特許第6166270号(P6166270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6166270発光デバイスおよびこれを用いた投影システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6166270
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】発光デバイスおよびこれを用いた投影システム
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20170710BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20170710BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20170710BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20170710BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20170710BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20170710BHJP
【FI】
   F21S2/00 340
   G03B21/14 A
   F21S2/00 373
   H04N5/74 Z
   F21V8/00 300
   F21Y115:10
   F21Y115:30
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-543753(P2014-543753)
(86)(22)【出願日】2012年8月21日
(65)【公表番号】特表2015-508551(P2015-508551A)
(43)【公表日】2015年3月19日
(86)【国際出願番号】CN2012080411
(87)【国際公開番号】WO2013082952
(87)【国際公開日】20130613
【審査請求日】2015年4月24日
(31)【優先権主張番号】201110396392.4
(32)【優先日】2011年12月4日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514049760
【氏名又は名称】アポトロニクス コーポレイション リミテッド
【氏名又は名称原語表記】APPOTRONICS CORPORATION LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】フゥ,フェイ
(72)【発明者】
【氏名】リ,イ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,イー
(72)【発明者】
【氏名】カオ,リャンリャン
【審査官】 當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0249436(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0296368(US,A1)
【文献】 特開2005−150041(JP,A)
【文献】 特表2007−531302(JP,A)
【文献】 特開2010−170836(JP,A)
【文献】 特開2011−221502(JP,A)
【文献】 特開2011−049338(JP,A)
【文献】 米国特許第05309339(US,A)
【文献】 実開昭62−031303(JP,U)
【文献】 特開2009−277516(JP,A)
【文献】 特開2011−065979(JP,A)
【文献】 特開2003−295319(JP,A)
【文献】 特開2007−200782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 8/00
G03B 21/14
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光デバイスであって、
コヒーレント光を発するコヒーレント光源と、
互いに反対側を向く第1面および第2面を有する拡散素子であって、前記コヒーレント光源からの前記コヒーレント光を拡散してインコヒーレント光を生成する拡散素子と、
前記拡散素子の第1面側に配置された光ガイド素子であって、前記コヒーレント光源により発せられたコヒーレント光を前記拡散素子の第1面上に入射するように導いて第1光路を形成し、前記拡散素子の第1面からのインコヒーレント光の一部分を、前記第1光路を介して出射するように導き、前記拡散素子の第1面からのインコヒーレント光の他の部分を、第2光路を介して出射するように導き、かつ、前記第1および第2光路を分離する光ガイド素子とを備え、
前記第1光路を介して出射する前記インコヒーレント光の光束が、前記第2光路を介して出射する前記インコヒーレント光の光束よりも少なく、
当該発光デバイスが、前記拡散素子の第2面側に配置された第1反射素子をさらに備え、
前記光ガイド素子が、開口部と、当該開口部の周囲の反射面とを有する第2反射素子を含み、
前記開口部が、前記コヒーレント光源からのコヒーレント光を透過により前記拡散素子の第1面上に導いて前記第1光路を形成するとともに、前記拡散素子の第1面からのインコヒーレント光の一部分を、前記第1光路を介して出射するように導き、
前記第2反射素子の反射面が、反射により、前記第1面からのインコヒーレント光の他の部分を、前記第2光路を介して出射するように導き、
前記第2反射素子が、開口部と反射面を有するアーチ状の反射素子であり、
