(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の本実施形態による基板収納容器について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る基板収納容器を示す斜視図である。
図2Aは、本実施形態に係る基板収納容器を示す縦断面図である。
図2Bは、本実施形態に係る基板収納容器の奥側基板支持部を示す側方拡大断面図である。
図3Aは、本実施形態に係る基板収納容器について蓋体を開いた状態を示す分解斜視図である。
図3Bは、本実施形態に係る基板収納容器の容器本体の基板収容空間に基板を収納した状態を示す分解斜視図である。
図4Aは、本実施形態に係る基板収納容器を示す平面視断面図である。
図4Bは、本実施形態に係る基板収納容器に基板を保持した様子を示す平面視断面図である。
図5は、本実施形態に係る基板収納容器の蓋体を示す後方斜視図である。
【0013】
ここで、説明の便宜上、後述の容器本体2から蓋体3へ向かう方向(
図2Aにおける左方向)を前方向D11と定義し、その反対の方向を後方向(奥行き方向)D12と定義し、これらを前後方向D1と定義する。後方向(奥行き方向)D12は、容器本体2の一端部から当該一端部に対する他端部へ向かう方向でもある。また、後述の下壁24から上壁23へと向かう方向(
図2Aにおける上方向)を上方向D21と定義し、その反対の方向を下方向D22と定義し、これらを上下方向D2と定義する。上下方向D2は、基板収納容器1に収納される基板Wの厚さ方向でもある。また、後述する第2側壁26から第1側壁25へと向かう方向(
図2Aにおける紙面の表面から裏面へと向かう方向)を左方向D31と定義し、その反対の方向を右方向D32と定義し、これらを左右方向D3と定義する。
【0014】
また、基板収納容器1に収納される基板W(
図4B等参照)は、円盤状のシリコンウェーハ、ガラスウェーハ、サファイアウェーハ等であり、産業に用いられる薄いものである。基板Wは、例えば、直径450mm以上のシリコンウェーハであり、本実施形態における基板Wは、直径450mmのシリコンウェーハである。
【0015】
図1〜
図3Bに示すように、基板収納容器1は、容器本体2と、蓋体3と、シール部材4と、基板支持板状部5と、フロントリテーナ7とを有している。
【0016】
容器本体2は、一端部に容器本体開口部21が形成され、他端部が閉塞された筒状の壁部20を有する。容器本体2内には基板収納空間27が形成されている。基板収納空間27は、壁部20により取り囲まれて形成されている。壁部20の部分であって基板収納空間27を形成している部分には、基板支持板状部5が配置されている。基板収納空間27には、複数の基板W(
図3B,
図4B参照)を収納可能である。
【0017】
基板支持板状部5は、基板収納空間27内において対をなすように壁部20に設けられている。基板支持板状部5は、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されていないときに、隣接する基板W同士を所定の間隔で離間させて並列させた状態で、複数の基板Wの縁部を支持可能である。奥側基板支持部6は、基板支持板状部5の奥側(後方向D12の側)に一体的に設けられている。奥側基板支持部6は、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに、複数の基板Wの縁部の後部を支持可能である。
なお、奥側基板支持部6は、基板支持板状部5とは別体で構成されていてもよい。
【0018】
蓋体3は、容器本体開口部21に対して着脱可能であり、容器本体開口部21を閉塞可能である。フロントリテーナ7は、蓋体3の部分であって蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに基板収納空間27に対向する部分に設けられている。フロントリテーナ7は、奥側基板支持部6と対をなすように配置されている。
