
前記新しいアラームプロファイルを前記メモリに記憶し、
前記インターフェイスを介して新しい適合経路を受信し、および、
前記新しい適合経路を前記メモリに記憶することが可能である、請求項1に記載の着用可能な医療装置コントローラ。
【請求項11】
前記事象は、前記着用可能な医療装置を組み入れた着用可能な医療装置コントローラおよび当該着用可能な医療装置を着用する患者の少なくとも一方に関係する、請求項1に記載の着用可能な医療装置コントローラ。
【請求項12】
前記事象は、前記着用可能な医療装置を組込んでいる着用可能な医療装置コントローラに関係し、当該事象は、間違って配置された電極、不適切に取付けられた電極、および前記着用可能な医療装置内に含まれるバッテリが置換えられてからの時間のしきい値量の推移のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の着用可能な医療装置コントローラ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの特徴は、指定受信者、目標応答、目標応答時間、内容、および発行率のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の着用可能な医療装置コントローラ。
【請求項14】
前記少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも部分的に、異なる感覚的出力のためのアラームの伝路を変更することにより、アラームの少なくとも1つの特徴を適合させることが可能である、請求項1に記載の着用可能な医療装置コントローラ。
【請求項15】
前記少なくとも1つのコントローラは、少なくとも部分的に、前記着用可能な医療用装
置とは異なるコンピュータシステムに前記第1インスタンスを伝送することにより、アラームの前記第1インスタンスを発行することが可能である、請求項1に記載の着用可能な医療装置コントローラ。
【請求項16】
前記コンピュータシステムは、個人用電子装置、ホーム基地局、病床のラジオ、テレビ、自動車、監視システム、および緊急応答システムのうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の着用可能な医療装置コントローラ。
【請求項17】
前記個人用電子装置は、眼鏡、電話、タブレット、ペン、個人用娯楽装置、ヘッドホン、スポーツ機器、個人用電子装置、およびイヤホンを含む、請求項16に記載の着用可能な医療装置コントローラ。
【請求項18】
メモリを含む着用可能な医療装置によって発行されたアラームを適合させる方法であって、前記方法は、
心臓の異常と前記着用可能な医療装置に関する事象とを備える群からの事象の発生時にアラームがトリガされることを示し、適合経路とアラームとの間の関連付けを含むアラームプロファイルをメモリに記憶するステップとを備え、前記適合経路は、前記着用可能な医療装置コントローラによって識別可能な少なくとも1つの事象に対処するために前記アラームの特性の適合を特定し、前記方法はさらに
事象の発生を検出するステップと、
前記発生の検出に応じてアラームの第1のインスタンスを発行するステップと、
アラームの第1のインスタンスに対する予め定められた応答が目標応答時間内に受信されなかったと判断するステップと、
目標応答時間内に予め定められた応答が受信されなかったと判断したことに応じて、適合経路に従ってアラームの少なくとも1つの特徴を適合させるステップと、
アラームの第2のインスタンスを発行するステップと、を備え、
アラームの第2のインスタンスは少なくとも1つの適合された特徴を有する、方法。
【請求項19】
現象と少なくも1つの応答パターンとの間の相関関係を判断するステップ、および、
前記少なくとも1つの応答パターンに対処するよう行われた適合を反映させる適合経路を記憶するステップと、をさらに備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
現象を検出するステップと、
現象を検出したことに応じて、且つアラームの前記第1インスタンスの発行に先立って、適合経路に従ってアラームの1つ以上の特徴を適合させるステップと、をさらに備える、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
現象を示す独立変数の値と少なくとも1つの応答パターンとの間の相関関係を判断するステップと、
相関関係が予め定められたしきい値を超えるアラームプロファイルを生成するステップと、をさらに備える、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
アラームの少なくとも1つの特徴を適合させるステップは、アラームの強さを高めるステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
アラームの少なくとも1つの特徴を適合させるステップは、アラームの伝路を変更するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
アラームの少なくとも1つの特徴を適合させるステップは、個人用電子装置にアラームを伝送するために、アラームの伝路を変更するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも1つのプロセッサにより実行可能な一連の命令を非一時的に記憶するコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記一連の命令は、着用可能な医療装置により発行されるアラームを適合させるよう少なくとも1つのプロセッサに命令し、前記一連の命令は、
心臓の異常と前記着用可能な医療装置に関する事象とを備える群からの事象の発生時にアラームがトリガされることを示し、且つ適合経路とアラームとの間の関連付けを含むアラームプロファイルを、メモリに記憶させ、前記適合経路は、前記着用可能な医療装置コントローラによって識別可能な少なくとも1つの事象に対処するために前記アラームの特性の適合を特定し、前記非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体はさらに、
事象の発生を検出させ、
前記発生の検出に応じてアラームの第1のインスタンスを発行させ、
アラームの第1のインスタンスに対する予め定められた応答が目標応答時間内に受信されなかったと判断させ、
目標応答時間内に予め定められた応答が受信されなかったと判断したことに応じて、適合経路に従ってアラームの少なくとも1つの特徴を適合させ、および、
アラームの第2のインスタンスを発行させる命令を、含み、
前記アラームの第2のインスタンスは、少なくとも1つの適合された特徴を有する、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項26】
前記少なくとも1つの事象は、前記医療装置コントローラの環境の特性と、前記医療装置コントローラを着用する患者の特性のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の着用可能な医療装置コントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2011年3月25日に出願された「着用可能な医療装置においてアラームを適合させるためのシステムおよび方法(SYSTEM AND METHOD FOR ADAPTING ALARMS IN A WEARABLE MEDICAL DEVICE)」と題される米国仮出願連続番号第61/467,663号に対する優先権を主張し、その全体が引用によりこの明細書中に援用される。本願はまた、米国特許法第119条(e)に基づき、2011年10月3日に出願された「着用可能な医療装置においてアラームを適合させるためのシステムおよび方法(SYSTEM AND METHOD FOR ADAPTING ALARMS IN A WEARABLE MEDICAL DEVICE)」と題される米国仮出願連続番号第61/542,749号に対する優先権を主張し、その全体が引用によりこの明細書中に援用される。
【0002】
背景
技術分野
本発明の局面は、医療装置に関し、より特定的には、医療装置においてアラームを適合させるための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
着用可能な医療装置の中には、この医療装置を着用している患者に対して、当該患者にとって関心のある事象を通知するものがある。いくつかの状況においては、着用可能な医療装置は、これらの通知に対する応答を患者から受取る。たとえば、患者の心電図(ECG:electrocardiogram)信号が心臓の異常を示す場合、歩行可能な患者が着用している着用可能な除細動器がアラームを発生させる。心臓の異常がショック療法によって治療可能であることをECG信号が示す場合、患者が不必要なショック療法を受けることを回避したいと希望しているのであれば、着用可能な除細動器がこの通知に対する反応を受取るはずである。
【0004】
通知の原因となったものが差し迫ったのものではない状況においては、着用可能な医療装置は、対象となる事象を患者に繰返し通知し得る。たとえば、着用可能な医療装置に据付けられたバッテリの電力が切れかかっている場合には、着用可能な医療装置が患者にそのことを通知し得る。一定期間後、バッテリが低電力状態であることを着用可能な医療装置が検出し続ける場合、着用可能な医療装置は以前の通知を再発行してもよい。しかしながら、マサチューセッツ州(Massachusetts)チェルムスフォード(Chelmsford)のZoll Medical Corporationから入手可能なライフベスト(LifeVest(登録商標))着用可能な電気除細動器(Wearable Cardioverter Defibrillator)といった救命救急用の医療装置の場合、患者による反応動作がなければ、結果として、バッテリ電力の不足により、着用可能な除細動器が動作不能になってしまう可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
概要