前記アーチ状の反射素子が半球またはその一部であり、コヒーレント光が前記拡散素子に入射する位置が、前記半球の球中心近傍の第1地点であり、
前記発光デバイスが集光デバイスをさらに備え、前記集光デバイスの光入力ポートが球中心近傍の第2地点に配置され、前記第1地点および第2地点が、球中心に関して対称であり、
前記アーチ状の反射素子の開口部の面積が、前記反射面の面積の1/4以下であることを特徴とする発光デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の発光デバイスにおいて、
前記第1光路を介して出射する前記インコヒーレント光の光束が、前記第2光路を介して出射する前記インコヒーレント光の光束の1/4以下であることを特徴とする発光デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載の発光デバイスにおいて、
前記開口部が、前記アーチ状の反射素子のオフセット開口部であり、前記コヒーレント光源からのコヒーレント光が前記拡散素子上に垂直に入射することを特徴とする発光デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載の発光デバイスにおいて、
前記アーチ状の反射素子が、開口部を有する中空構造体の反射壁であり、前記反射壁が、内面に被覆された反射コーティングを有し、前記開口部が、前記反射壁の開口であることを特徴とする発光デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載の発光デバイスにおいて、
前記アーチ状の反射素子が、開口部を有し、外側の曲面が反射コーティングで被覆された固体透明体であり、前記開口部が、前記反射コーティングの開口であることを特徴とする発光デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載の発光デバイスにおいて、
前記拡散素子および前記固体透明体が空隙を介して分離され、前記空隙が、半球の半径の1%未満の幅を有することを特徴とする発光デバイス。
【請求項7】
請求項1に記載の発光デバイスにおいて、
前記コヒーレント光源がレーザダイオードであることを特徴とする発光デバイス。
【請求項8】
請求項1に記載の発光デバイスにおいて、
前記コヒーレント光源が、2つのカラー光をそれぞれ生成する2つのサブ光源と、2つのサブ光源からの光を一つの光線に結合する光結合デバイスとを含み、
前記発光デバイスが、前記2つのサブ光源の光強度とともにオンオフをそれぞれ制御する制御デバイスをさらに備えることを特徴とする発光デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載の発光デバイスにおいて、
前記拡散素子を駆動する駆動デバイスをさらに備え、前記拡散素子に入射するコヒーレント光の照明スポットが、予め設定された経路に沿って前記拡散素子上に作用することを特徴とする発光デバイス。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の発光デバイスを備える投影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタの分野に関し、特に、発光デバイスおよびこれを用いた投影システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
蛍光灯、白色光、超高性能光またはキセノン光のような従来の光源は、高効率および長寿命を簡単には達成することができない。固体光源、発光ダイオード(LED)および半導体レーザの発展により、それらが照明およびディスプレイ市場に徐々に参入してきている。
【0003】
白色光またはカラー光を生成する方法として、典型的には2つの方法が存在し、その一方は、赤色、緑色または青色LEDのようなカラー光源を直接使用してカラー光を提供するか、またはそれらカラー光を組み合わせて白色光を生成するものであり、他方は、波長変換に基づくもので、波長変換材料(蛍光物質など)を励起光により励起することにより変換光を生成し、その後、励起光または変換光を組み合わせて白色光を生成するものである。
【0004】
蛍光物質を例にとれば、波長変換に基づく方法およびLEDチップを使用する従来の光源は、一般に、蛍光体材料をLEDチップの表面上に提供し、その結果、蛍光体層を通って後方に進んでLEDに向けて散乱する変換光は、LEDチップで反射されて、蛍光体層側から出ることができ、それにより光出力効率が高められるものとなっている。この構造の短所は、LEDチップにより生成される熱と蛍光体層により生成される熱とが互いに干渉して、LEDチップの発光効率および蛍光体の光変換効率を低下させて、LEDデバイスの寿命を短くする可能性もあるということである。
【0005】
この短所は、カラー光源を直接的に使用してカラー光を提供するデバイスにおいても同様に存在する。例えば、レーザ光源が直接使用されてカラー光が提供される場合、レーザ光は非常に干渉性が強いため、スクリーン上の投影像のピクセルが干渉性によりスペックルを示し、その結果、像を適切に表示することができない。したがって、レーザプロジェクタにおいては、コヒーレントスペックルを除去するために、デコヒーレンスデバイスまたは方法を使用する必要がある。現在の技術においては、光出力効率を高めるために、典型的には、拡散素子がレーザ光源の表面に配置され、その結果、拡散素子を介してレーザ光源に向かって後方に進む光が、レーザ光源の表面で反射されて、拡散素子側から出ることができる。しかしながら、レーザ光源により生成される熱と拡散素子により生成される熱とが互いに干渉し、それがレーザ光源の発光効率を低下させるとともに、レーザ光源の寿命を短くする場合もある。
【0006】
