【実施例】
【0040】
参考例1−シクロドデカントリアルデヒドのポリフェノールの合成
シクロドデカトリエンのヒドロホルミル化から得たCDDトリアルデヒドをガスクロマトグラフィーによって分析し、以下の組成を示した。シクロドデカトリエン(0.15重量%)、CDDモノアルデヒド(0.16重量%)、CDDジアルデヒド(9.52重量%)およびCDDトリアルデヒド(88.72重量%)。3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸触媒(用いた触媒全量は1.25g、CDDトリアルデヒド反応体に対して0.05モル%であった)を用いるCDDトリアルデヒド(39.74g、0.16モル、0.48アルデヒド当量)と溶融フェノール(301.2g、3.2モル)との反応は、CDDトリアルデヒドのポリフェノールを赤褐色の粉体(107.00g)としてもたらした。生成物の試料のHPLC分析は、1.89面積%の残留フェノールの存在を示した。KBrペレットのFTIR分光光度分析は、1610.8(1595.5にショルダー)および1510.2cm
−1における強い芳香環吸光度、3382.3cm
−1を中心とする幅の広い強いヒドロキシルO−H伸縮および1229.4(1170.5にショルダー)cm
−1における幅の広い強いC−O伸縮の出現とともに、1721.9cm
−1におけるアルデヒドカルボニル伸縮の完全な消失を示した。HPLC分析は、CDDトリアルデヒドのポリフェノールが3.24から8.30分の間に溶出する複数の成分を含むことを示した(残留フェノールは2.49分に溶出した)。
【0041】
実施例1−シクロドデカントリアルデヒドのポリフェノールのポリシアナート(残留未反応ヒドロキシルを含む)の合成
500ミリリットルの3つ口ガラス丸底反応器に2.56グラムの参考例1からのシクロドデカントリアルデヒドのポリフェノール(名目上0.02ヒドロキシル当量)、無水ジクロロメタン(250ミリリットル)および無水アセトン(75ミリリットル)を入れた。この反応器にさらにコンデンサ(0℃に維持する)、温度計、頂部窒素導入口(毎分1リットルを用いる)、セプタムで栓をしたポートおよび磁気撹拌装置を装備した。室温(22℃)で撹拌を開始し、溶液を準備した後に冷却のためにドライアイス−アセトンバスを反応器の下に設置した。撹拌した溶液を8℃に冷却してから、臭化シアン(2.23グラム、0.02105モル、臭化シアン:名目ヒドロキシル当量比1.05:1)を溶液に加え、溶液に溶解した。撹拌しながら、溶液をさらに−8℃に冷却した。ポリプロピレン注射器中のトリエチルアミン(2.06グラム、0.0204モル、トリエチルアミン:名目ヒドロキシル当量比1.02)を大体同じ量で4回に分けて反応器に加え、それによって反応温度を−8℃から−7℃に維持した。トリエチルアミンの全添加時間は、5分であった。初回分のトリエチルアミンの添加後、薄い琥珀色の透明な溶液が淡黄色の濁った溶液に変り、トリエチルアミン臭化水素塩の生成を示した。
【0042】
−6℃から−4.5℃において30分間後反応させた後に、磁気撹拌した脱イオン水(1リットル)およびジクロロメタン(500ミリリットル)のビーカーに生成物の溶液を加えた。2分間の撹拌の後に、混合物を分液ロートに入れ、分液してからジクロロメタン層を回収し、水層を廃棄物として捨てた。ジクロロメタン溶液を再び分液ロートに入れ、新しい脱イオン水(125ミリリットル)で抽出した。得られた濁ったジクロロメタン溶液を粒状無水硫酸ナトリウム上で乾燥させて透明な溶液とし、次に枝付き真空フラスコに取り付けた400ミリリットルの粒度が中のフリットガラスロートに載せた無水硫酸ナトリウムの層を通過させた。最高オイルバス温度50℃を用いて0.25mmHg(33.3Pa)の真空が達成されるまで透明な淡黄色のろ液を回転蒸発させた。次に、固体生成物を75℃の真空オーブンに入れ、16時間乾燥した。合計2.06グラムの固体の明るい黄色の生成物を回収した。シクロドデカントリアルデヒドのポリフェノールのポリシアナートの臭化カリウムペレットのFTIR分析は、2264.5、2235.2および2208.8cm