この明細書中に開示される例は、着用可能な医療装置を着用している患者の使用経験を維持または向上させつつ、この着用可能な医療装置の効果を高めるよう、着用可能な医療装置によって発行されたアラームの特徴を適合させるものである。たとえば、この明細書中に提示されるいくつかの適合により、患者が適切な態様でアラームに応答する可能性が高められる。他の適合では、特定の患者の特徴および優先度に合うようアラームが調整される。このように、さまざまな例は、アラームが患者に聞こえていない状況、患者がアラームの重要性を認識していない状況、または、患者が定められたタイムテーブルに従って応答しない状況に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一例においては、着用可能な医療装置によって発行されるアラームを適合させるための方法が提供される。当該方法は、アラームの第1のインスタンスを発行する動作と、アラームの第1のインスタンスに対する予め定められた応答が目標応答時間内に受信されなかったと判断する動作と、予め定められた応答が目標応答時間内に受信されなかったと判断したことに応じて、アラームに関連付けられる適合経路に従ってアラームの少なくとも1つの特徴を適合させる動作と、アラームの第2のインスタンスを発行する動作とを含む。アラームの第2のインスタンスは少なくとも1つの適合された特徴を有する。
【0007】
当該方法においては、アラームの第1のインスタンスが有効ではなかったと判断する動作は、目標応答時間内に応答を受信しない動作を含み得る。加えて、アラームの少なくとも1つの特徴を適合させる動作は、アラームの強さを高める動作を含み得る。さらに、アラームの少なくとも1つの特徴を適合させる動作は、アラームの伝路(conduit)を変更する動作を含み得る。アラームの伝路を変更する動作は、個人用電子装置にアラームを伝送する動作を含み得る。さらに、当該方法は、事象の発生時にトリガされるアラームを示すアラームプロファイルを用いて実行されてもよい。加えて、当該方法はさらに、アラームの少なくとも1つの特徴を適合させることに応じて、アラームと適合経路と間の関連付けをアラームプロファイルに記憶する動作と、事象の発生を検出する動作と、事象の発生を検出したことに応じて、アラームと適合経路と間の関連付けを識別する動作と、関連付けを識別したことに応じて、適合経路に従ってアラームの少なくとも1つの特徴を適合させる動作と、アラームの第3のインスタンスを発行する動作とを含み得る。アラームの第3のインスタンスは少なくとも1つの適合された特徴を有する。
【0008】
別の例に従うと、着用可能な医療装置によって発行されるアラームを適合させるための方法が提供される。当該方法は、事象の発生時にトリガされるアラームを示し適合経路とアラームとの間の関連付けを含むアラームプロファイルをインターフェイスを介して受信する動作と、事象の発生を検出する動作と、事象の発生を検出したことに応じて、適合経路とアラームと間の関連付けを識別する動作と、関連付けを識別したことに応じて、適合経路に従ってアラームの少なくとも1つの特徴を適合させる動作と、少なくとも1つの適合された特徴を有するアラームのインスタンスを発行する動作とを含む。
【0009】
別の例に従うと、着用可能な医療装置コントローラが提供される。着用可能な医療装置コントローラは、アラームプロファイル情報を記憶するメモリと、メモリに結合されたプロセッサとを含む。プロセッサは、アラームの第1のインスタンスを発行し、アラームの第1のインスタンスに対する予め定められた応答が目標応答時間内に受信されなかったと判断し、予め定められた応答が目標応答時間内に受信されなかったと判断したことに応じて、アラームに関連付けられる適合経路に従ってアラームの少なくとも1つの特徴を適合させ、アラームの第2のインスタンスを発行するよう構成される。アラームの第2のインスタンスは少なくとも1つの適合された特徴を有する。加えて、プロセッサは、プロセッサが目標応答時間内に応答を受信しない場合、アラームの第1のインスタンスが有効ではなかったと判断するよう構成され得る。
【0010】
別の例に従うと、着用可能な医療装置によって発行されるアラームを適合させるための方法が提供される。当該方法は、アラームに関連付けられる抑制要因を検出する動作と、抑制要因を検出したこと応じて、適合経路に従ってアラームの少なくとも1つの特徴を適合させる動作とを含む。
【0011】
別の例に従うと、着用可能な医療装置によって発行されるアラームを適合させるための方法が提供される。当該方法は、独立変数の値と患者に関連付けられるアラーム応答パターンとの間の相関関係を検出する動作と、相関関係を検出した後、独立変数が上記値を有すると判断する動作と、独立変数が上記値を有すると判断したことに応じて、アラーム応答パターンに基づいてアラームを適合させる動作とを含む。
【0012】
別の例に従うと、着用可能な医療装置コントローラが提供される。装置コントローラは、メモリと、メモリに結合されたプロセッサとを含む。プロセッサは、着用可能な医療装置コントローラによって識別可能な現象と患者に関連付けられる少なくとも1つの応答パターンとの間の相関関係を判断し、相関関係を検出したことに応じて、少なくとも1つの応答パターンに対処するために適合経路を記憶するよう構成される。適合経路は、アラームの少なくとも1つの特徴の適合を規定する。少なくとも1つの応答パターンは複数の応答パターンを含み得る。適合経路は、複数の応答パターンのうち少なくともいくつかに対処するよう行われた適合を反映させ得る。
【0013】
装置コントローラにおいては、プロセッサはさらに、現象を検出し、現象を検出したことに応じて、適合経路に従ってアラームの少なくとも1つの特徴を適合させるよう構成され得る。プロセッサは、現象を示す独立変数の値と少なくとも1つの応答パターンとの間の相関関係を判断することによって相関関係を判断するよう構成され得る。アラームの少なくとも1つの特徴を適合させる動作は、アラームの強さを高める動作を含み得る。アラームの少なくとも1つの特徴を適合させる動作は、アラームの伝路を変更する動作を含み得る。アラームの伝路を変更する動作は、個人用電子装置にアラームを伝送する動作を含み得る。いくつかの例においては、現象は抑制要因であり得る。
【0014】
装置コントローラにおいては、メモリは、アラームが事象の発生時にトリガされることを示すアラームプロファイルを記憶し得る。アラームプロファイルは、適合経路とアラームとの間の関連付けを含み得る。プロセッサはさらに、事象の発生を検出し、アラームの第1のインスタンスを発行するよう構成され得る。第1のインスタンスは少なくとも1つの適合された特徴を有する。適合経路は複数の適合を規定し得る。プロセッサはさらに、アラームの第1のインスタンスに対する予め定められた応答が目標応答時間内に受信されなかったと判断し、予め定められた応答が目標応答時間内に受信されなかったと判断したことに応じて、複数の適合からのある適合に従ってアラームの特徴を適合させ、アラームの第2のインスタンスを発行するよう構成される。アラームの第2のインスタンスは適合された特徴を有する。
【0015】
装置コントローラはさらに、プロセッサとデータ通信するインターフェイスを含み得る。プロセッサはさらに、インターフェイスを介してアラームプロファイルを受信し、メモリにアラームプロファイルを記憶するよう構成され得る。プロセッサはさらに、インターフェイスを介して新しい適合経路を受信し、アラームプロファイルに新しい適合経路を記憶するよう構成され得る。
【0016】
別の例に従うと、着用可能な医療装置コントローラが提供される。装置コントローラは、メモリと、メモリに結合されたプロセッサとを含む。メモリはアラームプロファイルを記憶する。アラームプロファイルは、事象の発生時にアラームがトリガされることを示し、適合経路とアラームとの間の関連付けを含む。プロセッサは、事象の発生を検出し、アラームの第1のインスタンスを発行し、アラームの第1のインスタンスに対する予め定められた応答が目標応答時間内に受信されなかったと判断し、予め定められた応答が目標応答時間内に受信されなかったと判断したことに応じて、適合経路に従ってアラームの少なくとも1つの特徴を適合させ、アラームの第2のインスタンスを発行するよう構成される。アラームの第2のインスタンスは少なくとも1つの適合された特徴を有する。
【0017】
別の例に従うと、着用可能な医療装置によって発行されるアラームを適合させるための方法が提供される。当該方法は、着用可能な医療装置によって識別可能な現象と患者に関連付けられる少なくとも1つの応答パターンとの間の相関関係を着用可能な医療装置が判断する動作と、相関関係を検出したこと応じて、少なくとも1つの応答パターンに対処するために適合経路を記憶する動作とを含む。適合経路は、アラームの少なくとも1つの特徴の適合を規定する。相関関係を判断する動作は、現象と複数の応答パターンとの間の相関関係を判断する動作を含み、適合経路を記憶する動作は、複数の応答パターンのうち少なくともいくつかに対処するよう行われた調整を反映させる適合経路を記憶する動作を含む。
【0018】
当該方法は、現象を検出する動作と、現象を検出したことに応じて、適合経路に従ってアラームの少なくとも1つの特徴を適合させる動作とを含む。当該方法においては、相関関係を判断する動作は、現象を示す独立変数の値と少なくとも1つの応答パターンとの間の相関関係を判断する動作を含み得る。アラームの少なくとも1つの特徴を適合させる動作は、アラームの強さを高める動作を含み得る。アラームの少なくとも1つの特徴を適合させる動作は、アラームの伝路を変更する動作を含み得る。アラームの伝路を変更する動作は、個人用電子装置にアラームを伝送する動作を含み得る。
【0019】
当該方法はさらに、事象の発生を検出し、アラームの第1のインスタンスを発行する動作を含み得る。第1のインスタンスは、アラームの少なくとも1つの特徴の適合を有する。適合経路は複数の適合を規定し得る。当該方法はさらに、アラームの第1のインスタンスに対する予め定められた応答が目標応答時間内に受信されなかったと判断する動作と、予め定められた応答が目標応答時間内に受信されなかったと判断したことに応じて、複数の適合からのある適合に従ってアラームの特徴を適合させる動作と、アラームの第2のインスタンスを発行する動作とを含む。アラームの第2のインスタンスは適合された特徴を有する。
【0020】
これらの例示的な局面および例のさらに他の局面、例および利点を以下に詳細に説明する。さらに、上述の情報および以下の詳細な説明がともに、単に、さまざまな局面の具体例に過ぎず、かつ、主張された主題の性質および特徴の理解のために概要または枠組みを提供するよう意図されていることが理解されるはずである。「例」、「いくつかの例」、「代替例」、「さまざまな例」、「一例」、「少なくとも1つの例」、「この例および他の例」などと言及する場合、これらは、必ずしも相互に排他的なものではなく、例に関連付けて説明される特定の特性、構造または特徴がその例および他の例に含まれ得ることを示すよう意図されている。この明細書中にこのような用語が用いられている場合でも、必ずしもすべてが同じ例を指すものではない。