上記短所を克服するために、米国特許第7,070,300号(B2)は、図1に示すように、LEDおよび蛍光体材料を分離する方法を開示している。1またはそれ以上のLED光源102からの励起光は、コリメーティングデバイス108によりコリメートされて、波長選択フィルタ110が励起光を別のコリメーティングデバイス114に反射して、このコリメーティングデバイスが、光を蛍光体プレート112上に収束させる。蛍光体プレート112からの変換光は、波長選択フィルタ110を通過して、光源の出力光となる。このデバイスにおいては、励起光および変換光の異なる波長に依存して、波長選択フィルタ110の使用により励起光および変換光の光路が分離され、その結果、光出力効率を高めながらも、変換光がLEDチップに戻るのを防止することができる。したがって、LEDチップにより生成される熱と蛍光体層により生成される熱とが互いに干渉することがなくなり、上述した従来技術の問題点を解決することができる。
【0007】
上記特許に記載の技術スキームの問題点は、干渉性を取り除くために蛍光体が拡散素子に変更された場合に、コヒーレント光およびインコヒーレント光が同じ波長を持つため、拡散素子から放射されてコヒーレント光源に向かうインコヒーレント光が、コヒーレント光と同じ経路に沿ってコヒーレント光源に戻るように進むこととなり、その結果、インコヒーレント光を光源デバイスから出力することができなくなる。このため、光出力効率を高めるという目的と、コヒーレント光源および拡散素子により生成される熱の干渉を低減するという目的が、互いに対立して、両目的を同時には達成することができない。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、発光デバイスおよびこれを用いた投影システムであって、光出力効率を改善すると同時に、コヒーレント光源に向かって進む拡散素子からのインコヒーレント光の大部分が、コヒーレント光の同じ経路に沿ってコヒーレント光源に戻ることなく、その結果、レーザ光源により生成される熱と拡散素子により生成される熱との間の干渉を低減することができる発光デバイスおよび投影システムを提供することによって、従来技術の上記問題を解決するものである。
【0009】
本発明は、発光デバイスであって、コヒーレント光を発するコヒーレント光源と、互いに反対側を向く第1面および第2面を有する拡散素子であって、前記コヒーレント光源からの前記コヒーレント光を拡散してインコヒーレント光を生成する拡散素子と、前記拡散素子の第1面側に配置された光ガイド素子であって、前記コヒーレント光源により発せられたコヒーレント光を前記拡散素子の第1面上に入射するように導いて第1光路を形成し、前記拡散デバイスの第1面からのインコヒーレント光の一部分を、前記第1光路を介して出射するように導き、前記拡散デバイスの第1面からのインコヒーレント光の他の部分を、第2光路を介して出射するように導き、かつ、前記第1および第2光路を分離する光ガイド素子とを備え、さらに、前記第1光路を介して出射する前記インコヒーレント光の光束(luminous flux)が、前記第2光路を介して出射する前記インコヒーレント光の光束よりも少ないことを特徴とする発光デバイスを提供する。
【0010】
また、本発明は、上記発光デバイスを含む投影システムも提供する。
【0011】
従来技術と比較して、本発明は以下の利点を有する。
本発明の実施形態においては、光ガイド素子を使用して、コヒーレント光を第1光路を介して拡散素子に導くとともに、拡散素子の第1面からのインコヒーレント光の大部分を、第1光路と分離された第2光路を介して、発光デバイスの出力となるように導くことにより、発光デバイスの出力効率が高められると同時に、拡散素子の第1面からのインコヒーレント光の大部分が、コヒーレント光の光路に沿ってコヒーレント光源に戻ることがなくなり、その結果、インコヒーレント光により生成される熱とコヒーレント光源により生成される熱との間の干渉が低減される。これは、コヒーレント光源の発光効率および寿命を改善する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、LEDおよび蛍光体を使用して高効率カラー光を生成する従来の光源の構造を示している。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る発光デバイスの構造を示している。
図3図3は、本発明の別の実施形態に係る発光デバイスの構造を示している。
図4図4は、本発明の別の実施形態に係る発光デバイスの構造を示している。
図5図5は、本発明の別の実施形態に係る発光デバイスの構造を示している。
図6図6は、本発明の別の実施形態に係る発光デバイスの構造を示している。
図7図7は、本発明の別の実施形態に係る発光デバイスの構造を示している。
図8図8は、本発明の別の実施形態に係る発光デバイスの構造を示している。
図9図9は、本発明の別の実施形態に係る発光デバイスの構造を示している。
図10図10Aおよび図10Bは、本発明の別の実施形態に係る発光デバイスの構造を示している。
図11図11は、本発明の別の実施形態に係る発光デバイスの構造を示している。
図12図12は、本発明の別の実施形態に係る発光デバイスの構造を示している。
図13図13は、本発明の別の実施形態に係る発光デバイスの構造を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