−1における強いシアナート基吸光度の出現と同時に3422.7cm
−1における少量のヒドロキシル基吸光度の存在を示した。KBrペレットを形成するために用いたKBr粉体中の微量の水が寄与するヒドロキシル基吸光度を除いた後に、1499.1cm
−1における芳香環吸光度に対するヒドロキシル基吸光度(3422.7cm
−1)の強度比は、0.26であった。芳香環吸光度(1499.1cm
−1)に対するシアナート基吸光度(2264.5cm
−1)の強度比は、1.13であった。HPLC分析は、シクロドデカントリアルデヒドのポリフェノールのポリシアナートが5.74から11.02分の間で溶出する複数の成分を含み、2つの優勢な成分が27.5および24.3面積%を占めることを示した(1.18面積%を占めるフェニルシアナート残分が3.53分に溶出した)。存在する各成分は、シクロドデカントリアルデヒド反応体のポリフェノールのHPLC分析において観測したものと異なる保持時間を有した。
【0043】
実施例2−シクロドデカントリアルデヒドのポリフェノールのポリシアナートのホモポリトリアジン(残留未反応ヒドロキシルを含む)の合成
毎分35立方センチメートルで流れる窒素の気流の下で25℃から400℃まで毎分7℃の昇温速度を用いて実施例1からのシクロドデカントリアルデヒドのポリフェノールのポリシアナートの一部(8.6ミリグラム)の示差走査熱量測定(DSC:differential scanning calorimetry)分析を行った。この分析にはDSC2910モジュレート型(Modulated)DSC(ティーエー・インスツルメンツ(TA Instruments)を用いた。溶融吸熱を検出しなかった。120.3℃の始点、212.3℃の中点および247.4℃の終点を有し、1グラムあたり166.7ジュールのエンタルピーを伴う、環化三量化に帰属される鋭い発熱が検出された。253.5℃の始点、324.5℃の中点および380.5℃の終点を有し、1グラムあたり59.2ジュールのエンタルピーを伴う、第2の幅の広い発熱がこれに続いた。
【0044】
実施例3−シクロドデカントリアルデヒドのポリフェノールのポリシアナートのホモポリトリアジン(残留未反応ヒドロキシルを含む)の透明無充填注型物の調製
実施例1からのシクロドデカントリアルデヒドのポリフェノールのポリシアナート(0.5グラム)をアルミニウム皿に入れ、100℃に予熱したオーブンに入れた。1時間後に、固体ポリシアナートを含む皿を150℃のオーブンへ移し、その中に1時間保持した。次に、この生成物を200℃に1時間保持してから室温(22℃)に徐々に冷却した。ホモポリトリアジン生成物は、透明な琥珀色の堅い固体であった。毎分35立方センチメートルで流れる窒素の気流の下で0℃から375℃まで毎分7℃の加熱速度を有する実施例2の方法を用いて、生成物の一部(23.2ミリグラム)のDSC分析を行った。218.9℃の始点、292.7℃の中点および372.0℃の終点を有し、1グラムあたり79.3ジュールのエンタルピーを伴う、幅の広い発熱を検出した。2回目の走査のDSC分析は、297.1℃の弱いガラス転移温度を示した。DSC分析から回収したホモポリトリアジンは、透明な琥珀色の堅い固体であった。
【0045】
比較例1−ビスフェノールAジシアナートのホモポリトリアジンの合成