【0021】
さらに、本文献と、この明細書中に引用により援用される文献との間で用語の使用法の不一致がある場合、引用された文献におけるその用語の使用法は、本文献を補足するものであって、調和しがたい不一致については、本文献における用語の使用法を基準とする。加えて、添付の図面は、さまざまな局面および例を例示してさらに理解させるために含まれるものであって、この明細書の一部に組込まれ、その一部を構成している。添付の図面は、明細書の残りの記載と合わせて、記載および主張された局面および例の原理および動作を説明する役割を果たす。
【0022】
図面の簡単な説明
添付の図面は縮尺通りに描かれるよう意図されたものではない。添付の図面においては、同一またはほぼ同一の構成要素は同様の数字によって表わされる可能性がある。明瞭にするために、すべての図面において、すべての構成要素に名前が付されているとは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】着用可能な医療装置コントローラの一例を示す機能概略図である。
図2】医療装置によって発行されたアラームを適合させるためのプロセスの一例を示すフロー図である。
図3】アラームプロファイル内に情報を構成するためのプロセスの一例を示すフロー図である。
図4】医療装置に関連付けられる事象を監視するためのプロセスの一例を示すフロー図である。
図5】医療装置に関連付けられるアラームを生成するためのプロセスの一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
詳細な説明
この明細書中に開示される局面および例は、着用可能な医療装置によって発行されるアラームを適合させるための装置およびプロセスに関する。この明細書中に開示される例は、多種多様な着用可能な医療装置に潜在的に適用可能である。いくつかの例においては、着用可能な医療装置は、2011年5月17日に出願された「複数の検知電極を備えた着用可能な携行型医療装置(WEARABLE AMBULATORY MEDICAL DEVICE WITH MULTIPLE SENSING ELECTRODES)」と題され、引用によりその全体がこの明細書中に援用される同時係属出願連続番号第13/109,382号に記載される着用可能な医療装置に従って構成される。他の例においては、着用可能な医療装置は、治療投与方法を行わないかまたは治療投与装置を含まない監視装置である。これらの例の各々においては、着用可能な医療装置の制御部は、この明細書中に記載される適合プロセスを実行するよう構成された構成要素のセットを含む。この構成要素のセットは、ハードウェア構成要素、またはハードウェア構成要素とソフトウェア構成要素との組合せを含み得る。
【0025】
この明細書中において説明される方法および装置の例は、適用の際には、以下の説明に記載されるかまたは添付の図面に例示される構成要素の構造および配置についての詳細には限定されない。これらの方法および装置は、他の例での実現が可能であり、さまざまな方法で実施可能または実行可能である。具体的な実現例は、単に説明を目的としてこの明細書中に記載されているに過ぎず、限定するよう意図されたものではない。特に、いずれか1つ以上の例に関連付けて説明される動作、要素および特徴は、他のいずれかの例における同様の役割から除外されるよう意図されるものではない。
【0026】
また、この明細書中において用いられる語句および用語は説明を目的としたものであり、限定するものと見なされるべきではない。この明細書中におけるシステムおよび方法の例または要素または動作が単数形で言及される場合はいずれも、これらの複数の要素を含む例を包含し得るものであり、この明細書中のいずれかの例または要素または動作を複数で言及する場合はいずれも、単一の要素のみを含む例を包含し得る。単数形または複数形で言及する場合、現在開示されているシステムまたは方法、それらの構成要素、動作または要素を限定するよう意図されるものではない。この明細書中において「含む」、「備える」、「有する」、「含有する」、「伴う」およびこれらの変形例が用いられる場合、以降に列挙する要素、その同等例および付加的な要素を包含するよう意図されている。「または」と言及する場合、「または」を用いて記載されるいずれの用語も、単一の用語、2つ以上の用語および記載されているすべて用語のうちいずれかを示し得るように包括的なものとして解釈され得る。
【0027】
着用可能な医療装置コントローラ
図1は、対象となる事象について患者および患者の環境を監視し、これらの事象を報告する通知を適合させるよう構成される着用可能な医療装置コントローラ100を示す。図1に図示のとおり、着用可能な医療装置コントローラ100は、プロセッサ118、センサインターフェイス112、アラームマネージャ114、治療投与インターフェイス102、データストレージ104、通信ネットワークインターフェイス106、ユーザインターフェイス108、およびバッテリ110を含む。データストレージ104はアラームプロファイル情報116を含む。さらに、この図示される例においては、バッテリ110は、再充電可能な3セル2200mAhリチウムイオンバッテリパックであって、充電の合間に最低24時間のランタイムで他の装置構成要素に電力を供給する。
【0028】
図1に図示される例に従うと、プロセッサ118は、センサインターフェイス112、治療投与インターフェイス102、データストレージ104、ネットワークインターフェイス106、およびユーザインターフェイス108に結合される。プロセッサ118が一連の命令を実行すると、結果として、操作されたデータがデータストレージ104に記憶されたり、データストレージ104から検索されたりする。さまざまな例に従うと、プロセッサ118は、テキサスインスツルメンツ社、Intel社、AMD社、サン社、IBM社、モトローラ社、Freescale社、およびARMホールディングス社によって製造されるプロセッサなどの、市販のプロセッサである。しかしながら、プロセッサ118は、市販されたものであろうと特別に製造されたものであろうと、如何なるタイプのプロセッサ、マルチプロセッサまたはコントローラであってもよい。たとえば、一例に従うと、プロセッサ118は、2010年7月9日に出願され「医療装置における電力を節約するシステムおよび方法(SYSTEM AND METHOD FOR CONSERVING POWER IN A MEDICAL DEVICE)」と題され、その全体がこの明細書中に引用により援用される同時係属出願連続番号第12/833,096号に記載されるような電力節約プロセッサ構成を含み得る。別の例においては、プロセッサ118はインテル(登録商標)PXA270である。
【0029】
加えて、いくつかの例においては、プロセッサ118は、RTLinux(登録商標)などの従来のRTOSを実行するよう構成される。これらの例においては、RTOSは、以下にさらに説明されるアラームマネージャ114のいくつかの例のようなアプリケーションソフトに対してプラットフォームサービスを提供し得る。これらのプラットフォームサービスは、プロセス−ネットワーク間通信、ファイルシステム管理および標準的なデータベース操作を含み得る。しかしながら、多くのオペレーティングシステムのうちの1つが用いられてもよく、その例は如何なる特定のオペレーティングシステムまたはオペレーティングシステム特徴に限定されない。たとえば、いくつかの例においては、汎用のプロセッサ118は、BSDまたはGNU/Linux(登録商標)などの非リアルタイムオペレーティングシステムを実行するよう構成され得る。
【0030】
アラームマネージャ114は、アラームプロファイル情報116などのアラームプロファイルを管理し、アラームプロファイル内で規定された事象を、指定受信者にとって関心のあるものとして、1以上の指定受信者に通知するよう構成される。これらの指定受信者は、ユーザ(患者、医師および監視要員)ならびにコンピュータシステム(監視システムまたは緊急応答システム)などの外部実体を含み得る。アラームマネージャ114はまた、アラームプロファイル情報116内で規定された適合経路に従って通知を適合させるよう構成される。適合経路は、アラームプロファイル情報116に関連付けて以下にさらに説明される。
【0031】
アラームマネージャ114は、ハードウェアを用いて、またはハードウェアとソフトウェアとの組合わせを用いて実現されてもよい。たとえば、一例においては、アラームマネージャ114は、データストレージ112に記憶されてプロセッサ118によって実行されるソフトウェア構成要素として実現される。この例においては、アラームマネージャ114に含まれる命令により、プロセッサ118は、アラームプロファイルを構成し、アラームプロファイルを用いて指定受信者に通知するようプログラムされる。他の例においては、アラームマネージャ114は、特定用途向け集積回路(ASIC:application-specific integrated circuit)であってもよく、プロセッサ118に結合されており、アラームプロファイルを管理し、かつアラームプロファイル内に規定されたアラームを用いて指定受信者に通知するよう調整される。このため、アラームマネージャ114の例は特定のハードウェアまたはソフトウェアの実現例に限定されない。アラームマネージャ114によって実行されるプロセスの特定例は、図2図5と、以下のアラーム適合例の段落とを参照しつつ以下においてさらに説明される。
【0032】
いくつかの例においては、アラームマネージャ114などのこの明細書中に開示される構成要素は、これらの構成要素によって実行される機能に影響を及ぼすパラメータを読取り得る。これらのパラメータは、RAMなどの揮発性メモリまたは磁気ハードドライブなどの不揮発性メモリを含む好適なメモリの如何なる形態で物理的に格納されてもよい。加えて、パラメータは、ユーザモードアプリケーションによって規定されるデータベースまたはファイルなどの専用データ構造に、または、オペレーティングシステムによって規定されるアプリケーションレジストリなどの共用データ構造に、論理的に記憶され得る。加えて、いくつかの例は、ユーザインターフェイス108を用いて実現され得るものとしてシステムおよびユーザインターフェイスの両方を備えており、これにより、外部実体がパラメータを変更し、これにより構成要素の動作を構成することを可能にする。
【0033】