従来技術の技術的問題を解決するために、本発明の実施形態は、発光デバイスであって、コヒーレント光を発するコヒーレント光源と、互いに反対側を向く第1面および第2面を有する拡散素子であって、前記コヒーレント光源からの前記コヒーレント光を拡散してインコヒーレント光を生成する拡散素子と、前記拡散素子の第1面側に配置された光ガイド素子であって、前記コヒーレント光源により発せられたコヒーレント光を前記拡散素子の第1面上に入射するように導いて第1光路を形成し、前記拡散デバイスの第1面からのインコヒーレント光の一部分を、前記第1光路を介して出射するように導き、前記拡散デバイスの第1面からのインコヒーレント光の他の部分を、第2光路を介して出射するように導き、かつ、前記第1および第2光路を分離する光ガイド素子とを備え、さらに、前記第1光路を介して出射する前記インコヒーレント光の光束が、前記第2光路を介して出射する前記インコヒーレント光の光束よりも少ないことを特徴とする発光デバイスを提供する。
【0014】
拡散素子により散乱するインコヒーレント光の近似的ランベルト分布特性と、コヒーレント光源から拡散素子に入射するコヒーレント光の相対的に小さいエタンデュ(etendue)を考慮して、本発明の実施形態は、コヒーレント光源と拡散素子の間のエタンデュの違いを利用する。それは、光ガイド素子を使用して、コヒーレント光の入力光路を拡散素子の出力光路に導くと同時に、光ガイドデバイスにより導かれて第1光路を介して出射するインコヒーレント光の光束を、第2光路を介して出射するインコヒーレント光の光束よりも小さい範囲内に収める。このようにして、拡散素子の第1面からのインコヒーレント光の大部分(すなわち、拡散素子から発せられてコヒーレント光源に向かうインコヒーレント光の大部分)は、第1光路を介して過度に漏れる代わりに、第2光路を介して出射する。すなわち、それは、コヒーレント光の入力経路に沿ってコヒーレント光源に戻らないものとなる。したがって、コヒーレント光源により生成される熱と拡散素子により生成される熱との間の干渉が低減されて、コヒーレント光源の発光効率および寿命が改善される。
【0015】
図2は、本発明の一実施形態に係る発光デバイスの構造を示している。図2に示すように、この実施形態では、発光デバイス100が、コヒーレント光を生成するコヒーレント光源110と、コヒーレント光源110からのコヒーレント光を散乱させてインコヒーレント光を生成する拡散素子120と、光ガイド素子140とを含む。拡散素子120は、第1面121と、その反対側の第2面122とを含む。光ガイド素子140は第1面121側に配置され、すなわち、拡散素子の第1面121が第2面よりも光ガイド素子140に近くなっている。
【0016】
コヒーレント光が相対的に小さいエタンデュを有するようにするために、コヒーレント光源110は好ましくはレーザダイオードである。また、コヒーレント光源は、発光ダイオードまたはその他の種類の光源であってもよい。コヒーレント光源110から光ガイド素子140にコヒーレント光を案内するために、光を整えて成形する光均質化デバイスを使用することができる。光均質化デバイスは、フライアイレンズのアレイまたは中空または固体光ロッドとすることができる。
【0017】
拡散素子の散乱メカニズムは、一般に、体積散乱および表面散乱を含む。表面散乱拡散素子は、透明材料の表面微細構造を使用して光を屈折および反射することにより、散乱を達成する。そのような拡散素子は、片面微細構造と両面微細構造に分けられる。微細構造は、ガラス基板の表面のサンドブラスティング、ガラス表面の化学的腐食、あるいはプラスチック基板上の熱プレス成形により、形成することができる。片面微細構造の拡散デバイスが使用される場合、コヒーレント光は、微細構造を有する表面に入射して(すなわち、第1面が微細構造を有する面である)、平滑面から出射するのが好ましい。これは、相対的に高い透過率を達成する。体積散乱は、拡散素子の本体に、異なる屈折率を有する微小粒子または不透明な微小粒子を混入することにより、拡散を達成する。
【0018】
この実施形態では、光ガイド素子140が、開口部130およびその周囲に反射面(図面に符号は付されていない)を有する第2反射素子140である。この実施形態では、第2反射素子140が、特に、開口部130および反射面を有するアーチ状の反射素子である。また、第2反射素子140は、平面反射板、のこぎり歯状の反射デバイスまたはその他の形状の曲線状反射デバイスであってもよい。それらの好ましい形状は、後で詳細に述べることとする。
【0019】
開口部130は、コヒーレント光源110からのコヒーレント光を、透過により拡散素子120の第1面121上に導いて、第1光路を形成するとともに、拡散素子120の第1面121からのインコヒーレント光の一部を、第1光路を経由して出射するように導く。第2反射素子140の反射面は、反射により、第2光路を経由して出射するように、第1面121からのその他のインコヒーレント光を導くために使用される。第2反射素子140の反射面により反射されたインコヒーレント光と、拡散素子120の第2面122からのインコヒーレント光は、発光デバイス100の出力光を一緒に構成し、その結果、発光デバイスの光出力効率が高められる。インコヒーレント光を収集、平滑化および成形するために、発光デバイスの出力端に光学素子を与えることができる。
【0020】
また、第2反射素子140は、開口部130および反射面を使用して、第1光路および第2光路を分ける。具体的に、第1光路は、拡散素子120から、第2反射デバイス140の開口部130を経由して、コヒーレント光源110に至り、第2光路は、拡散素子120から、第2反射デバイス140の反射面を経由して、反射面に反射されてコヒーレント光源110から離れて進み、第1光路から分かれる。第1光路および第2光路を分離することにより、発光デバイスの光出力効率が改善されると同時に、第2光路を介して出射するインコヒーレント光は、第1光路に沿ってコヒーレント光源に戻ることはなくなる。
【0021】