毎分35立方センチメートルで流れる窒素の気流の下で25℃から350℃まで毎分7℃の加熱速度を用いてビスフェノールAジシアナート(10.1ミリグラム)のDSC分析を行った。用いたビスフェノールAジシアナートは、未反応ヒドロキシルを含んでいなかった。83.0℃の中点を有し、1グラムあたり98.7ジュールのエンタルピーを伴う、溶融に帰属することができる単独の鋭い溶融吸熱を検出した。244.1℃の始点、320.7℃の中点および352.6℃の終点を有し、1グラムあたり588.9ジュールのエンタルピーを伴う、環化三量化に帰属される単独の発熱を検出した。得られたホモポリトリアジンの2回目の走査は、319.9℃で始まる少量のさらなる発熱を示した(注意:150℃で始まる段階的な放熱シフトがあった)。3回目の走査は、209.8℃で始まる発熱とともに、320.4℃で始まるもっと顕著な放熱シフトを示した。DSC分析から回収したホモポリトリアジンは、透明な琥珀色の堅い固体であった。
【0046】
比較例2−ビスフェノールAジシアナートのホモポリトリアジンの透明無充填注型物の調製
ビスフェノールAジシアナート(0.5グラム、比較実施例1で用いたものと同じ)を用いて実施例3の方法を繰り返し、オーブン中250℃で1時間および300℃で1時間の追加の硬化を行った。なお、ビスフェノールAジシアナートは、オーブン中で100℃の間に均一な液体になった。ホモポリトリアジン生成物は、透明な黄色の堅い固体であった。比較例1の方法を用いた生成物の一部(19.5ミリグラム)のDSC分析は、275.7℃の温度を有する強いガラス転移を示した。
【0047】
実施例4−シクロドデカントリアルデヒドのポリフェノールのポリシアナート(残留未反応ヒドロキシルなし)の調製
以下の反応体、溶媒および化学量論を用いて実施例1の方法を繰り返した。2.56グラムの参考例1からのシクロドデカントリアルデヒドのポリフェノール(名目上0.02ヒドロキシル当量)、無水アセトン(75ミリリットル)、臭化シアン(2.65グラム、0.025モル、臭化シアン:名目ヒドロキシル当量比1.25:1)およびトリエチルアミン(2.53グラム、0.025モル、トリエチルアミン:名目ヒドロキシル当量比1.25)。トリエチルアミンを大体同じ分量で8回に分けて反応器に加え、それによって反応温度を−8℃から−5℃に維持した。トリエチルアミンのための全添加時間は、17分であった。3回目の分のトリエチルアミンの添加の後、薄い琥珀色の透明な溶液が明るい黄色のスラリーに変り、トリエチルアミン臭化水素塩の生成を示した。
【0048】
−7℃から−4.5℃における40分間の後反応の後に、生成物のスラリーを粒度が中のフリットガラスロートを通してろ過して磁気撹拌した脱イオン水(800ミリリットル)を含むフラスコに入れた。1分間の撹拌の後に、この微細なスラリーを分液ロートに入れ、4回に分けたジクロロメタン(500ミリリットル)で抽出した。合わせたジクロロメタン抽出物を、粒状の無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、ロートに載せた紙(ワットマン114V)を通してスラリーをろ過した。透明な、淡黄色のろ液を回転蒸発させ、実施例1Bの方法を用いて乾燥させた。合計2.28グラムの固体の明るい黄色の生成物を回収した。シクロドデカントリアルデヒドのポリフェノールのポリシアナートの臭化カリウムペレットのFTIR分析は、2264.1、2235.4および2208.7cm
−1における強いシアナート基吸光度の出現と同時に3382.3cm
−1におけるヒドロキシル基吸光度の消失を示した。芳香環吸光度(1498.8cm
−1)に対するシアナート基吸光度(2264.1cm