たとえば、アラームマネージャ114はアラームモードパラメータを含む。アラームモードパラメータは、アラームマネージャ114がトリガされたアラームに適用する一般化された優先度のセットを示す。アラームマネージャ114は、現在実施されている特定のアラームモードに応じてアラームの如何なる特徴をも調整し得る。アラームモードの例としては、正常(アラーム特徴に対する変更なし);無音(アラームの報告時に1以上の検知に対する感覚的出力を生成しない);大音量(アラームの報告時に1以上の検知に対する感覚的出力を増大させる);車両(感覚的出力および目標応答時間を減らし、アラームモードパラメータが車両モードを示す場合、アラームを遅延させるために、示している適合経路でアラームを遅延させ、可能であれば車両間通信および娯楽用システムによって、トリガされたアラームを発行する);歩行(フットブザーなどの1点の衣類内に埋込まれた出力によってトリガされたアラームを発行する);個人用電子装置(イヤホン、電話、タブレットコンピューティングデバイス、ペン、個人用娯楽装置、スポーツ機器、携帯情報端末等のような個人用電子装置を介して、トリガされたアラームを発行する)、を含むが、これらに限定されない。
【0034】
データストレージ104は、非一時的な命令および他のデータを記憶するよう構成されたコンピュータ読取り可能および書込み可能な不揮発性データストレージ媒体を含む。加えて、データストレージ104は、プロセッサ118の動作中にデータを記憶するプロセッサメモリを含む。いくつかの例においては、プロセッサメモリは、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM:dynamic random access memory)、スタティックメモリ(SRAM:static memory)または同期DRAMなどの比較的高性能で揮発性のランダムアクセスメモリを含む。しかしながら、プロセッサメモリは、不揮発性メモリなどの、データを記憶するための如何なる装置を含んでいてもよく、この明細書中に記載される機能をサポートするのに十分なスループットおよび記憶容量を備え得る。いくつかの例に従うと、プロセッサ118は、データを処理する前に、このデータを不揮発性データストレージ媒体からプロセッサメモリに読込ませる。これらの例においては、プロセッサ118は、処理の完了後、データをプロセッサメモリから不揮発性記憶媒体にコピーする。さまざまな構成要素が、不揮発性記憶媒体とプロセッサメモリとの間のデータ移動を管理し得るが、例は特定のデータ管理構成要素に限定されない。さらに、例は、特定のメモリ、メモリシステムまたはデータストレージシステムに限定されない。
【0035】
データストレージ104に記憶された命令は、プロセッサ118によって実行可能な実行可能プログラムまたは他のコードを含み得る。データストレージ104はまた、媒体上または媒体に記録される情報を含んでもよく、この情報は命令の実行中にプロセッサ118によって処理されてもよい。より具体的には、情報は、記憶空間を節約するかまたはデータ交換性能を高めるよう特別に構成された1つ以上のデータ構造に記憶されてもよい。命令は、符号化された信号として永続的に記憶されてもよく、また、この明細書中に記載される機能をプロセッサ118に実行させてもよい。媒体は、たとえば、中でも、光ディスク、磁気ディスクまたはフラッシュメモリであってもよく、着用可能な医療装置コントローラ100に永久的に取付けられてもよくまたは着用可能な医療装置コントローラ100から取外し可能であってもよい。
【0036】
アラームプロファイル情報116は、対象となる事象を指定受信者に通知するためにアラームマネージャ114によって用いられるデータを含む。より特定的には、図示される例に従うと、アラームプロファイル情報116は、対象となる事象と、識別された事象を報告するのに用いられる1つ以上のアラームの特徴と、1つ以上のアラームの各々のための1つ以上の適合経路とを識別する情報を含む。対象となる事象は、着用可能な医療装置コントローラ100が検出可能な如何なる事象をも含み得る。しかしながら、広く定義すれば、対象となる事象は、患者の生理学的異常を示すような着用可能な医療装置を着用している患者に関係するものとして、または、保守点検を必要とする構成要素(たとえば、電力不足のバッテリ)などの着用可能な医療装置に関係するものとして、分類され得る。
【0037】
共通のアラーム特徴は、アラーム識別子、アラームの指定受信者、1つ以上の潜在的な応答、アラームが送られる伝路、アラームについての内容、内容が伝達される強さ、内容が伝達される発行率、および目標応答時間を含む。アラームが発行され得る伝路は、中でも、ユーザインターフェイス108、ネットワークインターフェイス106および治療投与インターフェイス102を含む。適合経路は、アラームの初期の特徴、アラームの特徴が現在選択されているアラームモードに基づいて如何に変更されるか、アラームが発行された回数、任意のアラームの指定受信者の周りの状況、ならびに、外部実体が行ったかまたは行わなかった如何なる応答動作をも規定し得る。概して、適合経路によって規定される適合は、アラームが伝達される強さを高める動作、アラームの内容または伝路を変更する動作、および、アラームが伝達される発行率を高める動作を伴う。アラームプロファイル情報116で規定され、アラームマネージャ114が実行するよう構成される適合経路の具体例を、アラーム適合例の段落において以下にさらに説明する。
【0038】
図1に図示のとおり、アラームマネージャ114およびアラームプロファイル情報116は別個の構成要素である。しかしながら、他の例においては、アラームマネージャ114およびアラームプロファイル情報116は、プロセッサ118にトリガ済みアラームを適合させる実行可能なコードなどの、アラームマネージャ114に含まれるデータの一部がアラームプロファイル情報118に存在するように、またはその逆となるように、単一の構成要素に組合され得るかまたは再構成され得る。図1に示されるこれらおよび他の構成要素におけるこのような変形例は、この明細書中に開示される例の範囲内に収まるよう意図されている。
【0039】
アラームプロファイル情報116は、いくつかある構造の中でも、フラットファイル、索引付きファイル、階層型データベース、リレーショナルデータベースまたはオブジェクト指向型データベースを含む、コンピュータ読取り可能媒体についての情報を記憶することのできる如何なる論理構造に記憶されてもよい。加えて、さまざまな例では、この明細書中に開示される機能を実行するために、アラームプロファイル情報116が、特定化された、場合によっては固有の、構造に編成される。これらの例においては、データ構造は、特定のタイプのデータについての値を記憶するような大きさにされて配置される。
【0040】
図1に図示のとおり、着用可能な医療装置コントローラ100はいくつかのシステムインターフェイス構成要素102、106および112を含む。これらのシステムインターフェイス構成要素の各々は、着用可能な医療装置コントローラ100内または他の場所に位置し得る1つ以上の特化された装置とデータをやり取りするよう、すなわち送信または受信するよう構成される。インターフェイス102、106および112によって用いられる構成要素は、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素またはこれら両方の組合せを含み得る。各々のインターフェイスの場合、これらの構成要素が着用可能な医療装置コントローラ100を特化された装置に物理的かつ論理的に結合する。この物理的かつ論理的な結合により、着用可能な医療装置コントローラ100が、特化された装置と通信し、場合によっては特化された装置の動作を制御することが可能となる。これらの特化された装置は、生理学的センサ、治療投与装置およびコンピュータネットワークデバイスを含み得る。
【0041】
さまざまな例に従うと、インターフェイス102、106および112のハードウェア構成要素およびソフトウェア構成要素は、さまざまな結合技術および通信技術を採用する。いくつかの例においては、インターフェイス102、106および112は、着用可能な医療装置コントローラ100と特化された装置との間でデータをやり取りするための伝路としてリード、ケーブルまたは他の有線コネクタを用いる。他の例においては、インターフェイス102、106および112は、高周波技術または赤外線技術などの無線技術を用いて特化された装置と通信する。インターフェイス102、106および112に含まれるソフトウェア構成要素により、プロセッサ118が、特化された装置と通信することが可能となる。これらのソフトウェア構成要素は、オブジェクト、実行可能なコードおよびポピュレートされたデータ構造などの要素を含み得る。これらのソフトウェア構成要素はともにソフトウェアインターフェイスを備えており、このソフトウェアインターフェイスを介して、プロセッサ118が特化された装置と情報をやり取りすることができる。さらに、1つ以上の特化された装置がアナログ信号を用いて通信を行う少なくともいくつかの例においては、インターフェイス102、106および112はさらに、プロセッサ118が特化された装置と通信することを可能にするために、アナログ情報をデジタル情報に変換したり、またはこの逆に変換したりするよう構成された構成要素を含む。
【0042】
上述のとおり、図1の例に示されるシステムインターフェイス構成要素102、106および112はさまざまなタイプの特化された装置をサポートする。たとえば、センサインターフェイス112の構成要素は、プロセッサ118を1つ以上の生理学的センサ、たとえば、体温センサ、呼吸モニタ、および乾式容量性ECG電極など、さらに、1つ以上の環境センサ、たとえば、大気温度計、気流センサ、ビデオセンサ、オーディオセンサ、加速度計、GPSロケータ、および湿度計などに結合する。これらの例においては、センサは、ワイヤレスセンサなどの、サンプリングレートの比較的低いセンサを含み得る。
【0043】
治療投与インターフェイス102の構成要素は、コンデンサおよび除細動器電極などの1つ以上の治療投与装置をプロセッサ118に結合する。加えて、ネットワークインターフェイス106の構成要素は、ブリッジ、ルータまたはハブなどのネットワークデバイスを介してプロセッサ118をコンピュータネットワークに結合する。さまざまな例に従うと、ネットワークインターフェイス106は、さまざまな規格およびプロトコルをサポートするものであって、その例として、(たとえば、コンピュータへのドングルを介する)USB、TCP/IP、イーサネット(登録商標)、無線イーサネット(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、M−バス、CANバス、IP、IPV6、UDP、DTN、HTTP、FTP、SNMP、CDMA、NMEAおよびGSM(登録商標)が含まれる。データ転送が安全であることを保証するために、いくつかの例においては、着用可能な医療装置コントローラ100は、たとえばTLS、SSLまたはVPNを含むさまざまなセキュリティ対策を用いて、ネットワークインターフェイス106を介してデータを伝送することができる。他の例においては、ネットワークインターフェイス106は、無線通信用に構成された物理インターフェイスおよび有線通信用に構成された物理インターフェイスの両方を含む。さまざまな実施例に従うと、ネットワークインターフェイス106は、着用可能な医療装置コントローラ100と、コンピュータによって使用可能にされる眼鏡およびイヤホンを含むさまざまな個人用電子装置との間の通信を可能にする。