コヒーレント光源110により発せられるコヒーレント光のエタンデュは相対的に小さく、拡散素子120により散乱した後のインコヒーレント光は、近似的ランベルト分布を有し、コヒーレント光よりもエタンデュが遥かに大きいため、反射面に対する第2反射素子140の開口部130の面積比を相対的に小さい値に制御することができ、その結果、拡散素子の第1面121からのインコヒーレント光の大部分を、第2反射素子140の反射面により反射して、出力として有効に利用することができ、インコヒーレント光の僅かな一部が開口部130から漏れて失われるものとなる。失われる光の割合は、許容できる範囲内である。好ましくは、第2反射素子140の開口部の面積は、第2反射デバイス140の反射面の面積の1/4以下である。
【0022】
従来技術と比較すると、本実施形態では、光ガイド素子140の開口部130を使用して第1光路に沿ってコヒーレント光を拡散素子120に導くとともに、光ガイド素子140の反射面を使用して、拡散素子120の第1面からのインコヒーレント光の大部分を、第1光路から分離された第2光路を介して出て発光デバイスの出力となるように導くことにより、発光デバイスの光出力効率が改善されると同時に、拡散素子の第1面121からのインコヒーレント光の大部分が、コヒーレント光と同じ経路に沿ってコヒーレント光源に戻ることはなくなり、その結果、コヒーレント光源により生成される熱とインコヒーレント光により生成される熱との間の干渉が低減されて、それによりコヒーレント光源の寿命および発光効率が改善される。
【0023】
図3を参照すると、図3は、本発明の別の実施形態に係る発光デバイスの構造を示している。図2の実施形態との主な相違点は、この実施形態では、発光デバイス200が第1反射素子150および集光デバイス160を追加的に含むことである。第1反射素子150は、拡散素子120の第2面121からのインコヒーレント光を第2反射素子140に向けて反射して、拡散素子からのインコヒーレント光のすべてが第2反射素子140に向けて進むようにする。この実施形態では、拡散素子120が、一例として、透過タイプの拡散素子となっている。拡散素子からのすべてのインコヒーレント光が第2反射素子140に向けて進むようにするために、第1反射素子150は、拡散素子の第2面122からのインコヒーレント光を反射する必要がある。その他の実施形態では、第1反射素子150を省略することができ、その代わりに、拡散素子120の厚みを増加することによって、拡散素子の第1面によりコヒーレント光から生成されるインコヒーレント光が拡散素子の第2面に到達できなくなり、その結果、拡散素子により生成されるすべてのインコヒーレント光が第2反射素子140に向けて第1面から出射する。
【0024】
好ましくは、第2反射素子140は、半球またはその一部である。コヒーレント光が拡散素子120に入射する位置は、半球の球中心近傍の第1位置であり、集光デバイス160の光入力ポートは、球中心近傍の第2位置に配置され、第1位置および第2位置が、球中心に関して対称である。コヒーレント光源110からのコヒーレント光は、開口部130を介して拡散素子120上に入射する。拡散素子120の第2面122からのインコヒーレント光は、第1反射素子150で反射して、拡散素子の第1面121からのインコヒーレント光とともに光ガイド素子140に向けて進む。第2反射素子140の反射面は、インコヒーレント光の大部分を、球中心近傍の第2位置に配置された集光デバイスの光入力ポートに反射する。インコヒーレント光の大部分は、集光デバイス160により集光されて、発光デバイス200の出力光として出力される。その一方で、拡散素子120からのインコヒーレント光のほんの一部は、第2反射素子140の開口部を通って伝わり失われる。
【0025】
好ましくは、開口部130は、半球状の第2反射素子140のオフセット開口部(offset aperture)であり、コヒーレント光源110からのコヒーレント光が、拡散素子120上に垂直に入射する。このように、拡散素子120が第1反射素子150から離れると、コヒーレント光は、第1反射素子150で反射されて第2反射素子140の開口部130内に再び入り、コヒーレント光源に戻るとともに、第2反射素子140の反射面に反射することはなくなり、また、人の目に害を与える可能性のある集光デバイスへの出力となることはなくなる。
【0026】
好ましくは、第2反射素子140は半楕円体またはその一部とすることもできる。コヒーレント光が拡散素子120に入射する位置は、半楕円体の第1焦点であり、集光デバイス160の光入力ポートは、半楕円体の第2焦点に配置される。拡散素子からのインコヒーレント光の大部分は、第2反射素子140の反射面により、楕円体の第2焦点へと反射されて、集光デバイス160により集光されて、発光デバイス200の出力光として出力される。同様に、開口部130は、好ましくは、半楕円体状の第2反射素子140のオフセット開口部であり、コヒーレント光源110からのコヒーレント光が、拡散素子120上に垂直に入射する。
【0027】
より具体的には、本発明では、第2反射素子140が、開口部を有する中空構造体の反射壁である。反射壁は、内面に被覆された反射コーティングであり、開口部は、反射壁の開口である。なお、反射コーティングは、反射壁の外面にも被覆されるものであってもよい。
【0028】
さらに、この実施形態では、集光デバイス160が中空光ガイドとなっている。実際に、この実施形態の集光デバイス160は、レンズ、レンズセット、中空光ガイド、固体光ガイド、中空複合放物集光器、固定複合放物集光器またはそれらの組合せとすることもできる。
【0029】