フロントリテーナ7は、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに、複数の基板Wの縁部の前部を支持可能である。フロントリテーナ7は、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに、奥側基板支持部6と協働して複数の基板Wを支持することにより、隣接する基板W同士を所定の間隔で離間させて並列させた状態で、複数の基板Wを保持する。以下、各部について、詳細に説明する。
【0019】
図3A等に示すように、容器本体2の壁部20は、奥壁22と上壁23と下壁24と第1側壁25と第2側壁26とを有する。奥壁22、上壁23、下壁24、第1側壁25、及び第2側壁26は、プラスチック材等により構成されており、第1実施形態では、ポリカーボネートにより一体成形されて構成されている。
【0020】
第1側壁25と第2側壁26とは対向しており、上壁23と下壁24とは対向している。上壁23の後端、下壁24の後端、第1側壁25の後端、及び第2側壁26の後端は、全て奥壁22に接続されている。上壁23の前端、下壁24の前端、第1側壁25の前端、及び第2側壁26の前端は、奥壁22に対向する位置関係を有し、略長方形状をした容器本体開口部21を形成する開口周縁部28を構成する。
【0021】
開口周縁部28は、容器本体2の一端部に設けられており、奥壁22は、容器本体2の他端部に位置している。壁部20の外面により形成される容器本体2の外形は箱状である。壁部20の内面、即ち、奥壁22の内面、上壁23の内面、下壁24の内面、第1側壁25の内面、及び第2側壁26の内面は、これらによって取り囲まれた基板収納空間27を形成している。開口周縁部28に形成された容器本体開口部21は、壁部20により取り囲まれて容器本体2の内部に形成された基板収納空間27に連通している。基板収納空間27には後述のように、最大で25枚の基板Wを収納可能である。
【0022】
図3Aに示すように、上壁23及び下壁24の部分であって、開口周縁部28の近傍の部分には、基板収納空間27の外方へ向かって窪んだラッチ係合凹部231A、231B、241A、241Bが形成されている。ラッチ係合凹部231A、231B、241A、241Bは、上壁23及び下壁24の左右両端部近傍に1つずつ、計4つ形成されている。
【0023】
図1、
図2A、
図3Aに示すように、上壁23の外面においては、リブ233及びフランジ固定部234が、上壁23と一体成形されて設けられている。リブ233は、上壁23の外面から上方向D21へ突出し、複数設けられている。リブ233は、略前後方向D1へ延びるものと、略左右方向D3へ延びるものとを有している。フランジ固定部234には、トップフランジ235が固定される。トップフランジ235は、上壁23に固定され、AMHS(自動ウェーハ搬送システム)、PGV(ウェーハ基板搬送台車)等において基板収納容器1を吊り下げる際に、基板収納容器1において掛けられて吊り下げられる部分となる部材である。
【0024】
図1に示すように、下壁24の外面には、容器本体脚部243が設けられている。
図3A等に示すように、容器本体脚部243は、下壁24の左右両端縁に、下壁24とは別体で設けられており、下壁24の左右両端縁に沿って前後方向D1に延びている。容器本体脚部243は、下壁24を下側(下方向D22の側)として容器本体2を水平な平坦面上に載置したときに、当該平坦面に当接して、容器本体2を安定して支持する。
【0025】
図2A、
図3A、
図4Aに示すように、基板支持板状部5は、第1側壁25及び第2側壁26にそれぞれ設けられて、左右方向D3において対をなすようにして基板収納空間27内に配置されている。具体的には、
図2Aに示すように、基板支持板状部5は、板部51と板部支持部52と奥側基板支持部6とを有している。板部51と板部支持部52と奥側基板支持部6とは、樹脂が一体成形されて構成されている。板部51は、板状の弧形状を有している。板部51は、第1側壁25、第2側壁26に、それぞれ25枚ずつ計50枚設けられている。隣接する板部51は、上下方向D2において10mm〜12mm間隔で互いに離間して平行な位置関係で配置されている。なお、最も上に位置する板部51の上方にも、板部51と略同一形状のものが配置されているが、これは、最も上に位置して基板収納空間27内へ挿入される基板Wに対して、当該挿入の際のガイドの役割をする部材である。