【0044】
こうして、着用可能な医療装置コントローラ100に組込まれたさまざまなシステムインターフェイスは、当該装置をさまざまな文脈における多種多様な装置と相互運用することを可能にする。たとえば、着用可能な医療装置コントローラ100のいくつかの例は、ネットワークインターフェイス106を介して集中サーバに対して重要な事象およびデータを送るプロセスを実行するよう構成される。これらの例に従ったプロセスの具体例が、2004年1月20日に発行され「患者の着用した医療装置のためのデータ収集およびシステム管理(DATA COLLECTION AND SYSTEM MANAGEMENT FOR PATIENT-WORN MEDICAL DEVICES)」と題され、引用によりその全体がこの明細書中に援用される米国特許第6,681,003号に開示される。
【0045】
図1に図示のとおり、治療投与インターフェイス102およびネットワークインターフェイス106は任意であり、すべての例に含まれていない可能性がある。たとえば、心拍数モニタは、適合性のあるアラームを発行するために着用可能な医療装置コントローラ100を採用する可能性があるが、心臓の異常を治療するための治療投与インターフェイス102を備えていない可能性がある。同様に、着用可能な除細動器は、適合性のあるアラーム機能をもたらすために着用可能な医療装置コントローラ100を備える可能性があるが、たとえば、着用可能な除細動器がアラームを通知するのにユーザインターフェイス108に依存するよう設計されているネットワークインターフェイス106を備えていない可能性がある。
【0046】
図1に示されるユーザインターフェイス108は、ハードウェア構成要素とソフトウェア構成要素との組合せを含んでおり、これらにより、着用可能な医療装置コントローラ100がユーザなどの外部実体と通信することを可能にする。これらの構成要素は、体の動き、言葉のイントネーションまたは思考プロセスといった活動から情報を受けるように構成される。加えて、ユーザインターフェイス108の構成要素は外部実体に情報を供給することができる。ユーザインターフェイス108内で採用され得る構成要素の例には、キーボード、マウス装置、トラックボール、マイクロフォン、電極、タッチスクリーン、印刷装置、ディスプレイスクリーンおよびスピーカが含まれる。いくつかの例においては、電極はLEDなどの照明要素を含む。他の例においては、印刷装置は、視覚的または触知的(ブライユ点字(Braille))出力を与えることのできるプリンタを含む。
【0047】
着用可能な医療装置コントローラ100は、さまざまな潜在的アプリケーションを有しており、さまざまな事象を外部実体に通知する装置に十分に適している。これらアプリケーションのうちのいくつかは、外部実体からの予め定められた応答を必要とする。予め定められた応答は、報告されている事象を考慮して適切なものであれば如何なる応答をも含み得る。予め定められた応答は、アラームの認識、アラームがアドレス指定されていることを示す情報の入力、およびアラームをトリガした事象または条件の修正を含み得る。着用可能な医療装置コントローラ100が十分に適している装置の例には、着用可能な体外除細動器などの救命救急用医療装置が含まれる。このような一除細動器の例が、’096号出願に図3に関連付けて開示されている。少なくとも一例においては、’096号出願の図3に例示される着用可能な除細動器300は、’096号出願に開示される携帯用治療コントローラ200の代わりとして、本願に開示される着用可能な医療装置コントローラ100を採用している。この例においては、’096号出願の図3に例示されるECG電極および治療パッドは、それぞれ、センサインターフェイス112および治療投与インターフェイス102を介して、着用可能な医療装置コントローラ100に論理的かつ物理的に結合される。
【0048】
アラーム適合プロセス
さまざまな例によって提供されるプロセスにより、医療装置が1以上の指定受信者にとって関心のある事象を報告するアラームが適合される。これらの例においては、医療装置は、着用可能な医療装置コントローラ100を含むよう配置され、以下のアラーム適合例の段落に記載される動作を含め、この明細書中に開示される動作を実行する。図2は、アラームプロファイルを構成する動作と、事象を監視する動作と、アラームを生成する動作とを含むこのような一プロセス200を示す。プロセス200は202から開始される。
【0049】
動作204においては、医療装置がアラームプロファイル情報を構成する。いくつかの例に従うと、アラームマネージャ114などのアラームマネージャが構成インターフェイスを実現する。この構成インターフェイスを介して、アラームマネージャが、患者、医師または機器技術者などのユーザからアラームプロファイル情報を受取る。これらの例に従った動作を図3に関連付けて以下に説明する。
【0050】
動作206においては、医療装置が事象を監視する。さまざまな例に従うと、アラームマネージャは、アラームプロファイル情報116などのアラームプロファイル情報において規定されるような対象となる事象についての医療装置のさまざまな入力を監視する。これらの例に従った動作を図4に関連付けて以下に説明する。
【0051】
動作208において、医療装置がアラームを生成する。さまざまなに例に従うと、アラームマネージャは、アラームプロファイル情報に従ってアラームを適合させて発行する。これらの例に従った動作を図5に関連付けて以下に説明する。
【0052】
動作210において、医療装置は、着用可能な医療装置コントローラの停止によって引起こされる中断などの、監視時の中断が始まろうしているかどうかを判断する。もしそうであれば、医療装置は212に進む。そうでなければ、医療装置は動作206に戻る。
【0053】
プロセス200は212で終了する。プロセス200に従った例では、医療装置が、アラームが無視される可能性を減らす態様で重要な事象を患者、医師または監視要員などの指定受信者に対して通知することを可能にする。したがって、このような例により、医療装置の効果が高められる。
【0054】
図2に示される動作204に関して上述したとおり、さまざまな例では、医療装置によってアラームプロファイルを構成するためのプロセスが提供される。図3が示すこのような一プロセス310は、動作204を実現するものであって、構成インターフェイスを与える動作と、アラームプロファイル情報を受信する動作と、アラームプロファイル情報を記憶する動作とを含む。医療装置実現プロセス310は312から開始される。
【0055】
動作314において、アラームマネージャ114などのアラームマネージャは構成インターフェイスを提供する。この構成インターフェイスを介して、アラームマネージャがアラームプロファイル情報116などのアラームプロファイル情報を受信する。構成インターフェイスの特徴は例によって異なる。たとえば、一例においては、構成インターフェイスは、ユーザインターフェイス108を介して、アラームを識別する情報を受信するよう配置された1つ以上のスクリーンと、アラームの指定受信者と、1つ以上の潜在的な応答と、アラームが供給される伝路と、アラームについての内容と、内容が伝えられる強さと、内容が伝えられる発行率と、目標応答時間と、アラームのための適合経路とを提示する。別の例に従うと、構成インターフェイスは、ネットワークインターフェイス106などのネットワークインターフェイスを介して実現されるシステムインターフェイスを含み、このシステムインターフェイスを介して、アラームマネージャが外部システムからアラームプロファイル情報を受信する。一例においては、外部システムはウェブサイトであって、このウェブサイトを介して、患者または監視要員などの外部実体が着用可能な医療装置コントローラへのダウンロードのためのアラームプロファイル情報を構成し得る。提供される構成インターフェイスの特徴を詳述する他の例を、アラーム適合例の段落において以下に説明する。
【0056】
動作316において、アラームマネージャが構成インターフェイスを介してアラームプロファイル情報を受信する。たとえば、一例においては、構成インターフェイスは、アラームの指定受信者、1つ以上の潜在的な応答、アラームが送られる伝路、アラームについての内容、内容が伝えられる強さ、内容が伝えられる発行率、目標応答時間、および、上述のスクリーンを介するアラームのための適合経路を受取る。別の例においては、アラームプロファイル情報が上述の外部システムから受信される。動作318において、アラームマネージャは、データストレージ104などのデータストレージにアラームプロファイル情報を記憶する。医療装置実現プロセス310は、320においてプロセスを終了させる。プロセス310に従った例により、医療装置が、アラームを報告および適合させる際に後で使用するアラームプロファイル情報を集めることが可能となる。
【0057】
図2に示される動作206に関して上述したとおり、さまざまな例は、医療装置においては遭遇する事象を監視するためのプロセスを提供する。図4に例示されるこのような一プロセス400は、動作206を実現するために用いられてもよく、事象情報を受信する動作と、事象によってアラームがトリガされるかどうかを判断する動作と、アラームをトリガする動作とを含む。医療装置実現プロセス400が402から開始される。
【0058】
動作404において、アラームマネージャ114などのアラームマネージャがプロセッサ118から事象を受信する。動作406において、アラームマネージャは、アラームプロファイル情報116などのアラームプロファイル情報を参照することによってアラームが事象によってトリガされるかどうかを判断する。そうであれば、アラームマネージャは動作408においてアラームをトリガする。そうでなければ、アラームマネージャは410に進む。医療装置実現プロセス400は、410においてプロセスを終了させる。プロセス400に従った例により、装置が遭遇した事象によってアラームがトリガされるかどうかを医療装置が判断することが可能となる。