図4を参照すると、本発明の別の実施形態に係る発光デバイスの構造が示されている。図3の実施形態からの一つの相違点は、この実施形態では、発光デバイス300の第2反射素子140が、外側の曲面が反射コーティング331で被覆された固体透明体330であり、開口部332が、反射コーティング331の開口332であるということである。好ましくは、発光デバイスの出力輝度を増加させるために、拡散素子120と固体透明体330との間に空隙(図示省略)が存在する。図3の実施形態と同様に、固体透明体330は、好ましくは半球または半楕円体である。ここで、拡散素子120と固体透明体330との間の空隙は、好ましくは、半球の半径の1%未満の幅、または半楕円体の最も長い主軸の半分の1%未満の幅であり、それにより、発光デバイスの出力輝度を効果的に高めることができる。
【0030】
図5を参照すると、本発明の別の実施形態に係る発光デバイスの構造が示されている。この実施形態と図3の実施形態の間の一つの相違点は、発光デバイス400では、開口部130が、第2反射素子140の縁部の間隙であり、コヒーレント光源110からのコヒーレント光が、間隙を通って拡散素子120上に入射することである。当然のことながら、この実施形態の第2反射素子140は、外側の曲面が反射コーティングで被覆された固体透明体であってもよい。
【0031】
図13を参照すると、本発明の別の実施形態に係る発光デバイスの構造が示されている。この実施形態と図3の実施形態の間の一つの相違点は、発光デバイス1200では、第2反射素子140が、のこぎり歯状の反射素子で、2つののこぎり歯状面1301および1302を含み、その各々が、同心球のセットの一部であるということである。図3の例示に関連して分かるように、のこぎり歯状面1301および1302は、アーチ状の反射素子としてそれぞれ機能することができ、そのため、のこぎり歯状の反射素子は、アーチ状の反射素子のセットの入れ子になった組合せとみなすことができ、それは、拡散素子の第1面からのインコヒーレント光に関して、一つのアーチ状の反射素子と同じ反射効果を有する。のこぎり歯状の反射素子とアーチ状の反射素子との間の相違点は、のこぎり歯状の反射素子の方が、占有空間が小さく、よりコンパクトな構造を有することである。
【0032】
図6を参照すると、本発明の別の実施形態に係る発光デバイスの構造が示されている。図3の実施形態との一つの相違点は、この実施形態では、発光デバイス500の第2反射素子が、開口部530および当該開口部530周囲の反射面を有する平面的な反射素子540ということである。平面的な反射素子540は、コヒーレント光に対してある角度をなす方向にインコヒーレント光が出力されるように、拡散素子からのインコヒーレント光を反射する。
【0033】
インコヒーレント光は、近似的ランベルト分布を有するため、好ましくは、この実施形態は、拡散素子120からのインコヒーレント光を集めて平面反射素子540上にコリメートするために、レンズセット570をさらに含む。コリメートされたインコヒーレント光の大部分は、平面反射素子540の反射面で反射して、発光デバイス500の出力光となる。より好ましくは、開口部530を介して漏れ出すインコヒーレント光の量を減らすとともに、発光デバイス500の光出力効率を高めるために、レンズセット570の出力光点(output light spot)上の開口部530の投影面積(projection area)は、出力光点の面積の1/4未満である。当然のことながら、拡散素子120からのインコヒーレント光を集めて平面反射素子540に中継するために、レンズセット570の代わりに前述したその他の集光デバイスを使用することも可能である。
【0034】
また、ここでは詳細に説明しないが、インコヒーレント光を収集、平滑化および成形するために、発光デバイス500の出力端に光学素子を提供することも可能である。
【0035】
図7を参照すると、本発明の別の実施形態に係る発光デバイスの構造が示されている。図6の実施形態との一つの相違点は、この実施形態では、発光デバイス600の光ガイド素子が、第3反射素子630と、この第3反射素子630を取り囲む透明体とを含む(この実施形態では、透明体が、具体的には、第3反射素子630周囲の空気である)ということである。第3反射素子630は、コヒーレント光源110からのコヒーレント光を反射により拡散素子120の第1面に入射するように導いて第1光路を形成するとともに、拡散素子120の第1面からのインコヒーレント光の一部を、第1光路を介して出射するように導くために使用され、第3反射素子630の周囲の透明体が、拡散素子120の第1面からのインコヒーレント光のその他の部分を、透過により第2光路を介して出射するように導き、第2光路を介して出射するインコヒーレント光が、発光デバイス600の出力光を構成するものとなっている。光ガイド素子は、第3反射素子630および透明体を使用することにより、第1および第2光路を分離する。
【0036】
図6の実施形態と同様に、好ましくは、この実施形態はさらに、拡散素子120の第1面からのインコヒーレント光を集光してコリメートするレンズセット570を含む。より好ましくは、第3反射素子630の反射により漏れるインコヒーレント光の量を減らすとともに、発光デバイス600の光出力効率を高めるために、レンズセットの出力光点上の第3反射素子630の投影面積は、出力光点の面積の1/4未満である。当然のことながら、拡散素子120の第1面からのインコヒーレント光を集光および中継するために、レンズセット570の代わりに前述したその他の集光デバイスを拡散素子120と第3反射素子630の間に配置して使用することも可能である。また、ここでは詳細に説明しないが、インコヒーレント光を収集、平滑化および成形するために、発光デバイス600の出力端に光学素子を提供することも可能である。
【0037】