【0026】
また、
図4Aに示すように、第1側壁25に設けられた25枚の板部51と、第2側壁26に設けられた25枚の板部51とは、互いに左右方向D3において対向する位置関係を有している。また、50枚の板部51、及び、板部51と略同形状の2枚のガイドの役割をする部材は、下壁24の内面に平行な位置関係を有している。
図2Aに示すように、板部51の上面には、凸部511が設けられている。板部51に支持された基板Wは、凸部511の突出端にのみ接触し、面で板部51に接触しない。
【0027】
板部支持部52は、
図2Aに示すように、上下方向D2に延びる部材により構成されている。第1側壁25に設けられた25枚の板部51は、第1側壁25側に設けられた板部支持部52に接続されている。同様に、第2側壁26に設けられた25枚の板部51は、第2側壁26側に設けられた板部支持部52に接続されている。
【0028】
板部支持部52は、第1側壁係止部53を有している。第1側壁係止部53、53は、第1側壁25、第2側壁26にそれぞれ設けられた側方板係止部251、261に係止可能である。このような構成の基板支持板状部5により、複数の基板Wのうちの隣接する基板W同士を、所定の間隔で離間した状態で且つ互いに平行な位置関係とした状態で、複数の基板Wの縁部を支持可能である。
【0029】
ここで、説明の便宜上、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されている状態の容器本体2における基板収納空間27に収納されている基板Wを「閉塞状態基板W1」という(
図4B参照)。蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されていない状態の容器本体2における基板収納空間27に収納されている基板Wを「非閉塞状態基板W2」という(
図3B参照)。
【0030】
また、
図4Bに示すように、閉塞状態基板W1の中心を「閉塞時中心C1」という。なお、基板Wを厚さ方向D2に視たときに、閉塞時中心C1と非閉塞状態基板W2の中心(図示せず)とは、通常ずれている(特に前後方向D12にずれている)。閉塞時中心C1を通り且つ後方向(奥行き方向)D12に平行な仮想直線を「奥行き方向基準線CL1」という。閉塞時中心C1を通り且つ後方向(奥行き方向)D12に直交する仮想直線を「左右方向基準線CL2」という。
【0031】
図4Bに示すように、閉塞状態基板W1を厚さ方向D2に視たときに、奥側基板支持部6は、奥行き方向基準線CL1を挟んで対をなして設けられている。
図2Aに示すように、奥側基板支持部6は、壁部基板支持部60と、側壁後部係止部67とを有している。側壁後部係止部67、67は、第1側壁25、第2側壁26にそれぞれ設けられた奥側基板支持部係止部252、262に係止可能である。
第1側壁係止部53、53が側方板係止部251、261に係止されると共に、側壁後部係止部67、67が奥側基板支持部係止部252、262に係止されることによって、基板支持板状部5は、第1側壁25、第2側壁26にそれぞれ固定される。
【0032】
奥側基板支持部6の壁部基板支持部60は、実質的に柔軟性を発現させずに基板Wを支持する。「実質的に柔軟性を発現させずに」とは、壁部基板支持部60の材質や構造に工夫をして意図的に柔軟性を発現させることが無いという意味である。
なお、奥側基板支持部6は、柔軟性を発現させた状態で基板Wを支持する構成とすることもできる。
【0033】
壁部基板支持部60は、基板収納空間27に収納可能な基板Wの一枚毎に対応した個数、具体的には、25個設けられている。第1側壁25及び第2側壁26に設けられた壁部基板支持部60は、前後方向D1において、後述するフロントリテーナ7と対をなすような位置関係を有している。