【0059】
図2に示される動作208に関して上述したとおり、さまざまな例は、医療装置によってアラームを生成するためのプロセスを提供する。図5が示すこのような一プロセス500は、動作208を実現するために用いられてもよく、アラームプロファイルを検索する動作と、アラーム特徴を判断する動作と、アラームを発行する動作とを含む。医療装置実現プロセス500が502から開始される。
【0060】
動作504において、アラームマネージャ114などのアラームマネージャが、データストレージ104などのデータストレージから、アラームプロファイル情報116などのアラームプロファイル情報を検索する。動作506において、アラームマネージャは、アラームプロファイル情報およびアラームモードパラメータに基づいてアラーム特徴を判断する。一例においては、アラームマネージャは、アラームが以前に発行されているが予め定められた応答が受信されていないかどうかを判断する。この状況であれば、アラームマネージャは、アラームに関連付けられる適合経路に従ってアラームを適合させる。さらに、いくつかの例においては、アラームマネージャは、アラームの将来のインスタンスが自動的に、すなわち効果のないアラームを発行する必要なしに、適合されるように、この適合を記録してもよい。別の例においては、アラームマネージャは、いずれのアラームインスタンスをも発行する前に、アラームのインスタンスを示すアラームプロファイルが適合経路に従って適合されるべきであると判断し、これに応じてアラームマネージャがアラームを適合させる。別の例においては、アラームマネージャは、アラームの指定受信者の環境が、アラームを適合させるべきようなものであるかどうかを判断し、もしそうであれば、アラームに関連付けられる適合経路に従ってアラームを適合させる。アラームの特徴および適合を詳述する他の例を、アラーム適合例の段落において以下に説明する。
【0061】
動作508において、アラームマネージャは、動作506において判断されるような特徴を有するアラームを発行する。医療装置実現プロセス500は、510においてプロセスを終了させる。プロセス500に従った例により、指定受信者にアラームを有効に通知するよう適合されたアラームを医療装置が発行することが可能となる。これにより、さらに、アラームに適切に応答するのに必要な如何なる動作をも指定受信者が実行する可能性を高め、これにより、医療装置の着用者にとって有益となる。
【0062】
この明細書中に開示されるプロセスの各々は、特定の例における動作の特定の一シーケンスを示す。これらのプロセスの各々に含まれる動作は、この明細書中に記載されるように特別に構成された医療装置によって、またはこの医療装置を用いて実行されてもよい。いくつかの動作は任意であり、そのため、1つ以上の例に応じて省略されてもよい。加えて、この明細書中に記載されるシステムおよび方法の範囲から逸脱することなく、動作の順序を変更することができるか、または他の動作を追加することができる。加えて、上述のとおり、少なくとも一例においては、動作は、特に特別に構成された機械、すなわち、この明細書中に開示される例に従って構成される医療装置において実行される。
【0063】
アラーム適合例
さまざまな例に従うと、アラームマネージャ114などのアラームマネージャは、アラームプロファイル情報116などのアラームプロファイル情報において規定される適合経路に関して多種多様な動作を実行する。たとえば、いくつかの例においては、アラームマネージャは、アラームマネージャが最初に1つ以上の伝路を介してアラームを発行し、その後、必要に応じて、さまざまな伝路または複数の伝路にアラームを適合させるべきであることを規定する適合経路を、上述のような構成インターフェイスを介して受信する。これらの伝路は、光学(ディスプレイ、LED、照明電極など)、聴覚的(スピーカ)および触知的(振動出力)出力などのさまざまな感覚的出力を通じて、指定受信者と通信し得るか、または、他の装置に指定受信者と通信させ得る。少なくとも一例においては、適合経路は、アラームが最初に振動アラームとして発行され、次に、構成インターフェイスを介しユーザによって選択された音声を用いて音声命令に適合させることを規定する。これらの例に従うと、アラームが事象によってトリガされたとき、アラームマネージャは適合経路に従ってアラームを発行する。
【0064】
他の例においては、アラームマネージャは、外部実体によってアラームが静音化され得る期間にわたって期間しきい値を規定する適合経路を、構成インターフェイスを介して受信する。これらの例においては、アラームがしきい値を越えて静音化されて、応答動作が取られなかった場合に、アラームマネージャが、アラームの強さまたは発行率を高めることによって、またはアラームが伝達される伝路を変えることによって、アラームを適合させるべきであることを、適合経路がさらに規定している。これらの例に従うと、アラームが事象によってトリガされると、アラームマネージャは適合経路に従ってアラームを発行する。さらに、一例に従うと、アラームマネージャは、適合経路において規定される情報に従って、アラームをトーンから、指定受信者に特定の動作を取るよう要求する音声コマンドへと変更することによって、しきい値を越えて静音化されたアラームを適合させる。
【0065】
他の例においては、アラームマネージャは、規定された応答時間内に応答が外部実体から受信されない場合にアラームマネージャがアラームの強さを高めるべきである、たとえば、聴覚アラームの場合には音量を上げるべきである、ことを規定する適合経路を、構成インターフェイスを介して受信する。これらの例に従うと、アラームが事象によってトリガされると、アラームマネージャは、適合経路に従ってアラームを発行する。
【0066】
他の例においては、アラームマネージャは、規定された応答時間内に応答が外部実体から受信されない場合、アラームマネージャがアラームの内容を変更するべきであること、たとえば聴覚アラームの場合にはトーンから音声コマンドへと変更すべきであることを規定する適合経路を、構成インターフェイスを介して受信する。これらの例に従うと、アラームが事象によってトリガされると、アラームマネージャは適合経路に従ってアラームを発行する。
【0067】
他の例においては、アラームマネージャは、規定された応答時間内に応答が外部実体から受信されない場合、アラームマネージャがアラームを報告している発行率を変更するべきであること、たとえばアラームの再発行の合間の期間を短くするべきであることを規定する適合経路を、構成インターフェイスを介して受信する。これらの例に従うと、アラームが事象によってトリガされると、アラームマネージャは適合経路に従ってアラームを発行する。
【0068】
他の例においては、アラームマネージャは、規定された応答時間内に応答が外部実体から受信されない場合、アラームマネージャが、アラームが報告されている感覚出力を変更すべきであること、たとえば、聴覚的表示から視覚的表示へと、またはこれとは逆に変更するべきであることを規定する適合経路を、構成インターフェイスを介して受信する。これらの例に従うと、アラームが事象によってトリガされると、アラームマネージャは適合経路に従ってアラームを発行する。
【0069】
他の例においては、アラームマネージャは、規定された応答時間内に応答が外部実体から受信されない場合、アラームマネージャが、アラームの内容を変更するべきであること、たとえば、聴覚によるアラームの場合には緩やかなゴングから耳をつんざくようなサイレンへと変更するべきであることを規定する適合経路を、構成インターフェイスを介して受信する。これらの例に従うと、アラームが事象によってトリガされると、アラームマネージャは適合経路に従ってアラームを発行する。
【0070】
他の例においては、アラームマネージャは、規定された応答時間内に応答が外部実体から受信されない場合、アラームマネージャが、アラームを報告する伝路を変更するべきであること、たとえば、着用可能な医療装置コントローラから指定受信者に関連付けられる別の装置へと報告する装置を変更するべきであることを規定する適合経路を、構成インターフェイスを介して受信する。これらの他の装置は、個人用電子装置(スマートフォン、PDA、有線式および無線式ヘッドホンまたはヘッドセット、およびタブレットコンピュータデバイスなど);コンピュータシステム(これを通じて、アラームがたとえばスクリーン上のポップアップにより報告され得る);ホーム基地局;病床のラジオおよびテレビ(これを通じて、アラームがたとえばスクリーン上のポップアップまたは小型装置により報告され得る);出力を有する自動車または他のアドレス可能な装置を含み得る。これらの例に従うと、アラームが事象によってトリガされると、アラームマネージャは適合経路に従ってアラームを発行する。
【0071】
他の例においては、アラームマネージャは、着用可能な医療装置にアラームを発行する前に、アラームマネージャが着用可能な医療装置以外の装置に対してアラームを発行することを規定する適合経路を、構成インターフェイスを介して受信する。たとえば、一例においては、適合経路は、アラームマネージャが指定受信者の電話に対する呼出しによってアラームを発行することを規定する。別の例においては、適合経路は、アラームマネージャが、着用可能な医療装置と対になっているBluetooth(登録商標)ヘッドセットを通じてアラームを発行することを規定する。さらに別の例においては、適合経路は、アラームマネージャが、指定受信者の電話に送られるテキストメッセージを介してアラームを発行することを規定する。これらのすべての例においては、応答が目標応答時間内に着用可能な医療装置に受信されない場合、アラームマネージャは着用可能な医療装置を介してアラームを発行する。
【0072】
他の適合経路と同様に、この適合経路は、対象となる1つ以上の特定の事象に適用されるよう構成されてもよい。たとえば、対象となる事象が、間違って配置された電極または不適切に取付けられた電極の検知であった場合、適合経路は、間違って配置された電極または不適切に取付けられた電極の色を規定するアラームをアラームマネージャが最初に発行することを規定していてもよい。代替的には、この適合経路は、間違って配置された電極または不適切に取付けられた電極内に含まれるLEDを照らすことによってアラームマネージャが最初にアラームを発行することを規定してもよい。別の例においては、適合経路は、アラームマネージャが電極の色を規定するアラームをユーザインターフェイスを介して発行することも規定してもよい。着用可能な医療装置内に含まれるバッテリが置換えられてからの時間のしきい値量の推移を対象となる事象とする別の例においては、適合経路は、アラームマネージャが最初に指定受信者の電話にテキストを送ることによってアラームを発行することを規定し得る。