図8を参照すると、本発明の別の実施形態に係る発光デバイスの構造が示されている。この実施形態では、発光デバイス700の光ガイド素子が、開口部130およびその周囲の反射面を有する第2反射素子140を含む。開口部130は、コヒーレント光源110からのコヒーレント光を透過により拡散素子120の第1面に導いて第1光路を形成するとともに、拡散素子120の第1面からのインコヒーレント光の一部を、第1光路を介して出射するように導く。図3の実施形態との相違点は、この実施形態では、第3反射素子150が与えられておらず、拡散素子120により生成されてその第2面に向けて進むインコヒーレント光が第2面から直接出射して、発光デバイスの出力光になるということである。第2反射素子140の反射面は、拡散素子120の第1面121からのインコヒーレント光を反射により拡散素子120の第1面121に戻し、このインコヒーレント光が、拡散素子を透過して、拡散素子120の第2面122から出射して発光デバイスの出力光となる。
【0038】
好ましくは、第2反射素子140は、開口部とその周囲の反射面を有するアーチ状の反射素子である。アーチ状の反射体は半球状であり、コヒーレント光が拡散素子120に入射する位置は球の中心である。拡散素子120の第1面からのインコヒーレント光は、第2反射素子140に向けて進み、第2反射素子が、インコヒーレント光の大部分を、球中心に配置された拡散素子120に向けて反射する。さらに、この実施形態は、集光デバイス160を含み、この集光デバイス160の光入力ポートが、拡散素子120からのインコヒーレント光を集光するために、拡散素子120の第2面側に配置されている(すなわち、第2面122が、第1面121よりも集光デバイス160に近い)。
【0039】
また、より具体的には、この実施形態の第2反射素子140は、開口部を有する中空構造体の反射壁である。反射壁は、内面に被覆される反射コーティングを有し、開口部は、反射壁の開口である。当然のことながら、反射素子140は、のこぎり歯状の反射素子であって、少なくとも2つののこぎり歯状面を有し、その各々が、同心球のセットの一部であり、拡散素子が、同心球の球中心に配置されるものであってもよい。
【0040】
図9を参照すると、本発明の別の実施形態に係る発光デバイスの構造が示されている。図8の実施形態との一つの相違点は、この実施形態では、発光デバイス800の第2反射素子が、外側の曲面が反射コーティング331で被覆された固体透明体330であり、開口部332が、反射コーティング331の開口332であるということである。好ましくは、固体透明体330は半球状であり、拡散素子120と固体透明体330との間に空隙が存在する。この空隙は、好ましくは、半球の半径の1%未満の幅、または半楕円体の最も長い主軸の半分の1%未満の幅であり、それにより、発光デバイスの出力輝度を効果的に高めることができる。
【0041】
好ましくは、この実施形態はさらに、拡散素子120の第2面側に配置されたレンズセット570を含み、拡散素子120からのインコヒーレント光がレンズセット570によりコリメートされて出力されるものとなっている。実際に、レンズセット570に置き換えて、既述したその他の集光デバイスを使用することも可能である。
【0042】
さらに、本発明のその他の実施形態は、上述した実施形態を変更したものであり、すなわち、発光デバイスは、拡散素子を駆動する駆動デバイスを追加的に含み、拡散素子に入射するコヒーレント光の照明スポットが、所定の経路に沿って拡散素子に作用する。これは、拡散素子の同じ位置に長時間入射するコヒーレント光により生じる拡散素子の高温を避けることができるとともに、拡散素子の有効寿命を延ばすことができる。好ましくは、駆動デバイスは回転板であり、拡散素子はその回転板上に取り付けられるものであり、拡散素子が回転板とともに円状に動いて、拡散素子に入射するコヒーレント光の光点が、円形経路に沿って拡散素子に作用する。当然のことながら、駆動デバイスは、例えば線形運動のように、その他の態様で拡散素子を駆動するものであってもよい。
【0043】
図10Aを参照すると、本発明の別の実施形態に係る発光デバイスの構造が示されている。図10Aの実施形態は、図3の実施形態に基づいて変更された別の反射タイプの実施形態である。この実施形態の発光デバイス900Aは、回転板980をさらに含む。拡散素子120および第1反射素子150はともに、回転板と同心のリング形状をなし、回転板980上に配置されて、当該回転板とともに回転する。第1反射素子150は、駆動デバイス980と拡散素子120の間に配置されている。第1反射素子150は、回転板980の一部であってもよい。第2反射素子140の反射面により反射されたインコヒーレント光は、回転板980を透過して、出力のために集光デバイス160により集光される。また、集光デバイス160は、回転板980の周縁の外側の延長線上に配置することもでき、すなわち、第2反射素子により反射されたインコヒーレント光は、回転板980を通過させることなく、集光デバイス160内に直接的に入射させることもできる。
【0044】
図10Bを参照すると、本発明の別の実施形態に係る発光デバイスの構造が示されている。図10Aの実施形態は、図8の実施形態に基づいて変更された別の反射タイプの実施形態である。この実施形態の発光デバイス900Bは、回転板980をさらに含む。拡散素子120は、回転板と同心のリング形状をなし、回転板980上に配置されて、当該回転板とともに回転する。拡散素子120を支える回転板980の領域は、透明材料により形成されており、拡散素子からのインコヒーレント光の一部が、回転板980を直接透過して出力される一方、インコヒーレント光の他の部分が、第2反射素子140の反射面により反射されて拡散素子に戻り、その第2面および回転板980から出射して出力される。この実施形態は、拡散素子の第2面側に配置されたレンズセット570をさらに含む。レンズセット570は、インコヒーレント光をコリメートして出力する。