【0034】
壁部基板支持部60は、
図2Bに示すように、第1当接面621を有する支持部上部62と、第2当接面631を有する支持部上部63とを有している。
図4Bに示すように、基板収納空間27内に基板Wが収納され、蓋体3が閉じられること(閉塞されること)により、基板W(閉塞状態基板W1)が奥側基板支持部6とフロントリテーナ7とによって支持されたときに、第1当接面621には、基板Wの上面の縁部の端縁が当接可能であり、また、第2当接面631には、基板Wの下面の縁部の端縁が当接可能である。
【0035】
図3Aに示すように、蓋体3は、容器本体2の開口周縁部28の形状と略一致する略長方形状を有している。蓋体3は容器本体2の開口周縁部28に対して着脱可能であり、開口周縁部28に蓋体3が装着されることにより、蓋体3は、容器本体開口部21を閉塞可能である。
図4Aに示すように、蓋体3の外周縁部においては、シール部材嵌合溝31が蓋体3の外周縁部に沿って形成されている。シール部材嵌合溝31においては、弾性変形可能なPOE(ポリオキシエチレン)製、PEEをはじめとするポリエステル系、ポリオレフィン系など各種熱可塑性エラストマー製、フッ素ゴム製、シリコンゴム製等の環状のシール部材4が、嵌め込まれている。シール部材4は、蓋体3の外周縁部を一周するように配置されている。
【0036】
シール部材4は、容器本体開口部21を形成している容器本体2の部分である開口周縁部28に当接可能である。シール部材4は、開口周縁部28と蓋体3との間に介在して開口周縁部28に密着して当接することにより、蓋体3によって容器本体開口部21を気密の状態で閉塞可能である。
また、開口周縁部28から蓋体3が取り外されることにより、容器本体2内の基板収納空間27に対して、基板Wを出し入れ可能となる。
【0037】
蓋体3においては、ラッチ機構が設けられている。ラッチ機構は、蓋体3の左右両端部近傍に設けられており、
図3A、
図3Bに示すように、蓋体3の上辺から上方向D21へ突出可能な2つの上側ラッチ部32A、32Bと、蓋体3の下辺から下方向D22へ突出可能な2つの下側ラッチ部(図示せず)と、を備えている。2つの上側ラッチ部32A、32Bは、蓋体3の上辺の左右両端近傍に配置されており、2つの下側ラッチ部は、蓋体3の下辺の左右両端近傍に配置されている。
【0038】
図3Aに示すように、蓋体3の外面においては操作部33が設けられている。操作部33を蓋体3の前側から操作することにより、上側ラッチ部32A、32B、下側ラッチ部を蓋体3の上辺、下辺から突出させることができ、また、上辺、下辺から突出しない状態とさせることができる。上側ラッチ部32A、32Bが蓋体3の上辺から上方向D21へ突出して、容器本体2のラッチ係合凹部231A、231Bに係合し、且つ、下側ラッチ部が蓋体3の下辺から下方向D22へ突出して、容器本体2のラッチ係合凹部241A、241Bに係合することにより、蓋体3は、容器本体2の開口周縁部28に固定される。
【0039】
図4A及び
図5に示すように、蓋体3の内面の一部であって、容器本体開口部21を閉塞する部分には、容器本体2の前方向D11に窪んだ蓋体脚部固定用凹部341が形成されている。蓋体脚部固定用凹部341は、蓋体3の左右方向D3の中央位置において、蓋体3の左右方向D3における幅の3分の1程度の幅を有して、上下方向D2において、蓋体3の上端部近傍から下端部近傍に至るまで形成されている。蓋体脚部固定用凹部341の上端及び下端は、蓋体3の縁部により形成されている。蓋体3の内面の部分であって、左右方向D3における蓋体脚部固定用凹部341の両脇の部分は、内面左右端部平坦面342により構成されている。
【0040】
蓋体3は、左右方向D3における蓋体3の中央において上下に延びる仮想線を中心とした対称の構成を有している。このため、以下、主として右側(
図5に示す左側)の部分の構成について詳述し、左側(
図5に示す右側)の部分については、詳細な説明を省略する。
【0041】