【0073】
他の例においては、アラームマネージャは、規定された応答時間内に応答が外部実体から受信されない場合、アラームマネージャが指定受信者をたとえば患者の家族またはローカルな緊急応答要員を含む指定受信者のリストへと変更するべきであることを規定する適合経路を、構成インターフェイスを介して受信する。これらの例に従うと、アラームが事象によってトリガされると、アラームマネージャは適合経路に従ってアラームを発行する。
【0074】
他の例においては、アラームマネージャは、規定された応答時間内に応答が外部実体から受信されない場合、アラームの各々の発行前に、アラームマネージャが、1セットの値についてアラームのうち1つ以上の特徴を繰返し、これにより、アラームの発行のたびにアラームの特徴を変更するべきであることを規定する適合経路を、構成インターフェイスを介して受信する。この繰返しでは値を繰返し用いてもよく、アラームの強さ、発行率、内容および伝路を含むアラームの特徴のいずれかを変更してもよい。これらの例に従うと、アラームが事象によってトリガされると、アラームマネージャは適合経路に従ってアラームを発行する。
【0075】
他の例においては、アラームマネージャは、アラームに対する患者の平均的応答時間に基づいて1つ以上のアラームについての目標応答時間を調整する。たとえば、平均応答時間プラス予め規定された許容可能なマージンが目標応答時間未満であることをアラームマネージャが検出する場合、このアラームマネージャは、目標応答時間を平均応答時間プラス予め規定されたマージンに等しくなるよう変更してもよい。
【0076】
他の例においては、アラームマネージャは、指定受信者(または第三者)のもつアラームを認識する能力を抑制する可能性のある要因が存在するかどうかを、アラームの発行前に判断する。例示的な抑制要因として、過度の知覚刺激などの環境上の特徴、患者の身体状態、精神状態または感情状態などの患者の特徴、および着用可能な医療装置に影響を及ぼす特徴が含まれる。抑制要因が存在する場合、アラームマネージャは、抑制要因の存在にもかかわらずアラームが認識される可能性を高めるようアラームを適合させる。このような適合は、目標応答時間を予め定められた分だけ延ばすこと、アラームの強さを調整すること、またはこれら両方を含み得る。音声アラームの場合、強さの調整には、アラームの振幅または周波数を調整することが含まれてもよい。他の例においては、アラームマネージャは、これらの要因がアラームの認識を阻止している可能性があるかどうかを判断するために、指定受信者の移動量またはその環境の周囲騒音レベルを検出する。これらの例に従うと、アラームマネージャは、移動もしくは周囲騒音レベルが予め定められたしきい値を上回ると判断すると、目標応答時間を延ばすかまたはアラームの強さを調整する。
【0077】
他の例においては、アラームマネージャは、上述の湿度計などの湿度計によって、着用可能な医療装置の現在の環境の相対湿度を判断し、音声アラーム特徴を、環境条件に対してより耐性の高いものになるよう変更する。たとえば、これらの例においては、アラームマネージャは、目標応答時間を増やすかまたは音声アラームの音量を上げて、高い湿度環境に存在する比較的高い吸音性を補償してもよい。
【0078】
他の例においては、アラームマネージャは、着用可能な医療装置が患者に適切にフィットするどうかを判断する。これらの例においては、着用可能な医療装置が適切にフィットしないとアラームマネージャが判断した場合、アラームマネージャは、この抑制要因を克服するようアラームを適合させる。たとえば、アラームマネージャは、触知型アラームの強さを高めて、ゆったりした医療装置を着用している患者が触知型アラームを感知する可能性を高めてもよい。代替的には、アラームマネージャは、触知型アラームを聴覚型アラームに変更してもよい。
【0079】
別の例においては、アラームマネージャは、患者の気分またはストレスレベルが抑制要因となり得るか、またはアラームに対する患者の応答に影響を及ぼし得るかどうかを判断するために、音声入力または生理学的データを用いる。この例においては、指定受信者がストレスを受けているようである場合、アラームマネージャは、アラームに対するパニックまたはアラームに対する他の何らかの否定的もしくは感情的な激しい反応を防ぐためにアラームの強さを下げるかまたはアラームの期間を短くする。別の例においては、患者がアラームに応答して横たわっているようである場合、アラームマネージャは、応答の正確性を確認するために、アラームを繰返すかまたはアラームを変更する。他の適合は、アラーム抑制要因に応じて実行されてもよく、例は特定の適合経路または抑制要因に限定されない。
【0080】
着用可能な医療装置の中には、長期間にわたって患者に連続的またはほぼ連続的に着用されるものもある。実際には、いくつかの状況においては、これらの期間は2か月以上に延長することができる。患者の中には、これらの延長した期間を越えて、特殊化されたアラーム応答パターンを繰返し表示する者もいる。たとえば、朝に職場に通勤し、正午に昼食を取り、夕方に帰宅し、夜に眠る患者は、日中の特定の時点において、たとえば午前中、夕方の帰宅中または患者の睡眠中などにおいて、繰返し遅延された応答パターンを呈し得る。
【0081】
さまざまな例に従うと、アラームマネージャは、パターンを繰返すためにアラーム応答データを分析し、繰返すパターンに対処する適合経路に従って発行されたアラームを適合させる。より特定的には、これらの例のうちのいくつかにおいては、アラームマネージャは、ある期間にわたって起こる誤アラーム(たとえば、キャンセル処理に応答したアラーム)の数を識別する。これらの例においては、アラームマネージャは、誤アラームの数をしきい値と比較する。誤アラームの数がしきい値を上回る場合、アラームマネージャは、患者にこの事象を報告し、発生した誤アラームのタイプに特有の1セットの訂正動作を患者に提供する。
【0082】
他の例においては、アラームマネージャは、特定の方法で患者がアラームに応答する現象および傾向を表わす独立変数の値同士の間の相関関係を判断する(すなわち、特定のアラーム応答パターンに従う)。この現象は、センサによって、またはこの明細書中に開示される他の機能により、着用可能な医療装置によって定量化可能および識別可能である如何なる現象でもあり得る。識別可能な現象の例には、この明細書中に記載される1つ以上の事象、予め規定された期間にわたって起こる予め定められた一連の事象、時刻などの物理的状況、および、生理学的測定が含まれる。いくつかの例に従うと、アラームマネージャは、この情報が着用可能な医療装置によって処理されると、アラームを記述する情報およびアラームに対する応答を分析することによって相関関係を判断してもよい。アラームマネージャは、その通常動作中、アラームマネージャによってコンパイルされるこのアラーム応答データの履歴を周期的に走査してもよい。一例においては、アラームマネージャは、毎日、アラーム応答パターンの履歴を走査する一方で、別の例においては、アラームマネージャは、週毎または月毎にこの分析を実行している。これらの例のうちのいくつかにおいて、アラームマネージャが、サイズ毎に異なるものであってその値が長期間にわたって記録される母集団サンプルから、相関関係を判断することが認識されるはずである。このため、これらの例においては、相関関係は、複数の離散的なアラームおよび応答エピソードを反映している。
【0083】
いくつかの例においては、アラームマネージャは、独立変数と患者応答パターンとの間の対象となる1つ以上の相関関係を識別する。一例においては、アラームマネージャは、相関関係の値が予め定められたしきい値を上回ると判断することによって、対象の相関関係を識別する。他の例においては、アラームマネージャは、対象となる各々の相関関係についての1つ以上のアラームプロファイルを自動的に生成する。これらの例においては、アラームマネージャは、自動的に生成されたアラームプロファイルに1つ以上の適合経路を記憶する。これらの適合経路は、相互に関連する患者応答パターンに対処する適合(すなわち、アラームの効果を改善するアラーム特徴に対する適合)を規定する。これらの適合経路を実現する際にアラームマネージャによって実行される適合のいくつかの特定の例を以下にさらに説明する。いくつかの例においては、アラームマネージャが長期間にわたって患者応答パターンと相互に関連付けられる適合経路を繰返し調整することが認識されるはずである。これらの例においては、アラームマネージャが次第に増えつつある離散的なアラームおよび応答エピソードを分析すると、適合経路が次第に改善される。
【0084】
アラームマネージャは、さまざまな方法で繰返しパターンに対応するようアラームを適合させてもよい。たとえば、患者の反応が通常にぶい期間に対応するために、アラームマネージャは、単に、発行されたいずれかのアラームのための目標応答時間を延ばしてもよい。代替的には、アラームが十分に重要なものである場合、アラームマネージャは、アラームの強さを高め得るかまたはアラームを伝えるのに用いられる伝路を変更し得る。別の例においては、(睡眠中に患者によって示される表示などの)遅延した応答時間に相互に関連付けられる患者による生理学的表示に対応するために、アラームマネージャは、生理学的表示が変化するまでアラームの発行を遅らせてもよい。アラームマネージャの例では、時刻または生理学的データおよびアラーム応答パターン以外の独立変数間の相関関係が判断され得る。これらの例は、独立変数またはアラーム応答パターンの特定のセットに限定されない。
【0085】
他の例においては、アラームマネージャは、患者の感覚の鋭敏さ(または鋭敏さの欠如)が抑制要因となり得るかどうかを判断し、もし抑制要因となり得るのであれば、これらの障害を克服するようアラームを適合させる。たとえば、一例においては、アラームマネージャは、構成インターフェイス内で聴力検査を管理する。この例においては、聴力検査の結果は、アラームプロファイル情報に記憶され、音声アラームを規定された周波数、振幅および音質に調整するようアラームマネージャによって用いられる。さらに、この例に従うと、音声アラームが事象によってトリガされると、アラームマネージャは周波数、振幅および音質に応じて音声アラームを発行する。この例における適合により、部分的に聴力を失った指定受信者がアラームを認識することが可能となる。聴力損失に対処するよう設計された別の例においては、アラームマネージャは、アラームを視覚アラームとしてディスプレイを通じて示す代わりに、音声アラームが提供される伝路を変更する。