【0045】
また、本発明の別の実施形態は、コヒーレント光源が、少なくとも2のカラー光をそれぞれ生成する少なくとも2のサブ光源と、少なくとも2のサブ光源からの光を一つの光線に結合させる光結合デバイスとを含む発光デバイスを提供する。以下、この実施の形態をより詳細に説明する。
【0046】
図11を参照すると、本発明の別の実施形態に係る発光デバイスの構造が示されている。この実施形態と図10Aの実施形態との一つの相違点は、発光デバイス1000において、コヒーレント光源110が、第1サブ光源111および第2サブ光源112を含むということである。第1サブ光源111は、赤色を生成するレーザダイオードであり、第2サブ光源112は、緑色を生成するレーザダイオードである。発光デバイス1000は、追加的に、第1サブ光源111および第2サブ光源112によりそれぞれ生成された光を一つの結合光線に結合する光結合デバイス114を含む。結合光線は、開口部130を介して拡散素子120上に入射する。
【0047】
より具体的には、この実施形態では、光結合デバイス114が、赤色光を透過して緑色光を反射するダイクロイックフィルタである。第1サブ光源111からの赤色コヒーレント光は、光結合デバイス114を透過して開口部130に到達する一方、第2サブ光源112からの緑色コヒーレント光は、光結合デバイス114を反射して開口部130に到達する。当然のことながら、光結合デバイス114は、赤色光を反射して緑色光を透過するダイクロイックフィルタとすることもでき、その場合、第1サブ光源111からの赤色コヒーレント光は、反射して開口部130に到達する一方、第2サブ光源112からの緑色コヒーレント光は、透過して開口部130に到達する。したがって、赤色コヒーレント光および緑色コヒーレント光は、一つの光線に結合される。
【0048】
赤色コヒーレント光および緑色コヒーレント光は、開口部130を同時に通り抜けることができ、発光デバイス1000の出力光は、赤色インコヒーレント光および緑色インコヒーレント光により形成される黄色インコヒーレント光である。同様に、発光デバイスの別の実施形態では、コヒーレント光源が、青色コヒーレント光を生成するレーザダイオードのような第3サブ光源をさらに含むことができる。光結合デバイスは、第1、第2および第3サブ光源からのコヒーレント光を一つの結合光線に結合させて、開口部130を介してその結合光線を導くために、十字形に形成されたダイクロイックフィルタのセットであってもよい。この発光デバイスは、赤色、緑色および青色インコヒーレント光を結合することにより白色インコヒーレント光を出力することができる。
【0049】
上述した実施形態では、コヒーレント光源110が、一つのカラー光(例えば、青色または黄色など)を生成する光源であり、発光デバイスが、一つのカラー・インコヒーレント光を出力する。本発明は、複数のカラー光シーケンス出力を必要とする状況において適用することもできる。このため、本発明の別の実施形態は、コヒーレント光源の2つのサブ光源の光強度とともにオンオフをそれぞれ制御する制御デバイスをさらに含む発光デバイスを提供する。
【0050】
図12を参照すると、本発明の別の実施形態に係る発光デバイスの構造が示されている。この実施形態と図11の実施形態との一つの相違点は、発光デバイス1100のコヒーレント光源110が、第3サブ光源113をさらに含み、この第3サブ光源が、青色コヒーレント光を生成するレーザダイオードであるということである。光結合デバイス114は、互いに平行に配置された2つのダイクロイックフィルタ板1141および1142を含むダイクロイックフィルタのセットである。ダイクロイックフィルタのセット114は、第1、第2および第3サブ光源からの光を一つの結合光線に結合する。結合光線は、開口部130を通過して拡散素子120上に入射する。具体的に、ダイクロイックフィルタ板1141は、第1サブ光源111により生成される赤色コヒーレント光を反射して、第2サブ光源112により生成される緑色コヒーレント光を透過し、赤色および緑色コヒーレント光がともにダイクロイックフィルタ板1142を透過し、ダイクロイックフィルタ板1142が、第3サブ光源113により生成される青色コヒーレント光を反射する。
【0051】
発光デバイス1100は、コヒーレント光源の3つのサブ光源の光強度とともにオンオフをそれぞれ制御する制御デバイス(図示省略)をさらに含む。例えば、制御デバイスは、赤色、緑色および青色コヒーレント光を生成して順番にターンオンおよびオフする3つのサブ光源を制御することができ、その結果、発光デバイスが、赤色、緑色および青色インコヒーレント光を上記順番で出力することができる。また、制御デバイスは、赤色、緑色および青色コヒーレント光を生成して同時にターンオンする3つサブ光源を制御するとともに、3つサブ光源の光強度を周期的に変化するように制御し、その結果、光結合デバイスにより生成される結合光のカラーが周期的に変化して、光発光デバイスが、周期的にカラーが変化するインコヒーレント光を出力することができる。
【0052】
また、本発明は、上述した実施形態に記載した機能を有することができる発光デバイスを含む投影システムも提供する。
【0053】
本発明の上述した実施形態は、例示的なものであって、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明の説明および図面に基づく、あるいはその他の関連する技術分野で直接的または間接的に使用される、あらゆる均等な構造および均等なプロセスおよび変形例は、本発明の特許保護の範囲にすべて含まれるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10-1】
図10-2】
図11
図12
図13