−1)の強度比は、1.14であった。HPLC分析は、シクロドデカントリアルデヒドのポリフェノールのポリシアナートが5.88から11.02分の間に溶出する複数の成分を含み、2つの優勢な成分が34.2および23.8面積%を占めることを示した(0.76面積%を占めるフェニルシアナート残留分が3.52分に溶出した)。存在する各成分は、シクロドデカントリアルデヒドのポリフェノール反応体のHPLC分析において観測したものと異なる保持時間を有した。
【0049】
実施例5−シクロドデカントリアルデヒドのポリフェノールのポリシアナート(残留未反応ヒドロキシルを含まない)のホモポリトリアジンの合成
実施例2の方法を用いて実施例4からのシクロドデカントリアルデヒドのポリフェノールのポリシアナートの一部(8.3ミリグラム)のDSC分析を行った。溶融吸熱を検出しなかった。150.2℃の始点、229.3℃の中点および264.4℃の終点を有し、1グラムあたり142.3ジュールのエンタルピーを伴う、環化三量化に帰属される急な発熱を検出した。272.0℃の始点、324.6℃の中点および375.3℃の終点を有し、1グラムあたり38.6ジュールのエンタルピーを伴う第2の広い発熱がこれに続いた。
【0050】
実施例6−シクロドデカントリアルデヒドのポリフェノールのポリシアナート(残留未反応ヒドロキシルを含まない)のホモポリトリアジンの透明無充填注型物の調製
実施例4からのシクロドデカントリアルデヒドのポリフェノールのポリシアナート(0.5グラム)をアルミニウム皿に入れ、実施例3の方法を用いて硬化させた。ホモポリトリアジン生成物は、透明な琥珀色の堅い固体であった。実施例2の方法(25℃から400℃への毎分7℃の加熱)を用いて生成物の一部(21.2ミリグラム)のDSC分析を行った。216.6℃の始点、310.1℃の中点および386.2℃の終点を有し、1グラムあたり101.7ジュールのエンタルピーを伴う、幅の広い発熱を検出した。2回目、3回目および4回目の走査のDSC分析は、ガラス転移温度を検出しなかったが、2回目の走査で344.5℃における発熱シフトを示した(3回目および4回目の走査では発熱はなかった)。DSC分析から回収したホモポリトリアジンは、透明な琥珀色の堅い固体であった。
【0051】
実施例7−シクロドデカントリアルデヒドのポリフェノールのポリシアナートとビスフェノールAジシアナートとの共重合
4桁の精度を有するはかりを用いて、実施例4からのシクロドデカントリアルデヒドのポリフェノールのポリシアナート(0.1100グラム)およびビスフェノールAジシアナート(比較例1および2において用いたものと同じ)(0.1100グラム)をガラスバイアルに秤量した。バイアルにジクロロメタン(1ミリリットル)を入れてからバイアルを封じ、振って溶液を得た。溶液をアルミニウムの皿に空け、ジクロロメタンのバルクを換気フードに蒸発させた。次に、アルミニウム皿の中の固体生成物を真空オーブンに入れ、22℃で1時間乾燥させた。固体ブレンドは、硬い結晶性の粉体であり、非固着性(室温で)の粉体に挽くことができた。
【0052】
毎分35立方センチメートルで流れる窒素の気流の下で25℃から400℃まで毎分7℃の加熱速度を用いてブレンドの一部(10.8ミリグラム)のDSC分析を行った。65.5℃の中点を有し、1グラムあたり20.6ジュールのエンタルピーを伴う、溶融に帰属することができる単独の鋭い溶融吸熱を検出した。165.4℃の始点、248.8℃の中点および336.9℃の終点を有し、1グラムあたり339.2ジュールのエンタルピーを伴う、共環化三量化に帰属される単独の発熱を検出した。得られた共重合トリアジンの2回目の走査は、379.1℃において始まる非常に少量のさらなる発熱を示した。DSC分析から回収した共重合トリアジンは、透明な薄い琥珀色の堅い固体であった。
【0053】
