【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の背後にある考え方は、封入エレメントを形成する不透明ポリマーが2枚のガラス板の間に位置する比較的深い溝に入り込むのを可能にすることにより、寄生光を隠すことである。この溝は、接着結合した板のおのおのよりも面積が小さい積層中間層によって2枚のガラス板の間に画定される。積層中間層とガラス板との寸法差が大きくなればなるほど、溝は深くなる。
【0009】
不透明な封入用ポリマーがこの深い溝形の空間に容易に入り込んで空隙を形成することなくそれを満たすことができるように、2枚のガラス板のうちの一方にもたれて位置するLEDストリップは、注入工程中に液体の封入用組成物の流れを妨げてはならない。それゆえ、本発明では、印刷回路基板(PCB)がその端部にあるいはその表面に複数の「スペーサー」を含むようにしており、これを介してそれをガラス板にもたせて支持する。これらの「スペーサー」又はパッドはPCBとグレージングユニットとを多点接触させ、そして封入工程中において液体封入用組成物がPCBとガラス板との間を通過するのを可能にし、そのガラス板にもたれるようにしてPCBが位置する。
【0010】
従って、本発明が対象とするものの一つは、
・無機又は有機ガラス製で、第1の主面、第2の主面及び端面を有する第1の板、
・無機又は有機ガラス製で、第1の主面、第2の主面及び端面を有する第2の板、
・第1の板の第2の主面及び第2の板の第1の主面に接着して接触する積層中間層であって、ガラス板のおのおのの面積よりも小さい面積を有し、こうして第1の板の第2の主面の端部と第2の板の第1の主面の端部との間に溝形の空間を画定している積層中間層、
・印刷回路基板(PCB)と複数の発光ダイオード(LED)とを含んでいて、LEDの発光面が第1の板の端面に面するように配置された、発光ダイオードの少なくとも1つのストリップ、及び、
・少なくとも第2の板の端面とLEDストリップとを封入する不透明ポリマー製の封入用エレメント、
を含む照明グレージングユニットであって、PCBが複数のスペーサーにより第2のガラス板の第1の主面にもたれて位置していること、そして溝形の空間に封入用エレメントの不透明ポリマーが充填されていることを特徴とする照明グレージングユニットである。
【0011】
本発明のグレージングユニットは、積層中間層を用いて周知の方法で互いどうし接着結合した少なくとも2枚の単一の板を含む積層グレージングユニットである。グレージングユニットの以下の説明において、「第1の板」という用語は常に、1以上の光源によって端面を介して光を照射されるガラス板を表すということに注目することが重要である。第1の板、あるいは光を照射される板は、好ましくは、車両又は建造物の内部と接触する板である。
【0012】
本発明のグレージングユニットの2枚の板のおのおのは、端面と2つの主面とを有する。車室又は建造物の内部の方に向けることを意図する面を第1の主面と称し、建造物又は車室の外部の方に向けることを意図する面を第2の主面と称することにする。
【0013】
第2の板は、好ましくは第1の板よりも大きな面積のものであり、少なくともグレージングユニットのLEDのストリップが位置する端部で第1の板を越えて延在する。本発明のこの好ましい実施形態では、ストリップは、スペーサーを用いて、第2の板の第1の主面にもたれて位置する。
【0014】
スペーサーは、
図5に示した実施形態におけるように、PCBの端面に位置することができるが、それらは好ましくは、
図3と4に示したように、LEDが固定されるのとは反対側のPCBの面に位置する。後者の場合、LEDストリップは側面放射ストリップであるのに対し、
図4においてはそれらは上面放射LEDストリップである。
【0015】