【0086】
他の例においては、アラームマネージャは、患者が視覚障害を有することを示す表示を、構成インターフェイスを介して受信する。これらの例においては、アラームマネージャは、視覚的アラームが非視覚的伝路に提示される際に通る伝路を変更する。非視覚的伝路は、聴覚用伝路(たとえばスピーカ)または触知用伝路(振動またはブライユ点字の印字)を含む。振動する触知用伝路を通じて発行されたアラームは、単に一回振動するだけであってもよく、繰返し振動してもよく、または、モールス符号などの署名パターンに従って振動してもよい。
【0087】
他の例においては、アラームマネージャは、規定された応答時間内に応答が外部実体から受信されない場合、いずれかの第三者が指定受信者の近くにいるかどうかをアラームマネージャが判断するべきであることを規定する適合経路を、構成インターフェイスを介して受信する。これらの例においては、適合経路は、第三者が検出された場合、アラームマネージャがアラームの内容を調整して第三者にこのアラームの内容を宛てるべきであることをさらに規定してもよい。一例においては、アラームマネージャは、検出された音声パターンと、アラームプロファイル情報に記憶される指定受信者のサンプル音声パターンとの差を判断することによって、第三者の存在を検出する。これらの例に従うと、アラームが事象によってトリガされると、アラームマネージャは適合経路に従ってアラームを発行する。
【0088】
他の例においては、アラームマネージャは、患者が眠っている可能性があると判断し、これに応じて、アラーム強さを高め、目標応答時間を延ばす。これらの例においては、アラームマネージャは、以下のさまざまな要因のいずれかの組合せを分析することによって、患者が眠っている可能性があると判断する。さまざまな要因とは、生理学的データ(心拍数および呼吸など)、現在時刻、患者の動きの有(または無)、患者の体位、ならびに、患者のベッド付近にあるホーム基地局までの患者の近さ、を含む。一例においては、ホーム基地局は、2011年11月1日に出願され、「遠隔装置アラーム(REMOTE DEVICE ALARM)」と題され、引用によりその全体がこの明細書中に援用される同時係属出願連続番号第13/286,533号に従って構成される。さらに、アラームマネージャは、構成インターフェイスを介して、マルチステージアラームを規定する適合経路を受信してもよい。このマルチステージアラームにおいては、最初の強い「目覚まし(wake-up)」アラームの後に、強さおよび内容の異なる対象となる事象を報告する別のアラームが続く。代替的には、適合経路は、トリガされたアラームがより高い強さで伝達されるように、アラームがホーム基地局へと配送されるべきであることを規定し得る。これらの例に従うと、アラームが事象によってトリガされると、アラームマネージャは適合経路に従ってアラームを発行する。
【0089】
他の例においては、アラームマネージャは、患者が精神的または身体的に不自由である可能性があると判断すると、これに応じて、アラームを、別の指定受信者、たとえば医師、または関係者もしくは他の介護者に向ける。これらの例においては、アラームマネージャは、以下を含むさまざまな要因のいずれかの組合せを分析することによって、患者が精神障害を有する可能性があると判断する。さまざまな要因とは、生理学的データ(心拍数および呼吸など)、患者の動きの有(または無)、ならびに、(患者の言語能力が損なわれているかどうかを判断するための)音声入力、を含む。
【0090】
他の例においては、アラームマネージャは、患者が所定のスケジュールに従った薬物治療を受け損なった場合、アラームマネージャがこの薬物治療を行うよう患者に思い出させるアラームを発行することを規定する適合経路を、構成インターフェイスを介して受信する。これらの例においては、アラームマネージャは、(心拍数および呼吸などの)生理学的データを分析することによって、またはユーザインターフェイスを介して患者に質問することによって、患者が薬物治療を受け損なったと判断する。これらの例のうちのいくつかにおいては、生理学的データ中の特定パターンが特定の薬物治療に関連付けられてもよく、これらの関連付けを用いて特定のアラームを患者に与えてもよい。たとえば、生理学的データが鬱血性心不全を示すパターンを呈しており、そのパターンがリシノプリル(lisinopril)に関連付けられる場合、アラームマネージャは、アラームを発行して、処方用量のリシノプリルを服用することを患者に思い出させてもよい。
【0091】
他の例においては、アラームマネージャは、対象となる事象の重要度に基づいてアラームの強さ、発行率または期間を調整することを規定する適合経路を、構成インターフェイスを介して受信する。たとえば、着用可能な医療装置コントローラが着用可能な除細動器に組込まれているいくつかの例においては、適合経路は、患者の体に適切に配置されていない電極の数およびタイプを示すために特定のアラーム特徴を規定し得る。一例においては、適合経路は、ECG電極および治療パッドが誤った位置にあることを示すために異なるトーンを規定してもよい。同様に、この例においては、適合経路は、適所からずれている電極の数が次第に増えていることを示すためにアラームの強さを高めるよう規定し得る。これらの例に従うと、アラームが事象によってトリガされると、アラームマネージャは適合経路に従ってアラームを発行する。
【0092】
他の例においては、アラームマネージャは、患者が頻繁に訪れる自動車、職場または家庭などの1つ以上の位置を検出するよう、構成インターフェイスを介して患者によってトレーニングされる。これらの例のうちの1つにおいては、アラームマネージャは、構成インターフェイスを介してユーザから位置識別子を受信し、位置内における周囲のノイズを表わす情報を記録および記憶し、その位置と記憶された周囲ノイズ情報との関連付けを生成および記憶する。これらの例のうち別の例においては、アラームマネージャは、構成インターフェイスを介してユーザから位置識別子を受信し、着用可能な医療装置コントローラの現在のGPS位置を表わす情報を記録および記憶し、その位置と現在のGPS位置と間の関連付けを生成および記憶する。これらの例に従うと、アラームマネージャは、自動的に、着用可能な医療装置コントローラの位置を検出し、アラームモードパラメータをこの位置に関連付けられる値に設定し、これに応じて(概してアラームモードパラメータに従って、かつ、アラームに関連付けられる適合経路によって規定されるとおりに)トリガされたアラームを調整する。
【0093】
特定の例においては、患者が乗物に乗っていることをアラームモードパラメータが示す場合、アラームマネージャは、OnStar、SYNC、MyFord Touch、BMW AssistおよびLexus Linkなどの車載通信手段および娯楽用システムによって、ネットワークインターフェイス106を介して、患者にアラームを発行する。これにより、ユーザが、音声コマンドを用いて、ハンズフリー電話機の呼出しを行なったり、音楽機能および他の機能を制御することが可能になる。この例においては、アラームマネージャは、車載通信手段および娯楽用システムを通じて患者にインターフェイスを提供する。加えて、この例に従うと、アラームマネージャは、車載通信システムの設備を用いて、患者以外の指定受信者に通知を発行してもよく、たとえば、監視要員または救急隊員に助けを求める要求を送信してもよい。
【0094】
別の例に従うと、患者が自宅にいることをアラームモードパラメータが示す場合、アラームマネージャは、ネットワークインターフェイス106を介して、ホームセキュリティシステムによって患者にアラームを発行する。これにより、ユーザが、音声コマンドを用いて、または、患者の自宅内にあるテレビもしくはコンピュータを介して、ハンズフリー電話の呼出しを行ったり、機能を制御したりすることが可能になる。この例においては、アラームマネージャはホームセキュリティシステム、テレビまたはコンピュータを介して患者にインターフェイスを提供する。加えて、この例に従うと、アラームマネージャは、ホームセキュリティシステムの設備を用いて、患者以外の指定受信者に通知を発行してもよく、たとえば、監視要員または救急隊員に助けを求める要求を送信してもよい。
【0095】
別の例に従うと、アラームモードパラメータが個人用電子装置を用いる患者を示す場合、アラームマネージャは、ネットワークインターフェイス106を介して、個人用電子装置により患者にアラームを発行する。この例においては、アラームマネージャは個人用電子装置を介して患者にインターフェイスを提供する。加えて、この例に従うと、アラームマネージャは、個人用電子装置の設備を用いて、患者以外の指定受信者に通知を発行してもよく、たとえば、監視要員または救急隊員に助けを求める要求を送信してもよい。さらに、アラームマネージャは、アラームを発行する際に個人用電子装置の通常の機能を優先させてもよい。たとえば、電話をかけるために個人用電子装置が用いられている場合、アラームマネージャは、アラームおよびメッセージを外部実体から聞こえるように電話に送信し得る。別の例においては、個人用電子装置は、アラームマネージャがアラームを発行する際にアラームマネージャによって活性化される光、ブザーまたは他の何らかの感覚的出力を含み得る。
【0096】
さらに別の例においては、光などの感覚的出力は、患者が着用する1対の眼鏡に一体化されることによって、患者の視野内に位置決めされる。この例に従うと、アラームマネージャは、アラームを発行する際に光を活性化し、これにより、患者にアラームを通知する。
【0097】
他の例においては、アラームマネージャは、音声コマンドを受信してこの音声コマンドに応答するユーザインターフェイスをユーザインターフェイス108を介して提供する。この例に従うと、アラームマネージャは、音声パターンがデータストレージ104などのデータストレージに記憶された音声パターンと一致することを確認することによって、スピーカを同一のものと確認する。さらに、この例に従うと、構成インターフェイスは、音声コマンドを受信してこれに応答し、患者または監視要員などの外部実体が音声コマンドを用いてアラーム情報を構成することを可能にする。
【0098】
この発明の少なくとも1つの実施例のいくつかの局面をこのように記載してきたことで、さまざまな変更例、変形例および改善例が当業者に容易に想到され得ることが認識されるはずである。このような変更例、変形例および改善例は、この開示の一部となるよう意図されたものであり、本発明の範囲内に収まるよう意図されたものである。したがって、上述の説明および図面は例示に過ぎない。
図1
図2
図3
図4
図5