実施例8−シクロドデカントリアルデヒドのポリフェノールのポリシアナートとビスフェノールAジシアナートとの共重合トリアジンの清澄な無充填注型物の調製
実施例7からのシクロドデカントリアルデヒドのポリフェノールのポリシアナートとビスフェノールAジシアナートとの残りのブレンドを用いて、実施例3の方法を繰り返し、オーブンの中で250℃で1時間および300℃で1時間の追加の硬化を行った。共重合トリアジン生成物は、透明な琥珀色の堅い固体であった。実施例2の方法(0℃から360℃まで毎分7℃の加熱)を用いて生成物の一部(23.4ミリグラム)のDSC分析を行った。308.0℃の始点、340.6℃の中点および357.2℃の終点を有し、1グラムあたり2.6ジュールのエンタルピーを伴う、幅の広いなだらかな発熱が検出された。2回目の走査(0℃から370℃まで毎分7℃の加熱)は、340.3℃のガラス転移温度を示した。DSC分析から回収した共重合トリアジンは、透明な琥珀色の堅い固体であった。
【0054】
実施例9−シクロドデカントリアルデヒドのポリフェノールのポリシアナートと4,4′−ジアミノジフェニルメタンのビスマレイミドとの共重合
4桁の精度を有するはかりを用いて、実施例4からのシクロドデカントリアルデヒドのポリフェノールのポリシアナート(0.1105グラム)および4,4′−ジアミノジフェニルメタンのビスマレイミド(0.1105グラム)をガラスバイアルに秤量した。バイアルにジクロロメタン(1ミリリットル)を入れてからバイアルを封じ、振って溶液を得た。溶液をアルミニウムの皿に空け、ジクロロメタンのバルクを換気フードに蒸発させた。次に、アルミニウム皿の中の固体生成物を真空オーブンに入れ、22℃で1時間乾燥させた。
【0055】
毎分35立方センチメートルで流れる窒素の気流の下で25℃から400℃まで毎分7℃の加熱速度を用いてブレンドの一部(11.0ミリグラム)のDSC分析を行った。144.3℃の中点を有し、1グラムあたり23.9ジュールのエンタルピーを伴う、溶融に帰属することができる単独の鋭い溶融吸熱を検出した。154.5℃の始点、227.5℃の中点および364.9℃の終点を有し、1グラムあたり236.5ジュールのエンタルピーを伴う、共重合に帰属される単独の発熱を検出した。DSC分析から回収した共重合体は、透明な琥珀色の堅い固体であった。
【0056】
実施例10−シクロドデカントリアルデヒドのポリフェノールのポリシアナートと4,4′−ジアミノジフェニルメタンのビスマレイミドとの共重合体の透明無充填注型物の調製
実施例9からのシクロドデカントリアルデヒドのポリフェノールのポリシアナートと4,4′−ジアミノジフェニルメタンのビスマレイミドとの残りのブレンドを用いて実施例3の方法を繰り返し、オーブン中250℃で1時間、および300℃で1時間追加の硬化を行った。共重合体生成物は、透明な琥珀色の堅い固体であった。実施例2の方法(0℃から400℃まで毎分7℃の加熱)を用いて生成物の一部(18.1ミリグラム)のDSC分析を行った。309.5℃の始点、335.9℃の中点および361.1℃の終点を有し、1グラムあたり1.5ジュールのエンタルピーを伴う、幅の広いなだらかな発熱と、その直後に続く374.4℃における放熱のシフトアップとを検出した。2回目の走査(0℃から400℃まで毎分7℃の加熱)は、ガラス転移温度を検出しなかった。DSC分析から回収した共重合体は、透明な琥珀色の堅い固体であった。
【0057】
【表1】
本開示は以下も包含する。
[1] 下式のポリシアナートであって、
【化1】
式中、
各mは、独立に、ゼロから3の値を有し;
pは、ゼロから20の値を有し;