封入用組成物を注入する工程の間に第2の板にPCBを確実にうまく配置するようにするため、またPCBボードがグレージングユニットの主平面に平行な方位を維持するのを保証するために、スペーサーは平面に配置するのが好ましく、すなわちそれらは単一の直線に沿ってのみ並べられるのではない。具体的に言えば、スペーサーをPCB上の単一の直線にだけ配置した場合には、PCBはこの支持軸線の周りを回転する可能性があり、これは第1の板に光が投入される方向が制御されず不所望に変更する原因となりかねない。
【0016】
互いに平行な、且つ好ましくはPCBの端部と第2の板の端部とに対して平行な、2つの直線に沿ってスペーサーを並べることによって、良好なPCBの安定性を得ることが可能である。
【0017】
好ましくは、スペーサーは、数の上でLEDに少なくとも等しく、PCBの上に一定間隔で分布し、各LEDはその直ぐ近くに位置する少なくとも1つのスペーサーと関連づけられるのが好ましい。スペーサー間の間隙の周期性は、LED間の間隔を反映するのが好ましい。特に、軟質のPCBの場合、それらを所定の位置に申し分なく保持するのを保証するために、スペーサーを各LEDの下に配置することが重要である。
【0018】
図3に示した、本発明の特に有利な実施形態では、PCBは第1及び第2の板の間の積層中間層によって画定される空間に及ぶ。具体的に言うと、この実施形態は、2枚のガラス板の間に収容されたPCBが可能性のある機械的応力から更に保護される特にコンパクトで安定な解決策に相当する。
【0019】
下記でより詳しく説明するように、熱硬化性モノマーの混合物により構成される液体の封入用組成物は、封入作業中に、PCBと第2の板の第1の主面との間にスペーサーによって作られる薄い空気層を通過することにより2枚の板の間の自由空間に浸透しなくてはならない。この注入工程中に当該材料の流れが妨げられないためには、PCBと第2の板の間の空気層は十分に厚くなくてはならない。この厚さはスペーサーの盛り上がりに、すなわちその高さに相当する。それは、200μmと1000μmの間に含まれるのが、特に400μmと700μmの間に含まれるのが好ましい。スペーサーは付随的に、LEDの発光面の位置を第1の板の端面に関して調整する役目を果たすことができる。この目的のためには、また必要ならば、それらは高さが1mmより大きくてもよい。
【0020】
スペーサーの盛り上がりを、グレージングユニットのへりで2枚のガラス板の間に形成される寄生光遮蔽層の全厚と混同してはならない。遮蔽層の厚さは、2枚のガラス板の間の隔たりによって、言い換えれば積層中間層の厚さによって、本質的に規定される。十分な不透明性をもたらすためには、封入用エレメントの不透明ポリマーが充填される2枚のガラス板の間の空間は、0.2mmと2mmの間に含まれる、特に0.3mmと1.5mmの間に含まれる厚さを有することが好ましい。
【0021】
封入用ポリマーの不透明ストリップの厚さだけでなく幅(これは積層中間層と2枚の板とによって画定される溝の深さに相当する)も規定することが重要である。この幅は、0.2cmと2.0cmの間、特に0.3cmと1.0cmの間に含まれるのが好ましい。グレージングユニットが大きさの異なる2枚の板を含み、少なくとも光源が位置する端部において一方が他方を越えて延在する場合には、溝の深さは小さい方の板の端部から中間層の端部を引き離す距離として定義される。
【0022】
本発明のグレージングユニットは、第2の板の第1の主面の端部、すなわち第2の板とPCBのスペーサーとの間の接触のゾーンのある面、に適用された不透明なエネメルを含むことが更に有利である。このエナメルには、この接触ゾーンを美観上隠すのとポリマーの封入層が比較的薄い場合にその光遮断能力を補強するという2つの機能がある。このエナメルコーティングは、もちろん、封入用エレメントの不透明ポリマーが充填される空間を隠すのに十分な程度のものでなければならず、また従って少なくとも積層中間層の端部のところまで、あるいは更にはそれを越えて、延在しなくてはならない。