このように、蓋体3は、対称の構成を有しているため、蓋体3に固定されているフロントリテーナ7も、仮想線を中心として対照的に2つ設けられている。即ち、後述する他方の蓋体側基板支持部としてのフロントリテーナ基板受け部73は、左右方向D3において対をなして配置されている。対をなしているフロントリテーナ基板受け部73のうちの、一方のフロントリテーナ基板受け部73に接続されたフロントリテーナ脚部72と、対をなしているフロントリテーナ基板受け部73のうちの他方のフロントリテーナ基板受け部73に接続されたフロントリテーナ脚部72とは、別体で構成されている。
【0042】
図5に示すように、左右方向D3における蓋体脚部固定用凹部341の両端部近傍においては、フロントリテーナ係止板343が一対設けられている。一対のフロントリテーナ係止板343は、上下方向D2に延びている。また、左右方向D3における各内面左右端部平坦面342の中央部分には、フロントリテーナ係止部344がそれぞれ1つずつ設けられている。
【0043】
図5に示すように、蓋体3の内面に対向する位置であって、左側(左方向D31の側)のフロントリテーナ係止板343から左側のフロントリテーナ係止部344に至るまでの位置には、フロントリテーナ7が設けられている。フロントリテーナ7は、上下方向D2に平行に延びる一対の縦枠体71と、一対のフロントリテーナ脚部72と、フロントリテーナ基板受け部73とを有している。一対の縦枠体71、フロントリテーナ脚部72、及びフロントリテーナ基板受け部73は、樹脂により一体成形され、互いに接続されている。フロントリテーナ7のフロントリテーナ基板受け部73は、柔軟性を発現させて基板Wを支持することができる。
【0044】
図5に示すように、フロントリテーナ基板受け部73は、蓋体脚部固定用凹部341内に配置されておらず、奥行方向(後方向D12)において蓋体脚部固定用凹部341よりも奥側(後方向D12の側)に配置されている。
【0045】
フロントリテーナ基板受け部73の一端部である左端部は、一対のフロントリテーナ脚部72のうちの一方のフロントリテーナ脚部721の右端部に接続されている。フロントリテーナ基板受け部73の他端部である右端部は、一対のフロントリテーナ脚部72のうちの他方のフロントリテーナ脚部722の左端部に接続されている。
フロントリテーナ基板受け部73及び対をなしているフロントリテーナ脚部72は、上下方向D2に25個並列した状態で設けられている。
一方の縦枠体71(711)は、フロントリテーナ係止部344に係止される。一方の縦枠体711がフロントリテーナ係止部344に係止され、他方の縦枠体71(712)がフロントリテーナ係止板343に係止されることにより、フロントリテーナ7は、蓋体3に固定される。
【0046】
図4A及び
図4Bに示すように、閉塞状態基板W1を厚さ方向(上下方向D2)に視たときに、蓋体側基板支持部としてのフロントリテーナ基板受け部73は、奥行き方向基準線CL1を挟んで対をなして設けられている。閉塞状態基板W1を厚さ方向(上下方向D2)に視たときに、奥側基板支持部6の壁部基板支持部60が左右方向基準線CL2に対して後方向(奥行き方向)D12へ向けてなす中心角αは、20°以上55°以下である。中心角αは、好ましくは35°以上50°以下である。
【0047】
閉塞状態基板W1を厚さ方向(上下方向D2)に視たときに、蓋体側基板支持部としてのフロントリテーナ基板受け部73が左右方向基準線CL2に対して前方向D11へ向けてなす中心角βは、60°以上85°以下である。
【0048】
中心角αを規定する場合において、奥側基板支持部6(壁部基板支持部60)の基準位置は、次の通りとする。閉塞状態基板W1を厚さ方向D2に視たときに、奥側基板支持部6(壁部基板支持部60)の基準位置は、奥側基板支持部6(壁部基板支持部60)における閉塞状態基板W1の支持に実質的に寄与している部分(「支持寄与部分」ともいう)とする。支持寄与部分が、閉塞状態基板W1の周方向に沿って長さを有している場合には、その長さの中心位置を基準位置とする。1枚の閉塞状態基板W1に対して奥行き方向基準線CL1に対して一方の側に、奥側基板支持部6(壁部基板支持部60)が複数設けられている場合には、奥側基板支持部6(壁部基板支持部60)ごとの基準位置の平均の位置を基準位置とする。