各Rは、独立に、ハロゲン;ニトリル;ニトロ;C1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルコキシであって、前記アルキルおよびアルコキシ基は、1つ以上のハロゲン原子で置換されてよいC1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルコキシ;C2〜C6アルケニル、またはC2〜C6アルケニルオキシであり;
各Zは、Hまたは−C≡Nであり、前記Z基の少なくとも25%は−C≡Nであり;
各Qは、独立に、水素またはC1〜C6アルキルであり、
あるいは、mが2のとき、2つのR基は、独立にC3〜C4アルキレン基であってよく、該C3〜C4アルキレン基は、任意選択として、1つまたは2つの二重結合を含み、それらが結合している環の2つの隣り合った炭素と結合し、それによって縮合二環を形成する、ポリシアナート。
[2] Rは、Hである、上記態様1に記載のポリシアナート。
[3] Qは、HまたはC1〜C2アルキルである、上記態様1または2に記載のポリシアナート。
[4] 前記Z基の少なくとも50%は、−C≡Nである、上記態様1、2または3に記載のポリシアナート。
[5] pは、0または1である、上記態様1、2、3または4に記載のポリシアナート。
[6] 前記Z基の80〜100%は、−C≡Nである、上記態様1、2、3または4に記載のポリシアナート。
[7] 下式のポリフェノールを、塩基の存在下で、任意選択として触媒、溶媒または両方の存在下で、ハロゲン化シアンと反応させるステップを含む、上記態様1に記載の化合物を作る方法:
【化2】
式中、R、Q、mおよびpは、上記態様1〜6のいずれかに定義した通りである。
[8] 前記反応は、少なくとも1種類の溶媒の存在下で行われる、上記態様7に記載の方法。
[9] 少なくとも1種類の溶媒は、脂肪族ケトン、脂環式ケトン、塩素化炭化水素またはそれらの混合物である、上記態様7または8に記載の方法。
[10] 前記塩基は、第3アミンである、上記態様7、8または9に記載の方法。
[11] 前記ハロゲン化シアンは、塩化シアンまたは臭化シアンである、上記態様7、8、9または10に記載の方法。
[12] 前記反応温度は、−10℃から0℃である、上記態様7、8、9、10または11に記載の方法。
[13] 下式のポリシアナートを含み、任意選択として少なくとも1種類の硬化触媒および/または硬化促進剤を含む、硬化性組成物:
【化3】
式中、R、Q、Z、mおよびpは、上記態様1〜6のいずれかに定義した通りである。
[14] 上記態様1に記載のポリシアナート以外の1種類以上の熱硬化性モノマーをさらに含む、上記態様13に記載の硬化性組成物。
[15] 前記熱硬化性モノマーは、1)上記態様1に記載のシアナート以外のジまたはポリ(シアナート)、2)ビスまたはポリ(マレイミド)、3)エポキシ樹脂、4)ジまたはポリ(イソシアナート)、5)ジまたはポリ(シアナミド)、あるいは6)重合性モノ、ジまたはポリ(エチレン系不飽和)モノマーの1種類以上をさらに含む、上記態様14に記載の硬化性組成物。
[16] 任意選択として少なくとも1種類の硬化触媒および/または硬化促進剤をさらに含む、上記態様15に記載の硬化性組成物。
[17] 上記態様13、14、15または16のいずれかに記載の硬化性組成物から調製された部分オリゴマー化または重合(B段階)生成物、または硬化(熱硬化)生成物。
[18] 構造用または電気用ラミネートおよび/または複合材料、多層電子回路、集積回路パッケージング(「IC基板」など)、フィラメントワインディング、成形物、カプセル化物、注型物、航空宇宙用途向け複合材料、接着剤、機能性粉体コーティングおよび他の保護コーティングである、上記態様13、14、15、16または17のいずれかに記載の硬化性組成物から調製された硬化組成物。
[19] シート、フィルム、ファイバーまたは他の成形物品の形態の、上記態様18に記載の硬化組成物。