【0023】
本発明のグレージングユニットにおいては、LEDストリップの表面の大部分は、一般的に言えばかなり良好な断熱材である封入用エレメントのポリマーと接触する。これは、LEDとPCBのその他の構成部品とによって動作中に発生する熱の放出を不所望に妨害しかねない。スペーサーは、場合によっては、PCBと一方のガラス板とを点接触させるだけでよく、この場合それらは熱の逃げ道として重要な役割を演じる。熱の放出を促進しPCBの加熱を制限するためには、スペーサーを良好な熱伝導体である材料で、特に熱伝導率λが少なくとも200W/mKに等しい、好ましくは少なくとも230W/mKに等しい材料で、製作するのが有利である。
【0024】
例として、スペーサーは金属、例えばアルミニウム及びアルミニウム合金など、で製作することができ、あるいは実際のところそれらはPCBの不可分の部分を形成し前者と同じ材料で製作することができる。
【0025】
初めに述べたように、本発明のグレージングユニットは「埋め込み型」グレージングユニットであるのが好ましく、これは、車両又は建造物の外部と接触させることを意図した第2の板の第2の主面が封入用エレメントにより覆われずにそれは第2のガラス板の端面を覆うだけであるということを意味する。
【0026】
本発明が対象とするもう一つは、上述したような照明グレージングユニットを製造するための方法である。この方法は、連続した少なくとも以下の工程、すなわち、
(a)次のもの、すなわち、
・無機又は有機ガラスで製作されて、第1の主面、第2の主面及び端面を有する第1の板、
・無機又は有機ガラスで製作されて、第1の主面、第2の主面及び端面を有する第2の板、
・第1の板の第2の主面及び第2の板の第1の主面に接着して接触する積層中間層であって、ガラス板のおのおのの面積よりも小さい面積を有し、こうして第1の板の第2の主面の端部と第2の板の第1の主面の端部との間に溝形の空間を画定している積層中間層、
を含む積層グレージングユニットを用意する工程、
(b)少なくとも印刷回路基板(PCB)と複数のLEDとを含むLEDの1つのストリップを、LEDの発光面が第1の板の端面に面するように、且つPCBが複数のスペーサーを用いて第2のガラス板の第1の主面にもたれて位置するように配置する工程、及び、
(c)少なくとも第2の板の端面とLEDのストリップトとを封入する、不透明ポリマー製の封入用エレメントを作製し、第1の板の第2の主面の端部と第2の板の第1の主面の端部との間の溝形の空間に充填する工程、
を含む。
【0027】
1つ以上のLEDストリップを接着結合によって所定の位置に固定することができる。LEDの発光面と第1の板の端面との光学的結合を、工程(c)の間に封入用組成物がLEDと第1の板の端面との間のゾーンを隠して暗くするのを防止するのを更に可能にする透明接着剤を用いて確実に行うことが、特に有利である。
【0028】
封入用エレメントは、グレージングユニットの端部を取り囲む成形型の中に液体の封入用組成物を注入することにより作製される(工程(c))。この封入用組成物は、熱硬化性モノマーの組成物、好ましくは少なくとも1種のポリイソシアネートとポリオールとを含む組成物(ポリウレタンを生成する)であることができ、そして前記注入した組成物をそれを硬化させるための温度にそのために十分な時間加熱する。
【0029】
この組成物は溶融した状態では熱可塑性であってもよい。その後、ポリマーを加熱によらずそれを冷却することにより硬化させる。
【0030】
封入用組成物の注入と硬化の条件は周知であり、様々な熱硬化性又は熱可塑性封入用組成物の配合が知られている。当業者はそれらを選ぶことができ、そして必要ならば、2枚のガラス板の端部の間の空間を申し分なく満たして十分に不透明なポリマーストリップを作り、いかなる寄生光も隠すためにそれらを適合させることができる。
【0031】
次に、図面に示したいくつかの実施形態を用いて本発明を説明する。