蓋体側基板支持部としてのフロントリテーナ基板受け部73における中心角βの基準位置も、前述の奥側基板支持部6(壁部基板支持部60)における中心角αと同様に規定される。
【0049】
上記構成の本実施形態による基板収納容器1によれば、以下のような効果を得ることができる。
上述のように、本実施形態においては、蓋体側基板支持部としてのフロントリテーナ基板受け部73は、柔軟性を発現させて基板Wを支持し、閉塞状態基板W1を厚さ方向(上下方向D2)に視たときに、奥側基板支持部6の壁部基板支持部60は、奥行き方向基準線CL1を挟んで対をなして設けられ、基板Wを支持し、閉塞状態基板W1を厚さ方向に視たときに奥側基板支持部6の壁部基板支持部60が左右方向基準線CL2に対して奥行き方向(後方向)D12へ向けてなす中心角αは、20°以上55°以下である。
【0050】
そのため、半導体ウェーハ等の基板Wを並列させた状態で複数収納する基板収納容器1を落下させたり、基板収納容器1を振動させたりして、衝撃を与えたときにおいて、柔軟性を発現させて基板を支持するフロントリテーナ基板受け部73、及び所定の周方向位置に配置される壁部基板支持部60により衝撃を吸収し、基板Wを適切に支持することができる。そのため、基板収納容器1の運搬時に、基板収納容器1に収納された複数の基板Wに衝撃が伝達されることを極力抑制できる。従って、基板収納容器1に収納された基板Wが破損することを抑制することができる。
【0051】
特に、収納された基板Wが、直径300mmの半導体ウェーハと比べて直径(面積)に対する厚さの比率が小さくなり耐衝撃性(衝撃に対する破損のしにくさ)が低下した直径450mm以上の半導体ウェーハの場合に、本発明による基板Wの支持構造は効果的である。
【0052】
本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的範囲において変形が可能である。
例えば、容器本体及び蓋体の形状や、容器本体に収納可能な基板の枚数、寸法は、本実施形態における容器本体2及び蓋体3の形状や、容器本体2に収納可能な基板Wの枚数、寸法に限定されない。
【実施例】
【0053】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
閉塞状態基板W1を厚さ方向D2に視たときに奥側基板支持部6が左右方向基準線CL2に対して奥行き方向D12へ向けてなす中心角αを異ならせた場合において、基板収納容器1に収納された基板Wの耐衝撃性(衝撃に対する破損のしにくさ)について、後述の各実施例及び比較例を用いて評価した。
【0054】
各実施例及び比較例において共通する条件は、以下の通りである。
基板W:シリコンウェーハ
基板Wの直径:450mm
基板Wの厚さ:925μm
基板Wの収納枚数:25枚
閉塞状態基板W1を厚さ方向D2に視たときに蓋体側基板支持部73が左右方向基準線CL2に対して前方向D11へ向けてなす中心角β:65°
各実施例及び比較例において、閉塞状態基板W1を厚さ方向D2に視たときに奥側基板支持部6が左右方向基準線CL2に対して奥行き方向D12へ向けてなす中心角αは、下記〔表1〕の通りである。
【0055】
【表1】
【0056】
〔評価方向〕
基板Wの面方向を水平方向に配置した状態で前記の条件の基板収納容器1を、基板収納容器1の下面(下壁24の外面)が床面から90cm上方に位置させた状態から、床面に落下させる。床面はコンクリート製である。落下後、基板収納容器1に収納されている基板Wに1枚以上割れが発生していれば、割れが「有」と評価し、基板収納容器1に収納されている基板Wに1枚も割れが発生していなければ、割れが「無」と評価した。
評価結果を前記〔表1〕に示す。
〔表1〕に示す評価結果によれば、奥側基板支持部6がなす中心角αが所定範囲内であれば、耐衝撃性(割れにくさ)が高いことがわかる。